(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】検出システム、検出装置、及び検出方法
(51)【国際特許分類】
E02B 3/00 20060101AFI20241022BHJP
E02D 17/18 20060101ALI20241022BHJP
G08B 21/10 20060101ALI20241022BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
E02B3/00
E02D17/18 Z
G08B21/10
G08B25/00 510M
(21)【出願番号】P 2023527189
(86)(22)【出願日】2021-06-08
(86)【国際出願番号】 JP2021021661
(87)【国際公開番号】W WO2022259346
(87)【国際公開日】2022-12-15
【審査請求日】2023-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】依田 幸英
(72)【発明者】
【氏名】森 洸遥
(72)【発明者】
【氏名】岩野 忠行
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-292530(JP,A)
【文献】特開2000-046597(JP,A)
【文献】特開2007-127534(JP,A)
【文献】国際公開第2021/029186(WO,A1)
【文献】特開2007-101274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/00
E02D 17/18
G08B 21/10
G08B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川の堤防又はその付近に埋設された光ファイバと、
前記光ファイバから、前記光ファイバが露出したことを示すパターンを含む光信号を受信する通信部と、
前記パターンに基づいて、前記堤防の決壊を検出する検出部と、
を備え
、
前記検出部は、前記光信号に含まれる、前記光ファイバが露出したことを示す振動パターンに基づいて、前記堤防の決壊を検出する、
検出システム。
【請求項2】
前記検出部は、前記光信号に基づいて、前記堤防の決壊が発生した位置を特定する、
請求項
1に記載の検出システム。
【請求項3】
前記河川及び前記堤防を監視するためのカメラと、
前記堤防の決壊が発生した位置を撮影するよう前記カメラを制御するカメラ制御部と、
をさらに備える、
請求項
2に記載の検出システム。
【請求項4】
河川の堤防又はその付近に埋設された光ファイバから、前記光ファイバが露出したことを示すパターンを含む光信号を受信する通信部と、
前記パターンに基づいて、前記堤防の決壊を検出する検出部と、
を備え
、
前記検出部は、前記光信号に含まれる、前記光ファイバが露出したことを示す振動パターンに基づいて、前記堤防の決壊を検出する、
検出装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記光信号に基づいて、前記堤防の決壊が発生した位置を特定する、
請求項
4に記載の検出装置。
【請求項6】
前記堤防の決壊が発生した位置を撮影するよう、前記河川及び前記堤防を監視するためのカメラを制御するカメラ制御部、
をさらに備える、
請求項
5に記載の検出装置。
【請求項7】
前記堤防の決壊が発生したこと及び前記堤防の決壊が発生した位置を所定の報知先に報知する報知部、
をさらに備える、
請求項
5又は
6に記載の検出装置。
【請求項8】
検出装置による検出方法であって、
河川の堤防又はその付近に埋設された光ファイバから、前記光ファイバが露出したことを示すパターンを含む光信号を受信する受信ステップと、
前記パターンに基づいて、前記堤防の決壊を検出する検出ステップと、
を含
み、
前記検出ステップでは、前記光信号に含まれる、前記光ファイバが露出したことを示す振動パターンに基づいて、前記堤防の決壊を検出する、
検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検出システム、検出装置、及び検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、台風や暴風雨の影響により、河川の堤防が決壊する等の災害が増えている。そのため、災害対応の効率化を図るため、堤防の決壊に関する情報をリアルタイムに収集することが求められている。現状では、カメラ映像の目視や直接的な目視により、堤防の決壊の有無の確認を行っている。
【0003】
