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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/48 20060101AFI20241022BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
H01L23/48 S
H01L23/48 G
H01L23/48 Q
H01L21/60 321E
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2021111610
(22)【出願日】2021-07-05
(65)【公開番号】P2023008226
(43)【公開日】2023-01-19
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 雅臣
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-152468(JP,A)
【文献】特開2015-207675(JP,A)
【文献】特開2000-332179(JP,A)
【文献】特開2019-220648(JP,A)
【文献】特開2008-305902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/48
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップと、
フレームと、
前記フレームから突出した突起と、
前記突起が挿入される突起挿入部が形成され、前記フレームと直接接触し、前記半導体チップと前記フレームとを電気的に接続するリードと、
前記突起と前記リードを接合する第1接合材と、
を備え
前記第1接合材は、前記突起挿入部を形成する前記リードの側面と、前記突起との間に設けられることを特徴とする半導体装置
【請求項2】
前記第1接合材は、非導電性であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
半導体チップと、
フレームと、
前記フレームから突出した突起と、
前記突起が挿入される突起挿入部が形成され、前記フレームと直接接触し、前記半導体チップと前記フレームとを電気的に接続するリードと、
前記突起と前記リードを接合する第1接合材と、
を備え、
前記フレームと前記リードは面接触することを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
前記リードと前記半導体チップは第2接合材で接合され、
前記リードには前記第2接合材を露出させる開口が形成されることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記突起挿入部は貫通孔であることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記突起挿入部は非貫通孔であることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記突起挿入部は、前記リードの端部に形成された切り欠きであることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記リードには、前記突起挿入部が複数形成されることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記フレームと前記突起は同一部品であり、同じ材料から形成されていることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
半導体チップと、
フレームと、
前記フレームから突出した突起と、
前記突起が挿入される突起挿入部が形成され、前記フレームと直接接触し、前記半導体チップと前記フレームとを電気的に接続するリードと、
前記突起と前記リードを接合する第1接合材と、
前記半導体チップを収納するケースと、
を備え、
前記突起は前記ケースの一部であることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
前記突起は、前記フレームを貫通して前記フレームから突出することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
半導体チップと、
フレームと、
前記フレームから突出した突起と、
前記突起が挿入される突起挿入部が形成され、前記フレームと直接接触し、前記半導体チップと前記フレームとを電気的に接続するリードと、
前記突起と前記リードを接合する第1接合材と、
を備え、
前記突起は非導電性であることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
前記突起挿入部は、前記フレームから前記突起が延びる方向から見て多角形であり、
前記突起は、前記フレームから前記突起が延びる方向から見て多角形であり、前記リードが前記突起を軸に回転することを妨げるように設けられていることを特徴とする請求項1から1の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記突起の前記フレームからの高さは2mm以下であることを特徴とする請求項1から1の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記半導体チップはワイドバンドギャップ半導体から形成されていることを特徴とする請求項1から1の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記ワイドバンドギャップ半導体は、炭化珪素、窒化ガリウム系材料またはダイヤモンドであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項17】
