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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】光学式選別機
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/342 20060101AFI20241022BHJP
   B65G 65/36 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B07C5/342
B65G65/36
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021024951
(22)【出願日】2021-02-19
(65)【公開番号】P2022127036
(43)【公開日】2022-08-31
【審査請求日】2024-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100158702
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 卓也
(72)【発明者】
【氏名】沖本 光太郎
(72)【発明者】
【氏名】宮本 知幸
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-17918(JP,A)
【文献】特開2006-111434(JP,A)
【文献】実開昭54-66372(JP,U)
【文献】国際公開第2013/175870(WO,A1)
【文献】実開昭49-89878(JP,U)
【文献】中国実用新案第211802471(CN,U)
【文献】実開平1-152907(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 5/342
B65G 65/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被選別物を供給する供給手段と、
被選別物を表面上において流下させる傾斜状のシュートと、を備え、
前記供給手段から供給される被選別物を、前記シュートを流下させて検出部及び選別部へ移送する光学式選別機において、
前記シュートとの間に形成される間隙であって前記シュート上における前記被選別物の流路高さを調整可能に規定する流路高さ調整手段が設けられる一方で、
前記シュート上において前記流路高さ調整手段との間に溜まる前記被選別物の溜まり量を検出する溜まり量検出手段が設けられ、
前記溜まり量検出手段により検出される前記被選別物の前記溜まり量が所定の状態を維持するよう、前記流路高さ調整手段を駆動制御して前記被選別物の前記流路高さを調整し、前記シュート上において前記流路高さ調整手段との間に溜まる前記被選別物を、前記シュートと前記流路高さ調整手段との間に形成される前記間隙を通過させて前記シュートを流下させることを特徴とする光学式選別機。
【請求項2】
前記溜まり量検出手段は、前記被選別物の前記溜まり量を前記被選別物の溜まり高さで検出する請求項1に記載の光学式選別機。
【請求項3】
前記供給手段はフィーダであり、前記フィーダは前記シュート上に後方から前記被選別物を供給するよう前記シュートの上部後方に配設される一方、
前記流路高さ調整手段は前記フィーダから前記シュート上に前記被選別物が供給される位置に設けられるゲート部材であり、前記ゲート部材は、前記シュートに対し接離可能に設けられ、前記被選別物の前記流路高さを調整可能に規定する請求項1又は2に記載の光学式選別機。
【請求項4】
前記ゲート部材は、前記シュート面に対し平行な軸を中心に揺動又は回動可能に設けられるゲート板である請求項3に記載の光学式選別機。
【請求項5】
前記供給手段はフィーダであり、前記フィーダは前記シュート上に前方から前記被選別物を供給するよう前記シュートの上部前方に配設される一方、
前記流路高さ調整手段は前記フィーダであり、前記フィーダは、前記シュートに対し接離可能に設けられ、前記被選別物の前記流路高さを調整可能に規定する請求項1又は2に記載の光学式選別機。
【請求項6】
前記供給手段はフィーダであり、前記フィーダは前記シュート上に前方から前記被選別物を供給するよう前記シュートの上部前方に配設される一方、
前記流路高さ調整手段は前記フィーダの下面又は直下に設けられるゲート板であり、前記ゲート板は、前記シュートに対し接離可能に設けられ、前記被選別物の前記流路高さを調整可能に規定する請求項1又は2に記載の光学式選別機。
