(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】虹彩認証装置及び虹彩認証方法
(51)【国際特許分類】
G06V 40/19 20220101AFI20241022BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20241022BHJP
A61B 5/1171 20160101ALI20241022BHJP
G06F 21/32 20130101ALI20241022BHJP
【FI】
G06V40/19
G06T7/00 510D
A61B5/1171 300
G06F21/32
(21)【出願番号】P 2023135876
(22)【出願日】2023-08-23
(62)【分割の表示】P 2021554431の分割
【原出願日】2019-11-05
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】指原 利之
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-030564(JP,A)
【文献】国際公開第2016/088415(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
G06T 7/00 - 7/90
G06V 40/18 -40/19
A61B 5/117- 5/1178
G06F 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被認証者を撮像するカメラと、
前記カメラの位置と同じ高さ又は前記カメラより低い位置に設置され、前記被認証者に光を照射するライトと、
前記ライトが光を照射している間に前記カメラが前記被認証者を撮影した画像に写る虹彩と、予め登録された虹彩の画像とを用いて、前記被認証者の認証を行う認証部と、
前記被認証者が情報を入力する入力領域を表示する表示装置と、
前記被認証者が視認可能な位置に前記入力領域を表示し、前記被認証者が前記入力領域に情報を入力する間に前記カメラに撮影させる制御部と、
を備え、
前記カメラのレンズの中心と前記被認証者の目の位置を結ぶ線と、前記被認証者が前記入力領域を注視するときの視線と、がなす撮影角度が1度から20度の間の角度となるように前記カメラが設置される、
虹彩認証装置。
【請求項2】
被認証者を撮像するカメラと、
前記カメラの位置と同じ高さ又は前記カメラより低い位置に設置され、前記被認証者に光を照射するライトと、
前記ライトが光を照射している間に前記カメラが前記被認証者を撮影した画像に写る虹彩と、予め登録された虹彩の画像とを用いて、前記被認証者の認証を行う認証部と、
前記被認証者が情報を入力する入力領域を表示する表示装置と、
前記被認証者が視認可能な位置に前記入力領域を表示し、前記被認証者が前記入力領域に情報を入力する間に前記カメラに撮影させる制御部と、
前記被認証者の視線を検出する視線検出装置と、
を備え、
前記認証部は、前記カメラのレンズの中心と前記被認証者の目の位置を結ぶ線と、前記被認証者の視線とがなす
撮影角度が所定の理想的な角度となったことを前記視線検出装置が検出した時点で前記カメラにより撮影された画像を用いて前記認証を行う、
虹彩認証装置。
【請求項3】
前記ライトが前記カメラより低い位置に設置され、
前記ライトの照射面の中心と前記被認証者の目の位置を結ぶ線と前記被認証者の視線とがなす照明角度が、前記撮影角度よりも1度から15度大きくなるように前記ライトが設置される、
請求項1または請求項2に記載の虹彩認証装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記入力領域を表示するとともに、前記ライトを点灯して前記カメラに撮影させ、
前記認証部は、前記カメラにより撮影された画像を用いて前記認証を行う、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の虹彩認証装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記被認証者に前記入力領域を注視するように促す情報を前記表示装置に表示させる、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の虹彩認証装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記被認証者の視線の方向又は目の大きさが、虹彩の画像の撮影に適した状態となるよう促す情報を前記表示装置に表示させるとともに、前記ライトを点灯して前記カメラに撮影させ、
前記認証部は、前記カメラにより撮影された画像を用いて前記認証を行う、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の虹彩認証装置。
【請求項7】
前記入力領域は、被認証者が注視するターゲットとして表示装置に表示される、
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の虹彩認証装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記被認証者の身長に応じて、前記入力領域が表示される位置を移動させる、
請求項1から請求項7の何れか1項に記載の虹彩認証装置。
【請求項9】
被認証者を撮像するカメラと、
前記カメラの位置と同じ高さ又は前記カメラより低い位置に設置され、前記被認証者に光を照射するライトと、前記被認証者が情報を入力する入力領域を表示する表示装置と、を含み、前記カメラのレンズの中心と前記被認証者の目の位置を結ぶ線と、前記被認証者が前記入力領域を注視するときの視線と、がなす撮影角度が1度から20度の間の角度となるように前記カメラが設置される虹彩認証装置を用いて、
