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特許7574842光ファイバセンシングシステム、光ファイバセンシング機器、及び停電検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】光ファイバセンシングシステム、光ファイバセンシング機器、及び停電検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/353 20060101AFI20241022BHJP
   G01H 9/00 20060101ALI20241022BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G01D5/353 B
G01H9/00 E
H02J13/00 301A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022198285
(22)【出願日】2022-12-13
(62)【分割の表示】P 2021539181の分割
【原出願日】2020-07-20
(65)【公開番号】P2023039986
(43)【公開日】2023-03-22
【審査請求日】2023-07-05
(31)【優先権主張番号】P 2019148297
(32)【優先日】2019-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】依田 幸英
(72)【発明者】
【氏名】小倉 直人
(72)【発明者】
【氏名】青野 義明
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-83918(JP,A)
【文献】特開2011-107415(JP,A)
【文献】特開2009-153300(JP,A)
【文献】特開平7-301571(JP,A)
【文献】特開平5-52440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/26-5/38
G01H 9/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバと、
前記光ファイバの近傍の環境の状態を示す環境パターンを含む光信号を、前記光ファイバから受信する受信部と、
前記環境パターンの変化に基づいて、停電の発生を検出する検出部と、
を備え、
前記検出部は、前記光ファイバの近傍の温度を示す前記環境パターンの変化量から、前記光ファイバの近傍の温度の所定値以上の上昇、または所定値以上の低下のいずれか一方を検知し、かつ、前記光ファイバの近傍の電子機器の作動による振動を示すパターンを前記環境パターンが含まない場合に、停電が発生したと判断する、
光ファイバセンシングシステム。
【請求項2】
前記検出部は、前記環境パターンが変化した位置に基づいて、停電が発生した位置を特定する、
請求項1に記載の光ファイバセンシングシステム。
【請求項3】
光ファイバの近傍の環境の状態を示す環境パターンを含む光信号を、前記光ファイバから受信する受信部と、
前記環境パターンの変化に基づいて、停電の発生を検出する検出部と、
を備え、
前記検出部は、前記光ファイバの近傍の温度を示す前記環境パターンの変化量から、前記光ファイバの近傍の温度の所定値以上の上昇、または所定値以上の低下のいずれか一方を検知し、かつ、前記光ファイバの近傍の電子機器の作動による振動を示すパターンを前記環境パターンが含まない場合に、停電が発生したと判断する、
光ファイバセンシング機器。
【請求項4】
前記検出部は、前記環境パターンが変化した位置に基づいて、停電が発生した位置を特定する、
請求項に記載の光ファイバセンシング機器。
【請求項5】
光ファイバセンシングシステムによる停電検出方法であって、
光ファイバの近傍の環境の状態を示す環境パターンを含む光信号を、前記光ファイバから受信する受信ステップと、
前記環境パターンの変化に基づいて、停電の発生を検出する検出ステップと、
を含み、
前記検出ステップでは、前記光ファイバの近傍の温度を示す前記環境パターンの変化量から、前記光ファイバの近傍の温度の所定値以上の上昇、または所定値以上の低下のいずれか一方を検知し、かつ、前記光ファイバの近傍の電子機器の作動による振動を示すパターンを前記環境パターンが含まない場合に、停電が発生したと判断する、
停電検出方法。
【請求項6】
前記環境パターンが変化した位置に基づいて、停電が発生した位置を特定するステップをさらに備える、
請求項に記載の停電検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光ファイバセンシングシステム、光ファイバセンシング機器、及び停電検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地震等の災害が発生した場合には、様々な被害が生じるおそれがある。また、被害が生じた場合には、被害前の状態に復旧する必要があるため、災害が発生した範囲において、被害が実際に発生しているかどうかを検出する必要がある。例えば、特許文献1には、光ファイバをセンサとして使用して、河川堤防の決壊を検出する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-249035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、災害が発生した場合には、停電が生じるおそれもある。停電が発生した場合には、復旧する必要があるが、停電の発生の有無を実際に把握することは困難であった。
