(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】光学系および光学機器
(51)【国際特許分類】
G02B 13/04 20060101AFI20241022BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20241022BHJP
【FI】
G02B13/04
G02B13/18
(21)【出願番号】P 2023138708
(22)【出願日】2023-08-29
(62)【分割の表示】P 2021563814の分割
【原出願日】2020-11-17
【審査請求日】2023-08-29
(31)【優先権主張番号】P 2019223170
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【氏名又は名称】鈴木 守
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【氏名又は名称】並木 敏章
(72)【発明者】
【氏名】大竹 史哲
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/117429(WO,A1)
【文献】特開2017-187631(JP,A)
【文献】特開2018-010219(JP,A)
【文献】特開2012-068303(JP,A)
【文献】特開2015-203734(JP,A)
【文献】特開2019-174714(JP,A)
【文献】特表2019-532337(JP,A)
【文献】特開2019-191502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する先行レンズ群と、正の屈折力を有する後続レンズ群とからなり、
前記後続レンズ群は、前記後続レンズ群の最も物体側に配置された正の屈折力を有する合焦群と、前記合焦群より像側に配置された像側群とからなり、
前記像側群は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、像側第1レンズ群と、無限遠物体から近距離物体への合焦の際に光軸に沿って物体側へ移動する像側第2レンズ群と、負の屈折力を有する像側第3レンズ群とからなり、
無限遠物体から近距離物体への合焦の際、前記合焦群が光軸に沿って像側へ移動し、
以下の条件式を満足する光学系。
0.78<fB/fC<1.00
0.15<dF/TL<0.30
0.010<BLDF/TL<0.050
但し、fB:無限遠物体合焦時の前記後続レンズ群の焦点距離
fC:無限遠物体合焦時の前記像側群の焦点距離
dF:無限遠物体合焦時の前記光学系の最も物体側のレンズ面から前記合焦群の最も物体側のレンズ面までの光軸上の距離
TL:前記光学系の全長
BLDF:前記合焦群の光軸上の長さ
【請求項2】
以下の条件式を満足する請求項
1に記載の光学系。
0.05<Bf/TL<0.30
但し、Bf:前記光学系のバックフォーカス
【請求項3】
以下の条件式を満足する請求項1
または2に記載の光学系。
0.50<(-fA)/f<1.50
但し、fA:前記先行レンズ群の焦点距離
f:無限遠物体合焦時の前記光学系の焦点距離
【請求項4】
以下の条件式を満足する請求項1~
3のいずれか一項に記載の光学系。
-3.00<(rL1R2+rL1R1)/(rL1R2-rL1R1)<0.00
但し、rL1R1:前記光学系の最も物体側に配置されたレンズにおける物体側のレンズ面の曲率半径
rL1R2:前記光学系の最も物体側に配置されたレンズにおける像側のレンズ面の曲率半径
【請求項5】
以下の条件式を満足する請求項1~
4のいずれか一項に記載の光学系。
60.00°<2ω<130.00°
但し、2ω:無限遠物体合焦時の前記光学系の全画角
【請求項6】
以下の条件式を満足する請求項1~
5のいずれか一項に記載の光学系。
1.20<FNO<3.00
但し、FNO:無限遠物体合焦時の前記光学系のFナンバー
【請求項7】
前記後続レンズ群に開口絞りが配置され、
以下の条件式を満足する請求項1~
6のいずれか一項に記載の光学系。
0.35<STL/TL<0.70
但し、STL:無限遠物体合焦時の前記開口絞りから像面までの光軸上の距離
【請求項8】
以下の条件式を満足する請求項1~
7のいずれか一項に記載の光学系。
1.50<fF/f<4.50
但し、fF:前記合焦群の焦点距離
f:無限遠物体合焦時の前記光学系の焦点距離
【請求項9】
以下の条件式を満足する請求項1~
8のいずれか一項に記載の光学系。
1.00<fF/fB<3.00
但し、fF:前記合焦群の焦点距離
【請求項10】
以下の条件式を満足する請求項1~
9のいずれか一項に記載の光学系。
0.00<1/βF<0.60
但し、βF:無限遠物体合焦時の前記合焦群の倍率
【請求項11】
以下の条件式を満足する請求項1~
10のいずれか一項に記載の光学系。
{βF+(1/βF)}
-2<0.18
但し、βF:無限遠物体合焦時の前記合焦群の倍率
【請求項12】
請求項1~
11のいずれか一項に記載の光学系を備えて構成される光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系および光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、写真用カメラ、電子スチルカメラ、ビデオカメラ等に適した光学系が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。このような光学系においては、合焦の際の画角変動を抑えることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
第1の本発明に係る光学系は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する先行レンズ群と、正の屈折力を有する後続レンズ群とからなり、前記後続レンズ群は、前記後続レンズ群の最も物体側に配置された正の屈折力を有する合焦群と、前記合焦群より像側に配置された像側群とからなり、前記像側群は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、像側第1レンズ群と、無限遠物体から近距離物体への合焦の際に光軸に沿って物体側へ移動する像側第2レンズ群と、負の屈折力を有する像側第3レンズ群とからなり、無限遠物体から近距離物体への合焦の際、前記合焦群が光軸に沿って像側へ移動し、以下の条件式を満足する。
0.78<fB/fC<1.00
0.15<dF/TL<0.30
0.010<BLDF/TL<0.050
但し、fB:無限遠物体合焦時の前記後続レンズ群の焦点距離
fC:無限遠物体合焦時の前記像側群の焦点距離
dF:無限遠物体合焦時の前記光学系の最も物体側のレンズ面から前記合焦群の最も物体側のレンズ面までの光軸上の距離
TL:前記光学系の全長
BLDF:前記合焦群の光軸上の長さ
【0006】
本発明に係る光学機器は、上記光学系を備えて構成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。
【
図2】
図2(A)および
図2(B)はそれぞれ、第1実施例に係る光学系の無限遠合焦時、近距離合焦時の諸収差図である。
【
図3】第2実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。
【
図4】
図4(A)および
図4(B)はそれぞれ、第2実施例に係る光学系の無限遠合焦時、近距離合焦時の諸収差図である。
【
図5】第3実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。
【
図6】
図6(A)および
図6(B)はそれぞれ、第3実施例に係る光学系の無限遠合焦時、近距離合焦時の諸収差図である。
