(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】屋外構造物の仮設防雨装置
(51)【国際特許分類】
H02B 3/00 20060101AFI20241022BHJP
H02B 1/30 20060101ALI20241022BHJP
H02B 1/28 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
H02B3/00 Z
H02B1/30 E
H02B1/28 E
(21)【出願番号】P 2022009676
(22)【出願日】2022-01-25
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩塚 大志
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第211605675(CN,U)
【文献】中国実用新案第212889801(CN,U)
【文献】特開2004-114716(JP,A)
【文献】特開2018-150037(JP,A)
【文献】特開2000-274116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 3/00
H02B 1/26 - 1/52
E04H 15/00 - 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面開口部と該正面開口部を開閉する開き戸とを有し電気機器が収納される屋外構造物の仮設防雨装置であって、
回転軸と、
一端が前記回転軸に回転可能に取り付けられ、他端が前記回転軸の径方向に延びた盤側フレーム材と、
一端が前記回転軸に回転可能に取り付けられ、他端が前記回転軸の径方向に延びた扉側フレーム材と、
前記盤側フレーム材と前記扉側フレーム材とに取り付けられて前記盤側フレーム材と前記扉側フレーム材との間を覆う、蛇腹状に折り畳まれたシート材と、
を備え、
前記盤側フレーム材が前記正面開口部の上方に取り付けられ、前記扉側フレーム材が前記開き戸の上辺に取り付けられた状態において、前記開き戸が外側に向かって開かれることで前記扉側フレーム材と前記盤側フレーム材とがなす中心角が大きくなり、前記シート材が扇形に展開すること、
を特徴とする屋外構造物の仮設防雨装置。
【請求項2】
前記シート材の谷折り部は、前記回転軸から前記回転軸の径方向に向かって下方に傾斜していること、
を特徴とする請求項1に記載の屋外構造物の仮設防雨装置。
【請求項3】
一端が前記回転軸に回転可能に取り付けられ他端が前記回転軸の径方向に延び、前記盤側フレーム材と前記扉側フレーム材との間に設けられて、前記シート材を支持する少なくとも1つのスポークと、
前記盤側フレーム材の前記他端と、前記スポークの前記他端と、前記扉側フレーム材の前記他端とを接続する、長さを調節可能な紐状の張力用紐状部材と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の屋外構造物の仮設防雨装置。
【請求項4】
前記屋外構造物は、前記開き戸の上方に屋根を有し、
前記盤側フレーム材は、前記屋根の軒下に取り付けられること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の屋外構造物の仮設防雨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器が収納される屋外構造物の仮設防雨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧盤、低圧盤、変圧器、監視盤などを備える配電盤が屋外に設置される場合、配電盤には防雨対策が施されるのが通例である。配電盤の電気機器は、屋外型配電盤と呼ばれる、正面扉および屋根を備える屋外構造物に収納される。屋根が庇の機能を有する場合、この庇は、屋外構造物に雨水が侵入するのを防いでいる。
【0003】
しかしながら、庇のサイズには限りがある。そのため、雨天時には傘をさして盤内を保守・点検しなければならなかった。傘をさすことで片手がふさがり、保守・点検時の作業性の低下が懸念されていた。また、雨の水しぶきが盤内機器へかかることが電気機器の保護の観点から問題視されていた。また、雨量が多い場合には、盤内機器が濡れないようにその周囲をシートで囲って養生するか、または、保守・点検作業を中止または延期する必要があった。よって、盤内機器の保守・点検作業のスケジュールに支障をきたすという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような問題に対して、例えば実開平7-27210号公報には、前面扉を上下方向に2分割し、前面扉の上部扉を上下方向に開閉自在に取り付けたキュービクル式高圧時受変電装置が開示されている。これによれば、開放した上部扉が雨よけとして機能し、雨天時における配電盤の濡れを防止することができる。
