(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】配送システム、配送方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0836 20230101AFI20241022BHJP
【FI】
G06Q10/0836
(21)【出願番号】P 2021114995
(22)【出願日】2021-07-12
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大槻 将久
(72)【発明者】
【氏名】李 海妍
(72)【発明者】
【氏名】高木 裕太郎
(72)【発明者】
【氏名】糸澤 祐太
(72)【発明者】
【氏名】古村 博隆
(72)【発明者】
【氏名】岩本 国大
(72)【発明者】
【氏名】大石 耕太
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0065111(US,A1)
【文献】特開2004-152021(JP,A)
【文献】特表2020-522776(JP,A)
【文献】特開2020-198012(JP,A)
【文献】特開2020-140372(JP,A)
【文献】国際公開第2020/183541(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0133847(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0144245(US,A1)
【文献】特開2003-267557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律運転により荷物を配送する移動体と、前記移動体と通信ネットワークで接続される管理サーバと、を備えて構成される配送システムであって、
少なくとも1つのプログラムを記憶した少なくとも1つのメモリと、
前記少なくとも1つのメモリと結合された少なくとも1つのプロセッサと、を備え、
前記少なくとも1つのプログラムは、前記少なくとも1つのプロセッサに、
ユーザによりイベントの登録が可能なデータベースから前記荷物の配送対象となる対象イベントのスケジュールを取得することと、
前記スケジュールに基づいて前記移動体による前記対象イベントへの前記荷物の配送計画を作成することと、
前記配送計画に従って前記移動体を移動させることと、
前記荷物の配送途中での前記スケジュールの変更に応答して変更後の前記スケジュールと前記移動体の現在位置とに基づいて前記配送計画を修正することと、
修正された前記配送計画に従って前記移動体を移動させることと、
予測される前記対象イベントへの前記荷物の配送の遅れに応答して前記ユーザへの通知を行うことと、
前記通知に対する前記ユーザからの指示に基づいて前記配送計画を修正することと、を実行させるように構成されている
ことを特徴とする配送システム。
【請求項2】
請求項
1に記載の配送システムにおいて、
前記データベースは前記管理サーバに格納されている
ことを特徴とする配送システム。
【請求項3】
請求項
1に記載の配送システムにおいて、
前記データベースはクラウドデータベースである
ことを特徴とする配送システム。
【請求項4】
移動体の行動をコンピュータで制御し、指定された配送先まで前記移動体を自律運転させて荷物を配送する配送方法であって、
ユーザによりイベントの登録が可能なデータベースから前記荷物の配送対象となる対象イベントのスケジュールを取得することと、
前記スケジュールに基づいて前記移動体による前記対象イベントへの前記荷物の配送計画を作成することと、
前記配送計画に従って前記移動体を移動させることと、
前記荷物の配送途中での前記スケジュールの変更に応答して変更後の前記スケジュールと前記移動体の現在位置とに基づいて前記配送計画を修正することと、
修正された前記配送計画に従って前記移動体を移動させることと、
予測される前記対象イベントへの前記荷物の配送の遅れに応答して前記ユーザへの通知を行うことと、
前記通知に対する前記ユーザからの指示に基づいて前記配送計画を修正することと、を
前記コンピュータに実行させる
ことを特徴とする配送方法。
【請求項5】
指定された配送先に自律運転により荷物を配送する移動体の行動を制御することをコンピュータに実行させるプログラムであって、
ユーザによりイベントの登録が可能なデータベースから前記荷物の配送対象となる対象イベントのスケジュールを取得することと、
前記スケジュールに基づいて前記移動体による前記対象イベントへの前記荷物の配送計画を作成することと、
前記配送計画に従って前記移動体を移動させることと、
前記荷物の配送途中での前記スケジュールの変更に応答して変更後の前記スケジュールと前記移動体の現在位置とに基づいて前記配送計画を修正することと、
修正された前記配送計画に従って前記移動体を移動させることと、
予測される前記対象イベントへの前記荷物の配送の遅れに応答して前記ユーザへの通知を行うことと、
前記通知に対する前記ユーザからの指示に基づいて前記配送計画を修正することと、を前記コンピュータに実行させるように構成されている
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、指定された配送先に自律運転する移動体によって荷物を配送する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、荷送人から依頼された荷物を荷受人に配送するまでの荷物配送処理に関する技術が開示されている。この従来技術によれば、荷受人が不在の場合、配送者が所持する配送処理端末において、配送物の配送先および配送予定時刻を含む配送スケジュール群の中から再配送する対象の配送スケジュールが選択される。そして、選択した配送スケジュールに含まれる顧客情報に基づき、荷受人の通信端末に対して再配送可能な時間帯情報を含む再配送情報が通知される。荷受人の通信端末から荷受人によって指定された時間帯情報を含む再配送情報を受信した場合、配送処理端末では、受信した配送情報に基づき、選択した配送スケジュールの再スケジューリングが行われる。
