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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】パーテーション
(51)【国際特許分類】
   A47B 96/04 20060101AFI20241022BHJP
   A47G 5/00 20060101ALI20241022BHJP
   A47B 17/04 20060101ALN20241022BHJP
   A47B 13/00 20060101ALN20241022BHJP
【FI】
A47B96/04 A
A47G5/00 A
A47B17/04
A47B13/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021122132
(22)【出願日】2021-07-27
(65)【公開番号】P2023018207
(43)【公開日】2023-02-08
【審査請求日】2024-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】猪澤 宏志
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-125743(JP,A)
【文献】実開昭50-036732(JP,U)
【文献】登録実用新案第3227556(JP,U)
【文献】登録実用新案第3232712(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 96/04
A47G 5/00
A47B 17/04
A47B 13/00
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙材で形成されたパーテーションであって、
前記紙材の延在方向において互いに直交する縦方向及び横方向の各々に連続して行列状に並ぶ複数の片部と、
前記片部どうしの間に設けられた複数の貫通孔と、
前記縦方向及び前記横方向の少なくとも一方に沿って延びて前記片部どうしの境界線をなすとともに前記紙材の折り曲げを補助する補助線と、を備えた
ことを特徴とするパーテーション。
【請求項2】
前記補助線は、前記境界線上に断続的に形成された切れ込みを有する
ことを特徴とする請求項に記載のパーテーション。
【請求項3】
少なくとも一つの前記片部は、他の前記片部に対して、前記縦方向及び前記横方向の少なくとも一方の寸法が異なる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のパーテーション。
【請求項4】
紙材で形成されたパーテーションであって、
前記紙材の延在方向において互いに直交する縦方向及び横方向の各々に連続して行列状に並ぶ複数の片部と、
前記片部どうしの間に設けられた複数の貫通孔と、を備え
少なくとも一つの前記片部は、他の前記片部に対して、前記縦方向及び前記横方向の少なくとも一方の寸法が異なる
ことを特徴とするパーテーション。
【請求項5】
前記紙材は、波形状の中芯と平面状のライナとが貼り合わせられた片面段ボールシートである
ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のパーテーション。
【請求項6】
全ての前記片部は、同一の形状をなす
ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のパーテーション。
【請求項7】
全ての前記片部は、前記縦方向及び前記横方向の少なくとも一方の寸法が互いに等しいことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のパーテーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、私的空間を仕切るためのパーテーションに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、在宅ワークやシェアオフィスなどの普及に伴い、私的空間を区画するパーテーションの需要が高まっている。例えば特許文献1には、板紙又は合成樹脂で形成された薄板状の仕切り体からなる卓上パーテーションが開示されている。