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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20241022BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20241022BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20241022BHJP
   F16L 11/04 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B32B27/32 D
B32B1/08 B
B32B27/34
F16L11/04
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021512080
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2020014352
(87)【国際公開番号】W WO2020203905
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2019068717
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000206
【氏名又は名称】UBE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】坪井 一俊
(72)【発明者】
【氏名】堂山 大介
(72)【発明者】
【氏名】藤井 広昭
(72)【発明者】
【氏名】楠本 孝明
【審査官】大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-285905(JP,A)
【文献】特開2012-082885(JP,A)
【文献】国際公開第2017/170985(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/033982(WO,A1)
【文献】特開2020-032588(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00、
C08K3/00-13/08、C08L1/00-101/14、
F16L9/00 -11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)層及び(b)層を含む2層以上の積層体であって、
前記(a)層は、脂肪族ポリアミド組成物(A)を含み、
前記(b)層は、変性ポリオレフィン(B)を含み、
前記(a)層及び(b)層は、互いに隣接しており、
前記変性ポリオレフィン(B)は、炭素原子数2以上10以下のα-オレフィンに基づく単量体から誘導される単位と、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトリル基、チオール基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する不飽和化合物並びにカルボキシル基を有する不飽和化合物の誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する不飽和化合物から誘導される単位とを含有し、前記変性ポリオレフィン(B)は、ASTM D2240に準拠して測定したショア硬さ(Dスケール)が30以上61以下であり、
ここで、前記脂肪族ポリアミド組成物(A)は、ポリアミド(A1)及び耐衝撃剤を含み、
前記ポリアミド(A1)は、メチレン基数のアミド基数に対する比が7.0以上の脂肪族ポリアミドであり、
前記耐衝撃剤は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を有し、ASTM D2240に準拠して測定したショア硬さ(Dスケール)が30未満であるエラストマー重合体であり、
(a)層の厚みは、積層体の全肉厚の50%以上80%以下であり、(b)層の厚みは、積層体の全肉厚の20%以上50%以下であり、積層体の全肉厚は、0.5mm以上25mm以下である、積層体。
【請求項2】
前記ポリアミド(A1)が、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド1012、及びポリアミド1212からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体、並びに/又はこれらを形成する原料単量体を数種用いた少なくとも1種の共重合体である、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記脂肪族ポリアミド組成物(A)が、可塑剤及び耐熱剤からなる群から選択される1種以上の更なる成分を含む、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
前記変性ポリオレフィン(B)は、ASTM D638に準拠して測定した引張降伏点応力が23MPa以下であり、ASTM D638に準拠して測定した引張破断点応力が25MPa以上である、請求項1からのいずれか1項に記載の積層体。
【請求項5】
前記変性ポリオレフィン(B)は、ASTM D1238に準拠して測定したMFR(230℃、2,160g)が3.5g/10min以上である、請求項1からのいずれか1項に記載の積層体。
【請求項6】
前記変性ポリオレフィン(B)は、FT-IR測定にて、波数が710cm-1以上740cm-1以下にある吸収のうち最大強度を示す波数が721cm-1以上である、請求項1からのいずれか1項に記載の積層体。
【請求項7】
前記変性ポリオレフィン(B)は、変性前のポリオレフィンを溶融させ、前記官能基を有する不飽和化合物を添加して、グラフト共重合化させる方法により製造される、請求項1からのいずれか1項に記載の積層体。
【請求項8】
前記変性ポリオレフィン(B)は、無水マレイン酸変性ポリプロピレンである、請求項1からのいずれか1項に記載の積層体。
【請求項9】
前記(a)層及び(b)層のみからなる、請求項1からのいずれか1項に記載の積層体。
【請求項10】
共押出成形法により製造される、請求項1からのいずれか1項に記載の積層体。
【請求項11】
請求項1から1のいずれか1項に記載の積層体を含む積層中空成形体。
【請求項12】
外側から前記(a)層、(b)層の順で配置された、請求項1に記載の積層中空成形体。
【請求項13】
前記(b)層が最内層に配置された、請求項1に記載の積層中空成形体。
【請求項14】
最内層に更なる層を含む、請求項1に記載の積層中空成形体。
【請求項15】
チューブである、請求項1から1のいずれか1項に記載の積層中空成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧チューブや水圧チューブ等の各種圧力チューブ、バキュ-ムチューブ、及び自動車に用いられる燃料配管チューブ、ブレーキチューブ、冷却液用ホース、エアコン配管チューブ、SCR(ディーゼルエンジン排ガス除去装置)チューブ、コントロールケーブルライナー等には多くのホース・チューブ類が使用されている。これらのホース・チューブでは、冷却液(アルコール及び水)、冷媒、オイル、尿素溶液等の薬液が搬送される。自動車工業分野で使用される各種ホース・チューブ等には、高温下での高い破壊圧強度や長期にわたる耐熱性、耐薬品性、水蒸気や薬液バリア性、柔軟性等極めて高い性能が要求されている。
【0003】
特に、循環流体が、冬期の凍結防止のためエチレングリコールを主体とした冷却液(LLC)、ディーゼルエンジンから放出されるNOxを除去するための触媒として封入される尿素溶液、エアコン・ラジエター等に用いられる二酸化炭素、フロン、代替フロン、プロパン、水等の冷媒等の場合、これら薬液に対するバリア性が十分でないと、実使用時において、冷却効果や触媒作用効果を十分に発揮できない。また、オゾン層破壊ガスの蒸散規制強化に伴い、自動車等に使用される冷媒搬送用チューブの冷媒バリア性に対する要求が厳しくなっている。
【0004】
一方で、オゾン層破壊ガスの蒸散規制強化に伴い、近年、自動車等に使用される冷媒の品質も改良されている。例えば、R-1234yf冷媒は、HFC-134a冷媒の代替冷媒として開発されたものであり、HFC-134a冷媒に比べオゾン破壊係数及び地球温暖化係数が低く、地球環境に極めて優しい冷媒である。しかしながら、特にR-1234yf冷媒は、高温環境の下、水との接触により加水分解して酸(ギ酸等)を発生しやすく、その酸が要因となって、薬液と接触する材料によっては加水分解や劣化しやすくなり、最悪の場合、クラックが発生し、流体が漏れて流体の搬送の目的を果たせなくなるという問題がある。あるいは、チューブ本体を薬液や水が透過して接触する部品へ悪影響を及ぼす場合もある。
【0005】
従来から使用されている、ポリアミド系樹脂、特に、強度、靭性、耐薬品性、柔軟性等に優れるポリアミド11又はポリアミド12を単独で使用した単層チューブは、前記の薬液に対する長期耐久性及びバリア性が十分ではない。
【0006】
エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂については、各種薬液に対する耐性に卓越して優れており、水蒸気に対するバリア性能を有する材料部材の一つとして考えられる。近年では、ポリアミドとの接着性を有するフッ素系樹脂の開発が活発になっている(特許文献1から3参照)。しかしながら、環境対応上、ハロゲン含有材料の使用が敬遠されつつあると共に、高比重、高コストという問題があり、ハロゲンフリー材料を使用し、薬液に対するバリア性に優れ、かつ様々な薬液に対する耐性を有する配管システムの開発が求められるところである。
【0007】
一方、ポリオレフィンは安価であり、薬液透過防止性、薬液長期耐性に優れている。例えば、ポリアミドよりなる外層、架橋ポリエチレンよりなる内層から構成された冷却用配管が提案されている(特許文献4参照)。また、ポリアミドよりなる外層、一定以上の厚みを有し、特定の添加剤を含有するポリプロピレンよりなる内層から構成された冷却用配管が提案されている(特許文献5参照)。同様に、冷却剤に対して不活性で膨潤不能の内層と、ポリアミドよりなる外層からなり、内層はハロゲン化又は非ハロゲン化ホモポリオレフィン又はコポリオレフィンから構成され、押出ブロー成形により製造されており、導管の長さにわたり層の壁厚が異なり、かつ内層及び外層のポリマーはその可撓性が明瞭に相違することを特徴とする冷却用配管が提案されている(特許文献6参照)。また、内側から外側に向かって、ポリオレフィンの内層と、接着剤を基にした第1中間層と、エチレン/ビニルアルコール共重合体の第2中間層と、ポリアミドの第3中間層と、外側の保護層とを含んで成る多層チューブが提案されている(特許文献7参照)。更に、ポリアミド系樹脂と、スチレン-イソブチレンブロック共重合体とを必須成分とする外層用材料を外層とし、ポリオレフィン系樹脂と、スチレン-イソブチレンブロック共重合体とを必須成分とする内層用材料を内層とする燃料電池用配管も提案されている(特許文献8参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2001/058686号
【文献】国際公開第2001/060606号
【文献】特開2004-301247号公報
【文献】特開平9-29869号公報
【文献】特表2008-507436号公報
【文献】特開平7-214647号公報
【文献】特開2006-116966号公報
【文献】特開2005-216725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
