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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】自動体外式除細動器システム
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/39 20060101AFI20241022BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20241022BHJP
【FI】
A61N1/39
A61B5/33 120
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024501532
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2022070447
(87)【国際公開番号】W WO2023001945
(87)【国際公開日】2023-01-26
【審査請求日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/108161
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】21199701.0
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン ユイニーン
(72)【発明者】
【氏名】ゴーア シン
【審査官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-500090(JP,A)
【文献】特開2016-187437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/39
A61B 5/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
除細動ショックを施すように構成される除細動モジュール、
心臓の心電図(ECG)測定を行うように構成されるセンサ、
ECG測定値を送信し、前記ECG測定値の第1の分類を受信するために遠隔処理装置と通信するように構成される接続モジュール、及び
プロセッサ
を有する自動体外除細動器において、前記プロセッサは、
ローカルのショックアドバイスアルゴリズム(SAA)を使用して、少なくともショック適応分類及びショック非適応分類を含む第2のリストから選択される、前記ECG測定値の第2の分類を決定し、
前記ECG測定値の前記第1の分類及び前記第2の分類の少なくとも1つがショック適応分類である場合、
前記除細動モジュールに除細動ショックを施させる、又は
除細動ショックを施すようユーザに助言する
の何れかを行う
ように構成され、
前記接続モジュールは、前記ECG測定値の前記第2の分類がショック適応分類でないときにのみ、前記ECG測定値を前記遠隔処理装置に送信するように構成される、
自動体外除細動器。
【請求項2】
前記接続モジュールは、前記プロセッサが前記ECG測定値の前記第2の分類を決定する前に、前記ECG測定値を前記遠隔処理装置に送信するように構成される、請求項1に記載の自動体外除細動器。
【請求項3】
前記第2のリストは、不確定分類をさらに有し、
前記接続モジュールは、前記第2の分類が前記不確定分類及び前記ショック非適応分類の一方である場合にのみ、前記ECG測定値を前記遠隔処理装置に送信するように構成される、請求項1又は2に記載の自動体外除細動器。
【請求項4】
前記接続モジュールは、Wifi及び/又はセルネットワークを使用して、前記遠隔処理装置とワイヤレス通信するように構成される、請求項1乃至3の何れか一項に記載の自動体外除細動器。
【請求項5】
前記セルネットワークは、3G、4G、5G或いはNBIoTである、請求項4に記載の自動体外除細動器。
【請求項6】
遠隔サーバ、及び1つ以上の請求項1に記載の自動体外式除細動器(AED)を有する除細動器システムであって、
前記遠隔サーバは、
前記1つ以上のAEDの各々から、心電図(ECG)測定値を受信し、
前記ECG測定値の第1の分類を夫々の前記AEDに送信する
ように構成される接続ユニット、
ショックアドバイスアルゴリズム(SAA)を記憶するように構成されるメモリ、並びに
前記SAAを使用して、少なくともショック適応分類及びショック非適応分類を有するリストから選択される、前記ECG測定値の前記第1の分類を決定するように構成される処理ハードウェア
を有する、除細動器システム。
【請求項7】
前記遠隔サーバに記憶される前記SAAは、訓練入力及び既知の出力のアレイを受信するように構成される訓練アルゴリズムを使用して訓練されるニューラルネットワークを有し、前記訓練入力は、訓練ECG測定値を有し、前記既知の出力は、前記訓練ECG測定値の分類を有し、前記ECG測定値の前記分類は、ショック適応分類又はショック非適応分類の何れかである、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記訓練ECG測定値は、前記1つ以上のAEDから受信されるECG測定値を有する、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
コンピュータプログラムが自動体外式除細動器(AED)のプロセッサ上で実行されると、
自動体外式除細動器(AED)が、心臓の心電図(ECG)測定値を収集するステップ、
前記AEDが、少なくともショック適応分類及びショック非適応分類を有する第2のリストから選択される、前記ECG測定値の第2の分類を決定するステップ、
前記AEDが、前記ECG測定値を遠隔処理装置に送信するステップ、
