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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】コンデンサ及び複合電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/048 20060101AFI20241022BHJP
   H01G 2/02 20060101ALI20241022BHJP
   H01G 4/38 20060101ALI20241022BHJP
   H01G 9/012 20060101ALI20241022BHJP
   H01G 9/08 20060101ALI20241022BHJP
   H01G 9/15 20060101ALI20241022BHJP
   H01G 9/28 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
H01G9/048 A
H01G2/02 101E
H01G4/38 A
H01G4/38 B
H01G9/012 301
H01G9/012 303
H01G9/08 B
H01G9/08 Z
H01G9/15
H01G9/28
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022182352
(22)【出願日】2022-11-15
(62)【分割の表示】P 2019131951の分割
【原出願日】2019-07-17
(65)【公開番号】P2023022094
(43)【公開日】2023-02-14
【審査請求日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2019067972
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】古川 剛史
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-004417(JP,A)
【文献】特開2007-173439(JP,A)
【文献】特開2006-147606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 2/02
H01G 4/38
H01G 9/00-9/18
H01G 9/21-9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁作用金属からなる陽極板と、前記陽極板の少なくとも一方の主面に設けられた多孔質層と、前記多孔質層の表面に設けられた誘電体層と、前記誘電体層の表面に設けられた固体電解質層を含む陰極層とを備える固体電解コンデンサ素子と、
前記陽極板と電気的に接続されている陽極貫通電極と、
前記陰極層と陰極ビア導体を介して電気的に接続されている陰極貫通電極と、を備え、
前記陽極貫通電極は、第1陽極貫通電極及び第2陽極貫通電極を含み、
前記陰極貫通電極は、第1陰極貫通電極を含み、
前記陽極板の厚み方向からの平面視で、前記第1陰極貫通電極と前記第1陽極貫通電極との中心間距離は、前記第1陰極貫通電極と前記第2陽極貫通電極との中心間距離と同等である、コンデンサ。
【請求項2】
前記陽極貫通電極は、第3陽極貫通電極をさらに含み、
前記陽極板の厚み方向からの平面視で、前記第1陽極貫通電極と前記第2陽極貫通電極との中心間距離は、前記第1陽極貫通電極と前記第3陽極貫通電極との中心間距離と同等である、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記陽極貫通電極は、第4陽極貫通電極をさらに含み、
前記陽極板の厚み方向からの平面視で、前記第2陽極貫通電極と前記第1陽極貫通電極との中心間距離は、前記第2陽極貫通電極と前記第4陽極貫通電極との中心間距離と同等である、請求項2に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記陰極貫通電極は、第2陰極貫通電極及び第3陰極貫通電極をさらに含み、
前記陽極板の厚み方向からの平面視で、前記第1陰極貫通電極と前記第2陰極貫通電極との中心間距離は、前記第1陰極貫通電極と前記第3陰極貫通電極との中心間距離と同等である、請求項1~3のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項5】
前記陰極貫通電極は、第4陰極貫通電極をさらに含み、
前記陽極板の厚み方向からの平面視で、前記第2陰極貫通電極と前記第1陰極貫通電極との中心間距離は、前記第2陰極貫通電極と前記第4陰極貫通電極との中心間距離と同等である、請求項4に記載のコンデンサ。
【請求項6】
前記陽極板の厚み方向からの平面視で、前記第1陰極貫通電極が第1陰極層の内側に位置し、前記第1陽極貫通電極が前記第1陰極層の外側に位置し、前記第2陽極貫通電極が前記第1陰極層の外側に位置する、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項7】
前記陽極板の厚み方向からの平面視で、前記第1陰極貫通電極が第1陰極層の内側に位置し、前記第1陽極貫通電極が前記第1陰極層の外側に位置し、前記第2陽極貫通電極が前記第1陰極層の外側に位置し、前記第3陽極貫通電極が前記第1陰極層の外側に位置する、請求項2に記載のコンデンサ。
【請求項8】
前記陽極板の厚み方向からの平面視で、前記第1陰極貫通電極が第1陰極層の内側に位置し、前記第1陽極貫通電極が前記第1陰極層の外側に位置し、前記第2陽極貫通電極が前記第1陰極層の外側に位置し、前記第3陽極貫通電極が前記第1陰極層の外側に位置し、前記第4陽極貫通電極が前記第1陰極層の外側に位置する、請求項3に記載のコンデンサ。
【請求項9】
前記陽極板の厚み方向からの平面視で、前記第1陰極貫通電極が第1陰極層の内側に位置し、前記第2陰極貫通電極が第2陰極層の内側に位置し、前記第3陰極貫通電極が第3陰極層の内側に位置し、前記第1陽極貫通電極が前記第1陰極層、前記第2陰極層及び前記第3陰極層の外側に位置し、前記第2陽極貫通電極が前記第1陰極層、前記第2陰極層及び前記第3陰極層の外側に位置する、請求項4に記載のコンデンサ。
【請求項10】
前記陽極板の厚み方向からの平面視で、前記第1陰極貫通電極が第1陰極層の内側に位置し、前記第2陰極貫通電極が第2陰極層の内側に位置し、前記第3陰極貫通電極が第3陰極層の内側に位置し、前記第4陰極貫通電極が第4陰極層の内側に位置し、前記第1陽極貫通電極が前記第1陰極層、前記第2陰極層、前記第3陰極層及び前記第4陰極層の外側に位置し、前記第2陽極貫通電極が前記第1陰極層、前記第2陰極層、前記第3陰極層及び前記第4陰極層の外側に位置する、請求項5に記載のコンデンサ。
【請求項11】
前記多孔質層は、前記陽極板の両方の主面に設けられている、請求項1~10のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項12】
シート状の第1封止層と、
シート状の第2封止層と、をさらに備え、
前記固体電解コンデンサ素子は、厚み方向に相対する第1主面及び第2主面を有し、
前記固体電解コンデンサ素子の前記第1主面側が前記第1封止層上に配置されており、
前記第2封止層は、前記第1封止層上の前記固体電解コンデンサ素子を前記第2主面側から覆うように配置されている、請求項1~11のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項13】
前記固体電解コンデンサ素子と前記第1封止層又は前記第2封止層との間に、応力緩和層をさらに備える、請求項12に記載のコンデンサ。
【請求項14】
前記応力緩和層は、絶縁性樹脂から構成される、請求項13に記載のコンデンサ。
【請求項15】
前記応力緩和層は、前記第1封止層及び前記第2封止層の少なくとも一方よりも透湿性が低い、請求項13又は14に記載のコンデンサ。
【請求項16】
請求項12~15のいずれか1項に記載のコンデンサと、
前記コンデンサの前記第1封止層又は前記第2封止層の外側に設けられ、前記コンデンサの前記陽極板及び前記陰極層のそれぞれと接続された外部電極と、
前記外部電極と接続された電子部品とを備える、複合電子部品。
【請求項17】
前記陰極ビア導体は、少なくとも第1陰極ビア導体及び第2陰極ビア導体を含み、