使用する際の要求項目によって、ポリアミド層とポリオレフィン層の厚みを変更することができ、いずれの層厚みでも高温と低温での優れた機械特性を示すことが求められている。
しかしながら、特許文献4に開示の配管において、内層としてポリエチレンを用いた場合、高温における長期耐性やチューブ物性が劣る。
また、ポリオレフィン層が厚くなることによって、高温と低温での機械強度の両立が困難になるが、特許文献5から8には具体的な技術データや技術的示唆はない。
特に電気自動車等においては、LLCに対するバリア性や高温耐性の更なる向上を求められており、積層体においてバリア性、高温耐性が優れ、安価なポリオレフィンの厚みを厚くすることが求められている一方で、高温雰囲気下でのLLCの内圧に耐えうる高い耐圧性と低温での耐衝撃性の両立が要求されている。
【0010】
本発明の目的は、前記問題点を解決し、変性ポリオレフィンの層が厚い構成でも、低温耐衝撃性、高温時の破壊圧強度に優れた積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記問題点を解決するために、鋭意検討した結果、脂肪族ポリアミド樹脂組成物を含む層と、特定の機械物性、材料特性を有する変性ポリオレフィンを含む層とを有する積層体は、前記変性ポリオレフィンが厚くなった構成でも低温耐衝撃性、高温時の破壊圧強度に優れることを見出した。
【0012】
即ち、本発明は、(a)層及び(b)層を含む2層以上の積層体であって、
前記(a)層は、脂肪族ポリアミド組成物(A)を含み、
前記(b)層は、変性ポリオレフィン(B)を含み、
前記変性ポリオレフィン(B)は、炭素原子数2以上10以下のα-オレフィンに基づく単量体から誘導される単位と、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトリル基、チオール基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する不飽和化合物並びにカルボキシル基を有する不飽和化合物の誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する不飽和化合物から誘導される単位とを含有し、前記変性ポリオレフィン(B)は、ASTM D2240に準拠して測定したショア硬さ(Dスケール)が30以上61以下である、積層体である。
【0013】
積層体の好ましい態様を以下に示す。好ましい態様は複数を組み合わせることができる。
[1]前記脂肪族ポリアミド組成物(A)が、ポリアミド(A1)を含み、前記ポリアミド(A1)は、メチレン基数のアミド基数に対する比が7.0以上の脂肪族ポリアミドである、積層体。
[2]前記ポリアミド(A1)が、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド1012、及びポリアミド1212からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体、並びに/又はこれらを形成する原料単量体を数種用いた少なくとも1種の共重合体である、積層体。
[3]前記脂肪族ポリアミド組成物(A)が、可塑剤、耐衝撃剤及び耐熱剤からなる群から選択される1種以上の更なる成分を含む、積層体。
[4]前記(a)層及び(b)層は、互いに隣接している、積層体。
[5]前記変性ポリオレフィン(B)は、ASTM D638に準拠して測定した引張降伏点応力が23MPa以下であり、ASTM D638に準拠して測定した引張破断点応力が25MPa以上である、積層体。
[6]前記変性ポリオレフィン(B)は、ASTM D1238に準拠して測定したMFR(230℃,2,160g)が3.5g/10min以上である、積層体。
[7]前記変性ポリオレフィン(B)は、FT-IR測定にて、波数が710cm-1以上740cm-1以下にある吸収のうち最大強度を示す波数が721cm -1 以上である、積層体。
[8]前記変性ポリオレフィン(B)は、変性前のポリオレフィンを溶融させ、前記官能基を有する不飽和化合物を添加して、グラフト共重合化させる方法により製造される、積層体。
[9]前記変性ポリオレフィン(B)は、無水マレイン酸変性ポリプロピレンである、積層体。
[10]前記(a)層及び(b)層のみからなる、積層体。
[11]共押出成形法により製造される、積層体。
[12]前記積層体を含む積層中空成形体
[13]外側から前記(a)層、(b)層の順で配置された、積層中空成形体。
[14]前記(b)層が最内層に配置された、積層中空成形体。
[15]最内層に更なる層を含む、積層中空成形体。
[16]チューブである、積層中空成形体。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、変性ポリオレフィンの層が厚い構成でも、低温耐衝撃性、高温時の破壊圧強度に優れた積層体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
積層体は、(a)層及び(b)層を含む2層以上であって、
前記(a)層は、脂肪族ポリアミド組成物(A)を含み、
前記(b)層は、変性ポリオレフィン(B)を含み、前記変性ポリオレフィン(B)は、炭素原子数2以上10以下のα-オレフィンに基づく単量体から誘導される単位と、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトリル基、チオール基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する不飽和化合物並びにカルボキシル基を有する不飽和化合物の誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の不飽和化合物から誘導される単位とを含有し、
前記変性ポリオレフィン(B)は、ASTM D2240に準拠して測定したショア硬さ(Dスケール)が30以上61以下である。
積層体は、変性ポリオレフィンの層がい構成である場合であっても、低温耐衝撃性及び高温時の破壊圧強度に優れる。
【0016】
1.(a)層
積層体の(a)層は、脂肪族ポリアミド組成物(A)を含む。
【0017】
<脂肪族ポリアミド組成物(A)>
脂肪族ポリアミド組成物(A)は、主鎖中にアミド結合(-CONH-)を有する脂肪族ポリアミドを含む組成物であれば特に限定されない。脂肪族ポリアミドとしては、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド11(ポリウンデカンアミド)、ポリアミド12(ポリドデカンアミド)、ポリアミド26(ポリエチレンアジパミド)、ポリアミド44(ポリテトラメチレンスクシナミド)、ポリアミド45(ポリテトラメチレングルタミド)、ポリアミド46(ポリテトラメチレンアジパミド)、ポリアミド48(ポリテトラメチレンスベラミド)、ポリアミド49(ポリテトラメチレンアゼラミド)、ポリアミド410(ポリテトラメチレンセバカミド)、ポリアミド412(ポリテトラメチレンドデカミド)、ポリアミド54(ポリペンタメチレンスクシナミド)、ポリアミド55(ポリペンタメチレングルタミド)、ポリアミド56(ポリペンタメチレンアジパミド)、ポリアミド58(ポリペンタメチレンアジパミド)、ポリペンタメチレンアゼラミド(ポリアミド59)、ポリペンタメチレンセバカミド(ポリアミド510)、ポリペンタメチレンドデカミド(ポリアミド512)、ポリヘキサメチレンスクシナミド(ポリアミド64)、ポリヘキサメチレングルタミド(ポリアミド65)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンスベラミド(ポリアミド68)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリヘキサメチレンテトラデカミド(ポリアミド614)、ポリヘキサメチレンヘキサデカミド(ポリアミド616)、ポリヘキサメチレンオクタデカミド(ポリアミド618)、ポリノナメチレンアジパミド(ポリアミド96)、ポリノナメチレンスベラミド(ポリアミド98)、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99)、ポリノナメチレンセバカミド(ポリアミド910)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106)、ポリデカメチレンスベラミド(ポリアミド108)、ポリデカメチレンアゼラミド(ポリアミド109)、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリドデカメチレンアジパミド(ポリアミド126)、ポリドデカメチレンスベラミド(ポリアミド128)、ポリドデカメチレンアゼラミド(ポリアミド129)、ポリドデカメチレンセバカミド(ポリアミド1210)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)等の単独重合体やこれらを形成する原料単量体を数種用いた共重合体等が挙げられる。
脂肪族ポリアミド組成物(A)は、ポリアミド(A1)を含むことが好ましい。
【0018】
[ポリアミド(A1)]
ポリアミド(A1)は、メチレン基数のアミド基数に対する比(以下、[CH]/[NHCO]と称する場合がある。)が7.0以上の脂肪族ポリアミドである(以下、ポリアミド(A1)と称する場合がある。)。[CH]/[NHCO]が7.0以上の脂肪族ポリアミドを用いることにより、積層体の機械的特性等の諸物性を優れたものとすることができる。[CH]/[NHCO]の上限値は、特に限定されないが、実用上11.0以下である。
【0019】
ポリアミド(A1)としては、例えば、ポリアミド11([CH]/[NHCO]=10.0)、ポリアミド12([CH]/[NHCO]=11.0)、ポリアミド412([CH]/[NHCO]=7.0)、ポリアミド512([CH]/[NHCO]=7.5)、ポリアミド610([CH]/[NHCO]=7.0)、ポリアミド612([CH]/[NHCO]=8.0)、ポリアミド614([CH]/[NHCO]=9.0)、ポリアミド616([CH]/[NHCO]=10.0)、ポリアミド618([CH]/[NHCO]=11.0)、ポリアミド98([CH]/[NHCO]=7.5)、ポリアミド99([CH]/[NHCO]=8.0)、ポリアミド910([CH]/[NHCO]=8.5)、ポリアミド912([CH]/[NHCO]=9.5)、ポリアミド106([CH]/[NHCO]=7.0)、ポリアミド108([CH]/[NHCO]=8.0)、ポリアミド109([CH]/[NHCO]=8.5)、ポリアミド1010([CH]/[NHCO]=9.0)、ポリアミド1012([CH]/[NHCO]=10.0)、ポリアミド126([CH]/[NHCO]=8.0)、ポリアミド128([CH]/[NHCO]=9.0)、ポリアミド129([CH]/[NHCO]=9.5)、ポリアミド1210([CH]/[NHCO]=10.0)、ポリアミド1212([CH]/[NHCO]=11.0)等の単独重合体、及び/又はこれらを形成する原料単量体を数種用いた共重合体等が挙げられる。
【0020】
ポリアミド(A1)としては、積層体の機械的特性、耐熱性等の諸物性を十分に確保できる観点、経済性や入手の容易さの観点等から、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド1012、及びポリアミド1212からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体、並びに/又はこれらを形成する原料単量体を数種用いた少なくとも1種の共重合体を用いることが好ましい。
【0021】
[ポリアミド(A1)の特性]
