(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】情報提供サーバ、データ処理装置、情報提供方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/06 20120101AFI20241022BHJP
【FI】
G06Q40/06
(21)【出願番号】P 2023500531
(86)(22)【出願日】2021-11-09
(86)【国際出願番号】 JP2021041072
(87)【国際公開番号】W WO2022176281
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2021024931
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】藤井 俊彦
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-107897(JP,A)
【文献】特開2019-008529(JP,A)
【文献】特許第6732309(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
参照基準を満たす複数の参照対象顧客の過去の投資商品取引データ
と、比較基準を満たす複数の比較対象顧客の過去の投資商品取引データに基づき銘柄毎に算出された前記複数の参照対象顧客の売買傾向を時系列に示す参照対象顧客売買傾向時系列データと、投資商品の時系列な価格の変化を示す価格チャートとを並べて表示した画面を出力する出力手段を有
し、
前記参照基準は、参照期間内の評価損益が所定の第1レベルより優れていることであり、
前記比較基準は、前記参照期間内の評価損益が所定の第2レベルより劣ることである情報提供サーバ。
【請求項2】
前記出力手段は、
前記複数の参照対象顧客の買い傾向を時系列に示す前記参照対象顧客売買傾向時系列データと、
前記複数の参照対象顧客の売り傾向を時系列に示す前記参照対象顧客売買傾向時系列データと、
を別々に表示する画面を出力する請求項1に記載の情報提供サーバ。
【請求項3】
前記参照基準は、参照期間内の一日当たりの売買回数、参照期間内の売買回数の合計、及び参照期間内に売買した銘柄の数の少なくとも1つをさらに用いて定義される請求項
1又は2に記載の情報提供サーバ。
【請求項4】
前記出力手段は、
前記複数の参照対象顧客の過去の投資商品取引データと、複数の判断材料項目各々の過去の状態値とに基づき、前記参照対象顧客売買傾向時系列データで示される各タイミングの売買傾向の原因と推定された前記判断材料項目及び前記状態値を示した画面を出力する請求項1から
3のいずれか1項に記載の情報提供サーバ。
【請求項5】
前記参照対象顧客売買傾向時系列データは、
複数のタイミング各々における前記参照対象顧客の買い傾向の強さを数値で示し、
前記参照対象顧客の買い傾向が強いほど、また前記比較対象顧客の買い傾向が弱いほど、大きな数値となる請求項1から4のいずれか1項に記載の情報提供サーバ。
【請求項6】
前記参照対象顧客売買傾向時系列データは、
複数のタイミング各々における前記参照対象顧客の売り傾向の強さを数値で示し、
前記参照対象顧客の売り傾向が強いほど、また前記比較対象顧客の売り傾向が弱いほど、大きな数値となる請求項1から4のいずれか1項に記載の情報提供サーバ。
【請求項7】
コンピュータが、
参照基準を満たす複数の参照対象顧客の過去の投資商品取引データ
と、比較基準を満たす複数の比較対象顧客の過去の投資商品取引データに基づき銘柄毎に算出された前記複数の参照対象顧客の売買傾向を時系列に示す参照対象顧客売買傾向時系列データと、投資商品の時系列な価格の変化を示す価格チャートとを並べて表示した画面を出力
し、
前記参照基準は、参照期間内の評価損益が所定の第1レベルより優れていることであり、
前記比較基準は、前記参照期間内の評価損益が所定の第2レベルより劣ることである情報提供方法。
【請求項8】
コンピュータを、
参照基準を満たす複数の参照対象顧客の過去の投資商品取引データ
と、比較基準を満たす複数の比較対象顧客の過去の投資商品取引データに基づき銘柄毎に算出された前記複数の参照対象顧客の売買傾向を時系列に示す参照対象顧客売買傾向時系列データと、投資商品の時系列な価格の変化を示す価格チャートとを並べて表示した画面を出力する出力手段として機能させ
、
前記参照基準は、参照期間内の評価損益が所定の第1レベルより優れていることであり、
前記比較基準は、前記参照期間内の評価損益が所定の第2レベルより劣ることであるプログラム。
【請求項9】
複数の顧客の中から、参照基準を満たす複数の参照対象顧客
、及び比較基準を満たす複数の比較対象顧客を特定する特定手段と、
前記複数の参照対象顧客の過去の投資商品取引データ
及び前記複数の比較対象顧客の過去の投資商品取引データに基づき、銘柄毎に前記複数の参照対象顧客の売買傾向を時系列に示す参照対象顧客売買傾向時系列データを算出する算出手段と、
を有
し、
前記参照基準は、参照期間内の評価損益が所定の第1レベルより優れていることであり、
前記比較基準は、前記参照期間内の評価損益が所定の第2レベルより劣ることであるデータ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供サーバ、データ処理装置、情報提供方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する技術が、特許文献1乃至4に開示されている。
【0003】
特許文献1は、全ユーザの過去の取引情報と相場情報に基づいてユーザの取引指向をクラスタリングすることにより取引スタイルを定義し、目標とする取引スタイルまでの経路を探索してアドバイスする技術を開示している。
【0004】