【0005】
そこで本開示の目的は、上述した課題を解決し、災害発生時に停電を検出することができる光ファイバセンシングシステム、光ファイバセンシング機器、及び停電検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様による光ファイバセンシングシステムは、
光ファイバと、
前記光ファイバの近傍の環境の状態を示す環境パターンを含む光信号を、前記光ファイバから受信する受信部と、
前記環境パターンの変化に基づいて、停電の発生を検出する検出部と、
を備える。
【0007】
一態様による光ファイバセンシング機器は、
光ファイバの近傍の環境の状態を示す環境パターンを含む光信号を、前記光ファイバから受信する受信部と、
前記環境パターンの変化に基づいて、停電の発生を検出する検出部と、
を備える。
【0008】
一態様による停電検出方法は、
光ファイバセンシングシステムによる停電検出方法であって、
光ファイバの近傍の環境の状態を示す環境パターンを含む光信号を、前記光ファイバから受信する受信ステップと、
前記環境パターンの変化に基づいて、停電の発生を検出する検出ステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0009】
上述の態様によれば、災害発生時に停電を検出できる光ファイバセンシングシステム、光ファイバセンシング機器、及び停電検出方法を提供できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る光ファイバセンシングシステムの構成例を示す図である。
図2】実施の形態1に係る検出部が停電の発生を検出する方法の例を示す図である。
図3】実施の形態1に係る検出部が停電の発生を検出する方法の例を示す図である。
図4】実施の形態1に係る光ファイバセンシングシステムの動作例を示すフロー図である。
図5】実施の形態2に係る検出部が停電発生領域を特定する方法の例を示す図である。
図6】実施の形態2に係る検出部が、図5の方法を行う場合に記憶する対応テーブルの例を示す図である。
図7】実施の形態2に係る検出部が停電発生領域を特定する方法の例を示す図である。
図8】実施の形態2に係る検出部が、図7の方法を行う場合に記憶する対応テーブルの例を示す図である。
図9】実施の形態2に係る検出部が停電発生領域を特定する方法の例を示す図である。
図10】実施の形態2に係る検出部が、図9の方法を行う場合に記憶する対応テーブルの例を示す図である。
図11】実施の形態2に係る光ファイバセンシングシステムの動作例を示すフロー図である。
図12】実施の形態3に係る光ファイバセンシングシステムの構成例を示す図である。
図13】実施の形態3に係る報知部が表示部に表示させるGUI画面の例を示す図である。
図14】実施の形態3に係る報知部が表示部に表示させるGUI画面の例を示す図である。
図15】実施の形態3に係る報知部が表示部に表示させるGUI画面の例を示す図である。
図16】実施の形態3に係る報知部が表示部に表示させるGUI画面の例を示す図である。
図17】実施の形態3に係る光ファイバセンシングシステムの動作例を示すフロー図である。
図18】他の実施の形態に係る光ファイバセンシングシステムの構成例を示す図である。
図19】実施の形態に係る光ファイバセンシング機器を実現するコンピュータのハードウェア構成の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の記載及び図面は、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、以下の各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0012】
<実施の形態1>
まず、図1を参照して、本実施の形態1に係る光ファイバセンシングシステムの構成例について説明する。
【0013】
図1に示されるように、本実施の形態1に係る光ファイバセンシングシステムは、光ファイバ10及び光ファイバセンシング機器20を備えている。また、光ファイバセンシング機器20は、受信部21及び検出部22を備えている。
【0014】
光ファイバ10は、一端が光ファイバセンシング機器20に接続される。光ファイバ10は、センシング専用の光ファイバでも良いし、通信及びセンシング兼用の光ファイバでも良い。なお、光ファイバ10が通信及びセンシング兼用の光ファイバである場合には、センシング用の光信号をフィルタで分波し、センシング用の光信号のみを光ファイバセンシング機器20で受信できるようにする。
【0015】
受信部21は、光ファイバ10から光信号(センシング用の光信号。以下、同じ)を受信する。例えば、受信部21は、光ファイバ10にパルス光を入射し、そのパルス光が光ファイバ10を伝送されることに伴い発生した後方散乱光を、光信号として受信する。又は、受信部21は、光ファイバセンシング機器20に対向して配置された装置が光ファイバ10に入射したパルス光を、光信号として受信する。
【0016】
