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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】車両管理装置、及び車両管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20241022BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20241022BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241022BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G06Q50/06
H02J3/32
H02J7/00 P
H02J13/00 311R
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022003558
(22)【出願日】2022-01-13
(65)【公開番号】P2023102853
(43)【公開日】2023-07-26
【審査請求日】2023-11-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森島 彰紀
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-035135(JP,A)
【文献】特開2019-205304(JP,A)
【文献】特開2018-139468(JP,A)
【文献】特開2021-157580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H02J 3/32
H02J 13/00
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両を管理する車両管理装置であって、
前記車両管理装置は、1つ以上のコンピュータを含み、
前記車両管理装置は、前記複数の車両に含まれる1台以上の対象車両と周期的に通信を行なうように構成され、
前記対象車両は、外部電源の調整力として動作可能に構成され、
前記車両管理装置は、
約定直前の第1期間と、
需給計画値提出期限直前の第2期間と、
前記外部電源の調整力の提供が要求される期間に対応する第3期間と、
の少なくとも1つの期間において、前記第1~第3期間を除いた期間の平均通信頻度よりも高い頻度で前記対象車両と通信を行なう、車両管理装置。
【請求項2】
前記車両管理装置は、電力市場で調整力の入札を行ない、前記対象車両の中から選ばれた1台以上の車両を、前記電力市場で約定した調整力として動作させるための通知を行なうように構成され、
前記第1期間は、約定3時間前から約定タイミングまでの期間の少なくとも一部に相当する、請求項1に記載の車両管理装置。
【請求項3】
前記車両管理装置は、通信により前記対象車両から取得した情報を用いて需給計画値を決定して、決定された需給計画値を前記需給計画値提出期限までに送信するように構成され、
前記第2期間は、前記需給計画値提出期限3時間前から前記需給計画値提出期限までの期間の少なくとも一部に相当する、請求項1又は2に記載の車両管理装置。
【請求項4】
前記車両管理装置は、前記第1~第3期間の各々において、前記第1~第3期間を除いた期間の平均通信頻度よりも高い頻度で前記対象車両と通信を行なうように構成され、
前記車両管理装置は、前記第1~第3期間の各々において、通信により前記対象車両から取得した情報を用いて前記対象車両の行動予測を行なうように構成される、請求項1~のいずれか一項に記載の車両管理装置。
【請求項5】
前記車両管理装置は、前記対象車両との通信により、前記対象車両に関する車両情報を周期的に取得するように構成され、
前記車両情報は、前記対象車両の位置と、前記対象車両が備える蓄電装置のSOCとの少なくとも一方を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の車両管理装置。
【請求項6】
前記複数の車両は、前記外部電源の調整力として動作しない非対象車両を含み、
前記車両管理装置は、前記第1~第3期間の少なくとも1つにおいて、前記非対象車両との通信よりも高い頻度で前記対象車両と通信を行なう、請求項1~のいずれか一項に記載の車両管理装置。
【請求項7】
1つ以上のコンピュータを含む車両管理装置が、約定直前に設定された第1期間と、需給計画値提出期限直前に設定された第2期間と、外部電源の調整力の提供が要求される期間に対応して設定された第3期間とを含む通信期間において、1台以上の対象車両と周期的に通信を行なうことと、
前記車両管理装置が、前記第1期間と前記第2期間と前記第3期間との少なくとも1つを含む通信頻度アップ期間内か否かを判断することと、
前記車両管理装置が、前記通信頻度アップ期間において、前記第1~第3期間を除いた前記通信期間の平均通信頻度よりも高い頻度で前記対象車両と通信を行なうことと、
を含む、車両管理方法。
【請求項8】
前記車両管理装置が、前記第1期間において、通信により前記対象車両から取得した情報を用いて、前記対象車両が提供可能な調整力を予測することと、
前記車両管理装置が、前記第2期間において、通信により前記対象車両から取得した情報を用いて、需給計画値を求めることと、
前記車両管理装置が、前記第3期間において、前記対象車両の中から選ばれた1台以上の車両を前記外部電源の調整力として動作させるための通知を行なうことと、
前記車両管理装置が、前記第3期間において、前記対象車両の中から選ばれた前記1台以上の車両のいずれかが前記外部電源の調整力として動作していない場合に、通信により前記対象車両から取得した情報を用いて、前記対象車両の中から代わりの車両を選ぶことと、
をさらに含む、請求項に記載の車両管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両管理装置及び車両管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、国際公開第2017/009976号(特許文献1)には、外部電源の調整力として車両を動作させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/009976号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、外部電源の調整力として動作可能に構成される車両も、車両の状況によっては外部電源の調整力として機能しないことがある。たとえば、外部電源と電気的に接続されていない車両は、外部電源の調整力として機能しない。外部電源の調整力として動作させる車両を適切に管理するためには、車両の状況を的確に把握することが求められる。
【0005】
車両の状況は時々刻々と変化する。そこで、車両を管理するサーバが、車両の状況を把握するために、車両と頻繁に通信を行なって、車両からリアルタイムの状況を逐次取得することが考えられる。しかしながら、車両との通信頻度を高めると、通信コストが上昇する。また、長期間にわたって高い頻度で通信を行なうと、処理負荷及び/又は消費電力の増大につながる可能性がある。このため、長期間にわたって高い通信頻度を維持することは、外部電源の調整力として動作させる車両を管理する上で必ずしも適切ではない。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、外部電源の調整力として動作させる車両を適切に管理することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の観点に係る車両管理装置は、複数の車両を管理するように構成される。車両管理装置は、1つ以上のコンピュータを含む。車両管理装置は、複数の車両に含まれる1台以上の対象車両と周期的に通信を行なうように構成される。対象車両は、外部電源の調整力として動作可能に構成される。車両管理装置は、約定直前の第1期間と、需給計画値提出期限直前の第2期間と、外部電源の調整力の提供が要求される期間に対応する第3期間との少なくとも1つの期間において、第1~第3期間を除いた期間の平均通信頻度よりも高い頻度で対象車両と通信を行なうように構成される。
【0008】
ユーザは、電力市場で売られている商品(調整力)に入札することができる。しかし、電力市場で落札(約定)した調整力を提供しなかったユーザには、契約不履行によるペナルティが発生する。このため、ユーザは、商品(取引対象)が要求する調整力を提供できるか否かを、約定前に判断することが求められる。また、外部電源の調整力を落札したユーザ、あるいは外部電源の同時同量を達成する責任を負うユーザは、所定の期限までに需給計画値を所定の機関へ提出することが求められる。需給計画値は、需要と供給との少なくとも一方の計画値である。ユーザは、調整力の提供が要求される調整期間において車両を調整力として動作させることによって、要求される調整力を提供することができる。しかし、調整期間において、何らかの不具合により車両が調整力として動作しなくなった場合には、代わりの車両を用意することがユーザに求められる。なお、調整期間は、調整力の提供が要求される期間であり、一般に「提供期間」とも称される。また、調整期間の長さは、一般に「継続時間」とも称される。
【0009】
上記車両管理装置は、上記の第1~第3期間の少なくとも1つの期間において選択的に通信頻度を高めるように構成される。
【0010】
車両管理装置は、上記第1期間(すなわち、約定直前の期間)において高い頻度で対象車両と通信を行なうことで、入札時(約定直前)の対象車両の状況(ひいては、対象車両が提供可能な調整力)を正確に把握しやすくなる。これにより、ユーザは、対象車両が提供可能な調整力に応じた商品(調整力)に入札しやすくなる。
【0011】
車両管理装置は、上記第2期間(すなわち、需給計画値提出期限直前の期間)において高い頻度で対象車両と通信を行なうことで、需給計画値提出期限直前の対象車両の状況(ひいては、対象車両による需給状況)を正確に把握しやすくなる。これにより、ユーザは、より正確な需給計画値を所定の機関に提出しやすくなる。需給計画値を提出したユーザは、その需給計画値を基準にした調整力の提供が要求されるため、需給計画値が正確であるほど、要求される調整力を確保しやすくなる。
【0012】
車両管理装置は、上記第3期間(調整期間に対応する期間)において高い頻度で対象車両と通信を行なうことで、調整期間における対象車両の状況(ひいては、対象車両が提供可能な調整力)を正確に把握しやすくなる。このため、上記第3期間において何らかの不具合により車両が調整力として動作しなくなったときに、ユーザは、代わりの車両として適切な車両を選びやすくなる。
【0013】
上記構成では、第1~第3期間の少なくとも1つの期間において選択的に通信頻度が高められることで、通信頻度の上昇は短期間に抑えられる。このため、通信頻度の上昇に伴う不具合(通信コストの上昇など)を抑制することができる。
【0014】
以上説明したように、上記構成を有する車両管理装置によれば、外部電源の調整力として動作させる車両を適切に管理しやすくなる。
【0015】
車両管理装置は、1つのコンピュータであってもよいし、相互通信可能な複数のコンピュータで構成されてもよい。以下、車両管理装置に含まれるコンピュータを、「管理コンピュータ」とも称する。対象車両は、管理コンピュータが管理する上記複数の車両の、全部であってもよいし、一部であってもよい。