【0003】
ところで、荷物の配送では、その荷物が必要とされる場所と時刻に正確に配送することが求められる場合がある。しかし、荷物の内容によっては、配送すべき場所や時刻が急に変更される場合もある。会議に出すコーヒーがその一つの例である。会議が開かれる会議室の変更や、会議時間の変更が行われた場合、コーヒーを持っていく場所と時刻も変更される必要がある。
【0004】
今日、荷物の配送を自律運転する移動体により行うことが検討されている。ところが、会議の例のように、荷物の配送対象となるイベントは、開催場所、時間、参加人数などのスケジュールがユーザの都合によって変更される場合がある。しかも、荷物の配送途中でイベントのスケジュールが変更されることもありうる。
【0005】
特許文献1に記載の従来技術は、荷受人が荷物を受け取ることができなかった後の再配達に関する技術である。この従来技術をイベントへの荷物の配送に用いたとしても、急なイベントのスケジュールの変更に対応することはできない。
【0006】
なお、本開示の技術分野或いはそれに関連する技術分野における出願時の技術レベルを示す文献としては、特許文献1の他にも下記の特許文献2及び特許文献3を例示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-142062号公報
【文献】特開2019-095865号公報
【文献】特開2020-160708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、上述のような課題に鑑みてなされたものである。本開示は、イベントに向けた荷物の配送を自律運転する移動体により行い、荷物の配送途中でイベントのスケジュールが変更された場合でも、ユーザを煩わせることなく柔軟に対応することができる配送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は配送システムを提供する。本開示の配送システムは、自律運転により荷物を配送する移動体と、移動体と通信ネットワークで接続される管理サーバと、を備えて構成されるシステムである。本開示の配送システムは、少なくとも1つのプログラムを記憶した少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのメモリと結合された少なくとも1つのプロセッサとを備える。その少なくとも1つのプログラムは、少なくとも1つのプロセッサに以下を実行させるように構成されている。
・ユーザによりイベントの登録が可能なデータベースから荷物の配送対象となる対象イベントのスケジュールを取得すること
・取得されたスケジュールに基づいて移動体によるイベントへの荷物の配送計画を作成すること
・配送計画に従って移動体を移動させること
・荷物の配送途中での対象イベントのスケジュールの変更に応答して、対象イベントの変更後のスケジュールと移動体の現在位置とに基づいて配送計画を修正すること
・修正された配送計画に従って移動体を移動させること
【0010】
上記構成を備えた本開示の配送システムによれば、移動体が荷物の配送を開始した後に対象イベントのスケジュールが変更された場合でも、変更後のスケジュールに合わせて荷物を配送することができる。また、対象イベントのスケジュールが変更されれば、それに合わせて配送計画が修正されるので、ユーザにとっては配送先や配送時刻の変更を連絡する必要が無いという利点がある。
【0011】
本開示の配送システムにおいて、上記少なくとも1つのプログラムは、上記少なくとも1つのプロセッサに、対象イベントのキャンセルに応答して荷物の配送をキャンセルするように配送計画を修正することを実行させるように構成されてもよい。これによれば、対象イベントがキャンセルされた場合には荷物の配送もキャンセルされるので、必要のない荷物を配送してしまうことを防ぐことができる。
【0012】
本開示の配送システムにおいて、上記少なくとも1つのプログラムは、上記少なくとも1つのプロセッサに、対象イベントのキャンセルに応答して荷物の配送をキャンセルするか否かユーザに確認することを実行させるように構成されてもよい。これによれば、対象イベントがキャンセルされた場合でもユーザが荷物を必要とする場合には、そのまま荷物を配送することができる。
【0013】
さらに、本開示の配送システムにおいて、上記少なくとも1つのプログラムは、上記少なくとも1つのプロセッサに以下の処理を実行させるように構成されてもよい。
・予測される対象イベントへの荷物の配送の遅れに応答してユーザへの通知を行うこと
・通知に対するユーザからの指示に基づいて配送計画を修正すること
【0014】
上記処理によれば、変更後の対象イベントのスケジュールに荷物の配送が間に合わない場合、そのまま配送するのではなくユーザに通知して指示を仰ぐことで、役に立たなくなった荷物を配送してしまうことを防ぐことができる。
【0015】
また、本開示は配送方法を提供する。本開示の配送方法は、移動体の行動をコンピュータで制御し、指定された配送先まで前記移動体を自律運転させて荷物を配送する方法である。本開示の配送方法は、以下のステップを含む。
・ユーザによりイベントの登録が可能なデータベースから荷物の配送対象となる対象イベントのスケジュールを取得すること
・取得されたスケジュールに基づいて移動体によるイベントへの荷物の配送計画を作成すること
・配送計画に従って移動体を移動させること
・荷物の配送途中での対象イベントのスケジュールの変更に応答して、対象イベントの変更後のスケジュールと移動体の現在位置とに基づいて配送計画を修正すること
