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特許7574707情報処理装置及び情報処理方法、プログラム、並びに流量計システム及び流量計システムの情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法、プログラム、並びに流量計システム及び流量計システムの情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/048 20130101AFI20241022BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20241022BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G06F3/048
G06T7/70 A
G06F3/01 560
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021051770
(22)【出願日】2021-03-25
(65)【公開番号】P2022149558
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2023-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100188307
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】230128026
【弁護士】
【氏名又は名称】駒木 寛隆
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 浩樹
【審査官】酒井 保
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/126281(WO,A1)
【文献】特開2013-072854(JP,A)
【文献】特開2006-041750(JP,A)
【文献】実開平05-048482(JP,U)
【文献】特開2005-244689(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0074784(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/048
G01F 1/66
G06T 7/70
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波信号を送受信する第1及び第2の検出器と、前記第1及び第2の検出器において検出された超音波信号に基づき流体の流量を測定する変換器とを備えた超音波流量計の、前記第2の検出器の位置が調整されている間に前記第1の検出器から送信された超音波信号の前記第2の検出器における受信強度を取得し、
前記第2の検出器の位置が調整されている間に前記第2の検出器の周辺を撮像して得られた動画像を取得し、
前記動画像を解析して前記第2の検出器の位置の変化を検出し、
前記第2の検出器の位置が一定の位置範囲で変化している間における前記第2の検出器の位置と前記受信強度とを対応付けて、前記位置範囲における前記第2の検出器の位置と前記受信強度との対応関係を取得し、
前記位置範囲における前記第2の検出器の位置と前記受信強度との対応関係を示す情報をユーザに通知する、
制御部を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記受信強度と前記第2の検出器の位置との関係を示すグラフを表示部に表示させる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2の検出器の位置が調整されている間に前記受信強度が最も大きくなった前記第2の検出器の位置を前記グラフにおいて示す、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2の検出器の変位に応じて、音声、振動、及びLEDランプの点灯の少なくともいずれかにより、前記受信強度を前記ユーザに通知する、請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
カメラを備えたゴーグル型端末と通信可能であり、
前記制御部は、前記第2の検出器の位置が調整されている間に前記受信強度が最も大きくなった前記第2の検出器の位置を示す画像を、前記カメラが撮像した画像に重畳して前記ゴーグル型端末に表示させる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置の情報処理方法であって、
制御部が、
超音波信号を送受信する第1及び第2の検出器と、前記第1及び第2の検出器において検出された超音波信号に基づき流体の流量を測定する変換器とを備えた超音波流量計の、前記第2の検出器の位置が調整されている間に前記第1の検出器から送信された超音波信号の前記第2の検出器における受信強度を取得し、
前記第2の検出器の位置が調整されている間に前記第2の検出器の周辺を撮像して得られた動画像を取得し、
前記動画像を解析して前記第2の検出器の位置の変化を検出し、
前記第2の検出器の位置が一定の位置範囲で変化している間における前記第2の検出器の位置と前記受信強度とを対応付けて、前記位置範囲における前記第2の検出器の位置と前記受信強度との対応関係を取得し、
前記位置範囲における前記第2の検出器の位置と前記受信強度との対応関係を示す情報をユーザに通知する、
情報処理装置の情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータを請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置として動作させるプログラム。
【請求項8】
超音波信号を送受信する第1及び第2の検出器と、前記第1及び第2の検出器において検出された超音波信号に基づき流体の流量を測定する変換器とを備えた超音波流量計と、
前記超音波流量計の前記変換器と通信可能な情報処理装置と、
を備える流量計システムであって、
前記情報処理装置は、
前記第2の検出器の位置が調整されている間に前記第1の検出器から送信された超音波信号の前記第2の検出器における受信強度を前記変換器から取得し、
前記第2の検出器の位置が調整されている間に前記第2の検出器の周辺を撮像して得られた動画像を取得し、
前記動画像を解析して前記第2の検出器の位置の変化を検出し、
前記第2の検出器の位置が一定の位置範囲で変化している間における前記第2の検出器の位置と前記受信強度とを対応付けて、前記位置範囲における前記第2の検出器の位置と前記受信強度との対応関係を取得し、