しかし、目視による確認は、一度に確認できる範囲が局所的になってしまう。また、目視による確認は、天候(荒天等)や時間帯(夜間等)によっては、堤防の状態を正確に判断することが難しい場合もある。
そのため、目視によらず、広範囲でかつリアルタイムに堤防の状態を確認することが必要となっている。
【0004】
その一方、最近は、光ファイバをセンサとして使用し、広範囲でかつリアルタイムなセンシングが可能な光ファイバセンシングと呼ばれる技術が注目を集めており、光ファイバセンシングを利用した様々な提案がなされている。
【0005】
例えば、特許文献1に記載の技術では、土手の長手方向に延びるように、光ファイバを土中に埋設する。そして、光ファイバにパルス光を入力した時に光ファイバから出力される散乱光を検出することにより、光ファイバの各位置における歪み量を算出する。光ファイバの各位置における歪み量は、土砂の移動量の増加に対応して増加する。そのため、上記で算出された各位置における歪み量に基づいて、土砂災害の発生を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の技術は、土砂災害の発生を検出する技術であり、堤防の決壊を検出することはできない。
【0008】
そこで本開示の目的は、上述した課題を解決し、堤防の決壊を検出できる検出システム、検出装置、及び検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様による検出システムは、
河川の堤防又はその付近に埋設された光ファイバと、
前記光ファイバから、前記光ファイバが露出したことを示すパターンを含む光信号を受信する通信部と、
前記パターンに基づいて、前記堤防の決壊を検出する検出部と、
を備える。
【0010】
一態様による検出装置は、
河川の堤防又はその付近に埋設された光ファイバから、前記光ファイバが露出したことを示すパターンを含む光信号を受信する通信部と、
前記パターンに基づいて、前記堤防の決壊を検出する検出部と、
を備える。
【0011】
一態様による検出方法は、
検出装置による検出方法であって、
河川の堤防又はその付近に埋設された光ファイバから、前記光ファイバが露出したことを示すパターンを含む光信号を受信する受信ステップと、
前記パターンに基づいて、前記堤防の決壊を検出する検出ステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0012】
上述の態様によれば、堤防の決壊を検出できる検出システム、検出装置、及び検出方法を提供できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1に係る検出システムのイメージ例を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係る検出システムの構成例を示す図である。
【
図4】越水及び堤防の決壊により光ファイバが露出した時の堤防の例を示す断面図である。
【
図5】越水及び堤防の決壊により光ファイバが露出した時の堤防の例を示す断面図である。
【
図6】実施の形態1に係る通信部が受信した光信号に含まれる振動パターンの例を示す図である。
【
図7】実施の形態1に係る通信部が受信した光信号に含まれる振動パターンの例を示す図である。
【
図8】実施の形態1に係る通信部が受信した光信号に含まれる振動パターンの周波数特性の例を示す図である。
【
図9】実施の形態1に係る通信部が受信した光信号に含まれる振動パターンの周波数特性の例を示す図である。
【
図10】実施の形態1に係る検出システムの全体的な動作の流れの例を示すフロー図である。
【
図11】実施の形態2に係る検出システムの構成例を示す図である。
【
図12】実施の形態2に係る報知部が所定の端末に表示させるGUI画面の例を示す図である。
【
図13】実施の形態2に係る検出システムの全体的な動作の流れの例を示すフロー図である。
【
図14】実施の形態3に係る検出システムの構成例を示す図である。
【
図15】実施の形態3に係るカメラ制御部が保持するカメラ情報の例を示す図である。
【
図16】実施の形態3に係る検出システムの全体的な動作の流れの例を示すフロー図である。
【
図17】他の実施の形態に係る検出システムの構成例を示す図である。
【
図18】実施の形態に係る検出装置を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の記載及び図面は、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、以下の各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0015】
<実施の形態1>