【0016】
調整力は、外部電源の電力調整(周波数制御、需給バランス調整など)を行なう能力全般を意味し、予備力も含む。上記外部電源は、電力網(たとえば、マイクログリッド、又はインフラストラクチャとして整備された大規模な電力網)であってもよい。上記外部電源は、交流電力を供給してもよいし、直流電力を供給してもよい。通信頻度は、通信周期(通信の間隔)で表わされてもよい。たとえば、通信周期が30分であれば通信頻度は48回/日であり、通信周期が1時間であれば通信頻度は24回/日である。
【0017】
以下、第1~第3期間を除いた期間を、「他の期間」と称する。第1期間と第2期間との間の期間を、「第1中間期間」と称する。第2期間と第3期間との間の期間を、「第2中間期間」と称する。第1及び第2中間期間の各々は、他の期間に相当する。管理コンピュータは、第1及び第2中間期間における平均通信頻度を、他の期間の平均通信頻度とみなしてもよい。管理コンピュータは、上記第1~第3期間の少なくとも1つの期間における平均通信頻度を、他の期間の平均通信頻度の1.5倍以上15倍未満にしてもよい。
【0018】
車両管理装置は、電力市場で調整力の入札を行なうように構成されてもよい。車両管理装置は、対象車両の中から選ばれた1台以上の車両を、電力市場で約定した調整力として動作させるための通知を行なうように構成されてもよい。第1期間は、約定3時間前から約定タイミングまでの期間の少なくとも一部に相当してもよい。
【0019】
上記構成によれば、車両管理装置が電力市場で調整力の入札を適切に行ないやすくなる。なお、約定前には入札が行なわれる。第1期間は、入札時(たとえば、入札2時間前から入札タイミングまでの期間の少なくとも一部)に相当してもよい。
【0020】
車両管理装置は、通信により対象車両から取得した情報を用いて需給計画値を決定するように構成されてもよい。車両管理装置は、決定された需給計画値を需給計画値提出期限までに送信するように構成されてもよい。第2期間は、需給計画値提出期限3時間前から需給計画値提出期限までの期間の少なくとも一部に相当してもよい。
【0021】
上記構成によれば、車両管理装置が適切な需給計画値を期限までに所定の機関に提出しやすくなる。需給計画値提出期限は、ゲートクローズであってもよい。
【0022】
第3期間は、外部電源の調整力の提供が要求される期間、又は外部電源の調整力の提供が要求される期間の前後の少なくとも一方に30分以内の余裕期間を加えた期間であってもよい。車両管理装置は、第3期間において、対象車両の中から選ばれた1台以上の車両の全てが外部電源の調整力として動作するか否かを判断するように構成されてもよい。車両管理装置は、第3期間において、対象車両の中から選ばれた1台以上の車両のいずれかが外部電源の調整力として動作しないと判断される場合には、通信により対象車両から取得した情報を用いて、対象車両の中から代わりの車両を選ぶように構成されてもよい。
【0023】
上記構成によれば、第3期間において何らかの不具合により車両が調整力として動作しなくなったときに、車両管理装置が、代わりの車両(すなわち、調整力として動作しなくなった車両の代わりに調整力として動作する車両)として適切な車両を選びやすくなる。
【0024】
車両管理装置は、第1~第3期間の各々において、第1~第3期間を除いた期間の平均通信頻度よりも高い頻度で対象車両と通信を行なうように構成されてもよい。車両管理装置は、第1~第3期間の各々において、通信により対象車両から取得した情報を用いて対象車両の行動予測を行なうように構成されてもよい。
【0025】
上記構成によれば、車両管理装置が、対象車両の行動予測を適切に行ないやすくなる。そして、車両管理装置は、対象車両の行動に関する予測情報を用いて、対象車両による需給状況と、対象車両が提供可能な調整力との少なくとも1つを適切に求めやすくなる。
【0026】
車両管理装置は、対象車両との通信により、対象車両に関する車両情報を周期的に取得するように構成されてもよい。車両情報は、対象車両の位置と、対象車両が備える蓄電装置のSOC(State Of Charge)との少なくとも一方を含んでもよい。
【0027】
上記構成によれば、車両管理装置が、対象車両による需給状況と、対象車両が提供可能な調整力との少なくとも1つを求めやすくなる。
【0028】
複数の車両は、外部電源の調整力として動作しない非対象車両を含んでもよい。車両管理装置は、第1~第3期間の少なくとも1つにおいて、非対象車両との通信よりも高い頻度で対象車両と通信を行なうように構成されてもよい。
【0029】
車両管理装置は、電力調整以外の目的で車両(非対象車両)を管理してもよい。たとえば、車両管理装置は、通信により車両から得た情報を用いて、その車両の状況に合った充電タイミングをユーザに通知するサービスを提供してもよい。ただし、第1~第3期間の各々においては、対象車両に関する情報が特に求められる。そこで、上記の車両管理装置は、第1~第3期間の少なくとも1つにおいて、非対象車両との通信よりも高い頻度で対象車両と通信を行なう。このように優先度の高い対象車両との通信頻度を選択的に高めることで、通信頻度の上昇に伴う不具合(通信コストの上昇など)を抑制することができる。
【0030】
本開示の第2の観点に係る車両管理方法は、約定直前に設定された第1期間と、需給計画値提出期限直前に設定された第2期間と、外部電源の調整力の提供が要求される期間に対応して設定された第3期間とを含む通信期間において、車両管理装置が1台以上の対象車両と周期的に通信を行なうことと、車両管理装置が、第1期間と第2期間と第3期間との少なくとも1つを含む通信頻度アップ期間内か否かを判断することと、車両管理装置が、通信頻度アップ期間において、第1~第3期間を除いた通信期間の平均通信頻度よりも高い頻度で対象車両と通信を行なうこととを含む。
【0031】
上記車両管理方法によっても、前述した車両管理装置と同様、外部電源の調整力として動作させる車両を適切に管理することが可能になる。
【0032】
上記の車両管理方法は、第1期間において、通信により対象車両から取得した情報を用いて、対象車両が提供可能な調整力を予測することと、第2期間において、通信により対象車両から取得した情報を用いて、需給計画値を求めることと、第3期間において、対象車両の中から選ばれた1台以上の車両を外部電源の調整力として動作させることと、第3期間において、対象車両の中から選ばれた1台以上の車両のいずれかが外部電源の調整力として動作していない場合に、通信により対象車両から取得した情報を用いて、対象車両の中から代わりの車両を選ぶこととをさらに含んでもよい。
【0033】
上記構成によれば、管理される車両によって外部電源の電力調整を適切に行ないやすくなる。
【0034】
上述したいずれかの装置又は方法によって管理される車両は、蓄電装置を備える電動車(以下、「xEV」とも称する)であってもよい。xEVは、電力を動力源の全て又は一部として利用する車両である。xEVには、BEV(電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)、FCEV(燃料電池車)、及びレンジエクステンダーEVが含まれる。
【発明の効果】
【0035】
本開示によれば、外部電源の調整力として動作させる車両を適切に管理することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本開示の実施の形態に係る電力管理システムの概略的な構成を示す図である。
図2】対象車両の構成の一例を示す図である。
図3】本開示の実施の形態に係る第1及び第2管理コンピュータの詳細構成を示す図である。
図4図3に示した第1管理コンピュータによって実行される対象車両との通信に係る処理を示すフローチャートである。
図5】本開示の実施の形態に係る車両管理方法における通信頻度の制御について説明するための図である。
図6】本開示の実施の形態に係る電力市場の概要を示す図である。
図7図3に示した第2管理コンピュータによって実行される市場取引に係る処理を示すフローチャートである。
図8図3に示した第2管理コンピュータによって実行される計画値提出処理を示すフローチャートである。
図9図3に示した第2管理コンピュータによって実行される代替車両選定処理を示すフローチャートである。
図10図1に示したTSOサーバによって実行される電力調整に係る処理を示すフローチャートである。
図11図5に示した通信態様の第1変形例を示す図である。
図12図5に示した通信態様の第2変形例を示す図である。
図13図7に示した処理の変形例を示すフローチャートである。
図14図4に示した処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0038】
図1は、本開示の実施の形態に係る電力管理システムの概略的な構成を示す図である。図1を参照して、この実施の形態に係る電力管理システムは、車群VGと、サーバ700と、車両管理装置1000とを含む。車両管理装置1000は、サーバ300及び600を含む。サーバ300及び600の各々は、管理コンピュータに相当する。
【0039】
電力系統PGは、送配電設備によって構築される電力網である。電力系統PGには、複数の発電所が接続されている。電力系統PGは、それらの発電所から電力の供給を受けている。この実施の形態では、電力会社が、電力系統PG(商用電源)を保守及び管理する。電力会社は、後述するTSO(系統運用者)に相当する。電力系統PGは、交流電力(たとえば、三相交流電力)を供給する。サーバ700は、TSOに帰属するコンピュータ(以下、「TSOサーバ」と表記する場合がある)に相当する。サーバ700は、後述する中給システム及び簡易指令システムを内蔵する。サーバ600とサーバ700とは相互に通信可能に構成される。この実施の形態に係る電力系統PGは、本開示に係る「外部電源」の一例に相当する。
【0040】
サーバ300は、車群VGを管理するように構成される。以下では、サーバ300を「車両情報管理サーバ」と表記する場合がある。詳細は後述するが、サーバ300は、車群VGに含まれる各車両と周期的に通信を行なうように構成される。この実施の形態では、車群VGに含まれる各車両が、本開示に係る「対象車両」の一例に相当する。車群VGに含まれる車両の数は、5台以上30台未満であってもよいし、30台以上100台未満であってもよいし、100台以上であってもよい。この実施の形態では、車群VGが50台程度の車両を含むものとする。
【0041】
車群VGに含まれる各車両は、xEVであり、電力系統PGの調整力として動作可能に構成される。以下、区別しない場合は、車群VGに含まれる各車両を「車両100」と称する。図2は、車両100の構成を示す図である。
【0042】
図2を参照して、車両100は、走行用の電力を蓄電するバッテリ130を備える。車両100は、バッテリ130に蓄えられた電力を用いて走行可能に構成される。この実施の形態に係る車両100は、エンジン(内燃機関)を備えない電気自動車(BEV)である。バッテリ130としては、公知の車両用蓄電装置(たとえば、液式二次電池、全固体二次電池、又は組電池)を採用できる。車両用二次電池の例としては、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池が挙げられる。この実施の形態に係るバッテリ130は、本開示に係る「蓄電装置」の一例に相当する。
【0043】