半導体チップと、
前記半導体チップを収納するケースと、
フレームと、
前記フレームの主面と接合材で接合され、前記半導体チップと前記フレームとを電気的に接続するリードと、
を備え、
前記ケースは、前記主面から突出した凸部を有し、
前記凸部は、前記主面と前記リードとの接合部の周囲に設けられることを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
前記接合部は、前記主面と垂直な方向から見て前記凸部に挟まれることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記リードの端部は、前記主面と垂直な方向から見て前記凸部に囲まれることを特徴とする請求項1または1に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記凸部の線膨張係数は、前記フレームの線膨張係数よりも小さいことを特徴とする請求項1から19の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項21】
前記半導体チップはワイドバンドギャップ半導体から形成されていることを特徴とする請求項1から2の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項22】
前記ワイドバンドギャップ半導体は、炭化珪素、窒化ガリウム系材料またはダイヤモンドであることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項23】
半導体チップとリードを電気的に接続し、
フレームから突出する突起を前記リードに形成された突起挿入部に挿入し、前記フレームと前記リードを直接接触させて電気的に接続した状態で、前記突起と前記リードを接合し、
前記突起と前記リードを接合する接合材は、前記突起挿入部を形成する前記リードの側面と、前記突起との間に設けられることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項24】
前記フレームと前記突起を一体成形することを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項25】
半導体チップとリードを電気的に接続し、
レームを、前記半導体チップを収納するケースにインサート成形し、
前記フレームから突出する突起を前記リードに形成された突起挿入部に挿入し、前記フレームと前記リードを直接接触させて電気的に接続した状態で、前記突起と前記リードを接合し、
前記突起は前記ケースの一部であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項26】
フレームを、半導体チップを収納するケースにインサート成形して、前記ケースに前記フレームの主面から突出する凸部を形成し、
前記主面とリードとを接合材で接合して、前記リードで前記半導体チップと前記フレームとを電気的に接続し、
前記凸部は、前記主面と前記リードとの接合部の周囲に設けられることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、チップ搭載面を有するダイパッド部と、ダイパッド部とは離隔しているリード部を備えた半導体装置が開示されている。チップ搭載面には、第1導電性接合材を介してチップの第1電極が接合される。また、接続子は、一方の端部が第2導電性接合材を介してチップの第2電極と接合され、他方の端部が第3導電性接合材を介してリード部と接合される。リード部は、リード部の厚さ方向に突出し、かつ先端に向かうに従って横断面積が小さくなっている凸部を有する。接続子は、他方の端部に形成された貫通孔を有する。貫通孔は、凸部の所定の高さ位置で凸部に嵌め込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-152468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、リード部が有する凸部と、接続子に形成された貫通孔の内側が接している。このため、貫通孔の径が小さい場合、凸部の径が大きい場合、接続子がリード部に対して傾いて搭載された場合、あるいは接合材が少ない場合等に、接続子とリード部との間が接合材で十分に満たされず、十分な接合強度が得られない可能性がある。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、半導体チップとフレームとを電気的に接続するリードを、安定して接合できる半導体装置および半導体装置の製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の開示に係る半導体装置は、半導体チップと、フレームと、前記フレームから突出した突起と、前記突起が挿入される突起挿入部が形成され、前記フレームと直接接触し、前記半導体チップと前記フレームとを電気的に接続するリードと、前記突起と前記リードを接合する第1接合材と、を備え、前記第1接合材は、前記突起挿入部を形成する前記リードの側面と、前記突起との間に設けられる。
第1の開示に係る半導体装置は、半導体チップと、フレームと、前記フレームから突出した突起と、前記突起が挿入される突起挿入部が形成され、前記フレームと直接接触し、前記半導体チップと前記フレームとを電気的に接続するリードと、前記突起と前記リードを接合する第1接合材と、を備え、前記フレームと前記リードは面接触する。