【請求項7】
前記供給手段はカスケードであり、前記カスケードは前記シュート上に上方から前記被選別物を供給するよう前記シュートの上方に配設される一方、
前記流路高さ調整手段は前記カスケードにより供給される前記被選別物を前記シュート上に案内する最下段の棚板であり、前記棚板は、前記シュートに対し接離可能に設けられ、前記被選別物の前記流路高さを調整可能に規定する請求項1又は2に記載の光学式選別機。
【請求項8】
前記供給手段はロータリーバルブであり、前記ロータリーバルブは前記シュート上に上方から前記被選別物を供給するよう前記シュートの上方に配設される一方、
前記流路高さ調整手段は前記ロータリーバルブにより供給される前記被選別物を前記シュート上に案内する案内板であり、前記案内板は、前記シュートに対し接離可能に設けられ、前記被選別物の前記流路高さを調整可能に規定する請求項1又は2に記載の光学式選別機。
【請求項9】
前記流路高さ調整手段は、前記供給手段から前記シュート上に前記被選別物が供給される位置の下方であって、前記被選別物が前記シュートを流下する途中位置に設けられるゲート部材であり、前記ゲート部材は、前記シュートに対し接離可能に設けられ、前記被選別物の前記流路高さを調整可能に規定する請求項1又は2に記載の光学式選別機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒や樹脂ペレット等の粒状物等を色彩等に基づいて選別する光学式選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、穀粒や樹脂ペレット等の粒状物等からなる原料を色彩等に基づいて良品と不良品に選別したり、原料に混入する異物等を色彩等に基づいて除去したりする光学式選別機は周知である(特許文献1,2を参照。)。
【0003】
特許文献1,2に記載された光学式選別機は、原料となる粒状物を供給するフィーダと、前記フィーダから供給される粒状物を、不良品等を検出する検出部及び前記検出部で検出された不良品等を除去する選別部に移送する傾斜状のシュートを備える。
【0004】
ところで、この種の光学式選別機は、フィーダから供給される粒状物の供給量、性状、種類等によりシュート上を流下する粒状物の流下状態が異なり、前記シュート上で粒状物の跳ねが生じた場合には、前記粒状物を正確に選別することができない問題がある。
【0005】
特許文献2に記載された光学式選別機は、フィーダとシュートとを連絡する中間樋を設け、運転に先立ち、粒状物に合せて前記シュートの傾斜角度を調整し、前記シュートの傾斜角度に応じて前記中間樋を前記フィーダに対して移動調整することで、前記シュート上における粒状物の流下状態を安定させて正確な選別を行うものである。
【0006】
しかしながら、前記特許文献2に記載された光学式選別機は、フィーダからの粒状物の供給量が変動する場合など、運転中における原料の条件変化に対応できるものでなく、また、原料のロットや種類等を変更する場合には、その都度、シュートの傾斜角度を調整し直す必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-50760号公報
【文献】実公昭60-26877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、原料となる被選別物の条件が変化する場合でも、シュート上における被選別物の跳ねを防止し、選別精度を向上させることができる光学式選別機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、
被選別物を供給する供給手段と、
被選別物を表面上において流下させる傾斜状のシュートと、を備え、
前記供給手段から供給される被選別物を、前記シュートを流下させて検出部及び選別部へ移送する光学式選別機において、
前記シュートとの間に形成される間隙であって前記シュート上における前記被選別物の流路高さを調整可能に規定する流路高さ調整手段が設けられる一方で、
前記シュート上において前記流路高さ調整手段との間に溜まる前記被選別物の溜まり量を検出する溜まり量検出手段が設けられ、
前記溜まり量検出手段により検出される前記被選別物の前記溜まり量が所定の状態を維持するよう、前記流路高さ調整手段を駆動制御して前記被選別物の前記流路高さを調整し、前記シュート上において前記流路高さ調整手段との間に溜まる前記被選別物を、前記シュートと前記流路高さ調整手段との間に形成される前記間隙を通過させて前記シュートを流下させることを特徴とする。
