(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】車両運行装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/127 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
G08G1/127 A
(21)【出願番号】P 2021049189
(22)【出願日】2021-03-23
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長田 祐
(72)【発明者】
【氏名】蔡 晟尉
(72)【発明者】
【氏名】浜田 あかね
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-126327(JP,A)
【文献】特開2020-158006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人かつ自律的に走行可能であり、予め設定された区間でユーザを乗せて運行する車両と、前記ユーザが所持する端末とから、所定の情報を取得するように構成されるプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
前記端末から乗車予約に関する情報を取得した場合、予約区間に車掌が設定されていない区間が含まれているか否かを判定し、
予約区間に車掌が設定されていない区間が含まれていると判定した場合、該当区間における車掌の担当を要請する旨の情報を前記端末に出力し、
前記端末から車掌の担当を承諾する旨の情報を取得した場合、前記ユーザを前記該当区間における車掌として記憶部に登録
し、
前記端末から車掌の担当を承諾する旨の情報を取得した場合、前記予約区間を含む運行ルートに、車掌無しの無人の車両を手配し、
前記端末から車掌の担当を承諾しない旨の情報を取得した場合、前記予約区間を含む運行ルートに、車掌有りの有人の車両を手配する、
車両運行装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両運行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者の運転操作を要することなく、車両を自動運転によって走行させる自動運転システムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動運転可能なバス等を、車掌無しで無人で運行する場合においても、乗客の安全を確保しながら運行することができる技術が求められていた。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、自動運転可能なバス等を、車掌無しで無人で運行する場合においても、乗客の安全を確保しながら運行することができる車両運行装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る車両運行装置は、無人かつ自律的に走行可能であり、予め設定された区間でユーザを乗せて運行する車両と、前記ユーザが所持する端末とから、所定の情報を取得するように構成されるプロセッサを備え、前記プロセッサが、前記端末から乗車予約に関する情報を取得した場合、予約区間に車掌が設定されていない区間が含まれているか否かを判定し、予約区間に車掌が設定されていない区間が含まれていると判定した場合、該当区間における車掌の担当を要請する旨の情報を前記端末に出力し、前記端末から車掌の担当を承諾する旨の情報を取得した場合、前記ユーザを前記該当区間における車掌として記憶部に登録する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、自動運転可能なバス等を、車掌無しで無人で運行する場合においても、乗客の安全を確保しながら運行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る車両運行システムの全体構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る車両運行システムの各構成要素の詳細を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る車両運行システムが実行する車両運行方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態に係る車両運行システムが実行する車両運行方法において、ユーザに報奨を付与する手順に一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態に係る車両運行装置について、図面を参照しながら説明する。なお、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
(車両運行システム)
実施形態に係る車両運行装置を含む車両運行システムについて、
