(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】気体漏れ検出装置、気体漏れ検出システム及び気体漏れ検出方法
(51)【国際特許分類】
G01M 3/38 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
G01M3/38 J
G01M3/38 K
(21)【出願番号】P 2022576328
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(86)【国際出願番号】 JP2021002223
(87)【国際公開番号】W WO2022157922
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】武井 大祐
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-190228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LiDARにより、
配管を含む領域に照射されるレーザ光に含まれる周波数成分と前記領域におけるエアロゾル粒子による前記レーザ光の反射光である第1反射光に含まれる周波数成分との差分に基づき、前記配管の周囲における風向及び風速の分布を示す風向風速情報を生成する風向風速検出手段と、
前記風向風速情報を用いて、前記配管の周囲における気流に関する情報を生成する気流検出手段と、
前記気流に関する情報を用いて、前記配管のガス漏れ又は蒸気漏れを検出する気体漏れ検出手段と、
前記配管による前記レーザ光の反射光を含む第2反射光に基づき、前記配管の位置及び形状を示す位置形状情報を生成する位置形状検出手段と、
を備える気体漏れ検出装置。
【請求項2】
前記気流に関する情報は、前記配管の周囲における乱気流の発生の有無を示す情報を含み、
前記気体漏れ検出手段は、前記気流に関する情報を用いて、前記ガス漏れ又は前記蒸気漏れの発生の有無を検出する
ことを特徴とする請求項
1に記載の気体漏れ検出装置。
【請求項3】
前記気流に関する情報は、前記配管の周囲における乱気流の発生の有無を示す情報及び前記乱気流の発生位置を示す情報を含み、
前記気体漏れ検出手段は、前記気流に関する情報及び前記位置形状情報を用いて、前記ガス漏れ又は前記蒸気漏れの発生の有無を検出するとともに、前記配管における前記ガス漏れ又は前記蒸気漏れの発生箇所を検出する
ことを特徴とする請求項
1に記載の気体漏れ検出装置。
【請求項4】
前記気体漏れ検出手段による検出の結果を示す情報を出力する制御を実行する出力制御手段を備えることを特徴とする請求項
1から請求項
3のうちのいずれか1項に記載の気体漏れ検出装置。
【請求項5】
前記制御は、前記気体漏れ検出手段による検出の結果を示す画像を表示する制御を含むことを特徴とする請求項
4に記載の気体漏れ検出装置。
【請求項6】
前記レーザ光を出射する光出射手段と、
前記第1反射光を受信する受光手段と、
を備えることを特徴とする請求項
1から請求項
5のうちのいずれか1項に記載の気体漏れ検出装置。
【請求項7】
LiDARにより、
配管を含む領域に照射されるレーザ光に含まれる周波数成分と前記領域におけるエアロゾル粒子による前記レーザ光の反射光である第1反射光に含まれる周波数成分との差分に基づき、前記配管の周囲における風向及び風速の分布を示す風向風速情報を生成する風向風速検出手段と、
前記風向風速情報を用いて、前記配管の周囲における気流に関する情報を生成する気流検出手段と、
前記気流に関する情報を用いて、前記配管のガス漏れ又は蒸気漏れを検出する気体漏れ検出手段と、
前記配管による前記レーザ光の反射光を含む第2反射光に基づき、前記配管の位置及び形状を示す位置形状情報を生成する位置形状検出手段と、
を備える気体漏れ検出システム。
【請求項8】
風向風速検出手段が、LiDARにより、
配管を含む領域に照射されるレーザ光に含まれる周波数成分と前記領域におけるエアロゾル粒子による前記レーザ光の反射光である第1反射光に含まれる周波数成分との差分に基づき、前記配管の周囲における風向及び風速の分布を示す風向風速情報を生成し、
気流検出手段が、前記風向風速情報を用いて、前記配管の周囲における気流に関する情報を生成し、
気体漏れ検出手段が、前記気流に関する情報を用いて、前記配管のガス漏れ又は蒸気漏れを検出
し、
位置形状検出手段が、前記配管による前記レーザ光の反射光を含む第2反射光に基づき、前記配管の位置及び形状を示す位置形状情報を生成する
気体漏れ検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、気体漏れ検出装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
工場又は発電所などの施設において、ガス又は蒸気(以下総称して「気体」ということがある。)用の配管が設けられている。配管の腐食等により、配管に孔が生ずることがある。これにより、ガス漏れ又は蒸気漏れ(以下総称して「気体漏れ」ということがある。)が発生する。特許文献1には、気体漏れの発生を検出する技術が開示されている。
【0003】
すなわち、特許文献1に記載のリーク検出装置は、レーザスクリーン形成部、撮影部及びリーク判定器を備える。レーザスクリーン形成部は、配管に対する近傍の位置にレーザスクリーンを形成する。撮像部は、当該形成されたレーザスクリーンを撮像する。当該撮像された画像においては、配管に対する近傍の位置におけるトレーサ(例えば埃)の動きが可視化される。リーク判定器は、かかるトレーサの動きに基づき、配管に対する近傍の位置における気流の乱れを検出する。これにより、気体漏れの発生が検出される(特許文献1の段落[0024]~段落[0027]、
図1等参照。)。
【0004】
なお、関連技術として、特許文献2に記載の技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-296142号公報
【文献】特開2013-113806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術においては、気体漏れの発生を検出するにあたり、レーザスクリーンを形成するデバイス(すなわちレーザスクリーン形成部)及びレーザスクリーンを撮像するデバイス(すなわち撮像部)が用いられる。換言すれば、複数種類のデバイス(すなわちレーザスクリーン形成部及び撮像部)が用いられる。また、かかる複数種類のデバイスの各々を適切な位置に設置する作業が要求される。
【0007】
