(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】便座装置および排泄物検知装置
(51)【国際特許分類】
A47K 13/30 20060101AFI20241022BHJP
E03D 9/00 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
A47K13/30 Z
E03D9/00 Z
(21)【出願番号】P 2021048112
(22)【出願日】2021-03-23
【審査請求日】2024-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤野 翔太
(72)【発明者】
【氏名】戸崎 正道
(72)【発明者】
【氏名】木塚 里子
(72)【発明者】
【氏名】酒井 雄太
(72)【発明者】
【氏名】高木 健
(72)【発明者】
【氏名】野村 航希
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-036976(JP,A)
【文献】特開2008-248669(JP,A)
【文献】特開2018-143269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00 - 17/02
E03D 9/00 - 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排泄物を受けるボウル部が形成された便器の上部に載置される便座装置であって、
使用者が着座する便座と、
前記使用者によって排泄される排泄物に向けて前方に光を照射する、1つまたは複数の発光素子が設けられた発光部と、
前記発光部により照射された光に対する前記排泄物からの反射光を受光する受光素子が設けられた受光部と、
前記発光部の前方かつ上方に配置され、前記発光部から前記便座の開口へ向かう光を遮蔽する遮蔽部と、
前記発光部および前記受光部と、遮蔽部との間に設けられ透光性を有する窓と、
を有することを特徴とする便座装置。
【請求項2】
前記遮蔽部は、
前記発光部の中心軸を遮蔽せず、使用者が前記便座に着座した際の使用者の臀部の想定位置である想定臀部位置に向かう発光を遮蔽する
ことを特徴とする請求項1に記載の便座装置。
【請求項3】
前記発光部は、
前記ボウル部の中心よりも後方に設けられ、前記発光部の中心軸を水平より下方に傾けて配置され、
前記受光部は、
前記ボウル部の中心よりも後方に設けられ、前記受光部の中心軸を水平より下方に傾けて配置される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の便座装置。
【請求項4】
前記遮蔽部は、
前記発光部側へ臨む面を水平より下方を向けて配置される
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項5】
前記遮蔽部は、
前記発光部が照射する前記発光部の中心軸が延びる前方から見て左右方向に広がる光を遮蔽しない
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項6】
前記遮蔽部は、
前記発光部からの光が照射される領域の少なくとも一部が黒色である
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項7】
前記便座への使用者の着座を検知する着座センサ、
を有し、
前記遮蔽部は、開閉自在であり、前記着座センサが使用者の着座を検知する期間であって、前記発光部が光を照射する期間および前記受光部が前記反射光を受光する期間に開放状態となる
ことを特徴とする請求項1~
6のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項8】
前記遮蔽部は、
前記便座の前記開口の後端から前方へ70mmから119mmの間、前記便座の左右方向の中心から左右両方に59mmの間、及び前記便座の前後方向の中央の上端部から下方に67mmの平面より上方に照射される前記発光部からの光を遮蔽する
ことを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項9】
排泄物を受けるボウル部が形成された便器に配設される排泄物検知装置であって、
使用者が着座する便座と、
前記使用者によって排泄される排泄物に向けて前方に光を照射する、1つまたは複数の発光素子が設けられた発光部と、
前記発光部により照射された光に対する前記排泄物からの反射光を受光する受光素子が設けられた受光部と、
前記発光部の前方かつ上方に配置され、前記発光部から前記便座の開口へ向かう光を遮蔽する遮蔽部と、
前記発光部および前記受光部と、遮蔽部との間に設けられ透光性を有する窓と、
を有することを特徴とする排泄物検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、便座装置および排泄物検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便器内に排泄された大便(以下、排泄物ともいう)を検知可能なセンサを備えた便座装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上述の従来技術における便座装置に用いられるセンサは、排泄物に対して赤外光を照射可能な発光部と、排泄物からの反射光を受光可能な受光部とを有しており、排泄物に基づく使用者の健康状態に関する生体情報を取得可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術では、使用者が着座をした際、照射した光が人体に反射し、その反射光を受光してしまい、便の性状(便性状)等の検知精度が低下するというという課題があった。
【0006】
開示の実施形態は、人体からの反射光による検知精度の低下を抑制する便座装置および排泄物検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る便座装置は、排泄物を受けるボウル部が形成された便器の上部に載置される便座装置であって、使用者が着座する便座と、前記使用者によって排泄される排泄物に向けて前方に光を照射する、1つまたは複数の発光素子が設けられた発光部と、前記発光部により照射された光に対する前記排泄物からの反射光を受光する受光素子が設けられた受光部と、前記発光部の前方かつ上方に配置され、前記発光部から前記便座の開口へ向かう光を遮蔽する遮蔽部と、を有することを特徴とする。
【0008】
実施形態の一態様に係る便座装置によれば、遮蔽部により発光部から便座の開口へ向かう光を遮蔽する。使用者が便座に着座した場合、使用者の臀部は便座の開口を覆うように位置することとなる。そのため、発光部から開口へ向かう光は便座に座った使用者の臀部に照射されてしまうことがある。人体は反射率が高い色をしている場合が多く、人体に反射した光を受光部が受光してしまうと、排泄物から反射した受光に影響を与え、便性状を正確に把握することが難しくなる。そこで、便座装置は、発光部から便座の開口へ向かう光を遮蔽するように遮蔽部を設けることで、臀部に照射される光を遮ることができる。したがって、便座装置は、人体からの反射光による検知精度の低下を抑制することができる。また、発光部、受光部の前方かつ上方に遮蔽部を設けることにより、排泄物やおしり洗浄の水はねなどの液体が発光部、受光部に付着したり、汚れたりすることを抑制することができる。そのため、メンテナンス性を高めることができる。
【0009】
実施形態の一態様に係る便座装置において、前記遮蔽部は、前記発光部の中心軸を遮蔽せず、使用者が前記便座に着座した際の使用者の臀部の想定位置である想定臀部位置に向かう発光を遮蔽する。
【0010】
実施形態の一態様に係る便座装置によれば、遮蔽部により想定臀部位置に向かう発光を遮蔽する。排泄物の形や色の便性状を把握するため、発光部からの光を排泄物に照射し、排泄物からの反射光を受光する。しかし、発光部からの光は便座に座った使用者の沈み込んだ臀部に照射されてしまうことがある。人体に反射した光を受光部が受光してしまうと、排泄物から反射した受光に影響を与え、便性状を正確に把握することが難しくなる。そこで、便座装置は、発光部から想定臀部位置に向かう光を遮蔽する遮蔽部を設けることで、臀部に照射される光を遮ることができる。また、便座装置は、遮蔽部が発光部の中心軸を遮蔽しないことで排泄物に強い光を照射することができ、排泄物の反射を正確に取得できるため、便性状を正確に把握することができる。したがって、便座装置は、人体からの反射光による検知精度の低下を抑制することができる。
【0011】
実施形態の一態様に係る便座装置において、前記発光部は、前記ボウル部の中心よりも後方に設けられ、前記発光部の中心軸を水平より下方に傾けて配置され、前記受光部は、前記ボウル部の中心よりも後方に設けられ、前記受光部の中心軸を水平より下方に傾けて配置される。
