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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/631 20060101AFI20241022BHJP
   H01R 13/64 20060101ALI20241022BHJP
   H01R 13/514 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
H01R13/631
H01R13/64
H01R13/514
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022005762
(22)【出願日】2022-01-18
(65)【公開番号】P2023104639
(43)【公開日】2023-07-28
【審査請求日】2024-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 篤哉
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-33663(JP,A)
【文献】国際公開第2019/012785(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/034092(WO,A1)
【文献】特開平2-114474(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0042438(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/631
H01R 13/64
H01R 13/514
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ハウジングおよび第2ハウジングを備え、
前記第1ハウジングは、フード部と、前記フード部内に突出する凸部と、を有し、
前記第2ハウジングは、前記フード部内に嵌合されるハウジング本体を有し、 前記ハウジング本体は、小型の第2端子金具が収容される小キャビティ部と、大型の第2端子金具が収容される大キャビティ部と、前記凸部が配置される凹部と、を有し、
前記小キャビティ部および前記大キャビティ部は、それぞれ、前記フード部内への嵌合方向の前側に前面を有し、前記嵌合方向と交差する一端側に端面を有しており、
前記小キャビティ部の前記端面は、前記大キャビティ部の前記端面から高さ方向に落ちて配置され、
前記凹部は、前記大キャビティ部の前記高さ方向の側面と前記小キャビティ部の前記端面とによって区画され、前記前側および前記一端側に開放されている、コネクタ。
【請求項2】
前記第2ハウジングは、前記小キャビティ部の前記前面を覆うフロント部を有し、
前記フロント部は、係止部を有し、前記ハウジング本体は、前記係止部に係止される被係止部を有し、
前記被係止部は、前記小キャビティ部の前記端面に開口して形成されている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ハウジング本体に支持されるレバーを備え、
前記フード部は、前記レバーと係合して前記ハウジング本体との嵌合を進める柱状のレバー軸を有し、
前記レバー軸は、前記フード部から前記凸部にかけて架け渡されている、請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記フード部は、前記第1ハウジングに複数設けられ、
前記凸部は、複数の前記フード部のそれぞれにおいて、異なる外形寸法で形成されている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されたコネクタは、雌ハウジングおよび雄ハウジングを備えている。雌ハウジングは、フード部を有している。フード部の側壁の内面には、ガイドリブが形成されている。雄ハウジングは、フード部内に嵌合されるハウジング本体を有している。ハウジング本体の側壁の外面には、ガイドリブを案内するガイド溝が形成されている。このようなガイドリブおよびガイド溝に相当する部分を有するコネクタは、特許文献2および特許文献3にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-144800号公報
【文献】特開2000-331747号公報
【文献】特開2015-72871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、ハウジング本体の側壁の外面には複数のリブが形成されている。各リブ間には、上記ガイド溝とともに単なる凹みも形成されている。このため、凹みの箇所でスペースの無駄が生じ、雄ハウジングが高さ方向に大型化する懸念がある。