JIS K-6920に準拠して、96%硫酸、ポリマー濃度1%、25℃の条件下にて測定したポリアミド(A1)の相対粘度は、積層体の機械的性質を確保することと、溶融時の粘度を適正範囲にして積層体の望ましい成形性を確保する観点から、1.5以上5.0以下であることが好ましく、2.0以上4.5以下であることがより好ましい。
【0022】
ポリアミド(A1)の1gあたりの末端アミノ基濃度を[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度を[B](μeq/g)とした時、積層体の層間接着性を十分に確保する観点から、[A]>[B]+5であることが好ましく、[A]>[B]+10であることがより好ましく、[A]>[B]+15であることが特に好ましい。更に、ポリアミドの溶融安定性やゲル状物発生抑制の観点から、[A]>20であることが好ましく、30<[A]<120であることが特に好ましい。
【0023】
ここで、末端アミノ基濃度[A](μeq/g)は、ポリアミドをフェノール/メタノール混合溶液に溶解し、0.05Nの塩酸で滴定して測定することができる。末端カルボキシル基濃度[B](μeq/g)は、該ポリアミドをベンジルアルコールに溶解し、0.05Nの水酸化ナトリウム溶液で滴定して測定することができる。
【0024】
ポリアミド(A1)は、上記末端基濃度を満たす限りにおいては、末端アミノ基濃度及び/又は末端カルボキシル基濃度の異なる2種類以上の脂肪族ポリアミドからなる脂肪族ポリアミド混合物であることも好ましい。この場合、脂肪族ポリアミド混合物の末端アミノ基濃度及び/又は末端カルボキシル基濃度は、混合物を構成する脂肪族ポリアミドの末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度、及びその配合割合により決まる。
【0025】
[ポリアミド(A1)の製造方法]
ポリアミド(A1)は、ポリアミド原料を、アミン類の存在下に、溶融重合、溶液重合、固相重合又はそれらの組合せ等の公知の方法で重合、又は共重合することにより製造される。あるいは、ポリアミド(A1)は、ポリアミド原料を重合後、アミン類の存在下に、溶融混練することにより製造される。ここで、ポリアミド原料の重合は、常圧、減圧、加圧操作を繰り返して行うことができる。
【0026】
ポリアミド(A1)の原料としては、脂肪族ラクタム、脂肪族アミノカルボン酸、又は脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸との組み合わせが挙げられる。
【0027】
脂肪族ラクタムとしては、カプロラクタム、エナントラクタム、ウンデカンラクタム、ドデカンラクタム、α-ピロリドン、α-ピペリドン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0028】
脂肪族アミノカルボン酸としては、6-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、9-アミノノナン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0029】
脂肪族ジアミンとしては、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,15-ペンタデカンジアミン、1,16-ヘキサデカンジアミン、1,17-ヘプタデカンジアミン、1,18-オクタデカンジアミン、1,19-ノナデカンジアミン、1,20-エイコサンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、3-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0030】
脂肪族ジカルボン酸としては、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0031】
アミン類としてはモノアミン、ジアミン、トリアミン、及びポリアミンが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。但し、ポリアミド(A1)の原料が、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸との組み合わせである場合、アミン類は脂肪族ジアミンを含まない。
【0032】
モノアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オクタデシレンアミン、エイコシルアミン、ドコシルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;ベンジルアミン、β-フエニルメチルアミン等の芳香族モノアミン;N,N-ジメチルアミン、N,N-ジエチルアミン、N,N-ジプロピルアミン、N,N-ジブチルアミン、N,N-ジヘキシルアミン、N,N-ジオクチルアミン等の対称第二アミン;N-メチル-N-エチルアミン、N-メチル-N-ブチルアミン、N-メチル-N-ドデシルアミン、N-メチル-N-オクタデシルアミン、N-エチル-N-ヘキサデシルアミン、N-エチル-N-オクタデシルアミン、N-プロピル-N-ヘキサデシルアミン、N-プロピル-N-ベンジルアミン等の混成第二アミンが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0033】
ジアミンとしては、1,2-エタンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,15-ペンタデカンジアミン、1,16-ヘキサデカンジアミン、1,17-ヘプタデカンジアミン、1,18-オクタデカンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、3-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン、5-アミノ-2,2,4-トリメチル-1-シクロペンタンメチルアミン、5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、2,5-ビス(アミノメチル)ノルボルナン、2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルナン、3,8-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、4,9-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミン;m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0034】
アミン類は、ポリアミド原料の重合時の任意の段階、あるいは、ポリアミド原料の重合後、溶融混練時の任意の段階において添加できるが、積層体の層間接着性を考慮した場合、重合時の段階で添加することが好ましい。また、アミン類は、上記の末端アミノ基濃度の条件を満たすために、ジアミン及び/又はポリアミンをポリアミド原料の重合時に添加することが好ましく、ゲル発生抑制という観点から、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、及びポリアルキレンイミンからなる群より選ばれる少なくとも1種をポリアミド原料の重合時に添加することが特に好ましい。
【0035】
さらに、上記の末端基濃度を満足する範囲内で、必要に応じて、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸等のカルボン酸類を添加しても良い。この場合、アミン類、カルボン酸類は、同時に添加しても、別々に添加しても良い。
【0036】
カルボン酸類としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、ラウリル酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイン酸、エチル安息香酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘキサデセン二酸、オクタデカン二酸、オクタデセン二酸、エイコサン二酸、エイコセン二酸、ドコサン二酸、ジグリコール酸、2,2,4-トリメチルアジピン酸、2,4,4-トリメチルアジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、m-キシリレンジカルボン酸、p-キシリレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,3,5-ペンタントリカルボン酸、1,2,6-ヘキサントリカルボン酸、1,3,6-ヘキサントリカルボン酸、1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸、トリメシン酸等のトリカルボン酸が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0037】
アミン類の使用量は、ポリアミド(A1)の末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度、及び相対粘度を考慮して、公知の方法により適宜決められる。通常、ポリアミド原料1モルに対して(繰り返し単位を構成する単量体又は単量体ユニット1モル)、アミン類の添加量は、十分な反応性を得ることと、所望の粘度を有するポリアミドの製造を容易とする観点から、0.5meq/モル以上20meq/モル以下であることが好ましく、1.0meq/モル以上10meq/モル以下であることがより好ましい。ここで、アミノ基の当量(eq)は、カルボキシル基と1:1で反応してアミド基を形成するアミノ基の量を1当量とする。
【0038】
ポリアミド(A1)の製造装置としては、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置、一軸型混練押出機、二軸型混練押出機等の混練反応押出機等、公知のポリアミド製造装置が挙げられる。
【0039】
[更なる成分]
脂肪族ポリアミド組成物(A)は、必要に応じて、更なる成分を含むことができる。このような更なる成分として、ポリアミド(A1)以外のポリアミド、例えば、[CH]/[NHCO]が7.0未満の脂肪族ポリアミド、脂環族又は芳香族の基を主鎖又は側鎖に有するポリアミド樹脂等;耐衝撃剤、可塑剤、酸化防止剤及び熱安定剤から選択される耐熱剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、滑剤、無機充填剤、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、着色剤等が挙げられる。更なる成分として、可塑剤、耐衝撃剤及び耐熱剤からなる群から選択される1種以上を含むことが好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0040】
[耐衝撃剤]
脂肪族ポリアミド組成物(A)は、積層体に耐衝撃性を付与する観点から、耐衝撃剤を含むことが好ましい。なお、耐衝撃剤は、変性ポリオレフィン(B)ではない。即ち、耐衝撃剤は、ASTM D2240に準拠して測定したショア硬さ(Dスケール)が30未満であり、20未満であることが好ましい。耐衝撃剤は、ASTM D2240に準拠して測定したショア硬さ(Dスケール)の下限は、特に限定されず0.5以上とすることができる。耐衝撃剤としては、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を有し、ASTM D2240に準拠して測定したショア硬さ(Dスケール)が30未満であるエラストマー重合体が挙げられる。
