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特許7574943通信制御装置、通信装置、通信制御方法、およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】通信制御装置、通信装置、通信制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/112 20130101AFI20241022BHJP
【FI】
H04B10/112
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023549182
(86)(22)【出願日】2021-09-21
(86)【国際出願番号】 JP2021034513
(87)【国際公開番号】W WO2023047448
(87)【国際公開日】2023-03-30
【審査請求日】2024-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】高田 紘也
(72)【発明者】
【氏名】水本 尚志
(72)【発明者】
【氏名】奥村 藤男
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-53472(JP,A)
【文献】特開2001-244893(JP,A)
【文献】国際公開第2011/007658(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/115997(WO,A1)
【文献】米国特許第5592320(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/112
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間光信号を送信する送信装置と、通信対象から送信された前記空間光信号を受信する受信装置とを含む通信装置を制御する通信制御装置であって、
通信対象を探索するための走査信号を送信するスキャンモードにおいて、順方向に向けて前記走査信号を走査する第1期間と、前記順方向とは逆方向に向けて前記走査信号を走査する第2期間とで異なるパルスパターンの前記走査信号を前記送信装置に送信させ、
前記通信対象から送信された前記走査信号の前記受信装置による受信に応じて、前記通信対象から前記第1期間に送信された前記走査信号の前記パルスパターンと、前記通信対象から前記第2期間に送信された前記走査信号の前記パルスパターンとの受信間隔に応じて、前記通信対象による前記走査信号の送信方向を特定し、
特定された前記走査信号の前記送信方向に応じた前記パルスパターンの通知信号を、前記通信対象に向けて前記送信装置に送信させる通信制御装置。
【請求項2】
前記通信制御装置は、
前記スキャンモードにおいて、
前記通信装置に設定されたスキャンエリアに関して、第1の向きに前記走査信号の前記送信方向を順次変更する一次元スキャンを、前記第1の向きと直交する第2の向きに向けて順次移動させて行う順方向スキャンと、
前記順方向スキャンに続けて、前記通信装置に設定された前記スキャンエリアに関して、前記第1の向きに前記走査信号の前記送信方向を順次変更する前記一次元スキャンを、前記第2の向きの逆方向に向けて順次移動させて行う逆方向スキャンと、を繰り返すように前記送信装置を制御する請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記通信制御装置は、
前記一次元スキャンにおいて複数のドットが一定の間隔で一次元的に配列された画像を表示させる前記走査信号を送信するように、前記送信装置を制御する請求項2に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記通信制御装置は、
前記通信対象から前記第1期間に送信された前記走査信号の前記パルスパターンの受信タイミングと、前記通信対象から前記第1期間の次の前記第2期間に送信された前記走査信号の前記パルスパターンの受信タイミングとの間隔である第1間隔と、前記通信対象から前記第2期間に送信された前記走査信号の前記パルスパターンの受信タイミングと、前記通信対象から前記第2期間の次の前記第1期間に送信された前記走査信号の前記パルスパターンの受信タイミングとの間隔である第2間隔とに応じて、前記走査信号の送信元の前記通信対象に設定された前記スキャンエリアにおける前記通信装置の位置を特定する請求項3に記載の通信制御装置。
【請求項5】
前記通信制御装置は、
前記走査信号の受信に応じて、前記走査信号の送信元の前記通信対象に設定された前記スキャンエリアの範囲内に割り当てられたいずれのサブエリアに前記通信装置が位置するのかを特定し、
特定された前記サブエリアに対応付けられた前記パルスパターンの前記通知信号を、前記走査信号の送信元の前記通信対象に向けて送信するように前記送信装置を制御する請求項4に記載の通信制御装置。
【請求項6】
前記通信制御装置は、
前記走査信号の送信元の前記通信対象に設定された前記スキャンエリアの範囲内に割り当てられた複数の前記サブエリアの境界に前記通信装置が位置すると特定した場合、複数の前記サブエリアの境界に対応付けられた前記パルスパターンの前記通知信号を、前記走査信号の送信元の前記通信対象に向けて送信するように前記送信装置を制御する請求項5に記載の通信制御装置。
【請求項7】
前記通信制御装置は、
隣接する前記サブエリアの境界に前記通信対象が位置すると判定された場合、前記通信対象が位置すると判定されたいずれかの前記サブエリアの範囲を広げて、二次的な前記スキャンモードを実行するように前記送信装置を制御する請求項5に記載の通信制御装置。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の通信制御装置と、
前記通信制御装置の制御に応じて、空間光信号を送信する送信装置と、
通信対象から送信された前記空間光信号を受信し、受信された前記空間光信号に含まれる受信信号を前記通信制御装置に出力する受信装置と、を備える通信装置。
【請求項9】
空間光信号を送信する送信装置と、通信対象から送信された前記空間光信号を受信する受信装置とを制御する通信制御方法であって、
コンピュータが、
前記通信対象を探索するための走査信号を送信するスキャンモードにおいて、順方向に向けて前記走査信号を走査する第1期間と、前記順方向とは逆方向に向けて前記走査信号を走査する第2期間とで異なるパルスパターンの前記走査信号を前記送信装置に送信させ、
前記通信対象から送信された前記走査信号を前記受信装置に受信させ、
前記受信装置によって受信された前記走査信号に応じた信号を取得し、
前記第1期間に送信された前記走査信号の前記パルスパターンと、前記第2期間に送信された前記走査信号の前記パルスパターンとの受信間隔に応じて、前記通信対象による前記走査信号の送信方向を特定し、
特定された前記走査信号の前記送信方向に応じた前記パルスパターンの通知信号を、前記通信対象に向けて前記送信装置に送信させる通信制御方法。
【請求項10】
空間光信号を送信する送信装置と、通信対象から送信された前記空間光信号を受信する受信装置とを制御するプログラムであって、
前記通信対象を探索するための走査信号を送信するスキャンモードにおいて、順方向に向けて前記走査信号を走査する第1期間と、前記順方向とは逆方向に向けて前記走査信号を走査する第2期間とで異なるパルスパターンの前記走査信号を前記送信装置に送信させる処理と、
前記通信対象から送信された前記走査信号を前記受信装置に受信させる処理と、
前記受信装置によって受信された前記走査信号に応じた信号を取得する処理と、
前記第1期間に送信された前記走査信号の前記パルスパターンと、前記第2期間に送信された前記走査信号の前記パルスパターンとの受信間隔に応じて、前記通信対象による前記走査信号の送信方向を特定する処理と、
特定された前記走査信号の前記送信方向に応じた前記パルスパターンの通知信号を、前記通信対象に向けて前記送信装置に送信させる処理と、をコンピュータに実行させるプログラ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空間を伝搬する光信号を用いた光空間通信に用いられる通信制御装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
光空間通信においては、光ファイバなどの媒体を用いずに、空間を伝播する光信号(以下、空間光信号とも呼ぶ)を送受信し合う。一般的な光空間通信では、通信対象を探索する段階においては、空間光信号の送信側と受信側との間で通信が確立していない。そのため、一般的な空間光通信では、送信側から送信された空間光信号が受信側で受信されたことを、送信側で検知できない限り、通信を確立することができない。
【0003】
特許文献1には、自由空間を介して光送信装置から光受信装置へ信号光を送信して、光信号伝送を行う光空間伝送システムについて開示されている。特許文献1のシステムは、伝送範囲内において、光軸検出光の送出光軸を、異なる速度または異なる方向で少なくとも2回走査する。特許文献1のシステムは、受光部での受光電力変化から、2回の受光タイミングの時間差を検出する。特許文献1のシステムは、時間差に基づいて、発光部から見た受光部の方向を特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-053472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の手法によれば、信号処理時間などによる時間遅れの影響を排除できるので、高速に高精度の光軸調整を行うことができる。特許文献1の手法では、2回する走査の1回目と2回目の走査時間を変化させることで、パルス信号の長さを変えて、パルスパターンを変更させる。特許文献1の手法では、通信対象を走査する際に、通信対象との間で動作を同期させる必要があった。
【0006】
本開示の目的は、通信対象との間で動作を同期させずに、通信対象を探索できる通信制御装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の通信制御装置は、空間光信号を送信する送信装置と、通信対象から送信された空間光信号を受信する受信装置とを含む通信装置を制御する通信制御装置であって、通信対象を探索するための走査信号を送信するスキャンモードにおいて、順方向に向けて走査信号を走査する第1期間と、順方向とは逆方向に向けて走査信号を走査する第2期間とで異なるパルスパターンの走査信号を送信装置に送信させ、通信対象から送信された走査信号の受信装置による受信に応じて、通信対象から第1期間に送信された走査信号のパルスパターンと、通信対象から第2期間に送信された走査信号のパルスパターンとの受信間隔に応じて、通信対象による走査信号の送信方向を特定し、特定された走査信号の送信方向に応じたパルスパターンの通知信号を、通信対象に向けて送信装置に送信させる。