・修正された配送計画に従って移動体を移動させること
【0016】
上記ステップを含む本開示の配送方法によれば、移動体が荷物の配送を開始した後に対象イベントのスケジュールが変更された場合でも、変更後のスケジュールに合わせて荷物を配送することができる。また、対象イベントのスケジュールが変更されれば、それに合わせて配送計画が修正されるので、ユーザにとっては配送先や配送時刻の変更を連絡する必要が無いという利点がある。
【0017】
また、本開示はプログラムを提供する。本開示のプログラムは、指定された配送先に自律運転により荷物を配送する移動体の行動を制御することをコンピュータに実行させるプログラムである。本開示のプログラムは、以下をコンピュータに実行させるように構成されている。
・ユーザによりイベントの登録が可能なデータベースから荷物の配送対象となる対象イベントのスケジュールを取得すること
・取得されたスケジュールに基づいて移動体によるイベントへの荷物の配送計画を作成すること
・配送計画に従って移動体を移動させること
・荷物の配送途中での対象イベントのスケジュールの変更に応答して、対象イベントの変更後のスケジュールと移動体の現在位置とに基づいて配送計画を修正すること
・修正された配送計画に従って移動体を移動させること
【0018】
上記のように構成された本開示のプログラムによれば、移動体が荷物の配送を開始した後に対象イベントのスケジュールが変更された場合でも、変更後のスケジュールに合わせて荷物を配送することができるよう、コンピュータに移動体の行動を制御させることができる。また、対象イベントのスケジュールが変更されれば、それに合わせて配送計画が修正されるようコンピュータが動作するので、ユーザにとっては配送先や配送時刻の変更を連絡する必要が無いという利点がある。
【発明の効果】
【0019】
以上述べたように本開示の技術によれば、移動体による荷物の配送途中で対象イベントのスケジュールが変更された場合でも、ユーザを煩わせることなく柔軟に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の実施形態に係る配送システムの構成図である。
【
図2】配送ロボットの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】管理サーバの構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る配送システムによる荷物配送の運用を説明するための図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る配送システムにおけるユーザとオンラインカレンダーと管理サーバと配送ロボットとの間の処理の流れの一つの例を示すシーケンス図である。
【
図6】本開示の実施形態に係る配送システムにおけるユーザとオンラインカレンダーと管理サーバと配送ロボットとの間の処理の流れの別の例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。ただし、以下に示す実施形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、本開示に係る思想が限定されるものではない。また、以下に示す実施形態において説明する構造等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、本開示に係る思想に必ずしも必須のものではない。
【0022】
1.配送システムの構成
図1は、本開示の第1実施形態に係る配送システムの構成図である。配送システム100は、配送ロボット20を用いて荷物60を配送するシステムである。配送ロボット20は、自律運転が可能な小型の移動体である。配送ロボット20は、例えば、複数の車輪を有する車台と荷物60を収納するコンテナとを備えて構成される。配送システム100によって配送される荷物60は、配送ロボット20による配送が物理的に可能であり、且つ、法的にも許される荷物であれば、その種類には限定はない。例えば、日用雑貨、食品、酒、本、電気製品、料理等の様々な商品を荷物60として配送することができる。配送ロボット20のコンテナが保温機能を備えるのであれば、冷蔵・冷凍食品や温かい料理を配送することも可能である。
【0023】
配送システム100では、複数の配送ロボット20が運用されている。全ての配送ロボット20は、4Gや5Gを含む通信ネットワーク10を介して管理サーバ32に接続されている。配送システム100が限定されたエリアで運用される場合には、通信ネットワーク10としてローカル5Gが用いられてもよい。管理サーバ32は、配送ロボット20の運用状況を監視する監視センタ30に設置されている。監視センタ30には、複数人のオペレータ36が勤務している。オペレータ36は、監視端末34において配送ロボット20の運用状況を監視し、必要がある場合には、監視端末34を操作して配送ロボット20に対して遠隔支援を行うこともできる。
【0024】
配送システム100は様々な用途で利用することができる。その用途の一つがイベントへの荷物60の配送である。本明細書におけるイベントは、配送ロボット20で配送可能な荷物60の配送対象となりうるイベントであれば、その規模や内容には限定は無い。例えば、コーヒーや軽食が荷物60として届けられる会議は、イベントの一例である。飲食物以外にも、PC、録音機、プロジェクタ等の会議用機器を荷物60として届けることができる。また、パーティは、プレゼントや料理の配送が想定されることから、配送システム100による荷物60の配送対象となるイベントに含まる。さらに、昼食や夕食などの個人の食事も、出前による飲食物の配送が想定されることから、配送システム100による荷物60の配送対象となるイベントに含まる。
【0025】