【
図7】各実施形態に係る光学系を備えたカメラの構成を示す図である。
【
図8】各実施形態に係る光学系の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る好ましい実施形態について説明する。まず、各実施形態に係る光学系を備えたカメラ(光学機器)を
図7に基づいて説明する。このカメラ1は、
図7に示すように、本体2と、本体2に装着される撮影レンズ3により構成される。本体2は、撮像素子4と、デジタルカメラの動作を制御する本体制御部(不図示)と、液晶画面5とを備える。撮影レンズ3は、複数のレンズ群からなる光学系OLと、各レンズ群の位置を制御するレンズ位置制御機構(不図示)とを備える。レンズ位置制御機構は、レンズ群の位置を検出するセンサと、レンズ群を光軸に沿って前後に移動させるモータと、モータを駆動する制御回路などにより構成される。
【0009】
被写体からの光は、撮影レンズ3の光学系OLにより集光されて、撮像素子4の像面I上に到達する。像面Iに到達した被写体からの光は、撮像素子4により光電変換され、デジタル画像データとして不図示のメモリに記録される。メモリに記録されたデジタル画像データは、ユーザの操作に応じて液晶画面5に表示することが可能である。なお、このカメラは、ミラーレスカメラでも、クイックリターンミラーを有した一眼レフタイプのカメラであっても良い。
【0010】
次に、第1実施形態に係る光学系について説明する。第1実施形態に係る光学系(撮影レンズ)OLの一例としての光学系OL(1)は、
図1に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する先行レンズ群GAと、正の屈折力を有する後続レンズ群GBとから構成される。後続レンズ群GBは、後続レンズ群GBの最も物体側に配置された正の屈折力を有する合焦群GFと、合焦群GFより像側に配置された像側群GCとを有する。無限遠物体から近距離物体への合焦の際、合焦群GFが光軸に沿って像側へ移動する。
【0011】
上記構成の下、第1実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(1)を満足する。
0.78<fB/fC<1.00 ・・・(1)
但し、fB:無限遠物体合焦時の後続レンズ群GBの焦点距離
fC:無限遠物体合焦時の像側群GCの焦点距離
【0012】
第1実施形態によれば、合焦の際の画角変動が少ない光学系、およびこの光学系を備えた光学機器を得ることが可能になる。第1実施形態に係る光学系OLは、
図3に示す光学系OL(2)でも良く、
図5に示す光学系OL(3)でも良い。
【0013】
条件式(1)は、無限遠物体合焦時の後続レンズ群GBの焦点距離と、無限遠物体合焦時の像側群GCの焦点距離との適切な関係を規定するものである。条件式(1)を満足することで、合焦の際の画角変動を少なくすることができる。
【0014】
条件式(1)の対応値が上記範囲を外れてしまうと、合焦の際の画角変動を抑えることが困難になる。条件式(1)の下限値を0.79、0.80、0.81、0.82、さらに0.83に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、条件式(1)の上限値を0.98、0.96、0.95、さらに0.94に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0015】
第1実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
0.010<BLDF/TL<0.160 ・・・(2)
但し、TL:光学系OLの全長
BLDF:合焦群GFの光軸上の長さ
【0016】
条件式(2)は、合焦群GFの光軸上の長さと、光学系OLの全長との適切な関係を規定するものである。条件式(2)を満足することで、合焦群を軽量化し、高速なフォーカシングを行うことができる。
【0017】
条件式(2)の対応値が上記範囲を外れてしまうと、合焦群の重量を抑えることが困難になる。条件式(2)の下限値を0.015、0.020、0.023、0.025、0.028、0.030、0.033、さらに0.035に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、条件式(2)の上限値を0.150、0.130、0.110、0.080、0.060、さらに0.050に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0018】
次に、第2実施形態に係る光学系について説明する。第2実施形態に係る光学系(撮影レンズ)OLの一例としての光学系OL(1)は、
図1に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する先行レンズ群GAと、正の屈折力を有する後続レンズ群GBとから構成される。後続レンズ群GBは、後続レンズ群GBの最も物体側に配置された正の屈折力を有する合焦群GFと、合焦群GFより像側に配置された像側群GCとを有する。無限遠物体から近距離物体への合焦の際、合焦群GFが光軸に沿って像側へ移動する。
【0019】
上記構成の下、第2実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(3)を満足する。
1.00<βB/βC<10.00 ・・・(3)
但し、βB:無限遠物体合焦時の後続レンズ群GBの倍率
βC:無限遠物体合焦時の像側群GCの倍率
【0020】
第2実施形態によれば、合焦の際の画角変動が少ない光学系、およびこの光学系を備えた光学機器を得ることが可能になる。第2実施形態に係る光学系OLは、
図3に示す光学系OL(2)でも良く、
図5に示す光学系OL(3)でも良い。
【0021】
条件式(3)は、無限遠物体合焦時の後続レンズ群GBの倍率と、無限遠物体合焦時の像側群GCの倍率との適切な関係を規定するものである。条件式(3)を満足することで、合焦の際の画角変動を少なくすることができる。
【0022】
条件式(3)の対応値が上記範囲を外れてしまうと、合焦の際の画角変動を抑えることが困難になる。条件式(3)の下限値を1.40、1.80、2.20、2.50、さらに2.60に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
また、条件式(3)の上限値を8.00、7.50、7.00、6.50、6.00、5.50、5.00、さらに4.50に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0023】
第2実施形態に係る光学系OLは、上述の条件式(2)を満足することが望ましい。条件式(2)を満足することで、第1実施形態と同様、高速なフォーカシングを行うことができる。条件式(2)の下限値を0.015、0.020、0.023、0.025、0.028、0.030、0.033、さらに0.035に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、条件式(2)の上限値を0.150、0.130、0.110、0.080、0.060、さらに0.050に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0024】
なお、第2実施形態に係る光学系OLは、上述の条件式(1)を満足してもよい。条件式(1)を満足することで、第1実施形態と同様、合焦の際の画角変動を少なくすることができる。条件式(1)の下限値を0.79、0.80、0.81、0.82、さらに0.83に設定することで、第2実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、条件式(1)の上限値を0.98、0.96、0.95、さらに0.94に設定することで、第2実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0025】