この卓上パーテーションによれば、机やテーブル上に設置された際に、着座者の身体前面を概ね被覆できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3229360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のように、一般的なパーテーションは、使用者の前面を覆うように設けられることで、使用者から外部を目視不能とする。これに対し、例えば在宅ワーク中に、仕事用の私的空間を区画しつつも、私的空間の外部にいる子供の気配を感じられるようにしたいといったニーズがある。従来のパーテーションは、このように私的空間において外部の気配を認識できるようにするうえで改善の余地がある。
【0005】
本件のパーテーションは、上記のような課題に鑑みて創案されたものであり、外部の気配を認識可能な私的空間を提供することを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用および効果であって、従来の技術では得られない作用および効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本件のパーテーションは、紙材で形成されたパーテーションであって、前記紙材の延在方向において互いに直交する縦方向及び横方向の各々に連続して行列状に並ぶ複数の片部と、前記片部どうしの間に設けられた複数の貫通孔と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本件のパーテーションによれば、外部の気配を認識可能な私的空間を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るパーテーションの平面図(展開図)である。
図2図1の一部を拡大した図である。
図3】パーテーションの第一使用例を示す斜視図である。
図4】パーテーションの第二使用例を示す斜視図である。
図5】パーテーションの第三使用例を示す正面図である。
図6図5の状態に組み立てられる前のパーテーションを示す平面図である。
図7】パーテーションの第一収納例を説明する平面図である。
図8】パーテーションの第二収納例を説明する平面図である。
図9】パーテーションの第三収納例を説明する平面図である。
図10】変形例に係るパーテーションの平面図(図1に対応する図)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、本件の実施形態について説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。下記の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0010】
[1.構成]
[1-1.展開状態]
図1に示すように、本実施形態に係るパーテーション1は、折り曲げ可能な一枚の紙材で形成されている。以下、パーテーション1をなす紙材の延在方向において互いに直交する二方向をそれぞれ縦方向Dy及び横方向Dxともいう。縦方向Dy及び横方向Dxは、平面状に展開された展開状態のパーテーション1の平面視において、互いに直交する。
【0011】
本実施形態のパーテーション1をなす紙材は、波形状の中芯11と平面状のライナ12とが貼り合わせられた片面段ボールシートである。中芯11及びライナ12は、いずれも紙製のシート材である。パーテーション1では、一方の表面(オモテ面)に中芯11が露出し、他方の表面(ウラ面)にライナ12が露出する。本実施形態では、片面段ボールシートの流れ方向(中芯11の「波」が流れる方向)が横方向Dxに設定されている。したがって、パーテーション1では、中芯11とライナ12との間に形成される中空部が縦方向D2に沿って延びている。
【0012】
なお、パーテーション1をなす紙材は、上記のような片面段ボールシートに限定されず、例えば、両面段ボールシートであってもよいし、複数の板紙を貼り合わせた合紙であってもよい。ただし、紙材は、パーテーション1が自立可能となる程度の剛性を有することが好ましい。また、紙材は、視線を遮る観点では、不透明であることが好ましい。
【0013】
まず、展開状態のパーテーション1について説明する。