特許文献2は、株、投資信託、上場投資信託(ETF)、外国為替証拠金取引(FX)などの投資商品を売買する顧客に向けたアドバイスを生成し、提示する技術を開示している。当該技術では、ユーザの売買傾向に関する情報、ユーザの売買傾向の理由に関する情報、ユーザの売買傾向に関する社会的側面に関する情報、ユーザの売買傾向を改善するための情報を含む診断結果を生成し、診断結果に応じたアドバイスを生成する。
【0005】
特許文献3は、複数の投資家の投資データ及びリアルタイムトレードデータを集約するステップと、投資データから導出される投資パフォーマンスに従って複数の投資家をランキングするステップと、ランキング及びトレードデータを使用して、複数の投資家によって保有されている証券の証券格付けを生成するステップと、カスタマイズされた推奨を提供するステップとを実行する技術を開示している。
【0006】
特許文献4は、単純な条件を複数組み合わせるルールベースのモデルの1つである決定リストの学習手段を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2019/087552号
【文献】特開2019-74863号
【文献】特表2010-501909号
【文献】国際公開第2020/059136号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
投資商品の取引において、売買タイミングの判断は難しい。投資商品の取引の良し悪しを振り返ることも容易ではない。
【0009】
本発明は、投資商品の取引に関する振り返りの手段・機会を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、
参照基準を満たす複数の参照対象顧客の過去の投資商品取引データに基づき銘柄毎に算出された前記複数の参照対象顧客の売買傾向を時系列に示す参照対象顧客売買傾向時系列データと、投資商品の時系列な価格の変化を示す価格チャートとを並べて表示した画面を出力する出力手段を有する情報提供サーバが提供される。
【0011】
また、本発明によれば、
コンピュータが、
参照基準を満たす複数の参照対象顧客の過去の投資商品取引データに基づき銘柄毎に算出された前記複数の参照対象顧客の売買傾向を時系列に示す参照対象顧客売買傾向時系列データと、投資商品の時系列な価格の変化を示す価格チャートとを並べて表示した画面を出力する情報提供方法が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、
コンピュータを、
参照基準を満たす複数の参照対象顧客の過去の投資商品取引データに基づき銘柄毎に算出された前記複数の参照対象顧客の売買傾向を時系列に示す参照対象顧客売買傾向時系列データと、投資商品の時系列な価格の変化を示す価格チャートとを並べて表示した画面を出力する出力手段として機能させるプログラムが提供される。
【0013】
また、本発明によれば、
複数の顧客の中から、参照基準を満たす複数の参照対象顧客を特定する特定手段と、
前記複数の参照対象顧客の過去の投資商品取引データに基づき、銘柄毎に前記複数の参照対象顧客の売買傾向を時系列に示す参照対象顧客売買傾向時系列データを算出する算出手段と、
を有するデータ処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、投資商品の取引に関する振り返りの手段・機会を得ることができる技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態の情報提供サーバが提供する画面の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態の情報提供サーバ及びデータ処理装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態のデータ処理装置の機能ブロック図の一例である。
【
図4】本実施形態のデータ処理装置の演算の概念を説明するための図である。
【
図5】本実施形態のデータ処理装置の演算の概念を説明するための図である。
【
図6】本実施形態の情報提供サーバの機能ブロック図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0017】
<概要>
まず、本実施形態の技術の概要を説明する。本実施形態の技術は、株等の投資商品の取引に関する振り返りの手段・機会を得ることができる技術である。本実施形態の技術は、例えば、投資商品の売買の取次ぎ等を行う事業体(証券会社等)に利用される。当該事業体が本実施形態の技術を利用して、投資商品の取引に関する振り返りの手段・機会を得ることができる情報を顧客に提供する。例えば、事業体のウェブページやアプリケーションを介して、当該情報が顧客に提供される。なお、当該利用例はあくまで一例であり、これに限定されない。
【0018】
本実施形態の技術は、顧客に提供するデータを生成するデータ処理装置と、顧客のリクエストに応じて所定の情報を顧客の端末に送信する情報提供サーバとで実現される。
【0019】
データ処理装置は、事業体の顧客の中から、売買タイミングが参考になる顧客(例えば利益を出している顧客など)を、参照対象顧客として特定する。次いで、データ処理装置は、特定した参照対象顧客の過去の投資商品取引データに基づき、参照対象顧客の売買傾向を時系列に示すデータを生成する。そして、情報提供サーバは、生成された参照対象顧客の売買傾向を時系列に示すデータと、投資商品の時系列な価格の変化を示すデータとを並べた画面を顧客に提供する。
【0020】
図1の(4)に当該情報の一例を示す。詳細は以下で説明するが、
図1の(4-1)が投資商品の時系列な価格の変化を示すデータであり、
図1の(4-2)が参照対象顧客の売買傾向を時系列に示すデータである。
