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特許7574904ハンガーパイプブラケット及びハンガーパイプ吊持構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】ハンガーパイプブラケット及びハンガーパイプ吊持構造
(51)【国際特許分類】
   A47G 25/02 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
A47G25/02 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023190193
(22)【出願日】2023-11-07
【審査請求日】2023-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142572
【弁理士】
【氏名又は名称】水内 龍介
(72)【発明者】
【氏名】刈田 浩之
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0175330(US,A1)
【文献】特開2011-083522(JP,A)
【文献】実開昭52-017126(JP,U)
【文献】米国特許第05050750(US,A)
【文献】特開2005-218506(JP,A)
【文献】実開平06-038889(JP,U)
【文献】特開2021-188431(JP,A)
【文献】中国実用新案第214613178(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 25/02
D06F 57/06
D06F 57/12
A47F 7/19
A47F 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンガーパイプと、ハンガーパイプブラケットと、を備えるハンガーパイプ吊持構造であって、
前記ハンガーパイプブラケットは、
下を向く水平面に固定される基端部と、
前記基端部から下方に垂れ下がる垂下部と、
前記垂下部の下端に形成され、斜め上方に向かうように湾曲する湾曲部と、
前記湾曲部の先端に設けられ、前記ハンガーパイプをビス止めするパイプ受けと、を備え、
前記パイプ受けは、前記ハンガーパイプの外径と同じ径の円弧状であり、
前記パイプ受けは、前記ハンガーパイプを断面視して、当該ハンガーパイプの断面を上下左右に4等分したときに、下側、且つ、垂下部に近い側の4分の1以下の円弧状に形成されることを特徴とするハンガーパイプ吊持構造。
【請求項2】
前記ハンガーパイプは、2本以上の円筒パイプを互いに継ぎ合わせて形成されたものであり、
円柱状のジョイナー材が、2本の前記円筒パイプの端部に跨って挿入されることで、前記円筒パイプ同士が継ぎ合わせられることを特徴とする請求項1に記載のハンガー吊持構造。
【請求項3】
前記ジョイナー材は両ネジに形成されており、
前記円筒パイプは互いに継ぎ合わせられる端部の内周に、前記ジョイナー材に螺合する雌ネジ部が形成されることを特徴とする請求項2に記載のハンガー吊持構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のハンガーパイプ吊持構造と、
仕切られることなく配置された役割の異なる2以上の空間と、
を備える建築物の衣類吊りスペースであって、
前記ハンガーパイプは、前記役割の異なる2以上の空間に跨って配置されるものであることを特徴とする衣類吊りスペース
【請求項5】
前記役割の異なる2以上の空間は、洗濯機置き場と、衣類収納部とを含み、
前記ハンガーパイプは、一端側が洗濯機置き場の上方に配置され、他端側が衣類収納部に配置されることを特徴とする請求項4に記載の衣類吊りスペース
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンガーパイプブラケット及び当該ハンガーパイプブラケットを用いたハンガーパイプ吊持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ワードローブやハンガーラックといった衣類収納家具、及び住宅等のクローゼットには、衣類を吊り下げるためのハンガーパイプが設けられている。このようなハンガーパイプは、ブラケットによって支持されており、ブラケットは、その基端部が、例えば衣類収納家具の骨組となる支柱や、クローゼット内の壁面又は天井面に固定されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ハンガーパイプに引っ掛けられたハンガーに吊り下げられた衣類を移動させる際には、ハンガーを持ち上げて所望の場所に移動させることもできるが、ハンガーパイプの長さ方向に移動させる場合には、ハンガーパイプにハンガーを引っ掛けたままハンガーをスライドさせることで、小さな力で効率的に衣類を移動させることができる。
