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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】固体電池および固体電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/124 20210101AFI20241022BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20241022BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20241022BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20241022BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20241022BHJP
   H01M 50/141 20210101ALI20241022BHJP
   H01M 50/533 20210101ALI20241022BHJP
   H01M 50/178 20210101ALI20241022BHJP
   H01M 50/133 20210101ALI20241022BHJP
   H01M 50/131 20210101ALI20241022BHJP
   H01M 50/186 20210101ALI20241022BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20241022BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20241022BHJP
【FI】
H01M50/124
H01M10/0562
H01M10/0585
H01M10/052
H01M50/105
H01M50/141
H01M50/533
H01M50/178
H01M50/133
H01M50/131
H01M50/186
H01M50/586
H01M50/591 101
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022531775
(86)(22)【出願日】2021-06-11
(86)【国際出願番号】 JP2021022373
(87)【国際公開番号】W WO2021256403
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2022-11-25
(31)【優先権主張番号】P 2020103335
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】森 治彦
(72)【発明者】
【氏名】玉置 伊佐夫
(72)【発明者】
【氏名】井村 英樹
(72)【発明者】
【氏名】藤本 憲英
【審査官】川口 陽己
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-117696(JP,A)
【文献】特開2018-045901(JP,A)
【文献】特開平10-214606(JP,A)
【文献】特開2012-079689(JP,A)
【文献】特開2015-153513(JP,A)
【文献】特開2001-250516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10-50/198
H01M 10/05-10/0587
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極層、負極層、および前記正極層と前記負極層との間に介在する固体電解質層を備えた電池要素と、
前記電池要素を覆う複合保護層と、
前記電池要素から外部へ電気を取り出し可能な導通部と
を備え、
前記複合保護層は、相互に重なる重複領域が形成された第1の保護層と第2の保護層とを含み、
前記導通部は、前記電池要素の側面に設けられた端面電極と、前記端面電極の端部に接続された端子を含み、
前記端子は、前記端面電極の端部を基点に、前記電池要素の側面の輪郭面に沿うように設けられ、
前記第1の保護層の端部と前記端子との間に空隙を有し、
前記重複領域から前記外部へと前記導通部が引き出されている、固体電池。
【請求項2】
前記重複領域において、前記導通部が前記第1の保護層と前記第2の保護層との間に挟みこまれるように設けられている、請求項1に記載の固体電池。
【請求項3】
前記導通部および前記複合保護層が前記電池要素の前記輪郭面の延在方向と略同一方向に延在している、請求項1に記載の固体電池。
【請求項4】
前記導通部の前記外部への引出し部分が屈曲部分を有する、請求項1~3のいずれかに記載の固体電池。
【請求項5】
前記重複領域において、前記導通部が前記第1の保護層と前記第2の保護層とにそれぞれ接している、請求項1~4のいずれかに記載の固体電池。
【請求項6】
前記重複領域が前記電池要素の側面に沿って設けられている、請求項1~5のいずれかに記載の固体電池。
【請求項7】
前記重複領域が前記電池要素の側面全体に沿って設けられている、請求項6に記載の固体電池。
【請求項8】
前記重複領域における前記複合保護層の厚さが、前記重複領域以外の他の部分における前記複合保護層の厚さよりも厚い、請求項1~7のいずれかに記載の固体電池。
【請求項9】
前記重複領域の長さは、前記電池要素の高さに対して、40%以上、60%以下であり、前記重複領域の長さは、断面視において、前記端子の長手方向に沿った重複領域の長さである、請求項1~6又は請求項8のいずれかに記載の固体電池。
【請求項10】
前記重複領域に位置する前記導通部にシーラントが配置されている、請求項1~9のいずれかに記載の固体電池。
【請求項11】
前記重複領域において、前記第1の保護層及び第2の保護層が互いに対向している、請求項1~10のいずれかに記載の固体電池。
【請求項12】
少なくとも引き出された前記導通部の端部が前記第1の保護層又は前記第2の保護層により覆われた前記電池要素の上面側および下面側の少なくとも一方に設けられている、請求項1~11のいずれかに記載の固体電池。
【請求項13】
少なくとも引き出された前記導通部の端部が接着剤により前記第1の保護層又は前記第2の保護層に接着されている、請求項1~12のいずれかに記載の固体電池。
【請求項14】
前記第1の保護層が前記電池要素を直接覆うように設けられ、前記第1の保護層の端面に絶縁材が設けられ、それによって、前記第1の保護層と前記電池要素とが電気的に絶縁可能となっている、請求項1~13のいずれかに記載の固体電池。
【請求項15】
正極層、負極層、および前記正極層と前記負極層との間に介在する固体電解質層を備えた電池要素を用意する工程と、
前記電池要素の側面に端面電極を取り付ける工程と、
前記電池要素の一部を覆うように第1の保護層を設ける工程と、
前記端面電極の端部に端子を接続する工程と、
前記端面電極の端部を基点に、前記端子を前記電池要素の側面の輪郭面に沿うように設けて、前記第1の保護層の端部と前記端子との間に空隙を形成する工程と、
前記電池要素の前記一部以外の残りの部分を覆うように第2の保護層を設ける工程と
を含み、
前記第1の保護層と前記第2の保護層とが相互に重なる重複領域が形成され、かつ、前記重複領域から外部へと前記端面電極と前記端子を含む導通部が引き出されるように、前記第2の保護層を設ける、固体電池の製造方法。
【請求項16】
前記重複領域において、前記導通部を前記第1の保護層と前記第2の保護層との間に挟みこむように設ける、請求項15に記載の固体電池の製造方法。
【請求項17】
前記第1の保護層により覆われる前記電池要素の輪郭面に沿って、前記導通部ならびに前記第1の保護層および前記第2の保護層を含む複合保護層を設ける、請求項15又は16に記載の固体電池の製造方法。
【請求項18】