配送システム100をイベントへの荷物60の配送に利用する場合、ユーザ50は、インターネット40上のクラウドデータベース42にあるオンラインカレンダー44にイベントのスケジュールを登録する。本明細書における“イベントのスケジュール”とは、イベントの開催日時、開催場所、配送して欲しい荷物とその個数を含む情報である。また、荷物を配送して欲しいイベント内の時刻や時間帯が決まっている場合には、その情報もスケジュールに含まれる。ユーザ50は、イベントのスケジュールに関するそれらの情報をスマートフォンのような携帯端末52を用いてオンラインカレンダー44に登録することができる。また、ユーザ50は、一度オンラインカレンダー44に登録したスケジュールを携帯端末52から変更することもできる。なお、クラウドデータベース42及びオンラインカレンダー44は、配送システム100を運営する事業者によって運営されるものであってもよいし、別の事業者によって運営されるものであってもよい。
【0026】
管理サーバ32はオンラインカレンダー44と連携している。オンラインカレンダー44にイベントが登録されたとき、そのスケジュールに関する情報は管理サーバ32に自動通知される。ただし、管理サーバ32にスケジュールが通知されるイベントは、荷物の配送対象となるイベント(対象イベント)のスケジュールに限られる。イベントを荷物の配送対象となる対象イベントとするかどうかは、ユーザ50が任意に決定することができる。例えば、オンラインカレンダー44と連携した荷物配送の予約サイトにおいて、ユーザ50が対象イベントを決定できるようにしてもよい。
【0027】
オンラインカレンダー44に登録されたイベントが対象イベントである場合、そのスケジュールが変更されたときには、変更後のスケジュールに関する情報が管理サーバ32に自動通知される。通知されるスケジュールの変更には、イベントのキャンセル、すなわち、オンラインカレンダー44からのイベントの削除が含まれる。管理サーバ32は、オンラインカレンダー44から取得したイベントのスケジュールに基づいて荷物60の配送計画を作成するように構成されている。配送計画では、何時、何処から何処に、何を配送するのかが計画される。
【0028】
管理サーバ32は、配送計画に基づいて配送ロボット20の走行計画を作成するように構成されている。走行計画では、例えば出発地、目的地、到着時間、及び走行経路が計画される。出発地は荷物60を受け取る場所である。目的地は荷物60を配送する場所、すなわち、イベントの開催場所である。到着時間は、イベントの開催時間、或いは、イベント内での特定の時刻や時間帯である。管理サーバ32は、作成した走行計画を配送ロボット20に通知するように構成されている。配送ロボット20は、通知された走行計画に従って自律運転し、荷物60を配送先まで配送するように構成されている。
【0029】
図2は、配送ロボット20の構成の一例を示すブロック図である。配送ロボット20は、制御装置21を備える。制御装置21はコンピュータであり、より詳しくは、配送ロボット20に搭載される複数のECU(Electronic Control Unit)の集合体である。また、配送ロボット20は、外部センサ22、内部センサ23、アクチュエータ24、及び通信装置25を備える。これらは制御装置21に接続されている。
【0030】
制御装置21は、少なくとも1つのプロセッサ21a(以下、単にプロセッサ21aと呼ぶ)とプロセッサ21aに結合された少なくとも1つのメモリ21b(以下、単にメモリ21bと呼ぶ)とを備えている。メモリ21bには、プロセッサ21aで実行可能な少なくとも1つのプログラム21c(以下、単にプログラム21cと呼ぶ)とそれに関連する種々のデータ21dとが記憶されている。
【0031】
プログラム21cがプロセッサ21aで実行されることにより、プロセッサ21aによる各種処理が実現される。プログラム21cには、例えば、走行計画に基づいて配送ロボット20を自律運転させるためのプログラムが含まれる。データ21dには、例えば、自律運転で用いられる地図データが含まれる。メモリ21bは主記憶装置と補助記憶装置とを含む。プログラム21cは、主記憶装置に記憶されることもできるし、補助記憶装置であるコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されることもできる。
【0032】
外部センサ22は、配送ロボット20の周囲の状況を認識するための情報を取得する認識センサを含む。認識センサは、配送ロボット20の周囲、特に配送ロボット20の前方を撮像するカメラを含む。カメラ以外の認識センサとしては、LiDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)、及びミリ波レーダが例示される。また、外部センサ22は、配送ロボット20の位置及び方位を検出する位置センサを含む。位置センサとしては、GPS(Global Positioning System)センサが例示される。外部センサ22で得られた情報は制御装置21に送信される。
【0033】
内部センサ23は、配送ロボット20の運動に関する情報を取得する状態センサを含む。状態センサとしては、例えば、車輪速センサ、加速度センサ、角速度センサ、及び舵角センサが例示される。加速度センサと角速度センサとは、IMUであってもよい。内部センサ23で得られた情報は制御装置21に送信される。内部センサ23で得られた情報と外部センサ22で得られた情報とは、自律運転のための情報として用いられる。
【0034】
アクチュエータ24は、配送ロボット20を操舵する操舵装置、配送ロボット20を駆動する駆動装置、及び配送ロボット20を制動する制動装置を含んでいる。アクチュエータ24は、例えば、車輪ごとに備えられた電動モータでもよい。この場合、配送ロボット20の各車輪の回転を独立に制御することによって、配送ロボット20の操舵、駆動、及び制動を実現することができる。つまり、アクチュエータ24としての電動モータを操舵装置、駆動装置、及び制動装置として機能させてもよい。アクチュエータ24は、制御装置21から送信される制御信号によって動作する。