まず、
図1を参照して、本実施の形態1に係る検出システムのイメージ例について説明する。
図1に示されるように、本実施の形態1に係る検出システムは、河川10の堤防20又はその付近に埋設された光ファイバ30を備えている。
図1の例では、光ファイバ30は、堤防20に沿って、堤防20に埋設されている。なお、
図1は、河川10の水Wが堤防20を越えて越水し、堤防20の脇の道路に流れ出ている様子を示している。
【0016】
また、光ファイバ30は、一端がセンシング機器40に接続され、センシング機器40は、検出装置50に接続されている。センシング機器40と検出装置50との間は、有線通信路又は無線通信路のいずれかを介して接続されていれば良い。検出装置50は、センシング機器40から離れた場所に設置することができ、例えば、クラウド上に配置することができる。
【0017】
次に、
図2及び
図3を参照して、本実施の形態1に係る検出システムの構成例について説明する。なお、
図2及び
図3では、正常時の堤防20が断面図で示されており、
図2は、河川10に対して平行な断面図、
図3は、河川10に対して垂直な断面図である。
【0018】
図2及び
図3に示されるように、本実施の形態1に係る検出システムは、上述したように、光ファイバ30、センシング機器40、及び検出装置50を備えている。また、センシング機器40は、通信部41を備え、検出装置50は、検出部51を備えている。
【0019】
通信部41は、光ファイバ30にパルス光を入射し、パルス光が光ファイバ30を伝送されることに伴い発生した反射光や散乱光を、光ファイバ30を経由して、光信号として受信する。
【0020】
ここで、
図4及び
図5に示されるように、河川10の水Wの越水により堤防20が決壊し、堤防20の決壊により光ファイバ30が露出する場合がある。なお、
図4及び
図5では、越水及び堤防20の決壊により光ファイバ30が露出した時の堤防20が断面図で示されており、
図4は、河川10に対して平行な断面図、
図5は、河川10に対して垂直な断面図である。
【0021】
光ファイバ30が露出すると、越水した水Wが光ファイバ30に直接当たることで、光ファイバ30に振動が発生する。この振動により、光ファイバ30を伝送される光信号の特性(例えば、波長)が変化する。そのため、光ファイバ30は、光ファイバ30の露出により発生した振動を検知可能である。また、光ファイバ30を伝送される光信号は、光ファイバ30の露出により発生した振動に応じて特性が変化することから、光ファイバ30が露出したことを示す振動パターンを含んでいる。この振動パターンは、振動の強弱、振動位置、振動数の変動の推移等が異なる固有のパターンとなる。
【0022】
また、光ファイバ30が露出すると、越水した水Wが光ファイバ30に直接当たることで、光ファイバ30の温度が変化する。この温度変化によっても、光ファイバ30を伝送される光信号の特性が変化する。そのため、光ファイバ30を伝送される光信号は、光ファイバ30が露出したことを示す温度パターンも含んでいる。
【0023】
そのため、検出部51は、通信部41が受信した光信号に含まれる振動パターン又は温度パターンの動的変化を分析し、光ファイバ30が露出したことを示す振動パターン又は温度パターンが含まれていれば、光ファイバ30が露出したこと、すなわち、堤防20が決壊したことを検出することが可能となる。
【0024】
そこで、検出部51は、通信部41が受信した光信号に含まれる、光ファイバ30が露出したことを示す振動パターン又は温度パターンに基づいて、堤防20の決壊を検出する。
以下、検出部51において、堤防20の決壊を検出する方法の例について説明する。
【0025】
(1)第1の方法
まず、
図6を参照して、検出部51において、堤防20の決壊を検出する第1の方法について説明する。
図6は、河川10に意図的に水Wを注水した時に、通信部41が受信した光信号に含まれる振動パターンの例を示しており、横軸が堤防20上の位置(センシング機器40からの距離)、縦軸が振動の時間経過を示している。
【0026】
例えば、検出部51は、通信部41が光ファイバ30にパルス光を入射した時刻と、通信部41が光ファイバ30から光信号を受信した時刻と、の時間差に基づいて、その光信号に含まれる振動パターンが発生した堤防20上の位置(センシング機器40からの距離)を特定することが可能となる。
【0027】
図6に示されるように、時刻t1において、河川10への水Wの注水を開始すると、時刻t2において、河川10の水Wの越水が開始される。
すると、時刻t3において、堤内の光ファイバ30が露出し、越水した水Wが堤内の光ファイバ30に直接当たることで、弱い振動が発生する。