前記AEDが、前記遠隔処理装置から、少なくともショック適応分類及びショック非適応分類を有するリストから選択される、前記ECG測定値の第1の分類を受信するステップ、並びに
前記AEDにおいて、前記ECG測定値の前記第1の分類及び前記第2の分類の1つ以上がショック適応分類である場合、除細動ショックが必要であると決定するステップ
を実施するように適応するコンピュータプログラムコード手段を有するコンピュータプログラムであって、
前記ECG測定値の第2の分類がショック適応分類でないときにのみ、前記送信するステップ及び前記受信するステップが実施される、コンピュータプログラム。
【請求項10】
前記第2のリストは、不確定分類をさらに有し、
前記ECG測定値は、前記第2の分類が前記不確定分類及び前記ショック非適応分類の一方である場合にのみ、前記遠隔処理装置に送信される、請求項に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動体外式除細動器に関する。
【背景技術】
【0002】
自動体外式除細動器は、AEDとしても知られており、通例、電車の駅のような公共の場に見られる。自動体外式除細動器は、除細動を必要とするとき、又は必要としないときを合理的に知ることが期待できない、訓練を受けていない一般の人々によって使用されることを目的としている。実際に必要とされるときにのみ被験者が除細動されることを確実にするのを助けるために、AEDは、典型的には、被験者の心臓を測定するための心電図(ECG)センサ、及びECG測定値を分析し、除細動ショックを必要とするかどうかを決定するためのオンボードハードウェアを含む。
【0003】
ECG測定値の分析は、典型的には、ショックアドバイスアルゴリズム(SAA)を使用して実行される。それらの精度を改善するために、SAAは、経時的にますます複雑になり、リソース集約的になっている。AEDは、通常、限られた量の電力しか供給することができないバッテリ給電式の装置であり、その大部分は除細動のために使用される。この限られた電気供給のために、AEDにおける計算チップは、通常、小電力供給で動作することができる低電力チップである。しかしながら、これらの低電力チップも計算リソースが限られている。AEDに内蔵されるコンピュータチップは、任意の数学演算を行い、従って、仮定として新しいSAAを使用するように再プログラムすることができるが、それらは、(例えば、ディープニューラルネットワークに基づくもののような)高度なSAAを使用してECG測定値を分析するのに必要な性能を欠いている。
【0004】
EP3204881A1は、医療前兆イベント推定のためのシステム及び方法を開示し、被験者の生理学的情報第1の組、及び第2の時間期間中に受信される被験者の生理学的情報の第2の組を取得するステップ、1つ以上の機械学習分類器モデルに生理学的情報の第1及び第2の組を適用することに基づいて、被験者の潜在的な心臓不整脈イベントのリスクを推定することに関連する第1及び第2のリスクスコアを計算するステップ、前記潜在的な心臓不整脈イベントに関連する少なくとも第1及び第2のリスクスコアを時間で変化する一連のリスクスコアとして提供するステップ、並びに1つ以上のしきい値に基づいて、前記被験者の潜在的な心臓不整脈イベントのリスクを推定することに関連する第1及び第2のリスクスコアを分類するステップを有する動作を行うための1つ以上のプロセッサを含む。
【0005】
US2021121090A1は、少なくとも1つのニューラルネットワークを含む訓練された分類器を用いて不整脈を監視するためのシステム、装置及び方法を開示する。幾つかの実施形態において、外部の心臓監視装置は、体表面ECG活動を検知するための複数のECG電極、少なくとも1つのECG信号を提供するために前記体表面ECG活動を処理するためのECG処理回路、少なくとも1つのニューラルネットワークを有するリズム変化分類器を有する非一時的なコンピュータ可読媒体、並びにECG信号を受信し、前記リズム変化分類器を用いて、このECG信号における所定のリズム変化に対応する時間データを検出し、検出された時間データに基づいて、所定のリズム変化に対応する少なくとも1つのECG信号部分を決定し、及び前記少なくとも1つの決定されたECG信号部分を遠隔コンピュータシステムに送信するための少なくとも1つのプロセッサを含む。
【0006】
US2020085333A1は、畳み込みニューラルネットワークベースのショック可能な心拍リズム分類器を様々開示している。ニューラルネットワークは、心電図セグメントを入力として受信し、受信される心電図セグメントが除細動ショックによる治療に適した心拍リズムを表しているかどうかを示す出力を生成するように構成される。好ましくは、受信される心電図セグメントは、畳み込みニューラルネットワークによって受信される前に変換又は処理されず、その心電図の特徴は、畳み込みニューラルネットワークに対して識別されない。幾つかの実施形態において、受信される心電図セグメントは、畳み込みニューラルネットワークへの唯一の入力である。記載される分類器は、除細動器での使用によく適している。
【0007】
US20180154163A1は、メモリに結合されるプロセッサを有する第1のコンピュータ装置を含むシステムを開示している。プロセッサ及びメモリは、(i)第1のコンピュータ装置を使用する第1の介護者による被害者の治療を示す情報、及び(ii)被害者の健康状態を示す情報の少なくとも1つを受信し、第1のコンピュータ装置を使用する第1の介護者による被害者の治療が完了したと決定し、受信した情報を第2のコンピュータ装置に送信するように構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、ECG測定値を迅速に及び効率的に分析するために、高度なSAAを活用することができるAEDが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、請求項により規定される。