このように、特許文献1に記載の技術においては、気体漏れを検出するための構成が複雑であるという問題があった。
【0008】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、簡単な構成により配管の気体漏れを検出することができる気体漏れ検出装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る気体漏れ検出装置の一形態は、LiDARにより、配管の周囲における風向及び風速の分布を示す風向風速情報を生成する風向風速検出手段と、風向風速情報を用いて、配管の周囲における気流に関する情報を生成する気流検出手段と、気流に関する情報を用いて、配管のガス漏れ又は蒸気漏れを検出する気体漏れ検出手段と、を備えるものである。
【0010】
本開示に係る気体漏れ検出システムの一形態は、LiDARにより、配管の周囲における風向及び風速の分布を示す風向風速情報を生成する風向風速検出手段と、風向風速情報を用いて、配管の周囲における気流に関する情報を生成する気流検出手段と、気流に関する情報を用いて、配管のガス漏れ又は蒸気漏れを検出する気体漏れ検出手段と、を備えるものである。
【0011】
本開示に係る気体漏れ検出方法の一形態は、風向風速検出手段が、LiDARにより、配管の周囲における風向及び風速の分布を示す風向風速情報を生成し、気流検出手段が、風向風速情報を用いて、配管の周囲における気流に関する情報を生成し、気体漏れ検出手段が、気流に関する情報を用いて、配管のガス漏れ又は蒸気漏れを検出するものである。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、簡単な構成により配管の気体漏れを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る気体漏れ検出システムの要部を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る気体漏れ検出システムにおけるコヒーレント光センシング装置の要部を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る気体漏れ検出装置の要部を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る気体漏れ検出装置の要部のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る気体漏れ検出装置の要部の他のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る気体漏れ検出装置の要部の他のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る気体漏れ検出装置の動作を示すフローチャートである。
【
図8A】
図8Aは、気体漏れが発生している状態の例を示す説明図である。
【
図8B】
図8Bは、気体漏れが発生している状態の例を示す説明図である。
【
図9A】
図9Aは、風向風速マップのうちの第1軸に沿う部位に対応するグラフの例を示す説明図である。
【
図9B】
図9Bは、風向風速マップのうちの第2軸に沿う部位に対応するグラフの例を示す説明図である。
【
図9C】
図9Cは、風向風速マップのうちの第3軸に沿う部位に対応するグラフの例を示す説明図である。
【
図10】
図10は、表示装置に表示される画像の例を示す説明図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係る他の気体漏れ検出システムの要部を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係る他の気体漏れ検出装置の要部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る気体漏れ検出システムの要部を示すブロック図である。
図2は、第1実施形態に係る気体漏れ検出システムにおけるコヒーレント光センシング装置の要部を示すブロック図である。
図3は、第1実施形態に係る気体漏れ検出装置の要部を示すブロック図である。
図1~
図3を参照して、第1実施形態に係る気体漏れ検出システムについて説明する。
【0016】
図1に示す如く、気体漏れ検出システム100は、コヒーレント光センシング装置1、気体漏れ検出装置2及び出力装置3を含む。
図2に示す如く、コヒーレント光センシング装置1は、光出射部11及び受光部12を備える。
図3に示す如く、気体漏れ検出装置2は、風向風速検出部21、気流検出部22、位置形状検出部23、気体漏れ検出部24及び出力制御部25を備える。
【0017】
コヒーレント光センシング装置1は、図示しない配管Pを有する施設(例えば工場又は発電所)に設置される。配管Pの内部をガス又は蒸気(すなわち気体)が流れる。コヒーレント光センシング装置1は、配管Pの外部において、配管Pに向けて設置される。
【0018】
光出射部11は、例えば、レーザ光源を用いたものである。光出射部11は、パルス状のレーザ光を出射する。ここで、コヒーレント光センシング装置1においては、光出射部11によるレーザ光の出射方向が可変である。光出射部11は、複数個の方向にレーザ光を順次出射する。これにより、配管Pを含む領域(以下「照射領域」ということがある。)を走査するようにレーザ光が照射される。
【0019】
当該照射されたレーザ光は、照射領域内の空中に浮遊する微粒子(以下「エアロゾル粒子」という。)により反射される。エアロゾル粒子は、例えば、塵埃を含む。以下、エアロゾル粒子により反射されたレーザ光を「第1反射光」ということがある。また、上記照射されたレーザ光は、照射領域内の物体(配管Pを含む。)により反射される。以下、配管Pを含む物体により反射されたレーザ光を「第2反射光」ということがある。
【0020】
以下、第1反射光及び第2反射光を総称して「反射光」ということがある。受光部12は、反射光を受信する。受光部12は、例えば、受光素子を用いたものである。
【0021】
風向風速検出部21は、光出射部11により出射されるレーザ光及び受光部12により受信された第2反射光に基づき、配管Pの周囲における風向及び風速の分布を示す情報(以下「風向風速情報」という。)を生成する。風向風速情報の生成には、ドップラLiDARの原理が用いられる。ここで、LiDAR(「Light Detection and Ranging」又は「Laser Imaging Detection and Ranging」)とは、光を用いたリモートセンシング技術の一つである。LiDARの技術では、パルス状に発光するレーザ照射に対する散乱光を測定して、遠距離にある対象までの距離やその対象の性質を分析することができる。LiDARは、レーダに類似しており、レーダの電波を光に置き換えたものである。
