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特許7574942搬送システム、搬送装置、搬送方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】搬送システム、搬送装置、搬送方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20241022BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20241022BHJP
【FI】
B65G1/00 501
G05D1/43
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023547949
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(86)【国際出願番号】 JP2021033655
(87)【国際公開番号】W WO2023042242
(87)【国際公開日】2023-03-23
【審査請求日】2024-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 太一
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/064802(WO,A1)
【文献】特開平9-251317(JP,A)
【文献】特開2006-8362(JP,A)
【文献】特開2019-142417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
G05D 1/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物と、当該搬送物を搬送中の搬送車との間の距離に応じて変化するセンサ情報を取得する取得手段と、
前記センサ情報の時系列データに基づき前記搬送物の重量を推定する推定手段と、を含む、搬送システム。
【請求項2】
前記推定手段は、前記センサ情報の時系列データに基づき前記距離の変動パターンを抽出し、抽出した変動パターンに基づき前記重量を推定する、
請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記推定手段は、前記搬送車が前記搬送物の搬送を開始してから第1条件が満たされるまでの前記時系列データに基づき前記重量を推定する、
請求項1又は2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記搬送車は、第1搬送車と、前記第1搬送車と協調して前記搬送物を搬送する第2搬送車と、を含む、
請求項1から3の何れか1項に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記推定手段は、前記センサ情報の時系列データに基づいて、前記搬送物が前記第1搬送車及び前記第2搬送車の間で振動する振動パターンを抽出し、抽出した振動パターンに基づき前記重量を推定する、
請求項4に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記推定手段は、前記センサ情報の時系列データを入力として前記重量を出力する推定モデルであって、機械学習により生成された推定モデルを用いて前記重量を推定する、
請求項1から5の何れか1項に記載の搬送システム。
【請求項7】
搬送物と、当該搬送物を搬送中の搬送車との間の距離に応じて変化するセンサ情報を取得する取得手段と、
前記センサ情報の時系列データに基づき前記搬送物の重量を推定する推定手段と、を含む、搬送装置。
【請求項8】
前記推定手段は、前記センサ情報の時系列データに基づき前記距離の変動パターンを抽出し、抽出した変動パターンに基づき前記重量を推定する、
請求項7に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記推定手段は、前記搬送車が前記搬送物の搬送を開始してから第1条件が満たされるまでの前記時系列データに基づき前記重量を推定する、
請求項7又は8に記載の搬送装置。
【請求項10】
前記搬送車は、第1搬送車と、前記第1搬送車と協調して前記搬送物を搬送する第2搬送車と、を含む、
請求項7から9の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項11】
前記推定手段は、前記センサ情報の時系列データに基づいて、前記搬送物が前記第1搬送車及び前記第2搬送車の間で振動する振動パターンを抽出し、抽出した振動パターンに基づき前記重量を推定する、
請求項10に記載の搬送装置。
【請求項12】
前記推定手段は、前記センサ情報の時系列データを入力として前記重量を出力する推定モデルであって、機械学習により生成された推定モデルを用いて前記重量を推定する、
請求項7から11の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項13】
搬送物と、当該搬送物を搬送中の搬送車との間の距離に応じて変化するセンサ情報を取得すること、及び
前記センサ情報の時系列データに基づき前記搬送物の重量を推定すること、
を含む搬送方法。
【請求項14】
前記搬送物の重量を推定することにおいて、前記センサ情報の時系列データに基づき前記距離の変動パターンを抽出し、抽出した変動パターンに基づき前記重量を推定する、
請求項13に記載の搬送方法。
【請求項15】
搬送物の重量を推定することにおいて、前記搬送車が前記搬送物の搬送を開始してから第1条件が満たされるまでの前記時系列データに基づき前記重量を推定する、
請求項13又は14に記載の搬送方法。
【請求項16】
前記搬送車は、第1搬送車と、前記第1搬送車と協調して前記搬送物を搬送する第2搬送車と、を含む、
請求項13から15の何れか1項に記載の搬送方法。
【請求項17】
搬送物の重量を推定することにおいて、前記センサ情報の時系列データに基づいて、前記搬送物が前記第1搬送車及び前記第2搬送車の間で振動する振動パターンを抽出し、抽出した振動パターンに基づき前記重量を推定する、
請求項16に記載の搬送方法。
【請求項18】
搬送物の重量を推定することにおいて、前記センサ情報の時系列データを入力として前記重量を出力する推定モデルであって、機械学習により生成された推定モデルを用いて前記重量を推定する、
請求項13から17の何れか1項に記載の搬送方法。
【請求項19】
コンピュータに、
え搬送物と、当該搬送物を搬送中の搬送車との間の距離に応じて変化するセンサ情報を取得する取得処理と、
前記センサ情報の時系列データに基づき前記搬送物の重量を推定する推定処理と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物の重量を推定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送物の重量を推定する技術が知られている。例えば、特許文献1には、搬送車が搬送物を牽引する際に、搬送車に搭載された加速度センサの検出値と、搬送車の重量とに基づいて、搬送物の重量を推定する技術が記載されている。また、特許文献2には、荷物を積載した荷台を移動させる搬送車であって、所定の目標期間が経過した時点での到達速度に基づいてモータの制御定数を変更する搬送車が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2020-032982号公報
【文献】日本国特開2020-149394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、搬送車が搬送物を牽引する搬送形態が前提である。また、特許文献2に記載の技術は、搬送車が搬送物を積載する搬送形態が前提である。このように、これらの技術は、前提とする搬送形態が限定されているという課題がある。
【0005】
本発明の一態様は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一例は、より多様な搬送形態において搬送物の重量を推定する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る搬送システムは、搬送物と、当該搬送物を搬送中の搬送車との間の距離に応じて変化するセンサ情報を取得する取得手段と、前記センサ情報の時系列データに基づき前記搬送物の重量を推定する推定手段と、を含む。
【0007】
