(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】ヘッド及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/015 20060101AFI20241022BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B41J2/015 101
B41J2/01 401
(21)【出願番号】P 2024066187
(22)【出願日】2024-04-16
(62)【分割の表示】P 2021143754の分割
【原出願日】2021-09-03
【審査請求日】2024-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2021058224
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鶸田 周平
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-054947(JP,A)
【文献】特開2010-064465(JP,A)
【文献】特開2008-126612(JP,A)
【文献】特表2019-512413(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0177169(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー付与素子によって液体を吐出するノズルを有するヘッドと、
少なくとも第1駆動波形を示す第1データ及び前記第1駆動波形とは異なる第2駆動波形を示す第2データに基づいて、前記第1駆動波形の一部である第1部分と前記第1駆動波形の一部である第2部分との間に、前記第2駆動波形の一部である第3部分があり、前記第3部分と前記第2駆動波形の一部である第4部分との間に前記第2部分があるように並べられ、前記第1データと前記第2データとを1つの信号線で送信可能な時分割多重信号を生成する多重化部と、
該多重化部にて生成された前記時分割多重信号から、前記第1駆動波形を示す第1駆動波形信号又は前記第2駆動波形を示す第2駆動波形信号を分離する分離部と、
前記ノズルから吐出された液体によって印刷される印刷媒体を搬送する搬送部と、
を備え、
前記エネルギー付与素子は、該分離部にて分離された前記第1駆動波形信号又は前記第2駆動波形信号によって駆動され、
前記第1データ及び前記第2データは、それぞれ、量子化された複数のデータ値を有し、
前記多重化部は、制御回路と、前記第1データ及び前記第2データのそれぞれの前記データ値をアナログ信号に変換するD/Aコンバータと、 前記D/Aコンバータのアナログ信号を増幅する増幅部と、前記第1データ及び前記第2データを記憶するメモリとを備え、
前記制御回路は、前記第1データ及び前記第2データの前記データ値を前記メモリから読み出して、時系列に並べて伝送し、前記時分割多重信号を生成し、
前記制御回路は、前記第1データ及び前記第2データの前記データ値を前記D/Aコンバータに入力し、
前記D/Aコンバータは、前記アナログ信号を前記増幅部へ出力し、
前記増幅部は、前記アナログ信号を前記分離部に出力し、
前記分離部は、前記増幅部により増幅された前記アナログ信号から、前記第1駆動波形信号又は前記第2駆動波形信号に分離する
印刷装置。
【請求項2】
エネルギー付与素子によって液体を吐出するノズルを有するヘッドと、
少なくとも第1駆動波形を示す第1データ及び前記第1駆動波形とは異なる第2駆動波形を示す第2データに基づいて、前記第1駆動波形の一部である第1部分と前記第1駆動波形の一部である第2部分との間に、前記第2駆動波形の一部である第3部分があり、前記第3部分と前記第2駆動波形の一部である第4部分との間に前記第2部分があるように並べられ、前記第1データと前記第2データとを1つの信号線で送信可能な時分割多重信号を生成する多重化部と、
該多重化部にて生成された前記時分割多重信号から、前記第1駆動波形を示す第1駆動波形信号又は前記第2駆動波形を示す第2駆動波形信号を分離する分離部と、
前記ノズルから吐出された液体によって印刷される印刷媒体を搬送する搬送部と、
を備え、
前記エネルギー付与素子は、該分離部にて分離された前記第1駆動波形信号又は前記第2駆動波形信号によって駆動され、
前記第1データ及び前記第2データは、それぞれ、量子化された複数のデータ値を有し、
前記多重化部は、制御回路と、前記第1データ及び前記第2データを記憶するメモリと、デジタルデータを直接入力可能なデジタルアンプとを備え、
前記制御回路は、前記第1データ及び前記第2データの前記データ値を前記メモリから読み出して、時系列に並べて、前記第1データ及び前記第2データの前記データ値を前記デジタルアンプに出力する
印刷装置。
【請求項3】
エネルギー付与素子によって液体を吐出するノズルを有するヘッドと、
少なくとも第1駆動波形を示す第1データ及び前記第1駆動波形とは異なる第2駆動波形を示す第2データに基づいて、前記第1駆動波形の一部である第1部分と前記第1駆動波形の一部である第2部分との間に、前記第2駆動波形の一部である第3部分があり、前記第3部分と前記第2駆動波形の一部である第4部分との間に前記第2部分があるように並べられ、前記第1データと前記第2データとを1つの信号線で送信可能な時分割多重信号を生成する多重化部と、
該多重化部にて生成された前記時分割多重信号から、前記第1駆動波形を示す第1駆動波形信号又は前記第2駆動波形を示す第2駆動波形信号を分離する分離部と、
前記ノズルから吐出された液体によって印刷される印刷媒体を搬送する搬送部と、
を備え、
前記エネルギー付与素子は、該分離部にて分離された前記第1駆動波形信号又は前記第2駆動波形信号によって駆動され、
前記第1データ及び前記第2データは、それぞれ、量子化された複数のデータ値を有し、
前記多重化部は、
制御回路と、
前記第1データ及び前記第2データを記憶するメモリと、
前記第1データのデータ値をアナログ信号に変換する第1D/Aコンバータと、
該第1D/Aコンバータからのアナログ信号が入力される第1スイッチと、
前記第2データのデータ値をアナログ信号に変換する第2D/Aコンバータと、
該第2D/Aコンバータからのアナログ信号が入力される第2スイッチと
を備え、
前記制御回路は、前記第1データの前記データ値を前記メモリから読み出して、前記第1D/Aコンバータに入力し、前記第2データの前記データ値を前記メモリから読み出して、前記第2D/Aコンバータに入力し、開閉タイミングを示す第1時分割信号に基づいて前記第1スイッチを開閉させ、前記第1時分割信号とは異なる開閉タイミングを示す第2時分割信号に基づいて、前記第2スイッチを開閉させ、前記時分割多重信号を生成する
印刷装置。
【請求項4】
エネルギー付与素子によって液体を吐出するノズルを有するヘッドと、
少なくとも第1駆動波形を示す第1データ及び前記第1駆動波形とは異なる第2駆動波形を示す第2データに基づいて、前記第1駆動波形の一部である第1部分と前記第1駆動波形の一部である第2部分との間に、前記第2駆動波形の一部である第3部分があり、前記第3部分と前記第2駆動波形の一部である第4部分との間に前記第2部分があるように並べられ、前記第1データと前記第2データとを1つの信号線で送信可能な時分割多重信号を生成する多重化部と、
該多重化部にて生成された前記時分割多重信号から、前記第1駆動波形を示す第1駆動波形信号又は前記第2駆動波形を示す第2駆動波形信号を分離する分離部と、
前記ノズルから吐出された液体によって印刷される印刷媒体を搬送する搬送部と、
を備え、
前記エネルギー付与素子は、該分離部にて分離された前記第1駆動波形信号又は前記第2駆動波形信号によって駆動され、
前記第1データ及び前記第2データは、それぞれ、量子化された複数のデータ値を有し、
前記多重化部は、
制御回路と、
前記第1データ及び前記第2データを記憶するメモリと、
前記第1データ及び前記第2データそれぞれのデータ値をアナログ信号に変換する第1D/Aコンバータと、
該第1D/Aコンバータのアナログ信号をサンプリングして保持する第1サンプルホールド回路及び第2サンプルホールド回路と、
前記第1サンプルホールド回路のアナログ信号を増幅する第1増幅部と、
前記第2サンプルホールド回路のアナログ信号を増幅する第2増幅部と、
前記第1増幅部のアナログ信号が入力される第1スイッチと、
前記第2増幅部のアナログ信号が入力される第2スイッチと
を備え、
前記制御回路は、前記第1データ及び前記第2データの前記データ値を前記メモリから読み出し、時系列に並べて前記第1D/Aコンバータに入力し、サンプリング周期を示す第1サンプリング信号に基づいて、前記第1サンプルホールド回路を動作させ、前記第1サンプリング信号とは異なるサンプリング周期を示す第2サンプリング信号に基づいて、前記第2サンプルホールド回路を動作させ、前記第1スイッチの開時点及び閉時点を示す第1時分割信号に基づいて前記第1スイッチを開閉させ、前記第1時分割信号とは異なる前記第2スイッチの開時点及び閉時点を示す第2時分割信号に基づいて、前記第2スイッチを開閉させ、前記時分割多重信号を生成する
印刷装置。
【請求項5】
前記第1サンプリング信号が示すサンプリング時点は、前記第1時分割信号が示す閉時点よりも早く、前記第2サンプリング信号が示すサンプリング時点は、前記第2時分割信号が示す閉時点よりも早い
請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
エネルギー付与素子によって液体を吐出するノズルを有するヘッドと、
少なくとも第1駆動波形を示す第1データ及び前記第1駆動波形とは異なる第2駆動波形を示す第2データに基づいて、前記第1駆動波形の一部である第1部分と前記第1駆動波形の一部である第2部分との間に、前記第2駆動波形の一部である第3部分があり、前記第3部分と前記第2駆動波形の一部である第4部分との間に前記第2部分があるように並べられ、前記第1データと前記第2データとを1つの信号線で送信可能な時分割多重信号を生成する多重化部と、
該多重化部にて生成された前記時分割多重信号から、前記第1駆動波形を示す第1駆動波形信号又は前記第2駆動波形を示す第2駆動波形信号を分離する分離部と、
前記ノズルから吐出された液体によって印刷される印刷媒体を搬送する搬送部と、
を備え、
前記エネルギー付与素子は、該分離部にて分離された前記第1駆動波形信号又は前記第2駆動波形信号によって駆動され、
前記分離部は、当該ヘッドの共振周波数以上のサンプリング周波数によって、前記第1駆動波形信号又は前記第2駆動波形信号を分離する
印刷装置。
【請求項7】