前記被認証者が視認可能な位置に前記入力領域を表示し、前記被認証者が前記入力領域に情報を入力する間であって、前記ライトが光を照射している間に前記カメラに撮影させ、前記カメラが前記被認証者を撮影した画像に写る虹彩と、予め登録された虹彩の画像とを用いて、前記被認証者の認証を行う、
虹彩認証方法。
【請求項10】
被認証者を撮像するカメラと、
前記カメラの位置と同じ高さ又は前記カメラより低い位置に設置され、前記被認証者に光を照射するライトと、前記被認証者が情報を入力する入力領域を表示する表示装置と、前記被認証者の視線を検出する視線検出装置と、を含む虹彩認証装置を用いて、
前記被認証者が視認可能な位置に前記入力領域を表示し、前記被認証者が前記入力領域に情報を入力する間であって、前記ライトが光を照射している間に前記カメラに撮影させ、前記カメラのレンズの中心と前記被認証者の目の位置を結ぶ線と、前記被認証者の視線とがなす
撮影角度が所定の理想的な角度となったことを前記視線検出装置が検出した時点で前記カメラにより前記被認証者を撮影した画像に写る虹彩と、予め登録された虹彩の画像とを用いて、前記被認証者の認証を行う、
虹彩認証方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、虹彩認証に適した画像を速やかに撮影し、虹彩認証を行う虹彩認証装置及び虹彩認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
利便性を損なわずにセキュリティを確保する手段として、生体認証のニーズが高まっている。生体認証の中でも、虹彩認証は、認証精度が高く、決済処理にも適用可能であり、例えば、店舗等で手軽かつ高精度に個人認証を行う手段として導入が期待されている。店舗等で素早く虹彩認証を行うためには、虹彩認証が可能な程度に十分に良質な画像(以下、虹彩画像と記載する。)が確実に撮影できる必要がある。
【0003】
特許文献1には、赤目現象を防ぎつつ、虹彩認証の空間を広くとることができるようカメラとLEDの位置関係に工夫を施した虹彩認証装置について開示がある。特許文献2には、遠方を撮影できるカメラを使って、歩行中のユーザを斜め上から撮影し、ユーザが自然な動作を行う中で虹彩認証を行う技術が開示されている。特許文献3には、被認証者の左右の目それぞれに対して個別に光源とカメラを用意して、迅速かつ的確に目の位置を誘導して虹彩認証用の画像を撮影する撮影装置が開示されている。
【0004】
また、関連する技術として、特許文献4には、虹彩認証を行う際に、被写体の目が偽目か生体の目かを判別するために、被写体に対して視線を移動させるように誘導し、その間に撮影した画像を分析して被写体の目が生体か否を判別する技術が開示されている。特許文献5には、対象者の顔よりも低い位置に、水平方向に所定の間隔をおいて左右一対のカメラを配置し、20度~35度の範囲の仰角で対象者の顔を撮影した画像を解析して対象者の視線を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-162129号公報
【文献】国際公開第2009/016846号
【文献】特開2007-319175号公報
【文献】特開2007-041831号公報
【文献】特開2019-098024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
虹彩画像は、光源から光を発して、被認証者の目をカメラで撮影する。被認証者の目の位置に対して光源とカメラの位置を適切に配置することによって良質な虹彩画像を撮影することができれば、素早く虹彩認証を行うことができ、虹彩認証の導入も促進される。特許文献1~5には、虹彩認証に適した被認証者の目とカメラおよび光源の位置関係に関する開示が無い。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決することのできる虹彩認証装置及び虹彩認証方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施態様に係る虹彩認証装置は、被認証者を撮像するカメラと、前記カメラの位置と同じ高さ又は前記カメラより低い位置に設置され、前記被認証者に光を照射するライトと、前記ライトが光を照射している間に前記カメラが前記被認証者を撮影した画像に写る虹彩と、予め登録された虹彩の画像とを用いて、前記被認証者の認証を行う認証部と、前記被認証者が情報を入力する入力領域を表示する表示装置と、前記被認証者が視認可能な位置に前記入力領域を表示し、前記被認証者が前記入力領域に情報を入力する間に前記カメラに撮影させる制御部と、前記カメラのレンズの中心と前記被認証者の目の位置を結ぶ線と、前記被認証者が前記入力領域を注視するときの視線と、がなす撮影角度が1度から20度の間の角度となるように前記カメラが設置される。
また、本発明の実施態様に係る虹彩認証装置は、被認証者を撮像するカメラと、前記カメラの位置と同じ高さ又は前記カメラより低い位置に設置され、前記被認証者に光を照射するライトと、前記ライトが光を照射している間に前記カメラが前記被認証者を撮影した画像に写る虹彩と、予め登録された虹彩の画像とを用いて、前記被認証者の認証を行う認証部と、前記被認証者が情報を入力する入力領域を表示する表示装置と、前記被認証者が視認可能な位置に前記入力領域を表示し、前記被認証者が前記入力領域に情報を入力する間に前記カメラに撮影させる制御部と、前記被認証者の視線を検出する視線検出装置と、を備え、前記認証部は、前記カメラのレンズの中心と前記被認証者の目の位置を結ぶ線と、前記被認証者の視線とがなす撮影角度が所定の理想的な角度となったことを前記視線検出装置が検出した時点で前記カメラにより撮影された画像を用いて前記認証を行う。