【0010】
本発明は、
前記溜まり量検出手段により検出される前記被選別物の前記溜まり量が一定の状態となるよう、前記流路高さ調整手段により前記被選別物の前記流路高さを調整し、前記シュート上において前記流路高さ調整手段との間に溜まる前記被選別物を、前記間隙を通過させて前記シュートを流下させることが好ましい。
【0011】
本発明は、
前記溜まり量検出手段による前記被選別物の前記溜まり量の検出の結果、前記溜まり量が多くなるほど前記流路高さが高くなるよう、前記流路高さ調整手段により前記溜まり量に比例して前記流路高さを連続状又は階段状に調整し、前記間隙を通過する前記被選別物の流量を制御することが好ましい。
【0012】
本発明は、
前記溜まり量検出手段が、前記被選別物の前記溜まり量を前記被選別物の溜まり高さで検出することが好ましい。
【0013】
本発明は、
前記供給手段がフィーダであり、前記フィーダは前記シュート上に後方から前記被選別物を供給するよう前記シュートの上部後方に配設される一方、
前記流路高さ調整手段は前記フィーダから前記シュート上に前記被選別物が供給される位置に設けられるゲート部材であり、前記ゲート部材は、前記シュートに対し接離可能に設けられ、前記被選別物の前記流路高さを調整可能に規定することが好ましい。
【0014】
本発明は、
前記ゲート部材が、前記シュート面に対し平行な軸を中心に揺動又は回動可能に設けられ、前記シュートに対し接離可能とされることが好ましい。
【0015】
本発明は、
前記ゲート部材が、前記シュート面に対し平行な軸を中心に揺動又は回動可能に設けられるゲート板であり、前記シュートの下流側において前記ゲート板の下端が前記シュートに対し接離可能とされることが好ましい。
【0016】
本発明は、
前記ゲート部材が、前記シュート面に対し直線的に進退可能に設けられ、前記シュートに対し接離可能とされることが好ましい。
【0017】
本発明は、
前記ゲート部材が、前記シュート面に対し直線的に進退可能に設けられるゲート板であり、前記ゲート板の下端が前記シュートに対し接離可能とされることが好ましい。
【0018】
本発明は、
前記供給手段がフィーダであり、前記フィーダは前記シュート上に前方から前記被選別物を供給するよう前記シュートの上部前方に配設される一方、
前記流路高さ調整手段は前記フィーダであり、前記フィーダは、前記シュートに対し接離可能に設けられ、前記被選別物の前記流路高さを調整可能に規定することが好ましい。
【0019】
本発明は、
前記フィーダが、前記シュート面に対し前後動又は上下動可能に設けられ、前記シュートに対し接離可能とされることが好ましい。
【0020】
本発明は、
前記供給手段がフィーダであり、前記フィーダは前記シュート上に前方から前記被選別物を供給するよう前記シュートの上部前方に配設される一方、
前記流路高さ調整手段は前記フィーダの下面又は直下に設けられるゲート板であり、前記ゲート板は、前記シュートに対し接離可能に設けられ、前記被選別物の前記流路高さを調整可能に規定することが好ましい。
【0021】
本発明は、
前記ゲート板が、前記シュート面に対し平行な軸を中心に揺動可能に設けられ、前記シュートの下流側において前記ゲート板の下端が前記シュートに対し接離可能とされることが好ましい。
【0022】
本発明は、
前記供給手段がカスケードであり、前記カスケードは前記シュート上に上方から前記被選別物を供給するよう前記シュートの上方に配設される一方、
前記流路高さ調整手段は前記カスケードにより供給される前記被選別物を前記シュート上に案内する最下段の棚板であり、前記棚板は、前記シュートに対し接離可能に設けられ、前記被選別物の前記流路高さを調整可能に規定することが好ましい。
【0023】
本発明は、
前記最下段の棚板が、前記シュート面に対し平行な軸を中心に揺動可能に設けられ、前記シュートの下流側において前記棚板の下端が前記シュートに対し接離可能とされることが好ましい。
【0024】
本発明は、
前記最下段の棚板が、前記シュート面に対し直線的に進退可能に設けられ、前記棚板の下端が前記シュートに対し接離可能とされることが好ましい。
【0025】
本発明は、
前記供給手段がロータリーバルブであり、前記ロータリーバルブは前記シュート上に上方から前記被選別物を供給するよう前記シュートの上方に配設される一方、