図1の(4-2)では、参照対象顧客の買い傾向が時系列に示されている。値が大きいほど買い傾向が強く、値が小さいほど買い傾向が弱いことを意味する。なお、画面操作により、参照対象顧客の買い傾向を示すグラフと売り傾向を示すグラフとを切り替えることができる。参照対象顧客の売り傾向は、買い傾向と同様の手法で示される。この画面により、顧客は、投資商品の価格の変化と、参照対象顧客の売買傾向との関係性を確認することができる。
【0021】
また、データ処理装置は、特定した参照対象顧客の過去の投資商品取引データと、複数の判断材料項目(投資商品の売買の決定に影響し得るものであり、例えば、前回決算からの日数等)各々の過去の状態値とに基づき、参照対象顧客の各タイミングの売買傾向の原因を推定する。そして、情報提供サーバは、当該推定結果、すなわち参照対象顧客の各タイミングの売買傾向の原因を示す画面を顧客に提供する。
【0022】
図1の(5)に当該情報の一例を示す。詳細は以下で説明するが、
図1の(5)では、参照対象顧客の2019年6月3日の買い傾向の原因と推定される判断材料項目及びその状態値が示されている。この画面により、顧客は、参照対象顧客がどのような判断材料に基づき売買タイミングを決定しているか等を確認することができる。
【0023】
「データ処理装置の構成」
次に、データ処理装置の構成を説明する。上述の通り、データ処理装置は、顧客に提供するデータを生成する装置である。
【0024】
<ハードウエア構成>
データ処理装置のハードウエア構成の一例を説明する。
図2は、データ処理装置のハードウエア構成例を示す図である。データ処理装置が備える各機能部は、任意のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、メモリにロードされるプログラム、そのプログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット(あらかじめ装置を出荷する段階から格納されているプログラムのほか、CD(Compact Disc)等の記憶媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムをも格納できる)、ネットワーク接続用インターフェイスを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0025】
図2に示すように、データ処理装置は、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、バス5Aを有する。周辺回路4Aには、様々なモジュールが含まれる。データ処理装置は、周辺回路4Aを有さなくてもよい。なお、データ処理装置は物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成されてもよいし、物理的及び論理的に一体となった1つの装置で構成されてもよい。前者の場合、データ処理装置を構成する複数の装置各々が上記ハードウエア構成を備えることができる。
【0026】
バス5Aは、プロセッサ1A、メモリ2A、周辺回路4A及び入出力インターフェイス3Aが相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。プロセッサ1Aは、例えばCPU、GPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ2Aは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。入出力インターフェイス3Aは、入力装置、外部装置、外部サーバ、外部センサ等から情報を取得するためのインターフェイスや、出力装置、外部装置、外部サーバ等に情報を出力するためのインターフェイスなどを含む。入力装置は、例えばキーボード、マウス、マイク等である。出力装置は、例えばディスプレイ、スピーカ、プリンター、メーラ等である。プロセッサ1Aは、各モジュールに指令を出し、それらの演算結果をもとに演算を行うことができる。
【0027】
<機能構成>
次に、データ処理装置の機能構成を説明する。
図3に、データ処理装置20の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、データ処理装置20は、特定部21と、算出部22と、第2の記憶部23とを有する。
【0028】
特定部21は、複数の顧客の中から、参照基準を満たす複数の参照対象顧客を特定する。当該特定結果は、以下で説明する算出部22による処理で利用される。
【0029】
「顧客」は、本実施形態の技術を利用する事業体の顧客である。
【0030】
「本実施形態の技術を利用する事業体」は、例えば投資商品の売買の取次ぎ等を行う事業体である。
【0031】
「投資商品」は、株、投資信託、上場投資信託(ETF)、外国為替証拠金取引(FX)、金、仮想通貨、債券、不動産投資信託(REIT)等が例示されるが、これらに限定されない。
【0032】
「参照基準」は、売買タイミングが参考になる顧客が満たし、売買タイミングが参考にならない顧客が満たさないように設定される。
【0033】
例えば、参照基準は、参照期間内の評価損益を用いて定義される。参照期間内の評価損益を利用した基準の一例として、「参照期間内の評価損益が全顧客の中の上位M%に該当する」等が例示される。このような参照基準によれば、全顧客の中の特に優れた利益を出している顧客が参照対象顧客として特定されるようになる。
【0034】
なお、参照基準は、参照期間内の評価損益に加えて、参照期間内の一日当たりの売買回数、参照期間内の売買回数の合計、及び参照期間内に売買した銘柄の数の少なくとも1つをさらに用いて定義されてもよい。
【0035】
参照期間内の一日当たりの売買回数を利用した基準の一例として、「参照期間内の一日当たりの売買回数の統計値(最大値、平均値、最頻値等)が第1の基準値以下」等が例示される。このような参照基準によれば、売買を頻繁に繰り返すデイトレーダを参照対象顧客から除外することができる。
【0036】
