(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】蓄電デバイス
(51)【国際特許分類】
H01M 50/186 20210101AFI20241022BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20241022BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20241022BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20241022BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20241022BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20241022BHJP
H01M 50/124 20210101ALI20241022BHJP
H01M 50/131 20210101ALI20241022BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20241022BHJP
H01M 50/159 20210101ALI20241022BHJP
H01M 50/16 20210101ALI20241022BHJP
H01M 50/176 20210101ALI20241022BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20241022BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20241022BHJP
H01M 50/188 20210101ALI20241022BHJP
H01M 50/195 20210101ALI20241022BHJP
【FI】
H01M50/186
H01G11/78
H01M50/103
H01M50/105
H01M50/119
H01M50/121
H01M50/124
H01M50/131
H01M50/15
H01M50/159
H01M50/16
H01M50/176
H01M50/178
H01M50/184 A
H01M50/184 C
H01M50/188
H01M50/195
(21)【出願番号】P 2024534400
(86)(22)【出願日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 JP2023037082
(87)【国際公開番号】W WO2024080337
(87)【国際公開日】2024-04-18
【審査請求日】2024-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2022164368
(32)【優先日】2022-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 美帆
(72)【発明者】
【氏名】宮代 香衣
(72)【発明者】
【氏名】竹内 直也
(72)【発明者】
【氏名】瓜生 敏史
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 紘基
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-126646(JP,A)
【文献】特開2001-068074(JP,A)
【文献】特開2021-057232(JP,A)
【文献】特開2022-061268(JP,A)
【文献】特開2020-187855(JP,A)
【文献】特開2004-039358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/103
H01M 50/105
H01M 50/116 - 136
H01M 50/15
H01M 50/155 - 164
H01M 50/176
H01M 50/178
H01M 50/183 - 198
H01G 11/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体と、
前記電極体と接続される電極端子と、
前記電極体を封止する外装体と、を備える蓄電デバイスであって、
前記外装体は、フィルム状の外装部材によって構成されており、
前記外装体は、
前記外装部材が前記電極体を包んだ状態で接合された第1封止部と、
前記電極端子が取り付けられ、前記電極体の側方に配置される蓋体と、を備え、
前記蓋体の一部は、前記外装部材と接合され、
前記外装部材は、バリア層を含み、
前記蓄電デバイスは、前記バリア層よりも内側の少なくとも一部に配置される蓄電デバイス用樹脂フィルムを有し、
前記蓄電デバイス用樹脂フィルムは、吸水剤及びガス吸収剤の少なくとも一方を含み、前記蓋体と前記外装部材との間の少なくとも一部に配置さ
れ、かつ、前記外装部材の熱融着性樹脂層として用いられる
蓄電デバイス。
【請求項2】
電極体と、
前記電極体と接続される電極端子と、
前記電極体を封止する外装体と、を備える蓄電デバイスであって、
前記外装体は、フィルム状の外装部材によって構成されており、
前記外装体は、
前記外装部材が前記電極体を包んだ状態で接合された第1封止部と、
前記電極端子が取り付けられ、前記電極体の側方に配置される蓋体と、を備え、
前記蓋体の一部は、前記外装部材と接合され、
前記外装部材は、バリア層を含み、
前記蓄電デバイスは、前記バリア層よりも内側の少なくとも一部に配置される蓄電デバイス用樹脂フィルムを有し、
前記蓄電デバイス用樹脂フィルムは、吸水剤及びガス吸収剤の少なくとも一方を含み、前記蓋体と前記外装部材との間の少なくとも一部に配置され、かつ、前記外装部材と前記電極端子とを接合する端子用接着フィルムとして用いられる
蓄電デバイス。
【請求項3】
電極体と、
前記電極体と接続される電極端子と、
前記電極体を封止する外装体と、を備える蓄電デバイスであって、
前記外装体は、フィルム状の外装部材によって構成されており、
前記外装体は、
前記外装部材が前記電極体を包んだ状態で接合された第1封止部と、
前記電極端子が取り付けられ、前記電極体の側方に配置される蓋体と、を備え、
前記蓋体は、前記電極端子が貫通する孔を有し、
前記蓋体の一部は、前記外装部材と接合され、
前記外装部材は、バリア層を含み、
前記蓄電デバイスは、前記バリア層よりも内側の少なくとも一部に配置される蓄電デバイス用樹脂フィルムを有し、
前記蓄電デバイス用樹脂フィルムは、吸水剤及びガス吸収剤の少なくとも一方を含み、前記蓋体と前記外装部材との間の少なくとも一部に配置され、かつ、前記孔に配置される
蓄電デバイス。
【請求項4】
電極体と、
前記電極体と接続される電極端子と、
前記電極体を封止する外装体と、を備える蓄電デバイスであって、
前記外装体は、フィルム状の外装部材によって構成されており、
前記外装体は、
前記外装部材が前記電極体を包んだ状態で接合された第1封止部と、
前記電極端子が取り付けられ、前記電極体の側方に配置される蓋体と、を備え、
前記蓋体は、前記電極体と面する第1面、及び、前記第1面と反対側の第2面を含み、
前記蓋体の一部は、前記外装部材と接合され、
前記外装部材は、バリア層を含み、
前記蓄電デバイスは、前記バリア層よりも内側の少なくとも一部に配置される蓄電デバイス用樹脂フィルムを有し、
前記蓄電デバイス用樹脂フィルムは、吸水剤及びガス吸収剤の少なくとも一方を含み、前記蓋体と前記外装部材との間の少なくとも一部に配置され、かつ、前記蓋体の前記第2面の少なくとも一部に接合される
蓄電デバイス。
【請求項5】
前記蓋体を構成する材料は、樹脂材料及び金属材料の少なくとも一方を含む
請求項1