【0041】
エラストマー重合体としては、(エチレン及び/又はプロピレン)/α-オレフィン系共重合体、(エチレン及び/又はプロピレン)/(α,β-不飽和カルボン酸エステル)系共重合体等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0042】
前記(エチレン及び/又はプロピレン)/α-オレフィン系共重合体は、エチレン及び/又はプロピレンと炭素原子数3以上のα-オレフィンを共重合した重合体であり、炭素原子数3以上のα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、9-メチル-1-デセン、11-メチル-1-ドデセン、12-エチル-1-テトラデセン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。また、1,3-ブタジエン等の共役ジエン;1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン(DMDT)、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,5-ノルボルナジエン等の非共役ジエンのポリエンを共重合してもよい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0043】
前記(エチレン及び/又はプロピレン)/(α,β-不飽和カルボン酸エステル)系共重合体は、エチレン及び/又はプロピレンとα,β-不飽和カルボン酸エステル単量体を共重合した重合体であり、α,β-不飽和カルボン酸エステル単量体としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0044】
エラストマー重合体におけるカルボキシル基を有する不飽和化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸、及びこれらカルボン酸の金属塩等のα,β-不飽和カルボン酸が挙げられる。酸無水物基を有する不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物等のα,β-不飽和結合を有するジカルボン酸無水物が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、α,β-不飽和結合を有するジカルボン酸無水物が好ましく、無水マレイン酸、無水イタコン酸がより好ましい。
【0045】
エラストマー重合体におけるカルボキシル基及び/又は酸無水物基濃度は、前記ポリアミド(A1)との良好な相溶性を発現するとともに、脂肪族ポリアミド組成物(A)の流動性の観点から、25μeq/g以上200μeq/g以下であることが好ましく、50μeq/g以上150μeq/g以下であることがより好ましい。
【0046】
尚、エラストマー重合体におけるカルボキシル基及び/又は酸無水物基濃度は、該エラストマー重合体をトルエン溶液に溶解し、更にエタノールを加えて調製した試料溶液を用いて、フェノールフタレインを指示薬とし、0.1NのKOHエタノール溶液で滴定して測定することができる。
【0047】
[可塑剤]
脂肪族ポリアミド組成物(A)は、積層体に柔軟性を付与する観点から、可塑剤を含むことが好ましい。可塑剤としては、N-ブチルベンゼンスルホンアミド、p-ヒドロキシ安息香酸2-ヘキシルデシルエステル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0048】
[耐熱剤]
脂肪族ポリアミド組成物(A)は、酸化防止剤及び熱安定剤から選択される耐熱剤を含むことが好ましい。酸化防止剤としては、フェノール系化合物等が挙げられる。熱安定剤は、加工安定剤とも呼ばれ、例えば、チオエーテル系、リン系及びハロゲン化金属系の化合物が挙げられ、好ましくはリン系の化合物である。酸化防止剤及び熱安定剤は1種又は2種以上を用いることができる。
【0049】
[脂肪族ポリアミド組成物(A)の特性]
脂肪族ポリアミド組成物(A)は、ISO 178に準拠して測定した曲げ弾性率が400MPa以上1,000MPa以下であることが好ましく、450MPa以上950MPa以下であることがより好ましく、500MPa以上900MPa以下であることが特に好ましい。脂肪族ポリアミド組成物(A)の曲げ弾性率が前記範囲内にあることにより、積層体の高温時の破壊圧強度を維持しつつ、積層体の柔軟性を優れたものとすることができる。脂肪族ポリアミド組成物(A)の曲げ弾性率は、耐衝撃剤や可塑剤の添加量を適宜変更することにより調整することができる。
【0050】
[脂肪族ポリアミド組成物(A)の組成]
脂肪族ポリアミド組成物(A)中のポリアミド(A1)の含有量は、脂肪族ポリアミド組成物(A)100質量%に対して、55質量%以上95質量%以下であることが好ましく、60質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、70質量%以上89質量%以下であることが特に好ましい。脂肪族ポリアミド組成物(A)中のポリアミド(A1)の含有量が前記範囲内にあることにより、積層体の高温時の破壊圧強度等の特性を十分に優れたものとすることができる。また、ポリアミド(A1)の含有量が前記下限値以上であると、積層体の高温時の破壊圧強度が十分に得られる。ポリアミド(A1)の含有量が前記上限値以下であると、積層体の柔軟性や低温衝撃性が十分に得られる。
【0051】
脂肪族ポリアミド組成物(A)中の耐衝撃剤の含有量は、脂肪族ポリアミド組成物(A)100質量%に対して、5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、7質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上20質量%以下であることが特に好ましい。脂肪族ポリアミド組成物(A)中の耐衝撃剤の含有量が前記範囲内にあることにより、積層体の機械的特性を維持しつつ、柔軟性や低温耐衝撃性をより優れたものとすることができる。また、耐衝撃剤の含有量が前記下限値以上であると、積層体の柔軟性や低温耐衝撃性が十分に得られる。耐衝撃剤の含有量が前記上限値以下であると、積層体の高温時の破壊圧強度やその他機械的特性が十分に得られる。
【0052】
脂肪族ポリアミド組成物(A)中の可塑剤の含有量は、脂肪族ポリアミド組成物(A)100質量%に対して、0質量%以上15質量%以下であることが好ましく、1質量%以上10質量%以下であることが特に好ましい。可塑剤の含有量が前記範囲内にあることにより、積層体の高温時の破壊圧強度を維持しつつ、積層体の柔軟性を優れたものとすることができる。また、可塑剤の含有量が前記上限値以下であると、積層体の高温時の破壊圧強度が十分に得られる。
【0053】
脂肪族ポリアミド組成物(A)中の耐熱剤の含有量は、脂肪族ポリアミド組成物(A)100質量%に対して、0質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上2質量%以下であることが特に好ましい。耐熱剤の含有量が前記範囲内にあると、積層体の機械的特性、耐熱性等のバランスを取ることができる。
【0054】
脂肪族ポリアミド組成物(A)中の耐衝撃剤、可塑剤及び耐熱剤以外の更なる成分の含有量は、要求される特性に応じて適宜設定できる。
【0055】
[脂肪族ポリアミド組成物(A)の製造方法]
脂肪族ポリアミド組成物(A)の製造方法は特に制限がなく、従来から知られている各種の方法を採用することができる。例えば、ポリアミド(A1)、耐衝撃剤、可塑剤及び耐熱剤を必要に応じて添加される他の成分と共に、タンブラーやミキサーを用いて、ペレット同士を前記の混合割合になるように均一にドライブレンドする方法、ポリアミド(A1)、耐衝撃剤、可塑剤及び耐熱剤を必要に応じて添加される他の成分と共に、予めドライブレンドし、溶融混練する方法、ポリアミド(A1)、耐衝撃剤、可塑剤及び耐熱剤を必要に応じて添加される他の成分と共に、予めドライブレンドし、これら各々を別々にフィードし、溶融混練する方法等により製造することができる。溶融混練は、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を使用して行うことができる。
【0056】
2.(b)層
積層体の(b)層は、変性ポリオレフィン(B)を含む。
【0057】
<変性ポリオレフィン(B)>
変性ポリオレフィン(B)は、炭素原子数2以上10以下のα-オレフィンに基づく単量体から誘導される単位と、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトリル基、チオール基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する不飽和化合物並びにカルボキシル基を有する不飽和化合物の誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する不飽和化合物から誘導される単位とを含有しており、かつ、ASTM D2240に準拠して測定したショア硬さ(Dスケール)が30以上61以下の重合体である(以下、変性ポリオレフィン(B)と称する場合がある。)。
【0058】
[炭素原子数2以上10以下のα-オレフィンに基づく単量体]
変性ポリオレフィン(B)を構成するポリオレフィン(B1)は、炭素原子数2以上10以下のα-オレフィンに基づく単量体から誘導される単位を含有する。
【0059】
炭素原子数2以上10以下のα-オレフィンに基づく単量体としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、積層体の機械物性や柔軟性を特に優れたものとすることができる観点から、炭素原子数2以上8以下のα-オレフィンに基づく単量体が好ましい。
【0060】
[他の単量体]
ポリオレフィン(B1)は、積層体の優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、炭素原子数2以上10以下のα-オレフィンに基づく単量体及び官能基を有する不飽和化合物以外の、例えば、スチレン類、1,3-ブタジエン等の共役ジエン類、非共役ジエン類、環状オレフィン類、酸素原子含有オレフィン類等の他の単量体を含んでもよい。スチレン類としては、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、1,5-ジメチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、4-プロピルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-ドデシルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、4-(フェニルブチル)スチレン等が挙げられる。非共役ジエン類としては、1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン(DMDT)等が挙げられる。環状オレフィン類としては、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,5-ノルボルナジエン等が挙げられる。酸素原子含有オレフィン類としては、ヘキセノール、ヘキセン酸、オクテン酸メチル等が挙げられる。
【0061】
ポリオレフィン(B1)として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン-1、ポリ(4-メチルペンテン-1)、エチレン、プロピレン、1-ブテン、又は4-メチルペンテン-1と他の単量体とのα―オレフィン共重合体等の結晶性ポリオレフィンが好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0062】