ここで、光ファイバ10の近傍には電子機器30が配置されている。電子機器30は、停電時に作動状態が変化する機器である。例えば、電子機器30は、停電時以外は作動し、停電時には作動を停止する機器である。停電時以外は作動する電子機器30の例としては、冷蔵庫、空調設備、工場設備等が考えられるが、これには限定されない。又は、電子機器30は、停電時以外は作動を停止し、停電時に作動する機器である。停電時に作動する電子機器30の例としては、非常用電源等が考えられるが、これには限定されない。
【0017】
上述のような電子機器30が光ファイバ10の近傍に配置されている場合、停電時には、光ファイバ10の近傍の環境の状態が変化する。
例えば、停電時以外は作動する電子機器30は、停電時には作動を停止する。すると、光ファイバ10の近傍では、電子機器30の作動の停止に起因して、振動(音を含む。以下、同じ)の停止、温度の低下又は上昇、温度分布の均一化等の環境の変化が発生する。
また、停電時以外は作動を停止する電子機器30は、停電時には作動する。すると、光ファイバ10の近傍では、電子機器30の作動に起因して、振動の発生、温度の上昇、温度分布の偏り等の環境の変化が発生する。
【0018】
光ファイバ10の近傍で振動変化及び温度変化の少なくとも一方が発生すると、光ファイバ10を伝送される光信号は、光ファイバ10の近傍で発生した振動変化及び温度変化の少なくとも一方に応じて波長が変化する。そのため、受信部21が受信した光信号は、光ファイバ10の近傍の振動及び温度といった環境の状態を示す環境パターンを含むことになる。なお、この環境パターンは、光ファイバ10の近傍の振動及び温度の少なくとも一方の状態を示すものであれば良い。
【0019】
そのため、検出部22は、受信部21が受信した光信号に含まれる環境パターンの変化を分析することにより、光ファイバ10の近傍において、環境の状態が変化したこと、すなわち、停電が発生したことを検出することが可能となる。
【0020】
そこで本実施の形態1においては、検出部22は、受信部21が受信した光信号に含まれる環境パターンの変化に基づいて、停電の発生を検出することとする。
【0021】
なお、検出部22は、受信部21が受信した光信号に基づいて、環境パターンが変化した位置(光ファイバセンシング機器20からの光ファイバ10の距離)を特定することも可能である。例えば、受信部21が光ファイバ10から後方散乱光を光信号として受信する構成である場合、検出部22は、受信部21が光ファイバ10にパルス光を入射した時刻と、変化した環境パターンを含む光信号を受信した時刻と、の時間差に基づいて、環境パターンが変化した位置を特定可能である。又は、検出部22は、光ファイバセンシング機器20からの光ファイバ10の距離毎に、その距離で検出した振動であって、変化した環境パターンを含む振動の強度を比較し、振動の強度が最も大きい距離にある位置を、環境パターンが変化した位置として特定可能である。また、検出部22は、変化した環境パターンを含む光信号の強度に基づいて、環境パターンが変化した位置を特定可能である。例えば、検出部22は、受信した光信号の強度が小さいほど、受信部21から遠い位置を環境パターンが変化した位置として特定する。
【0022】
以下では、検出部22において、受信部21が受信した光信号に含まれる環境パターンの変化に基づいて、停電の発生を検出する方法の例について説明する。
【0023】
(A1)方法A1
まず、方法A1について説明する。
方法A1においては、受信部21が光ファイバ10から後方散乱光を光信号として受信する構成であるものとし、受信部21がパルス光を入射した時刻と、そのパルス光に対する後方散乱光を光信号として受信部21が受信した時刻と、の時間差をΔtとする。
【0024】
受信部21は、時刻t1,t2において、光ファイバ10にパルス光を入射し、時刻t1+Δt,t2+Δtにおいて、光ファイバ10から光信号を受信する。
検出部22は、受信部21が時刻t1+Δt,t2+Δtにおいて受信した光信号の波形パターンを比較し、波形パターンの変化が、光ファイバ10の近傍の停電に起因する環境の変化を示す場合に、環境パターンが変化し、停電が発生したと判断する。検出部22は、環境パターンの変化量から、振動の変化量及び温度の変化量の少なくとも一方を検知できる。
【0025】
(A2)方法A2
続いて、方法A2について説明する。
方法A2においては、検出部22は、光信号の波形パターンを予め記憶しておく。このとき、例えば、電子機器30が停電時以外は作動する機器であれば、検出部22は、電子機器30が作動しているときの光信号の波形パターンを予め記憶しておく。電子機器30が作動しているときの光信号の波形パターンは、例えば電子機器30の作動によって生じる振動、又は電子機器30の温度調節機能によって調整された温度等に対応している。
一方、電子機器30が停電時に作動する機器であれば、検出部22は、電子機器30が作動を停止しているときの光信号の波形パターンを予め記憶しておく。
【0026】
検出部22は、受信部21が受信した光信号の波形パターンを、予め記憶している波形パターンと比較し、予め記憶している波形パターンを含まないパターンに変化した場合、環境パターンが変化し、停電が発生したと判断する。検出部22は、環境パターンの変化量から、振動の変化量及び温度の変化量の少なくとも一方を検知できる。
【0027】
(A3)方法A3
続いて、方法A3について説明する。
方法A3は、光ファイバ10の近傍に空調設備である電子機器30が配置されている例である。ここでは、電子機器30は、温度調節機能により、光ファイバの近傍の温度を一定に保つことが出来る。電子機器30の作動が停止すると、電子機器30から光ファイバ10に伝達していた振動が止み、且つ温度調節が停止する。また、電子機器30は、停電が発生していない場合であっても、温度調節が不要な場合は停止させられる。