【0005】
そこで、本開示は、スペース効率に優れたコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、第1ハウジングおよび第2ハウジングを備え、前記第1ハウジングは、フード部と、前記フード部内に突出する凸部と、を有し、前記第2ハウジングは、前記フード部内に嵌合されるハウジング本体を有し、前記ハウジング本体は、小型の第2端子金具が収容される小キャビティ部と、大型の第2端子金具が収容される大キャビティ部と、前記凸部が配置される凹部と、を有し、前記小キャビティ部および前記大キャビティ部は、それぞれ、前記フード部内への嵌合方向の前側に前面を有し、前記嵌合方向と交差する一端側に端面を有しており、前記小キャビティ部の前記端面は、前記大キャビティ部の前記端面から高さ方向に落ちて配置され、前記凹部は、前記大キャビティ部の前記高さ方向の側面と前記小キャビティ部の前記端面とによって区画され、前記前側および前記一端側に開放されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、スペース効率に優れたコネクタを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態1において、第1コネクタおよび第2コネクタが互いに嵌合された状態を示す断面図である。
図2図2は、第1コネクタの正面図である。
図3図3は、第1コネクタの一部を斜め下方から見た拡大斜視図である。
図4図4は、第2ハウジングを斜め上方から見た斜視図である。
図5図5は、第2ハウジングの正面図である。
図6図6は、ハウジング本体を斜め上方から見た斜視図である。
図7図7は、ハウジング本体の平面図である。
図8図8は、レバーがハウジング本体に対して初期位置に保持された状態を示す平面図である。
図9図9は、リテーナを斜め上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)第1ハウジングおよび第2ハウジングを備え、前記第1ハウジングは、フード部と、前記フード部内に突出する凸部と、を有し、前記第2ハウジングは、前記フード部内に嵌合されるハウジング本体を有し、前記ハウジング本体は、小型の第2端子金具が収容される小キャビティ部と、大型の第2端子金具が収容される大キャビティ部と、前記凸部が配置される凹部と、を有し、前記小キャビティ部および前記大キャビティ部は、それぞれ、前記フード部内への嵌合方向の前側に前面を有し、前記嵌合方向と交差する一端側に端面を有しており、前記小キャビティ部の前記端面は、前記大キャビティ部の前記端面から高さ方向に落ちて配置され、前記凹部は、前記大キャビティ部の前記高さ方向の側面と前記小キャビティ部の前記端面とによって区画され、前記前側および前記一端側に開放されている。
【0010】
上記構成によれば、凹部が前側に加えて一端側にも開放されているから、凹部を形成するための金型パーツが細くならずに済む。また、凹部に配置される凸部を太くできるので、凸部の強度を確保できる。さらに、大キャビティ部の高さ範囲内に凹部を形成できるので、スペース効率に優れる。
【0011】
(2)前記第2ハウジングは、前記小キャビティ部の前記前面を覆うフロント部を有し、前記フロント部は、係止部を有し、前記ハウジング本体は、前記係止部に係止される被係止部を有し、前記被係止部は、前記小キャビティ部の前記端面に開口して形成されているのが好ましい。
上記構成によれば、ハウジング本体の一端側に被係止部を形成するための金型パーツを設定できるので、小キャビティ部の内側に被係止部を形成する場合に比べ、被係止部の成形性を向上させることができる。
【0012】
(3)前記ハウジング本体に支持されるレバーを備え、前記フード部は、前記レバーと係合して前記ハウジング本体との嵌合を進める柱状のレバー軸を有し、前記レバー軸は、前記フード部から前記凸部にかけて架け渡されていると良い。
上記構成によれば、凸部がレバー軸によって補強されて変形しにくくなる。
【0013】
(4)前記フード部は、前記第1ハウジングに複数設けられ、前記凸部は、複数の前記フード部のそれぞれにおいて、異なる外形寸法で形成されていると良い。
上記構成によれば、フード部に本来の相手とは異なる第2ハウジングが嵌合されようとすると、凸部が第2ハウジングの前面等に干渉して凹部に配置されないため、第2ハウジングが誤ってフード部に嵌合されるのを阻止することができる。
【0014】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0015】