本発明の一側面に係る搬送装置は、搬送物と、当該搬送物を搬送中の搬送車との間の距離に応じて変化するセンサ情報を取得する取得手段と、前記センサ情報の時系列データに基づき前記搬送物の重量を推定する推定手段と、を含む。
【0008】
本発明の一側面に係る搬送方法は、搬送物と、当該搬送物を搬送中の搬送車との間の距離に応じて変化するセンサ情報を取得すること、及び前記センサ情報の時系列データに基づき前記搬送物の重量を推定すること、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、より多様な搬送形態において搬送物の重量を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の例示的実施形態1に係る搬送システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の例示的実施形態1に係る搬送方法の流れを示すフロー図である。
図3】本発明の例示的実施形態1に係る搬送システムの搬送形態の一例を概略的に示す図である。
図4】本発明の例示的実施形態1に係る搬送システムの搬送形態の一例を概略的に示す図である。
図5】本発明の例示的実施形態1に係る搬送システムの搬送形態の一例を概略的に示す図である。
図6】本発明の例示的実施形態1を実現する装置構成の一例を示すブロック図である。
図7】本発明の例示的実施形態1を実現する装置構成の一例を示すブロック図である。
図8】本発明の例示的実施形態1を実現する装置構成の一例を示すブロック図である。
図9】本発明の例示的実施形態2に係る搬送システムの搬送形態を概略的に示す図である。
図10】本発明の例示的実施形態2に係る搬送システムの構成を示すブロック図である。
図11】本発明の例示的実施形態2に係る搬送車の底面図である。
図12】本発明の例示的実施形態2に係るセンサ情報の時系列データの一例を表すグラフである。
図13】本発明の例示的実施形態2に係る搬送方法の流れを示すフロー図である。
図14】本発明の例示的実施形態3に係る搬送システムの搬送形態を概略的に示す図である。
図15】本発明の例示的実施形態3に係る搬送システムの構成を示すブロック図である。
図16】本発明の例示的実施形態3に係る搬送方法の流れを示すフロー図である。
図17】本発明の例示的実施形態1~3に係る搬送車、第1搬送車、第2搬送車又は管理装置として機能するコンピュータの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔例示的実施形態1〕
本発明の第1の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する例示的実施形態の基本となる形態である。
【0012】
<搬送システムの構成>
本例示的実施形態に係る搬送システム1の構成について、図1を参照して説明する。図1は、搬送システム1の構成を示すブロック図である。搬送システム1は、搬送車が搬送する搬送物の重量を推定するシステムである。搬送システム1は、取得部11及び推定部12を備える。取得部11は、本例示的実施形態において取得手段を実現する構成である。推定部12は、本例示的実施形態において推定手段を実現する構成である。
【0013】
取得部11は、搬送物と、当該搬送物を搬送中の搬送車との間の距離に応じて変化するセンサ情報を取得する。推定部12は、センサ情報の時系列データに基づき搬送物の重量を推定する。
【0014】
(搬送物)
搬送物は、搬送車が搬送する対象物であり、一例として、格子状の構造体(カゴ)に車輪がついた運搬用の台車、いわゆるカゴ車(ロールボックスパレット)である。搬送物はカゴ車に限定されるものではなく、例えば、カゴ車以外の台車、コンテナ、又は、荷物若しくは旅客を運ぶトレーラーであってもよい。
【0015】
(搬送車)
搬送車は、搬送物を搬送する搬送装置であり、一例として、自動走行する無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)である。また、搬送車は、人の運転により走行するものであってもよい。搬送車は、一例として、搬送物を搬送するための移動機構及び移動機構を駆動する駆動機構を備える。移動機構は、一例として、車輪、キャタピラ又はプロペラである。駆動機構は、一例として、車輪を回転駆動するモータである。
【0016】
搬送車は、搬送物に対し直接又は間接的に力を加えることにより搬送物を搬送する。搬送車は、一例として、搬送物を進行方向に押す力を加えることにより搬送物を搬送する。また、搬送車は、搬送物を牽引することにより搬送する牽引車であってもよい。搬送車は、弾性を有する弾性部材又はその他の部材を介して搬送物に力を加えてもよい。搬送車が搬送物に力を加えることにより搬送車と搬送物との距離が変動しながら搬送車と搬送物とが移動する。搬送車と搬送物とは、連結部材等により連結されていてもよく、また、連結されていなくてもよい。
【0017】
また、搬送車は、第1搬送車と、第1搬送車と協調して搬送物を搬送する第2搬送車と、を含んでもよい。この場合、一例として、第1搬送車は搬送物を進行方向の後方から押すことで搬送物を搬送し、第2搬送車は搬送の前方を第1搬送車と同じもしくは近しい同じ速度で走行し、第1搬送車と第2搬送車とが搬送物を挟み込んだ状態で搬送物を搬送するものであってもよい。
【0018】
(センサ情報)
センサ情報は、センサの検出値又はセンサの検出値に基づき特定される情報であり、搬送中の搬送車と搬送物との距離に応じて変化する情報である。センサ情報は、一例として、搬送車に設けられた測距センサが検出する、搬送車と搬送物との距離を表す情報である。また、センサ情報は、一例として、搬送車と搬送物との間に設けられた弾性部材のバネ長(測距センサが測定した搬送車と搬送物との距離)に基づき算出される弾性力、すなわち弾性物を介して搬送物に加わる応力の大きさを表す情報であってもよい。搬送車と搬送物との距離は、一例として、搬送車に設けられた測距センサの位置から搬送物の表面までの距離である。
【0019】
<搬送方法の流れ>
図2は、本発明の例示的実施形態1に係る搬送方法S1の流れを示すフロー図である。搬送方法S1は、ステップS101及びステップS102を含む。
【0020】
(ステップS101)
ステップS101は、搬送物と、当該搬送物を搬送中の搬送車との間の距離に応じて変化するセンサ情報を取得するステップである。一例として、取得部11は、搬送車と搬送物との距離を測定する測距センサの検出値を表すセンサ情報を取得する。また、取得部11は、測距センサの検出値に基づき算出される、搬送物に加わる応力を表す情報をセンサ情報として取得してもよい。
【0021】
(ステップS102)
ステップS102は、ステップS101で取得されたセンサ情報の時系列データに基づき搬送物の重量を推定するステップである。推定部12は、一例として、センサ情報の時系列データに基づき距離の変動パターンを抽出し、抽出した変動パターンに基づき重量を推定する。変動パターンは、一例として、時系列データの差分変換による解析結果、及び、時系列データの周波数領域における解析結果の一方又は両方を含む。換言すると、推定部12は、変動パターンとして、時系列データの差分変換による解析結果、及び、時系列データの周波数領域における解析結果の一方又は両方を抽出する。
【0022】
推定部12が重量の推定に用いる時系列データは、搬送車が搬送物を搬送中である期間の時系列データであり、一例として、搬送車が搬送物の搬送を開始してから第1条件が満たされるまでの時系列データである。換言すると、推定部12は、搬送車が搬送物の搬送を開始してから第1条件が満たされるまでの時系列データに基づき重量を推定してもよい。第1条件は、例えば、所定期間が経過したこと、又は、時系列データの変動幅が所定の閾値以内に収束すること、を含む。
【0023】
推定部12が重量を推定する手法としては、機械学習の手法が用いられてもよく、また、ルールベースでの手法が用いられてもよい。換言すると、推定部12は、機械学習により生成された推定モデルを用いて重量を推定してもよく、また、ルールベースで重量を推定してもよい。
【0024】
(推定モデルを用いる場合)
推定部12が推定モデルを用いる場合、推定モデルは、一例として、センサ情報の時系列データ又は時系列データの特徴量を入力として重量を出力する推定モデルである。推定モデルの機械学習の手法は限定されず、一例として、決定木ベース、線形回帰、又はニューラルネットワークの手法が用いられてもよく、また、これらのうちの2以上の手法が用いられてもよい。決定木ベースとしては、例えば、LightGBM(Light Gradient Boosting Machine)、ランダムフォレスト、及びXGBoostが挙げられる。線形回帰としては、例えば、サポートベクター回帰、Ridge回帰、Lasso回帰、及びElasticNetが挙げられる。ニューラルネットワークとしては、例えばディープラーニングが挙げられる。