前記導通部および前記複合保護層を前記電池要素の前記輪郭面の延在方向と略同一方向に延在させる、請求項17に記載の固体電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固体電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より充放電が繰り返し可能な二次電池が様々な用途に用いられている。例えば、二次電池は、スマートフォン、ノートパソコン等の電子機器の電源として用いられている。
【0003】
当該二次電池においてはイオンを移動させるための媒体として有機溶媒等の液体の電解質(電解液)が従来から使用されている。しかしながら、電解液を用いた二次電池においては、電解液の漏液等の問題がある。そのため、液体の電解質に代えて固体電解質を有して成る固体電池の開発が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-117696公報
【文献】特開2016-58142号公報
【文献】特開2015-220099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる固体電池においては、電池特性の劣化を回避する観点から、空気中の水蒸気が固体電池内部に侵入することを防止するための措置を講じておくことが求められる。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みて為されたものである。即ち、本発明の主たる目的は、固体電池内部への水蒸気の侵入を好適に抑制可能な固体電池およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明の一実施形態では、
正極層、負極層、および前記正極層と前記負極層との間に介在する固体電解質層を備えた電池要素と、
前記電池要素を覆う複合保護層と、
前記電池要素から外部へ電気を取り出し可能な導通部と
を備え、
前記複合保護層は、相互に重なる重複領域が形成された第1の保護層と第2の保護層とを含み、
前記重複領域から前記外部へと前記導通部が引き出されている、固体電池が提供される。
【0008】
又、本発明の一実施形態では、
正極層、負極層、および前記正極層と前記負極層との間に介在する固体電解質層を備えた電池要素を用意する工程と、
前記電池要素の一部を覆うように第1の保護層を設ける工程と、
前記電池要素から外部へと電気を取り出し可能な導通部を設ける工程と、
前記電池要素の前記一部以外の残りの部分を覆うように第2の保護層を設ける工程と
を含み、
前記第1の保護層と前記第2の保護層とが相互に重なる重複領域が形成され、かつ、前記重複領域から外部へと前記導通部が引き出されるように、前記第2の保護層を設ける、固体電池の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、固体電池内部への水蒸気の侵入を好適に抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る固体電池を模式的に示す断面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る固体電池により水蒸気侵入の防止態様を模式的に示す断面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る固体電池を模式的に示す断面図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る固体電池を模式的に示す斜視図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る固体電池(膨張状態)を模式的に示す断面図である。
図6図6は、本発明の一実施形態(シーラント付)に係る固体電池を模式的に示す断面図である。
図7図7は、本発明の別の実施形態に係る固体電池を模式的に示す断面図である。
図8図8は、本発明の別の実施形態に係る固体電池を模式的に示す断面図ある。
図9図9は、本発明の一実施形態に係る固体電池の製造工程を示す模式図ある。
図10図10は、従来の固体電池を模式的に示す断面図である。
図11図11は、従来の固体電池を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の「固体電池」を詳細に説明する。必要に応じて図面を参照して説明を行うものの、図示する内容は、本発明の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、概観や寸法比などは実部と異なり得る。
【0012】
本発明でいう「固体電池」は、広義にはその構成要素が固体から構成されている電池を指し、協議にはその電池構成要素(得に好ましくは全ての電池構成要素)が固体から構成されている全固体電池を指している。ある好適な態様では、本発明における固体電池は、電池構成単位を成す各層が互いに積層するように構成された積層型固体電池であり、好ましくはそのような各層が焼結体から成っている。なお、「固体電池」は、充電および放電の繰り返しが可能な、いわゆる「二次電池」のみならず、放電のみが可能な「一次電池」をも包含する。本発明のある好適な態様に従うと、「固体電池」は二次電池である。「二次電池」は、その名称に過度に拘泥されるものでなく、例えば、蓄電デバイスなども包含し得る。
【0013】
本明細書でいう「断面視」とは、固体電池を構成する電池要素の厚み方向に対して略垂直な方向からみたときの状態のことである。本明細書で直接的または間接的に用いる“上下方向”および“左右方向”は、それぞれ図中における上下方向および左右方向に相当する。特記しない限り、同じ符号または記号は、同じ部材・部位または同じ意味内容を示すものとする。ある好適な態様では、鉛直方向下向き(すなわち、重力が働く方向)が「下方向」に相当し、その逆向きが「上方向」に相当すると捉えることができる。
【0014】
[固体電池の基本的構成]
固体電池は、正極・負極の電極層と固体電解質とを少なくとも有して成る。具体的には固体電池は、正極層、負極層、およびそれらの間に介在する固体電解質から成る電池構成単位を含んだ電池要素を有して成る。
【0015】
固体電池は、それを構成する各層が焼成によって形成されていてもよく、正極層、負極層および固体電解質などが焼結層を成していてもよい。好ましくは、正極層、負極層および固体電解質は、それぞれが互いに一体焼成されており、それゆえ電池要素が一体焼結体を成していることが好ましい。
【0016】
正極層は、少なくとも正極活物質を含んで成る電極層である。正極層は、更に固体電解質を含んで成っていてよい。例えば、正極層は、正極活物質粒子と固体電解質粒子とを少なくとも含む焼結体から構成されている。好ましい1つの態様では、正極層が、正極活物質粒子および固体電解質粒子のみを実質的に含む焼結体から構成されている。一方、負極層は、少なくとも負極活物質を含んで成る電極層である。負極層は、更に固体電解質を含んで成っていてよい。例えば、負極層は、負極活物質粒子と固体電解質粒子とを少なくとも含む焼結体から構成されている。好ましい1つの態様では、負極層が、負極活物質粒子および固体電解質粒子のみを実質的に含む焼結体から構成されている。
【0017】
正極活物質および負極活物質は、固体電池において電子の受け渡しに関与する物質である。固体電解質を介してイオンは正極層と負極層との間で移動(伝導)して電子の受け渡しが行われることで充放電がなされる。正極層および負極層は特にリチウムイオンまたはナトリウムイオンを吸蔵放出可能な層であることが好ましい。つまり、固体電池は、固体電解質を介してリチウムイオンまたはナトリウムイオンが正極層と負極層との間で移動して電池の充放電が行われる全固体型二次電池であることが好ましい。
【0018】
(正極活物質)