前記流路高さ調整手段は前記ロータリーバルブにより供給される前記被選別物を前記シュート上に案内する案内板であり、前記案内板は、前記シュートに対し接離可能に設けられ、前記被選別物の前記流路高さを調整可能に規定することが好ましい。
【0026】
本発明は、
前記案内板が、前記シュート面に対し平行な軸を中心に揺動可能に設けられ、前記シュートの下流側において前記案内板の下端が前記シュートに対し接離可能とされることが好ましい。
【0027】
本発明は、
前記案内板が、前記シュート面に対し直線的に進退可能に設けられ、前記案内板の下端が前記シュートに対し接離可能とされることが好ましい。
【0028】
本発明は、
前記流路高さ調整手段が、前記供給手段から前記シュート上に前記被選別物が供給される位置の下方であって、前記被選別物が前記シュートを流下する途中位置に設けられるゲート部材であり、前記ゲート部材は、前記シュートに対し接離可能に設けられ、前記被選別物の前記流路高さを調整可能に規定することが好ましい。
【0029】
本発明は、
前記ゲート部材が、前記シュート面に対し平行な軸を中心に揺動又は回動可能に設けられ、前記シュートに対し接離可能とされることが好ましい。
【0030】
本発明は、
前記ゲート部材が、前記シュート面に対し平行な軸を中心に揺動又は回動可能に設けられるゲート板であり、前記シュートの下流側において前記ゲート板の下端が前記シュートに対し接離可能とされることが好ましい。
【0031】
本発明は、
前記ゲート部材が、前記シュート面に対し直線的に進退可能に設けられ、前記シュートに対し接離可能とされることが好ましい。
【0032】
本発明は、
前記ゲート部材が、前記シュート面に対し直線的に進退可能に設けられるゲート板であり、前記ゲート板の下端が前記シュートに対し接離可能とされることが好ましい。
【0033】
本発明は、
前記供給手段が、前記シュート上に後方から前記被選別物を供給するよう前記シュートの上部後方に配設されるフィーダ、前記シュート上に前方から前記被選別物を供給するよう前記シュートの上部前方に配設されるフィーダ、前記シュート上に上方から前記被選別物を供給するよう前記シュートの上方に配設されるカスケード、又は前記シュート上に上方から前記被選別物を供給するよう前記シュートの上方に配設されるロータリーバルブのいずれかであることが好ましい。
【発明の効果】
【0034】
本発明の光学式選別機は、溜まり量検出手段により検出される被選別物の溜まり量が所定の状態を維持するよう、流路高さ調整手段を駆動制御して前記被選別物の流路高さを調整し、シュート上において前記流路高さ調整手段との間に溜まる前記被選別物を、前記シュートと前記流路高さ調整手段との間に形成される間隙を通過させて前記シュートを流下させるので、前記被選別物を前記溜まり量に応じた適切な流量で、かつ、前記シュート面に沿って安定した状態で流下させることができる。
【0035】
本発明の光学式選別機は、前記被選別物の溜まり量が少ない場合には、前記溜まり量が所定の状態を維持するよう、前記流路高さを低く調整するので、前記被選別物が前記間隙を疎ら状に通過して前記シュート上で跳ねることを防止し、前記被選別物を前記溜まり量に応じた適切な流量で、かつ、前記シュート面に沿って安定した状態で流下させることができる。
【0036】
また、本発明の光学式選別機は、前記被選別物の溜まり量が多い場合には、前記溜まり量が所定の状態を維持するよう、前記流路高さを高く調整するので、運転中における前記シュートからの前記被選別物の溢れ出しを防止する一方、前記被選別物が前記間隙を密の状態で通過して前記被選別物同士が絡み合い、前記被選別物が前記シュート上で跳ねることを防止することができ、前記被選別物を前記溜まり量に応じた適切な流量で、かつ、前記シュート面に沿って安定した状態で流下させることができる。
【0037】
したがって、本発明の光学式選別機によれば、例えば、運転中に供給手段から供給される被選別物の供給量が変動する場合や、被選別物のロットや種類等を変更する場合など、原料となる被選別物の条件が変化する場合でも、シュート上における被選別物の跳ねを防止し、前記シュート上において前記被選別物を安定して流下させることができるので、選別精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の実施の形態における光学式選別機の一例の説明図である。
図2】本発明の実施形態1の光学式選別機の要部説明図である。
図3】本発明の実施形態2の光学式選別機の要部説明図である。