次に、時刻t4において、今度は堤外の光ファイバ30が露出し、水Wが堤外の光ファイバ30に直接当たることで、強い振動が発生する。
上記で発生した振動は、以降、堤内外の光ファイバ30に水Wが当たらなくなる時刻t5まで継続して発生する。
その後、時刻t6において、河川10への水Wの注水を終了する。
【0028】
図6に示されるように、光ファイバ30が露出し、越水した水Wが光ファイバ30に直接当たっている場合には、振動が時間的に継続して発生している。
そのため、
図6の例では、検出部51は、光ファイバ30が露出したこと、すなわち、堤防20が決壊したことを検出できる。また、検出部51は、上述したように、光信号に含まれる振動パターンが発生した堤防20上の位置(センシング機器40からの距離)を特定できるため、決壊が発生した堤防20上の位置(センシング機器40からの距離)を特定できる。
【0029】
(2)第2の方法
次に、
図7~
図9を参照して、検出部51において、堤防20の決壊を検出する第2の方法について説明する。
図7は、通信部41が受信した光信号に含まれる振動パターンであって、堤防20上のある位置における振動パターンの例を示しており、横軸が時間、縦軸が振動強度を示している。また、
図8及び
図9は、通信部41が受信した光信号に含まれる振動パターンであって、堤防20上のある位置における振動パターンの周波数特性を示しており、横軸が周波数、縦軸が振動強度を示している。また、
図8は、堤防20が正常である場合の振動パターンの例を示し、
図9は、堤防20が異常(ここでは、堤防20の決壊により光ファイバ30が露出)である場合の振動パターンの例を示している。
【0030】
図8及び
図9に示される振動パターンにおいては、振動強度のピークが発生する。振動強度のピークの大きさ及びこのピークが発生する周波数が、堤防20の状態に応じて異なっている。具体的には、堤防20の決壊により光ファイバ30が露出している状態(
図9)では、堤防20が正常である状態(
図8)と比較して、振動強度のピークの大きさが大きく、また、このピークが発生する周波数が高周波側にシフトしている。
【0031】
そのため、検出部51は、振動強度のピークの大きさ及びこのピークが発生する周波数に基づいて、光ファイバ30が露出しているか否か、すなわち、堤防20が決壊しているか否かを判断する。例えば、検出部51は、堤防20が正常である状態(
図8)の振動強度のピークの大きさ及びこのピークが発生する周波数の情報を保持し、保持している情報との比較により、堤防20が決壊しているか否かを判断する。
【0032】
図9の例では、保持している情報(
図8の情報)と比較すると、振動強度のピークの大きさが大きく、また、このピークが発生する周波数が高周波側にシフトしている。そのため、検出部51は、堤防20が決壊したことを検出できる。また、検出部51は、決壊が発生した堤防20上の位置(センシング機器40からの距離)を特定できる。
【0033】
続いて、
図10を参照して、本実施の形態1に係る検出システムの全体的な動作の流れの例について説明する。
図10に示されるように、まず、通信部41は、河川10の堤防20又はその付近に埋設された光ファイバ30から、光ファイバ30が露出したことを示すパターンを含む光信号を受信する(ステップS11)。
【0034】
次に、検出部51は、通信部41が受信した光信号に含まれる、光ファイバ30が露出したことを示すパターンに基づいて、堤防20の決壊を検出する(ステップS12)。この検出は、例えば、上述した第1又は第2の方法のいずれかを用いて、行えば良い。
【0035】
上述したように本実施の形態1によれば、通信部41は、河川10の堤防20又はその付近に埋設された光ファイバ30から、光ファイバ30が露出したことを示すパターンを含む光信号を受信する。検出部51は、通信部41が受信した光信号に含まれる、光ファイバ30が露出したことを示すパターンに基づいて、堤防20の決壊を検出する。これにより、堤防20の決壊を検出できるようになる。
【0036】
また、検出部51は、通信部41が受信した光信号に基づいて、堤防20の決壊が発生した位置を特定しても良い。これにより、堤防20の決壊が発生した位置も特定できるようになる。
【0037】
<実施の形態2>
続いて、
図11を参照して、本実施の形態2に係る検出システムの構成例について説明する。
図11に示されるように、本実施の形態2に係る検出システムは、上述した実施の形態1の構成と比較して、検出装置50の内部に報知部52が追加されている点が異なる。なお、
図11では、正常時の堤防20が、河川10に対して平行な断面図で示されている。
【0038】