前記位置範囲における前記第2の検出器の位置と前記受信強度との対応関係を示す情報をユーザに通知する、
制御部を備える、流量計システム。
【請求項9】
超音波信号を送受信する第1及び第2の検出器と、前記第1及び第2の検出器において検出された超音波信号に基づき流体の流量を測定する変換器とを備えた超音波流量計と、
前記超音波流量計の前記変換器と通信可能な情報処理装置と、
を備える流量計システムの情報処理方法であって、
前記情報処理装置の制御部が、
前記第2の検出器の位置が調整されている間に前記第1の検出器から送信された超音波信号の前記第2の検出器における受信強度を前記変換器から取得し、
前記第2の検出器の位置が調整されている間に前記第2の検出器の周辺を撮像して得られた動画像を取得し、
前記動画像を解析して前記第2の検出器の位置の変化を検出し、
前記第2の検出器の位置が一定の位置範囲で変化している間における前記第2の検出器の位置と前記受信強度とを対応付けて、前記位置範囲における前記第2の検出器の位置と前記受信強度との対応関係を取得し、
前記位置範囲における前記第2の検出器の位置と前記受信強度との対応関係を示す情報をユーザに通知する、
流量計システムの情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置及び情報処理方法、プログラム、並びに流量計システム及び流量計システムの情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波流量計は、液体又は気体等の流体へ超音波を放射し、超音波の伝播時間差又は周波数の変化等に基づき流体の流速を算出して流量を測定する装置である。クランプオン型超音波流量計は、超音波送受信器として動作する一対の検出器(トランスデューサ)、及び検出器が検出した超音波信号に基づき流体の流量を算出する変換器を備える。一対の検出器と変換器とはケーブルで接続され、送受信された超音波の信号が検出器からケーブルを介して変換器へ伝達される。変換器は、作業者の操作を受け付ける操作部、並びに超音波の受信強度、流体51の流速及び流量等を表示する表示部等のHMI(Human-Machine Interface)を備える。
【0003】
クランプオン型超音波流量計は一対の検出器を流体の配管の外側に取り付けて使用するため、一対の検出器は互いに超音波を送受信できるような位置関係で設置される必要がある。特許文献1には超音波流量計の検出器の位置決めに関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-130407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
検出器を配管の外側に設置する際、作業者は、一方の検出器が送信した超音波の他方の検出器における受信強度を変換器の表示部により確認しながら、受信強度が最も強い位置を探して検出器を固定する。
【0006】
しかし、2つの検出器と変換器とを接続するケーブルは数十メートル以上の長さを有し、変換器は測定対象の配管から数十メートル離れた管理室等に設置されるのが一般的である。そのため、従来の構成においては、配管の現場で検出器の位置調整を行う作業者と、変換器に表示される受信強度を確認する作業者がトランシーバ等で連絡を取りながら、検出器の位置決めを行う必要があった。このように従来の構成においては、検出器の設置作業に複数の作業者が必要であり、また、作業者間で口頭により指示を伝える必要があったため、検出器の位置決め及び設置は人員と手間を要していた。
【0007】
本開示の目的は、設置作業が容易なクランプオン型の超音波流量計、情報処理装置及び情報処理方法、プログラム、並びに流量計システム及び流量計システムの情報処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
幾つかの実施形態に係る情報処理装置によれば、超音波信号を送受信する第1及び第2の検出器と、前記第1及び第2の検出器において検出された超音波信号に基づき流体の流量を測定する変換器とを備えた超音波流量計の、前記第2の検出器の位置が調整されている間に前記第1の検出器から送信された超音波信号の前記第2の検出器における受信強度を取得し、前記第2の検出器の位置が調整されている間に前記第2の検出器の周辺を撮像して得られた動画像を取得し、前記動画像を解析して前記第2の検出器の位置の変化を検出し、前記第2の検出器の位置が調整されている間における前記受信強度と前記第2の検出器の位置の変化とを対応付けて、前記受信強度と前記第2の検出器の位置との対応関係を取得し、前記受信強度と前記第2の検出器の位置との対応関係をユーザに通知する、制御部を備える、情報処理装置が提供される。したがって、ユーザは、情報処理装置から通知される受信強度と第2の検出器の位置との対応関係を示す情報を用いて、第2の検出器における超音波の受信強度が最も強くなる位置を確認することができる。よって、ユーザは情報処理装置を用いて一人でクランプオン型の超音波流量計を容易に設置することが可能である。
【0009】
一実施形態に係る情報処理装置において、前記制御部は、前記受信強度と前記第2の検出器の位置との関係を示すグラフを表示部に表示させる。したがって、ユーザは表示部を参照して超音波の受信強度が最も強くなる位置を容易に確認することができる。
【0010】
一実施形態に係る情報処理装置において、前記制御部は、前記第2の検出器の位置が調整されている間に前記受信強度が最も大きくなった前記第2の検出器の位置を前記グラフにおいて示す。したがって、ユーザは表示部を参照して、第2の検出器を固定すべき位置を容易に確認することができる。
【0011】
一実施形態に係る情報処理装置において、前記制御部は、音声、振動、及びLEDランプの点灯の少なくともいずれかにより、前記受信強度と前記第2の検出器の位置との対応関係を前記ユーザに通知する。したがって、ユーザは、情報処理装置の表示部を目視しなくても、超音波の強度が高い位置を認識することができる。
【0012】
一実施形態に係る情報処理装置において、カメラを備えたゴーグル型端末と通信可能であり、前記制御部は、前記第2の検出器の位置が調整されている間に前記受信強度が最も大きくなった前記第2の検出器の位置を示す画像を、前記カメラが撮像した画像に重畳して前記ゴーグル型端末に表示させる。したがって、作業者は、ゴーグル型端末の映像を介して第2の検出器を設置すべき位置を容易に認識することができる。
【0013】