図1および
図2を参照しながら説明する。車両運行システム1は、
図1に示すように、センタサーバ10と、車両20と、端末30と、を有している。実施形態に係る車両運行装置は、車両運行システム1のうちのセンタサーバ10の機能によって実現される。また、センタサーバ10、車両20および端末30は、いずれも通信機能を備えており、ネットワークNWを通じて相互に通信可能に構成されている。このネットワークNWは、例えばインターネット回線網、携帯電話回線網等から構成される。
【0011】
(センタサーバ)
センタサーバ10は、車両20および端末30から所定の情報を取得し、当該情報に基づいて車両20の運行を制御および管理するためのものである。このセンタサーバ10は、例えばワークステーションやパソコン等の汎用コンピュータによって実現される。
【0012】
センタサーバ10は、
図2に示すように、制御部11と、通信部12と、記憶部13と、を備えている。制御部11は、具体的には、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等からなるプロセッサと、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等からなるメモリ(主記憶部)と、を備えている。
【0013】
制御部11は、記憶部13に格納されたプログラムを主記憶部の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等を制御することにより、所定の目的に合致した機能を実現する。制御部11は、記憶部13に格納されたプログラムの実行を通じて、乗車予約受付部111、予約判定部112、車両手配部113および運行記録判定部114として機能する。
【0014】
乗車予約受付部111は、ユーザが所持する端末30から、ネットワークNWを通じて車両20の乗車予約を受け付ける。乗車予約受付部111は、具体的には、端末30から乗車予約に関する情報を取得し、当該情報を予約情報132として記憶部13に格納する。この予約情報132には、例えば乗車予約を行ったユーザに関する情報(予約者情報)、予約した区間に関する情報、予約した日時に関する情報、予約した区間を運行予定の車両20に関する情報(例えば車両番号等)等が含まれる。
【0015】
予約判定部112は、ユーザが乗車を予約した車両20の運行ルートに、車掌が設定されていない区間が含まれているか否かを判定する。ここで、車両運行システム1では、基本的には車両20が無人、すなわち車掌無しで運行される。そのため、車両20の運行中は、例えばバス会社や派遣会社等から派遣される車掌に代わって、車両20の乗客であるユーザに、代理の車掌(以下、「代理車掌」という)の役割を担当させる。なお、「車掌の役割」としては、例えば走行中の乗客の立ち歩きを注意したり、各停留所における乗客の乗降を手助けしたりすること等が挙げられる。
【0016】
代理車掌は、例えば予め設定された車両20の複数の運行ルートごと、あるいは各運行ルートの特定の区間ごとに設定される。「代理車掌が運行ルートごとに設定される」とは、例えば車両20の運行ルートが三本ある場合、運行ルートA全体の代理車掌をユーザXが担い、運行ルートB全体の代理車掌をユーザYが担い、運行ルートC全体の代理車掌をユーザZが担うことを示している。また、「代理車掌が運行ルートの特定の区間ごとに設定される」とは、例えば運行ルートAの区間aの代理車掌をユーザXが担い、運行ルートAの区間bの代理車掌をユーザYが担い、運行ルートAの区間cの代理車掌をユーザZが担うことを示している。本実施形態では、代理車掌が運行ルートの特定の区間ごとに設定される(複数の運行ルートに一人以上の代理車掌が設定される)ことを想定して説明を行う。
【0017】
予約判定部112では、具体的には、記憶部13に格納された予約情報132および代理車掌情報133を参照し、ユーザが乗車を予約した車両20の運行ルートに、車掌が設定されていない区間が含まれているか否かを判定する。なお、代理車掌情報133には、例えば運行ルートごとに設定された代理車掌の情報、あるいは運行ルートの特定の区間ごとに設定された代理車掌の情報が格納されている。
【0018】
予約判定部112は、ユーザが乗車を予約した車両20の運行ルートに、車掌が設定されていない区間が含まれていると判定した場合、予約情報132および代理車掌情報133を参照し、ユーザが乗車を予約した区間(以下、「予約区間」という)に、代理車掌が設定されていない区間が含まれているか否か(代理車掌が未設定の区間を予約したか否か)を判定する。
【0019】
車両手配部113は、ユーザの端末30から取得した情報に基づいて、車両20の手配を行う。車両手配部113は、具体的には、予約判定部112において、ユーザの予約区間に代理車掌が設定されていない区間が含まれていると判定された場合、該当区間における車掌の担当を要請する旨の情報(以下、「車掌要請情報」)を、ユーザの端末30に出力する。この「車掌要請情報」には、車掌を要請する区間に関する情報、車掌を要請する日時に関する情報、車掌を要請する車両20に関する情報(例えば車両番号等)等が含まれる。