前記第1陰極ビア導体及び前記第2陰極ビア導体は、前記第1陰極貫通電極に電気的に接続し、かつ、
前記陽極板の厚み方向からの平面視で、前記第1陰極ビア導体と前記第1陰極貫通電極との中心間距離は、前記第2陰極ビア導体と前記第1陰極貫通電極との中心間距離と同等である、請求項1~16のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ及び複合電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のコンデンサ素子からなるコンデンサ素子群と、このコンデンサ素子群の上記コンデンサ素子の1又は2以上の陽極導出線のそれぞれに接続されて引き出された1又は2以上の陽極端子と、上記コンデンサ素子の陰極層に接続されて引き出された1又は2以上の陰極端子と、上記コンデンサ素子を被覆する外装樹脂層と、を備え、上記陽極端子及び上記陰極端子を外部端子として構成したことを特徴とする固体電解コンデンサアレイが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-281750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、複数のコンデンサ素子を陽極端子及び陰極端子に接続してアレイ構造とすることで、低ESR(等価直列抵抗)及び低ESL(等価直列インダクタンス)を実現し、かつ高周波特性に優れた固体電解コンデンサアレイを容易に製造することができるとされている。
【0005】
しかし、特許文献1に記載されている方法を用いて複数のコンデンサ素子をアレイ状にする場合、予め形成されたコンデンサ素子同士を接続する必要があるため、製造プロセスが煩雑になりやすい、コンデンサアレイ全体の体積容量密度が低い、等の問題がある。そのため、高周波化に対する性能として最適であるとは言えない。
【0006】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、複数の固体電解コンデンサ素子が1つに集約され、レイアウトの自由度が高いコンデンサアレイを提供することを目的とする。本発明はまた、上記コンデンサアレイの外部電極上に電子部品が実装された複合電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコンデンサアレイは、1枚の固体電解コンデンサシートが分割されてなる複数の固体電解コンデンサ素子と、シート状の第1封止層と、シート状の第2封止層とを備える。上記固体電解コンデンサシートは、弁作用金属からなる陽極板と、上記陽極板の少なくとも一方の主面に設けられた多孔質層と、上記多孔質層の表面に設けられた誘電体層と、上記誘電体層の表面に設けられた固体電解質層を含む陰極層とを備え、厚み方向に相対する第1主面及び第2主面を有する。上記複数の固体電解コンデンサ素子は、それぞれの上記第1主面側が上記第1封止層上に配置されている。上記第2封止層は、上記第1封止層上の上記複数の固体電解コンデンサ素子を上記第2主面側から覆うように配置されている。上記固体電解コンデンサ素子間がスリット状のシート除去部によって分割されている。
【0008】
本発明の複合電子部品は、本発明のコンデンサアレイと、上記コンデンサアレイの上記第1封止層又は上記第2封止層の外側に設けられ、上記コンデンサアレイの上記陽極板及び上記陰極層のそれぞれと接続された外部電極と、上記外部電極と接続された電子部品とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の固体電解コンデンサ素子が1つに集約され、レイアウトの自由度が高いコンデンサアレイを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明のコンデンサアレイの一例を模式的に示す断面図である。
図2図2は、シート除去部の別の一例を模式的に示す拡大断面図である。
図3図3Aは、化成箔を準備する工程の一例を模式的に示す斜視図であり、図3Bは、その断面図である。
図4図4Aは、絶縁層を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図であり、図4Bは、その断面図である。
図5図5は、貫通孔を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。
図6図6Aは、固体電解質層を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図であり、図6Bは、その断面図である。
図7図7Aは、カーボン層を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図であり、図7Bは、その断面図である。
図8図8Aは、銅層を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図であり、図8Bは、その断面図である。
図9図9Aは、第1封止層を配置する工程の一例を模式的に示す斜視図であり、図9Bは、その断面図である。
図10図10Aは、固体電解コンデンサシートを切断する工程の一例を模式的に示す斜視図であり、図10Bは、その断面図である。
図11図11は、固体電解コンデンサ素子とは異なる種類のコンデンサ素子を配置する工程の一例を模式的に示す斜視図である。
図12図12Aは、第2封止層を配置する工程の一例を模式的に示す斜視図であり、図12Bは、その断面図である。
図13図13Aは、複数のコンデンサアレイに分割する工程の一例を模式的に示す斜視図であり、図13Bは、その断面図である。
図14図14は、陽極外部電極を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。
図15図15は、陰極外部電極を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。
図16図16は、陰極外部電極を形成する工程の別の一例を模式的に示す斜視図である。
図17図17は、貫通孔の機能を説明するための図15の透過図である。
図18図18は、貫通孔の機能を説明するための図16の透過図である。
図19図19Aは、陽極及び陰極の構造の第1の変形例を第2封止層側から見た投影平面図であり、図19Bは、図19Aのb-b線に沿った投影断面図である。
図20図20Aは、陽極及び陰極の構造の第2の変形例を第2封止層側から見た投影平面図であり、図20Bは、図20Aのb-b線に沿った投影断面図である。
図21図21Aは、陽極及び陰極の構造の第3の変形例を第2封止層側から見た投影平面図であり、図21Bは、図21Aのb-b線に沿った投影断面図である。
図22図22Aは、陽極及び陰極の構造の第4の変形例を第2封止層側から見た投影平面図であり、図22Bは、図22Aのb-b線に沿った投影断面図である。
図23図23は、固体電解コンデンサシートを切断する工程の別の一例を模式的に示す斜視図である。
図24図24は、平面形状が矩形ではない容量部の一例を模式的に示す平面図である。
図25図25は、応力緩和層を備えるコンデンサアレイの一例を模式的に示す断面図である。
図26図26は、図25に示すコンデンサアレイを製造するための固体電解コンデンサシートの一例を模式的に示す斜視図である。
図27図27は、応力緩和層を備えるコンデンサアレイの別の一例を模式的に示す断面図である。
図28図28は、図27に示すコンデンサアレイを製造するための固体電解コンデンサシートの一例を模式的に示す斜視図である。
図29図29は、応力緩和層を備えるコンデンサアレイのさらに別の一例を模式的に示す断面図である。
図30図30は、図29に示すコンデンサアレイを製造するための固体電解コンデンサシートの一例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のコンデンサアレイ、及び、複合電子部品について説明する。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
【0012】
[コンデンサアレイ]
本発明のコンデンサアレイは、複数の固体電解コンデンサ素子と、シート状の第1封止層と、シート状の第2封止層とを備える。複数の固体電解コンデンサ素子は、それぞれの第1主面側が第1封止層上に配置されており、第2封止層は、第1封止層上の複数の固体電解コンデンサ素子を第2主面側から覆うように配置されている。