【0012】
実施形態の一態様に係る便座装置によれば、発光部及び受光部を、ボウル部の中心よりも後方に設けることで、発光部及び受光部の前面に臀部の割れ目が位置し、沈み込み(上下方向の臀部位置の長さ)が小さくなり、人体からの反射の影響が小さくすることができる。これにより、便座装置は、遮蔽部で光を大きく遮蔽する必要がなく遮蔽部を短くすることができる。また、便座装置は、発光部と受光部を下方に向けることで、半値角の大半を人体から避けることができ、人体からの反射の影響が小さくすることができる。これにより、便座装置は、遮蔽部で光を大きく遮蔽する必要がなく遮蔽部を短くすることができる。また、便座装置は、遮蔽部を短くすることで、排泄物等の汚れが遮蔽部に付着しにくくすることができる。
【0013】
実施形態の一態様に係る便座装置において、前記遮蔽部は、前記発光部側へ臨む面を水平より下方を向けて配置される。
【0014】
実施形態の一態様に係る便座装置によれば、遮蔽部の長さを短くすることができ、デザイン性や遮蔽部にかかるコストを下げることができる。また、便座装置は、遮蔽部を短くすることで、排泄物等の汚れが遮蔽部に付着しにくくすることができる。
【0015】
実施形態の一態様に係る便座装置において、前記遮蔽部は、前記発光部の中心軸が延びる前方から見て左右方向に広がる光を遮蔽しない。
【0016】
実施形態の一態様に係る便座装置によれば、発光部から検知領域に確実に光を照射することができる。また、便座装置は、排泄物の落下位置が(例えば横方向に)ばらついても、排泄物に光を照射し、排泄物からの反射光を受光することができる。
【0017】
実施形態の一態様に係る便座装置において、前記遮蔽部は、前記発光部からの光が照射される領域の少なくとも一部が黒色である。
【0018】
実施形態の一態様に係る便座装置によれば、遮蔽部からの反射の影響を小さくすることができ、便からの反射光以外の光、すなわちノイズとなる光を受光部で検知することを抑制することができる。これにより、便座装置は、便からの反射データを正確に取得することができ、検知精度の低下を抑制することができる。
【0019】
実施形態の一態様に係る便座装置は、前記発光部および前記受光部と、遮蔽部との間に設けられ透光性を有する窓、を有する。
【0020】
実施形態の一態様に係る便座装置によれば、発光部、受光部に、排泄物やおしり洗浄の水はねなどの液体が付着したり、汚れたりすることをさらに抑制することができるため、メンテナンス性をさらに高めることができる。また、便座装置は、発光部、受光部に、虫等の異物(不要な物体)が入り込まないようにすることができる。
【0021】
実施形態の一態様に係る便座装置は、前記便座への使用者の着座を検知する着座センサ、を有し、前記遮蔽部は、開閉自在であり、前記着座センサが使用者の着座を検知する期間であって、前記発光部が光を照射する期間および前記受光部が前記反射光を受光する期間に開放状態となる。
【0022】
実施形態の一態様に係る便座装置によれば、使用者が着座している間に遮蔽部は開放状態となり、使用者が着座していないときには遮蔽部は閉鎖状態となっているため、使用者が着座している間(データ取得時)以外は受光部、発光部を覆うように配置されているため、立ち小便での汚れや便器洗浄の水はねにより、発光部、受光部に、液体などが付着したり、汚れたりすることを抑制することができる。また、便座装置は、清掃時に受光部、発光部が傷付いたりすることを抑制することができ、メンテナンス性が向上する。また、便座装置は、使用者が着座状態においては遮蔽部を視認できないものの、使用者が遮蔽部を視認できる着座していない状態では閉鎖状態となり受光部、発光部および遮蔽部が目立たないため、常に開放状態となっている場合に比べて、デザイン性の低下を抑制することができる。
【0023】
実施形態の一態様に係る便座装置において、前記遮蔽部は、前記便座の前記開口の後端から前方へ70mmから119mmの間、前記便座の左右方向の中心から左右両方に59mmの間、及び前記便座の前後方向の中央の上端部から下方に67mmの平面より上方に照射される前記発光部からの光を遮蔽する。
【0024】
実施形態の一態様に係る便座装置によれば、使用者の臀部の落ち込みの最下点の位置は、前後方向は便座開口部後端から70mmから119mmの間の位置、左右方向は便座左右中心から左右に59mmの間の位置、上下方向は便座上端部から67mmより上方にあることが想定されるため、その領域に照射される発光を遮蔽すれば使用者の臀部からの反射の可能性を低減させることができる。そのため、便座装置は、便座の前記開口の後端から前方へ70mmから119mmの間、便座の左右方向の中心から左右両方に59mmの間、及び便座の前後方向の中央の上端部から下方に67mmの平面より上方に照射される発光部からの光を遮蔽するように遮蔽部が配置される。これにより、便座装置は、人体からの反射光による検知精度の低下を抑制することができる。
【0025】
実施形態の一態様に係る排泄物を受けるボウル部が形成された便器に配設される排泄物検知装置であって、使用者が着座する便座と、前記使用者によって排泄される排泄物に向けて前方に光を照射する、1つまたは複数の発光素子が設けられた発光部と、前記発光部により照射された光に対する前記排泄物からの反射光を受光する受光素子が設けられた受光部と、前記発光部の前方かつ上方に配置され、前記発光部から前記便座の開口へ向かう光を遮蔽する遮蔽部と、を有することを特徴とする。
【0026】
実施形態の一態様に係る排泄物検知装置によれば、遮蔽部により発光部から便座の開口へ向かう光を遮蔽する。使用者が便座に着座した場合、使用者の臀部は便座の開口を覆うように位置することとなる。そのため、発光部から開口へ向かう光は便座に座った使用者の臀部に照射されてしまうことがある。人体は反射率が高い色をしている場合が多く、人体に反射した光を受光部が受光してしまうと、排泄物から反射した受光に影響を与え、便性状を正確に把握することが難しくなる。そこで、排泄物検知装置は、発光部から便座の開口へ向かう光を遮蔽するように遮蔽部を設けることで、臀部に照射される光を遮ることができる。したがって、排泄物検知装置は、人体からの反射光による検知精度の低下を抑制することができる。また、発光部、受光部の前方かつ上方に遮蔽部を設けることにより、排泄物やおしり洗浄の水はねなどの液体が発光部、受光部に付着したり、汚れたりすることを抑制することができる。そのため、メンテナンス性を高めることができる。
【発明の効果】
【0027】
実施形態の一態様によれば、人体からの反射光による検知精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、実施形態に係るトイレシステムの構成の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る便座装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る便座装置の構成の一部を示す要部斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る便座装置の構成の一部を示す正面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る便座装置の構成の一部を示す要部斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る便座装置の構成の一部を示す要部断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る便座装置の構成の一部を示す要部斜視図である。
【
図8】
図8は、想定臀部位置の導出に用いた便座を示す図である。
【
図9】
図9は、想定臀部位置の導出に用いた臀部測定装置を示す図である。
【
図10】
図10は、想定臀部位置の導出に用いたスキャン方法を示す図である。
【
図11】
図11は、想定臀部位置の導出に用いたデータのイメージを示す図である。
【
図12】
図12は、想定臀部位置の導出のために測定した部位を示す図である。
【
図13】
図13は、想定臀部位置の導出のために測定した部位を示す図である。
【
図14】
図14は、想定臀部位置の導出に用いた測定結果を示す図である。
【
図15】
図15は、導出した想定臀部位置の数値を示す図である。
【
図16】
図16は、導出した想定臀部位置の数値を示す図である。
【
図18】
図18は、便座装置に設けられる窓の一例を示す図である。
【
図19】
図19は、変形例に係る便座装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図21】
図21は、遮蔽部の開閉と検知の関係を示すタイミングチャートの一例を示す図である。
【
図22】