また、第1実施形態に係る光学系OLは、上述の条件式(3)を満足してもよい。条件式(3)を満足することで、第2実施形態と同様、合焦の際の画角変動を少なくすることができる。条件式(3)の下限値を1.40、1.80、2.20、2.50、さらに2.60に設定することで、第1実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、条件式(3)の上限値を8.00、7.50、7.00、6.50、6.00、5.50、5.00、さらに4.50に設定することで、第1実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0026】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
0.50<(-fA)/f<1.50 ・・・(4)
但し、fA:先行レンズ群GAの焦点距離
f:無限遠物体合焦時の光学系OLの焦点距離
【0027】
条件式(4)は、先行レンズ群GAの焦点距離と、無限遠物体合焦時の光学系OLの焦点距離との適切な関係を規定するものである。条件式(4)を満足することで、像面湾曲等の諸収差を良好に補正することができる。
【0028】
条件式(4)の対応値が上記範囲を外れてしまうと、像面湾曲等の諸収差を補正することが困難になる。条件式(4)の下限値を0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、さらに0.98に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、条件式(4)の上限値を1.45、1.40、1.35、1.30、1.25、1.20、1.18、さらに1.15に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0029】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
-3.00<(rL1R2+rL1R1)/(rL1R2-rL1R1)<0.00 ・・・(5)
但し、rL1R1:光学系OLの最も物体側に配置されたレンズにおける物体側のレンズ面の曲率半径
rL1R2:光学系OLの最も物体側に配置されたレンズにおける像側のレンズ面の曲率半径
【0030】
条件式(5)は、光学系OLの最も物体側に配置されたレンズの適切なシェイプファクターを規定するものである。条件式(5)を満足することで、コマ収差や像面湾曲を良好に補正することができる。
【0031】
条件式(5)の対応値が上記範囲を外れてしまうと、コマ収差や像面湾曲を補正することが困難になる。条件式(5)の下限値を-2.70、-2.50、-2.30、-2.00、-1.80、さらに-1.70に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、条件式(5)の上限値を-0.40、-0.60、-0.80、-1.00、-1.20、さらに-1.30に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0032】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(6)を満足することが望ましい。
-5.00<(rL2R2+rL2R1)/(rL2R2-rL2R1)<-2.00
・・・(6)
但し、rL2R1:光学系OLの物体側から数えて2番目に配置されたレンズにおける物体側のレンズ面の曲率半径
rL2R2:光学系OLの物体側から数えて2番目に配置されたレンズにおける像側のレンズ面の曲率半径
【0033】
条件式(6)は、光学系OLの物体側から数えて2番目に配置されたレンズの適切なシェイプファクターを規定するものである。条件式(6)を満足することで、コマ収差や像面湾曲を良好に補正することができる。
【0034】
条件式(6)の対応値が上記範囲を外れてしまうと、コマ収差や像面湾曲を補正することが困難になる。条件式(6)の下限値を-4.80、-4.60、-4.50、-4.40、さらに-4.30に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、条件式(6)の上限値を-2.20、-2.40、-2.50、-2.60、-2.70、さらに-2.80に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0035】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(7)を満足することが望ましい。
60.00°<2ω<130.00° ・・・(7)
但し、2ω:無限遠物体合焦時の光学系OLの全画角
【0036】
条件式(7)は、無限遠物体合焦時の光学系OLの全画角の適切な範囲を規定するものである。条件式(7)を満足することで、画角が広い光学系が得られるので好ましい。条件式(7)の下限値を64.00°、68.00°、72.00°、76.00°、さらに80.00°に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、条件式(7)の上限値を125.00°、120.00°、115.00°、110.00°、さらに105.00°に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0037】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(8)を満足することが望ましい。
1.20<FNO<3.00 ・・・(8)
但し、FNO:無限遠物体合焦時の光学系OLのFナンバー
【0038】
条件式(8)は、無限遠物体合焦時の光学系OLのFナンバーの適切な範囲を規定するものである。条件式(8)を満足することで、明るい光学系が得られるので好ましい。条件式(8)の下限値を1.25、1.30、1.40、1.50、1.60、1.70、さらに1.75に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、条件式(8)の上限値を2.80、2.65、2.50、2.40、2.30、さらに2.20に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0039】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLにおいて、後続レンズ群GBに開口絞りSが配置され、以下の条件式(9)を満足することが望ましい。
0.35<STL/TL<0.70 ・・・(9)
但し、STL:無限遠物体合焦時の開口絞りSから像面Iまでの光軸上の距離
TL:光学系OLの全長
【0040】
条件式(9)は、開口絞りSの適切な位置を規定するものである。条件式(9)を満足することで、周辺光量を確保することができる。
【0041】
条件式(9)の対応値が上記範囲を外れてしまうと、周辺光量を確保することが困難になる。条件式(9)の下限値を0.38、0.40、0.42、0.45、さらに0.48に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、条件式(9)の上限値を0.68、0.65、0.63、0.60、0.58、さらに0.57に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0042】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(10)を満足することが望ましい。
0.05<Bf/TL<0.30 ・・・(10)