【0035】
通信装置25は、配送ロボット20の外部との無線通信を制御する装置である。通信装置25は、通信ネットワーク10を介して管理サーバ32と通信を行う。制御装置21で処理された情報は、通信装置25を用いて管理サーバ32に送信される。管理サーバ32に送信される情報には、配送ロボット20の運行状況を監視するための監視情報が含まれる。監視情報には、外部センサ22や内部センサ23で取得される情報の他にも、自律運転プログラムによる計算で得られる情報(例えば目標軌跡)も含まれる。管理サーバ32で処理された情報は、通信装置25を用いて制御装置21に取り込まれる。また。他の配送ロボットとの車車間通信やインフラ施設との路車間通信が必要な場合、それら外部装置との通信も通信装置25によって行われる。
【0036】
図3は、管理サーバ32の構成の一例を示すブロック図である。管理サーバ32は、監視端末34と通信装置38とともに監視センタ30に設置されている。通信装置38は、監視センタ30の外部との通信を制御する装置である。通信装置38は、管理サーバ32と複数台の配送ロボット20との通信を仲介する。また、通信装置38は、連携するオンラインカレンダー44から自動通知されるイベントのスケジュールを取得する。管理サーバ32で処理された情報は、通信装置38を用いて配送ロボット20に送信される。配送ロボット20で処理された情報は、通信装置38を用いて管理サーバ32に取り込まれる。
【0037】
管理サーバ32は、1つのコンピュータ、又は、通信ネットワークで接続された複数のコンピュータの集合体である。管理サーバ32は、少なくとも1つのプロセッサ32a(以下、単にプロセッサ32aと呼ぶ)とプロセッサ32aに結合された少なくとも1つのメモリ32b(以下、単にメモリ32bと呼ぶ)とを備えている。メモリ32bには、プロセッサ32aで実行可能な少なくとも1つのプログラム32c(以下、単にプログラム32cと呼ぶ)とそれに関連する種々のデータ32dとが記憶されている。
【0038】
プログラム32cがプロセッサ32aで実行されることにより、プロセッサ32aによる各種処理が実現される。プログラム32cには、イベントのスケジュールに基づいて配送計画を作成するための配送計画プログラムと、配送計画に基づいて配送ロボット20の走行計画を作成するための走行計画プログラムとが含まれる。また、プログラム32cには、イベントのスケジュールの変更が通知された場合に、配送計画を修正するための配送計画修正プログラムが含まれる。データ32dには、配送計画や走行計画を作成するための情報、例えば、店や倉庫における商品の在庫情報、配送対象の荷物が用意されるまでの待ち時間、地図情報、配送ロボット20の稼働情報等の各種の情報が含まれる。メモリ32bは主記憶装置と補助記憶装置とを含む。プログラム32cは、主記憶装置に記憶されることもできるし、補助記憶装置であるコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されることもできる。
【0039】
監視端末34は、ディスプレイを備える。ディスプレイは、全配送ロボット20の運行状況を表示することもできるし、特定の配送ロボット20の運行状況を表示することもできる。さらに、ディスプレイは、特定の配送ロボット20のカメラが撮像した映像を表示することもできる。また、監視端末34は、オペレータ36による配送ロボット20の遠隔支援のための入力機器を備える。入力機器の具体例としては、ボタン、レバー、及びタッチパネルを例示することができる。
【0040】
2.配送システムによる荷物配送の運用
次に、配送システム100による荷物配送の運用について
図4を用いて説明する。配送システム100は、ユーザ50がオンラインカレンダー44に登録したイベント(荷物の配送対象となる対象イベント)に向けて配送ロボット20を用いて荷物60を配送するシステムである。
図4に示す例では、会議室74,76を有するビル70が例示されている。オンラインカレンダー44には、会議室74で行われる会議がユーザ50によってイベントとして登録されている。
【0041】
オンラインカレンダー44に登録された会議のスケジュールには、開催場所であるビル70の会議室74と、会議の開催時間、会議の参加人数が登録されている。管理サーバ32で実行される配送計画プログラムでは、イベントが会議である場合、会議の参加人数分だけの個数のカップと、参加人数分の量のコーヒーが入ったポットとが配送されるべき荷物60として自動で決定される。ただし、コーヒーの配送が不要である場合、ユーザ50は、その旨をオンラインカレンダー44への会議の登録時に指定することができる。また、ユーザ50は、コーヒーに代えて紅茶等の他の飲み物を荷物60に指定することもできるし、飲み物に加えてサンドイッチなどの軽食を荷物60に指定することもできる。
【0042】
管理サーバ32は、会議室74にコーヒーを届ける配送計画を作成する。配送計画には、コーヒーが入ったポットとカップとを配送ロボット20が受け取るコーヒー店80が含まれる。管理サーバ32は、配送計画に基づいて配送ロボット20の走行計画を作成し、配送ロボット20に走行計画を通知する。走行計画には、コーヒー店80を出発して会議の開催時間に会議室74に到着するための走行経路R1が含まれる。なお、走行経路R1は、予め指定されているコーヒー店80からビル70までの基本経路である。配送ロボット20は、走行経路R1に沿って自律運転によって会議室74まで荷物60を配送する。なお、コーヒー店80での配送ロボット20への荷物60の搭載は、配送ロボット20自身がロボットアームを用いて行ってもよいし、コーヒー店80の店員が行ってもよい。