図22は、変形例に係る光学ユニットの一例を示す側面図である。
【
図23】
図23は、変形例に係る光学ユニットの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する便座装置および排泄物検知装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。以下では、トイレルームの使用者による排泄物の情報収集(以下「排泄情報収集」ともいう)に関する処理やその処理を行うための構成について説明するが、最初に前提となるトイレシステムなどの各種構成を説明する。
【0030】
<1.トイレシステムの構成>
まず、実施形態に係るトイレシステムの構成について
図1を参照して説明する。
図1は、実施形態に係るトイレシステムの構成の一例を示す斜視図である。
【0031】
図1に示すように、トイレシステム1は、便座装置2と、操作装置10とを備える。
図1に示すように、トイレルームRには、床面Fに、洋式大便器(以下「便器」と記載する)7が設置される。なお、以下では、床面FからトイレルームRの空間内に臨む向きを上と記載する。便座装置2は、便器7の上部に設けられる。
【0032】
便器7は、例えば、陶器製である。便器7には、ボウル部8が形成される。ボウル部8は、下方に凹んだ形状であり、使用者の排泄物を受ける部位である。なお、便器7は、図示のような床置き式に限らず、トイレシステム1を適用可能であれば、どのような形式でもよく、壁掛け式等のような形式であってもよい。便器7には、ボウル部8が臨む開口の端部の全周にわたってリム部9が設けられる。トイレルームRには、例えば、便器7付近に洗浄水を貯留する洗浄水タンクが設置されてもよいし、洗浄水タンクが設置されない、いわゆるタンクレス式でもよい。
【0033】
例えば、トイレルームRに設けられた洗浄用の洗浄操作部(図示省略)が使用者により操作されると、便器7のボウル部8への洗浄水の供給による便器洗浄が実施される。洗浄操作部は操作レバーや、操作装置10に表示された便器洗浄オブジェクトに対するタッチ操作であってもよい。なお、洗浄操作部は、操作レバーなどのような使用者の手動によって便器洗浄を実施させるものに限らず、着座センサのような使用者を検知するセンサの人体検知によって便器洗浄を実施させるものでもよい。
【0034】
便座装置2は、便器7の上部に取り付けられ、本体部3と、便蓋4と、便座5と、洗浄ノズル6とを備える。便座装置2は、排泄物を受けるボウル部8が形成された便器7の上部に載置される。便座装置2は、洗浄ノズル6が洗浄水を噴射する前にボウル部8に進出するように便器7の上部に載置される。なお、便座装置2は、便器7に対して着脱可能に取り付けられてもよいし、便器7と一体化するように取り付けられてもよい。
【0035】
図1に示すように、便座5は、中央に開口50を有する環状に形成され、リム部9に沿って、便器7の開口に重なる位置に配置される。便座5は、使用者が着座する。便座5は、着座した使用者の臀部を支持する着座部として機能する。また、
図1に示すように、便蓋4及び便座5は、それぞれの一端部が本体部3に軸支され、本体部3の軸支部分を中心として回動可能(開閉可能)に取り付けられる。なお、便蓋4は、便座装置2に必要に応じて取り付けられ、便座装置2は、便蓋4を有しなくてもよい。
【0036】
洗浄ノズル6は、洗浄用の水を吐水するためのノズルである。洗浄ノズル6は、洗浄水を噴射可能である。洗浄ノズル6は、使用者に向けて洗浄水を噴射可能である。洗浄ノズル6は、局部洗浄用のノズルである。洗浄ノズル6は、電動モータなどの駆動源(
図2中のノズルモータ61等)の駆動により、本体部3の筐体である本体カバー30に対して進退可能に構成される。また、洗浄ノズル6は、図示しない水道管などの水源に接続される。そして、洗浄ノズル6は、
図1に示すように、本体部3の筐体である本体カバー30に対して進出した位置(以下「進出位置」ともいう)にあるときに、水源からの水を使用者の身体へ噴出させて局部を洗浄する。
【0037】
図1では、洗浄ノズル6が進出位置にある状態を示す。なお、洗浄ノズル6は、便器7(ボウル部8等)内の洗浄用にも共用されてもよい。洗浄ノズル6は、使用者の局部を洗浄する局部洗浄モードと、便器7内に水を撒く便器洗浄モードとを切り替え可能に用いられてもよい。例えば、洗浄ノズル6は、便座装置2の制御部34(
図2参照)による制御に応じて、局部洗浄モードと便器洗浄モードとを切り替え可能に用いられてもよい。
【0038】
操作装置10は、トイレルームR内に設けられる。操作装置10は、使用者が操作可能な位置に設けられる。操作装置10は、使用者が便座5に着座時において、操作可能な位置に設けられる。
図1に示す例において、操作装置10は、便座5に着座した使用者から見て右側方の壁面Wに配置される。なお、操作装置10は、便座5に着座した使用者が利用可能であれば、壁面に限らず、種々の態様により配置されてもよい。例えば、操作装置10は、便座装置2と一体に設けられてもよい。
【0039】
操作装置10は、便座装置2と所定のネットワークを介して、有線または無線により通信可能に接続される。例えば、便座装置2と操作装置10とは、情報の送受信が可能であれば、どのような接続であってもよく、有線により通信可能に接続されてもよいし、無線により通信可能に接続されてもよい。
【0040】
操作装置10は、例えばタッチパネル機能により表示面(例えば表示画面11)を介して使用者からの各種操作を受け付ける。また、操作装置10は、スイッチやボタンを備え、スイッチやボタン等により各種操作を受け付けてもよい。表示画面11は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって実現されるタブレット端末等の表示画面であり、各種情報を表示するための表示装置である。つまり、操作装置10は、表示画面11により使用者の入力を受け付け、使用者への出力も行う。表示画面11は、各種情報を表示する表示装置である。
【0041】
操作装置10は、便座装置2により実行中の制御を止めるためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、便座装置2による局部洗浄の実行を開始するためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、使用者による洗浄ノズル6への指示を受け付ける。操作装置10は、便座装置2に所定の音を出力させるためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、便座装置2の洗浄ノズル6(
図1参照)を除菌水で殺菌する殺菌処理を行うためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、便座装置2による局部洗浄時の吐水の勢いを調整するためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、便座装置2が出力する音の音量を調整するためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、トイレの利用に関する情報を操作装置10に表示したり音声出力したりする際の言語を選択するためのユーザの操作を受け付ける。
【0042】
例えば、操作装置10は、上述したユーザの操作を受け付けるオブジェクトを表示画面11に表示し、表示したオブジェクトに対するユーザの接触に応じて、各種処理を実行してもよい。例えば、操作装置10は、上述したユーザの操作を受け付けるスイッチやボタン等を有し、スイッチやボタン等に対するユーザの接触に応じて、各種処理を実行してもよい。なお、上記は一例であり、操作装置10は、各種処理を実行するユーザによる操作を受け付けてもよい。
【0043】
トイレシステム1は、後述する各種の構成や処理により、使用者の排泄物(大便)の形状や大きさや質や色等の各種の性状を検知する。トイレシステム1は、光学的な方式により使用者の排便を検知する。すなわち、トイレシステム1は、光学的手段で排泄物(大便)の情報を検知可能なトイレシステムである。トイレシステム1は、測定した結果を基に、使用者のスマートフォン等の端末装置に情報提供を行ってもよい。
【0044】
<2.便座装置の機能構成>
次に、便座装置2の機能構成について
図2を参照して説明する。
図2は、実施形態に係る便座装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、便座装置2は、人体検知センサ32と、着座検知センサ33と、制御部34と、電磁弁71と、ノズルモータ61と、洗浄ノズル6と、光学ユニット100とを備える。なお、
図2では、
図1で説明した便座装置2の構成の一部(本体部3や便座5や便器7等)についての図示を省略する。
【0045】