車両100は、電子制御装置(以下、「ECU(Electronic Control Unit)」と称する)150を備える。ECU150は、バッテリ130の充電制御及び放電制御を行なうように構成される。車両100は、バッテリ130の状態を監視する監視モジュール131をさらに備える。監視モジュール131は、バッテリ130の状態(たとえば、電圧、電流、及び温度)を検出する各種センサを含み、検出結果をECU150へ出力する。監視モジュール131は、上記センサ機能に加えて、SOC(State Of Charge)推定機能、SOH(State of Health)推定機能、セル電圧の均等化機能、診断機能、及び通信機能をさらに有するBMS(Battery Management System)であってもよい。ECU150は、監視モジュール131の出力に基づいてバッテリ130の状態(たとえば、温度、電流、電圧、SOC、及び内部抵抗)を取得することができる。
【0044】
車両100は、たとえば図2に示すEVSE(Electric Vehicle Supply Equipment)200と電気的に接続可能に構成される。EVSE200は、車両外部の給電設備に相当する。EVSE200は、電力系統PGと電気的に接続されており、電力系統PGから電力の供給を受けて、給電を行なうように構成される。EVSE200の本体には、充電ケーブル210が接続されている。充電ケーブル210は、常にEVSE200の本体に接続されていてもよいし、EVSE200の本体に対して着脱可能であってもよい。充電ケーブル210は、先端にコネクタ210aを有し、内部に通信線及び電力線を含む。1つの電線が通信線及び電力線の両方を兼ねてもよい。EVSE200は、家庭用のEVSEであってもよいし、公共のEVSEであってもよい。
【0045】
車両100は、インレット110及び充放電器120を備える。EVSE200の本体につながる充電ケーブル210のコネクタ210aが車両100のインレット110に接続されることで、車両100はEVSE200を介して電力系統PGと電気的に接続された状態(以下、「プラグイン状態」とも称する)になる。一方、車両100の走行中においては、車両100がEVSE200及び電力系統PGの各々と電気的に接続されていない状態(以下、「プラグアウト状態」とも称する)になる。なお、図2には、EVSE200の給電方式に対応するインレット110及び充放電器120のみを示しているが、車両100は、複数種の給電方式(たとえば、AC方式及びDC方式)に対応できるように複数のインレットを備えてもよい。
【0046】
充放電器120は、インレット110とバッテリ130との間に位置する。充放電器120は、充放電リレーと電力変換回路と(いずれも図示せず)を含んで構成される。充放電リレーは、インレット110からバッテリ130までの電力経路の接続/遮断を切り替える。電力変換回路は、たとえば双方向インバータを含む。充放電器120に含まれる充放電リレー及び電力変換回路の各々は、ECU150によって制御される。車両100は、充放電器120の状態を監視する監視モジュール121をさらに備える。監視モジュール121は、充放電器120の状態を検出する各種センサ(たとえば、電流センサ及び電圧センサ)を含み、検出結果をECU150へ出力する。
【0047】
プラグイン状態の車両100では、外部充電(すなわち、車両外部からの電力によるバッテリ130の充電)と外部給電(すなわち、バッテリ130の電力による車両外部への給電)とが可能になる。車両100は、外部充電及び外部給電によって電力系統PGの電力調整を行なうことができる。外部充電のための電力は、たとえばEVSE200から充電ケーブル210を通じてインレット110に供給される。充放電器120は、インレット110が受電した電力(たとえば、交流電力)をバッテリ130の充電に適した電力(たとえば、直流電力)に変換し、変換された電力をバッテリ130へ出力するように構成される。外部給電のための電力は、バッテリ130から充放電器120に供給される。充放電器120は、バッテリ130から供給される直流電力を外部給電に適した電力(たとえば、交流電力)に変換し、変換された電力をインレット110へ出力するように構成される。外部充電及び外部給電のいずれかが実行されるときには充放電器120の充放電リレーが閉状態(接続状態)にされ、外部充電及び外部給電のいずれも実行されないときには充放電器120の充放電リレーが開状態(遮断状態)にされる。
【0048】
ECU150は、プロセッサ151、RAM(Random Access Memory)152、記憶装置153、及びタイマ154を含んで構成される。ECU150はコンピュータであってもよい。プロセッサ151はCPU(Central Processing Unit)であってもよい。RAM152は、プロセッサ151によって処理されるデータを一時的に記憶する作業用メモリとして機能する。記憶装置153は、格納された情報を保存可能に構成される。記憶装置153には、プログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、及び各種パラメータ)が記憶されている。この実施の形態では、記憶装置153に記憶されているプログラムをプロセッサ151が実行することで、ECU150における各種制御が実行される。タイマ154は、設定時刻の到来をプロセッサ151に知らせるように構成される。また、ECU150は、ECU150に内蔵されるリアルタイムクロック(RTC)回路(図示せず)を利用して現在時刻を取得できる。
【0049】
車両100は、走行駆動部140と、HMI(Human Machine Interface)160と、位置センサ170と、通信機器180と、駆動輪Wとをさらに備える。HMI160は入力装置及び表示装置を含む。HMI160は、タッチパネルディスプレイを含んでもよい。HMI160は、音声入力を受け付けるスマートスピーカを含んでもよい。位置センサ170は、車両100の位置を検出して、検出結果をECU150へ出力するように構成される。位置センサ170は、GPS(Global Positioning System)を利用したセンサであってもよい。なお、車両100の駆動方式は、図2に示される前輪駆動に限られず、後輪駆動又は4輪駆動であってもよい。
【0050】
走行駆動部140は、図示しないPCU(Power Control Unit)とMG(Motor Generator)とを含み、バッテリ130に蓄えられた電力を用いて車両100を走行させるように構成される。PCUは、たとえば、インバータと、コンバータと、リレー(以下、「SMR(System Main Relay)」と称する)とを含んで構成される。PCUは、ECU150によって制御される。MGは、たとえば三相交流モータジェネレータである。MGは、PCUによって駆動され、駆動輪Wを回転させるように構成される。PCUは、バッテリ130から供給される電力を用いてMGを駆動する。また、MGは、回生発電を行ない、発電した電力をバッテリ130に供給するように構成される。走行のためのモータ(MG)の数は任意であり、1つでも2つでも3つ以上でもよい。走行のためのモータはインホイールモータであってもよい。SMRは、バッテリ130からPCUまでの電力経路の接続/遮断を切り替えるように構成される。SMRは、車両100の走行時に閉状態(接続状態)にされる。
【0051】
通信機器180は、各種通信I/F(インターフェース)を含んで構成される。ECU150は、通信機器180を通じて車両100の外部の装置と通信を行なうように構成される。通信機器180は、移動体通信網(テレマティクス)にアクセス可能な無線通信機(たとえば、DCM(Data Communication Module))を含む。無線通信機は、5G(第5世代移動通信システム)対応の通信I/Fを含んでもよい。車両100は、プラグイン状態とプラグアウト状態との両方において、サーバ300と無線通信を行なってもよい。この実施の形態では、車両100がEVSEを経由せずに移動体通信網を通じてサーバ300と無線通信する。車両100は、サーバ300からの指令又は通知を上記無線通信機で受信する。また、車両100は、プラグイン状態においてサーバ600及び700と有線通信(EVSEを介した通信)を行なってもよい。
【0052】
モバイル端末UTは、車両100のユーザによって携帯される端末である。この実施の形態では、モバイル端末UTとして、タッチパネルディスプレイを具備するスマートフォンを採用する。ただしこれに限られず、モバイル端末UTとしては、任意のモバイル端末を採用可能であり、ラップトップ、タブレット端末、ウェアラブルデバイス(たとえば、スマートウォッチ又はスマートグラス)、又は電子キーなども採用可能である。
【0053】
モバイル端末UTは、予めサーバ300に登録され、サーバ300と無線通信可能に構成される。モバイル端末UTには所定のアプリケーションソフトウェア(以下、単に「アプリ」と称する)がインストールされている。サーバ300は、モバイル端末との通信を開始する前に所定の認証を行ない、認証に成功したモバイル端末のみと通信を行なうように構成される。これにより、サーバ300に登録されていないモバイル端末が不正な通信を行なうことを抑制できる。車両100のユーザは、所定の認証情報(上記認証に成功するための情報)をモバイル端末UTに入力することで、サーバ300との通信を開始できる。また、上記アプリに所定の認証情報を登録しておくことで、上記認証情報の入力を省略できる。モバイル端末UTは、上記アプリを通じてサーバ300と情報のやり取りを行なうことができる。
【0054】
この実施の形態では、モバイル端末UTが位置センサを備える。位置センサは、GPSを利用したセンサであってもよい。モバイル端末UTは、ユーザの位置を示す情報(以下、「ユーザ位置情報」とも称する)を、定期的に又はサーバ300からの要求に応じて、サーバ300へ送信する。
【0055】
モバイル端末UTは、上記ユーザ位置情報を用いて、車両100の走行計画を予測する。走行計画の例としては、乗車時刻(又は、発車時刻)、帰宅時刻、目的地(又は、目的地までの走行ルート)が挙げられる。たとえば、モバイル端末UTは、車両100を降りたユーザの位置の推移に基づいて、ユーザが車両100に乗車する時刻(以下、「乗車時刻」とも称する)を予測してもよい。モバイル端末UTは、車両100の電子キーとして機能してもよい。ユーザが、車両100を降りた後、モバイル端末UTを用いて車両100のドアをロックすると、降車時のモバイル端末UTの位置が、車両100の駐車位置としてモバイル端末UTに登録されるとともに、モバイル端末UTによるユーザの位置の追跡(位置センサによる位置検出、及びユーザ位置の記録)が開始されてもよい。モバイル端末UTは、履歴データ(たとえば、気象情報、渋滞情報、及び曜日によって区別して管理される過去の位置データ)からユーザの行動パターンを学習してもよい。
【0056】
モバイル端末UTは、上記走行計画をサーバ300へ送信する。さらに、ユーザがモバイル端末UTに設定した走行計画がモバイル端末UTからサーバ300へ送信されてもよい。モバイル端末UTにインストールされたスケジューラアプリ又は目覚ましアプリに設定された予定が自動的にサーバ300へ送信されてもよい。また、ユーザが車両100のナビゲーションシステム(図示せず)に設定した走行計画がサーバ300へ送信されてもよい。
【0057】