【0008】
本開示の一態様の通信制御方法は、空間光信号を送信する送信装置と、通信対象から送信された空間光信号を受信する受信装置とを制御する通信制御方法であって、コンピュータが、通信対象を探索するための走査信号を送信するスキャンモードにおいて、順方向に向けて走査信号を走査する第1期間と、順方向とは逆方向に向けて走査信号を走査する第2期間とで異なるパルスパターンの走査信号を送信装置に送信させ、通信対象から送信された走査信号を受信装置に受信させ、受信装置によって受信された走査信号に応じた信号を取得し、第1期間に送信された走査信号のパルスパターンと、第2期間に送信された走査信号のパルスパターンとの受信間隔に応じて、通信対象による走査信号の送信方向を特定し、特定された走査信号の送信方向に応じたパルスパターンの通知信号を、通信対象に向けて送信装置に送信させる。
【0009】
本開示の一態様のプログラムは、空間光信号を送信する送信装置と、通信対象から送信された空間光信号を受信する受信装置とを制御するプログラムであって、通信対象を探索するための走査信号を送信するスキャンモードにおいて、順方向に向けて走査信号を走査する第1期間と、順方向とは逆方向に向けて走査信号を走査する第2期間とで異なるパルスパターンの走査信号を送信装置に送信させる処理と、通信対象から送信された走査信号を受信装置に受信させる処理と、受信装置によって受信された走査信号に応じた信号を取得する処理と、第1期間に送信された走査信号のパルスパターンと、第2期間に送信された走査信号のパルスパターンとの受信間隔に応じて、通信対象による走査信号の送信方向を特定する処理と、特定された走査信号の送信方向に応じたパルスパターンの通知信号を、通信対象に向けて送信装置に送信させる処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、通信対象との間で動作を同期させずに、通信対象を探索できる通信制御装置等を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る通信装置に設定されるスキャンエリアの一例について説明するための概念図である。
図3】第1の実施形態に係る通信装置による空間光信号の送光の一例を示す概念図である。
図4】第1の実施形態に係る通信装置による走査信号の走査例について説明するための概念図である。
図5】第1の実施形態に係る通信装置から送信された走査信号の受信例について説明するための概念図である。
図6】第1の実施形態に係る通信装置から送信される空間光信号のパターンをまとめた表である。
図7】第1の実施形態に係る通信装置から送信された走査信号の送信方向に応じた通知パターンの一例について説明するための概念図である。
図8】第1の実施形態に係る通信装置から送信された走査信号の送信方向に応じた通知パターンの一例について説明するための概念図である。
図9】第1の実施形態に係る通信装置から送信された走査信号の送信方向に応じた通知パターンの別の一例について説明するための概念図である。
図10】第1の実施形態に係る通信装置から送信された走査信号の送信方向に応じた通知パターンの別の一例について説明するための概念図である。
図11】第1の実施形態に係る通信装置から送信された走査信号の送信方向に応じた通知パターンのさらに別の一例について説明するための概念図である。
図12】第1の実施形態に係る通信装置から送信された走査信号の送信方向に応じた通知パターンのさらに別の一例について説明するための概念図である。
図13】第1の実施形態に係る通信装置が備える送信装置の構成の一例を示す概念図である。
図14】第1の実施形態に係る通信装置が備える送信装置の空間光変調器の変調部に設定されるパターンの一例を示す概念図である。
図15】第1の実施形態に係る通信装置が備える受信装置の構成の一例を示す概念図である。
図16】第1の実施形態に係る通信装置が備える通信制御装置の構成の一例を示す概念図である。
図17】第1の実施形態に係る変形例1における走査信号の送信例について説明するための概念図である。
図18】第1の実施形態に係る変形例2における走査信号の送信例について説明するための概念図である。
図19】第1の実施形態に係る変形例3における走査信号の受信例について説明するための概念図である。
図20】第1の実施形態に係る変形例3において送信される空間光信号のパターンをまとめた表である。
図21】第1の実施形態に係る変形例4における走査信号の走査例について説明するための概念図である。
図22】第2の実施形態に係る通信制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
図23】各実施形態に係る制御や処理を実行するハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0013】
以下の実施形態の説明に用いる全図において、図面中の矢印の向きは、一例を示すものであり、光や信号の向きを限定するものではない。また、図面中の光の軌跡を示す線は、概念的なものであり、実際の光の進行方向や状態を正確に表すものではない。例えば、図面においては、空気と物質との界面における屈折や反射、回折、拡散などによる光の進行方向や状態の変化を省略したり、光束を一本の線で表現したりすることもある。
【0014】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る通信装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の通信装置は、光ファイバなどの媒体を用いずに、空間を伝播する光信号(以下、空間光信号とも呼ぶ)を送受信し合う光空間通信を行う。以下においては、送信する空間光信号を第1空間光信号と呼び、受信する空間光信号を第2空間光信号と呼ぶことがある。
【0015】
図1は、本実施形態に係る通信装置1の構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の通信装置1は、送信装置10、受信装置16、および通信制御装置19を備える。送信装置10、受信装置16、および通信制御装置19の各々の構成について説明する前に、本実施形態における通信対象のスキャン方法について説明する。送信装置10、受信装置16、および通信制御装置19の構成の詳細については、後述する。
【0016】
〔スキャン方法〕
本実施形態においては、通信対象を探索中の通信装置1(探索側)から、スキャン用の空間光信号(走査信号とも呼ぶ)を送信する。走査信号を受信した別の通信装置1(被探索側)は、その走査信号の送信元の通信装置1(探索側)に対して、走査信号の受信を通知する空間光信号(通知信号とも呼ぶ)を返信する。探索側の通信装置1と被探索側の通信装置1とは、同様の構成である。通知信号を受信した通信装置1(探索側)は、通信対象の通信装置1(被探索側)に対して、その通信対象の位置が特定されたことを示す空間光信号(通知完了信号とも呼ぶ)を送信する。このような一連の手順を経て、少なくとも二つの通信装置1の間における光空間通信が確立する。走査信号や通知信号、通知完了信号の送受信を、通信装置1の間で繰り返すことによって、お互いの位置をより正確に特定し合うことができる。本実施形態においては、通信を確立させる通信装置1の間で、相互にスキャンしている状態でなくてもよい。本実施形態においては、通信を確立させる通信装置1のうち一方がスキャンを開始すれば、通信装置1の間の通信を確立できる。例えば、通信対象のスキャンは、複数の通信装置1によって構成される通信ネットワークの立ち上げの時点や、予め定められた時点で行われる。通信対象のスキャンが行われる時点については、特に限定を加えない。
【0017】
図2は、通信装置1のスキャンエリアについて説明するための概念図である。図2において、Cは列(Column)を表し、Rは行(Row)を表す。スキャンエリアには、空間光信号を送信する際のターゲットの位置座標(スキャンアドレスとも呼ぶ)が設定される。図2の例では、スキャンエリアの左上を原点(R0C0)とする座標系(送信座標系とも呼ぶ)が設定される。例えば、2行目3列目のスキャンアドレスは、(R1C2)と表記される。スキャンエリアに設定されるスキャンアドレスの数や間隔については、特に限定されない。
【0018】
図3は、通信装置1に設定されたスキャンエリアに向けて、その通信装置1から空間光信号を送信する様子を示す概念図である。通信装置1は、自装置のスキャンエリアに設定されたスキャンアドレスをターゲットとして、空間光信号を送信する。図3の例は、スキャンエリアのスキャンアドレス(RaCb)に向けて、通信装置1が空間光信号を送信する様子を示す(a、bは自然数)。以下においては、探索側の通信装置1を通信装置1A、被探索側の通信装置1を通信装置1Bと記載する。図3では、通信装置1Aが、空間光信号を送光する例を示す。図3には、通信装置1Aの探索対象(通信装置1B)を図示する。いずれの通信装置1も、探索側(通信装置1A)としての処理と、被探索側(通信装置1B)としての処理を実行できる。例えば、被探索側(通信装置1B)が、探索側(通信装置1A)を探索することになった場合、その被探索側であった通信装置1Bは、探索側(通信装置1A)としての処理を実行する。探索側の通信装置1Aにとっては、被探索側の通信装置1Bが通信対象に相当する。それに対し、被探索側の通信装置1Bにとっては、探索側の通信装置1Aが通信対象に相当する。
【0019】
図4は、通信装置1Aによる通信対象(通信装置1B)のスキャン(走査)の一例について説明するための概念図である。通信装置1Aは、通信対象(通信装置1B)の走査段階においては、通信装置1Aのスキャンエリア内に設定された複数のスキャンアドレスに向けて、空間光信号(走査信号)を順番に送信していく。
【0020】
通信装置1Aは、左上の原点(R0C0)を始点として、上から下に向けた列ごとのスキャン(列スキャンとも呼ぶ)を実行する。送信装置10は、左から右に向けて列スキャン(順方向スキャンとも呼ぶ)を実行する。順方向スキャンが行われる期間を、第1期間と呼ぶ。通信装置1Aは、第1期間において、Aパターン(第1走査パターンとも呼ぶ)の信号を含む空間光信号(走査信号)を送信する。Aパターンの信号は、一つのパルス信号を含む。