図4】本発明の実施形態3の光学式選別機の要部説明図である。
図5】本発明の実施形態4の光学式選別機の要部説明図である。
図6】本発明の実施形態5の光学式選別機の要部説明図である。
図7】本発明の実施形態6の光学式選別機の要部説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
<光学式選別機>
図1は本発明の実施の形態における光学式選別機の一例の説明図であって要部側断面図を示す。
本発明の実施の形態において、光学式選別機1は、原料となる粒状物を供給する粒状物供給部2、傾斜状に配置されて前記粒状物を流下させるシュート3、前記シュート3上を流下する粒状物を検出する検出部及び前記検出部の検出結果に基づいて良品と不良品に選別する選別部を有する光学選別部4、前記光学選別部4で選別された粒状物を良品と不良品に分けて排出する排出ホッパ5を備える。
【0040】
前記粒状物供給部2は、図示しない原料タンクと、前記原料タンクに貯留する粒状物を前記シュート3に供給する振動フィーダ21を備える。
【0041】
前記シュート3は、所定幅を有して前記振動フィーダ21の先端側下方位置に傾斜した状態で配置され、前記振動フィーダ21から供給される粒状物を自然流下させる。
【0042】
前記光学選別部4は、前記シュート3の上面側及び下面側に配設される一対の光学検出装置41a,41b、前記光学検出装置41a,41bの撮像信号に基づいて前記粒状物を良品と不良品に判別する判別装置42、前記判別装置42の判別結果に基づいて前記不良品を除去し前記粒状物を良品と不良品に選別するエジェクター装置43を備える。
【0043】
前記排出ホッパ5は、前記エジェクター装置43により選別された粒状物を良品と不良品に分別して排出する良品排出路51及び不良品排出路52を備える。
【0044】
前記光学式選別機1において、前記粒状物供給部2の原料タンクに貯留される粒状物は、前記振動フィーダ21により前記シュート3に連続して供給され、該シュート3の表面上を幅方向に広がる状態で連続状に自然流下する。
【0045】
前記シュート3上を流下する粒状物は、前記光学選別部4において、一対の前記光学検出装置41a,41bにおける撮像手段により撮像され、前記判別装置42において前記撮像手段の撮像信号における光量や色成分等の信号レベルがしきい値と比較されて良品と不良品のいずれかに判別され、前記判別装置42から送られる除去信号に基づいて前記エジェクター装置43におけるエアの噴射により不良品が除去され、良品と不良品に選別される。
【0046】
そして、前記良品に選別された粒状物は前記排出ホッパ5の良品排出路51、前記不良品に選別された粒状物は前記排出ホッパ5の不良品排出路52からそれぞれ排出される。
【0047】
[実施形態1]
図2は本発明の実施形態1における光学式選別機の要部説明図を示す。
本発明の実施形態1における光学式選別機は、シュート3の表面上に後方から粒状物を供給するよう前記シュート3の上部後方に配設される振動フィーダ21を備える。
【0048】
前記シュート3の表面側には流路高さ調整手段としてのゲート部材が設けられる。
前記流路高さ調整手段は、前記シュート3の表面との間に形成される間隙であって前記シュート面上における前記粒状物の流路高さを調整可能に規定する。
ここでは、前記ゲート部材としてのゲート板71が、前記振動フィーダ21から前記シュート上に粒状物が供給される位置に設けられている。
【0049】
前記ゲート板71は、前記シュート面に対し平行な軸を中心に揺動又は回動可能に設けられ、前記シュート3の下流側において前記ゲート板71の下端及び前記シュート3との対向面が前記シュート面に対し接離可能とされ、前記粒状物の流路高さを調整可能に規定する。
【0050】
前記振動フィーダ21から前記シュート上に粒状物が供給される位置の上方には、前記シュート上において前記ゲート板71との間に溜まる粒状物の溜まり状態であって前記粒状物の溜まり量を前記粒状物の溜まり高さで検出する溜まり量検出センサ81が設けられる。
【0051】
ここで、前記溜まり量検出センサ81には、距離センサや厚さセンサ等の非接触式センサ、リミットスイッチ等の接触式センサ等を用いることができる。
【0052】
前記ゲート板71は、前記溜まり量検出センサ81により検出される前記粒状物の溜まり量が所定の状態を維持するよう、即ち一定の範囲の状態を維持するように駆動制御されて前記粒状物の前記流路高さを調整し、前記シュート上において前記ゲート板71との間に溜まる前記粒状物を、前記シュートの表面と前記ゲート板71との間に形成される前記間隙を通過させて前記シュートを流下させる。
