(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】回路基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20241022BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
H05K1/02 N
H05K3/46 Z
(21)【出願番号】P 2022581208
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(86)【国際出願番号】 JP2021045751
(87)【国際公開番号】W WO2022172575
(87)【国際公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2021020481
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西尾 恒亮
【審査官】小南 奈都子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-212355(JP,A)
【文献】特開2008-198651(JP,A)
【文献】特開2013-153229(JP,A)
【文献】国際公開第2010/150588(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/108094(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上主面及び下主面を有する素体であって、前記上主面の法線は、上下方向に延びている、素体と、
前記素体に設けられ、かつ、線状を有している第1信号導体層と、
前記第1信号導体層より上に位置するように前記素体に設けられ、かつ、線状を有している第1線状リファレンス導体層と、
前記素体に設けられ、かつ、線状を有しており、前記第1信号導体層と並走している第2信号導体層と、
前記第2信号導体層より上に位置するように前記素体に設けられ、かつ、線状を有している第2線状リファレンス導体層と、
前記第1信号導体層及び前記第2信号導体層より上に位置するように前記素体に設けられ、かつ、前記第1線状リファレンス導体層の端と、前記第2線状リファレンス導体層の端と、に接続され、かつ、前記上下方向に見て、前記第1信号導体層及び前記第2信号導体層の両方と重なっている第1リファレンス導体層と、
を備えており、
湾曲区間及び非湾曲区間を有しており、
前記第1信号導体層が延びる方向を伝送方向と定義し、
前記上下方向及び前記伝送方向と直交する方向を直交方向と定義し、
前記直交方向は、第1直交方向及び前記第1直交方向の反対方向である第2直交方向を含んでおり、
前記第1線状リファレンス導体層は、前記上下方向に見て、前記第1線状リファレンス導体層の一部分と前記第1信号導体層の一部分とが重なるように、前記第1信号導体層に沿って延びており、
前記第1線状リファレンス導体層は、前記上下方向に見て、前記第1信号導体層に対して前記第1直交方向に突出する第1突出部分と前記第1信号導体層に対して前記第2直交方向に突出する第2突出部分とが前記伝送方向に交互に並ぶように蛇行しており、
隣り合う1つの前記第1突出部分と1つの前記第2突出部分との組を第1突出部分ペアと定義し、
少なくとも1以上の前記第1突出部分ペアにおける前記少なくとも1以上の第1突出部分ペアの両端を除く区間は、前記少なくとも1以上の第1突出ペアに含まれる前記第1突出部分及び前記第2突出部分以外の導体層に接続されておらず、
前記第2線状リファレンス導体層は、前記上下方向に見て、前記第2線状リファレンス導体層の一部分と前記第2信号導体層とが重なるように、前記第2信号導体層に沿って延びており、
前記湾曲区間は、前記非湾曲区間における前記上下方向に前記非湾曲区間に対して折れ曲がっており、
前記第1線状リファレンス導体層の少なくとも一部は、前記湾曲区間に位置しており、
前記第2線状リファレンス導体層の少なくとも一部は、前記湾曲区間に位置しており、
前記第1リファレンス導体層は、前記非湾曲区間に位置しており、かつ、グランド電位に接続され、
前記直交方向における前記第1リファレンス導体層の幅は、前記直交方向における前記第1線状リファレンス導体層の幅以上であり、かつ、前記直交方向における前記第2線状リファレンス導体層の幅以上であ
り、
前記第1線状リファレンス導体層は、複数の前記第1突出部分を含んでおり、
前記第1信号導体層の前記伝送方向の中央に最も近い前記第1突出部分の前記伝送方向における長さは、前記第1信号導体層の前記伝送方向の端に最も近い前記第1突出部分の前記伝送方向における長さより短い、
回路基板。
【請求項2】
前記非湾曲区間では、前記回路基板は、平坦な形状を有している、
請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記伝送方向における前記第1突出部分の長さ、及び、前記伝送方向における前記第2突出部分の長さは、前記第1信号導体層を伝送される高周波信号の波長の1/4以下である、
請求項1又は請求項2に記載の回路基板。
【請求項4】
前記直交方向における前記第1突出部分の前記第1信号導体層に対する突出量は、前記直交方向における前記第2突出部分の前記第1信号導体層に対する突出量と等しい、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の回路基板。
【請求項5】
前記第2線状リファレンス導体層は、前記上下方向に見て、前記第2信号導体層に対して前記第1直交方向に突出する第3突出部分と前記第2信号導体層に対して前記第2直交方向に突出する第4突出部分とが前記伝送方向に交互に並ぶように蛇行しており、
隣り合う1つの前記第3突出部分と1つの前記第4突出部分との組を第2突出部分ペアと定義し、
前記第2線状リファレンス導体層は、少なくとも1以上の前記第2突出部分ペアにおいて、他の導体層に接続されておらず、
前記第1突出部分と前記第3突出部分とが前記直交方向に並び、
前記第2突出部分と前記第4突出部分とが前記直交方向に並ぶ、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の回路基板。
【請求項6】
前記第1信号導体層と前記第1線状リファレンス導体層とが並走している区間を第1区間と定義し、
前記第1信号導体層と前記第1リファレンス導体層とが並走している区間を第2区間と定義し、
前記第1区間での前記直交方向における前記第1信号導体層の幅は、前記第2区間での前記直交方向における前記第1信号導体層の幅より大きい、
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の回路基板。
【請求項7】
前記第1線状リファレンス導体層の少なくとも一部は、前記湾曲区間に位置しており、
前記非湾曲区間では、前記回路基板は、平坦な形状を有しており、
前記湾曲区間は、前記非湾曲区間における下方向に前記非湾曲区間に対して折れ曲がっている、
請求項
1ないし請求項6のいずれかに記載の回路基板。
【請求項8】
上主面及び下主面を有する素体であって、前記上主面の法線は、上下方向に延びている、素体と、
前記素体に設けられ、かつ、線状を有している第1信号導体層と、
前記第1信号導体層より上に位置するように前記素体に設けられ、かつ、線状を有している第1線状リファレンス導体層と、
前記素体に設けられ、かつ、線状を有しており、前記第1信号導体層と並走している第2信号導体層と、
前記第2信号導体層より上に位置するように前記素体に設けられ、かつ、線状を有している第2線状リファレンス導体層と、
前記第1信号導体層及び前記第2信号導体層より上に位置するように前記素体に設けられ、かつ、前記第1線状リファレンス導体層の端と、前記第2線状リファレンス導体層の端と、に接続され、かつ、前記上下方向に見て、前記第1信号導体層及び前記第2信号導体層の両方と重なっている第1リファレンス導体層と、
を備えており、
湾曲区間及び非湾曲区間を有しており、
前記第1信号導体層が延びる方向を伝送方向と定義し、
前記上下方向及び前記伝送方向と直交する方向を直交方向と定義し、
前記直交方向は、第1直交方向及び前記第1直交方向の反対方向である第2直交方向を含んでおり、
前記第1線状リファレンス導体層は、前記上下方向に見て、前記第1線状リファレンス導体層の一部分と前記第1信号導体層の一部分とが重なるように、前記第1信号導体層に沿って延びており、
前記第1線状リファレンス導体層は、前記上下方向に見て、前記第1信号導体層に対して前記第1直交方向に突出する第1突出部分と前記第1信号導体層に対して前記第2直交方向に突出する第2突出部分とが前記伝送方向に交互に並ぶように蛇行しており、
隣り合う1つの前記第1突出部分と1つの前記第2突出部分との組を第1突出部分ペアと定義し、
少なくとも1以上の前記第1突出部分ペアにおける前記少なくとも1以上の第1突出部分ペアの両端を除く区間は、前記少なくとも1以上の第1突出ペアに含まれる前記第1突出部分及び前記第2突出部分以外の導体層に接続されておらず、
前記第2線状リファレンス導体層は、前記上下方向に見て、前記第2線状リファレンス導体層の一部分と前記第2信号導体層とが重なるように、前記第2信号導体層に沿って延びており、
前記湾曲区間は、前記非湾曲区間における前記上下方向に前記非湾曲区間に対して折れ曲がっており、
前記第1線状リファレンス導体層の少なくとも一部は、前記湾曲区間に位置しており、