前記エネルギー付与素子の駆動により前記ノズルから液体を吐出させるための圧力を付与する圧力室を備え、
当該ヘッドの共振周波数は液体を前記圧力室に充填している場合における共振周波数である
請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記エネルギー付与素子の駆動により前記ノズルから液体を吐出させるための圧力を付与する圧力室を備え、
当該ヘッドの共振周波数は液体を前記圧力室に充填されていない場合における共振周波数である
請求項6に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記分離部は、前記時分割多重信号が入力されるスイッチを備え、
前記スイッチを開閉させるスイッチ制御信号と、開閉タイミングを示す同期信号とが前記スイッチに入力され、
前記スイッチは、前記スイッチ制御信号及び前記同期信号に基づいて、開閉し、前記時分割多重信号から前記第1駆動波形信号又は前記第2駆動波形信号を分離する
請求項1から4、及び6のいずれか一つに記載の印刷装置。
【請求項10】
制御回路を備え、
前記制御回路は、前記スイッチ制御信号及び前記同期信号に基づいて、前記スイッチを開閉させる
請求項9に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記第1データ及び前記第2データは、それぞれ、量子化された複数のデータ値を有し、
前記多重化部は、
前記時分割多重信号が増幅される増幅部と、
前記時分割多重信号の振幅情報を生成する振幅情報生成回路と、
前記増幅部に電圧を供給する電圧可変電源と
生成された前記振幅情報に基づいて電圧値が変動する電圧であって、前記電圧可変電源が供給可能な最大電圧よりも低い電圧を、供給電圧を決定する決定回路と、
を備え、
前記電圧可変電源は、決定された前記供給電圧を前記増幅部に供給する
請求項1から4及び6のいずれか一つに記載の印刷装置。
【請求項12】
前記多重化部は、少なくとも前記第1部分の一部を間引いた後、前記第1部分と前記第2部分との間に前記第3部分があり、前記第3部分と前記第4部分との間に前記第2部分があるように並べられ、前記第1データと前記第2データとを1つの信号線で送信可能な前記時分割多重信号を生成する
請求項1から4及び6のいずれか一つに記載の印刷装置。
【請求項13】
前記多重化部は、少なくとも前記第1部分を延長した後、前記第1部分と前記第2部分との間に前記第3部分があり、前記第3部分と前記第4部分との間に前記第2部分があるように並べられ、前記第1データと前記第2データとを1つの信号線で送信可能な前記時分割多重信号を生成する
請求項1から4及び6のいずれか一つに記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、液体を吐出するヘッド及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルのピエゾ素子を駆動させる駆動信号として、振幅の異なる第1駆動パルス~第4駆動パルスを生成するプリンタがある。1画素を印刷する1周期の間に、第1駆動パルス~第4駆動パルスが連続的に生成される。第1駆動パルス~第4駆動パルスのうちの1つが選択され、各ノズルのピエゾ素子に印加される。ノズルは、選択された駆動パルスの振幅に対応した量のインクを噴射し、所望の大きさのドットが形成される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一周期の間に四つの駆動パルスが連続的に生成されるが、選択される駆動パルスは一つだけである。そのため、選択されなかった三つの駆動パルスに割り当てられた時間はノズルの待機時間となる。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、エネルギー付与素子に与えられる駆動波形の振幅を調整し、ノズルの待機時間を削減することができるヘッド及び印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る印刷装置は、エネルギー付与素子によって液体を吐出するノズルを有するヘッドと、少なくとも第1駆動波形を示す第1データ及び第1駆動波形とは異なる第2駆動波形を示す第2データに基づいて、第1駆動波形の一部である第1部分と第1駆動波形の一部である第2部分との間に、第2駆動波形の一部である第3部分があり、第3部分と第2駆動波形の一部である第4部分との間に第2部分があるように並べられ、第1データと第2データとを1つの信号線で送信可能な時分割多重信号を生成する多重化部と、該多重化部にて生成された時分割多重信号から、第1駆動波形を示す第1駆動波形信号又は第2駆動波形を示す第2駆動波形信号を分離する分離部と、ノズルから吐出された液体によって印刷される印刷媒体を搬送する搬送部と、を備え、エネルギー付与素子は、該分離部にて分離された第1駆動波形信号又は第2駆動波形信号によって駆動され、第1データ及び第2データは、それぞれ、量子化された複数のデータ値を有し、多重化部は、制御回路と、第1データ及び第2データのそれぞれのデータ値をアナログ信号に変換するD/Aコンバータと、 D/Aコンバータのアナログ信号を増幅する増幅部と、第1データ及び第2データを記憶するメモリとを備え、制御回路は、第1データ及び第2データのデータ値をメモリから読み出して、時系列に並べて伝送し、時分割多重信号を生成し、制御回路は、第1データ及び第2データのデータ値をD/Aコンバータに入力し、D/Aコンバータは、アナログ信号を増幅部へ出力し、増幅部は、アナログ信号を分離部に出力し、分離部は、増幅部により増幅されたアナログ信号から、第1駆動波形信号又は第2駆動波形信号に分離する。
【0007】
本開示の一実施形態に係る印刷装置は、エネルギー付与素子によって液体を吐出するノズルを有するヘッドと、少なくとも第1駆動波形を示す第1データ及び第1駆動波形とは異なる第2駆動波形を示す第2データに基づいて、第1駆動波形の一部である第1部分と第1駆動波形の一部である第2部分との間に、第2駆動波形の一部である第3部分があり、第3部分と第2駆動波形の一部である第4部分との間に前記第2部分があるように並べられ、第1データと第2データとを1つの信号線で送信可能な時分割多重信号を生成する多重化部と、該多重化部にて生成された時分割多重信号から、第1駆動波形を示す第1駆動波形信号又は第2駆動波形を示す第2駆動波形信号を分離する分離部と、ノズルから吐出された液体によって印刷される印刷媒体を搬送する搬送部と、を備え、エネルギー付与素子は、該分離部にて分離された第1駆動波形信号又は第2駆動波形信号によって駆動され、第1データ及び第2データは、それぞれ、量子化された複数のデータ値を有し、
前記多重化部は、制御回路と、前記第1データ及び前記第2データを記憶するメモリと、デジタルデータを直接入力可能なデジタルアンプとを備え、制御回路は、第1データ及び第2データのデータ値をメモリから読み出して、時系列に並べて、第1データ及び第2データのデータ値をデジタルアンプに出力する。
また、本開示の一実施形態に係る印刷装置は、エネルギー付与素子によって液体を吐出するノズルを有するヘッドと、少なくとも第1駆動波形を示す第1データ及び第1駆動波形とは異なる第2駆動波形を示す第2データに基づいて、第1駆動波形の一部である第1部分と第1駆動波形の一部である第2部分との間に、第2駆動波形の一部である第3部分があり、第3部分と第2駆動波形の一部である第4部分との間に第2部分があるように並べられ、第1データと第2データとを1つの信号線で送信可能な時分割多重信号を生成する多重化部と、該多重化部にて生成された時分割多重信号から、第1駆動波形を示す第1駆動波形信号又は第2駆動波形を示す第2駆動波形信号を分離する分離部と、ノズルから吐出された液体によって印刷される印刷媒体を搬送する搬送部と、を備え、エネルギー付与素子は、該分離部にて分離された第1駆動波形信号又は第2駆動波形信号によって駆動され、第1データ及び第2データは、それぞれ、量子化された複数のデータ値を有し、多重化部は、制御回路と、第1データ及び第2データを記憶するメモリと、第1データのデータ値をアナログ信号に変換する第1D/Aコンバータと、該第1D/Aコンバータからのアナログ信号が入力される第1スイッチと、第2データのデータ値をアナログ信号に変換する第2D/Aコンバータと、該第2D/Aコンバータからのアナログ信号が入力される第2スイッチとを備え、制御回路は、第1データのデータ値をメモリから読み出して、第1D/Aコンバータに入力し、第2データのデータ値を前記メモリから読み出して、第2D/Aコンバータに入力し、開閉タイミングを示す第1時分割信号に基づいて第1スイッチを開閉させ、第1時分割信号とは異なる開閉タイミングを示す第2時分割信号に基づいて、第2スイッチを開閉させ、時分割多重信号を生成する。
また、本開示の一実施形態に係る印刷装置は、エネルギー付与素子によって液体を吐出するノズルを有するヘッドと、少なくとも第1駆動波形を示す第1データ及び第1駆動波形とは異なる第2駆動波形を示す第2データに基づいて、第1駆動波形の一部である第1部分と第1駆動波形の一部である第2部分との間に、第2駆動波形の一部である第3部分があり、第3部分と第2駆動波形の一部である第4部分との間に第2部分があるように並べられ、第1データと第2データとを1つの信号線で送信可能な時分割多重信号を生成する多重化部と、該多重化部にて生成された時分割多重信号から、第1駆動波形を示す第1駆動波形信号又は第2駆動波形を示す第2駆動波形信号を分離する分離部と、ノズルから吐出された液体によって印刷される印刷媒体を搬送する搬送部と、を備え、エネルギー付与素子は、該分離部にて分離された第1駆動波形信号又は第2駆動波形信号によって駆動され、第1データ及び第2データは、それぞれ、量子化された複数のデータ値を有し、多重化部は、制御回路と、第1データ及び第2データを記憶するメモリと、第1データ及び第2データそれぞれのデータ値をアナログ信号に変換する第1D/Aコンバータと、該第1D/Aコンバータのアナログ信号をサンプリングして保持する第1サンプルホールド回路及び第2サンプルホールド回路と、第1サンプルホールド回路のアナログ信号を増幅する第1増幅部と、第2サンプルホールド回路のアナログ信号を増幅する第2増幅部と、第1増幅部のアナログ信号が入力される第1スイッチと、前記第2増幅部のアナログ信号が入力される第2スイッチとを備え、制御回路は、第1データ及び第2データのデータ値をメモリから読み出し、時系列に並べて第1D/Aコンバータに入力し、サンプリング周期を示す第1サンプリング信号に基づいて、第1サンプルホールド回路を動作させ、第1サンプリング信号とは異なるサンプリング周期を示す第2サンプリング信号に基づいて、第2サンプルホールド回路を動作させ、第1スイッチの開時点及び閉時点を示す第1時分割信号に基づいて第1スイッチを開閉させ、第1時分割信号とは異なる前記第2スイッチの開時点及び閉時点を示す第2時分割信号に基づいて、第2スイッチを開閉させ、時分割多重信号を生成する。