【0053】
すなわち、前記溜まり量検出センサ81による前記粒状物の前記溜まり量の検出の結果、前記溜まり量が多くなるほど前記流路高さが高くなるように前記ゲート板71を駆動制御し、前記溜まり量に比例して前記流路高さを連続状又は階段状に調整し、前記間隙を通過する前記粒状物の流量を制御する。
【0054】
ここで、前記ゲート板71は、前記シュート面に対し直交する状態で、又は、前記シュート面に対し下流側が近接する状態で配設され、前記シュート面に対し直線的に進退可能に設けられることとし、前記ゲート板の少なくとも下端を前記シュート面に対し接離可能として、前記粒状物の流路高さを調整可能に規定することもできる。
【0055】
また、前記流路高さ調整手段は、前記ゲート部材として前記ゲート板71を用いるものであったが、これに限定されるものでなく、例えば断面三角形の角材などのゲート部材を用いることもできる。
【0056】
[実施形態2]
図3は本発明の実施形態2における光学式選別機の要部説明図を示す。
本発明の実施形態2における光学式選別機は、シュート3の表面上に前方から粒状物を供給するよう前記シュート3の上部前方に配設される振動フィーダ21を備える。
【0057】
ここでは、前記流路高さ調整手段として前記振動フィーダ21を用いる。
前記振動フィーダ21は、前記シュート面に対し前後動又は上下動可能に設けられ、前記振動フィーダ21の供給側端部が前記シュートに対し接離可能とされ、前記粒状物の流路高さを調整可能に規定する。
【0058】
前記振動フィーダ21から前記シュート上に粒状物が供給される位置の上方には、前記シュート上において前記振動フィーダ21の供給側端部との間に溜まる粒状物の溜まり状態であって前記粒状物の溜まり量を前記粒状物の溜まり高さで検出する溜まり量検出センサ81が設けられる。
【0059】
前記振動フィーダ21は、前記溜まり量検出センサ81により検出される前記粒状物の溜まり量が所定の状態を維持するように駆動制御されて前記粒状物の前記流路高さを調整し、前記シュート上において前記振動フィーダ21の供給側端部との間に溜まる前記粒状物を、前記シュートの表面と前記振動フィーダ21の供給側端部との間に形成される間隙を通過させて前記シュートを流下させる。
【0060】
[実施形態3]
図4は本発明の実施形態3における光学式選別機の要部説明図を示す。
本発明の実施形態3における光学式選別機は、シュート3の表面上に前方から粒状物を供給するよう前記シュート3の上部前方に配設される振動フィーダ21を備える。
【0061】
ここでは、前記流路高さ調整手段としてゲート板73を用いる。
前記ゲート板73は、前記振動フィーダ21の供給側端部の下面又は直下であって前記振動フィーダ21から前記シュート上に粒状物が供給される位置に設けられる。
【0062】
前記ゲート板73は、前記シュート面に対し平行な軸を中心に揺動又は回動可能に設けられ、前記シュート3の下流側において前記ゲート板73の下端及び前記シュート3との対向面が前記シュート面に対し接離可能とされ、前記粒状物の流路高さを調整可能に規定する。
【0063】
前記振動フィーダ21から前記シュート上に粒状物が供給される位置の上方には、前記シュート上において前記ゲート板73との間に溜まる粒状物の溜まり状態であって前記粒状物の溜まり量を前記粒状物の溜まり高さで検出する溜まり量検出センサ81が設けられる。
【0064】
前記ゲート板73は、前記溜まり量検出センサ81により検出される前記粒状物の溜まり量が所定の状態を維持するように駆動制御されて前記粒状物の前記流路高さを調整し、前記シュート上において前記ゲート板73との間に溜まる前記粒状物を、前記シュートの表面と前記ゲート板73との間に形成される間隙を通過させて前記シュートを流下させる。
【0065】
[実施形態4]
図5は本発明の実施形態4における光学式選別機の要部説明図を示す。
本発明の実施形態4における光学式選別機は、シュート3の表面上に上方から粒状物を供給するよう前記シュート3の上方に配設されるカスケード23を備える。
前記カスケード23は、複数の棚板を備え、図示しない原料タンクに貯留する粒状物をシュート3に供給する。
【0066】
ここでは、前記流路高さ調整手段として前記カスケード23により供給される前記粒状物を前記シュート上に案内する最下段の棚板24を用いる。