但し、Bf:光学系OLのバックフォーカス
TL:光学系OLの全長
【0043】
条件式(10)は、光学系OLのバックフォーカスと、光学系OLの全長との適切な関係を規定するものである。条件式(10)を満足することで、像面湾曲や歪曲収差等の諸収差を良好に補正することができる。
【0044】
条件式(10)の対応値が上記範囲を外れてしまうと、像面湾曲や歪曲収差等の諸収差を補正することが困難になる。条件式(10)の下限値を0.06、0.07、0.08、0.09、さらに0.10に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、条件式(10)の上限値を0.27、0.25、0.23、0.20、0.18、0.16、さらに0.15に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0045】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(11)を満足することが望ましい。
1.50<fF/f<4.50 ・・・(11)
但し、fF:合焦群GFの焦点距離
f:無限遠物体合焦時の光学系OLの焦点距離
【0046】
条件式(11)は、合焦群GFの焦点距離と、無限遠物体合焦時の光学系OLの焦点距離との適切な関係を規定するものである。条件式(11)を満足することで、無限遠物体
合焦時と近距離物体合焦時の双方において、良好な光学性能を得ることができる。
【0047】
条件式(11)の対応値が上記範囲を外れてしまうと、無限遠物体合焦時と近距離物体合焦時の双方において、良好な光学性能を得ることが困難になる。条件式(11)の下限値を1.60、1.80、2.20、2.30、2.40、2.45、2.50、さらに2.55に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、条件式(11)の上限値を4.20、4.00、3.80、3.60、3.50、3.40、さらに3.30に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0048】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(12)を満足することが望ましい。
1.00<fF/fB<3.00 ・・・(12)
但し、fF:合焦群GFの焦点距離
fB:無限遠物体合焦時の後続レンズ群GBの焦点距離
【0049】
条件式(12)は、合焦群GFの焦点距離と、無限遠物体合焦時の後続レンズ群GBの焦点距離との適切な関係を規定するものである。条件式(12)を満足することで、無限遠物体合焦時と近距離物体合焦時の双方において、良好な光学性能を得ることができる。
【0050】
条件式(12)の対応値が上記範囲を外れてしまうと、無限遠物体合焦時と近距離物体合焦時の双方において、良好な光学性能を得ることが困難になる。条件式(12)の下限値を1.20、1.30、1.40、1.50、1.55、1.60、さらに1.65に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、条件式(12)の上限値を2.80、2.70、2.60、2.50、2.40、2.35、2.30、2.25、2.20、さらに2.18に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0051】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(13)を満足することが望ましい。
0.15<dF/TL<0.40 ・・・(13)
但し、dF:無限遠物体合焦時の光学系OLの最も物体側のレンズ面から合焦群GFの最も物体側のレンズ面までの光軸上の距離
TL:光学系OLの全長
【0052】
条件式(13)は、光学系OLの最も物体側のレンズ面から合焦群GFの最も物体側のレンズ面までの光軸上の距離の適切な範囲を規定するものである。条件式(13)を満足することで、合焦群GFが光学系OLにおける物体側の方に配置されるので好ましい。条件式(13)の下限値を0.18、0.20、0.22、さらに0.23に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、条件式(13)の上限値を0.38、0.35、0.33、さらに0.30に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0053】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(14)を満足することが望ましい。
0.00<1/βF<0.60 ・・・(14)
但し、βF:無限遠物体合焦時の合焦群GFの倍率
【0054】
条件式(14)は、無限遠物体合焦時の合焦群GFの倍率の適切な範囲を規定するものである。条件式(14)を満足することで、合焦の際の画角変動を少なくすることができ
る。
【0055】
条件式(14)の対応値が上記範囲を外れてしまうと、合焦の際の画角変動を抑えることが困難になる。条件式(14)の下限値を0.04、0.05、0.08、0.10、0.13、0.15、0.18、0.20、さらに0.22に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、条件式(14)の上限値を0.55、0.53、0.50、0.48、0.45、0.42、0.40、0.38、さらに0.36に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0056】
第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(15)を満足することが望ましい。
{βF+(1/βF)}-2<0.18 ・・・(15)
但し、βF:無限遠物体合焦時の合焦群GFの倍率
【0057】
条件式(15)は、無限遠物体合焦時の合焦群GFの倍率の適切な範囲を規定するものである。条件式(15)を満足することで、合焦の際の画角変動を少なくすることができる。
【0058】
条件式(15)の対応値が上記範囲を外れてしまうと、合焦の際の画角変動を抑えることが困難になる。条件式(15)の上限値を0.16、0.15、0.14、0.13、0.12、さらに0.11に設定することで、各実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0059】
続いて、
図8を参照しながら、第1実施形態および第2実施形態に係る光学系OLの製造方法について概説する。まず、光軸に沿って物体側から順に、負の屈折力を有する先行レンズ群GAと、正の屈折力を有する後続レンズ群GBとを配置する(ステップST1)。次に、後続レンズ群GBの最も物体側に正の屈折力を有する合焦群GFを配置し、後続レンズ群GBの合焦群GFより像側に像側群GCを配置する(ステップST2)。次に、無限遠物体から近距離物体への合焦の際、合焦群GFが光軸に沿って像側へ移動するように構成する(ステップST3)。そして、第1実施形態に係る光学系OLの場合、少なくとも上記条件式(1)を満足するように、レンズ鏡筒内に各レンズを配置する(ステップST4)。第2実施形態に係る光学系OLの場合、少なくとも上記条件式(3)を満足するように、レンズ鏡筒内に各レンズを配置する(ステップST4)。このような製造方法によれば、合焦の際の画角変動が少ない光学系を製造することが可能になる。
【実施例】
【0060】
以下、各実施形態の実施例に係る光学系OLを図面に基づいて説明する。
図1、
図3、
図5は、第1~第3実施例に係る光学系OL{OL(1)~OL(3)}の構成及び屈折力配分を示す断面図である。第1~第3実施例に係る光学系OL(1)~OL(3)の断面図では、無限遠から近距離物体へ合焦する際の各レンズ群の光軸に沿った移動方向を矢印で示している。