【0021】
右下(RcCd)まで順方向スキャンが完了すると、通信装置1Aは、右上(R0Cd)を始点として、上から下に向けた列スキャンを実行する。通信装置1Aは、右から左に向けて列スキャン(逆方向スキャンとも呼ぶ)を実行する。逆方向スキャンが行われる期間を、第2期間と呼ぶ。通信装置1Aは、第2期間において、Bパターン(第2走査パターンとも呼ぶ)の信号を含む空間光信号(走査信号)を送信する。Bパターンの信号は、二つのパルス信号を含む。
【0022】
通信装置1Aは、通信対象(通信装置1B)からの返信を受信するまで、順方向スキャンと逆方向スキャンを繰り返す。一回分の順方向スキャンと逆方向スキャンの期間を、走査期間と呼ぶ。図4の例は、一例であって、通信装置1Aによる通信対象(通信装置1B)の走査方法を限定するものではない。図4には、一つのパルス信号を含むAパターンと、二つのパルス信号を含むBパターンとを示した。AパターンとBパターンは、互いに区別できれば、どのようなパターンであってもよい。互いに光空間通信を行う通信装置1Aと通信装置1Bの間では、相互に送受信する走査信号のパターンを共有しておく。図4には、上から下に向けて、列スキャンする例を示した。列スキャンは、下から上に向けて実行されてもよい。図4には、列ごとにスキャンする例を示した。スキャンは、行ごとに実行されてもよい。図4には、左から右に向けた列スキャンを順方向スキャンとし、右から左に向けた列スキャンを逆方向スキャンとした。右から左に向かう列スキャンを順方向スキャンとし、左から右に向かう列スキャンを逆方向スキャンとしてもよい。
【0023】
例えば、より詳細なスキャンをする場合には、スキャンエリアに設定されたスキャンアドレスの中間の位置座標に向けて、空間光信号が送信されてもよい。例えば、通信が確立した通信対象(通信装置1B)と相互に通信する場合には、スキャンエリアに設定されたスキャンアドレスを基準とし、通信対象(通信装置1B)の位置する方向に向けて、通信内容を含む空間光信号が送信される。通信が確立した通信対象(通信装置1B)と相互に通信する場合、スキャンアドレスを基準として、空間光信号が送信される。
【0024】
図5は、通信対象(通信装置1B)による走査信号の受信例について説明するための概念図である。別の通信装置1(通信装置1A)から送信された走査信号を受信した通信装置1Bは、走査信号の受信パターンに応じて、その走査信号の送信元の通信対象(通信装置1A)の位置を特定する。図5には、二回分の走査期間を示す。一回目の走査期間は、先行走査期間である。一回目に後続する二回目の走査期間は、後続走査期間である。
【0025】
先行走査期間において、Aパターンで送信された走査信号の受信タイミングと、Bパターンで送信された走査信号の受信タイミングとの間隔はS1(第1間隔とも呼ぶ)である。先行走査期間にBパターンで送信された走査信号の受信タイミングと、後続走査期間にAパターンで送信された走査信号の受信タイミングとの間隔はS2(第2間隔とも呼ぶ)である。後続走査期間において、Aパターンで送信された走査信号の受信タイミングと、Bパターンで送信された走査信号の受信タイミングとの間隔はS1(第1間隔)である。通信装置1Bは、第1間隔S1と第2間隔S2との比に応じて、走査信号の送信元である通信装置1Aの位置を特定する。
【0026】
通信装置1Bは、受信した走査信号の送信元の通信装置1Aが走査信号を送信した方向を特定すると、特定された方向を通知するための情報を含む信号(通知パターンとも呼ぶ)を生成する。通信装置1Bは、走査信号の送信元の通信装置1Aに向けて、生成した信号を含む空間光信号(通知信号とも呼ぶ)を送信する。例えば、走査信号の到来方向が特定されていれば、通信装置1Bは、その到来方向に向けて、通知信号を送信する。走査信号の到来方向が特定されていない場合、通信装置1Bは、その通信装置1Bに設定されたスキャンエリアに向けて、送信方向を順次変更して、通知信号を送信すればよい。
【0027】
通信装置1Aは、通信対象(通信装置1B)から通知信号を受信すると、通信が確立したことを通知するための情報を含む信号(完了通知パターン)を生成する。通信装置1Aは、通知信号の送信元の通信対象(通信装置1B)に向けて、生成した信号を含む空間光信号(完了通知信号とも呼ぶ)を送信する。通知信号の送信元である通信対象(通信装置1B)の位置は、通信装置1Aのスキャンエリアにおいて特定されている。そのため、通信装置1Aは、その通信対象(通信装置1B)の位置する方向に、完了通知信号を送信する。以上の手順で、通信装置1Aと通信装置1Bの間の通信が確立される。通信が確立された通信装置1Aと通信装置1Bの間では、任意の通信内容が含まれる空間光信号(通信信号とも呼ぶ)が送受信される。
【0028】
図6は、通信装置1から送信される空間光信号のパターンの一例をまとめた表である。走査モードにおいて、探索側の通信装置1(通信装置1A)は、AパターンまたはBパターンの走査パターンの信号を含む走査信号を送信する。走査信号を受信すると、被探索側の通信対象(通信装置1B)は、その走査信号に含まれる走査パターンの受信タイミングの間隔に応じて、その走査信号の送光元の送信方向を特定する。被探索側の通信対象(通信装置1B)は、特定された送信方向に関する通知パターンを含む通知信号を送信する。特定された走査信号の送信方向が左の場合、パルス幅の長いパルス(長パルスとも呼ぶ)と、パルス幅の短いパルス(短パルスとも呼ぶ)とが連続する通知パターンを含む通知信号を送信する。特定された走査信号の送信方向が中央の場合、三つの短パルスが連続する通知パターンを含む通知信号を送信する。特定された走査信号の送信方向が右の場合、短パルスと長パルスとが連続する通知パターンを含む通知信号を送信する。通知信号を受信すると、探索側の通信装置1(通信装置1A)は、その通知信号の送光元の通信対象(通信装置1B)に対して、短パルスと長パルスと長パルスとが連続する完了通知パターンを含む完了通知信号を送信する。図6のパターンは、一例であって、通信装置1の間で送受信される空間光信号に含まれる信号を限定するものではない。通信装置1の間で送受信される空間光信号のパターンは、通信装置1の間で予め設定されていればよい。
【0029】
図7図8は、走査信号の送信元の通信装置1(通信装置1A)に設定されたスキャンエリアの左の方向に通信対象(通信装置1B)が位置する場合(図7)における、走査信号の受信例(図8)について説明するための概念図である。図8のように、第1期間に送信された走査信号が受信される期間においては、その期間の早いタイミングで、通信対象(通信装置1B)が走査信号を受信する。一方、第2期間に送信された走査信号が受信される期間においては、その期間の遅いタイミングで、通信対象(通信装置1B)が走査信号を受信する。すなわち、第1期間に送信された走査信号が受信されるタイミングと比べて、第2期間に送信された走査信号が受信されるタイミングが遅くなる。そのため、送信元である通信装置1(通信装置1A)に設定されたスキャンエリアの左の方向に通信対象が位置する場合、第1間隔S1と比べて、第2間隔S2が大きい値になる。すなわち、第2間隔S2に対する第1間隔S1の比は、1よりも小さい。それに対し、第1間隔S1に対する第2間隔S2の比は、1よりも大きい。
【0030】
図9図10は、走査信号の送信元の通信装置1(通信装置1A)に設定されたスキャンエリアの中央の方向に通信対象(通信装置1B)が位置する場合(図9)における、走査信号の受信例(図10)について説明するための概念図である。図10のように、第1期間に送信された走査信号が受信される期間においては、その期間の中央のタイミングで、通信対象(通信装置1B)が走査信号を受信する。一方、第2期間に送信された走査信号が受信される期間においても、その期間の中央のタイミングで、通信対象(通信装置1B)が走査信号を受信する。すなわち、第1期間に送信された走査信号が受信されるタイミングと、第2期間に送信された走査信号が受信されるタイミングとは、同じタイミングになる。そのため、送信元である通信装置1(通信装置1A)に設定されたスキャンエリアの中央の方向に通信対象(通信装置1B)が位置する場合、第1間隔S1と第2間隔S2は同じ値になる。すなわち、第2間隔S2に対する第1間隔S1の比は1になる。同様に、第1間隔S1に対する第2間隔S2の比は1になる。
【0031】
図11図12は、走査信号の送信元の通信装置1(通信装置1A)に設定されたスキャンエリアの右の方向に通信対象(通信装置1B)が位置する場合(図11)における、走査信号の受信例(図12)について説明するための概念図である。図12のように、第1期間に送信された走査信号が受信される期間においては、その期間の遅いタイミングで、通信対象(通信装置1B)が走査信号を受信する。一方、第2期間に送信された走査信号が受信される期間においては、その期間の早いタイミングで、通信対象(通信装置1B)が走査信号を受信する。すなわち、第1期間に送信された走査信号が受信されるタイミングと比べて、第2期間に送信された走査信号が受信されるタイミングが早くなる。そのため、送信元である通信装置1(通信装置1A)に設定されたスキャンエリアの左の方向に通信対象(通信装置1B)が位置する場合、第1間隔S1と比べて、第2間隔S2が小さい値になる。すなわち、第2間隔S2に対する第1間隔S1の比は、1よりも大きい。それに対し、第1間隔S1に対する第2間隔S2の比は、1よりも小さい。
【0032】
〔送信装置〕
次に、送信装置10の構成について図面を参照しながら説明する。図13は、送信装置10の構成の一例を示す概念図である。送信装置10は、光源11および空間光変調器13を備える。光源11は、出射器111およびレンズ112を含む。図13は、送信装置10の内部構成を横方向から見た側面図である。図13は、概念的なものであり、各構成要素間の位置関係や、光の進行方向などを正確に表したものではない。
【0033】
出射器111は、通信制御装置19の制御に応じて、所定の波長帯のレーザ光101を、レンズ112に向けて出射する。出射器111から出射されるレーザ光101の波長は、特に限定されず、用途に応じて選定されればよい。例えば、出射器111は、可視や赤外の波長帯のレーザ光101を出射する。例えば、800~900ナノメートル(nm)の近赤外線であれば、レーザクラスをあげられるので、他の波長帯よりも1桁くらい感度を向上できる。例えば、1.55マイクロメートル(μm)の波長帯の赤外線ならば、高出力のレーザ光源を用いることができる。1.55μmの波長帯のレーザ光源としては、アルミニウムガリウムヒ素リン(AlGaAsP)系レーザ光源や、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)系レーザ光源などを用いることができる。レーザ光101の波長が長い方が、回折角を大きくでき、高いエネルギーに設定できる。