パーテーション1は、縦方向Dy及び横方向Dxの各々に連続して行列状に並ぶ複数の片部2と、片部2どうしの間に設けられた複数の貫通孔3と備える。ここでは、四つの片部2が縦方向Dyに連続して並ぶと共に、七つの片部2が横方向Dxに連続して並ぶパーテーション1を例示する。縦方向Dyに並ぶ片部2を「列」とし、横方向Dxに並ぶ片部2を「行」とすると、本実施形態のパーテーション1には四行×七列からなる合計二十八個の片部2が配列されている。ただし、ここに示す片部2の合計数や行数や列数はいずれも一例である。
【0014】
本実施形態では、パーテーション1に設けられた全ての片部2が、同一の形状をなすとともに同一のサイズに設定されている。より具体的にいえば、片部2はいずれも、同一のサイズの円形状をなす。ここでいう「同一」には、完全に一致することだけでなく、略一致することも含まれる。例えば、各片部2の輪郭の一部は後述の補助線4により直線状をなすが、いずれの片部2も略同じサイズの円形状に近似できることから、これらの片部2はいずれも同一のサイズの円形状であると見做せる。
【0015】
全ての片部2は、好ましくは、縦方向Dy及び横方向Dxの少なくとも一方の寸法が互いに等しく設定される。本実施形態の片部2はいずれも、上記のとおり同一の形状かつ同一のサイズであることから、縦方向Dyの寸法Y1(以下、「縦寸法Y1」ともいう)が互いに等しく、かつ、横方向Dxの寸法X1(以下、「横寸法X1」ともいう)も互いに等しい。また、本実施形態の片部2はいずれも、上記のとおり円形状であることから、縦寸法Y1と横寸法X1とも互いに等しい(Y1=X1)。なお、ここでいう「等しい」には、上記の「同一」と同様に、完全に一致することだけでなく、略一致することも含まれる。
【0016】
本実施形態のパーテーション1は、縦方向Dy及び横方向Dxの少なくとも一方に沿って延びて片部2どうしの境界線をなす補助線4を更に備えている。換言すれば、片部2は、補助線4を介して互いに隣接している。ここでは補助線4として、縦方向Dyに沿って延びる縦補助線41と、横方向Dxに沿って延びる横補助線42との双方を例示する。ただし、補助線4としては、縦補助線41と横補助線42とのいずれか一方のみが設けられてもよい。なお、図面では、補助線4をはじめとする複数ある要素において適宜符号を省略する。
【0017】
補助線4は、パーテーション1をなす紙材の折り曲げを補助する。紙材は、補助線4に沿って折り曲げられると、この補助線4に沿って破れやすくなる。このため、補助線4は、紙材の折り曲げを補助することで紙材の破断も補助するといえる。補助線4は、例えばスジ押しやハーフカットにより線状に設けられる。
【0018】
図2に示すように、本実施形態の補助線4は、片部2どうしの境界線上に断続的に形成された切れ込み5を有する。このような切れ込み5を有する補助線4は、片部2どうしの境界線上に加工されたミシン目ともいえる。なお、補助線4としては、ここで例示する構造に限らず、紙材の折り曲げを補助する種々の構造を適用できる。図2及び後述の図3,4では、中芯11に網点を付して示し、中芯11の波形状を省略する。
【0019】
貫通孔3は、紙材から打ち抜かれた部位であって、パーテーション1の使用者が外部を確認するための小さな窓として機能する。各貫通孔3は、他のシート材(例えば透明フィルム)で覆われておらず、パーテーション1のオモテ面からウラ面まで貫通した空間をなす。本実施形態の各貫通孔3は、縦方向Dy及び横方向Dxに二つずつ隣接する四つの片部2で区画されている。より具体的にいえば、各貫通孔3は、隣接する四つの片部2の輪郭をなす円弧状の縁部で囲まれた星芒形状をなす。
【0020】
貫通孔3は、隣接する片部2どうしの境界線を仮想的に延長した線上に設けられる。本実施形態の貫通孔3は、縦補助線41(横方向Dxに隣接する片部2どうしの境界線)を仮想的に延長した縦線Lyと、横補助線42(縦方向Dyに隣接する片部2どうしの境界線)を仮想的に延長した横線Lxとが交差する位置に設けられている。したがって、貫通孔3は、行列状に並ぶ片部2に対応して規則的に配置される。ただし、貫通孔3の配置は上記の例に限定されない。貫通孔3は、縦線Ly及び横線Lxのいずれ一方からずれた位置に配置されてもよい。