幾つかの実施形態に係る情報処理方法によれば、情報処理装置の情報処理方法であって、制御部が、超音波信号を送受信する第1及び第2の検出器と、前記第1及び第2の検出器において検出された超音波信号に基づき流体の流量を測定する変換器とを備えた超音波流量計の、前記第2の検出器の位置が調整されている間に前記第1の検出器から送信された超音波信号の前記第2の検出器における受信強度を取得し、前記第2の検出器の位置が調整されている間に前記第2の検出器の周辺を撮像して得られた動画像を取得し、前記動画像を解析して前記第2の検出器の位置の変化を検出し、前記第2の検出器の位置が調整されている間における前記受信強度と前記第2の検出器の位置の変化とを対応付けて、前記受信強度と前記第2の検出器の位置との対応関係を取得し、前記受信強度と前記第2の検出器の位置との対応関係をユーザに通知する、情報処理装置の情報処理方法が提供される。したがって、ユーザは、情報処理装置から通知される受信強度と第2の検出器の位置との対応関係を示す情報を用いて、第2の検出器における超音波の受信強度が最も強くなる位置を確認することができる。よって、ユーザは情報処理装置を用いて一人でクランプオン型の超音波流量計を容易に設置することが可能である。
【0014】
幾つかの実施形態に係るプログラムによれば、コンピュータを上記情報処理装置として動作させるプログラムが提供される。したがって、ユーザは、情報処理装置から通知される受信強度と第2の検出器の位置との対応関係を示す情報を用いて、第2の検出器における超音波の受信強度が最も強くなる位置を確認することができる。よって、ユーザは情報処理装置を用いて一人でクランプオン型の超音波流量計を容易に設置することが可能である。
【0015】
幾つかの実施形態に係る流量計システムによれば、超音波信号を送受信する第1及び第2の検出器と、前記第1及び第2の検出器において検出された超音波信号に基づき流体の流量を測定する変換器とを備えた超音波流量計と、前記超音波流量計の前記変換器と通信可能な情報処理装置と、を備える流量計システムであって、前記情報処理装置は、前記第2の検出器の位置が調整されている間に前記第1の検出器から送信された超音波信号の前記第2の検出器における受信強度を前記変換器から取得し、前記第2の検出器の位置が調整されている間に前記第2の検出器の周辺を撮像して得られた動画像を取得し、前記動画像を解析して前記第2の検出器の位置の変化を検出し、前記第2の検出器の位置が調整されている間における前記受信強度と前記第2の検出器の位置の変化とを対応付けて、前記受信強度と前記第2の検出器の位置との対応関係を取得し、前記受信強度と前記第2の検出器の位置との対応関係をユーザに通知する、制御部を備える、流量計システムが提供される。したがって、ユーザは、情報処理装置から通知される受信強度と第2の検出器の位置との対応関係を示す情報を用いて、第2の検出器における超音波の受信強度が最も強くなる位置を確認することができる。よって、ユーザは情報処理装置を用いて一人でクランプオン型の超音波流量計を容易に設置することが可能である。
【0016】
幾つかの実施形態に係る流量計システムの情報処理方法によれば、超音波信号を送受信する第1及び第2の検出器と、前記第1及び第2の検出器において検出された超音波信号に基づき流体の流量を測定する変換器とを備えた超音波流量計と、前記超音波流量計の前記変換器と通信可能な情報処理装置と、を備える流量計システムの方法であって、前記情報処理装置の制御部が、前記第2の検出器の位置が調整されている間に前記第1の検出器から送信された超音波信号の前記第2の検出器における受信強度を前記変換器から取得し、前記第2の検出器の位置が調整されている間に前記第2の検出器の周辺を撮像して得られた動画像を取得し、前記動画像を解析して前記第2の検出器の位置の変化を検出し、前記第2の検出器の位置が調整されている間における前記受信強度と前記第2の検出器の位置の変化とを対応付けて、前記受信強度と前記第2の検出器の位置との対応関係を取得し、前記受信強度と前記第2の検出器の位置との対応関係をユーザに通知する、流量計システムの情報処理方法が提供される。したがって、ユーザは、情報処理装置から通知される受信強度と第2の検出器の位置との対応関係を示す情報を用いて、第2の検出器における超音波の受信強度が最も強くなる位置を確認することができる。よって、ユーザは情報処理装置を用いて一人でクランプオン型の超音波流量計を容易に設置することが可能である。
【発明の効果】
【0017】
本開示の一実施形態によれば、クランプオン型の超音波流量計の設置作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】比較例に係る超音波流量計による流量測定を説明する図である。
図2】一実施形態に係る流量計システムによる流量測定を説明する図である。
図3】一実施形態に係る流量計システムの構成例を示す図である。
図4】タブレットの構成例を示す図である。
図5】配管に対する検出器の位置決めを説明する図である。
図6】配管に対する検出器の位置決めを説明する図である。
図7】タブレットにおける表示画面の一例を示す図である。
図8】作業者の作業手順の一例を示すフローチャートである。
図9】タブレットの動作手順の一例を示すフローチャートである。
図10】タブレットにおける表示画面の一例を示す図である。
図11】タブレットの動作手順の一例を示すフローチャートである。
図12】配管に対する検出器の位置決めを説明する図である。
図13】タブレットの動作手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<比較例>
図1は、比較例に係る超音波流量計90による流量測定を説明する図である。超音波流量計90は、一対の検出器91,92及び変換器93を備える。図1は、流体51が方向Dへ流れる配管50に一対の検出器91,92を取り付ける様子を示している。図1では、作業者(ユーザ)はまず検出器91の位置を決定する。次に、作業者は、検出器91に超音波96を送信させながら、検出器92の位置を調整し、検出器92における超音波96の受信強度が最大になる位置を探す。このように、作業者は、検出器92が受信した超音波の受信強度を確認しながら検出器92の位置を調整する。
【0020】
検出器91,92及び変換器93はケーブル94で接続され、検出器92が受信した超音波の信号が検出器92からケーブル94を介して変換器93へ伝達される。変換器93はHMI931を備え、検出器92が受信した超音波の受信強度をHMI931に表示する。
【0021】
比較例に係る超音波流量計90では、検出器91,92の設置場所と変換器93が離れている場合、検出器91,92の位置調整を行う作業者はHMI931の表示を直接確認することができなかった。そのため、別の作業者がHMI931の表示を確認して、作業者間において超音波96の受信強度の情報等をトランシーバにより口頭で伝達する必要があった。したがって、比較例による検出器91,92の位置決め及び設置は人員と手間を要していた。
【0022】
<実施形態>