第1の開示に係る半導体装置は、半導体チップと、フレームと、前記フレームから突出した突起と、前記突起が挿入される突起挿入部が形成され、前記フレームと直接接触し、前記半導体チップと前記フレームとを電気的に接続するリードと、前記突起と前記リードを接合する第1接合材と、前記半導体チップを収納するケースと、を備え、前記突起は前記ケースの一部である。
第1の開示に係る半導体装置は、半導体チップと、フレームと、前記フレームから突出した突起と、前記突起が挿入される突起挿入部が形成され、前記フレームと直接接触し、前記半導体チップと前記フレームとを電気的に接続するリードと、前記突起と前記リードを接合する第1接合材と、を備え、前記突起は非導電性である。
【0007】
第2の開示に係る半導体装置は、半導体チップと、前記半導体チップを収納するケースと、フレームと、前記フレームの主面と接合材で接合され、前記半導体チップと前記フレームとを電気的に接続するリードと、を備え、前記ケースは、前記主面から突出した凸部を有し、前記凸部は、前記主面と前記リードとの接合部の周囲に設けられる。
【0008】
第3の開示に係る半導体装置の製造方法は、半導体チップとリードを電気的に接続し、フレームから突出する突起を前記リードに形成された突起挿入部に挿入し、前記フレームと前記リードを直接接触させて電気的に接続した状態で、前記突起と前記リードを接合し、前記突起と前記リードを接合する接合材は、前記突起挿入部を形成する前記リードの側面と、前記突起との間に設けられる。
第3の開示に係る半導体装置の製造方法は、半導体チップとリードを電気的に接続し、前記フレームを、前記半導体チップを収納するケースにインサート成形し、前記フレームから突出する突起を前記リードに形成された突起挿入部に挿入し、前記フレームと前記リードを直接接触させて電気的に接続した状態で、前記突起と前記リードを接合し、前記突起は前記ケースの一部である。
【0009】
第4の開示に係る半導体装置の製造方法は、フレームを、半導体チップを収納するケースにインサート成形して、前記ケースに前記フレームの主面から突出する凸部を形成し、前記主面とリードとを接合材で接合して、前記リードで前記半導体チップと前記フレームとを電気的に接続し、前記凸部は、前記主面と前記リードとの接合部の周囲に設けられる。
【発明の効果】
【0010】
第1の開示に係る半導体装置および第3の開示に係る半導体装置の製造方法では、フレームとリードを直接接触させて、突起とリードを接合できる。従って、リードと突起を安定して接合できる。
第2の開示に係る半導体装置および第4の開示に係る半導体装置の製造方法では、凸部がフレームの主面とリードとの接合部の周囲に設けられる。このため、接合材が溶融した際に接合面積を制限できる。従って、リードとフレームを安定して接合できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る半導体装置の斜視図である。
図2図1をA-A直線で切断することで得られる断面図である。
図3】実施の形態2に係る半導体装置の斜視図である。
図4】実施の形態3に係る半導体装置の斜視図である。
図5】実施の形態5に係る半導体装置の斜視図である。
図6図5をA-A直線で切断することで得られる断面図である。
図7】実施の形態5に係る半導体装置の全体の構成を説明する斜視図である。
図8】実施の形態6に係る半導体装置の斜視図である。
図9】実施の形態7に係る半導体装置の斜視図である。
図10】突起が傾いた状態を示す図である。
図11】実施の形態8に係る半導体装置の斜視図である。
図12図11をA-A直線で切断することで得られる断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
各実施の形態に係る半導体装置および半導体装置の製造方法について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る半導体装置100の斜視図である。図2は、図1をA-A直線で切断することで得られる断面図である。半導体装置100において、回路パターン10の上面に接合材12によって半導体チップ20が接合される。半導体チップ20の上面には、接合材14でリード40が接合される。
【0014】
リード40は、半導体チップ20とフレーム30とを電気的に接続する。突起32はフレーム30の主面から突出する。リード40には、突起32が挿入される突起挿入部44が形成される。本実施の形態の突起挿入部44は、リード40を上面から裏面まで貫通する貫通孔である。リード40はフレーム30と直接接触する。具体的には、フレーム30の主面とリード40の裏面が面接触する。接合材16は、突起32とリード40を接合す。接合材16は、突起挿入部44を形成するリード40の側面と、突起32との間に設けられる。
【0015】
半導体チップ20は、例えば電力用半導体チップである。回路パターン10、フレーム30およびリード40は、例えばAl、Cu、Au等の金属から形成されることが好ましい。リード40には接合材14を露出させる開口42が形成されても良い。開口42は、接合材14を注入するために設けられる。また、リード40の突起挿入部44の径は、突起32の径よりも大きい。突起32はフレーム30に固定されている。突起32はフレーム30の一部であっても良い。
【0016】
接合材12、14は、はんだ等の導電性接合材である。接合材16は、はんだでも良いし、シリコンゴム等の非導電性接合材でも良い。接合材16は、フレーム30と接していても良い。
【0017】