正極層に含まれる正極活物質としては、例えば、ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、リチウム含有層状酸化物、および、スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも一種が挙げられる。ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、Li(PO等が挙げられる。オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、LiFe(PO、LiFePO、および/またはLiMnPO等が挙げられる。リチウム含有層状酸化物の一例としては、LiCoO、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3等が挙げられる。スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物の一例としては、LiMn、および/またはLiNi0.5Mn1.5等が挙げられる。
【0019】
また、ナトリウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質としては、ナシコン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、ナトリウム含有層状酸化物およびスピネル型構造を有するナトリウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0020】
(負極活物質)
負極層に含まれる負極活物質としては、例えば、Ti、Si、Sn、Cr、Fe、NbおよびMoから成る群より選ばれる少なくとも一種の元素を含む酸化物、黒鉛などの炭素材料、黒鉛-リチウム化合物、リチウム合金、ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、ならびに、スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも一種が挙げられる。リチウム合金の一例としては、Li-Al等が挙げられる。ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、Li(PO、および/またはLiTi(PO等が挙げられる。オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、LiFe(PO、および/またはLiCuPO等が挙げられる。スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物の一例としては、LiTi12等が挙げられる。
【0021】
また、ナトリウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質としては、ナシコン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、およびスピネル型構造を有するナトリウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも1種が挙げられる。なお、ある好適な態様の本発明の固体電池では、正極層と負極層とが同一材料から成っていてもよい。
【0022】
正極層および/または負極層は、導電性材料を含んでいてもよい。正極層および負極層に含まれる導電性材料として、銀、パラジウム、金、プラチナ、アルミニウム、銅およびニッケル等の金属材料、ならびに炭素などから成る少なくとも1種を挙げることができる。
【0023】
さらに、正極層および/または負極層は、焼結助剤を含んでいてもよい。焼結助剤としては、リチウム酸化物、ナトリウム酸化物、カリウム酸化物、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化ビスマスおよび酸化リンから成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。
【0024】
なお、ある好適な態様の本発明の固体電池では、正極層と負極層とが同一材料から成っている。本発明の固体電池は、正極層および負極層が同一材料から成っていてよい(例えば、そのような場合、正極活物質と負極活物質とが同一種類となり得る)。
【0025】
(固体電解質)
固体電解質は、リチウムイオンが伝導可能な材質である。特に固体電池で電池構成単位を成す固体電解質は、正極層と負極層との間においてリチウムイオンが伝導可能な層を成している。なお、固体電解質は、正極層と負極層との間に少なくとも設けられていればよい。つまり、固体電解質は、正極層と負極層との間からはみ出すように当該正極層および/または負極層の周囲においても存在していてもよい。具体的な固体電解質としては、例えば、ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、ペロブスカイト構造を有する酸化物、ガーネット型またはガーネット型類似構造を有する酸化物、酸化物ガラスセラミックス系リチウムイオン伝導体等が挙げられる。ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物としては、Li(PO(1≦x≦2、1≦y≦2、Mは、Ti、Ge、Al、GaおよびZrから成る群より選ばれる少なくとも一種)が挙げられる。ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、例えば、Li1.2Al0.2Ti1.8(PO等が挙げられる。ペロブスカイト構造を有する酸化物の一例としては、La0.55Li0.35TiO等が挙げられる。ガーネット型またはガーネット型類似構造を有する酸化物の一例としては、LiLaZr12等が挙げられる。酸化物ガラスセラミックス系リチウムイオン伝導体としては、例えば、リチウム、アルミニウムおよびチタンを構成元素に含むリン酸化合物(LATP)、リチウム、アルミニウムおよびゲルマニウムを構成元素に含むリン酸化合物(LAGP)を用いることができる。
【0026】
また、ナトリウムイオンが伝導可能な固体電解質としては、例えば、ナシコン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、ペロブスカイト構造を有する酸化物、ガーネット型またはガーネット型類似構造を有する酸化物等が挙げられる。ナシコン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物としては、Na(PO(1≦x≦2、1≦y≦2、Mは、Ti、Ge、Al、GaおよびZrから成る群より選ばれた少なくとも一種)が挙げられる。
【0027】
固体電解質は、焼結助剤を含んでいてもよい。固体電解質に含まれる焼結助剤は、例えば、正極層・負極層に含まれ得る焼結助剤と同様の材料から選択されてよい。
【0028】
固体電解質層の厚みは特に限定されず、例えば、1μm以上15μm以下、特に1μm以上5μm以下であってもよい。
【0029】
(正極集電層および負極集電層)
正極層および負極層は、それぞれ正極集電層および負極集電層を備えていてもよい。正極集電層および負極集電層はそれぞれ箔の形態を有していてもよいが、一体焼成による固体電池の製造コスト低減および固体電池の内部抵抗低減などの観点から、焼結体の形態を有していてもよい。正極集電層を構成する正極集電体および負極集電層を構成する負極集電体としては、導電率が大きい材料を用いるのが好ましく、例えば、銀、パラジウム、金、プラチナ、アルミニウム、銅、ニッケルなどを用いることが好ましい。特に、銅は正極活物質、負極活物質および固体電解質材と反応し難く、固体電池の内部抵抗の低減に効果があるため好ましい。なお、正極集電層および負極集電層が焼結体の形態を有する場合、導電性材料および焼結助剤を含む焼結体により構成されてもよい。正極集電層および負極集電層に含まれる導電性材料は、例えば、正極層および負極層に含まれ得る導電性材料と同様の材料から選択されてよい。正極集電層および負極集電層に含まれる焼結助剤は、例えば、正極層・負極層に含まれ得る焼結助剤と同様の材料から選択されてよい。なお、固体電池において、正極集電層および負極集電層が必須というわけではなく、そのような正極集電層および負極集電層が設けられていない固体電池も考えられる。つまり、本発明における固体電池は、集電層レスの固体電池であってもよい。