【0010】
本発明の一態様に従う例によれば、
除細動ショックを施すように構成される除細動モジュール、
心臓の心電図(ECG)測定を行うように構成されるセンサ、
ECG測定値を送信し、このECG測定値の第1の分類を受信するために遠隔処理装置と通信するように構成された接続モジュール、及び
プロセッサ
であり、前記プロセッサは、
ローカルのショックアドバイスアルゴリズム(SAA)を使用して、少なくともショック適応(shockable)分類及びショック非適応(non-shockable)分類を含む第2のリストから選択される、ECG測定値の第2の分類を決定し、並びに
前記ECG測定値の第1の分類及び第2の分類の少なくとも1つがショック適応分類である場合、
除細動モジュールに除細動ショックを施させる、又は
除細動ショックを施すようユーザに助言する
の何れかを行うように構成される、プロセッサ
を有する自動体外式除細動器が提供される。
【0011】
AEDは、被験者の心臓のECG測定を行い、ECG測定値を遠隔処理装置に送信する。その後、AEDは、遠隔処理装置から、ECG測定値の第1の分類を受信する。ECG測定値がショック適応と分類される場合、AEDは、除細動ショックを施す、又は除細動ショックを施すようユーザに助言する。
【0012】
第2の分類は、第1の分類の前又は第1の分類の後に取得することができる。
【0013】
本発明は、ECG測定値の分類をAEDから分離する。感度及び特異性を改善するために、(ショックアドバイスアルゴリズム(SAA)として知られる)ECG測定値を分類するために使用されるアルゴリズムは、ますます複雑になり、評価するためにより多くの計算能力を必要とする。AEDに見られるハードウェアを使用して高度なSAAを実施することは、多くの理由から困難である。通例、AEDは、AEDが提供することができる限られたバッテリ電力から動作することができるコンピュータチップを用いて構築される。これらのAEDは、(例えばニューラルネットワークを利用するもののような)より新しいSAAを使用するように理論的には再プログラムすることができるが、それらは、前記新しいSAAの計算要件が増大することによって、この新しいSAAを利用することに苦労する。ニューラルネットワークを評価することは、通例、例えばGPU又はASICのような高性能のコンピュータチップを必要とするが、これらのチップは、AEDのバッテリが提供できるよりも多くの電力を必要とする。
【0014】
本願の発明者は、ECG測定値を遠隔処理装置、例えばクラウドサーバに送信するAEDに接続されるモノのインターネットを作成することによって、現在のAEDの欠点を克服できることに気が付いた。AEDのハードウェアのみに依存せずに、ECG測定値を分類するためにクラウドサーバを利用することによって、AEDの制約は、最新のSAAが使用されることをもはや防ぐことができない。より良好なSAAを使用してECG測定値を分類することによって、AEDは、除細動を必要とする被験者と必要としない被験者とをより良好に区別することができる。複数のAEDからのECG測定値を分類するために、単一の遠隔処理装置を使用することができる。新しいSAAを使用するために、何らかのハードウェアのアップグレードが必要とされる場合、多くの地理的に分散したAEDのハードウェアをアップグレードする必要がなく、少数の遠隔処理装置をアップグレードすることができる。
【0015】
より新しいSAAは、ECG測定値の分類においてより正確であるが、AEDのハードウェア上で実行されるあまり高度ではないSAAを使用して、AEDがECG測定値を単独で分類することができることは、依然として有用である。被験者が心室細動に見舞われるとき、被験者が生存する可能性を最大にするために、除細動ショックをできるだけ迅速に施すことが重要である。除細動ショックを送出するのに要する時間を増大させる如何なるネットワーク遅延も人が生存する可能性を減少させる。従って、AEDが、必要なときに除細動ショックを迅速に送出することができるように、遠隔処理装置とは無関係にECG信号を処理することができることが重要である。
【0016】
前記第2のリストは、不確定(uncertain)分類を含むこともできる。AEDがECG測定値をショック非適応(又は任意選択的に不確定)として分類するとき、遠隔処理装置によって行われる分類の優れた感度及び特異性を使用して、AEDの分類を確認又は却下することができる。遠隔処理装置のECG測定値の分類が、ショック適応である場合、AEDは、AEDのECGの不確定又はショック非適応分類にかかわらず、除細動ショックを施す(又は除細動ショックを施すようユーザに指示する)。その結果、除細動を必要とする患者が、AEDの制約によって除細動を受けることができないことが少なくなる。
【0017】
AEDの接続モジュールは、AEDがECG測定値の第2の分類を決定する前に、ECG測定値を遠隔処理装置に送信することができる。
【0018】
これは、AEDがECG測定を行ってから、遠隔処理装置のECG測定値の分類を受信するまでの時間を最小限にすることができる。これは、遠隔処理装置がECG測定値をショック適応と分類する場合、AEDによって行われる分類の後にECGの送信が行われる場合よりも迅速に除細動が施されるので、AEDがECG測定値をショック非適応又は不確定と分類する場合に特に有用である。
【0019】
接続モジュールは、代わりに、ECG測定値の第2の分類が不確定分類である場合にのみ、ECG測定値をサーバに送信してもよい。従って、このとき第2の分類が最初に取得される。
【0020】