【0061】
これら
図1、
図3、
図5において、各レンズ群および各群を符号Gと数字の組み合わせにより、各レンズを符号Lと数字の組み合わせにより、それぞれ表している。この場合において、符号、数字の種類および数が大きくなって煩雑化するのを防止するため、実施例毎にそれぞれ独立して符号と数字の組み合わせを用いてレンズ群等を表している。このため、実施例間で同一の符号と数字の組み合わせが用いられていても、同一の構成であることを意味するものでは無い。
【0062】
以下に表1~表3を示すが、この内、表1は第1実施例、表2は第2実施例、表3は第
3実施例における各諸元データを示す表である。各実施例では収差特性の算出対象として、d線(波長λ=587.6nm)、g線(波長λ=435.8nm)を選んでいる。
【0063】
[全体諸元]の表において、fはレンズ全系の焦点距離、FNОはFナンバー、2ωは画角(単位は°(度)で、ωが半画角である)、Yは像高を示す。TLは無限遠合焦時の光軸上でのレンズ最前面からレンズ最終面までの距離にBFを加えた距離を示し、BFは無限遠合焦時の光軸上でのレンズ最終面から像面Iまでの距離(バックフォーカス)を示す。また、[全体諸元]の表において、fAは、先行レンズ群の焦点距離を示す。fBは、無限遠物体合焦時の後続レンズ群の焦点距離を示す。fCは、無限遠物体合焦時の像側群の焦点距離を示す。fFは、合焦群の焦点距離を示す。βBは、無限遠物体合焦時の後続レンズ群の倍率を示す。βCは、無限遠物体合焦時の像側群の倍率を示す。βFは、無限遠物体合焦時の合焦群の倍率を示す。
【0064】
[レンズ諸元]の表において、面番号は光線の進行する方向に沿った物体側からの光学面の順序を示し、Rは各光学面の曲率半径(曲率中心が像側に位置する面を正の値としている)、Dは各光学面から次の光学面(又は像面)までの光軸上の距離である面間隔、ndは光学部材の材料のd線に対する屈折率、νdは光学部材の材料のd線を基準とするアッベ数をそれぞれ示す。曲率半径の「∞」は平面又は開口を、(絞りS)は開口絞りSをそれぞれ示す。空気の屈折率nd=1.00000の記載は省略している。光学面が非球面であ
る場合には面番号に*印を付して、曲率半径Rの欄には近軸曲率半径を示している。
【0065】
[非球面データ]の表には、[レンズ諸元]に示した非球面について、その形状を次式(A)で示す。X(y)は非球面の頂点における接平面から高さyにおける非球面上の位置までの光軸方向に沿った距離(サグ量)を、Rは基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)を、κは円錐定数を、Aiは第i次の非球面係数を示す。「E-n」は、「×10-n」を示す。例えば、1.234E-05=1.234×10-5である。なお、2次の非球面係数A2は0であり、その記載を省略している。
【0066】
X(y)=(y2/R)/{1+(1-κ×y2/R2)1/2}+A4×y4+A6×y6+A8×y8+A10×y10+A12×y12 …(A)
【0067】
[可変間隔データ]の表には、[レンズ諸元]の表において面間隔が(Di)となっている面番号iでの面間隔を示す。[可変間隔データ]の表において、fはレンズ全系の焦点距離を、βは撮影倍率をそれぞれ示す。
【0068】
[レンズ群データ]の表には、各レンズ群のそれぞれの始面(最も物体側の面)と焦点距離を示す。
【0069】
以下、全ての諸元値において、掲載されている焦点距離f、曲率半径R、面間隔D、その他の長さ等は、特記のない場合一般に「mm」が使われるが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。
【0070】
ここまでの表の説明は全ての実施例において共通であり、以下での重複する説明は省略する。
【0071】
(第1実施例)
第1実施例について、
図1~
図2および表1を用いて説明する。
図1は、第1実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。第1実施例に係る光学系OL(1)は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する
第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5とから構成される。無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第2レンズ群G2が光軸に沿って像側へ移動し、第4レンズ群G4が光軸に沿って物体側へ移動し、隣り合う各レンズ群の間隔が変化する。なお、合焦の際、第1レンズ群G1、第3レンズ群G3、および第5レンズ群G5は、像面Iに対して固定される。開口絞りSは、第3レンズ群G3内に配設される。各レンズ群記号に付けている符号(+)もしくは(-)は各レンズ群の屈折力を示し、このことは以下の全ての実施例でも同様である。
【0072】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と、両凹形状の負レンズL13と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL14との接合レンズと、から構成される。負メニスカスレンズL12は、ガラス製レンズ本体の物体側の面に樹脂層が設けられて構成されるハイブリッド型のレンズである。樹脂層の像側の面が非球面であり、負メニスカスレンズL12は複合型の非球面レンズである。後述の[レンズ諸元]において、面番号3がレンズ本体の物体側の面、面番号4がレンズ本体の像側の面および樹脂層の物体側の面(両者が接合する面)、面番号5が樹脂層の像側の面を示す。
【0073】
第2レンズ群G2は、両凸形状の正レンズL21から構成される。
【0074】
第3レンズ群G3は、物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL31と両凹形状の負レンズL32との接合レンズと、両凹形状の負レンズL33と、両凸形状の正レンズL34と、両凸形状の正レンズL35と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL36との接合レンズと、両凸形状の正レンズL37と、から構成される。第3レンズ群G3における負レンズL32と負レンズL33との間に、開口絞りSが配置される。
【0075】
第4レンズ群G4は、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL41から構成される。負メニスカスレンズL41は、両側のレンズ面が非球面である。
【0076】
第5レンズ群G5は、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL51から構成される。第5レンズ群G5の像側に、像面Iが配置される。負メニスカスレンズL51は、両側のレンズ面が非球面である。
【0077】
本実施例では、第1レンズ群G1が、全体として負の屈折力を有する先行レンズ群GAを構成する。第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5とが、全体として正の屈折力を有する後続レンズ群GBを構成する。第2レンズ群G2が、後続レンズ群GBにおける合焦群GFを構成し、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5とが、後続レンズ群GBにおける像側群GCを構成する。
【0078】
以下の表1に、第1実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0079】
(表1)
[全体諸元]
f=19.752 fA=-21.416
FNO=1.850 fB=32.742
