(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】報知装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241022BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20241022BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20241022BHJP
【FI】
H02J7/00 U
H02J7/00 P
B60L50/60
B60L3/00 N
(21)【出願番号】P 2023033595
(22)【出願日】2023-03-06
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 圭介
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/049878(WO,A1)
【文献】特開2014-134456(JP,A)
【文献】特開2004-205249(JP,A)
【文献】国際公開第2020/079837(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60L 50/60
B60L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力で動作する車両の走行に用いられた第1電力量に関する第1情報と、前記車両の設備で前記走行とは異なる用途に用いられた第2電力量に関する第2情報と、を取得する取得部と、
前記第1情報および前記第2情報に基づいて、前記第1電力量と前記第2電力量とを比較可能に、ユーザに報知する制御部と、
を備える報知装置。
【請求項2】
前記第1情報および前記第2情報に基づいて、前記第1電力量の利用割合と、前記第2電力量の利用割合とを算出する算出部をさらに備え、
前記制御部は、前記第1電力量の利用割合と前記第2電力量の利用割合とを比較可能に、前記ユーザに報知する、
請求項1に記載の報知装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1電力量と前記第2電力量とを比較可能に表示装置に表示する、
請求項1に記載の報知装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1電力量を示す情報と前記第2電力量を示す情報とを並べて前記表示装置に表示する、
請求項3に記載の報知装置。
【請求項5】
前記制御部は、利用日毎に前記第1電力量と前記第2電力量とを前記表示装置に表示する、
請求項3に記載の報知装置。
【請求項6】
前記制御部は、利用月毎に前記第1電力量と前記第2電力量とを前記表示装置に表示する、
請求項3に記載の報知装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記車両の1回の運行毎に前記第1電力量と前記第2電力量とを前記表示装置に表示する、
請求項3に記載の報知装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記車両の運行中に前記第1情報および前記第2情報を取得し、
前記制御部は、前記第1情報および前記第2情報に基づいて、前記車両の運行開始からの前記第1電力量と前記第2電力量とを前記表示装置に表示する、
請求項3に記載の報知装置。
【請求項9】
前記車両は、架装部を有し、
前記第2電力量は、前記車両の車内設備の電力量と、前記車両の架装部の電力量とを含む、
請求項1に記載の報知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、報知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関により駆動する車両において、内燃機関で発生したエネルギーが、車両の駆動の他、車両の設備(空調、架装部の動作)のために用いられていた。このような車両の燃料効率は、燃料の単位消費量に対する走行距離(燃費)として示され、車両の走行全体に対して管理可能である。運転者または車両を管理する管理者は、燃費を管理することにより、効率的な運転を行うように運行計画、運行方法にフィードバックを行うことが可能である。
【0003】
また、バッテリーを備えた車両においては、バッテリーの電力消費量等を管理することで、上記のフィードバックを行うことが可能である。例えば、特許文献1には、バッテリーの電力消費率および残量に応じて、今後走行可能な距離を算出することが可能な装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、バッテリーを備えた車両においては、車両の走行の他、車両設備にもバッテリーの電力が用いられる。従来では、車両の走行および車両設備を含む車両全体の電力消費量のみが管理されることになるため、運行計画、運行方法にフィードバックを行う構成として一定の限界があった。