【0013】
本発明のコンデンサアレイでは、複数の固体電解コンデンサ素子が元々1枚の固体電解コンデンサシートであり、固体電解コンデンサ素子間がスリット状のシート除去部によって分割されていることを特徴としている。
【0014】
1枚のシートから複数の固体電解コンデンサ素子を一括して形成することで、レイアウトの自由度が高いコンデンサアレイを安価に製造することができる。したがって、中央処理装置(CPU)やパワーマネージメントIC(PMIC)など個々のアプリケーションごとに異なる配線経路に柔軟に対応することができる。
【0015】
また、固体電解コンデンサ素子を分割する際のサイズを変えることで、コンデンサアレイ内に特性の異なる固体電解コンデンサ素子を配置することができる。これにより、並列接続した際に広帯域の特性インピーダンスを合わせることができる。
【0016】
本発明のコンデンサアレイにおいて、第1封止層及び第2封止層とは、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの封止樹脂を含む層である。これらの封止層によりコンデンサアレイの形成時及び熱ストレス負荷時に素子部へ応力が掛からないように、封止層のガラス転移温度Tgや弾性率をコントロールする必要がある。具体的には、アルミナ、シリカなどの無機フィラーが高充填されたものであることが好ましい。
【0017】
図1は、本発明のコンデンサアレイの一例を模式的に示す断面図である。
図1に示すコンデンサアレイ1は、複数の固体電解コンデンサ素子10A、10B及び10Cと、シート状の第1封止層11と、シート状の第2封止層12とを備えている。固体電解コンデンサ素子10Aは、厚み方向(図1では上下方向)に相対する第1主面S1及び第2主面S2を有し、第1主面S1側が第1封止層11上に配置されている。固体電解コンデンサ素子10B及び10Cも同様である。第2封止層12は、第1封止層11上の複数の固体電解コンデンサ素子10A、10B及び10Cを第2主面S2側から覆うように配置されている。したがって、図1に示すコンデンサアレイ1は、全体としてシート状の形状を有している。
【0018】
図1に示すコンデンサアレイ1において、固体電解コンデンサ素子10Aは、陽極板21と、陽極板21の少なくとも一方の主面に設けられた多孔質層22と、多孔質層22の表面に設けられた誘電体層23と、誘電体層23の表面に設けられた陰極層24とを備えている。図1では、陰極層24は、誘電体層23の表面に設けられた固体電解質層24aと、固体電解質層24aの表面に設けられたカーボン層24bと、カーボン層24bの表面に設けられた銅層24cとを含む。図1では、陽極板21の両方の主面に多孔質層22及び誘電体層23が設けられ、第2主面S2側にのみ陰極層24が設けられているが、第1主面S1側にのみ陰極層24が設けられていてもよいし、第1主面S1側及び第2主面S2側の両方に陰極層24が設けられていてもよい。また、多孔質層22は、陽極板21の両方の主面に設けられていてもよいし、いずれか一方の主面に設けられていてもよい。固体電解コンデンサ素子10B及び10Cも同様である。
【0019】
固体電解コンデンサ素子10A、10B及び10Cは、元々1枚の固体電解コンデンサシート100(図8A及び図8B等参照)である。固体電解コンデンサ素子10Aと固体電解コンデンサ素子10Bとの間、及び、固体電解コンデンサ素子10Bと固体電解コンデンサ素子10Cとの間は、スリット状のシート除去部25によって分割されている。したがって、固体電解コンデンサ素子10A、10B及び10Cの構成は、それぞれ同じである。また、第2封止層12の底面から各々の固体電解コンデンサ素子10A、10B及び10Cの陽極板21までの距離は一定である。
【0020】
図1に示すように、第1封止層11側に向かって、第2封止層12が、第1封止層11上で隣り合う固体電解コンデンサ素子の陽極板21の間に入り込み、さらに、第1封止層11の一部に入り込んでいることが好ましい。
第2封止層12が第1封止層11の一部に入り込んでいると、第1封止層11と第2封止層12との密着性が向上するため、コンデンサアレイ1の信頼性が向上する。
【0021】
図1に示すコンデンサアレイ1においては、第1封止層11側に向かって、第2封止層12が、第1封止層11上で隣り合う全ての固体電解コンデンサ素子の陽極板21の間に入り込み、さらに、第1封止層11の一部に入り込んでいるが、第1封止層11の一部に第2封止層12が入り込んでいない箇所が存在していてもよい。また、第2封止層12は、第1封止層11に入り込んでいなくてもよい。
【0022】
図1に示すように、第2主面S2側の陰極層24が設けられていない誘電体層23の表面には、陽極板21と陰極層24とを絶縁するための絶縁層30が設けられていることが好ましい。図1では、第1主面S1側の誘電体層23の表面に絶縁層30が設けられているが、第1主面S1側の誘電体層23の表面に絶縁層30が設けられていなくてもよい。
【0023】
図1には示されていないが、後述するように、第1封止層11又は第2封止層12の外側には、陽極板21及び陰極層24のそれぞれと接続された外部電極が設けられる。
【0024】
陽極板又は陰極層と外部電極とが接続される形態は特に限定されないが、第1封止層又は第2封止層を厚み方向に貫通する貫通電極が設けられ、貫通電極を介して陽極板又は陰極層と外部電極とが接続されることが好ましい。貫通電極を介することにより、陽極板又は陰極層から外部電極までの引き出し距離を短くすることができる。
【0025】
図1に示すコンデンサアレイ1では、固体電解コンデンサ素子10A及び10Cの側面が露出しているが、例えば、第1封止層又は第2封止層で覆われていてもよいし、絶縁層で覆われていてもよい。また、固体電解コンデンサ素子と第1封止層又は第2封止層との間に、例えば、応力緩和層、防湿膜等が設けられていてもよい。
【0026】
本発明のコンデンサアレイにおいて、第1封止層上で隣り合う固体電解コンデンサ素子の陽極板の間隔(図1中、D10で示す長さ)は特に限定されないが、15μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることがさらに好ましい。一方、第1封止層上で隣り合う固体電解コンデンサ素子の陽極板の間隔は、500μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることがさらに好ましい。
【0027】
本発明のコンデンサアレイにおいて、第1封止層上に配置される固体電解コンデンサ素子の個数は、2個以上であれば特に限定されない。固体電解コンデンサ素子は、第1封止層上に直線状に配置されていてもよいし、平面状に配置されていてもよい。また、固体電解コンデンサ素子は、第1封止層上に規則的に配置されていてもよいし、不規則に配置されていてもよい。固体電解コンデンサ素子の大きさ、形状などは、同じでもよいし、一部又は全部が異なっていてもよい。
【0028】
図2は、シート除去部の別の一例を模式的に示す拡大断面図である。
図2に示すシート除去部25Aは、固体電解コンデンサ素子10A及び10Bの第2主面S2から第1主面S1に向かって幅が小さくなるテーパーを有している。シート除去部25Aのテーパーは、固体電解コンデンサ素子10A及び10Bの第1主面S1側の多孔質層22に達しておらず、陽極板21にも達していない。
【0029】
本発明のコンデンサアレイにおいて、シート除去部は、固体電解コンデンサ素子の一方の主面から他方の主面に向かって幅が小さくなるテーパーを有することが好ましい。シート除去部は、固体電解コンデンサ素子の第2主面から第1主面に向かって幅が小さくなるテーパーを有してもよいし、固体電解コンデンサ素子の第1主面から第2主面に向かって幅が小さくなるテーパーを有してもよい。
【0030】
上記テーパーは、固体電解コンデンサ素子の陽極板に達していないことが好ましい。特に、多孔質層が陽極板の両方の主面に設けられている場合、上記テーパーは、固体電解コンデンサ素子の他方の主面側の多孔質層には達していないことが好ましい。固体電解コンデンサ素子の第2主面から第1主面に向かって幅が小さくなるテーパーを有する場合には、上記テーパーは、固体電解コンデンサ素子の第1主面側の多孔質層には達していないことが好ましい。一方、固体電解コンデンサ素子の第1主面から第2主面に向かって幅が小さくなるテーパーを有する場合には、上記テーパーは、固体電解コンデンサ素子の第2主面側の多孔質層には達していないことが好ましい。