【0006】
しかしながら、既設の屋外構造物の前面扉は、外側に向かって開く横開き戸が一般的であり、上述のような専用の上部扉を既設の屋外構造物に適用することは難しい。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、既設の屋外構造物に容易に取り付け可能であり、雨天時であっても屋外構造物に設置される電気機器の保守・点検作業を作業性高く実施できる屋外構造物の仮設防雨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の観点は、屋外構造物の仮設防雨装置に関連する。
前記屋外構造物は、正面開口部と該正面開口部を開閉する開き戸とを有し電気機器を収納する。
前記仮設防雨装置は、回転軸と、盤側フレーム材と、扉側フレーム材と、シート材とを備える。
前記盤側フレーム材は、一端が前記回転軸に回転可能に取り付けられ、他端が前記回転軸の径方向に延びた材である。
前記扉側フレーム材は、一端が前記回転軸に回転可能に取り付けられ、他端が前記回転軸の径方向に延びた材である。
前記シート材は、前記盤側フレーム材と前記扉側フレーム材とに取り付けられて前記盤側フレーム材と前記扉側フレーム材との間を覆う、蛇腹状に折り畳まれた材である。
前記盤側フレーム材が前記正面開口部の上方に取り付けられ、前記扉側フレーム材が前記開き戸の上辺に取り付けられた状態において、前記開き戸が外側に向かって開かれることで前記扉側フレーム材と前記盤側フレーム材とがなす中心角が大きくなり、前記シート材が扇形に展開する。
【0009】
第2の観点は、第1の観点に加えて、次の特徴を更に有する。
前記シート材の谷折り部は、前記回転軸から前記回転軸の径方向に向かって下方に傾斜している。
【0010】
第3の観点は、第1又は2の観点に加えて、次の特徴を更に有する。
前記仮設防雨装置は、少なくとも1つのスポークと張力用紐状部材とを更に備える。
前記スポークは、一端が前記回転軸に回転可能に取り付けられ他端が前記回転軸の径方向に延び、前記盤側フレーム材と前記扉側フレーム材との間に設けられて、前記シート材を支持する。
前記張力用紐状部材は、前記盤側フレーム材の前記他端と、前記スポークの前記他端と、前記扉側フレーム材の前記他端とを接続する、長さを調節可能な紐状の材である。
【0011】
第4の観点は、第1乃至第3の観点のいずれかに加えて、次の特徴を更に有する。
前記屋外構造物は、前記開き戸の上方に屋根を有する。
前記盤側フレーム材は、前記屋根の軒下に取り付けられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る仮設防雨装置によれば、開き戸の上部に取り付ける方式を採用しているため、既設の屋外構造物に容易に取り付け可能である。また、必要な時以外は取り外すことができる。開き戸の開閉に連動して蛇腹状に折り畳まれたシート材が伸縮し、開き戸と正面開口部との間を覆う雨よけとして機能する。そのため、雨天時において屋外構造物に設置される電気機器を水しぶきから保護しつつ、保守・点検作業を作業性高く実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態に係る仮設防雨装置および仮設防雨装置が適用される屋外構造物について説明するための平面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る仮設防雨装置および仮設防雨装置が適用される屋外構造物について説明するための正面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るハブの2面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る盤側フレーム材の3面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る扉側フレーム材の3面図である。
【
図6】
図1のA-A断面詳細図であり、締結具のロック状態とアンロック状態とを示す図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る防水幕材の展開図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係るスポークとハブリングの詳細図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係る仮設防雨装置を折り畳んだ状態の3面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0015】
実施の形態.
1.屋外構造物
まず、
図1および
図2を参照して、本発明の実施の形態に係る仮設防雨装置が適用される屋外構造物の構成例について説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係る仮設防雨装置1および仮設防雨装置1が適用される屋外構造物2について説明するための平面図である。