前記最下段の棚板24は、前記シュート面に対し平行な軸を中心に揺動可能に設けられ、前記シュート3の下流側において前記最下段の棚板24の下端及び前記シュート3との対向面が前記シュート面に対し接離可能とされ、前記粒状物の流路高さを調整可能に規定する。
【0067】
前記最下段の棚板24から前記シュート上に粒状物が供給される位置の上方には、前記シュート上において前記最下段の棚板24との間に溜まる粒状物の溜まり状態であって前記粒状物の溜まり量を前記粒状物の溜まり高さで検出する溜まり量検出センサ81が設けられる。
【0068】
前記最下段の棚板24は、前記溜まり量検出センサ81により検出される前記粒状物の溜まり量が所定の状態を維持するように駆動制御され、前記粒状物の前記流路高さを調整し、前記シュート上において前記最下段の棚板24との間に溜まる前記粒状物を、前記シュートの表面と前記最下段の棚板24との間に形成される間隙を通過させて前記シュートを流下させる。
【0069】
ここで、前記最下段の棚板24は、前記シュート面に対し平行な軸を中心に揺動可能に設けられることとしたが、前記シュート面に対し直線的に進退可能に設けられることとし、前記最下段の棚板24の下端を前記シュート面に対し接離可能として、前記粒状物の流路高さを調整可能に規定することもできる。
【0070】
[実施形態5]
図6は本発明の実施形態5における光学式選別機の要部説明図を示す。
本発明の実施形態5における光学式選別機は、シュート3の表面上に上方から粒状物を供給するよう前記シュート3の上方に配設されるロータリーバルブ26を備える。
前記ロータリーバルブ26は、図示しない原料タンクに貯留する粒状物をシュート3に供給する。
【0071】
ここでは、前記流路高さ調整手段として前記ロータリーバルブ26により供給される前記粒状物を前記シュート上に案内する案内板27を用いる。
前記案内板27は、前記シュート面に対し平行な軸を中心に揺動可能に設けられ、前記シュート3の下流側において前記案内板27の下端及び前記シュート3との対向面が前記シュート面に対し接離可能とされ、前記粒状物の流路高さを調整可能に規定する。
【0072】
前記案内板27から前記シュート上に粒状物が供給される位置の上方には、前記シュート上において前記案内板27との間に溜まる粒状物の溜まり状態であって前記粒状物の溜まり量を前記粒状物の溜まり高さで検出する溜まり量検出センサ81が設けられる。
【0073】
前記案内板27は、前記溜まり量検出センサ81により検出される前記粒状物の溜まり量が所定の状態を維持するように駆動制御されて前記粒状物の前記流路高さを調整し、前記シュート上において前記案内板27との間に溜まる前記粒状物を、前記シュートの表面と前記案内板27との間に形成される間隙を通過させて前記シュートを流下させる。
【0074】
ここで、前記案内板27は、前記シュート面に対し平行な軸を中心に揺動可能に設けられることとしたが、前記シュート面に対し直線的に進退可能に設けられることとし、前記案内板27の下端を前記シュート面に対し接離可能として、前記粒状物の流路高さを調整可能に規定することもできる。
【0075】
[実施形態6]
図7は本発明の実施形態6における光学式選別機の要部説明図を示す。
本発明の実施形態6における光学式選別機は、上記実施形態1における光学式選別機の変形例であって、シュート3の表面上に後方から粒状物を供給するよう前記シュート3の上部後方に配設される振動フィーダ21を備える。
【0076】
本発明の実施形態6における光学式選別機は、前記流路高さ調整手段として上記実施形態1と同様のゲート部材を用い、前記ゲート部材が、前記振動フィーダ21から前記シュート上に粒状物が供給される位置の下方であって、前記粒状物が前記シュートを流下する途中位置に設けられている点で、上記実施形態1の光学式選別機と相違する。
【0077】
前記ゲート部材としてのゲート板71は、前記シュート面に対し平行な軸を中心に揺動又は回動可能に設けられ、前記シュート3の下流側において前記ゲート板71の下端及び前記シュート3との対向面が前記シュート面に対し接離可能とされ、前記粒状物の流路高さを調整可能に規定する。
【0078】
前記ゲート板71が設けられる位置であって前記粒状物が前記シュートを流下する途中位置の上方には、前記シュート上において前記ゲート板71との間に溜まる粒状物の溜まり状態であって前記粒状物の溜まり量を前記粒状物の溜まり高さで検出する溜まり量検出センサ81が設けられる。