[ポリオレフィン(B1)の組成]
ポリオレフィン(B1)において、炭素原子数2以上10以下のα-ポリオレフィンに基づく単量体から誘導される単位の含有量は、ポリオレフィン(B1)の全重合単位100モル%に対して、60モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることが特に好ましい。炭素原子数2以上10以下のα-ポリオレフィンに基づく単量体から誘導される単位の含有量が前記の値以上であることにより、積層体の機械物性や柔軟性を更に優れたものとなる。また、ポリオレフィン(B1)において、他の単量体から誘導される単位の含有量は、ポリオレフィン(B1)の全重合単位100モル%に対して、40モル%未満であることが好ましく、30モル%未満であることがより好ましく、10モル%未満であることが特に好ましい。
【0063】
よって、ポリオレフィン(B1)としては、ポリプロピレン単独重合体、プロピレンと20モル%以下の他のα-オレフィンのランダム共重合体、プロピレンと30モル%以下の他のα-オレフィンのブロック共重合体がより好ましい。
【0064】
[ポリオレフィン(B1)の製造方法]
ポリオレフィン(B1)の製造は、従来から公知のいずれの方法によっても行うことができ、例えば、チタン系触媒、バナジウム系触媒、メタロセン触媒等を用い重合することができる。また、ポリオレフィン(B1)は、樹脂及びエラストマーのいずれの形態でもよく、アイソタクチック構造、シンジオタクチック構造の両者とも使用可能であり、立体規則性について特段の制限はない。ポリオレフィン(B1)が共重合体の場合、交互共重合、ランダム共重合、ブロック共重合のいずれであってもよい。
【0065】
[官能基を有する不飽和化合物]
変性ポリオレフィン(B)は、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトリル基、チオール基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する不飽和化合物並びにカルボキシル基を有する不飽和化合物の誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する不飽和化合物から誘導される単位を含有する。変性ポリオレフィン(B)が、官能基を有する不飽和化合物(即ち、特定の基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する不飽和化合物及び/又はカルボキシル基を有する不飽和化合物の誘導体)から誘導される単位を含有することにより、(a)層と(b)層との層間接着性を高いものとすることができ、積層体の耐久性を高いものとすることができる。
【0066】
カルボキシル基を有する不飽和化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0067】
カルボキシル基を有する不飽和化合物の誘導体は、例えば、前記カルボキシル基を有する不飽和化合物の酸無水物、酸ハライド、アミド、イミド及び/又はエステルが挙げられる。カルボキシル基を有する不飽和化合物の誘導体としては、例えば、塩化マレニル、マレニルイミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸無水物、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸ジメチル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0068】
ヒドロキシル基を有する不飽和化合物としては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、10-ウンデセン-1-オール、1-オクテン-3-オール、グリセリンモノアリルエーテル、アリルアルコール、2-ブテン-1,4-ジオール等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0069】
エポキシ基を有する不飽和化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等の不飽和カルボン酸のグリシジルエステル、あるいはマレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸のモノグリシジルエステル(モノグリシジルエステルの場合のアルキル基の炭素原子数1以上12以下)、p-スチレンカルボン酸のアルキルグリシジルエステル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、3,4-エポキシ-1-ブテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ブテン、3,4-エポキシ-1-ペンテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ペンテン、5,6-エポキシ-1-ヘキセン、ビニルシクロヘキセンモノオキシド等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0070】
アミノ基を有する不飽和化合物としては、例えば、アクリル酸アミノメチル、メタクリル酸アミノメチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル等のアクリル酸又はメタクリル酸のアミノアルキルエステル系誘導体類、N-ビニルジエチルアミン、N-アセチルビニルアミン等のビニルアミン系誘導体類が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0071】
アミド基を有する不飽和化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアクリルアミド系誘導体が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0072】
イミド基を有する不飽和化合物としては、例えば、N-アクリロイルオキシエチル-1,2,3,6-テトラヒドロフタルイミド(東亜合成(株)製,商品名:アロニックスTO-1428)、N-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド(東亜合成(株)製,商品名:アロニックスTO-1429)、N-アクリロイルオキシエチル-3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミド(東亜合成(株)製,商品名:アロニックスTO-1534)等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0073】
ニトリル基を有する不飽和化合物としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、5-ヘキセンニトリル、5-メチル-5-ヘキセンニトリル、メチル-2-シアノアクリレート、エチル-2-シアノアクリレート、ブチル-2-シアノアクリレート、シクロヘキシル-2-シアノアクリレート、2-エチルヘキシル-2-シアノアクリレート、エトキシエチル-2-シアノアクリレート等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0074】
チオール基を有する不飽和化合物としては、例えば2-メルカプトエタノール、エタンジチオール、1,2-プロパンジチオール、1,3-プロパンジチオール、パラハイドロキシチオフェノール、3-メルカプト-1,2-プロパンジチオール、1,4-ブタンジチオール、2-メルカプトエチルエーテル、2-メルカプトエチルスルフィド等の脂肪族又は芳香族のメルカプトアルコール若しくはジチオール等のチオール基含有化合物と、アクリル酸又はメタクリル酸とのエステル類等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0075】
イソシアネート基を有する不飽和化合物としては、例えば2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工(株)製,商品名:カレンズMOI(登録商標))、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネ-ト(昭和電工(株)製,商品名:カレンズAOI(登録商標))等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0076】
官能基を有する不飽和化合物は、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アミノプロピルメタクリレートが好ましく、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物のジカルボン酸無水物がより好ましく、無水マレイン酸が特に好ましい。
【0077】
変性ポリオレフィン(B)は、良好な機械的特性、薬液に対する長期耐性、及び良好な層間接着性を有する積層体を得る観点から、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが好ましい。
【0078】
[変性ポリオレフィン(B)の特性]
変性ポリオレフィン(B)は、低温での機械物性及び柔軟性を有する積層体を得る観点から、ASTM D2240に準拠して測定したショア硬さ(Dスケール)の上限は、61以下であり、59以下であることが好ましい。
また、積層体の機械的強度の観点から、ASTM D2240に準拠して測定したショア硬さ(Dスケール)の下限は、30以上であり、45以上であることが好ましく、50以上であることが特に好ましい。
【0079】
変性ポリオレフィン(B)は、低温での機械物性及び柔軟性を有する積層体を得る観点からASTM D638に準拠して測定した引張降伏点応力が23MPa以下であることが好ましく、21MPa以下であることが特に好ましい。また、同様の観点から、ASTM D638に準拠して測定した引張破断点応力が25MPa以上であることが好ましく、27MPa以上であることが特に好ましい。
【0080】
変性ポリオレフィン(B)は、230℃/2,160gの条件下にて、ASTM D1238に準拠して測定したMFR値が、3.5g/10min以上10.0g/10min以下であることが好ましく、4.0g/10min以上7.0g/10min以下であることがより好ましい。変性ポリオレフィン(B)のMFR値が前記範囲内であることにより、低温での耐衝撃性により優れ、積層体の成形安定性をより高いものとすることができる。
【0081】
一般に、ポリオレフィンのFT-IR測定において波数710cm-1から740cm-1の最大の吸収は、そのポリオレフィンがホモポリマーであるか、ランダムコポリマーなのかによって変化し、710cm-1に近いほどホモポリマーに近く、740cm-1に近いほどランダムコポリマーに近い構造を示す。変性ポリオレフィン(B)のFT-IR測定にて、波数が710cm-1以上740cm-1以下にある吸収のうち最大強度を示す波数が721cm -1 以上であることが好ましい。このような範囲であれば、柔軟性に優れ、低温での耐衝撃性により優れた積層チューブを得ることができる。
【0082】
[変性ポリオレフィン(B)の組成]