【0009】
本発明の実施態様に係る虹彩認証方法は、被認証者を撮像するカメラと、前記カメラの位置と同じ高さ又は前記カメラより低い位置に設置され、前記被認証者に光を照射するライトと、前記被認証者が情報を入力する入力領域を表示する表示装置と、を含み、前記カメラのレンズの中心と前記被認証者の目の位置を結ぶ線と、前記被認証者が前記入力領域を注視するときの視線と、がなす撮影角度が1度から20度の間の角度となるように前記カメラが設置される虹彩認証装置を用いて、前記被認証者が視認可能な位置に前記入力領域を表示し、前記被認証者が前記入力領域に情報を入力する間であって、前記ライトが光を照射している間に前記カメラに撮影させ、前記カメラが前記被認証者を撮影した画像に写る虹彩と、予め登録された虹彩の画像と、を用いて、前記被認証者の認証を行う。
また、本発明の実施態様に係る虹彩認証方法は、被認証者を撮像するカメラと、前記カメラの位置と同じ高さ又は前記カメラより低い位置に設置され、前記被認証者に光を照射するライトと、前記被認証者が情報を入力する入力領域を表示する表示装置と、前記被認証者の視線を検出する視線検出装置と、を含む虹彩認証装置を用いて、前記被認証者が視認可能な位置に前記入力領域を表示し、前記被認証者が前記入力領域に情報を入力する間であって、前記ライトが光を照射している間に前記カメラに撮影させ、前記カメラのレンズの中心と前記被認証者の目の位置を結ぶ線と、前記被認証者の視線とがなす撮影角度が所定の理想的な角度となったことを前記視線検出装置が検出した時点で前記カメラにより前記被認証者を撮影した画像に写る虹彩と、予め登録された虹彩の画像とを用いて、前記被認証者の認証を行う。
【発明の効果】
【0010】
上記した虹彩認証装置及び虹彩認証方法によれば、認証処理に必要な品質を有する被認証者の虹彩画像を速やかに撮影し、虹彩認証を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る虹彩認証装置の一例を示す図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る撮影角度について説明する第1図である。
【
図3】本発明の第一実施形態に係る撮影角度について説明する第2図である。
【
図4】本発明の第一実施形態に係る撮影角度について説明する第3図である。
【
図5】本発明の第一実施形態に係る認証処理の一例を示すフロー図である。
【
図6】本発明の第一実施形態に係る視線誘導の一例を示す図である。
【
図7】本発明の第一実施形態に係る撮影角度について説明する第4図である。
【
図8】本発明の第二実施形態に係る虹彩認証装置の一例を示す図である。
【
図9】本発明の第三実施形態に係る虹彩認証装置の一例を示す図である。
【
図10】本発明の第三実施形態に係る撮影角度及び照明角度について説明する図である。
【
図11】本発明の第四実施形態に係る虹彩認証装置の一例を示す図である。
【
図12】本発明の第四実施形態に係る認証処理の一例を示すフロー図である。
【
図13】本発明に係る虹彩認証装置の最小構成を示す図である。
【
図14】本発明の各実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。以下の説明に用いる図面において、本発明に関係ない部分の構成については、記載を省略し、図示しない場合がある。
【0013】
<第一実施形態>
(構成)
図1は、本発明の第一実施形態に係る虹彩認証装置の一例を示す図である。
図1に示すように虹彩認証装置1は、カメラ2と、ライト3と、制御装置4と、表示装置5と、認証用DB(データベース)6と、を含む。制御装置4は、登録済みのユーザの虹彩画像を記憶した認証用DB6と接続されている。カメラ2は、虹彩画像を撮影するためのカメラであり、静止画または動画を撮影する。ライト3は、例えば、近赤外線の光を照射する。カメラ2、ライト3には、虹彩認証に用いられる一般的なカメラ、光源を用いることができる。制御装置4は、コンピュータである。制御装置4は、カメラ2、ライト3及び表示装置5の動作を制御する制御部41と、虹彩認証を行う認証部42と、を備える。表示装置5は、例えば、液晶ディスプレイである。表示装置5は、制御装置4の指示に基づいて、被認証者Aが注視する対象となる情報(ターゲットと記載する。)を表示する。
図1に示す3つの「+」印は、ターゲットの一例である。ターゲットは、被認証者Aの視線方向とカメラ2の向きがなす角度(
図2~
図4のθ)が所定の角度となる位置に表示する。この例では、被認証者Aが自身の身長に応じて適切なターゲットを選択できるように、複数の高さにターゲットを表示している。
【0014】
図2~
図4は、それぞれ、本発明の第一実施形態に係る撮影角度について説明する説明する第1図~第3図である。
表示装置5は、被認証者Aの視線e1と、カメラ2のレンズの中心と被認証者Aの目を結ぶ線e2(以下、基準線e2と呼ぶ。)と、がなす垂直方向の角度(以下、撮影角度と呼ぶ。)が所定の理想的な角度θとなるような位置にターゲットを表示できるようにして設置される。
図2では、被認証者Aの目線の高さH2と表示装置5の中央が同じ高さとなるように記されているがこの限りではない。本実施形態では、被認証者Aの顔向きと視線e1の方向が概ね(後述するように顔向きに対して視線e1を若干上向きにしてもよい。)一致し、視線e1と基準線e2がなす撮影角度がθとなる位置関係にあるときに被認証者Aの虹彩を撮影することを理想とする。その為に、カメラ2を被認証者Aの顔向きの正面もしくはやや下方に設置する。ライト3についても、被認証者Aの顔向きの正面もしくはやや下方に設置する。例えば、