これは、AEDがECG測定を行ってから、ECG測定値を分類するまでの時間量を最小限にする。これは、AEDが、ECG測定値を遠隔処理装置に送信し、ECGの第1の分類を受信するのを待つよりも、ECG測定値をローカルで分析する方が速くなり得るので、AEDがECG測定値をショック適応と分類する場合に特に有用である。第2の分類がショック適応である場合、第1の分類を待っていた場合よりも迅速にAEDが除細動ショックを施すことができる。さらに、AEDがECG測定値を不確定と分類するときにのみ、ECGを遠隔処理装置に送信することによって、遠隔処理装置の計算リソースは、AEDが既にショック適応と決定し、除細動が施される又は指示されることになるECG測定値を分類することによって浪費されない。ECGの第1の分類は、第2の分類よりも正確であるが、第2の分類がショック適応である殆どの場合、第1の分類もショック適応である。同様に、第2の分類がショック非適応である殆どの場合、第1の分類もショック非適応である。
【0021】
接続モジュールは、ECG測定値の第2の分類がショック非適応である場合、及び任意選択で、第2の分類が不確定である場合でも、ECG測定値を遠隔処理装置に送信することができる。
【0022】
AEDがECGを不確定として分類するときにECG測定値を遠隔処理装置に送信することの利点に加えて、AEDがECGをショック非適応として分類するときにECG測定値を送信することは、遠隔処理装置がAEDのECG測定値の分類を確認又は却下することを可能にする。これは、ショック適応な心拍リズムを持つが、本発明がなければ、AEDがECG測定値を正確に分類することができないために除細動ショックを受けない被験者の数を減らすことができる。AEDは、ECG測定値をショック適応又はショック非適応としてのみ分類することができ、不確定分類を含まないことがある。
【0023】
接続モジュールは、ECG測定値を送信し、第1の分類を受信するために、遠隔処理装置とワイヤレス通信する。これは、Wifi及び/又は例えば3G、4G、5G及び/又はNBIoTのようなセルネットワークを使用して達成される。1つのネットワークが利用できない場合に別のネットワークをバックアップとして使用できるように、接続モジュールがこれらのネットワークの2つ以上又は全てを使用できることは有益である。
【0024】
本発明の一態様に従う例によれば、
1つ以上の自動体外式除細動器(AED)の各々から、心電図(ECG)測定値を受信し、
ECG測定値の第1の分類を夫々のAEDに送信する
ように構成された接続ユニット、
ショックアドバイスアルゴリズム(SAA)の定義を記憶するように構成されるメモリ、並びに
SAAを使用して、ECG測定値の第1の分類を決定するように構成される処理ハードウェアであり、前記第1の分類は、少なくともショック適応分類及びショック非適応分類を有するリストから選択される、処理ハードウェア
を有するサーバも提供される。
【0025】
前記サーバは、AEDに接続される1つ以上のモノのインターネットの各々からECG測定値を受信し、ECG測定値の各々を分類し、及び分類を夫々のAEDに送信する。ECG測定値を分類するためにサーバを使用することは、AEDに見られるハードウェアを制限するサイズ、電力及びコストの制約が専用サーバに適用されないため、より強力なハードウェアを使用することが可能になる。
【0026】
SAAは、訓練入力及び既知の出力のアレイを受信するように構成される訓練アルゴリズムを使用して訓練されるニューラルネットワークを有する。訓練入力は、訓練ECG測定値を含むことができ、既知の出力は、訓練ECG測定値の分類を含むことができる。ECG測定値の分類は、ショック適応分類又はショック非適応分類の何れかである。
【0027】
ニューラルネットワークを有するSAAは、ECG測定値を分類するのに特に有効である。
【0028】
訓練ECG測定値は、1つ以上のAEDから受信されるECG測定値を含むことができる。
【0029】
以前に受信したECG測定値を使用することは、増え続ける訓練データセットを使用して新たなニューラルネットワークが訓練されることを可能にして、この新たなニューラルネットワークの精度を改善する。新しいニューラルネットワークを使用して、サーバによって使用されるSAAをアップグレードすることができる。このようにして、サーバによって実行される分類を経時的に改善することができる。
【0030】
本発明の態様に従う例によれば、除細動ショックを施すべきかどうかを決定する方法も提供される。前記方法は、
自動体外式除細動器(AED)によって、心臓の心電図(ECG)測定値を収集するステップ、
自動体外式除細動器によって、前記ECG測定値を遠隔処理装置に送信するステップ、
自動体外式除細動器によって、前記遠隔処理装置から、少なくともショック適応分類及びショック非適応分類を含むリストから選択される、前記ECG測定値の第1の分類を受信するステップ、
自動体外式除細動器によって、前記ECG測定値を送信する前又は送信した後に、少なくともショック適応分類及びショック非適応分類を有する第2のリストから選択される、前記ECG測定値の第2の分類を決定するステップ、並びに
自動体外式除細動器において、前記ECG測定値の第1の分類及び第2の分類の1つ以上がショック適応分類である場合、除細動ショックが必要であると決定するステップ
を有する。
【0031】