ECU150を含む車両システム(車両100を制御するシステム)のオン(作動)/オフ(停止)は、ユーザが図示しない起動スイッチを操作することによって切り替わる。車両100の起動スイッチは、車両システムを起動させるためのスイッチであり、起動スイッチがオン操作されることによって車両システム(ECU150を含む)が起動する。また、車両システムが作動しているときに、起動スイッチがオフ操作されると、車両システムは停止状態になる。ただし、走行中の車両100においては、起動スイッチのオフ操作が禁止される。一般に、起動スイッチは「パワースイッチ」又は「イグニッションスイッチ」などと称される。
【0058】
上述した車両100の構成は一例にすぎない。上記の例では、電力系統PGからEVSE200を経て車両100に交流電力が供給され、充放電器120によって交流電力が直流電力に変換され、直流電力がバッテリ130に入力される。しかし、充放電器120の機能は、車両ではなくEVSEに搭載されてもよい。充電ケーブルのコネクタに充放電器が内蔵されてもよい。電力系統から供給される交流電力をEVSEが直流電力に変換して、EVSEから車両へ直流電力が出力されてもよい。
【0059】
再び図1を参照して、サーバ600は、アグリゲータに帰属するコンピュータ(以下、「アグリゲータサーバ」と表記する場合がある)に相当する。アグリゲータは、複数の分散型エネルギーリソース(以下、「DER(Distributed Energy Resources)」とも称する)を束ねてエネルギーマネジメントサービスを提供する電気事業者である。車群VGに含まれる各車両は、DERとして機能し得る。サーバ600は、複数のDER(車群VGを含む)を遠隔・統合制御することによって、これらのDERをVPP(仮想発電所)として機能させてもよい。VPPは、IoT(モノのインターネット)を利用した高度なエネルギーマネジメント技術により多数のDERを束ね、これらDERを遠隔・統合制御することによってあたかも1つの発電所のように機能させる仕組みである。サーバ600は、各DERに対してDR(デマンドレスポンス)を実施してもよい。
【0060】
サーバ600は、リモート制御により、電力系統PGの電力調整のための充電又は放電をDER(たとえば、図2に示したバッテリ130)に行なわせることができる。たとえば、後述するインバランスが発生したときに、サーバ600は、そのインバランスを解消するようにDER(たとえば、図2に示した充放電器120)を制御する。この実施の形態では、車群VGに含まれる各車両(対象車両)が、サーバ300及び600だけでなくサーバ700とも通信可能に構成される。対象車両は、サーバ600ではなくサーバ700によってリモート制御されることもある。
【0061】
図3は、サーバ300及び600の詳細構成を示す図である。図3を参照して、サーバ300、600はそれぞれ、プロセッサ310、610と、記憶装置320、620と、通信装置330、630と、HMI340、640とを備える。1つのサーバに搭載されるプロセッサ(たとえば、CPU)の数は任意であり、1つでも複数でもよい。記憶装置320及び620の各々は、各種情報を保存可能に構成される。記憶装置320、620には、それぞれプロセッサ310、610に実行されるプログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、及び各種パラメータ)が記憶されている。通信装置330及び630の各々は、各種通信I/F(インターフェース)を含む。HMI340及び640の各々は入力装置及び表示装置を含む。HMI340及び640の各々は、タッチパネルディスプレイを含んでもよい。
【0062】
サーバ300は、車群VGに含まれる各車両に関する情報(以下、「車両情報」とも称する)を管理するように構成される。車両情報は、サーバ300の記憶装置320に記憶される。具体的には、車両を識別するための識別情報(車両ID)が車両ごとに付与されており、サーバ300は車両情報を車両IDで区別して管理している。車両IDは、車両ごとに固有の番号(たとえば、VIN(Vehicle Identification Number))であってもよいし、車両の通信アドレスであってもよい。車両情報には、たとえば、車両の位置と、車両が備える蓄電装置のSOCと、車両の走行計画と、系統接続状態(プラグイン状態/プラグアウト状態)と、車両システムの状態(オン/オフ)とが含まれる。また、車両の仕様(たとえば、充放電に関するスペック)が予めサーバ300に登録されてもよい。
【0063】
この実施の形態では、車群VGに含まれる各車両が対象車両に相当する。対象車両においてプラグイン状態とプラグアウト状態とが切り替わったタイミングで、対象車両からサーバ300へ最新の系統接続状態が送信される。また、対象車両において車両システムのオン/オフが切り替わったタイミングで、対象車両からサーバ300へ最新の車両システムの状態が送信される。また、対象車両の走行計画が変更されたタイミングで、対象車両のユーザが携帯するモバイル端末から(又は、対象車両から)サーバ300へ最新の走行計画が送信される。
【0064】
また、サーバ300は、各対象車両と周期的に通信を行なうように構成される。具体的には、サーバ300は、以下に説明する図4に示す処理を繰り返し実行する。こうした周期的な通信によっても、対象車両からサーバ300へ車両情報が送信される。
【0065】
図4は、サーバ300によって実行される対象車両との通信に係る処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、対象車両ごとに実行される。サーバ300は、各対象車両について図4に示す処理を繰り返し実行する。この実施の形態では、記憶装置320に記憶されているプログラムをプロセッサ310が実行することで、図4に示す一連の処理が実行される。記憶装置320には、通信頻度アップフラグ(図4に示す処理で使用されるパラメータ)も記憶されている。以下では、フローチャート中の各ステップを、単に「S」と表記する。
【0066】
図1図3とともに図4を参照して、S11では、通信頻度アップ期間内か否かを、サーバ300が判断する。具体的には、サーバ300は、後述する通信頻度アップフラグの値(図7図9参照)に基づいて、通信頻度アップ期間内か否かを判断する。この実施の形態では、後述する期間T10、T20、及びT30が、通信頻度アップ期間に相当する(図5参照)。通信頻度アップフラグがONであることは、通信頻度アップ期間内であることを意味する。通信頻度アップフラグがOFFであることは、通信頻度アップ期間外であることを意味する。
【0067】
通信頻度アップ期間外である場合(S11にてNO)には、サーバ300は、S12において、前回通信から所定の時間T1が経過したか否かを判断する。時間T1は、通信頻度アップ期間外(他の期間)における通信周期(通信の間隔)に相当する。この実施の形態では、時間T1を1時間とする。これにより、通信頻度アップ期間外においては、サーバ300と対象車両との通信が約1回/時の頻度で行なわれるようになる。ただしこれに限られず、時間T1は1時間よりも長くてもよい。
【0068】
通信頻度アップ期間内である場合(S11にてYES)には、サーバ300は、S13において、前回通信から所定の時間T2が経過したか否かを判断する。時間T2は、通信頻度アップ期間内(後述する期間T10、T20、T30のいずれかの期間内)における通信周期(通信の間隔)に相当する。時間T2は、時間T1よりも短い時間に設定される。この実施の形態では、時間T2を30分とする。これにより、通信頻度アップ期間内においては、サーバ300と対象車両との通信が約2回/時の頻度で行なわれるようになる。ただしこれに限られず、時間T2は30分よりも短い時間(たとえば、10分、15分、又は20分)であってもよい。
【0069】
なお、通信周期が切り替わるときには、サーバ300は通信周期を徐々に変化させてもよい。たとえば、通信周期が時間T1から時間T2に切り替わるときには、プロセッサ310の処理負荷が過剰に大きくならないように、サーバ300が通信周期を時間T1から時間T2に徐々に変化させてもよい。通信周期が急激に変化しないように、通信装置330において通信周期が調整されてもよい。
【0070】
S12において前回通信からまだ時間T1が経過していないと判断された場合には(S12にてNO)、処理はS11に戻る。また、S13において前回通信からまだ時間T2が経過していないと判断された場合にも(S13にてNO)、処理はS11に戻る。S12及びS13のいずれかにおいてNOと判断されることは、対象車両との通信タイミングではないことを意味する。他方、S12及びS13のいずれかにおいてYESと判断されることは、対象車両との通信タイミングになったことを意味する。
【0071】
S12においてYESと判断されると、サーバ300は、S14において、対象車両と通信を行ない、対象車両から車両情報を取得する。そして、サーバ300は、取得した車両情報を記憶装置320に保存する。S14において対象車両からサーバ300へ送信される車両情報には、対象車両の位置と、対象車両が備える蓄電装置のSOCとが含まれる。たとえば、図2に示した車両100において、位置センサ170が検出した最新の位置(たとえば、経度及び緯度)と、監視モジュール131が検出した最新のSOCとが、サーバ300へ送信される。SOCは、蓄電装置の蓄電残量を示し、たとえば満充電容量(満充電状態の蓄電量)に対する現在の蓄電量の割合を0~100%で表わしたものである。サーバ300は、S14において、モバイル端末UT(図2)からも、上記対象車両に関する車両情報(たとえば、走行計画)を取得して、対象車両から取得した車両情報とともに記憶装置320に保存してもよい。サーバ300は、記憶装置320において、取得した時刻が分かるように取得時刻ごとにデータを区別して管理してもよい。S14の処理が実行されると、処理は最初のステップ(S11)に戻る。サーバ300は、サーバ600からの要求に応じて、自らが保有するデータをサーバ600へ送信する。
【0072】
S13においてYESと判断されると、サーバ300は、S15において、上記S14と同様に、対象車両と通信を行ない、対象車両から車両情報を取得する。そして、サーバ300は、取得した車両情報を記憶装置320に保存する。また、サーバ300は、モバイル端末UTからも、上記対象車両に関する車両情報(たとえば、走行計画及びユーザ位置情報)を取得して、対象車両から取得した車両情報とともに記憶装置320に保存する。続けて、サーバ300は、S16において、自らが保有する最新のデータをサーバ600へ送信する。S16においてサーバ300からサーバ600へ送信される車両情報には、対象車両の位置と、対象車両が備える蓄電装置のSOCと、走行計画と、車両システムの状態と、系統接続状態と、ユーザ位置情報とが含まれる。このように、通信頻度アップ期間内においては、サーバ300が、サーバ600からの要求を待たずに、最新の車両情報をサーバ600へ送信する。S16の処理が実行されると、処理は最初のステップ(S11)に戻る。
【0073】
サーバ300は、上記S14及びS15の各々において、たとえば要求信号(ポーリング信号)を対象車両へ送信する。そして、対象車両は、その要求信号に応答してサーバ300へ車両情報を送信する。通信頻度アップ時には(S11にてYES)、通常時(S11にてNO)よりも上記要求信号の発信間隔を短くする。ただしこれに限られず、対象車両から所定間隔でサーバ300へ車両情報が送信されるようにしてもよい。そして、通信頻度アップ時(S11にてYES)にサーバ300が対象車両へ通信頻度アップ要求を送信してもよい。対象車両は、サーバ300から通信頻度アップ要求を受けたときに上記所定間隔を短くしてもよい。