【0006】
本開示の目的は、車両の電力消費量を適切に管理することが可能な報知装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る報知装置は、
電力で動作する車両の走行に用いられた第1電力量に関する第1情報と、前記車両の設備で前記走行とは異なる用途に用いられた第2電力量に関する第2情報と、を取得する取得部と、
前記第1情報および前記第2情報に基づいて、前記第1電力量と前記第2電力量とを比較可能に、ユーザに報知する制御部と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、車両の電力消費量を適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施の形態に係る報知装置を備えた車両を示す図である。
【
図2】本実施の形態に係る報知装置を示すブロック図である。
【
図7】変形例に係る報知装置を備えたサーバと車両とを示す図である。
【
図8】変形例に係る報知装置を示すブロック図である。
【
図10】変形例に係る報知装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態の一例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本開示の実施の形態に係る報知装置100を備えた車両1を示す図である。
図2は、本実施の形態に係る報知装置100を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、車両1は、電気自動車、ハイブリッド車両等、バッテリー2で走行可能な車両である。車両1は、車両1で利用した電力の利用割合を、電力利用の対象毎にユーザに報知する機能を有する。車両1は、バッテリー2の他、駆動装置3と、車両設備4と、表示装置5と、電力管理部6と、報知装置100とを備える。
【0012】
駆動装置3は、車両1を走行駆動するためのモーターである。
【0013】
車両設備4は、車両1に設けられる電力で動作可能な設備である。車両設備4は、車内設備4Aおよび架装部4Bを含む。なお、車両設備4はこれに限定されず、さらに複数の設備を含んでいても良い。本実施の形態では、車両1は架装部4Bを有する架装車両(例えば、トラック等)であるとする。
【0014】
車内設備4Aは、空調設備である。なお、車内設備4Aは、車両1内に設けられる電力で動作可能な設備である限り、どのようなものであっても良い。
【0015】
表示装置5は、車両1内に設けられたカーナビゲーション装置等の表示装置である。なお、表示装置5は、ドライバーの保有するタブレットなど、外部端末に設けられたディスプレイであっても良い。
【0016】
電力管理部6は、バッテリー2から駆動装置3および車両設備4に供給される電力を管理する。例えば、電力管理部6は、車両1に設けられるECU(Electronic Control Unit)であるとする。電力管理部6は、バッテリー2から駆動装置3に供給される第1電力量に関する第1情報と、バッテリー2から車両設備4に供給される第2電力量に関する第2情報とをモニターし、報知装置100に出力する。
【0017】
第1電力量は、車両1の走行に用いられた電力量であるといえる。第2電力量は、車両1の走行とは異なる用途で、車両1の設備に用いられた電力量であるといえる。第2電力量は、車内設備4Aの電力量と、架装部4Bの電力量とを含む。電力管理部6は、車内設備4Aの電力量と、架装部4Bの電力量とを区別して管理しても良い。
【0018】
報知装置100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)および入出力回路(不図示)を備える。報知装置100は、車両1で利用した電力のうち、走行に使用された電力(第1電力量)および走行とは異なる用途で車両設備などによって使用された電力(第2電力量)をユーザに報知する。また、報知装置100は、車両1で利用した電力の利用割合を対象毎にユーザに報知する。
図2に示すように、報知装置100は、取得部110と、算出部120と、記憶部130と、制御部140とを有する。CPUは、ROMからプログラムを読みだして、取得部110と、算出部120と、記憶部130と、制御部140との機能を実現する。
【0019】
取得部110は、電力管理部6から第1電力量に関する第1情報と、第2電力量に関する第2情報とを取得する。例えば、取得部110は、車両1の運行中に第1情報および第2情報を取得しても良い。
【0020】