【0034】
レンズ112は、出射器111から出射されたレーザ光101を、空間光変調器13の変調部130の大きさに合わせて照射する。出射器111から出射されたレーザ光101は、レンズ112によって照射範囲が調整され、光源11から出射される。光源11から出射された光102は、空間光変調器13の変調部130に向けて進行する。
【0035】
空間光変調器13は、変調部130を有する。変調部130には、光102が照射される。光102は、変調部130で変調されて、変調光103として出射される。変調部130で変調された変調光103は、投射光105として投射される。例えば、変調光103の光路上に、変調光103を拡大して投射する投射光学系が配置されてもよい。例えば、投射光学系は、フーリエ変換レンズやアパーチャ、投射レンズなどを組み合わせた構造を有する。投射光学系については、説明を省略する。
【0036】
変調部130には、通信制御装置19の制御に応じて、投射光105によって表示される画像に応じたパターン(位相画像とも呼ぶ)が設定される。空間光変調器13を用いる場合、回折現象を利用するため、回折格子と同じように高次の像が発生する。例えば、変調光103や投射光105の光路上に、高次光を除去するための機構が配置されてもよい。また、変調光103には、0次光が含まれる。例えば、変調光103や投射光105の光路上に、0次光を除去するための機構が配置されてもよい。
【0037】
空間光変調器13は、強誘電性液晶やホモジーニアス液晶、垂直配向液晶などを用いた空間光変調器によって実現される。例えば、空間光変調器13は、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)によって実現できる。また、空間光変調器13は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)によって実現されてもよい。位相変調型の空間光変調器13では、投射光105を投射する箇所を順次切り替えるように動作させることによって、エネルギーを像の部分に集中することができる。そのため、位相変調型の空間光変調器13を用いる場合、光源11の出力が同じであれば、その他の方式と比べて画像を明るく表示させることができる。
【0038】
空間光変調器13の変調部130は、複数の領域に分割される(タイリングとも呼ぶ)。例えば、変調部130は、所定のアスペクト比の矩形領域(タイルとも呼ぶ)に分割される。複数のタイルの各々は、複数の画素によって構成される。変調部130に設定された複数のタイルの各々には、位相画像がタイリングされる。例えば、複数のタイルの各々には、予め生成された位相画像が設定される。複数のタイルの各々には、投射される画像に対応する位相画像が設定される。
【0039】
複数のタイルに位相画像が設定された状態で、変調部130に光102が照射されると、各タイルの位相画像に対応する画像を形成する変調光103が出射される。変調部130に設定されるタイルが多いほど、鮮明な画像を表示させることができるが、各タイルの画素数が低下すると解像度が低下する。そのため、変調部130に設定されるタイルの大きさや数は、用途に応じて設定される。
【0040】
図14は、空間光変調器13の変調部130に設定されるパターンの一例を示す概念図である。変調部130には、合成画像1303が設定される。合成画像1303は、所望の画像を形成するための位相画像1301と、所望の画像を形成する光を集光させる仮想レンズ画像1302とが合成されたパターンである。光の波面は、回折と同様に、位相制御によって制御できる。位相が球状に変化すると、波面に球状の差ができてレンズ効果が発生する。仮想レンズ画像1302は、空間光変調器13の変調部130に照射される光102の位相を球状に変化させ、所定の焦点距離の位置に集光するレンズ効果を発生させる。
【0041】
例えば、仮想レンズ画像1302の集光点の位置に、曲面状の反射面を有する曲面ミラー(図示しない)が配置されてもよい。曲面ミラーは、空間光変調器13の変調部130に対して、曲面状の反射面を向けて配置される。曲面ミラーは、空間光変調器13の変調部130で変調された変調光103を、曲面状の反射面で反射する。曲面ミラーの反射面で反射された変調光103は、投射光105として投射される。投射光105は、反射面の曲率に応じた拡大率で拡大されて、投射される。例えば、仮想レンズ画像1302によって集光された像は、曲面ミラーの反射面に結像される。例えば、予め生成させておいた合成画像1303を、記憶部(図示しない)に記憶させておけばよい。なお、図15は、一例であって、位相画像1301や仮想レンズ画像1302、合成画像1303のパターンを限定するものではない。
【0042】
例えば、変調光103や投射光105の光路上に、遮蔽器(図示しない)が配置されてもよい。遮蔽器は、変調光103に含まれる不要な光成分を遮蔽し、投射光105の表示領域の外縁を規定する枠体である。遮蔽器は、所望の画像を形成する光を通過させ、不要な光成分を遮蔽する。例えば、遮蔽器は、所望の画像を形成する光を通過させる部分に開口が形成されたアパーチャである。例えば、遮蔽器は、変調光103に含まれる高次光に由来するゴースト像を遮蔽する。
【0043】
例えば、変調光103や投射光105の光路上に、0次光除去器(図示しない)が配置されてもよい。例えば、0次光除去器は、光吸収部材を支持する部材で支持された光吸収部材を含む。光吸収部材は、支持部材によって、変調光103や投射光105に含まれる0次光の光路上に固定される。例えば、支持部材は、ガラスやプラスチックなどのように、変調光103や投射光105が透過する材質で構成される。例えば、光吸収部材には、カーボンなどの黒体が用いられる。使用されるレーザ光101の波長が固定されている場合には、レーザ光101の波長の光を選択的に吸収する材質の光吸収部材が用いられることが好ましい。
【0044】
〔受信装置〕
次に、受信装置16の構成について図面を参照しながら説明する。図15は、受信装置16の構成の一例について説明するための概念図である。受信装置16は、集光器160、受光素子17、および受信回路18を備える。図15は、受信装置16の内部構成を上方向から見た平面図である。なお、受信回路18の位置については、特に限定を加えない。受信回路18は、受信装置16の内部に配置されてもよいし、受信装置16の外部に配置されてもよい。また、受信回路18の機能を通信制御装置19に含めてもよい。
【0045】
集光器160は、外部から到来した空間光信号を集光する光学素子である。集光器160の入射面には、空間光信号が入射する。集光器160によって集光された光信号は、受光素子17の受光部170に向けて集光される。例えば、集光器160は、入射した空間光信号を集光するレンズである。例えば、集光器160は、入射した空間光信号を、受光素子17の受光部170に向けて導光する光線制御素子である。例えば、集光器160は、レンズや光線制御素子を組み合わせた構成であってもよい。集光器160は、受光素子17の配置された領域に向けて空間光信号を集光できれば、その構成については特に限定しない。例えば、集光器160によって集光される光信号を、受光素子17の受光部170に向けて導光する機構が、追加されてもよい。
【0046】
受光素子17は、集光器160の後段に配置される。受光素子17は、集光器160の出射面と受光部170が対面するように配置される。受光素子17は、集光器160によって集光された光信号を受光する受光部170を有する。集光器160によって集光された光信号は、受光素子17の受光部170で受光される。受光素子17は、受光された光信号を電気信号(以下、信号とも呼ぶ)に変換する。受光素子17は、変換後の信号を、受信回路18に出力する。
【0047】
受光素子17は、受光対象である空間光信号の波長領域の光を受光する。例えば、受光素子17は、可視領域の光に感度を有する。例えば、受光素子17は、赤外領域の光に感度を有する。受光素子17は、例えば1.5μm(マイクロメートル)帯の波長の光に感度を有する。なお、受光素子17が感度を有する光の波長帯は、1.5μm帯に限定されない。受光素子17が受光する光の波長帯は、受光対象の空間光信号の波長に合わせて、任意に設定できる。受光素子17が受光する光の波長帯は、例えば0.8μm帯や、1.55μm帯、2.2μm帯に設定されてもよい。また、受光素子17が受光する光の波長帯は、例えば0.8~1μm帯であってもよい。波長帯が短い方が、大気中の水分による吸収が小さいので、降雨時における光空間通信には有利である。また、受光素子17は、強烈な太陽光で飽和してしまうと、空間光信号に由来する光信号を読み取ることができない。そのため、受光素子17よりも前段に、空間光信号の波長帯の光を選択的に通過させる色フィルタが設置されてもよい。
【0048】
例えば、受光素子17は、フォトダイオードやフォトトランジスタなどの素子によって実現できる。例えば、受光素子17は、アバランシェフォトダイオードによって実現される。アバランシェフォトダイオードによって実現された受光素子17は、高速通信に対応できる。なお、受光素子17は、光信号を電気信号に変換できさえすれば、フォトダイオードやフォトトランジスタ、アバランシェフォトダイオード以外の素子によって実現されてもよい。通信速度を向上させるために、受光素子17の受光部は、できるだけ小さい方が好ましい。例えば、受光素子17の受光部は、一辺が5mm(ミリメートル)程度の正方形の受光面を有する。例えば、受光素子17の受光部は、直径0.1~0.3mm程度の円形の受光面を有する。受光素子17の受光部の大きさや形状は、空間光信号の波長帯や通信速度などに応じて選定されればよい。
【0049】
例えば、受光素子17の前段に、フィルタ(図示しない)が配置されてもよい。フィルタは、受光素子17の受光部170に対応付けて配置される。例えば、フィルタは、受光素子17の受光部170に、重ねて配置される。例えば、フィルタは、受光対象の空間光信号の偏光状態に応じて選択されてもよい。例えば、受光対象の空間光信号が直線偏光の場合、フィルタは1/2波長板を含む。例えば、受光対象の空間光信号が円偏光の場合、フィルタは1/4波長板を含む。フィルタの偏光特性に応じて、フィルタを通過した光信号の偏光状態が変換される。