前記第2線状リファレンス導体層の少なくとも一部は、前記湾曲区間に位置しており、
前記第1リファレンス導体層は、前記非湾曲区間に位置しており、かつ、グランド電位に接続され、
前記直交方向における前記第1リファレンス導体層の幅は、前記直交方向における前記第1線状リファレンス導体層の幅以上であり、かつ、前記直交方向における前記第2線状リファレンス導体層の幅以上であり、
前記第1線状リファレンス導体層は、複数の前記第1突出部分を含んでおり、
前記第1信号導体層の前記伝送方向の中央に最も近い前記第1突出部分の前記伝送方向における長さは、前記第1信号導体層の前記伝送方向の端に最も近い前記第1突出部分の前記伝送方向における長さより長い、
回路基板。
【請求項9】
前記第1線状リファレンス導体層の少なくとも一部は、前記湾曲区間に位置しており、
前記非湾曲区間では、前記回路基板は、平坦な形状を有しており、
前記湾曲区間は、前記非湾曲区間における上方向に前記非湾曲区間に対して折れ曲がっている、
請求項
8に記載の回路基板。
【請求項10】
前記素体の材料は、熱可塑性樹脂を含んでいる、
請求項1ないし請求項
9のいずれかに記載の回路基板。
【請求項11】
上主面及び下主面を有する素体であって、前記上主面の法線は、上下方向に延びている、素体と、
前記素体に設けられ、かつ、線状を有している第1信号導体層と、
前記第1信号導体層より上に位置するように前記素体に設けられ、かつ、線状を有している第1線状リファレンス導体層と、
を備えており、
前記第1信号導体層が延びる方向を伝送方向と定義し、
前記上下方向及び前記伝送方向と直交する方向を直交方向と定義し、
前記直交方向は、第1直交方向及び前記第1直交方向の反対方向である第2直交方向を含んでおり、
前記第1線状リファレンス導体層は、前記上下方向に見て、前記第1線状リファレンス導体層の一部分と前記第1信号導体層の一部分とが重なるように、前記第1信号導体層に沿って延びており、
前記第1線状リファレンス導体層は、前記上下方向に見て、前記第1信号導体層に対して前記第1直交方向に突出する第1突出部分と前記第1信号導体層に対して前記第2直交方向に突出する第2突出部分とが前記伝送方向に交互に並ぶように蛇行しており、
隣り合う1つの前記第1突出部分と1つの前記第2突出部分との組を第1突出部分ペアと定義し、
少なくとも1以上の前記第1突出部分ペアにおける前記少なくとも1以上の第1突出部分ペアの両端を除く区間は、前記少なくとも1以上の第1突出ペアに含まれる前記第1突出部分及び前記第2突出部分以外の導体層に接続されておらず、
前記第1線状リファレンス導体層は、複数の前記第1突出部分を含んでおり、
前記第1信号導体層の前記伝送方向の中央に最も近い前記第1突出部分の前記伝送方向における長さは、前記第1信号導体層の前記伝送方向の端に最も近い前記第1突出部分の前記伝送方向における長さより短い、
回路基板。
【請求項12】
上主面及び下主面を有する素体であって、前記上主面の法線は、上下方向に延びている、素体と、
前記素体に設けられ、かつ、線状を有している第1信号導体層と、
前記第1信号導体層より上に位置するように前記素体に設けられ、かつ、線状を有している第1線状リファレンス導体層と、
を備えており、
前記第1信号導体層が延びる方向を伝送方向と定義し、
前記上下方向及び前記伝送方向と直交する方向を直交方向と定義し、
前記直交方向は、第1直交方向及び前記第1直交方向の反対方向である第2直交方向を含んでおり、
前記第1線状リファレンス導体層は、前記上下方向に見て、前記第1線状リファレンス導体層の一部分と前記第1信号導体層の一部分とが重なるように、前記第1信号導体層に沿って延びており、
前記第1線状リファレンス導体層は、前記上下方向に見て、前記第1信号導体層に対して前記第1直交方向に突出する第1突出部分と前記第1信号導体層に対して前記第2直交方向に突出する第2突出部分とが前記伝送方向に交互に並ぶように蛇行しており、
隣り合う1つの前記第1突出部分と1つの前記第2突出部分との組を第1突出部分ペアと定義し、
少なくとも1以上の前記第1突出部分ペアにおける前記少なくとも1以上の第1突出部分ペアの両端を除く区間は、前記少なくとも1以上の第1突出ペアに含まれる前記第1突出部分及び前記第2突出部分以外の導体層に接続されておらず、
前記第1線状リファレンス導体層は、複数の前記第1突出部分を含んでおり、
前記第1信号導体層の前記伝送方向の中央に最も近い前記第1突出部分の前記伝送方向における長さは、前記第1信号導体層の前記伝送方向の端に最も近い前記第1突出部分の前記伝送方向における長さより長い、
回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号導体層とリファレンス導体層とを備える回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回路基板に関する発明としては、例えば、特許文献1に記載の信号線路が知られている。この信号線路は、素体、第1グランド導体、第2グランド導体及び信号ライン用導体を備えている。素体は、可撓性を有する複数の基材層が上下方向に積層された構造を有している。第1グランド導体、第2グランド導体及び信号ライン用導体は、素体に設けられている。信号ライン用導体は、前後方向に延びている。第1グランド導体は、信号ライン用導体の上に位置している。第2グランド導体は、信号ライン用導体の下に位置している。
【0003】
第2グランド導体は、第1面状導体、第2面状導体及び連結導体を含んでいる。信号ライン用導体は、上下方向に見て、第1面状導体及び第2面状導体と重なっている。連結導体は、上下方向に見て、第1面状導体と第2面状導体との間に位置している。連結導体は、第1面状導体と第2面状導体とを接続している。連結導体は、上下方向に見て、信号ライン用導体と重なっていない。連結導体は、蛇行した形状を有している。
【0004】
以上のような回路基板は、連結導体が設けられている区間において折り曲げられる。連結導体は、蛇行した形状を有しているので、前後方向に伸縮しやすい。そのため、回路基板が折り曲げられたときに、連結導体が破損することが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の回路基板では、不要輻射が発生する場合がある。より詳細には、回路基板において、第1面状導体及び第2面状導体が設けられている区間では、信号ライン用導体はストリップライン構造を形成している。そこで、第1面状導体及び第2面状導体が設けられている区間をストリップライン区間と呼ぶ。一方、連結導体が設けられている区間では、信号ライン用導体はマイクロストリップライン構造を形成している。そこで、連結導体が設けられている区間をマイクロストリップライン区間と呼ぶ。
【0007】
ストリップライン区間における伝搬モードは、マイクロストリップライン区間における伝搬モードと異なる。このようにストリップライン区間における伝搬モードとマイクロストリップライン区間における伝搬モードとが異なると、ストリップライン区間とマイクロストリップライン区間との境界において高周波信号の反射が発生する。
【0008】
ここで、マイクロストリップライン区間は、回路基板を折り曲げることができるように、十分な長さを有している。そのため、マイクロストリップライン区間は、例えば、信号ライン用導体を伝送される高周波信号の波長の1/4の整数倍に近い長さを有する場合がある。この場合、信号ライン用導体を伝送される高周波信号は、ストリップライン区間とマイクロストリップライン区間との境界において反射する。これにより、信号ライン用導体を伝送される高周波信号の定在波が信号ライン用導体に発生する場合がある。その結果、信号ライン用導体から不要輻射が放射される場合がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、回路基板を容易に折り曲げることができると共に、不要輻射を低減できる回路基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一形態に係る回路基板は、
上主面及び下主面を有する素体であって、前記上主面の法線は、上下方向に延びている、素体と、
前記素体に設けられ、かつ、線状を有している第1信号導体層と、
前記第1信号導体層より上に位置するように前記素体に設けられ、かつ、線状を有している第1線状リファレンス導体層と、
を備えており、
前記第1信号導体層が延びる方向を伝送方向と定義し、
前記上下方向及び前記伝送方向と直交する方向を直交方向と定義し、
前記直交方向は、第1直交方向及び前記第1直交方向の反対方向である第2直交方向を含んでおり、
前記第1線状リファレンス導体層は、上下方向に見て、前記第1線状リファレンス導体層の一部分と前記第1信号導体層の一部分とが重なるように、前記第1信号導体層に沿って延びており、
前記第1線状リファレンス導体層は、上下方向に見て、前記第1信号導体層に対して前記第1直交方向に突出する第1突出部分と前記第1信号導体層に対して前記第2直交方向に突出する第2突出部分とが前記伝送方向に交互に並ぶように蛇行しており、
隣り合う1つの前記第1突出部分と1つの前記第2突出部分との組を第1突出部分ペアと定義し、
少なくとも1以上の前記第1突出部分ペアにおける前記少なくとも1以上の第1突出部分ペアの両端を除く区間は、前記少なくとも1以上の第1突出ペアに含まれる前記第1突出部分及び前記第2突出部分以外の導体層に接続されていない。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る回路基板によれば、回路基板を容易に折り曲げることができると共に、不要輻射を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】