例えば、人体検知センサ32や着座検知センサ33や制御部34は便座装置2の本体部3に設けられる。なお、図示を省略するが、便座装置2は、操作装置10と通信する通信部を有する。例えば、通信部は、通信回路等によって実現される。そして、通信部は、所定のネットワークと有線または無線で接続され、操作装置10等の情報処理装置との間で情報の送受信を行う。また、本体部3には、制御部34外に記憶部を有してもよい。この場合、便座装置2は、制御部34から記憶部にデータを送信し、データを記憶部に格納してもよい。
【0046】
人体検知センサ32は、人体を検知する機能を有する。例えば、人体検知センサ32は、赤外線信号を用いた焦電センサ等により実現される。例えば、人体検知センサ32は、μ(マイクロ)波センサ等により実現されてもよい。なお、上記は一例であり、人体検知センサ32は、上記に限らず、種々の手段により人体を検知してもよい。例えば、人体検知センサ32は、トイレルームR(
図1参照)内に入室した人(使用者など)を検知する。人体検知センサ32は、検知信号を制御部34へ出力する。
【0047】
着座検知センサ33は、便座装置2への人の着座を検知する機能を有する。着座検知センサ33は、使用者が便座5に着座したことを検知する。着座検知センサ33は、便座5に対する使用者による着座を検知可能である。着座検知センサ33は、使用者による便座5からの離座を検知する離座検知センサとしても機能する。着座検知センサ33は、便座5に対する使用者の着座状態を検知する。
【0048】
例えば、着座検知センサ33は、荷重センサにより使用者が便座5に着座したことを検知する。例えば、着座検知センサ33は、赤外線投受光式の測距センサであり、人(使用者)が便座5に着座する直前において便座5の付近に存在する人体や、便座5に着座した使用者を検知してもよい。なお、上記は一例であり、着座検知センサ33は、上記に限らず、種々の手段により便座装置2への人の着座を検知してもよい。着座検知センサ33は、着座検知信号を制御部34へ出力する。
【0049】
制御部34は、例えば各種構成や処理を制御する制御装置であってもよい。制御部34は、ノズルモータ61や電磁弁71や光学ユニット100を制御する。制御部34は、操作装置10から送信された信号に基づいて、ノズルモータ61や電磁弁71や光学ユニット100を制御する。制御部34は、操作装置10から送信された局部洗浄に関する制御指示の信号に基づいて、ノズルモータ61を制御する。制御部34は、洗浄ノズル6を進退させるためにノズルモータ61を制御する。制御部34は、電磁弁71の開閉を制御する。制御部34は、発光部120の点灯や消灯を制御するための制御情報を光学ユニット100に送信する。
【0050】
制御部34は、受光部130の電子シャッタの機能を制御するための制御情報を光学ユニット100に送信する。なお、受光部130の電子シャッタは、いわゆるレンズシャッタのような機械的なシャッタとは異なり、受光素子132(撮像素子)を電子的に制御して露光を読み出すシャッタ方式である。すなわち、受光部130の電子シャッタは、いわゆる電子式シャッタや電子制御式シャッタである。制御部34は、有線により、ノズルモータ61や電磁弁71や光学ユニット100に制御情報を送信する。なお、制御部34は、無線により、ノズルモータ61や電磁弁71や光学ユニット100に制御情報を送信してもよい。
【0051】
制御部34は、光学ユニット100に発光及び受光を行わせる。制御部34は、光学ユニット100を制御して、発光部120に光を照射させ、受光部130により受光を行わせる。制御部34は、着座検知センサ33によって使用者による便座5への着座が検知されている期間において、光学ユニット100に発光及び受光を行わせる。
【0052】
制御部34は、発光部120による光の照射を制御する。制御部34は、発光素子121への通電、及び受光素子132に対する電圧の印加を制御する。制御部34は、受光素子132に対して、電子シャッタを開く制御指示を送り、発光素子121に通電することで、大便からの反射光を受光可能とする受光制御を行う。制御部34は、一の受光制御の実行開始後、一の受光制御の次の受光制御を実行するまでの間隔を、制御処理が可能な範囲内で任意の時間(例えば0.2ミリ秒以上等)に制御する。なお、上記は一例に過ぎず、光学ユニット100が所望の発光及び受光が可能であれば、制御部34による制御態様はどのような態様であってもよい。
【0053】
また、制御部34は、
図1に示すような便蓋4や便座5を制御する。制御部34は、操作装置10から送信された信号に基づいて、便蓋4や便座5を制御する。制御部34は、操作装置10から送信された便蓋開閉に関する制御指示の信号に基づいて、便蓋4を制御する。制御部34は、操作装置10から送信された着座部開閉に関する制御指示の信号に基づいて、便座5を制御する。制御部34は、有線により、便蓋4や便座5に制御情報を送信する。なお、制御部34は、無線により、便蓋4や便座5に制御情報を送信してもよい。
【0054】
制御部34は、人体検知センサ32による使用者の入室が検知されたか否かを判定する。制御部34は、人体検知センサ32によるトイレルームRへの使用者の入室が検知されたか否かを判定する。制御部34は、着座検知センサ33による使用者の着座が検知されたか否かを判定する。制御部34は、着座検知センサ33による便座5への使用者の着座が検知されたか否かを判定する。制御部34は、上述した制御に関する演算を実行する演算部や記憶部等の各種の構成を有する。例えば、制御部34は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のプロセッサや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路等の種々の手段により実現される。
【0055】
ここで、制御部34の構成の一例について説明する。制御部34は、ADConverterや演算処理装置やROM(Read Only Memory)や第1のメモリを有する。
【0056】
ADConverterは、いわゆるA/Dコンバータ(アナログ-デジタル変換回路)であり、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換の機能を有する。ADConverterは、アナログ-デジタル変換回路であってもよい。例えば、ADConverterは、受光部130が受光(検知)したアナログデータをデジタルデータに変換する。ADConverterは、アナログデータのうち、所定の範囲のデータを削除したアナログデータをデジタルデータに変換してもよい。例えば、ADConverterは、予め設定された範囲(例えば中央の所定の範囲)の画素に対応するデータだけを残し、残りの範囲の画素に対応するデータを削除してもよい。なお、受光素子132に排泄物検知用に画素数等が設定されたラインセンサ等の専用のセンサが用いられる場合、ADConverterは、所定の範囲のデータの削除を行うことなく、アナログデータ全体をデジタルデータに変換する。
【0057】
演算処理装置は、CPUやマイコン等の種々の手段により実現され、各種の処理を実行する。例えば、演算処理装置は、ADConverterにより変換されたデジタルデータを用いた各種処理を実行する。演算処理装置は、ROMに記憶されたプログラム(例えば便性状の判定プログラム等の検知処理に関連する各種プログラム)により各種処理を実行する。例えば、演算処理装置は、ROMに記憶されたプログラムが演算処理装置内の一時的に使用される記憶領域等を作業領域として実行されることにより実現される。
【0058】
演算処理装置は、データを解析する。演算処理装置は、第1のメモリに一時的に記憶されたデータを解析する。演算処理装置は、第1のメモリへの受光部130が受光したデータの転送、第1のメモリに記憶されたデータの解析及び削除を実行する。
【0059】
ROMは、例えば便性状の判定プログラム等の検知処理に関連する各種プログラムを記憶する。
【0060】
第1のメモリは、各種データを一時的に格納する内部メモリ(記憶装置)である。第1のメモリは、受光部130が受光したデータを記憶する。第1のメモリは、ADConverterにより変換されたデジタルデータを格納する。例えば、第1のメモリは、SRAM(Static Random Access Memory)である。なお、第1のメモリは、SRAMに限らず、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の他のRAM(Random Access Memory)やPROM(Programmable Read Only Memory)等の高速処理が可能なROMが用いられる。
【0061】
第1のメモリは、演算処理装置による制御に応じて、データを格納する。例えば、第1のメモリには、96キロバイトや512キロバイト等の記憶容量の記憶装置が用いられる。第1のメモリに一時的に記憶される受光部130が受光したデータには、受光部130により検知された生データ(アナログデータ)や、A/D変換されることによって加工されたデータ(デジタルデータ)が含まれる。