【0004】
しかし、ハンガーパイプを支持するブラケットが設けられた位置を越えて衣類を移動させる場合には、ハンガーのフックとブラケットとが互いに干渉するため、一旦衣類が吊り下げられたハンガーを持ち上げて移動させる必要が生じる。
【0005】
そこで、ブラケットを支柱から水平に飛び出させて、当該ブラケットの先端がハンガーパイプの下面をクランプするように構成することで、ハンガーのフックがハンガーパイプの上面に引っ掛けられていても、ブラケットと干渉しないようにしたハンガーパイプの支持構造が提案されている(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開平05-76335号公報
【文献】登録実用新案第3077064号公報
【文献】特開2002-282103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、例えば、クローゼットの天井、天板の下面、又は枕棚の下面などの水平面にブラケットを固定する場合には、当該ブラケットがハンガーのフックと干渉しあわないように形成されたハンガーパイプブラケットはなかった。
【0008】
そこで、本発明は、ブラケットに支持された位置を跨ぐ移動であっても、ハンガーパイプをスライドして移動させることができるハンガーパイプブラケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の第1発明は、ハンガーパイプと、ハンガーパイプブラケットと、を備えるハンガーパイプ吊持構造であって、前記ハンガーパイプブラケットは、下を向く水平面に固定される基端部と、前記基端部から下方に垂れ下がる垂下部と、前記垂下部の下端に形成され、斜め上方に向かうように湾曲する湾曲部と、前記湾曲部の先端に設けられ、前記ハンガーパイプをビス止めするパイプ受けと、を備え、前記パイプ受けは、前記ハンガーパイプの外径と同じ径の円弧状であり、前記パイプ受けは、前記ハンガーパイプを断面視して、当該ハンガーパイプの断面を上下左右に4等分したときに、下側、且つ、垂下部に近い側の4分の1以下の円弧状に形成されるものである
【0010】
本願の第2発明は、ハンガー吊持構造であって、前記ハンガーパイプは、2本以上の円筒パイプを互いに継ぎ合わせて形成されたものであり、円柱状のジョイナー材が、2本の前記円筒パイプの端部に跨って挿入されることで、前記円筒パイプ同士が継ぎ合わせられるものである。
【0011】
本願の第3発明は、前記ジョイナー材は両ネジに形成されており、前記円筒パイプは互いに継ぎ合わせられる端部の内周に、前記ジョイナー材に螺合する雌ネジ部が形成される
【0012】
本願の第4発明は、第1から第3のいずれかに記載のハンガーパイプ吊持構造と、仕切られることなく配置された役割の異なる2以上の空間と、を備える建築物の衣類吊りスペースであって、前記ハンガーパイプは、前記役割の異なる2以上の空間に跨って配置される
【0013】
本願の第5発明は、衣類吊りスペースであって、前記役割の異なる2以上の空間は、洗濯機置き場と、衣類収納部とを含み、前記ハンガーパイプは、一端側が洗濯機置き場の上方に配置され、他端側が衣類収納部に配置される
【発明の効果】
【0014】
本願の第1発明によると、ハンガーパイプブラケットが、下を向く水平面に固定される基端部と、基端部から下方に垂れ下がる垂下部と、垂下部の下端に形成され、斜め上方に向かうように湾曲する湾曲部と、湾曲部の先端に設けられ、ハンガーパイプを支持するパイプ受けと、を備えている。そして、パイプ受けが、ハンガーパイプを断面視して、ハンガーパイプの下側で、且つ、左右方向に垂下部に近い側に当接する円弧状に形成されている。したがって、ハンガーパイプに垂下部及び湾曲部が設けられた方向と反対側の方向からハンガーのフックを引っ掛けると、当該ハンガーのフックがハンガーパイプブラケットと干渉することなく、ハンガーパイプに沿ってハンガーをスライドさせることができるので、ハンガーに吊り下がった衣類をハンガーパイプに沿って移動させる際に、ハンガーパイプから外して掛け直す手間がなく、衣類の移動を省力化することができる。また、パイプ受けに支持されている位置のハンガーパイプにもハンガーを引っ掛けることができることとなるので、デッドスペースを減らして、本発明のハンガーパイプブラケットを用いた衣類収納部の収納量を増やすことができる。