図2は、回路基板10の前後方向の中央近傍の上面図である。
【
図3】
図3は、回路基板10を備える電子機器1の内部構造の一部の左面図である。
【
図4】
図4は、回路基板10aの前後方向の中央近傍の上面図である。
【
図5】
図5は、回路基板10bの前後方向の中央近傍の上面図である。
【
図6】
図6は、回路基板10bを備える電子機器1bの内部構造の一部の左面図である。
【
図7】
図7は、回路基板10cの前後方向の中央近傍の上面図である。
【
図8】
図8は、回路基板10dの前後方向の中央近傍の上面図である。
【
図9】
図9は、回路基板10eの前後方向の中央近傍の上面図である。
【
図10】
図10は、回路基板10fの前後方向の中央近傍の上面図である。
【
図11】
図11は、回路基板10gの前後方向の中央近傍の上面図である。
【
図12】
図12は、回路基板10hの前後方向の中央近傍の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態)
[回路基板10の構造]
以下に、本発明の実施形態に係る回路基板10の構造について図面を参照しながら説明する。
図1は、回路基板10の分解斜視図である。
図2は、回路基板10の前後方向の中央近傍の上面図である。
図2では、回路基板10の内部を透視した。
【0014】
本明細書において、方向を以下のように定義する。回路基板10の素体12の積層方向を上下方向と定義する。また、回路基板10の第1信号導体層22aが延びる方向を前後方向(伝送方向)と定義する。また、上下方向及び前後方向(伝送方向)と直交する方向を左右方向(直交方向)と定義する。左右方向は、第1信号導体層22aの線幅方向である。左右方向(直交方向)は、左方向(第1直交方向)、及び、左方向(第1直交方向)の反対方向である右方向(第2直交方向)を含んでいる。上下方向、前後方向及び左右方向は、互いに直交している。なお、本明細書の上下方向、前後方向及び左右方向は、回路基板10の実使用時の上下方向、前後方向及び左右方向と一致していなくてもよい。
【0015】
以下では、X及びYは、回路基板10の部品又は部材である。本明細書において、「XとYとが電気的に接続される」とは、XとYとの間で電気が導通していることを意味する。従って、XとYとが接触していてもよいし、XとYとが接触していなくてもよい。XとYとが接触していない場合には、XとYとの間に導電性を有するZが配置されている。一方、本明細書において、「XとYとが接続される」とは、XとYとが接触した状態で繋がっていることを意味する。
【0016】
本明細書において、特に断りのない場合には、Xの各部について以下のように定義する。Xの前部とは、Xの前半分を意味する。Xの後部とは、Xの後半分を意味する。Xの左部とは、Xの左半分を意味する。Xの右部とは、Xの右半分を意味する。Xの上部とは、Xの上半分を意味する。Xの下部とは、Xの下半分を意味する。Xの前端とは、Xの前方向の端を意味する。Xの後端とは、Xの後方向の端を意味する。Xの左端とは、Xの左方向の端を意味する。Xの右端とは、Xの右方向の端を意味する。Xの上端とは、Xの上方向の端を意味する。Xの下端とは、Xの下方向の端を意味する。Xの前端部とは、Xの前端及びその近傍を意味する。Xの後端部とは、Xの後端及びその近傍を意味する。Xの左端部とは、Xの左端及びその近傍を意味する。Xの右端部とは、Xの右端及びその近傍を意味する。Xの上端部とは、Xの上端及びその近傍を意味する。Xの下端部とは、Xの下端及びその近傍を意味する。
【0017】
まず、
図1を参照しながら、回路基板10の構造について説明する。回路基板10は、高周波信号を伝送する。高周波信号は、例えば、1GHz以上の周波数を有する信号である。回路基板10は、スマートフォン等の電子機器において、2つの回路を電気的に接続するために用いられる。回路基板10は、
図1に示すように、前後方向に延びる帯形状を有している。
【0018】
回路基板10は、
図1に示すように、素体12、第1信号導体層22a、第1線状リファレンス導体層24a、第1リファレンス導体層24b,24c、第2リファレンス導体層26、信号電極28a,28b、複数の層間接続導体v1、複数の層間接続導体v2、複数の層間接続導体v3、複数の層間接続導体v4及び層間接続導体v5,v6を備えている。
図1では、複数の層間接続導体v1、複数の層間接続導体v2、複数の層間接続導体v3及び複数の層間接続導体v4の内の代表的な層間接続導体v1~v4のみに参照符号を付した。
【0019】
素体12は、板形状を有している。従って、素体12は、上主面及び下主面を有している。素体12の上主面及び下主面の法線は、上下方向に延びている。素体12の上主面及び下主面は、前後方向に延びる帯形状を有している。従って、素体12の前後方向の長さは、素体12の左右方向の長さより長い。
【0020】
素体12は、
図1に示すように、絶縁体層16a~16c及び保護層20を含んでいる。素体12は、絶縁体層16a~16c及び保護層20が上下方向に積層された構造を有している。保護層20及び絶縁体層16a~16cは、上から下へとこの順に並んでいる。絶縁体層16a~16cは、上下方向に見て、素体12と同じ帯形状を有している。絶縁体層16a~16cは、可撓性を有する誘電体シートである。絶縁体層16a~16c(素体12)の材料は、熱可塑性樹脂を含んでいる。熱可塑性樹脂は、例えば、液晶ポリマー、PTFE(ポリテトラフロオロエチレン)等である。また、絶縁体層16a~16cの材料は、ポリイミドであってもよい。これにより、素体12は、可撓性を有する。保護層20の詳細については後述する。
【0021】
第1信号導体層22aは、素体12に設けられている。本実施形態では、第1信号導体層22aは、絶縁体層16bの上主面に設けられている。第1信号導体層22aは、線状を有している。第1信号導体層22aは、前後方向に延びている。
【0022】
第1線状リファレンス導体層24aは、第1信号導体層22aより上に位置するように素体12に設けられている。本実施形態では、第1線状リファレンス導体層24aは、絶縁体層16aの上主面に設けられている。第1線状リファレンス導体層24aは、線状を有している。第1線状リファレンス導体層24aは、前後方向に延びていると共に、蛇行している。本実施形態では、第1線状リファレンス導体層24aは、正弦波形状を有している。より詳細には、
図2に示すように、第1線状リファレンス導体層24aは、上下方向に見て、第1線状リファレンス導体層24aの一部分と第1信号導体層22aの一部分とが重なるように、第1信号導体層22aに沿って延びる線状を有している。更に、第1線状リファレンス導体層24aは、第1突出部分240a,240b,240c及び第2突出部分242a,242b,242c,242dを含んでいる。第1線状リファレンス導体層24aは、上下方向に見て、第1信号導体層22aに対して左方向(第1直交方向)に突出する第1突出部分240a,240b,240cと第1信号導体層22aに対して右方向(第2直交方向)に突出する第2突出部分242a,242b,242c,242dとが前後方向(伝送方向)に交互に並ぶように蛇行している。これにより、第1線状リファレンス導体層24aは、上下方向に見て、第1信号導体層22aと複数回にわたって交差している。本実施形態では、第1線状リファレンス導体層24aは、第1信号導体層22aと6回にわたって交差している。
【0023】
以下に、第1突出部分240a~240c及び第2突出部分242a~242dについて説明する。
図2に示すように、第2突出部分242a、第1突出部分240a、第2突出部分242b、第1突出部分240b、第2突出部分242c、第1突出部分240c及び第2突出部分242dは、前後方向において、前から後へとこの順に並んでいる。第2突出部分242a,242dの前後方向の長さ
L2は、正弦波の波長の1/4波長である。第1突出部分240a~240c及び第2突出部分242b,242cの前後方向の長さ
L1は、正弦波の波長の1/2である。左右方向(直交方向)における第1突出部分240a~240cの第1信号導体層22aに対する突出量D1は、左右方向(直交方向)における第2突出部分242a~242dの第1信号導体層22aに対する突出量D2と実質的に等しい。従って、第1信号導体層22aは、上下方向に見て、左右方向における第1線状リファレンス導体層24aの中央LCと重なっている。なお、実質的に等しいとは、完全一致していること、及び、製造誤差程度の差異が発生していることを意味する。
【0024】
また、前後方向(伝送方向)における第1突出部分240a~240cの長さL1、及び、前後方向(伝送方向)における第2突出部分242b,242cの長さL1は、第1信号導体層22aを伝送される高周波信号の波長の1/4以下である。前後方向(伝送方向)における第2突出部分242a,242dの長さは、第1信号導体層22aを伝送される高周波信号の波長の1/8以下である。
【0025】