【0050】
受信回路18は、受光素子17から出力された信号を取得する。受信回路18は、受光素子17からの信号を増幅する。受信回路18は、増幅された信号をデコードする。受信回路18によってデコードされた信号は、任意の用途に使用される。受信回路18によってデコードされた信号の使用については、特に限定を加えない。
【0051】
〔通信制御装置〕
次に、通信制御装置19の構成について図面を参照しながら説明する。図16は、通信制御装置19の構成の一例について説明するためのブロック図である。通信制御装置19は、条件記憶部191、送信条件生成部192、送信制御部193、信号取得部195、信号解析部196、および信号生成部197を有する。例えば、通信制御装置19は、プロセッサとメモリを含むマイクロコンピュータによって実現される。通信制御装置19は、送信装置10や受信装置16にネットワーク経由で接続されたサーバやクラウドに実装されてもよい。
【0052】
条件記憶部191は、送信装置10が送信する投射光105に対応するパターン(位相画像とも呼ぶ)を記憶する。条件記憶部191に記憶されたパターンは、空間光変調器13の変調部130に設定される。また、条件記憶部191は、送信装置10の光源11を制御するための光源制御条件や、送信装置10の空間光変調器13を制御するための変調器制御条件を含む投射条件を記憶する。光源制御条件は、送信装置10の光源11からレーザ光101を出射させるタイミングを含む条件である。変調器制御条件は、空間光変調器13の変調部130にパターンを設定するための条件である。光源制御条件と変調器制御条件を協調させることによって、空間光変調器13の変調部130に設定されたパターンに応じた投射光105が投射される。
【0053】
また、条件記憶部191は、送信装置10が送信する空間光信号に乗せる走査パターンや通知パターン、完了通知パターンなどのパルスパターンを記憶する。パルスパターンは、信号生成部197によって参照される。
【0054】
送信条件生成部192は、信号生成部197から信号を取得する。送信条件生成部192は、条件記憶部191に記憶された条件に基づいて、取得した信号に含まれる情報を送信するための送信条件を生成する。例えば、送信条件生成部192は、条件記憶部191に記憶された投射条件に基づいて、取得した信号に含まれる情報を送信するためのパターン(位相画像)を選択する。例えば、送信条件生成部192は、取得した信号に含まれる情報を送信するために投射される像に対応するパターン(位相画像)を、空間光変調器13の変調部130に設定する送信条件を生成する。例えば、送信条件生成部192は、空間光変調器13の変調部130に設定されたタイリングのアスペクト比に合わせて、投射される像に対応する位相画像を、空間光変調器13の変調部130に設定する送信条件を生成する。
【0055】
送信条件生成部192は、走査信号、通知信号、完了通知信号、および通信信号を送信するための送信条件を生成する。走査信号は、通信対象をスキャンするための信号である。通知信号は、走査信号を受信したことを通知するための信号である。完了通知信号は、通知信号を受信したことを通知するための信号である。通信信号は、通信が確立された通信対象に対して送信する情報を含む。例えば、送信条件生成部192は、走査信号、通知信号、完了通知信号、および通信信号に乗せる情報に応じて、投射光105の明滅を制御するための送信条件を設定する。
【0056】
送信条件生成部192は、走査モードにおいて、走査信号を送信するための送信条件を生成する。走査信号は、通信対象を探索するための信号である。通知信号および完了通知信号については、信号生成部197によって生成された信号に応じて、送信条件を生成する。通信対象との間の通信が確立して通信モードに移行すると、送信条件生成部192は、信号生成部197によって生成された信号に応じて、通信信号を送信するための送信条件を生成する。
【0057】
送信制御部193は、送信条件生成部192によって設定された送信条件に基づいて、送信装置10の光源11および空間光変調器13を制御する。送信制御部193は、送信条件に基づいて、投射される画像に対応する位相画像を、空間光変調器13の変調部130に設定する。送信制御部193は、変調部130に位相画像が設定されたタイミングに合わせて、光源11から光102を出射させる。その結果、スキャンや通信のための空間光信号に相当する投射光105が送信される。
【0058】
送信制御部193は、空間光変調器13の変調部130に照射される光102の位相と、変調部130で反射される変調光103の位相との差分を決定づけるパラメータが変化するように空間光変調器13を駆動する。そのようなパラメータは、例えば、屈折率や光路長などの光学的特性に関するパラメータである。例えば、送信制御部193は、空間光変調器13の変調部130に印可する電圧を変化させることによって、変調部130の光学的特性を調節する。位相変調型の空間光変調器13の変調部130に照射された光102の位相分布は、変調部130の光学的特性に応じて変調される。送信制御部193による空間光変調器13の駆動方法は、空間光変調器13の変調方式に応じて決定される。
【0059】
送信制御部193は、投射光105によって表示される画像に対応する位相画像が変調部130に設定された状態で、光源11の出射器111を駆動させる。その結果、空間光変調器13の変調部130に位相画像が設定されたタイミングに合わせて、光源11から出射された光102が空間光変調器13の変調部130に照射される。空間光変調器13の変調部130に照射された光102は、空間光変調器13の変調部130に設定された位相画像に応じて変調される。空間光変調器13の変調部130において変調された変調光103は、投射光105として投射される。
【0060】
信号取得部195は、受信装置16によってデコードされた信号を、受信装置16から取得する。また、信号取得部195は、受信装置16によって信号処理が加えられた信号を、受信装置16から取得する。信号取得部195が取得する信号には、通信装置1から送信された空間光信号に応じて、スキャンされた通信対象や、通信中の通信対象から送信された応答が含まれる。
【0061】
信号解析部196は、信号取得部195によって取得された信号を解析する。信号解析部196は、信号の種別に応じて、信号に含まれる情報を解析する。信号の種別には、走査信号、通知信号、完了通知信号、および通信信号が含まれる。
【0062】
信号解析部196は、通信対象から送信された走査信号を取得する。走査信号には、二種類の走査パターンが含まれる。信号解析部196は、走査信号に含まれる二種類の走査パターンの間隔に応じて、その走査信号の送信方向(送信元の送信座標系)を特定する。信号解析部196は、取得した走査信号の送信元の通信対象に対して送信する通知信号を生成する指示を、信号生成部197に出力する。
【0063】
信号解析部196は、通信対象から送信された通知信号を取得する。通知信号には、その通知信号の送信元の通信対象が受信した走査信号の送信方向(自装置の送信座標系)が含まれる。信号解析部196は、通知信号に含まれる走査信号の送信方向(自装置の送信座標系)に向けて、通知信号の受信を通知する完了通知信号を生成する指示を、信号生成部197に出力する。
【0064】
信号解析部196は、通信対象から送信された完了通知信号を取得する。信号解析部196は、完了通知信号を受信すると、その完了通知信号の送信元の通信対象に対して送信される通信信号を生成する指示を、信号生成部197に出力する。通信信号の内容については、特に限定されない。
【0065】
信号解析部196は、通信対象から送信された通信信号を取得する。信号解析部196は、通信信号を受信すると、その通信信号の内容に応じて、その通信信号の送信元の通信対象に対して送信される通信信号を生成する指示を、信号生成部197に出力する。信号解析部196は、受信した通信信号の内容に応じて、その通信信号に対する返答を含む通信信号を生成する指示を、信号生成部197に出力する。
【0066】
信号生成部197は、通信対象に送信する信号を生成する。信号生成部197は、走査信号、通知信号、完了通知信号、および通信信号を生成する。信号生成部197は、生成した信号を送信条件生成部192に出力する。信号生成部197によって生成される、走査信号、通知信号、完了通知信号、および通信信号の各々については、上述した通りである。
【0067】
信号生成部197は、走査モードに移行すると、走査信号を生成する。走査信号は、通信対象を探索するための信号である。走査信号は、スキャンエリアを順方向にスキャンする順方向スキャンと、その順方向とは逆方向にスキャンする逆方向スキャンとで、異なるパターンで送信される。信号生成部197は、順方向スキャンの第1期間には、Aパターン(第1走査パターン)の走査信号を生成する。信号生成部197は、逆方向スキャンの第2期間には、Bパターンの走査信号(第2走査パターン)を生成する。第1走査パターンと第2走査パターンは、通信対象との間で予め決められたパターンである。第1走査パターンと第2走査パターンは、互いに異なるパターンである。例えば、信号生成部197は、走査信号を生成する。信号生成部197は、信号解析部196の指示に応じて、走査信号を生成するように構成されてもよい。
【0068】
信号生成部197は、信号解析部196の指示に応じて、通知信号を生成する。通知信号は、通信対象から送信された走査信号を受信したことを、その走査信号の送信元の通信対象に通知するための信号である。通知信号は、送信元のスキャンエリアにおける走査信号の送信方向に応じたパターンで送信される。通知信号のパターン(通知パターン)は、通信対象との間で予め決められたパターンである。
【0069】
例えば、送信元のスキャンエリアが、左側の領域、中央の領域、および右側の領域に三分割されると仮定する。送信元のスキャンエリアにおける走査信号の送信方向が左側の領域であった場合、信号生成部197は、受信した走査信号の送信方向が左であったことを示すパターンを含む通知信号を生成する。送信元のスキャンエリアにおける走査信号の送信方向が中央の領域であった場合、信号生成部197は、受信した走査信号の送信方向が中央であったことを示すパターンを含む通知信号を生成する。送信元のスキャンエリアにおける走査信号の送信方向が右側の領域であった場合、信号生成部197は、受信した走査信号の送信方向が右であったことを示すパターンを含む通知信号を生成する。
【0070】