【0022】
すなわち、風向風速検出部21は、光出射部11により出射されるレーザ光に含まれる周波数成分を示す情報をコヒーレント光センシング装置1から取得する。また、風向風速検出部21は、各方向に出射されたレーザ光に対応する第1反射光に含まれる周波数成分を示す情報をコヒーレント光センシング装置1から取得する。風向風速検出部21は、これらの情報を用いて、各方向に出射されたレーザ光に対応する第1反射光におけるドップラシフト量を算出する。当該算出されるドップラシフト量は、光出射部11により出射されるレーザ光の周波数を基準とするものである。換言すれば、当該算出されるドップラシフト量は、各方向に出射されたレーザ光に含まれる周波数成分と対応する第1反射光に含まれる周波数成分との差分に基づくものである。
【0023】
風向風速検出部21は、当該算出されたドップラシフト量を用いて、照射領域のうちの空間に対応する部位について、かかる部位における所定範囲毎の風向を示す値(以下「風向値」という。)を算出する。また、風向風速検出部21は、かかる部位における所定範囲毎の風速を示す値(以下「風速値」という。)を算出する。
【0024】
具体的には、例えば、風向風速検出部21は、上記算出されたドップラシフト量を用いて、いわゆる「視線方向」について、各視線方向に対するドップラ速度を算出する。風向風速検出部21は、当該算出されたドップラ速度を用いて、所定範囲毎の風ベクトルvを算出する。風ベクトルvの算出には、例えば、VAD(Velocity Azimuth Display)法が用いられる。当該算出された風ベクトルvの向きは、風向値に対応している。また、当該算出された風ベクトルvの大きさは、風速値に対応している。
【0025】
ここで、上記のとおり、光出射部11により照射領域を走査するようにレーザ光が照射される。そこで、風向風速検出部21は、三次元走査型ドップラLiDARの原理を用いるものであっても良い。または、コヒーレント光センシング装置1が移動することにより、又は複数台のコヒーレント光センシング装置1が設置されることにより、互いに異なる3方向(例えば互いに直交する3方向)からの走査が実現されるものであっても良い。これにより、照射領域内の空間(配管Pの周囲の空間を含む。)における風向値及び風速値の分布(より具体的には風ベクトルvの分布)を示す三次元状のマップが生成される。以下、かかるマップを「風向風速マップ」という。風向風速検出部21は、当該生成された風向風速マップを風向風速情報に含める。換言すれば、風向風速検出部21は、当該生成された風向風速マップを含む風向風速情報を生成する。
【0026】
このほか、風向値及び風速値の算出には、ドップラLiDARに関する公知の種々の技術を用いることができる。また、風向風速マップの生成には、ドップラLiDARに関する公知の種々の技術を用いることができる。これらの技術についての詳細な説明は省略する。
【0027】
気流検出部22は、風向風速検出部21により生成された風向風速情報を用いて、照射領域における局所的な気流の乱れ(以下「乱気流」という。)を検出する。より具体的には、気流検出部22は、当該生成された風向風速情報に含まれる風向風速マップにおける特異点を検出する。これにより、気流検出部22は、照射領域内の空間(配管Pの周囲の空間を含む。)における乱気流の発生の有無を検出するとともに、かかる乱気流の発生位置を検出する。
【0028】
具体的には、例えば、気流検出部22は、風向風速マップを用いて、互いに直行する所定の3方向(X方向、Y方向及びZ方向を含む。)について、所定範囲毎の風ベクトルvのダイバージェンス▽・vを算出する。これにより、複数個のダイバージェンス▽・vが算出される。気流検出部22は、当該算出された複数個のダイバージェンス▽・vのうちのピーク値を特異点として検出する。また、気流検出部22は、当該算出された複数個のダイバージェンス▽・vのうちのディップ(dip)値を特異点として検出する。
【0029】
ピーク値及びディップ値のうちの少なくとも一方が検出された場合、気流検出部22は、乱気流の発生があると判定する。そうでない場合、気流検出部22は、乱気流の発生がないと判定する。
【0030】
ピーク値が検出された場合、気流検出部22は、風向風速マップにおける当該検出されたピーク値に対応する位置に基づき、照射領域における乱気流の発生位置を検出する。また、ディップ値が検出された場合、気流検出部22は、風向風速マップにおける当該検出されたディップ値に対応する位置に基づき、照射領域における乱気流の発生位置を検出する。
【0031】
または、例えば、気流検出部22は、風向風速マップに含まれる風速値を用いて、所定の1方向(例えばX方向、Y方向又はZ方向)に対応するグラフを生成する。かかるグラフの具体例については、
図8A~
図8B及び
図9A~
図9Cを参照して後述する。気流検出部22は、当該生成されたグラフにおける不連続点を特異点として検出する。
【0032】
不連続点が検出された場合、気流検出部22は、乱気流の発生があると判定する。そうでない場合、気流検出部22は、乱気流の発生がないと判定する。不連続点が検出された場合、気流検出部22は、風向風速マップにおける当該検出された不連続点に対応する位置に基づき、照射領域における乱気流の発生位置を検出する。
【0033】
このようにして、乱気流の発生の有無が検出されるとともに、乱気流の発生位置が検出される。気流検出部22は、当該検出された乱気流に関する情報を生成する。換言すれば、気流検出部22は、配管Pの周囲における気流に関する情報(以下「気流情報」ということがある。)を生成する。すなわち、気流情報は、かかる乱気流の発生の有無を示す情報を含む。これに加えて、気流情報は、かかる乱気流の発生位置を示す情報を含むものであっても良い。
【0034】
位置形状検出部23は、受光部12により受信された第2反射光に基づき、配管Pの位置及び形状を示す情報(以下「位置形状情報」という。)を生成する。位置形状情報の生成には、ToF(Time of Flight) LiDARの原理が用いられる。
【0035】
すなわち、位置形状検出部23は、各方向にレーザ光が出射された時刻を示す情報をコヒーレント光センシング装置1から取得する。また、位置形状検出部23は、対応する第2反射光が受信された時刻を示す情報をコヒーレント光センシング装置1から取得する。位置形状検出部23は、これらの情報を用いて、各方向に出射されたレーザ光及び対応する第2反射光について、往復伝搬時間に対応する片道伝搬距離を算出する。