算出部120は、第1情報および第2情報に基づいて、第1電力量の利用割合と、第2電力量の利用割合とを算出する。利用割合は、車両が消費した電力量の全体に対する電力量であるとする。例えば、算出部120は、第1電力量と第2電力量との和を算出する。算出部120は、第1電力量を、算出した和で除算した値を第1電力量の利用割合とし、第2電力量を、算出した和で除算した値を第2電力量の利用割合とする。
【0021】
また、算出部120は、第2電力量の利用割合において、車内設備4Aの電力量の利用割合と、架装部4Bの電力量の利用割合とを分けて算出するようにしても良い。
【0022】
記憶部130には、算出部120が算出した第1電力量の利用割合および第2電力量の利用割合が記憶される。
【0023】
制御部140は、第1情報および第2情報に基づいて、第1電力量と第2電力量とを比較可能に、ユーザに報知する。具体的には、制御部140は、第1情報および第2情報に基づいて、車両1の運行開始からの第1電力量の利用割合と、第2電力量の利用割合とを並べて表示装置5に表示する。
【0024】
例えば、
図3に示すように、表示装置5には、「走行」に係る利用割合として40%、「空調」に係る利用割合として30%、「架装」に係る利用割合として30%である例が示されている。なお、利用割合は、その日の電力消費量を100%とした場合のものであっても良い。
【0025】
このようにすることで、運転者(ユーザー)が電力の供給対象毎の利用割合を一目で把握することができる。その結果、車両1の電力消費量を適切に管理することができる。例えば、第1電力量の利用割合が比較的大きい場合、ユーザは、回生エネルギーを利用した走行を心掛けるようにすると考えられる。また、第2電力量の利用割合、特に車内設備4Aの利用割合が比較的大きい場合、ユーザは、空調における風量を小さくする等、節電を意識した走行を心掛けるようにすると考えられる。
【0026】
すなわち、本実施の形態では、車両1の電力消費量を適切に管理することにより、ユーザが効率的な運転を行うように運行計画、運行方法にフィードバックを行うことができる。
【0027】
なお、上記実施の形態では、運行中に取得した第1情報および第2情報に基づいて、運行開始からの第1電力量と第2電力量とが表示されていたが、本開示はこれに限定されない。例えば、運行中ではなく、1回の運行毎に第1電力量と第2電力量とが表示されても良い。1回の運行は、例えば、1日全体の運行であっても良いし、車両1への電力供給開始から、電力供給停止までの運行であっても良い。
【0028】
また、
図4に示すように、一定期間における第1電力量の利用割合の平均値と第2電力量の利用割合の平均値とが表示されるようにしても良い。
図4には、例えば、1か月分の平均値が表示された例が示されている。具体的には、「走行」に係る利用割合として50%、「空調」に係る利用割合として20%、「架装」に係る利用割合として30%である例が示されている。
【0029】
これらの平均値は、例えば、1か月の利用日毎の電力量の利用割合が記憶部130に記憶されていても良い。また、算出部120が、記憶部130に記憶された各利用割合に基づいて平均値を算出するようにしても良い。
【0030】
また、
図5に示すように、利用日毎に第1電力量の利用割合と第2電力量の利用割合とが表示されても良い。
図5は、縦軸が利用割合、横軸が日付である。
図5では、第1電力量(走行に係る電力量)が斜線のハッチング、第2電力量の車内設備4Aの電力量の利用割合がドットのハッチング、架装部4Bの電力量の利用割合がハッチング無しで示されている。
図5には、3月における利用日毎の電力量の利用割合の一例が示されている。
【0031】
また、
図6に示すように、利用月毎に第1電力量の利用割合と第2電力量の利用割合とが表示されても良い。
図6は、縦軸が利用割合、横軸が月である。
図6では、第1電力量(走行に係る電力量)が斜線のハッチング、第2電力量の車内設備4Aの電力量の利用割合がドットのハッチング、架装部4Bの電力量の利用割合がハッチング無しで示されている。
【0032】
これらの利用割合は、利用月毎に算出部120に算出され、記憶部130に記憶されていても良い。
【0033】
また、上記実施の形態では、車両1の表示装置5に第1電力量および第2電力量の各利用割合を表示していたが、本開示はこれに限定されない。例えば、車両1を管理するサーバ10等の車両1の外部装置が各利用割合を表示させる制御を行っても良い。外部装置としては、例えば、PC(Personal Computer)、スマートフォン等の携帯端末等、上記実施の形態に係る制御を行うことが可能な装置である限り、どのようなものであっても良い。
【0034】
図7に示す車両1は、サーバ10と通信可能な通信部7を有する。通信部7は、サーバ10に、電力管理部6により管理された第1情報および第2情報を送信する。