【0025】
この場合、推定モデルの入力データは、センサ情報の時系列データ又は時系列データの特徴量である。時系列データの特徴量は、時系列データを解析することにより得られる特徴量であり、一例として、搬送物と搬送車との距離の変動パターンである。変動パターンは、一例として、差分変換により得られる動き出し(加速)の特性、周波数領域解析により得られる周波数特性、又は、自己相関関数若しくは近似エントロピー法等により得られる動きの周期性である。差分変換により得られる動き出し(加速)の特性は、一例として、差分変換により得られる差分の平均値又は分散である。周波数領域解析は、一例として、フーリエ変換、ウェーブレット変換、又はウェルチ法である。自己相関関数は、一例として、任意のラグ、ARモデルにより算出される。
【0026】
(ルールベースの場合)
一方、推定部12がルールベースで重量を推定する場合、推定部12は、一例として、時系列データ又は時系列データの特徴量と、搬送物の重量との対応関係を記憶したテーブルを参照し、取得部11が取得したセンサ情報に対応する重量を特定することにより、重量の推定を行う。より具体的には、推定部12は例えば、データベースに登録された変動パターンと、取得部11が取得したセンサ情報から抽出した変動パターンとを比較し、センサ情報から抽出した変動パターンに類似する変動パターンに対応付けられた重量を特定してもよい。また、推定部12は例えば、データベースに登録された時系列データの特徴量と、取得部11が取得したセンサ情報の特徴量とを比較し、センサ情報の特徴量に類似する特徴量に対応付けられた重量を特定してもよい。
【0027】
(搬送形態1)
図3は、搬送システム1の搬送形態の一例を概略的に示す図である。図3の例で、搬送車10は連結部101を備える。搬送車10と搬送物90とは連結部101により連結されていてもよく、また、連結されていなくてもよい。連結部101は、バネ、紐又はチェーン等の、搬送車10と搬送物90との距離dが可変な部材を含む。搬送車10が矢印D方向に移動することにより、搬送車10から直接又は連結部101を介して搬送物90に力が加わり、搬送物90が矢印D方向に移動する。搬送中において、距離dの大きさは時間の経過に伴い変動し、特に、搬送物90が動き出してから速度が安定するまでの期間(加速している期間)に亘ってより大きく変動する。
【0028】
(搬送形態2)
図4は、搬送システム1の搬送形態の他の例を概略的に示す図である。図4の例で、搬送車は、第1搬送車10Aと第2搬送車10Bとを含む。第1搬送車10Aは、搬送物90に対し矢印D方向に力を加えて搬送物90を矢印D方向に搬送する。第2搬送車10Bは、第1搬送車10Aと協調して搬送物90を搬送する。この例で、第1搬送車10Aは搬送物90の搬送方向の後方に配置され、第2搬送車10Bは搬送物90の前方に配置され、第1搬送車10Aと第2搬送車10Bとが搬送物90を間に挟んだ状態で同じもしくは近しい同じ速度で移動することにより搬送物90を搬送する。
【0029】
第1搬送車10Aは連結部101Aを備え、第2搬送車10Bは連結部101Bを備える。第1搬送車10Aと搬送物90とは連結部101Aにより連結されていてもよく、また、連結されていなくてもよい。また、第2搬送車10Bと搬送物90とは連結部101Bにより連結されていてもよく、また、連結されていなくてもよい。連結部101A、101Bは連結部101と同様の構成を有する。
【0030】
第1搬送車10Aが矢印D方向に移動することにより、第1搬送車10Aから直接又は連結部101Aを介して搬送物90に力が加わり、搬送物90が矢印D方向に移動する。搬送中において、第1搬送車10Aと搬送物90との距離d1、及び第2搬送車10Bと搬送物90との距離d2は、時間の経過に伴い変動し、特に、搬送物90が動き出してから速度が安定するまでの期間に亘ってより大きく変動する。
【0031】
(搬送形態3)
図5は、搬送システム1の搬送形態の他の例を概略的に示す図である。図5の例で、搬送車10は搬送物90を矢印D方向に牽引して搬送する。搬送車10と搬送物90とは連結部101により連結される。
【0032】
搬送車10が矢印D方向に移動することにより、搬送車10から連結部101を介して搬送物90に力が加わり、搬送物90が矢印D方向に移動する。搬送中において、搬送車10と搬送物90との距離dは時間の経過に伴い変動し、特に、搬送物90が動き出してから速度が安定するまでの期間に亘ってより大きく変動する。
【0033】
(装置構成例1)
図6は、搬送システム1を実現する装置構成の一例を示すブロック図である。図6の例において、搬送システム1は、搬送車10及び管理装置20を含む。搬送車10は、取得部11及び通信部13を含む。管理装置20は、推定部12及び通信部21を含む。換言すると、搬送車10は、取得部11を少なくとも含み、管理装置20は、推定部12を少なくとも含む。通信部13は、通信回線を介して管理装置20との間で情報を送受信する。通信部21は、通信回線を介して搬送車10との間で情報を送受信する。通信回線は、例えば、Wi-Fi(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)、5G、ローカル5G、4G、3G、等の無線通信回線、又は、有線通信回線を含む。搬送車10は、取得部11が取得したセンサ情報を通信部21を介して管理装置20に送信する。管理装置20は、センサ情報を通信部21を介して受信し、推定部12が、受信したセンサ情報の時系列データに基づき搬送物の重量を推定する。
【0034】
(装置構成例2)
図7は、搬送システム1を実現する装置構成の他の例を示すブロック図である。図7の例において、搬送システム1は、搬送車10を含む。搬送車10は、取得部11と推定部12とを少なくとも含む。搬送車10は、本明細書に係る搬送装置の一例である。
【0035】
(装置構成例3)
図8は、搬送システム1を実現する装置構成の他の例を示すブロック図である。図8の例において、搬送システム1は、複数の搬送車10-1、10-2、…、10-n(nは2以上の整数)と、管理装置20とを含む。搬送車10-i(1<i≦n)は、取得部11-i、及び、通信部13-iを含む。管理装置20は、推定部12及び通信部21を含む。換言すると、搬送車10-i(1<i≦n)は、取得部11-iを少なくとも含み、管理装置20は、推定部12を少なくとも含む。搬送車10-iは、搬送物を1台で搬送するものであってもよく、また、複数の搬送車10-iが協調して搬送物を搬送するものであってもよい。複数の搬送車10-iが協調して搬送物を搬送する場合、管理装置20は、例えば、搬送物の前方を走行する搬送車10-iが取得するセンサ情報に基づき搬送物の重量を推定してもよく、また、搬送物の後方を走行する搬送車10-iが取得するセンサ情報に基づき搬送物の重量を推定してもよい。また、管理装置20は、搬送物の前方を走行する搬送車10-iが取得するセンサ情報と、搬送物の後方を走行する搬送車10-iが取得するセンサ情報との両方の情報を総合して、搬送物の重量を推定してもよい。
【0036】
搬送システム1の各機能部は、図6図8に例示したように、1つの装置に含まれてもよく、また、1つの装置に含まれていなくてもよい。例えば、取得部11と推定部12とが1つの装置に含まれていてもよく、また、取得部11と推定部12とが別体の装置に実装される構成であってもよい。
【0037】
以上のように、本例示的実施形態に係る搬送システム1においては、搬送物と、搬送物を搬送中の搬送車との間の距離に応じて変化するセンサ情報を取得し、センサ情報の時系列データに基づき搬送物の重量を推定する構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る搬送システム1によれば、より多様な搬送形態において搬送物の重量を推定できるという効果が得られる。
【0038】
〔例示的実施形態2〕
本発明の第2の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0039】
<搬送システムの搬送形態>