【0036】
位置形状検出部23は、当該算出された片道伝搬距離に基づき、各方向に出射されたレーザ光に対応する第2反射光が反射された地点の位置を示す座標値を算出する。かかる座標値は、仮想的な三次元座標空間における座標値である。かかる三次元座標空間において個々の座標値に対応する点が配置されることにより、照射領域内の個々の物体の表面形状を示す三次元モデルが生成される。すなわち、当該生成された三次元モデルは、点群により構成されている。
【0037】
このほか、ToF LiDARを用いた三次元モデルの生成には、公知の種々の技術を用いることができる。これらの技術についての詳細な説明は省略する。
【0038】
以下、上記生成された三次元モデルのうちの配管Pに対応する部位を「配管モデル」という。位置形状検出部23は、配管モデルPMの形状に基づき、配管Pの形状を検出する。また、位置形状検出部23は、三次元座標空間における配管モデルPMの位置に基づき、照射領域における配管Pの位置を検出する。このようにして、位置形状情報が生成される。
【0039】
気体漏れ検出部24は、気流検出部22により生成された気流情報及び位置形状検出部23により生成された位置形状情報を取得する。気体漏れ検出部24は、これらの情報を用いて、配管Pの気体漏れを検出する。より具体的には、気体漏れ検出部24は、配管Pにおける気体漏れの発生の有無を検出するとともに、配管Pにおける気体漏れが発生している位置(以下「発生箇所」という。)LPを検出する。
【0040】
すなわち、気体漏れ検出部24は、乱気流の発生がある場合、位置形状情報を用いて、乱気流の発生位置が配管Pに対する近傍の位置であるか否かを判定する。乱気流の発生位置が配管Pに対する近傍の位置である場合、気体漏れ検出部24は、配管Pにおける気体漏れの発生があると判定する。また、この場合、気体漏れ検出部24は、配管Pの表面部における乱気流の発生位置に対応する位置が気体漏れの発生箇所LPであると判定する。他方、乱気流の発生がない場合、又は乱気流の発生位置が配管Pから離れた位置である場合、気体漏れ検出部24は、配管Pにおける気体漏れの発生がないと判定する。
【0041】
このようにして、配管Pにおける気体漏れの発生の有無が検出されるとともに、配管Pにおける気体漏れの発生箇所LPが検出される。気体漏れ検出部24は、かかる検出の結果を示す情報(以下「検出結果情報」という。)を生成する。このとき、気体漏れ検出部24は、上記取得された位置形状情報に含まれる配管モデルPMを検出結果情報に含めるものであっても良い。
【0042】
出力制御部25は、気体漏れ検出部24により生成された検出結果情報を取得する。出力制御部25は、当該取得された検出結果情報を出力する制御を実行する。検出結果情報の出力には、出力装置3が用いられる。出力装置3は、例えば、表示装置、音声出力装置及び通信装置のうちの少なくとも一つを含む。表示装置は、例えば、ディスプレイを用いたものである。音声出力装置は、例えば、スピーカを用いたものである。通信装置は、例えば、専用の送信機及び受信機を用いたものである。
【0043】
例えば、出力制御部25は、検出結果情報を含む画像Iを表示する制御を実行する。かかる画像Iの表示には、出力装置3のうちの表示装置が用いられる。または、例えば、出力制御部25は、検出結果情報を含む音声を出力する制御を実行する。かかる音声の表示には、出力装置3のうちの表示装置が用いられる。または、例えば、出力制御部25は、検出結果情報を含む信号を送信する制御を実行する。かかる信号の送信には、出力装置3のうちの通信装置が用いられる。
【0044】
ここで、画像Iは、以下のような画像I_P,I_LPを含むものであっても良い。すなわち、出力制御部25は、検出結果情報に含まれる配管モデルPMを用いて、配管Pの三次元画像(以下「第1画像」ということがある)I_Pを生成する。また、出力制御部25は、検出結果情報を用いて、気体漏れの発生箇所LPを示す画像(以下「第2画像」ということがある)I_LPを生成する。出力制御部25は、これらの画像I_P,I_LPを含む画像Iを生成する。より具体的には、出力制御部25は、第1画像I_Pに第2画像I_LPを重畳してなる画像Iを生成する。かかる画像Iの具体例については、
図10を参照して後述する。
【0045】
このようにして、気体漏れ検出システム100の要部が構成されている。
【0046】
以下、光出射部11を「光出射手段」ということがある。また、受光部12を「受光手段」ということがある。また、風向風速検出部21を「風向風速検出手段」ということがある。また、気流検出部22を「気流検出手段」ということがある。また、位置形状検出部23を「位置形状検出手段」ということがある。また、気体漏れ検出部24を「気体漏れ検出手段」ということがある。また、出力制御部25を「出力制御手段」ということがある。
【0047】
次に、
図4~
図6を参照して、気体漏れ検出装置2の要部のハードウェア構成について説明する。
【0048】
図4~
図6の各々に示す如く、気体漏れ検出装置2は、コンピュータ31を用いたものである。コンピュータ31は、コヒーレント光センシング装置1と一体に設けられるものであっても良い。または、コンピュータ31は、他の場所(例えばクラウドネットワーク内)に設けられるものであっても良い。または、コンピュータ31のうちの一部の要素がコヒーレント光センシング装置1と一体に設けられるとともに、コンピュータ31のうちの残余の要素が他の場所に設けられるものであっても良い。
【0049】
図4に示す如く、コンピュータ31は、プロセッサ41及びメモリ42を含む。メモリ42には、コンピュータ31を風向風速検出部21、気流検出部22、位置形状検出部23、気体漏れ検出部24及び出力制御部25として機能させるためのプログラムが記憶されている。プロセッサ41は、メモリ42に記憶されているプログラムを読み出して実行する。これにより、風向風速検出部21の機能F1、気流検出部22の機能F2、位置形状検出部23の機能F3、気体漏れ検出部24の機能F4及び出力制御部25の機能F5が実現される。
【0050】
または、
図5に示す如く、コンピュータ31は、処理回路43を含む。処理回路43は、コンピュータ31を風向風速検出部21、気流検出部22、位置形状検出部23、気体漏れ検出部24及び出力制御部25として機能させるための処理を実行する。これにより、機能F1~F5が実現される。
【0051】
または、
図6に示す如く、コンピュータ31は、プロセッサ41、メモリ42及び処理回路43を含む。この場合、機能F1~F5のうちの一部の機能がプロセッサ41及びメモリ42により実現されるとともに、機能F1~F5のうちの残余の機能が処理回路43により実現される。