<実施形態1>
本開示の実施形態1は、図1に示すように、互いに嵌合可能な第1コネクタ60および第2コネクタ10を備えている。なお、以下の説明において、前後方向については、第1コネクタ60および第2コネクタ10が嵌合開始時に互いに向き合う面側を前側とする。上下方向は、図7および図8を除く各図の上下方向を基準とする。上下方向は、高さ方向と同義である。上下方向は、必ずしもコネクタ搭載時における重力方向に限定されない。左右方向は、前後方向および高さ方向と直交する方向であって、幅方向と同義である。
【0016】
(第1コネクタ)
第1コネクタ60は、合成樹脂製の第1ハウジング61と導電金属製の第1端子金具81,82とを有している。図2に示すように、第1ハウジング61は複数のフード部62,63,64を有している。本実施形態1の場合、各フード部62,63,64は、第1ハウジング61において幅方向に3つ並んで設けられている。各フード部62,63,64は、それぞれ、断面矩形状をなし、前方に開放されている。幅方向に隣接するフード部62,63,64同士は、上下方向に沿った隔壁65によって仕切られている。
【0017】
第1端子金具81,82は、ピン状およびタブ状をなし、第1ハウジング61に複数装着されている。各第1端子金具81,82の前端部は、フード部62,63,64内に突出している。各第1端子金具81,82の中間部(前端部および後端部を除く部分)は、フード部62,63,64の奥壁66を貫通している。各第1端子金具81,82の後端部は、フード部62,63,64の後方で下向きに屈曲させられ、回路基板90のスルーホール91に挿入されて半田接続される(図1を参照)。
【0018】
各第1端子金具81,82は、図3に示すように、ピン状をなす複数の小型の第1端子金具81と、小型の第1端子金具81よりも幅広でタブ状をなす複数の大型の第1端子金具82と、により構成されている。小型の各第1端子金具81は、第1ハウジング61の幅方向中央部に配置される。大型の各第1端子金具82は、第1ハウジング61の幅方向両端部にそれぞれ配置される。
【0019】
各フード部62,63,64のうち、図2の右2つのフード部63,64の上壁71には、矩形状のロック孔67が貫通して形成されている(図3を参照)。ロック孔67には、後述するレバー14のロックアーム4が係止される。また、図2の右2つのフード部63,64内には、それぞれ凸部68,69が配置される。なお、以下の第1コネクタ60の構造説明において、フード部とは、特に断らない限り、図2の右2つのフード部63,64のことを言う。
【0020】
凸部68,69は、幅方向に長いリブ状をなし、フード部63,64の奥壁66の上端部から突出している。凸部68,69は、フード部63,64内において、小型の各第1端子金具81の配設部位を上方から覆うように配置される。また、凸部68,69は、フード部63,64内において、大型の各第1端子金具82の配設部位の間に配置され、最上段に位置する大型の各第1端子金具82と同じ高さ位置に配置される部分を有している。
【0021】
図2に示すように、右2つのフード部63,64に配置された凸部68,69は、それぞれ異なる幅寸法を有している。具体的には、中央のフード部63に配置された凸部68は、右側のフード部64に配置された凸部69よりも幅広に形成されている。
【0022】
凸部68,69とフード部63,64の上壁71との間にはレバー軸72が形成されている。レバー軸72は、上下方向に沿った円柱状をなし、下端が凸部68,69に連結され、上端がフード部63,64の上壁71に連結されている。レバー軸72は、レバー14の後述するカム溝6と係合する。
【0023】
図2に示すように、フード部63,64内には、凸部68,69の上端部から幅方向両側に張り出す左右それぞれの第2凸部73,74が配置される。各第2凸部73,74は、凸部68,69よりも上下方向に薄い厚みを有している。各第2凸部73,74は、幅方向に長いリブ状をなし、フード部63,64の奥壁66の上端部から突出している。各第2凸部73,74の上面は、凸部68,69の上面と幅方向に段差なく連なっている。図2の右側の第2凸部74は、フード部63,64内において、大型の各第1端子金具82の配設部位を上方から覆うように配置される。
【0024】
図2に示すように、フード部63,64内には、第3凸部75も配置される。第3凸部75は、正面視T字形をなし、高さ方向に延びる縦リブ76と、幅方向に延びる横リブ77と、を有している。横リブ77は、縦リブ76よりも長く延び、フード部63,64内において、小型の各第1端子金具81の配設部位を下方から覆うように配置される。小型の各第1端子金具81は、凸部68,69と横リブ77との間に上下方向に挟まれて保護される。横リブ77とフード部63,64の下壁との間にもレバー軸72が形成されている。横リブ77における縦リブ76から図2の右側に延びる部分は、フード部63,64内において、大型の各第1端子金具82の配設部位を下方から覆うように配置される。