【0015】
本願の第2発明によると、2本以上の円筒パイプを継ぎ合わせてハンガーパイプは形成され、ジョイナー材は、2本の円筒パイプの端部に挿入されて円筒パイプ同士が継ぎ合わせられるものであるので、ジョイナー材が円筒パイプの外側に露出することがなく、2本の円筒パイプの継ぎ合わせ部分に段差ができることがなく、ハンガーパイプに吊り下げられたハンガーをスムーズに継ぎ合わせ部分を越えて移動させることができる。継ぎ合わせ部分に段差ができないことで、この継ぎ合わせ部分もハンガーを引っ掛ける部分として利用できるので、デッドスペースを減らして、収納量をより増やすことができる
【0016】
本願の第3発明によると、ジョイナー材が両ネジに形成されており、円筒パイプの端部内周の雌ネジ部に螺合することで、ジョイナー材を円筒パイプの外側に露出することなく、強固に継ぎ合わせてハンガーパイプを形成することができる
【0017】
本願の第4発明によると、ハンガーパイプが2以上の役割の異なる空間に跨って配置されているので、衣類が吊り下がったハンガーをハンガーパイプに引っ掛けて、洗濯、室内干し、アイロン、収納、着替え等の各シーンに応じて、所望の空間にスライドさせることができる
【0018】
本願の第5発明によると、ハンガーパイプは、一端側が洗濯機置き場の上方に配置され、他端側が衣類収納部に配置されるので、洗濯後の衣類を洗濯機の上で仮干し・室内干しして、そのまま衣類収納部にスライドさせて収納させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】ハンガーパイプ吊持構造が設置される衣類吊りスペースを説明する図。
図2】ハンガーパイプブラケットの外観構成を説明する斜視図。
図3】ハンガーパイプ吊持構造の構成を説明する側断面図。
図4】ハンガーパイプにハンガーを引っ掛けた状態を説明する側面図。
図5】ハンガーパイプブラケットを越えてハンガーを移動させる状態を説明する図。
図6】ハンガーパイプ吊持構造を説明する一部省略斜視図。
図7】2本の円筒パイプ同士を継ぎ合わせてハンガーパイプを形成する状態を説明する断面図。
図8】2本の円筒パイプ同士を継ぎ合わせる状態の変形例を説明する図。
図9】ハンガーパイプ吊持構造が設置される衣類吊りスペースの変形例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のハンガーパイプブラケット1及びハンガー吊持構造2の実施形態について、各図を参照しつつ説明する。本実施形態のハンガー吊持構造2は、図1に示すように、クローゼットエリア3、家事エリア4、及び洗濯機エリア5が仕切られることなく配置された衣類吊りスペース6に用いられる。なお、本発明のハンガーパイプブラケット1に支持されるハンガーパイプ7が設置される場所は、これに限定されるものではなく、例えば居住性の建物のクローゼット内に設けられてもよく、又は、洋服店やクリーニング店などの商業施設に設けられるものであってもよい。ハンガー吊持構造2は、図3及び図6に示すように、水平に並べて設置される複数のハンガーパイプブラケット1と、当該ハンガーパイプブラケット1に支持されるハンガーパイプ7と、を備えている。
【0021】
ハンガーパイプブラケット1は、図2に示すように、下を向く水平面12に固定される基端部8と、基端部8から下方に垂れ下がる垂下部9と、垂下部9の下端に形成され、斜め上方に向かうように湾曲する湾曲部10と、湾曲部10の先端に設けられ、ハンガーパイプ7を支持するパイプ受け11と、を備える。
【0022】
水平面12は、図3から図5に示すように、例えば、天井面、枕棚の下面、収納家具の天板の下面のように、下向きの水平に形成された面であり、ハンガーパイプ7を設置する位置の上方に形成される面である。基端部8は、水平面12に下方から固定される矩形プレートであり、水平面12に固定するためのビスを挿入する固定孔13が設けられている。基端部8の下面の中央には円柱状の垂下部9の上端が溶接固定されている。垂下部9は鉛直上に垂れ下がり、その下端に湾曲部10が形成されている。湾曲部10は下向きから湾曲して、先端が斜め45度の上向きとなるように形成されている。湾曲部10の先端にはパイプ受け11が溶接されて形成されている。パイプ受け11は側面視して、ハンガーパイプ7の外径と同じ径の円弧状であり、ハンガーパイプ7をビス止めするためのビス挿入孔14が形成されている。
【0023】