【0052】
プロセッサ41は、1個以上のプロセッサにより構成されている。個々のプロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ又はDSP(Digital Signal Processor)を用いたものである。
【0053】
メモリ42は、1個以上のメモリにより構成されている。個々のメモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、コンパクトディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク、MO(Magneto Optical)ディスク又はミニディスクを用いたものである。
【0054】
処理回路43は、1個以上の処理回路により構成されている。個々の処理回路は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SoC(System on a Chip)又はシステムLSI(Large Scale Integration)を用いたものである。
【0055】
なお、プロセッサ41は、機能F1~F5の各々に対応する専用のプロセッサを含むものであっても良い。メモリ42は、機能F1~F5の各々に対応する専用のメモリを含むものであっても良い。処理回路43は、機能F1~F5の各々に対応する専用の処理回路を含むものであっても良い。
【0056】
次に、
図7に示すフローチャートを参照して、気体漏れ検出装置2の動作について説明する。
【0057】
まず、風向風速検出部21が風向風速情報を生成する(ステップST1)。次いで、気流検出部22が気流情報を生成する(ステップST2)。上記のとおり、気流情報の生成には、ステップST1にて生成された風向風速情報が用いられる。
【0058】
また、位置形状検出部23が位置形状情報を生成する(ステップST3)。
【0059】
次いで、気体漏れ検出部24が気体漏れを検出する(ステップST4)。上記のとおり、気体漏れの検出には、ステップST2にて生成された気流情報及びステップST3にて生成された位置形状情報が用いられる。次いで、出力制御部25は、ステップST4における検出の結果を示す情報(すなわち検出結果情報)を出力する制御を実行する(ステップST5)。
【0060】
次に、
図8A~
図8B及び
図9A~
図9Cを参照して、気流検出部22による乱気流の検出に用いられるグラフの具体例について説明する。なお、
図8A及び
図8Bにおいては、X方向、Y方向及びZ方向の具体例が記載されている。
【0061】
図8A及び
図8Bに示す如く、配管Pの気体漏れが発生している。通常、気体漏れの発生箇所LPにおいては、気体の吹き出し又は気体の吸い込みが生ずる。
図8A及び
図8Bに示す例においては、気体の吹き出しが生じている。気体の吹き出し又は気体の吸い込みが生ずることにより、局所的な気流の乱れ(すなわち乱気流)が発生する。
【0062】
図8Aにおける破線の矢印は、気体の吹き出しにより発生する気流の例を示している。個々の矢印の向きは、図中XY平面に沿う方向における、かかる気流の向きを示している。
図8Aに示す如く、図中XY平面に沿う方向においては、気体漏れの発生箇所LPを中心に放射状に広がる向きの気流が発生する。
【0063】
図8Bにおける破線の矢印は、気体の吹き出しにより発生する気流の例を示している。個々の矢印の向きは、図中XZ平面に沿う方向における、かかる気流の向きを示している。
図8Bに示す如く、図中XZ平面に沿う方向においては、気体漏れの発生箇所LPを中心に半放射状に広がる向きの気流が発生する。これは、図中YZ平面に沿う方向においても同様である。
【0064】
ここで、
図8A及び
図8Bにおける第1軸は、以下のような仮想的な軸を示している。すなわち、第1軸は、図中X方向(すなわち配管Pの管軸に沿う方向)に沿う軸である。また、第1軸は、配管Pの周囲の空間における気体漏れの発生箇所LPに対する近傍の位置を通る軸である。
【0065】
また、
図8Aにおける第2軸は、以下のような仮想的な軸を示している。すなわち、第2軸は、図中Y方向(すなわち配管Pの管軸に対して直交する方向)に沿う軸である。また、第2軸は、配管Pの周囲の空間における気体漏れの発生箇所LPに対する近傍の位置を通る軸である。なお、
図8Bにおいて、第2軸は図示を省略している。
【0066】
また、
図8Bにおける第3軸は、以下のような仮想的な軸を示している。すなわち、第3軸は、図中Z方向(すなわち配管Pの管軸に対して直交する他の方向)に沿う軸である。また、第3軸は、気体漏れの発生箇所LPを通る軸である。なお、
図8Aにおいて、第3軸は図示を省略している。
【0067】
風向風速情報(より具体的には風向風速マップ)には、配管Pに対する周囲の空間のうちの第1軸に沿う部位における、X方向に対する風速値が含まれている。
図9Aは、かかる風速値を示すグラフの例を示している。換言すれば、
図9Aは、X方向に対応するグラフの一例を示している。
【0068】
図9Aに示す如く、第1軸においては、気体漏れの発生箇所LPに対応する位置に近づくにつれて風速値の絶対値が次第に大きくなる。また、第1軸においては、かかる位置にて風向が反転する。換言すれば、かかる位置にて風速値の正負が反転する。このため、
図9Aに示す如く、かかる位置にてグラフの不連続点が生じている。すなわち、かかる位置にて特異点が生じている。
【0069】
同様に、風向風速情報(より具体的には風向風速マップ)には、配管Pに対する周囲の空間のうちの第2軸に沿う部位における、Y方向に対する風速値が含まれている。
図9Bは、かかる風速値を示すグラフの例を示している。換言すれば、
図9Bは、Y方向に対応するグラフの一例を示している。
【0070】
図9Bに示す如く、第2軸においては、気体漏れの発生箇所LPに対応する位置に近づくにつれて風速値の絶対値が次第に大きくなる。また、第2軸においては、かかる位置にて風向が反転する。換言すれば、かかる位置にて風速値の正負が反転する。このため、
図9Bに示す如く、かかる位置にてグラフの不連続点が生じている。すなわち、かかる位置にて特異点が生じている。
【0071】
同様に、風向風速情報(より具体的には風向風速マップ)には、配管Pに対する周囲の空間のうちの第3軸に沿う部位における、Z方向に対する風速値が含まれている。
図9Cは、かかる風速値を示すグラフの例を示している。換言すれば、
図9Cは、Z方向に対応するグラフの一例を示している。
【0072】