図1の例のように、表示装置5を壁などの垂直面に設置する場、基準となる被認証者Aの目線の高さH2を仮定し、目線の高さH2より低い位置(H1)であって、被認証者Aが正面を自然視したときの視線e1と基準線e2の角度がθとなるようにカメラ2を設置する。
【0015】
また、良質な虹彩画像を撮影するためには、被認証者Aの視線e1の方向と被認証者Aの顔向きは概ね一致することが好ましい。これを実現するために、被認証者Aに視線だけではなく、顔向きをターゲットに向けるよう案内等を行ってもよい。以下、被認証者Aの顔向きと視線e1は概ね一致するとして説明を行う。
【0016】
図2に例示するようにカメラ2は、被認証者Aの虹彩画像を前方下方から撮影する。また、
図1に示すようにライト3は、カメラ2と同じ高さに設置される。例えば、ライト3についても、ライト3の光を照射する面の中心と被認証者Aの目を結ぶ線e3と、被認証者Aの視線e1と、がなす垂直方向の角度が撮影角度と同じ角度θとなるように設置する。カメラ2は、撮影角度θが1度から20度(より好ましくは5度から15度)の間の角度となるような位置に設置される。撮影角度θの値には、被認証者Aの虹彩が適切に撮影できる(撮影される虹彩領域が十分な大きさとなる)角度が採用される。例えば、カメラ2から虹彩までの距離を50cm、視線e1の方向を水平方向とした場合、カメラ2及びライト3の位置を被認証者Aの目よりも10cm程度下方に配置するとよい。また、水平方向の配置については、カメラ2とライト3の間隔は、赤目現象が発生しない程度に近づけた距離(例えば、10cm程度)となるようにし、カメラ2の中心が表示装置5の中心線上に揃うように配置することが好ましい。
【0017】
カメラ2を目線の高さH2よりも上方に設置して被認証者Aを撮影すると、まつ毛、瞼が邪魔になって、認証に必要な虹彩領域を十分に確保した虹彩画像を撮影できない可能性が高まる。そこで本実施形態では、カメラ2及びライト3を目線高さH2よりも低い位置に設置し、まつ毛、瞼の影響を受けずに虹彩の画像を撮影できる配置とする。また、撮影角度θが、上記した適切な範囲の角度となるよう設置する。さらに後述するように、本実施形態では、被認証者Aの視線に対してカメラ2及びライト3を下方に設置することに加え、撮影角度がθとなるように被認証者Aの視線を誘導したり、目を大きく見開かせたりすることによって、虹彩領域が多く虹彩画像に写るような工夫を行う。例えば、虹彩画像の撮影時に上方を見るように指示されると、人は、顔の向きを固定したまま瞳だけを上に動かす傾向がある。そうすると目が大きく見開かれる状態となる。この間に虹彩画像を撮影すれば良質な虹彩画像が採取できる。実際、出願人の研究でも、カメラ2およびライト3を視線より下方に配置し、視線を上向きに誘導しつつ、撮影角度がθとなるようにして撮影することで良質な虹彩画像が撮影できることが確認されている。
【0018】
図3に、基準よりも背の高い被認証者Aについて、虹彩認証を行う場合の角度θを示す。この場合、撮影角度がθとなる高さH2´にターゲットを表示して、被認証者Aの視線e1を誘導する。
【0019】
図4に、表示装置5を水平面に設置する場合の視線e1とカメラ2の設置位置の関係の一例を示す。この場合も、カメラ2およびライト3を被認証者Aの手前側へ設置し、表示装置5の適切な位置にターゲットを表示することで、撮影角度がθとなるように、被認証者Aの視線e1を誘導する。
【0020】
なお、
図1~
図3では、ある身長の被認証者Aに対するカメラ2及びライト3の設置位置を示したが、人の身長は様々であるから、(a)例えば、ボールねじ等を利用した昇降可能な機構を有する支持台にカメラ2及びライト3を設置し、任意の身長の被認証者Aの目の高さに対し、カメラ2及びライト3の配置を適切な高さに調整できるように構成されていてもよい。(b)あるいは、同じ高さに設置したカメラ2及びライト3を1組みとするユニットを、高さ方向に複数ユニット設ける構成としてもよい。そして、表示装置5に、身長の範囲を表示して被認証者Aに選択させたり、被認証者Aに身長を入力させたりして、構成(a)の場合、制御部41が、入力された身長に応じてカメラ2等の高さを昇降させ、構成(b)の場合、制御部41が、身長に適した高さのユニットを選択して、そのユニットのカメラ2及びライト3を動作させるようにしてもよい。又は、予め認証用DB6に、被認証者Aのアカウントと紐づけて被認証者Aの身長を登録しておき、制御部41が、虹彩認証の際に入力されたアカウント情報に基づいて認証用DB6を参照して被認証者Aの身長を取得し、その身長に応じて、カメラ2の高さを昇降させたり(構成(a))、適切な高さのユニット(構成(b))を選択したりしてもよい。
図4の例の場合、カメラ2を、水平方向に移動可能なように設置してもよい。
また、カメラ2をチルト機構によって支持し、制御部41の指示により、被認証者Aの視線に応じてカメラ2の向きを調整できるようにしてもよい。
【0021】
あるいは、表示装置5に、被認証者Aの身長に応じた立ち位置を指定する表示を行って、ターゲットを注視したときの撮影角度θが、適切な角度となるように被認証者Aの立ち位置(表示装置5からの距離)を案内してもよい。
【0022】
(動作)
次に
図5を用いて虹彩認証装置1の動作について説明する。
図5は、本発明の第一実施形態に係る認証処理の一例を示すフロー図である。