【0031】
本発明のコンデンサアレイにおいて、絶縁層は樹脂からなることが好ましい。絶縁層を構成する樹脂としては、例えば、ポリフェニルスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、シアン酸エステル樹脂、フッ素樹脂(テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等)、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、及び、それらの誘導体又は前駆体等の絶縁性樹脂が挙げられる。なお、絶縁層は、第1封止層及び第2封止層と同じ樹脂で構成されていてもよい。第1封止層及び第2封止層と異なり、絶縁層に無機フィラーが含まれると固体電解コンデンサ素子の有効部に悪影響を及ぼすおそれがあるため、絶縁層は樹脂単独の系からなることが好ましい。
【0032】
本発明のコンデンサアレイにおいて、第1封止層及び第2封止層は、樹脂からなることが好ましい。第1封止層及び第2封止層を構成する樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。さらに、第1封止層及び第2封止層は、フィラーを含むことが好ましい。第1封止層及び第2封止層に含まれるフィラーとしては、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子、金属粒子等の無機フィラーが挙げられる。第1封止層を構成する樹脂は、第2封止層を構成する樹脂と同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0033】
第1封止層及び第2封止層は、それぞれ、1層のみから構成されていてもよいし、2層以上から構成されていてもよい。第1封止層を構成する層の数は、第2封止層を構成する層の数と同じでもよいし、異なっていてもよい。第1封止層又は第2封止層が2層以上から構成される場合、陽極板又は陰極層と外部電極との間に存在する各封止層を厚み方向に貫通する貫通電極が設けられるとともに、各封止層の間に内部電極が設けられ、貫通電極及び内部電極を介して陽極板又は陰極層と外部電極とが接続されてもよい。
【0034】
本発明のコンデンサアレイにおいて、固体電解コンデンサ素子の陽極板は、いわゆる弁作用を示す弁作用金属からなる。弁作用金属としては、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム等の金属単体、又は、これらの金属を含む合金等が挙げられる。これらの中では、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
【0035】
陽極板の形状は、平板状であることが好ましく、箔状であることがより好ましい。陽極板は、少なくとも一方の主面に多孔質層を有していればよく、両方の主面に多孔質層を有していてもよい。多孔質層は、陽極板の表面に形成されたエッチング層であることが好ましい。
【0036】
エッチング処理前の陽極板の厚みは、60μm以上、200μm以下であることが好ましい。エッチング処理後にエッチングされていない芯部の厚みは、15μm以上、70μm以下であることが好ましい。多孔質層の厚みは要求される耐電圧、静電容量に合わせて設計されるが、芯部の両側の多孔質層を合わせて10μm以上、180μm以下であることが好ましい。
【0037】
本発明のコンデンサアレイにおいて、固体電解コンデンサ素子の誘電体層は、多孔質層の表面に設けられている。誘電体層は、多孔質層の表面に沿って形成されることにより細孔(凹部)が形成されている。誘電体層は、上記弁作用金属の酸化皮膜からなることが好ましい。例えば、陽極板としてアルミニウム箔が用いられる場合、アジピン酸アンモニウム等を含む水溶液中でアルミニウム箔の表面に対して陽極酸化処理(化成処理ともいう)を行うことにより、酸化皮膜からなる誘電体層を形成することができる。
【0038】
誘電体層の厚みは要求される耐電圧、静電容量に合わせて設計されるが、10nm以上、100nm以下であることが好ましい。
【0039】
本発明のコンデンサアレイにおいて、固体電解コンデンサ素子の陰極層は、誘電体層の表面に設けられている。陰極層は、誘電体層の表面に設けられた固体電解質層を含む。陰極層は、さらに、固体電解質層の表面に設けられた導電体層を含むことが好ましい。
【0040】
固体電解質層を構成する材料としては、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類等の導電性高分子等が挙げられる。これらの中では、ポリチオフェン類が好ましく、PEDOTと呼ばれるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。また、上記導電性高分子は、ポリスチレンスルホン酸(PSS)等のドーパントを含んでいてもよい。
【0041】
固体電解質層は、例えば、3,4-エチレンジオキシチオフェン等のモノマーを含む処理液を用いて、誘電体層の表面にポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)等の重合膜を形成する方法や、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)等のポリマーの分散液を誘電体層の表面に塗布して乾燥させる方法等によって形成される。なお、誘電体層の細孔(凹部)を充填する内層を形成した後、誘電体層を被覆する外層を形成することにより、固体電解質層を形成することが好ましい。
【0042】
固体電解質層は、上記の処理液又は分散液を、スポンジ転写、スクリーン印刷、ディスペンサ、インクジェット印刷等によって誘電体層上に塗布することにより、所定の領域に形成することができる。固体電解質層の厚みは、2μm以上、20μm以下であることが好ましい。
【0043】
導電体層は、導電性樹脂層及び金属層のうち、少なくとも1層を含む。導電体層は、導電性樹脂層のみでもよく、金属層のみでもよい。導電体層は、固体電解質層の全面を被覆することが好ましい。
【0044】
導電性樹脂層としては、例えば、銀フィラー、銅フィラー、ニッケルフィラー及びカーボンフィラーからなる群より選択される少なくとも1種の導電性フィラーを含む導電性接着剤層等が挙げられる。
【0045】
金属層としては、例えば、金属めっき膜、金属箔等が挙げられる。
金属層は、ニッケル、銅、銀及びこれらの金属を主成分とする合金からなる群より選択される少なくとも一種の金属からなることが好ましい。なお、「主成分」とは、元素の存在割合(重量%)が最も大きい元素成分をいう。
【0046】
導電体層は、例えば、固体電解質層の表面に設けられたカーボン層と、カーボン層の表面に設けられた陰極引き出し層とを含む。
【0047】
カーボン層は、固体電解質層と陰極引き出し層とを電気的に及び機械的に接続させるために設けられている。
【0048】
カーボン層は、カーボンペーストをスポンジ転写、スクリーン印刷、ディスペンサ、インクジェット印刷等によって固体電解質層上に塗布することにより、所定の領域に形成することができる。なお、カーボン層は、乾燥前の粘性のある状態で、次工程の陰極引き出し層を積層することが好ましい。カーボン層の厚みは、2μm以上、20μm以下であることが好ましい。
【0049】
陰極引き出し層は、例えば、印刷電極層である。
印刷電極層は、電極ペーストをスポンジ転写、スクリーン印刷、スプレー塗布、ディスペンサ、インクジェット印刷等によってカーボン層上に印刷することにより形成することができる。電極ペーストとしては、銀、銅又はニッケルを主成分とする電極ペーストを用いることが好ましい。スクリーン印刷の場合、陰極引き出し層の厚みを2μm以上、20μm以下にすることも可能である。
【0050】
本発明のコンデンサアレイは、好ましくは、以下のように製造される。
【0051】
本発明のコンデンサアレイの製造方法は、厚み方向に相対する第1主面及び第2主面を有する固体電解コンデンサシートを準備する工程と、固体電解コンデンサシートの第1主面側に、シート状の第1封止層を配置する工程と、固体電解コンデンサシートを第2主面側から厚み方向に切断することにより、第1封止層上に配置された複数の固体電解コンデンサ素子に分割する工程と、第1封止層上の複数の固体電解コンデンサ素子を第2主面側から覆うように、シート状の第2封止層を配置する工程とを備える。