図2は、本発明の実施の形態に係る仮設防雨装置1および仮設防雨装置1が適用される屋外構造物2について説明するための正面図である。
【0017】
説明の便宜上、
図1にはXおよびY軸が描かれる。
図2にはYおよびZ軸が描かれる。X軸は、屋外構造物2の正面方向を示す。Y軸は、屋外構造物2の幅方向を示し、水平方向と一致する。Z軸は、屋外構造物2の高さ方向を示し、鉛直方向と一致する。X、YおよびZ軸の示す方向は、
図1、
図2以外の図においても共通する。
【0018】
屋外構造物2は、配電盤などの電気機器が収納される筐体である。
図2に示されるように、屋外構造物2は、正面側扉枠3と、開き戸4と、側面板5と、背面板(図示省略)と、屋根6と、を主たる構成要素として備えている。屋外構造物2は、チャンネルベース7上に設置されている。
【0019】
正面側扉枠3の枠内の開口部を正面開口部8と称する。開き戸4は、正面開口部8を開閉する。
図1および
図2において開き戸4の左側が吊元、右側が戸先である。
図1および
図2には開き戸4が外側に向かって開かれた状態が示されている。
【0020】
開き戸4の上方の屋根6の一部は、正面方向(すなわち、X軸方向)に突出しており、軒6aを形成する。軒6aの下面には、網目状あるいは複数の換気用スリットを備えた換気板9が取り付けられている。なお、換気板9の形状に特に限定はない。
【0021】
2.仮設防雨装置
次に、
図1~
図9を参照して、屋外構造物2に取り付けられる仮設防雨装置1の構成例について説明する。
【0022】
図1および
図2に示されるように、仮設防雨装置1は、ハブ10と、盤側フレーム材11と、扉側フレーム材12と、防水幕材13と、を主たる構成要素として備えている。
【0023】
図1、
図2および
図3を参照してハブ10について説明する。
図3は、ハブ10の平面図(A)と正面図(B)とを示す図である。
【0024】
ハブ10は、回転軸であり軸方向はZ軸方向である。ハブ10はZ軸方向に突起部10eと反Z軸方向に突起部10bが形成され、ハブ10の周面には、後述するハブリング17を取り付けるためのハブリング取付部10aが形成されている。また、突起部10bとハブリング取付部10aの間にはハブリング取付部より経の大きな10cがあり、突起部10eとハブリング取付部10aの間にはハブリング取付部より経の大きな10cがあり、ハブリング10aが容易に外れない構造になっている。
【0025】
次に、
図1、
図2および
図4を参照して盤側フレーム材11について説明する。
図4は、盤側フレーム材11の平面図(A)と正面図(B)と側面図(C)とを示す図である。
【0026】
盤側フレーム材11は、一端にハブ10に回転可能に取り付けられる取付部11aが構成され、他端がハブ10の径方向(
図1においてY軸方向)に延びた材である。例えば取付部11aは、主要部分からX軸方向に伸長したX軸方向とY軸方向に成す面と平行な面を持ち、突起部10bが貫通可能且つ部位10cが貫通できない貫通孔11a1を有する。盤側フレーム材11の他端には、後述する張力用紐状部材18を貫通させるための貫通孔11bが設けられている。また、盤側フレーム材11には、フック20を取り付けるためのフック取付部20aが設けられている。
【0027】
図1および
図2に示されるように、盤側フレーム材11は、正面開口部8の上方に取り付けられている。例えば、盤側フレーム材11は、フック20により、屋根6の軒下の換気板9の網目またはスリットを利用し、吊り下げられて固定されている。
【0028】
次に、
図1、
図2、
図5および
図6を参照して扉側フレーム材12について説明する。
図5は、扉側フレーム材12の平面図(A)と正面図(B)と側面図(C)とを示す図である。
図6は、
図1のA-A断面詳細図であり、締結具21のロック状態(A)とアンロック状態(B)とを示す図である。
【0029】
扉側フレーム材12は、略断面のZ軸方向が開放となるコの字型であり、一端にはハブ取付部12aがハブ10に回転可能に取り付けられ、他端がハブ10の径方向(
図1においてX軸方向、
図5においてY軸方向)に延びた材である。該他端には、後述する張力用紐状部材18を貫通させるための貫通孔12bが設けられている。ハブ取付部12aは、扉側フレーム材12からX軸と逆方向に伸長した上部材12a1と下部材12a2で構成され、これらはX軸方向とY軸方向で構成される面と平行になる様に構成される。上部材12a1には貫通孔12a3を有し、突起部10bが貫通可能となっている。下部部材12a2には貫通孔12a4(図示されない)を有し、突起部10eが貫通可能かつ部位10dが貫通できないとなっている。突起部10bを貫通孔12a3に貫通させ、突起部10dを貫通孔12a4に貫通させることにより、ハブ取付部12aがハブ10に保持される。さらに突起部10bは貫通孔11a1も貫通している。盤側フレーム材11は、取付部11aの貫通孔11a1で、突起部10bを軸として、上部材12a1と部位10cに挟まれることにより保持される。上部材12a1と下部材12a2の間の空間は、ハブ10の全長より狭く、取付部11aの厚さと部位10cと部位10dのその側の間隔より広くすることにより、ハブ取付部12aは、ハブ10と盤側フレーム材11を保持できる。尚、取付の際は、ハブ取付部12aを弾性材料等で構成し、上部材12a1と下部材12a2の間の空間を一時的に広ける様にしてもよいし、上部材12a1あるいは下部材12a2を後から組み付けるようにしてもよい。