例えば、虹彩認証装置1は、店舗のレジや金融機関のATM(現金自動預け払い機)等に設置され、制御装置4には、被認証者Aのアカウント情報が入力される。また、被認証者Aが認証開始を指示する操作を行うと、制御装置4は、その操作を検出し、虹彩認証を開始する(S10)。まず、制御部41は、表示装置5にターゲットを表示する(S20)。例えば、制御部41は、ターゲットを注視するように案内する情報とともに、撮影角度がθとなる位置にターゲットを表示装置5に表示させる。このとき、視線だけを向けるのではなく、顔向きをターゲットに向けるように案内することが好ましい。制御部41は、図示しないスピーカを通じて、同様の案内を音声によって行いつつ、表示装置5にターゲットの表示を行ってもよい。
【0023】
(表示例1)
表示装置5は、例えば、
図1に例示するようなターゲットを表示する。そして、被認証者Aの身長(目の高さ)に応じて、どのターゲットを注視すれば、撮影角度がθとなるかを予め登録しておいて、「身長がX1以上の人は1番上のターゲットを注視してください。身長がX2~X1の人は上から2つ目のターゲットを注視してください。」等の案内を行う。あるいは、制御部41は、「+」印のターゲットを左右に移動させたり、より上方へ移動させたりして、被認証者Aの視線が動くように誘導してもよい。
【0024】
(表示例2)
被認証者Aが表示装置5上のある位置を指先でタッチする状況では、被認証者Aの視線は高い確率でタッチ先となると考えられる。この性質を利用して、制御部41は、表示装置5への表示や音声による案内によって、表示装置5に表示されたターゲットを指でタッチするように促してもよい。これにより、被認証者Aにターゲットを注視してもらうことができる。例えば、表示装置5の表面がタッチパネルで構成されている場合、制御装置4は、被認証者Aが表示装置5上をタッチしたことを検出することができる。制御部41は、視線e1と基準線e2のなす撮影角度がθとなる位置にターゲットを表示し、そのターゲットにタッチするよう被認証者Aへ案内する情報を表示装置5へ表示させる。制御部41は、タッチが検出されたタイミングでカメラ2へ撮影の指示を行う。すると、被認証者Aの視線が好ましい位置に向けられた瞬間の虹彩画像を撮影することができる。
【0025】
(表示例3)
また、表示装置5は、
図6に例示するように任意の文字列(
図6の例では「1234」)を表示し、被認証者Aに文字列を入力させてもよい。被認証者Aは、制御装置4に接続された図示しないキーボード等の入力装置を使って「1234」を入力する。表示装置5は、入力された文字を入力領域51~53の少なくとも1つ(例えば、入力領域52)に表示する。入力領域51~53は、撮影角度がθとなる位置(高さ)に表示される。入力領域51は、表示装置5における被認証者Aからみて左側に表示される。入力領域52は、表示装置5の中央に表示される。入力領域53は、被認証者Aからみて右側に表示される。
図6に、先頭の「1」が入力されたときの表示状態を示す。文字列の入力を促すのは、被認証者Aが文字を入力すると、入力後に入力した文字を見る確率が高く、その瞬間にカメラ2によって虹彩画像を撮影できれば、適切な虹彩画像が得られる可能性が高いためである。この例の場合、入力領域51~53がターゲットとなる。
【0026】
(表示例4)
文字列の入力は、表示装置5に表示されるソフトウェアキーボードによって行ってもよい。例えば、表示装置5は、入力領域51~53とともに領域54~56にソフトウェアキーボードを表示する。領域54,55,56は、それぞれ、被認証者Aからみて表示装置5の左側、中央、右側に表示される。被認証者Aがソフトウェアキーボードで文字を入力する間、被認証者Aの視線は、ソフトウェアキーボードや入力領域52等に向かう。ソフトウェアキーボード又は入力領域52等を撮影角度がθとなる位置に表示し、被認証者Aが、操作を行う間にカメラ2によって虹彩画像を撮影できれば、適切な虹彩画像が撮影できる。なお、
図6に入力領域51~53の3つの入力領域を図示しているが、表示装置5は、これらのうち1つ(例えば、中央の入力領域52)を表示すればよい。ソフトウェアキーボードでの入力を行う場合、入力領域52と領域55のソフトウェアキーボードの表示を行うと、カメラ2の視線に、ユーザが文字入力のために前方へ伸ばした腕が重なって虹彩が撮影できない可能性がある。このような状況を防ぐために、例えば、認証用DB6にアカウント情報と紐づけてその人の利き手の情報を登録しておき、制御部41は、ターゲットを表示する際に被認証者Aのアカウント情報に紐づけられた利き手の情報を取得し、被認証者Aが右利きであれば、入力領域52とともに領域56にソフトウェアキーボードを表示するよう表示装置5に指示する。被認証者Aが左利きであれば、制御部41は、入力領域52とともに領域54にソフトウェアキーボードを表示するよう表示装置5に指示する。入力領域の位置についても、例えば、被認証者Aが左利きであれば入力領域51を表示し、被認証者Aが右利きであれば入力領域53を表示するというように利き手に応じて切り替えて表示してもよい。このように利き手に応じて入力領域51~53等を表示することで、被認証者Aの目へ向かうカメラ2の視野が利き手に遮られることを防ぐことができる。この例の場合、入力領域51~53、領域54~56がターゲットとなる。
【0027】
このことは、表示例2に示したターゲットへのタッチを要求する場合についても同様である。例えば、被認証者Aが右利きであれば、制御部41は、向かって右側の領域(入力領域53付近)にターゲットを表示するよう表示装置5に指示する。これにより、ターゲットをタッチしている方の腕によってカメラ2の視野が遮られることを防ぐことができる。
【0028】
(表示例5)