参照期間内の売買回数の合計を利用した基準の一例として、「参照期間内の売買回数の合計が第2の基準値以上」等が例示される。このような参照基準によれば、売買頻度が極めて少ない顧客を参照対象顧客から除外することができる。
【0037】
参照期間内に売買した銘柄の数を利用した基準の一例として、「参照期間内に売買した銘柄の数が第3の基準値以上」等が例示される。このような参照基準によれば、売買頻度が極めて少ない顧客を参照対象顧客から除外することができる。
【0038】
例えば、参照基準は、「参照期間内の評価損益を利用した基準」と、「参照期間内の一日当たりの売買回数を利用した基準、参照期間内の売買回数の合計を利用した基準、及び参照期間内に売買した銘柄の数を利用した基準の中の少なくとも1つ」とを論理演算子(例えば、「論理積(アンド)」)で繋いだものとすることができる。
【0039】
「参照期間」は、参照対象顧客を特定するために参照する期間である。参照期間の定め方は様々である。例えば、参照期間は、直近の所定期間(例:直近1年間、直近6カ月等)であってもよい。このように参照期間を定めた場合、参照期間は毎日更新される。結果、参照対象顧客として特定される顧客も毎日変化し得る。なお、参照期間は、前月、前年、前年度等のように、その他の手法で定義されてもよい。
【0040】
また、参照期間は、予め定められた固定値であってもよいし、顧客が自由に設定できてもよい。後者の場合、顧客は、所望の期間を指定して、その期間に優れた利益を出している参照対象顧客から売買タイミングを学ぶことができる。例えば、参照期間を長く設定することで、長い期間持続して優れた利益を出している顧客を参照対象顧客とすることができる。また、例えば投資商品の価格が落ち込んでいる期間を参照期間と設定することで、そのような期間に優れた結果を出している顧客を参照対象顧客とすることができる。
【0041】
第2の記憶部23が、複数の顧客各々の過去の投資商品取引データ(売買履歴、損益、収益等)を記憶している。特定部21は、第2の記憶部23に記憶されている当該投資商品取引データに基づき、参照基準を満たす複数の参照対象顧客を特定する。
【0042】
なお、特定部21は、複数の顧客の中から、比較基準を満たす複数の比較対象顧客をさらに特定してもよい。当該特定結果は、以下で説明する算出部22による処理で利用される。
【0043】
「比較基準」は、売買タイミングが参考にならない顧客が満たし、売買タイミングが参考になる顧客が満たさないように設定される。
【0044】
例えば、比較基準は、参照期間内の評価損益を用いて定義される。参照期間内の評価損益を利用した基準の一例として、「参照期間内の評価損益が全顧客の中の下位N%に該当する」等が例示される。このような比較基準によれば、全顧客の中の特に利益が出ていない顧客が比較対象顧客として特定されるようになる。
【0045】
なお、参照基準と同様に、比較基準は、参照期間内の評価損益に加えて、参照期間内の一日当たりの売買回数、参照期間内の売買回数の合計、及び参照期間内に売買した銘柄の数の少なくとも1つをさらに用いて定義されてもよい。その詳細は、参照基準と同様である。このような項目を用いて比較基準を定義することで、売買を頻繁に繰り返すデイトレーダや、売買頻度が極めて少ない顧客を比較対象顧客から除外することができる。
【0046】
第2の記憶部23が、複数の顧客各々の過去の投資商品取引データ(売買履歴、損益、収益等)を記憶している。特定部21は、第2の記憶部23に記憶されている当該投資商品取引データに基づき、比較基準を満たす複数の比較対象顧客を特定する。
【0047】
算出部22は、参照対象顧客売買傾向時系列データを算出する処理と、参照対象顧客売買傾向時系列データで示される各タイミングの売買傾向の原因を推定する処理とを実行する。以下、各処理を詳細に説明する。
【0048】
-参照対象顧客売買傾向時系列データを算出する処理-
算出部22は、特定部21により特定された複数の参照対象顧客の過去の投資商品取引データに基づき、銘柄毎に参照対象顧客売買傾向時系列データを算出する。
【0049】
「参照対象顧客売買傾向時系列データ」は、複数の参照対象顧客の売買傾向を時系列に示すデータである。
図1の(4-2)のデータが参照対象顧客売買傾向時系列データである。
【0050】
算出部22は、複数の参照対象顧客の買い傾向を時系列に示す参照対象顧客売買傾向時系列データと、複数の参照対象顧客の売り傾向を時系列に示す参照対象顧客売買傾向時系列データと、を別々に生成する。買い傾向と売り傾向が同時に強くなったり弱くなったりする場合がある。このため、買い傾向を示すデータと売り傾向を示すデータを別々に生成する。
【0051】
複数の参照対象顧客の買い傾向を時系列に示す参照対象顧客売買傾向時系列データは、所定の単位期間ごとに、買い傾向の強さを数値で示すデータである。算出部22は、予め定められた演算式に基づき、単位期間ごとに、買い傾向の強さを示す数値を算出する。
図1の(4-2)では、単位期間は「1日」であり、買い傾向の強さは「最大値+5、最小値-5の範囲の値」で示されている。値が大きいほど買い傾向が強いことを示す。なお、この例はあくまで一例であり、これに限定されない。
【0052】
また、複数の参照対象顧客の売り傾向を時系列に示す参照対象顧客売買傾向時系列データは、所定の単位期間ごとに、売り傾向の強さを数値で示すデータである。算出部22は、予め定められた演算式に基づき、単位期間ごとに、売り傾向の強さを示す数値を算出する。
図1の(4-2)の例と同様に、例えば、単位期間は「1日」であり、売り傾向の強さは「最大値+5、最小値-5の範囲の値」で示される。値が大きいほど売り傾向が強いことを示す。なお、この例はあくまで一例であり、これに限定されない。
【0053】
買い傾向の強さ及び売り傾向の強さの算出方法は様々であり、本実施形態では各種手法を採用できる。以下、一例を説明する。
【0054】