~4のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【請求項6】
前記蓄電デバイス用樹脂フィルムは、前記蓋体と前記電極体との間の少なくとも一部に配置される
請求項1
~4のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【請求項7】
前記蓄電デバイス用樹脂フィルムは、前記蓋体と前記電極端子との間の少なくとも一部に配置される
請求項1
~4のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々なタイプの蓄電デバイスが開発されているが、あらゆる蓄電デバイスにおいて、電極や電解質などの電極体を封止するために外装部材が不可欠な部材になっている。従来、蓄電デバイス用外装部材として金属製の外装部材が多用されていた。
【0003】
一方、近年、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、パソコン、カメラ、携帯電話などの高性能化に伴い、蓄電デバイスには、多様な形状が要求されると共に、薄型化や軽量化が求められている。しかしながら、従来多用されていた金属製の蓄電デバイス用外装部材では、形状の多様化に追従することが困難であり、しかも軽量化にも限界があるという欠点がある。
【0004】
そこで、従来、多様な形状に加工が容易で、薄型化や軽量化を実現し得る蓄電デバイス用外装部材として、基材層/バリア層/接着層/熱融着性樹脂層が順次積層されたフィルム状の積層体が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
このような蓄電デバイス用外装部材においては、一般的に、冷間成形により凹部が形成され、当該凹部によって形成された空間に電極や電解液などの電極体を配し、熱融着性樹脂層を熱融着させることにより、蓄電デバイス用外装部材の内部に電極体が収容された蓄電デバイスが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電極体の内部に水分が浸入すると、蓄電デバイスの性能が劣化することから、例えば外装部材として前述したフィルム状の積層体を用いる場合であれば、バリア層(例えば金属箔により構成される)が設けられている。バリア層を設けることにより、バリア層の外側からの水分の浸入は抑制することができる。
【0008】
しかし、外装部材の熱融着性樹脂層を熱融着させて電極体を封止した場合、熱融着性樹脂層の端面は外部に露出することから、熱融着性樹脂層の端面から水分が浸入する虞がある。
【0009】
また、外装部材で電極体を封止するまでに、外装部材の熱融着性樹脂層が吸水した場合、電極体を封止した後に熱融着性樹脂層中の水分が電極体に浸入する虞もある。
【0010】
また、蓄電デバイスが全固体電池である場合、水分と全固体電池を構成する要素に含まれる固体電解質とが接触した場合、固体電解質の種類によっては、硫化水素等のガスが発生するおそれがある。
【0011】
本発明は、電極体の内部への水分の侵入を抑制すること、及び、電極体から発生したガスを吸収できることの少なくとも一方を実現できる蓄電デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1観点に係る蓄電デバイスは、電極体と、前記電極体と接続される電極端子と、前記電極体を封止する外装体と、を備える。前記外装体は、フィルム状の外装部材によって構成されており、前記外装体は、前記外装部材が前記電極体を包んだ状態で接合された第1封止部を含む。前記外装部材は、バリア層を含む。前記蓄電デバイスは、前記バリア層よりも内側の少なくとも一部に配置される蓄電デバイス用樹脂フィルムを有する。前記蓄電デバイス用樹脂フィルムは、吸水剤及びガス吸収剤の少なくとも一方を含む。
【0013】
本発明の第2観点に係る蓄電デバイスは、第1観点に係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス用樹脂フィルムは、前記外装部材の熱融着性樹脂層として用いられる。
【0014】
本発明の第3観点に係る蓄電デバイスは、第1観点又は第2観点に係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス用樹脂フィルムは、前記外装部材と前記電極端子とを接合する端子用接着フィルムとして用いられる。
【0015】
本発明の第4観点に係る蓄電デバイスは、第1観点~第3観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記電極端子が取り付けられ、前記電極体の側方に配置される蓋体をさらに備え、前記蓋体の一部は、前記外装部材と接合される。
【0016】
本発明の第5観点に係る蓄電デバイスは、第4観点に係る蓄電デバイスであって、前記蓋体を構成する材料は、樹脂材料及び金属材料の少なくとも一方を含む。
【0017】
本発明の第6観点に係る蓄電デバイスは、第4観点又は第5観点に係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス用樹脂フィルムは、前記蓋体と前記電極体との間の少なくとも一部に配置される。
【0018】
本発明の第7観点に係る蓄電デバイスは、第4観点~第6観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス用樹脂フィルムは、前記蓋体と前記電極端子との間の少なくとも一部に配置される。
【0019】
本発明の第8観点に係る蓄電デバイスは、第4観点~第7観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記蓄電デバイス用樹脂フィルムは、前記蓋体と前記外装部材との間の少なくとも一部に配置される。
【0020】
本発明の第9観点に係る蓄電デバイスは、第4観点~第8観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記蓋体は、前記電極端子が貫通する孔を有し、前記蓄電デバイス用樹脂フィルムは、前記孔に配置される。
【0021】
本発明の第10観点に係る蓄電デバイスは、第4観点~第9観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記蓋体は、前記電極体と面する第1面、及び、前記第1面と反対側の第2面を含み、前記蓄電デバイス用樹脂フィルムは、前記蓋体の前記第2面の少なくとも一部に接合される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、電極体の内部への水分の侵入を抑制すること、及び、電極体から発生した硫化水素を吸収できることの少なくとも一方を実現できる蓄電デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】第1実施形態に従う蓄電デバイスを模式的に示す斜視図である。
【
図1B】
図1Aの外装部材の層構成の一例を示す断面図である。
【
図4】第1実施形態に従う蓄電デバイスの製造途中において、電極体に外装部材が巻き付けられた状態を側方から示す図である。
【
図5】第1実施形態に従う蓄電デバイスの製造途中において、電極体に外装部材が巻き付けられた状態を下方から示す図である。
【
図6】
図2のVI-VI断面の一部を模式的に示す図である。
【
図7A】第2封止部の形成方法を説明するための図である。
【
図7B】
図2のVI-VI線に沿う別の例を示す断面図。
【
図7C】
図2のVI-VI線に沿うさらに別の例を示す断面図。
【
図7D】
図2のVI-VI線に沿うさらに別の例を示す断面図。
【
図7E】
図2のVI-VI線に沿うさらに別の例を示す断面図。
【
図7F】第1実施形態の蓄電デバイスが備える蓄電デバイス用樹脂フィルムの層構成の一例を示す断面図。