図9Cに示す如く、第3軸においては、配管Pに対する周囲の空間において気体漏れの発生箇所LPに対応する位置に近づくにつれて風速値の絶対値が次第に大きくなる。他方、配管Pの内部に対応する位置における風速値は零値(すなわち未検出)となる。このため、
図9Cに示す如く、気体漏れの発生箇所LPに対応する位置にてグラフの不連続点が生じている。すなわち、かかる位置にて特異点が生じている。
【0073】
このように、X方向、Y方向及びZ方向の各々に対応するグラフにおいて、かかるグラフに対応する軸が気体漏れの発生箇所LPに対応する位置を通る場合、かかる位置にて不連続点が発生する。そこで、気流検出部22は、例えば、以下のような処理を実行することにより乱気流の発生位置を検出する。
【0074】
すなわち、気流検出部22は、以下のような複数本の仮想的な軸(以下「第1軸群」という。)を設定する。すなわち、第1軸群に含まれる個々の軸は、X方向に沿う軸であり、かつ、配管Pに対する近傍の位置を通る軸である。また、第1軸群に含まれる複数本の軸は、Y方向に沿うように一次元状に配列されている。第1軸群には、
図8A及び
図8Bに示す第1軸が含まれる。
【0075】
気流検出部22は、第1軸群に含まれる個々の軸について、
図9Aを参照して説明したグラフと同様のグラフを生成する。気流検出部22は、当該生成されたグラフにおける不連続点を検出する。これにより、乱気流の発生位置が検出される。
【0076】
または、気流検出部22は、以下のような複数本の仮想的な軸(以下「第2軸群」という。)を設定する。すなわち、第2軸群に含まれる個々の軸は、Y方向に沿う軸であり、かつ、配管Pに対する近傍の位置を通る軸である。また、第2軸群に含まれる複数本の軸は、X方向に沿うように一次元状に配列されている。第2軸群には、
図8Aに示す第2軸が含まれる。
【0077】
気流検出部22は、第2軸群に含まれる個々の軸について、
図9Bを参照して説明したグラフと同様のグラフを生成する。気流検出部22は、当該生成されたグラフにおける不連続点を検出する。これにより、乱気流の発生位置が検出される。
【0078】
または、気流検出部22は、以下のような複数本の仮想的な軸(以下「第3軸群」という。)を設定する。すなわち、第2軸群に含まれる個々の軸は、Z方向に沿う軸であり、かつ、配管Pに対応する位置を通る軸である。また、第3軸群に含まれる複数本の軸は、X方向及びY方向に沿うように二次元状に配列されている。第3軸群には、
図8Bに示す第3軸が含まれる。
【0079】
気流検出部22は、第3軸群に含まれる個々の軸について、
図9Cを参照して説明したグラフと同様のグラフを生成する。気流検出部22は、当該生成されたグラフにおける不連続点を検出する。これにより、乱気流の発生位置が検出される。
【0080】
なお、配管Pの周囲の空間にて環境風が発生している場合、かかる環境風の向き及び強さに応じて、各方向に対応するグラフが図中縦軸に対するオフセットを有するものとなり得る。ただし、この場合であっても、上記のとおり、かかるグラフに対応する軸が気体漏れの発生箇所LPに対応する位置を通る場合、かかる位置にて不連続点が発生する。このため、気体漏れの発生箇所LPを検出することができる。
【0081】
次に、
図10を参照して、出力装置3に含まれる表示装置により表示される画像Iの具体例について説明する。
【0082】
上記のとおり、画像Iは、配管Pの三次元画像である第1画像I_P、及び気体漏れの発生位置LPを示す第2画像I_LPを含むものであっても良い。このとき、第2画像I_LPが第1画像I_Pに重畳して表示されるものであっても良い(
図10参照)。気体漏れ検出システム100のユーザは、かかる画像Iを見ることにより、気体漏れの発生位置LPを視覚的に容易に認識することができる。
【0083】
次に、気体漏れ検出システム100を用いることによる効果について説明する。
【0084】
上記のとおり、気体漏れ検出システム100を用いることにより、配管Pの気体漏れを検出することができる。より具体的には、気体漏れの発生の有無を検出することができるとともに、気体漏れの発生箇所LPを検出することができる。ここで、特許文献1に記載の技術に比して、簡単な構成により気体漏れを検出することができる。
【0085】
すなわち、特許文献1に記載の技術においては、気体漏れの発生を検出するにあたり、レーザスクリーンを形成するデバイス(より具体的にはレーザスクリーン形成部)及びレーザスクリーンを撮像するデバイス(より具体的には撮像部)が用いられる。換言すれば、複数種類のデバイスが用いられる。また、かかる複数種類のデバイスの各々を適切な位置に設置する作業が要求される。
【0086】
これに対して、気体漏れ検出装置2は、気体漏れの発生を検出するにあたり、コヒーレント光センシング装置1を用いて得られる情報(すなわち気流情報及び位置形状情報)を用いるものである。換言すれば、気体漏れ検出装置2は、1種類のデバイスを用いて得られる情報を用いるものである。このため、複数種類のデバイスを用いる特許文献1に記載の技術に比して、簡単な構成により気体漏れを検出することができる。
【0087】
次に、気体漏れ検出システム100の変形例について説明する。
【0088】
風向風速マップは、三次元状のマップに限定されるものではない。風向風速マップは、二次元状のマップであっても良い。例えば、気流検出部22が第1軸群又は第2軸群を用いるものである場合、風向風速マップは、第1軸群又は第2軸群に沿う仮想的な平面における二次元状のマップであっても良い。
【0089】
例えば、位置形状情報が生成されたとき、当該生成された位置形状情報を用いて、第1軸群又は第2軸群に沿う仮想的な平面が設定される。風向風速検出部21は、当該設定された仮想的な平面における風向値及び風速値の分布を示すマップを生成する。このようにして、二次元状の風向風速マップが生成される。
【0090】
次に、気体漏れ検出システム100の他の変形例について説明する。
【0091】
光出射部11及び受光部12は、コヒーレント光センシング装置1に設けられているのに代えて、気体漏れ検出装置2に設けられているものであっても良い。換言すれば、気体漏れ検出装置2は、光出射部11及び受光部12を備えるものであっても良い。
【0092】
次に、
図11を参照して、気体漏れ検出システム100の他の変形例について説明する。
【0093】
図11に示す如く、コヒーレント光センシング装置1及び気体漏れ検出装置2により気体漏れ検出システム100の要部が構成されているものであっても良い。換言すれば、気体漏れ検出システム100は、出力装置3を含まないものであっても良い。この場合、出力装置3は、気体漏れ検出システム100の外部に設けられているものであっても良い。
【0094】
次に、