【0074】
図5は、この実施の形態に係る車両管理方法における通信頻度の制御について説明するための図である。
【0075】
図1図3とともに図5を参照して、車両管理装置1000(より特定的には、サーバ300)は、車群VGに含まれる各車両と周期的に通信を行なうように構成される(図4参照)。そして、車両管理装置1000は、図5に示す期間T10、T20、及びT30において、他の期間(期間T10、T20、及びT30を除いた期間)の平均通信頻度よりも高い頻度で対象車両と通信を行なうように構成される。具体的には、期間T10、T20、及びT30は、通信頻度アップ期間に相当する。通信頻度アップ期間内に入ると、サーバ600がサーバ300に対して通信頻度アップフラグをONにすることを要求する。これにより、サーバ300と対象車両との通信頻度が通常の通信頻度よりも高くなる(図4参照)。通信頻度アップ期間外に出ると、サーバ600がサーバ300に対して通信頻度アップフラグをOFFにすることを要求する。これにより、サーバ300と対象車両との通信頻度が通常の通信頻度に戻る(図4参照)。上記のような制御により、期間T10、T20、及びT30の各々において通信頻度のピーク(極大頻度)が形成される。期間T10、T20、T30は、それぞれ本開示に係る「第1期間」、「第2期間」、「第3期間」の一例に相当する。
【0076】
図5に示すタイミングt(以下、「t」と表記する)は、約定タイミングに相当する。t前に、後述する電力市場(図6参照)に対して入札が行なわれ、落札すると、約定に至る。期間T10はt直前の期間に相当する。期間T10は、たとえば約定3時間前から約定タイミングまでの期間の少なくとも一部に設定される。この実施の形態では、入札1時間前から入札タイミングまでの期間を、期間T10とする。入札から落札(約定)までの時間は、たとえば約1時間である。
【0077】
図5に示すタイミングt(以下、「t」と表記する)は、需給計画値提出期限(たとえば、後述のGC)に相当する。期間T20はt直前の期間に相当する。期間T20は、たとえばtの3時間前からtまでの期間の少なくとも一部に設定される。この実施の形態では、tの1時間30分前からtの30分前までの期間を、期間T20とする。
【0078】
図5に示すタイミングt(以下、「t」と表記する)からタイミングt(以下、「t」と表記する)までの期間は、調整期間(調整力の提供が要求される期間)に相当する。期間T30は、たとえば調整期間(t~t)の前後の少なくとも一方に余裕期間(30分以内の期間)を加えた期間内に設定される。この実施の形態では、tの30分前からtまでの期間を、期間T30とする。この実施の形態では、上記入札によって落札された調整力の調整期間の前に30分の余裕期間を加えた期間が、期間T30となる。
【0079】
この実施の形態では、期間T10、T20、及びT30の各々において、サーバ300と対象車両との平均通信頻度(以下、単に「平均通信頻度」と記載する)が上昇する。期間T10、T20、及びT30の各々の平均通信頻度は約2回/時であり、他の期間(期間T10、T20、及びT30のいずれでもない期間)の平均通信頻度が約1回/時である。第1中間期間(期間T10終了から期間T20開始までの期間)と第2中間期間(期間T20終了から期間T30開始までの期間)との各々の平均通信頻度も約1回/時である。この実施の形態では、約1回/時が通常の平均通信頻度に相当する。サーバ300は、期間T10、T20、及びT30の各々における平均通信頻度を、通常の平均通信頻度の2倍にする。
【0080】
再び図3を参照して、この実施の形態では、サーバ600が、以下に説明する車両管理部611、選定部612、需給管理部613、取引部614、及び調整力算出部615を含む。これら各部は、たとえば、プロセッサ610と、プロセッサ610により実行されるプログラムとによって具現化される。ただしこれに限られず、上記各部は、専用のハードウェア(電子回路)によって具現化されてもよい。
【0081】
車両管理部611は、必要に応じて、サーバ300が管理するデータを取得するように構成される。また、車両管理部611は、サーバ300から取得したデータに基づいて、車両の今後の行動を予測するように構成される。また、車両管理部611は、所定のタイミングで、サーバ300に対して通信頻度アップフラグの値の変更を要求するように構成される(たとえば、後述する図7図9参照)。
【0082】
車両管理部611は、選定部612によって選定された車両を、リモート制御により電力系統PGの調整力として動作させるように構成される。ただし、選定された車両がサーバ700によって制御される場合には、車両管理部611は、選定部612によって選定された車両をサーバ700に通知する。車両管理部611は、サーバ700からの指令に従って車両を制御してもよい。
【0083】
需給管理部613は、サーバ700から電力系統PGの需給情報を取得するように構成される。また、需給管理部613は、電力系統PGの実需給を監視する。電力系統PGの実需給は、DERごとに設けられた電力量計で測定されてもよいし、託送計量器で測定されてもよい。DERごとの電力量計は、スマートメータを含んでもよいし、EVSEに内蔵された電力量計を含んでもよい。需給管理部613は、電力系統PGの同時同量に関してインバランスが生じると、インバランスを解消するための調整力要求を発生させる。
【0084】
取引部614は、電力市場で取引きを行なうように構成される。取引部614は、電力市場で入札を実行し、入札結果を需給管理部613に連絡する。取引部614が電力市場で調整力を落札した場合には、取引部614が調整力要求を発生させる。
【0085】
調整力算出部615は、上記調整力要求に対する目標調整力を算出するように構成される。この実施の形態では、調整力算出部615が、調整力要求の調整期間において要求される調整力(kW)に所定の余裕分(kW)を足した値を、目標調整力として決定する。
【0086】
選定部612は、上記調整力要求に対して、車群VGからの車両選定を実行するように構成される。車両選定は、車群VGに含まれる複数の車両の中から、調整力として動作させる車両を選ぶ処理である。選定部612は、選定した車両を、車両管理部611に連絡する。
【0087】
図6は、この実施の形態に係る電力市場の概要を示す図である。以下、図6を用いて、この実施の形態に係る電力市場について説明する。ただし、以下に説明する電力市場は一例にすぎない。
【0088】
電力系統PGを使用するBG(バランシンググループ)は、同時同量を達成する責任を負う。BGは、BRP(Balance Responsible Party)に相当する。BGの例としては、小売電気事業者、発電事業者、アグリゲータが挙げられる。この実施の形態では、計画値同時同量制度が採用される。BGは、事前に所定の機関にコマごとの計画値を提出する。コマは、単位時間ごとに1日が分割されたフレームである。この実施の形態では、コマの長さ(単位時間)を30分とする。所定の機関は、電力広域的運営推進機関(OCCTO)であってもよい。同時同量のインバランス(計画値との不一致分)は、コマごとに評価される。インバランスを発生させたBGは、インバランス料金(ペナルティ)を支払う義務を負う。また、インバランスを頻発させるBGは、ライセンスを剥奪され得る。
【0089】
この実施の形態に係る電力市場は、スポット市場(前日市場)と時間前市場(当日市場)と需給調整市場と容量市場とを含む。スポット市場及び時間前市場は、JEPX(日本卸電力取引所)のような卸電力取引所によって開設及び運営される。各市場では、電力を商品とした取引きが行なわれる。各商品は、たとえば入札方式によって売買される。各市場では、コマ単位の商品が取引きされる。卸電力取引所では、1日を30分単位に区切った48コマについて取引きが行なわれる。図6中の「GC」(ゲートクローズ)は、コマごとの市場閉場時刻を示している。また、GCは、計画値同時同量制度における計画値の変更期限(需給計画値提出期限)に相当する。この実施の形態では、コマ開始時刻の1時間前がGCである。GC前においては、BGが市場を利用して、当該コマ(GCに対応するコマ)における計画値と実需給とのずれを調整できる。BGは、インバランスを解消するための調整力をDR(デマンドレスポンス)によって調達してもよい。
【0090】
需給調整市場は、電力系統PGの運用者(以下、「TSO(Transmission System Operator)」と表記する)が調整力を調達するための市場である。TSOは、一般送配電事業者であってもよい。調整力は、電力系統PGにフレキシビリティ(電力変動に応じて電力の生産又は消費を変更できる能力)を付与する。GC後においては、TSOが、需給調整市場を通じて調達した調整力を利用して需要及び供給を調整する。TSOは、市場で調達した調整力(リソース)を、GF(Governor Free)、LFC(Load Frequency Control)、又はEDC(Economic load Dispatch Control)によって制御する。これにより、電力系統PGの同時同量が達成される。
【0091】
需給調整市場で取引きされる調整力は、平常時の調整力と事故時の調整力とに大別される。そして、平常時の調整力は、予測誤差のための調整力と、時間内変動のための調整力とに、さらに分類される。予測誤差は、需要予測誤差と、再エネ予測誤差とを含む。予測誤差は、コマごとの計画値と実績値との平均誤差(30分平均誤差)である。時間内変動は、コマ内(30分未満)の変動である。
【0092】
BGは、需要を予測して、GC前に需要計画を提出する。しかし、GC後に予測誤差(電力需要の予測値と実績値との差)が生じ得る。需要予測誤差のための調整力は、GC後に生じる予測誤差を解消するための調整力である。また、再エネ予測誤差のための調整力は、GC時点で想定される再エネ予測誤差(再エネ出力の予測値と実績値との差)を解消するための調整力である。TSOは、主にLFC及びEDCを用いて、予測誤差のための調整力を制御する。
【0093】
電力需要及び再エネ出力の各々は、時々刻々と変化する。仮に予測値と実績値とが30分平均値で一致していたとしても、30分よりも短い時間では細かな変動が生じている。時間内変動のための調整力は、時間内変動(30分未満の変動)に対して需要と供給を一致させるように応動する調整力である。時間内変動のための調整力の制御に関して、TSOは、1分未満の変動にはGFで対応し、1分以上の変動にはLFC又はEDCで対応する。
【0094】
事故時の調整力は、予測不能なトラブル(たとえば、電源脱落)で生じた需要と供給との差を解消するための調整力である。TSOは、電源脱落に備えて、バックアップ電源を市場で調達する。バックアップ電源(事故時の調整力)の制御に関して、TSOは、脱落直後はGFで対応し、その後はLFC、EDCに順次切り替える。
【0095】
需要変動は、極短周期成分(サイクリック分)と、短周期成分(フリンジ分)と、長周期成分(サステンド分)とに細分化できる。
【0096】
需給調整市場では、サイクリック分のための調整力(一次調整力)と、フリンジ分のための調整力(二次調整力-1)とが取引きされる。一次調整力は、「FCR」(Frequency Containment Reserve:周波数制御予備力)に相当する。FCRに関して、応動時間は10秒以内、継続時間は5分である。二次調整力-1は、「S-FRR」(Synchronized Frequency Restoration Reserve:同期周波数回復予備力)に相当する。S-FRRに関して、応動時間は5分以内、継続時間は30分(1コマ)である。