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。各図面中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0023】
(第1実施形態)
図2は、本開示の一実施形態に係る流量計システム1による流量測定を説明する図である。流量計システム1は、超音波流量計10及び本実施形態に係る情報処理装置としてのタブレット20を備える。超音波流量計10は、一対の検出器11,12及び変換器13を備える。本実施形態では、比較例と異なり、変換器13はHMI131に加えてタブレット20と通信するための無線通信部132を備える。図2は、図1と同様に、流体51が方向Dへ流れる配管50に一対の検出器11,12を取り付ける様子を示している。図1と同様に、作業者はまず検出器11の位置を決定する。次に、作業者は、検出器11に超音波60を送信させながら、検出器12の位置を調整し、検出器12における超音波60の受信強度が最大になる位置を探す。このように、作業者は、検出器12が受信した超音波60の受信強度を確認しながら検出器12の位置を調整する。
【0024】
検出器11,12及び変換器13はケーブル14で接続され、検出器12が受信した超音波60の信号が検出器12からケーブル14を介して変換器13へ伝達される。変換器13はHMI131を備え、検出器12が受信した超音波60の受信強度をHMI131に表示する。さらに、変換器13は、検出器12が受信した超音波60の受信強度を無線通信部132から無線通信路70を介してタブレット20へ通知する。
【0025】
検出器11,12の位置調整を行う作業者はタブレット20を携帯して操作する。検出器11,12の位置調整作業がなされる間、タブレット20は検出器12の周辺を撮像し、撮像画像から検出器12の位置を検出する。タブレット20は、変換器30から通知された検出器12における超音波60の受信強度と、検出器12の位置との関係を作業者に通知する。そのような処理の一例として、本実施形態のタブレット20は、検出器12における超音波60の受信強度と、検出器12の位置との関係を示す画像を表示する。作業者は、検出器11,12の設置場所において、タブレット20に表示された画像を参照して、検出器12における超音波60の受信強度が最大になる位置を容易に確認することができる。したがって、本実施形態に係る構成によれば、変換器13のHMI131を確認するための作業者は不要であり、作業者はタブレット20を参照して一人でクランプオン型の超音波流量計を容易に設置することが可能である。
【0026】
図3は、本開示の一実施形態に係る流量計システム1の構成例を示す図である。図3の例では配管50に対して固定具32によりレール31が固定されており、検出器11及び検出器12はレール31に沿って移動可能である。以下、検出器11の位置が初めに決定され、検出器11が送信する超音波の受信強度に応じて検出器12の位置決めを行う場合が説明される。検出器11は超音波を送信する超音波送信部111を備え、検出器12は超音波を受信する超音波受信部121を備える。図3は、検出器11及び検出器12がいずれも配管50の同じ側に設けられ、超音波送信部111から送信された超音波が配管50の対向する壁面52で反射されて超音波受信部121へ入射する例を示している。もっとも、検出器11及び検出器12の位置関係は図3に示したものに限られず、図2のように検出器11及び検出器12が配管50の対向する側に設けられてもよい。また、本実施形態では、説明の簡略化のため、検出器11は超音波送信部111を備え、検出器12は超音波受信部121を備える例が説明されるが、検出器11及び検出器12の両方が超音波を送受信可能な超音波送受信部を備えてもよい。検出器11及び検出器12は、ケーブル14、結合箱141、及びケーブル15を介して変換器13に接続される。検出器12が受信した超音波の信号は、検出器12からケーブル14等を介して変換器13へ伝達される。
【0027】
変換器13は、HMI131、無線通信部132、メイン部133、センサ部136、及び電源137を備える。HMI131は、作業者とのインタフェースを提供し、作業者の操作を受け付ける操作部、並びに超音波の受信強度、流体51の流速及び流量等を表示する表示部等を備える。
【0028】
無線通信部132は、無線通信を行うための通信デバイスである。以下、無線通信部132がBluetooth通信を行う通信デバイスにより実現される例が説明されるが、無線通信部132は、例えば、無線LAN(Local Area Network)、又は5G等のキャリア通信を含む他の通信方式に基づく無線通信を行う通信デバイスでもよい。
【0029】
メイン部133は、検出器11,12、及び変換器13の各構成要素の動作を制御する。メイン部133は制御部134及び内部RAM(Random Access Memory)等135を備える。制御部134は、例えば、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)等によって構成される。制御部134は、超音波流速計10の機能を実現するためのアプリケーションプログラム及びデータに応じて、超音波流速計10の各構成要素の動作を制御する。例えば、制御部134は、検出器11に超音波を送信させて検出器12における超音波の受信強度をHMI131の表示部に表示させたり、無線通信部132から受信強度に関する情報を送信させたりしてもよい。また、例えば、制御部134は、配管50への取り付け作業が完了した検出器11及び検出器12を制御して、配管50の内部を流れる流体51の流量を計算し、HMI131の表示部に表示させたりしてもよい。内部RAM等135は情報を記憶する記憶部であり、RAMの他、ROM(Read-Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の大容量ストレージを備えてもよい。内部RAM等135は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。
【0030】
センサ部136は超音波の信号の送受信を行うセンサである。検出器11から送信され、検出器12において受信された超音波の受信強度はセンサ部136において測定される。測定された超音波の受信強度は内部RAM等135において一時的に保持された後、HMI131で表示されるとともに、無線通信部132から無線通信路70を介してタブレット20へ通知される。
【0031】
電源137は、変換器13及び検出器11,12を駆動するための電力を供給する。
本実施形態の電源137は電力会社が提供する電力インフラから電力を取得し、その電力を適宜変圧等して超音波流量計10の各構成要素に電力を供給するが、バッテリにより駆動してもよい。
【0032】