2ω=94.000 fC=36.880
Y=21.700 fF=54.915
TL=119.425 βB=-0.922
Bf=13.307 βC=-0.223
βF=4.143
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd
1 95.9736 2.200 1.69680 55.53
2 22.7534 8.128
3 44.6575 1.550 1.77250 49.62
4 23.5501 0.050 1.51380 52.97
5* 19.5320 10.056
6 -2091.0337 1.600 1.49782 82.57
7 28.5475 5.100 1.95375 32.33
8 62.5330 (D8)
9 49.0421 4.800 1.80400 46.60
10 -423.4257 (D10)
11 62.2274 5.000 1.95375 32.33
12 -31.1515 1.100 1.84666 23.80
13 109.4389 7.476
14 ∞ 4.522 (絞りS)
15 -21.9847 1.100 1.63980 34.55
16 180.9758 0.200
17 28.8999 6.500 1.49782 82.57
18 -32.6652 0.200
19 40.2245 7.600 1.49782 82.57
20 -21.1001 1.200 1.95375 32.33
21 -133.5276 0.200
22 46.5098 4.369 1.96300 24.11
23 -174.4889 (D23)
24* -114.5192 1.600 1.86100 37.10
25* -200.0000 (D25)
26* -41.2363 2.000 1.86100 37.10
27* -52.6527 Bf
[非球面データ]
第5面
κ=0.0000,A4=2.25913E-06,A6=-1.46119E-09
A8=-3.65260E-11,A10=7.29186E-14,A12=-0.12250E-15
第24面
κ=1.0000,A4=-2.36949E-05,A6=4.59449E-08
A8=-2.40149E-10,A10=4.37008E-14,A12=0.00000E+00
第25面
κ=1.0000,A4=1.03885E-05,A6=-1.05283E-08
A8=2.53730E-10,A10=-2.36282E-12,A12=0.56556E-14
第26面
κ=1.0000,A4=5.70338E-05,A6=-5.96569E-07
A8=1.49791E-09,A10=-2.21943E-12,A12=0.00000E+00
第27面
κ=1.0000,A4=6.20655E-05,A6=-5.08156E-07
A8=1.34161E-09,A10=-1.31454E-12,A12=0.00000E+00
[可変間隔データ]
無限遠合焦状態 中間距離合焦状態 至近距離合焦状態
f=19.7523 β=-0.0324 β=-0.1844
物体距離 ∞ 583.6824 81.5339
D8 3.83333 4.66117 8.49234
D10 9.69148 8.86123 5.03506
D23 7.98377 7.83192 7.06806
D25 8.05896 8.21231 8.97413
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 -21.416
G2 9 54.915
G3 11 33.632
G4 24 -313.917
G5 26 -240.369
【0080】
図2(A)は、第1実施例に係る光学系の無限遠合焦時の諸収差図である。
図2(B)は、第1実施例に係る光学系の近距離合焦時の諸収差図である。無限遠合焦時の各収差図において、FNOはFナンバー、Yは像高をそれぞれ示す。近距離合焦時の各収差図において、NAは開口数、Yは像高をそれぞれ示す。なお、球面収差図では最大口径に対応するFナンバーまたは開口数の値を示し、非点収差図および歪曲収差図では像高の最大値をそれぞれ示し、コマ収差図では各像高の値を示す。dはd線(波長λ=587.6nm)、gはg線(波長λ=435.8nm)をそれぞれ示す。非点収差図において、実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面をそれぞれ示す。なお、以下に示す各実施例の収差図においても、本実施例と同様の符号を用い、重複する説明は省略する。
【0081】
各諸収差図より、第1実施例に係る光学系は、無限遠合焦時から近距離合焦時までの全域において、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。そのため、近距離物体に合焦する場合にも良好な光学性能を保ちつつ、合焦の際の画角変動を少なくすることができる。
【0082】
(第2実施例)
第2実施例について、
図3~
図4および表2を用いて説明する。
図3は、第2実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。第2実施例に係る光学系OL(2)は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5とから構成される。無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第2レンズ群G2が光軸に沿って像側へ移動し、第4レンズ群G4が光軸に沿って物体側へ移動し、隣り合う各レンズ群の間隔が変化する。なお、合焦の際、第1レンズ群G1、第3レンズ群G3、および第5レンズ群G5は、像面Iに対して固定される。開口絞りSは、第3レンズ群G3内に配設される。
【0083】
第2実施例において、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、および第5レンズ群G5は、第1実施例と同様に構成されるため、第1実施例の場合と同じ符号を付して、これらの各レンズの詳細な説明を省略する。なお本実施例では、第1レンズ群G1が、全体として負の屈折力を有する先行レンズ群GAを構成する。第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5とが、全体として正の屈折力を有する後続レンズ群GBを構成する。第2レンズ群G2が、後続レンズ群GBにおける合焦群GFを構成し、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5とが、後続レンズ群GBにおける像側群GCを構成する。
【0084】
以下の表2に、第2実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0085】
(表2)
[全体諸元]
f=18.300 fA=-20.673
FNO=2.040 fB=33.525
2ω=100.000 fC=36.254
Y=21.700 fF=56.730
TL=115.432 βB=-0.885
Bf=13.305 βC=-0.228
βF=3.889
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd
1 90.2277 2.200 1.69680 55.53
2 22.3259 8.564
3 46.5688 1.550 1.77250 49.62
4 22.8095 0.050 1.51380 52.97
5* 18.7517 10.444
6 -695.4342 1.600 1.49782 82.57
7 28.3462 5.100 1.95375 32.33
8 67.1568 (D8)
9 47.3685 4.800 1.80400 46.60
10 -1173.5659 (D10)