変性ポリオレフィン(B)において、変性ポリオレフィン(B)の100質量%に対して、前記官能基を有する不飽和化合物の含有量は、後述する官能基を有する不飽和化合物のグラフト量であるような量であることが好ましい。また、変性ポリオレフィン(B)が無水マレイン酸変性ポリプロピレンである場合、無水マレイン酸変性ポリプロピレン中のポリプロピレンの含有量は、無水マレイン酸変性ポリプロピレン100質量%に対して、50質量%以上99.5質量%以下であることが好ましく、60質量%以上97質量%以下であることがより好ましく、70質量%以上95質量%以下であることが特に好ましい。無水マレイン酸変性ポリプロピレン中のポリプロピレンの含有量が前記の値以上であることにより、積層体の柔軟性を十分なものにしつつ、低分子量物やイオンの耐溶出性を更に優れたものとすることができる。ここで、無水マレイン酸変性ポリプロピレン中のポリプロピレンの含有量は、後述する官能基を有する不飽和化合物のグラフト量と同様にして測定することができる。
【0083】
[変性ポリオレフィン(B)の製造方法]
変性ポリオレフィン(B)の製造方法は、前記官能基を有する不飽和化合物から誘導される単位をポリオレフィン(B1)に導入するための、周知の方法を採用することができる。例えば、ポリオレフィン(B1)に前記官能基を有する不飽和化合物をグラフト共重合する方法や、オレフィン単量体と前記官能基を有する不飽和化合物をラジカル共重合する方法等が挙げられるが、ポリオレフィン(B1)に前記官能基を有する不飽和化合物をグラフト共重合する方法が好ましい。
【0084】
また、ポリオレフィン(B1)に前記官能基を有する不飽和化合物をグラフト共重合する方法としては、公知の種々の方法を採用することができる。例えば、変性前のポリオレフィンを溶融させ、前記官能基を有する不飽和化合物を添加してグラフト共重合をさせる方法、あるいは溶媒に変性前のポリオレフィンを溶解させグラフトモノマーを添加してグラフト共重合させる方法等が挙げられる。いずれの場合にも、前記官能基を有する不飽和化合物を効率よくグラフト重合させるために、ラジカル重合開始剤の存在下に反応を実施することが好ましい。
【0085】
ラジカル重合開始剤は、ポリオレフィン主鎖と前記官能基を有する不飽和化合物の反応を促進するものであれば特に制限がないが、有機ペルオキシド、有機ペルエステルが好ましい。具体的には、ベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ペルオキシベンゾエート)ヘキシン-3、1,4-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、t-ブチルペルアセテート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、t-ブチルベンゾエート、t-ブチルペルフェニルアセテート、t-ブチルペルイソブチレート、t-ブチルペル-sec-オクトエート、t-ブチルペルピバレート、クミルペルピバレート、t-ブチルペルジエチルアセテート等が挙げられ、その他アゾ化合物、例えば、アゾビス-イソブチルニトリル、ジメチルアゾイソブチルニトリル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3,2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン等のジアルキルペルオキシドがより好ましい。
【0086】
ラジカル重合開始剤は、ポリオレフィン(B1)100質量部に対して、0.001~10質量部程度の量で使用されることが好ましい。
前記官能基を有する不飽和化合物のグラフト量は、ポリオレフィン(B1)を100質量%に対して、0.05質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以上5質量%以下であることが更に好ましく、0.05質量%以上3質量%以下であることが特に好ましい。尚、ポリオレフィン(B1)のグラフト量は、ポリオレフィン(B1)から前記官能基を有する不飽和化合物を除いた後に測定される、正味のグラフト量である。また、グラフト量は、13C-NMR、H-NMR測定等の公知の手段で行うことができる。また、前記官能基を有する不飽和化合物として、不飽和カルボン酸及びその酸無水物等の酸性官能基を有する単量体を用いる場合、ポリオレフィン(B1)に導入された官能基の量の目安となる量として、例えば、酸価を用いることも可能である。また、前記官能基を有する不飽和化合物として、無水マレイン酸を用いる場合、赤外分光光度計を用いて、通常1780~1790cm-1付近に検出される無水マレイン酸のカルボニル基の吸収スペクトルに基づいて、グラフト量を求めることもできる。
【0087】
変性ポリオレフィン(B)は、必要に応じて各種の添加剤と組み合わせて用いることができる。この場合、(b)層は、変性ポリオレフィンに加えて、各種の添加剤を含む。前記添加剤としては、導電性フィラー、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、滑剤、無機質充填材、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、可塑剤、着色剤、潤滑剤、及び他の熱可塑性樹脂等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0088】
3.層構造
積層体は、(a)層及び(b)層の2層以上を含む。
【0089】
積層体が(a)層を含むことにより、機械的物性、耐薬品性及び柔軟性に優れた積層体を得ることが可能となる。また、積層体が(b)層を含むことにより、積層体の薬液バリア性、特に水蒸気、冷却液(LLC)、及び尿素溶液に対するバリア性や長期薬液耐性が良好となる。
【0090】
積層体は、外側より内側に向かって、(a)層、(b)層の順に配置されることが好ましい。これにより、(a)層による機械的物性等の特性及び(b)層による薬液バリア性等の特性の両方が効率的に付与される。ここで、積層体がシート状である場合など、積層体の2つ以上の面が空気等に接触し、薬液が接触しない場合は、任意の空気等に接触し、薬液が接触しない面を外側とし、逆側の面を内側とする。また、積層体が中空積層体である場合、積層体の内側とは、薬液が接触する積層体の側を意味し、外側とは、空気等が接触し、薬液が接触しない積層体の側を意味する。
【0091】
積層体は、(a)層及び(b)層は互いに隣接していることが好ましい。これにより、層間接着性に優れた積層体を得ることが可能となる。
【0092】
積層体は、(a)層及び(b)層のみからなることが好ましい。これにより、(a)層及び(b)層により奏される効果を効率的に発揮させることが可能となる。この場合、(a)層と(b)層は、それぞれ、1層でも、2層以上であってもよい。
【0093】
積層体は、(a)層は、積層体の最外層に配置されることがより好ましい。(a)層が最外層に配置されることにより、高温時の破壊圧強度により優れた積層体を得ることが可能となる。積層体は、(b)層は、積層体の最内層に配置されることがより好ましい。(b)層が最内層に配置されることにより、薬液との接触による機械物性の低下を更に抑制することが可能となる。
【0094】
積層体は、(a)層及び(b)層の2層以外に、更なる機能を付与、あるいは経済的に有利な積層体を得るために、更なる層を、1層又は2層以上を有していてもよい。このような更なる層としては、他の熱可塑性樹脂を含む層及び/又は熱可塑性樹脂以外の任意の基材の層が挙げられる。積層体が更なる層を含む場合、積層体の最内層に更なる層を含むことが好ましい。積層体が、最内層に更なる層を含むことにより、更なる層による機能を効率的に付与できる。
【0095】
他の熱可塑性樹脂を含む層を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリアミド系樹脂、含フッ素系重合体、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリチオエーテル系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリニトリル系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。
【0096】
また、熱可塑性樹脂以外の任意の基材、例えば、紙、金属系材料、無延伸、一軸又は二軸延伸プラスチックフィルム又はシート、織布、不織布、金属綿、木材等を積層することも可能である。金属系材料としては、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル、金、銀、チタン、モリブデン、マグネシウム、マンガン、鉛、錫、クロム、ベリリウム、タングステン、コバルト等の金属及び/又はその金属化合物、並びにこれら2種類以上からなるステンレス鋼等の合金鋼、アルミニウム合金、黄銅、青銅等の銅合金、ニッケル合金等の合金類等が挙げられる。
【0097】
積層体における合計の層数は、少なくとも1層の(a)層及び少なくとも1層の(b)層を有する、少なくとも2層である限り、特に限定されない。積層体の合計の層数は、積層体の製造装置の機構から判断して8層以下であることが好ましく、2層以上7層以下であることがより好ましい。また、材料管理や積層体の成形製造装置の制限から、積層体の合計の層数は2層であることが特に好ましい。
【0098】
積層体の形状は任意であり、シート状であっても、中空状(管状、瓶状等、内部が空洞である形状)であってもよい。中空状としては、管状が好ましい。積層体は、波形領域を有するものであってもよい。波形領域とは、波形形状、蛇腹形状、アコーディオン形状、又はコルゲート形状等に形成した領域である。波形領域は、積層体全長にわたり有するものだけではなく、途中の適宜の領域に部分的に有するものであってもよい。
積層体の具体的な態様としては、積層中空成形体、積層フィルム、積層板が挙げられ、積層中空成形体が好ましい。また、積層中空成形体の具体的な態様としては、積層チューブが挙げられる。
【0099】
積層体における(a)層の厚みは、積層体の全肉厚の30%以上95%以下であることが好ましく、40%以上85%以下であることがより好ましく、45%以上80%以下であることが特に好ましい。(a)層の層厚みが前記範囲内になることにより、前記の各特性を効果的に発揮させることができる。
積層体における(b)層の厚みは、積層体の全肉厚の5%超70%未満であることが好ましく、15%超60%未満であることがより好ましく、20%超55%未満であることが特に好ましい。(b)層の層厚みが前記範囲内になることにより、前記の各特性を効果的に発揮させることができる。
積層体の全肉厚は、0.5mm以上25mm以下であることが好ましい。
【0100】
積層体が積層チューブである場合、積層チューブの外径は、循環薬液及び/又はガス(例えばエンジン冷却液)等の流量を考慮し、肉厚は薬液の透過性が増大せず、また、通常のチューブの破壊圧力を維持できる厚みで、かつ、チューブの組み付け作業容易性及び使用時の耐振動性が良好な程度の柔軟性を維持することができる厚みに設計されるが、限定されるものではない。外径は4mm以上300mm以下、内径は3mm以上250mm以下、肉厚は0.5mm以上25mm以下であることが好ましい。
【0101】
積層体の製造方法としては、層の数もしくは材料の数に対応する押出機を用いて、溶融押出し、ダイ内あるいは外において同時に積層する方法(共押出成形法)、あるいは、一旦、単層チューブあるいは、上記の方法により製造された積層体を予め製造しておき、外側に順次、必要に応じては接着剤を使用し、樹脂を一体化せしめ積層する方法(コーティング法)が挙げられる。積層体は、各種材料を溶融状態で共押出し、両者を熱融着(溶融接着)して一段階で積層構造のチューブを製造する共押出法により製造されることが好ましい。即ち、積層体の製造方法は、共押出成形することを含むことが好ましい。
【0102】