また、本開示の一実施形態に係る印刷装置は、エネルギー付与素子によって液体を吐出するノズルを有するヘッドと、少なくとも第1駆動波形を示す第1データ及び第1駆動波形とは異なる第2駆動波形を示す第2データに基づいて、第1駆動波形の一部である第1部分と第1駆動波形の一部である第2部分との間に、第2駆動波形の一部である第3部分があり、第3部分と第2駆動波形の一部である第4部分との間に第2部分があるように並べられ、第1データと第2データとを1つの信号線で送信可能な時分割多重信号を生成する多重化部と、該多重化部にて生成された時分割多重信号から、第1駆動波形を示す第1駆動波形信号又は第2駆動波形を示す第2駆動波形信号を分離する分離部と、ノズルから吐出された液体によって印刷される印刷媒体を搬送する搬送部と、を備え、エネルギー付与素子は、該分離部にて分離された第1駆動波形信号又は第2駆動波形信号によって駆動され、分離部は、当該ヘッドの共振周波数以上のサンプリング周波数によって、第1駆動波形信号又は第2駆動波形信号を分離する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施形態に係る印刷装置にあっては、第1駆動波形を示す第1データ及び前記第1駆動波形とは異なる第2駆動波形を示す第2データに基づいて、時分割多重信号を生成する。時分割多重信号においては、第1駆動波形の一部である第1部分と第1駆動波形の一部である第2部分との間に、第2駆動波形の一部である第3部分があり、第3部分と第2駆動波形の一部である第4部分との間に第2部分がある。生成された時分割多重信号から、第1駆動波形を示す第1駆動波形信号又は前記第2駆動波形を示す第2駆動波形信号を分離する。エネルギー付与素子は、第1駆動波形信号又は第2駆動波形信号によって駆動される。第1駆動波形信号又は第2駆動波形信号を選択することによって、エネルギー付与素子に与えられる駆動波形の振幅を調整することができる。また1画素を印刷する1周期には、選択されたいずれか1つの駆動波形の周期のみが含まれ、選択されなかった駆動波形の周期は含まれない。そのため、ノズルの待機時間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る印刷装置を略示する平面図である。
【
図2】インクジェットヘッドの略示部分拡大断面図である。
【
図4】駆動波形A、B、Cの一例を説明する説明図である。
【
図5】時系列データ、アナログ信号及び時分割多重信号の一例を説明する説明図である。
【
図6】時分割多重信号と、同期信号との関係を説明する説明図である。
【
図7】第nスイッチの開閉によってアクチュエータに入力される駆動波形の模式図である。
【
図8】制御装置による印刷処理を説明するフローチャートである。
【
図9】実施の形態2に係る制御装置のブロック図である。
【
図10】アナログ信号及び時分割信号との関係を説明する説明図である。
【
図11】変更例に係る制御装置のブロック図である。
【
図12】実施の形態3に係る制御装置のブロック図である。
【
図13】実施の形態4に係る制御装置のブロック図である。
【
図14】実施の形態5に係る制御装置のブロック図である。
【
図15】D/Aコンバータから出力されたアナログ信号と、アンプに供給された電圧との関係を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係る印刷装置を示す図面に基づいて説明する。
図1は、印刷装置を略示する平面図である。以下の説明では、
図1に示す前後左右を使用する。前後方向は搬送方向に対応し、左右方向は走査方向に対応する。また
図1の表側が上側に対応し、裏側が下側に対応し、上下も使用する。
【0011】
図1に示すように、印刷装置1は、プラテン2と、インク吐出装置3と、搬送ローラ4、5等を備える。プラテン2の上面には、記録媒体である記録用紙200が載置される。
インク吐出装置3は、プラテン2に載置された記録用紙200に対してインクを吐出して画像を記録する。インク吐出装置3は、キャリッジ6と、サブタンク7と、四つのインクジェットヘッド8と、循環ポンプ10等を備える。
【0012】
プラテン2の上側には、キャリッジ6を案内する左右に延びた2本のガイドレール11、12が設けられている。キャリッジ6には、左右に延びた無端ベルト13が連結されている。無端ベルト13は、キャリッジ駆動モータ14によって駆動される。無端ベルト13の駆動によって、キャリッジ6は、ガイドレール11、12に案内され、プラテン2に対向する領域において、走査方向に往復移動される。より具体的には、キャリッジ6は、四つのインクジェットヘッド8を支持した状態で、走査方向において、左方から右方へとある位置から他の位置へ前記ヘッドを移動させる第1移動と、走査方向において、右方から左方へと他の位置からある位置へ前記ヘッドを移動させる第2移動とを行う。
【0013】
ガイドレール11、12の間に、キャップ20及びフラッシング受け21が設けられている。キャップ20及びフラッシング受け21は、インク吐出装置3よりも下側に配置されている。キャップ20はガイドレール11、12の右端部に配置され、フラッシング受け21はガイドレール11、12の左端部に配置されている。なお、キャップ20及びフラッシング受け21は、左右逆に配置されてもよい。
【0014】
サブタンク7及び四つのインクジェットヘッド8はキャリッジ6に搭載され、キャリッジ6と共に走査方向に往復移動する。サブタンク7はカートリッジホルダ15とチューブ17を介して接続されている。カートリッジホルダ15には、一又は複数色(本実施例においては4色)のインクカートリッジ16が装着される。4色としては、例えばブラック、イエロー、シアン及びマゼンタが挙げられる。
【0015】
サブタンク7の内部には、四つのインク室(図示略)が形成されている。四つのインク室には、四つのインクカートリッジ16から供給された4色のインクがそれぞれ貯留される。
【0016】
四つのインクジェットヘッド8は、サブタンク7の下側において、走査方向に並んでいる。各インクジェットヘッド8の下面には、複数のノズル80(
図2参照)が形成されている。一つのインクジェットヘッド8は、1色のインクに対応し、一つのインク室に接続されている。すなわち、四つのインクジェットヘッド8は、4色のインクにそれぞれ対応し、四つのインク室にそれぞれ接続されている。
【0017】
インクジェットヘッド8には、インク供給口と、インク排出口とが設けられている。インク供給口及びインク排出口は、チューブ等を介してインク室に接続されている。インク供給口及びインク室の間には、循環ポンプが介装されている。
【0018】
循環ポンプによってインク室から送出されたインクは、インク供給口を通ってインクジェットヘッド8に流入し、ノズル80から吐出される。ノズル80から吐出されないインクは、インク排出口を通って、インク室に戻る。インクは、インク室及びインクジェットヘッド8の間を循環する。四つのインクジェットヘッド8は、キャリッジ6と共に走査方向に移動しながら、サブタンク7から供給された4色のインクを記録用紙200に吐出する。
【0019】
図1に示すように、搬送ローラ4は、プラテン2よりも搬送方向上流側(後側)に配置されている。搬送ローラ5は、プラテン2よりも搬送方向下流側(前側)に配置されている。二つの搬送ローラ4、5は、モータ(図示略)によって、同期して駆動する。二つの搬送ローラ4、5は、プラテン2に載置された記録用紙200を、走査方向と直交する搬送方向に搬送する。印刷装置1は制御装置50を備える。制御装置50は、CPU又はロジック回路(例えばFPGA)、不揮発性メモリ及びRAM等のメモリ55等を備える。
制御装置50は、外部装置100から印刷ジョブ及び駆動波形データを受信して、メモリ55に記憶する。制御装置50は、印刷ジョブに基づいて、インク吐出装置3及び搬送ローラ4等の駆動を制御し、印刷処理を実行する。
【0020】
図2は、インクジェットヘッド8の略示部分拡大断面図である。インクジェットヘッド8は、複数の圧力室81を備える。複数の圧力室81は、複数の圧力室列を構成する。圧力室81の上側には振動板82が形成されている。振動板82の上側には、層状の圧電体83が形成されている。各圧力室81の上側であって、圧電体83と振動板82との間に第1共通電極84が形成されている。
【0021】
圧電体83の内部に第2共通電極86が設けられている。第2共通電極86は各圧力室81の上側且つ第1共通電極84よりも上側に配置されている。第2共通電極86は、第1共通電極84と対向しない位置に配置されている。各圧力室81の上側であって、圧電体83の上面に個別電極85が形成されている。個別電極85と、第1共通電極84及び第2共通電極86とは圧電体83を挟んで上下に対向する。振動板82、圧電体83、第1共通電極84、個別電極85及び第2共通電極86はアクチュエータ88を構成する。
【0022】
各圧力室81の下部にノズルプレート87が設けられている。ノズルプレート87には、上下に貫通した複数のノズル80が形成されている。各ノズル80は、各圧力室81の下側に配置されている。複数のノズル80は、圧力室列に沿って延びた複数のノズル列を構成する。
【0023】
第1共通電極84はCOM端子、本実施例ではグランドに接続され、第2共通電極86は、VCOM端子に接続される。VCOM電圧はCOM電圧よりも高い。個別電極85は、スイッチ群54(
図3参照)に接続される。個別電極85にHIgh又はLow電圧が印加され、圧電体83が変形し、振動板82が振動する。振動板82の振動によって、ノズル80を介して、圧力室81からインクが吐出される。
【0024】
図3は、制御装置50のブロック図である。制御装置50は、制御回路51、D/Aコンバータ52、アンプ53、スイッチ群54及びメモリ55を備える。メモリ55には、駆動波形データが記憶されている。駆動波形データは、個別電極85に印加される電圧波形、即ちアクチュエータ88を駆動させる駆動波形を示すデータであり、量子化されたデータである。本実施例においては、駆動波形データDa、Db、Dcがメモリ55に記憶されている。
【0025】