なお、平面状に展開されたパーテーション1において、貫通孔3の総面積A3(全ての貫通孔3の面積〔開口面積〕を足した合計値)は、片部2の総面積A2(全ての片部2の面積を足した合計値)よりも小さくなるように設定される(A3<A2)。
【0021】
[1-2.使用状態]
次に、図3~6を参照し、鉛直方向Dzに立設された使用状態(組み立てられた状態)のパーテーション1について説明する。
【0022】
<第一使用例>
図3に示すように、パーテーション1は、例えばデスクの台座面20上でノートパソコン21を囲むように設置される。ここでは、縦方向Dyが鉛直方向Dzと一致する姿勢で台座面20上に立設されたパーテーション1を例示する。換言すれば、片面段ボールシートで形成されたパーテーション1は、流れ方向が鉛直方向と直交する姿勢で立設される。
【0023】
第一使用例のパーテーション1は、縦方向Dyに延びる複数の線(例えば縦補助線41)に沿って折り曲げられることで、使用者の私的空間Sを囲むアーチ状の壁をなす。本使用例では、縦補助線41のみに沿って折り曲げられ、横方向Dxに延びる線(例えば横補助線42)では折り曲り曲げられていないパーテーション1を示す。
このように組み立てられたパーテーション1は、鉛直方向Dzの寸法Z1(以下、「鉛直寸法Z1」ともいう)が展開状態の縦方向Dyの寸法(全長)と一致する。より具体的にいえば、本使用例のパーテーション1の鉛直寸法Z1は、縦方向Dyに並ぶ四つの片部2により、一つの片部2の縦寸法Y1を四倍した値(Z1=4×Y1)となる。
【0024】
パーテーション1は、例えば、中芯11の露出するオモテ面が私的空間Sに向くとともに、ライナ12の露出するウラ面が私的空間Sと反対側の外部に向くように配置される。この場合に、パーテーション1は、中芯11の波形状のなす段がノートパソコン21の角部22に引っ掛かるように位置決めされることで、ノートパソコン21に係止されてもよい。
【0025】
<第二使用例>
図4に示すように、第二使用例のパーテーション1は、上記の第一使用例の状態から、横方向Dxに延びる一つの線に沿って外部へ折り曲げられることで、鉛直寸法Z1が縮小されている。本使用例では、二つ折り状態となるように、縦方向Dyの中央部に位置する横補助線42に沿って外部へ折り重ねられたパーテーション1を示す。
このように組み立てられたパーテーション1は、鉛直寸法Z1が展開状態の縦方向Dyの寸法(全長)に対して半分に縮小される。より具体的にいえば、本使用例のパーテーション1の鉛直寸法Z1は、縦方向Dyに並ぶ二つの片部2により、一つ片部2の縦寸法Y1を二倍した値(Z1=2×Y1)となる。
【0026】
このように、パーテーション1は、横方向Dxに延びる線(例えば横補助線42)で折り返されることで、鉛直寸法Z1が縮小されるとともに厚み寸法が拡大される。厚み寸法が拡大されたパーテーション1は、剛性が高くなるため、鉛直方向D3に立設された状態で姿勢が安定しやすくなる。
また、本使用例のパーテーション1は、上記のとおり横補助線42に沿って外部へ折り重ねられているため、中芯11の露出するオモテ面が私的空間Sと外部との双方に向く。したがって、本使用例のパーテーション1では、上記のように中芯11が私的空間S側でノートパソコン21の角部22に係止される場合であっても、中芯11が外部に露出して設けられる。
【0027】
<第三使用例>
図5に示すように、第三使用例のパーテーション1では、台座面20に沿うように足部13が組み立てられる。ここでは、ライナ12の露出するウラ面が私的空間Sに向くとともに、中芯11の露出するオモテ面が私的空間Sと反対側の外部に向くように配置されたパーテーション1を例示する。なお、図5では、中芯11の波形状を省略する。
【0028】
足部13は、図6に示す展開状態のパーテーション1において、縦方向Dyの最も外側(図6では最も上側又は最も下側)で横方向Dxに並ぶ一行の片部2によって構成される。以下、足部13をなす一行の片部2のうち、横方向Dxの最も外側(図6では左端及び右端)に位置する二つを「端片部2A」ともいい、端片部2Aの間に位置する残りを「中片部2B」ともいう。
【0029】
端片部2Aは、パーテーション1が組み立てられる前に中片部2Bから切り離される。図6には、端片部2Aと中片部2Bとの境界線をなす縦補助線41に沿ってパーテーション1が破断させられることにより、端片部2Aと中片部2Bとの間にスリット6が形成されたパーテーション1を示す。