信号生成部197は、信号解析部196の指示に応じて、完了通知信号を生成する。完了通知信号は、通信対象から送信された通知信号を受信したことを、その通知信号の送信元の通信対象に通知するための信号である。完了通知信号は、通信対象との間で予め決められたパターンである。
【0071】
また、信号生成部197は、信号解析部196の指示に応じて、通信信号を生成する。通信信号は、通信が確立された通信対象との間で送受信される信号である。通信信号には、通信対象に向けて送信する情報が含まれる。通信信号に乗せる情報は、予め定められた内容であってもよいし、通信対象からの通信信号に含まれる情報に応じた内容であってもよい。例えば、通信対象からの通信信号に含まれる情報に応じた内容の通信信号を生成する場合、通信対象から送信された通信信号に含まれる情報を、表示装置(図示しない)に表示させる。例えば、表示装置に表示された情報を確認したオペレータは、入力装置(図示しない)を介して、表示された情報に対する応答を通信制御装置19(信号生成部197)に入力する。例えば、信号生成部197は、入力された情報を含む通信信号を生成する。信号生成部197によって生成される通信信号の内容には、特に限定を加えない。
【0072】
(変形例)
次に、本実施形態に係る変形例について、いくつかの例をあげて説明する。以下においては、四つの変形例(変形例1~4)をあげる。変形例1は、走査モードにおいて、複数のドットを同時に送信する例である。変形例2は、走査モードにおいて、二段階の走査で通信対象の位置を特定する例である。変形例3は、走査モードにおいて、スキャンエリアに割り当てられた複数の領域の境界に対応する方向に位置する通信対象を特定する例である。変形例4は、走査モードにおける走査方向が横方向の例である。
【0073】
〔変形例1〕
図17は、変形例1について説明するための概念図である。本変形例では、走査モードにおいて、通信対象の走査に用いられる複数のドットを同時に送信する。
【0074】
図17の例では、同じ列に四つのドットを同時に送信する。同じ列に同時に送信された四つのドットは、上から下に向けて同じ速度で同時に走査される。矢印で示すように、各ドットの走査距離は、図2などの例と比較して四分の一程度になる。順方向スキャンの場合、一つの列で走査が終わった段階で、右隣の列の走査に移行する。逆方向スキャンの場合、一つの列で走査が終わった段階で、左隣の列の走査に移行する。本変形例の手法によれば、複数のドットを同時に送信することによって、各列における走査距離が短くなり、全体的な走査時間が短縮される。すなわち、本変形例の手法によれば、走査時間を短縮できる。
【0075】
〔変形例2〕
図18は、変形例2について説明するための概念図である。本変形例では、走査モードにおいて、二段階の走査で通信対象の位置を特定する。図18の例では、スキャンエリアを三つのサブエリアに分割する。
【0076】
図18の例では、スキャンエリアは、左側エリア、中央エリア、および右側エリアに分割される。図18の例では、通信対象が、左側エリアと中央エリアの境界の方向に位置する。本変形例では、一次スキャンと、その一次スキャンに後続して実行される二次スキャンとが実行される。一次スキャンでは、スキャンエリアの全体が走査される。二次スキャンでは、一次スキャンで特定された通信対象の方向が含まれるサブエリアが走査される。二次スキャンでは、一次スキャンよりも、走査される列の間隔が狭められる。本変形例では、隣接するサブエリアの境界の方向に通信対象が位置する場合、いずれかのサブエリアの走査範囲を拡張して、二次スキャンが実行される。図18の場合、左側エリアの走査範囲が拡張される。本変形例によれば、一次スキャンで特定された通信対象の方向を、二次スキャンでより詳細に特定できる。また、本変形例によれば、隣接し合うサブエリアの境界に対応する方向の通信対象の位置を、より詳細に特定できる。
【0077】
〔変形例3〕
図19は、変形例3について説明するための概念図である。本変形例では、走査モードにおいて、スキャンエリアに割り当てられた複数の領域の境界に対応する方向に位置する通信対象を特定する。
【0078】
図19には、送信元の通信装置1A(探索側)のスキャンエリアにおける通信装置1B(通信対象)の集光器160の方向(上側)と、通信装置1B(通信対象)によって走査信号が受信されるタイミング(下側)との関係を示す。図19の例では、第1期間における順方向スキャンと、第2期間における逆方向スキャンとが実行される。スキャンエリアは、左側エリア、中央エリア、およぶ右側エリアの三つのサブエリアに分割される。説明を簡略化するため、各サブエリアでは、一列の走査が三行分実行されるものとする。隣接するドットの照射範囲は、互いに重なる部分を有する。順方向スキャンで送信された走査信号の受信期間は、各列の走査に対応付けられた三つの期間を含む(p1、p2、p3)。逆方向スキャンで送信された走査信号の受信期間は、各列の走査に対応付けられた三つの期間を含む(p4、p5、p6)。各列の走査に対応付けられた各期間は、第一のタイミング(上)、第二のタイミング(中)、および第三のタイミング(下)を含む。
【0079】
第1期間では、期間p1およびp2の第二のタイミング(中)においてパターンAの走査信号が受信され、期間p3においては走査信号が受信されない。第2期間では、期間p4においては走査信号が受信されず、期間p5およびp6の第二のタイミング(中)においてパターンBの走査信号が受信される。第1期間の期間p1においてパターンAが受信され、第2期間の期間p6においてパターンBが受信されることより、通信装置1A(探索側)に設定されたスキャンエリアの左側エリアの方向に通信装置1B(被探索側)が位置すると判定される。また、第1期間の期間p2においてパターンAが受信され、第2期間の期間p5においてパターンBが受信されることより、通信装置1A(探索側)に設定されたスキャンエリアの中央エリアの方向に通信装置1B(被探索側)が位置すると判定される。すなわち、図19の例では、通信装置1A(探索側)のスキャンエリアの左側エリアと中央エリアに、同一の通信装置1B(被探索側)が位置することになる。このような場合、走査信号を受信した通信装置1B(被探索側)は、その走査信号の送信元である通信装置1A(探索側)のスキャンエリアの左側エリアと中央エリアの境界の方向に、被探索側である自身(通信装置1B)が位置すると判定する。本変形例では、隣接するサブエリアの境界に位置する場合、被探索側の通信装置1Bは、どの境界に位置するのかを示すパターンを含む通知信号を、走査信号の送信元の通信装置1A(探索側)に向けて送信する。
【0080】
図20は、本変形例の通信装置1(探索側)から送信される空間光信号のパターンの一例をまとめた表である。走査モードにおいて、通信装置1A(探索側)は、AパターンまたはBパターンの走査パターンの信号を含む走査信号を送信する。走査信号を受信すると、通信装置1B(被探索側)は、その走査信号に含まれる走査パターンの受信タイミングの間隔に応じて、その走査信号の送光元の送信方向を特定する。通信装置1B(被探索側)は、特定された送信方向に関する通知パターンを含む通知信号を送信する。特定された走査信号の送信方向が左の場合、パルス幅の長いパルス(長パルスとも呼ぶ)と、パルス幅の短いパルス(短パルスとも呼ぶ)とが連続する通知パターンを含む通知信号を送信する。特定された走査信号の送信方向が左と中央の境界(左/中央境界)の場合、パルス幅の長いパルス(長パルスとも呼ぶ)と、二つのパルス幅の短いパルス(短パルスとも呼ぶ)とが連続する通知パターンを含む通知信号を送信する。特定された走査信号の送信方向が中央の場合、三つの短パルスが連続する通知パターンを含む通知信号を送信する。特定された走査信号の送信方向が中央と右の境界(中央/右境界)の場合、二つのパルス幅の長いパルス(長パルスとも呼ぶ)と、二つのパルス幅の短いパルス(短パルスとも呼ぶ)とが連続する通知パターンを含む通知信号を送信する。特定された走査信号の送信方向が右の場合、短パルスと長パルスとが連続する通知パターンを含む通知信号を送信する。通知信号を受信すると、通信装置1A(探索側)は、その通知信号の送光元の通信装置1B(被探索側)に対して、短パルスと長パルスと長パルスとが連続する完了通知パターンを含む完了通知信号を送信する。図20のパターンは、一例であって、通信装置1A(探索側)と通信装置1B(被探索側)との間で送受信される空間光信号に含まれる信号を限定するものではない。通信装置1A(探索側)と通信装置1B(被探索側)との間で送受信される空間光信号のパターンは、通信装置1A(探索側)と通信装置1B(被探索側)との間で予め設定されていればよい。
【0081】
本変形例によれば、受信された走査信号の送信方向に応じた通知パターンを細分化することによって、通信装置1A(探索側)のスキャンエリアにおける通信装置1B(被探索側)通信対象の方向をより正確に特定できる。
【0082】
〔変形例4〕
図21は、変形例4について説明するための概念図である。本変形例では、走査モードにおける走査方向が横方向である。
【0083】
通信装置1A(探索側)は、左上の原点(R0C0)を始点として、左から右に向けた行ごとのスキャン(行スキャンとも呼ぶ)を実行する。通信装置1A(探索側)は、上から下に向けて行スキャン(順方向スキャンとも呼ぶ)を実行する。順方向スキャンが行われる期間を、第1期間と呼ぶ。通信装置1A(探索側)は、第1期間において、Aパターン(第1走査パターンとも呼ぶ)の信号を含む空間光信号(走査信号)を送信する。Aパターンの信号は、一つのパルス信号を含む。
【0084】
右下(RcCd)まで順方向スキャンが完了すると、通信装置1A(探索側)は、左下(RcC0)を始点として、左から右に向けた行スキャンを実行する。通信装置1A(探索側)は、右から左に向けて行スキャン(逆方向スキャンとも呼ぶ)を実行する。逆方向スキャンが行われる期間を、第2期間と呼ぶ。通信装置1A(探索側)は、第2期間において、Bパターン(第2走査パターンとも呼ぶ)の信号を含む空間光信号(走査信号)を送信する。Bパターンの信号は、二つのパルス信号を含む。
【0085】
通信装置1A(探索側)は、通信対象である通信装置1B(被探索側)からの返信を受信するまで、順方向スキャンと逆方向スキャンを繰り返す。一回分の順方向スキャンと逆方向スキャンの期間を、走査期間と呼ぶ。図21の例は、一例であって、通信装置1A(探索側)による通信対象(通信装置1B)の走査方法を限定するものではない。図21には、一つのパルス信号を含むAパターンと、二つのパルス信号を含むBパターンとを示した。AパターンとBパターンは、互いに区別できれば、どのようなパターンであってもよい。互いに光空間通信を行う通信装置1A(探索側)と通信装置1B(被探索側)との間では、相互に送受信する走査信号のパターンを共有しておく。図21には、左から右に向けて行スキャンする例を示した。行スキャンは、右から左に向けて実行されてもよい。図21には、上から下に向けた行スキャンを順方向スキャンとし、下から上に向けた行スキャンを逆方向スキャンとした。下から上に向けた行スキャンを順方向スキャンとし、上から下に向けた行スキャンを逆方向スキャンとしてもよい。