報知部52は、検出部51が堤防20の決壊を検出すると共に、堤防20の決壊が発生した位置を特定した場合に、堤防20の決壊が発生したこと及び決壊が発生した位置を所定の端末(不図示)に報知する。所定の端末は、例えば、現地にいる監視員が所持する端末や、監視センターに設置された端末等である。報知方法は、例えば、所定の端末のディスプレイやモニター等にGUI(Graphical User Interface)画面を表示する方法でも良いし、所定の端末のスピーカからメッセージを音声出力する方法でも良い。
【0039】
例えば、報知部52は、GUI画面の表示により、上記の報知を行う場合、以下のように動作する。報知部52は、光ファイバ30の敷設位置を示す情報と、地図情報と、を対応付けて予め保持しておく。検出部51が堤防20の決壊を検出し、その決壊が発生した位置を特定した場合、報知部52は、検出部51が特定した決壊発生位置を地図上に重畳したGUI画面を、所定の端末に表示させる。このGUI画面の例を
図12に示す。
図12に示されるGUI画面では、光ファイバ30の敷設位置、決壊が発生した可能性があることを示すメッセージ、及び、決壊の発生位置を、地図上に重畳している。
【0040】
続いて、
図13を参照して、本実施の形態2に係る検出システムの全体的な動作の流れの例について説明する。
図13に示されるように、まず、通信部41は、河川10の堤防20又はその付近に埋設された光ファイバ30から、光ファイバ30が露出したことを示すパターンを含む光信号を受信する(ステップS21)。
【0041】
次に、検出部51は、通信部41が受信した光信号に含まれる、光ファイバ30が露出したことを示すパターンに基づいて、堤防20の決壊の検出を試みる(ステップS22)。
【0042】
検出部51は、ステップS22で堤防20の決壊を検出した場合(ステップS22のYes)、続いて、通信部41が受信した光信号に基づいて、堤防20の決壊が発生した位置を特定する(ステップS23)。
【0043】
その後、報知部52は、堤防20の決壊が発生したこと及び決壊が発生した位置を所定の端末に報知する(ステップS24)。この報知は、例えば、
図12に示されるようなGUI画面を用いて、行えば良い。
【0044】
上述したように本実施の形態2によれば、報知部52は、検出部51が堤防20の決壊を検出し、その決壊が発生した位置を特定した場合に、堤防20の決壊が発生したこと及び決壊が発生した位置を所定の端末に報知する。これにより、例えば、監視員等に、堤防20の決壊が発生したこと及び決壊が発生した位置を知らせることができる。
その他の効果は、上述した実施の形態1と同様である。
【0045】
<実施の形態3>
続いて、
図14を参照して、本実施の形態3に係る検出システムの構成例について説明する。なお、
図14では、正常時の堤防20が、河川10に対して平行な断面図で示されている。
【0046】
図14に示されるように、本実施の形態3に係る検出システムは、上述した実施の形態1の構成と比較して、カメラ60が追加されている点と、検出装置50の内部にカメラ制御部53が追加されている点と、が異なる。
【0047】
カメラ60は、河川10及び堤防20を監視するためのカメラであり、例えば、固定カメラ、PTZ(Pan Tilt Zoom)カメラ等で実現される。カメラ60は、カメラ制御部53から撮影指示を無線で受信する機能と、撮影指示に従って撮影を行う機能と、撮影したカメラ映像をカメラ制御部53に無線で送信する機能と、を備えている。なお、カメラ60は、1台以上設置されていれば良く、カメラ60の台数は特に限定されない。
【0048】
カメラ制御部53は、
図15に示されるように、カメラ60の識別子及び撮影可能エリア等を示すカメラ情報を保持する。
図15は、3台のカメラ60が設置されている場合のカメラ情報の例であり、撮影可能エリアは、センシング機器40からの距離で表されている。
【0049】
カメラ制御部53は、検出部51が堤防20の決壊を検出すると共に、堤防20の決壊が発生した位置を特定した場合、
図15に示されるようなカメラ情報に基づいて、決壊が発生した位置を含むエリアを撮影するカメラ60を選択し、選択したカメラ60で決壊が発生した位置を撮影するよう制御する。例えば、カメラ制御部53は、選択したカメラ60に対し、決壊が発生した位置を撮影するためのカメラ60の角度(方位角、仰角)及びズーム倍率等を指定した撮影指示を送信する。撮影指示を受信したカメラ60は、撮影指示に従って、決壊が発生した位置を撮影し、撮影したカメラ映像をカメラ制御部53に送信する。
【0050】
そのため、検出部51は、堤防20の決壊を検出した場合、堤防20の決壊が発生した位置を撮影したカメラ映像を取得できるため、カメラ映像に基づいて、堤防20の決壊の詳細(例えば、決壊の詳細な内容や程度等)を検出できるようになる。