【0030】
パーテーション1は、スリット6と縦方向Dyに並ぶ(図6中の縦線Lyと重なる)各縦補助線41と、端片部2A及び中片部2Bと他の片部2との境界線をなす(図6中の横線Lxと重なる)各横補助線42とにおいて折り曲げられる。換言すれば、パーテーション1は、横方向Dxの最も外側に位置する縦補助線41と、縦方向Dyの最も外側であって端片部2A及び中片部2Bに隣接する横補助線42とにおいて折り曲げられる。
【0031】
そして、上記のように折り曲げられたパーテーション1では、スリット6により中片部2Bから切り離された端片部2Aが、中片部2Bに重ねられる。これにより、パーテーション1には、図5に示す平面状の足部13が形成される。なお、図5には中片部2Bの上側に重ねられた端片部2Aを例示するが、これとは反対に、端片部2Aが中片部2Bの下側に重ねられてもよい。
【0032】
上記のように形成された足部13では、中片部2Bの中芯11が下側に向いて台座面20に当接する。このように、波形状をなす中芯11が台座面20に当接することで、台座面20に対する中片部2Bの滑りが抑制される。また、足部13では、端片部2Aの中芯11が下側に向いて中片部2Bに当接する。これにより、中片部2Bに対する端片部2Aの滑りも抑制される。
【0033】
なお、足部13が設けられたパーテーション1では、展開状態で端片部2Aと縦方向Dyに並ぶ各片部2により、互いに対面する一対の側壁部14が形成され、展開状態で中片部2Bと縦方向Dyに並ぶ各片部2により、側壁部14間に立設される前壁部15が形成される。このように、本使用例のパーテーション1では、側壁部14及び前壁部15がコ字状に配置されることで、台座面20上に私的空間Sが区画される。
【0034】
<他の使用例>
パーテーション1の使用例は上記の三つに限定されない。パーテーション1は、例えば、要求される私的空間Sのサイズやノートパソコン21の形状やサイズなどに合わせて、所望の形状やサイズとなるように折り曲げられたり破られたりしてもよい。このとき、補助線4を用いれば、パーテーション1の折り曲げや破断を容易に行なえる。
【0035】
また、パーテーション1の縦方向Dy及び横方向Dxの中央部を破断させることで、例えば物品の受け渡し用の窓となる開口を設けてもよい。さらに、片面段ボールシートであるパーテーション1は、横方向Dx(片面段ボールシートの流れ方向)が鉛直方向Dzと一致する姿勢で設置されてもよいし、ライナ12の露出するウラ面が私的空間Sと外部との双方に向くような二つ折りにされてもよい。また、パーテーション1の設置面は、デスクの台座面20に限定されず、例えば床面であってもよい。
【0036】
パーテーション1は、共有空間を仕切るために使用されてもよい。例えば、複数人で用いる共有デスク上にパーテーション1を設置することで、この共有デスク上の共有空間を複数の私的空間Sに区画してもよい。このように、パーテーション1は、隣り合う二つの私的空間Sどうしを区画する隔壁としても使用可能である。
【0037】
[1-3.収納状態]
続いて、図7~9を参照し、平面状に折り畳まれた収納状態のパーテーション1について説明する。
【0038】
<第一収納例>
図7に示すように、第一収納例のパーテーション1は、横方向Dxに並ぶ縦補助線41で交互に谷折り及び山折りされることで、縦方向Dyに並ぶ一列の片部2のサイズまで折り畳まれている。より具体的にいえば、本収納例のパーテーション1は、片部2の横寸法X1に対応する間隔をあけて横方向Dxに並ぶ各縦線Lyに沿って蛇腹状に折り畳まれることで、横方向Dxの寸法(全長)が一つの片部2の横寸法X1まで縮小されている。このように、縦方向Dyに延びる線に沿ってパーテーション1を折り畳めば、横方向Dxの寸法(全長)を縮小できる。
【0039】
<第二収納例>
図8に示すように、第二収納例のパーテーション1は、縦方向Dyに並ぶ横補助線42で交互に谷折り及び山折りされることで、横方向Dxに並ぶ一行の片部2のサイズまで折り畳まれている。より具体的にいえば、本収納例のパーテーション1は、片部2の縦寸法Y1に対応する間隔をあけて縦方向Dyに並ぶ各横線Lxに沿って蛇腹状に折り畳まれることで、縦方向Dyの寸法(全長)が一つの片部2の縦寸法Y1まで縮小されている。このように、横方向Dxに延びる線に沿ってパーテーション1を折り畳めば、縦方向Dyの寸法(全長)を縮小できる。