【0025】
なお、凸部68,69、第2凸部73,74および第3凸部75のそれぞれの前端は、各第1端子金具81,82の前端よりも前方に配置される。凸部68,69と第3凸部75との間は、10mm以下に設定されている。このため、作業者の指先等は、凸部68,69の前端と第3凸部75の前端とに接触した状態で、小径の各第1端子金具81の前端に接触するのを回避可能とされている。
【0026】
また、横リブ77における縦リブ76から図2の右側に延びる部分および図2の右側の第2凸部74は、レバー14の後述する初期位置における係止状態を解除するための解除部79になっている。
【0027】
(第2コネクタ)
第2コネクタ10は、合成樹脂製の第2ハウジング11と導電金属製の第2端子金具51,52とを有している。本実施形態1の第2コネクタ10は、図2の真ん中のフード部63内に嵌合される。なお、以下の説明において、第2コネクタ10(第2ハウジング11でもある)の嵌合相手となるフード部は、特に断らない限り、図2の真ん中のフード部63のことを言う。
【0028】
図4に示すように、第2端子金具51,52は、筒状の接続部53と、接続部53の後方に連なるバレル部54と、を有している。接続部53内には、第1端子金具81,82が挿入されて接続される。バレル部54は、電線55の端末部に電気的および機械的に接続される。第2端子金具51,52は、小型の各第1端子金具81に接続される、複数の小型の第2端子金具51と、小型の第2端子金具51よりも大きく、大型の各第1端子金具82に接続される、複数の大型の第2端子金具52と、によって構成される。
【0029】
図4に示すように、第2ハウジング11は、ハウジング本体12、リテーナ13およびレバー14を有している。図6に示すように、ハウジング本体12は、幅方向中央部に小キャビティ部15を有し、幅方向両端部に大キャビティ部16を有している。小キャビティ部15には、小型の各第1端子金具81と対応する位置に、複数の小キャビティ17が前後方向に貫通して形成されている。大キャビティ部16には、大型の各第1端子金具82と対応する位置に、複数の大キャビティ18が前後方向に貫通して形成されている。
【0030】
各大キャビティ18の開口径は、各小キャビティ17の開口径よりも大きくされている。各小キャビティ17の内壁下面には、小型ランス19が突出して形成されている。図5に示すように、各大キャビティ18の内壁下面には、小型ランス19よりも大きい大型ランス21が突出して形成されている。
【0031】
図1に示すように、各小キャビティ17には、小型の第2端子金具51が挿入される。小型の第2端子金具51は、小型ランス19によって一次的に係止される。図示はしないが、各大キャビティ18には、大型の第2端子金具52が挿入される。大型の第2端子金具52は、大型ランス21によって一次的に係止される。
【0032】
図6および図7に示すように、ハウジング本体12には、リテーナ装着孔22が形成されている。リテーナ装着孔22は、幅方向に長い矩形の断面形状をなし、ハウジング本体12の幅方向中央部において、小キャビティ部15の後端部を上下方向に貫通している。
【0033】
小キャビティ部15の前面(前方を向く面)は、大キャビティ部16の前面から後方へ落ちるように配置される。図6に示すように、小キャビティ部15の前面の上端部には、幅方向に延びるリブ状のストッパ部23が形成されている。ストッパ部23は、リテーナ13の後述するフロント部32を当て止めする機能を有している。
【0034】
小キャビティ部15の上面15A(上側の端面)は、各大キャビティ部16の上面16Aから下方へ一段落ちるように配置される。ハウジング本体12には、各大キャビティ部16の上面16Aと小キャビティ部15の上面15Aとの間の落差(段差)によって凹部24が形成されている。
【0035】
図6に示すように、凹部24は、ハウジング本体12の前方および上方に開放されている。凹部24の両側面は、各大キャビティ部16における相対向する側面16Bであって、図5に示すように、高さ方向に垂直に配置される。凹部24の底面(後端部を除く)は、小キャビティ部15の上面15Aであって、幅方向に水平に配置される。図6および図7に示すように、凹部24の後端部は、リテーナ装着孔22と連通しており、リテーナ装着孔22に挿入される後述する小キャビティ側リア部38によって底面が閉塞される。凹部24の後面は、後述するキャビティ後部28によって閉塞される。ハウジング本体12にレバー14が組み付けられた状態において、図4および図8に示すように、凹部24の上方は、レバー14の後述するアーム部9によって部分的に覆われる。