【0051】
続いて、
図16を参照して、本実施の形態3に係る検出システムの全体的な動作の流れの例について説明する。
図16に示されるように、まず、
図13のステップS21~S23と同様のステップS31~S33が行われる。
その後、カメラ制御部53は、堤防20の決壊が発生した位置を含むエリアを撮影するカメラ60を選択し、選択したカメラ60で決壊が発生した位置を撮影するよう制御する(ステップS34)。
【0052】
上述したように本実施の形態3によれば、カメラ制御部53は、検出部51が堤防20の決壊を検出し、その決壊が発生した位置を特定した場合に、カメラ60で決壊が発生した位置を撮影するよう制御する。これにより、検出部51は、カメラ映像に基づいて、堤防20の決壊の詳細(例えば、決壊の詳細な内容や程度等)を検出できるようになる。
【0053】
なお、本実施の形態3は、上述した実施の形態1を変形した例として説明したが、これには限定されない。本実施の形態3は、上述した実施の形態2を変形した例とすることも可能である。
【0054】
<他の実施の形態>
上述した実施の形態では、検出装置50から通信部41を分離しているが、これには限定されない。検出装置50の内部に通信部41を設けても良い。
図17は、検出装置50の内部に通信部41を設けた検出システムの構成例を示している。なお、
図17に示される検出システムは、上述した実施の形態2のように、検出装置50の内部に報知部52を追加しても良いし、上述した実施の形態3のように、カメラ60を追加すると共に、検出装置50の内部にカメラ制御部53を追加しても良い。
【0055】
<検出装置のハードウェア構成>
続いて、
図18を参照して、上述した実施の形態に係る検出装置50を実現するコンピュータ70のハードウェア構成例について説明する。
【0056】
図18に示されるように、コンピュータ70は、プロセッサ71、メモリ72、ストレージ73、入出力インタフェース(入出力I/F)74、及び通信インタフェース(通信I/F)75等を備える。プロセッサ71、メモリ72、ストレージ73、入出力インタフェース74、及び通信インタフェース75は、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路で接続されている。
【0057】
プロセッサ71は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置である。メモリ72は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等のメモリである。ストレージ73は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はメモリカード等の記憶装置である。また、ストレージ73は、RAMやROM等のメモリであっても良い。
【0058】
ストレージ73は、例えば、プログラムが記憶される。このプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、上述した実施の形態で説明された検出装置50における1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。検出装置50が備える構成要素は、プロセッサ71がストレージ73に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより実現されても良い。ここで、プロセッサ71は、上述したプログラムを実行する際、プログラムをメモリ72上に読み出してから実行しても良いし、メモリ72上に読み出さずに実行しても良い。また、メモリ72やストレージ73は、検出装置50が備える構成要素が保持する情報やデータを記憶する役割も果たす。
【0059】
また、上述したプログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されても良い。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、SSD又はその他のメモリ技術、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。また、上述したプログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されても良い。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、又はその他の形式の伝搬信号を含む。
【0060】