【
図7G】第1実施形態の蓄電デバイスが備える蓄電デバイス用樹脂フィルムの層構成の別の一例を示す断面図。
【
図7H】第1実施形態の蓄電デバイスが備える蓄電デバイス用樹脂フィルムの層構成のさらに別の一例を示す断面図。
【
図8】第1実施形態に従う蓄電デバイスの製造手順を示すフローチャートである。
【
図9】第2実施形態に従う蓄電デバイスを模式的に示す平面図である。
【
図10】蓄電デバイスを模式的に示す側面図である。
【
図12】蓋体と電極端子とが一体的に形成された第1の例を示す図である。
【
図13】蓋体と電極端子とが一体的に形成された第2の例を示す図である。
【
図14】第2実施形態に従う蓄電デバイスの製造手順を示すフローチャートである。
【
図15】第2実施形態に従う蓄電デバイスの別の製造手順を示すフローチャートである。
【
図16】第3実施形態において、電極体に外装部材が巻き付けられた状態を側方から示す図である。
【
図17】第3実施形態において、電極体に外装部材が巻き付けられ、外装部材に蓋体が取り付けられた状態を下方から示す図である。
【
図18】第3実施形態に従う蓄電デバイスの製造手順を示すフローチャートである。
【
図19】第4実施形態に従う蓄電デバイスを模式的に示す平面図である。
【
図20】第4実施形態に従う蓄電デバイスを模式的に示す側面図である。
【
図21】変形例において、電極体に外装部材が巻き付けられた状態を側方から示す図である。
【
図22】変形例の蓄電デバイスを模式的に示す斜視図である。
【
図23】変形例の蓋体及び蓋体に取り付けられる電極端子を模式的に示す斜視図である。
【
図24】変形例の蓄電デバイスの製造方法の挿入ステップを示す図である。
【
図25】変形例の蓋体及び蓋体に取り付けられる電極端子を模式的に示す斜視図である。
【
図26】
図23の蓋体が取り付けられた蓄電デバイスを模式的に示す斜視図である。
【
図27】別の変形例の蓋体を模式的に示す正面図である。
【
図28】さらに別の変形例の蓋体を模式的に示す正面図である。
【
図29A】第2実施形態の蓄電デバイスにおける蓄電デバイス用樹脂フィルムの配置例を示す断面図。
【
図29B】
図29Aの蓄電デバイスにおける蓄電デバイス用樹脂フィルムの別の配置例を示す断面図。
【
図29C】
図29Aの蓄電デバイスにおける蓄電デバイス用樹脂フィルムのさらに別の配置例を示す断面図。
【
図30】別の変形例の蓄電デバイスを模式的に示す平面図である。
【
図31】別の変形例の蓄電デバイスの製造途中において、電極体に外装部材が巻き付けられた状態を側方から示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、本実施形態において、「~」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2~15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。本実施形態に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、別個に記載された、上限値と上限値、上限値と下限値、又は、下限値と下限値を組み合わせて、それぞれ、数値範囲としてもよい。
【0025】
[1.第1実施形態]
<1-1.蓄電デバイスの構成>
図1Aは、第1実施形態に従う蓄電デバイス10を模式的に示す斜視図である。
図2は、蓄電デバイス10を模式的に示す平面図である。
図3は、蓄電デバイス10を模式的に示す側面図である。なお、
図2及び
図3の各々において、矢印UD方向は蓄電デバイス10の厚み方向を示し、矢印LR方向は蓄電デバイス10の幅方向を示す。また、矢印FB方向は、蓄電デバイス10の奥行方向を示す。矢印UDLRFBの各々が示す方向は、以後の各図においても共通である。
【0026】
図1A、
図1B、
図2及び
図3を参照して、蓄電デバイス10は、電極体200と、外装体100と、複数(2つ)の電極端子300とを含んでいる。電極体200は、リチウムイオン電池、キャパシタ又は全固体電池等の蓄電部材を構成する電極(正極及び負極)及びセパレータ等を含む。電極体200の形状は、略直方体である。なお、「略直方体」は、完全な直方体の他に、例えば、外面の一部の形状を修正することによって直方体とみなせるような立体を含む意味である。
【0027】
電極端子300は、電極体200における電力の入出力に用いられる金属端子である。電極端子300の一方の端部は電極体200に含まれる電極(正極又は負極)に電気的に接続されており、他方の端部は外装体100の端縁から外側に突出している。
【0028】
電極端子300を構成する金属材料は、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅等である。例えば、電極体200がリチウムイオン電池である場合、正極に接続される電極端子300は、通常、アルミニウム等によって構成され、負極に接続される電極端子300は、通常、銅、ニッケル等によって構成される。
【0029】
外装体100は、フィルム状の外装部材101(
図4等)で構成されており、電極体200を封止する。蓄電デバイス10においては、外装部材101を電極体200に巻き付け、開放部分を封止することによって、外装体100が形成されている。
【0030】
例えば、冷間成形を通じて外装部材101に電極体200を収容する収容部(窪み)を形成する方法がある。しかしながら、このような方法によって深い収容部を形成することは必ずしも容易ではない。冷間成形によって収納部(窪み)を深く(例えば成形深さ15mm)形成しようとすると外装部材にピンホールやクラックが発生し電池性能の低下を招く可能性が高くなる。一方、外装体100は、外装部材101を電極体200に巻き付けることによって電極体200を封止しているため、電極体200の厚みに拘わらず容易に電極体200を封止することができる。なお、蓄電デバイス10の体積エネルギー密度を向上させるべく電極体200と外装部材101との間のデッドスペースを削減するためには、外装部材101が電極体200の外表面に接するように巻き付けられた状態が好ましい。また、全固体電池においては、電池性能を発揮させるために高い圧力を電池外面から均一に掛けることが必要とされている観点からも電極体200と外装部材101との間の空間を無くすことが必要とされるため、外装部材101が電極体200の外表面に接するように巻き付けられた状態が好ましい。
【0031】
図1Bは、外装部材101の層構成の一例を示す断面図である。外装部材101は、例えば、基材層101A、バリア層101B及び熱融着性樹脂層101Cをこの順に有する積層体101Z(ラミネートフィルム)である。なお、外装部材101には、これらの層がすべて含まれている必要はなく、例えば、基材層101Aが含まれていなくてもよい。なお、外装部材101は、ヒートシール可能であることが好ましい。
【0032】
外装部材101に含まれる基材層101Aは、耐熱性を外装部材101に付与し、加工又は流通の際に起こり得るピンホールの発生を抑制するための層である。基材層101Aは、例えば、延伸ポリエステル樹脂層及び延伸ポリアミド樹脂層の少なくとも一層を含んで構成される。例えば、基材層101Aが延伸ポリエステル樹脂層及び延伸ポリアミド樹脂層の少なくとも一層を含むことにより、外装部材101の加工時にバリア層101Bを保護し、外装部材101の破断を抑制することができる。また、外装部材101の引張伸びを大きくする観点から、延伸ポリエステル樹脂層は二軸延伸ポリエステル樹脂層であることが好ましく、延伸ポリアミド樹脂層は二軸延伸ポリアミド樹脂層であることが好ましい。さらに、突刺強度又は衝撃強度に優れる点から、延伸ポリエステル樹脂層は二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムであることがより好ましく、延伸ポリアミド樹脂層は二軸延伸ナイロン(ONy)フィルムであることがより好ましい。なお、基材層101Aは、延伸ポリエステル樹脂層及び延伸ポリアミド樹脂層の両層を含んで構成されていてもよい。基材層101Aの厚さは、フィルム強度の点から、例えば5~300μmであることが好ましく、20~150μmであることがより好ましい。