11 57.0678 5.000 1.95375 32.33
12 -28.3547 1.100 1.84666 23.80
13 124.7137 6.930
14 ∞ 4.437 (絞りS)
15 -21.8487 1.100 1.66464 34.18
16 83.7472 0.200
17 26.4652 6.000 1.49782 82.57
18 -34.8619 0.200
19 32.6847 7.800 1.49782 82.57
20 -21.1000 1.200 1.95481 31.10
21 -238.7056 0.200
22 41.9717 4.400 1.96300 24.11
23 -115.3109 (D23)
24* -48.7305 1.600 1.86100 37.10
25* -76.3867 (D25)
26* -50.5083 2.000 1.86100 37.10
27* -52.6316 Bf
[非球面データ]
第5面
κ=0.0000,A4=1.73336E-06,A6=-5.18373E-09
A8=-6.72613E-12,A10=-1.17084E-14,A12=-0.28865E-16
第24面
κ=1.0000,A4=-2.54179E-05,A6=1.75260E-07
A8=-4.68333E-10,A10=-2.00453E-12,A12=0.00000E+00
第25面
κ=1.0000,A4=1.77608E-05,A6=9.96131E-08
A8=3.73519E-10,A10=-6.29138E-12,A12=0.11757E-13
第26面
κ=1.0000,A4=5.28778E-05,A6=-4.96309E-07
A8=9.50586E-10,A10=-1.55937E-12,A12=0.00000E+00
第27面
κ=1.0000,A4=5.89841E-05,A6=-4.03867E-07
A8=6.73316E-10,A10=-1.78482E-13,A12=0.00000E+00
[可変間隔データ]
無限遠合焦状態 中間距離合焦状態 至近距離合焦状態
f=18.3000 β=-0.0300 β=-0.1722
物体距離 ∞ 585.1748 81.2627
D8 4.34275 5.13609 8.85548
D10 9.47662 8.68285 4.96440
D23 7.13601 7.03337 6.49123
D25 7.52933 7.63252 8.17487
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 -20.673
G2 9 56.730
G3 11 32.335
G4 24 -160.622
G5 26 -2577.184
【0086】
図4(A)は、第2実施例に係る光学系の無限遠合焦時の諸収差図である。
図4(B)は、第2実施例に係る光学系の近距離合焦時の諸収差図である。各諸収差図より、第2実施例に係る光学系は、無限遠合焦時から近距離合焦時までの全域において、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。そのため、近距離物体に合焦する場合にも良好な光学性能を保ちつつ、合焦の際の画角変動を少なくすることができる。
【0087】
(第3実施例)
第3実施例について、
図5~
図6および表3を用いて説明する。
図5は、本実施形態の第3実施例に係る光学系の無限遠合焦状態におけるレンズ構成を示す図である。第3実施例に係る光学系OL(3)は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5とから構成される。無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第2レンズ群G2が光軸に沿って像側へ移動し、第4レンズ群G4が光軸に沿って物体側へ移動し、隣り合う各レンズ群の間隔が変化する。なお、合焦の際、第1レンズ群G1、第3レンズ群G3、および第5レンズ群G5は、像面Iに対して固定される。開口絞りSは、第3レンズ群G3内に配設される。
【0088】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL13と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL14との接合レンズと、から構成される。負メニスカスレンズL12は、ガラス製レンズ本体の物体側の面に樹脂層が設けられて構成されるハイブリッド型のレンズである。樹脂層の像側の面が非球面であり、負メニスカスレンズL12は複合型の非球面レンズである。後述の[レンズ諸元]において、面番号3がレンズ本体の物体側の面、面番号4がレンズ本体の像側の面および樹脂層の物体側の面(両者が接合する面)、面番号5が樹脂層の像側の面を示す。
【0089】
第2レンズ群G2は、両凸形状の正レンズL21から構成される。
【0090】
第3レンズ群G3は、物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL31と両凹形状の負レンズL32との接合レンズと、両凹形状の負レンズL33と、両凸形状の正レンズL
34と、両凸形状の正レンズL35と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL36との接合レンズと、両凸形状の正レンズL37と、から構成される。第3レンズ群G3における負レンズL32と負レンズL33との間に、開口絞りSが配置される。
【0091】
第4レンズ群G4は、両凹形状の負レンズL41から構成される。負メニスカスレンズL41は、両側のレンズ面が非球面である。
【0092】
第5レンズ群G5は、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL51から構成される。第5レンズ群G5の像側に、像面Iが配置される。負メニスカスレンズL51は、両側のレンズ面が非球面である。
【0093】
本実施例では、第1レンズ群G1が、全体として負の屈折力を有する先行レンズ群GAを構成する。第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5とが、全体として正の屈折力を有する後続レンズ群GBを構成する。第2レンズ群G2が、後続レンズ群GBにおける合焦群GFを構成し、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5とが、後続レンズ群GBにおける像側群GCを構成する。
【0094】
以下の表3に、第3実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0095】
(表3)
[全体諸元]
f=23.400 fA=-24.637
FNO=1.850 fB=28.542
2ω=84.000 fC=34.083
Y=21.700 fF=60.973
TL=108.428 βB=-0.950
Bf=14.958 βC=-0.327
βF=2.902
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd
1 142.4574 1.800 1.65844 50.83
2 21.6000 6.396
3 38.1000 1.550 1.51680 64.13
4 23.6120 0.050 1.51380 52.97
5* 19.2059 6.142
6 63.1783 1.600 1.49782 82.57
7 23.3698 6.266 1.95000 29.37
8 36.0387 (D8)
9 54.5725 3.900 1.80400 46.60
10 -466.6331 (D10)
11 39.5691 5.000 1.95375 32.33