また、心理的作用を利用して被認証者Aの視線を上方に誘導したり、目を大きく見開かせたりしてもよい。例えば、制御部41は、表示装置5に、被認証者Aに過去のことを思い出させたり、今まで見たことの無いことを想像させたりするような表示を行う。このような心理状態にあるとき、人は目線を上方に向ける傾向がある。例えば、
図7に例示するようにカメラ2が
図2で例示するよりも高い位置に設けられている場合、被認証者Aが正面を自然視すると、撮影角度θ1が理想的なθより小さい値となる。このような場合に、例えば、表示装置5に、過去を思い出させるような質問などを表示する。被認証者Aが、この質問を見て視線を上方に向けている間に虹彩画像を撮影すれば、虹彩が多く映った虹彩画像を撮影することができる。
【0029】
また、制御部41は、被認証者Aの視線を誘導する表示を行ってもよいが、被認証者Aに同様の心理的作用が生じる場面を利用して、虹彩画像を撮影してもよい。例えば、被認証者AがATMを操作する場合、(1)暗証番号を入力させる場面、(2)自身の口座番号を入力する場面、(3)金額を入力する場面、(4)振込先を入力する場面、などが生じる可能性があるが、これらの場面では、被認証者Aに上記の心理的作用が生じる可能性がある。従って、これらの場面、つまり、制御部41が、被認証者Aに暗証番号や口座番号などの入力を促す画面を表示装置5に表示しているときに、制御部41は、カメラ2に撮影指示を行って、虹彩画像を撮影してもよい。なお、虹彩認証を必要とする手続きの中に(1)~(4)のように何かを思い出させるような状況が存在しない場合、制御部41は、現在の手続き内容に関係するが、直接的に手続きに意味のないことを思い出させるような内容の表示を行ってもよい。例えば、制御部41は、「前回の取引日は?」という問いと「1:1~3カ月前、2:3ヶ月以上前、3:わからない」のような回答の選択肢を表示したり、「口座を開設した日は?」という問いと「1:3年以内、2:3年以上前」等の選択肢を表示したりして、これらの選択肢の中から選ぶように促し、その間に虹彩画像を撮影してもよい。
【0030】
(表示例6)
また、人は、気になるものや魅力的な対象を見ると目を大きく開く傾向がある。この性質を利用して、制御部41は、表示装置5の撮影角度がθとなる位置にタレント等の著名人の画像や、世間で話題となっている事柄に関する画像を表示することにより、被認証者Aが目を大きく開く状況を作って、その瞬間に虹彩画像を撮影するようにしてもよい。また、被認証者Aが操作する対象がATMの場合、ATMの画面(表示装置5)に、金融機関のイメージキャラクターが次の取引のステップを案内するような表示を行って、被認証者Aの注意を惹き、その間に虹彩画像を撮影するようにしてもよい。
【0031】
なお、表示装置5にターゲットを表示する高さについては、例えば、認証用DB6にアカウント情報と紐づけて被認証者Aの身長を登録しておき、制御部41が、登録された身長に基づいて、撮影角度がθとなる位置にターゲットを表示するよう制御してもよい。
【0032】
表示装置5にターゲットを表示して、被認証者Aの目の状態を整えると、次に(あるいは、ターゲットを表示すると同時に)制御部41は、ライト3を点灯させ、カメラ2に撮影指示を行う。すると、ライト3は点灯し、その間、カメラ2は、1枚又は複数枚の虹彩画像を撮影する(S30)。次に制御部41は、ライト3を消灯させ、カメラ2に撮影の停止を指示する。制御部41は、カメラ2によって撮影された虹彩画像を取得し、認証部42へ出力する。認証部42は、取得した虹彩画像から虹彩領域を抽出する。認証部42は、認証用DB6へアクセスし、予め登録された認証用画像の中から、被認証者Aのアカウント情報に紐づけられた画像を取得する。認証部42は、認証用DB6から取得した画像と、カメラ2が今回撮像した虹彩画像から切り出した画像とを照合し認証を行う(S40)。2つの画像の類似度が所定の閾値よりも高い場合、認証部42は、認証成功と判定する。なお、虹彩画像が良質ではない場合や認証が成功しない場合、S20以降の処理を所定回数だけ繰り返し行ってもよい。認証部42は、認証結果を他の装置(レジ端末やATM端末)へ出力する。認証が成功すると、例えば、決済システムによる決済処理やATMにて入出金処理などが行われる。
【0033】
本実施形態によれば、カメラ2及びライト3を被認証者Aの視線よりも低い位置に設け、撮影角度がθとなるように被認証者Aの視線を誘導して虹彩画像を撮影するので、虹彩認証に適した良質な虹彩画像を素早く確実に取得することができる。例えば、カメラ2及びライト3の位置は、カメラ2から虹彩までの距離50cmに対し、10cm程度下方に配置すると理想的である。この配置は、例えば、表示装置5など被認証者が視線を向けるターゲットの下方にカメラ2及びライト3を配置することにより、実現することができる。これにより、虹彩が瞼やまつ毛の影となって虹彩画像の画質が劣化することを防ぐことができる。
【0034】
また、表示装置5に被認証者Aの視線を上方へ誘導したり、目を大きく開くよう誘導するような表示を行うことで、より効果的に被認証者Aの虹彩領域を露出させ、それらの誘導表示を行ったタイミングでカメラ2による撮影を行うことで、良質な虹彩画像を撮影することができる。
【0035】
なお、ライト3を設けずに表示装置5の明かりをライトの代わりに使用しても良い。この構成の場合、制御部41は、ターゲット等を表示するタイミングで、理想的なライト位置に近い部分である表示装置5の下部が明るくなるように制御する。
【0036】
制御部41は、カウントダウン等によって虹彩画像の撮影を行うタイミングを通知してカメラ2を動作させてもよいし、虹彩画像の撮影を行うこと通知してから被認証者Aにターゲットの注視や文字入力を促し、通知から所定の時間が経過する間(例えば、手続き中、虹彩認証の結果が必要となる少し前までの間)の任意のタイミングで虹彩画像の撮影を行うようにしてもよい。