【0033】
また、外装部材101に含まれるバリア層101Bは、防湿性、延展性等の加工性及びコストの面から、例えば金属箔から構成される。金属箔としては具体的にアルミニウム、鋼板、または、ステンレス鋼などを用いることができる。また、金属箔は、電極体200を包装する際の包装適性及び耐ピンホール性の観点から、鉄を含むことが好ましい。金属箔中の鉄の含有量としては、0.5~5.0質量%であることが好ましく、0.7~2.0質量%であることがより好ましい。鉄の含有量が0.5質量%以上であることにより、外装部材101の包装適性、優れた耐ピンホール性及び延展性が得られる。また、鉄の含有量が5.0質量%以下であることにより、外装部材101の優れた柔軟性が得られる。
【0034】
バリア層101Bの厚さは、バリア性、耐ピンホール性及び包装適性の点から、例えば15~100μmであることが好ましく、30~80μmであることがより好ましい。バリア層101Bの厚さが15μm以上であることによって、包装加工により応力がかかっても外装部材101が破断しにくくなる。バリア層101Bの厚さが100μm以下であることにより、外装部材101の質量増加を低減でき、蓄電デバイス10の重量エネルギー密度低下を抑制することができる。
【0035】
また、バリア層101Bが金属箔の場合は、溶解や腐食の防止などのために、少なくとも基材層101Aと反対側の面に耐腐食性皮膜を備えていることが好ましい。バリア層101Bは、耐腐食性皮膜を両面に備えていてもよい。ここで、耐腐食性皮膜とは、例えば、ベーマイト処理などの熱水変成処理、化成処理、陽極酸化処理、ニッケルやクロムなどのメッキ処理、コーティング剤を塗工する腐食防止処理をバリア層101Bの表面に行ない、バリア層101Bに耐腐食性(例えば耐酸性、耐アルカリ性など)を備えさせる薄膜をいう。耐腐食性皮膜は、具体的には、バリア層101Bの耐酸性を向上させる皮膜(耐酸性皮膜)、バリア層101Bの耐アルカリ性を向上させる皮膜(耐アルカリ性皮膜)などを意味している。耐腐食性皮膜を形成する処理としては、1種類を行なってもよいし、2種類以上を組み合わせて行なってもよい。また、1層だけではなく多層化することもできる。さらに、これらの処理のうち、熱水変成処理及び陽極酸化処理は、処理剤によって金属箔表面を溶解させ、耐腐食性に優れる金属化合物を形成させる処理である。なお、これらの処理は、化成処理の定義に包含される場合もある。また、バリア層101Bが耐腐食性皮膜を備えている場合、耐腐食性皮膜を含めてバリア層101Bとする。
【0036】
耐腐食性皮膜は、外装部材101の成形時において、バリア層101B(例えば、アルミニウム合金箔)と基材層101Aとの間のデラミネーション防止、電解質と水分とによる反応で生成するフッ化水素により、バリア層101B表面の溶解、腐食、特にバリア層101Bがアルミニウム合金箔である場合にバリア層101B表面に存在する酸化アルミニウムが溶解、腐食することを防止する。耐腐食性皮膜は、さらに、バリア層101B表面の接着性(濡れ性)を向上させ、ヒートシール時の基材層101Aとバリア層101Bとのデラミネーション防止、外装部材101の成形時の基材層101Aとバリア層101Bとのデラミネーション防止の効果を示す。
【0037】
また、外装部材101に含まれる熱融着性樹脂層101Cは、外装部材101にヒートシールによる封止性を付与する層である。熱融着性樹脂層101Cとしては、ポリオレフィン系樹脂又はポリオレフィン系樹脂を無水マレイン酸等の酸でグラフト変性させた酸変性ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂フィルムが挙げられる。熱融着性樹脂層101Cの厚さは、シール性及び強度の点から、例えば20~300μmであることが好ましく、40~150μmであることがより好ましい。
【0038】
熱融着性樹脂層101Cが硬すぎる場合、ロール原反、又は、外装部材101を装置によって外装体100に製袋する際に、装置との接点で滑り、好適に搬送できないおそれがある。また、その摩擦によって外装部材101にキズが発生した場合、熱融着性樹脂層101Cにダメージが生じる。熱融着性樹脂層101Cにダメージが生じることで熱シール強度が低下する場合もあるため、熱癒着性樹脂層は、適度に滑る性質を有することが好ましい。このため、熱融着性樹脂層101Cを構成する材料として、滑らない材料、又は、滑りにくい材料を用いる場合には、搬送性の観点から、滑剤を添加する事が好ましい。
【0039】
さらには、耐汚染防止性及び加工性の観点から、熱融着性樹脂層101Cは、JIS K7161:2014の規定に準拠して測定される引張弾性率が、500MPa以上1000MPa以下の範囲に含まれることが好ましい。熱融着性樹脂層101Cの引張弾性率のより好ましい範囲としては、500MPa以上800MPa以下、さらに好ましい範囲としては、500MPa以上750MPa以下、さらに好ましい範囲としては、500MPa以上700MPa以下、さらに好ましい範囲としては、510MPa以上700MPa以下が挙げられる。
【0040】
熱融着性樹脂層101Cの引張弾性率が500MPa以上であることにより、外装体100の成形時、及び、搬送時の装置の汚染が効果的に抑制される。すなわち、熱融着性樹脂層101Cの引張弾性率が500MPa以上であることにより、熱融着性樹脂層101Cの表面に位置する滑剤が装置等によって削られにくいため、熱融着性樹脂層101Cの表面部分に位置する滑剤が装置等に転移しにくく、装置等の汚染が効果的に抑制される。また、熱融着性樹脂層101Cの引張弾性率が1000MPa以下であることにより、熱融着によって高いシール強度が発揮される。すなわち、熱融着性樹脂層101Cの引張弾性率が1000MPa以下であることにより、熱融着性樹脂層101Cが脆くなりにくくなるため、熱融着によって高いシール強度が発揮される。熱融着性樹脂層101Cの引張弾性率が1000MPaを超えると、熱融着性樹脂層101Cが脆くなりやすく、接着層を介して積層するバリア層101Bとの間で剥離しやすくなりシール強度が低下したり、外装体100の成形時の折り部での延伸により延伸部分に白化やクラックが発生し電池性能が低下するおそれがある。また、熱融着性樹脂層101Cの引張弾性率が1000MPaを超えると押出性が低下するため、生産性が低下する要因となる。従って、本実施形態の蓄電デバイス10の外装部材101においては、熱融着性樹脂層101Cの引張弾性率が、500~1000MPaの範囲とすることによって、装置等の汚染抑制効果と熱融着によるシール強度の向上効果が好適に発揮される。なお、熱融着性樹脂層101Cは、熱融着性樹脂層101Cを構成する樹脂の分子量、メルトマスフローレート(MFR)等を調整することにより、引張弾性率を調整することができる。
【0041】
また、外装体100の製袋時におけるピローシールするためのシール部同士のつき合わせ作業、折り曲げ作業などを加工と呼ぶ場合、その加工時に上記同様の課題が発生する。特に加工時には、外装部材101に傷がつきやすいため、上記課題解決が重要となる。熱融着性樹脂層101Cの引張弾性率が、500MPa以上1000MPa以下の範囲とすることで、良好に加工できる。
【0042】
外装部材101は、熱融着性樹脂層101Cよりも外側(