-算出例1-
当該例では、「参照対象顧客が所定期間に比べて、どの程度、買いを増やしているか/減らしているか」、すなわち所定期間の買い傾向との比較結果に基づき、各単位期間の買い傾向の強さを算出する。
【0055】
所定期間に比べて買いを増やしている度合いが大きいほど、買い傾向の強さを示す数値を大きくする。そして、所定期間に比べて買いを減らしている度合いが大きいほど、買い傾向の強さを示す数値を小さくする。
【0056】
所定期間は、直近数日でもよいし、直近数カ月でもよいし、直近1年でもよいし、その他でもよい。
【0057】
図4を用いてより詳細に説明する。
図4は、3月5日の買い傾向の強さを算出する処理の概念を説明するための図である。図中の2月27日~3月4日の5日間が、所定期間に該当する。棒グラフ及びその上に表示した数値(購入株数)で、各日における参照対象顧客の買い状況を示している。参照対象顧客の買い状況を示す購入株数は、複数の参照対象顧客各々の購入株数の統計値(合計値、平均値等)である。なお、購入株数で買い状況を示す手法は、投資対象が株である場合の一例である。投資対象の種類に応じた適切な手法で、参照対象顧客の買い状況を数値で表すことができる。
【0058】
図4の例の場合、3月5日の買い状況は所定期間における買い状況(所定期間の平均値)よりも大きい。このため、3月5日の買い傾向の強さを示す数値はプラスの値となる。そして、3月5日の買い状況と所定期間における買い状況(所定期間の平均値)との乖離が大きいほど、3月5日の買い傾向の強さを示す数値はより大きな値となる。
【0059】
なお、図示しないが、3月5日の買い状況が所定期間における買い状況(所定期間の平均値)よりも小さい場合、3月5日の買い傾向の強さを示す数値はマイナスの値となる。そして、3月5日の買い状況と所定期間における買い状況(所定期間の平均値)との乖離が大きいほど、3月5日の買い傾向の強さを示す数値はより小さな値となる。
【0060】
-算出例2-
当該例では、「参照対象顧客が所定期間に比べて、どの程度、買いを増やしているか/減らしているか」、及び「比較対象顧客が所定期間に比べて、どの程度、買いを増やしているか/減らしているか」に基づき、参照対象顧客の各単位期間の買い傾向の強さを算出する。
【0061】
参照対象顧客が所定期間に比べて買いを増やしている度合いが大きいほど、参照対象顧客の買い傾向の強さを示す数値を大きくする。この場合、比較対象顧客が所定期間に比べて買いを増やしている度合いが小さいほど、参照対象顧客の買い傾向の強さを示す数値を大きくする。
【0062】
そして、参照対象顧客が所定期間に比べて買いを減らしている度合いが大きいほど、参照対象顧客の買い傾向の強さを示す数値を小さくする。この場合、比較対象顧客が所定期間に比べて買いを減らしている度合いが小さいほど、参照対象顧客の買い傾向の強さを示す数値を小さくする。
【0063】
所定期間は、直近数日でもよいし、直近数カ月でもよいし、直近1年でもよいし、その他でもよい。
【0064】
図5を用いてより詳細に説明する。
図5は、3月5日の参照対象顧客の買い傾向の強さを算出する処理の概念を説明するための図である。棒グラフで、参照対象顧客及び比較対象顧客各々の3月5日における買い状況、及び所定期間における買い状況(所定期間の平均値)を示している。参照対象顧客の買い状況は、複数の参照対象顧客各々の購入株数の統計値(合計値、平均値等)である。同様に、比較対象顧客の買い状況は、複数の比較対象顧客各々の購入株数の統計値(合計値、平均値等)である。なお、購入株数で買い状況を示す手法は、投資対象が株である場合の一例である。投資対象の種類に応じた適切な手法で、参照対象顧客の買い状況を数値で表すことができる。
【0065】
図5の例の場合、3月5日の参照対象顧客の買い状況は参照対象顧客の所定期間における買い状況(所定期間の平均値)よりも大きい。このため、3月5日の参照対象顧客の買い傾向の強さを示す数値はプラスの値となる。そして、3月5日の参照対象顧客の買い状況と参照対象顧客の所定期間における買い状況(所定期間の平均値)との乖離が大きいほど、3月5日の参照対象顧客の買い傾向の強さを示す数値はより大きな値となる。また、3月5日の比較対象顧客の買い状況が比較対象顧客の所定期間における買い状況(所定期間の平均値)よりも小さいほど、3月5日の参照対象顧客の買い傾向の強さを示す数値はより大きな値となる。
【0066】
なお、図示しないが、3月5日の参照対象顧客の買い状況が参照対象顧客の所定期間における買い状況(所定期間の平均値)よりも小さい場合、3月5日の参照対象顧客の買い傾向の強さを示す数値はマイナスの値となる。そして、3月5日の参照対象顧客の買い状況と参照対象顧客の所定期間における買い状況(所定期間の平均値)との乖離が大きいほど、3月5日の買い傾向の強さを示す数値はより小さな値となる。また、3月5日の比較対象顧客の買い状況が比較対象顧客の所定期間における買い状況(所定期間の平均値)よりも大きいほど、3月5日の参照対象顧客の買い傾向の強さを示す数値はより小さな値となる。
【0067】
このように比較対象顧客のデータも利用することで、参照対象顧客の売買傾向の中の特に着目したいタイミング、すなわち比較対象顧客と異なる傾向を示しているタイミングの数値を強調することができる。
【0068】
-算出例3-
当該例では、「参照対象顧客が所定期間に比べて、どの程度、売りを増やしているか/減らしているか」、すなわち所定期間の売り傾向との比較結果に基づき、各単位期間の売り傾向の強さを算出する。
【0069】
所定期間に比べて売りを増やしている度合いが大きいほど、売り傾向の強さを示す数値を大きくする。そして、所定期間に比べて売りを減らしている度合いが大きいほど、売り傾向の強さを示す数値を小さくする。
【0070】
所定期間は、直近数日でもよいし、直近数カ月でもよいし、直近1年でもよいし、その他でもよい。詳細は、算出例1と同様である。