【0086】
以上のように、本実施形態の通信装置は、送信装置、受信装置、および通信制御装置を備える。送信装置は、通信制御装置の制御に応じて、空間光信号を送信する。受信装置は、通信対象から送信された空間光信号を受信し、受信された空間光信号に含まれる受信信号を通信制御装置に出力する。通信制御装置は、通信対象を探索するための走査信号を送信するスキャンモードにおいて、送信装置に走査信号を送信させる。通信制御装置は、順方向に向けて走査信号を走査する第1期間と、順方向とは逆方向に向けて走査信号を走査する第2期間とで、異なるパルスパターンの走査信号を、送信装置に送信させる。通信対象から送信された走査信号の受信装置による受信に応じて、通信制御装置は、通信対象による走査信号の送信方向を特定する。通信対象から第1期間に送信された走査信号のパルスパターンと、通信対象から第2期間に送信された走査信号のパルスパターンとの受信間隔に応じて、通信制御装置は、通信対象による走査信号の送信方向を特定する。通信制御装置は、特定された走査信号の送信方向に応じたパルスパターンの通知信号を、通信対象に向けて、送信装置に送信させる。
【0087】
本実施形態の通信装置は、通信対象を探索するスキャンモードにおいて、順方向に向けて走査する第1期間と、順方向とは逆方向に向けて走査信号を走査する第2期間とで、異なるパルスパターンの走査信号を送信する。また、本実施形態の通信装置は、通信対象から第1期間に送信された走査信号のパルスパターンと、通信対象から第2期間に送信された走査信号のパルスパターンとの受信間隔に応じて、通信対象による走査信号の送信方向を特定する。そのため、本実施形態の通信制御装置によれば、通信対象との間で動作を同期させずに、通信対象を探索できる。
【0088】
本実施形態の一態様において、通信制御装置は、スキャンモードにおいて、通信装置に設定されたスキャンエリアに関して、順方向スキャンと、順方向スキャンに続く逆方向スキャンとを繰り返すように、送信装置を制御する。順方向スキャンにおいて、通信制御装置は、第1の向きに走査信号の送信方向を順次変更する一次元スキャンを、第1の向きと直交する第2の向きに向けて順次移動させて行う。逆方向スキャンにおいて、通信制御装置は、第1の向きに走査信号の送信方向を順次変更する一次元スキャンを、第2の向きの逆方向に向けて順次移動させて行う。本態様によれば、順方向スキャンと逆方向スキャンとを繰り返すことによって、通信対象を探索できる。
【0089】
本実施形態の一態様において、通信制御装置は、一次元スキャンにおいて複数のドットが一定の間隔で一次元的に配列された画像を表示させる走査信号を送信するように、送信装置を制御する。本態様によれば、通信対象の走査に用いられる複数のドットを同時に送信することによって、走査時間を短縮できる。
【0090】
本実施形態の一態様において、通信制御装置は、第1間隔と第2間隔とに応じて、走査信号の送信元の通信対象に設定されたスキャンエリアにおける通信装置の位置を特定する。第1間隔は、通信対象から第1期間に送信された走査信号のパルスパターンの受信タイミングと、通信対象から第1期間の次の第2期間に送信された走査信号のパルスパターンの受信タイミングとの間隔である。第2間隔は、通信対象から第2期間に送信された走査信号のパルスパターンの受信タイミングと、通信対象から第2期間の次の第1期間に送信された走査信号のパルスパターンの受信タイミングとの間隔である。本態様によれば、通信対象から送信された走査信号のパルスパターンの受信タイミングに基づいて、通信装置の位置を特定できる。
【0091】
本実施形態の一態様において、通信制御装置は、走査信号の受信に応じて、走査信号の送信元の通信対象に設定されたスキャンエリアの範囲内に割り当てられたいずれのサブエリアに通信装置が位置するか特定する。通信制御装置は、特定されたサブエリアに対応付けられたパルスパターンの通知信号を、走査信号の送信元の通信対象に向けて送信する。本態様によれば、通信対象に設定されたスキャンエリアに割り当てられたいずれのサブエリアの方向に通信装置が位置のかを、その通信対象に対して通知できる。
【0092】
本実施形態の一態様において、通信制御装置は、走査信号の送信元の通信対象に設定されたスキャンエリアの範囲内に割り当てられた複数のサブエリアの境界に通信装置が位置すると特定する場合がある。複数のサブエリアの境界に通信装置が位置すると特定すると、通信制御装置は、複数のサブエリアの境界に対応付けられたパルスパターンの通知信号を、走査信号の送信元の通信対象に向けて送信する送信装置を制御する。本態様によれば、通信対象に設定されたスキャンエリアに割り当てられたサブエリアの境界の方向に通信装置が位置することを、その通信対象に対して通知できる。
【0093】
本実施形態の一態様において、通信制御装置は、隣接するサブエリアの境界に通信対象が位置すると判定された場合、通信対象が位置すると判定されたいずれかのサブエリアの範囲を広げて、二次的なスキャンモードを実行するように送信装置を制御する。本態様によれば、隣接するサブエリアの境界の方向に通信対象が位置すると判定した場合、二次的なスキャンモードを実行することによって、通信対象の位置をより正確に特定できる。
【0094】
本実施形態の一態様において、通信制御装置は、通信対象から送信された通知信号の受信に応じて、通知信号の送信元の通信対象に向けて、通知信号の受信を通知する完了通知信号を送信装置に送信させる。本態様によれば、通信装置と通信対象との間における通信が可能になったことを、完了通知信号によって通信対象に通知することで、通信装置と通信対象との間における通信を確立できる。
【0095】
本実施形態の一態様において、通信制御装置は、走査信号および通知信号のパルスパターンとは異なるパルスパターンの完了通知信号を、送信装置に送信させる。本態様によれば、走査信号および通知信号と、完了通知信号とのパルスパターンを相違させることによって、通信装置と通信対象との間の通信が確立されたことをより明確にできる。
【0096】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る通信装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態の通信装置は、第1の実施形態の通信装置を簡略化した構成である。図22は、本実施形態に係る通信装置2の構成の一例を示すブロック図である。通信装置2は、送信装置20、受信装置26、および通信制御装置29を備える。送信装置20は、空間光信号を送信する。受信装置26は、通信対象から送信された空間光信号を受信する。
【0097】
通信制御装置29は、通信対象を探索するための走査信号を送信するスキャンモードにおいて、送信装置20に走査信号を送信させる。通信制御装置29は、順方向に向けて走査信号を走査する第1期間と、順方向とは逆方向に向けて走査信号を走査する第2期間とで、異なるパルスパターンの走査信号を、送信装置20に送信させる。通信対象から送信された走査信号の受信装置26による受信に応じて、通信制御装置29は、通信対象による走査信号の送信方向を特定する。通信対象から第1期間に送信された走査信号のパルスパターンと、通信対象から第2期間に送信された走査信号のパルスパターンとの受信間隔に応じて、通信制御装置29は、通信対象による走査信号の送信方向を特定する。通信制御装置は、特定された走査信号の送信方向に応じたパルスパターンの通知信号を、通信対象に向けて、送信装置20に送信させる。
【0098】
以上のように、本実施形態の通信装置は、通信対象を探索するスキャンモードにおいて、順方向に向けて走査する第1期間と、順方向とは逆方向に向けて走査信号を走査する第2期間とで、異なるパルスパターンの走査信号を送信する。また、本実施形態の通信装置は、通信対象から第1期間に送信された走査信号のパルスパターンと、通信対象から第2期間に送信された走査信号のパルスパターンとの受信間隔に応じて、通信対象による走査信号の送信方向を特定する。そのため、本実施形態の通信制御装置によれば、通信対象との間で動作を同期させずに、通信対象を探索できる。
【0099】
(ハードウェア)
ここで、本開示の各実施形態に係る制御や処理を実行するハードウェア構成について、図23の情報処理装置90を一例としてあげて説明する。なお、図23の情報処理装置90は、各実施形態の制御や処理を実行するための構成例であって、本開示の範囲を限定するものではない。
【0100】
図23のように、情報処理装置90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96を備える。図23においては、インターフェースをI/F(Interface)と略記する。プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96は、バス98を介して、互いにデータ通信可能に接続される。また、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、および入出力インターフェース95は、通信インターフェース96を介して、インターネットやイントラネットなどのネットワークに接続される。
【0101】
プロセッサ91は、補助記憶装置93等に格納されたプログラムを、主記憶装置92に展開する。プロセッサ91は、主記憶装置92に展開されたプログラムを実行する。本実施形態においては、情報処理装置90にインストールされたソフトウェアプログラムを用いる構成とすればよい。プロセッサ91は、各実施形態に係る制御や処理を実行する。
【0102】
主記憶装置92は、プログラムが展開される領域を有する。主記憶装置92には、プロセッサ91によって、補助記憶装置93等に格納されたプログラムが展開される。主記憶装置92は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリによって実現される。また、主記憶装置92として、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)などの不揮発性メモリが構成/追加されてもよい。