図1Bにおける上側)に、より好ましくは、バリア層101Bよりも外側に1又は複数の緩衝機能を有する層(以下では、「緩衝層」という)を有していることが好ましい。緩衝層は、基材層101Aの外側に積層されてもよく、基材層101Aが緩衝層の機能を兼ね備えてもよい。外装部材101が複数の緩衝層を有する場合、複数の緩衝層は、隣接していてもよく、基材層101A又はバリア層101B等を介して積層されてもよい。
【0043】
緩衝層を構成する材料は、クッション性を有する材料から任意に選択可能である。クッション性を有する材料は、例えば、ゴム、不織布、又は、発泡シートである。ゴムは、例えば、天然ゴム、フッ素ゴム、又は、シリコンゴムである。ゴム硬度は、20~90程度であることが好ましい。不織布を構成する材料は、耐熱性に優れる材料であることが好ましい。緩衝層が不織布によって構成される場合、緩衝層の厚さの下限値は、好ましくは、100μm、さらに好ましくは、200μm、さらに好ましくは、1000μmである。緩衝層が不織布によって構成される場合、緩衝層の厚さの上限値は、好ましくは、5000μm、さらに好ましくは、3000μmである。緩衝層の厚さの好ましい範囲は、100μm~5000μm、100μm~3000μm、200μm~5000μm、200μm~3000μm、1000μm~5000μm、又は、1000μm~3000μmである。この中でも、緩衝層の厚さの範囲は、1000μm~3000μmが最も好ましい。
【0044】
緩衝層がゴムによって構成される場合、緩衝層の厚さの下限値は、好ましくは、0.5mmである。緩衝層がゴムによって構成される場合、緩衝層の厚さの上限値は、好ましくは、10mm、さらに好ましくは、5mm、さらに好ましくは、2mmである。緩衝層がゴムによって構成される場合、緩衝層の厚さの好ましい範囲は、0.5mm~10mm、0.5mm~5mm、又は、0.5mm~2mmである。
【0045】
外装部材101が緩衝層を有する場合、緩衝層がクッションとして機能するため、蓄電デバイス10が落下したときの衝撃、又は、蓄電デバイス10の製造時のハンドリングによって、外装部材101が破損することが抑制される。
【0046】
本実施形態の外装体100では深い収容部を成形できることから、電極体200の重量が増大し、衝撃等による外装体100へのアタックが大きくなる、このため、本実施形態では、外装部材101の厚さが195μm以下であり、バリア層101Bの厚さが20~85μmに含まれる場合、JIS Z1707:1997の規定に準拠した方法により測定された、外装部材101の基材層101A側から突き刺した場合の突刺し強さが、30N以上であることが好ましい。突刺し強さの好ましい範囲は、例えば、30~45N程度、30~40N程度、35~45N程度、35~40N程度が挙げられる。なお、外装部材101の突刺し強さの測定方法は、以下の通りである。
【0047】
外装部材101の基材層101A側からの突刺し強さは、JIS Z1707:1997の規定に準拠した方法により測定する。具体的には、23±2℃、相対湿度(50±5)%の測定環境において、中央に直径15mmの開口部を有する直径115mmの台と押さえ板で試験片を固定し、直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を毎分50±5mmの速度で突き刺し、針が貫通するまでの最大応力を測定する。試験片の数は5個であり、その平均値を求める。なお、試験片の数が足りず5個測定できない場合は測定可能な数を測定し、その平均値を求める。なお、突刺し強さの測定装置としては、イマダ社製のZP-500N(フォースゲージ)とMX2-500N(測定スタンド)を用いることが出きる。
【0048】
本実施形態の蓄電デバイス10では、電極体200の重量化に伴い、蓄電デバイス10同士の擦れ、蓄電デバイス10と周辺部材との摩擦、及び、蓄電デバイス10の搬送時の摩擦等が発生しやすい。このため、本実施形態では、外装部材101の基材層101A側の表面におけるインキの良好な定着性(良好な印刷特性)に加えて、定着したインキが消失しにくいことが好ましい。このような観点から、本実施形態の外装部材101は、基材層101A側の表面の接触角が、80°以下であることが好ましい。すなわち、外装部材101において、基材層101Aが最表面を構成している場合には、基材層101Aの表面の接触角が、80°以下となる。また、コーティング層を基材層101Aの外側に設ける場合には、コーティング層の表面の接触角が、80°以下となる。本実施形態においては、外装部材101の基材層101A側の表面の接触角が80°以下であるため、基材層101A側の表面においてインキが弾かれにくく、印刷特性に優れ、さらには、定着したインキが消失しにくい。特に、基材層101A側の表面に滑剤を存在させて成形性を高めた外装部材101に対して、パッド印刷によってインキを印刷すると、基材層101A側の表面でインキが弾かれ、印刷不良が生じる場合がある。しかし、本実施形態の蓄電デバイス10の外装部材101は、このような場合においても、基材層101A側の表面の接触角が、80°以下であるため、インキが弾かれにくく、パッド印刷によって基材層101A表面に印字などが形成される外装部材101として、特に好適である。
【0049】
本実施形態において、印刷適性を向上させ、かつ、定着したインキを消失させにくくする観点からは、基材層101A側の表面の接触角が79°以下であることがより好ましく、72°以下であることがさらに好ましい。基材層101A側の表面の接触角は、株式会社ニック製のLSE-A210を使用して、水滴下から5秒後に基材と水滴の界面の接触角を測定することによって求めることができる。
【0050】
本実施形態において、基材層101A側の表面の接触角は、例えば、基材層101A側の表面に対してコロナ処理を施すことにより、好適に80°以下にすることができる。コロナ処理は、市販のコロナ表面処理装置を用いて、基材層101A側の表面にコロナ放電を照射することによって行うことができる。コロナ処理の条件は、例えば、照射出力1Kw以上で10MT/minの速度で基材層101A側の表面を処理することにより、基材層101A側の表面の接触角を80°以下にすることができる。
【0051】
また、外装部材101の表面にインキを印刷する場合には、コロナ処理を施した後、基材層101Aの表面の少なくとも一部にインキを印刷する工程を行う。印刷方法としては、特に制限されないが、成形後の外装部材101に印刷を行う場合には、インクジェット印刷、パッド印刷が好ましい。本実施形態の蓄電デバイス10の外装部材101は、基材層101A側の表面の接触角が80°以下に設定されているため、表面に滑剤が存在する基材層101Aにおいてインキが弾かれやすいパッド印刷によっても、好適にインキの印刷を行うことができる。従って、基材層101Aの表面の少なくも一部に、例えば、バーコード、柄、文字などの印字を好適に形成することができる。
【0052】
図4は、蓄電デバイス10の製造途中において、電極体200に外装部材101が巻き付けられた状態を側方から示す図である。
図4に示されるように、電極体200の周囲には、外装部材101が巻き付けられている。この場合に、電極体200の最外層は、必ずしも電極である必要はなく、例えば、保護テープやセパレータであってもよい。電極体200の周囲に外装部材101が巻き付けられた状態で、外装部材101の互いに向き合う面(熱融着性樹脂層)同士がヒートシールされることによって、第1封止部110が形成されている。なお、第1封止部110は、外装部材101の最内層と最外層とが接合されることによって形成されてもよい。この場合、外装部材101の最内層および最外層は、熱融着性樹脂層101Cであることが好ましい。
【0053】
