IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本軽金属株式会社の特許一覧

特許7574734ヒートシンク及びヒートシンクの製造方法
<>
  • 特許-ヒートシンク及びヒートシンクの製造方法 図1
  • 特許-ヒートシンク及びヒートシンクの製造方法 図2
  • 特許-ヒートシンク及びヒートシンクの製造方法 図3
  • 特許-ヒートシンク及びヒートシンクの製造方法 図4
  • 特許-ヒートシンク及びヒートシンクの製造方法 図5
  • 特許-ヒートシンク及びヒートシンクの製造方法 図6
  • 特許-ヒートシンク及びヒートシンクの製造方法 図7
  • 特許-ヒートシンク及びヒートシンクの製造方法 図8
  • 特許-ヒートシンク及びヒートシンクの製造方法 図9
  • 特許-ヒートシンク及びヒートシンクの製造方法 図10
  • 特許-ヒートシンク及びヒートシンクの製造方法 図11
  • 特許-ヒートシンク及びヒートシンクの製造方法 図12
  • 特許-ヒートシンク及びヒートシンクの製造方法 図13
  • 特許-ヒートシンク及びヒートシンクの製造方法 図14
  • 特許-ヒートシンク及びヒートシンクの製造方法 図15
  • 特許-ヒートシンク及びヒートシンクの製造方法 図16
  • 特許-ヒートシンク及びヒートシンクの製造方法 図17
  • 特許-ヒートシンク及びヒートシンクの製造方法 図18
  • 特許-ヒートシンク及びヒートシンクの製造方法 図19
  • 特許-ヒートシンク及びヒートシンクの製造方法 図20
  • 特許-ヒートシンク及びヒートシンクの製造方法 図21
  • 特許-ヒートシンク及びヒートシンクの製造方法 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】ヒートシンク及びヒートシンクの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20241022BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
H01L23/36 Z
H05K7/20 D
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021079493
(22)【出願日】2021-05-10
(65)【公開番号】P2022173661
(43)【公開日】2022-11-22
【審査請求日】2023-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004743
【氏名又は名称】日本軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 拓海
(72)【発明者】
【氏名】桑原 一浩
(72)【発明者】
【氏名】高木 得至
(72)【発明者】
【氏名】飯阪 仁
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-017178(JP,A)
【文献】国際公開第2016/194158(WO,A1)
【文献】特開平10-263911(JP,A)
【文献】特開2020-001051(JP,A)
【文献】特開平08-320194(JP,A)
【文献】国際公開第2012/079042(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0151900(US,A1)
【文献】特開平05-129485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の基体、
前記基体にそれぞれ独立して立設される複数のピンフィン、及び、
前記複数のピンフィン同士の間に位置して前記複数のピンフィンを隔てる複数のスリットを備えるヒートシンクであって、
前記スリットは、
前記基体上において直線状に配置される複数の第一スリットと、
前記基体上において直線状で前記第一スリットと交差して形成される複数の第二スリットと、を有し、
前記ピンフィンは、前記基体に対して垂直に立ち上がっており、前記基体から連続して立ち上がるピンフィン下部と、前記ピンフィン下部から連続して伸長するピンフィン上部と、を有し、
前記第一スリット及び前記第二スリットの前記ピンフィン上部に対応する溝幅は、当該第一スリット及び当該第二スリットの前記ピンフィン下部に対応する溝幅よりも大きくなっており、
前記ピンフィン下部と前記ピンフィン上部とは側面視で段差状になっており、前記ピンフィン上部のフィン幅は前記ピンフィン下部のフィン幅よりも小さくなっており、
前記基体から立ち上がる前記ピンフィンの軸方向に対して垂直な横断面において、前記ピンフィン下部の軸方向の中心と前記ピンフィン上部の軸方向の中心とがずれていることを特徴とするヒートシンク。
【請求項2】
前記ピンフィン下部の横断面の形状と前記ピンフィン上部の横断面の形状とが相似になっている請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項3】
前記ピンフィン下部のフィン幅と前記ピンフィン上部のフィン幅との差が0.1mm以上である請求項1又は請求項2に記載のヒートシンク。
【請求項4】
前記ピンフィン下部と前記ピンフィン上部との段差の段差寸法が0.05mm以上である請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のヒートシンク。
【請求項5】
前記ピンフィン下部のフィン幅と前記ピンフィン上部のフィン幅との差が、前記ピンフィン下部のフィン幅の1%以上になっている請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のヒートシンク。
【請求項6】
前記ピンフィンのフィン幅は2~20mmである請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のヒートシンク。
【請求項7】
前記スリットの溝幅は、前記ピンフィンのフィン幅に対して0.5~10倍である請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のヒートシンク。
【請求項8】
前記ピンフィンの高さ寸法は、1~300mmである請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のヒートシンク。
【請求項9】
複数のピンフィンを備えるヒートシンクの製造方法であって、
被切削ブロックの端面から所定の深さとなる位置まで切削して、交差する複数のスリッ
トを形成する第一段加工工程と、
前記第一段加工工程後に、前記第一段加工工程よりも深い位置まで切削して、交差する複数のスリットを形成することで複数の前記ピンフィンを形成する第二段加工工程と、を含み、
前記第一段加工工程によって切削する前記スリットの溝幅を、前記第二段加工工程によって切削する前記スリットの溝幅よりも大きく設定することを特徴とするヒートシンクの製造方法。
【請求項10】
前記第一段加工工程の前に、前記被切削ブロックの周縁部のうち、前記スリットが形成されない領域であって、前記被切削ブロックの側面を含む部分を切除する切除工程をさらに備える請求項に記載のヒートシンクの製造方法。