12 -40.6795 1.100 1.84666 23.80
13 54.0179 4.380
14 ∞ 4.408 (絞りS)
15 -24.1356 1.100 1.62004 36.40
16 75.2494 0.200
17 28.7803 7.300 1.49782 82.57
18 -30.0589 0.200
19 35.1599 8.100 1.49782 82.57
20 -19.4891 1.200 1.95375 32.33
21 -97.0841 0.200
22 53.3925 4.200 1.96300 24.11
23 -93.6556 (D23)
24* -501.9657 1.400 1.86100 37.10
25* 126.9062 (D25)
26* -29.3391 1.600 1.86100 37.10
27* -35.7143 Bf
[非球面データ]
第5面
κ=0.0000,A4=4.66669E-07,A6=-6.88717E-09
A8=-2.30899E-11,A10=5.43815E-14,A12=-0.19200E-15
第24面
κ=1.0000,A4=-1.88541E-05,A6=-8.03342E-08
A8=2.03164E-10,A10=1.24201E-12,A12=-0.10143E-13
第25面
κ=1.0000,A4=6.60646E-06,A6=-1.50187E-07
A8=7.59419E-10,A10=-1.80547E-12,A12=-0.21528E-14
第26面
κ=1.0000,A4=2.96788E-05,A6=-5.54230E-07
A8=1.09418E-09,A10=8.51720E-13,A12=0.35278E-15
第27面
κ=1.0000,A4=4.49265E-05,A6=-4.55643E-07
A8=1.16960E-09,A10=1.42886E-12,A12=-0.54944E-14
[可変間隔データ]
無限遠合焦状態 中間距離合焦状態 至近距離合焦状態
f=23.4000 β=-0.0397 β=-0.1410
物体距離 ∞ 562.7256 138.9454
D8 3.68884 5.07863 8.66216
D10 6.97027 5.57838 2.00000
D23 7.70512 7.31418 6.15913
D25 7.01357 7.40825 8.56537
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 -24.637
G2 9 60.973
G3 11 29.756
G4 24 -117.529
G5 26 -215.972
【0096】
図6(A)は、第3実施例に係る光学系の無限遠合焦時の諸収差図である。
図6(B)は、第3実施例に係る光学系の近距離合焦時の諸収差図である。各諸収差図より、第3実施例に係る光学系は、無限遠合焦時から近距離合焦時までの全域において、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。そのため、近距離物体に合焦する場合にも良好な光学性能を保ちつつ、合焦の際の画角変動を少なくすることができる。
【0097】
次に、[条件式対応値]の表を下記に示す。この表には、各条件式(1)~(14)に対応する値を、全実施例(第1~第3実施例)について纏めて示す。
条件式(1) 0.78<fB/fC<1.00
条件式(2) 0.010<BLDF/TL<0.160
条件式(3) 1.00<βB/βC<10.00
条件式(4) 0.50<(-fA)/f<1.50
条件式(5) -3.00<(rL1R2+rL1R1)/(rL1R2-rL1R1)<0.00
条件式(6) -5.00<(rL2R2+rL2R1)/(rL2R2-rL2R1)<-2.00
条件式(7) 60.00°<2ω<130.00°
条件式(8) 1.20<FNO<3.00
条件式(9) 0.35<STL/TL<0.70
条件式(10) 0.05<Bf/TL<0.30
条件式(11) 1.50<fF/f<4.50
条件式(12) 1.00<fF/fB<3.00
条件式(13) 0.15<dF/TL<0.40
条件式(14) 0.00<1/βF<0.60
条件式(15) {βF+(1/βF)}-2<0.18
【0098】
[条件式対応値]
条件式 第1実施例 第2実施例 第3実施例
(1) 0.888 0.925 0.837
(2) 0.040 0.042 0.036
(3) 4.143 3.889 2.902
(4) 1.084 1.130 1.053
(5) -1.622 -1.658 -1.357
(6) -3.231 -2.920 -4.260
(7) 94.000 100.000 84.000
(8) 1.850 2.040 1.850
(9) 0.493 0.511 0.550
(10) 0.111 0.115 0.138
(11) 2.780 3.100 2.606
(12) 1.677 1.692 2.136
(13) 0.272 0.293 0.254
(14) 0.241 0.257 0.345
(15) 0.052 0.058 0.095
【0099】
上記各実施例によれば、合焦の際の画角変動が少ない光学系を実現することができる。
【0100】
上記各実施例は本願発明の一具体例を示しているものであり、本願発明はこれらに限定されるものではない。
【0101】
以下の内容は、本実施形態の光学系の光学性能を損なわない範囲で適宜採用することが可能である。
【0102】
本実施形態の光学系の実施例として5群構成のものを示したが、本願はこれに限られず、その他の群構成(例えば、6群等)の変倍光学系を構成することもできる。具体的には、本実施形態の光学系の最も物体側や最も像面側にレンズ又はレンズ群を追加した構成でも構わない。なお、レンズ群とは、合焦時に変化する空気間隔で分離された、少なくとも1枚のレンズを有する部分を示す。
【0103】
レンズ群または部分レンズ群を光軸に垂直な方向の成分を持つように移動させ、または、光軸を含む面内方向に回転移動(揺動)させて、手ブレによって生じる像ブレを補正す
る防振レンズ群としても良い。
【0104】
レンズ面は、球面または平面で形成されても、非球面で形成されても構わない。レンズ面が球面または平面の場合、レンズ加工および組立調整が容易になり、加工および組立調整の誤差による光学性能の劣化を防げるので好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないので好ましい。
【0105】
レンズ面が非球面の場合、非球面は、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に形成したガラスモールド非球面、ガラスの表面に樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれでも構わない。また、レンズ面は回折面としても良く、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)あるいはプラスチックレンズとしても良い。
【0106】
開口絞りは第3レンズ群中に配置されるのが好ましいが、開口絞りとしての部材を設けずに、レンズの枠でその役割を代用しても良い。
【0107】
各レンズ面には、フレアやゴーストを軽減し、コントラストの高い光学性能を達成するために、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施しても良い。
【符号の説明】
【0108】
G1 第1レンズ群 G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群 G4 第4レンズ群
G5 第5レンズ群
I 像面 S 開口絞り