第1封止部110の付け根部分は、外装体100の辺135上にあることが好ましい。本実施形態では、辺135は、第1面130と、第1面130よりも面積が小さい第2面140との境界に形成されている。すなわち、本実施形態では、第1封止部110の付け根部分は、第1面130と第2面140との境界に形成されているといえ、第1面130及び第2面140のいずれの上にも存在しないといえる。第1封止部110の付け根部分は、辺135以外に位置していてもよい。蓄電デバイス10において、第1封止部110は、辺135を中心として第2面140側に折り曲げられている。蓄電デバイス10においては、第1封止部110が、第2面140に接し、第2面140の略全体を覆っている。なお、「第2面140の略全体」とは、第2面140のうち75%以上の面積を占める領域を意味する。
【0054】
すなわち、蓄電デバイス10においては、面積の大きい第1面130上に第1封止部110が形成されていない。第1面130は、第1面130に第1封止部110のような封止部が接している場合と比較して平坦である。したがって、第1面130上に他の蓄電デバイス10が載置されたとしても該他の蓄電デバイス10は傾かない。その結果、蓄電デバイス10によれば、複数の蓄電デバイス10を積み重ねた場合に下方の蓄電デバイス10に掛かる圧力の分布のムラを抑制することができる。換言すると、複数の蓄電デバイス10を積み重ねてモジュールが形成される場合に、隣接する蓄電デバイス10と隣り合う面(第1面130)上には第1封止部110が配置されないということもできる。また、全固体電池においては、電池性能を発揮させるために高い圧力を電池外面から均一に掛けることが必要とされている観点からもこのような構成が好ましい。
【0055】
また、蓄電デバイス10においては、第1封止部110の付け根部分が外装体100の辺135上にある。したがって、蓄電デバイス10によれば、第1封止部110の付け根部分が第2面140上(例えば、矢印UD方向において、第2面140の中央部分)にあるときと比較して、第1封止部110における接合領域を広く確保することができる。なお、第1封止部110の接合領域は、必ずしも第1封止部110の全領域である必要はなく、例えば、第1封止部110の付け根部分近傍のみ等の第1封止部110の一部分であってもよい。
【0056】
また、蓄電デバイス10においては、第2面140の略全体が第1封止部110によって覆われている。すなわち、蓄電デバイス10においては、例えば、第1封止部110が第2面140の半分以下の領域しか覆わない場合と比較して、第1封止部110の矢印UD方向の長さが長い(
図3参照)。したがって、蓄電デバイス10によれば、第1封止部110における接合領域を広く確保することができる。また、第2面140の略全体が第1封止部110によって覆われているため、仮に第2面140が載置面に接するように蓄電デバイス10が立てて配置されたとしても蓄電デバイス10は安定する。すなわち、蓄電デバイス10は載置面に対して傾きにくい。したがって、このような構成は、例えば、複数の蓄電デバイス10を横に並べてモジュールを形成する場合に有効である。
【0057】
図5は、蓄電デバイス10の製造途中において、電極体200に外装部材101が巻き付けられた状態を下方から示す図である。
図5に示されるように、蓄電デバイス10においては、辺135に沿う方向が外装部材101のTD(Transverse DireCtion)であり、辺135に直交する方向が外装部材101のMD(MaChine DireCtion)である。すなわち、辺135に沿う方向は、外装部材101の流れ方向(MD)に直交する方向(TD)である。
【0058】
蓄電デバイス10においては、第1封止部110が辺135に沿って折り曲げられ、辺135に沿う方向が外装部材101の流れ方向に直交する方向である。したがって、蓄電デバイス10によれば、外装部材101の流れ方向に直交する方向に折り目が形成されても外装部材101は破断しにくいため、第1封止部110が折り曲げられることによって第1封止部110が破断する可能性を低減することができる。
【0059】
外装部材101の流れ方向(MD)は、外装部材101に含まれるバリア層の金属箔(アルミニウム合金箔等)の圧延方向(RD)に対応する。外装部材101のTDは金属箔のTDに対応する。金属箔の圧延方向(RD)は圧延目により判別できる。
【0060】
また、外装部材101の熱融着性樹脂層の複数の断面を電子顕微鏡で観察して海島構造を確認し、熱融着性樹脂層の厚み方向に垂直な方向(以下、「熱融着性樹脂層の長さ方向」とも称する。)の島の径の平均が最大であった断面と平行な方向をMDと判断することができる。金属箔の圧延目により外装部材101のMDを特定できない場合に、この方法によりMDを特定することができる。
【0061】
具体的には、熱融着性樹脂層の長さ方向の断面と、当該長さ方向の断面と平行な方向から10度ずつ角度を変更し、長さ方向の断面と垂直な方向までの各断面(合計10の断面)について、それぞれ電子顕微鏡写真で観察して海島構造を確認する。次に、各断面上の個々の島について、熱融着性樹脂層の厚み方向に垂直な方向の両端を結ぶ直線距離によって島の径dを計測する。次に、断面毎に、大きい方から上位20個の島の径dの平均を算出する。そして、島の径dの平均が最も大きかった断面と平行な方向をMDと判断する。
【0062】
図6は、
図2のVI-VI断面の一部を模式的に示す図である。
図6に示されるように、第2封止部120は、外装体100が電極端子300を挟んだ状態で封止されている。
【0063】
図7Aは、第2封止部120の形成方法を説明するための図である。
図7Aに示されるように外装部材101が折り畳まれ、外装部材101の互いに向き合う面(熱融着性樹脂層)同士がヒートシールされることによって第2封止部120が形成される。なお、
図7Aにおいては省略されているが、外装部材101の互いに向き合う面の間には、電極端子300が位置する。なお、電極端子300と外装部材101との間には、金属及び樹脂の双方と接着する端子用接着フィルム30(
図7B~
図7E参照)が配置されてもよい。
【0064】
接着フィルムとしては、例えば、ポリオレフィン系樹脂又はポリオレフィン系樹脂を無水マレイン酸等の酸でグラフト変性させた酸変性ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂フィルムを1層または2層以上の構成とすることができる。接着フィルムを2層以上とする場合には、外装部材101と接合する側にポリオレフィン系樹脂からなる樹脂フィルムを配置することが好ましい。接着フィルムを2層以上とする場合には、電極端子300と接合する側にポリオレフィン系樹脂を無水マレイン酸等の酸でグラフト変性させた酸変性ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂フィルムを配置することが好ましい。
【0065】
再び
図6を参照して、電極体200は、複数の電極210(正極及び負極)を含む。各電極210から延びる集電体215は、電極端子300に接続されている。蓄電デバイス10においては、電極端子300のうち外装体100の外側にある一部分が、蓄電デバイス10の厚み方向において、蓄電デバイス10の厚みの略半分の位置にある。すなわち、長さL2は長さL1の略半分である。なお、「蓄電デバイス10の厚みの略半分」とは、蓄電デバイス10の厚みの35%~65%を意味する。
【0066】
したがって、蓄電デバイス10によれば、例えば、電極端子300が蓄電デバイス10の厚み方向において第1面130と略同じ位置にある場合と比較して、複数の電極210の各々と電極端子300との間の距離のうち最も長い距離と最も短い距離との差を小さくすることができる。
【0067】
電極体200の内部に水分が浸入すると、蓄電デバイス10の性能が劣化することから、例えば外装部材101として前述したフィルム状の積層体を用いる場合であれば、バリア層101B(例えば金属箔により構成される)が設けられている。バリア層101Bを設けることにより、バリア層101Bの外側からの水分の浸入は抑制することができる。