【請求項11】
前記第一段加工工程及び前記第二段加工工程の少なくとも一方において、被切削ブロックの端面からの挿入深さを変えて、複数回にわたって切削を行う請求項又は請求項10に記載のヒートシンクの製造方法。
【請求項12】
前記第一段加工工程において、交差する複数のスリットを形成した後、
前記第二段加工工程において、交差する複数のスリットを形成する請求項乃至請求項11のいずれか一項に記載のヒートシンクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートシンク及びヒートシンクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液冷又は空冷ヒートシンクは、半導体などの冷却のために用いられており、拡大伝熱面としてピンフィン(ピン型のフィン)を備えている。例えば、特許文献1には、平断面がひし形を呈するピンフィンを備えたヒートシンクの製造方法が開示されている。当該ヒートシンクの製造方法では、円盤型カッター(メタルソー)が積層されたマルチカッターを用いて、金属製の被切削ブロックを切削する。この際、切削されたスリット同士が交差するようにマルチカッターを移動させることで、平断面がひし形のピンフィンを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-254772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のヒートシンクの製造方法では、マルチカッターの挿入深さを大きくしながら複数回に亘って切削を繰り返すことで、ピンフィンの高さを大きくすることが考えられる。しかしながら、当該方法では、円盤型カッターが切削途中のピンフィンに接触してしまい、ピンフィンが変形したり、破損したりすることがある。このため、ピンフィンの高さを大きくすることが困難となっている。ピンフィンの高さを大きくしてヒートシンクを大型化することが難しいため、ピンフィンは比較的小型の液冷用ヒートシンクに用途が限られている。よって、ピンフィンの高さが大きく、大型で空冷にも用いることができるヒートシンクが求められている。
【0005】
このような観点から、本発明は、成形精度を高めるとともに、ピンフィンの高さを容易に大きくすることができるヒートシンク及びヒートシンクの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、板状の基体、前記基体にそれぞれ独立して立設される複数のピンフィン、及び、前記複数のピンフィン同士の間に位置して前記複数のピンフィンを隔てる複数のスリットを備えるヒートシンクであって、前記スリットは、前記基体上において直線状に配置される複数の第一スリットと、前記基体上において直線状で前記第一スリットと交差して形成される複数の第二スリットと、を有し、前記ピンフィンは、前記基体に対して垂直に立ち上がっており、前記基体から連続して立ち上がるピンフィン下部と、前記ピンフィン下部から連続して伸長するピンフィン上部と、を有し、前記第一スリット及び前記第二スリットの前記ピンフィン上部に対応する溝幅は、当該第一スリット及び当該第二スリットの前記ピンフィン下部に対応する溝幅よりも大きくなっており、前記ピンフィン下部と前記ピンフィン上部とは側面視で段差状になっており、前記ピンフィン上部のフィン幅は前記ピンフィン下部のフィン幅よりも小さくなっており、前記基体から立ち上がる前記ピンフィンの軸方向に対して垂直な横断面において、前記ピンフィン下部の軸方向の中心と前記ピンフィン上部の軸方向の中心とがずれていることを特徴とする。
【0008】
また、前記ピンフィン下部の横断面の形状と前記ピンフィン上部の横断面の形状とが相似になっていることが好ましい。
【0011】
また、前記ピンフィン下部のフィン幅と前記ピンフィン上部のフィン幅との差が0.1mm以上であることが好ましい。
【0012】
また、前記ピンフィン下部と前記ピンフィン上部との段差の段差寸法が0.05mm以上であることが好ましい。
【0013】
また、前記ピンフィン下部のフィン幅と前記ピンフィン上部のフィン幅との差が、前記ピンフィン下部のフィン幅の1%以上になっていることが好ましい。
【0014】
また、前記ピンフィンのフィン幅は2~20mmであることが好ましい。
【0015】
また、前記スリットの溝幅は、前記ピンフィンのフィン幅に対して0.5~10倍であることが好ましい。
【0016】
また、前記ピンフィンの高さ寸法は、1~300mmであることが好ましい。
【0017】
また、本発明は、複数のピンフィンを備えるヒートシンクの製造方法であって、被切削ブロックの端面から所定の深さとなる位置まで切削して、交差する複数のスリットを形成する第一段加工工程と、前記第一段加工工程後に、前記第一段加工工程よりも深い位置まで切削して、交差する複数のスリットを形成することで複数の前記ピンフィンを形成する第二段加工工程と、を含み、前記第一段加工工程によって切削する前記スリットの溝幅を、前記第二段加工工程によって切削する前記スリットの溝幅よりも大きく設定することを特徴とする。
【0018】
また、前記第一段加工工程の前に、前記被切削ブロックの周縁部のうち、前記スリットが形成されない領域であって、前記被切削ブロックの側面を含む部分を切除する切除工程をさらに備えることが好ましい。
【0019】
また、前記第一段加工工程及び前記第二段加工工程の少なくとも一方において、被切削ブロックの端面からの挿入深さを変えて、複数回にわたって切削を行うことが好ましい。
【0020】
また、前記第一段加工工程において、交差する複数のスリットを形成した後、前記第二段加工工程において、交差する複数のスリットを形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るヒートシンク及びヒートシンクの製造方法によれば、成形精度を高めるとともに、ピンフィンの高さを容易に大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第一実施形態に係るヒートシンクを示す斜視図である。
図2】第一実施形態に係るピンフィンの拡大斜視図である。
図3】第一実施形態に係るヒートシンクの平面図である。
図4】第一実施形態に係るヒートシンクをP方向から見た側面図である。
図5】第一実施形態に係るヒートシンクをQ方向から見た側面図である。
図6】本発明の第一実施形態に係るヒートシンクの製造方法のマルチカッターを示す平面図である。
図7】第一実施形態に係るヒートシンクの製造方法の円盤型カッターを示す正面図である。
図8】第一実施形態に係るヒートシンクの製造方法のマルチカッターを示す拡大平面図である。
図9】第一実施形態に係るヒートシンクの製造方法の準備工程を示す斜視図である。
図10】第一実施形態に係るヒートシンクの製造方法の切除工程を示す斜視図である。
図11】第一実施形態に係るヒートシンクの製造方法の第一段加工工程の第一工程を示す側面図である。
図12】第一実施形態に係るヒートシンクの製造方法の第一段加工工程の第二工程を示す側面図である。
図13】第一実施形態に係るヒートシンクの製造方法の第二段加工工程の第一工程を示す側面図である。
図14】第一実施形態に係るヒートシンクの製造方法の第二段加工工程の第二工程を示す側面図である。