本実施の形態に係る半導体装置100の製造方法について説明する。半導体装置100の製造方法は、以下の第1~第3工程を含む。第1工程は、第2工程及び第3工程よりも先に実施される。第2工程と第3工程は、同時に実施されても良い。
【0018】
第1工程は、半導体チップ20、フレーム30、リード40を準備する工程である。フレーム30は、半導体チップ20とは離れて設けられ、主面から厚さ方向に突起32が突出している。リード40は板状であり、一方もしくは両方の端部に開口が形成される。
【0019】
第2工程では、半導体チップ20とリード40を電気的に接続する。具体的には、リード40を半導体チップ20に接合材14を介して接合する。接合材14は、半導体装置100全体を加熱すること、リード40と半導体チップ20を加熱すること、もしくは接合材14にレーザ光を当て加熱することで溶融させる。これにより、リード40と半導体チップ20とが接合される。
【0020】
第3工程では、突起32をリード40に形成された突起挿入部44に挿入し、フレーム30とリード40を直接接触させて電気的に接続した状態で、突起32とリード40を接合材16により接合する。接合材16は、半導体装置100全体を加熱すること、リード40とフレーム30を加熱すること、もしくは接合材16にレーザ光を当てることで溶融させる。これにより、リード40と突起32とが接合される。接合材16が非導電性である場合は、接合材16は加熱されることで硬化し、リード40と突起32とが接合される。
【0021】
次に本実施の形態の効果について説明する。本実施の形態では、リード40の突起挿入部44に突起32が挿入されるため、リード40の位置ずれを抑制できる。
【0022】
また、本実施の形態の比較例として、例えばフレーム30の主面とリード40の裏面を接合材で接合する構成を考える。この構成では、リード40が傾いている場合または接合材が少ない場合等に、リード40とフレーム30との間が接合材で十分に満たされない可能性がある。このとき、十分な接合強度が得られないおそれがある。このように、部材ばらつきまたは組立ばらつきにより、製品寿命および温度サイクル耐量が大きく変わることが想定される。このため、部品管理および生産管理が困難となるおそれがある。
【0023】
これに対し本実施の形態では、フレーム30とリード40を直接接触させた状態で、突起32とリード40を接合できる。従って、リード40と突起32を安定して接合できる。このため、部材のばらつきまたは組立ばらつきがあった場合にも、安定した接合が可能となり、製品寿命および温度サイクル耐量を安定させることができる。従って、接合の信頼性を向上させることができる。また、部品管理および生産管理を容易に行うことができる。このように、本実施の形態では、リード40の位置ずれを抑制しながらリード40と突起32との十分な接合強度を確保できる製品を安定生産できる。
【0024】
特にレーザ光で接合材16を溶融させる際に、レーザ光の光量が多く、レーザ光の熱エネルギーでフレーム30または接合材16が膨張することが考えられる。また、接合材16を溶融させて接合する際に、フレーム30が水平ではないことが考えられる。このような場合においても、本実施の形態では、フレーム30とリード40が接触しているため、突起32とリード40とを安定的に接合することができる。従って、レーザ光の管理幅を広く確保できる。またフレーム形状および温度の管理幅を広く取ることができる。従って生産を容易にできる。また、本実施の形態ではリード40と突起32を接合するため、接合面積を制限できる。従って、実装の高密度化が可能になる。
【0025】
また、本実施の形態では、フレーム30の主面とリード40の裏面は面接触する。このため、接触面積を大きく確保でき、接触抵抗を低減できる。従って、接合材16を非導電性とすることができる。例えば接合材16としてはんだを使用した場合、はんだは繰り返しの温度変化による応力で亀裂が発生易い。これに対し、接合材16としてシリコンゴムを使用した場合、シリコンゴムは柔らかいため、温度変化による応力を吸収し、接合部の高寿命化を期待できる。また、一般にはんだと比較してシリコンゴムは安価である。このため、費用削減効果が期待できる。
【0026】
半導体装置100の構造および製造方法は上述したものに限定されない。例えば突起32は円柱では無く、円錐、角柱または角錐であってもよい。また、本実施の形態では、フレーム30とリード40が直接接触することで電気的な接続を確保できるため、突起32は非導電性であっても良い。
【0027】
また、半導体チップ20はワイドバンドギャップ半導体から形成されていても良い。ワイドバンドギャップ半導体は、例えば炭化珪素、窒化ガリウム系材料またはダイヤモンドである。本実施の形態によれば、ワイドバンドギャップ半導体から形成された半導体チップ20が高温で動作する場合にも、温度サイクル耐量を安定させて、半導体チップ20を安定して動作させることができる。
【0028】
これらの変形は、以下の実施の形態に係る半導体装置および半導体装置の製造方法について適宜応用することができる。なお、以下の実施の形態に係る半導体装置および半導体装置の製造方法については実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0029】
実施の形態2.
図3は、実施の形態2に係る半導体装置200の斜視図である。リード40は、必ずしも突起32の全周を覆う必要はない。突起挿入部244は、リード40の端部に形成された切り欠きであっても良い。この場合も、リード40の位置ずれを抑制しながらリード40と突起32を安定して接合できる。
【0030】
実施の形態3.