【0035】
サーバ10は、車両1と通信可能な通信部11と、報知装置200とを有する。
【0036】
報知装置200は、CPU、ROM、RAMおよび入出力回路(不図示)を備えている。報知装置200は、車両1で利用した電力の利用割合を対象毎にユーザに報知する。
図8に示すように、報知装置200は、取得部210と、算出部220と、記憶部230と、制御部240とを有する。
【0037】
取得部210は、通信部11から第1電力量に関する第1情報と、第2電力量に関する第2情報とを取得する。算出部220は、
図2に示す算出部120と同様であり、記憶部230は、
図2に示す記憶部130と同様である。
【0038】
制御部240は、第1情報および第2情報に基づいて、第1電力量と第2電力量とを比較可能に、ユーザに報知する。具体的には、制御部240は、第1情報および第2情報に基づいて、第1電力量の利用割合と、第2電力量の利用割合とを、通信部11を介して外部の表示装置20に表示させる。
【0039】
外部の表示装置20としては、例えば、車両1の表示装置5、サーバ10の管理者のPC、ユーザのスマートフォン等の携帯端末等が挙げられる。
【0040】
このように、サーバ10により、外部から、車両1の電力に関する情報を取得することでも、車両1の電力消費量を適切に管理することができる。
【0041】
また、サーバ10等の外部装置を用いることにより、複数の車両1からの情報を管理することも可能である。
【0042】
複数の車両1からの情報を管理することで、例えば、各車両の電力量の平均値を表示させることもできる。
【0043】
例えば、
図9に示すように、制御部240は、所定の車両1の利用月毎の電力利用割合を表示させつつ、サーバ10で管理する複数の車両1の電力量の平均値を表示させる。
図9には、白丸を走行に係る電力量の利用割合の平均値、黒丸を空調に係る電力量の利用割合の平均値、ドットの丸を架装に係る電力量の利用割合の平均値とした例が示されている。
【0044】
また、上記実施の形態では、各電力量の利用割合の情報を並べて表示装置に表示していたが、本開示はこれに限定されない。例えば、第1電力量と第2電力量との差分等、第1電力量と第2電力量とが比較可能である限り、どのような情報が表示装置に表示されても良い。
【0045】
また、上記実施の形態では、表示装置に、電力量の利用割合の情報を表示させていたが、本開示はこれに限定されず、例えば音声発生装置(例えば、カーナビゲーション装置、スマートフォン等)により、音声で電力量の情報をユーザに報知しても良い。
【0046】
また、上記実施の形態では、電力量の利用割合の情報をユーザに報知するだけであったが、本開示はこれに限定されない。例えば、
図10に示すように、電力量の利用割合に応じて車両1の運行方法に対する提案を行う提案部150が設けられていても良い。
【0047】
提案部150は、例えば、第1電力量の利用割合が比較的大きい場合、回生エネルギーを利用した走行を心掛けるように提案しても良い。また、提案部150は、第2電力量における車内設備4Aの利用割合が比較的大きい場合、空調における風量を小さくするように提案しても良い。提案部150による提案方法は、例えば、表示装置に提案する内容を表示する等、ユーザに提案内容が伝達可能である限り、どのような方法であっても良い。
【0048】
また、上記実施の形態では、電力量の利用割合をユーザに報知していたが、本開示はこれに限定されず、電力量そのものをユーザに報知しても良い。
【0049】
また、上記実施の形態では、第2電力量として、空調および架装に係る各電力量を区別して報知していたが、本開示はこれに限定されず、空調および架装を区別せずに報知しても良い。
【0050】
また、上記実施の形態では、第2電力量が、空調および架装の各電力量を含んでいたが、本開示はこれに限定されず、その他の車両設備に係る電力量を含んでいても良い。また、架装部を備えていない車両である場合、架装にかかる電力量が第2電力量に含まれていなくても良い。
【0051】
その他、上記実施の形態は、何れも本開示を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本開示はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本開示の報知装置は、車両の電力消費量を適切に管理することが可能な報知装置として有用である。
【符号の説明】
【0053】
1 車両
2 バッテリー
3 駆動装置
4 車両設備
4A 車内設備
4B 架装部
5 表示装置
6 電力管理部
7 通信部
10 サーバ
11 通信部
100 報知装置
110 取得部
120 算出部
130 記憶部
140 制御部
200 報知装置
210 取得部
220 算出部
230 記憶部
240 制御部