図15】第二実施形態に係るヒートシンクの製造方法の第一段加工工程の第一工程の1パス目を示す側面図である。
図16】第二実施形態に係るヒートシンクの製造方法の第一段加工工程の第一工程の2パス目を示す側面図である。
図17】第三実施形態に係るヒートシンクの製造方法の挿入治具を示す斜視図である。
図18】第三実施形態に係るヒートシンクの製造方法の第二段加工工程を示す平面図である。
図19】第三実施形態に係るヒートシンクの製造方法の第二段加工工程を示す側面図である。
図20】ピンフィンの第一変形例を示す斜視図である。
図21】ピンフィンの第二変形例を示す斜視図である。
図22】評価試験の結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[1.第一実施形態]
本発明の第一実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。本発明は以下の実施形態のみに限定されるものではない。また、実施形態及び変形例における構成要素は、一部又は全部を適宜組み合わせることができる。また、同一部材については符号の付与を省略する場合がある。また、説明の便宜上、図面の各部材の寸法については実際の寸法とは変えて描画している。また、以下の説明における「P方向」、「Q方向」とは水平面上において互いに直交する方向であって、図1の矢印に従う。
【0024】
図1に示すように、本発明の第一実施形態に係るヒートシンク1は、基体2と、基体2にそれぞれ独立して立設される複数のピンフィン3とを備えている。ヒートシンク1は、ピンフィン3の間に液体又は気体を流通させて、半導体などの発熱体を冷却する部材である。基体2に対するピンフィン3の本数は、あくまで例示であって、適宜設定すればよい。
【0025】
ヒートシンク1は、一の金属部材を切削して一体成形されている。ヒートシンク1の材料は、切削可能であれば制限されないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等である。なお、ヒートシンク1は、金属、セラミック、樹脂等の複合体であってもよい。
【0026】
ヒートシンク1を形成する金属部材は、熱伝導性の観点からは、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、及び銅合金からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。また、ヒートシンク1を形成する金属部材は、熱伝導性及び軽量性の観点からは、アルミニウム、及びアルミニウム合金からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。用いられるアルミニウム合金は特に限定されないが、加工性の観点からは、例えば、1000系、3000系、5000系、6000系のアルミニウム合金を好適に用いることができる。これらのアルミニウム合金中でも、例えば、A1050、A3003、A5052、A6063を用いることができる。
【0027】
基体2は、板状を呈する。基体2は、本実施形態では平面視矩形になっている。ピンフィン3は、基体2に対して垂直に立ち上がっている。ピンフィン3は、ピンフィン3同士のスリット(隙間)を流通する液体又は気体等の冷媒と接触する部位である。
【0028】
図2にも示すように、ピンフィン3は、細長い直方体であって、基体2に連続するピンフィン下部10と、ピンフィン下部10に連続して伸長するピンフィン上部11とを備えている。ピンフィン3は、ピンフィン下部10に対してピンフィン上部11が若干細くなっている。ピンフィン上部11の長さ(ピンフィン3の全体に対するピンフィン11の長さ)は、適宜設定すればよい。
【0029】
ピンフィン下部10及びピンフィン上部11の横断面の形状は、本実施形態ではいずれも正方形である。また、ピンフィン下部10及びピンフィン上部11の横断面の形状は、本実施形態では相似になっている。なお、本明細書において「横断面」とは、基体2から立ち上がるピンフィン3の高さ方向(軸方向)に対して垂直な平面をいう。また、ピンフィン下部10の軸心(軸方向の中心)G1とピンフィン上部11の軸心(軸方向の中心)G2とは一致している。
【0030】
したがって、本実施形態では、ピンフィン下部10のフィン幅XA,XBはいずれも同一であり、ピンフィン上部11のフィン幅XC,XDはいずれも同一である。ピンフィン下部10のフィン幅XA(XB)とピンフィン上部11のフィン幅XC(XD)との差は0.1mm以上で適宜設定すればよい。
【0031】
また、本実施形態では、ピンフィン下部10の側面10aとピンフィン上部11の側面11aとの段差寸法YA、ピンフィン下部10の側面10bとピンフィン上部11の側面11bとの段差寸法YBはいずれも同一になっている。例えば、ピンフィン下部10のフィン幅XA(XB)とピンフィン上部11のフィン幅XC(XD)との差を0.1mmとした場合、段差寸法YA,YBは、いずれも0.05mmとなる。段差寸法YA,YBは、適宜設定すればよく、両者が同じであってもよく、異なってもよい。
【0032】
また、ピンフィン下部10のフィン幅XA(XB)とピンフィン上部11のフィン幅XC(XD)との差は、適宜設定すればよいが、例えば、本実施形態ではピンフィン下部10のフィン幅XA(XB)の1%以上となるように設定している。言い換えれば、ピンフィン下部10のフィン幅XA(XB)に対して、ピンフィン上部11のフィン幅XC(XD)が、99%以下となるように、それぞれのフィン幅を設定している。
【0033】
ピンフィン3のフィン幅XA(XB)は2~20mmであり、好ましくは2.5~10mmであり、より好ましくは3~8mmである。また、ピンフィン3の高さ寸法は、1~300mmであり、好ましくは10~200mmであり、より好ましくは20~150mmである。ピンフィン3のバリエーションについては後記する。
【0034】
図3に示すように、隣り合うピンフィン3,3同士の間には、複数のスリット(隙間)が形成されている。本実施形態では、P方向に形成されるスリットを第一スリット21とし、P方向に直交するQ方向に形成されるスリットを第二スリット22とする。複数の第一スリット21は、いずれも同じ溝幅で、直線状且つそれぞれ平行に形成されている。また、複数の第二スリット22は、いずれも同じ溝幅で、直線状且つそれぞれ平行に形成されている。さらに、複数の第二スリット22は、複数の第一スリット21と交差して形成されている。第一スリット21と第二スリット22の溝幅は、異なってもよいが、本実施形態ではいずれも同じ間隔になっている。ピンフィン3は、本実施形態では格子状に配置されている。また、本実施形態のヒートシンク1は、横断面の形状が正方形となるピンフィン3のみを備えており、基体2の周縁部に位置する、横断面の形状が正方形の一部を欠いた三角形若しくは五角形となっているピンフィンは含まれていない。
【0035】
図4は、第一実施形態に係るヒートシンクをP方向から見た側面図である。図4に示すように、第一スリット21は、第一スリット下部21aと、第一スリット上部21bとで構成されている。第一スリット上部21bの溝幅W2は、第一スリット下部21aの溝幅W1よりも大きくなっている。溝幅W1,W2は高さ方向でそれぞれ一定である。