【0062】
なお、上述した制御部34の構成は一例に過ぎず、所望の処理が可能な構成であれば、制御部34はどのような構成であってもよい。また、便座装置2は、第2のメモリを有する。便座装置2は、制御部34により取得されたデータを第2のメモリに格納する。
【0063】
例えば、第2のメモリは、各種データを格納する外部メモリ(記憶装置)である。第2のメモリは、制御部34から取得したデジタルデータを格納する。例えば、第2のメモリは、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等が用いられる。第2のメモリは、SD(Secure Digital)カードメモリや、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の種々の記憶装置(メモリ)であってもよい。
【0064】
第2のメモリは、第1のメモリに記憶されたデータを転送可能である。第2のメモリは、第1のメモリよりも記憶領域が大きい。例えば、第2のメモリには、4ギガバイト等、第1のメモリと比べて記憶容量が大きい記憶装置が用いられる。第2のメモリに記憶されたデータは、外部装置に送信されてもよい。トイレシステム1は、便座装置2の通信装置等により、第2のメモリに記憶されたデータを無線により、使用者が利用する端末装置等の外部装置に送信してもよい。
【0065】
なお、第2のメモリは、便座装置2内や便座装置2外等のいずれに設けられてもよい。例えば、第2のメモリは、便座装置2内のMicroSDであってもよいし、便座装置2外にあり、便座装置2とWi-Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)等により通信する外部メモリであってもよい。この場合、演算処理装置は、第1のメモリに一時的に記憶されているデータを、第1のメモリよりも記憶領域が大きい外部メモリである第2のメモリとの通信により、第2のメモリに転送する。なお、第2のメモリと便座装置2との通信は、Wi-Fi(登録商標)に限らず、種々の通信規格、例えばZigBee(登録商標)やBluetooth(登録商標)等による通信であってもよい。
【0066】
電磁弁71は、流体の流れを電磁的方法により制御する弁(バルブ)の機能を有する。電磁弁71は、例えば給水管からの水道水の供給および停止を切り替える。電磁弁71は、制御部34からの指示に応じて開閉の制御を実行する。
【0067】
ノズルモータ61は、洗浄ノズル6を進退駆動する駆動源(モータ)である。ノズルモータ61は、洗浄ノズル6を本体部3の本体カバー30に対して進退させる制御を実行する。ノズルモータ61は、制御部34からの指示に応じて洗浄ノズル6を進退させる制御を実行する。
【0068】
光学ユニット100は、発光部120と、受光部130とを備える。光学ユニット100は、排泄物検知装置(排泄物測定装置)として機能する。なお、光学ユニット100のみに限らず、排泄物検知装置は、光学ユニット100と便座5とを有する構成であってもよい。
【0069】
発光部120は、光を照射する。発光部120は、光を照射する発光素子121を有する。発光部120は、使用者によって排泄される排泄物に対して光を照射する。発光部120は、使用者によって排泄される大便に対して光を照射する。発光部120は、落下中の大便に対して光を照射する。
【0070】
発光部120は、光を照射する発光素子121が設けられる。発光部120は、前方に光を照射する発光素子121が設けられる。発光部120は、使用者によって排泄される排泄物に向けて前方に光を照射する発光素子121が設けられる。例えば、発光素子121は、LED(Light Emitting Diode)である。なお、発光素子121は、LEDに限らず、種々の素子が用いられてもよい。
【0071】
発光部120は、前方に光を照射する。発光部120は、使用者によって排泄される大便に向けて前方に光を照射する。発光部120は、複数の発光素子121を備える。発光部120は、光を照射する発光素子121を複数備える。発光部120は、使用者によって排泄される落下中の大便に対して光を照射する。発光部120は、異なる波長の光を照射するための複数の発光素子121を備える。なお、上記は一例に過ぎず、発光部120の発光素子121については、所望の発光が可能であれば、その数及び発光する波長については任意の構成が採用可能である。
【0072】
受光部130は、光を受光する。受光部130は、レンズ131や光を受光する受光素子132を有する。受光部130は、発光部120により照射された光に対する排泄物からの反射光を受光する。受光部130は、発光部120により照射された光に対する大便からの反射光を受光する。受光部130は、発光部120により照射された光に対する落下中の大便からの反射光を受光する。
【0073】
受光部130は、光を受光する受光素子132が設けられる。例えば、受光素子132は、ラインセンサである。例えば、受光素子132は、CCD(Charge Coupled Device)センサ、またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサが一列に並べられたラインセンサである。なお、受光素子132は、ラインセンサ(一次元のイメージセンサ)に限らず、エリアセンサ(二次元のイメージセンサ)等の各種のセンサが用いられてもよい。
【0074】
受光部130は、受光素子132の前方に光を集光するためのレンズ131を備える。受光素子132の周囲には、受光素子132の前方以外からの光の入射を抑制するためのカバーであるケースが設けられている。受光素子132の周囲には、前方に配置されたレンズ131を通過する光以外が受光素子132に入射することを抑制するためのカバーであるケースが設けられている。受光素子132の周囲には、受光素子132の側部方向からの光の入射を抑制するためのカバーであるケースが設けられている。
【0075】
ケースは、受光素子132の前方以外からの光を遮断したり、減衰したりする入射抑制カバーとして機能する。ケースは、例えば黒等の光を透過しにくい色に着色される。なお、ケースには、所望の形状に形成可能であれば、樹脂等、種々の材料が用いられてもよい。受光部130は、発光部120により照射された光に対する大便からの反射光を受光する。受光部130は、発光部120により照射された光に対する落下中の大便からの反射光を受光する。受光部130は、発光部120により照射された光に対する大便からの反射光を受光する。
【0076】
<3.便座装置の構成>
次に、便座装置2の構成、主に光学ユニット100による発光とその光のうち便座5の開口50へ向かう光を遮蔽する遮蔽部310との関係に関する構成について
図3~
図5を参照して説明する。
図3は、実施形態に係る便座装置の構成の一部を示す要部斜視図である。
図3中に矢印で示す上方、下方、前方、及び後方の各々は、便座5に着座した使用者から見た方向を示す。
図4は、実施形態に係る便座装置の構成の一部を示す正面図である。例えば、
図4は、便座5の開口50を通り、前後方向に直交する平面による正面断面図である。
図4中に矢印で示す左右方向は、発光部120の中心軸が延びる前方から見た左右方向を示す。
図3及び
図4では、遮蔽部310による便座5の開口50へ向かう光の遮蔽の概要を示す。
【0077】
また、
図5は、実施形態に係る便座装置の構成の一部を示す要部斜視図である。
図5中に矢印で示す上方、下方、前方、後方、及び左右方向の各々は、
図3または
図4に示す方向と同様である。
図4は、便座5の下側から視点で便座5の一部のみを示す図である。なお、
図3及び
図5では、使用者が便座5に着座した際の使用者の臀部の想定位置(「想定臀部位置」ともいう)を想定臀部位置EGにより仮想的に示す。
【0078】
図3~
図5に示すように、遮蔽部310は、発光部120から便座5の開口50へ向かう光を遮蔽するように本体カバー30の開口31の上端部に沿って配置される。遮蔽部310は、透過性がない(低い)材料により形成される。例えば、遮蔽部310は、本体カバー30と同じ材料により形成される。
【0079】
照射領域ERは、発光素子121からの光が照射される領域を示す。光軸BL1は、発光素子121(
図6で符号を付す発光素子121)の中心軸を示す。また、受光領域LRは、受光素子132が光を受光する領域を示す。中心軸CA1は、受光素子132の中心軸を示す。例えば、中心軸CA1は、受光領域LRの中心を通る。なお、
図4及び
図5においては、線の重なりを避けるため、光軸BL1は
図4のみに図示し、中心軸CA1は
図5のみに図示する。