【0030】
正極層および負極層の厚みは特に限定されないが、例えば、それぞれ独立して、2μm以上50μm以下、特に5μm以上30μm以下であってもよい。
【0031】
固体電池、具体的には電池要素には、一般に端子(例えば外部電極)が設けられている。特に、端面電極は電池要素の側面に設けられている。より具体的には、正極層と接続された正極側の端面電極と、負極層と接続された負極側の端面電極とが設けられている。そのような端面電極は、導電率が大きい材料を含んで成ることが好ましい。端面電極の具体的な材質としては、特に制限されるわけではないが、銀、金、プラチナ、アルミニウム、銅、スズおよびニッケルから成る群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。また、端面電極の端部には、タブリードと呼ばれる発生した電気を外部へと取り出す端子が設けられている。タブリードの材質は、端面電極と同様、導電率が大きい材料を含んで成ることが好ましい。タブリードの具体的な材質としては、特に制限されるわけではないが、銀、金、プラチナ、アルミニウム、銅、スズおよびニッケルから成る群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。
【0032】
(保護層)
保護層は、一般に固体電池の最外側に形成され得るもので、電気的、物理的および/または化学的に保護するためのものである。保護層を構成する材料としては絶縁性、耐久性および/または耐湿性に優れ、環境的に安全であることが好ましい。例えば、ガラス、セラミックス、熱硬化性樹脂および/または光硬化性樹脂等を用いることが好ましい。
【0033】
[本発明の特徴部分]
以下、本発明の特徴部分について説明する。
【0034】
本願発明者らは、電池内部への水蒸気の侵入を抑制可能とするための解決策について鋭意検討した。その結果、本願発明者らは、下記の特徴を有する本発明の一実施形態に係る固体電池を案出するに至った。
【0035】
図1は、本発明の一実施形態に係る固体電池を模式的に示す断面図である。図2は、本発明の一実施形態に係る固体電池により水蒸気侵入の防止態様を模式的に示す断面図である。図3は、本発明の一実施形態に係る固体電池を模式的に示す断面図である。図4は、本発明の一実施形態に係る固体電池を模式的に示す斜視図である。図5は、本発明の一実施形態に係る固体電池(膨張状態)を模式的に示す断面図である。
【0036】
本発明の一実施形態に係る固体電池は、上記[固体電池の基本的構成]の欄で述べた構成要素のうち特に保護層に特徴を有する。具体的には、本発明の一実施形態に係る固体電池200は、電池要素100と、電池要素100を覆う複合保護層10と、電池要素100から外部へ電気を取り出し可能な導通部20とを備える。
【0037】
本明細書でいう「複合保護層」とは、2つ以上の保護層が組み合わさって構成されたものを指す。本明細書でいう「導通部」は、電池要素100に設けられた端面電極21と当該端面電極21に接続されたタブリード22等電気取り出しに寄与する部材の総称を指す。すなわち、導通部20は、上記電池要素100に設けられた端面電極21と当該端面電極21に接続されたタブリード22とを有して成るものである。
【0038】
すなわち、本発明の一実施形態では、電池要素100は、2つ以上の保護層が組み合わさって構成された複合保護層10により覆われている。換言すると、複合保護層10は電池要素100を囲んでいる。一例としては、図1に示すように、複合保護層10は、第1の保護層11と第2の保護層12とから構成されている。更に、本発明の一実施形態では、複合保護層10には、第1の保護層11と第2の保護層12とが相互に重なる重複領域50が形成されており、当該重複領域50から外部へと導通部20が引き出されている。
【0039】
なお、重複領域50につき、第1の保護層11と第2の保護層12の位置関係は特に制限されず、例えば、第1の保護層11の外側に第2の保護層12が位置づけられてもよく、第2の保護層12の外側に第1の保護層11が位置づけられてよい。重複領域50は2つより多い数の保護層から構成されてもよい。例えば図1に示す形態では、重複領域50が第1の保護層11と第2の保護層12の2つの層で構成されているが、例えば第3の保護層、第4の保護層も用いて重複領域が構成されてよい。
【0040】
本明細書でいう「重複領域」とは、広義には第1の保護層11と第2の保護層12とが相互に重なる領域を指し、狭義には第1の保護層11の一部と第2の保護層12の一部とが相互に重なる領域を指す。「相互に重なる」とは、一方の保護層の主面と他方の保護層の主面が直接又は隣接して対向する状態を指す。すなわち、一方の保護層の主面と他方の保護層の主面との間に樹脂、金属等を介していても、上記の状態であれば「相互に重なる」とみなす。本明細書でいう「水蒸気」とは、特に気体状態の水に限定されず、液体状態の水なども包含している。つまり、物理的な状態は問わず、水に関連する事項を広く包含するものとして「水蒸気」といった用語を用いている。よって「水蒸気」は、水分などとも称することができ、特に液体状態の水としては、気体状態の水が凝縮した結露水なども包含され得る。
【0041】
本明細書でいう「引き出されている」とは、ある構成要素の中に位置する独立した他の構成要素の少なくとも一部が、当該ある構成要素から外部へと延在し、当該独立した他の構成要素の少なくとも一部が外部に露出している状態であることを意味する。即ち、本明細書でいう「導通部20が複合保護層10の重複領域50から外部へと引き出されている」とは、複合保護層10に覆われている電池要素100と電気的に接続可能な導通部20の一部が、図1に示すように、複合保護層10の重複領域50を形成している第1の保護層11と第2の保護層12との間を通って外部へと露出する状態を示す。
【0042】
図1に示すように、複合保護層10の構成要素である第1の保護層11は、電池要素100全体を覆っている必要はなく、同様に、第2の保護層12も電池要素100全体を覆っている必要はない。最終的に、第1の保護層11と第2の保護層12によって電池要素100全体を覆うように第1の保護層11と第2の保護層12が配置されていればよい。すなわち、最終的に、複合保護層10が電池要素100全体を覆うように配置されていればよい。また、図1に示すように、重複領域50は、一方の保護層の一部と他方の保護層の一部とが互いに覆うように形成することができる。換言すると、重複領域50は、第1の保護層11の一部と第2の保護層12の一部とが互いに積み重なって形成することができる。重複領域50における第1と第2の保護層が積み重なっている方向は、電池要素100における正極層110、負極層120、および固体電解質130の積層方向に対して略垂直方向である。また、導通部20が重複領域50から外部へと引き出されている方向は、重複領域50における第1と第2の保護層が積み重なっている方向に対し略垂直であり、一方で電池要素100の正極層110、負極層120、および固体電解質130の積層方向と略平行となっている。かかる構成をとることにより、図1の固体電池200のように、導通部20を構成するタブリード22の端面電極21との接続部分を除く大部分と電池要素100との間に第1の保護層11を介在させることができる。換言すると、タブリード22と電池要素100とを第1の保護層で隔てながら、タブリード22を端面電極21に接続できる。
【0043】
上述のように、本発明の一実施形態に係る固体電池200では、導通部20が複合保護層10の重複領域50から外部へと引き出される構成が採られている。かかる構成により、以下の技術的効果が奏され得る。