【0036】
図5は、第一実施形態に係るヒートシンクをQ方向から見た側面図である。図5に示すように、第二スリット22は、第二スリット下部22aと、第二スリット上部22bとで構成されている。第二スリット上部22bの溝幅W4は、第二スリット下部22aの溝幅W3よりも大きくなっている。溝幅W3,W4は高さ方向でそれぞれ一定である。
【0037】
第一スリット下部21aの溝幅W1と、第二スリット下部22aの溝幅W3とは、異なる寸法であってもよいが、本実施形態では同じ寸法になっている。
同様に、第一スリット上部21bの溝幅W2と、第二スリット上部22bの溝幅W4とは、異なる寸法であってもよいが、本実施形態では同じ寸法になっている。
スリットの溝幅と、ピンフィン3のフィン幅は、適宜設定すればよいが、例えば、第一スリット下部21aの溝幅W1は、ピンフィン3のフィン幅XAに対して0.5~5倍であることが好ましく、0.8~4倍であることがより好ましく、1~3倍であることがさらに好ましい。また、例えば、第一スリット上部21bの溝幅W2は、ピンフィン3のフィン幅XCに対して0.5~10倍であることが好ましく、0.8~8倍であることがより好ましく、1~5倍であることがさらに好ましい。
【0038】
ピンフィン3とスリットとの関係をまとめると以下のようになる。
ピンフィン3は、互いに隣接する第一スリット21と、互いに隣接する第二スリット22とに周囲を囲まれて配列されている。
ピンフィン下部10及びピンフィン上部11は、横断面において、互いに平行な一組の対辺と、前記一組の対辺と交差して互いに平行な他の一組の対辺とからなる四角形状をなす柱状を呈する。一の一組の対辺において、ピンフィン下部10の側面10a及びピンフィン上部11の側面11aは第一スリット21に面しており、他の一組の対辺において、ピンフィン下部10の側面10b及びピンフィン上部11の側面11bは、第二スリット22に面している。また、ピンフィン下部10の側面10a(10b)と、ピンフィン上部11の側面11a(11b)とが平行になっている。
【0039】
次に、本発明の第一実施形態に係るヒートシンクの製造方法について説明する。ヒートシンクの製造方法では、準備工程と、切除工程と、第一段加工工程と、第二段加工工程とを行う。
【0040】
まずは、第一段加工工程及び第二段加工工程で用いるマルチカッターについて説明する。図6に示すように、第一段加工工程で用いるマルチカッターMは、軸部M1と、間隔をあけて複数枚積層された円盤型カッターM2と、を備えている。マルチカッターMは、軸部M1及び円盤型カッターM2が回転して金属部材を切削し、一度に複数枚の板状部材(例えば、フィン)を形成することができる装置である。回転するマルチカッターMを金属部材に挿入して切削を行う場合、ダウンカットで行ってもよく、アップカットで行ってもよい。
【0041】
図7に示すように、円盤型カッターM2は、円形を呈するカッターであって、周縁部に複数の刃M2aが設けられている。図8に示すように、隣り合う円盤型カッターM2同士は、隙間Jをあけて等間隔に配置されている。隙間Jの寸法で、ピンフィン3のフィン幅XA,XB,XC,XDの寸法を設定することができる。一方、円盤型カッターM2の板厚Kで、第一スリット21及び第二スリット22の溝幅W1,W2,W3,W4の寸法を設定することができる。本実施形態では、円盤型カッターM2の板厚Kは、第一スリット上部21bの溝幅W2、及び第二スリット上部22bの溝幅W4と等しくなっている。
【0042】
準備工程は、図9に示すように、被切削ブロック50を用意する工程である。被切削ブロック50は、基体2と、ブロック体51とを有し、一体成形されている。ブロック体51は、立方体を呈する。ブロック体51は、端面(上面)51Aと、四つの側面51Bと、を備えている。ブロック体51の端面51Aを構成する各辺を辺部51a,51b,51c,51dとする。また、ブロック体51の各頂点を頂点51e,51f,51g,51hとする。
【0043】
切除工程は、図10に示すように、ブロック体51の各側面51Bを切除する工程である。各側面51Bには、高さ方向に平行な半円柱状の凹溝部53が複数個形成される。凹溝部53は、例えば、エンドミルで切削して形成することができる。凹溝部53は、本実施形態では、ブロック体51全周囲に亘って形成されている。凹溝部53の深さは、最終的なピンフィン3の全長、すなわち、ピンフィン上部11の高さ寸法とピンフィン下部10の高さ寸法の和と同一になっている。
【0044】
切除工程を行わない場合には、第一段加工工程及び第二段加工工程を行った後、基体2の端に半端なピンフィンが形成される場合がある。半端なピンフィンは、第一スリット21及び第二スリット22に面する少なくとも二つの側面を有するとともに、第一スリット21及び第二スリット22に面しない他の側面を有している。半端なピンフィンは、切削前の被切削ブロック50の側面51Bの一部を、第一スリット21及び第二スリット22に面しない他の側面として有している。切除工程では、被切削ブロック50の周縁部において、半端なピンフィンが形成されうる位置を含む領域を切除する。
【0045】
より具体的には、被切削ブロック50の周縁部のうち、第一段加工工程及び第二段加工工程においてマルチカッターMによる切削を受けずに第一スリット21及び第二スリット22が形成されない領域であって、被切削ブロック50の側面51Bの一部を含む部分を予め切除すればよい。このとき、ピンフィン3及び半端なピンフィンが形成される配置間隔に合わせて、ブロック体(被切削ブロック)51の側面部を平面視した形状が、半円(欠円)又は三角形が繰り返されて、波状又はジグザグ状となるように、波加工又はジグザグ加工を行うことが好ましい。また、半円(欠円)又は三角形の被切削ブロック50の周縁端からの高さが、少なくともピンフィン3の対角線の長さ分の幅となるように、波加工又はジグザグ加工を行うことが好ましい。
【0046】
第一段加工工程は、図11及び図12に示すように、マルチカッターMを用いて、第一スリット上部21b及び第二スリット上部22bを形成して、ピンフィン上部11を形成する工程である。第一段加工工程では、第一工程と、第二工程とを行う。第一工程と第二工程とは、第一工程において複数のスリットを形成した後に、第二工程では、第一工程において形成された複数のスリットと交差する、複数のスリットを形成する関係にある。
【0047】
第一工程では、図11に示すように、頂点51eの直上に設定された仮想点S1からマルチカッターMを所定の深さZ1で挿入し、ブロック体(被切削ブロック)51の先端部分を切削する。仮想点S1、仮想点S2、仮想点S3及び仮想点S4は、マルチカッターMの軸部M1の軸心が通る位置である。仮想点S1,S2は、頂点51eの直上に設定されている。仮想点S3,S4は、頂点51fの直上に設定されている。頂点51eから仮想点S2までの距離と、頂点51fから仮想点S3までの距離は同じになっている。なお、深さZ1、及び後述する深さZ2,Z3は、Z1が最も小さく、Z2,Z3はZ1よりも大きく、Z3はZ1,Z2よりも大きい関係となっている。
【0048】