【0068】
しかし、外装部材101の熱融着性樹脂層101Cを熱融着させて電極体200を封止した場合、熱融着性樹脂層101Cの端面は外部に露出することから、熱融着性樹脂層101Cの端面から水分が浸入する虞がある。
【0069】
また、外装部材101で電極体200を封止するまでに、外装部材101の熱融着性樹脂層101Cが吸水した場合、電極体200を封止した後に熱融着性樹脂層101C中の水分が電極体200に浸入する虞もある。
【0070】
また、蓄電デバイス10が全固体電池である場合、水分と全固体電池を構成する要素に含まれる固体電解質とが接触した場合、固体電解質の種類によっては、硫化水素等のガスが発生するおそれがある。
【0071】
本実施形態の蓄電デバイス10は、電極体200の内部への水分の侵入を抑制すること、及び、電極体200から発生した硫化水素等のガスを吸収できることの少なくとも一方を実現するために、蓄電デバイス用樹脂フィルム20(以下では、「フィルム20」という)を備える。フィルム20は、吸水剤及びガス吸収剤の少なくとも一方を含む。以下では、フィルム20が少なくとも吸水剤を含む場合を、フィルム20の第1の態様と称する場合がある。フィルム20が少なくともガス吸収剤を含む場合を、フィルム20の第2の態様と称する場合がある。
【0072】
蓄電デバイス10において、フィルム20が配置される箇所は、外装部材101のバリア層101Bよりも内側であれば任意に選択可能である。本実施形態において、バリア層101Bよりも内側とは、外装部材101の各層101A~101Cが積層される方向において、バリア層101Bに対して基材層101Aと反対側である。第1の態様のフィルム20を、外装部材101のバリア層101Bよりも内側に配置することによって、外装部材101の熱融着性樹脂層101Cの端部からの水分の浸入、及び、外装部材101の熱融着性樹脂層101Cに含まれる水分が電極体200に浸入することを抑制することができる。すなわち、第1の態様のフィルム20を備える蓄電デバイス10は、フィルム20が吸水剤を含んでいるため、外装部材101の熱融着性樹脂層101Cから浸入した水分をフィルム20が吸水・保持することで、電極体200にまで水分が到達することを抑制することができる。また、第2の態様のフィルム20を、外装部材101のバリア層101Bよりも内側に配置することによって、例えば、電極体200が全体固体電池である場合、全固体電池を構成する要素に含まれる固体電解質層と水分とが接触することによって発生した硫化水素等のガスを吸収することができる。すなわち、第2の態様のフィルム20を備える蓄電デバイス10は、フィルム20がガス吸収剤を含んでいるため、電極体200から発生した硫化水素等のガスがフィルム20によって吸収される。このため、外装体100の内圧が過度に上昇することを抑制できる。以下では、蓄電デバイス10におけるフィルム20の具体的な配置例について説明する。
【0073】
フィルム20は、
図1Bに示されるように、外装部材101の熱融着性樹脂層101Cとして用いることもできる。フィルム20は、バリア層101Bと熱融着性樹脂層101Cとの間の接着層として用いてもよい。フィルム20は、第1封止部110等の外装部材101の熱融着性樹脂層101C同士が熱融着される位置において、互いに向き合う熱融着性樹脂層101C同士の間に介在する接着フィルムとして用いることもできる。フィルム20が接着フィルムとして用いられる場合、フィルム20は、電極体200からガスが発生することによって、外装体100の内圧が上昇した場合、熱融着性樹脂層101Cのうちのフィルム20が介在している部分が剥離してガスが外部に放出する機能を有していてもよい。
【0074】
図7Bは、
図2のVI-VI線に沿う別の断面図である。
図7Bに示される例では、フィルム20は、電極体200の上面及び下面の概ね全体を覆うように、外装部材101と電極体200との間に配置される。フィルム20と外装部材101の内面(熱融着性樹脂層101C)とは、接合されていてもよく、接合されていなくてもよい。
【0075】
図7Cは、
図2のVI-VI線に沿うさらに別の例を示す断面図である。
図7Cに示される例では、フィルム20は、電極体200の側面の概ね全体を覆うように、外装部材101と電極体200との間に配置される。フィルム20と外装部材101の内面(熱融着性樹脂層101C)とは、接合されていてもよく、接合されていなくてもよい。
【0076】
図7Dは、
図2のVI-VI線に沿うさらに別の例を示す断面図である。
図7Dに示される例では、フィルム20は、電極体200の概ね全体を覆うように、外装部材101と電極体200との間に配置される。フィルム20と外装部材101の内面(熱融着性樹脂層101C)とは、接合されていてもよく、接合されていなくてもよい。
【0077】
図7Eは、
図2のVI-VI線に沿うさらに別の例を示す断面図である。
図7Eに示される例では、蓄電デバイス10は、電極端子300と外装部材101との間に、金属及び樹脂の双方と接着する端子用接着フィルム30を有する。
図7Eに示される例では、フィルム20を端子用接着フィルム30として用いられる。
【0078】
端子用接着フィルム30の端面は外部に露出することから、端子用接着フィルム30の端面から水分が浸入する虞がある。また、端子用接着フィルム30を電極端子300と外装部材101との間に介在させるまでに、端子用接着フィルム30が吸水した場合、端子用接着フィルム30を電極端子300と外装部材101との間に介在させたあと、端子用接着フィルム30中の水分が電極体200に浸入する虞もある。
【0079】
第1の態様のフィルム20を、端子用接着フィルム30として用いることによって、端子用接着フィルム30の端部からの水分の浸入、及び端子用接着フィルム30に含まれる水分が電極体200に浸入することを効果的に抑制することができる。すなわち、第1の態様のフィルム20を備える蓄電デバイス10は、フィルム20が吸水剤を含んでいるため、端子用接着フィルム30から浸入した水分をフィルム20が吸水・保持することで、電極体200にまで水分が到達することを抑制することができる。また、第2の態様のフィルム20を、端子用接着フィルム30として用いることによって、例えば、電極体200が全体固体電池である場合、全固体電池を構成する要素に含まれる固体電解質層と水分とが接触することによって発生した硫化水素等のガスを効果的に吸収することができる。すなわち、第2の態様のフィルム20を備える蓄電デバイス10は、フィルム20がガス吸収剤を含んでいるため、電極体200から発生した硫化水素等のガスがフィルム20によって吸収される。このため、硫化水素等のガスが外部に放出されにくい。
【0080】
<1-2.蓄電デバイス用樹脂フィルムの具体的構成>
フィルム20の第1の態様において、吸収対象となる水分は、気体及び/又は液体の水分である。また、後述の通り、本実施形態の第1の態様に係るガス吸収フィルムは、必要に応じて、硫黄系ガスを吸収対象に含めることもできる。硫黄系ガスとしては、硫化水素やジメチルスルフィド、メチルメルカプタン、SOxで表されるイオウ酸化物等が挙げられる。吸収対象の水分は、例えば固体電解質タイプのリチウムイオンバッテリーに吸収された際に、種々のアウトガスを発生させてしまうものであり、硫黄系ガスは、該アウトガスの成分(例えば、蓄電デバイス10が硫化物系無機固体電解質を用いた全固体電池である場合や、正極にリチウム硫黄が使用されたリチウム二次電池の場合に発生する)である。
【0081】
本実施形態のフィルム20は、例えば
図7Fに示されるように、単層により構成されていてもよいし、例えば
図7G及び