【0044】
電池要素に水蒸気が侵入すると、電池特性の劣化が引き起こされる虞がある。かかる電池要素への水蒸気の侵入は、電池要素の周囲を水蒸気透過防止層としての保護層を覆うことで抑制され得る。この点につき、図10及び図11が示すように、従来の固体電池200’において、断面視で単一の保護層13’が電池要素100’を1周分覆うように構成されている。当該電池要素100’から外部へ電気を取り出すために、導通部の構成要素であるタブリード22’が保護層13’を横断して電池要素100’に接続され得る。換言すると、タブリード22’が保護層13’を横断し外部に向かって突出するように構成されている。かかる構成では、タブリード22’は保護層13’を横断するため、タブリード22’と保護層13’との間に微小な間隙が生じ、当該間隙は水蒸気が外部から電池要素100’へと通じる通路となる虞がある。
【0045】
この点につき、本発明の一実施形態に係る固体電池200では、図1および図2に示すように、電池要素100と接続されている導通部20が上記重複領域50から外部へ引き出されている。そのため、単一の保護層13’(すなわち、重複領域無し)により覆われている従前の固体電池200’と比較すると、断面視における重複領域50の延在方向(長手方向)において、電池の外部から電池要素100に至るまでの経路長さを重複領域50の長さ分長くすることができる。その結果、従前の固体電池200’と比べて、水蒸気40が外部から電池要素100まで到達することを好的に抑制することができる。
【0046】
又、重複領域50は、上記説明からわかるように一方の保護層と他方の保護層とが相互に重なっている状態となっている。すなわち、重複領域50は2層以上の保護層から構成される領域である。そのため、重複領域50の厚さは、重複領域50以外の他の部分における複合保護層10の厚さよりも厚い。これにより、断面視における重複領域50の厚み方向(短手方向)において、単一の保護層13’ (すなわち、重複領域無し)により覆われている従来の固体電池200’と比べ、重複領域50における保護層の厚みを、厚くすることができる。そのため、従前の固体電池200’と比べて、水蒸気40が外部から電池要素100まで到達することを好的に抑制することができる。
【0047】
なお、上述の複合保護層10を構成する第1の保護層11および第2の保護層12は、ラミネートフィルムであることが好ましい。ラミネートフィルムを用いることで、固体電池の薄型化、軽量化、および省スペース化を図ることができる。ラミネートフィルムの材質は、固体電池に一般的に使用されるものであれば特に限定されるものではない。ラミネートフィルムは、箔状の金属とシート状の樹脂が張り合わされることで構成される。例えば、ラミネートフィルムは中間層である金属層と、当該金属層の一方の面を覆う第1の樹脂層と、金属層の他方を覆う第2の樹脂を有して成る。
【0048】
ラミネートフィルムの中間層である金属層を構成する金属は、耐熱性、シール強度、および耐衝撃性を付与することができるものであれば特に限定されるものではない。金属層を構成する金属としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、およびステンレス等から成る群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。好ましい例として、電気伝導性の観点からアルミニウム、又は銅が挙げられる。金属層の形態としては、特に限定されないが、例えば、箔状層、シート状、蒸着層であってよい。
【0049】
ラミネートフィルムの中間層である金属層を覆う第1の樹脂層は、接着特性を付与することができる樹脂を有して成り得る。当該樹脂は、熱溶着により接着性を付与することができるものが好ましく、具体的には、接着性の樹脂を構成する樹脂材は、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタラート系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリアミド系樹脂、およびアクリル系樹脂などから選択される少なくとも一種を挙げることができる。
【0050】
ラミネートフィルムの中間層である金属層を覆う第2の樹脂層は、電池要素を電気的、物理的および/または化学的に保護する樹脂を有して成り得る。具体的には、樹脂を構成する樹脂材料は、特に限定されないが、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタラート系樹脂、ポリアミド系樹脂、およびアクリル系樹脂などから選択される少なくとも一種を挙げることができる。
【0051】
これら保護層が水蒸気(水分およびガス(二酸化炭素)等)を透過させやすいと、電池要素の内部に水蒸気が侵入し、正極層、負極層および固体電解質層が水蒸気を吸着および吸収し、それによって電池性能が低下するおそれがある。かかる点を鑑みて、保護層の厚み方向の水蒸気透過率は、例えば、5.0×10-3g/(m・day)未満、好ましくは0以上5.0×10-3g/(m・day)未満であり得る。なお、ここでいう「水蒸気透過率」は、MORESCO社製、型式WG-15Sのガス透過率測定装置を用いて、測定条件は85℃、85%RH、MA法によって得られた透過率のことを指している。
【0052】
あるいは、アドバンス理工(株)社製、型式GTms-1のガス透過率測定装置を用いて、測定条件は40℃、90%RH、差圧1atmによって得られた水蒸気透過率の値が1.0×10-3g/(m・day)未満であってもよい。
【0053】
電池要素100への水蒸気侵入防止の観点から、重複領域50は広いことが好ましい。具体的には、断面視において、タブリード22の長手方向に沿った重複領域の長さが長いほど好ましい。上記重複領域の長さは、電池要素100の高さ(即ち電池要素100の上面から下面までの長さ)に対して、10%以上あればよく、好ましくは20%以上、30%以上あればよく、より好ましくは40%以上あればよい。また、外部に引き出される導通部20の位置や長さを調整し易くする観点から、上記重複領域の長さは電池要素100の高さに対して、100%以下であればよく、好ましくは90%以下、80%以下、70%以下あればよく、より好ましくは60%以下であればよい。
【0054】
本発明の一実施形態に係る固体電池は、下記態様を採ることが好ましい。
【0055】
一態様では、導通部20が複合保護層10を構成する第1の保護層11と第2の保護層12との間に挟み込まれるように設けられることが好ましい(図1図5等参照)。具体的には、第1の保護層11が導通部20と接触しており、および第2の保護層12が導通部20と接触しており、その状態で導通部20が第1の保護層11と第2の保護層12との間に挟み込まれている。別態様では、図1に示すように、第1の保護層11の外側表面と第2の保護層12の内側表面との間に導通部20が設けられていてもよい。かかる形態では、導通部20が、第1の保護層11と第2の保護層12と略平行となるように、第1の保護層11と第2の保護層との間に挟み込まれている。
【0056】
すなわち、導通部20が第1の保護層11と第2の保護層12との間に位置づけられ、導通部20と第1の保護層11と第2の保護層12とが一体となっている形態が好ましい。かかる構成を採ることで、断面視で導通部20の両側に保護層が位置づけられるため、導通部20を2つの保護層によりそれぞれ面接触させることが可能となり、導通部20と各保護層との間の微小な間隙を好適に減少することができる。これにより、水蒸気が重複領域50を通過することを好適に抑制することができる。
【0057】
なお、正極側および負極側のいずれにおいても水蒸気が重複領域50を通過することを抑制する観点から、断面視で重複領域50としては、2つ設けられることが好ましい。具体的には、正極側の導通部(タブリード22に相当)を挟み込むものと、負極側の導通部(タブリード22に相当)を挟み込むものとが設けられることが好ましい。