【0030】
図2および
図6に示されるように、扉側フレーム材12は、開き戸4の上方から被せるように開き戸4の上辺に取り付けられている。
図6に示されるように、扉側フレーム材12内面の開き戸4の正面と接触する位置には、クッション材22aが取り付けられている。扉側フレーム材12内面の開き戸4の上面と接触する位置には、クッション材22bが取り付けられている。扉側フレーム材12のクッション材22aが取り付けられている面と対抗する面には、後述の締結具21の蝶ネジ23と適合したナット12cが固定されている。尚、当該面の肉厚が十分な場合はナット12cを省略してフレーム材12に直接女ネジを切ってもよい。扉側フレーム材12には締結具21が取り付けられている。締結具21は、蝶ネジ23とクランプ金具24とを備える。クランプ金具24にはクッション材22cが取り付けられている。
【0031】
締結具21を操作することにより、扉側フレーム材12と開き戸4とを着脱できる。すなわち、締結具21の蝶ネジ23を順方向に回転させることで、クッション材22a~22cに挟まれた状態で、扉側フレーム材12を開き戸4に固定可能である(
図6の(A))。また、蝶ネジ23を逆方向に回転させることで、扉側フレーム材12と開き戸4とが固定された状態を解除可能である(
図6の(B))。
【0032】
次に、
図1、
図2および
図7を参照して防水幕材13について説明する。
図7は、防水幕材13の展開図である。
【0033】
図1および
図2に示されるように、防水幕材13は、盤側フレーム材11と扉側フレーム材12とに取り付けられて盤側フレーム材11と扉側フレーム材12との間を覆う、蛇腹状に折り畳まれたシート材である。蛇腹状に折り畳まれた防水幕材13は、山折りと谷折りの繰り返し構造を有する。防水幕材13の谷折り部13eは、ハブ10からハブ10の径方向に向かって下方(Z軸方向)に傾斜している(
図1、
図2)。そのため、防水幕材13上の雨は開き戸の戸先側に集められ、盤内への水の侵入を抑制できる。
【0034】
図7の展開図に示されるように、防水幕材13は、第1辺13aと第2辺13bと、その間にある円弧13cとによって囲まれた、中心角θ(例えば90度<θ<180度)の略扇形状のシート材である。第1辺13aは、盤側フレーム材11に取り付けられている。第2辺13bは、扉側フレーム材12に取り付けられている。円弧13cは多角形の一部形状であってもよい。中心角θは開き戸4の開放時の角度より大きい。尚、扇型状の円弧の中心部の切り欠き部にハブ10が配置される。この部分は仮設防雨装置1を屋外構造物2に取り付けた際に、軒6aの下部となるよう配置されるので、切り欠きがあっても防雨構造上の問題は無い。
【0035】
次に、
図1、
図2および
図8を参照して複数のスポーク14a~14gについて説明する。
図8は、スポーク14a~14gとハブリング17の詳細図である。なお、本明細書において複数のスポーク14a~14gを特に区別しない場合には、単にスポーク14と記す。
【0036】
図1および
図2に示されるように、スポーク14は、一端がハブ10に回転可能に取り付けられ他端がハブ10の径方向に延びた骨材である。
図8に示されるように、該一端は円環形状を有し、ハブリング17の周方向および上下方向に移動自在に取り付けられている。ハブリング17は上述した
図3のハブリング取付部10aに取り付けて使用される。ハブリング17は、例えば一本の弾性金属材をリング状に成形して構成され、スポーク14の円環部を通す場合や、ハブリング取付部10aに取り付ける場合はリング部を開くことが出来るようにしてもよい。スポーク14は、軽量かつ強度の高い材(金属・グラスファイバー・カーボンなど)で構成される。
【0037】
スポーク14b、14d、14fそれぞれの先端には、後述する張力用紐状部材18が通されるリング付きキャップ15が取り付けられている。スポーク14a、14c、14d、14gそれぞれの先端には、リングの無いキャップ16が取り付けられている。
【0038】
また、スポーク14は、盤側フレーム材11と扉側フレーム材12との間に設けられて、防水幕材13を支持する。スポーク14b、14d、14fそれぞれは、防水幕材13の山折り部13dを支持する。スポーク14a、14c、14d、14gそれぞれは、防水幕材13の谷折り部13eを支持する。スポーク14と防水幕材13は接着剤あるいはその他の手段で固定される。尚、谷折り部13eを支持するスポーク14a、14c、14d、14gは省略してもよい。