【0071】
-算出例4-
当該例では、「参照対象顧客が所定期間に比べて、どの程度、売りを増やしているか/減らしているか」、及び「比較対象顧客が所定期間に比べて、どの程度、売りを増やしているか/減らしているか」に基づき、参照対象顧客の売り傾向の強さを算出する。
【0072】
参照対象顧客が所定期間に比べて売りを増やしている度合いが大きいほど、参照対象顧客の売り傾向の強さを示す数値を大きくする。この場合、比較対象顧客が所定期間に比べて売りを増やしている度合いが小さいほど、参照対象顧客の売り傾向の強さを示す数値を大きくする。
【0073】
そして、参照対象顧客が所定期間に比べて売りを減らしている度合いが大きいほど、参照対象顧客の売り傾向の強さを示す数値を小さくする。この場合、比較対象顧客が所定期間に比べて売りを減らしている度合いが小さいほど、参照対象顧客の売り傾向の強さを示す数値を小さくする。
【0074】
所定期間は、直近数日でもよいし、直近数カ月でもよいし、直近1年でもよいし、その他でもよい。詳細は、算出例2と同様である。
【0075】
このように比較対象顧客のデータも利用することで、参照対象顧客の売買傾向の中の特に着目したいタイミング、すなわち比較対象顧客と異なる傾向を示しているタイミングの数値を強調することができる。
【0076】
-参照対象顧客売買傾向時系列データで示される各タイミングの売買傾向の原因を推定する処理-
算出部22は、特定部21により特定された複数の参照対象顧客の過去の投資商品取引データと、複数の判断材料項目各々の過去の状態値とに基づき、参照対象顧客売買傾向時系列データで示される各タイミングの売買傾向の原因を推定する。
【0077】
判断材料項目は、投資商品の売買の決定に影響し得るものである。判断材料項目は、投資商品毎に異なる。投資商品が株の場合の判断材料項目は、例えば、株価チャートから求められる移動平均乖離(5日)、移動平均乖離(25日)、移動平均乖離(75日)、ゴールデンクロス(5日と25日移動平均線)、デッドクロス(5日と25日移動平均線)等である。その他、投資商品が株の場合の判断材料項目は、会社に関する各種情報であり、設立からの年数、市場、上場からの日数、業種、通期売上高、通期営業利益、通期経常利益、通期最終益、通期売上高前年比、通期営業利益前年比、通期経常利益前年比、通期最終益前年比、ニュース件数、週間ニュース件数、適時開示件数、週間適時開示件数、予想PER(株価収益率)、予想EPS(1株当たり利益)、予想ROE(売上高経常利益率)、予想配当利回り、実績配当利回り、実績配当性向、実績PBR(株価純資産倍率)、実績BPS(1株当たり純資産)等が例示される。なお、ここでの例示はあくまで一例であり、これらに限定されない。
【0078】
ここで、各タイミングの売買傾向の原因を推定する処理を説明する。算出部22は、これらの「判断材料項目の過去の状態値」から、上記「参照対象顧客売買傾向時系列データ」を回帰するモデルを利用して、各タイミングの売買傾向の原因を推定する。
図1の(4-2)のように1日単位で参照対象顧客の買い傾向及び売り傾向の強さを示す数値を算出する場合、算出部22は、1日単位で、各日の買い傾向の強さとなった原因、及び売り傾向の強さとなった原因を推定する。
【0079】
当該モデルは、特許文献4に開示の学習手段を利用して実現される。当該モデルは、複数の参照対象顧客の過去の投資商品取引データ(目的変数)と、複数の判断材料項目各々の過去の状態値(説明変数)とを教師データとした学習で生成される。当該モデルによれば、予め、上記判断材料項目の1つ又は複数を組み合わせて生成された多数のルールの中から、上記「参照対象顧客売買傾向時系列データ」の回帰によく寄与するルールを特定することができる。上記ルールは、例えば「通期経常利益前年比が5%以上」や、「通期経常利益前年比が5%以上かつ業種がサービス業」等が例示されるが、これらに限定されない。
【0080】
「情報提供サーバの構成」
次に、情報提供サーバの構成を説明する。上述の通り、情報提供サーバは、顧客のリクエストに応じて所定の情報を顧客の端末に送信する装置である。
【0081】
<ハードウエア構成>
情報提供サーバのハードウエア構成の一例を説明する。
図2は、情報提供サーバのハードウエア構成例を示す図である。情報提供サーバが備える各機能部は、任意のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、メモリにロードされるプログラム、そのプログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット(あらかじめ装置を出荷する段階から格納されているプログラムのほか、CD(Compact Disc)等の記憶媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムをも格納できる)、ネットワーク接続用インターフェイスを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0082】
図2に示すように、情報提供サーバは、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、バス5Aを有する。周辺回路4Aには、様々なモジュールが含まれる。情報提供サーバは、周辺回路4Aを有さなくてもよい。なお、情報提供サーバは物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成されてもよいし、物理的及び論理的に一体となった1つの装置で構成されてもよい。前者の場合、情報提供サーバを構成する複数の装置各々が上記ハードウエア構成を備えることができる。
【0083】
<機能構成>
情報提供サーバの機能構成を説明する。