図12を参照して、気体漏れ検出装置2の変形例について説明する。
【0095】
図12に示す如く、風向風速検出部21、気流検出部22及び気体漏れ検出部24により気体漏れ検出装置2の要部が構成されているものであっても良い。この場合、出力制御部25は、出力装置3に設けられているものであっても良い。
【0096】
また、この場合、気体漏れ検出部24は、気流情報を用いて、気体漏れの発生の有無を検出するものであっても良い。換言すれば、気体漏れの発生箇所LPについては、気体漏れ検出部24により検出されないものであっても良い。すなわち、乱気流の発生があることを気流情報が示している場合、気体漏れ検出部24は、気体漏れの発生があると判定する。他方、乱気流の発生がないことを気流情報が示している場合、気体漏れ検出部24は、気体漏れの発生がないと判定する。
【0097】
かかる変形例においても、上記のような効果を奏することができる。すなわち、風向風速検出部21は、配管Pを含む領域(照射領域)に照射されるレーザ光及び領域(照射領域)におけるエアロゾル粒子によるレーザ光の反射光である第1反射光に基づき、配管Pの周囲における風向及び風速の分布を示す風向風速情報を生成する。換言すれば、風向風速検出部21は、LiDARにより、配管Pの周囲における風向及び風速の分布を示す風向風速情報を生成する。気流検出部22は、風向風速情報を用いて、配管Pの周囲における気流に関する情報(気流情報)を生成する。気体漏れ検出部24は、気流情報を用いて、配管Pのガス漏れ又は蒸気漏れを検出する。このように、LiDARにより得られる情報(すなわち気流情報)を用いて、気体漏れを検出することができる。換言すれば、1種類のデバイス(すなわちコヒーレント光センシング装置1)を用いて得られる情報を用いて、気体漏れを検出することができる。このため、特許文献1に記載の技術に比して、簡単な構成により気体漏れを検出することができる。
【0098】
以上、実施形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0099】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0100】
[付記]
[付記1]
LiDARにより、配管の周囲における風向及び風速の分布を示す風向風速情報を生成する風向風速検出手段と、
前記風向風速情報を用いて、前記配管の周囲における気流に関する情報を生成する気流検出手段と、
前記気流に関する情報を用いて、前記配管のガス漏れ又は蒸気漏れを検出する気体漏れ検出手段と、
を備える気体漏れ検出装置。
[付記2]
前記風向風速検出手段は、前記配管を含む領域に照射されるレーザ光に含まれる周波数成分と前記領域におけるエアロゾル粒子による前記レーザ光の反射光である第1反射光に含まれる周波数成分との差分に基づき前記風向風速情報を生成することを特徴とする付記1に記載の気体漏れ検出装置。
[付記3]
前記配管による前記レーザ光の反射光を含む第2反射光に基づき、前記配管の位置及び形状を示す位置形状情報を生成する位置形状検出手段を備えることを特徴とする付記2に記載の気体漏れ検出装置。
[付記4]
前記気流に関する情報は、前記配管の周囲における乱気流の発生の有無を示す情報を含み、
前記気体漏れ検出手段は、前記気流に関する情報を用いて、前記ガス漏れ又は前記蒸気漏れの発生の有無を検出する
ことを特徴とする付記2に記載の気体漏れ検出装置。
[付記5]
前記気流に関する情報は、前記配管の周囲における乱気流の発生の有無を示す情報及び前記乱気流の発生位置を示す情報を含み、
前記気体漏れ検出手段は、前記気流に関する情報及び前記位置形状情報を用いて、前記ガス漏れ又は前記蒸気漏れの発生の有無を検出するとともに、前記配管における前記ガス漏れ又は前記蒸気漏れの発生箇所を検出する
ことを特徴とする付記3に記載の気体漏れ検出装置。
[付記6]
前記気体漏れ検出手段による検出の結果を示す情報を出力する制御を実行する出力制御手段を備えることを特徴とする付記2から付記5のうちのいずれか1つに記載の気体漏れ検出装置。
[付記7]
前記制御は、前記気体漏れ検出手段による検出の結果を示す画像を表示する制御を含むことを特徴とする付記6に記載の気体漏れ検出装置。
[付記8]
前記気体漏れ検出手段による検出の結果を示す画像を表示する制御を実行する出力制御手段を備え、
前記画像は、前記位置形状情報に基づく前記配管の三次元画像である第1画像を含み、かつ、前記ガス漏れ又は前記蒸気漏れの発生箇所を示す第2画像を含む
ことを特徴とする付記5に記載の気体漏れ検出装置。
[付記9]
前記第2画像が前記第1画像に重畳して表示されることを特徴とする付記8に記載の気体漏れ検出装置。
[付記10]
前記レーザ光を出射する光出射手段と、
前記第1反射光を受信する受光手段と、
を備えることを特徴とする付記2から付記9のうちのいずれか1つに記載の気体漏れ検出装置。
[付記11]
LiDARにより、配管の周囲における風向及び風速の分布を示す風向風速情報を生成する風向風速検出手段と、
前記風向風速情報を用いて、前記配管の周囲における気流に関する情報を生成する気流検出手段と、
前記気流に関する情報を用いて、前記配管のガス漏れ又は蒸気漏れを検出する気体漏れ検出手段と、
を備える気体漏れ検出システム。
[付記12]
前記風向風速検出手段は、前記配管を含む領域に照射されるレーザ光に含まれる周波数成分と前記領域におけるエアロゾル粒子による前記レーザ光の反射光である第1反射光に含まれる周波数成分との差分に基づき前記風向風速情報を生成することを特徴とする付記11に記載の気体漏れ検出システム。
[付記13]
前記配管による前記レーザ光の反射光を含む第2反射光に基づき、前記配管の位置及び形状を示す位置形状情報を生成する位置形状検出手段を備えることを特徴とする付記12に記載の気体漏れ検出システム。
[付記14]
前記気流に関する情報は、前記配管の周囲における乱気流の発生の有無を示す情報を含み、
前記気体漏れ検出手段は、前記気流に関する情報を用いて、前記ガス漏れ又は前記蒸気漏れの発生の有無を検出する
ことを特徴とする付記12に記載の気体漏れ検出システム。
[付記15]
前記気流に関する情報は、前記配管の周囲における乱気流の発生の有無を示す情報及び前記乱気流の発生位置を示す情報を含み、
前記気体漏れ検出手段は、前記気流に関する情報及び前記位置形状情報を用いて、前記ガス漏れ又は前記蒸気漏れの発生の有無を検出するとともに、前記配管における前記ガス漏れ又は前記蒸気漏れの発生箇所を検出する
ことを特徴とする付記13に記載の気体漏れ検出システム。
[付記16]