【0036】
図6および図7に示すように、小キャビティ部15の上面15A(凹部24の底面でもある)には、一対の被係止部25が開口して形成されている。各被係止部25は、ストッパ部23の上部前端を凹状に切り欠いた形状をなし、幅方向に間隔を置いて配置される。各被係止部25には、リテーナ13のフロント部32が係止される(図1および図8を参照)。
【0037】
図6に示すように、小キャビティ部15の下面には、嵌合溝26が開口して形成されている。嵌合溝26は、上下方向に長い断面形状をなし、小キャビティ部15の幅方向中央から図6の左側に寄った位置に配置される。嵌合溝26は、小キャビティ部15を前後方向に貫通している。嵌合溝26には、第3凸部75の縦リブ76が嵌合される。
【0038】
図5に示すように、右側の大キャビティ部16の上面16Aおよび下面には、それぞれ仮保持部27が突出して形成されている。各仮保持部27は、レバー14のアーム部9と係合し、ハウジング本体12に対してレバー14を後述する初期位置に保持する機能を有している(図8を参照)。
【0039】
図6および図7に示すように、ハウジング本体12は、小キャビティ部15の後方に、キャビティ後部28を有している。図6に示すように、キャビティ後部28には、複数の後方キャビティ29が前後方向に貫通して形成されている。各後方キャビティ29は、リテーナ装着孔22を介して、各小キャビティ17と前後方向に同軸に連なる。各後方キャビティ29には、小型の各第2端子金具51に接続された電線55が配置される(図1を参照)。キャビティ後部28の上面および下面は、それぞれ大キャビティ部16の上面16Aおよび下面に段差無く連続している。図1および図5に示すように、キャビティ後部28の上面および下面には、それぞれ支軸31が突出して形成されている。各支軸31は、レバー14を回動可能に支持する。
【0040】
図9に示すように、リテーナ13は、前側に位置するフロント部32と、後側に位置するリア部33と、フロント部32とリア部33とをつなぐ連結部34と、を有している。リテーナ13は、ハウジング本体12に下方から組み付けられ、ハウジング本体12に対して仮係止位置と本係止位置との間を移動可能とされている。
【0041】
フロント部32は、板状をなし、前後に板面を向けて配置される。図1および図8に示すように、フロント部32は、小キャビティ部15の前面を覆うように配置される。図9に示すように、フロント部32は、各小キャビティ17と対応する位置に、複数の挿通孔35を有している。各挿通孔35には、前方から小型の各第1端子金具81の前端部が挿通される(図1を参照)。フロント部32の上端には、後方に突出する一対の係止部36が形成されている。各係止部36は、爪状をなし、フロント部32の上端に幅方向に間隔を置いて配置される。図8に示すように、各係止部36は、各被係止部25に係止される。
【0042】
図9に示すように、フロント部32の下面には、嵌合溝26と対応する位置に、前側嵌合溝37が開口して形成されている。前側嵌合溝37は、上下方向に長い断面形状をなし、フロント部32を前後方向に貫通している。前側嵌合溝37には、第3凸部75の縦リブ76が嵌合される。
【0043】
リア部33は、ハウジング本体12のリテーナ装着孔22に嵌合される(図1を参照)。図9に示すように、リア部33は、フロント部32よりも大きい前後寸法を有し、フロント部32の後方でフロント部32と対向する小キャビティ側リア部38を有している。小キャビティ側リア部38は、各小キャビティ17および各挿通孔35と対応する位置に、複数の小貫通孔39を有している。各小貫通孔39には、小型の第2端子金具51のバレル部54が挿通される。各小貫通孔39の内壁下面には、複数の小抜止部41が突出して形成されている。小抜止部41は、小型の第2端子金具51を係止する(図1を参照)。
【0044】
図9に示すように、リア部33は、小キャビティ側リア部38の後端から幅方向両側に張り出す一対の大キャビティ側リア部42を有している。各大キャビティ側リア部42は、壁状をなし、壁面を前後に向けて配置される。各大キャビティ側リア部42は、各大キャビティ18と対応する位置に、複数の大貫通孔43を有している。各大貫通孔43の開口径は、各小貫通孔39の開口径よりも大きくされている。図示はしないが、各大貫通孔43には、大型の各第2端子金具52に接続された電線55が挿通される。各大貫通孔43の内壁下面および各大キャビティ側リア部42の上端面には、複数の大抜止部44が突出して形成されている。大抜止部44は、大型の第2端子金具52を係止する。