図6に、情報提供サーバ10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、情報提供サーバ10は、通信部11と、出力部12と、画面生成部13と、第1の記憶部14とを有する。
【0084】
通信部11は、インターネット等の通信ネットワークを介して、顧客端末と通信する。顧客端末は、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、スマートウォッチ等であるが、これらに限定されない。
【0085】
第1の記憶部14には、算出部22の算出結果が記憶されている。画面生成部13は、顧客からのリクエストに応じて、第1の記憶部14に記憶されているデータを用いて、所定の情報を含む画面を生成する。出力部12は、画面生成部13が生成した画面を、通信部11を介して顧客端末に送信(出力)する。結果、顧客端末に当該画面が表示される。当該画面の送受信は、例えばウェブページやアプリケーションを介して実現される。
【0086】
図1に、顧客端末に表示された画面の一例を示す。
図1は、投資商品が株である場合の画面の一例を示す。
【0087】
図1の(1)には、顧客により指定された銘柄の名称、現在の株価、株価の前日比、顧客が保有している株数、評価額合計、及び評価損益合計が表示されている。
【0088】
図1の(2)には、顧客が過去に売買した銘柄の中から所望の銘柄を選択するためのUI(user interface)部品が表示されている。
【0089】
図1の(3)には、顧客により指定された銘柄における過去の取引履歴が表示されている。
【0090】
図1の(4)には、顧客により指定された銘柄(投資商品)の時系列な価格の変化を示す価格チャート(
図1の(4-1))と、複数の参照対象顧客の当該銘柄の売買傾向を時系列に示す参照対象顧客売買傾向時系列データ(
図1の(4-2))とが並べて表示されている。データ処理装置20が算出したデータに基づき、
図1の(4-2)に示すグラフ表示が実現される。図示する例では、価格チャートと参照対象顧客売買傾向時系列データとは同じ時系列で表示されている。すなわち、表示される期間、メモリの単位、メモリの間隔、各メモリの値等は一致する。そして、同じ日時のデータが縦方向に並ぶように価格チャート及び参照対象顧客売買傾向時系列データが上下に並んで表示されている。
【0091】
なお、
図1の(4-2)では、「売り」と「買い」とを選択可能なUI部品が表示されている。そして、
図1の(4-2)では、「買い」が選択され、複数の参照対象顧客の買い傾向を時系列に示す参照対象顧客売買傾向時系列データが表示されている。「売り」が選択されると、
図1の(4-2)のグラフの内容は、複数の参照対象顧客の売り傾向を時系列に示す参照対象顧客売買傾向時系列データに切り替わる。このように、複数の参照対象顧客の買い傾向を時系列に示す参照対象顧客売買傾向時系列データと、複数の参照対象顧客の売り傾向を時系列に示す参照対象顧客売買傾向時系列データと、が別々に表示される。
【0092】
図1の(5)には、顧客により指定されたタイミングの参照対象顧客の買い傾向の原因と推定される判断材料項目及びその状態値が示されている。データ処理装置20が算出したデータに基づき、
図1の(5)に示す表示が実現される。
【0093】
図では、2019年6月3日が指定されている。例えば、
図1の(4-2)のグラフ上で1つの棒グラフを選択する操作により、上記タイミングの指定がなされるように構成されてもよい。
【0094】
図1の(5)では、多数のルールの中から特定された「参照対象顧客売買傾向時系列データ」の回帰によく寄与するルールと、各ルールが回帰に寄与する度合いを示す寄与度とが対になって表示されている。図では、3つのルールと、各々の寄与度とが表示されている。寄与度の値が大きいほど、各ルールが参照対象顧客売買傾向時系列データの回帰に寄与した度合いが大きいことを示す。
【0095】
なお、図では3つのルールを表示しているが、ここに表示するルールの数は設計的事項である。画面生成部13は、見やすさの観点から、回帰に寄与した複数のルールの中から、画面表示するルールを適切に選択する手段を備えてもよい。
【0096】
例えば、画面生成部13は、「寄与度が大きいものから所定数のルールを選択」という条件に基づき、画面表示するルールを選択してもよい。
【0097】
その他、画面生成部13は、内容が似ているルールを重ねて選択しない手段を備えてもよい。例えば、画面生成部13は、「判断材料項目の一部又は全部が一致するルールを重ねて選択しない」という条件に基づき、画面表示するルールを選択してもよい。判断材料項目の一部又は全部が一致するルールは、例えば「通期経常利益前年比が5%以上」と「通期経常利益前年比が10%以上」等である。これら2つのルールは、ともに、判断材料項目が「通期経常利益前年比」であり完全に一致する。
【0098】
その他、画面生成部13は、参照対象顧客売買傾向時系列データの回帰に寄与した複数のルールの中の、比較対象顧客が着目していないと考えられるルールを選択してもよい。
【0099】
当該例の場合、データ処理装置20の算出部22は、参照対象顧客売買傾向時系列データの生成方法と同様の手法で、比較対象顧客売買傾向時系列データを生成する。参照対象顧客売買傾向時系列データの生成には、参照対象顧客の過去の投資商品取引データを利用するが、比較対象顧客売買傾向時系列データの生成には、比較対象顧客の過去の投資商品取引データを利用する。
【0100】
そして、データ処理装置20の算出部22は、参照対象顧客売買傾向時系列データで示される各タイミングの売買傾向の原因を推定する処理と同様の手法で、比較対象顧客売買傾向時系列データで示される各タイミングの売買傾向の原因を推定する。
【0101】
そして、画面生成部13は、参照対象顧客売買傾向時系列データの回帰に寄与した複数のルールの中の、比較対象顧客売買傾向時系列データの回帰に寄与した複数のルールの中に含まれないルールを選択する。
【0102】