【0028】
方法A3において、検出部22は、環境パターンに含まれる光ファイバの振動の変化及び温度に基づいて、停電を検出する。具体的には、検出部22は、電子機器30の作動の停止に伴う振動の停止を検知した場合であって、温度の変化量が所定の範囲以上である場合に停電が発生したと判断する。一方で、検出部22は、電子機器30の作動の停止に伴う振動の停止を検知した場合であっても、温度の変化量が所定の範囲未満である場合は、温度調節が不要な為に電子機器30が停止させられたと判断し、停電が発生したとは判断しない。
【0029】
なお、方法A3において、振動の停止の検知及び温度の変化量の検知には、例えば、前述の方法A1及びA2の少なくとも一方を用いる。
この際、検出部22は、振動の変化によって環境パターンが変化した位置と、温度の変化によって環境パターンが変化した位置と、が一致した場合に、停電が発生したと判断しても良い。
方法A3において、検出部22は、振動の変化及び温度の変化の両方に基づいて停電を検出している為、より正確に停電を検出できる。
【0030】
(A4)方法A4
続いて、方法A4について説明する。
方法A4は、光ファイバ10の近傍に複数の電子機器30が配置されている例である。ここでは、図2に示されるように、光ファイバ10の近傍には、冷蔵庫である電子機器30a、空調設備である電子機器30b、及び、生産装置である電子機器30cの3つの電子機器30が配置されている場合を例に挙げる。
【0031】
方法A4においては、まず、検出部22は、光ファイバ10の近傍に配置された3つの電子機器30a~30cの各々の環境パターンが変化したか否かを判断する。なお、環境パターンが変化した場合に、環境パターンが変化した電子機器30a~30cの位置(光ファイバセンシング機器20からの光ファイバ10の距離)を特定する方法は、上述の通りである。
【0032】
そして、検出部22は、3つの環境パターンの変化が所定の条件を満たす場合、停電が発生したと判断する。
例えば、検出部22は、3つの環境パターンのうち所定の数(例えば、2つ)以上又は所定の割合(例えば、50%)以上の環境パターンが変化した場合、停電が発生したと判断する。
又は、検出部22は、3つの環境パターンの全てが変化した場合、停電が発生したと判断する。
【0033】
又は、検出部22は、電子機器30a~30cのうち優先度の高い電子機器30の環境パターンが変化した場合、停電が発生したと判断する。例えば、電子機器30b,30cは、それぞれ、空調設備、生産装置であるため、停電時以外にも、作動を停止する可能性がある。例えば、生産装置は、工場等の稼働時間の終了によって作動が停止させられる。その一方、冷蔵庫である電子機器30aは、停電時以外に、作動を停止する可能性は低いため、優先度を高くする。この場合、検出部22は、優先度が高い電子機器30aの環境パターンが変化していれば、電子機器30b,30cのいずれかの環境パターンが変化していなくても、停電が発生したと判断する。逆に、検出部22は、電子機器30b,30cのいずれかの環境パターンが変化していても、優先度が高い電子機器30aの環境パターンが変化していなければ、停電が発生したとは判断しない。
【0034】
以上の通り、方法A4は、光ファイバ10の近傍に配置された複数の電子機器30の各々の環境パターンの変化が所定の条件を満たすか否かで、停電の発生を検出するため、1つの電子機器30の環境パターンの変化に基づいて停電の発生を検出する方法と比較して、より高精度に停電の発生を検出できる。
【0035】
なお、上述のように、空調設備及び生産装置等の電子機器は、停電時以外にも、作動を停止する可能性がある。そのため、このような電子機器は、作動している時間帯に限定して、電子機器30として使用しても良い。これ以外の時間帯は、停電時以外に作動を停止する可能性が低い冷蔵庫等の電子機器、又は、停電時に作動する非常用電源等の電子機器を、電子機器30として使用すれば良い。
【0036】
(A5)方法A5
続いて、方法A5について説明する。
方法A5は、光ファイバ10の近傍に、停電時に作動する電子機器30と、停電時以外に作動する電子機器30と、が配置されている例である。ここでは、図3に示されるように、光ファイバ10の近傍には、停電時に作動する電子機器30として、非常用電源である電子機器30bが配置され、停電時以外に作動する電子機器30として、冷蔵庫である電子機器30aが配置されている場合を例に挙げる。
【0037】
方法A5においては、検出部22は、光ファイバ10の近傍に配置された、非常用電源である電子機器30bの環境パターンが変化したか否かを判断し、環境パターンが変化した場合、停電が発生したと判断する。
【0038】
また、停電の発生により電子機器30bが作動すると、電子機器30bから、冷蔵庫である電子機器30aに電源が供給される。そのため、電子機器30aの環境パターンは、停電の発生により一時的に変化するが、その後、元のパターンに戻る。
【0039】
そのため、検出部22は、非常用電源である電子機器30bから、冷蔵庫である電子機器30aへ、電源供給が正常に行われていると判断する。
よって、検出部22は、停電が発生したことを判断できるだけでなく、非常用電源である電子機器30bからの電源供給が正常に行われていることも判断できる。
【0040】