図9は、例示的実施形態2に係る搬送システム2の搬送形態を概略的に示す図である。搬送車30は、自立走行する無人搬送車であり、搬送物90を矢印D方向に搬送する。搬送車30は、連結部301を備える。連結部301は、2枚の板と、当該2枚の板の間に挟み込まれた弾性体とにより構成される。搬送物90と連結部301とは連結されていてもよく、また、連結されていなくてもよい。
【0040】
搬送車30が矢印D方向に移動することにより、搬送車30から連結部301を介して搬送物90に力が加わり、搬送物90が矢印D方向に移動する。図9において、搬送車30と搬送物90との距離dは、矢印D方向における、連結部301を含まない搬送車30の前方の端部から搬送物90までの距離である。連結部301が弾性体を含むため、搬送物90の搬送中において搬送車30と搬送物90との距離dの大きさは時間の経過に伴い変動する。距離dは特に、搬送物90が動き出してから速度が安定するまでの期間に亘ってより大きく変動する。
【0041】
<搬送システムの構成>
図10は、搬送システム2の構成を示すブロック図である。図10において、搬送システム2は、搬送車30及び管理装置40を備える。
【0042】
(搬送車の構成)
搬送車30は管理装置40が供給する制御情報に基づき自律走行して搬送物90を搬送する。搬送車30は、通信部31、制御部32、センサ33、ディスプレイ34、モータドライバ35、動力モータ36及び車輪302を備える。通信部31は、制御部32の制御の下に、通信回線を介して管理装置40との間で情報を送受信する。以降、制御部32が通信部31を介して管理装置40との間で情報を送受信することを、単に、制御部32が管理装置40との間で情報を送受信する、とも記載する。
【0043】
制御部32は、取得部321、重量出力部322及び駆動制御部323を備える。取得部321は、請求の範囲に記載した取得手段の一例である。取得部321は、搬送物90と搬送車30との距離を表すセンサ情報をセンサ33から取得する。取得部321は、取得したセンサ情報を管理装置40に送信する。
【0044】
重量出力部322は、推定部422が推定した重量を出力装置に出力する。重量出力部322は、一例として、重量を表す情報をディスプレイ34に出力する。なお、重量を表す情報の出力先はディスプレイに限られず、重量出力部322は、スピーカ、印刷装置等の他の出力装置に重量を出力してもよいし、通信部31を介して他の装置に重量を表す情報を送信してもよい。
【0045】
センサ33は、搬送物90と搬送車30との距離を測定する測距センサであり、一例として、リニア変位センサ、ToF(Time of Flight)センサ、ドップラーセンサ、又はカメラである。センサ33は、一例として、図9の矢印D方向における連結部301を含まない搬送車30の前方の端部に設けられている。ディスプレイ34は、制御部32の制御の下に、各種情報を表示する。
【0046】
駆動制御部323は、管理装置40から受信した制御情報に応じてモータドライバ35を制御する。モータドライバ35は、制御部32の制御の下に動力モータ36の駆動を制御する。動力モータ36が車輪302を回転駆動することで搬送車30が自律走行を行う。車輪302は本体部304を支え、動力モータ36により駆動されることにより、搬送車30を前進、後退及び旋回させる。
【0047】
(管理装置の構成)
管理装置40は搬送車30に制御情報を供給し、搬送車30の自律走行を制御する。管理装置40は、通信部41、制御部42、及び記憶部43を備える。通信部41は、制御部42の制御の下に、通信回線を介して搬送車30との間で情報を送受信する。以降、制御部42が通信部41を介して搬送車30との間で情報を送受信することを、単に、制御部42が搬送車30との間で情報を送受信する、とも記載する。
【0048】
制御部42は、搬送制御部421、推定部422及び学習部423を備える。搬送制御部421は制御情報を搬送車30に供給する。制御情報は、搬送車30の自律走行を制御するために搬送車30に供給される情報である。制御情報は一例として、後述するパラメータ432、又はパラメータ432に基づき特定される情報を含む。パラメータ432は、搬送車30の搬送を制御するための制御パラメータである。パラメータ432は一例として、距離dの目標値、搬送車30の移動速度、搬送車30の加減速、及び/又は搬送車30の減速・停止のタイミングを表すパラメータを含む。より具体的には、パラメータ432は例えば、最大走行速度、加減速の制限(急峻さ)、及び/又は減速を開始するゴールや障害物との距離、を含む。
【0049】
搬送制御部421は、一例として、搬送車30の搬送中において距離dが目標値に近づくような制御情報を搬送車30に供給する。制御部32は、供給される制御情報に基づきモータドライバ35を介して動力モータ36の駆動を制御し、搬送車30を自律走行させる。
【0050】
推定部422は、搬送車30が出力するセンサ情報の時系列データと搬送物90の重量を推定する推定モデル433とを用いて搬送物90の重量を推定する。より具体的には、推定部422は、時系列データから特徴量を抽出し、抽出した特徴量を推定モデル433に入力することにより重量を推定する。時系列データの特徴量は、一例として、時系列データの差分変換による解析結果、又は、時系列データの周波数領域における解析結果を含む。
【0051】
学習部423は、教師データ434を用いて推定モデル433を機械学習により生成する。推定モデル433は、センサ情報の時系列データの特徴量を入力とし、搬送物90の重量を出力するよう機械学習された学習済モデルである。教師データ434は、学習部423が推定モデル433を構築する際に用いられる教師データである。教師データ434は、一例として、搬送物90を搬送車30が実際に搬送したときのセンサ情報の時系列データの特徴量の抽出結果を表す第1データと搬送物90の重量を表す第2データとのセットの集合である。推定モデル433の機械学習の手法は限定されず、一例として、決定木ベース、線形回帰、又はニューラルネットワークの手法が用いられてもよく、また、これらのうちの2以上の手法が用いられてもよい。
【0052】
教師データ434の入力方法については限定されないが、一例として、第1データと第2データとのセットを管理者が管理装置40に入力してもよく、また、所定のシステムが各所から収集した情報をまとめて管理装置40に入力してもよい。この場合、例えば、3時間分、1日分、3日分、といったように、所定の期間において収集された教師データがまとめて管理装置40に入力されてもよい。また、第1データと第2データとの入力タイミングは同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、第1データはリアルタイムで収集され、後から管理者がデータ収集時に対応する搬送物の重量(第2データ)を管理装置40に入力してもよい。また、例えば、管理装置40がスケール等の装置と通信して第2データの入力を受け付けてもよい。
【0053】
記憶部43は、時系列データ431、パラメータ432、推定モデル433、及び教師データ434を記憶する。時系列データ431は、取得部321が取得したセンサ情報、すなわち距離dの時系列データである。
【0054】
搬送車30及び管理装置40の各機能部は、1つの装置に含まれていてもよく、また、1つの装置に含まれていなくてもよい。例えば、管理装置40の記憶部43がクラウドサーバに設けられ、管理装置40が通信回線を介して記憶部43と通信してもよい。また、例えば、搬送車30の各機能部の一部が管理装置40又は他の装置に設けられていてもよく、また、管理装置40の各機能部の一部が搬送車30又は他の装置に設けられていてもよい。例えば、推定部422が搬送車30に搭載され、推定部422の推定結果を管理装置40に送信する構成であってもよい。また、例えば、重量出力部322が管理装置40に搭載され、重量出力部322が推定部422の推定結果を、通信部41を介して他の装置へ送信する構成であってもよい。
【0055】
図11は、搬送車30の底面図である。搬送車30は、連結部301、複数の車輪302、キャスター303、本体部304、旋回部305を備える。連結部301は旋回部305に固定されている。車輪302は搬送車30を移動させる移動機構であり、車輪302が回転することにより搬送車30が移動する。キャスター303は搬送車30の移動に伴い回転する。旋回部305は、本体部304に含まれる旋回軸306を軸として所定範囲で回転する。制御部32の制御の下で旋回部305が回転し、この回転に伴い連結部301が旋回することにより、連結部301に当接する搬送物90の移動方向を変更する。また、連結部301は搬送物90の搬送中において弾性体の伸縮により矢印D11に伸縮し、連結部301の伸縮に伴い搬送車30と搬送物90との距離dも伸縮する。