【0045】
図9に示すように、連結部34は、フロント部32の下端から幅方向両側に張り出す一対の前側連結部45を有している。各前側連結部45は、板状をなし、板面を上下に向けて配置される。図5に示すように、各前側連結部45は、各大キャビティ部16の下面に沿って配置される。また、図9に示すように、連結部34は、リテーナ13の幅方向両端部において、各前側連結部45と各大キャビティ側リア部42との間に架け渡された一対の架設部46を有している。各架設部46は、板状をなし、板面を左右方向に向けて配置される。各架設部46の内面には、一対の側方係止部47が形成されている。各側方係止部47は、前後方向に延びるリブ状をなし、ハウジング本体12に形成された図示しない仮係止部および本係止部に係止される。
【0046】
各側方係止部47が仮係止部に係止されることで、リテーナ13がハウジング本体12に対して仮係止位置に保持される。リテーナ13に上方への押し込み力を付与することで、各側方係止部47と仮係止部との係止状態が解除され、リテーナ13が本係止位置に移動可能となる。リテーナ13が本係止位置に至ると、図1に示すように、フロント部32の後面において上下方向に延びるように形成されたリブ状部48がストッパ部23に下方から当て止めされる。そして、係止部36が被係止部25に係止され、且つ各側方係止部47が本係止部に係止されることにより、リテーナ13がハウジング本体12に対して本係止位置に保持される。また、本係止位置において、各小抜止部41および各大抜止部44は、小型の第2端子金具51の接続部53および大型の第2端子金具52の接続部53にそれぞれ後方から係止可能に配置される。各第2端子金具51,52は、各小抜止部41および各大抜止部44によって二次的に係止される。
【0047】
図5に示すように、レバー14は、門型板状をなし、上下で対向する一対のアーム部9と、各アーム部9をつなぐ上下方向に沿った操作部8と、を有している。各アーム部9は、ハウジング本体12の上面および下面を覆うように配置される。各アーム部9には、円形の軸受部7が貫通して形成されている。各軸受部7には、支軸31が嵌合される。レバー14は、ハウジング本体12に対し、各軸受部7に嵌合された各支軸31を中心として、初期位置と嵌合位置との間を回動可能とされている。図4および図8に示すように、各アーム部9には、カム溝6が形成されている。カム溝6の入口は、アーム部9の外周縁に開口している。各アーム部9は、操作部8から離れた端部側の外周縁に、撓み変形可能な弾性ロック部5を有している。また、各アーム部9のうち、上側のアーム部9には、上下方向に撓み変形可能なロックアーム4が形成されている。
【0048】
図8に示すように、レバー14が初期位置にあるときに、各弾性ロック部5が各仮保持部27に係止され、レバー14の本係止位置への回動が規制される。以下、図示はしないが、第1ハウジング61のフード部63内に第2ハウジング11が浅く嵌合されると、各レバー軸72が各カム溝6の入口に進入するとともに、第1ハウジング61の各解除部79に各弾性ロック部5が干渉して撓み変形させられ、各弾性ロック部5と各仮保持部27との係止状態が解除される。これにより、レバー14が本係止位置に回動可能な状態になる。続いて、操作部8を摘みながらレバー14を嵌合位置に向けて回動させる。レバー14の回動過程では、各レバー軸72が各カム溝6の溝面を摺動し、第1ハウジング61および第2ハウジング11の嵌合が進行する。レバー14が嵌合位置に至ると、ロックアーム4がロック孔67を弾性的に係止し、第1ハウジング61および第2ハウジング11が嵌合状態に保持される。
【0049】
(第1コネクタおよび第2コネクタの全体構造)
第2ハウジング11が第1ハウジング61のフード部63内に嵌合された状態において、凸部68が凹部24に嵌合される(図1を参照)。さらに、縦リブ76が前側嵌合溝37および嵌合溝26に嵌合される。仮に、第2ハウジング11が第1ハウジング61に対して前後方向と交差する方向に傾いた嵌合姿勢をとっていると、第2ハウジング11のフロント部32等が凸部68と干渉し、第2ハウジング11の嵌合動作が規制される。このとき、第2ハウジング11が小型の第1端子金具81と接触するのを防止できるので、小型の第1端子金具81が変形する事態を回避できる。
【0050】
凹部24は、ハウジング本体12の前方および上方に開放されている。このため、凹部24を成形する図示しない金型パーツは、ハウジング本体12の上方に厚みを増加させることができる。また、凹部24に嵌合される凸部68も、上方への厚みを増加させることができる。よって、本実施形態1においては、小型の各第1端子金具81の配設領域を減少させることなく、凸部68の強度を確保することができる。