タブレット20は検出器11,12の設置作業を行う作業者が操作する情報処理装置である。本実施形態では、タブレット20は超音波を受信する検出器12の周辺の画像をもとに検出器12の位置を検出し、検出器12の位置と検出器12が受信した超音波の受信強度との関係を示す画像を表示する。本実施形態では、このような処理を行う持ち運びが容易な情報処理装置として、タブレットが使用される例が説明されるが、タブレットに代えて、スマートフォン、PC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistance)、携帯電話、又はウェアラブルデバイス等が用いられてもよい。
【0033】
図4は、本開示の一実施形態に係る情報処理装置としてのタブレット20の構成例を示す図である。図4に示すように、タブレット20は、制御部21、記憶部22、通信部23、入力部24、出力部25、及び撮像部26を備える。
【0034】
制御部21は、1つ以上のプロセッサを含む。一実施形態において「プロセッサ」は、汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用のプロセッサであるが、これらに限定されない。制御部21は、タブレット20を構成する各構成部と通信可能に接続され、タブレット20全体の動作を制御する。
【0035】
記憶部22は、HDD、SSD、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、ROM、及びRAMを含む任意の記憶モジュールを含む。記憶部22は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部22は、タブレット20の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部22は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び通信部23によって受信された各種情報等を記憶してもよい。記憶部22は、タブレット20に内蔵されているものに限定されず、USB等のデジタル入出力ポート等によって接続されている外付けのデータベース又は外付け型の記憶モジュールであってもよい。
【0036】
通信部23は、任意の通信技術によって超音波流量計10等の他の装置と通信接続可能な、任意の通信モジュールを含む。通信部23は、さらに、他の装置との通信を制御するための通信制御モジュール、及び他の装置との通信に必要となる識別情報等の通信用データを記憶する記憶モジュールを含んでもよい。以下、通信部23がBluetooth通信を行う通信デバイスにより実現される例が説明されるが、通信部23は、例えば、無線LAN(Local Area Network)、又は5G等のキャリア通信を含む他の通信方式に基づく通信を行う通信デバイスでもよい。
【0037】
入力部24は、作業者の入力操作を受け付けて、作業者の操作に基づく入力情報を取得する1つ以上の入力インタフェースを含む。例えば、入力部24は、物理キー、静電容量キー、ポインティングディバイス、出力部25のディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイク等であるが、これらに限定されない。
【0038】
出力部25は、作業に対して情報を出力し、作業に通知する1つ以上の出力インタフェースを含む。例えば、出力部25は、情報を画像で出力するディスプレイ(表示部)、情報を音声で出力するスピーカ、タブレット20を振動(バイブレーション)させるバイブレータ、又はLED(Light Emitting Diode)ランプ等であるが、これらに限定されない。以下、入力部24及び出力部25がタブレット20と一体に構成される場合の例が説明されるが、これらの少なくとも一方は、別体として設けられてもよい。
【0039】
撮像部26は、被写体を撮像して撮像画像を取得する撮像装置(カメラ)である。本実施形態では、撮像部26は、検出器12の位置調整を行う際に検出器12の周辺を撮像するために用いられる。撮像部26は、作業者が検出器12の位置を調整している間、検出器12の周辺を撮像して動画像を取得する。撮像部26は、任意のフレームレートで動画像を撮像してよい。例えば、撮像部26のフレームレートは、1fps(frame per second)、5fps、または30fps等とすることができる。撮像部26は、光学系及び撮像素子を含み、さらに被写体を照明するための光源を有してもよい。撮像部26としては、可視光領域の画像を撮像する一般的な撮像装置を使用することができる。
【0040】
タブレット20の機能は、本実施形態に係るプログラム(コンピュータプログラム)を、制御部21に含まれるプロセッサで実行することにより実現されうる。すなわち、タブレット20の機能は、ソフトウェアにより実現されうる。プログラムは、タブレット20の動作に含まれるステップの処理をコンピュータに実行させることで、各ステップの処理に対応する機能をコンピュータに実現させる。すなわち、プログラムは、コンピュータを本実施形態に係る情報処理装置として動作させるためのプログラムである。
【0041】
プログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又は半導体メモリである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記録したDVD又はCD-ROMなどの可搬型記録媒体を販売、譲渡、又は貸与することによって行う。「DVD」は、Digital Versatile Discの略称である。「CD-ROM」は、Compact Disc Read Only Memoryの略称である。プログラムをサーバのストレージに格納しておき、ネットワークを介して、サーバから他のコンピュータにプログラムを転送することにより、プログラムは流通されてもよい。プログラムはプログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0042】
コンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラム又はサーバから転送されたプログラムを、一旦、主記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、主記憶装置に格納されたプログラムをプロセッサで読み取り、読み取ったプログラムに従った処理をプロセッサで実行する。コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行してもよい。コンピュータは、コンピュータにサーバからプログラムが転送される度に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行してもよい。このような処理は、サーバからコンピュータへのプログラムの転送を行わず、実行指示及び結果取得のみによって機能を実現する、いわゆるASP型のサービスによって実行されてもよい。「ASP」は、Application Service Providerの略称である。プログラムには、電子計算機による処理のように供する情報であってプログラムに準ずるものが含まれる。例えば、コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【0043】