【0056】
図12は、センサ情報の時系列データの一例を表すグラフである。グラフg1~g3はそれぞれ、重量が「40kg」、「120kg」、「200kg」である搬送物90を搬送車30が搬送した場合にセンサ33が検出した距離の時系列データを表すグラフである。図において、横軸は時間を示し、縦軸は距離dを示す。図12に示されるように、搬送車30が動き出してから搬送速度が安定するまでの期間において距離dは大きく変動する。一方、搬送が開始されてからある程度経過すると、搬送物90の動きがスムーズになって移動速度が安定し、距離dの変動は小さくなる。また、図12に示されるように、搬送物90の重量が大きいほど距離dが安定するまでに時間がかかり、また、重量が大きいほど距離dの振動の周期が長くなっている。このように、時系列データの示す距離の変動パターンは搬送物90の重量により異なっている。
【0057】
<搬送方法の流れ>
図13は、本例示的実施形態に係る搬送方法S2の流れを示すフロー図である。搬送方法S2は、ステップS201~S209を含む。搬送方法S2は、搬送車30が搬送物90の搬送を開始するとき、又は搬送物90の搬送中の任意のタイミングにおいて開始される。なお、一部のステップは並行して、又は順序を変えて実行されてもよい。
【0058】
(ステップS201)
ステップS201において、制御部32は、搬送物90の搬送中においてセンサ33が検出した情報、すなわち搬送物90と搬送車30との距離dを表すセンサ情報を取得する。制御部32は、取得したセンサ情報を管理装置40に送信する。
【0059】
(ステップS202)
ステップS202において、制御部42は、搬送車30から受信したセンサ情報を記憶部43に蓄積する。記憶部43には、複数のタイミングで生成されたセンサ情報、すなわちセンサ情報の時系列データが蓄積される。
【0060】
(ステップS203)
ステップS203において、推定部422は、記憶部43に蓄積されたセンサ情報の時系列データから特徴量を抽出する。一例として、推定部422は、記憶部43に蓄積されたセンサ情報の時系列データに基づき、距離の変動パターンを抽出する。変動パターンは、一例として、時系列データの差分変換による解析結果、及び、時系列データの周波数領域における解析結果の一方又は両方を含む。
【0061】
推定部422が差分変換処理により変動パターンを抽出する場合、抽出される変動パターンには、搬送車30が搬送を開始してから(すなわち動き出してから)所定期間が経過するまでの変動の特徴が現れやすい。また、推定部422が周波数領域解析により変動パターンを抽出する場合、抽出される変動パターンには、搬送車30の移動速度が安定している期間(動き出してから所定期間が経過した後の期間、等)における変動の特徴が現れやすい。なお、推定部422が時系列データの変動パターンを抽出する手法はこれらに限定されるものではなく、推定部422が他の手法により変動パターンを抽出してもよい。
【0062】
(ステップS204・S205)
ステップS204において、推定部422は、ステップS203で抽出した特徴量を推定モデル433に入力する。ステップS205において、推定部422は、ステップS204で特徴量を推定モデル433に入力することにより得られる出力結果に基づき、搬送物90の重量を推定する。推定部422は、推定した重量を表す情報を搬送車30に送信する。
【0063】
(ステップS206)
ステップS206において、重量出力部322は、管理装置40から受信した情報に基づき、管理装置40が推定した重量をディスプレイ34に表示する。搬送車30の管理者等のユーザは、ディスプレイ34に表示された重量を確認することで、搬送物90の重量を把握することができる。また、例えば推定された重量が想定された値と乖離している場合に搬送物90の中身が誤っている等の可能性をユーザが把握できる。
【0064】
(ステップS207)
ステップS207において、搬送制御部421は、ステップS205で推定した重量に基づきパラメータを決定し、決定したパラメータを記憶部43に記憶する。一例として、搬送制御部421は、推定された重量が大きいほど搬送車30が搬送物90に加える力が大きくなるようパラメータを決定してもよい。また、一例として、搬送制御部421は、カーブを走行する場合に重量が大きいほど走行速度を小さくするパラメータを決定してもよい。また、一例として、搬送の終点(目的地)に近づいた場合において、搬送制御部421は、重量が大きいほど減速を開始するタイミングがくなるようパラメータを決定してもよい。
【0065】
(ステップS208・S209)
ステップS208において、搬送制御部421は、ステップS207で決定したパラメータに基づく制御情報を搬送車30に送信する。ステップS209において、制御部32は、管理装置40から受信した制御情報にしたがって動力モータの駆動を制御し、搬送物90を搬送する。換言すると、搬送制御部421は、推定部422が推定した重量に応じたパラメータを用いて、搬送車30を制御する。
【0066】
以上のように、本例示的実施形態に係る搬送システム2においては、管理装置40は搬送物90と搬送車30との距離を表すセンサ情報の時系列データに基づき距離の変動パターンを抽出し、抽出した変動パターンに基づき重量を推定する。これにより、本例示的実施形態によれば、より多様な搬送形態において搬送物の重量を推定できる。
【0067】
また、管理装置40は搬送物90の搬送中において搬送物90の重量を推定することができるため、搬送物90の重量を測定するための作業等を搬送作業と別途行う必要がない。
【0068】
また、管理装置40は、搬送車30が搬送を開始してから所定期間が経過するまでの時系列データを用いて重量を推定する。図12に示されるように、搬送車30が搬送を開始してから移動速度が安定するまでの期間(加速している期間)において時系列データの特徴に重量の影響が大きく現れる。そのため、搬送車30の動き出しの期間の時系列データを用いることで、重量の推定をより精度よく行うことができる。
【0069】
〔例示的実施形態3〕
本発明の第3の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1~2にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0070】
<搬送システムの搬送形態>
図14は、例示的実施形態3に係る搬送システム3の搬送形態を概略的に示す図である。図14において、第1搬送車30Aと第2搬送車30Bとは協調して搬送物90を矢印D方向に協調搬送する。協調搬送とは、複数の搬送車が協調して1つにまとまった搬送物を搬送することをいう。1つにまとまったと搬送物は、例えば、格子状の構造体(カゴ)に1つ以上の搬送物が収められている状態、箱の中に複数の搬送物が収められている状態、2つ以上の搬送物がテープ等で固定されている状態等である。なお、以降の説明において、第1搬送車30Aは搬送物90の搬送方向の後方に配置され、第2搬送車30Bは搬送方向の前方に配置される。第1搬送車30Aと第2搬送車30Bとが搬送物90を間に挟んで同じもしくは近しい同じ速度で移動することにより、搬送物90を搬送する。第1搬送車30Aと第2搬送車30Bとは連結されておらず、第1搬送車30Aと第2搬送車30Bとの距離は固定でない。そのため、搬送システム3は様々なサイズの搬送物90を第1搬送車30Aと第2搬送車30Bとの間に挟んで搬送可能である。しかし、協調搬送の方法は上記に限られない。例えば、複数の搬送車が搬送方向と垂直の方向から搬送物を挟んで搬送してもよいし、3台以上の搬送車がそれぞれの方向から搬送物を押すことで協調搬送してもよい。
【0071】
第1搬送車30Aは連結部301Aを備え、第2搬送車30Bは連結部301Bを備える。連結部301A及び連結部301Bは、上述の例示的実施形態2に係る連結部301と同様の構成を有する。第1搬送車30Aと第2搬送車30Bとは、同じもしくは近しい同じ速度で移動するが、外力等の影響によりこれらの移動速度には誤差が生じる。連結部301A及び連結部301Bはこのような誤差を吸収する働きも担っている。第1搬送車30Aと第2搬送車30Bとで搬送物90を挟み込んで搬送することにより、搬送物90は第1搬送車30Aと第2搬送車30Bとの間で振動しながら移動する。
【0072】