D/Aコンバータ52はデジタル信号をアナログ信号に変換する。アンプ53はアナログ信号を増幅させる。スイッチ群54は、複数の第nスイッチ54(n)(n=1、2、・・・)を備える。第nスイッチ54(n)は、例えばアナログスイッチICによって構成される。複数の第nスイッチ54(n)の一端は、共通バスを介して、アンプ53に接続される。各第nスイッチ54(n)の他端は、複数のノズル80に対応した各個別電極85に接続される。つまり、第nスイッチ54(n)は、1つのアクチュエータ88に対して、1つ設けられている。
【0026】
個別電極85、第1共通電極84、及び圧電体83によって第1コンデンサ89aが構成されている。個別電極85、第2共通電極86、及び圧電体83によって第2コンデンサ89bが構成されている。
【0027】
図4は、駆動波形A、B、Cの一例を説明する説明図である。駆動波形A、B、Cは、圧電体83を変形させ、振動板82が振動し、振動板82の振動によって、ノズル80を介して、圧力室81にあるインクを、ディセンダーを通過させてから吐出させるための波形である。例えば、駆動波形Aは、大玉を吐出するための波形であり、駆動波形Bは、中玉を吐出するための波形であり、駆動波形Cは、大玉を吐出するための波形であるが、駆動波形Aとは吐出タイミングが異なる。
図4において、右側は左側よりも過去の状態を示す。
図5~
図7、
図10、及び
図15も同様である。駆動波形データDaは、駆動波形Aの量子化データであり、駆動波形データDbは、駆動波形Bの量子化データであり、駆動波形データDcは、駆動波形Cの量子化データである。駆動波形データDaは量子化されたデータAk(k=0、1、2、・・・)を有し、駆動波形データDbは量子化されたデータBkを有し、駆動波形データDcは量子化されたデータCkを有する。
【0028】
図5は、時系列データ、アナログ信号及び時分割多重信号の一例を説明する説明図である。
図5において、A、B、Cは、駆動波形A、B、Cにそれぞれ対応することを示す。
アクチュエータ88を駆動させる場合、制御回路51はメモリ55にアクセスして、駆動波形データDa、Db、Dcを取得し、時系列データを作成する。時系列データは、データAk、Bk、Ckを時間間隔Δtを設けて順に並べたものであり、A0、B0、C0、A1、B1、C1、・・・、Ak、Bk、Ckの順に並べたものである。時系列データはデジタル信号である。なお、時間間隔Δtは、所定のサンプリング周波数の逆数である。
量子化されたデータAk、Bk、Ckは、所定のサンプリング周波数の逆数に対応する時間ごとに、A0、B0、C0、A1、B1、C1、・・・、Ak、Bk、Ckの順に並べられる。言い換えると、量子化されたデータAk、Bk、Ckのデータ長は、所定のサンプリング周波数の逆数に対応する長さ以下である。また、量子化されたデータA0と量子化されたデータB0とは連続し、量子化されたデータB0と量子化されたデータC0とは連続し、量子化されたデータC0と量子化されたデータA1とは連続する。つまり、量子化されたデータA0と量子化されたデータB0との間に、量子化されたデータC0、その他の量子化されたデータ及びその他の波形のデータがない。また、量子化されたデータB0と量子化されたデータC0との間に、量子化されたデータA0、その他の量子化されたデータ及びその他の波形のデータがない。また、量子化されたデータC0と量子化されたデータA1との間に、量子化されたデータB0、その他の量子化されたデータ及びその他の波形のデータがない。なお、サンプリング周波数は、24MHzであり、量子化されたデータAk、Bk、Ckのデータ長は、約41nSである。
【0029】
制御回路51は時系列データをD/Aコンバータ52に出力する。
図5に示すように、D/Aコンバータ52は時系列データをアナログ信号に変換し、アンプ53に出力する。
アンプ53は、入力されたアナログ信号を増幅させて、スイッチ群54に出力する。
図5に示すように、アンプ53にて増幅されたアナログ信号は時分割多重信号を構成する。つまり、時分割多重信号は、データAkのみに対応するアナログ信号、データBkのみに対応するアナログ信号、データCkのみに対応するアナログ信号ではない。また、時分割多重信号は、少なくとも、1つのデータAk、1つのデータBk、1つのデータCkの合計3つのデータの組に対応するアナログ信号、1つのデータAk+1、1つのデータBk+1、1つのデータCk+1の合計3つのデータの組に対応するアナログ信号、が時系列で連続する信号である。例えば、時分割多重信号は、
図5において、1つである。
図5において、データC0に対応するアナログ信号が孤立しているように見えるが、データA0、データB0、データC0の合計3つのデータの組に対応するアナログ信号であってデータA0及びデータB0が0の状態のアナログ信号が、データA1、データB1、データC1の合計3つのデータの組に対応するアナログ信号であってデータA1が0の状態のアナログ信号に時系列的に連続する結果である。また、データAk及びデータBkの組に対応するアナログ信号が孤立しているように見えるが、データAk―1、データBk―1、データCk―1の合計3つのデータの組に対応するアナログ信号であってデータCk―1が0の状態のアナログ信号が、データAk、データBk、データCkの合計3つのデータの組に対応するアナログ信号に時系列的に連続する結果である。また、データAk―1及びデータBk―1の組に対応するアナログ信号が孤立しているように見える理由も同様である。よって、
図5のアナログ信号を、1つの時分割多重信号として取り扱うことができる。
時分割多重信号において、データAk-1に対応する部分を第1部分、データAkに対応する部分を第2部分、データBk-1に対応する部分を第3部分、データBkに対応する部分を第4部分とすると、第1部分と第2部分との間に第3部分があり、第3部分と第4部分との間に第2部分がある。言い換えると、第1部分と第3部分とは連続し、第3部分と第2部分とは連続し、第2部分と第4部分とは連続する。つまり、時分割多重信号において、第1部分と第3部分との間には、第2部分、第4部分及び他の波形はない。また、時分割多重信号において、第3部分と第2部分との間には、第1部分、第4部分及び他の波形はない。また、時分割多重信号において、第2部分と第4部分との間には、第1部分、第3部分及び他の波形はない。なお、データAk及びCkとの間でも同様な関係が成立し、データBk及びCkとの間でも同様な関係が成立する。制御回路51、D/Aコンバータ52、アンプ53及びメモリ55は多重化部を構成する。1つの時分割多重信号は、1つの吐出駆動周期に収まる。例えば、吐出駆動周波数(噴射周波数)が100kHzであれば、1つの吐出駆動周期(噴射周期)は、10μSであり、1つの時分割多重信号は、10μS未満の長さである。データAk、データBk及びデータCkは、1つの時分割多重信号に各々3個以上あることが好ましい。理由を後述する。
【0030】
制御回路51は、複数の第nスイッチ54(n)の開閉を制御するスイッチ制御信号S1と、駆動波形Aに対応した同期信号S2aと、駆動波形Bに対応した同期信号S2bと、駆動波形Cに対応した同期信号S2cとをスイッチ群54に出力する。なお三つの同期信号S2a、S2b及びS2cを単に同期信号S2とも表す(
図3参照)。スイッチ制御信号S1は、複数の第nスイッチ54(n)のいずれかを選択することを示す第一選択情報と、三つの同期信号S2a、S2b、S2cのいずれかを選択することを示す第二選択情報とを含む。第一選択情報及び第二選択情報は紐づけられている。
【0031】
図6は、時分割多重信号と、同期信号S2a、S2b及びS2cとの関係を説明する説明図である。同期信号S2a、S2b及びS2cはパルス波である。同期信号S2aのパルスの立ち上がり時点と、同期信号S2bのパルスの立ち上がり時点との間には時間間隔Δtが設けられている。また同期信号S2bのパルスの立ち上がり時点と、同期信号S2cのパルスの立ち上がり時点との間に時間間隔Δtが設けられ、同期信号S2cのパルスの立ち上がり時点と、同期信号S2aのパルスの立ち上がり時点との間に時間間隔Δtが設けられている。前述したように、時系列データを構成するデータAk、Bk、Ckは時間間隔Δtを設けて順に並べられている。そのため、同期信号S2aのパルスの立ち上がり時点において、時分割多重信号にアクセスした場合、データAkに対応し、駆動波形Aを示す駆動波形信号Paを取得することができる。同期信号S2bのパルスの立ち上がり時点において、時分割多重信号にアクセスした場合、データBkに対応し、駆動波形Bを示す駆動波形信号Pbを取得することができる。同期信号S2cのパルスの立ち上がり時点において、時分割多重信号にアクセスした場合、データCkに対応し、駆動波形Cを示す駆動波形信号Pcを取得することができる。換言すれば、1つの第nスイッチ54(n)は、1種類の時分割多重信号を入力され、駆動波形Aを示す駆動波形信号Pa、駆動波形Bを示す駆動波形信号Pb、駆動波形Cを示す駆動波形信号Pcのいずれか1つを分離する。
【0032】
スイッチ群54は、選択された同期信号S2a~S2cが示す開閉タイミングで、選択された第nスイッチ54(n)を開閉させる。換言すれば、スイッチ群54は、所定のサンプリング周波数によって、第nスイッチ54(n)を開閉させる。
【0033】
図7は、第nスイッチ54(n)の開閉によってアクチュエータ88に入力される駆動波形の模式図である。同期信号S2aが選択された場合、スイッチ群54は、同期信号S2aのパルスがハイレベル区間の場合、第nスイッチ54(n)を閉じ、同期信号S2aのパルスがローレベル区間の場合、第nスイッチ54(n)を開ける。第1コンデンサ89a及び第2コンデンサ89bによって、第nスイッチ54(n)を閉じたときに個別電極85に印加された電荷が保持され、
図7に示すように、駆動波形A1がアクチュエータ88に入力される。換言すれば、所定のサンプリング周波数によって、時分割多重信号から駆動波形信号Paが分離されて、駆動波形信号Paによってアクチュエータ88が駆動される。なお、駆動波形信号Paの凹凸を表すために、データAkを3個以上必要とする。
【0034】
同期信号S2bが選択された場合、スイッチ群54は、同期信号S2bのパルスがハイレベル区間の場合、第nスイッチ54(n)を閉じ、同期信号S2bのパルスがローレベル区間の場合、第nスイッチ54(n)を開ける。第1コンデンサ89a及び第2コンデンサ89bによって、第nスイッチ54(n)を閉じたときに個別電極85に印加された電荷が保持され、
図7に示すように、駆動波形B1がアクチュエータ88に入力される。
換言すれば、所定のサンプリング周波数によって、時分割多重信号から駆動波形信号Pbが分離されて、駆動波形信号Pbによってアクチュエータ88が駆動される。なお、駆動波形信号Pbの凹凸を表すために、データBkを3個以上必要とする。
【0035】