【0020】
車両手配部113は、ユーザの端末30から、車掌の担当を承諾する旨の情報(以下、「車掌承諾情報」という)を取得した場合、当該ユーザを該当区間における代理車掌として、代理車掌情報133に登録(すなわち代理車掌情報133に更新)する。そして、車両手配部113は、該当区間を含む運行ルートに、無人(車掌無し)の車両20を手配する。すなわち、車両手配部113は、該当区間を含む運行ルートに、無人(車掌無し)の車両20が手配されるように、予約情報132を更新する。
【0021】
一方、車両手配部113は、ユーザの端末30から、車掌の担当を承諾しない旨の情報(以下、「車掌不承諾情報」という)を取得した場合、あるいは予め設定された期間内に車掌承諾情報および車掌不承諾情報のいずれも取得しなかった場合、該当区間を含む運行ルートに、有人(車掌有り)の車両20を手配する。すなわち、車両手配部113は、該当区間を含む運行ルートに、有人(車掌有り)の車両20が手配されるように、予約情報132を更新する。なお、ここでの「車掌」とは、バス会社や派遣会社等から派遣される車掌のことを示している。
【0022】
運行記録判定部114は、ユーザによる代理車掌の運行記録に基づいて、当該ユーザに対して報奨を付与する。運行記録判定部114は、具体的には、車両20で代理車掌を担当したユーザの端末30から、代理車掌の運行記録を取得する。なお、「代理車掌の運行記録」は、ユーザがいつどの区間で代理車掌を担当したかに関する情報であり、端末30の記憶部33に、運行記録情報331として格納されている。
【0023】
運行記録判定部114は、端末30から取得した代理車掌の運行記録に問題がないか、すなわちユーザが代行車掌の役割を適切に果たしたか否かを判定する。ユーザが代行車掌の役割を適切に果たしたか否かは、種々の方法により判定することができる。
【0024】
運行記録判定部114は、例えば車両20内を遠隔で監視している遠隔監視者(遠隔監視装置)から取得した情報に基づいて、ユーザが代行車掌の役割を適切に果たしたか否かを判定することができる。この遠隔監視者は、例えば車両20内に設けられたカメラ24の画像(映像)を通じて、車両20内を遠隔かつリアルタイムで監視しており、代理車掌を担当しているユーザを目視等で確認した上で、当該ユーザが代行車掌の役割を適切に果たしたかどうかを示す評価チャート等を作成する。そして、運行記録判定部114は、遠隔監視者から取得したこの評価チャート等に基づいて、代理車掌の運行記録に問題がないかを判定する。
【0025】
また、運行記録判定部114は、例えば車両20内の状況を解析する解析装置から取得した情報に基づいて、ユーザが代行車掌の役割を適切に果たしたか否かを判定することができる。この解析装置は、例えば車両20内に設けられたカメラ24の画像(映像)や、車両20内に設けられたセンサのセンサデータ等に基づいて、代行車掌と担当しているユーザの動きを解析し、その解析結果に基づいて、当該ユーザが代行車掌の役割を適切に果たしたかどうかを示す評価チャート等を作成する。そして、運行記録判定部114は、解析装置から取得したこの評価チャート等に基づいて、代理車掌の運行記録に問題がないかを判定する。
【0026】
運行記録判定部114は、端末30から取得した代理車掌の運行記録に問題がない、すなわちユーザが代行車掌の役割を適切に果たしたと判定した場合、ユーザの端末30に対して報奨を付与する。この「報奨」としては、例えば車両20を乗車する際に乗車料金に充当できたり、あるいは予め指定された店舗等で利用できたりする電子マネー、ポイント等が挙げられる。運行記録判定部114は、ユーザに付与する報奨に関する情報を、ユーザ情報131として記憶部13に格納する。
【0027】
通信部12は、例えばLAN(Local Area Network)インターフェースボード、無線通信のための無線通信回路等から構成される。通信部12は、公衆通信網であるインターネット等のネットワークNWに接続されている。そして、通信部12は、当該ネットワークNWに接続することにより、車両20および端末30との間で通信を行う。
【0028】
記憶部13は、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)およびリムーバブルメディア等の記録媒体から構成される。リムーバブルメディアとしては、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリ、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)のようなディスク記録媒体が挙げられる。記憶部13には、オペレーティングシステム(Operating System:OS)、各種プログラム、各種テーブル、各種データベース等が格納可能である。