より具体的には、第1搬送車30Aが矢印D方向に移動することにより、第1搬送車30Aから連結部301Aを介して搬送物90に力が加わり、搬送物90が矢印D方向に移動する。連結部301A及び301Bが弾性体を含むため、搬送物90の搬送中において、第1搬送車30Aと搬送物90との距離d1及び第2搬送車30Bと搬送物90との距離d2は時間の経過に伴い変動する。距離d1及び距離d2は特に、搬送物90が動き出してから速度が安定するまでの期間に亘ってより大きく変動する。具体的には、第1搬送車30A(又は第2搬送車30B)から搬送物90に押す力が加わる場合、距離d1(又は距離d2)は小さくなる。一方、第1搬送車30A(又は第2搬送車30B)から搬送物90に力が加わらない場合、距離d1(又は距離d2)は大きくなる。
【0073】
<搬送システムの構成>
図15は、搬送システム3の構成を示すブロック図である。搬送システム3は、第1搬送車30A、第2搬送車30B、及び管理装置60を備える。第1搬送車30A及び第2搬送車30Bの構成は、上述の例示的実施形態2に係る搬送車30の構成と同様である。
【0074】
管理装置60は、通信部61、制御部62、及び記憶部63を備える。通信部61は、制御部62の制御の下に、通信回線を介して第1搬送車30A及び第2搬送車30Bとの間で情報を送受信する。以降、制御部62が通信部61を介して第1搬送車30A及び第2搬送車30Bとの間で情報を送受信することを、単に、制御部62が第1搬送車30A及び第2搬送車30Bとの間で情報を送受信する、とも記載する。
【0075】
制御部62は、搬送制御部421、推定部622及び学習部623を備える。推定部622は、第1搬送車30Aが出力するセンサ情報の時系列データ及び第2搬送車30Bが出力するセンサ情報の時系列データの一方又は両方と、推定モデル633とを用いて搬送物90の重量を推定する。以下では、第1搬送車30Aが出力するセンサ情報の時系列データを「第1時系列データ」ともいう。また、第2搬送車30Bが出力するセンサ情報の時系列データを「第2時系列データ」ともいう。
【0076】
推定モデル633は、時系列データ又は時系列データの特徴量を入力とし、搬送物90の重量を出力するよう機械学習された学習済モデルである。推定モデル633の機械学習の手法として、一例として、決定木ベース、線形回帰、又はニューラルネットワークの手法が挙げられ、また、これらのうちの2以上の手法が用いられてもよい。
【0077】
推定モデル633の入力は、一例として、第1時系列データの特徴量及び第2時系列データの特徴量の一方又は両方を含む。また、推定モデル633の入力は、第1時系列データ及び第2時系列データの一方又は両方に基づき特定される、第1搬送車30A及び第2搬送車30Bの間で搬送物90が振動する振動パターンを含んでもよい。本明細書において、変動のうち、周期性又は半周期性を有するものを振動とも呼ぶ。
【0078】
学習部623は、教師データ634を用いて推定モデル633を機械学習により生成する。教師データ634は、一例として、第1搬送車30Aと第2搬送車30Bとが搬送物90を実際に搬送したときのセンサ情報の時系列データの特徴量を表す第1データと、搬送物90の重量を表す第2データとのセットの集合である。第1データは、一例として、第1時系列データの特徴量及び第2時系列データの特徴量の一方又は両方を含む。また、第1データは、第1時系列データ及び第2時系列データの一方又は両方に基づき特定される、第1搬送車30A及び第2搬送車30Bの間で搬送物90が振動する振動パターンを含んでもよい。
【0079】
記憶部63は、時系列データ631、パラメータ632、推定モデル633、及び教師データ634を記憶する。時系列データ631は、第1時系列データ及び第2時系列データの一方又は両方を含む。パラメータ632は、第1搬送車30Aの搬送を制御するための制御パラメータ、及び、第2搬送車30Bの搬送を制御するための制御パラメータを含む。パラメータ632は、一例として、距離d1の目標値、距離d2の目標値、第1搬送車30Aの移動速度、第2搬送車30Bの移動速度、第1搬送車30Aの加減速、第2搬送車30Bの加減速、第1搬送車30Aの減速・停止のタイミング、第2搬送車30Bの減速・停止のタイミング、及び/又は、第1搬送車30Aと第2搬送車30Bとの協調搬送の協調制御に係るパラメータ等、を含む。より具体的には、パラメータ32は例えば、第1搬送車30A及び第2搬送車30Bの最大走行速度、加減速の制限(急峻さ)、減速を開始するゴールや障害物との距離、及び/又は協調制御におけるゲイン係数、を含む。
【0080】
<搬送方法の流れ>
搬送物90の搬送を開始するにあたって、第1搬送車30Aと第2搬送車30Bとは管理装置60の制御の下に、搬送物90を挟み込むように搬送物90に対し力を加える。搬送物90に力が加わることにより、距離d1及び距離d2は搬送物90に力を加えていない場合よりも小さくなる。管理装置60は、距離d1と距離d2が小さくなった状態で第1搬送車30Aと第2搬送車30Bとを同じもしくは近しい同じ速度で移動開始させ、移動を開始してからの時間の経過に伴い搬送物90に加わる力を徐々に小さくする、といった制御を行う。なお、管理装置60が行う搬送制御の手法は上述したものに限定されず、他の手法により搬送制御が行われてもよい。
【0081】
図16は、本例示的実施形態に係る搬送方法S3の流れを示すフロー図である。搬送方法S3は、第1搬送車30A及び第2搬送車30Bが搬送物90の搬送を開始するとき、又は搬送物90の搬送中の任意のタイミングにおいて開始される。なお、一部のステップは並行して、又は順序を変えて実行されてもよい。
【0082】
ステップS301-1において、第1搬送車30Aの取得部321は、搬送物90と第1搬送車30Aとの間の距離d1に応じて変化する第1センサ情報を取得する。また、ステップS301-2において、第2搬送車30Bの取得部321は、搬送物90と第2搬送車30Bとの間の距離d2に応じて変化する第2センサ情報を取得する。換言すると、取得部321は、搬送物90と第1搬送車30Aとの間の距離d1に応じて変化する第1センサ情報と、搬送物90と第2搬送車30Bとの間の距離d2に応じて変化する第2センサ情報と、の一方又は両方を含むセンサ情報を取得する。
【0083】
ステップS302において、制御部62は、第1搬送車30Aから受信したセンサ情報、及び第2搬送車30Bから受信したセンサ情報を記憶部63に蓄積する。記憶部63には、第1搬送車30Aから受信したセンサ情報の第1時系列データ、及び、第2搬送車30Bから受信したセンサ情報の第2時系列データが蓄積される。
【0084】
ステップS303~ステップS305において、推定部622は、第1時系列データ及び第2時系列データの一方又は両方と、推定モデル633とを用いて搬送物90の重量を推定する。推定部622は、一例として、第1時系列データの特徴量及び第2時系列データの特徴量の一方又は両方を推定モデル633に入力することにより得られる出力結果に基づき重量を推定する。また、推定部622は、一例として、センサ情報の時系列データに基づいて、搬送物90が第1搬送車30A及び第2搬送車30Bの間で振動する振動パターンを抽出し、抽出した振動パターンに基づき重量を推定する。また、ステップS305において、推定部622は、推定した重量を表す情報を第1搬送車30A及び第2搬送車30Bに送信する。
【0085】
ステップS306-1において、第1搬送車30Aの重量出力部322は、管理装置40から受信した情報に基づき、管理装置40が推定した重量をディスプレイ34に表示する。また、ステップS306-2において、第2搬送車30Bの重量出力部322は、管理装置40から受信した情報に基づき、管理装置40が推定した重量をディスプレイ34に表示する。なお、第1搬送車30Aと第2搬送車30Bとの両方が重量を表示せずに、いずれか一方が重量を表示してもよい。
【0086】
ステップS307において、搬送制御部421は、第1搬送車30Aの搬送を制御するパラメータ及び第2搬送車30Bの搬送を制御するパラメータを、推定した重量に応じて決定する。一例として、搬送制御部421は、推定された重量が大きいほど第1搬送車30Aの追従速度を速くするようパラメータを決定してもよい。また、例えば、搬送制御部421は、推定された重量が大きいほど、第2搬送車30Bの減速が大きくなるようパラメータを決定してもよい。また、例えば、カーブを走行する場合に、重量が大きいほど走行速度を小さくするパラメータを搬送制御部421が決定してもよい。また、搬送の終点(目的地)に近づいた場合において、搬送制御部421は、重量が大きいほど減速を開始するタイミングがくなるようパラメータを決定してもよい。