【0058】
一態様では、導通部20と複合保護層10が電池要素100の輪郭面に沿って設けられていることが好ましい(図1図8等参照)。
【0059】
本明細書において「電池要素100の輪郭面」とは、電池要素100の形状又は外観を形作る表面を意味する。本明細書において「導通部20と複合保護層10が電池要素100の輪郭面に沿って設けられている」とは、導通部20と複合保護層10が、電池要素100の輪郭面の延在方向と略平行に設けられている状態を意味する。
【0060】
すなわち、導通部20と複合保護層10が電池要素100の輪郭面の延在方向と略同一方向に延在していることが好ましい。本明細書において「電池要素100の輪郭面の延在方向」とは、輪郭面が長手方向に進む方向を意味する。導通部20と複合保護層10は、少なくとも一見して電池要素100の輪郭面の延在方向と略同一方向に延在していればよく、導通部20と複合保護層10が電池要素100の輪郭面の延在方向と完全に同一方向に必ずしも延在していることを要しない。例えば、導通部20、複合保護層10及び電池要素100の各々の位置関係に起因して、導通部20の一部と複合保護層10の一部が電池要素100の輪郭面の延在方向と略同一平行に延在していない箇所があってもよい。
【0061】
従来の固体電池200’では、上述のように、導通部の構成要素であるタブリード22’が保護層13’を横断し外部に向かって突出するように構成されている。そのため、従来の固体電池200’において実装に要する面積は、外部へ突出しているタブリードの面積分さらに必要となる。また、このタブリードは固体電池から電気を取り出す部分であり、固体電池の発電に寄与しないため、突出している導通部の面積分に応じて固体電池の単位面積辺りの発電容量の低下につながり得る。
【0062】
この点につき、本発明の一実施形態では、導通部20が、第1の保護層11と第2の保護層12とが相互に重なる重複領域50から引き出されている。重複領域50は、電池要素100を覆う複合保護層10の構成要素であるため、概して電池要素100の輪郭に沿った形態となり得る。そのため、かかる重複領域50から引き出される導通部20も電池要素100の輪郭に沿い突出が抑制された構造にし得る。導通部20(具体的にはタブリード22)を突出構造ではなく電池要素100の輪郭に沿った構造とし得るため、全体として、本発明の一実施形態に係る固体電池200を電子基材に表面実装させることができる。
【0063】
一態様では、導通部20の外部への引き出し部分(タブリード22に相当)が屈曲部分20Aを有していることが好ましい(図2図5等参照)。ここでいう屈曲部分とは、折れ曲がっている部分のことを意味する。屈曲の形態に特に制限はなく、例えば、図2~5に示すように、導通部20の外部への引出し部分が直角部分を有するように折れ曲がっていてもよい。または、導通部20の外部への引出し部分が弧(カーブ状)を描く部分を有するように折れ曲がっていてもよく、具体的には保護層の表面を沿うように折れ曲がっていてもよい。
【0064】
図2に示すように、導通部20の外部への引き出し部分(タブリード22に相当)は、本発明の一実施形態に係る固体電池200を表面実装する際に電子基材300等に接続される。その際、本発明の一実施形態に係る固体電池200の実装面積、又は固体電池200と電子基材300等の位置関係、固体電池200と電子基材300等の接続方法に応じて、導通部20の外部への引き出し部分(タブリード22に相当)を屈曲形態とすることができる。
【0065】
外部へと引き出す導通部20の長さは、導通部20から電気を取り出すことができるのであれば特に限定されるものではない。引き出された導通部20は、固体電池の好適な表面実装実施の観点から、引き出された導通部20の端部が第1の保護層11又は第2の保護層12により覆われた電池要素100の上面側および下面側の少なくとも一方に設けられていることが好ましい。具体的には、電池要素100の輪郭に沿う導通部20(具体的にはタブリード22)はその端部が固体電池200の上面側又は下面側、例えば下面側に設けられていることが好ましい。これにより、電子基材300上に同列状に固体電池200を実装することができ、全体的な表面実装面積をより小さくすることができる。また、全体的な表面実装面積をより小さくし、かつ固体電池200の表面実装をより確実に達成する観点から、導通部20の引出し部分の少なくとも一部が電子基材300の表面と“面”で接触することが好ましい。“面”で接触することにより、導通部20と電子基材300との接触面積を大きくすることができる。かかる形態は、図2のように、導通部20の外部への引き出し部分の少なくとも一部が電子基材300の表面と略平行となるように、導通部20の引出し部分に屈曲部分が設けることで達成できる。
【0066】
なお、引き出された導通部20の端部につき、必ずしも第1の保護層11又は第2の保護層12に固定する必要はなく端部が自由に可動できる自由端であってもよい。この点につき、実装面積を小さくする観点から、一態様では、少なくとも引き出された導通部20の端部が第1の保護層11又は第2の保護層12に固定されている形態が好ましい。
【0067】
係る形態を取ることで、引き出された導通部20の端部が電池要素100の側面に沿うように密着し、当該密着状態を維持することが可能となる。固体電池から突出する部分をより確実に抑制できるため、実装面積を小さくすることができる。
【0068】
さらに、上記密着状態が維持されることで、引き出された導通部20の端部に対し外部から力が作用した際、引き出された導通部20の端部が折り曲げられ、変形することを好適に防ぐことができる。その結果、固体電池200を電子基材300上に適切に表面実装することができる。
【0069】
引き出された導通部20の端部を第1の保護層11又は第2の保護層12に固定する方法は、特に制限されるものではない。この点につき、固定の容易さの観点から、接着剤により固定することが好ましい。接着剤の形態は、例えば液状、ペースト状、シート状、固体状、粉状である。接着剤の種類は、例えば水系接着剤、化学反応系接着剤、溶剤系接着剤、ホットメルト接着剤である。接着剤の材質は例えばシリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、およびウレタン系樹脂等から成る群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。
【0070】
また、固体電池200の充放電時においては、正極層と負極層との間にて固体電解質層中をイオンが移動することに伴い、各電極層に含まれる活物質が積層方向に沿って膨張、収縮し得る。特に、積層方向に沿った活物質、即ち電極層の膨張が生じると、これに起因して上方向へと作用する引張応力と下方向へと作用する引張応力とが生じる。この点につき、本態様によれば、固体電池200が電子基材300上に表面実装されると、固体電池200と電子基材300との間に微小な空間を有することができる。かかる空間の存在により、積層方向に沿った電極層の膨張による固体電池200の膨張する部分を受容することも可能となる(図5参照)。
【0071】
一態様では、重複領域50が、電池要素100の側面に沿って設けられていることが好ましい。電池要素100の側面全体に沿って設けられていることが好ましい(図2図5等参照)。本明細書でいう「側面」とは、電池要素100を構成する各々の面のうち、上面又は下面に対し、相対的に垂直方向に延在する面のことを意味している。上記説明からわかるように、「側面」は電池要素100の形態によって複数存在する。したがって、本発明でいう「重複領域が、電池要素100の側面に沿って設けられている」とは、電池要素100の上面又は下面以外の電池の面に対して、重複領域が設けられていることを意味する。
【0072】