【0097】
需給調整市場では、サステンド分のうち直前のコマとの差分に相当する部分のための調整力(二次調整力-2)と、サステンド分のうち直前のコマから継続する部分のための調整力(三次調整力-1)とが、さらに取引きされる。二次調整力-2は、「FRR」(Frequency Restoration Reserve:周波数回復予備力)に相当する。FRRに関して、応動時間は5分以内、継続時間は30分(1コマ)である。三次調整力-1は、「RR」(Replacement Reserve:代替予備力)に相当する。RRに関して、応動時間は15分以内、継続時間は3時間(6コマ)である。
【0098】
さらに、需給調整市場では、FIT(Feed-in Tariff)特例制度のための調整力(三次調整力-2)も取引きされる。FIT特例制度では、TSOが発電計画に対するインバランスの責任を負う。TSOは、コマの前々日に再エネ出力を予測して発電計画値を決定する。そして、TSOは、コマの前日に、再エネ予測誤差(前々日からの予測誤差)を解消するための三次調整力-2を調達する。三次調整力-2は、「RR-FIT」(Replacement Reserve for Feed-in Tariff)に相当する。RR-FITに関して、応動時間は45分以内、継続時間は3時間(6コマ)である。
【0099】
容量市場では、電源I’が取引きされる。電源I’は、主に10年に1回程度の厳気象(猛暑、厳寒など)に対応するための調整力(予備力)である。電源I’は、TSOの専用電源として、所定の期間において常時確保される。電源I’に関して、応動時間は3時間以内、継続時間は2~4時間(4~8コマ)である。
【0100】
需給調整市場で調整力を落札した者(落札者)は、基準値(kW)に対して落札量(ΔkW約定量)の範囲で電力を調整する。落札者は、GC(落札されたコマの開始時刻1時間前)までに基準値を需給調整市場システムに登録する。需給調整市場において、基準値は需給計画値に相当し、GCは需給計画値提出期限に相当する。落札量は、プラス(上げ調整力)であってもよいし、マイナス(下げ調整力)であってもよい。落札者は、落札した1つ以上のコマ(提供期間)において、TSOからの指令に従い電力調整を行なう。提供期間において出力指令値が変更された場合、落札者は、商品要件の応動時間内に出力をその値に変化させる。提供期間において出力指令値が同じ値で継続する場合、落札者は、少なくとも商品要件の継続時間はその指令に従って出力を継続する。
【0101】
落札者は、電力調整に使用するリソース(たとえば、リストパターン)をTSOに通知する。TSOのサーバ700は、たとえば中央給電指令所のシステム(中給システム)又は簡易指令システムによって、落札者のリソースに対する指令を送信する。リソースは、専用線オンラインで中給システムと接続されてもよい。たとえば、サーバ700が上記指令によって車群VGを制御する場合には、サーバ700は、サーバ600(アグリゲータ)を介して車両を制御してもよいし、直接的に車両を制御してもよい。落札者は、落札した全てのコマの終了後に、当該コマにおけるリソースの実績データをTSOへ送信する。TSOは、提供期間(落札された調整力の調整期間)において、ΔkW約定量の供出が可能な状態を落札者が維持していること(ΔkWの供出可否)と、ΔkW約定量の範囲内で指令に従って落札者が調整していること(応動実績)とを、コマ(30分)ごとに確認する。ΔkWの供出可否の評価(アセスメントI)と応動実績の評価(アセスメントII)との少なくとも一方において、取引対象のΔkWに定める要件の不適合が判明した場合には、落札者に所定のペナルティ料金が科される。
【0102】
アグリゲータは、サーバ600を用いて電子商取引を行なう。サーバ600は、電力市場で調整力の取引きを行なう。市場取引の会計はサーバ600で管理される。サーバ600は、電力市場で調整力を落札した場合には、落札された調整力に対応する調整力要求を発生させる。そして、サーバ600は、その調整力要求に対して、車群VGの中から、調整力として動作させる車両(リソース)を選ぶ。以下では、サーバ600が需給調整市場で入札を行なう例について説明する。
【0103】
図7は、サーバ600によって実行される市場取引に係る処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、所定の条件が成立すると、実行される。所定の条件は、所定の時刻に成立してもよいし、定期的に成立してもよい。サーバ600がユーザから入札指示を受けたときに、所定の条件が成立してもよい。サーバ600は、市場価格と、気象情報(気象予測情報を含む)と、車群VGの需要履歴との少なくとも1つに基づいて、入札に適したタイミングを決定し、入札に適したタイミングに図7に示す処理を実行してもよい。
【0104】
図1図3とともに図7を参照して、S21では、車両管理部611が、サーバ300と対象車両との通信頻度を上昇させる。具体的には、車両管理部611は、サーバ300に対して通信頻度アップフラグをONにすることを要求する。サーバ300は、サーバ600からの要求に応じて通信頻度アップフラグをONにする。これにより、サーバ300と対象車両との通信頻度が通常の通信頻度よりも高くなる(図4参照)。
【0105】
S22では、車両管理部611が、サーバ300から車両情報を取得し、取得した車両情報を用いて、車群VGに含まれる各車両の今後の行動を予測する。続くS23では、期間T10(入札のための行動予測期間に相当)が経過したか否かを、車両管理部611が判断する。この実施の形態では、S21の処理が実行されてから1時間が経過するまでの期間が、期間T10に相当する。S21の処理が実行されてから1時間が経過するまでは(S23にてNO)、S22及びS23の処理が繰り返し実行される。
【0106】
たとえば、初回処理ルーチンでは、車両管理部611が、S22において、現時点から所定時間前までのデータ(たとえば、サーバ300に蓄積された直近3時間程度のデータ)を、サーバ300から取得する。そして、車両管理部611は、車両の位置及びSOCの推移と、車両ユーザの位置の推移と、車両の走行計画と、車両システムの状態と、系統接続状態とを用いて、その車両の今後の行動を予測する。車両管理部611は、車群VGに含まれる各車両の今後の行動に基づいて、所定の期間(たとえば、各商品に対応するコマ)においてプラグイン状態になっている車両を推定する。また、車両管理部611は、その車両がプラグイン状態になったときのSOCも推定する。
【0107】
2回目以降の処理ルーチンでは、車両管理部611は、S22において、サーバ300から最新のデータ(図4のS16参照)を受信したか否かを確認する。そして、サーバ300から最新のデータを受信した場合には、車両管理部611は、その最新のデータを用いて、車群VGに含まれる各車両の今後の行動を予測する。すなわち、サーバ300は、最新のデータに基づいて前回の予測を修正する。行動予測に最新のデータを用いることで、行動予測の精度が向上する。
【0108】
S21の処理が実行されてから1時間が経過すると(S23にてYES)、処理はS24に進む。S24では、車両管理部611が、サーバ300と対象車両との通信頻度を下げる。具体的には、車両管理部611は、サーバ300に対して通信頻度アップフラグをOFFにすることを要求する。サーバ300は、サーバ600からの要求に応じて通信頻度アップフラグをOFFにする。これにより、サーバ300と対象車両との通信頻度が通常の通信頻度に戻る(図4参照)。
【0109】
続くS25では、取引部614が、上述した行動予測(S22)の結果を用いて、取引対象(入札する商品)を選択する。そして、調整力算出部615が、その取引対象に対する目標調整力を算出する。また、その取引対象が要求する調整力として動作させる車両を、選定部612が選択する。選定部612は、上述した行動予測(S22)の結果を用いて、取引対象が要求する調整力を調整期間において提供するための1台以上の車両を、車群VGから選択する。選定部612は、調整期間の少なくとも一部においてプラグイン状態になっている車両を選択する。選定部612は、調整期間において目標調整力が確保されるように車両を選択する。選定部612は、上述した行動予測(S22)の結果を用いて、車群VGに含まれる各車両が提供可能な調整力を予測する。選定部612は、車両がプラグイン状態になったときのSOCを用いて、調整期間において車両が調整力の提供を継続可能な時間(充電可能時間又は放電可能時間)を推定してもよい。取引対象の調整期間の全部を1つの車両で対応できない場合には、その調整期間が分割されて複数の車両に割り当てられる。
【0110】
続くS26では、取引部614が、上記S25で選択された取引対象に対して入札を行なう。その後、取引部614は、S27において、入札した商品(調整力)が落札されたか否かを判断する。落札されなかった場合には(S27にてNO)、図7に示す一連の処理が終了する。他方、落札された場合には(S27にてYES)、処理がS28に進む。
【0111】
S28では、落札された商品を特定する情報(たとえば、商品ID)とともに、その商品に対して選定部612が選定した車両(リストパターン)を、車両管理部611がサーバ700に通知する。車両管理部611は、選定された車両の通信アドレス、最大充電電力、充電可能時間、最大放電電力、及び放電可能時間の少なくとも1つを、サーバ700に通知してもよい。
【0112】
さらに、車両管理部611は、S28において、選定部612が選定した車両のユーザ端末に、当該車両に割り当てられた期間(調整開始時刻及び調整終了時刻)を通知する。このように、車両管理装置1000は、電力市場で調整力の入札を行ない(S26)、対象車両の中から選ばれた1台以上の車両を、電力市場で約定した調整力として動作させるための通知(S28)を行なうように構成される。ユーザ端末は、車両に搭載された端末であってもよいし、車両ユーザによって携帯されるモバイル端末であってもよい。S28の処理が実行されると、続くS29においてサーバ600が計画値提出処理(図8に示す一連の処理)を開始した後、図7に示す一連の処理は終了する。
【0113】
図8は、電力市場においてアグリゲータが約定したときに、図7のS29においてサーバ600が開始する計画値提出処理を示すフローチャートである。
【0114】
図1図3とともに図8を参照して、S31では、期間T20(計画値取得のための行動予測期間に相当)内か否かを、車両管理部611が判断する。この実施の形態では、約定した商品のGC(需給計画値提出期限)を基準にして期間T20が定まる。具体的には、GCの1時間30分前からGCの30分前までの期間が、期間T20に相当する。期間T20に入るまでは(S31にてNO)、S31の判断が繰り返し実行される。期間T20に入ると(S31にてYES)、処理がS32に進む。
【0115】
S32では、車両管理部611が、たとえば図7のS21と同様に、サーバ300と対象車両との通信頻度を上昇させる。続くS33では、車両管理部611が、サーバ300から車両情報を取得し、取得した車両情報を用いて、車群VGに含まれる各車両の今後の行動を予測する。続くS34では、期間T20が経過したか否かを、車両管理部611が判断する。期間T20が経過するまでは(S34にてNO)、S33及びS34の処理が繰り返し実行される。S33における行動予測は、たとえば図7のS22に準ずる態様で行なわれる。