【0043】
ここで、会議の開催場所が会議室74から別の会議室76へ変更されたとする。この変更を受けて、ユーザ50はオンラインカレンダー44に登録されている会議のスケジュールを変更する。オンラインカレンダー44の登録内容が変更された場合、オンラインカレンダー44から管理サーバ32へ変更後のスケジュールが自動通知される。会議のスケジュールの変更の通知を受けて、管理サーバ32では、配送計画修正プログラムが実行される。
【0044】
管理サーバ32が変更後のスケジュールを取得したタイミングが荷物60の配送の開始前の場合、管理サーバ32は、変更後のスケジュールに基づき配送計画を再作成する。そして、管理サーバ32は、再作成した配送計画に基づいて作成された走行計画を配送ロボット20に通知する。配送ロボット20に通知される走行計画では、コーヒー店80から会議室76まで荷物60を配送する走行経路として、基本経路である走行経路R1が指定されている。配送ロボット20は、走行経路R1に沿って自律運転によって会議室76まで荷物60を配送する。
【0045】
しかし、ユーザがオンラインカレンダー44の登録内容を変更するタイミングによっては、配送ロボット20による荷物60の配送途中で管理サーバ32に変更後のスケジュールが通知されることがある。この場合、管理サーバ32は、配送途中の配送ロボット20を一旦停止させ、変更後のスケジュールと配送ロボット20の現在位置とに基づいて配送計画の修正を行う。
【0046】
図4に示す例では、会議の開催場所がビル70の1階の会議室74から3階の会議室76へ変更されている。この場合、ビル70内の走行経路にエレベータ72が含まれるため、エレベータ72の待ち時間の分だけ到着時間が遅くなることが予測される。この予測のもと、管理サーバ32は、走行経路R1よりもビル70により早く到達できる経路を地図情報から検索する。検索の結果、走行経路R2が見つかった場合、管理サーバ32は、走行経路R2を通って会議室76まで荷物60を配送するように配送計画を修正する。
【0047】
管理サーバ32は、修正された配送計画によれば会議室76での会議に荷物60の配送が間に合うかどうか計算する。計算により肯定的な結果が得られれば、管理サーバ32は、修正された配送計画に基づき配送ロボット20の現在位置からの走行計画を作成する。そして、新たに作成された走行計画を配送ロボット20に通知する。配送ロボット20は、通知された走行計画に従い走行経路R2に沿ってビル70まで走行し、エレベータ72を使って会議室76まで移動する。
【0048】
一方、走行経路R2を選択したとしても会議室76での会議に荷物60の配送が間に合わない場合、管理サーバ32は、会議までに荷物60の配送が間に合わないことをユーザ50に通知する。管理サーバ32からの通知は、ユーザ50が持つ携帯端末52に対して行われる。変更後の会議のスケジュールに荷物60の配送が間に合わない場合、そのまま配送するのではなくユーザ50に通知して指示を仰ぐことで、役に立たなくなった荷物60を配送してしまうことを防ぐことができる。管理サーバ32は、通知に対するユーザ50からの指示を受けて配送計画を再修正する。
【0049】
例えば、ユーザ50が荷物60の配送をキャンセルした場合、管理サーバ32は、配送ロボット20を配送元であるコーヒー店80に戻すように配送計画を再修正する。そして、再修正された配送計画に基づき現在位置からコーヒー店80までの走行経路R3を含む走行計画を作成し、新たに作成された走行計画を配送ロボット20に通知する。配送ロボット20は、通知された走行計画に従い走行経路R3に沿ってコーヒー店80へ帰還する。なお、ユーザ50によるスケジュールの変更によって配送が遅延する場合、荷物60の配送をキャンセルしたとしてもコーヒー代と配送料金はユーザ50には返戻されない。
【0050】
会議までに荷物60の配送が間に合わないことの通知に対し、ユーザ50から荷物60をそのまま配送するよう指示を受けることも想定される。その場合、管理サーバ32は、基本経路である走行経路R1を通ってビル70まで走行するように配送計画を再修正し、再修正された配送計画に基づき作成した走行計画を配送ロボット20に通知する。
【0051】
以上の例では、会議場所が変更された場合について説明したが、会議スケジュールの変更は会議場所だけではない。会議時間や会議への参加人数が変更される場合もある。会議スケジュールの変更が会議時間の変更の場合、会議時間が遅くなる場合と早くなる場合とがある。会議時間が遅くなる場合、管理サーバ32は、配送ロボット20が配送元であるコーヒー店80へ戻る時間があるかどうか計算する。その時間が無いようであれば、管理サーバ32は、会議時間まで配送ロボット20をどこか安全な場所で待機させるように配送計画を修正する。
【0052】
配送ロボット20が配送元であるコーヒー店80へ戻る時間がある場合、管理サーバ32は、配送ロボット20を一旦コーヒー店80へ戻らせるように配送計画を修正する。この場合、コーヒーを新しいものに交換することができるが、コーヒーの交換に伴う割増料金がユーザ50に対して発生する。ユーザ50が割増料金の支払いを望まないのであれば、管理サーバ32は、会議時間が遅くなる場合には会議までの余裕時間の多少に関係なく、配送ロボット20を安全な場所で待機させるように配送計画を修正する。
【0053】
会議スケジュールの変更により会議時間が早まった場合、管理サーバ32は、会議室により早く到達できる走行経路を地図情報から検索し、検索された走行経路に基づいて配送計画を修正する。修正された配送計画であれば会議に間に合うのであれば、管理サーバ32は、修正された配送計画に基づいて配送ロボット20の新たな走行計画を作成する。
【0054】