まず、第一工程では、マルチカッターMの軸部M1の軸心を仮想点S1に位置させ、マルチカッターMを鉛直下方に移動させて軸部M1の軸心を仮想点S2に位置させる。これにより、頂点51eから所定の深さZ1となる位置まで円盤型カッターM2が挿入される。当該所定の深さZ1は、ピンフィン上部11の高さ寸法と同一である。次に、マルチカッターMの軸部M1を端面51Aと平行に、つまり、所定の深さZ1を保った状態で仮想点S3まで移動させる。軸部M1の軸心が仮想点S3に達したら、そのまま直上に引き上げて仮想点S4までマルチカッターMを移動させる。これにより、P方向と平行な複数の第一スリット上部21bが形成される。
【0049】
第二工程では、図12に示すように、頂点51gの直上に設定された仮想点S5からマルチカッターMを所定の深さZ1で挿入し、ブロック体(被切削ブロック)51の先端部分を切削する。仮想点S5、仮想点S6、仮想点S7及び仮想点S8は、マルチカッターMの軸部M1の軸心が通る位置である。仮想点S5,S6は、頂点51gの直上に設定されている。仮想点S7,S8は、頂点51hの直上に設定されている。頂点51gから仮想点S6までの距離と、頂点51hから仮想点S7までの距離は同じになっている。
【0050】
まず、第二工程では、マルチカッターMの軸部M1の軸心を仮想点S5に位置させ、マルチカッターMを鉛直下方に移動させて軸部M1の軸心を仮想点S6に位置させる。これにより、頂点51gから所定の深さZ1となる位置まで円盤型カッターM2が挿入される。当該所定の深さZ1は、ピンフィン上部11の高さ寸法と同一である。つまり、当該所定の深さZ1は、第一工程と同じ深さである。次に、マルチカッターMの軸部M1を端面51Aと平行に、つまり、所定の深さZ1を保った状態で仮想点S7まで移動させる。軸部M1の軸心が仮想点S7に達したら、そのまま直上に引き上げて仮想点S8までマルチカッターMを移動させる。これにより、Q方向と平行な複数の第二スリット上部22bが形成されるとともに、複数のピンフィン上部11が形成される。
【0051】
第二段加工工程は、図13及び図14に示すように、マルチカッターMAを用いて、第一スリット下部21a及び第二スリット下部22aを形成して、ピンフィン下部10を形成する工程である。マルチカッターMAは、軸部MA1と、間隔をあけて複数枚積層された円盤型カッターMA2と、を備えている。円盤型カッターMA2の板厚KA(図示略)は、円盤型カッターM2の板厚Kよりも薄くなっている。より詳しくは、マルチカッターMAは、マルチカッターMの円盤型カッターM2と取付け位置は同じとし、円盤型カッターM2の板厚KAだけを薄くしている。本実施形態では、円盤型カッターMA2の板厚KAは、第一スリット下部21aの溝幅W1、及び第二スリット下部22aの溝幅W3と等しくなっている。
【0052】
第二段加工工程では、上段工程と、下段工程とを行う。つまり、第二段加工工程では、端面51Aからの所定の深さ(挿入深さ)を変えて、2段階に分けて切削を行う。上段工程では、第一工程と、第二工程とを行う。
【0053】
上段工程の第一工程では、図13に示すように、頂点51eの直上に設定された仮想点S11からマルチカッターMAを所定の深さZ2で挿入し、ブロック体(被切削ブロック)51の中段部分を切削する。仮想点S11、仮想点S12、仮想点S13及び仮想点S14は、マルチカッターMAの軸部MA1の軸心が通る位置である。仮想点S11,S12は、頂点51eの直上に設定されている。仮想点S13,S14は、頂点51fの直上に設定されている。頂点51eから仮想点S12までの距離と、頂点51fから仮想点S13までの距離は同じになっている。
【0054】
まず、上段工程の第一工程では、マルチカッターMAの軸部MA1の軸心を仮想点S11に位置させ、マルチカッターMAを鉛直下方に移動させて軸部MA1の軸心を仮想点S12に位置させる。これにより、頂点51eから所定の深さZ2となる位置まで円盤型カッターMA2が挿入される。当該所定の深さZ2は、ピンフィン上部11の高さ寸法とピンフィン下部10の高さ寸法の半分の和と同一である。次に、マルチカッターMAの軸部MA1を端面51Aと平行に、つまり、所定の深さZ2を保った状態で仮想点S13まで移動させる。軸部MA1が仮想点S13に達したら、そのまま直上に引き上げて仮想点S14までマルチカッターMAを移動させる。これにより、P方向と平行な複数の第一スリット下部21aの上段部分が形成される。
【0055】
上段工程の第二工程では、図14に示すように、頂点51gの直上に設定された仮想点S15からマルチカッターMAを所定の深さZ2で挿入し、ブロック体(被切削ブロック)51の中段部分を切削する。仮想点S15、仮想点S16、仮想点S17及び仮想点S18は、マルチカッターMAの軸部MA1の軸心が通る位置である。仮想点S15,S16は、頂点51gの直上に設定されている。仮想点S17,S18は、頂点51hの直上に設定されている。頂点51gから仮想点S16までの距離と、頂点51hから仮想点S17までの距離は同じになっている。
【0056】
まず、上段工程の第二工程では、マルチカッターMAの軸部MA1の軸心を仮想点S15に位置させ、マルチカッターMAを鉛直下方に移動させて軸部MA1の軸心を仮想点S16に位置させる。これにより、頂点51gから所定の深さZ2となる位置まで円盤型カッターMA2が挿入される。所定の深さZ2は、ピンフィン上部11の高さ寸法とピンフィン下部10の高さ寸法の半分の和と同一である。つまり、当該所定の深さZ2は、上段工程の第一工程と同じ深さである。次に、マルチカッターMAの軸部MA1を端面51Aと平行に、つまり、所定の深さZ2を保った状態で仮想点S17まで移動させる。軸部MA1の軸心が仮想点S17に達したら、そのまま直上に引き上げて仮想点S18までマルチカッターMAを移動させる。これにより、Q方向と平行な複数の第二スリット下部22aの上段部分が形成される。
【0057】
下段工程は、具体的な図示は省略するが、マルチカッターMAを用いて第一工程と、第二工程を行う。下段工程の第一工程は、挿入深さ(所定の深さ)を除いて上段工程の第一工程と同じである。下段工芸の第二工程は、挿入深さ(所定の深さ)を除いて上段工程の第二工程と同じである。図14に示すように、下段工程の所定の深さZ3は、ピンフィン3の全長と同じである。これにより、複数の第一スリット下部21aの下段部分、及び
複数の第二スリット下部22aの下段部分が形成されるとともに、複数のピンフィン下部10が形成されて、ヒートシンク1が形成される。
【0058】
以上説明した第一実施形態に係るヒートシンク1及びヒートシンクの製造方法によれば、第一スリット21及び第二スリット22のピンフィン上部11に対応する溝幅W2,W4は、当該第一スリット21及び当該第二スリット22のピンフィン下部10に対応する溝幅W1,W3よりも大きくなっている。これにより、第二段加工工程を行う際に、マルチカッターMAの円盤型カッターMA2が成形途中のピンフィン3に接触するのを防ぐことができる。これにより、成形精度を高めつつ、ピンフィン3の高さを容易に大きくすることができる。
【0059】
また、本実施形態のように、ピンフィン下部10とピンフィン上部11とは側面視で段差状になっており、ピンフィン上部11のフィン幅XC(XD)はピンフィン下部10のフィン幅XA(XB)よりも小さくなっていることが好ましい。なお、本明細書において「側面視」とは、基体2から立ち上がるピンフィン3の高さ方向(軸方向)に対して直行する方向から視認した状態をいう。例えば、本実施形態のような板厚が異なる円盤型カッターM2,MA2を備えるマルチカッターM,MAを用いることで、ピンフィン下部10とピンフィン上部11とを容易に段差状にすることができる。