前記方法は、AEDを使用して、被験者の心臓のECG測定を行い、ECG測定値を遠隔処理装置に送信する。AEDは、その後、遠隔処理装置からECG測定値の第1の分類を受信する。AEDは、ローカルのSAAを使用して、ECG測定値の第2の分類も決定する。この決定するステップは、AEDがECG測定値を遠隔処理装置に送信する前、送信と同時に又は送信した後に行うことができる。AEDは、第1及び第2の分類に基づいて、除細動ショックが必要かどうかを決定する。第1及び第2の分類の1つがショック適応分類である場合、AEDは、除細動ショックが必要であると決定する。AEDを使用して、ECG測定の第2の分類を決定し、ECG測定の第1及び第2の分類の1つ以上がショック適応である場合、ショックが必要であると決定することによって、AEDは、必要であれば、遠隔処理装置とは無関係に動作することができる。例えば、AEDが遠隔処理装置に接続することができない場合、AEDは、ECG測定値を分析し、除細動ショックが必要かどうかを決定することができる。
【0032】
前記方法は、
遠隔処理装置が、ECG測定値を受信するステップ、
遠隔処理装置が、ECG測定値の第1の分類を決定するステップ、及び
遠隔処理装置が、CG測定値の第1の分類をAEDに送信するステップ
をさらに有することができる。
【0033】
第2のリストは、不確定分類をさらに有することができる。
【0034】
ECG測定値は、AEDが第2の分類を決定する前に又は決定した後に、遠隔処理装置に送信されてもよい。
【0035】
AEDが第2の分類を決定する前に、ECG測定値が遠隔処理装置に送信される例において、前記方法は、ECG測定を行ってから第1の分類を受信するまでの時間を最小限にする。これは、第2の分類が不確定又はショック非適応であるが、第1の分類がショック適応である場合に特に有益である。第2の分類が除細動ショックを施させないが、第1の分類は除細動ショックを施させる場合、第1の分類がAEDによってできるだけ早く受信されることが重要である。これは、第1の分類が第2の分類よりも正確であり、除細動ショックを被験者に施すのが早いほど、被験者が生存する可能性が高くなるからである。
【0036】
代替として、ECG測定値は、AEDが第2の分類を決定した後に、遠隔処理装置に送信される。
【0037】
このようにして、前記方法は、ECG測定を行ってから第2の分類を決定するまでの時間を最小限にすることができる。これは、できる限り迅速に除細動ショックを施すことができるので、第2の分類がショック適応である場合に特に有益である。しばしば、第2の分類を決定することは、ECG測定値を遠隔処理装置に送信し、第1の分類を受信するのを待つことよりも迅速である。安全上の理由から、AEDは、第1の分類又は第2の分類の何れか一方がショック適応分類である場合、除細動ショックを施すように構成される。従って、第2の分類が第1の分類よりも迅速に計算され、この第2の分類がショック適応であることが分かった場合、第1の分類に関係なく除細動を施すべきであると決定され、従って、第1の分類の決定は、それほど急ぎの重要性はない。
【0038】
ECG測定値は、第2の分類がショック非適応分類である場合にのみ、遠隔処理装置に送信される。第2のリストが不確定分類も有する場合、ECG測定値は、第2の分類が不確定分類である又は不確定分類及びショック非適応分類の一方である場合にのみ、遠隔処理装置に送信されることができる。
【0039】
上述したように、第2の分類が第1の分類よりも迅速に決定されることができ、第2の分類がショック可能分類である場合、AEDは、第2の分類のみに基づいて除細動ショックが必要であると決定することができる。この時点において、第1の分類を計算することに直接的な価値は殆どない。むしろ、第1の分類の利点は、第2の分類が不確定分類又はショック非適応分類である場合に主にもたらされる。第2の分類が不確定分類又はショック非適応分類であるとき、ECG測定値を遠隔処理装置に送信することによって、ショック適応であるとの第2の分類が正しいことを単に確認することに関する(遠隔処理装置の計算リソース及びAEDのバッテリ寿命の両方に関して)リソースを無駄にすることなく、第1の分類の利点をもたらすことができる。
【0040】
遠隔処理装置による第1の分類の決定は、訓練されたニューラルネットワークに、AEDによって送信されるECG測定値を入力することを含む。このニューラルネットワークは、ECG測定値を分析し、このECG測定値の第1の分類を出力するように訓練されることができる。
【0041】
AEDにおいて、除細動ショックが必要であると決定することは、第1の分類がショック適応分類であるかどうかに基づき、AEDが第1の分類を受信するときに行われる第1の決定するステップ、及び第2の分類がショック適応分類であるかどうかに基づき、AEDが第2の分類を決定するときに行われる第2の決定するステップを有する。
【0042】
第1又は第2の決定するステップの一方が、除細動ショックが必要であると決定する場合、他方の決定するステップは行われなくてもよい。
【0043】
AEDが第1及び第2の分類を同時に取得する場合、第1の決定するステップは、第2の決定するステップの前に行われる。
【0044】
本発明の一態様に従う例によれば、コンピュータプログラムが自動体外式除細動器(AED)のプロセッサ及びサーバ上で実行されるとき、上に定義された方法を実施するように適応するコンピュータプログラムコード手段を有する前記コンピュータプログラムも提供される。
【0045】
本発明の一態様に従う例によれば、上に定義された自動体外式除細動器及びサーバを有する除細動器システムも提供される。
【0046】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、これを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本発明をより良く理解するため、及び本発明がどのように実施されるかをより明確に示すために、単なる例として、添付の図面が参照される。
図1図1に自動体外式除細動器の例を示す。
図2図2は、サーバの例を示す。
図3図3は、除細動器システムの例を示す。
図4図4は、例示的な方法を示すフロー図である。