【0040】
<第三収納例>
第三収納例のパーテーション1は、縦補助線41と横補助線42との双方で折り畳まれる。例えば図9に示すように、パーテーション1は、縦方向Dyの中央部に位置する横線Lxに沿って二つ折りにされたうえで、パーテーション1を横方向Dxに略三等分する二つの縦線Lyでそれぞれ折り曲げられる。このように、縦方向Dyに延びる線と横方向Dxに延びる線との双方に沿ってパーテーション1を折り畳めば、縦方向Dy及び横方向Dxの各寸法(全長)を縮小できる。
【0041】
[2.作用及び効果]
(1)パーテーション1によれば、行列状に並ぶ複数の片部2により外部からの視線を遮断しながら私的空間Sを仕切れる一方で、片部2どうしの間に設けられた複数の貫通孔3により外部(片部2の向こう側)の視認性を確保できる。よって、外部の気配を認識可能な私的空間Sを提供できる。
【0042】
例えば、使用者が在宅ワーク中にパーテーション1を使用すれば、台座面20上に仕事用の私的空間Sを区画しつつも、貫通孔3を通じて外部にいる子供の様子を感じ取れる。このため、仕事と保育との両立を図れる。また、使用者がシェアオフィスでパーテーション1を使用すれば、台座面20上に作業用の私的空間Sを区画しつつも、貫通孔3を通じて外部にいる他者の様子を感じ取れる。このため、作業をしつつも不審者に気づきやすくなる。
【0043】
また、パーテーション1は紙製であるため、プラスチック製や木製のものと比べて、印刷やメモ書きを容易に行なえるとともに軽量化を図れる。よって、利便性及び携帯性を高められる。さらに、片部2どうしの境界線でパーテーション1を折り曲げたり切断したりすれば、上記の使用例や収納例のように、パーテーション1の形状やサイズを用途に合わせて調整できる。したがって、使い方及び仕舞い方の自由度を高められる。
【0044】
(2)紙材の折り曲げを補助する補助線4が縦方向Dy及び横方向Dxの少なくとも一方に沿って延びていれば、縦方向Dy及び横方向Dxの少なくとも一方に沿ってパーテーション1を折り曲げやすくなる。このため、使用状態におけるパーテーション1の姿勢の調整が容易になるとともに、折り畳み性が向上することからパーテーション1の収納性及び携帯性を高められる。
なお、仮に横補助線42が省略された場合であっても、縦補助線41を用いれば、上記の第一使用例のようにパーテーション1を容易に組み立てられるとともに、上記の第一収納例のようにパーテーション1を容易に折り畳める。よって、縦補助線41及び横補助線42のいずれか一方が省略されたパーテーション1であっても、使用状態の姿勢を容易に調整できるとともに、収納性及び携帯性を高められる。
【0045】
また、紙材において補助線4が延びる部分は、折り曲げられると剛性が低下することで破れやすくなる。このため、片部2どうしの境界線をなす補助線4に沿って折り曲げられたパーテーション1は、片部2どうしの境界線に沿って破れやすくなる。したがって、パーテーション1に補助線4が設けられていれば、片部2どうしの境界線に沿ってパーテーション1を手で破ることが容易となる。これにより、パーテーション1の形状やサイズの調整が容易となるため、利便性を高められる。
【0046】
(3)補助線4が片部2どうしの境界線上に断続的に形成された切れ込み5を有していれば、補助線4の延びる部分の剛性が低下するため、パーテーション1を補助線4で更に折り曲げやすくなる。したがって、使用状態におけるパーテーション1の姿勢の調整が更に容易になるとともに、収納性及び携帯性を更に高められる。
また、上記の切れ込み5を有する補助線4によれば、片部2どうしの境界線に沿ってパーテーション1を手で破ることが更に容易となるため、パーテーション1の形状やサイズの調整も一層容易となる。よって、利便性を更に高められる。
【0047】