【0029】
記憶部13には、ユーザ情報131と、予約情報132と、代理車掌情報133と、が格納されている。ユーザ情報131は、車両20を利用するユーザに関する情報である。このユーザ情報131には、例えばユーザの氏名、住所、電話番号、ユーザID等のユーザを特定するための情報、ユーザに付与した報奨に関する情報等が含まれる。
【0030】
予約情報132は、ユーザが行った車両20の乗車予約に関する情報である。この予約情報132には、例えば乗車予約を行ったユーザに関する情報(予約者情報)、予約した区間に関する情報、予約した日時に関する情報、予約した区間を運行予定の車両20に関する情報(例えば車両番号等)等が含まれる。
【0031】
代理車掌情報133は、車両20で過去または将来の代理車掌に関する情報である。代理車掌情報133には、例えば車両20の運行ルートごとに設定された代理車掌の情報、あるいは運行ルートの特定の区間ごとに設定された代理車掌の情報が格納されている。
【0032】
(車両)
車両20は、自律走行(自動走行)が可能な移動体である。車両20は、無人かつ自律的に走行可能であり、予め設定された区間でユーザを乗せて運行する。車両20は、
図2に示すように、制御部21と、通信部22と、記憶部23と、カメラ24と、センサ群25と、を備えている。制御部21、通信部22および記憶部23は、ハードウェアとしては制御部11、通信部12および記憶部13と同様である。
【0033】
通信部22は、ネットワークNWを介した無線通信により、センタサーバ10との間で通信を行う。記憶部23には、例えばカメラ24で撮影された画像等が、必要に応じて格納される。
【0034】
カメラ24は、例えばCCD(Charge Coupled Device)またはCIS(CMOS Image Sensor)等の撮像素子を内蔵する撮像装置である。このカメラ24は、車内に複数配置されており、例えば例えば車両20の入口付近、車両20の出口付近、車両20の座席付近等に配置されている。カメラ24は、撮影した車内画像を、ネットワークNWを経由して、遠隔監視者または解析装置に送信する。
【0035】
センサ群25は、自動運転を実現するためのセンサであり、例えば3D-LiDAR、ミリ波センサ、赤外線センサ、加速度センサ、GPSセンサ、車速センサ等が挙げられる。
【0036】
(端末)
端末30は、車両20の乗車予約および運行記録の作成を行うためのものである。端末30は、例えばユーザが所有するスマートフォン、携帯電話、タブレット端末、ウェアラブルコンピュータ等によって実現される。
【0037】
端末30は、
図2に示すように、制御部31と、通信部32と、記憶部33と、操作・表示部34と、を備えている。制御部31、通信部32および記憶部33は、ハードウェアとしては制御部11、通信部12および記憶部13と同様である。制御部31は、記憶部33に格納されたプログラムの実行を通じて、乗車予約部311および運行記録作成部312として機能する。
【0038】
乗車予約部311は、ユーザによる操作・表示部34の操作に基づいて、車両20の乗車予約を行う。乗車予約部311は、具体的には、操作・表示部34に乗車予約画面を表示させる。そして、乗車予約部311は、乗車予約画面におけるユーザの入力内容に基づいて乗車予約に関する情報を作成し、作成した情報をセンタサーバ10に出力する。この「乗車予約に関する情報」には、例えば乗車予約を行うユーザに関する情報(予約者情報)、予約する区間に関する情報、予約する日時に関する情報等が含まれる。
【0039】
運行記録作成部312は、ユーザによる操作・表示部34の操作に基づいて、代理車掌の運行記録を作成する。運行記録作成部312は、具体的には、ユーザによる代理車掌の役割が終了したタイミングで、、操作・表示部34に運行記録作成画面を表示させる。そして、運行記録作成部312は、運行記録作成画面におけるユーザの入力内容に基づいて代理車掌の運行記録を作成し、運行記録情報331として記憶部33に格納する。
【0040】
通信部32は、ネットワークNWを介した無線通信により、センタサーバ10との間で通信を行う。記憶部33には、運行記録情報331が格納されている。運行記録情報331には、例えば代理車掌を担当したユーザに関する情報、代理車掌を担当した区間に関する情報、代理車掌を担当した日時に関する情報、代理車掌を担当した区間を運行した車両20に関する情報(例えば車両番号等)等が含まれる。また、記憶部33には、ユーザが車両20の乗車予約を行うためのアプリ(乗車予約アプリ)等が、必要に応じて格納される。
【0041】
操作・表示部34は、例えばタッチパネルディスプレイ等により構成されており、ユーザの手指やペン等による操作を受け付ける入力機能と、制御部31の制御に基づいて各種情報を表示する表示機能と、を有している。操作・表示部34は、制御部31の制御に基づいて、端末30にインストールされた乗車予約アプリの画面、運行記録作成画面等を表示する。