タブレット20の一部又は全ての機能が、制御部21に含まれる専用回路により実現されてもよい。すなわち、タブレット20の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。また、タブレット20は単一の情報処理装置により実現されてもよいし、複数の情報処理装置の協働により実現されてもよい。
【0044】
図5及び図6は、配管50に対する検出器11,12の位置決めを説明する図である。作業者は、検出器11,12を案内するレール31を、固定具32を用いて配管50に固定する。作業者は、配管50の口径及び形状等から検出器11から送信された超音波の検出器12における受信強度が大きくなると考えられる位置の大まかな見当をつけて、検出器11,12をレール31上に配置する。以下、検出器11の位置はそのまま固定され、検出器12の位置がレール31に沿って調整される場合の例が説明される。
【0045】
タブレット20が動画像から検出器12の位置を容易に特定できるようにするために、配管50上にスケール35が設けられ、検出器12上にマーカー36が設けられてもよい。図5に示すように、スケール35は、例えばレール31の案内方向に沿って青色の目盛りによりマーカー36(検出器12)の位置を示してもよい。マーカー36は、例えば、赤色の印であり、検出器12の端部に設けられてもよい。スケール35及びマーカー36はいずれも取りはがし可能なシールにより提供され、検出器11,12を取り付ける際に作業者がこれらのシールを貼付するようにしてもよい。その場合、作業者は、例えば、マーカー36の当初の位置に目盛り0が位置するようにスケール35を貼付してもよい。なお、スケール35はレール31等の他の部材に設けられてもよい。
【0046】
図6に示すように、作業者は、タブレット20の撮像部26により検出器12の周辺を撮像しながら、レール31に沿って検出器12を移動させる。作業者は、例えば、超音波の受信強度が最大になる位置が含まれると考えられる範囲にわたって検出器12を移動させてもよい。タブレット20は、撮像された動画像を解析して検出器12の位置を特定する。例えば、タブレット20は、動画像に含まれるスケール35及びマーカー36の画像をもとに、検出器12の位置を特定してもよい。その場合、検出器12の位置は、例えば、スケール35に示された目盛りの値に対応する一次元の情報として表されてもよい。
【0047】
作業者が検出器12を移動させている間、検出器11は超音波送信部111から超音波を連続的に送信し、検出器12は超音波受信部121において受信した超音波の信号を変換器13へ伝達する。変換器13は検出器12における超音波の受信強度のデータをリアルタイムに無線通信路70を介してタブレット20へ送信する。タブレット20は、動画像を解析して特定された検出器12の位置と、検出器12における超音波の受信強度との関係を示す画像を生成して出力部25のディスプレイに表示する。検出器12の位置と超音波の受信強度との対応付けは、例えば、動画像の撮像時刻と超音波の受信時刻とを照らし合わせることにより行ってもよい。
【0048】
図7は、タブレット20における表示画面の一例を示す図である。図7は、グラフにより検出器12の位置と超音波の受信強度を示している。図7において、横軸は検出器12の移動位置を示す。移動位置は、例えば、スケール35の目盛りに対応した数値により検出器12のマーカー36の位置を示してもよい。図7において、縦軸は検出器12において検出された超音波の受信強度を示す。図7のように、タブレット20が検出器12の位置と超音波の受信強度との関係を示すグラフを表示することにより、作業者は受信強度が最大になる位置を容易に認識することができる。また、タブレット20は、グラフを解析して超音波の受信強度が最大になる検出器12の位置を示してもよい。図7の「最適位置」は、超音波の受信強度が最大になる位置の表示の一例を示している。受信強度が最大になる検出器12の位置をタブレット20が表示することにより、作業者は、検出器12の位置決めをさらに容易に行うことが可能となる。
【0049】
図8は、作業者の作業手順の一例を示すフローチャートである。各ステップは配管50に検出器11,12を取り付ける作業者が行う作業内容を示している。
【0050】
ステップS1において、作業者は、配管50の外部において、検出器12における超音波の受信強度が最大になると推定される位置に検出器11,12を配置する。このような推定位置は配管50の口径及び形状、検出器11及び12の位置関係(配管50に対して対向させるのか、あるいは同じ側に配置するのか等)等から求められる。変換器13等がこのような推定位置を求めるアプリケーションプログラムを提供している場合、作業者はそのようなアプリケーションプログラムを利用してもよい。
【0051】
ステップS2において、作業者は、配管50上にスケール35のシールを貼付する。
【0052】
ステップS3において、作業者は、検出器12の端部にマーカー36のシールを貼付する。
【0053】
ステップS4において、作業者は、検出器11に超音波を連続的に送信させ、また、タブレット20に検出器12の周辺を撮像させながら、レール31に沿って検出器12を移動させる。これにより、作業者は、タブレット20に検出器12の移動位置を検出させる。これに応じてタブレット20は、タブレット20が検出器12の位置と超音波の受信強度との関係を示す信号強度グラフを表示する。
【0054】
ステップS5において、作業者は、タブレット20に表示された信号強度グラフを参照して、受信強度が最も強い位置を確認する。
【0055】
ステップS6において、作業者は、受信強度が最も強い位置に検出器12を固定する。そして、作業者は、作業を終了する。
【0056】
図9は、タブレット20の動作手順の一例を示すフローチャートである。図9を参照して説明するタブレット20の動作は本実施形態に係る情報処理方法に相当する。図9の各ステップの動作は制御部21の制御に基づき実行される。以下の処理の前提として、検出器11及び検出器12が配管50のレール31上に配置され、検出器11が超音波を送信している。
【0057】
ステップS11において、制御部21は、作業者の指示入力に応じて、検出器12周辺の動画像及び検出器12の受信強度に基づき検出器12の位置と超音波の受信強度との関係を示すグラフを表示するためのソフトウェアを起動する。