図5A図5Aは、第2の例示的な方法を示すフロー図である。
図5B図5Bは、第3の例示的な方法を示すフロー図である。
図6図6は、第4の例示的な方法の一部を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明は、図面を参照して説明される。
【0049】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、例示のみを目的としたものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことを理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら並びに他の特徴、態様及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からより良く理解されるであろう。図面は単に概略的なものであり、一定の縮尺で描かれていないことを理解されたい。同じ又は類似の部分を示すために、図面全体にわたって同じ参照番号が使用されることも理解されたい。
【0050】
本発明は、自動体外式除細動器(AED)及びサーバを提供する。AEDは、心臓のECG測定を行い、測定値を遠隔処理装置、例えばサーバに送信し、当該サーバからECG測定値の第1の分類を受信する。AEDは、ECG測定の第2の分類を決定するために、ECG測定の局所分析も行う。AEDは、第1及び第2の分類に基づいて、ショックを施すかどうか/ユーザにショックを施すように指示するかどうかを決定する。
【0051】
図1を参照して、例示的なAEDを説明する。
【0052】
AED100は、除細動モジュール110、センサ120、接続モジュール130及びプロセッサ140を有する。除細動モジュール110は、除細動ショックを施すことができる。センサ120は、心臓の心電図(ECG)測定を行う。接続モジュール130は、遠隔処理装置(図1には図示せず)、例えばサーバと通信し、センサによって行われたECG測定値を遠隔処理装置に送信し、この遠隔処理装置からECG測定値の第1の分類を受信する。ECG測定値の第1の分類は、ショック適応分類又はショック非適応分類である。プロセッサ140は、ローカルのショックアドバイスアルゴリズム(SAA)を使用して、ECG測定の第2の分類を決定する。第2の分類は、ショック適応分類、不確定分類及びショック非適応分類を含むことができる。ECG測定値の第1の分類又は第2の分類の一方或いは両方がショック適応分類である場合、プロセッサ140は、除細動モジュール110に除細動ショックを施すようにさせるか、又は除細動モジュール110を使用して除細動ショックを施すようにユーザに指示する。
【0053】
AED100によって行われる分析は、遠隔処理装置によって行われる分析ほど高い感度又は特異度を持たないが、それでもなお、AED100がECG測定値を分類することができることは有用である。例えば、AED100が、ネットワーク障害又は(例えば、地上からの無線信号が遮断される地下鉄の駅のような)環境の何れかによって、遠隔処理装置に常時接続できることを保証することはできない。そのような状況において、精度が低くても、AED100が、除細動ショックを施すべきかどうかを依然として決定することができることが重要である。より一般的には、除細動ショックは、ショックが必要とされるとき、できるだけ早く投与されることが重要である。多くの場合、遠隔プロセッサよりもオンボードハードウェアを使用してECG測定値を分析する方がより迅速である。
【0054】
幾つかの例において、プロセッサ140は、最初に、除細動モジュール110にショックを施すかどうか/ユーザにショックを施すように指示するかどうかを決定する前に、第1及び第2の分類の両方を取得することができる。他の例において、プロセッサ140は、第1及び第2の分類が得られた時点で第1及び第2の分類の各々を個別に考慮することができる。例えば、第2の分類がショック非適応分類であり、第1の分類の前に決定される場合、プロセッサ140は、ショックを必要としないと決定する。次いで、第1の分類が後にプロセッサ140によって取得されると、この第1の分類に基づいて、除細動ショックが必要であるかどうかが再度決定される。プロセッサ140は、両方の分類がショック適応分類であっても、1つの除細動ショックのみが施されるように構成されることができる。
【0055】
幾つかの例において、接続モジュール130は、プロセッサ140がECG測定値の分類を決定する、又はECG測定値の分析を開始する前に、ECG測定値を遠隔処理装置に送信することができる。これは、ECG測定を行ってから、ECG測定値の第1の分類を受信するまでの時間を短縮する。これは、被験者が境界線上のショック適応の心拍リズムを持つ場合に特に有益である。AED100がECG測定値に対し行うことができる限定的な分析は、多くの場合、境界線上のリズムが実際にショック適応なリズムであるとき、これら境界線上のリズムをショック非適応又は不確定として分類する可能性がある。そのような境界線上の心拍リズムに対し、遠隔処理装置によって利用される高性能のSAAの優れた感度及び特異度が必要とされる。ECG測定を行ってから、遠隔処理装置から第1の分類を受信するまでの時間を最小限にすることによって、除細動を必要とするが、AED100によってショック非適応又は不確定な心拍リズムを持つと誤って分類された被験者が可能な限り迅速に除細動ショックを受けることができる。
【0056】