同期信号S2cが選択された場合、スイッチ群54は、同期信号S2cのパルスがハイレベル区間の場合、第nスイッチ54(n)を閉じ、同期信号S2cのパルスがローレベル区間の場合、第nスイッチ54(n)を開ける。第1コンデンサ89a及び第2コンデンサ89bによって、第nスイッチ54(n)を閉じたときに個別電極85に印加された電荷が保持され、
図7に示すように、駆動波形C1がアクチュエータ88に入力される。
換言すれば、所定のサンプリング周波数によって、時分割多重信号から駆動波形信号Pcが分離されて、駆動波形信号Pcによってアクチュエータ88が駆動される。なお、駆動波形信号Pcの凹凸を表すために、データCkを3個以上必要とする。
【0036】
前記所定のサンプリング周波数は、インクジェットヘッド8の共振周波数以上である。
インクジェットヘッド8の共振周波数は、圧力室81にインク(液体)を充填していない場合における共振周波数であるか、又は圧力室81にインクを充填している場合における共振周波数である。例えば、圧力室81にインクを充填していない場合におけるインクジェットヘッド8の共振周波数が100kHzである場合、圧力室81にインクを充填している場合におけるインクジェットヘッド8の共振周波数が100kHz未満となる。具体的には、圧力室81にインクを充填している場合におけるインクジェットヘッド8の共振周波数が90kHzとなる。つまり、圧力室81にインクを充填していない場合におけるインクジェットヘッド8の共振周波数は、圧力室81にインクを充填している場合におけるインクジェットヘッド8の共振周波数よりも大きい。
【0037】
図8は、制御装置50による印刷処理を説明するフローチャートである。制御装置50は外部装置100から印刷ジョブを受信したか否か判定する(S1)。印刷ジョブを受信していない場合(S1:NO)、制御装置50はステップS1に処理を戻す。印刷ジョブを受信した場合(S1:YES)、制御装置50はフラッシング処理を実行する(S2)。フラッシング処理は印刷目的以外でノズル80からインクを吐出する処理であり、例えばフラッシング受け21にて実行される。
【0038】
制御装置50は、1印刷タスクを実行する(S3)。印刷タスクは、印刷ジョブを構成する単位である。具体的には、インクジェットヘッド8が右方又は左方に記録用紙200の左右幅分移動する間に行う液体吐出処理である。次に制御装置50は、1印刷タスクが完了したか否か判定する(S4)。なお1印刷タスクにおいて、キャリッジ6は1走査する。1印刷タスクが完了していない場合(S4:NO)、ステップS4に処理を戻す。1印刷タスクが完了した場合(S4:YES)、制御装置50は、印刷ジョブが完了したか否か判定する(S5)。
【0039】
1印刷タスクが完了した場合(S5:YES)、制御装置50はフラッシング処理を実行し(S8)、印刷処理を終了する。1印刷タスクが完了していない場合(S5:NO)、制御装置50はフラッシング処理を行うタイミングであるか否か判定する(S6)。1印刷タスクにおいて、時分割多重信号は、アナログ信号のみで、アナログ信号の種類は変化せず、3種類のアナログ信号により構成される。時分割多重信号が1吐出駆動周期内で立ち上がってから立ち下がるまでの1サイクルにおいても、時分割多重信号は、アナログ信号の種類は変化せず、3種類のアナログ信号により構成される。フラッシング処理はノズル80のメンテナンスの為に、定期的に実行される。フラッシング処理を行うタイミングである場合(S6:YES)、制御装置50は、フラッシング処理を実行し(S7)、ステップS3に処理を戻す。フラッシング処理を行うタイミングでない場合(S6:NO)、制御装置50は、非吐出フラッシング処理を実行するタイミングであ
るか否か判定する(S9)。
【0040】
非吐出フラッシング処理は、インクの吐出を行わずに、ノズル80の乾燥を防止する為の処理であり、詳細には、圧電体83を僅かに変形させて、インクの表面(メニスカス)を揺らす処理であり、例えばキャップ20にて実行される。非吐出フラッシング処理は定期的に実行される。非吐出フラッシング処理を実行するタイミングである場合(S9:YES)、制御装置50は非吐出フラッシング処理を実行し(S10)、ステップS3に処理を戻す。ステップS10において、制御装置50は、非吐出フラッシング処理に対応した駆動波形を個別電極85に供給する。非吐出フラッシング処理を実行するタイミングでない場合(S9:NO)、制御装置50は、ステップS3に処理を戻す。
【0041】
制御装置50は、時分割多重信号の生成及び駆動波形信号の分離をフラッシング処理の実行時(S2、S7、S8)又は印刷タスクの実行時(S3)のいずれで行ってもよい。
即ち、時分割多重信号の生成及び駆動波形信号の分離はアクチュエータ88の駆動時に行えばよい。
【0042】
実施の形態1に係るインクジェットヘッド8及び印刷装置1にあっては、各駆動波形A、B、Cを示す各駆動波形データDa、Db、Dcに基づいて、時分割多重信号が生成される。生成された時分割多重信号から、駆動波形Aを示す駆動波形信号Pa、駆動波形Bを示す駆動波形信号Pb、駆動波形Cを示す駆動波形信号Pcが分離される。アクチュエータ88は、駆動波形信号Pa、Pb又はPcによって駆動される。駆動波形信号Pa、Pb又はPcを選択することによって、アクチュエータ88に与えられる駆動波形の振幅を調整することができる。また1画素を印刷する1周期には、選択されたいずれか1つの駆動波形A1、A2又はA3の周期のみが含まれ、選択されなかった駆動波形の周期は含まれない。そのため、ノズル80の待機時間を削減することができる。
【0043】
制御回路51は駆動波形データDa、Db、Dcのデータ値をメモリ55から読み出して、時系列に並べて伝送し、時分割多重信号の生成を実現することができる。
【0044】
制御回路51は駆動波形データDa、Db、Dcのデータ値をD/Aコンバータ52に入力し、アンプ53にて増幅させ、時分割多重信号の振幅を大きくさせることができる。
【0045】
時分割多重信号から、駆動波形Aを示す駆動波形信号Pa、駆動波形Bを示す駆動波形信号Pb、駆動波形Cを示す駆動波形信号Pcが、インクジェットヘッド8の共振周波数以上のサンプリング周波数で分離される。インクジェットヘッド8の共振周波数は、圧力室81にインクを充填していない場合における共振周波数である。そのため、アクチュエータ88の動作に対して、サンプリング誤差は影響せず、サンプリング誤差を無視することができる。
【0046】
時分割多重信号から、駆動波形Aを示す駆動波形信号Pa、駆動波形Bを示す駆動波形信号Pb、駆動波形Cを示す駆動波形信号Pcが、インクジェットヘッド8の共振周波数以上のサンプリング周波数で分離される。インクジェットヘッド8の共振周波数は、圧力室81にインクを充填している場合における共振周波数である。この場合、回路を作成する場合に、スイッチングアンプの数の増加を抑制することができる。
【0047】
時分割多重信号がスイッチ群54に入力される。またスイッチ制御信号S1と、開閉タイミングを示す同期信号S2a~S2cとが第nスイッチ54(n)に入力される。第nスイッチ54(n)は、スイッチ制御信号S1及び同期信号S2a~S2cに基づいて、開閉し、時分割多重信号から駆動波形信号Pa~Pcを分離することができる。
【0048】
制御回路51は、スイッチ制御信号S1と、同期信号S2a~S2cとをスイッチ群54に出力し、第nスイッチ54(n)の開閉を制御する。
【0049】
実施の形態1において、アクチュエータ88は3層構造であるが、2層構造でもよい。
アクチュエータ88はピエゾ方式であるが、インク加熱式インクジェット方式、静電力方式でもよい。波形信号は三つに限定されず、二つでもよいし、四つ以上でもよい。
【0050】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る印刷装置1を示す図面に基づいて説明する。実施の形態2に係る構成の内、実施の形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図9は、制御装置50のブロック図、
図10は、アナログ信号60A~60C及び時分割信号S3a~S3cとの関係を説明する説明図である。
【0051】
制御装置50は、制御回路51、第1D/Aコンバータ52a、第2D/Aコンバータ52b、第3D/Aコンバータ52c、第2スイッチ制御部56、アンプ53、スイッチ群54及びメモリ55を備える。第2スイッチ制御部56は、第1スイッチ56a、第2スイッチ56b、第3スイッチ56cを備える。
【0052】
アクチュエータ88を駆動させる場合、制御回路51はメモリ55にアクセスして、駆動波形データDaを取得し、第1D/Aコンバータ52aに出力する。制御回路51はメモリ55にアクセスして、駆動波形データDbを取得し、第2D/Aコンバータ52bに出力する。制御回路51はメモリ55にアクセスして、駆動波形データDcを取得し、第3D/Aコンバータ52cに出力する。
【0053】
図10に示すように、第1D/Aコンバータ52a、第2D/Aコンバータ52b及び第3D/Aコンバータ52cは、それぞれアナログ信号60A、60B、60Cを出力する。制御回路51はアナログ信号60Aに対応した時分割信号S3aと、アナログ信号60Bに対応した時分割信号S3bと、アナログ信号60Cに対応した時分割信号S3cとをスイッチ群54に出力する。なお三つの時分割信号S3a、S3b及びS3cを単に時分割信号S3とも表す(
図9参照)。
【0054】
時分割信号S3a、S3b及びS3cはパルス波である。時分割信号S3aのパルスの立ち上がり時点と、時分割信号S3bのパルスの立ち上がり時点との間には時間間隔Δtが設けられている。また時分割信号S3bのパルスの立ち上がり時点と、時分割信号S3cのパルスの立ち上がり時点との間に時間間隔Δtが設けられ、時分割信号S3cのパルスの立ち上がり時点と、時分割信号S3aのパルスの立ち上がり時点との間に時間間隔Δtが設けられている。各時分割信号S3a、S3b及びS3cは、前述の各同期信号S2a、S2b及びS2cに対応する。
【0055】