パイプ受け11は、図3に示すように、ハンガーパイプ7の断面を上下左右に4等分したときに、ハンガーパイプ7の下側であり、且つ、左右方向に垂下部9に近い側に当接する4分の1以下の円弧状である。図4に示すように、ハンガーパイプ7に一般的なハンガー15のフック16を吊り下げたときに、ハンガーパイプ7の長さ方向の一端側から見て、ハンガーパイプブラケット1はハンガー15のフック16に重なる部分がない。したがって、図5に示すように、ハンガーパイプ7に沿ってハンガー15をスライドさせた場合に、ハンガー15のフック16がハンガーパイプブラケット1に干渉することがないので、ハンガー15を取り外すことなくスムーズに移動させることができる。
【0024】
ハンガーパイプ7は、図7に示すように、ハンガーパイプブラケット1のパイプ受け11にビス止めされる円筒形状であり、例えば、ステンレスの丸パイプである。ハンガーパイプ7の外径は、一般的なハンガー15のフック16を引っ掛けることができる大きさであり、円弧状のパイプ受け11の径と等しい。ハンガーパイプ7は例えば2本の円筒パイプ17の端部同士を継ぎ合わせて形成される。円筒パイプ17同士の継ぎ合わせ部分は、円柱状のジョイナー材18が、2本の円筒パイプ17の端部に跨って挿入されて、円筒パイプ17同士が継ぎ合わせられている。
【0025】
ジョイナー材18は、例えば円筒パイプ17の内径よりもわずかに大きく形成された弾性材料であり、ジョイナー材18の軸方向の半分を一方の円筒パイプ17の端部から当該円筒パイプ17の内部に圧入し、一方の円筒パイプ17の端部から飛び出しているジョイナー材18の軸方向の半分を他方の円筒パイプ17の端部から当該円筒パイプ17の内部に圧入する。これにより、両方の円筒パイプ17の端部同士が突き合わされた形状となり、ジョイナー材18によって円筒パイプ17同士が継ぎ合わされてハンガーパイプ7が形成される。このようなハンガーパイプ7は、表面にジョイナー材18が露出しないことから、継ぎ合わせ部分に段差が形成されず、ハンガーパイプ7に吊り下げられたハンガー15をスムーズに継ぎ合わせ部分を越えて移動させることができる。継ぎ合わせ部分に段差ができないことで、この継ぎ合わせ部分もハンガー15を引っ掛ける部分として利用できるので、デッドスペースを減らして、収納量をより増やすこととができる。
【0026】
なお、ジョイナー材18は上述の構成に限定されるものではない。ジョイナー材18は、図8に示すように、両ネジ状に形成されて、それぞれ円筒パイプ17の端部の内周に形成された雌ネジ部19に螺合するものであってもよい。このように形成されれば、一方の円筒パイプ17の端部にジョイナー材18の一端を突き付けて締結させるとともに、他方の円筒パイプ17の端部にジョイナー材18の他端を突き付けて締結させることで、円筒パイプ17の端部同士が突き合わされた形状で、強固に継ぎ合わされたハンガーパイプ7が形成される。このようなハンガーパイプ7は、前述の実施形態と同様に、表面にジョイナー材18が露出しないので、継ぎ合わせ部分に段差が形成されない。したがって、ハンガーパイプ7に吊り下げられたハンガー15をスムーズに継ぎ合わせ部分を越えて移動させることができ、この継ぎ合わせ部分もハンガー15を引っ掛ける部分として利用でき、デッドスペースを減らし、収納量をより増やすこととができる。
【0027】
ハンガー吊持構造2が配置された衣類吊りスペース6は、図1に示すように、本実施形態においては、前述の通り、クローゼットエリア3、家事エリア4、及び洗濯機エリア5が仕切られることなく配置された衣類吊りスペース6である。この衣類吊りスペース6は間仕切壁20によって平面視矩形に仕切られており、間仕切壁20の対向する2面にそれぞれ当該衣類吊りスペース6に出入する出入口が形成されている。ハンガーパイプ7は、間仕切壁20の出入口が設けられていない2面に沿って互いに平行に2本配置されている。それぞれのハンガーパイプ7は、ハンガーパイプブラケット1に支持され架設されて、ハンガー吊持構造2を形成している。本実施形態では、ハンガーパイプブラケット1は天井面に固定されている。ハンガーパイプブラケット1の位置、間隔、個数は特に限定されるものではないが、ハンガーパイプ7に必要な耐荷重に応じて、適切な位置に配置される。
【0028】
2本のハンガーパイプ7のうちの一方のハンガーパイプ7は一端側が洗濯機エリア5の上方に配置され、家事エリア4を通って、他端側がクローゼットエリア3に配置されている。また、他方のハンガーパイプ7は、一方のハンガーパイプ7と平行に間仕切壁20に沿って配置されている。
【0029】