AED100が遠隔処理装置と高速接続している状況において、AED100がECG測定値の第2の分類を決定する前に、このECG測定値を遠隔処理装置に送信することも好ましい。高速接続では、第2の分類を決定するためにローカルプロセッサ140を使用してECG測定値を分析するよりも、ECG測定値を遠隔処理装置に送信し、この遠隔処理装置がECG測定値を分析し、その後、第1の分類をAED100に送信するのを待つことの方がより迅速に可能である。そのような場合、AED100は、第1の分類に依存することによって、除細動ショックが必要であるかどうかをより正確に及びより迅速に決定することができる。しかしながら、ECG測定値を分類するために遠隔処理装置のみに依存することは危険である。SAA又はコンピュータシステムは完璧ではなく、遠隔処理装置が、ショック適応な心拍リズムを、ショック非適応として誤って分類することもある。さらに、無線信号は、一貫性がなく、緊急時にAED100及び遠隔処理装置は接続が切れる可能性がある。そのような状況において、第2の分類を決定するために依然としてプロセッサ140を使用することによって、ローカルのSAAがECG測定値はショック適応であることを正確に識別することができ、除細動ショックを施すか、又はユーザに除細動ショックを施すように指示することができる。
【0057】
他の例において、プロセッサ140は、最初に、接続性モジュール130がECG測定値を遠隔処理装置に送信する前に、ECG測定値の分類を決定することができる。これは、ECG測定を行ってから、ECG測定値の第2の分類を決定するまでの時間を短縮することができる。これは、AED100が遠隔処理装置との接続が弱い或いは遅い接続である場合、又はECG測定値を遠隔処理装置に送信し、第1の分類を受信するのに要する時間よりも迅速に第2の分類を決定することができるほど、プロセッサ140が十分に強力である/十分に強力なハードウェアを含む場合に有用である。
【0058】
プロセッサ140が第2の分類を決定した後、AED100がECG測定値を遠隔処理装置に送信するように構成される幾つかの例において、AED100は、第2の分類がショック非適応分類である場合にのみ、ECG測定値を送信してもよい。代替的に、AED100は、第2の分類が不確定分類である、又は任意選択で不確定分類及びショック非適応分類の一方である場合にのみ、ECG測定値を送信してもよい。AED100は、第1及び第2の分類の1つがショック適応分類であるとき、除細動ショックを施すように構成されるので、プロセッサ140によって既にショック適応として分類されているECG測定値を遠隔処理装置に分析させることに対する直接的な医学的に有益な点はない。ECG測定値の第2の分類が不確定又はショック非適応であるときに、ECG測定値を遠隔処理装置に送信することによってのみ、AED100及び遠隔処理装置の両方のリソース(例えば電力及び計算時間)を節約することができ、これらは、遠隔処理装置の分析が直接的な医学的に有益な点を持つ状況である。
【0059】
遠隔処理送信は、サーバ、コンピュータ、携帯電話又はECG測定値を分類するために使用されることが可能な他の如何なる装置とすることができる。
【0060】
本発明の第2の態様は、例えば図2に示されるような、遠隔のECG分析を行うためのサーバを提供する。
【0061】
サーバ200は、接続ユニット210、メモリ220及び処理ハードウェアを有する。接続ユニット210は、AED100と通信して、AED100からECG測定値を受信する。メモリ220は、ECG測定値を分析するために処理ハードウェア230によって使用されるショックアドバイスアルゴリズム(SAA)を記憶する。処理ハードウェア230は、記憶されるSAAを使用してECG測定値の第1の分類を決定するように構成される。第1の分類は、少なくともショック適応分類及びショック非適応分類を含むリストから選択される。接続ユニット210は、第1の分類をAED100に送信する。
【0062】
除細動器システムにおけるAED100とサーバ200との間の通信の一例が図3に示される。接続ユニット210及び接続モジュール130は、直接的に通信しているとして示されているが、これらは、1つ以上の他の装置又は中間物を介して通信することができる。AED100の接続モジュール130及びサーバ200の接続ユニット210は、Wifi又は他の無線通信技術、例えば、3G、4G、5G或いはNBIoTのようなセルネットワークを使用して通信することができる。特に、5G通信は、AED100とサーバ200との間のデータの高速伝送を可能にし、ますます一般的になっているので、特に有用である。
【0063】
幾つかの例において、サーバ200は、複数のAED100に奉仕することができる。サーバ200は、複数のAED100の各々からECG測定値を受信することができる。サーバ200は、各々のECG測定値を分析して、前記ECG測定値の第1の分類を決定し、この第1の分類を夫々のAED100に送信することができる。言い換えると、サーバ200によって奉仕される各AED100に対し、サーバ200は、AED100からECG測定値を受信し、そのECG測定値に対する第1の分類を決定し、第1の分類をそのAED100に送信することができる。
【0064】
幾つかの例において、サーバ200は、ニューラルネットワークを含むSAAを使用することができる。ニューラルネットワークは、入力としてECG測定値を受信し、そのECG測定値の第1の分類を出力することができる。ニューラルネットワークは、正しい分類のラベルが付いた訓練ECG測定値を使用して訓練される。サーバ200が使用するSAAは、改善されるニューラルネットワークを用いて経時的にアップグレードされる。特に、サーバ200によって受信されるECG測定値は、新しいニューラルネットワークの訓練に使用される。好ましくは、サーバ200は、複数のAED100からECG測定値を受信することができ、新しいSAAを訓練するために利用可能なトレーニングデータの量を増加させる。接続ユニット210は、アップグレードされたSAAを受信するために使用することができ、メモリ220は、処理ハードウェア230によって使用するために、新しいアップグレードされたSAAを記憶することができる。