ここで、第1線状リファレンス導体層24aは、第1線状リファレンス導体層24aが形成している正弦波の1波長分の長さにおいて、他の導体層に接続されていない。すなわち、隣り合う1つの第1突出部分と1つの第2突出部分との組を第1突出部分ペアと定義する。このとき、少なくとも1以上の第1突出部分ペアにおいて少なくとも1以上の第1突出部分ペアの両端を除く区間は、少なくとも1以上の第1突出ペアに含まれる第1突出部分及び第2突出部分以外の導体層に接続されていない。本実施形態では、第1線状リファレンス導体層24aの前端は、後述する第1リファレンス導体層24bに接続されている。第1線状リファレンス導体層24aの後端は、後述する第1リファレンス導体層24cに接続されている。従って、第1突出部分240a~240c及び第2突出部分242b,242cにおいて第1突出部分240aの前端及び第1突出部分240cの後端を除く区間は、第1突出部分240a~240c及び第2突出部分242b,242c以外の導体層に接続されていない。よって、第1線状リファレンス導体層24aは、第1線状リファレンス導体層24aが形成している正弦波の少なくとも2波長分の長さにおいて、第1線状リファレンス導体層24a以外の導体層に接続されていない。すなわち、第1線状リファレンス導体層24aは、枝分かれした構造を有していない。換言すれば、第1線状リファレンス導体層24aは、特許文献1の
図3に記載されているような位相が180°異なる2本の正弦波形状の線状導体層が組み合わさった形状の連結導体を含まない。
【0026】
第1リファレンス導体層24bは、
図1に示すように、第1信号導体層22aより上に位置するように素体12に設けられている。本実施形態では、第1リファレンス導体層24bは、絶縁体層16aの上主面に設けられている。第1リファレンス導体層24bは、第1線状リファレンス導体層24aの端に接続されている。本実施形態では、第1リファレンス導体層24bは、第1線状リファレンス導体層24aの前端に接続されている。第1リファレンス導体層24bは、上下方向に見て、長方形状を有している。そして、上下方向に見て、前後方向の単位長さの素体12の面積に占める第1リファレンス導体層24bの面積の割合は、前後方向の単位長さの素体12の面積に占める第1線状リファレンス導体層24aの面積の割合より高い。更に、左右方向(直交方向)における第1リファレンス導体層24bの幅は、左右方向(直交方向)における第1線状リファレンス導体層24aの幅以上である。すなわち、左右方向における第1リファレンス導体層24bの幅は、第1突出部分240a~240cの左端と第2突出部分242a~242dの右端との左右方向における距離以上である。換言すれば、左右方向における第1リファレンス導体層24bの幅は、第1線状リファレンス導体層24aの振幅以上である。このように、第1リファレンス導体層24bが左右方向に大きな幅を有することにより、第1リファレンス導体層24bは、上下方向に見て、第1信号導体層22aと重なっている。第1信号導体層22aが第1リファレンス導体層24bと重なっている区間は、連続して一つに繋がっている。以上のような第1リファレンス導体層24bは、リファレンス電位に接続される。リファレンス電位は、例えば、グランド電位である。なお、第1リファレンス導体層24cは、第1リファレンス導体層24bと前後対称な構造を有する。従って、第1リファレンス導体層24cの説明を省略する。
【0027】
第2リファレンス導体層26は、
図1に示すように、第1信号導体層22aより下に位置するように素体12に設けられている。本実施形態では、第2リファレンス導体層26は、絶縁体層16cの上主面に設けられている。第2リファレンス導体層26は絶縁体層16cの大部分を覆っている。そのため、第2リファレンス導体層26は、上下方向に見て、第1信号導体層22aの全体と重なっている。以上のような第2リファレンス導体層26は、リファレンス電位に接続される。リファレンス電位は、例えば、グランド電位である。これにより、第1信号導体層22a、第1リファレンス導体層24b,24c及び第2リファレンス導体層26は、ストリップライン構造を有している。
【0028】
複数の層間接続導体v1及び複数の層間接続導体v2は、
図1に示すように、第1リファレンス導体層24bと第2リファレンス導体層26とを電気的に接続している。より詳細には、複数の層間接続導体v1及び複数の層間接続導体v2は、絶縁体層16a,16bを上下方向に貫通している。複数の層間接続導体v1の上端及び複数の層間接続導体v2の上端は、第1リファレンス導体層24bに接続されている。複数の層間接続導体v1の下端及び複数の層間接続導体v2の下端は、第2リファレンス導体層26に接続されている。複数の層間接続導体v1は、第1信号導体層22aの左に設けられている。本明細書において、層間接続導体v1が第1信号導体層22aの左に設けられるとは、以下の状態を指す。層間接続導体v1の少なくとも一部は、第1信号導体層22aが左方向に平行移動するときに通過する領域内に配置されている。よって、層間接続導体v1は、第1信号導体層22aが左方向に平行移動するときに通過する領域内に収まっていてもよいし、第1信号導体層22aが左方向に平行移動するときに通過する領域から突出していてもよい。複数の層間接続導体v1は、前後方向において等間隔に一列に並んでいる。複数の層間接続導体v2は、第1信号導体層22aの右に設けられている。複数の層間接続導体v2は、前後方向において等間隔に一列に並んでいる。なお、複数の層間接続導体v3及び複数の層間接続導体v4は、複数の層間接続導体v1及び複数の層間接続導体v2と前後対称な構造を有する。従って、複数の層間接続導体v3及び複数の層間接続導体v4の説明を省略する。
【0029】
信号電極28aは、
図1に示すように、絶縁体層16aの上主面に設けられている。より詳細には、信号電極28aは、絶縁体層16aの上主面の前端部に設けられている。信号電極28aは、上下方向に見て、長方形状を有している。信号電極28aは、上下方向に見て、第1信号導体層22aの前端部と重なっている。信号電極28aと第1リファレンス導体層24bとが短絡しないように、第1リファレンス導体層24bが信号電極28aに接していない。信号電極28bは、信号電極28aと前後対称な構造を有している。
【0030】
従って、信号電極28bの説明を省略する。
【0031】
層間接続導体v5は、
図1に示すように、第1信号導体層22aと信号電極28aとを電気的に接続している。層間接続導体v5は、絶縁体層16aを上下方向に貫通している。層間接続導体v5の上端は、信号電極28aに接続されている。層間接続導体v5の下端は、第1信号導体層22aの前端部に接続されている。なお、層間接続導体v6は、層間接続導体v5と前後対称な構造を有している。従って、層間接続導体v6の説明を省略する。
【0032】
保護層20は、絶縁体層である。ただし、保護層20の材料は、絶縁体層16a~16cの材料と異なる。保護層20は、レジスト層である。従って、保護層20は、樹脂シートが絶縁体層16aの上主面に貼り付けられることにより形成されてもよいし、液体状の樹脂が絶縁体層16aの上主面に塗布されることにより形成されてもよい。保護層20は、
図1に示すように、第1線状リファレンス導体層24a及び第1リファレンス導体層24b,24cを覆っている。ただし、保護層20には、開口ha~hfが設けられている。開口haは、上下方向に見て、信号電極28aと重なっている。これにより、信号電極28aは、開口haを介して回路基板10から外部に露出している。開口hbは、開口haの左に設けられている。開口hcは、開口haの右に設けられている。これにより、第1リファレンス導体層24bは、開口hb,hcを介して回路基板10から外部に露出している。なお、開口hd~hfはそれぞれ、開口ha~hcと前後対称な構造を有する。従って、開口hd~hfの説明を省略する。
【0033】
第1信号導体層22a、第1線状リファレンス導体層24a、第1リファレンス導体層24b,24c、第2リファレンス導体層26、信号電極28a,28bは、絶縁体層16a~16cの上主面に貼り付けられた金属箔にパターニングが施されることにより形成される。金属箔は、例えば、銅箔である。層間接続導体v1~v6は、絶縁体層16a,16bに貫通孔が形成され、貫通孔に導電性ペーストが充填され、導電性ペーストが加熱により固化されることにより形成される。
【0034】
[電子機器1の構造]
次に、回路基板10を備える電子機器1の構造について図面を参照しながら説明する。
【0035】
図3は、回路基板10を備える電子機器1の内部構造の一部の左面図である。電子機器1は、例えば、携帯無線通信端末である。電子機器1は、例えば、スマートフォンである。
【0036】
回路基板10は、
図3に示すように、折れ曲がっている。「回路基板10が折れ曲がる」とは、回路基板10に外力が加えられることにより回路基板10が変形して曲がっていることを意味する。「回路基板10が折れ曲がる」態様には、2種類が存在する。具体的には、「回路基板10が折れ曲がる」態様の内の第1態様は、回路基板10が塑性変形して折れ曲がっている態様である。回路基板10が加熱されて折り曲げられることにより、回路基板10が塑性変形しやすい。この場合、絶縁体層16a~16cの材料は、熱可塑性樹脂である。「回路基板10が折れ曲がる」態様の内の第2態様は、回路基板10が弾性変形して折れ曲がっている態様である。
【0037】
以下では、回路基板10が折れ曲がっている区間を湾曲区間A2と呼ぶ。回路基板10が折れ曲がっていない区間を非湾曲区間A1,A3と呼ぶ。そして、電子機器1におけるx軸、y軸及びz軸を以下の様に定義する。x軸は、非湾曲区間A1での前後方向である。y軸は、非湾曲区間A1での左右方向である。z軸は、非湾曲区間A1での上下方向である。湾曲区間A2は、非湾曲区間A1と非湾曲区間A3との間に位置している。