【0042】
(車両運行方法)
実施形態に係る車両運行システム1が実行する車両運行方法の処理手順の一例について、
図3を参照しながら説明する。同図では、センタサーバ10における処理を基準に説明する。
【0043】
まず、乗車予約受付部111は、ユーザの端末30から乗車予約に関する情報を取得することにより、車両20の乗車予約を受け付ける(ステップS1)。続いて、予約判定部112は、予約情報132および代理車掌情報133を参照し、ユーザが乗車を予約した車両20の運行ルートに、代理車掌が設定されていない区間が含まれているか否かを判定する(ステップS2)。
【0044】
ユーザが乗車を予約した車両20の運行ルートに、代理車掌が設定されていない区間が含まれていると判定した場合(ステップS2でYes)、予約判定部112は、予約情報132および代理車掌情報133を参照し、ユーザが、代理車掌が未設定の区間を予約したか否かを判定する(ステップS3)。なお、ステップS2において、ユーザが乗車を予約した車両20の運行ルートに、代理車掌が設定されていない区間が含まれていないと判定した場合(ステップS2でNo)、予約判定部112は本処理を完了する。
【0045】
ユーザが、代理車掌が未設定の区間を予約したと判定した場合(ステップS3でYes)、車両手配部113は、車掌要請情報をユーザの端末30に出力することにより、代理車掌を担ってもらえるか否かをユーザの端末30に問い合わせる(ステップS4)。なお、ステップS3において、ユーザが乗車を予約した車両20の運行ルートに、ユーザが、代理車掌が未設定の区間を予約していないと判定した場合(ステップS3でNo)、車両手配部113は本処理を完了する。
【0046】
続いて、車両手配部113は、ユーザの端末30から承諾の返答があるか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5において、車両手配部113は、端末30から車掌承諾情報を取得した場合に、承諾の返答があると判定する。また、車両手配部113は、端末30から車掌不承諾情報を取得した場合、あるいは予め設定された期間内に車掌承諾情報および車掌不承諾情報のいずれも取得しなかった場合に、承諾の返答がないと判定する。
【0047】
ユーザの端末30から承諾の返答があると判定した場合(ステップS5でYes)、車両手配部113は、当該運行ルートに無人(車掌無し)の車両20が手配されるように、予約情報132を更新し(ステップS6)、本処理を完了する。一方、ユーザの端末30から承諾の返答がないと判定した場合(ステップS5でNo)、車両手配部113は、当該運行ルートに有人(車掌有り)の車両20が手配されるように、予約情報132を更新し(ステップS7)、本処理を完了する。
【0048】
(報奨付与方法)
実施形態に係る車両運行システム1が実行する車両運行方法において、ユーザに報奨を付与する手順に一例について、
図4を参照しながら説明する。同図では、センタサーバ10における処理を基準に説明する。
【0049】
まず運行記録判定部114は、車両20で代理車掌を担当したユーザの端末30から、代理車掌の運行記録を取得する(ステップS11)。続いて、運行記録判定部114は、端末30から取得した代理車掌の運行記録に問題がないか、すなわちユーザが代行車掌の役割を適切に果たしたか否かを判定する(ステップS12)。
【0050】
代理車掌の運行記録に問題がないと判定した場合(ステップS12でYes)、運行記録判定部114は、ユーザの端末30に対して報奨を付与し(ステップS13)、本処理を完了する。ステップS13において、運行記録判定部114は、具体的には、ユーザに付与する報奨に関する情報を、ユーザ情報131として記憶部13に格納する。なお、ステップS12において、代理車掌の運行記録に問題があると判定した場合(ステップS12でNo)、運行記録判定部114は、本処理を完了する。
【0051】
以上説明したように、実施形態に係る車両運行装置によれば、車両20の乗客に車掌の役割を担わせることができるため、自動運転可能なバス等を、車掌無しで無人で運行する場合においても、乗客の安全を確保しながら運行することができる。
【0052】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、以上のように表わしかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 車両運行システム
10 センタサーバ
11 制御部
111 乗車予約受付部
112 予約判定部
113 車両手配部
114 運行記録判定部
12 通信部
13 記憶部
131 ユーザ情報
132 予約情報
133 代理車掌情報
20 車両
21 制御部
22 通信部
23 記憶部
24 カメラ
25 センサ群
30 端末
31 制御部
311 乗車予約部
312 運行記録作成部
32 通信部
33 記憶部
331 運行記録情報
34 操作・表示部
NW ネットワーク