【0058】
ステップS12において、制御部21は、超音波流量計10の変換器13から無線通信路70を介して検出器12における超音波の受信強度を示すデータを取得する。
【0059】
ステップS13において、制御部21は、撮像部26を起動して動画像の撮像を開始する。
【0060】
ステップS14において、制御部21は、動画像を解析してスケール35の表示を認識する。さらに、制御部21は、動画像中のマーカー36の画像により検出器12の端部を検出する。制御部21は、マーカー36とスケール35の表示を対比して検出器12の位置を検出する。動画像の撮像中、作業者は、レール31に沿って検出器12を移動させる。
【0061】
ステップS15において、制御部21は、検出器12における超音波の受信強度のデータと検出器12の位置のデータとを連動させて、両者を対応付ける。
【0062】
ステップS16において、制御部21は、検出器12における超音波の受信強度のデータと検出器12の位置のデータとに基づき両者の対応関係を示すグラフを生成する。制御部21は生成したグラフを出力部25のディスプレイに表示する。
【0063】
ステップS17において、制御部21は、ステップS16で生成したグラフを解析し、受信強度が最も強い位置をグラフ上でハイライト表示する。そして、制御部21は、フローチャートの処理を終了する。
【0064】
図10は、タブレット20における表示画面の一例を示す図である。図10のように、タブレット20は、検出器12の移動位置と受信強度との関係を示すグラフを表示する。タブレット20は、検出器12の移動位置をスケール35の目盛りにより示すことで、作業者はグラフと検出器12の位置との関係を容易に把握することができる。また、受信強度が最も強い位置をタブレット20がグラフ上でハイライト表示により示すことで、作業者は検出器12の最適な位置を容易に確認することができる。
【0065】
以上のように、流量計システム1は、超音波流量計10及びタブレット20を備える。超音波流量計10は、超音波信号を送受信する第1の検出器11及び第2の検出器12と、第1の検出器11及び第2の検出器12において検出された超音波信号に基づき流体の流量を測定する変換器13とを備える。タブレット20は、超音波流量計10の、第2の検出器12の位置が調整されている間に第1の検出器11から送信された超音波信号の第2の検出器12における受信強度を、変換器13との無線通信により取得する。タブレット20は、第2の検出器12の位置が調整されている間に第2の検出器12の周辺を撮像部26により撮像して得られた動画像を取得し、その動画像を解析して第2の検出器12の位置の変化を検出する。タブレット20は、第2の検出器12の位置が調整されている間における受信強度と第2の検出器12の位置の変化とを対応付けて、受信強度と第2の検出器12の位置との対応関係を取得し、その対応関係をユーザ(作業者)に通知する。したがって、本実施形態に係るタブレット20によれば、作業者は、タブレット20から通知される受信強度と第2の検出器12の位置との対応関係を示す情報を用いて、第2の検出器12における超音波の受信強度が最も強くなる位置を確認することができる。よって、変換器13のHMI131を確認するための作業者は不要であり、作業者はタブレット20を用いて一人でクランプオン型の超音波流量計を容易に設置することが可能である。
【0066】
また、本実施形態に係るタブレット20は、受信強度と第2の検出器12の位置との関係を示すグラフを表示部(ディスプレイ)に表示させる。したがって、作業者はタブレット20を参照して、超音波の受信強度が最も強くなる位置を容易に確認することができる。
【0067】
また、本実施形態に係るタブレット20は、第2の検出器12の位置が調整されている間に受信強度が最も大きくなった第2の検出器12の位置をグラフにおいて示す。したがって、作業者はタブレット20を参照して、第2の検出器12を固定すべき位置を容易に確認することができる。
【0068】
(第2実施形態)
第1実施形態では、タブレット20が、検出器12における超音波の受信強度と第2の検出器12の位置との対応関係を示す情報をグラフにより作業者に通知する例が説明されたが、対応関係の通知はグラフによるものに限られない。
【0069】
例えば、タブレット20は、作業者が検出器12の位置調整を行っている間に、検出器12が受信した超音波の強度に応じた音声を出力部25のスピーカから出力を行ってもよい。すなわち、タブレット20は、超音波の受信強度を音量、音程、又は音の間隔等により作業者に通知してもよい。また、タブレット20は、検出器12が超音波の受信強度が最大になる位置に到達した場合、あらかじめ定められた音声により作業者にその旨を通知してもよい。
【0070】
また、タブレット20は、検出器12が受信した超音波の強度に応じた振動を出力部25のバイブレータに行わせてもよい。すなわち、タブレット20は、超音波の強度を振動の大きさ又は間隔等により作業者に通知してもよい。また、タブレット20は、検出器12が超音波の受信強度が最大になる位置に到達した場合、あらかじめ定められた振動のパターンにより作業者にその旨を通知してもよい。
【0071】
また、タブレット20は、検出器12が受信した超音波の強度に応じて、出力部25のLEDランプを点灯させてもよい。すなわち、タブレット20は、超音波の強度に応じて異なる色又は点滅頻度でLEDランプの点灯を行うことで、超音波の強度を作業者に通知してもよい。また、タブレット20は、検出器12が超音波の受信強度が最大になる位置に到達した場合、あらかじめ定められたパターンの点灯により作業者にその旨を通知してもよい。
【0072】
検出器12の位置調整がなされている間に、タブレット20がこのような処理を行うことにより、作業者は、タブレット20の出力部25のディスプレイを目視しなくても、超音波の強度が高い位置を認識することができる。なお、グラフ表示、音声出力、バイブレーション、及びLEDランプの点灯は、全てが同時に行われてもよいし、あるいは、これらの中の一部が行われてもよい。
【0073】
図11は、タブレット20の動作手順の一例を示すフローチャートである。図11を参照して説明するタブレット20の動作は本実施形態に係る情報処理方法に相当する。図11の各ステップの動作は制御部21の制御に基づき実行される。
【0074】
ステップS21において、制御部21は、作業者の指示入力に応じて、検出器12における超音波の受信強度を音声により通知するためのソフトウェアを起動する。
【0075】
ステップS22において、制御部21は、超音波流量計10の変換器13から無線通信路70を介して検出器12における超音波の受信強度を示すデータを取得する。
【0076】