【0052】
複数の固体電解コンデンサ素子を個別に第1封止層上に配置する場合、隣り合う固体電解コンデンサ素子の間にはクリアランスを設ける必要がある。そのため、固体電解コンデンサ素子の個数が多くなるほど、クリアランスが占める割合が大きくなり、一方で、固体電解コンデンサ素子の有効部が占める割合は小さくなる。
これに対し、固体電解コンデンサシートの第1主面側に第1封止層を配置した状態で、固体電解コンデンサシートを第2主面側から切断して複数の固体電解コンデンサ素子に分割することにより、固体電解コンデンサ素子の有効部が占める割合の大きいコンデンサアレイを製造することができる。
【0053】
以下、各工程の一例について説明する。
【0054】
まず、図3A図3B図4A図4B図5図6A図6B図7A図7B図8A及び図8Bに示すように、固体電解コンデンサシートを準備する。
【0055】
図3Aは、化成箔を準備する工程の一例を模式的に示す斜視図であり、図3Bは、その断面図である。
少なくとも一方の主面に多孔質層22が設けられ、多孔質層22の表面に誘電体層23が設けられた陽極板21として、アルミニウム等の化成箔20を準備する。化成箔20に代えて、例えば、陽極板としてアルミニウム箔を準備し、アルミニウム箔の表面に対してエッチング処理を行うことにより多孔質層を形成した後、アジピン酸アンモニウム等を含む水溶液中で陽極酸化処理を行うことにより、酸化皮膜からなる誘電体層を形成してもよい。
【0056】
図4Aは、絶縁層を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図であり、図4Bは、その断面図である。
固体電解コンデンサ素子の有効部を区分するため、誘電体層23上に絶縁性樹脂を塗布することにより、絶縁層30を形成する。絶縁性樹脂を塗布する方法は特に限定されず、例えば、ディスペンサ、スクリーン印刷等が挙げられる。図4Aでは、縦3個×横2個の合計6個の固体電解コンデンサ素子が搭載される領域が1つのコンデンサアレイ単位となっている。
【0057】
図5は、貫通孔を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。
コンデンサアレイ単位の周囲の所定の位置に、絶縁層30が形成された化成箔20を厚み方向に貫通する貫通孔31を形成する。
【0058】
後述するように、貫通孔31内には、貫通電極が形成される。この貫通電極は、陽極板と外部電極との接続、又は、陰極層と外部電極との接続に用いられる。貫通電極は、陽極板を挟むように形成された陰極層同士の接続に用いられてもよい。また、貫通電極は、上記以外の接続に用いられてもよい。[複合電子部品]で説明するように、本発明のコンデンサアレイは、電子部品が実装されることにより複合電子部品となる。複合電子部品においては、貫通孔31内に形成される貫通電極を介して、コンデンサアレイの外部電極と電子部品とが厚み方向に接続されるか、又は、コンデンサアレイ以外の電子部品同士が厚み方向に接続される。
【0059】
さらに、図5に示すように、固体電解コンデンサ素子とは異なる種類のコンデンサ素子を配置するための貫通孔32を形成してもよい。
【0060】
図6Aは、固体電解質層を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図であり、図6Bは、その断面図である。
誘電体層23上に固体電解質層24aを形成する。例えば、3,4-エチレンジオキシチオフェン等のモノマーを含む処理液を用いて、誘電体層の表面にポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)等の重合膜を形成する方法や、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)等のポリマーの分散液を誘電体層の表面に塗布して乾燥させる方法等により、固体電解質層を形成することができる。なお、誘電体層の細孔を充填する内層を形成した後、誘電体層を被覆する外層を形成することにより、固体電解質層を形成することが好ましい。
【0061】
図7Aは、カーボン層を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図であり、図7Bは、その断面図である。
固体電解質層24a上にカーボン層24bを形成する。例えば、カーボンフィラーを含む導電性接着ペーストを塗布及び乾燥させることにより、カーボン層を形成することができる。
【0062】
図8Aは、銅層を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図であり、図8Bは、その断面図である。
カーボン層24b上に銅層24cを形成する。その結果、固体電解質層24aとカーボン層24bと銅層24cとを含む陰極層24が誘電体層23上に形成される。例えば、銅フィラーを含む導電性接着ペーストを用いて銅層を形成してもよいし、銅めっき処理により銅層を形成してもよい。
【0063】
以上により、陽極板21と、陽極板21の少なくとも一方の主面に設けられた多孔質層22と、多孔質層22の表面に設けられた誘電体層23と、誘電体層23の表面に設けられた陰極層24とを備える固体電解コンデンサシート100が得られる。図8Bに示すように、固体電解コンデンサシート100は、厚み方向に相対する第1主面S1及び第2主面S2を有している。
【0064】
次に、図9A及び図9Bに示すように、固体電解コンデンサシートの第1主面側に、シート状の第1封止層を配置する。
【0065】
図9Aは、第1封止層を配置する工程の一例を模式的に示す斜視図であり、図9Bは、その断面図である。
固体電解コンデンサシート100の第1主面S1側に、第1封止層11を配置する。例えば、絶縁性樹脂からなるシートを固体電解コンデンサシートに貼り合わせる。貫通孔31及び32の一部には、第1封止層11が入り込んでもよい。
【0066】
続いて、図10A及び図10Bに示すように、固体電解コンデンサシートを第2主面側から厚み方向に切断することにより、第1封止層上に配置された複数の固体電解コンデンサ素子に分割する。切断方法としては、例えば、レーザー加工、ダイシング加工等が挙げられる。
【0067】
図10Aは、固体電解コンデンサシートを切断する工程の一例を模式的に示す斜視図であり、図10Bは、その断面図である。
第1主面S1側の第1封止層11を支持体として、固体電解コンデンサシート100を第2主面S2側から厚み方向に切断する。この際、第1封止層11の一部も切断されることが好ましい。これにより、固体電解コンデンサシート100は、第1封止層11上に配置されたまま、スリット状のシート除去部25によって固体電解コンデンサ素子10A、10B、10C、10D、10E及び10Fに分割される。厳密に言うと、図10Aに示すように、コンデンサアレイ単位が隣接する部分では固体電解コンデンサ素子に分割されていないが、1つのコンデンサアレイ単位では、固体電解コンデンサ素子10A、10B、10C、10D、10E及び10Fに分割されていると考えることができる。
【0068】
シート除去部の幅は特に限定されないが、15μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることがさらに好ましい。一方、第1封止層上で隣り合う固体電解コンデンサ素子の陽極板の間隔は、500μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることがさらに好ましい。
【0069】
シート除去部の長さ/幅の比率であるアスペクト比は、10以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましい。一方、シート除去部のアスペクト比は、1000以下であることが好ましい。
【0070】
図11は、固体電解コンデンサ素子とは異なる種類のコンデンサ素子を配置する工程の一例を模式的に示す斜視図である。
図11に示すように、貫通孔32を形成した空間に、固体電解コンデンサ素子と異なる種類のコンデンサ素子110を配置してもよい。固体電解コンデンサ素子とは異なる種類のコンデンサ素子としては、例えば、積層セラミックコンデンサ、シリコンキャパシタ等が挙げられる。