また、積層体が複雑な形状である場合や、成形後に加熱曲げ加工を施して成形品とする場合は、成形品の残留歪みを除去するために、上記の積層体を形成した後、前記積層体を構成する樹脂の融点のうち最も低い融点未満の温度で、0.01時間以上10時間以下熱処理して目的の成形品を得る事も可能である。
【0103】
波形領域を有する積層体は、まず直管状の積層体を成形した後に、引き続いてモールド成形し、所定の波形形状等とすることにより容易に形成することができる。かかる波形領域を有することにより、衝撃吸収性を有し、取り付け性が容易となる。更に、例えば、コネクタ等の必要な部品を付加したり、曲げ加工によりL字、U字の形状等にすることが可能である。
【0104】
このように成形した積層体の外周の全部又は一部には、石ハネ、他部品との摩耗、及び耐炎性を考慮して、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、カルボキシル化ブタジエンゴム(XBR)、カルボキシル化クロロプレンゴム(XCR)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリルブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシル化アクリロニトリルブタジエンゴム(XNBR)、NBRとポリ塩化ビニルの混合物、アクリロニトリルイソプレンゴム(NIR)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレン酢酸ビニルゴム(EVM)、NBRとEPDMの混合物ゴム、アクリルゴム(ACM)、エチレンアクリルゴム(AEM)、アクリレートブタジエンゴム(ABR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシル化スチレンブタジエンゴム(XSBR)、スチレンイソプレンゴム(SIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、ウレタンゴム、シリコーンゴム(MQ,VMQ)、フッ素ゴム(FKM,FFKM)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)、塩化ビニル系、オレフィン系、エステル系、ウレタン系、アミド系等の熱可塑性エラストマー等から構成するソリッド又はスポンジ状の保護部材(プロテクタ)を配設することができる。保護部材は既知の手法によりスポンジ状の多孔体としてもよい。多孔体とすることにより、軽量で断熱性に優れた保護部を形成できる。また、材料コストも低減できる。あるいは、ガラス繊維等を添加してその強度を改善してもよい。保護部材の形状は特に限定されないが、通常は、筒状部材又は積層体の一態様である積層チューブを受け入れる凹部を有するブロック状部材である。筒状部材の場合は、予め作製した筒状部材に積層チューブを後で挿入したり、あるいは積層チューブの上に筒状部材を被覆押出しして両者を密着して作ることができる。両者を接着させるには、保護部材内面あるいは前記凹面に必要に応じ接着剤を塗布し、これに積層チューブを挿入又は嵌着し、両者を密着することにより、積層チューブと保護部材の一体化された構造体を形成する。また、金属等で補強することも可能である。
【0105】
[積層体の用途]
積層体は、自動車部品、内燃機関用途、電動工具ハウジング類等の機械部品を始め、工業材料、産業資材、電気・電子部品、医療、食品、家庭・事務用品、建材関係部品、家具用部品等各種用途に使用することが可能である。
【0106】
また、積層体は、薬液透過防止性に優れるため、薬液搬送チューブとして好適に使用される。薬液としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、アルキルベンゼン類等の芳香族炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレングリコ-ル等のアルコール;フェノール溶媒;ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、エチル-t-ブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ポリオ-ルエステル類、ポリビニルエ-テル類等のエーテル溶媒;HFC-23、HFC-32、HFC-41、HFC-123、HFC-125、HFC-134、HFC-134a、HFC-143、HFC-143a、HFC-152、HFC-152a、HFC-161、HFC-227ea、HFC-227ca、HFC-236fa、HFC-236ea、HFC-236cb、HFC-236ca、HFC-245ca、HFC-245ea、HFC-245eb、HFC-245fa、HFC-245cb、HFC-254eb、HFC-254cb、HFC-254ca、HFC-263fb、HFC-263ca、HFC-272fb、HFC-272ea、HFC-272fa、HFC-272ca、HFC-281fa、HFC-281ea、HFC-329p、HFC-329mmz、HFC-338mf、HFC-338mcc、HFC-338pcc、HFC-347s、HFC-365mfc、HFC-4310mee、HFC-1123、HFC-1132a、FC-1216、HFC-1223、HFC-1225zc、HFC-1225ye、HFC-1225yc、HFC-1232xf、HFC-1234ye、HFC-1234ze、HFC-1234yf、HFC-1234yc、HFC-1234zc、HFC-1243yf、HFC-1243zc、HFC-1243ye、HFC-1243ze、HFC-1243zf、HFC-1243yc、HFC-1261yf、FC-1318my、FC-1318cy、HFC-1327my、HFC-1327ye、HFC-1327py、HFC-1327et、HFC-1327cz、HFC-1327cye、HFC-1327cyc、HFC-1336yf、HFC-1336ze、HFC-1336eye、HFC-1336eyc、HFC-1336pyy、HFC-1336pz、HFC-1336mzy、HFC-1336mzz、HFC-1336qc、HFC-1336pe、HFC-1336ft、HFC-1345qz、HFC-1345mzy、HFC-1345fz、HFC-1345mzz、HFC-1345sy、HFC-1345fyc、HFC-1345pyz、HFC-1345cyc、HFC-1345pyy、HFC-1345eyc、HFC-1345ctm、HFC-1345ftp、HFC1345fye、HFC-1345eyf、HFC-1345eze、HFC-1345ezc、HFC-1345eye、HFC-1354fzc、HFC-1354ctp、HFC-1354etm、HFC-1354tfp、HFC-1354my、HFC-1354mzy、FC-141-10myy、FC-141-10cy、HFC-1429mzt、HFC-1429myz、HFC-1429mzy、HFC-1429eyc、HFC-1429czc、HFC-1429cycc、HFC-1429pyy、HFC-1429myyc、HFC-1429myye、HFC-1429eyym、HFC-1429cyzm、HFC-1429mzt、HFC-1429czym、HFC-1438fy、HFC-1438eycc、HFC-1438ftmc(、HFC-1438czzm、HFC-1438ezym、HFC-1438ctmf、HFC-1447fzy、HFC-1447fz、HFC-1447fycc、HFC-1447cz、HFC-1447mytm、HFC-1447fyz、HFC-1447ezz、HFC-1447qzt、HFC-1447syt、HFC-1456szt、HFC-1456szy、HFC-1456mstz、HFC-1456fzce、HFC-1456ftmf、FC-151-12c、FC-151-12mcy、FC-151-12mmtt、FC-151-12mmzz、HFC-152-11mmtz、HFC-152-11mmyyz、HFC-152-11mmyyz、HFC-1549fz(PFBE)、HFC-1549fztmm、HFC-1549mmtts、HFC-1549fycz、HFC-1549myts、HFC-1549mzzz、HFC-1558szy、HFC-1558fzccc、HFC-1558mmtzc、HFC-1558ftmf、HFC-1567fts、HFC-1567szz、HFC-1567fzfc、HFC-1567sfyy、HFC-1567fzfy、HFC-1567myzzm(、HFC-1567mmtyf、FC-161-14myy、FC-161-14mcyy、HFC-162-13mzy、HFC162-13myz、HFC-162-13mczy、HFC-162-13mcyz、CFC-11(、CFC-114、CFC-114a、CFC-115、HCFC-21、HCFC-22、HCFC-122、HCFC-123、HCFC-124、HCFC-124a、HCFC-132、HCFC-133a、HCFC-141b、HCFC-142、HCFC-142b、HCFC-225ca、HCFC-225cb、HCFC-240db、HCFC-243db、HCFC-243ab、HCFC-244eb、HCFC-244bb、HCFC-244db、HCFC-1111、HCFC-1113、HCFC-1223xd、HCFC-1224xe、HCFC-1232xf、HCFC-1233xf、HCFC-1233zd、及びこれらの混合物等のハロオレフィン類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノン等のケトン溶媒;鉱油類、シリコ-ン油類、天然パラフィン類、ナフテン類、合成パラフィン類、ポリアルファオレフィン類等、ガソリン、灯油、ディーゼルガソリン、菜種油メチルエステル、大豆油メチルエステル、パ-ム油メチルエステル、ココナツ油メチルエステル、ガス液化油(Gas To Liquid:GTL)、石炭液化油(Coal To Liquid:CTL)、バイオマス液化油(Biomass To Liquid: BTL)、含アルコールガソリン、エチル-t-ブチルエーテルブレンド含酸素ガソリン、含アミンガソリン、サワーガソリン、圧縮天然ガス(CNG)、液化石油ガス(LPG)、液化炭化水素ガス(LHG)、液化天然ガス(LNG)、燃料用ジメチルエーテル(DME)、ひまし油ベースブレーキ液、グリコールエーテル系ブレーキ液、ホウ酸エステル系ブレーキ液、極寒地用ブレーキ液、シリコーン油系ブレーキ液、鉱油系ブレーキ液、パワーステアリングオイル、含硫化水素オイル、ウインドウオッシャー液、エンジン冷却液、尿素溶液、医薬剤、インク、塗料等が挙げられる。
【0107】
積層体は、前記薬液を搬送するチューブとして好適であり、具体的には、フィードチューブ、リターンチューブ、エバポチューブ、フューエルフィラーチューブ、ORVRチューブ、リザーブチューブ、ベントチューブ等の燃料チューブ、オイルチューブ、石油掘削チューブ、空圧、油圧チューブ、クラッチチューブ、ブレーキチューブ、ブレーキ負圧チューブ、サスペンションチューブ、エアーチューブ、ターボエアーチューブ、エアーダクトチューブ、ブローバイチューブ、EGRバルブコントロールチューブ、ウインドウオッシャー液用チューブ、冷却液(LLC)クーラーチューブ、リザーバータンクチューブ、尿素溶液搬送チューブ、バッテリ冷却加熱用チューブ、燃料電池用チュ-ブ、エアコン用チューブ、ヒーターチューブ、ラジエータチューブ、ロードヒーティングチューブ、床暖房チューブ、インフラ供給用チューブ、消火器及び消火設備用チューブ、医療用冷却機材用チューブ、インク、塗料散布チューブ、その他薬液チューブとして使用されることが好ましく、冷却液(LLC)クーラーチューブ、尿素溶液搬送チューブ、バッテリ冷却加熱用チューブ、及びエアコン用チューブのいずれかであることが特に好ましい。