【0039】
次に、
図1および
図2を参照して張力用紐状部材18について説明する。
張力用紐状部材18は、盤側フレーム材11の先端と、山折り側のスポーク14の先端と、扉側フレーム材12の先端とを接続する、長さを調節可能な紐状の部材である。張力用紐状部材18は、山折り側のスポーク14b、14d、14fそれぞれのリング付きキャップ15に通された状態で、両端部が盤側フレーム材11と扉側フレーム材12とに固定されている。
【0040】
張力用紐状部材18の長さを変更することで、盤側フレーム材11と扉側フレーム材12とがなす角を調整できる。あるいは、例えば、張力用紐状部材18の長さは、開き戸4を屋外構造物2のメンテナンス時に開放したとき、防水幕材13の谷折り部13eが下がりすぎて、メンテナンスに支障を生じないように調整することが出来る。張力用紐状部材18はゴムなどの弾性体であってもよい。張力用紐状部材18によればスポーク14が垂れすぎないように支えることができる。また、盤側フレーム材11または扉側フレーム材12に張力用紐状部材18の長さ調節部18aを設けてもよい。
【0041】
このように構成された仮設防雨装置1によれば、盤側フレーム材11が正面開口部8の上方に取り付けられ、扉側フレーム材12が開き戸4の上辺に取り付けられた状態において、開き戸4の開閉と連動して仮設防雨装置1が開閉する。すなわち、開き戸4が外側に向かって開かれることで扉側フレーム材12と盤側フレーム材11とがなす中心角が大きくなり、防水幕材13が扇形に展開する。
【0042】
図9を参照して仮設防雨装置1を折り畳んだ状態について説明する。
図9は、仮設防雨装置1を折り畳んだ状態の平面図(A)と正面図(B)と側面図(C)とを示す図である。
【0043】
図9に示されるように、盤側フレーム材11と扉側フレーム材12は閉じられた状態で防水幕材13を収納する収納部として機能する。防水幕材13は、盤側フレーム材11と扉側フレーム材12との間に蛇腹状に折り畳まれた状態で収納される。上述したようにスポーク14による骨組みが設けられているため、防水幕材13は収納しやすい形状を保つことができる。
【0044】
3.効果
以上説明したように、本実施形態に係る仮設防雨装置1は、開き戸4の上部に取り付ける方式を採用しているため既設の屋外構造物2に容易に取り付け可能である。また、必要な時以外は取り外すことができる。蛇腹状に折り畳まれた防水幕材13は、開き戸4の開閉に連動して伸縮し、開き戸4と正面開口部8との間を覆う雨よけとして機能する。そのため、雨天時において屋外構造物2に設置される電気機器を水しぶきから保護することができ、また、傘をさす必要がなく両手を自由に使用できるため、作業性高く保守・点検作業を実施できる。
【0045】
4.変形例
ところで、上述した実施の形態においては、盤側フレーム材11は、フック20により、屋根6の軒下の換気板9に吊り下げられて固定されているが、固定方法はこれに限定されるものではない。盤側フレーム材11は、例えば磁石や他の締結具により、正面開口部8の上方に取り付けられても良い。
【0046】
また、上述した実施の形態においては、扉側フレーム材12は、締結具21により、開き戸4に固定されているが、固定方法はこれに限定されるものではない。扉側フレーム材12は、例えば磁石や他の締結具により、開き戸4に固定されても良い。
【0047】
また、上述した実施の形態においては、スポーク14の本数を7本としているが、スポーク14の本数はこれに限定されるものではない。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上述した実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数にこの発明が限定されるものではない。また、上述した実施の形態において説明する構造等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
【符号の説明】
【0049】
1 仮設防雨装置
2 屋外構造物
3 正面側扉枠
4 開き戸
5 側面板
6 屋根
6a 軒
7 チャンネルベース
8 正面開口部
9 換気板
10 ハブ
10a ハブリング取付部
11 盤側フレーム材
11b 貫通孔
12 扉側フレーム材
12b 貫通孔
13 防水幕材
13a 第1辺
13b 第2辺
13c 円弧
13d 山折り部
13e 谷折り部
14、14a~14g スポーク
15 リング付きキャップ
16 キャップ
17 ハブリング
18 張力用紐状部材
18a 長さ調節部
20 フック
20a フック取付部
21 締結具
22a~22c クッション材
23 蝶ネジ
24 クランプ金具
θ 中心角