続いて、図4を参照して、本実施の形態1に係る光ファイバセンシングシステムの動作例について説明する。
図4に示されるように、受信部21は、光ファイバ10の近傍の環境の状態を示す環境パターンを含む光信号を、光ファイバ10から受信する(ステップS11)。
【0041】
続いて、検出部22は、受信部21が受信した光信号に含まれる環境パターンの変化に基づいて、停電の発生を検出する(ステップS12)。この検出は、例えば、上述した方法A1~A5のいずれかを利用して、行えば良い。
【0042】
上述したように本実施の形態1によれば、光ファイバ10の近傍の環境の状態を示す環境パターンを含む光信号を、光ファイバ10から受信する。検出部22は、光信号に含まれる環境パターンの変化に基づいて、停電の発生を検出する。これにより、災害発生時に停電を検出することができる。
【0043】
<実施の形態2>
本実施の形態2に係る光ファイバセンシングシステムは、構成自体は上述した実施の形態2の構成と同様であるが、検出部22の機能を拡張している。
【0044】
検出部22は、上述したように、受信部21が受信した光信号に基づいて、環境パターンが変化した位置(光ファイバセンシング機器20からの光ファイバ10の距離)を特定することが可能である。
【0045】
そこで、検出部22は、停電が発生したと判断した場合、環境パターンが変化した位置に基づいて、停電が発生した位置である停電発生位置及び停電が発生した領域である停電発生領域を特定する。
【0046】
検出部22は、停電発生位置については、環境パターンが変化した位置を停電発生位置として特定する。
そこで、以下では、検出部22において、環境パターンが変化した位置に基づいて、停電発生領域を特定する方法の例について説明する。
【0047】
(B1)方法B1
まず、方法B1について、図5及び図6を参照して説明する。
図5の例では、光ファイバ10が敷設されている領域が、4つの領域A~Dに区分されている。また、領域A~Dには、電子機器30a~30dがそれぞれ配置されている。
【0048】
図5の例の場合、検出部22は、図6に示されるように、光ファイバセンシング機器20からの光ファイバ10の距離と、その距離に相当する領域と、を対応付けた対応テーブルを予め記憶しておく。
【0049】
例えば、電子機器30aの環境パターンが変化した場合、光ファイバセンシング機器20から、環境パターンが変化した位置までの光ファイバ10の距離は、A~B[km]の範囲内になる。この場合、検出部22は、図6の対応テーブルを参照して、領域Aを停電発生領域として特定する。
【0050】
(B2)方法B2
続いて、方法B2について、図7及び図8を参照して説明する。
区分する領域の単位は任意で良い。方法B2は、例えば、図7に示されるように、建物単位で領域を区分する例である。
【0051】
図7の例では、光ファイバ10が敷設されている領域が、3つの建物A~Cに区分されている。また、建物Aには、電子機器30a,30bが配置され、建物Bには、電子機器30cが配置され、建物Cには、電子機器30dが配置されている。図7の例の場合の対応テーブルの例を図8に示す。
【0052】
なお、図7の例では、建物Aには、2つの電子機器30a,30bが配置されている。ここで、検出部22は、建物Aに2つの電子機器30a,30bが配置されていることを事前に把握していることとする。そのため、建物Aにおける停電の発生を検出するに際にしては、検出部22は、上述の方法A3を利用する。すなわち、検出部22は、2つの電子機器30a,30bの各々の環境パターンが変化したか否かを判断し、2つの環境パターンの変化が所定の条件を満たす場合に、停電が発生したと判断する。
【0053】
(B3)方法B3
続いて、方法B3について、図9及び図10を参照して説明する。
上述した方法B1,B2は、光ファイバ10が直線状に敷設される例であった。方法B3は、例えば、図9に示されるように、光ファイバ10が、途中で曲げられたり、折り返されたりしながら、敷設される例である。図9の例の場合の対応テーブルの例を図10に示す。なお、方法B3は、光ファイバ10の敷設方法が上述した方法B1,B2とは異なるが、停電発生領域を特定する方法自体は、上述した方法B1,B2と同様で良い。
【0054】
続いて、図11を参照して、本実施の形態2に係る光ファイバセンシングシステムの動作例について説明する。
図11に示されるように、まず、図4のステップS11~S12と同様のステップS21~S22が行われる。
【0055】
検出部22は、ステップS22で停電が発生したと判断した場合(ステップS22のYes)、続いて、環境パターンが変化した位置を特定し、さらに、環境パターンが変化した位置に基づいて、停電発生位置及び停電発生領域を特定する(ステップS23)。例えば、停電発生位置は、環境パターンが変化した位置として特定すれば良い。また、停電発生領域は、上述した方法B1~B3のいずれかを利用して、特定すれば良い。
【0056】
上述したように本実施の形態2によれば、検出部22は、停電が発生したと判断した場合、環境パターンが変化した位置に基づいて、停電発生位置及び停電発生領域を特定する。これにより、停電の発生を検出できるだけでなく、停電が発生した停電発生位置及び停電発生領域も検出することができる。
その他の効果は、上述した実施の形態1と同様である。
【0057】
<実施の形態3>