【0065】
サーバ200の処理ハードウェア230は、汎用の処理ハードウェア(例えば、CPU)、及び固定関数ハードウェア(例えば、ニューラルネットワークアクセラレータ)の一方又は両方を有することができる。SAAがニューラルネットワークを含む例において、処理時間を減らすために、固定関数ハードウェアを使用してニューラルネットワークを処理することが特に有用である。
【0066】
本発明の第3の態様は、例えば、図4を参照して説明したような方法を提供する。
【0067】
ステップ310において、AED100が、心臓のECG測定値を収集する。ステップ320において、AED100が、ECG測定値を遠隔処理装置、任意選択でサーバ200に送信する。ステップ330において、AED100が、遠隔処理装置からECG測定値の第1の分類を受信する。この第1の分類は、ショック適応分類又はショック非適応分類である。ステップ340において、AED100が、ECG測定の第2の分類を決定する。この第2の分類は、少なくともショック適応分類、不確定分類及びショック非適応分類を含む第2のリストから選択される。ステップ350において、AED100が、ECG測定値の第1及び第2の分類の1つ以上がショック適応分類である場合、除細動ショックが必要であると決定する。
【0068】
幾つかの例において、AED100は、AED100がECG測定値の第2の分類を決定340した後に、ECG測定値を遠隔処理装置に送信する(320)ことができる。図5Aは、ステップ320の前にステップ340が行われる1つのそのような方法301を示す。これに加えて、AED100は、AEDがECG測定値を遠隔処理装置に送信する(320)前に、第2の分類のみに基づいて、ショックが必要であるかどうかを決定する(351)ことができる。AED100は、第2の分類がショック非適応分類及び不確定分類の一方であるときにのみ、ECG測定値を送信する(320)ことができる。言い換えると、AED100は、第2の分類に基づいてショックが必要とされないと決定する(351)場合にのみ、ECG測定値を送信する(320)ことができる。この例において、AED100は、第1の分類に基づいて第2の決定ステップ350を行い、ショックが必要であるかどうかを決定する。
【0069】
例えば、図5Bに示される方法302のような他の例において、AEDは、ECGを遠隔処理装置に送信し(320)、ECGの第2の分類を決定し(340)、次いでECGの第1の分類を受信する(330)ことができる。言い換えると、AEDは、ステップ320、次いで340、次いで330を行うことができる。この方法は、ステップ330の前に、第2の分類に基づいて決定するステップを行うことをさらに含む。
【0070】
図6は、図4図5A及び図5Bに示され、上述したステップに加えて行われることができる追加の方法のステップを示す。幾つかの例において、この方法は、遠隔処理装置によってECG測定値を受信するステップ410、遠隔処理装置によって前記ECG測定値の第1の分類を決定するステップ420及び遠隔処理装置によって前記第1の分類をAED100に送信するステップ430をさらに含むことができる。決定するステップ420は、ニューラルネットワークを使用してECG測定値を分析するステップを有することができる。ECG測定値は、ニューラルネットワークへの入力として使用することができ、このニューラルネットワークは、ECG測定値の第1の分類を出力するように訓練されていてもよい。
【0071】
“不確定分類”SAAがショック適応又はショック非適応として分類することができないECG測定に対する分類である。多くの場合、これは、被験者の心拍リズムが境界線上のショック適応であり、AED100によって使用されるSAAが、それを適切に分類するのに十分な高度でないためである。
【0072】
上記の様々な例で参照される遠隔処理装置は、サーバ200でもよいし、又は例えばコンピュータ若しくはスマートフォンのような別の装置でもよい。
【0073】
開示される実施形態に対する変形例は、図面、本開示及び添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求された発明を実施する際に当業者によって理解され、実施されることができる。請求項において、“有する”と言う言葉は、他の要素又はステップを排除するものではなく、複数あることを述べなくても、それが複数あることを排除するものではない。
【0074】
単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に列挙される幾つかかの項目の機能を果たすことができる。
【0075】
特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。
【0076】
コンピュータプログラムは、例えば他のハードウェアと一緒に又は他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体のような適切な媒体上に記憶/配布されることができるが、例えばインターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システムを介して他の形態で配布されることもできる。
【0077】
“に適応する”と言う用語が請求項又は明細書に用いられる場合、この“に適応する”という用語は、“ように構成される”と言う用語と同様であることを意味する。
【0078】
請求項における如何なる参照符号も、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6