【0051】
また、凹部24は、各大キャビティ部16の高さ方向の側面16Bと小キャビティ部15の上面15Aとによって区画されている。図4から図6にかけて示すように、凹部24の左右両側には、各大キャビティ部16の上端部(最上段の各大キャビティ18)が配置されている。このため、凹部24の左右両側が無駄なく利用され、スペース効率に優れる。さらに、コネクタの高さ方向の大型化を抑制できる。
【0052】
また、図6に示すように、小キャビティ部15の上面15A(凹部24の底面)には、リテーナ13のフロント部32の係止部36に係止される被係止部25が開口して形成されている。被係止部25を成形する図示しない金型パーツは、小キャビティ部15の上方に厚みを増加させることができる。よって、被係止部25の成形性を向上させることができる。
【0053】
また、レバー軸72がフード部63の上壁71と凸部68の中間部との間に架設されているので、凸部68がレバー軸72によって補強されて変形しにくくなる。
【0054】
さらに、本実施形態1の場合、図2の右側2つのフード部63,64には、それぞれ異なる外形寸法の凸部68,69が形成されている。このため、例えば、図2の右端のフード部64に本来嵌合されるべき第2ハウジングが図2の真ん中のフード部63に嵌合されようとすると、フード部63に形成された凸部68が第2ハウジングの前面に干渉し、第2ハウジングの嵌合動作が規制される。このため、第2ハウジングが誤ってフード部63に嵌合されることを阻止することができる。
【0055】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された実施形態1はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
上記実施形態1の場合、凹部が2つの大キャビティ部の側面と小キャビティ部の上面とによって区画されていた。しかし、他の実施形態として、凹部が1つの大キャビティ部の側面と小キャビティ部の上面とによって区画され、1つの大キャビティ部の側面と対向する側に開放される形状であっても良い。
上記実施形態1の場合、複数のフード部に形成された凸部がそれぞれ異なる幅寸法を有していた。しかし、他の実施形態として、複数のフード部に形成された凸部がそれぞれ異なる上下厚みを有していても良い。
上記実施形態1の場合、フロント部は、リテーナ機能(第2端子金具を係止する機能)を有するリア部とともにリテーナに形成されていた。しかし、他の実施形態として、フロント部は、リテーナ機能を有するリア部とは別に形成されていても良い。あるいは、フロント部自体がリテーナ機能を有していても良い。
上記実施形態1に場合、第1端子金具が回路基板のスルーホールに挿入されて接続される構成であった。しかし、他の実施形態として、第1端子金具は、回路基板の表面に沿って配置され、回路基板の表面に形成された導電部に接続される構成であっても良い。あるいは、他の実施形態として、第1端子金具は、回路基板ではなく、電線の端末部に接続される構成であっても良い。
【符号の説明】
【0056】
4…ロックアーム
5…弾性ロック部
6…カム溝
7…軸受部
8…操作部
9…アーム部
10…第2コネクタ
11…第2ハウジング
12…ハウジング本体
13…リテーナ
14…レバー
15…小キャビティ部
15A…小キャビティ部の上面
16…大キャビティ部
16A…大キャビティ部の上面
16B…大キャビティ部の高さ方向の側面
17…小キャビティ
18…大キャビティ
19…小型ランス
21…大型ランス
22…リテーナ装着孔
23…ストッパ部
24…凹部
25…被係止部
26…嵌合溝
27…仮保持部
28…キャビティ後部
29…後方キャビティ
31…支軸
32…フロント部
33…リア部
34…連結部
35…挿通孔
36…係止部
37…前側嵌合溝
38…小キャビティ側リア部
39…小貫通孔
41…小抜止部
42…大キャビティ側リア部
43…大貫通孔
44…大抜止部
45…前側連結部
46…架設部
47…側方係止部
48…リブ状部
51,52…第2端子金具
53…接続部
54…バレル部
55…電線
60…第1コネクタ
61…第1ハウジング
62,63,64…フード部
65…隔壁
66…奥壁
67…ロック孔
68,69…凸部
71…フード部の上壁
72…レバー軸
73,74…第2凸部
75…第3凸部
76…縦リブ
77…横リブ
79…解除部
81,82…第1端子金具
90…回路基板
91…スルーホール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9