【0038】
図3に示すように、回路基板10は、湾曲区間A2及び非湾曲区間A1,A3を有している。非湾曲区間A1,A3では、回路基板10は、平坦な形状を有している。すなわち、非湾曲区間A1,A3は、折れ曲がっていない。一方、湾曲区間A2は、z軸方向(非湾曲区間における上下方向)に非湾曲区間A1に対して折れ曲がっている。本実施形態では、湾曲区間A2は、z軸の正方向(非湾曲区間における上方向)に非湾曲区間A1に対して折れ曲がっている。従って、上下方向及び前後方向は、
図3に示すように、回路基板10の位置によって異なる。回路基板10が折れ曲がっていない非湾曲区間A1では、上下方向及び前後方向のそれぞれは、z軸方向及びx軸方向と一致する。一方、回路基板10が折れ曲がっている湾曲区間A2では、上下方向及び前後方向のそれぞれは、z軸方向及びx軸方向と一致しない。
【0039】
また、第1線状リファレンス導体層24aの少なくとも一部は、
図1に示すように、湾曲区間A2に位置している。本実施形態では、第1線状リファレンス導体層24aの全体は、湾曲区間A2に位置している。
【0040】
電子機器1は、
図3に示すように、回路基板10、コネクタ30a,30b,110,210、回路基板100,200を備えている。
【0041】
回路基板100,200は、板形状を有している。回路基板100は、主面S5,S6を有している。主面S5は、主面S6よりz軸の負方向側に位置する。回路基板200は、主面S11,S12を有している。主面S11は、主面S12よりx軸の正方向側に位置する。回路基板100,200は、図示しない配線導体層やリファレンス導体層、電極等を含んでいる。
【0042】
コネクタ30a,30bのそれぞれは、非湾曲区間A1及び非湾曲区間A3において素体12の上主面に実装されている。より詳細には、コネクタ30aは、開口ha~hcから露出している信号電極28a及び第1リファレンス導体層24bに実装される。コネクタ30bは、開口hd~hfから露出している信号電極28b及び第1リファレンス導体層24cに実装される。コネクタ30a,30bの実装には、半田や導電性接着剤等の導電性接合材が用いられる。
【0043】
コネクタ110,210のそれぞれは、回路基板100の主面S5及び回路基板200の主面S11に実装されている。コネクタ110,210のそれぞれは、コネクタ30a,30bに接続されている。これにより、回路基板10は、回路基板100と回路基板200とを電気的に接続している。
【0044】
(効果)
回路基板10によれば、回路基板10を容易に折り曲げることができる。より詳細には、湾曲区間A2がz軸の正方向に非湾曲区間A1に対して折れ曲がると、第1線状リファレンス導体層24aは、前後方向に圧縮される。湾曲区間A2がz軸の負方向に非湾曲区間A1に対して折れ曲がると、第1線状リファレンス導体層24aは、前後方向に伸張される。そのため、第1線状リファレンス導体層24aが伸び縮みしやすい構造を有していれば、回路基板10を容易に折り曲げることができる。そこで、回路基板10では、第1線状リファレンス導体層24aは、蛇行する線状を有している。第1線状リファレンス導体層24aが線状を有することにより、第1線状リファレンス導体層24aの前後方向のばね係数が小さくなる。すなわち、第1線状リファレンス導体層24aが伸び縮みしやすくなる。更に、第1線状リファレンス導体層24aが蛇行することにより、第1線状リファレンス導体層24aが長くなる。従って、第1線状リファレンス導体層24aの前後方向のばね係数が更に小さくなる。第1線状リファレンス導体層24aが更に伸び縮みしやすくなる。その結果、回路基板10によれば、回路基板10を容易に折り曲げることができる。
【0045】
回路基板10によれば、不要輻射を低減できる。より詳細には、回路基板10では、第1線状リファレンス導体層24aは、上下方向に見て、第1信号導体層22aに対して左方向に突出する第1突出部分240a~240cと第1信号導体層22aに対して右方向に突出する第2突出部分242a~242dとが前後方向に交互に並ぶように蛇行している。これにより、第1線状リファレンス導体層24aは、上下方向に見て、第1信号導体層22aと複数回にわたって交差している。第1信号導体層22aが第1線状リファレンス導体層24aと重なる部分(以下、重複部分と呼ぶ)の伝送モードは、第1信号導体層22aが第1線状リファレンス導体層24aと重ならない部分(以下、非重複部分と呼ぶ)の伝送モードと異なる。そのため、重複部分と非重複部分との境界において高周波信号の反射が発生しやすい。
【0046】
しかしながら、回路基板10では、第1線状リファレンス導体層24aが形成する正弦波の1波長の長さを調整することが容易である。そのため、第1信号導体層22aを伝送される高周波信号の波長に比べて隣り合う重複部分の間隔を十分に短く設計することが容易である。その結果、第1信号導体層22aの隣り合う重複部分間において発生しうる定在波の周波数が、第1信号導体層22aを伝送される高周波信号の周波数よりも十分に高くなる。その結果、第1信号導体層22aを伝送される高周波信号によって、第1信号導体層22aの隣り合う重複部分間に定在波が発生することが抑制される。その結果、回路基板10によれば、不要輻射を低減できる。特に、回路基板10では、前後方向における第1突出部分240a~240cの長さ、及び、前後方向における第2突出部分242b,242cの長さは、第1信号導体層22aを伝送される高周波信号の波長の1/4以下である。従って、隣り合う重複部分間の距離は、第1信号導体層22aを伝送される高周波信号の波長の1/4以下となる。その結果、第1信号導体層22aを伝送される高周波信号によって、第1信号導体層22aの隣り合う重複部分間に定在波が発生することがより抑制される。以上より、回路基板10によれば、不要輻射をより低減できる。
【0047】
回路基板10によれば、左右方向における第1線状リファレンス導体層24aの幅を小さくすることができる。より詳細には、左右方向における第1突出部分240a~240cの第1信号導体層22aに対する突出量D1は、左右方向における第2突出部分242a~242dの第1信号導体層22aに対する突出量D2と実質的に等しい。従って、第1信号導体層22aは、上下方向に見て、左右方向における第1線状リファレンス導体層24aの中央CLと重なっている。これにより、第1信号導体層22aは、上下方向に見て、第1線状リファレンス導体層24aから左右方向にはみ出しにくくなる。その結果、回路基板10によれば、左右方向における第1線状リファレンス導体層24aの幅を小さくすることができる。
【0048】
回路基板10によれば、第1信号導体層22aに発生している特性インピーダンスが、素体12の積層ずれによって、所望の特性インピーダンス(例えば、100Ω)から変動することが抑制される。より詳細には、左右方向における第1突出部分240a~240cの第1信号導体層22aに対する突出量D1は、左右方向における第2突出部分242a~242dの第1信号導体層22aに対する突出量D2と実質的に等しい。従って、第1信号導体層22aは、上下方向に見て、左右方向における第1線状リファレンス導体層24aの中央CLと重なっている。これにより、素体12に積層ずれが発生したとしても、第1信号導体層22aは、上下方向に見て、第1線状リファレンス導体層24aから左右方向にはみ出しにくくなる。その結果、第1信号導体層22aと第1線状リファレンス導体層24aとの間に発生する容量が設計値から変動しにくくなる。以上より、回路基板10によれば、第1信号導体層22aに発生している特性インピーダンスが、素体12の積層ずれによって、所望の特性インピーダンス(例えば、100Ω)から変動することが抑制される。
【0049】
(第1変形例)
以下に、第1変形例に係る回路基板10aについて図面を参照しながら説明する。
図4は、回路基板10aの前後方向の中央近傍の上面図である。
【0050】
回路基板10では、第1線状リファレンス導体層24aが形成する正弦波の波長は、一定である。一方、回路基板10aでは、第1線状リファレンス導体層24aが形成する正弦波の波長は、一定ではない。より詳細には、第1線状リファレンス導体層24aの前後方向の中央近傍における正弦波の波長は、第1線状リファレンス導体層24aの前後方向の前端近傍及び後端近傍における正弦波の波長より長い。これにより、第1信号導体層22aの前後方向(伝送方向)の中央に最も近い第1突出部分240bの前後方向(伝送方向)における長さLaは、第1信号導体層22aの前後方向(伝送方向)の端に最も近い第1突出部分240a,240cの前後方向(伝送方向)における長さLb
,Lcより長い。そして、第1突出部分240bの前後方向における長さLaは、第1突出部分240a~240cの内で前後方向の長さが最も長い。このとき、第1突出部分240bの前後方向における長さLaは、第1信号導体層22aを伝送される高周波信号の波長の1/4より短い。以上のような回路基板10aでは、
図3に示すように、湾曲区間A2は、z軸の正方向(非湾曲区間における上方向)に非湾曲区間A1に対して折れ曲がっている。なお、回路基板10aのその他の構造は、回路基板10と同じであるので説明する。
【0051】
回路基板10aによれば、回路基板10と同じ作用効果を奏することができる。更に、回路基板10aによれば、第1信号導体層22aに発生する特性インピーダンスが所望の特性インピーダンスから変動することが抑制される。より詳細には、回路基板10aでは、