【0071】
そして、図12A及び図12Bに示すように、第1封止層上の複数の固体電解コンデンサ素子を第2主面側から覆うように、シート状の第2封止層を配置する。
【0072】
図12Aは、第2封止層を配置する工程の一例を模式的に示す斜視図であり、図12Bは、その断面図である。
複数の固体電解コンデンサ素子10A、10B、10C、10D、10E及び10Fを第2主面S2側から覆うように、第2封止層12を配置する。例えば、絶縁性樹脂からなるシートを固体電解コンデンサ素子に貼り合わせる。この際、第1主面S1側に向かって、第2封止層12は、第1封止層11上で隣り合う固体電解コンデンサ素子の陽極板21の間に入り込み、さらに、第1封止層11の一部に入り込む。
【0073】
図13Aは、複数のコンデンサアレイに分割する工程の一例を模式的に示す斜視図であり、図13Bは、その断面図である。
図13A及び図13Bに示すように、コンデンサアレイ単位ごとに切断することにより、1つのアレイの中に複数の固体電解コンデンサ素子10A、10B、10C、10D、10E及び10Fが搭載されたコンデンサアレイ1が得られる。
【0074】
上述の方法では、大判の化成箔を用いて複数のコンデンサアレイに分割しているが、1つ分のコンデンサアレイが得られる大きさの化成箔を用いて、コンデンサアレイに分割する工程を行わなくてもよい。
【0075】
本発明のコンデンサアレイの製造方法においては、上述の方法のように、固体電解コンデンサシートを切断した後、第2封止層を配置することが好ましい。しかし、第2封止層の一部を配置し、第2封止層とともに固体電解コンデンサシートを切断した後、残りの第2封止層を第2主面側に配置してもよい。
【0076】
以上により、本発明のコンデンサアレイを製造することができる。
【0077】
以上のようにコンデンサアレイを作製した後、コンデンサアレイの第1封止層又は第2封止層の外側に、コンデンサアレイの陽極板及び陰極層のそれぞれと接続される外部電極を形成することが好ましい。例えば、銅箔を貼り付けた後にエッチング処理を行うことにより、所望のパターンを有する外部電極を形成することができる。以下、陽極板と接続される外部電極を陽極外部電極、陰極層と接続される外部電極を陰極外部電極ともいう。
【0078】
図14は、陽極外部電極を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。
図14では、第2封止層12の外側に、各陽極板21に対して陽極外部電極41A、41B、41C、41D、41E及び41Fが形成されている。図14に示すように、固体電解コンデンサ素子10Bとコンデンサ素子110とを並列で接続するように陽極外部電極41Bが形成されてもよい。
【0079】
図15は、陰極外部電極を形成する工程の一例を模式的に示す斜視図である。
図15では、第2封止層12の外側に、陰極外部電極42A、42B、42C及び42Dが形成されている。陰極外部電極42Aは、固体電解コンデンサ素子10A及び10Bの陰極層24と共通で接続され、陰極外部電極42Cは、固体電解コンデンサ素子10D及び10Eの陰極層24と共通で接続される。なお、各陰極層に対して陰極外部電極が形成されてもよい。
【0080】
図16は、陰極外部電極を形成する工程の別の一例を模式的に示す斜視図である。
図16では、第2封止層12の外側に、陰極外部電極42A及び42Bが形成されている。陰極外部電極42Aは、固体電解コンデンサ素子10A、10B、10D及び10Eの陰極層24と共通で接続され、陰極外部電極42Bは、固体電解コンデンサ素子10C及び10Fの陰極層24と共通で接続される。
【0081】
図示されていないが、第2封止層(あるいは第1封止層)を厚み方向に貫通する貫通電極を形成し、貫通電極を介して、陽極板と陽極外部電極とを接続し、陰極層と陰極外部電極とを接続することが好ましい。貫通電極を形成する方法は特に限定されないが、例えば、陽極外部電極及び陰極外部電極を形成した後、レーザービア加工を行う方法等が挙げられる。また、第1封止層又は第2封止層を配置する前に貫通電極を形成してもよいし、第1封止層又は第2封止層を配置した後、陽極外部電極及び陰極外部電極を形成する前に貫通電極を形成してもよい。
【0082】
図17は、貫通孔の機能を説明するための図15の透過図である。図18は、貫通孔の機能を説明するための図16の透過図である。
図17及び図18において、貫通孔31Xは、陽極板と外部電極との接続に用いられ、貫通孔31Yは、陰極層と外部電極との接続に用いられる。また、貫通孔31Zは、コンデンサ以外の接続に用いられる。
【0083】
なお、陽極外部電極及び陰極外部電極は、同時に形成してもよいし、それぞれ個別に形成してもよい。
【0084】
以下、陽極及び陰極の構造の変形例について、図面を参照しながら説明する。以下の図面においては、特徴的な構成のみを示しており、誘電体層、固体電解質層、絶縁層等の構成は省略している。
【0085】
図19Aは、陽極及び陰極の構造の第1の変形例を第2封止層側から見た投影平面図であり、図19Bは、図19Aのb-b線に沿った投影断面図である。
【0086】
図19A及び図19Bに示すコンデンサアレイ1Aは、ライン導体50と、第1封止層11及び第2封止層12を厚み方向に貫通する陽極貫通電極51と、第2封止層12を厚み方向に貫通する陽極ビア導体52と、第2封止層12の外側に設けられた陽極配線パターン53と、第1封止層11の外側に設けられた陽極配線パターン54とを備える。図19A及び図19Bに示すコンデンサアレイ1Aでは、多孔質層22の一部がライン状に除去されており、その除去部分にライン導体50が設けられている。そして、ライン導体50の直上に陽極ビア導体52が設けられており、陽極ビア導体52の直上に陽極配線パターン53が設けられている。ライン導体50、陽極ビア導体52、及び、陽極配線パターン53を介して、陽極板21が陽極貫通電極51と電気的に接続されている。
【0087】
図19A及び図19Bに示すコンデンサアレイ1Aは、さらに、第1封止層11及び第2封止層12を厚み方向に貫通する陰極貫通電極61と、第2封止層12を厚み方向に貫通する陰極ビア導体62と、第2封止層12の外側に設けられた陰極配線パターン63と、第1封止層11の外側に設けられた陰極配線パターン64とを備える。陰極層24の直上に陰極ビア導体62が設けられており、陰極ビア導体62の直上に陰極配線パターン63が設けられている。陰極ビア導体62、及び、陰極配線パターン63を介して、陰極層24が陰極貫通電極61と電気的に接続されている。
【0088】
図19Aに示すように、陽極Xと陰極Yとは、ライン状に互い違いに配置されることが好ましい。
【0089】
図20Aは、陽極及び陰極の構造の第2の変形例を第2封止層側から見た投影平面図であり、図20Bは、図20Aのb-b線に沿った投影断面図である。
【0090】
図20A及び図20Bに示すコンデンサアレイ1Bは、ライン導体50が陽極貫通電極51と同じライン上に位置していることを除いて、図19A及び図19Bに示すコンデンサアレイ1Aと同様の構成を有している。図20Aでは、陽極配線パターン53を省略しており、図20Bでは、陽極ビア導体52を省略している。
【0091】
図20Aに示すように、陽極Xと陰極Yとは、ライン状に互い違いに配置されることが好ましい。
【0092】
図21Aは、陽極及び陰極の構造の第3の変形例を第2封止層側から見た投影平面図であり、図21Bは、図21Aのb-b線に沿った投影断面図である。
【0093】
図21A及び図21Bに示すコンデンサアレイ1Cは、ライン導体50の代わりにビア導体50Aを備えることを除いて、図19A及び図19Bに示すコンデンサアレイ1Aと同様の構成を有している。図21A及び図21Bに示すコンデンサアレイ1Cでは、多孔質層22の一部に開口が形成されており、その開口にビア導体50Aが設けられている。図21A及び図21Bに示すコンデンサアレイ1Cでは、図19A及び図19Bに示すコンデンサアレイ1Aと比べて、省スペース化が可能である。
【0094】
図21Aに示すように、陽極Xと陰極Yとは、ライン状に互い違いに配置されることが好ましい。
【0095】
図22Aは、陽極及び陰極の構造の第4の変形例を第2封止層側から見た投影平面図であり、図22Bは、図22Aのb-b線に沿った投影断面図である。