【0116】
期間T20が経過すると(S34にてYES)、処理がS35に進む。期間T20が経過したことは、GCの30分前になったことを意味する。S35では、車両管理部611が、たとえば図7のS24と同様に、サーバ300と対象車両との通信頻度を下げる。
【0117】
続くS36では、需給管理部613が、上述した行動予測(S33)の結果を用いて、約定した商品に対する需給計画値(前述した基準値)を決定する。その後、需給管理部613は、S37において、決定した需給計画値を所定の機関(たとえば、需給調整市場システム)へ送信する。このように、車両管理装置1000は、通信により対象車両から取得した情報を用いて需給計画値を決定して(S36)、決定された需給計画値を需給計画値提出期限までに送信する(S37)ように構成される。S37の処理が実行されると、続くS38においてサーバ600が代替車両選定処理(図9に示す一連の処理)を開始した後、図8に示す一連の処理は終了する。
【0118】
図9は、図8のS38においてサーバ600が開始する代替車両選定処理を示すフローチャートである。
【0119】
図1図3とともに図9を参照して、S41では、期間T30(代替車両選定のための行動予測期間に相当)内か否かを、車両管理部611が判断する。この実施の形態では、約定した商品の調整期間を基準にして期間T30が定まる。具体的には、調整期間の前に30分(余裕期間)を加えた期間が、期間T30に相当する。期間T30に入るまでは(S41にてNO)、S41の判断が繰り返し実行される。期間T30に入ると(S41にてYES)、処理がS42に進む。
【0120】
S42では、車両管理部611が、たとえば図7のS21と同様に、サーバ300と対象車両との通信頻度を上昇させる。続くS43では、車両管理部611が、サーバ300から車両情報を取得し、取得した車両情報を用いて、車群VGに含まれる各車両の今後の行動を予測する。続くS44では、期間T30が経過したか否かを、車両管理部611が判断する。そして、期間T30内においては(S44にてNO)、処理がS45に進む。
【0121】
S45では、約定した商品について電力調整から離脱した車両が存在するか否かを、車両管理部611が判断する。具体的には、車両管理部611は、S43でサーバ300から取得した車両情報を用いて、約定した商品に対して選定された車両ごとに、調整期間において予定どおりに調整力として動作できるか否かを判断する。そして、調整期間において予定どおりに調整力として動作できない(又は、すでに調整期間において調整力として動作していない)と判断される車両が存在する場合には、車両管理部611は、その車両を、電力調整から離脱した車両として認定する。他方、約定した商品に対して選定された全ての車両が調整期間において予定どおりに調整力として動作できる(又は、全ての車両が現に調整期間において調整力として動作している)と判断される場合には、車両管理部611は、電力調整から離脱した車両は存在しないと判断し(S45にてNO)、処理をS43に戻す。
【0122】
選定された車両のいずれかが電力調整から離脱した場合には(S45にてYES)、選定部612が、S46において代替車両(すなわち、離脱した車両の代わりの車両)を選定する。選定部612は、上記行動予測(S43)の結果を用いて、離脱した車両の代わりに調整力として動作可能な車両を選定する。そして、車両管理部611が、続くS47において、選定された車両をサーバ700に通知する。車両管理部611は、選定された車両の通信アドレス及び充放電に関するスペックを、サーバ700へ送信してもよい。また、車両管理部611は、選定された車両のユーザ端末に、当該車両に割り当てられた期間を通知する。このように、車両管理装置1000は、期間T30において、対象車両の中から選ばれた1台以上の車両の全てが電力系統PGの調整力として動作するか否かを判断し、対象車両の中から選ばれた1台以上の車両のいずれかが電力系統PGの調整力として動作しないと判断される場合には、通信により対象車両から取得した情報を用いて、対象車両の中から代わりの車両を選ぶように構成される。S47の処理後、処理はS43に戻る。
【0123】
期間T30が経過するまでは(S44にてNO)、S43において行動予測が行なわれる。S43における行動予測は、たとえば図7のS22に準ずる態様で行なわれる。そして、期間T30が経過すると(S44にてYES)、処理がS48に進む。期間T30が経過したことは、約定した商品の調整期間が終了したことを意味する。S48では、車両管理部611が、たとえば図7のS24と同様に、サーバ300と対象車両との通信頻度を下げる。S48の処理が実行されると、図9に示す一連の処理は終了する。
【0124】
サーバ700(TSOサーバ)は、需給調整市場で確保した調整力(落札された商品)を利用して、電力系統PGの電力調整を行なう。具体的には、サーバ700は、サーバ600からの通知(図7のS28)に基づいて、その商品に対して選定された車両(リソース)を制御する。図10は、サーバ700によって実行される電力調整に係る処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、落札された商品の調整開始時刻(図5に示したtに相当)が到来すると、開始される。
【0125】
図1図3とともに図10を参照して、S101では、サーバ700が、電力系統PGの需給状況に基づいて、ΔkW約定量の範囲内での電力調整を制御対象に要求する指令を生成し、生成された指令を制御対象へ送信する。具体的には、サーバ700は、電力系統PGの需給状況に応じた充電電力又は放電電力を示す指令を制御対象へ送信する。調整力が不要な状況においては、上記指令が、電力0kWを示す充電停止指令又は放電停止指令になることもある。この指令によって制御される制御対象は、サーバ600から通知された1つ以上の車両(図7のS28)である。制御対象は途中で変わるかもしれない。たとえば、落札された商品の調整期間が複数の車両に分けて割り当てられた場合には調整期間の途中(詳しくは、先の車両に割り当てられた期間の終了タイミング)で制御対象が交替することになる。先の車両に代わって後の車両が充電又は放電を行なうことで、充電又は放電は継続される。また、予定していた車両(制御対象)が離脱した場合には、図9のS47の処理によって通知された車両(代替車両)が、離脱した車両の代わりに制御対象となる。
【0126】
サーバ700は、リモート制御により制御対象を調整力(落札された商品)として動作させる。サーバ700は、上記指令に基づいて、制御対象の電力変換回路(たとえば、図2に示した充放電器120)を制御する。制御対象の充電電力又は放電電力は、需給状況に応じた目標値に追従するように連続的に制御されてもよい。あるいは、上記指令に従うデューティ制御によって制御対象の充電電力又は放電電力が調整されてもよい。制御対象となる車両は、割り当てられた期間において充放電リレーを閉状態(接続状態)に維持する。そして、割り当てられた期間が終了すると、その充放電リレーが開状態(遮断状態)にされる。
【0127】
続くS102では、落札された商品の調整期間が終了したか否かを、サーバ700が判断する。調整期間内においては、S102においてNOと判断され、処理がS101に戻る。そして、S101の処理により、アグリゲータが提供する調整力(選定された1つ以上の車両)によって電力系統PGの電力調整が行なわれる。その後、落札された商品の調整終了時刻が到来すると(S102にてYES)、図10に示す一連の処理は終了する。
【0128】
上記の例では、サーバ700が直接的に各車両を制御する。しかし、こうした例に限られず、サーバ700はサーバ600を介して車両を制御してもよい。サーバ700がサーバ600に指令を送信し、サーバ600が、サーバ700からの指令に従って車両をリモート制御してもよい。
【0129】
アグリゲータは、サーバ600を用いて、電力系統PGの同時同量に関するインバランスを解消するための調整力を確保する。たとえば、需給管理部613が、同時同量の調整期間において、電力系統PGの同時同量に関するインバランス(計画値と実需給との差分)が所定の許容範囲以内であるか否かを逐次判断する。そして、インバランスが許容範囲を超えた場合には、需給管理部613が、インバランスを解消するための調整力要求を発生させる。そして、選定部612が、その調整力要求に対して、車群VGから1台以上の車両を選ぶ。そして、車両管理部611が、選ばれた車両を調整力として動作させる。同時同量の調整期間は30分(1コマ)である。車両管理部611は、たとえば図10に示した処理に準ずる態様で制御対象(選定部612によって選ばれた車両)をリモート制御する。車両管理部611は、電力系統PGの実需給に基づいて、インバランスを解消するための指令(充電指令又は放電指令)を生成し、生成された指令を制御対象へ送信する。調整期間における電力系統PGの実需給は、需給管理部613によって監視される。
【0130】
同時同量の需給計画値提出期限、調整期間に対しても、それぞれ期間T20、T30が設定され、計画値提出処理(図8)、代替車両選定処理(図9)が実行される。インバランス解消のための電力調整に関しては、入札(図7)が行なわれないため、サーバ600は、所定のタイミング(たとえば、前回の調整期間が終了したタイミング)で図8に示す一連の処理を開始する。市場で落札(約定)した商品に対する計画値提出処理(図8)及び代替車両選定処理(図9)と、同時同量に対する計画値提出処理(図8)及び代替車両選定処理(図9)とは、別々に実行される。落札した商品の期間T20,T30と、同時同量の期間T20,T30とは異なってもよい。
【0131】
以上説明したように、この実施の形態に係る車両管理方法は、図4及び図7図10に示した処理を含む。
【0132】
図4に示した処理では、サーバ300が、所定の通信期間(この実施の形態では、常時)において車群VGに含まれる各車両(1台以上の対象車両)と周期的に通信を行なう。
【0133】
図7のS23、図8のS31,S34、及び図9のS41,S44の各々では、通信頻度アップ期間(期間T10、T20、及びT30)内か否かを、サーバ600が判断する。そして、サーバ300は、通信頻度アップ期間(通信頻度アップフラグ=ON)において、期間T10、T20、及びT30を除いた上記通信期間の平均通信頻度よりも高い頻度で、車群VGに含まれる各車両と通信を行なう(図4参照)。
【0134】
サーバ600は、期間T10において、車群VGに含まれる各車両から上記通信(図4)により取得した情報を用いて、車群VGに含まれる各車両が提供可能な調整力を予測する(図7のS22及びS25)。サーバ600は、期間T20において、車群VGに含まれる各車両から上記通信(図4)により取得した情報を用いて需給計画値を求める(図8のS33及びS36)。
【0135】
図10に示した処理では、サーバ700が、期間T30において、車群VGから選ばれた1台以上の車両を電力系統PG(外部電源)の調整力として動作させる。サーバ600は、期間T30において、車群VGから選ばれた1台以上の車両のいずれかが電力系統PG(外部電源)の調整力として動作していない場合に(図9のS45にてYES)、車群VGに含まれる各車両から上記通信(図4)により取得した情報を用いて、車群VGから代わりの車両を選ぶ(図9のS46)。
【0136】