【0087】
ステップS308において、搬送制御部421は、ステップS307で決定したパラメータに基づく制御情報を第1搬送車30A及び第2搬送車30B送信する。ステップS309-1及びステップS309-2において、第1搬送車30Aの制御部32及び第2搬送車30Bの制御部32は、管理装置40から受信した制御情報にしたがって動力モータの駆動を制御し、搬送物90を協調搬送する。
【0088】
以上のように、本例示的実施形態に係る搬送システム3においては、第1搬送車30Aと第2搬送車30Bとが搬送物90を協調搬送する。管理装置60は第1搬送車30Aのセンサ情報の第1時系列データ及び第2搬送車30Bのセンサ情報の第2時系列データの一方又は両方に基づき重量を推定する。これにより、本例示的実施形態によれば、複数の搬送車を用いた協調搬送において搬送物の搬送中に重量を推定することができる。
【0089】
〔ソフトウェアによる実現例〕
搬送車10、30、第1搬送車10A、30A、第2搬送車10B、30、及び管理装置20、40、60(以下、「管理装置20等」という)の一部又は全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0090】
後者の場合、管理装置20等は、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を図17に示す。コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCを管理装置20等として動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、管理装置20等の各機能が実現される。
【0091】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0092】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インタフェースを更に備えていてもよい。
【0093】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0094】
〔付記事項1〕
上述の例示的実施形態2又は3では、推定部422又は推定部622(以下「推定部422等」という)は、センサ情報の時系列データとして、センサ33が検出した距離の時系列データに基づき搬送物90の重量を推定した。センサ情報の時系列データは、距離の時系列データに限られず、他のデータであってもよい。センサ情報の時系列データは、一例として、搬送物90に付与される応力の時系列データであってもよい。すなわち、推定部422等は、時系列データを、距離に応じて搬送物に付与される応力の時系列データに変換し、変換後の時系列データに基づき重量を推定してもよい。連結部301等に含まれる弾性体の種類によっては、重量と距離との関係が線形でないものもあり、重量の推定結果に誤差が生じる場合がある。推定部422等がセンサ33により測定される距離に基づき応力を算出し、算出した応力の時系列データに基づき重量を推定することにより、重量の推定をより精度よく行うことができる。
【0095】
〔付記事項2〕
上述の例示的実施形態2又は3において、キャスター303の向きが正方向でない場合、キャスター303の方向転換時に抵抗力が発生し、この抵抗力の影響により重量が精度よく推定できない場合がある。そのため、キャスター303の向きが正方向でない場合に、搬送物90の搬送が開始されてすぐの時系列データではなく、しばらく搬送が行われてキャスター303の向きが正方向になってからの時系列データに基づき推定部422等が重量の推定を行ってもよい。
【0096】
この場合、推定部422等は、搬送車30等による搬送物90の搬送の開始後において、第2条件が満たされた以降の時系列データに基づき重量を推定してもよい。第2の条件は、一例として、所定の期間が経過する、又は、正方向に所定距離だけ進む、といった条件を含む。搬送車30の移動距離は、一例として、搬送車30等を撮影するカメラが撮影した画像を解析して搬送車30の位置を検出することにより算出されてもよい。また、第2の条件は、キャスター303の向きを検出するセンサにより、キャスター303が正方向であると検出される、といった条件であってもよい。キャスター303の向きを検出するセンサは、一例として、搬送車30等を撮影するカメラである。第2の条件が満たされた以降の時系列データに基づき推定部422等が重量を推定することにより、重量の推定をより精度よく行うことができる。
【0097】
〔付記事項3〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0098】
〔付記事項4〕
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
【0099】
(付記1)
搬送物と、当該搬送物を搬送中の搬送車との間の距離に応じて変化するセンサ情報を取得する取得手段と、
前記センサ情報の時系列データに基づき前記搬送物の重量を推定する推定手段と、を含む、搬送システム。
【0100】
上記の構成によれば、より多様な搬送形態において搬送物の重量を推定することができる。
【0101】
(付記2)
前記推定手段は、前記センサ情報の時系列データに基づき前記距離の変動パターンを抽出し、抽出した変動パターンに基づき前記重量を推定する、
付記1に記載の搬送システム。
【0102】
上記の構成によれば、より多様な搬送形態において搬送物の重量を推定することができる。
【0103】
(付記3)
前記推定手段は、前記搬送車が前記搬送物の搬送を開始してから第1条件が満たされるまでの前記時系列データに基づき前記重量を推定する、
付記1又は2に記載の搬送システム。
【0104】
上記の構成によれば、搬送システムは、時系列データの特徴に重量の影響が大きく現れる時系列データに基づき重量を推定することにより、重量の推定をより精度よく行うことができる。
【0105】
(付記4)
前記搬送車は、第1搬送車と、前記第1搬送車と協調して前記搬送物を搬送する第2搬送車と、を含む、
付記1から3の何れか1つに記載の搬送システム。
【0106】
上記の構成によれば、複数の搬送車を用いた協調搬送を行う搬送システムにおいて、搬送物の搬送中に重量を推定することができる。
【0107】
(付記5)
前記推定手段は、前記センサ情報の時系列データに基づいて、前記搬送物が前記第1搬送車及び前記第2搬送車の間で振動する振動パターンを抽出し、抽出した振動パターンに基づき前記重量を推定する、
付記4に記載の搬送システム。
【0108】
上記の構成によれば、複数の搬送車を用いた協調搬送を行う搬送システムにおいて、搬送物の重量の推定をより精度よく行うことができる。
【0109】
(付記6)
前記推定手段は、前記センサ情報の時系列データを入力として前記重量を出力する推定モデルであって、機械学習により生成された推定モデルを用いて前記重量を推定する、
付記1から5の何れか1つに記載の搬送システム。
【0110】
上記の構成によれば、搬送システムは、推定モデルに時系列データを入力することにより重量を推定する。これにより、重量の推定をより精度よく行うことができる。
【0111】
(付記7)
搬送物と、当該搬送物を搬送中の搬送車との間の距離に応じて変化するセンサ情報を取得する取得手段と、
前記センサ情報の時系列データに基づき前記搬送物の重量を推定する推定手段と、を含む、搬送装置。
【0112】
上記の構成によれば、より多様な搬送形態において搬送物の重量を推定することができる。
【0113】
(付記8)
前記推定手段は、前記センサ情報の時系列データに基づき前記距離の変動パターンを抽出し、抽出した変動パターンに基づき前記重量を推定する、
付記7に記載の搬送装置。
【0114】
上記の構成によれば、より多様な搬送形態において搬送物の重量を推定することができる。
【0115】
(付記9)
前記推定手段は、前記搬送車が前記搬送物の搬送を開始してから第1条件が満たされるまでの前記時系列データに基づき前記重量を推定する、
付記7又は8に記載の搬送装置。
【0116】
上記の構成によれば、搬送装置は、時系列データの特徴に重量の影響が大きく現れる時系列データに基づき重量を推定することにより、重量の推定をより精度よく行うことができる。
【0117】
(付記10)
前記搬送車は、第1搬送車と、前記第1搬送車と協調して前記搬送物を搬送する第2搬送車と、を含む、
付記7から9の何れか1つに記載の搬送装置。