図3に示すように、湾曲区間A2は、z軸の正方向に非湾曲区間A1に対して折れ曲がっている。この場合、第1線状リファレンス導体層24aの前後方向の中央部分は、第1線状リファレンス導体層24aの前端近傍及び後端近傍より、前後方向に大きく圧縮される。そこで、第1信号導体層22aの前後方向(伝送方向)の中央に最も近い第1突出部分240bの前後方向(伝送方向)における長さLaは、第1信号導体層22aの前後方向(伝送方向)の端に最も近い第1突出部分240a,240cの前後方向(伝送方向)における長さLb
,Lcより長い。これにより、湾曲区間A2がz軸の正方向に非湾曲区間A1に対して折れ曲がったときに、第1突出部分240bの前後方向における長さLaが、第1突出部分240a,240
cの前後方向における長さLb
,Lcに近づくようになる。その結果、第1信号導体層22aが第1線状リファレンス導体層24aと重なる部分(重複部分)が、等間隔近い間隔で並ぶようになる。その結果、第1信号導体層22aと第1線状リファレンス導体層24aとの間に発生する容量は、第1信号導体層22aの全体に均一に発生しやすくなる。その結果、回路基板10aによれば、第1信号導体層22aに発生する特性インピーダンスが所望の特性インピーダンスから変動することが抑制される。
【0052】
(第2変形例)
以下に、第2変形例に係る回路基板10bについて図面を参照しながら説明する。
図5は、回路基板10
bの前後方向の中央近傍の上面図である。
図6は、回路基板10bを備える電子機器1bの内部構造の一部の左面図である。
【0053】
回路基板10では、第1線状リファレンス導体層24aが形成する正弦波の波長は、一定である。一方、回路基板10bでは、第1線状リファレンス導体層24aが形成する正弦波の波長は、一定ではない。より詳細には、第1線状リファレンス導体層24aの前後方向の中央近傍における正弦波の波長は、第1線状リファレンス導体層24aの前後方向の前端近傍及び後端近傍における正弦波の波長より短い。これにより、第1信号導体層22aの前後方向(伝送方向)の中央に最も近い第1突出部分240bの前後方向(伝送方向)における長さLaは、第1信号導体層22aの前後方向(伝送方向)の端に最も近い第1突出部分240a,240cの前後方向(伝送方向)における長さLb
,Lcより短い。そして、第1突出部分240a,240cの前後方向における長さLb
,Lcは、第1突出部分240a~240cの内で前後方向の長さが最も長い。このとき、第1突出部分240a,240cの前後方向における長さ
Lb,Lcは、第1信号導体層22aを伝送される高周波信号の波長の1/4より短い。以上のような回路基板10bでは、
図6に示すように、湾曲区間A2は、z軸の負方向(非湾曲区間における下方向)に非湾曲区間A1に対して折れ曲がっている。なお、回路基板10bのその他の構造は、回路基板10と同じであるので説明する。
【0054】
回路基板10bによれば、回路基板10と同じ作用効果を奏することができる。更に、回路基板10bによれば、第1信号導体層22aに発生する特性インピーダンスが所望の特性インピーダンスから変動することが抑制される。より詳細には、回路基板10bでは、
図6に示すように、湾曲区間A2は、z軸の負方向に非湾曲区間A1に対して折れ曲がっている。この場合、第1線状リファレンス導体層24aの前後方向の中央部分は、第1線状リファレンス導体層24aの前端近傍及び後端近傍より、前後方向に大きく伸張される。そこで、第1信号導体層22aの前後方向(伝送方向)の中央に最も近い第1突出部分240bにおける前後方向(伝送方向)の長さLaは、第1信号導体層22aの前後方向(伝送方向)の端に最も近い第1突出部分240a,240cの前後方向(伝送方向)における長さLbより短い。これにより、湾曲区間A2がz軸の
負方向に非湾曲区間A1に対して折れ曲がったときに、第1突出部分240bの前後方向における長さLaが、第1突出部分240a,240bの前後方向における長さLbに近づくようになる。その結果、第1信号導体層22aが第1線状リファレンス導体層24aと重なる部分が、等間隔近い間隔で並ぶようになる。その結果、第1信号導体層22aと第1線状リファレンス導体層24aとの間に発生する容量は、第1信号導体層22aの全体に均一に発生しやすくなる。その結果、回路基板10bによれば、第1信号導体層22aに発生する特性インピーダンスが所望の特性インピーダンスから変動することが抑制される。
【0055】
(第3変形例)
以下に、第3変形例に係る回路基板10cについて図面を参照しながら説明する。
図7は、回路基板10cの前後方向の中央近傍の上面図である。
【0056】
回路基板10cは、第1信号導体層22aの形状において、回路基板10と相違する。より詳細には、第1信号導体層22aと第1線状リファレンス導体層24aとが並走している区間を第1区間A11と定義する。第1信号導体層22aと第1リファレンス導体層24bとが並走している区間を第2区間A12と定義する。第1信号導体層22aと第1リファレンス導体層24cとが並走している区間を第2区間A13と定義する。第1区間A11での左右方向(直交方向)における第1信号導体層22aの幅は、第2区間A12,A13での左右方向(直交方向)における第1信号導体層22aの幅より大きい。回路基板10cのその他の構造は、回路基板10と同じであるので説明を省略する。
【0057】
回路基板10cによれば、回路基板10と同じ作用効果を奏することができる。更に、回路基板10cによれば、第1信号導体層22aに発生する特性インピーダンスが所望の特性インピーダンスから変動することが抑制される。より詳細には、第1区間A11において単位長さの第1信号導体層22aが第1線状リファレンス導体層24aに対向する面積は、第2区間A12,A13において単位長さの第1信号導体層22aが第1リファレンス導体層24b,24cに対向する面積より小さくなりやすい。よって、第1区間A11において単位長さの第1信号導体層22aと第1線状リファレンス導体層24aとの間に容量が発生しにくい。そのため、第1区間A11において第1信号導体層22aに発生する特性インピーダンスは、第2区間A12,A13において第1信号導体層22aに発生する特性インピーダンスより大きくなりやすい。
【0058】
そこで、回路基板10cでは、第1区間A11での左右方向(直交方向)における第1信号導体層22aの幅は、第2区間A12,A13での左右方向(直交方向)における第1信号導体層22aの幅より大きい。これにより、第1区間A11において単位長さの第1信号導体層22aが第1線状リファレンス導体層24aに対向する面積は、第2区間A12,A13において単位長さの第1信号導体層22aが第1リファレンス導体層24b,24cに対向する面積に近づくようになる。その結果、第1区間A11において単位長さの第1信号導体層22aと第1線状リファレンス導体層24aとの間に発生する容量は、第2区間A12,A13において単位長さの第1信号導体層22aと第1リファレンス導体層24b,24cとの間に発生する容量に近づくようになる。そのため、第1区間A11において第1信号導体層22aに発生する特性インピーダンスは、第2区間A12,A13において第1信号導体層22aに発生する特性インピーダンスに近づくようになる。その結果、回路基板10cによれば、第1信号導体層22aに発生する特性インピーダンスが所望の特性インピーダンスから変動することが抑制される。
【0059】
(第4変形例)
以下に、第4変形例に係る回路基板10dについて図面を参照しながら説明する。
図8は、回路基板10dの前後方向の中央近傍の上面図である。
【0060】
回路基板10dは、第2信号導体層22b及び第2線状リファレンス導体層24dを更に備えている点において、回路基板10と相違する。第2信号導体層22b及び第2線状リファレンス導体層24dのそれぞれは、第1信号導体層22a及び第1線状リファレンス導体層24aと同じ構造を有する。より詳細には、第2信号導体層22bは、素体12に設けられている。本実施形態では、第2信号導体層22bは、絶縁体層16bの上主面に設けられている。第2信号導体層22bは、第1信号導体層22aの左に位置している。第2信号導体層22bは、線状を有している。そのため、第2信号導体層22bは、第1信号導体層22aと並走している。
【0061】
第2線状リファレンス導体層24dは、素体12に設けられている。本実施形態では、第2線状リファレンス導体層24dは、絶縁体層16aの上主面に設けられている。第2線状リファレンス導体層24dは、第1線状リファレンス導体層24aの左に位置している。第2線状リファレンス導体層24dは、線状を有している。
【0062】
また、第2線状リファレンス導体層24dは、上下方向に見て、第2線状リファレンス導体層24dの一部分と第2信号導体層22bとが重なるように、第2信号導体層22bに沿って延びている。そして、第2線状リファレンス導体層24dは、上下方向に見て、第2信号導体層22bに対して左方向(第1直交方向)に突出する第3突出部分250a~250cと第2信号導体層22bに対して右方向(第2直交方向)に突出する第4突出部分252a~252dとが前後方向(伝送方向)に交互に並ぶように蛇行している。
【0063】