続いて、図12を参照して、本実施の形態3に係る光ファイバセンシングシステムの構成例について説明する。なお、図12は、図7と同様に、光ファイバ10が敷設されている領域が3つの建物A~Cに区分されている場合の例である。
【0058】
図12に示されるように、本実施の形態3に係る光ファイバセンシングシステムは、上述した実施の形態1,2の構成と比較して、表示部40が追加されている点と、光ファイバセンシング機器20に報知部23が追加されている点が異なる。
表示部40は、通信局舎、オペレーションセンター等に設置され、各種の情報を表示するディスプレイやモニター等である。
【0059】
報知部23は、光ファイバ10が敷設された位置を示す情報と、地図情報と、を対応付けて予め記憶しておく。そして、検出部22が停電が発生したと判断した場合、報知部23は、検出部22が特定した停電発生位置及び停電発生領域の少なくとも一方の情報を地図情報上に重畳したGUI(Graphical User Interface)画面を、表示部40に表示させる。
【0060】
以下では、報知部23において、表示部40に表示させるGUI画面の例について説明する。なお、以下で説明するGUI画面における地図は、必要に応じて、拡大及び縮小することが可能であるものとする。
【0061】
(C1)GUI画面C1
図13に示されるように、GUI画面C1は、停電発生位置を地図上に重畳した画面となる。図13においては、停電発生位置は、地図上に黒丸で表されている。
【0062】
(C2)GUI画面C2
図14に示されるように、GUI画面C2は、停電発生位置及び停電発生領域を地図上に重畳した画面となる。図14においては、停電発生位置は、地図上に黒丸で表されている。また、停電発生領域は、地図上に、停電発生位置を含む円として表されている。なお、図14においては、地図上に停電発生位置及び停電発生領域を重畳しているが、停電発生位置は重畳せず、停電発生領域のみを重畳しても良い。
【0063】
(C3)GUI画面C3
図15に示されるように、GUI画面C3は、停電発生位置及び停電発生領域を地図上に重畳した画面となる。図15においては、市町村の区分等に応じて、地図が5つの領域A~Eに区分されている。また、停電発生位置は、地図上に黒丸で表されている。また、停電発生領域は領域A,C~Eとなっている。ただし、このうち閾値以上の数の電子機器30で停電が検出された領域A,D,Eが、斜線により強調されて表されている。なお、領域A~E毎に、設置された電子機器30の数が異なるため、強調して表す領域を決定する閾値は、領域A~E毎に設定しても良い。また、全ての停電発生領域を強調して表しても良い。また、図15においては、地図上に停電発生位置及び停電発生領域を重畳しているが、停電発生位置は重畳せず、停電発生領域のみを重畳しても良い。
【0064】
(C4)GUI画面C4
図16に示されるように、GUI画面C4は、停電発生位置及び停電発生位置に接続されている給電ラインL1,L2を地図上に重畳した画面となる。図16においては、停電発生位置は、地図上に黒丸で表されている。また、給電ラインL1,L2は、地図上に線で表されている。このとき、報知部23は、地図上に停電発生位置及び給電ラインL1,L2を重畳した結果に基づいて、給電ラインL1,L2のうち復旧する優先度が高い給電ラインとして給電ラインL1を特定している。例えば、給電ラインL1の周辺に検出された停電発生位置の数が、給電ラインL2の周辺に検出された停電発生位置の数よりも多い場合、報知部23は、給電ラインL1を復旧する優先度が高い給電ラインとして特定する。そのため、図16においては、給電ラインL2が破線で表される一方で、給電ラインL1が実線により強調されて表されている。
【0065】
続いて、図17を参照して、本実施の形態3に係る光ファイバセンシングシステムの動作例について説明する。
図17に示されるように、まず、図11のステップS21~S23と同様のステップS31~S33が行われる。
【0066】
続いて、報知部23は、検出部22が特定した停電発生位置及び停電発生領域の少なくとも一方の情報を地図情報上に重畳して、表示部40に表示させる(ステップS34)。この表示は、例えば、上述したGUI画面C1~C4により行えば良い。
【0067】
上述したように本実施の形態3によれば、検出部22が停電が発生したと判断した場合、報知部23は、検出部22が特定した停電発生位置及び停電発生領域の少なくとも一方の情報を地図情報上に重畳して、表示部40に表示させる。これにより、停電発生位置及び停電発生領域の少なくとも一方を、表示部40が設置された通信局舎、オペレーションセンター等に知らせることができる。ここで、領域毎に、給電ラインを供給する電力会社は異なることが多いと考えられる。そのため、停電発生領域を知らせることができれば、その停電発生領域に給電ラインを供給する電力会社を早急に特定し、その電力会社に対して復旧の要請を早急に行うことが可能となる。
その他の効果は、上述した実施の形態2と同様である。
【0068】
なお、報知部23は、停電発生位置及び停電発生領域を表示部40に表示させるだけでなく、通信局舎、オペレーションセンター等に対して、電話やメール等で停電発生位置及び停電発生領域の情報を通知することとしても良い。
【0069】
<他の実施の形態>