<作用効果>
本実施形態の情報提供サーバ10及びデータ処理装置20によれば、
図1の(4)に示すように、投資商品の時系列な価格の変化を示すデータ(
図1の(4-1))と、売買タイミングが参考になる参照対象顧客の売買傾向を時系列に示すデータ(
図1の(4-2))とを並べて表示した画面を顧客に提供することができる。この画面により、顧客は、投資商品の価格の変化と、参照対象顧客の売買傾向との関係性を学ぶことができる。
【0103】
また、情報提供サーバ10及びデータ処理装置20によれば、
図1の(5)に示すように、顧客により指定されたタイミングの参照対象顧客の売買傾向の原因と推定される判断材料項目及びその状態値を表示した画面を顧客に提供することができる。この画面により、顧客は、参照対象顧客がどのような判断材料に基づき売買タイミングを決定しているか等を学ぶことができる。
【0104】
また、情報提供サーバ10及びデータ処理装置20によれば、参照対象顧客の投資商品取引データのみならず、売買タイミングが参考にならない比較対象顧客の投資商品取引データをも利用して、上記画面を生成することができる。比較対象顧客と対比することで、参照対象顧客の特に特徴的な部分(売買傾向や判断材料)が顕著になり、その顕著な内容を顧客に提示することが可能となる。
【0105】
なお、本明細書において、「取得」とは、ユーザ入力に基づき、又は、プログラムの指示に基づき、「自装置が他の装置や記憶媒体に格納されているデータを取りに行くこと(能動的な取得)」、たとえば、他の装置にリクエストまたは問い合わせして受信すること、他の装置や記憶媒体にアクセスして読み出すこと等、および、ユーザ入力に基づき、又は、プログラムの指示に基づき、「自装置に他の装置から出力されるデータを入力すること(受動的な取得)」、たとえば、配信(または、送信、プッシュ通知等)されるデータを受信すること、また、受信したデータまたは情報の中から選択して取得すること、及び、「データを編集(テキスト化、データの並び替え、一部データの抽出、ファイル形式の変更等)などして新たなデータを生成し、当該新たなデータを取得すること」の少なくともいずれか一方を含む。
【0106】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下に限られない。
1. 参照基準を満たす複数の参照対象顧客の過去の投資商品取引データに基づき銘柄毎に算出された前記複数の参照対象顧客の売買傾向を時系列に示す参照対象顧客売買傾向時系列データと、投資商品の時系列な価格の変化を示す価格チャートとを並べて表示した画面を出力する出力手段を有する情報提供サーバ。
2. 前記出力手段は、
前記複数の参照対象顧客の買い傾向を時系列に示す前記参照対象顧客売買傾向時系列データと、
前記複数の参照対象顧客の売り傾向を時系列に示す前記参照対象顧客売買傾向時系列データと、
を別々に表示する画面を出力する1に記載の情報提供サーバ。
3. 前記参照基準は、参照期間内の評価損益を用いて定義される1又は2に記載の情報提供サーバ。
4. 前記参照基準は、参照期間内の一日当たりの売買回数、参照期間内の売買回数の合計、及び参照期間内に売買した銘柄の数の少なくとも1つをさらに用いて定義される3に記載の情報提供サーバ。
5. 前記参照対象顧客売買傾向時系列データは、前記複数の参照対象顧客の過去の投資商品取引データに加えて、比較基準を満たす複数の比較対象顧客の過去の投資商品取引データに基づき算出される1から4のいずれかに記載の情報提供サーバ。
6. 前記出力手段は、
前記複数の参照対象顧客の過去の投資商品取引データと、複数の判断材料項目各々の過去の状態値とに基づき、前記参照対象顧客売買傾向時系列データで示される各タイミングの売買傾向の原因と推定された前記判断材料項目及び前記状態値を示した画面を出力する1から5のいずれかに記載の情報提供サーバ。
7. 前記出力手段は、
前記参照対象顧客売買傾向時系列データと、前記価格チャートとを同じ時系列で表示した前記画面を出力する1から6のいずれかに記載の情報提供サーバ。
8. コンピュータが、
参照基準を満たす複数の参照対象顧客の過去の投資商品取引データに基づき銘柄毎に算出された前記複数の参照対象顧客の売買傾向を時系列に示す参照対象顧客売買傾向時系列データと、投資商品の時系列な価格の変化を示す価格チャートとを並べて表示した画面を出力する情報提供方法。
9. コンピュータを、
参照基準を満たす複数の参照対象顧客の過去の投資商品取引データに基づき銘柄毎に算出された前記複数の参照対象顧客の売買傾向を時系列に示す参照対象顧客売買傾向時系列データと、投資商品の時系列な価格の変化を示す価格チャートとを並べて表示した画面を出力する出力手段として機能させるプログラム。
10. 複数の顧客の中から、参照基準を満たす複数の参照対象顧客を特定する特定手段と、
前記複数の参照対象顧客の過去の投資商品取引データに基づき、銘柄毎に前記複数の参照対象顧客の売買傾向を時系列に示す参照対象顧客売買傾向時系列データを算出する算出手段と、
を有するデータ処理装置。
11. 前記特定手段は、前記複数の顧客の中から、比較基準を満たす複数の比較対象顧客をさらに特定し、
前記算出手段は、前記複数の参照対象顧客の過去の投資商品取引データと、前記複数の比較対象顧客の過去の投資商品取引データとに基づき、前記参照対象顧客売買傾向時系列データを算出する10に記載のデータ処理装置。
【0107】
この出願は、2021年2月19日に出願された日本出願特願2021-024931号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0108】
10 情報提供サーバ
11 通信部
12 出力部
13 画面生成部
14 第1の記憶部
20 データ処理装置
21 特定部
22 算出部
23 第2の記憶部
1A プロセッサ
2A メモリ
3A 入出力I/F
4A 周辺回路
5A バス