更に、第1線状リファレンス導体層24aの位相と第2線状リファレンス導体層24dの位相とが一致している。第1突出部分240aと第3突出部分250aとが左右方向(直交方向)に並ぶ。第1突出部分240bと第3突出部分250bとが左右方向(直交方向)に並ぶ。第1突出部分240cと第3突出部分250cとが左右方向(直交方向)に並ぶ。第2突出部分242aと第4突出部分252aとが左右方向(直交方向)に並ぶ。第2突出部分242bと第4突出部分252bとが左右方向(直交方向)に並ぶ。第2突出部分242cと第4突出部分252cとが左右方向(直交方向)に並ぶ。第2突出部分242dと第4突出部分252dとが左右方向(直交方向)に並ぶ。
【0064】
更に、第2線状リファレンス導体層24dは、第2線状リファレンス導体層24dが形成している正弦波の1波長分の長さにおいて、他の導体層に接続されていない。すなわち、隣り合う1つの第3突出部分と1つの第4突出部分との組を第2突出部分ペアと定義する。このとき、第2線状リファレンス導体層24dは、少なくとも1以上の第2突出部分ペアにおいて、他の導体層に接続されていない。回路基板10dのその他の構造は、回路基板10と同じであるので説明を省略する。
【0065】
回路基板10dは、回路基板10と同じ作用効果を奏することができる。更に、回路基板10dによれば、湾曲区間A2が折れ曲がったときに、第1線状リファレンス導体層24a及び第2線状リファレンス導体層24dに応力集中が発生することが抑制される。より詳細には、第1線状リファレンス導体層24aと第2線状リファレンス導体層24dとが近づきすぎる部分が発生すると、この部分において回路基板が硬くなる。そのため、湾曲区間A2が折れ曲がったときに、この部分において第1線状リファレンス導体層24a及び第2線状リファレンス導体層24dに応力集中が発生しやすい。
【0066】
そこで、第1突出部分240aと第3突出部分250aとが左右方向(直交方向)に並ぶ。第1突出部分240bと第3突出部分250bとが左右方向(直交方向)に並ぶ。第1突出部分240cと第3突出部分250cとが左右方向(直交方向)に並ぶ。第2突出部分242aと第4突出部分252aとが左右方向(直交方向)に並ぶ。第2突出部分242bと第4突出部分252bとが左右方向(直交方向)に並ぶ。第2突出部分242cと第4突出部分252cとが左右方向(直交方向)に並ぶ。第2突出部分242dと第4突出部分252dとが左右方向(直交方向)に並ぶ。従って、第1線状リファレンス導体層24aの位相と第2線状リファレンス導体層24dの位相とが一致している。そのため、第1線状リファレンス導体層24aと第2線状リファレンス導体層24dとの距離は、第1線状リファレンス導体層24aの全長及び第2線状リファレンス導体層24dの全長において大きく変化しない。よって、第1線状リファレンス導体層24aと第2線状リファレンス導体層24dとが近づきすぎる部分が発生しにくい。その結果、回路基板10dによれば、湾曲区間A2が折れ曲がったときに、第1線状リファレンス導体層24a及び第2線状リファレンス導体層24dに応力集中が発生することが抑制される。
【0067】
(第5変形例)
以下に、第5変形例に係る回路基板10eについて図面を参照しながら説明する。
図9は、回路基板10eの前後方向の中央近傍の上面図である。
【0068】
回路基板10eは、第2信号導体層22bを更に備えている点において、回路基板10と相違する。第1信号導体層22aと第2信号導体層22bとは、差動伝送線路を形成している。すなわち、第1信号導体層22aを伝送される高周波信号の位相は、第2信号導体層22bを伝送される高周波信号の位相の逆である。より詳細には、第2信号導体層22bは、素体12に設けられている。本実施形態では、第2信号導体層22bは、絶縁体層16bの上主面に設けられている。第2信号導体層22bは、第1信号導体層22aの左(第1直交方向)に位置している。第2信号導体層22bは、線状を有している。第2信号導体層22bは、第1信号導体層22aに対して左(第1直交方向)において、第1信号導体層22aと並走している。
【0069】
第1信号導体層22aは、上下方向に見て、左右方向における第1線状リファレンス導体層24aの中央LCの僅かに右に位置している。第2信号導体層22bは、上下方向に見て、左右方向における第1線状リファレンス導体層24aの中央LCの僅かに左に位置している。第1信号導体層22aは、中央LCに関して第2信号導体層22bと線対称の関係を有している。そして、第1信号導体層22aの一部分及び第2信号導体層22bの一部分は、上下方向に見て、第1線状リファレンス導体層24aの一部分と重なっている。これにより、第1突出部分240a~240cは、第2信号導体層22bに対して左方向(第1直交方向)に突出してる。第2突出部分242a~242dは、第1信号導体層22aに対して右方向(第2直交方向)に突出している。そして、左方向(第1直交方向)における第1突出部分240a~240cの第2信号導体層22bに対する突出量D3は、右方向(第2直交方向)における第2突出部分242a~242dの第1信号導体層22aに対する突出量D4と実質的に等しい。
【0070】
以上のような回路基板10eは、回路基板10と同じ作用効果を奏することができる。更に、回路基板10eによれば、第1信号導体層22aを伝送される高周波信号及び第2信号導体層22bを伝送される高周波信号のロスが低減される。より詳細には、第1信号導体層22aと第2信号導体層22bとは、差動伝送線路を形成している。これにより、第1信号導体層22aを流れる電流の方向は、第2信号導体層22bを流れる電流の方向の逆になる。この場合、上下方向に見て、第1線状リファレンス導体層24aにおいて第1信号導体層22aと第2信号導体層22bとの間に位置する区間では、第1信号導体層22aを流れる電流の電磁誘導により発生する電流と、第2信号導体層22bを流れる電流の電磁誘導により発生する電流とが打ち消しあうようになる。すなわち、第1線状リファレンス導体層24aにおいて第1信号導体層22aと第2信号導体層22bとの間に位置する区間に、電流が殆ど流れなくなる。従って、第1線状リファレンス導体層24aにおいて共振が発生しにくくなる。第1線状リファレンス導体層24aにおいて共振が発生しにくくなると、第1線状リファレンス導体層24aにおいて定在波が発生しにくくなる。その結果、第1線状リファレンス導体層24aから不要輻射が発生しにくくなる。以上より、第1信号導体層22aを伝送される高周波信号及び第2信号導体層22bを伝送される高周波信号が、不要輻射に利用されにくくなる。回路基板10eによれば、第1信号導体層22aを伝送される高周波信号及び第2信号導体層22bを伝送される高周波信号のロスが低減される。
【0071】
回路基板10eによれば、第1信号導体層22aに発生している特性インピーダンス及び第2信号導体層22bに発生している特性インピーダンスが、素体12の積層ずれによって、所望の特性インピーダンス(例えば、100Ω)から変動することが抑制される。より詳細には、左右方向における第1突出部分240a~240cの第2信号導体層22bに対する突出量D3は、左右方向における第2突出部分242a~242dの第1信号導体層22aに対する突出量D4と実質的に等しい。従って、第1信号導体層22a及び第2信号導体層22bは、上下方向に見て、左右方向における第1線状リファレンス導体層24aの中央近傍と重なっている。これにより、素体12に積層ずれが発生したとしても、第1信号導体層22a及び第2信号導体層22bは、上下方向に見て、第1線状リファレンス導体層24aから左右方向にはみ出しにくくなる。その結果、第1信号導体層22aと第1線状リファレンス導体層24aとの間に発生する容量が設計値から変動しにくくなる。第2信号導体層22bと第1線状リファレンス導体層24aとの間に発生する容量が設計値から変動しにくくなる。以上より、回路基板10eによれば、第1信号導体層22aに発生している特性インピーダンス及び第2信号導体層22bに発生している特性インピーダンスが、素体12の積層ずれによって、所望の特性インピーダンス(例えば、100Ω)から変動することが抑制される。
【0072】
(第6変形例)
以下に、第6変形例に係る回路基板10fについて図面を参照しながら説明する。
図10は、回路基板10fの前後方向の中央近傍の上面図である。
【0073】
回路基板10fは、第1線状リファレンス導体層24aが矩形波形状を有している点において、回路基板10と相違する。すなわち、第1線状リファレンス導体層24aは、前後方向に延びる複数の直線状の線状導体層と左右方向に延びる複数の直線状の線状導体層とが組み合わされた構造を有している。回路基板10fのその他の構造は、回路基板10と同じであるので説明を省略する。回路基板10fは、回路基板10と同じ作用効果を奏することができる。また、第1線状リファレンス導体層24aが左右方向に延びる線状導体層を有する。そのため、素体12の積層ずれによって第1信号導体層22aが左右方向にずれたとしても、第1信号導体層22aと第1線状リファレンス導体層24aとが重なる部分の面積が変動しにくい。その結果、素体12の積層ずれによって第1信号導体層22aに発生している特性インピーダンスが所望の特性インピーダンスから変動することが抑制される。
【0074】
(第7変形例)
以下に、第7変形例に係る回路基板10gについて図面を参照しながら説明する。
図11は、回路基板10gの前後方向の中央近傍の上面図である。
【0075】
回路基板10gは、第1線状リファレンス導体層24aが複数の直線状の線状導体層と複数の半円形状の線状導体層とが組み合わされた構造を有している点において、回路基板10fと相違する。すなわち、回路基板10gの第1線状リファレンス導体層24aは、回路基板10fの第1線状リファレンス導体層24aの角に面取りが施された形状を有する。回路基板10gは、回路基板10fと同じ作用効果を奏することができる。また、回路基板10gでは、第1線状リファレンス導体層24aに角がなくなる。そのため、第1線状リファレンス導体層24aにおいて応力集中が発生しにくい。その結果、第1線状リファレンス導体層24aの破損が抑制される。