【0096】
図22A及び図22Bに示すコンデンサアレイ1Dでは、陽極板21は、陽極貫通電極51の壁面で直接接続されている。そのため、図22A及び図22Bに示すコンデンサアレイ1Dでは、省スペース化が可能である。
【0097】
図22Aに示すように、陽極Xと陰極Yとは、千鳥格子状に配置されることが好ましい。
【0098】
以上のように、本発明のコンデンサアレイにおいては、第1封止層側又は第2封止層側から見たとき、陽極と陰極とをライン状に互い違いに配置すること、あるいは、千鳥格子状に配置することが可能である。
【0099】
また、本発明のコンデンサアレイにおいては、陽極の引き出しについて、主面方向及び端面方向のいずれから陽極貫通電極に接続してもよい。
【0100】
上述したように、本発明のコンデンサアレイを製造する際、固体電解コンデンサシートを切断する方法としては、レーザー加工、ダイシング加工等が挙げられる。中でも、レーザー加工を用いて固体電解コンデンサシートを切断することにより、固体電解コンデンサ素子を自由な形状に形成することができる。そのため、1つのコンデンサアレイの中に容量部の面積が異なる2種以上の固体電解コンデンサ素子を配置すること、コンデンサアレイ全体に掛からないようにシート除去部を配置すること、容量部の平面形状が矩形ではない固体電解コンデンサ素子を配置すること、等が可能になる。
【0101】
図23は、固体電解コンデンサシートを切断する工程の別の一例を模式的に示す斜視図である。
図23では、分割される固体電解コンデンサ素子の形状が図10Aと異なる。図23に示す例では、シート除去部25によって、容量部の面積が異なる3種の固体電解コンデンサ素子10A、10B及び10Cに分割されている。図23では、固体電解コンデンサ素子10A及び10Bを区画するシート除去部25の延伸上に固体電解コンデンサ素子10Cが配置されている。
【0102】
このように、本発明のコンデンサアレイにおいて、シート除去部の少なくとも一部は、コンデンサアレイ全体に掛からないように配置されていてもよい。
【0103】
本発明のコンデンサアレイにおいては、シート除去部の延伸上に少なくとも1つの固体電解コンデンサ素子が配置されていてもよい。
【0104】
本発明のコンデンサアレイにおいては、容量部の面積が異なる2種以上の固体電解コンデンサ素子が含まれていてもよい。
【0105】
本発明のコンデンサアレイにおいては、容量部の平面形状が矩形ではない固体電解コンデンサ素子が含まれていてもよい。本明細書において、「矩形」とは、正方形又は長方形を意味する。したがって、本発明のコンデンサアレイにおいては、例えば、容量部の平面形状が、矩形以外の四角形、三角形、五角形、六角形等の多角形や、曲線部を含む形状、円形、楕円形等の固体電解コンデンサ素子が含まれていてもよい。この場合、容量部の平面形状が異なる2種以上の固体電解コンデンサ素子が含まれていてもよい。また、容量部の平面形状が矩形ではない固体電解コンデンサ素子に加えて、容量部の平面形状が矩形である固体電解コンデンサ素子が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0106】
図24は、平面形状が矩形ではない容量部の一例を模式的に示す平面図である。
図24に示す容量部70は、外形が非矩形であり、かつ、内部に貫通孔71が形成されている。貫通孔71の内側には、上述の貫通電極を形成することが可能である。図24では、容量部70の外壁面及び内壁面に絶縁部72が設けられている。
【0107】
上述したように、本発明のコンデンサアレイは、固体電解コンデンサ素子と第1封止層又は第2封止層との間に、応力緩和層をさらに備えてもよい。この場合、応力緩和層は、固体電解コンデンサ素子と第1封止層との間、及び、固体電解コンデンサ素子と第2封止層との間のうち、少なくとも一方に設けられていればよい。
【0108】
本発明のコンデンサアレイが応力緩和層を備える場合、応力緩和層は、シート除去部内にも設けられていてもよい。言い換えると、応力緩和層は、隣り合う固体電解コンデンサ素子間にも設けられていてもよい。
【0109】
上記の箇所に応力緩和層を設けることにより、固体電解コンデンサ素子の最外部に配置される導体部及び絶縁部の各々に必要な能力(抵抗、ブロック性能など)や封止層に必要な能力(配線と密着しやすい、平滑に形成されやすいなど)を損なうことなく、コンデンサアレイの内部と外部との間に発生する応力を緩和することができる。特に、面内のレイアウトが異なる場合(例えば、固体電解コンデンサ素子の形状が主面内、あるいは他方主面と非対称である場合)などに、一部分だけ熱特性が異なるように応力緩和層を設けることにより、面方向の応力を緩和することもできる。
【0110】
図25は、応力緩和層を備えるコンデンサアレイの一例を模式的に示す断面図である。図26は、図25に示すコンデンサアレイを製造するための固体電解コンデンサシートの一例を模式的に示す斜視図である。図26では、便宜的に、1個分のコンデンサアレイのみに応力緩和層が設けられている。また、図25は、図26に示す固体電解コンデンサシートの矢印に沿った断面に対応している。
【0111】
図25に示すコンデンサアレイ1Eは、固体電解コンデンサ素子10A、10B、10Cと第1封止層11との間、及び、固体電解コンデンサ素子10A、10B、10Cと第2封止層12との間に、応力緩和層13を備えている。図25に示すコンデンサアレイ1Eでは、絶縁層30の全体を覆うように応力緩和層13が設けられている。さらに、応力緩和層13は、シート除去部25内に充填されている。
【0112】
図26には示されていないが、応力緩和層13は、固体電解コンデンサ素子10D、10E、10Fと第1封止層11との間にも設けられる。また、図26に示す状態から第2封止層12を配置することにより、応力緩和層13は、固体電解コンデンサ素子10D、10E、10Fと第2封止層12との間にも設けられる。図26に示す貫通孔31には、応力緩和層13が充填されていてもよいし、充填されていなくてもよい。
【0113】
図27は、応力緩和層を備えるコンデンサアレイの別の一例を模式的に示す断面図である。図28は、図27に示すコンデンサアレイを製造するための固体電解コンデンサシートの一例を模式的に示す斜視図である。図28では、便宜的に、1個分のコンデンサアレイのみに応力緩和層が設けられている。また、図27は、図28に示す固体電解コンデンサシートの矢印に沿った断面に対応している。
【0114】
図27に示すコンデンサアレイ1Fは、固体電解コンデンサ素子10A、10B、10Cと第1封止層11との間、及び、固体電解コンデンサ素子10A、10B、10Cと第2封止層12との間に、応力緩和層13を備えている。図27に示すコンデンサアレイ1Fでは、絶縁層30の全体だけでなく、固体電解コンデンサ素子10A、10B、10Cの全体を覆うように応力緩和層13が設けられている。さらに、応力緩和層13は、シート除去部25内に充填されている。
【0115】
図28には示されていないが、応力緩和層13は、固体電解コンデンサ素子10D、10E、10Fと第1封止層11との間にも設けられる。また、図28に示す状態から第2封止層12を配置することにより、応力緩和層13は、固体電解コンデンサ素子10D、10E、10Fと第2封止層12との間にも設けられる。図28に示す貫通孔31には、応力緩和層13が充填されていてもよいし、充填されていなくてもよい。
【0116】
図29は、応力緩和層を備えるコンデンサアレイのさらに別の一例を模式的に示す断面図である。図30は、図29に示すコンデンサアレイを製造するための固体電解コンデンサシートの一例を模式的に示す斜視図である。図30では、便宜的に、1個分のコンデンサアレイのみに応力緩和層が設けられている。また、図29は、図30に示す固体電解コンデンサシートの矢印に沿った断面に対応している。
【0117】
図29では、コンデンサアレイ1Gの一部分のみに応力緩和層13が設けられている。図29に示すコンデンサアレイ1Gは、固体電解コンデンサ素子10B、10Cと第1封止層11との間、及び、固体電解コンデンサ素子10A、10Cと第2封止層12との間に、応力緩和層13を備えている。さらに、応力緩和層13は、シート除去部25内に充填されている。
【0118】