【実施例
【0108】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。まず、実施例及び比較例における分析及び物性の測定方法、及び実施例及び比較例に用いた材料を示す。
【0109】
1.ポリオレフィンの特性は、以下の方法で測定した。
【0110】
[ショア硬さ(Dスケール)]
ASTM D2240に準拠して、ショア硬さ(Dスケール)を測定した。
【0111】
[引張試験]
ASTM D638に準拠して、引張降伏点応力と引張破断点応力を測定した。
【0112】
[MFR(メルトフローレート)]
ASTM D1238に準拠して、230℃、2,160gの条件にてMFRを測定した。
【0113】
[FT-IR]
JASCO製FT/IR-4700を用いて4000cm-1から650cm-1の範囲で測定した。710cm-1から740cm-1の範囲の中の吸収のうち最大の波数の値を調べた。
【0114】
2.積層体の各物性は、以下の方法で測定した。
[低温耐衝撃性]
積層チューブ10本について、SAE J 2260 7.5に記載の方法で、-40℃にて衝撃試験を実施した。その後、積層チューブにおける破断の有無を確認した。
【0115】
[高温破壊圧強度]
積層チューブ5本について、SAE J 2260 7.2に記載の方法で、試験温度を125℃に変更して破壊圧強度試験を実施した。測定された破壊圧強度の平均値を表1に示した。
【0116】
3.実施例及び比較例で用いた材料
(1)脂肪族ポリアミド(A1)
[ポリアミド12(A1-1)の製造]
内容積70リットルの攪拌機付き耐圧力反応容器に、ドデカンラクタム19.73kg(100.0モル)、5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサンメチルアミン45.0g(0.264モル)、及び蒸留水0.5Lを仕込み、重合槽内を窒素置換した後、180℃まで加熱し、この温度で反応系内が均一な状態になるように攪拌した。次いで重合槽内温度を270℃まで昇温させ、槽内圧力を3.5MPaに調圧しながら、2時間攪拌下に重合した。その後、約2時間かけて常圧(0.1MPa)に放圧し、次いで、53kPaまで減圧し、減圧下において5時間重合を行なった。次いで、窒素をオートクレーブ内に導入し、常圧に復圧後、反応容器の下部ノズルからストランドとして抜き出し、カッティングしてペレットを得た。このペレットを減圧乾燥し、相対粘度2.20、末端アミノ基濃度48μeq/g、末端カルボキシル基濃度24μeq/gのポリアミド12を得た(以下、このポリアミド12を(A1-1)という。)。ポリアミド12(A1-1)のメチレン基数のアミド基数に対する比[CH]/[NHCO]は11.0であり、7.0以上を満たす。また、ポリアミド12(A1-1)の末端アミノ基濃度[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B](μeq/g)は、[A]>[B]+5を満たす。
【0117】
(2)耐衝撃剤(A2)
無水マレイン酸変性エチレン/1-ブテン共重合体(A2-1)(三井化学(株)製、タフマー(登録商標)MH5020、酸無水物基濃度:100μeq/g、ショア硬さ(Dスケール):<20)
【0118】
(3)可塑剤(A3)
N-ブチルベンゼンスルホンアミド(A3-1)(Proviron(株)製、Proviplast(登録商標)024)
【0119】
(4)脂肪族ポリアミド組成物(A)
[脂肪族ポリアミド組成物(A-1)の製造]
ポリアミド12(A1-1)に、耐衝撃剤として無水マレイン酸変性エチレン/1-ブテン共重合体(A2-1)、可塑剤としてN-ブチルベンゼンスルホンアミド(A3-1)、酸化防止剤としてトリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASFジャパン社製、IRGANOX(登録商標)245)、及びリン系加工安定剤としてトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン社製、IRGAFOS168)をあらかじめ混合し、二軸溶融混練機((株)日本製鋼所製、型式:TEX(登録商標)44)に供給し、シリンダ温度180℃から270℃で溶融混練し、溶融樹脂をストランド状に押出した後、これを水槽に導入し、冷却、カット、真空乾燥して、ポリアミド12(A1-1)/耐衝撃剤(A2-1)/可塑剤(A3-1)=85.0/10.0/5.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる脂肪族ポリアミド組成物(A-1)のペレットを得た。
【0120】
(5)変性ポリオレフィン(B)
変性ポリオレフィン(B-1)無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三井化学(株)製、Admer(登録商標) QF551、ショア硬さ(Dスケール):58、引張降伏点応力:19MPa、引張破断点応力:31MPa、MFR:5.2g/10min、FT-IR測定にて、波数が710cm-1以上740cm-1以下にある吸収のうち最大強度を示す波数:722.2cm-1
変性ポリオレフィン(B-2)無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三井化学(株)製、Admer(登録商標) QB516、ショア硬さ(Dスケール):62、引張降伏点応力:23MPa、引張破断点応力:25MPa、MFR:2.8g/10min、FT-IR測定にて、波数が710cm-1以上740cm-1以下にある吸収のうち最大強度を示す波数:720.3cm-1
変性ポリオレフィン(B-3)無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三井化学(株)製、Admer(登録商標) QF500、ショア硬さ(Dスケール):66、引張降伏点応力:24MPa、引張破断点応力:38MPa、MFR:3.5g/10min、FT-IR測定にて、波数が710cm-1以上740cm-1以下にある吸収のうち最大強度を示す波数:718.4cm-1
変性ポリオレフィン(B-4)無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三井化学(株)製、Admer(登録商標) QB510、ショア硬さ(Dスケール):65、引張降伏点応力:28MPa、引張破断点応力:33MPa、MFR:2.7g/10min)
変性ポリオレフィン(B-5)無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三井化学(株)製、Admer(登録商標) QB520E、ショア硬さ(Dスケール):64、引張降伏点応力:24MPa、引張破断点応力:35MPa、MFR:1.8g/10min)
【0121】
4.積層体の製造
(実施例1-1)
前記に示す脂肪族ポリアミド組成物(A-1)、変性ポリオレフィン(B-1)を使用して、PAL32(マイルファー社(株)製)2層チューブ成形機にて、(A-1)を押出温度270℃、(B-1)を押出温度220℃にて別々に溶融させ、吐出された溶融樹脂をアダプタによって合流させ、積層管状体に成形した。引き続き、寸法制御するサイジングダイにより冷却し、引き取りを行い、(A-1)からなる(a)層(最外層)、(B-1)からなる(b)層(最内層)としたとき、層構成が(a)/(b)=0.80mm/0.20mmで内径6.0mm、外径8.0mmの積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果(即ち、積層チューブ5本についての高温破壊圧強度の結果、及び積層チューブ10本について低温耐衝撃性の試験結果)を表1に示す。
【0122】
(実施例1-2)
実施例1-1において、層厚みを変更した以外は、実施例1-1と同様の方法にて、層構成が(a)/(b)=0.65mm/0.35mmで内径6.0mm、外径8.0mmの積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0123】
(実施例1-3)
実施例1-1において、層厚みを変更した以外は、実施例1-1と同様の方法にて、層構成が(a)/(b)=0.50mm/0.50mmで内径6.0mm、外径8.0mmの積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0124】
(比較例1-1)
実施例1-1において、変性ポリオレフィン(B-1)を(B-2)に変更した以外は、実施例1-1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0125】
(比較例1-2)
実施例1-2において、変性ポリオレフィン(B-1)を(B-2)に変更した以外は、実施例1-2と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0126】
(比較例1-3)
実施例1-3において、変性ポリオレフィン(B-1)を(B-2)に変更した以外は、実施例1-3と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0127】
(比較例2-1)
実施例1-1において、変性ポリオレフィン(B-1)を(B-3)に変更した以外は、実施例1-1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0128】
(比較例2-2)
実施例1-2において、変性ポリオレフィン(B-1)を(B-3)に変更した以外は、実施例1-2と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0129】
(比較例2-3)
実施例1-3において、変性ポリオレフィン(B-1)を(B-3)に変更した以外は、実施例1-3と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0130】
(比較例3-1)
実施例1-1において、変性ポリオレフィン(B-1)を(B-4)に変更した以外は、実施例1-1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0131】
(比較例3-2)
実施例1-2において、変性ポリオレフィン(B-1)を(B-4)に変更した以外は、実施例1-2と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0132】
(比較例3-3)
実施例1-3において、変性ポリオレフィン(B-1)を(B-4)に変更した以外は、実施例1-3と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0133】
(比較例4-1)
実施例1-1において、変性ポリオレフィン(B-1)を(B-5)に変更した以外は、実施例1-1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0134】
(比較例4-2)
実施例1-2において、変性ポリオレフィン(B-1)を(B-5)に変更した以外は、実施例1-2と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0135】
(比較例4-3)
実施例1-3において、変性ポリオレフィン(B-1)を(B-5)に変更した以外は、実施例1-3と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0136】
【表1】
【0137】
表1より、実施例の積層チューブは、変性ポリオレフィンの層が厚くなった場合でも低温耐衝撃性、高温時の破壊圧強度に優れていることが分かる。