図4に示すように、遮蔽部310が発光素子121の上方に位置することにより、発光素子121から便座5の開口50へ向かう光、すなわち上方へ向かう光が遮蔽される。例えば、遮蔽部310は、発光素子121の上方において、照射領域ERに便座5の開口50の範囲が含まれないようにする位置に配置される。これにより、便座装置2は、発光素子121から便座5の開口50へ光が照射されることを抑制することができる。また、発光素子121の中心軸(例えば、光軸BL1)は、発光素子から光が照射される方向に延びる軸であり、受光素子132の中心軸(例えば、中心軸CA1)は、受光素子が大便からの反射光を受光する方向に延びる軸である。
【0080】
図3及び
図5に示すように、遮蔽部110は、想定臀部位置EGに向かう発光素子121からの光を遮蔽する。例えば、遮蔽部110は、便座5の開口50の後端から前方へ70mmから119mmの間、便座5の左右方向の中心から左右両方に59mmの間、及び便座5の前後方向の中央の上端部から下方に67mmの平面より上方に照射される発光部120からの光を遮蔽する。
【0081】
これにより、便座装置2は、想定臀部位置EGに発光素子121からの光が照射されることを抑制することができる。なお、便座5の開口50の後端から前方へ70mmから119mmの間、便座5の左右方向の中心から左右両方に59mmの間、及び便座5の前後方向の中央の上端部から下方に67mmの数値が想定臀部位置EGの位置に対応するが、この数値を導出した実験については後述する。
【0082】
ここで、
図6及び
図7を用いて、発光部120や遮蔽部310の配置等について説明する。
図6は、実施形態に係る便座装置の構成の一部を示す要部断面図である。
図7は、実施形態に係る便座装置の構成の一部を示す要部斜視図である。具体的には、
図6及び
図7は、発光素子121からの光の遮蔽部310による遮蔽を示すための図である。なお、
図6及び
図7においては、線の重なりを避けるため、発光素子121の中心軸を示す光軸BL1は
図6のみに図示し、受光素子132の中心軸を示す中心軸CA1は
図7のみに図示する。
【0083】
遮蔽部310は、発光部120の中心軸を遮蔽せず、発光部120から便座5の開口50に向かう発光を遮蔽する。遮蔽部310は、
図6で符号を付す発光素子121の中心軸である光軸BL1を遮蔽せず、
図6で符号を付す発光素子121から便座5の開口50に向かう発光を遮蔽する。なお、発光部120と遮蔽部310との関係については、
図6で符号を付す発光素子121以外の発光素子121についても同様であるので、詳細な説明は省略する。例えば、遮蔽部310は、各発光素子121の中心軸を遮蔽せず、各発光素子121から便座5の開口50に向かう発光を遮蔽する位置に配置される。これにより、遮蔽部310は、各発光素子121の中心軸を遮蔽せず、各発光素子121から便座5の開口50に向かう発光を遮蔽する。遮蔽部310は、想定臀部位置EGに向かう光を遮蔽する。例えば、発光部120の中心軸とは、発光部120が有する各発光素子121の中心軸であってもよい。
【0084】
図3~
図7に示すように、発光部120の各発光素子121は、ボウル部8の中心よりも後方に設けられ、発光部120の中心軸(光軸BL1等)を水平より下方に傾けて配置される。なお、ここでいう水平とは、便座5の着座面に対して平行なことであってもよい。この水平に沿う(平行)な方向を「水平方向」ともいう。また、受光部130は、ボウル部8の中心よりも後方に設けられ、受光部130の中心軸CA1を水平より下方に傾けて配置される。例えば、受光部130の中心軸CA1とは、各受光部130の受光領域LRの中心を通る軸線である。
【0085】
また、遮蔽部310は、発光部120側へ臨む面(
図17の遮蔽面3101に対応)を水平より下方を向けて配置される。また、遮蔽部310は、発光部120が照射する発光部120の中心軸が延びる前方から見て左右方向に広がる光を遮蔽しない。ここでいう左右方向とは、例えば、発光部120の中心軸(例えば光軸BL1)が延びる方向から見て、中心軸の左右方向(横方向)である。上記のように、遮蔽部310は、発光部120よりも上側に位置し、水平方向に延びる板状であるため、発光部120が照射する発光部120の中心軸が延びる前方から見て左右方向に広がる光を遮蔽しない。
【0086】
<4.想定臀部位置>
ここで、想定臀部位置の数値の導出について説明する。まず、
図8~
図13を用いて想定臀部位置の数値の導出するための臀部の測定態様(実験態様)について説明する。
図8は、想定臀部位置の導出に用いた便座を示す図である。
図8に示す便座TSは、開口OPのサイズが、前後方向に最大300mm、横方向(左右方向)に最大200mmである。開口OPのサイズが大きいサイズであり、サイズが大きくなる程、開口OP内への臀部の落ち込みが大きくなると想定される。
【0087】
図9は、想定臀部位置の導出に用いた臀部測定装置を示す図である。
図9に示す臀部測定装置ETには、上面の開口に便座TSの開口OPを重ねて便座TSが配置される。なお、臀部測定装置ETのサイズは、高さ380mm、横幅450mm、奥行き770mmであり、便座TSを上面に配置可能である。また、臀部測定装置ETの底部に、スキャン装置SDが配置される。スキャン装置SDが便座TSに着座した使用者(被験者)の臀部をスキャンし、使用者の臀部の測定を行う。
【0088】
図10は、想定臀部位置の導出に用いたスキャン方法を示す図である。スキャン装置SDは、使用者が便座TSに座った状態で12往復のスキャンを行い、使用者の臀部の測定を行う。
図10中のX方向が横方向(左右方向)に対応し、
図10中のY方向が前後方向に対応する。なお、
図10中のX方向及びY方向に直交する方向が上下方向に対応する。また、
図10中に示す(1)~(4)はスキャンの方法(順序)を示すものである。
【0089】
また、
図11は、想定臀部位置の導出に用いたデータのイメージを示す図である。
図10は、便座TSに使用者が着座した状態での実際の臀部のイメージを模式的に示すものである。スキャンでの走行距離は、横方向(左右方向)に250mmであり、使用者の臀部及び便座TSが位置する230mmがデータの記録範囲となる。臀部測定装置ETが位置する横方向の両端10mmは記録なしとなる。例えば、スキャン装置SDは、0mm(例えば便座TSの底面の位置)を測定開始位置としてデータの記録を開始する。開口OPのサイズは横方向(左右方向)に200mmであるのに対し、データの記録範囲は230mmであるので、開口OPに位置する使用者の臀部を適切に測定することができる。
【0090】
図12及び
図13は、想定臀部位置の導出のために測定した部位を示す図である。
図12及び
図13には測定する部位を示すために想定臀部位置EGを図示するが、想定臀部位置の導出のために測定対象A~Cの3つの数値を測定する。
【0091】
図12に示すように、測定対象Aは臀部最下点の上下寸法である。測定対象Aは便座TSの着座面(上面)から臀部最下点までの上下方向の長さの数値である。また、
図12に示すように、測定対象Bは便座開口部後端と臀部最下点との前後寸法である。測定対象Bは便座TSの開口OPの後端から臀部最下点までの前後方向の長さの数値である。また、
図13に示すように、測定対象Cは臀部最下点の左右寸法である。測定対象Cは開口OPの横方向の中央から一方の臀部最下点までの横方向の長さの数値である。
【0092】
ここから、上述した条件を基に行った測定及びその測定に基づいて導出した想定臀部位置の数値を
図14~
図16を用いて説明する。まず、
図14を用いて、想定臀部位置の導出に用いた測定結果(実験結果)を示す。
図14は、想定臀部位置の導出に用いた測定結果を示す図である。
【0093】
想定臀部位置の導出に用いた測定では、
図14に示すように、被験者(1)~(5)の5人の被験者を対象として便座TSに着座した状態での臀部を測定した。
図14中の「身長」の項目は、各被験者の身長を示し、
図14中の「体重」の項目は、各被験者の体重を示す。また、
図14中の「A」の項目は、各被験者の測定対象Aの測定値を示し、
図14中の「B」の項目は、各被験者の測定対象Bの測定値を示し、
図14中の「C」の項目は、各被験者の測定対象Cの測定値を示す。
【0094】
図14中の測定結果のうち、測定対象Aについては、被験者(2)の測定値「67mm」が最大値となる。また、
図14中の測定結果のうち、測定対象Bについては、被験者(2)の測定値「119mm」が最大値となる。
図14中の測定結果のうち、測定対象Bについては、被験者(3)の測定値「70mm」が最小値となる。
図14中の測定結果のうち、測定対象Cについては、被験者(4)の測定値「59mm」が最大値となる。
【0095】
上記の測定結果を基に想定臀部位置EGの数値を
図15及び
図16のように導出する。
図15及び