第1スイッチ56aは時分割信号S3aのパルスがハイレベル区間の場合に閉じ、ローレベル区間の場合に開く。第2スイッチ56bは時分割信号S3bのパルスがハイレベル区間の場合に閉じ、ローレベル区間の場合に開く。第3スイッチ56cは時分割信号S3cのパルスがハイレベル区間の場合に閉じ、ローレベル区間の場合に開く。なお、第1スイッチ56a、第2スイッチ56b及び第3スイッチ56cは、同時に開いていることがあるが、同時に閉じていることはない。第1スイッチ56a、第2スイッチ56b及び第3スイッチ56cは、同時に閉じると、アナログ信号60A、60B、60Cが混在することになるからである。なお、アナログ信号60A、60B、60Cが混在しないから、時分割多重信号において、アナログ信号60Aの一部とアナログ信号60Bの一部とは連続し、アナログ信号60Bの一部とアナログ信号60Cの一部とは連続し、アナログ信号60Cの一部とアナログ信号60Aの一部とは連続する。つまり、時分割多重信号において、アナログ信号60Aの一部とアナログ信号60Bの一部との間には、アナログ信号60C及び他の波形のアナログ信号はない。また、時分割多重信号において、アナログ信号60Bの一部とアナログ信号60Cの一部との間には、アナログ信号60Aの一部及び他の波形のアナログ信号はない。また、時分割多重信号において、アナログ信号60Cの一部とアナログ信号60Aの一部との間には、アナログ信号60Bの一部及び他の波形のアナログ信号はない。
【0056】
第2スイッチ制御部56から、アナログ信号60A~60Cを合成した合成信号が出力される。合成信号は
図5に示すアナログ信号と同様な信号である。合成信号はアンプ53にて増幅され、アンプ53は時分割多重信号を出力する。この時分割多重信号は
図5に示す時分割多重信号と同様な信号である。時分割多重信号はスイッチ群54に入力される。
スイッチ群54のスイッチ制御及びアクチュエータ88の駆動は実施の形態1と同様である。
【0057】
実施の形態2に係る印刷装置1にあっては、駆動波形データDaのデータ値をメモリ55から読み出して、第1D/Aコンバータ52aに入力し、アナログ信号60Aを生成する。また、駆動波形データDbをメモリ55から読み出して、第2D/Aコンバータ52bに入力し、アナログ信号60Bを生成する。また、駆動波形データDcのデータ値をメモリ55から読み出して、第3D/Aコンバータ52cに入力し、アナログ信号60Cを生成する。開閉タイミングを示す第1時分割信号S3aに基づいて、第1スイッチ56aを開閉させ、第1時分割信号S3aとは異なる開閉タイミングを示す第2時分割信号S3bに基づいて、第2スイッチ56bを開閉させ、第1及び第2時分割信号S3a、S3bとは異なる開閉タイミングを示す第3時分割信号S3cに基づいて、第3スイッチ56cを開閉させて、各アナログ信号60A~60Cから時分割多重信号を生成することができる。
【0058】
実施の形態2に係る印刷装置1は以下の構成に変更してもよい。
図11は変更例に係る制御装置50のブロック図である。変更例においては、アンプ53に代えて三つのアンプ53a~53cを備える。また第1D/Aコンバータ52aのアナログ信号がアンプ53aに入力され、アンプ53aは第1スイッチ56aにアナログ信号を出力する。第2D/Aコンバータ52bのアナログ信号がアンプ53bに入力され、アンプ53bは第2スイッチ56bにアナログ信号を出力する。第3D/Aコンバータ52cのアナログ信号がアンプ53cに入力され、アンプ53cは第3スイッチ56cにアナログ信号を出力する。
第1~第3時分割信号S3a~S3cに基づいて、第1~第3スイッチ56a~56cが開閉され、時分割多重信号が生成される。言い換えると、時分割多重信号において、アンプ53aから出力されたアナログ信号60Aの一部とアンプ53bから出力されたアナログ信号60Bの一部とは連続し、アンプ53bから出力されたアナログ信号60Bの一部とアンプ53cから出力されたアナログ信号60Cの一部とは連続し、アンプ53cから出力されたアナログ信号60Cの一部とアンプ53aから出力されたアナログ信号60Aの一部とは連続する。つまり、時分割多重信号において、アンプ53aから出力されたアナログ信号60Aの一部とアンプ53bから出力されたアナログ信号60Bの一部との間には、アンプ53cから出力されたアナログ信号60C及び他の波形のアナログ信号はない。また、時分割多重信号において、アンプ53bから出力されたアナログ信号60Bの一部とアンプ53cから出力されたアナログ信号60Cの一部との間には、アンプ53aから出力されたアナログ信号60Aの一部及び他の波形のアナログ信号はない。また、時分割多重信号において、アンプ53cから出力されたアナログ信号60Cの一部とアンプ53aから出力されたアナログ信号60Aの一部との間には、アンプ53bから出力されたアナログ信号60Bの一部及び他の波形のアナログ信号はない。三つのアンプを使用することによって、各アンプの帯域を狭くすることができ、時分割多重を実現しやすい。
【0059】
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3に係る印刷装置1を示す図面に基づいて説明する。実施の形態3に係る構成の内、実施の形態1又は2と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図12は制御装置50のブロック図である。
【0060】
制御装置50は、制御回路51、D/Aコンバータ52、三つのアンプ53d~53f、スイッチ群54、メモリ55、第3スイッチ制御部57、サンプルホールドユニット58(S/Hユニット)等を備える。第3スイッチ制御部57は、第1スイッチ57a、第2スイッチ57b、第3スイッチ57cを備える。サンプルホールドユニット58は第1サンプルホールド回路58a(第1S/H回路)、第2サンプルホールド回路58b(第2S/H回路)、第3サンプルホールド回路58c(第3S/H回路)を備える。
【0061】
制御回路51は時系列データをD/Aコンバータ52に出力する。D/Aコンバータ52は時系列データをアナログ信号に変換し、サンプルホールドユニット58に出力する。
D/Aコンバータ52が出力するアナログ信号は
図5に示すアナログ信号と同様である。
【0062】
制御回路51はサンプルホールドユニット58に、サンプリング周期を示すサンプリング信号S4a~S4cを出力する。サンプリング信号S4aは第1サンプルホールド回路58aに入力され、サンプリング信号S4bは第2サンプルホールド回路58bに入力され、サンプリング信号S4cは第3サンプルホールド回路58cに入力される。各サンプリング信号S4a~S4cのサンプリング周期は相互に異なり、時間間隔Δtずつずれている。なお三つのサンプリング信号S4a、S4b及びS4cを単にサンプリング信号S4とも表す(
図12参照)。
【0063】
第1サンプルホールド回路58aはサンプリング信号S4aのサンプリング周期でアナログ信号をサンプリングして保持し、アンプ53dに出力する。第2サンプルホールド回路58bはサンプリング信号S4bのサンプリング周期でアナログ信号をサンプリングして保持し、アンプ53eに出力する。第3サンプルホールド回路58cはサンプリング信号S4cのサンプリング周期でアナログ信号をサンプリングして保持し、アンプ53fに出力する。
【0064】
第1サンプルホールド回路58aが出力するアナログ信号は、
図10のアナログ信号60Aと同様である。第2サンプルホールド回路58bが出力するアナログ信号は、
図10のアナログ信号60Bと同様である。第3サンプルホールド回路58cが出力するアナログ信号は、
図10のアナログ信号60Cと同様である。
【0065】
アンプ53dはアナログ信号を増幅して第1スイッチ57aに出力する。アンプ53eはアナログ信号を増幅して第2スイッチ57bに出力する。アンプ53fはアナログ信号を増幅して第3スイッチ57cに出力する。
【0066】
制御回路51は、アンプ53dが出力するアナログ信号に対応した時分割信号S5aと、アンプ53eが出力するアナログ信号に対応した時分割信号S5bと、アンプ53fが出力するアナログ信号に対応した時分割信号S5cとを第3スイッチ制御部57に出力する。なお三つの時分割信号S5a、S5b及びS5cを単に時分割信号S5とも表す(
図12参照)。
【0067】
時分割信号S5a、S5b及びS5cは、
図10に示す時分割信号S3a、S3b及びS3cと同様なパルス波である。時分割信号S5aのパルスの立ち上がり時点と、時分割信号S5bのパルスの立ち上がり時点との間には時間間隔Δtが設けられている。また時分割信号S5bのパルスの立ち上がり時点と、時分割信号S5cのパルスの立ち上がり時点との間に時間間隔Δtが設けられ、時分割信号S5cのパルスの立ち上がり時点と、時分割信号S5aのパルスの立ち上がり時点との間に時間間隔Δtが設けられている。各時分割信号S5a、S5b及びS5cは、前述の各同期信号S2a、S2b及びS2cに対応する。
【0068】
第1スイッチ57aは時分割信号S5aのパルスがハイレベル区間の場合に閉じ、ローレベル区間の場合に開く。第2スイッチ57bは時分割信号S5bのパルスがハイレベル区間の場合に閉じ、ローレベル区間の場合に開く。第3スイッチ57cは時分割信号S5cのパルスがハイレベル区間の場合に閉じ、ローレベル区間の場合に開く。なお、第1スイッチ57a、第2スイッチ57b及び第3スイッチ57cは、同時に開いていることがあるが、同時に閉じていることはない。第1スイッチ57a、第2スイッチ57b及び第3スイッチ57cは、同時に閉じると、アナログ信号60A、60B、60Cが混在することになるからである。なお、アナログ信号60A、60B、60Cが混在しないから、時分割多重信号において、アンプ53dから出力されたアナログ信号60Aの一部とアンプ53eから出力されたアナログ信号60Bの一部とは連続し、アンプ53eから出力されたアナログ信号60Bの一部とアンプ53fから出力されたアナログ信号60Cの一部とは連続し、アンプ53fから出力されたアナログ信号60Cの一部とアンプ53dから出力されたアナログ信号60Aの一部とは連続する。つまり、時分割多重信号において、アンプ53dから出力されたアナログ信号60Aの一部とアンプ53eから出力されたアナログ信号60Bの一部との間には、アンプ53fから出力されたアナログ信号60C及び他の波形のアナログ信号はない。また、時分割多重信号において、アンプ53eから出力されたアナログ信号60Bの一部とアンプ53fから出力されたアナログ信号60Cの一部との間には、アンプ53dから出力されたアナログ信号60Aの一部及び他の波形のアナログ信号はない。また、時分割多重信号において、アンプ53fから出力されたアナログ信号60Cの一部とアンプ53dから出力されたアナログ信号60Aの一部との間には、アンプ53eから出力されたアナログ信号60Bの一部及び他の波形のアナログ信号はない。
【0069】
第3スイッチ制御部57から、アンプ53d~53fから出力されたアナログ信号を合成した合成信号、即ち時分割多重信号が出力される。この時分割多重信号は
図5に示す時分割多重信号と同様な信号である。時分割多重信号はスイッチ群54に入力される。スイッチ群54のスイッチ制御及びアクチュエータ88の駆動は実施の形態1と同様である。
【0070】