上述した実施の形態では、光ファイバセンシング機器20を1つのみ設けた光ファイバセンシングシステムについて説明したが、これには限定されない。光ファイバセンシングシステムには、複数の光ファイバセンシング機器20を設けても良い。図18に、上述した実施の形態3に係る光ファイバセンシング機器20と同様の2つの光ファイバセンシング機器20X,20Yを設けた光ファイバセンシングシステムの例を示す。なお、図18の例では、表示部40は、2つの光ファイバセンシング機器20X,20Y間で共有されているが、これには限定されない。2つの光ファイバセンシング機器20X,20Yにそれぞれ個別に表示部40を設けても良い。
【0070】
また、上述した実施の形態では、検出部22は、受信部21が受信した光信号に含まれる環境パターンに基づいて停電の発生を検出していたが、受信部21が光信号自体を受信できないことも考えられる。そこで、受信部21が光信号を受信できない場合には、検出部22は、光ファイバ10自体に障害が発生したと判断しても良い。
【0071】
また、上述した実施の形態では、光ファイバセンシング機器20に複数の構成要素(受信部21、検出部22、及び報知部23)が設けられているが、これには限定されない。光ファイバセンシング機器20に設けられていた構成要素は、1つの装置に設けることには限定されず、複数の装置に分散して設けられていても良い。
【0072】
<光ファイバセンシング機器のハードウェア構成>
続いて以下では、図19を参照して、光ファイバセンシング機器20,20X,20Yを実現するコンピュータ50のハードウェア構成について説明する。
【0073】
図19に示されるように、コンピュータ50は、プロセッサ501、メモリ502、ストレージ503、入出力インタフェース(入出力I/F)504、及び通信インタフェース(通信I/F)505等を備える。プロセッサ501、メモリ502、ストレージ503、入出力インタフェース504、及び通信インタフェース505は、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路で接続されている。
【0074】
プロセッサ501は、例えばCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置である。メモリ502は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等のメモリである。ストレージ503は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、またはメモリカード等の記憶装置である。また、ストレージ503は、RAMやROM等のメモリであっても良い。
【0075】
ストレージ503は、光ファイバセンシング機器20,20X,20Yが備える構成要素(受信部21、検出部22、及び報知部23)の機能を実現するプログラムを記憶している。プロセッサ501は、これら各プログラムを実行することで、光ファイバセンシング機器20が備える構成要素の機能をそれぞれ実現する。ここで、プロセッサ501は、上記各プログラムを実行する際、これらのプログラムをメモリ502上に読み出してから実行しても良いし、メモリ502上に読み出さずに実行しても良い。また、メモリ502やストレージ503は、光ファイバセンシング機器20が備える構成要素が保持する情報やデータを記憶する役割も果たす。
【0076】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータ(コンピュータ50を含む)に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Compact Disc-ROM)、CD-R(CD-Recordable)、CD-R/W(CD-ReWritable)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAMを含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されても良い。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0077】
入出力インタフェース504は、表示装置5041、入力装置5042、音出力装置5043等と接続される。表示装置5041は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、モニターのような、プロセッサ501により処理された描画データに対応する画面を表示する装置である。入力装置5042は、オペレータの操作入力を受け付ける装置であり、例えば、キーボード、マウス、及びタッチセンサ等である。表示装置5041及び入力装置5042は一体化され、タッチパネルとして実現されていても良い。音出力装置5043は、スピーカのような、プロセッサ501により処理された音響データに対応する音を音響出力する装置である。
【0078】
通信インタフェース505は、外部の装置との間でデータを送受信する。例えば、通信インタフェース505は、有線通信路または無線通信路を介して外部装置と通信する。
【0079】
以上、実施の形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上述した実施の形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
例えば、上述した実施の形態は、一部又は全部を相互に組み合わせて用いても良い。
【0080】
また、上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
光ファイバと、