【0079】
前記ゲート板71は、前記溜まり量検出センサ81により検出される前記粒状物の溜まり量が所定の状態を維持するように駆動制御されて前記粒状物の前記流路高さを調整し、前記シュート上において前記ゲート板71との間に溜まる前記粒状物を、前記シュートの表面と前記ゲート板71との間に形成される間隙を通過させて前記シュートをさらに流下させる。
【0080】
[他の実施形態]
上記本発明の実施形態6における光学式選別機は、上記実施形態1の光学式選別機の変形例であったが、粒状物をシュート3に供給する供給手段の構成に関わらず、前記流路高さ調整手段として上記実施形態1と同様のゲート部材を用い、前記供給手段から前記シュート上に粒状物が供給される位置の下方であって、前記粒状物が前記シュートを流下する途中位置に前記ゲート板71等のゲート部材を設けることができる。
【0081】
即ち、前記供給手段が、シュート3の表面上に前方から粒状物を供給するよう前記シュート3の上部前方に配設される振動フィーダ21、シュート3の表面上に上方から粒状物を供給するよう前記シュート3の上方に配設されるカスケード23、シュート3の表面上に上方から粒状物を供給するよう前記シュート3の上方に配設されるロータリーバルブ26の場合を含め、その他の構成の場合でも、前記供給手段から前記シュート上に粒状物が供給される位置の下方であって、前記粒状物が前記シュートを流下する途中位置に前記ゲート板71等のゲート部材を設けることができる。
【0082】
本発明の実施の形態における光学式選別機は、溜まり量検出センサ81により検出される粒状物の溜まり量が所定の状態を維持するよう、流路高さ調整手段を駆動制御して前記粒状物の流路高さを調整し、シュート上において前記流路高さ調整手段との間に溜まる前記粒状物を、前記シュートの表面と前記流路高さ調整手段との間に形成される間隙を通過させて前記シュートを流下させるので、前記粒状物を前記溜まり量に応じた適切な流量で、かつ、前記シュート面に沿って安定した状態で流下させることができる。
【0083】
本発明の実施の形態における光学式選別機は、前記粒状物の溜まり量が少ない場合には、前記溜まり量が所定の状態を維持するよう、前記流路高さを低く調整するので、前記粒状物が前記間隙を疎ら状に通過して前記シュート面上で跳ねることを防止し、前記粒状物を前記溜まり量に応じた適切な流量で、かつ、前記シュート面に沿って安定した状態で流下させることができる。
【0084】
また、本発明の実施の形態における光学式選別機は、前記粒状物の溜まり量が多い場合には、前記溜まり量が所定の状態を維持するよう、前記流路高さを高く調整するので、運転中における前記シュートからの前記粒状物の溢れ出しを防止する一方、前記粒状物が前記間隙を密の状態で通過して前記粒状物同士が絡み合い、前記粒状物が前記シュート上で跳ねることを防止することができ、前記粒状物を前記溜まり量に応じた適切な流量で、かつ、前記シュート面に沿って安定した状態で流下させることができる。
【0085】
したがって、本発明の実施の形態における光学式選別機によれば、例えば、運転中に振動フィーダ21等の供給手段から供給される粒状物の供給量が変動する場合や、粒状物のロットや種類等を変更する場合など、原料となる粒状物の条件がどのように変化する場合でも、シュート上における粒状物の跳ねを防止し、前記シュート上において前記粒状物を安定して流下させることができるので、選別精度を向上させることができる。
【0086】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、その構成を適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の光学式選別機は、原料となる被選別物の条件が変化する場合でも、シュート面上における被選別物の跳ねを防止し、選別精度を向上させることができるものであり、極めて有用である。
【符号の説明】
【0088】
1 光学式選別機
2 粒状物供給部
21 振動フィーダ(流路高さ調整手段)
23 カスケード
24 最下段の棚板(流路高さ調整手段)
26 ロータリーバルブ
27 案内板(流路高さ調整手段)
3 シュート
4 光学選別部
5 排出ホッパ
71 ゲート板(ゲート部材(流路高さ調整手段))
73 ゲート板(流路高さ調整手段)
81 溜まり量検出センサ(溜まり量検出手段)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7