【0037】
また、利き手に応じて、例えば、領域54にソフトウェアキーボードを表示して撮影した画像が良質な虹彩画像ではないと認証部42が判断した場合、利き手が想定と異なる可能性があるため、領域56にソフトウェアキーボードを表示して、入力領域52等への文字列の入力を促し、虹彩画像を撮影し直してもよい。
【0038】
また、被認証者Aの利き手に関わらず、例えば、入力領域52へ文字列を入力する間に撮影した画像が良質な虹彩画像ではないと認証部42が判断した場合、制御部41は、次に入力領域51(入力領域53でもよい。)へ文字列の入力を促して、視線を異なる方向へ移動させたときの虹彩画像を再度撮影するように制御してもよい。表示例1や表示例2の場合も同様に、ある位置にターゲットを表示した状況で撮影された虹彩画像が良質な虹彩画像ではないと認証部42が判断した場合、制御部41は、他の位置にターゲットを表示して虹彩画像を撮影し直してもよい。
【0039】
また、カメラ2によって静止画ではなく動画を撮影する場合、認証部42は、動画を構成するフレームの中から良質な虹彩画像(例えば、虹彩領域が多く含まれるフレーム)を選択して、そのフレームに映る虹彩を用いて虹彩認証を行ってもよい。
【0040】
<第二実施形態>
(構成)
図8は、本発明の第二実施形態に係る虹彩認証装置の一例を示す図である。
図8に示すように虹彩認証装置1Aは、カメラ2と、ライト3と、制御装置4と、ターゲットが記されたパネル7と、認証用DB6と、を含む。第二実施形態の虹彩認証装置1Aは、表示装置5を有しない。第二実施形態では、表示装置5の代わりにターゲットを記したパネル7を用いる。パネル7は、カメラ2及びライト3の上方に設置される。パネル7には、被認証者Aの目線の高さH2に応じた複数のターゲットが記されていてもよい。
【0041】
(動作)
図5を参照して第二実施形態の虹彩認証装置1Aの動作について説明する。第二実施形態ではS20の処理は行わない。
被認証者Aには、事前に、認証開始操作の後、パネル7に記された自分の目線の高さに応じたターゲット(撮影角度がθとなるようなターゲット)を注視するように通知されている。また、制御装置4には、被認証者Aのアカウントが入力されている。この状態で被認証者Aが、制御装置4に対し、認証開始を指示する操作を行う。制御装置4は、その操作を検出し虹彩認証を開始する(S10)。制御部41は、ライト3を点灯させ、カメラ2に撮影指示を行う。ライト3は所定時間点灯し、その間、カメラ2は、虹彩画像を撮影する(S30)。制御部41は、カメラ2によって撮影された虹彩画像と、認証用DB6が記憶する被認証者Aのアカウントに紐づけられた認証用画像を照合し、認証を行う(S40)。
【0042】
本実施形態によれば、カメラ2及びライト3を被認証者Aの視線よりも低い位置に設け、パネル7に記したターゲットによって、被認証者Aの目線を撮影角度がθとなる位置に向けさせる。これにより、簡便に短時間で、被認証者Aの良質な虹彩画像を取得することができる。
【0043】
<第三実施形態>
(構成)
図9は、本発明の第三実施形態に係る虹彩認証装置の一例を示す図である。
図9に示すように虹彩認証装置1Bは、カメラ2と、ライト3と、制御装置4と、表示装置5と、認証用DB6と、を含む。それぞれの構成は、第一実施形態と同様である。第一実施形態と異なり、第三実施形態の虹彩認証装置1Bでは、
図9に例示するようにライト3をカメラ2のさらに下方に設置する。
【0044】
図10は、本発明の第三実施形態に係る撮影角度及び照明角度について説明する図である。
図10に例示するように、ライト3は、被認証者Aの視線e1と、ライト3の照射面の中心と被認証者Aの目を結ぶ線e3と、がなす照明角度がθ+θ´となるような高さに設置される。ここで、θは上記した理想的な撮影角度(例えば、1度~20度)、θ´は1度から15度(より好ましくは5度から10度)の間の値である。θ´の値には、上記の範囲の中から、被認証者Aの虹彩が適切に撮影できる角度が採用される。例えば、表示装置5から虹彩までの距離を50cmとした場合、ライト3の設置位置の高さH3がカメラ2の設置位置の高さH1よりも5cm~10cm程度、低い位置となるように設置するとよい。また、水平方向の配置については、被認証者Aから見たカメラ2とライト3の横方向の位置が揃い、カメラ2とライト3が表示装置5の中心線上に揃うように配置する(
図9)。
【0045】
このような配置とし、撮影角度がθとなるときに虹彩画像を撮影することで、第一実施形態に例示するカメラ2及びライト3の配置で撮影する場合よりも、さらに良好な虹彩画像を撮影することができることが出願人により確認されている。
【0046】
(動作)
第三実施形態の虹彩認証装置1Bの動作については、第一実施形態と同様であるため説明を省略する。
本実施形態によれば、第一実施形態と同様の効果をより高い確率で得ることができる。
【0047】
<第四実施形態>
(構成)
次に
図11~
図12を用いて第四実施形態の説明を行う。第四実施形態は、第一実施形態~第三実施形態の何れの構成と組み合わせることが可能であるが、第一実施形態と組み合わせた場合について説明を行う。
図11は、本発明の第四実施形態に係る虹彩認証装置の一例を示す図である。
図11に示すように虹彩認証装置1Cは、カメラ2と、ライト3と、制御装置4Cと、表示装置5と、視線検出装置8と、認証用DB6と、を含む。第一実施形態の構成に加え、虹彩認証装置1Cは、一般に提供されている視線検出装置8を有している。例えば、視線検出装置8は、被認証者Aを撮影するカメラと、被認証者Aの視野を撮影するカメラとを有し、被認証者Aの視線方向を分析して、時々刻々と変化する表示装置5上における被認証者Aの視線位置の情報(例えば、