一方、修正された配送計画でも会議に間に合わないのであれば、管理サーバ32は、ユーザ50に対して会議に配送が間に合わない旨を通知する。この通知に対してユーザ50が荷物60の配送をキャンセルした場合、管理サーバ32は、配送ロボット20を配送元であるコーヒー店80に戻すように配送計画を再修正する。この場合のキャンセルに伴うコーヒー代と配送料金はユーザ50が負担する。
【0055】
会議スケジュールの変更が会議への参加人数の変更の場合、参加人数が減る場合と増える場合とがある。参加人数が減る場合、カップに余りが出るものの問題にはならない。ゆえに、この場合、管理サーバ32は、配送計画を修正することなくそのまま配送ロボット20に荷物60を配送させる。
【0056】
会議スケジュールの変更により会議への参加人数が増えた場合、管理サーバ32は、配送ロボット20が現在配送しているカップの個数で足りるかどうか判定する。配送ロボット20が有している予備のカップを考慮しても参加人数に対してカップ数が不足する場合、管理サーバ32は、コーヒー店80に不足分のカップを取りに戻るように配送計画を修正する。修正された配送計画により会議に間に合うのであれば、管理サーバ32は、修正された配送計画に基づいて配送ロボット20の新たな走行計画を作成する。
【0057】
一方、修正された配送計画では会議に間に合わないのであれば、管理サーバ32は、ユーザ50に対して通知を行い、不足分のカップを取りに戻る場合には会議に配送が間に合わない旨を通知する。この通知に対してユーザ50が会議への配送の遅れを許容した場合、管理サーバ32は、修正した配送計画に従い走行計画を作成し、配送ロボット20に不足分のカップを取りに戻らせる。ユーザ50が配送の遅れを許容しない場合、管理サーバ32は、元の配送計画に従い配送ロボット20にそのまま荷物60の配送を続けさせる。なお、配送ロボット20に空きがあるのであれば、不足分のカップを別の配送ロボット20に届けさせてもよい。
【0058】
3.配送システムにおけるユーザとオンラインカレンダーと管理サーバと配送ロボットとの間の処理
以上説明した配送システム100による荷物配送の運用は、
図5に示すシーケンス図を用いて表すことができる。このシーケンス図には、配送システム100において行われるユーザ50とオンラインカレンダー44と管理サーバ32と配送ロボット20との間の処理の流れの例が示されている。また、このシーケンス図は、本実施形態に係る配送方法を示してもいる。
【0059】
図5に示す例では、まず、ユーザ50により会議スケジュールがオンラインカレンダー44に登録される(ステップS101)。会議スケジュールが登録されると、オンラインカレンダー44から管理サーバ32に対してコーヒーの注文が自動で行われる(ステップS201)。コーヒーの注文には、時間、場所、及び人数が含まれている。
【0060】
管理サーバ32は、注文どおりにコーヒーを配送するための配送計画を作成する(ステップS301)。次に、管理サーバ32は、作成された配送計画に基づいて配送ロボット20の走行計画を作成し、作成した走行計画を配送ロボット20に通知する(ステップS302)。
【0061】
走行計画を通知された配送ロボット20は、まず、配送元であるコーヒー店80にてコーヒーが入ったポットと人数分のカップを搭載する(ステップS401)。搭載の完了後、配送ロボット20は、走行計画に従って荷物60であるコーヒーの配送を開始する(ステップS402)。
【0062】
次に、ユーザ50によりオンラインカレンダー44に登録されている会議スケジュールが変更される(ステップS102)。会議スケジュールが変更されると、オンラインカレンダー44から管理サーバ32に対してスケジュールの変更が通知される(ステップS202)。
【0063】
管理サーバ32は、スケジュールの変更の通知を受けて配送ロボット20に配送の停止を指示する(ステップS302)。そして、変更されたスケジュールに基づいて配送計画を修正する(ステップS303)。配送の停止を指示された配送ロボット20は、再び指示が行われるまで待機する(ステップS403)
【0064】
もし、配送計画の修正の結果、会議へのコーヒーの配送が間に合わないことが予測された場合、管理サーバ32は、ユーザ50に対してその旨を通知する(ステップS304)。管理サーバ32からの通知に対し、ユーザ50は対応を指示する(ステップS103)。管理サーバ32は、ユーザ50からの指示を受けて配送計画を再修正する(ステップS305)
【0065】
管理サーバ32は、ステップS303で修正された配送計画、或いは、ステップS305で再修正された配送計画に基づき新たに走行計画を作成し、作成した走行計画を配送ロボット20に通知する(ステップS306)。配送ロボット20は、修正された配送計画次第では、配送元であるコーヒー店80に戻り(ステップS404)、配送するコーヒーを新しいコーヒーと入れ替える(ステップS405)。
【0066】
配送ロボット20は、新たに通知された走行計画に従ってコーヒーの配送を再開する(ステップS406)。そして、配送先である会議室に到着したとき、配送ロボット20は、ユーザ50に対して到着を通知する(ステップS407)。なお、この到着通知は管理サーバ32から行われてもよい。
【0067】
以上のシーケンス図からも明らかなように、配送システム100によれば、配送ロボット20が荷物60の配送を開始した後に会議のスケジュールが変更された場合でも、変更後のスケジュールに合わせて荷物60を配送することができる。また、会議のスケジュールが変更されれば、それに合わせて配送計画が自動で修正されるので、ユーザ50にとっては配送先や配送時刻の変更を連絡する必要が無いという利点もある。
【0068】
なお、
図4を用いた荷物配送の運用の説明では述べなかったが、イベントである会議は主催者であるユーザ50の都合によってキャンセルされる場合がある。
図6のシーケンス図には、会議がキャンセルされる場合に配送システム100において行われるユーザ50とオンラインカレンダー44と管理サーバ32と配送ロボット20との間の処理の流れの例が示されている。なお、