(4)パーテーション1をなす紙材が片面段ボールシートであれば、パーテーション1の一方の面(本実施形態ではオモテ面)に波形状の中芯11が露出するため、中芯11の波形状がなす段により滑り止めの効果が得られる。例えば上記の第一使用例及び第二使用例のように、中芯11の波形状がなす段を対象物であるノートパソコン21の角部22に引っ掛ければ、対象物に対するパーテーション1の位置ずれを抑制できる。あるいは、上記の第三使用例のように、足部13において、中片部2Bの中芯11を台座面20に当接させれば、台座面20に対する中片部2Bの滑りを抑制できる。同様に、端片部2Aの中芯11を中片部2Bに当接させれば、中片部2Bに対する端片部2Aの滑りを抑制できる。よって、使用状態のパーテーション1の姿勢を安定化できる。さらに、中芯11の波形状によれば、パーテーション1を組み立てたり折り畳んだりする使用者の手の滑りも抑制できる。このため、パーテーション1の組み立てや折り畳みの作業性を高められる。
【0048】
また、片面段ボールシートで形成されたパーテーション1によれば、中芯11が波形状の模様をなすため、意匠性を高められる。特に上記の第二使用例のように、私的空間Sと外部との双方に中芯11が露出するようにパーテーション1が二つ折りされれば、私的空間Sと外部との双方においてパーテーション1の意匠性を高められる。
【0049】
さらに、片面段ボールシートは、流れ方向と直交する線よりも流れ方向に延びる線に沿って折れ曲がりにくい性質をもつため、流れ方向(本実施形態では横方向D1)が水平方向と一致する姿勢でパーテーション1を鉛直方向に立設すれば、パーテーション1が倒れ込むような折れ曲がりを抑制できる。よって、パーテーション1の姿勢を安定化できる。なお、片面段ボールシートは、両面段ボールシートと比べて折り曲げやすく軽量であるため、片面段ボールシートで形成されたパーテーション1によれば、両面段ボールシートで形成されたものと比べて、折り曲げ性及び携帯性を高められる。
【0050】
(5)パーテーション1において全ての片部2が同一の形状をなしていれば、パーテーション1の全体にわたって統一感が出るため、意匠性を高められるとともに、パーテーション1の製造容易性も高められる。
(6)パーテーション1において全ての片部2の縦寸法Y1及び横寸法X1の少なくとも一方が互いに等しければ、縦方向Dy及び横方向Dxの少なくとも一方における単位長さごとの折り曲げや破断が容易となる。これにより、パーテーション1の形状やサイズの調整が容易となるため、利便性を高められる。
【0051】
(7)貫通孔3が片部2どうしの境界線を仮想的に延長した線(上記の縦線Lyや横線Lx)上に設けられていれば、片部2どうしの境界線に沿う折り曲げや破断が容易となる。これによっても、パーテーション1の形状やサイズの調整が容易となるため、利便性を高められる。特に、上記の縦線Lyと横線Lxとが交差する位置に貫通孔3が設けられていれば、縦線Ly及び横線Lxのいずれに沿う折り曲げや破断も容易に行なえるため、利便性を一層高められる。
(8)パーテーション1において、貫通孔3の総面積A3が片部2の総面積A2よりも小さく設定されていれば、貫通孔3を通じた視認性を確保しつつも、剛性低下を抑えられるため姿勢を安定化できるとともに、片部2による遮蔽性を確保できる。
【0052】
[3.変形例]
以下、上記の実施形態の変形例について述べる。以下の説明では、上記の実施形態で示した要素と同一又は対応する要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0053】
図10に示すように、パーテーション1には、複数種のサイズをなす片部2が設けられてもよい。ここでは、比較的小さい小片部2Cと、比較的(小片部2Cよりも)大きい大片部2Dとの二種類のサイズをなす片部2が設けられた例を示す。以下、パーテーション1のうち、小片部2Cが行列状に配置された領域を小領域16ともいい、大片部2Dが行列状に配置された領域を大領域17ともいう。本変形例のパーテーション1では、小領域16と第領域17とが縦方向Dyに隣接している。
【0054】
本変形例の片部2は、上記のとおり小領域16及び大領域17でサイズが異なるものの、いずれも八角形状をなしている。すなわち、本変形例でも、全ての片部2は同一の形状をなす。
本変形例では、上記の小片部2C及び大片部2Dにより、少なくとも一つの片部2が、他の片部2に対して、縦寸法及び横寸法の少なくとも一方が異なる。ここでは、小片部2Cの縦寸法Y2が大片部2Dの縦寸法Y3の半分であり、小片部2Cの横寸法X2が大片部2Dの横寸法X3の半分である例を示す。