なおサンプリング信号S4aが示すサンプリング時点は、時分割信号S5aが示す閉時点よりも早く、サンプリング信号S4bが示すサンプリング時点は、時分割信号S5bが示す閉時点よりも早く、サンプリング信号S4cが示すサンプリング時点は、時分割信号S5cが示す閉時点よりも早い。
【0071】
実施の形態3に係る印刷装置1にあっては、各駆動波形データDa、Db、Dcのデータ値をメモリ55から読み出して、時系列に並べてD/Aコンバータ52に入力し、第1サンプリング信号S4aに基づいて、第1サンプルホールド回路58aを動作させ、第2サンプリング信号S4bに基づいて、第2サンプルホールド回路58bを動作させ、第3サンプリング信号S4cに基づいて、第3サンプルホールド回路58cを動作させる。時分割信号S5a~S5cに基づいて第1~第3スイッチ57a~57cを開閉させ、時分割多重信号を生成することができる。
【0072】
またサンプリング信号S4aが示すサンプリング時点は、時分割信号S5aが示す閉時点よりも早く、サンプリング信号S4bが示すサンプリング時点は、時分割信号S5bが示す閉時点よりも早く、サンプリング信号S4cが示すサンプリング時点は、時分割信号S5cが示す閉時点よりも早い。そのため、時分割信号S5a~S5cの遅延による時分割多重信号の生成への影響を抑制することができる。
【0073】
(実施の形態4)
以下本発明を実施の形態4に係る印刷装置1を示す図面に基づいて説明する。実施の形態4に係る構成の内、実施の形態1~3と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図13は、制御装置50のブロック図である。
【0074】
制御装置50は、制御回路51、デジタルデータを直接入力可能なデジタルアンプ530、ローパスフィルタ59(LPF)、スイッチ群54及びメモリ55を備える。デジタルアンプ530は、スイッチング回路及び増幅回路を備える。制御回路51は時系列データ(デジタルデータ)をデジタルアンプ530に出力し、デジタルアンプ530は時系列データを増幅して、ローパスフィルタ59に出力する。言い換えると、時分割多重信号において、量子化されたデータA0と量子化されたデータB0とは連続し、量子化されたデータB0と量子化されたデータC0とは連続し、量子化されたデータC0と量子化されたデータA1とは連続する。つまり、時分割多重信号において、量子化されたデータA0と量子化されたデータB0との間に、量子化されたデータC0、その他の量子化されたデータ及びその他の波形のデータがない。また、時分割多重信号において、量子化されたデータB0と量子化されたデータC0との間に、量子化されたデータA0、その他の量子化されたデータ及びその他の波形のデータがない。また、時分割多重信号において、量子化されたデータC0と量子化されたデータA0との間に、量子化されたデータB0、その他の量子化されたデータ及びその他の波形のデータがない。ローパスフィルタ59は、デジタルアンプ530の出力したパルス波をアナログ信号に変換し、スイッチ群54にアナログ信号で構成される時分割多重信号を出力する。スイッチ群54のスイッチ制御及びアクチュエータ88の駆動は実施の形態1と同様である。なお、デジタルアンプ530の出力は、パルス状の形状で、連続波形ではないから、アナログ信号ではない。つまり、デジタルアンプ530の出力は、デジタル信号で構成される時分割多重信号である。
【0075】
実施の形態4に係る印刷装置にあっては、各駆動波形データDa、Db、Dcのデータ値をメモリ55から読み出して、デジタルアンプ530に入力し、時分割多重信号を生成することができる。デジタルアンプ530を使用することによって、D/Aコンバータを削減できる。デジタルアンプ530はアナログアンプに比べて、高精度、高安定部品を必要としないため、温度変化等の環境変化に強く、また動作も部品点数も少ないので、長寿命である。
【0076】
(実施の形態5)
以下本発明を実施の形態5に係る印刷装置1を示す図面に基づいて説明する。実施の形態5に係る構成の内、実施の形態1~4と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図14は制御装置50のブロック図である。
【0077】
制御装置50は、制御回路51、D/Aコンバータ52、アンプ53、振幅情報生成回路70、電圧決定回路71、電圧可変電源72等を備える。制御回路51はメモリ55にアクセスして、駆動波形データDa~Dcを取得し、D/Aコンバータ52に出力する。
D/Aコンバータ52は駆動波形データDa~Dcをアナログ信号に変換してアンプ53に出力する。アンプ53からアクチュエータ88までの信号制御は、実施の形態1~4と同様であるので、省略する。
【0078】
制御回路51は振幅情報生成回路70にデジタル信号を出力し、デジタル信号の振幅を示す情報を生成して、電圧決定回路71に出力する。電圧決定回路71は、前記振幅を示す情報に基づいて、アンプ53に設定する電圧を決定し、電圧可変電源72に出力する。
電圧可変電源72は、決定された電圧をアンプ53に供給する。なお決定された電圧は、電圧可変電源72が供給可能な最大電圧よりも低い電圧である。
【0079】
図15は、D/Aコンバータ52から出力されたアナログ信号と、アンプ53に供給された電圧との関係を説明する説明図である。
図15において、一点鎖線はアンプ53に供給された電圧を示す。
図15に示すように、アンプ53には、アナログ信号の振幅に応じた大きさの電圧が供給されている。電圧可変電源72が供給可能な最大電圧をアンプ53に供給する場合に比べて、電力消費量を削減することができる。
【0080】
上述の印刷装置1はシリアルヘッド方式であるが、ラインヘッド方式の印刷装置に上述の技術を適用してもよい。また、上述の印刷装置1はピエゾ方式のインクジェットヘッドを備えているが、インク加熱式インクジェット方式のインクジェットヘッドまたは静電力方式のインクジェットヘッドを備える印刷装置に上述の技術を適用してもよい。特に、インク加熱式インクジェット方式のヘッドを備える印刷装置に上述の技術を適用する場合、実施の形態1において、駆動波形A、B、Cは、振幅もパルス幅も異なったが、振幅が同程度で、パルス幅が異なる。なお、静電力方式のインクジェットヘッドとは、例えば、シリコンの単結晶基板からなる第1基板、第2基板及び第3基板が積層されて、構成される。第1基板は、底壁を振動板とする液室を構成する凹部を有する。第2基板は、第1基板に接合され、振動板とほぼ同形状の電極を有する。第3基板は、第1基板に接合され、液室の一部と、ノズルと、液室とノズルとを繋ぐ流路とを有する。電極に発振回路より正のパルス電圧を印可すると、電極の表面がプラス電位に帯電し、対応する振動板がマイナス電位に帯電する。そして、振動板は撓み、液室は拡張する。次に電極へのパルス電圧の印加をオフすると、撓んだ振動板が復元し、液室が縮小し、液室内の圧力が上昇し、ノズルからインクが吐出される。第1基板、第2基板及び第3基板は、シリコンだけでなく、ガラス、ニッケル、プラスチック、ステンレスにより構成されていてもよい。
【0081】
実施の形態1において、インクジェットヘッド8の共振周波数は、圧力室81にインクを充填していない場合における共振周波数であるか、又は圧力室81にインクを充填している場合における共振周波数であったが、これらに限られない。インクジェットヘッド8の共振周波数は、圧力室81にインクを充填している場合における共振周波数より大きく、かつ、圧力室81にインクを充填していない場合における共振周波数より小さくてもよい。
【0082】
実施の形態1において、時系列データは、データAk、Bk、Ckを時間間隔Δtを設けて順に並べたものであり、A0、B0、C0、A1、B1、C1、・・・、Ak、Bk、Ckの順に並べたものであった。しかし、データAk、Bk、Ckに対して種々の改良が可能である。例えば、時間間隔Δtをより時間間隔の短い時間間隔Δt’とする場合、制御回路51は、データAk、Bk、Ckについて、立ち上がり、立ち下りの部分を除く、ハイレベル区間及びローレベル区間の一部を間引くことで、データA’k、B’k、C’kを生成する。つまり、データA’kの時間長は、データAkの時間長よりも短い。また、データB’kの時間長は、データBkの時間長よりも短い。また、データC’kの時間長は、データCkの時間長よりも短い。制御回路51は、データA’0、B’0、C’0、A’1、B’1、C’1、・・・、A’k、B’k、C’kをの順に並べたものを、時系列データとしてもよい。
【0083】
また、時間間隔Δtをより時間間隔の長い時間間隔Δt”とする場合、制御回路51は、データAk、Bk、Ckについて、立ち上がり、立ち下りの部分を除く、ハイレベル区間及びローレベル区間を延長することで、データA”k、B”k、C”kを生成する。つまり、データA”kの時間長は、データAkの時間長よりも長い。また、データB”kの時間長は、データBkの時間長よりも長い。また、データC”kの時間長は、データCkの時間長よりも長い。制御回路51は、データA”0、B”0、C”0、A”1、B”1、C”1、・・・、A”k、B”k、C”kをの順に並べたものを、時系列データとしてもよい。
【0084】
実施の形態1において、制御回路51はメモリ55にアクセスして、駆動波形データDa、Db、Dcを取得し、時系列データを作成した。時系列データは、データAk、Bk、Ckを時間間隔Δtを設けて順に並べたものであったが、これに限られない。制御回路51はメモリ55にアクセスして、駆動波形データDa、Db、Dcを取得し、取得した駆動波形データDa、Db、Dcの一部を間引くことで、時系列データを作成してもよい。具体的には、駆動波形データDaは量子化されたデータA0、A1、A2、A3を有し、駆動波形データDbは量子化されたデータB0、B1、B2、B3を有し、駆動波形データDcは量子化されたデータC0、C1、C2、C3を有していたが、量子化されたデータA0、A2、B0、B2、C0、C2を用いて、A0、B0、C0、A2、B2、C2・・・、Ak、Bk、Ckの順に並べられたデータを時系列データとしてもよい。
【0085】
また、量子化されたデータA0、A2、B1、B3、C0、C2を用いて、A0、C0、B1、A2、C2、B2・・・、Ak-1、Ck-1、Bkの順に並べられたデータを時系列データとしてもよい。また、量子化されたデータA1、A3、B0、B2、C1、C3を用いて、B0、A1、C1、B2、A3、C3・・・、Bk-1、Ak、Ckの順に並べられたデータを時系列データとしてもよい。
【0086】