上記実施の形態に係る車両管理方法によれば、外部電源の調整力として動作させる車両を適切に管理することが可能になる。そして、管理される車両によって外部電源の電力調整を適切に行ないやすくなる。
【0137】
上記実施の形態では、期間T10と期間T20と期間T30とで同じ通信周期(時間T2=30分)を採用している。しかしこれに限られず、期間T10と期間T20と期間T30とで通信周期を変えてもよい。たとえば、期間T30の通信頻度を、期間T10及びT20の各々の通信頻度よりも高くしてもよい。
【0138】
図11は、図5に示した通信態様の第1変形例を示す図である。図11を参照して、この変形例では、期間T10の通信周期を時間T21、期間T20の通信周期を時間T22、期間T30の通信周期を時間T23、他の期間の通信周期を時間T1としている。時間T21は時間T1よりも短い。時間T22は時間T21よりも短い。時間T23は時間T22よりも短い。期間T10、T20、T30においては、サーバ300が、図4のS13において、時間T2に代えて時間T21、T22、T23をそれぞれ採用する。期間T10、T20、T30をサーバ300が判別できるように、サーバ600は、図7のS21、図8のS32、図9のS42において、それぞれ「ON」に代えて「1」、「2」、「3」を通信頻度アップフラグの値としてサーバ300へ送信してもよい。
【0139】
第1期間、第2期間、第3期間は、それぞれ上述した期間T10、T20、T30に限られず、適宜変更可能である。図12は、図5に示した通信態様の第2変形例を示す図である。図12を参照して、この変形例では、第1期間、第2期間、第3期間として、それぞれ期間T10A、T20A、T30Aが採用される。期間T20Aは、tの1時間30分前からtまでの期間である。サーバ600は、期間T20Aが経過したか否かを、上記実施の形態と同様、たとえば図8のS31,S34において判断してもよい。期間T30Aは、調整期間(t~t)である。サーバ600は、期間T30Aが経過したか否かを、上記実施の形態と同様、たとえば図9のS41,S44において判断してもよい。
【0140】
期間T10Aは、約定3時間前から約定タイミングまでの期間の少なくとも一部に設定される。すなわち、約定したタイミングで期間T10Aは経過したと判断される。ただし、サーバ600が期間T10Aにおいて入札を行ない、期間T10Aを開始してから約定することなく3時間が経過した場合にも、期間T10Aは経過したとみなされる。図12に示す第2変形例において、サーバ600は、図7に示した処理に代えて図13に示す処理を実行してもよい。
【0141】
図13は、図7に示した処理の変形例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、サーバ600がユーザから入札指示を受けたときに開始されてもよい。図13に示す処理は、S23,S24(図7)に代えてS20,S24Aが採用されたこと以外は、図7に示した処理と同じである。以下、主にS20及びS24Aについて説明する。
【0142】
図1図3とともに図13を参照して、S21、S22、S25、S26、S27の順に処理が実行される。S26で入札した商品(取引対象)が落札(約定)されなかった場合には(S27にてNO)、処理がS20に進む。S20では、サーバ600が入札を中止するか否かを判断する。具体的には、S21の処理が実行されてから3時間が経過した場合には、入札を中止する(S20にてYES)と判断する。S21の処理が実行されてから3時間が経過していない場合には、入札を中止しない(S20にてNO)と判断される。S20においてNOと判断されると、処理がS22に戻り、S26において入札が行なわれる。取引部614は、予め設定された条件で、商品の選択及び入札を行なってもよい。また、取引部614は、AI(人工知能)を用いた機械学習により得た学習済みモデルを用いて、商品の選択及び入札を行なってもよい。
【0143】
S26で入札した商品(取引対象)が落札(約定)されると(S27にてYES)、S28、S29、S24Aの順に処理が実行された後、図13に示す一連の処理は終了する。また、S20においてYESと判断された場合には、S24Aの処理が実行された後、図13に示す一連の処理は終了する。S24Aでは、サーバ600が、たとえば図7のS24と同様に、サーバ300と対象車両との通信頻度を下げる。
【0144】
サーバ600は、上記図13に示した処理により、図12に示した期間T10Aが経過したか否かを判断してもよい。上記図13に示した処理では、期間T10Aを開始してから約定することなく3時間が経過した場合にも(S20にてYES)、期間T10Aは経過したとみなされ、S24Aにおいてサーバ300と対象車両との通信頻度が通常の通信頻度に戻される。
【0145】
上記実施の形態では、車群VGに含まれる各車両を、対象車両としている。しかしこれに限られず、車両管理装置1000が管理する車群VGは、電力系統PGの調整力として動作する対象車両と、電力系統PGの調整力として動作しない非対象車両との両方を含んでもよい。車群VGのうち、アグリゲータとの間で電力調整の契約(たとえば、VPP契約)を締結したユーザに帰属する車両が、対象車両であり、電力調整の契約を締結していないユーザに帰属する車両が、非対象車両であってもよい。あるいは、車群VGのうち、電力調整に使用するリソースとして予めTSOサーバに登録された需要家リストパターンに含まれる車両が、対象車両であり、需要家リストパターンに含まれない車両が、非対象車両であってもよい。車両管理装置1000は、第1~第3期間の少なくとも1つにおいて、非対象車両との通信よりも高い頻度で対象車両と通信を行なうように構成されてもよい。サーバ300は、図4に示した処理に代えて図14に示す処理を実行してもよい。
【0146】
図14は、図4に示した処理の変形例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、車群VGに含まれる車両ごとに実行される。以下では、処理の対象となる車両を、「管理車両」と称する。サーバ300は、管理車両について図14に示す処理を繰り返し実行する。図14に示す処理は、S17及びS18を追加したこと以外は、図4に示した処理と同じである。以下、主にS17及びS18について説明する。
【0147】
図1図3とともに図14を参照して、通信頻度アップ期間内である場合(S11にてYES)には、処理がS17に進む。S17では、管理車両が対象車両であるか否かを判断する。管理車両が対象車両である場合には(S17にてYES)、処理がS13に進む。S13以降の処理は、図4に示した処理と同じである。
【0148】
管理車両が非対象車両である場合には(S17にてNO)、処理がS18に進む。S18では、サーバ300が、前回通信から所定の時間T3が経過したか否かを判断する。時間T3は、非対象車両の通信頻度アップ期間内における通信周期(通信の間隔)に相当する。時間T3は、時間T1よりも長い時間に設定される。時間T3は、2時間であってもよい。これにより、通信頻度アップ期間内においては、サーバ300と非対象車両との通信が約0.5回/時の頻度で行なわれるようになる。
【0149】
管理車両が非対象車両である場合、通信頻度アップ期間内において前回通信から時間T3が経過するまでは、S18においてNOと判断され、処理がS11に戻る。そして、前回通信から時間T3が経過した場合には(S18にてYES)、処理がS14に進む。
【0150】
上記図14に示した処理では、通信頻度アップ期間内において、サーバ300と対象車両との通信頻度を上げ(S13)、サーバ300と非対象車両との通信頻度を下げる(S18)。サーバ300と非対象車両との通信頻度を下げることで、通信頻度の上昇に伴う不具合(通信コストの上昇など)が抑制される。通信頻度アップ期間内においては、サーバ300と非対象車両との通信を停止してもよい。
【0151】
上記実施の形態では、市場で約定した商品のための調整力の提供に関しては、期間T10、T20、及びT30を通信頻度アップ期間としている。しかしこれに限られず、期間T10、T20、T30のいずれか1つのみ又は任意の2つを、通信頻度アップ期間としてもよい。また、同時同量のための調整力の提供に関しては、期間T20及びT30を通信頻度アップ期間としている。しかしこれに限られず、期間T20、T30のいずれか一方のみを通信頻度アップ期間としてもよい。
【0152】
上記実施の形態及び各変形例において、リソースによる電力調整がリモート制御で実行されることは必須ではない。選定されたリソースは、予めサーバから受け取った指令に基づくローカル制御で電力調整を実行してもよい。
【0153】
電力管理システムの構成は、図1に示した構成に限られない。サーバ700とサーバ600との間に他のサーバ(たとえば、上位アグリゲータのサーバ)が設けられてもよい。サーバ600は、他のサーバを介してサーバ700と通信を行なってもよい。また、サーバ300の機能がサーバ600に実装され、サーバ300が割愛されてもよい。サーバ600が車群VGと直接的に無線通信を行なってもよい。上記実施の形態では、オンプレミスサーバ(図1に示したサーバ300及び600)が管理コンピュータとして機能する。しかしこれに限られず、クラウドコンピューティングによってクラウド上にサーバ300及び600の機能(特に、車両管理に係る機能)が実装されてもよい。
【0154】
電力系統PGは、電力会社が提供する大規模な交流グリッドに限られず、マイクログリッドであってもよいし、DC(直流)グリッドであってもよい。対象車両の構成は、前述した構成(図2参照)に限られない。対象車両は、充放電器の代わりに充電器を備えてもよい。また、対象車両は、充放電器の代わりに放電器を備えて、車載バッテリから放電される電力をEVSEの代わりに放電コネクタを介して外部電源(たとえば、電力系統PG)へ出力してもよい。車載バッテリは、交換式であってもよい。BEV以外のxEV(PHEV、FCEV、レンジエクステンダーEVなど)が対象車両として採用されてもよい。
【0155】
対象車両はソーラーパネルを備えてもよい。対象車両は非接触充電可能に構成されてもよい。対象車両は、自動運転可能に構成されてもよいし、飛行機能を備えてもよい。対象車両は、乗用車に限られず、バス又はトラックであってもよい。対象車両は、無人で走行可能な車両(たとえば、ロボタクシー、無人搬送車(AGV)、又は農業機械)であってもよい。対象車両は、無人又は1人乗りの小型BEV(たとえば、マイクロパレット)であってもよい。対象車両は、個人が所有する車両(POV)であってもよいし、MaaS(Mobility as a Service)車両であってもよい。MaaS車両は、MaaS事業者が管理する車両である。
【0156】
上記の各種変形例は任意に組み合わせて実施されてもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0157】
100 車両、120 充放電器、130 バッテリ、150 ECU、200 EVSE、300,600,700 サーバ、611 車両管理部、612 選定部、613 需給管理部、614 取引部、615 調整力算出部、1000 車両管理装置、PG 電力系統、UT モバイル端末、VG 車群。
図1
図2
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図6
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