前記気体漏れ検出手段による検出の結果を示す情報を出力する制御を実行する出力制御手段を備えることを特徴とする付記12から付記15のうちのいずれか1つに記載の気体漏れ検出システム。
[付記17]
前記制御は、前記気体漏れ検出手段による検出の結果を示す画像を表示する制御を含むことを特徴とする付記16に記載の気体漏れ検出システム。
[付記18]
前記気体漏れ検出手段による検出の結果を示す画像を表示する制御を実行する出力制御手段を備え、
前記画像は、前記位置形状情報に基づく前記配管の三次元画像である第1画像を含み、かつ、前記ガス漏れ又は前記蒸気漏れの発生箇所を示す第2画像を含む
ことを特徴とする付記15に記載の気体漏れ検出システム。
[付記19]
前記第2画像が前記第1画像に重畳して表示されることを特徴とする付記18に記載の気体漏れ検出システム。
[付記20]
前記レーザ光を出射する光出射手段と、
前記第1反射光を受信する受光手段と、
を備えることを特徴とする付記12から付記19のうちのいずれか1つに記載の気体漏れ検出システム。
[付記21]
風向風速検出手段が、LiDARにより、配管の周囲における風向及び風速の分布を示す風向風速情報を生成し、
気流検出手段が、前記風向風速情報を用いて、前記配管の周囲における気流に関する情報を生成し、
気体漏れ検出手段が、前記気流に関する情報を用いて、前記配管のガス漏れ又は蒸気漏れを検出する
気体漏れ検出方法。
[付記22]
前記風向風速検出手段は、前記配管を含む領域に照射されるレーザ光に含まれる周波数成分と前記領域におけるエアロゾル粒子による前記レーザ光の反射光である第1反射光に含まれる周波数成分との差分に基づき前記風向風速情報を生成することを特徴とする付記21に記載の気体漏れ検出方法。
[付記23]
位置形状検出手段が、前記配管による前記レーザ光の反射光を含む第2反射光に基づき、前記配管の位置及び形状を示す位置形状情報を生成することを特徴とする付記22に記載の気体漏れ検出方法。
[付記24]
前記気流に関する情報は、前記配管の周囲における乱気流の発生の有無を示す情報を含み、
前記気体漏れ検出手段は、前記気流に関する情報を用いて、前記ガス漏れ又は前記蒸気漏れの発生の有無を検出する
ことを特徴とする付記22に記載の気体漏れ検出方法。
[付記25]
前記気流に関する情報は、前記配管の周囲における乱気流の発生の有無を示す情報及び前記乱気流の発生位置を示す情報を含み、
前記気体漏れ検出手段は、前記気流に関する情報及び前記位置形状情報を用いて、前記ガス漏れ又は前記蒸気漏れの発生の有無を検出するとともに、前記配管における前記ガス漏れ又は前記蒸気漏れの発生箇所を検出する
ことを特徴とする付記23に記載の気体漏れ検出方法。
[付記26]
出力制御手段が、前記気体漏れ検出手段による検出の結果を示す情報を出力する制御を実行することを特徴とする付記22から付記25のうちのいずれか1つに記載の気体漏れ検出方法。
[付記27]
前記制御は、前記気体漏れ検出手段による検出の結果を示す画像を表示する制御を含むことを特徴とする付記26に記載の気体漏れ検出方法。
[付記28]
出力制御手段が、前記気体漏れ検出手段による検出の結果を示す画像を表示する制御を実行し、
前記画像は、前記位置形状情報に基づく前記配管の三次元画像である第1画像を含み、かつ、前記ガス漏れ又は前記蒸気漏れの発生箇所を示す第2画像を含む
ことを特徴とする付記25に記載の気体漏れ検出方法。
[付記29]
前記第2画像が前記第1画像に重畳して表示されることを特徴とする付記28に記載の気体漏れ検出方法。
[付記30]
光出射手段が、前記レーザ光を出射し、
受光手段が、前記第1反射光を受信する
ことを特徴とする付記22から付記29のうちのいずれか1つに記載の気体漏れ検出方法。
[付記31]
コンピュータを、
LiDARにより、配管の周囲における風向及び風速の分布を示す風向風速情報を生成する風向風速検出手段と、
前記風向風速情報を用いて、前記配管の周囲における気流に関する情報を生成する気流検出手段と、
前記気流に関する情報を用いて、前記配管のガス漏れ又は蒸気漏れを検出する気体漏れ検出手段と、
として機能させるためのプログラムが記録された記録媒体。
[付記32]
前記風向風速検出手段は、前記配管を含む領域に照射されるレーザ光に含まれる周波数成分と前記領域におけるエアロゾル粒子による前記レーザ光の反射光である第1反射光に含まれる周波数成分との差分に基づき前記風向風速情報を生成することを特徴とする付記31に記載の記録媒体。
[付記33]
前記プログラムは、前記コンピュータを、前記配管による前記レーザ光の反射光を含む第2反射光に基づき、前記配管の位置及び形状を示す位置形状情報を生成する位置形状検出手段として機能させることを特徴とする付記32に記載の記録媒体。
[付記34]
前記気流に関する情報は、前記配管の周囲における乱気流の発生の有無を示す情報を含み、
前記気体漏れ検出手段は、前記気流に関する情報を用いて、前記ガス漏れ又は前記蒸気漏れの発生の有無を検出する
ことを特徴とする付記32に記載の記録媒体。
[付記35]
前記気流に関する情報は、前記配管の周囲における乱気流の発生の有無を示す情報及び前記乱気流の発生位置を示す情報を含み、
前記気体漏れ検出手段は、前記気流に関する情報及び前記位置形状情報を用いて、前記ガス漏れ又は前記蒸気漏れの発生の有無を検出するとともに、前記配管における前記ガス漏れ又は前記蒸気漏れの発生箇所を検出する
ことを特徴とする付記33に記載の記録媒体。
[付記36]
前記プログラムは、前記コンピュータを、前記気体漏れ検出手段による検出の結果を示す情報を出力する制御を実行する出力制御手段として機能させることを特徴とする付記32から付記35のうちのいずれか1つに記載の記録媒体。
[付記37]
前記制御は、前記気体漏れ検出手段による検出の結果を示す画像を表示する制御を含むことを特徴とする付記36に記載の記録媒体。
[付記38]
前記プログラムは、前記コンピュータを、前記気体漏れ検出手段による検出の結果を示す画像を表示する制御を実行する出力制御手段として機能させ、
前記画像は、前記位置形状情報に基づく前記配管の三次元画像である第1画像を含み、かつ、前記ガス漏れ又は前記蒸気漏れの発生箇所を示す第2画像を含む
ことを特徴とする付記35に記載の記録媒体。
[付記39]
前記第2画像が前記第1画像に重畳して表示されることを特徴とする付記38に記載の記録媒体。
【符号の説明】
【0101】
1 コヒーレント光センシング装置
2 気体漏れ検出装置
3 出力装置
11 光出射部
12 受光部
21 風向風速検出部
22 気流検出部
23 位置形状検出部
24 気体漏れ検出部
25 出力制御部
31 コンピュータ
41 プロセッサ
42 メモリ
43 処理回路
100 気体漏れ検出システム