前記光ファイバの近傍の環境の状態を示す環境パターンを含む光信号を、前記光ファイバから受信する受信部と、
前記環境パターンの変化に基づいて、停電の発生を検出する検出部と、
を備える、光ファイバセンシングシステム。
(付記2)
前記検出部は、前記環境パターンが所定のパターンを含まないパターンに変化した場合、停電が発生したと判断する、
付記1に記載の光ファイバセンシングシステム。
(付記3)
前記検出部は、前記環境パターンが変化した前記光ファイバにおける位置に基づいて、停電が発生した位置を特定する、
付記1又は2に記載の光ファイバセンシングシステム。
(付記4)
前記検出部は、前記光ファイバにおける区間の各々に対応付けられた複数の領域のうち、前記環境パターンが変化した位置を含む区間に対応付けられた領域を、停電が発生した領域として特定する、
付記3に記載の光ファイバセンシングシステム。
(付記5)
表示部と、
停電が発生した位置及び領域の少なくとも一方を示す情報を、地図情報上に重畳して前記表示部に表示させる報知部と、
をさらに備える、付記4に記載の光ファイバセンシングシステム。
(付記6)
前記検出部は、前記光ファイバの近傍の電子機器の作動による振動を示すパターンを前記環境パターンが含まない場合に、停電が発生したと判断する、
付記1から5のいずれか1項に記載の光ファイバセンシングシステム。
(付記7)
前記検出部は、前記光ファイバの温度の変化に基づいて前記環境パターンが変化している場合に、停電が発生したと判断する、
付記1から6のいずれか1項に記載の光ファイバセンシングシステム。
(付記8)
光ファイバの近傍の環境の状態を示す環境パターンを含む光信号を、前記光ファイバから受信する受信部と、
前記環境パターンの変化に基づいて、停電の発生を検出する検出部と、
を備える、光ファイバセンシング機器。
(付記9)
前記検出部は、前記環境パターンが所定のパターンを含まないパターンに変化した場合、停電が発生したと判断する、
付記8に記載の光ファイバセンシング機器。
(付記10)
前記検出部は、前記環境パターンが変化した位置に基づいて、停電が発生した位置を特定する、
付記8又は9に記載の光ファイバセンシング機器。
(付記11)
前記検出部は、前記光ファイバにおける区間の各々に対応付けられた複数の領域のうち、前記環境パターンが変化した位置を含む区間に対応付けられた領域を、停電が発生した領域として特定する、
付記10に記載の光ファイバセンシング機器。
(付記12)
停電が発生した位置及び領域の少なくとも一方を示す情報を、地図情報上に重畳して表示部に表示させる報知部、
をさらに備える、付記11に記載の光ファイバセンシング機器。
(付記13)
前記検出部は、前記光ファイバの近傍の電子機器の作動による振動を示すパターンを前記環境パターンが含まない場合に、停電が発生したと判断する、
付記8から12のいずれか1項に記載の光ファイバセンシング機器。
(付記14)
前記検出部は、前記光ファイバの温度の変化に基づいて前記環境パターンが変化している場合に、停電が発生したと判断する、
付記8から13のいずれか1項に記載の光ファイバセンシング機器。
(付記15)
光ファイバセンシングシステムによる停電検出方法であって、
光ファイバの近傍の環境の状態を示す環境パターンを含む光信号を、前記光ファイバから受信する受信ステップと、
前記環境パターンの変化に基づいて、停電の発生を検出する検出ステップと、
を含む、停電検出方法。
(付記16)
前記検出ステップでは、前記環境パターンが所定のパターンを含まないパターンに変化した場合、停電が発生したと判断する、
付記15に記載の停電検出方法。
(付記17)
前記検出ステップでは、前記環境パターンが変化した位置に基づいて、停電が発生した位置を特定する、
付記15又は16に記載の停電検出方法。
(付記18)
前記検出ステップでは、前記光ファイバにおける区間の各々に対応付けられた複数の領域のうち、前記環境パターンが変化した位置を含む区間に対応付けられた領域を、停電が発生した領域として特定する、
付記17に記載の停電検出方法。
(付記19)
停電が発生した位置及び領域の少なくとも一方を示す情報を、地図情報上に重畳して表示部に表示する表示ステップ、
をさらに含む、付記18に記載の停電検出方法。
(付記20)
前記検出ステップでは、前記光ファイバの近傍の電子機器の作動による振動を示すパターンを前記環境パターンが含まない場合に、停電が発生したと判断する、
付記15から19のいずれか1項に記載の停電検出方法。
(付記21)
前記検出ステップでは、前記光ファイバの温度の変化に基づいて前記環境パターンが変化している場合に、停電が発生したと判断する、
付記15から20のいずれか1項に記載の停電検出方法。
【0081】
この出願は、2019年8月13日に出願された日本出願特願2019-148297を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0082】
10 光ファイバ
20,20X,20Y 光ファイバセンシング機器
21 受信部
22 検出部
23 報知部
30,30a~30h 電子機器
40 表示部
50 コンピュータ
501 プロセッサ
502 メモリ
503 ストレージ
504 入出力インタフェース
5041 表示装置
5042 入力装置
5043 音出力装置
505 通信インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19