図30には示されていないが、応力緩和層13は、固体電解コンデンサ素子10D、10E及び10Fの少なくとも1つと第1封止層11との間に設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。また、応力緩和層13は、固体電解コンデンサ素子10D、10E及び10Fの少なくとも1つと第2封止層12との間に設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。図30に示す貫通孔31には、応力緩和層13が充填されていてもよいし、充填されていなくてもよい。
【0119】
例えば、固体電解コンデンサ素子の形状が主面内、あるいは他方主面と非対称である場合、図29に示すコンデンサアレイ1Gのように、コンデンサアレイの一部分のみに応力緩和層13を設けることにより、コンデンサアレイ全体の熱応力のバランスをとることができる。
【0120】
本発明のコンデンサアレイにおいて、応力緩和層は、絶縁性樹脂から構成されることが好ましい。応力緩和層を構成する絶縁性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。さらに、応力緩和層は、フィラーを含むことが好ましい。応力緩和層に含まれるフィラーとしては、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子、金属粒子等の無機フィラーが挙げられる。応力緩和層を構成する絶縁性樹脂は、第1封止層及び第2封止層を構成する樹脂と異なることが好ましい。
【0121】
第1封止層及び第2封止層には、外装体として外部電極との密着性などの特性が要求されるため、一概に固体電解コンデンサ素子と線膨張係数を合わせることや任意の弾性率の樹脂を選択することは難しい。これに対し、応力緩和層を設けることにより、固体電解コンデンサ素子、第1封止層、第2封止層のそれぞれの機能を失うことなく熱応力設計の調整を行うことができる。
【0122】
応力緩和層は、第1封止層及び第2封止層の少なくとも一方よりも透湿性が低いことが好ましい。この場合、応力の調整に加えて、固体電解コンデンサ素子への水分の浸入を低減することができる。応力緩和層の透湿性は、応力緩和層を構成する絶縁性樹脂の種類、応力緩和層に含まれるフィラーの量などによって調整することができる。
【0123】
本発明のコンデンサアレイにおいて、固体電解コンデンサ素子と第1封止層との間に応力緩和層が設けられる場合、少なくとも1つの固体電解コンデンサ素子と第1封止層との間に応力緩和層が設けられていればよい。応力緩和層は、固体電解コンデンサ素子と第1封止層との間の全体に設けられていなくてもよく、固体電解コンデンサ素子と第1封止層との間に応力緩和層が設けられていない箇所が存在していてもよい。
【0124】
本発明のコンデンサアレイにおいて、固体電解コンデンサ素子と第2封止層との間に応力緩和層が設けられる場合、少なくとも1つの固体電解コンデンサ素子と第2封止層との間に応力緩和層が設けられていればよい。応力緩和層は、固体電解コンデンサ素子と第2封止層との間の全体に設けられていなくてもよく、固体電解コンデンサ素子と第2封止層との間に応力緩和層が設けられていない箇所が存在していてもよい。
【0125】
本発明のコンデンサアレイにおいて、固体電解コンデンサ素子と第1封止層との間、及び、固体電解コンデンサ素子と第2封止層との間に応力緩和層が設けられる場合、少なくとも1つの固体電解コンデンサ素子と第1封止層との間、及び、少なくとも1つの固体電解コンデンサ素子と第2封止層との間に応力緩和層が設けられていればよい。第1封止層側のみに応力緩和層が設けられる固体電解コンデンサ素子があってもよいし、第2封止層側のみに応力緩和層が設けられる固体電解コンデンサ素子があってもよいし、第1封止層側及び第2封止層側の両方に応力緩和層が設けられる固体電解コンデンサ素子があってもよい。応力緩和層は、固体電解コンデンサ素子と第1封止層又は第2封止層との間の全体に設けられていなくてもよく、固体電解コンデンサ素子と第1封止層又は第2封止層との間に応力緩和層が設けられていない箇所が存在していてもよい。
【0126】
本発明のコンデンサアレイにおいて、シート除去部内に応力緩和層が設けられる場合、少なくとも1つのシート除去部内に応力緩和層が設けられていればよい。応力緩和層は、シート除去部内に充填されることが好ましい。さらに、応力緩和層は、第1封止層の一部に入り込んでいることが好ましい。
【0127】
[複合電子部品]
本発明の複合電子部品は、本発明のコンデンサアレイと、上記コンデンサアレイの第1封止層又は第2封止層の外側に設けられ、上記コンデンサアレイの陽極板及び陰極層のそれぞれと接続された外部電極と、上記外部電極と接続された電子部品とを備えている。
【0128】
本発明の複合電子部品において、外部電極と接続される電子部品としては、受動素子でもよいし、能動素子でもよい。受動素子及び能動素子の両方が外部電極と接続されてもよいし、受動素子及び能動素子のいずれか一方が外部電極と接続されてもよい。また、受動素子及び能動素子の複合体が外部電極と接続されてもよい。
【0129】
受動素子としては、例えば、インダクタ等が挙げられる。能動素子としては、メモリ、GPU(Graphical Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、PMIC(Power Manegement IC)等が挙げられる。
【0130】
これまで説明してきたように、本発明のコンデンサアレイは、全体としてシート状の形状を有している。したがって、本発明の複合電子部品においては、コンデンサアレイを実装基板のように扱うことができ、コンデンサアレイ上に電子部品を実装することができる。さらに、コンデンサアレイに実装する電子部品の形状をシート状にすることにより、各電子部品を厚み方向に貫通する貫通電極を介して、コンデンサアレイと電子部品とを厚み方向に接続することも可能である。その結果、能動素子及び受動素子を一括のモジュールのように構成することができる。
【0131】
例えば、半導体アクティブ素子を含むボルテージレギュレータと、変換された直流電圧が供給される負荷との間に本発明のコンデンサアレイを電気的に接続し、スイッチングレギュレータを形成することができる。
【0132】
本発明の複合電子部品においては、本発明のコンデンサアレイがさらに複数個レイアウトされたコンデンサマトリクスシートのいずれかの一方の面に回路層を形成した上で、受動素子又は能動素子に接続されていてもよい。
【0133】
また、予め基板に設けたキャビティ部に本発明のコンデンサアレイを配置し、樹脂で埋め込んだ後、その樹脂上に回路層を形成してもよい。同基板の別のキャビティ部には、別の受動部品や能動部品が搭載されていてもよい。
【0134】
あるいは、本発明のコンデンサアレイをウエハやガラスなどの平滑なキャリアの上に実装し、樹脂による外層部を形成した後、回路層を形成した上で、受動素子又は能動素子に接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0135】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G コンデンサアレイ
10A,10B,10C,10D,10E,10F 固体電解コンデンサ素子
11 第1封止層
12 第2封止層
13 応力緩和層
20 化成箔
21 陽極板
22 多孔質層
23 誘電体層
24 陰極層
24a 固体電解質層
24b カーボン層
24c 銅層
25,25A シート除去部
30 絶縁層
31,31X,31Y,31Z,32 貫通孔
41A,41B,41C,41D,41E,41F 陽極外部電極
42A,42B,42C,42D 陰極外部電極
50 ライン導体
50A ビア導体
51 陽極貫通電極
52 陽極ビア導体
53,54 陽極配線パターン
61 陰極貫通電極
62 陰極ビア導体
63,64 陰極配線パターン
70 容量部
71 貫通孔
72 絶縁部
100 固体電解コンデンサシート
110 固体電解コンデンサ素子とは異なる種類のコンデンサ素子
S1 第1主面
S2 第2主面
10 陽極板の間隔
X 陽極
Y 陰極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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