クローゼットエリア3は、衣類を収納し保管する領域であり、上方にハンガーパイプ7が架設されるとともに、下側には衣類棚、衣類箪笥などの衣類収納家具21が設けられている。本発明における衣類収納部は、本実施形態においてはクローゼットエリア3がこれに相当する。また、家事エリア4は、洗濯乾燥後の衣類を畳み、アイロン掛けを行うなどの衣類関連の家事を行う領域であり、上方にハンガーパイプ7が架設されるとともに、下側に衣類を畳み、アイロン掛けを行う作業台22が設けられている。そして、洗濯機エリア5は、上方にハンガーパイプ7が架設されるとともに、下側に洗濯機23を設置する洗濯機置き場が形成されている。
【0030】
このように配置されていると、洗濯機23で洗濯及び脱水した衣類は、ハンガー15に吊り下げて、当該ハンガー15を洗濯機置き場の上方でハンガーパイプ7に引っ掛けることで、洗濯機エリア5から移動することなく仮干しすることができる。そして、ハンガー15に吊り下げられて乾いた衣類は、例えば、洗濯機エリア5の隣に設けられた家事エリア4で、必要に応じて衣類にアイロン掛けを行い、衣類を畳んで、更に隣に設けられたクローゼットエリア3の衣類収納家具21に収納することができる。なお、例えば、衣類スチーマーのように衣類をハンガー15に吊り下げた状態でアイロン掛けを行う場合には、衣類を吊り下げられたハンガー15をハンガーパイプ7に引っ掛けたまま、洗濯機エリア5の上方から家事エリア4の上方にスライドさせる。このように、ハンガー15をハンガーパイプ7から取り外し、及び掛け直す手間なく、スムーズに、ハンガー15に吊り下げられた衣類を家事エリア4の上方に移動させることができる。
【0031】
また、ハンガー15に吊り下げたまま収納される衣類は、洗濯脱水後にハンガー15に吊り下げられて、洗濯機エリア5の上方でハンガーパイプ7に引っ掛けられる。そして、乾燥後に、ハンガーパイプ7に引っ掛けたまま当該ハンガーパイプ7に沿ってスライドさせて、クローゼットエリア3まで衣類を移動させることができる。このように、ハンガー15をハンガーパイプ7から取り外し、及び掛け直す手間なく、スムーズに、ハンガー15に吊り下げられた衣類をクローゼットエリア3まで移動させることができる。
【0032】
なお、ハンガー吊持構造2が配置された衣類吊りスペース6は、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、図9に示すように、ハンガーパイプ7は、直線状に配置されるものに限定されるものではなく、一部が湾曲して形成されるものであってもよい。ハンガーパイプ7の一部が湾曲すれば、クローゼットエリア3と洗濯機置き場との配置の自由度を高めることができる。また、ハンガーパイプ7は、間仕切壁20に沿って架設されるものに限定されるものではなく、ハンガーパイプブラケット1を固定する天井などの水平面12が形成されていれば、間仕切壁20に沿っていない位置であっても、ハンガーパイプ7を設置することができる。したがって、例えば出入口を跨ぐようにハンガーパイプ7を設置することもでき、出入口などの生活動線を跨いで衣類を移動させたい場合であっても、ハンガーパイプ7からハンガー15を取り外さずに移動させることができる。
【0033】
ハンガー吊持構造2は上述のような衣類吊りスペース6に設置されるものに限定されるものではなく、洗濯、物干し、衣類収納、着替え、衣替え等の衣類を移動させる生活シーンで利用できるように、ハンガーパイプ7が配置されていればよい。
【0034】
本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【0035】
<第1発明>
本願の第1発明は、ハンガーパイプブラケットであって、下を向く水平面に固定される基端部と、前記基端部から下方に垂れ下がる垂下部と、前記垂下部の下端に形成され、斜め上方に向かうように湾曲する湾曲部と、前記湾曲部の先端に設けられ、ハンガーパイプを支持するパイプ受けと、を備え、前記パイプ受けは、前記ハンガーパイプを断面視して、当該ハンガーパイプの下側であり、且つ、左右方向に前記垂下部に近い側に当接する円弧状に形成される。
【0036】