【0060】
また、本実施形態のように、ピンフィン下部10の形状とピンフィン上部11の形状とが相似になっているため、液体や気体等の流体の流れの偏りを小さくすることができる。さらに、ピンフィン下部10の軸心G1(軸方向の中心)とピンフィン上部11の軸心G2(軸方向の中心)とを一致させることで、流体の流れの偏りをより小さくすることができる。
【0061】
また、ピンフィン下部10のフィン幅XA(XB)とピンフィン上部11のフィン幅XC(XD)との差が0.1mm以上であることが好ましい。また、ピンフィン下部10とピンフィン上部11との段差寸法YA,YBが0.05mm以上であることが好ましい。また、ピンフィン下部10のフィン幅XA(XB)とピンフィン上部11のフィン幅XC(XD)との差が、ピンフィン下部10のフィン幅XA(XB)の1%以上になっていることが好ましい。このようにすることで、成形途中のピンフィン3と円盤型カッターM2,MA2との接触を回避しつつ、ピンフィン下部10とピンフィン上部11とのフィン幅の差を極力小さくすることで、熱交換効率の低下を防ぐことができる。
【0062】
また、スリットの溝幅W1(W3)は、ピンフィン3のフィン幅XA(XB)に対して0.5~10倍であることが好ましい。また、ピンフィン3の高さ寸法は、1~300mmであることが好ましい。
【0063】
ここで、第一段加工工程及び第二段加工工程を行った後、基体2の端に半端なピンフィンが形成される場合がある。半端なピンフィンが発生すると、当該半端なピンフィンがマルチカッターM,MAと接触し易くなり、他のピンフィン3や円盤型カッターM2,MA2が変形したり、破損したりする。この点、本実施形態では、切除工程を行うことで、被切削ブロック50の周縁部を予め切除する。これにより、基体2の端に半端なフィンが形成されないため、ピンフィン3や円盤型カッターM2,MA2の変形、破損を防ぐことができる。また、切除工程では、波加工又はジグザグ加工を行うことで、被切削ブロック50のうち、正常なピンフィンが形成される部分を残すとともに、半端なピンフィンが形成される部分を切除して半端なピンフィンが形成されないようにすることができる。
【0064】
またここで、マルチカッターM,MAの切削深さ(実際にブロック体を切削する深さ)を大きくすると、切削抵抗も大きくなるため円盤型カッターM2,MA2が板厚方向にぶれやすくなり(暴れやすくなり)、円盤型カッターM2,MA2と成形中のピンフィン3とが接触し易くなるという問題がある。
【0065】
この点、第二段加工工程のように、切削深さ(所定の深さZ3-所定の深さZ1(図14参照))が大きい場合、一度に加工しようとすると切削抵抗が大きくなるが、本実施形態のように挿入深さを小さくして複数回に分けて切削することで、成形途中のピンフィン3と円盤型カッターMA2との接触を回避できるため、成形精度を高めることができる。
【0066】
一方、例えば、本実施形態の第一段加工工程のように、挿入深さ(所定の深さZ1)が小さい場合は、一度の加工で完結してもよい。第一段加工工程では、切削抵抗も小さいため、一度の加工で完結することで作業効率を高めることができる。
【0067】
なお、第一段加工工程の挿入深さを複数回に分け設定して切削してもよいし、第二段加工工程を一度で切削してもよい。
【0068】
また、第一段加工工程において、交差する複数のスリット、つまり、第一スリット上部21b及び第二スリット上部22bをそれぞれ形成した後、第二段加工工程において、交差する複数のスリット、つまり、第一スリット下部21a及び第二スリット下部22aを形成することが好ましい。これにより、マルチカッターMとマルチカッターMAとの交換回数を少なくすることができるため、作業効率を高めることができる。
【0069】
[2.第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係るヒートシンクの製造方法について説明する。前記した第一段加工工程及び第二段加工工程では、1パスで切削を行った。第二実施形態では、第一段加工工程及び第二段加工工程を2パスで行う点で第一実施形態と相違する。本実施形態では、第一実施形態と相違する点を中心に説明する。
【0070】
第二実施形態に係る第一段加工工程の第一工程では、図15に示すように、頂点51eの直上に設定された仮想点S1からマルチカッターMを所定の深さZ1で挿入し、ブロック体(被切削ブロック)51の先端部分を切削する。仮想点S1、仮想点S2,仮想点S9及び仮想点S10は、マルチカッターMの軸部M1の軸心が通る位置である。仮想点S1,S2は、頂点51eの直上に設定されている。仮想点S3,S4は、頂点51fの直上に設定されている。仮想点S9,S10は、ブロック体51の中心51j(図9も参照)の直上に設定されている。頂点51eから仮想点S2までの距離と、中心51jから仮想点S9までの距離は同じになっている。
【0071】
まず、第一工程では、1パス目として、マルチカッターMの軸部M1の軸心を仮想点S1に位置させ、マルチカッターMを鉛直下方に移動させて軸部M1の軸心を仮想点S2に位置させる。これにより、頂点51eから所定の深さZ1となる位置まで円盤型カッターM2が挿入される。当該所定の深さZ1は、ピンフィン上部11の高さ寸法と同一である。次に、マルチカッターMの軸部M1を端面51Aと平行に、つまり、所定の深さZ1を保った状態で仮想点S9まで移動させる。軸部M1の軸心が仮想点S9に達したら、そのまま直上に引き上げて仮想点S10までマルチカッターMを移動させる。なお、仮想点S9の位置でマルチカッターMを引き上げる際には、仮想点S9に達したらマルチカッターMの回転を停止して、回転が停止した状態で引き上げを行う。
【0072】
次に、第二実施形態に係る第一段加工工程の第一工程では、2パス目として、マルチカッターMの軸部M1の軸心を仮想点S4に位置させ、マルチカッターMを鉛直下方に移動させて軸部M1の軸心を仮想点S3に位置させる。これにより、頂点51fから所定の深さZ1となる位置まで円盤型カッターM2が挿入される。当該所定の深さZ1は、ピンフィン上部11の高さ寸法と同一である。次に、マルチカッターMの軸部M1を端面51Aと平行に、つまり、所定の深さZ1を保った状態で仮想点S9まで移動させる。軸部M1の軸心が仮想点S9に達したら、そのまま直上に引き上げて仮想点S10までマルチカッターMを移動させる。これにより、P方向と平行な複数の第一スリット上部21bが形成される。
【0073】
以上説明した第二実施形態に係るヒートシンクの製造方法のように、第一段加工工程及び第二段加工工程を行う際に、ブロック体51の途中でマルチカッターM(マルチカッターMA)をブロック体51から一旦離脱させつつ、再度挿入して複数回(複数パス)に亘って切削を行ってもよい。これにより、特に、切削長さが大きい場合において成形精度を高めることができる。
【0074】
なお、本実施形態では、挿入位置が頂点51e又は頂点51fとなるようにしたが、中心51jから挿入しつつ、頂点51e又は頂点51fで離脱させるようにしてもよい。また、第二段加工工程においても、本実施形態のように複数パスで切削してもよい。