【0103】
補助記憶装置93は、プログラムなどの種々のデータを記憶する。補助記憶装置93は、ハードディスクやフラッシュメモリなどのローカルディスクによって実現される。なお、種々のデータを主記憶装置92に記憶させる構成とし、補助記憶装置93を省略することも可能である。
【0104】
入出力インターフェース95は、規格や仕様に基づいて、情報処理装置90と周辺機器とを接続するためのインターフェースである。通信インターフェース96は、規格や仕様に基づいて、インターネットやイントラネットなどのネットワークを通じて、外部のシステムや装置に接続するためのインターフェースである。入出力インターフェース95および通信インターフェース96は、外部機器と接続するインターフェースとして共通化してもよい。
【0105】
情報処理装置90には、必要に応じて、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力機器が接続されてもよい。それらの入力機器は、情報や設定の入力に使用される。なお、タッチパネルを入力機器として用いる場合は、表示機器の表示画面が入力機器のインターフェースを兼ねる構成としてもよい。プロセッサ91と入力機器との間のデータ通信は、入出力インターフェース95に仲介させればよい。
【0106】
また、情報処理装置90には、情報を表示するための表示機器を備え付けてもよい。表示機器を備え付ける場合、情報処理装置90には、表示機器の表示を制御するための表示制御装置(図示しない)が備えられていることが好ましい。表示機器は、入出力インターフェース95を介して情報処理装置90に接続すればよい。
【0107】
また、情報処理装置90には、ドライブ装置が備え付けられてもよい。ドライブ装置は、プロセッサ91と記録媒体(プログラム記録媒体)との間で、記録媒体からのデータやプログラムの読み込み、情報処理装置90の処理結果の記録媒体への書き込みなどを仲介する。ドライブ装置は、入出力インターフェース95を介して情報処理装置90に接続すればよい。
【0108】
以上が、本発明の各実施形態に係る制御や処理を可能とするためのハードウェア構成の一例である。なお、図23のハードウェア構成は、各実施形態に係る制御や処理を実行するためのハードウェア構成の一例であって、本発明の範囲を限定するものではない。また、各実施形態に係る制御や処理をコンピュータに実行させるプログラムも本発明の範囲に含まれる。さらに、各実施形態に係るプログラムを記録したプログラム記録媒体も本発明の範囲に含まれる。記録媒体は、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体で実現できる。記録媒体は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)カードなどの半導体記録媒体によって実現されてもよい。また、記録媒体は、フレキシブルディスクなどの磁気記録媒体、その他の記録媒体によって実現されてもよい。プロセッサが実行するプログラムが記録媒体に記録されている場合、その記録媒体はプログラム記録媒体に相当する。
【0109】
各実施形態の構成要素は、任意に組み合わせてもよい。また、各実施形態の構成要素は、ソフトウェアによって実現されてもよいし、回路によって実現されてもよい。
【0110】
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0111】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
空間光信号を送信する送信装置と、通信対象から送信された前記空間光信号を受信する受信装置とを含む通信装置を制御する通信制御装置であって、
通信対象を探索するための走査信号を送信するスキャンモードにおいて、順方向に向けて前記走査信号を走査する第1期間と、前記順方向とは逆方向に向けて前記走査信号を走査する第2期間とで異なるパルスパターンの前記走査信号を前記送信装置に送信させ、
前記通信対象から送信された前記走査信号の前記受信装置による受信に応じて、前記通信対象から前記第1期間に送信された前記走査信号の前記パルスパターンと、前記通信対象から前記第2期間に送信された前記走査信号の前記パルスパターンとの受信間隔に応じて、前記通信対象による前記走査信号の送信方向を特定し、
特定された前記走査信号の前記送信方向に応じた前記パルスパターンの通知信号を、前記通信対象に向けて前記送信装置に送信させる通信制御装置。
(付記2)
前記通信制御装置は、
前記スキャンモードにおいて、
前記通信装置に設定されたスキャンエリアに関して、第1の向きに前記走査信号の前記送信方向を順次変更する一次元スキャンを、前記第1の向きと直交する第2の向きに向けて順次移動させて行う順方向スキャンと、
前記順方向スキャンに続けて、前記通信装置に設定された前記スキャンエリアに関して、前記第1の向きに前記走査信号の前記送信方向を順次変更する前記一次元スキャンを、前記第2の向きの逆方向に向けて順次移動させて行う逆方向スキャンと、を繰り返すように前記送信装置を制御する付記1に記載の通信制御装置。
(付記3)
前記通信制御装置は、
前記一次元スキャンにおいて複数のドットが一定の間隔で一次元的に配列された画像を表示させる前記走査信号を送信するように、前記送信装置を制御する付記2に記載の通信制御装置。
(付記4)
前記通信制御装置は、
前記通信対象から前記第1期間に送信された前記走査信号の前記パルスパターンの受信タイミングと、前記通信対象から前記第1期間の次の前記第2期間に送信された前記走査信号の前記パルスパターンの受信タイミングとの間隔である第1間隔と、前記通信対象から前記第2期間に送信された前記走査信号の前記パルスパターンの受信タイミングと、前記通信対象から前記第2期間の次の前記第1期間に送信された前記走査信号の前記パルスパターンの受信タイミングとの間隔である第2間隔とに応じて、前記走査信号の送信元の前記通信対象に設定された前記スキャンエリアにおける前記通信装置の位置を特定する付記3に記載の通信制御装置。
(付記5)
前記通信制御装置は、
前記走査信号の受信に応じて、前記走査信号の送信元の前記通信対象に設定された前記スキャンエリアの範囲内に割り当てられたいずれのサブエリアに前記通信装置が位置するのかを特定し、
特定された前記サブエリアに対応付けられた前記パルスパターンの前記通知信号を、前記走査信号の送信元の前記通信対象に向けて送信するように前記送信装置を制御する付記4に記載の通信制御装置。
(付記6)
前記通信制御装置は、
前記走査信号の送信元の前記通信対象に設定された前記スキャンエリアの範囲内に割り当てられた複数の前記サブエリアの境界に前記通信装置が位置すると特定した場合、複数の前記サブエリアの境界に対応付けられた前記パルスパターンの前記通知信号を、前記走査信号の送信元の前記通信対象に向けて送信するように前記送信装置を制御する付記5に記載の通信制御装置。
(付記7)
前記通信制御装置は、
隣接する前記サブエリアの境界に前記通信対象が位置すると判定された場合、前記通信対象が位置すると判定されたいずれかの前記サブエリアの範囲を広げて、二次的な前記スキャンモードを実行するように前記送信装置を制御する付記5に記載の通信制御装置。
(付記8)
前記通信制御装置は、
前記通信対象から送信された前記通知信号の受信に応じて、前記通知信号の送信元の前記通信対象に向けて、前記通知信号の受信を通知する完了通知信号を前記送信装置に送信させる付記1乃至7のいずれか一つに記載の通信制御装置。
(付記9)
前記通信制御装置は、
前記走査信号および前記通知信号の前記パルスパターンとは異なる前記パルスパターンの前記完了通知信号を、前記送信装置に送信させる付記8に記載の通信制御装置。
(付記10)
付記1乃至9のいずれか一つに記載の通信制御装置と、
前記通信制御装置の制御に応じて、空間光信号を送信する送信装置と、
通信対象から送信された前記空間光信号を受信し、受信された前記空間光信号に含まれる受信信号を前記通信制御装置に出力する受信装置と、を備える通信装置。
(付記11)
空間光信号を送信する送信装置と、通信対象から送信された前記空間光信号を受信する受信装置とを制御する通信制御方法であって、
コンピュータが、
前記通信対象を探索するための走査信号を送信するスキャンモードにおいて、順方向に向けて前記走査信号を走査する第1期間と、前記順方向とは逆方向に向けて前記走査信号を走査する第2期間とで異なるパルスパターンの前記走査信号を前記送信装置に送信させ、
前記通信対象から送信された前記走査信号を前記受信装置に受信させ、
前記受信装置によって受信された前記走査信号に応じた信号を取得し、
前記第1期間に送信された前記走査信号の前記パルスパターンと、前記第2期間に送信された前記走査信号の前記パルスパターンとの受信間隔に応じて、前記通信対象による前記走査信号の送信方向を特定し、
特定された前記走査信号の前記送信方向に応じた前記パルスパターンの通知信号を、前記通信対象に向けて前記送信装置に送信させる通信制御方法。
(付記12)
空間光信号を送信する送信装置と、通信対象から送信された前記空間光信号を受信する受信装置とを制御するプログラムであって、
前記通信対象を探索するための走査信号を送信するスキャンモードにおいて、順方向に向けて前記走査信号を走査する第1期間と、前記順方向とは逆方向に向けて前記走査信号を走査する第2期間とで異なるパルスパターンの前記走査信号を前記送信装置に送信させる処理と、
前記通信対象から送信された前記走査信号を前記受信装置に受信させる処理と、
前記受信装置によって受信された前記走査信号に応じた信号を取得する処理と、
前記第1期間に送信された前記走査信号の前記パルスパターンと、前記第2期間に送信された前記走査信号の前記パルスパターンとの受信間隔に応じて、前記通信対象による前記走査信号の送信方向を特定する処理と、
特定された前記走査信号の前記送信方向に応じた前記パルスパターンの通知信号を、前記通信対象に向けて前記送信装置に送信させる処理と、をコンピュータに実行させるプログラムを記録させた非一過性の記録媒体。
【符号の説明】
【0112】
1、2 通信装置
10、20 送信装置
11 光源
13 空間光変調器
16、26 受信装置
17 受光素子
18 受信回路
19、29 通信制御装置
160 集光器
191 条件記憶部
192 送信条件生成部
193 送信制御部
195 信号取得部
196 信号解析部
197 信号生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23