また、制御回路51はメモリ55にアクセスして、駆動波形データDa、Db、Dcを取得し、取得した駆動波形データDa、Db、Dcに基づき補間データを生成し、取得した駆動波形データDa、Db、Dcと、補間データとを用いて、時系列データを作成してもよい。具体的には、駆動波形データDaは量子化されたデータA0、A1、A2、A3を有し、駆動波形データDbは量子化されたデータB0、B1、B2、B3を有し、駆動波形データDcは量子化されたデータC0、C1、C2、C3を有する。また、制御回路51は、量子化されたデータA0、A1に基づき補間データA0.5を生成し、量子化されたデータA1、A2に基づき補間データA1.5を生成し、量子化されたデータB0、B1に基づき補間データB0.5を生成し、量子化されたデータB1、B2に基づき補間データB1.5を生成し、量子化されたデータC0、C1に基づき補間データC0.5を生成し、量子化されたデータC1、C2に基づき補間データC1.5を生成する。そして、制御回路51は、量子化されたデータA0、B0、C0、補間データA0.5、B0.5、C0.5、量子化されたデータA1、B1、C1、補間データA1.5、B1.5、C1.5、量子化されたデータA2、B2、C2、・・・、Ak、Bk、Ckの順に並べられたデータを時系列データとしてもよい。
【0087】
さらに、制御回路51は、量子化されたデータA0と補間データA0.5と基づき補間データA0.25を生成し、補間データA0.5と量子化されたデータA1と基づき補間データA0.75を生成し、量子化されたデータB0と補間データB0.5と基づき補間データB0.25を生成し、補間データB0.5と量子化されたデータB1と基づき補間データB0.75を生成し、量子化されたデータC0と補間データC0.5と基づき補間データC0.25を生成し、補間データC0.5と量子化されたデータC1と基づき補間データC0.75を生成する。そして、制御回路51は、量子化されたデータA0、B0、C0、補間データA0.25、B0.25、C0.25、補間データA0.5、B0.5、C0.5、補間データA0.75、B0.75、C0.75、量子化されたデータA1、B1、C1、・・・、Ak、Bk、Ckの順に並べられたデータを時系列データとしてもよい。なお、メモリ55は、補間データA0.5、A1.5、B0.5、B1.5、C0.5、C1.5を予め記憶していてもよい。また、補間データA0.25、A0.75、B0.25、B0.75、C0.25、C0.75を予め記憶していてもよい。
【0088】
実施形態の1において、駆動波形Aは、大玉を吐出するための波形であり、駆動波形Bは、中玉を吐出するための波形であり、駆動波形Cは、大玉を吐出するための波形であった。しかし、これに限られない。駆動波形Cは、小玉を吐出するための波形であってもよい。また、駆動波形Dがあってもよい。駆動波形Dは、大玉よりも大きなインク滴を吐出するための波形である。つまり、駆動波形は、3種類に限らず、4種類、または、2種類であってもよい。駆動波形が4種類ある場合、1印刷タスクにおいて、時分割多重信号は、アナログ信号の種類は変化せず、4種類のアナログ信号により構成される。時分割多重信号が1吐出駆動周期内で立ち上がってから立ち下がるまでの1サイクルにおいても、時分割多重信号は、アナログ信号の種類は変化せず、4種類のアナログ信号により構成される。また、駆動波形が2種類ある場合、1印刷タスクにおいて、時分割多重信号は、アナログ信号の種類は変化せず、2種類のアナログ信号により構成される。時分割多重信号が1吐出駆動周期内で立ち上がってから立ち下がるまでの1サイクルにおいても、時分割多重信号は、アナログ信号の種類は変化せず、2種類のアナログ信号により構成される。
【0089】
実施の形態1において、駆動波形A、B、Cは、印刷の用途に用いられた。しかし、これに限られない。駆動波形A、B、Cは、フラッシング処理(S7)の用途に用いられてもよい。つまり、時分割多重信号は、フラッシング処理(S7)のために、ノズル80を介してインクを吐出させる駆動波形を3種類、含むこととなる。その後、所定のサンプリング周波数によって、時分割多重信号から駆動波形信号Pa、駆動波形信号Pb、駆動波形信号Pcが分離される。続いて、駆動波形信号Pa、駆動波形信号Pb、駆動波形信号Pcのいずれか1つによってアクチュエータ88が駆動される。印刷装置1は、例えば、1種類の時分割多重信号だけで、3通りのフラッシング処理(S7)のためのインクの吐出を行うことができる。この場合、3通りのフラッシング処理(S7)のためのインクの吐出は、インク滴の発数が所定数の第1フラッシング処理と、第1フラッシング処理よりもインク滴の発数が多い第2フラッシング処理と、第2フラッシング処理よりもインク滴の発数が多い第3フラッシング処理と、を含む。なお、3通りのフラッシング処理(S7)のためのインクの吐出は、インク滴の発数が同じで、インク滴のサイズが異なってもよい。第2フラッシング処理では、第1フラッシング処理よりも、インク滴のサイズが大きい。また、3フラッシング処理では、第2フラッシング処理よりも、インク滴のサイズが大きい。
【0090】
実施の形態1において、駆動波形A、B、Cは、圧電体83を変形させ、振動板82が振動し、振動板82の振動によって、ノズル80を介して、圧力室81にあるインクを、ディセンダーを通過させてから吐出させるための波形であった。しかし、これに限られない。例えば、駆動波形A、Bは、ノズル80を介して、圧力室81にあるインクを、ディセンダーを通過させてから吐出させるための波形であるが、駆動波形Cは、圧電体83を変形させ、振動板82が振動させるが、振動板82の振動によって、ノズル80を介して、圧力室81にあるインクを、ディセンダーを通過させてから吐出させるための波形でなくてもよい。つまり、駆動波形Cは、非吐出フラッシング処理のための波形であり、詳細には、圧電体83が僅かに変形させられる。そして、インクを吐出せずにインクの表面(メニスカス)が揺れる。よって、時分割多重信号は、ノズル80を介してインクを吐出させる駆動波形を2種類、インクを吐出せずにインクの表面(メニスカス)揺らす駆動波形を1種類、含むこととなる。その後、所定のサンプリング周波数によって、時分割多重信号から駆動波形信号Pa、駆動波形信号Pb、駆動波形信号Pcが分離される。続いて、駆動波形信号Pa、駆動波形信号Pb、駆動波形信号Pcのいずれか1つによってアクチュエータ88が駆動される。印刷装置1は、例えば、1種類の時分割多重信号だけで、2通りのインクの吐出と、1通りのインクの表面(メニスカス)揺らしとを行うことができる。また、例えば、印刷装置1は、1種類の時分割多重信号だけで、2通りのフラッシング処理(S7)のためのインクの吐出と、非吐出波形フラッシング処理(S10)のための1通りのインクの表面(メニスカス)揺らしとを行うことができる。この場合、2通りのフラッシング処理(S7)のためのインクの吐出は、インク滴の発数が所定数の第1フラッシング処理と、第1フラッシング処理よりもインク滴の発数が多い第2フラッシング処理と、を含む。なお、2通りのフラッシング処理(S7)のためのインクの吐出は、インク滴の発数が同じで、インク滴のサイズが異なってもよい。第2フラッシング処理では、第1フラッシング処理よりも、インク滴のサイズが大きい。
【0091】
また、例えば、駆動波形Aは、ノズル80を介して、圧力室81にあるインクを、ディセンダーを通過させてから吐出させるための波形であるが、駆動波形B、Cは、非吐出フラッシング処理のための波形であり、詳細には、圧電体83が僅かに変形させられる。そして、インクを吐出せずにインクの表面(メニスカス)が揺れる。よって、時分割多重信号は、ノズル80を介してインクを吐出させる駆動波形を1種類、インクを吐出せずにインクの表面(メニスカス)揺らす駆動波形を2種類、含むこととなる。その後、所定のサンプリング周波数によって、時分割多重信号から駆動波形信号Pa、駆動波形信号Pb、駆動波形信号Pcが分離される。駆動波形信号Pa、駆動波形信号Pb、駆動波形信号Pcのいずれか1つによってアクチュエータ88が駆動される。印刷装置1は、1種類の時分割多重信号だけで、1通りのインクの吐出と、2通りのインクの表面(メニスカス)揺らしを行うことができる。例えば、印刷装置1は、1種類の時分割多重信号だけで、1通りのインクの吐出と、ノズル近傍のインクの増粘を抑制するためにインクの表面(メニスカス)揺らすことと、ノズル近傍のインクの温度を一定にするためにインクの表面(メニスカス)揺らすこととを、行うことができる。また、例えば、印刷装置1は、1種類の時分割多重信号だけで、1通りのフラッシング処理(S7)のためのインクの吐出と、非吐出波形フラッシング処理(S10)のための2通りのインクの表面(メニスカス)揺らしとを行うことができる。この場合、2通りの非吐出フラッシング処理(S10)のためのインクの表面(メニスカス)揺らしは、表面(メニスカス)揺らしが所定回数の第1非吐出フラッシング処理と、第1非吐出フラッシング処理よりも表面(メニスカス)揺らしの回数が多い第2非吐出フラッシング処理と、を含む。なお、2通りの非吐出フラッシング処理(S10)のためのインクの表面(メニスカス)揺らしは、表面(メニスカス)揺らしが同じ回数で、表面(メニスカス)揺らしの強度が異なってもよい。第2非吐出フラッシング処理では、第1非吐出フラッシング処理よりも、表面(メニスカス)揺らしの強度が強い。
【0092】
また、例えば、駆動波形A、B、Cは、非吐出フラッシング処理のための波形であり、詳細には、圧電体83が僅かに変形させられる。そして、インクを吐出せずにインクの表面(メニスカス)が揺れる。よって、時分割多重信号は、インクを吐出せずにインクの表面(メニスカス)揺らす駆動波形を3種類、含む。その後、所定のサンプリング周波数によって、時分割多重信号から駆動波形信号Pa、駆動波形信号Pb、駆動波形信号Pcが分離される。駆動波形信号Pa、駆動波形信号Pb、駆動波形信号Pcのいずれか1つによってアクチュエータ88が駆動される。つまり、印刷装置1は、3通りのインクの表面(メニスカス)揺らしを行うことができる。例えば、印刷装置1は、3種類の時分割多重信号により、ノズル近傍のインクの軽度の増粘を抑制するためにインクの表面(メニスカス)揺らすことと、ノズル近傍のインクの重度の増粘を抑制するためにインクの表面(メニスカス)をより大きく揺らすことと、ノズル近傍のインクの温度を一定にするためにインクの表面(メニスカス)揺らすこととを、行うことができる。
【0093】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0094】
1 印刷装置
50 制御装置
51 制御回路
52 D/Aコンバータ
53 アンプ
530 デジタルアンプ
54 スイッチ群
55 メモリ
56 第2スイッチ制御部
57 第3スイッチ制御部
58 サンプルホールドユニット
70 振幅情報生成回路
71 電圧決定回路
72 電圧可変電源