ステップS23において、制御部21は、ステップS22で取得した超音波の受信強度に応じた音声を出力する。例えば、制御部21は、超音波の受信強度を音量、音程、又は音の間隔等により作業者に通知してもよい。また、制御部21は、検出器12が超音波の受信強度が最大になる位置に到達した場合、あらかじめ定められた音声により作業者にその旨を通知してもよい。制御部21が振動、又は、LEDランプの点灯により受信強度を通知する動作手順は前述のとおりである。
【0077】
以上のように、本実施形態に係るタブレット20は、音声、振動、及びLEDランプの点灯の少なくともいずれかにより、受信強度と第2の検出器12の位置との対応関係をユーザ(作業者)に通知する。したがって、作業者は、タブレット20の出力部25のディスプレイを目視しなくても、超音波の強度が高い位置を認識することができる。
【0078】
(第3実施形態)
本実施形態では、スマートグラス等のゴーグル型端末を利用して第2の検出器12を設置すべき位置を作業者に通知する構成例を説明する。図12は、本実施形態に係る流量計システム1により配管50に対する検出器11,12の位置決めを説明する図である。図12において、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0079】
本実施形態に係る流量計システム1においては、作業者はゴーグル型端末40を装着する。ゴーグル型端末40はカメラ41を備え、カメラ41が撮像した映像をゴーグル型端末40の装着者が観察できるように表示する。図12において、領域42は、ゴーグル型端末40のカメラ41が撮像する領域を示す。領域42は、作業者がゴーグル型端末40を介して観察できる映像の範囲にも対応する。ゴーグル型端末40は、Bluetooth等の無線通信路71を介してタブレット20と無線通信が可能である。タブレット20は、第1実施形態の処理と同様の処理により検出器12の受信強度が最も強い位置を検出すると、その位置を示す画像43をゴーグル型端末40の映像に重畳して表示させる。したがって、作業者は、ゴーグル型端末40の映像を介して検出器12を設置すべき位置を容易に認識することができる。なお、図12には超音波の受信強度が最も強い位置を示す画像43が矢印の形状を有する場合の例が示されているが、画像43は四角形、円形、又は特定の図柄等の任意の形状を有してもよい。
【0080】
図13は、タブレット20の動作手順の一例を示すフローチャートである。図13を参照して説明するタブレット20の動作は本実施形態に係る情報処理方法に相当する。図13の各ステップの動作は制御部21の制御に基づき実行される。
【0081】
図13において、ステップS31~S35の処理は図9のステップS11~S15と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0082】
ステップS36において、制御部21は、検出器12における超音波の受信強度と検出器12の位置との関係から、超音波の受信強度が最も強い位置を特定し、その位置を示す画像43をゴーグル型端末40の映像に重畳して表示させる。そして、制御部21はフローチャートの処理を終了する。
【0083】
以上のように、本実施形態に係るタブレット20は、カメラ41を備えたゴーグル型端末40と通信可能である。タブレット20は、第2の検出器12の位置が調整されている間に受信強度が最も大きくなった第2の検出器12の位置を示す画像43を、カメラ41が撮像した画像に重畳してゴーグル型端末40に表示させる。したがって、本実施形態の構成によれば、タブレット20で強度データと位置情報の関係を解析して、作業者が装着したゴーグル型端末40に検出器12の適切な位置を表示することも可能になる。すなわち、作業者は、タブレット20とともにゴーグル型端末40を使用して、検出器12の最適位置を視覚的に把握することが可能となり、検出器11,12をより簡単に設置及び設定することができる。なお、ゴーグル型端末40がタブレット20と同等の性能を持ち、カメラ41等が搭載されているのであれば、タブレット20に代えて、変換器13とゴーグル型端末40とが直接無線通信を行うことにより、上記と同等の設置及び設定を行うことができる。すなわち、本実施形態に係る情報処理装置として、前述のタブレット20に代えて、ゴーグル型端末40が使用されてもよい。また、例えば、スマートフォンに本開示の処理に係る専用アプリをインストールし、スマートフォン用VR(Virtual Reality)ゴーグルがゴーグル型端末40として使用されてもよい。
【0084】
以上のように、本開示の各実施形態によれば、検出器12における超音波の受信強度と検出器12の位置との対応関係を作業者に通知するため、作業者は、超音波流量計の検出器11,12を設置すべき場所を直感的に認識することが可能である。したがって、作業者は、超音波流量計の検出器11,12をより短時間でかつより適切な位置に設置することが可能である。また、作業者は従来よりも少ない人数で、超音波流量計の検出器11,12を設置することかできる。さらに、本実施形態に係る構成は、従来のクランプオン形超音波流量計の変換器13に無線通信部132に追加すれば、タブレット20等の情報処理装置にソフトウェアをインストールするだけで実現することができる。したがって、本実施形態に係る構成は実装が容易である。
【0085】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の複数のブロックは統合されてもよいし、又は1つのブロックは分割されてもよい。フローチャートに記載の複数のステップは、記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行されてもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 流量計システム
10 超音波流量計
11,12 検出器
111 超音波送信部
121 超音波受信部
13 変換器
131 HMI
132 無線通信部
133 メイン部
134 制御部
135 内部RAM等
136 センサ部
137 電源
14 ケーブル
141 結合箱
15 ケーブル
20 タブレット
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 入力部
25 出力部
26 撮像部
31 レール
32 固定具
35 スケール
36 マーカー
40 ゴーグル型端末
41 カメラ
50 配管
51 流体
52 壁面
60 超音波信号
70 無線通信路
90 超音波流量計
91,92 検出器
93 変換器
931 HMI
94 ケーブル
96 超音波信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13