図11に例示する「×」印P)を出力する。制御装置4Cは、制御部41、認証部42に加え、判定部43を備えている。判定部43は、視線検出装置8から出力された視線位置の情報に基づいて、被認証者Aの視線が虹彩画像の撮影に適した位置かどうかを判定する。例えば、認証用DB6には、アカウント情報に紐づけてそのユーザの身長や虹彩画像の取得に適した目線高さの情報が格納されている。判定部43は、視線検出装置8から出力された視線位置の情報が示す高さと、認証用DB6に登録された理想的な目線高さの情報を比較して、視線検出装置8が検出した被認証者Aの視線位置が、認証用DB6に登録された理想的な目線高さを基準として許容範囲内に含まれていれば、虹彩画像の撮影に適した視線位置であると判定する。
【0048】
また、例えば、視線検出装置8が、被認証者Aの顔の画像から、顔向きと視線方向を認識する場合、判定部43は、視線検出装置8から視線方向の情報を取得し、視線方向の情報から撮影角度を演算する。そして、撮影角度がθとなると、判定部43は、虹彩画像の撮影に適した視線位置であると判定する。
【0049】
(動作)
次に
図12を参照して第四実施形態の動作について説明する。
図12は、本発明の第四実施形態に係る認証処理の一例を示すフロー図である。
第一実施形態と同様の内容については簡単に説明を行う。被認証者Aが認証開始を指示する操作を行うと、制御装置は虹彩認証を開始する(S10)。制御部41は、表示装置5にターゲット等を表示する(S20)。被認証者Aは、ターゲットを注視する。視線検出装置8は、被認証者Aの視線位置又は視線方向を検出し(S21)、検出した瞬間ごとの視線位置の情報を制御装置4へ出力する。制御装置4では、判定部43が、予め入力されているアカウント情報と紐づけられた理想的な視線位置の情報を認証用DB6から取得して、視線検出装置8が検出した被認証者Aの視線位置の情報と比較し、被認証者Aの視線が適切かどうかを判定する(S22)。あるいは、判定部43が、視線方向に基づいて撮影角度を演算し、撮影角度とθの乖離が許容範囲内かどうかを判定する。被認証者Aの視線が適切な高さでは無い、又は、撮影角度とθの乖離が許容範囲内では無いような場合には、S21~S22の処理が繰り返される。被認証者Aの視線が適切になるか、撮影角度とθの乖離が許容範囲内となると、判定部43は、視線が適切と判定し、その旨の判定結果を制御部41へ出力する。すると、制御部41は、ライト3を点灯させ、カメラ2に撮影指示を行う。ライト3は所定時間点灯し、その間、カメラ2は虹彩画像を撮影する(S30)。認証部42は、撮影された虹彩画像と、被認証者Aのアカウント情報に紐づけられた認証用の画像とを照合して認証を行い(S40)、その照合結果をレジ端末等へ出力する。
【0050】
本実施形態によれば、視線検出装置8によって検出される被認証者Aの視線位置が虹彩認証に適した位置(撮影角度がθとなる位置)となった時点でカメラ2が虹彩画像を撮影するので、より確実に適切な虹彩画像を取得し、認証を行うことができる。
【0051】
上記の説明では、ターゲットを表示することにより、被認証者Aの視線誘導を行う例を記載したが、ターゲットの表示を行うことなく、視線検出装置8によって被認証者Aの視線を検出し、判定部43が、被認証者Aの視線が適切であると判定した時点で、カメラ2が虹彩の撮影を行うようにしてもよい。
【0052】
図13は、本発明に係る虹彩認証装置の最小構成を示す図である。
虹彩認証装置30は、被認証者Aの視線e1より低い位置に設置されたカメラ31と、前記カメラ31と同じ高さ又は前記カメラ31より低い位置に設置され、前記被認証者Aに光を照射するライト32と、前記ライト32が光を照射している間に前記カメラ31が前方下方から前記被認証者Aを撮影した画像に写る虹彩と、予め登録された虹彩の画像とを照合して、前記被認証者Aの認証を行う認証部33と、を備える。
虹彩認証装置30では、カメラ31とライト32が、虹彩画像を撮影するための適切な配置とされている為、被認証者Aに負担をかけることなく迅速に虹彩画像を撮影し、虹彩認証を行うことができる。
【0053】
図14は、本発明の各実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。上述の制御装置4,4Cは、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能部の動作は、プログラムの方式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0054】
なお、少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、入出力インタフェース904を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0055】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
上記した虹彩認証装置及び虹彩認証方法によれば、認証処理に必要な品質を有する被認証者の虹彩画像を速やかに撮影し、虹彩認証を行うことができる。
【符号の説明】
【0057】
1、1A、1B、1C、30・・・虹彩認証装置
2、31・・・カメラ
3、32・・・ライト
4、4C・・・制御装置
41・・・制御部
42、33・・・認証部
43・・・判定部
5・・・表示装置
6・・・認証用DB
7・・・パネル
8・・・視線検出装置
A・・・被認証者
900・・・コンピュータ
901・・・CPU
902・・・主記憶装置
903・・・補助記憶装置
904・・・入出力インタフェース
905・・・通信インタフェース