図4は実施の形態3に係る半導体装置300の斜視図である。リード40には、突起挿入部44が複数形成されても良い。このとき、フレーム30からは複数の突起32a、32bが突出し、複数の突起挿入部44に挿入される。突起32は、3つ以上設けられても良い。
【0031】
このような構成により、接合材16が溶融した際にリード40が突起32を軸に回転することを抑制できる。これにより、接合材16が設けられる部分を限定でき、実装の高密度化が可能になる。このような回転を抑制する構成は、特に接合材14と接合材16とが同時に溶融する場合、もしくは、半導体チップ20とリード40を接合するより先にフレーム30とリード40とを接合する場合に有効である。接合材14と接合材16とが同時に溶融する場合は、例えば、接合材14、16が同じ材質であり、半導体装置300全体を加熱して接合材16を溶融させる場合である。
【0032】
実施の形態4.
本実施の形態では、フレーム30と突起32を一体成形する。つまり、フレーム30と突起32は同一部品であり、同じ材料から形成されている。ここでは、フレーム30と突起32から構成される部品をフレーム部と呼ぶ。
【0033】
フレーム30と突起32とが一体化されることで、フレーム部の剛性を向上できる。また、接合材16を溶融させる際の高温状態で、フレーム30における突起32の固定位置のずれを抑制できる。従って、実装の高密度化が可能となる。また、フレーム部が一体部品であることから、使用時の温度サイクルにおいて、フレーム30と突起32を分離し難くでき、高寿命化が期待できる。さらに、部品点数を削減でき、部品管理を容易にできる。
【0034】
実施の形態5.
図5は、実施の形態5に係る半導体装置400の斜視図である。図6は、図5をA-A直線で切断することで得られる断面図である。半導体装置400は、半導体チップ20を収納するケース450を備える。本実施の形態の突起432はケース450の一部である。フレーム30には貫通孔が形成される。突起432は、フレーム30を貫通してフレーム30から突出する。本実施の形態では、フレーム30はケース450にインサート成形される。
【0035】
図7は、実施の形態5に係る半導体装置400の全体の構成を説明する斜視図である。ケース450は、例えば、PPS(Polyphenylenesulfide)などの合成樹脂から形成される。ケース450は、複数の半導体チップ20および複数のリード40を収納しても良い。フレーム30は、例えばケース450の外周部の台座部分に配置される。半導体チップ20はフレーム30を介して、半導体装置400を外部と電気的に接続するための外部接続端子452と電気的に接続される。
【0036】
本実施の形態では、ケース450の成形時に突起432を作るので、突起432を容易に形成できる。また、フレーム30とケース450は異なる材質で形成されている。このため、リード40を搭載する際に、画像認識などで突起432を判別することができる。従って、組立を容易にできる。
【0037】
なお、本実施の形態のケース450の構造は、他の実施の形態にも適用できる。
【0038】
実施の形態6.
図8は、実施の形態6に係る半導体装置500の斜視図である。突起挿入部544は、フレーム30から突起532が延びる方向から見て多角形である。また、突起532は、フレーム30から突起532が延びる方向から見て多角形である。突起532は、リード40が突起532を軸に回転することを妨げるように設けられている。つまり、突起532の角が突起挿入部544を形成するリード40の側面に接触することで、リード40の回転が妨げられる。
【0039】
このような構成により、接合材16が溶融したことでリード40が突起32を軸に回転することを抑制することができる。これにより、実装の高密度化が可能になる。回転を抑制する構成は、特に接合材14と接合材16とを同時に溶融する場合、もしくは、半導体チップ20とリード40を接合するより先にフレーム30とリード40とを接合する場合に有効である。
【0040】
図8の例では、突起532は平面視で正方形の角柱である。これに限らず、突起532は、平面視で長方形、四角形、または四角形以外の多角形であっても良い。また、突起532は角錐であっても良い。突起挿入部544についても、突起532の形状に応じて、リード40の回転が妨げられるような形状であれば良い。
【0041】
実施の形態7.
図9は、実施の形態7に係る半導体装置600の斜視図である。本実施の形態において、突起632のフレーム30からの高さは2mm以下である。また、突起挿入部644は非貫通孔である。リード40は突起632を覆う。
【0042】
図10は、突起632が傾いた状態を示す図である。突起632の高さをh、フレーム30の主面に対する突起632の傾きをθとする。このとき、突起632の傾きによる、リード40の接合位置の目標位置からのずれは、最大h×cosθとなる。このとき、突起632の高さhを2mm以下とすることで、接合位置のずれを制限して、生産を容易にできる。
【0043】
実施の形態8.