図16は、導出した想定臀部位置の数値を示す図である。想定臀部位置EGの測定対象Aに対応する部位については、測定値の最大値である「67mm」に設定される。また、想定臀部位置EGの測定対象Bに対応する部位の前後のばらつき範囲については、測定値の最大値である「119mm」と測定値の最小値である「70mm」との間に設定される。また、想定臀部位置EGの測定対象Cに対応する部位については、測定値の最大値である「59mm」に設定される。これにより、想定臀部位置EGは、便座の前後方向の中央の上端部から下方に67mmが上下方向の臀部の最下点になる。また、想定臀部位置EGは、便座の開口(開口部)の後端から前方へ70mmから119mmの間が臀部の最下点の前後のばらつき範囲となる。また、想定臀部位置EGは、便座の左右方向の中心から左右両方に59mmが横方向の臀部の最下点の位置になる。
【0096】
上記のような測定により、使用者の臀部の落ち込みの最下点の位置は、前後方向は便座開口部後端から70mmから119mmの間の位置、左右方向は便座左右中心から左右に59mmの間の位置、上下方向は便座上端部から67mmの平面より上方にあることが想定される。したがって、その領域(想定臀部位置EG)に照射される発光を遮蔽すれば使用者の臀部からの反射の可能性を低減させることができる。そこで、便座装置2は、上記測定により導出した想定臀部位置EGへの発光部120からの光を遮蔽するように遮蔽部310を配置する。これにより、便座装置は、人体からの反射光による検知精度の低下を抑制することができる。
【0097】
<5.変形例>
なお、便座装置2の構成は上記に限られない。この点についての各種の変形例を、以下図を用いて説明する。なお、以下の変形例においても、遮蔽部310が発光部120から便座5の開口へ向かう光を遮蔽するように遮蔽部310が配置される。
【0098】
<5-1.遮蔽部>
例えば、遮蔽部310は所望の色に着色されてもよい。この点について、
図17を用いて説明する。
図17は、遮蔽面への着色の一例を示す図である。遮蔽部310は、発光部120側へ臨む面である遮蔽面3101を黒色に形成される。例えば、遮蔽面3101は、黒色の塗料により着色されてもよい。これにより、便座装置2は、発光部120が照射した光が、遮蔽部310にあたっても、反射しにくいため、受光部130が遮蔽部310からの反射光を受光する影響を小さくすることができ、便からの反射光以外の光、すなわちノイズとなる光を受光部で検知することを抑制することができる。
【0099】
<5-2.窓>
例えば、発光部120および受光部130と、遮蔽部310との間には窓が設けられてもよい。
図18は、便座装置に設けられる窓の一例を示す図である。
図18の例では、発光部120および受光部130と、遮蔽部310との間に透光性を有する窓311が配置される。窓311は、開口31に沿って設けられる。窓311は、発光部120が照射する光を透過し、受光部130が受光する光を透過すれば、どのような材料により形成されてもよい。なお、ここでいう光には、可視光のみに限らず、赤外線といった不可視光も含まれる。これにより、便座装置2は、光学ユニット100に、排泄物や液体などが付着したり、汚れたりすることを抑制することができるとともに、虫等の異物(不要な物体)が入り込まないようにすることができる。
【0100】
<5-3.遮蔽部が可動する便座装置>
上述した例では、便座装置2では位置や向きが変動しない遮蔽部310が用いられる場合を示したが、遮蔽部の位置や向きが変動してもよい。この点について、以下、
図19及び
図20を用いて説明する。なお、便座装置2と同様の構成については適宜説明を省略する。
【0101】
<5-3-1.便座装置の機能構成>
まず、変形例に係る便座装置2Aの機能構成について
図19を参照して説明する。
図19は、変形例に係る便座装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図19に示すように、便座装置2Aは、人体検知センサ32と、着座検知センサ33と、制御部34Aと、電磁弁71と、ノズルモータ61と、洗浄ノズル6と、光学ユニット100Aとを備える。便座装置2Aは、遮蔽部310に代えて、遮蔽部110とアクチュエータ111を有する点で便座装置2と相違する。
【0102】
制御部34は、光学ユニット100Aを制御する。制御部34は、遮蔽部110を開閉させるために光学ユニット100Aを制御する。制御部34は、遮蔽部110を開放状態にするための制御情報を光学ユニット100Aに送信する。制御部34は、遮蔽部110を閉鎖状態にするための制御情報を光学ユニット100Aに送信する。制御部34は、発光部120の点灯や消灯を制御するための制御情報を光学ユニット100Aに送信する。制御部34は、使用者の着座が検知されている間、遮蔽部110を開放状態に制御する。
【0103】
制御部34は、遮蔽部110の開閉動作を制御する。制御部34は、便器7への載置時において遮蔽部110を上方向に開放するように制御する。制御部34は、着座検知センサ33により使用者の着座が検知されると遮蔽部110を開放し、着座検知センサ33により使用者の離座が検知されると遮蔽部110を閉鎖する。
【0104】
制御部34は、操作装置10に対する使用者による洗浄ノズル6を動作させるための指示に連動して遮蔽部110を閉鎖してもよい。制御部34は、ボウル部8に進出した洗浄ノズル6からの反射光を受光部130が受光したことに基づいて、遮蔽部110を閉鎖してもよい。
【0105】
制御部34は、遮蔽部110を開放する制御時において、発光部120によって照射される光のうち、便座5の開口50へ向かう光を遮蔽する位置まで、遮蔽部110を開放する。制御部34は、便座5の開口50の後端から前方へ70mmから119mmの間、便座5の左右方向の中心から左右両方に59mmの間、及び便座5の前後方向の中央の上端部から下方に67mmの平面より上方に照射される発光部120からの光を遮蔽する位置に、遮蔽部110を開放する。制御部34は、便座装置2Aの各構成の配置を基に上記の条件を満たすように予め設定された位置まで遮蔽部110を開放させる。制御部34は、遮蔽部110及び便座5の開口50の位置や大きさ等を基に上記の条件を満たすように予め設定された位置まで遮蔽部110を開放させる。制御部34は、予め設定された角度まで遮蔽部110を回転させ、遮蔽部110を開放させる。
【0106】
光学ユニット100Aは、遮蔽部110と、アクチュエータ111と、発光部120と、受光部130とを備える。
【0107】
例えば、遮蔽部110は、便座装置2の遮蔽部310と同様の材料により形成される板状の部材(
図20参照)である。遮蔽部110は、本体部3の開口31の位置に配置される。例えば、遮蔽部110は、本体カバー30の開口31の上端に隣接する一端部側を軸として、本体カバー30に対して開閉動作を行うことにより、開口31を塞ぐ位置(閉鎖位置)と、遮蔽部310と同様の位置(開放位置)との間で開閉する。すなわち、遮蔽部110は、開口31の上端に隣接する一端部側を軸として、上下方向に開閉動作を行うことで、開口31を閉じた状態(以下「閉鎖状態」ともいう)と、開口31を開放し、かつ発光部120から便座5の開口50へ向かう光を遮蔽する状態(以下「開放状態」ともいう)との間で遷移する。遮蔽部110は、開閉自在であり、着座検知センサ33が使用者の着座を検知する期間であって、発光部120が光を照射する期間および受光部130が反射光を受光する期間に開放状態となる。
【0108】
遮蔽部110は、発光部120や受光部130の前方に位置することが可能であり、蓋として機能する。遮蔽部110は、発光部120の発光面が臨む側(前方)に位置することが可能である。遮蔽部110は、受光部130の受光面が臨む側(前方)に位置することが可能である。例えば、遮蔽部110は、開放状態においては、便座装置2の遮蔽部310と同様の位置に位置する。これにより、遮蔽部110は、開放状態において、便座5の開口50へ向かう光を遮蔽することができる。また、遮蔽部110は、開放状態において、便座5の開口50の後端から前方へ70mmから119mmの間、便座5の左右方向の中心から左右両方に59mmの間、及び便座5の前後方向の中央の上端部から下方に67mmの平面より上方に照射される発光部120からの光を遮蔽することができる。
【0109】
遮蔽部110は、アクチュエータ111により開放状態と閉鎖状態とに遷移可能であり、発光部120や受光部130の前方に位置したり、発光部120や受光部130を露出させたりする。遮蔽部110は、使用者が着座してない間等、発光や受光が必要ないタイミングでは閉鎖状態になっている。これにより、遮蔽部110は、汚れにより、受光部130による検知精度の低下を抑制することができる。
【0110】
アクチュエータ111は、遮蔽部110を開放状態や閉鎖状態にする駆動源(モータ)である。アクチュエータ111は、制御部34からの指示に応じて遮蔽部110を開放状態にしたり、閉鎖状態にしたりする制御を実行する。アクチュエータ111は、発光や受光が必要ない場合は遮蔽部110を閉鎖状態にする。