これによると、ハンガーパイプブラケットが、下を向く水平面に固定される基端部と、基端部から下方に垂れ下がる垂下部と、垂下部の下端に形成され、斜め上方に向かうように湾曲する湾曲部と、湾曲部の先端に設けられ、ハンガーパイプを支持するパイプ受けと、を備えている。そして、パイプ受けが、ハンガーパイプを断面視して、ハンガーパイプの下側で、且つ、左右方向に垂下部に近い側に当接する円弧状に形成されている。したがって、ハンガーパイプに垂下部及び湾曲部が設けられた方向と反対側の方向からハンガーのフックを引っ掛けると、当該ハンガーのフックがハンガーパイプブラケットと干渉することなく、ハンガーパイプに沿ってハンガーをスライドさせることができるので、ハンガーに吊り下がった衣類をハンガーパイプに沿って移動させる際に、ハンガーパイプから外して掛け直す手間がなく、衣類の移動を省力化することができる。また、パイプ受けに支持されている位置のハンガーパイプにもハンガーを引っ掛けることができることとなるので、デッドスペースを減らして、本発明のハンガーパイプブラケットを用いた衣類収納部の収納量を増やすことができる。
【0037】
<第2発明>
本願の第2発明は、ハンガー吊持構造であって、水平に並べて設置される複数の第1発明のハンガーパイプブラケットと、前記パイプ受けに支持されて架設される前記ハンガーパイプと、を備え、前記ハンガーパイプは、役割の異なる2以上の空間に跨って配置されるものである。
【0038】
これによると、ハンガーパイプが2以上の役割の異なる空間に跨って配置されているので、衣類が吊り下がったハンガーをハンガーパイプに引っ掛けて、洗濯、室内干し、アイロン、収納、着替え等の各シーンに応じて、所望の空間にスライドさせることができる。
【0039】
<第3発明>
本願の第3発明は、第2発明のハンガー吊持構造であって、前記ハンガーパイプは、2本以上の円筒パイプを互いに継ぎ合わせて形成されたものであり、円柱状のジョイナー材が、2本の前記円筒パイプの端部に跨って挿入されることで、前記円筒パイプ同士が継ぎ合わせられる。
【0040】
これによると、2本以上の円筒パイプを継ぎ合わせてハンガーパイプは形成され、ジョイナー材は、2本の円筒パイプの端部に挿入されて円筒パイプ同士が継ぎ合わせられるものであるので、ジョイナー材が円筒パイプの外側に露出することがなく、2本の円筒パイプの継ぎ合わせ部分に段差ができることがなく、ハンガーパイプに吊り下げられたハンガーをスムーズに継ぎ合わせ部分を越えて移動させることができる。継ぎ合わせ部分に段差ができないことで、この継ぎ合わせ部分もハンガーを引っ掛ける部分として利用できるので、デッドスペースを減らして、収納量をより増やすこととができる。
【0041】
<第4発明>
本願の第4発明は、第2発明又は第3発明のハンガー吊持構造であって、前記ジョイナー材は両ネジに形成されており、前記円筒パイプは互いに継ぎ合わせられる端部の内周に、前記ジョイナー材に螺合する雌ネジ部が形成される。
【0042】
これよると、ジョイナー材が両ネジに形成されており、円筒パイプの端部内周の雌ネジ部に螺合することで、ジョイナー材を円筒パイプの外側に露出することなく、強固に継ぎ合わせてハンガーパイプを形成することができる。
【0043】
<第5発明>
本願の第5発明は、第2発明から第4発明のいずれかのハンガー吊持構造であって、前記ハンガーパイプは、一端側が洗濯機置き場の上方に配置され、他端側が衣類収納部に配置される。
【0044】
これによると、ハンガーパイプは、一端側が洗濯機置き場の上方に配置され、他端側が衣類収納部に配置されるので、洗濯後の衣類を洗濯機の上で仮干し・室内干しして、そのまま衣類収納部にスライドさせて収納させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係るハンガーパイプブラケット及びハンガー吊持構造は、衣類を吊り下げたまま移動可能なハンガーパイパイプを設置するハンガーパイプブラケット及びハンガー吊持構造として好適である。
【符号の説明】
【0046】
1 ハンガーパイプブラケット
2 ハンガー吊持構造
3 クローゼットエリア(衣類収納部)
5 洗濯機エリア
7 ハンガーパイプ
8 基端部
9 垂下部
10 湾曲部
11 パイプ受け
12 水平面
17 円筒パイプ
18 ジョイナー材
【要約】
【課題】 ブラケットに支持された位置を跨ぐ移動であっても、ハンガーパイプをスライドして移動させることができるハンガーパイプブラケット及びハンガーパイプ吊持構造を提供する。
【解決手段】ハンガーパイプブラケット1は、下を向く水平面12に固定される基端部8と、前記基端部8から下方に垂れ下がる垂下部9と、前記垂下部9の下端に形成され、斜め上方に向かうように湾曲する湾曲部10と、前記湾曲部10の先端に設けられ、ハンガーパイプ7を支持するパイプ受け11と、を備え、前記パイプ受け11は、前記ハンガーパイプ7を断面視して、当該ハンガーパイプ7の下側であり、且つ、左右方向に前記垂下部9に近い側に当接する円弧状に形成される。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9