図11は、実施の形態8に係る半導体装置700の斜視図である。図12は、図11をA-A直線で切断することで得られる断面図である。リード40の一方の端部は半導体チップ20に接合され、他方の端部はフレーム30の主面と接合材16で接合される。リード40は、半導体チップ20とフレーム30を電気的に接続する。本実施の形態では、接合材16はリード40の裏面とフレーム30の主面との間に設けられる。また、図11に示されるように、リード40に形成された貫通孔746に接合材16が設けられても良い。なお、図12において貫通孔746は省略されている。
【0044】
半導体装置700は図示しないケース450を備える。本実施の形態のケース450は、例えば図7に示されるケース450と同様の構造である。フレーム30は、ケース450と一体化されている。フレーム30は、ケース450にインサート成形されている。ケース450は、フレーム30の主面から突出した凸部752を有する。凸部752はケース450の一部である。凸部752は、フレーム30の主面とリード40との接合部の周囲に設けられる。リード40の端部は、フレーム30主面と垂直な方向から見て、凸部752に囲まれる。
【0045】
本実施の形態に係る半導体装置700の製造方法について説明する。本実施の形態に係る半導体装置700の製造方法は、第1~第3工程を含む。第1工程は、第2工程及び第3工程よりも先に実施する工程である。第2工程と第3工程は、同時に実施しても良い。
【0046】
第1工程は、回路パターン10に搭載される半導体チップ20と、半導体チップ20と離れたフレーム30と、板状のリード40を準備する工程である。第1工程では、フレーム30をケース450にインサート成形して、ケース450にフレーム30の主面から突出する凸部752を形成する。
【0047】
第2工程は、リード40を半導体チップ20に接合材14を介して接合する工程である。接合材14は、半導体装置700全体を加熱すること、リード40と半導体チップ20を加熱すること、もしくは接合材14にレーザ光を当て加熱することで溶融させる。これにより、リード40と半導体チップ20とが接合される。
【0048】
第3工程は、フレーム30の主面のうち凸部752に囲まれた部分に、リード40の端部を接合材16により接合する工程である。接合材16は、半導体装置700全体を加熱すること、リード40とフレーム30を加熱すること、もしくは接合材16にレーザ光を当て加熱することで溶融させる。これにより、リード40とフレーム30とが接合される。第2、第3工程により、リード40で半導体チップ20とフレーム30とが電気的に接続される。
【0049】
凸部752は、フレーム30の主面とリード40との接合部の周囲に設けられる。このため、リード40の接合面が周囲より低く、フレーム30とリード40との接合面積は凸部752により制限される。つまり、接合材16が溶融した際に凸部752により接合面積を制限できる。従って、リード40とフレーム30を安定して接合できる。また、実装の高密度化が可能になる。
【0050】
また、本実施の形態のフレーム30とケース450は、一体部品である。このため、組立時に管理する部品点数を削減でき、部品管理を容易にできる。また、フレーム30と凸部752とは異なる材質で形成される。このため、リード40を搭載する際に画像認識などで接合面を判別でき、組立を容易にできる。
【0051】
本実施の形態では、リード40の3辺が凸部752に覆われる。これに限らず、凸部752は、フレーム30の主面とリード40との接合部の周囲に設けられれば良い。例えば、凸部752は、リード40の1辺以上を覆っていれば良い。フレーム30の主面とリード40との接合部は、フレーム30の主面と垂直な方向から見て凸部752に挟まれても良い。また、リード40と凸部752は接していても良く、離れていても良い。また、リード40の貫通孔746は無くても良い。
【0052】
実施の形態9.
凸部752の線膨張係数は、フレーム30の線膨張係数よりも小さくても良い。これにより、接合材16が溶融する際にフレーム30が高温になった場合においても、目的とする接合面積を確保することができる。
【0053】
なお、各実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いても良い。
【符号の説明】
【0054】
10 回路パターン、12 接合材、14 接合材、16 接合材、20 半導体チップ、30 フレーム、32 突起、32a、32b 突起、40 リード、42 開口、44 突起挿入部、100 半導体装置、200 半導体装置、244 突起挿入部、300 半導体装置、400 半導体装置、432 突起、450 ケース、452 外部接続端子、500 半導体装置、532 突起、544 突起挿入部、600 半導体装置、632 突起、644 突起挿入部、700 半導体装置、746 貫通孔、752 凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12