かかる構成を採ることで、重複領域50が電池要素100から突出していないため、表面実装の際に必要な実装面積が小さくなる。特に、電池要素100の輪郭に沿う導通部20(具体的にはタブリード22)の端部が固体電池200の上面側又は下面側、例えば下面側に設けられる場合、導通部20(具体的にはタブリード22)の端部以外の部分を、電池要素100の側面に沿った重複領域50内に収めることができ、固体電池200の電子基材300への表面実装と電池内部への水蒸気の侵入抑止とを好適に両立することができる。
【0073】
一態様では、図6に示すように、必要に応じて重複領域50に位置する導通部20にシーラント24を設けることが好ましい。図6は、本発明の一実施形態(シーラント付)に係る固体電池を模式的に示す断面図である。
【0074】
かかるシーラント24の存在により、重複領域50に位置する導通部20と重複領域50を構成する2つの保護層11、12とを好適に接着させることができる。これにより、重複領域50において、断面視で導通部20と2つの保護層11、12とをそれぞれ好適に面接着させることが可能となり、導通部20と各保護層との間の微小な間隙をより好適に減少することができる。これにより、水蒸気が重複領域50を通過することをより好適に抑制することができる。
【0075】
重複領域50に位置する導通部20と重複領域50を構成する2つの保護層11、12とを好適に接着させることが可能であるならば、シーラント24の材質は特に制限されず、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、及びポリエチレンテレフタラート系樹脂から成る群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。
【0076】
一態様では、第1の保護層11および第2の保護層12は、中間層としてのアルミ箔11bおよびアルミ箔12bを有して成る(図3参照)。第1の保護層11により電池要素100が覆われる際、当該保護層の中間層であるアルミ箔11bが、正極側の端面電極21及び負極側の端面電極21と導通し、当該アルミ箔11bを介する短絡が生じることを防ぐ観点から、保護層の端面に絶縁材が設けられていることが好ましい。絶縁材を設けるための絶縁処理の方法は、特に制限されず、保護層を介した電池要素100の短絡防止に資するものであれば、いずれの方法でもよい。
【0077】
なお、確認までに導通部20及び重複領域50のそれぞれの位置関係は特に制限されず、表面実装の形態に応じて任意の構造をとってもよい。例えば、図7および図8に示すような構造を採ることができる。一例として、図7の構造では、正極側と負極側の導通部20の露出部分が、電池要素100を介して対向するように位置づけられている。これにより、固体電池200の正極側の導通部20と負極側の導通部20の互いの距離がより離隔した位置づけとなるため、両極が短絡する恐れを減じ得る。また、図8のように、固体電池200の実装先に応じて、正極側と負極側の重複領域、およびタブリード22の設計を非対称に適宜設計変更し得る。これにより、固体電池200の表面実装先の表面形態に応じて柔軟な表面実装が可能となる。
【0078】
又、上記重複領域50における厚みは、重複領域を形成する第1の保護層11と第2の保護層12の厚みにより決定される。
【0079】
第1の保護層11の厚みは、電池要素への水蒸気の侵入による電池性能の低下を抑制する観点から、1μm以上500μm以下であることが好ましく、より好ましくは、2μm以上300μm以下、さらに好ましくは3μm以上100μm以下の範囲、例えば50μmを有して成り得る。
【0080】
第2の保護層12の厚みは、電池要素への水蒸気の侵入による電池性能の低下を抑制する観点から、1μm以上500μm以下であることが好ましく、より好ましくは、2μm以上300μm以下、さらに好ましくは3μm以上100μm以下の範囲、例えば50μmを有して成り得る。
【0081】
重複領域は、電池要素への水蒸気の侵入による電池性能の低下をより一層抑制する観点から、2μm以上1000μm以下であることが好ましく、より好ましくは、4μm以上600μm以下、さらに好ましくは6μm以上200μm以下の範囲、例えば100μmを有して成り得る。
【0082】
[本発明の固体電池の製造方法]
以下、本発明の一実施形態に係る固体電池の製造方法について説明する。本発明の一実施形態に係る固体電池の製造方法は、大きく分けて以下の工程(i)~(iv)を順に含む(図9(a)~図9(h)参照)。具体的には、本発明の一実施形態に係る固体電池の製造方法は、
(i)正極層110、負極層120、および正極層110と負極層120との間に介在する固体電解質層130を備えた電池要素100を用意する工程と、
(ii)電池要素100の一部を覆うように第1の保護層11を設ける工程と、
(iii)電池要素100から外部へと電気を取り出し可能な導通部20を設ける工程と、
(iv)電池要素100の一部以外の残りの部分を覆うように第2の保護層12を設ける工程と
を含む。
特に、本発明の一実施形態に係る固体電池の製造方法は、第1の保護層11と第2の保護層12とが相互に重なる重複領域50が形成され、かつ、当該重複領域50から外部へと導通部20が引き出されるように、第2の保護層12を設けることを特徴とする。
【0083】
以下、本発明の一実施形態に係る固体電池を得るための工程について具体的に説明する。
【0084】
以下では、本発明のより良い理解のために、ある一つの製法を例示説明するが、本発明は当該方法に限定されない。また、以下の記載順序など経時的な事項は、あくまでも説明のための便益上のものに過ぎず、必ずしもそれに拘束されるわけではない。
【0085】
[第1の保護層の用意]
まず、図9(a)に示すように、第1の保護層11を用意する。
【0086】
[ラミネートフィルムの深絞り加工]
次に、図9(b)に示すように、第1の保護層11としてのラミネートフィルムに絞り加工を行うことで、電池要素100を覆うような形状に成形する。絞り加工は、ラミネートフィルムに圧力を加え絞り込むことで凹状に加工し、ラミネートフィルムが電池要素100を覆うような形状にする加工方法であれば特に制限はない。例えば、電池要素100の形状に沿った箱形状の金型の上にラミネートフィルムを置き、そのラミネートフィルムの上から電池要素100の形状を模した金型で圧力を加えることで、電池要素100を覆う第1の保護層11を成形する。これに限定されることなく、ラミネートフィルムに電池要素100を押し付けて絞り加工をしても良い。
【0087】
[第1の保護層11の取り付け]
次に、図9(c)に示すように、上記方法で得られた第1の保護層11に電池要素100を挿入して電池要素100に覆うように第1の保護層11を取り付ける。具体的には、第1の保護層を電池要素100の上面又は下面が一部露出するように覆う。ある好適な態様では、第1の保護層を電池要素100の上面又は下面以外の面を覆うように第1の保護層を取り付ける。より具体的には、第1の保護層の端面が電池要素100の上面と側面の境界線に位置するように、第1の保護層11を取り付ける。なお、電池要素100の側面には、端面電極21を予め取り付けることが好ましい。
【0088】
第1の保護層11の端面には、電池要素100の短絡を防止するために絶縁材31を設けてもよい。絶縁材31は、電気絶縁性を有すれば特に制限はなく、例えば絶縁性樹脂であってもよい。絶縁性樹脂の材質は、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂系、及び合成ゴムから成る群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。
【0089】
[タブリード22の取り付け]