図6のシーケンス図では、
図5のシーケンス図と共通する処理に共通のステップ番号が用いられている。
【0069】
図6示す例では、コーヒーの配送が開始された後、ユーザ50によりオンラインカレンダー44に登録されている会議スケジュールがキャンセルされる(ステップS111)。会議スケジュールがキャンセルされと、オンラインカレンダー44から管理サーバ32に対して会議のキャンセルが通知される(ステップS211)。
【0070】
管理サーバ32は、会議のキャンセルの通知を受け、配送ロボット20に対して配送元であるコーヒー店80への帰還を指示する(ステップS313)。帰還指示を受けた配送ロボット20は、配送を中止してコーヒー店80へ帰還する(ステップ412)。会議がキャンセルされた場合には荷物60の配送もキャンセルされることで、必要のない荷物60を配送してしまうことを防ぐことができる。
【0071】
なお、会議がキャンセルされた場合に配送システム100において行われる処理には、次のような変形例が存在する。変形例では、オンラインカレンダー44から会議のキャンセルの通知を受けた後、管理サーバ32は、配送ロボット20を直ぐに帰還させるのではなく、配送ロボット20に対して配送の停止を指示する(ステップS311)。配送の停止を指示された配送ロボット20は、再び指示が行われるまで待機する(ステップS411)。
【0072】
配送ロボット20を待機させている間に、管理サーバ32は、ユーザ50に対してコーヒーの配送のキャンセルを確認する(ステップS312)。ユーザ50にとっては、会議をキャンセルしたとしても、注文したコーヒーだけは飲みたいこともあり得る。その場合、管理サーバ32は、配送ロボット20に指示してそのまま荷物60を配送させる。会議のキャンセルによりもはやコーヒーは不要であれば、管理サーバ32からのキャンセルの確認に対し、ユーザ50はキャンセルを指示する(ステップS112)。ユーザ50からのキャンセルの指示を受けて、管理サーバ32は、配送ロボット20に対してコーヒー店80への帰還を指示する(ステップS313)。待機状態にあった配送ロボット20は、帰還指示を受けてコーヒー店80へ帰還する(ステップ412)。
【0073】
3.その他の実施形態
上述の実施の形態では、イベントの一例として会議を例示したが、ここでは、昼食などの個人の食事を提示する。イベントが個人の食事の場合、配送ロボット20により配送される荷物60は、ハンバーガー、ピザ、ラーメン等の出前である。イベントのスケジュール変更としては、食事場所の変更や食事時間の変更をあげることができる。食事場所の変更には、自宅から友達の家への変更が含まれる。そして、スケジュールの変更への対応としては、例えば以下が考えられる。
【0074】
スケジュールの変更が食事場所の変更の場合、管理サーバ32は、配送ロボット20による配送計画を修正し、変更された食事場所へ食事を配送する。食事場所の変更の結果、配送が食事時間に間に合わないようであれば、管理サーバ32は、ユーザ50へ配送が遅れる旨を通知する。通知に対してユーザ50が配送をキャンセルした場合、管理サーバ32は、配送ロボット20を配送元へ引き返させる。
【0075】
スケジュールの変更が食事時間の変更の場合、食事時間が早くなった場合と食事時間が遅くなった場合とで異なる対応がとられる。食事時間が早くなった場合には、管理サーバ32は、そのまま配送ロボット20にユーザ50の食事場所へ荷物60を届けさせる。配送が食事時間に間に合わないようであれば、管理サーバ32は、ユーザ50へ配送が遅れる旨を通知する。通知に対してユーザ50が配送をキャンセルした場合には、配送ロボットを配送元へ引き返させる。
【0076】
食事時間が遅くなった場合、管理サーバ32は、配送ロボット20が配送元に戻る時間があるかどうか計算する。配送ロボット20が配送元に戻る時間がある場合には、管理サーバ32は、配送ロボット20を配送元に戻す。配送ロボット20を配送元に戻すことで、例えば、冷えた食べ物を温かいものに交換することが可能になる。ただし、その場合にはユーザ50に対して割増料金が請求される。配送ロボット20が配送元に戻る時間がない場合、管理サーバ32は、そのまま配送ロボット20に荷物60を届けさせる。ただし、荷物60を届ける前にユーザ50に通知し、荷物60を届けていいか確認することが好ましい。
【0077】
その他のイベントの例としてはパーティを挙げることができる。パーティでは、タイムテーブルに合わせてプレゼントが届けられたり、料理やデザートが用意されたりするが、進行具合によってタイムテーブルが変更される可能性がある。そのような場合でも、配送システム100によれば、ユーザを煩わせることなく柔軟に対応することができる。
【0078】
なお、上述の実施形態では、イベントのスケジュールはクラウドデータベース42のオンラインカレンダー44に登録されているが、管理サーバ32に格納されたデータベース上のオンラインカレンダーに登録されてもよい。
【0079】
また、上述の実施形態では、配送システム100は、管理サーバ32において配送計画を作成し、それに従って配送ロボット20が荷物60を配送する集中管理型のシステムとして構成されている。しかし、本開示の配送システムは、管理サーバが荷物の配送の注文に対して配送ロボットのアサインを行い、配送ロボットが配送計画の作成及び修正を行う分散型のシステムでもよい。
【符号の説明】
【0080】
10 通信ネットワーク
20 配送ロボット(移動体)
21 制御装置
21a プロセッサ
21b メモリ
32 管理サーバ
32a プロセッサ
32b メモリ
36 オペレータ
40 インターネット
42 クラウドデータベース
44 オンラインカレンダー
50 ユーザ
60 荷物
80 配送元
100 配送システム
R1,R2,R3 走行経路