入出力インタフェース74は、表示装置741、入力装置742、音出力装置743等と接続される。表示装置741は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、モニターのような、プロセッサ71により処理された描画データに対応する画面を表示する装置である。入力装置742は、オペレータの操作入力を受け付ける装置であり、例えば、キーボード、マウス、及びタッチセンサ等である。表示装置741及び入力装置742は一体化され、タッチパネルとして実現されていても良い。音出力装置743は、スピーカのような、プロセッサ71により処理された音響データに対応する音を音響出力する装置である。
【0061】
通信インタフェース75は、外部の装置との間でデータを送受信する。例えば、通信インタフェース75は、有線通信路又は無線通信路を介して外部装置と通信する。
【0062】
以上、実施の形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上述した実施の形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
例えば、上述した実施の形態は、一部又は全部を相互に組み合わせて用いても良い。
【0063】
また、上述した実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
河川の堤防又はその付近に埋設された光ファイバと、
前記光ファイバから、前記光ファイバが露出したことを示すパターンを含む光信号を受信する通信部と、
前記パターンに基づいて、前記堤防の決壊を検出する検出部と、
を備える、検出システム。
(付記2)
前記検出部は、前記光信号に含まれる、前記光ファイバが露出したことを示す振動パターンに基づいて、前記堤防の決壊を検出する、
付記1に記載の検出システム。
(付記3)
前記検出部は、前記光信号に基づいて、前記堤防の決壊が発生した位置を特定する、
付記1又は2に記載の検出システム。
(付記4)
前記河川及び前記堤防を監視するためのカメラと、
前記堤防の決壊が発生した位置を撮影するよう前記カメラを制御するカメラ制御部と、
をさらに備える、付記3に記載の検出システム。
(付記5)
前記堤防の決壊が発生したこと及び前記堤防の決壊が発生した位置を所定の報知先に報知する報知部、
をさらに備える、付記3又は4に記載の検出システム。
(付記6)
河川の堤防又はその付近に埋設された光ファイバから、前記光ファイバが露出したことを示すパターンを含む光信号を受信する通信部と、
前記パターンに基づいて、前記堤防の決壊を検出する検出部と、
を備える、検出装置。
(付記7)
前記検出部は、前記光信号に含まれる、前記光ファイバが露出したことを示す振動パターンに基づいて、前記堤防の決壊を検出する、
付記6に記載の検出装置。
(付記8)
前記検出部は、前記光信号に基づいて、前記堤防の決壊が発生した位置を特定する、
付記6又は7に記載の検出装置。
(付記9)
前記堤防の決壊が発生した位置を撮影するよう、前記河川及び前記堤防を監視するためのカメラを制御するカメラ制御部、
をさらに備える、付記8に記載の検出装置。
(付記10)
前記堤防の決壊が発生したこと及び前記堤防の決壊が発生した位置を所定の報知先に報知する報知部、
をさらに備える、付記8又は9に記載の検出装置。
(付記11)
検出装置による検出方法であって、
河川の堤防又はその付近に埋設された光ファイバから、前記光ファイバが露出したことを示すパターンを含む光信号を受信する受信ステップと、
前記パターンに基づいて、前記堤防の決壊を検出する検出ステップと、
を含む、検出方法。
(付記12)
前記検出ステップでは、前記光信号に含まれる、前記光ファイバが露出したことを示す振動パターンに基づいて、前記堤防の決壊を検出する、
付記11に記載の検出方法。
(付記13)
前記検出ステップでは、前記光信号に基づいて、前記堤防の決壊が発生した位置を特定する、
付記11又は12に記載の検出方法。
(付記14)
前記堤防の決壊が発生した位置を撮影するよう、前記河川及び前記堤防を監視するためのカメラを制御するステップ、
をさらに含む、付記13に記載の検出方法。
(付記15)
前記堤防の決壊が発生したこと及び前記堤防の決壊が発生した位置を所定の報知先に報知するステップ、
をさらに含む、付記13又は14に記載の検出方法。
【符号の説明】
【0064】
10 河川
20 堤防
30 光ファイバ
40 センシング機器
41 通信部
50 検出装置
51 検出部
52 報知部
53 カメラ制御部
60 カメラ
70 コンピュータ
71 プロセッサ
72 メモリ
73 ストレージ
74 入出力インタフェース
741 表示装置
742 入力装置
743 音出力装置
75 通信インタフェース
W 水