【0111】
アクチュエータ111は、遮蔽部110の開放状態において、発光部120から便座5の開口50へ向かう光を遮蔽する位置に遮蔽部110を位置固定する。例えば、アクチュエータ111は、遮蔽部110の開放状態において、便座5の開口50の後端から前方へ70mmから119mmの間、便座5の左右方向の中心から左右両方に59mmの間、及び便座5の前後方向の中央の上端部から下方に67mmの平面より上方に照射される発光部120からの光を遮蔽する位置に遮蔽部110を位置固定する。アクチュエータ111は、発光部120、遮蔽部110及び便座5の開口50の位置や大きさ等を基に予め設定された位置に遮蔽部110を位置固定する。
【0112】
<5-3-2.遮蔽部の開閉>
ここで、光学ユニット100Aの遮蔽部110の開閉について、
図20を用いて説明する。
図20は、遮蔽部の開閉動作の一例を示す図である。具体的には、
図20は、遮蔽部110が開放状態と閉鎖状態との間を遷移する動作の一例を示す図である。遮蔽部110は、アクチュエータ111の駆動により、開放状態と閉鎖状態との間を遷移する。なお、
図20においては、閉鎖状態の遮蔽部110を遮蔽部110-1とし、開放状態の遮蔽部110を遮蔽部110-2として説明するが、特に区別して説明を行う場合以外は、単に「遮蔽部110」とする。また、
図20では、遮蔽部110の開閉を示すため、本体カバー30の一部のみを図示し、洗浄ノズル6用の開口31bを覆うノズル用蓋60等の図示も省略する。
図20に示すように、本体カバー30には、光学ユニット100A用の開口31と洗浄ノズル6用の開口31bの2つの開口が設けられる。光学ユニット100A用の開口31は、遮蔽部110で覆われることが可能である。また、洗浄ノズル6用の開口31bは、ノズル用蓋60で覆われることが可能である。例えば、開口31bは便器7の後方側の中央部に設けられ、開口31は開口31bに隣接する位置に設けられる。
【0113】
閉鎖状態の遮蔽部110を示す遮蔽部110-1は、発光部120や受光部130の前方に位置する。遮蔽部110-1は、本体カバー30と略面一の状態となり、発光部120や受光部130の前方を覆う。このように、筐体である本体カバー30は、発光部120や受光部130よりも前方に位置する。
【0114】
遮蔽部110は、トイレルームRの使用者の便座5への着座前や、洗浄ノズル6の動作時や、排便に関する検知が終了した場合等において、遮蔽部110-1の位置に位置し、閉鎖状態になる。これにより、遮蔽部110は、発光部120や受光部130の露出を抑制し、発光部120や受光部130がトイレルームRに入室時の使用者に視認可能となったり、発光部120や受光部130に水がかかったりすること等を抑制する。
【0115】
遮蔽部110は、制御部34によるアクチュエータ111の制御により、遮蔽部110-1の位置に位置し、閉鎖状態になる。そして、遮蔽部110は、制御部34によるアクチュエータ111の制御により、閉鎖状態から開放状態に遷移する。例えば、遮蔽部110は、トイレルームRの使用者の便座5への着座の検知に応じて、遮蔽部110は、閉鎖状態の遮蔽部110-1から開放状態の遮蔽部110-2に遷移する。
【0116】
遮蔽部110は、本体カバー30の開口31の上端に隣接する一端部側を軸として、本体カバー30に対して開閉動作を行う。遮蔽部110は、一端部側を軸として回転動作をすることにより、一端部に対向する他端部を下から上へ位置を移動させる。このように、
図20の例では、遮蔽部110は、本体カバー30に対して回転動作をすることにより、閉鎖状態の遮蔽部110-1から開放状態の遮蔽部110-2に遷移する。このように、遮蔽部110の他端部が上方へ移動することにより、発光部120の発光素子121や受光部130のレンズ131等が本体カバー30の開口31から露出する。
【0117】
また、遮蔽部110は、制御部34によるアクチュエータ111の制御により、開放状態から閉鎖状態に遷移する。なお、開放状態から閉鎖状態への遷移は、上述した閉鎖状態から開放状態への遷移と逆の動作であり詳細な説明を省略するが、遮蔽部110は、一端部側を軸として回転動作をすることにより、他端部を上から下へ位置を移動させる。例えば、遮蔽部110は、トイレルームRの使用者の便座5への離座後や、洗浄ノズル6の動作時や、排便に関する検知が終了した場合等において、遮蔽部110は、開放状態の遮蔽部110-2から閉鎖状態の遮蔽部110-1に遷移する。
【0118】
<5-3-3.制御フロー例>
図21を用いて、遮蔽部の開閉と検知の関係に基づく制御フロー例について説明する。
図21は、遮蔽部の開閉と検知の関係を示すタイミングチャートの一例を示す図である。
【0119】
図21中の波形LN1は、着座センサ(着座検知センサ33)による使用者の便座5への着座検知の検知結果を示す。また、
図21中の波形LN2は、LED(発光部120)の点灯及びセンサ(受光部130)の受光を示す。また、
図21中の波形LN3は、遮蔽部(遮蔽部110)の開閉を示す。
【0120】
図21の例では、波形LN1に示すように、時間t1において、着座センサにより使用者の便座5への着座が検知される。例えば、時間t1において、着座検知センサ33の検知結果が、便座5への着座が検知されていないことを示す「OFF」から、便座5への着座が検知されたことを示す「ON」へ変更される。なお、使用者の便座5への着座が検知される時間t1前では、LEDの点灯及びセンサの受光は行われておらず、遮蔽部が閉鎖状態である。
【0121】
着座センサによる使用者の便座5への着座の検知に応じて、波形LN3に示すように、遮蔽部が閉鎖状態から開放状態へ遷移する。例えば、遮蔽部110は、
図20に示す遮蔽部110-2の状態になる。
【0122】
また、着座センサによる使用者の便座5への着座の検知に応じて、波形LN2に示すように、LEDの点灯及びセンサの受光を開始する。例えば、使用者の便座5への着座の検知に応じて、発光部120が発光を行い、受光部130が受光を行う。例えば、使用者の便座5への着座が検知されている間、LEDの点灯及びセンサの受光を行い、遮蔽部が開放状態を維持する。
【0123】
その後、波形LN1に示すように、時間t4において、着座センサにより使用者の便座5からの離座が検知される。例えば、時間t4において、着座検知センサ33の検知結果が、便座5への着座が検知されていることを示す「ON」から、便座5への着座が検知されていないことを示す「OFF」へ変更される。
【0124】
着座センサによる使用者の便座5への離座の検知に応じて、波形LN3に示すように、遮蔽部が開放状態から閉鎖状態へ遷移する。例えば、遮蔽部110は、
図20に示す遮蔽部110-1の状態になる。また、着座センサによる使用者の便座5への離座の検知に応じて、波形LN2に示すように、LEDの点灯及びセンサの受光を停止する。なお、
図21では、時間t1から時間t2までの間は便の落下を待機する状態の期間TM1であり、時間t2から時間t3までの間は排便が検知されデータ取得を行う期間TM2であり、時間t3から時間t4までの間は便の落下を待機する状態の期間TM3である。
【0125】
<5-4.光学ユニット>
発光部や受光部を含む光学ユニットの構成は、光学ユニット100に限らず、様々な構成であってもよい。この点について、
図22及び
図23を用いて説明する。
図22は、変形例に係る光学ユニットの一例を示す側面図である。また、
図23は、変形例に係る光学ユニットの一例を示す斜視図である。なお、光学ユニット100Aにおいて、光学ユニット100と同様の点については適宜説明を省略する。光学ユニット100Aは、発光部120Aを有する点で、光学ユニット100と相違する。
【0126】
図23に示すように、光学ユニット100Aの発光部120Aは、発光素子121Aの前にシリンドリカルレンズ122を設置し、垂直方向の光を集光する。なお、光学ユニット100、100Aは一例に過ぎず、所望の発光を行うことができれば、光学ユニットはどのような構成であってもよい。
【0127】
なお、上述してきた各実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0128】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0129】
R トイレルーム
1 トイレシステム
2 便座装置
3 本体部
30 本体カバー
31 開口
310 遮蔽部
32 人体検知センサ
33 着座検知センサ
34 制御部(制御装置)
4 便蓋
5 便座
6 洗浄ノズル
60 ノズル用蓋
7 洋式大便器(便器)
71 電磁弁
8 ボウル部
9 リム部
10 操作装置
11 表示画面
100 光学ユニット
120 発光部
121 発光素子
130 受光部
131 レンズ
132 受光素子