【0118】
上記の構成によれば、複数の搬送車を用いた協調搬送による搬送中に重量を推定することができる。
【0119】
(付記11)
前記推定手段は、前記センサ情報の時系列データに基づいて、前記搬送物が前記第1搬送車及び前記第2搬送車の間で振動する振動パターンを抽出し、抽出した振動パターンに基づき前記重量を推定する、
付記10に記載の搬送装置。
【0120】
上記の構成によれば、複数の搬送車を用いた協調搬送による搬送中に重量の推定をより精度よく行うことができる。
【0121】
(付記12)
前記推定手段は、前記センサ情報の時系列データを入力として前記重量を出力する推定モデルであって、機械学習により生成された推定モデルを用いて前記重量を推定する、
付記7から11の何れか1つに記載の搬送装置。
【0122】
上記の構成によれば、搬送装置は、推定モデルに時系列データを入力することにより重量を推定する。これにより、重量の推定をより精度よく行うことができる。
【0123】
(付記13)
搬送物と、当該搬送物を搬送中の搬送車との間の距離に応じて変化するセンサ情報を取得する取得手段と、
前記センサ情報の時系列データに基づき前記搬送物の重量を推定する推定手段と、を含む、搬送方法。
【0124】
上記の構成によれば、より多様な搬送形態において搬送物の重量を推定することができる。
【0125】
(付記14)
前記搬送物の重量を推定することにおいて、前記センサ情報の時系列データに基づき前記距離の変動パターンを抽出し、抽出した変動パターンに基づき前記重量を推定する、
付記13に記載の搬送方法。
【0126】
上記の構成によれば、より多様な搬送形態において搬送物の重量を推定することができる。
【0127】
(付記15)
前記搬送物の重量を推定することにおいて、前記搬送車が前記搬送物の搬送を開始してから第1条件が満たされるまでの前記時系列データに基づき前記重量を推定する、
付記13又は14に記載の搬送方法。
【0128】
上記の構成によれば、時系列データの特徴に重量の影響が大きく現れる時系列データに基づき重量を推定することにより、重量の推定をより精度よく行うことができる。
【0129】
(付記16)
前記搬送車は、第1搬送車と、前記第1搬送車と協調して前記搬送物を搬送する第2搬送車と、を含む、
付記13から15の何れか1つに記載の搬送方法。
【0130】
上記の構成によれば、複数の搬送車を用いた協調搬送による搬送中に重量を推定することができる。
【0131】
(付記17)
搬送物の重量を推定することにおいて、前記センサ情報の時系列データに基づいて、前記搬送物が前記第1搬送車及び前記第2搬送車の間で振動する振動パターンを抽出し、抽出した振動パターンに基づき前記重量を推定する、
付記16に記載の搬送方法。
【0132】
上記の構成によれば、複数の搬送車を用いた協調搬送において、搬送物の重量の推定をより精度よく行うことができる。
【0133】
(付記18)
搬送物の重量を推定することにおいて、前記センサ情報の時系列データを入力として前記重量を出力する推定モデルであって、機械学習により生成された推定モデルを用いて前記重量を推定する、
付記13から17の何れか1つに記載の搬送方法。
【0134】
上記の構成によれば、推定モデルに時系列データを入力することにより重量を推定する。これにより、重量の推定をより精度よく行うことができる。
【0135】
(付記19)
前記推定モデルを機械学習により生成する学習手段をさらに含む、
付記6に記載の搬送システム。
【0136】
(付記20)
前記取得手段は、前記搬送物と前記第1搬送車との間の距離に応じて変化する第1センサ情報と、前記搬送物と前記第2搬送車との間の距離に応じて変化する第2センサ情報と、の一方又は両方を含む前記センサ情報を取得する、
付記4に記載の搬送システム。
【0137】
(付記21)
前記推定手段は、前記変動パターンとして、前記時系列データの差分変換による解析結果、及び、前記時系列データの周波数領域における解析結果の一方又は両方を抽出する、
付記2に記載の搬送システム。
【0138】
(付記22)
前記推定手段は、前記搬送車による前記搬送物の搬送の開始後において第2条件が満たされた以降の前記時系列データに基づき前記重量を推定する、
付記1から6、及び、19から21の何れか1つに記載の搬送システム。
【0139】
(付記23)
前記推定手段は、前記時系列データを、前記距離に応じて前記搬送物に付与される応力の時系列データに変換し、変換後の時系列データに基づき前記重量を推定する、
付記1から6、及び、19から22の何れか1つに記載の搬送システム。
【0140】
(付記24)
前記推定手段により推定した重量に応じたパラメータを用いて、前記搬送車を制御する搬送制御手段をさらに含む、
付記1から6、及び、19から23の何れか1つに記載の搬送システム。
【0141】
(付記25)
前記推定手段により推定した重量を出力装置に出力する重量出力手段をさらに含む、
付記1から6、及び、19から24の何れか1つに記載の搬送システム。
【0142】
(付記26)
1又は複数の前記搬送車と、管理装置と、を含み、
前記搬送車は、前記取得手段を少なくとも含み、
前記管理装置は、前記推定手段を少なくとも含む、
付記1から6、及び、19から25の何れか1つに記載の搬送システム。
【0143】
(付記27)
コンピュータを搬送装置として機能させるプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピュータを、
搬送物と、当該搬送物を搬送中の搬送車との間の距離に応じて変化するセンサ情報を取得する取得手段と、
前記センサ情報の時系列データに基づき前記搬送物の重量を推定する推定手段と、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【0144】
(付記28)
前記推定手段は、前記センサ情報の時系列データに基づき前記距離の変動パターンを抽出し、抽出した変動パターンに基づき前記重量を推定する、
付記27に記載のプログラム。
【0145】
(付記29)
前記推定手段は、前記搬送車が前記搬送物の搬送を開始してから第1条件が満たされるまでの前記時系列データに基づき前記重量を推定する、
付記27又は28に記載のプログラム。
【0146】
(付記30)
前記搬送車は、第1搬送車と、前記第1搬送車と協調して前記搬送物を搬送する第2搬送車と、を含む、
付記27から29の何れか1つに記載のプログラム。
【0147】
(付記31)
前記推定手段は、前記センサ情報の時系列データに基づいて、前記搬送物が前記第1搬送車及び前記第2搬送車の間で振動する振動パターンを抽出し、抽出した振動パターンに基づき前記重量を推定する、
付記30に記載のプログラム。
【0148】
(付記32)
前記推定手段は、前記センサ情報の時系列データを入力として前記重量を出力する推定モデルであって、機械学習により生成された推定モデルを用いて前記重量を推定する、
付記27から31の何れか1つに記載のプログラム。
【0149】
〔付記事項5〕
上述した実施形態の一部又は全部は、更に、以下のように表現することもできる。
【0150】
少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、
搬送物と、当該搬送物を搬送中の搬送車との間の距離に応じて変化するセンサ情報を取得する取得処理と、
前記センサ情報の時系列データに基づき前記搬送物の重量を推定する推定処理と、を実行する搬送装置。
【0151】
なお、この搬送装置は、更にメモリを備えていてもよく、このメモリには、前記取得処理と、前記推定処理とを前記プロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0152】
1、2、3 搬送システム
10、30 搬送車
10A、30A 第1搬送車
10B、30B 第2搬送車
11、321 取得部
12、422、622 推定部
13、21、31、41、61 通信部
20、40、60 管理装置
32、42、62 制御部
33 センサ
34 ディスプレイ
35 モータドライバ
36 動力モータ
43、63 記憶部
90 搬送物
101、101A、101B、301、301A、301B 連結部
302 車輪
303 キャスター
304 本体部
305 旋回部
306 旋回軸
322 重量出力部
323 駆動制御部
421 搬送制御部
423、623 学習部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17