【0075】
第二実施形態に係るヒートシンクの製造方法によれば、第二段加工工程を行う際に、マルチカッターMAの円盤型カッターMA2が成形途中のピンフィン3に接触するのをより回避しやすくなる。
【0076】
[3.第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係るヒートシンクの製造方法について説明する。図17は、第三実施形態に係るヒートシンクの製造方法で用いる挿入治具60を示す斜視図である。図17に示すように、挿入治具60は、連結軸61と、複数の挿入部材62とを備えている。挿入治具60は、ブロック体(被切削ブロック)51に形成された成形途中のピンフィン3,3の間のスリットに挿入されて、この状態でブロック体(被切削ブロック)51の切削を行うことで、第一スリット21又は第二スリット22を形成するために用いられる。
【0077】
連結軸61は、挿入部材62の一端側を貫通する棒状部材である。挿入部材62は、板状部材である。挿入部材62の板厚は、成形途中の隣り合うピンフィン3,3同士のスリットに隙間無く入る寸法であることが好ましい。隣り合う挿入部材62,62同士の隙間は、ピンフィン下部10のフィン幅XA(XB)と同じになっている。挿入部材62の他端側には円弧状の切欠き部62aが形成されている。挿入部材62の板厚は、スリットの大きさに応じて適宜変更することができる。また、挿入部材62,62の隙間寸法はピンフィン3のフィン幅XA(XB)に応じて適宜変更することができる。
【0078】
図18及び図19に示すように、例えば、2パスで第二段加工工程を形成する際の下段工程の第一工程の2パス目において、成形途中のピンフィン3,3の間、すなわち1パス目で形成した切削途中の第一スリット下部21aの位置に挿入治具60を挿入してもよい。これにより、成形途中のピンフィン3の基端側が隣り合う挿入部材62,62同士で支持されるため、切削中にピンフィン3の先端側が幅方向に振れる(振動する)のを防ぐことができる。これにより、成形途中のピンフィン3と円盤型カッターM2,MA2との接触を回避することができるため、成形精度をより高めることができる。また、挿入部材62の他端側に切欠き部62aが形成されているため、挿入部材62とマルチカッターM,MAとの接触を回避することができる。
【0079】
なお、挿入部材62の長さや高さは、第一段加工工程及び第二段加工工程の切削形態に応じて適宜変更すればよい。
【0080】
[4.第一変形例]
図20は、ピンフィンの第一変形例を示す斜視図である。図20に示すように、第一変形例に係るピンフィン3Aは、軸心G1,G2同士がずれている点で前記した実施形態と相違する。
【0081】
ピンフィン3Aのピンフィン下部10の隣り合う側面10a,10bと、側面10a,10bのそれぞれ上方に位置し、ピンフィン上部11の隣り合う側面11a,11bとはそれぞれ面一になっている。一方、ピンフィン3Aのピンフィン下部10の隣り合う側面10c,10dと、側面10c,10dのそれぞれ上方に位置し、ピンフィン上部11の隣り合う側面11c,11dとでそれぞれ段差が形成されている。また、ピンフィン下部10の軸心(軸方向の中心)G1と、ピンフィン上部11の軸心(軸方向の中心)G2とがずれている。
【0082】
[5.第二変形例]
図21は、ピンフィンの第二変形例を示す斜視図である。図21に示すように、第二変形例に係るピンフィン3Bは、ピンフィン下部10に対して、ピンフィン上部11の向きが前記した実施形態と異なる。つまり、ピンフィン下部10に対して、ピンフィン上部11の向きが軸心G2周りに45度回転して配置されている。ピンフィン下部10の軸心(軸方向の中心)G1と、ピンフィン上部11の軸心(軸方向の中心)G2とは一致している。
【0083】
[6.その他]
第一変形例及び第二変形例のように、ピンフィン下部10とピンフィン上部11との位置関係、両者の形状、フィン幅、ピンフィン上部11の長さ等は、流通させる流体の種類やヒートシンクの用途に合わせて適宜形成すればよい。
【0084】
例えば、第一変形例のようにすれば、流体をわざと偏らせて流通させることもできる。また、第二変形例のようにすれば、ピンフィン下部10周りと、ピンフィン上部11周りとで流体の流れを変えることもできる。ピンフィン下部10とピンフィン上部11とは相似ではなく、異なる形状であってもよい。また、ピンフィン3は、基端側から先端側に向けて徐々に縮径する(フィン幅が小さくなる)形状であってもよい。
【0085】
また、例えば、ピンフィン3を三角柱としてもよい。この場合、互いに交差する、複数の第一スリット、複数の第二スリット、及び複数の第三スリットを設ければよい。また、ピンフィン3の横断面をひし形、平行四辺形、又は長方形としてもよい。また、本実施形態では、ブロック体51の対角線に沿ってマルチカッターM,MAを移動させて切削したが、例えば、辺部51aに対してマルチカッターM,MAの軸部M1,MA1を平行に配置して切削してもよい。また、本実施形態では、端面51Aに対して垂直にマルチカッターM,MAを挿入したが、斜めに挿入してもよい。ピンフィン3は、冷媒が流れる方向に対して千鳥格子状に配置されていることが好ましい。
【0086】
上述した実施形態及び変形例では、複数の第一スリット21が、直線状且つそれぞれ平行に形成されており、また、複数の第二スリット22が、直線状且つそれぞれ平行に形成されている場合を例示して説明した。複数の第一スリット21は、直線状且つ隣接するスリットが平行とならないように形成されてもよく、また、複数の第二スリット22は、直線状且つ隣接するスリットが平行とならないように形成されてもよい。例えば、複数の第一スリット21又は複数の第二スリット22は、傾きが異なる二種類の直線状のスリットが、ヒートシンク1上において互いに交差せずに交互に複数配置されたものとしてもよい。または、複数の第一スリット21又は複数の第二スリット22は、複数のスリットが、ヒートシンク1上において互いに交差せずに扇状に広がるように配置されたものとしてもよい。
【0087】
上述した実施形態及び変形例では、第一段加工工程において用いられる円盤型カッターM2の板厚Kを、第二段加工工程において用いられる円盤型カッターMA2の板厚KAよりも大きくすることで、第一スリット上部21bの溝幅W2、及び第二スリット上部22bの溝幅W4を、第一スリット下部21aの溝幅W1、及び第二スリット下部22aの溝幅W3よりも大きくする場合を例示して説明した。第一段加工工程において用いられる円盤型カッターM2及びマルチカッターMに代えて、第二段加工工程において用いられる円盤型カッターMA2及びマルチカッターMAを用いてもよい。このとき、第一段加工工程の第一工程では、まず、1回目の切削として、マルチカッターMAを仮想点S1から仮想点S2、仮想点S3、仮想点S4と移動させて、板厚KAと同じ幅のスリットを形成する。次に、2回目の切削として、1回目の切削位置から、第一スリット上部21bの溝幅W2と板厚KAとの差の分だけQ方向に平行移動させた位置において、同様にマルチカッターMAを仮想点S1から仮想点S2、仮想点S3、仮想点S4と移動させる。これにより、溝幅W2が板厚Kと同じ幅となる第一スリット上部21bが形成される。続いて、第一段加工工程の第二工程においても、第一工程と同様に行うことで、溝幅W4が板厚Kと同じ幅となる第二スリット上部22bスリットが形成される。このように、第一段加工工程及び第二段加工工程において用いられる円盤型カッター及びマルチカッターとして、板厚が同じものを共用する(連続して使用する)ことで、マルチカッターの交換作業の手間を省いて、作業効率を向上させることができる。