【0076】
(第8変形例)
以下に、第8変形例に係る回路基板10hについて図面を参照しながら説明する。
図12は、回路基板10hの前後方向の中央近傍の上面図である。
【0077】
回路基板10hは、第1線状リファレンス導体層24aが複数の直線状の線状導体層と複数の円弧形状の線状導体層とが組み合わされた構造を有している点において、回路基板10gと相違する。円弧形状の線状導体層は、180°以上の中心角を有している。回路基板10hは、回路基板10gと同じ作用効果を奏することができる。また、回路基板10hでは、第1線状リファレンス導体層24aが180°以上の中心角を有する円弧形状の線状導体層を含んでいる。そのため、円弧形状の線状導体層の半径が大きくなる。その結果、第1線状リファレンス導体層24aにおいて応力集中が発生しにくい。その結果、第1線状リファレンス導体層24aの破損が抑制される。
【0078】
(第9変形例)
以下に、第9変形例に係る回路基板10iについて図面を参照しながら説明する。
図13は、回路基板10iの分解斜視図である。
【0079】
回路基板10iは、第3線状リファレンス導体層26aを備えている点において回路基板10と相違する。第3線状リファレンス導体層26aは、第1線状リファレンス導体層24aと左右対称な形状を有する。このように、第2リファレンス導体層26の代わりに第3線状リファレンス導体層26aが設けられることにより、回路基板10iをより容易に折り曲げることができる。
【0080】
なお、第3線状リファレンス導体層26aは、第1線状リファレンス導体層24aと左右対称な形状を有しているが、第1線状リファレンス導体層24aと同じ形状を有していてもよい。ただし、第3線状リファレンス導体層26aが、第1線状リファレンス導体層24aと左右対称な形状を有していると、上下方向に見て、第1線状リファレンス導体層24aの全体と第3線状リファレンス導体層26aの全体とが重ならない。よって、回路基板10iをより容易に折り曲げることができる。
【0081】
なお、第3線状リファレンス導体層26aは、絶縁体層16cの下主面に位置してもよい。この場合、絶縁体層16cの下主面は、保護層により覆われてもよい。
【0082】
(その他の実施形態)
本発明に係る回路基板は、回路基板10,10a~10iに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。なお、回路基板10,10a~10iの構成を任意に組み合わせてもよい。
【0083】
なお、回路基板10,10a~10hにおいて、第1リファレンス導体層24b,24c及び第2リファレンス導体層26は、必須の構成ではない。回路基板10,10a~10hが第2リファレンス導体層26を備えていない場合、回路基板10,10a~10hは、マイクロストリップライン構造を有する。
【0084】
なお、回路基板10,10a~10iにおいて、保護層20は、必須の構成ではない。
【0085】
なお、回路基板10,10a~10iでは、第1線状リファレンス導体層24aの全体が湾曲区間A2に位置している。しかしながら、第1線状リファレンス導体層24aの少なくとも一部が湾曲区間A2に位置していてもよい。
【0086】
なお、回路基板10,10a~10hは、第2リファレンス導体層26の代わりに、第1線状リファレンス導体層24aと同じ形状を有する第3線状リファレンス導体層を備えていてもよい。この場合、第3線状リファレンス導体層の位相は、第1線状リファレンス導体層24aの位相に対して第1線状リファレンス導体層24aが形成する正弦波の波長の1/2だけずれていてもよい。また、第3線状リファレンス導体層の位相は、第1線状リファレンス導体層24aの位相と一致していてもよい。
【0087】
なお、回路基板10,10a~10iにおいて、前後方向における第1突出部分240a~240cの長さ、及び、前後方向における第2突出部分242b,242cの長さは、第1信号導体層22aを伝送される高周波信号の波長の1/4より長くてもよい。
【0088】
なお、回路基板10,10a~10d、10f~10iにおいて、左右方向における第1突出部分240a~240cの第1信号導体層22aに対する突出量D1は、左右方向における第2突出部分242a~242dの第1信号導体層22aに対する突出量D2と実質的に等しくなくてもよい。
【0089】
なお、回路基板10dにおいて、第1線状リファレンス導体層24aの位相と第2線状リファレンス導体層24dの位相とが一致していなくてもよい。
【0090】
なお、回路基板10dにおいて、第1線状リファレンス導体層24aが形成する正弦波の波長と第2線状リファレンス導体層24dが形成する正弦波の波長とが異なっていてもよい。
【0091】
なお、回路基板10eにおいて、左方向における第1突出部分240a~240cの第2信号導体層22bに対する突出量D3は、右方向における第2突出部分242a~242dの第1信号導体層22aに対する突出量D4と実質的に等しくなくてもよい。
【0092】
なお、回路基板10,10a~10iにおいて、絶縁体層16a~16cの材料は、熱可塑性樹脂を含んでいなくてもよい。
【0093】
なお、回路基板10,10a~10iは、上下方向に見て、前後方向に延びている。しかしながら、回路基板10,10a~10iは、曲がっていてもよい。ここでの「回路基板10,10a~10iが曲がっている」とは、回路基板10,10a~10iに外力を加えない状態で曲がった形状を有していることを意味する。
【0094】
なお、回路基板10,10a~10iにおいて、第1線状リファレンス導体層24a、第1リファレンス導体層24b,24c及び第2リファレンス導体層26は、グランド電位以外のリファレンス電位に接続されてもよい。リファレンス電位は、電子機器において基準となる電位である。
【0095】
なお、回路基板10,10a~10d,10f~10iは、回路基板10eと同様に、第2信号導体層22bを更に備えていてもよい。
【0096】
なお、回路基板10,10a~10c,10e~10iは、回路基板10dと同様に、第2信号導体層22b及び第2線状リファレンス導体層24dを更に備えていてもよい。
【0097】
なお、回路基板10,10a,10b,10d~10iにおいて、回路基板10cと同様に、第1区間A11での左右方向(直交方向)における第1信号導体層22aの幅は、第2区間A12,A13での左右方向(直交方向)における第1信号導体層22aの幅より大きくてもよい。また、回路基板10d,10eにおいて、第1区間A11での左右方向(直交方向)における第2信号導体層22bの幅は、第2区間A12,A13での左右方向(直交方向)における第2信号導体層22bの幅より大きくてもよい。
【0098】
なお、回路基板10,10c~10iにおいて、第1線状リファレンス導体層24aが形成する波形の波長は、回路基板10a,10bのように、一定でなくてもよい。また、回路基板10dにおいて、第2線状リファレンス導体層24dが形成する波形の波長は、回路基板10a,10bのように、一定でなくてもよい。
【0099】
なお、回路基板10,10c~10iにおいて、第1リファレンス導体層24b,24c及び第2リファレンス導体層26は、メッシュ構造を有していてもよい。
【0100】
なお、回路基板10,10a~10iにおいて、層間接続導体v1~v6は、スルーホール導体であってもよい。スルーホール導体は、絶縁体層16a~16cに貫通孔を形成し、貫通孔の内周面にメッキを施すことにより形成される。
【0101】
なお、回路基板10,10a~10eの第1線状リファレンス導体層24a及び第2線状リファレンス導体層24dは、回路基板10f~10hの第1線状リファレンス導体層24aと同じ形状を有していてもよいし、回路基板10f~10hの第1線状リファレンス導体層24aの形状が組み合わされた形状を有していてもよい。
【0102】
なお、回路基板10,10a~10iにおいて、素体12は、積層構造を有していなくてもよい。すなわち、素体12は、単一の絶縁体層を含んでいてもよい。
【0103】
なお、回路基板10,10a~10iにおいて、第1線状リファレンス導体層24aは、少なくとも1つの第1突出部及び少なくとも1つの第2突出部を含んでいればよい。
【0104】
なお、回路基板10,10a~10iにおいて、非湾曲区間A1,A3は、僅かに折れ曲がっていてもよい。この場合、非湾曲区間A1,A3の曲率半径は、湾曲区間A2の曲率半径より大きい。
【符号の説明】
【0105】
1,1b:電子機器
10,10a~10i:回路基板
12:素体
16a~16c:絶縁体層
20:保護層
22a:第1信号導体層
22b:第2信号導体層
24a:第1線状リファレンス導体層
24b,24c:第1リファレンス導体層
24d:第2線状リファレンス導体層
26:第2リファレンス導体層
26a:第3線状リファレンス導体層
28a,28b:信号電極
30a,30b,110,210:コネクタ
100,200:回路基板
210:コネクタ
240a~240c:第1突出部分
242a~242d:第2突出部分
250a~250c:第3突出部分
252a~252d:第4突出部分
A1,A3:非湾曲区間
A11:第1区間
A12,A13:第2区間
A2:湾曲区間