【0055】
小領域16には、四行×八列からなる合計三十二個の小片部2Cが配列されている。これに対し、大領域17には、二行×四列からなる合計八個の大片部2Dが配列されている。小領域16において、大領域17に隣接する一行の小片部2Cは、大領域17において、小領域16に隣接する一行の大片部2Dと連設されている。
【0056】
パーテーション1では、上記のとおり小片部2Cが大片部2Dよりも多く設けられている。ただし、小領域16の縦寸法及び横寸法は、大領域17の縦寸法及び横寸法とそれぞれ等しく設定されている。したがって、小領域16では、大領域17と比べて、片部2及び貫通孔3が高密度に配置されている。なお、ここに示す小片部2C及び大片部2Dの合計数や行数や列数はいずれも一例である。
【0057】
本変形例の補助線4はいずれも、片部2の八角形状の輪郭をなす一辺と重なっている。また、本変形例の貫通孔3は、縦方向Dy及び横方向Dxに二つずつ隣接する四つの片部2で区画された矩形状の貫通孔3Aと、横方向Dxに隣接する二つの小片部2Cとこれらの小片部2Cに対して縦方向Dyに隣接する一つの大片部2Dとで区画された三角形状の貫通孔3Bとの二種類を含む。
【0058】
本変形例のパーテーション1によれば、少なくとも一つの片部2(例えば小片部2C)が他の片部2(例えば大片部2D)に対して縦寸法及び横寸法の少なくとも一方が異なるため、片部2の縦寸法及び横寸法の少なくとも一方にバリエーションが出る。これにより、片部2の境界線に沿う折り曲げや破断を様々な位置で行うことが容易となるため、パーテーション1のサイズや形状を多様化できる。よって、利便性を高められる。
【0059】
また、片部2の寸法のバリエーションに合わせて、貫通孔3の形状やサイズや配置も多様化できるため、貫通孔3を通じた視認性の調整も容易となる。例えば、小片部2Cが設けられた小領域16では、大片部2Dが設けられた大領域17と比べて、貫通孔3が高密度に設けられるため視認性を高められる。反対に、上記の大領域17によれば、上記の小領域16と比べて、貫通孔3が低密度に設けられるため遮蔽性を高められる。このように、寸法の異なる小片部2C及び大片部2Dが配置されることで、パーテーション1の領域ごとに視認性及び遮蔽性を調整できる。したがって、大領域17がノートパソコン21を囲むとともに小領域16がノートパソコン21の上側に位置するようにパーテーション1を設置すれば、遮蔽性が確保された大領域17でノートパソコン21を隠しつつ、視認性が確保された小領域16で外部の気配を認識することも可能となる。
【0060】
なお、上記の小片部2C及び大片部2Dは一例である。小片部2C及び大片部2Dは、互いに形状が異なっていてもよいし、縦寸法及び横寸法のいずれか一方のみが互いに異なっていてもよい。また、パーテーション1には、三種類以上のサイズをなす片部2が設けられてもよいし、三種類以上のサイズや形状をなす貫通孔3が設けられてもよい。さらに、片部2の形状は、上記の円形状や八角形状に限定されない。また、パーテーション1には、様々な形状の片部2が混在していてもよい。
【0061】
補助線4は、切れ込み5を有しなくてもよいし、パーテーション1から省略されてもよい。仮に、補助線4が省略されたパーテーション1であっても、上記のとおり片部2で私的空間Sを仕切りつつ、貫通孔3を通じて外部の視認性を確保できる。よって、外部の気配を認識可能な私的空間Sを提供できる。
【符号の説明】
【0062】
1 パーテーション
2 片部
2A 端片部
2B 中片部
2C 小片部
2D 大片部
3 貫通孔
4 補助線
5 切れ込み
6 スリット
11 中芯
12 ライナ
13 足部
14 側壁部
15 前壁部
16 小領域
17 大領域
20 台座面
21 ノートパソコン
22 角部
41 縦補助線
42 横補助線
A2 片部2の総面積
A3 貫通孔3の総面積
Dx 横方向
Dy 縦方向
Dz 鉛直方向
Lx 横線
Ly 縦線
S 私的空間
X1 片部2の横寸法
X2 小片部2Cの横寸法
X3 大片部2Dの横寸法
Y1 片部2の縦寸法
Y2 小片部2Cの縦寸法
Y3 大片部2Dの縦寸法
Z1 パーテーション1の鉛直寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10