【0088】
上述した実施形態及び変形例では、第一工程と第二工程とを行う第一段加工工程を行った後に、第一工程と第二工程とを行う第二段加工工程を行う場合を例示して説明した。第一スリット上部21b、第二スリット上部22b、第一スリット下部21a、及び第二スリット下部22aの形成順序は適宜変更してもよい。例えば、第一段加工工程の第一工程を行い、第一スリット上部21bを形成して、その後に、第二段加工工程の第一工程を行い、第一スリット下部21aを形成してもよい。さらに続いて、第一段加工工程の第二工程を行い、第二スリット上部22bを形成した後に、第二段加工工程の第二工程を行い、第二スリット下部22aを形成してもよい。
【0089】
上述した実施形態及び変形例では、円盤型カッターM2,M2Aを備えるマルチカッターM,MAを用いて被切削ブロック50を切削して、第一スリット上部21b及び第二スリット上部22b、並びにピンフィン上部11及びピンフィン下部10を形成する場合を例示して説明した。被切削ブロック50の切削はこれに限られず、適宜変形することができる。例えば、一枚の円盤型カッターM2を単独で用いて切削を行ってもよい。また、例えば、ワイヤーソー、エンドミル、レーザー加工、放電加工等の公知の切削手段を用いることができる。本発明によれば、このような切削手段を用いた場合にも、第二段加工工程を行う際に、切削手段が成形途中のピンフィン3に接触するのを防ぐことができ、成形精度を高めつつ、ピンフィン3の高さを容易に大きくすることができる。
【0090】
また、第一段加工工程及び第二段加工工程は、マルチカッターM,MA及び被切削ブロック50の少なくとも一方を移動させて切削すればよい。
また、第一段加工工程、第二段加工工程は、三段階以上で切削してもよい。すなわち、溝幅が下段から上段に向けて三段階以上で大きくなるようにスリットを形成して、フィン幅が下段から上段に向けて三段階以上で小さくなるようにピンフィンを形成してもよい。この場合、第N段目と第N-1段目との関係が、第二段加工工程と第一段加工工程との関係を満たすようにすればよい。
【0091】
本発明のヒートシンクの製造方法では、第一段加工工程及び第二段加工工程を行う前に、ブロック体51の端面(上面)51Aを切削する切削工程を行ってもよい。切削工程は、切除工程の前に行ってもよく、後に行ってもよく、切除工程と同時に行ってもよい。切削は、例えば、エンドミルを用いて行うことができる。切削工程では、ブロック体51の端面51Aの任意の位置に対して切削を行うことができる。中でも、ブロック体51の端面51Aのうち、第一段加工工程及び第二段加工工程において、ピンフィン3が形成されうる位置を含む領域を切削することが好ましい。より具体的には、マルチカッターMによる切削を受けずに第一スリット21及び第二スリット22が形成されない領域であって、ブロック体51の端面51Aを含む部分を予め切削すればよい。これにより、第一段加工工程及び第二段加工工程を行った後に形成される、切削工程によって切削した所望の位置のピンフィン3の高さを、切削工程において切削した深さに応じて小さくすることができる。また、このとき、ピンフィン3が形成されうる一部の位置にのみ切削を行い、ピンフィン3が形成されうる他の位置に切削を行わないことで、ヒートシンク1が高さの異なるピンフィン3を備えるようにすることができる。
【0092】
[7.評価試験]
次に、本発明の評価試験について説明する。図22に示すように、評価試験では、比較例1及び実施例1~3に係るヒートシンクを製造し、成形されたヒートシンクのピンフィンの状況を評価した。製造されたピンフィンに欠損、折れが無い又は極めて少ない場合は「〇」(良好である)とし、欠損、折れが多い場合は「×」(不良である)とした。比較例1及び実施例1~3の条件は図22に示すとおりである。
【0093】
比較例1及び実施例1~3では、ピンフィンの高さは50mmとし、加工工程では、高さ方向に12.5mmの深さで4段階に分けて切削した。パス数の「1パス」は前記した第一実施形態と同様の形態で、「2パス」は前記した第二実施形態と同じ形態である。被切削ブロックの材質は、アルミニウム合金JIS A5052-H112とした。マルチカッターの回転数は2000rpmで、進行速度は800mm/minとした。ピンフィンの横断面形状は、ひし形(正方形)とした。
【0094】
比較例1のピンフィンのフィン幅は高さ方向に一定で3.0mmとした。スリット(第一スリット及び第二スリット)は、高さ方向に一定で3.0mmとした。比較例1では2パスで加工した。
【0095】
実施例1では、ピンフィン下部のフィン幅を3.5mmとし、ピンフィン上部のフィン幅を3.1mmとした。また、実施例1では、スリット下部の溝幅を2.0mmとし、スリット上部の溝幅を2.4mmとした。実施例1では2パスで加工した。
【0096】
実施例2では、ピンフィン下部のフィン幅を3.0mmとし、ピンフィン上部のフィン幅を2.6mmとした。また、実施例2では、スリット下部の溝幅を3.0mmとし、スリット上部の溝幅を3.4mmとした。実施例2では2パスで加工した。
【0097】
実施例3では、ピンフィン下部のフィン幅を3.0mmとし、ピンフィン上部のフィン幅を2.9mmとした。また、実施例3では、スリット下部の溝幅を3.0mmとし、スリット上部の溝幅を3.1mmとした。実施例3では1パスで加工した。
【0098】
比較例1では、ピンフィンの上端に欠損が多く発生し、不良となった。比較例1では4段目において欠損が多く発生した。つまり、ブロック体の端面(上面)から深い位置で切削を行う場合、円盤型カッターと成形中のピンフィンとが接触し易く、欠損や折れに繋がると考えらえる。
【0099】
これに対し、実施例1~3では、ピンフィンの欠損や折れは発生せず、良好であった。実施例1~3では、いずれもスリット下部よりもスリット上部の方が、溝幅が大きくなっている。これにより、成形中のピンフィンと円盤型カッターとの接触を回避することができ、深い位置まで切削を行うことができる。実施例3のようにピンフィン下部とピンフィン上部との段差が0.1mmの場合であっても良好な結果が得られた。また、実施例1~3については1パスでも2パスでも良好な結果が得られた。
【符号の説明】
【0100】
1 ヒートシンク
2 基体
3 ピンフィン
10 ピンフィン下部
11 ピンフィン上部
21 第一スリット(スリット)
21a 第一スリット下部
21b 第一スリット上部
22 第二スリット(スリット)
22a 第二スリット下部
22b 第二スリット上部
M マルチカッター
M1 軸部
M2 円盤型カッター
MA マルチカッター
MA1 軸部
MA2 円盤型カッター
XA,XB,XC,XD フィン幅
W1,W2,W3,W4 溝幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22