次に、図9(d)および図9(e)に示すように、第1の保護層11で覆われていない電池要素100に設けられた端面電極21にタブリード22を取り付ける。好ましくは、タブリード22の端部に導電性接着剤23をメタルマスク印刷で塗布し、それによって、タブリード22の端部と電池要素100の端面電極21とを互いに電気的に接続するように取り付ける。導電性接着剤23は、導電性ペーストでもよく、例えば導電性フィラーを含有する樹脂材料で構成されている。導電性フィラーとしては、ニッケル、銅、アルミニウム、金、およびカーボン等から成る群から選択される少なくとも一種を挙げることができ、樹脂材料はエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、およびウレタン系樹脂等から成る群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。
【0090】
次に、図9(f)に示すように、電池要素100の端面電極21に接続したタブリード22の端部を基点に、タブリード22を電池要素100の側面の輪郭面に沿わせるように位置づける。タブリード22を電池要素100の辺を横断して沿わせる際、タブリード22を屈曲させてもよい。
【0091】
[第2の保護層12の取り付け]
次に、図9(g)に示すように、電池要素100の側面の輪郭面にタブリード22を沿わせるように位置づけた後、第2の保護層12を、第1の保護層11を取り付けた方向と逆向きに取り付ける。換言すると、第1の保護層11で覆われていない電池要素100の面に対し、第2の保護層12の面を配置する。その後、第2の保護層12の端部を電池要素100の側面に沿わせるように配置していく。この際、電池要素100の側面には、既に第1の保護層11の端部が配置されているため、第2の保護層12と第1の保護層11が重なり合う重複領域50が形成される。具体的には、電池要素100から外部に向かって、電池要素100、第1の保護層11、タブリード22、及び第2の保護層12の順に並ぶ層が形成され、タブリード22が前記重複領域50から引き出されている状態となる。換言すると、端面電極21及びタブリード22から成る導通部20が重複領域から外部へと引き出されている状態になる。
【0092】
電池要素100に水蒸気が侵入することを防止する観点から、当該重複領域50に位置する第1の保護層11、導通部20の構成要素としてのタブリード22、及び第2の保護層12を密着状態にすることが好ましい。密着させる方法は、特に限定されるものではないが、機械的接合、圧着、溶着、接着剤等で密着させることができる。ある好適な態様では、第1の保護層11、タブリード22、及び第2の保護層12間の密着状態より向上させる観点から、タブリード22に予めシーラント24を塗布して、重複領域50にシーラント24を供することが好ましい。例えば、シーラント24としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合系樹脂、ポリアミド系樹脂、およびアクリル系樹脂等から成る群から選択される少なくとも1種の樹脂材からなるものを用いてもよい。
【0093】
[タブリード22の固定]
最後に、図9(h)に示すように、一方が自由端であるタブリード22、即ち電池要素100と接続されていない方のタブリード22の端部(即ち、引き出された導通部20の端部)を、電池要素100の輪郭面に沿わせるように位置づける。具体的には、第1の保護層11と接するようにタブリード22を屈曲させる。この際、タブリード22と第1の保護層11が接する箇所に、接着剤等を塗布し、タブリード22と第1の保護層11を接着固定することができる。当該接着剤は[0062]で例示したような接着剤を使用することができる。
【0094】
かかる工程を経て最終的に本発明の一実施形態に係る固体電池200を得ることができる(図9(h))。なお、上記[タブリード22の固定]におけるタブリード22の屈曲および第1の保護層への接着固定は、例えば、本発明の固体電池200を電子基材300へ表面実装する直前に実施してもよい。具体的には、図9(g)の状態となるまで製造した後、接着剤を塗布する前に製造を一旦止め、図9(g)の状態で一時的に保管してもよい。その後の表面実装する電子基材の形状等に応じて、タブリード22の屈曲の有無、タブリード22の引き出された部分の長さ、タブリード22の接着固定位置、屈曲箇所および屈曲方向等の設計事項を適宜決めてもよい。係る工程を採ることで、本発明の固体電池200を電子基材の形状に応じて柔軟に表面実装できる。
【0095】
最終的に得られた本発明の一実施形態に係る固体電池200では、下記の作用効果が奏され得る。
【0096】
具体的には、得られる本発明の一実施形態に係る固体電池200では、電池要素100と接続されている導通部20が重複領域50から外部へ引き出されている。そのため、単一の保護層13’(すなわち、重複領域無し)により覆われている従前の固体電池200’と比較すると、断面視における重複領域50の延在方向(長手方向)において、電池の外部から電池要素100に至るまでの経路長さを重複領域50の長さ分長くすることができる。その結果、従前の固体電池200’と比べて、水蒸気40が外部から電池要素100まで到達することを好的に抑制することができる。
【0097】
又、重複領域50は、上記説明からわかるように一方の保護層と他方の保護層とが相互に重なっている状態となっている。すなわち、重複領域50は2層以上の保護層から構成される領域である。そのため、重複領域50の厚さは、重複領域50以外の他の部分における複合保護層10の厚さよりも厚い。これにより、断面視における重複領域50の厚み方向(短手方向)において、単一の保護層13’ (すなわち、重複領域無し)により覆われている従来の固体電池200’と比べ、重複領域50における保護層の厚みを、厚くすることができる。そのため、従前の固体電池200’と比べて、水蒸気40が外部から電池要素100まで到達することを好的に抑制することができる。
【0098】
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、本発明の適用範囲のうちの典型例を例示したに過ぎない。従って、本発明はこれに限定されず、種々の改変がなされ得ることを当業者は容易に理解されよう。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の一実施形態に係る固体電池は、電池使用または蓄電が想定される様々な分野に利用することができる。あくまでも例示にすぎないが、本発明の一実施形態に係る固体電池は、モバイル機器などが使用される電気・情報・通信分野(例えば、携帯電話、スマートフォン、スマートウォッチ、ノートパソコンおよびデジタルカメラ、活動量計、アームコンピューター、電子ペーパーなどのモバイル機器分野)、家庭・小型産業用途(例えば、電動工具、ゴルフカート、家庭用・介護用・産業用ロボットの分野)、大型産業用途(例えば、フォークリフト、エレベーター、湾港クレーンの分野)、交通システム分野(例えば、ハイブリッド車、電気自動車、バス、電車、電動アシスト自転車、電動二輪車などの分野)、電力系統用途(例えば、各種発電、ロードコンディショナー、スマートグリッド、一般家庭設置型蓄電システムなどの分野)、医療用途(イヤホン補聴器などの医療用機器分野)、医薬用途(服用管理システムなどの分野)、ならびに、IoT分野、宇宙・深海用途(例えば、宇宙探査機、潜水調査船などの分野)などに利用することができる。
【符号の説明】
【0100】
300:電子基材
310:電子基材接続部
200:固体電池
100:電池要素
110:正極層
120:負極層
130:固体電解質層
10:複合保護層
11:第1の保護層
11a:保護フィルム
11b:アルミ箔
11c:シール用フィルム
12:第2の保護層
12a:保護フィルム
12b:アルミ箔
12c:シール用フィルム
13’:保護層
20:導通部
20A:屈曲部分
21:端面電極
22、22’:タブリード
23:導電性接着剤
24:シーラント
31:絶縁材
40:水蒸気
50:重複領域
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