図7Hに示されるように2層以上により構成されていてもよい。
図7Gは、第1層21及び第2層22が積層された積層体により構成されたフィルム20を示している。
図7Hは、第2層22、第1層21、及び、第3層23がこの順に積層された積層体により構成されたフィルム20を示している。
【0082】
第1の態様において、フィルム20が2層以上により構成されている場合、2層以上の層のうち、少なくとも1層が吸水剤を含めばよい。本実施形態において、吸水剤を含む層を「吸水層」と表記することがある。第1の態様に係るフィルム20の積層構成の具体例としては、例えば
図7Gにおいて、外装部材101側の第1層21が吸水層であり、電極体200側の第2層22が吸水剤を含まない層である積層構成が挙げられる。また、例えば
図7Hにおいて、中間に位置する第1層21が吸水層であり、電極体200側の第2層22及び外装部材101側の第3層23が吸水剤を含まない層である積層構成;第1層21及び第3層23の少なくとも一方が吸水層であり、第2層22が吸水剤を含まない層である積層構成などが挙げられる。
【0083】
第2の態様において、フィルム20が2層以上により構成されている場合、2層以上の層のうち、少なくとも1層がガス吸収剤を含めばよい。ガス吸収剤は、例えば、硫黄系ガス吸収剤、二酸化炭素吸収剤、及び、酸素吸収剤の少なくとも1つである。本実施形態では、フィルム20の第2の態様について、ガス吸収剤が硫黄系ガス吸収剤である場合を例に説明する。第2の態様に係るフィルム20の積層構成の具体例としては、例えば
図7Gにおいて、外装部材101側の第1層21が硫黄系ガス吸収層であり、電極体200側の第2層22が硫黄系ガス吸収剤を含まない層である積層構成;外装部材101側の第1層21が硫黄系ガス吸収層を含まない層、電極体200側の第2層22が硫黄系ガス吸収剤を含む層である積層構成が挙げられる。また、例えば
図7Hにおいて、中間に位置する第1層21が硫黄系ガス吸収層であり、電極体200側の第2層22及び外装部材101側の第3層23が硫黄系ガス吸収剤を含まない層である積層構成;第1層21及び第3層23の少なくとも一方が硫黄系ガス吸収層であり、第2層22が硫黄系ガス吸収剤を含まない層である積層構成;中間に位置する第1層21が硫黄系ガス吸収層を含まない層であり、電極体200側の第2層22及び外装部材101側の第3層23が硫黄系ガス吸収剤を含む層である積層構成;第1層21及び第3層23の少なくとも一方が硫黄系ガス吸収層を含まない層であり、第2層22が硫黄系ガス吸収剤を含む層である積層構成などが挙げられる。硫化水素ガスは電極体200から発生するため、電極体200側に位置する第2層22が硫黄系ガス吸収層であることが好ましい。
【0084】
第1の態様において、フィルム20の片面又は両面が熱融着性を有していることが好ましい。第1の態様に係るフィルム20が外装部材101の第2封止部120に位置する場合、フィルム20の熱融着性を高めることが好ましいことから、例えばフィルム20が3層以上により構成されている場合、表面に位置する層(
図7Hであれば、第2層22及び第3層23)は、熱融着性樹脂を含むことが好ましい。また、表面に位置する層の熱融着性の低下を抑制する観点からは、表面に位置する層には吸水剤(特に無機系吸水剤)が含まれないことが好ましい。蓄電デバイス10において、フィルム20の吸水層による吸水性能をより一層好適に発揮させる観点から、吸水層は、表面に位置する層の間に設けられていることが好ましい。吸水層が表面に位置していると、蓄電デバイス10が製造される迄に大気中の水分を吸収し、吸水層の吸水性能が低下しやすいためである。また、蓄電デバイス10において、吸水層は、外装部材101側に位置している第3層23が吸水層であることも好ましい。これは、第3層23が外装部材101に近く、外装部材101側から浸入した水分が吸収されやすいからである。また、蓄電デバイス10において、吸水層は、電極体200側に位置している第2層22が吸水層であることも好ましい。これは、第2層22が電極体200に近く、電極体200に含まれる水分が吸収されやすいからである。
【0085】
第2の態様においても、フィルム20の片面又は両面が熱融着性を有していることが好ましい。第2の態様に係るフィルム20が外装部材101の第2封止部120に位置する場合、フィルム20の熱融着性を高めることが好ましいことから、例えばフィルム20が3層以上により構成されている場合、表面に位置する層(
図7Hであれば、第2層22及び第3層23)は、熱融着性樹脂を含むことが好ましい。また、表面に位置する層の熱融着性の低下を抑制する観点からは、表面に位置する層には硫黄系ガス吸収剤が含まれないことが好ましい。
【0086】
第1の態様に係るフィルム20は、吸水剤に加えて、後述する硫黄系ガス吸収剤をさらに含んでいてもよい。本実施形態において、硫黄系ガス吸収剤を含む層を「硫黄系ガス吸収層」と表記することがある。硫黄系ガス吸収剤が含まれる場合、硫黄系ガス吸収剤は吸水層に含まれていてよいし、吸水剤を含まない層に含まれていてもよい。フィルム20が2層以上により構成されている場合であれば、硫黄系ガス吸収剤は吸水剤を含まない層に含まれていて硫黄系ガス吸収層を構成していることが好ましい。なお、単一の層に複数種類の粒子が含まれることによる懸念点としては、フィルム20の製膜時に粒子が分散しづらくなり、フィルムに穴が空いたり、フィルム20の強度が場所によって異なったりすることなどが挙げられる。また、単一の層中に含まれる粒子の量が一定量以上になると、フィルムの伸びや強度が落ちるため、電池の角などで破れたりしやすくなることも懸念される。少量であれば、吸水剤と硫黄系ガス吸収剤は単一の層に含まれていてもこれらの懸念は生じにくいが、吸水効果や硫黄系ガス吸収効果を長期間に亘って持続させるためには、吸水層と硫黄系ガス吸収層とは別々の層であることが好ましい。
【0087】
第1の態様に係るフィルム20が2層以上により構成されている場合、フィルム20の積層構成の具体例としては、例えば
図7Gにおいて、第1層21が吸水層であり、第2層22が硫黄系ガス吸収層である積層構成が挙げられる。また、例えば
図7Hにおいて、第1層21が吸水層であり、第2層22及び第3層23の少なくとも一方が硫黄系ガス吸収層である積層構成;第1層21及び第3層23の少なくとも一方が吸水層であり、第2層22が硫黄系ガス吸収層である積層構成などが挙げられる。硫化水素ガスは電極体200から発生するため、電極体200側に位置する第2層22が硫黄系ガス吸収層であることが好ましい。また、前記の通り、吸水層は、表面に位置する層の間に設けられていることが好ましいことから、これらの中でも、第2層22と第3層23との間に位置する第1層21が吸水層であり、電極体200側に位置する第2層22が硫黄系ガス吸収層である積層構成が最も好ましい。
【0088】
また、第2の態様に係るフィルム20は、硫黄系ガス吸収剤に加えて、後述する吸水剤をさらに含んでいてもよい。前記の通り、本実施形態において、吸水剤を含む層を「吸水層」と表記することがある。吸水剤が含まれる場合、吸水剤は硫黄系ガス吸収層に含まれていてよいし、吸水剤を含まない層に含まれていてもよい。第2の態様に係るフィルム20が2層以上により構成されている場合であれば、吸水剤は硫黄系ガス吸収剤を含まない層に含まれていて吸水層を構成していることが好ましい。なお、単一の層に複数種類の粒子が含まれることによる懸念点としては、フィルム20の製膜時に粒子が分散しづらくなり、フィルムに穴が空いたり、フィルム20の強度が場所によって異なったりすることなどが挙げられる。また、単一の層中に含まれる粒子の量が一定量以上になると、フィルムの伸びや強度が落ちるため、電池の角などで破れたりしやすくなることも懸念される。少量であれば、吸水剤と硫黄系ガス吸収剤は単一の層に含まれていてもこれらの懸念は生じにくいが、吸水効果や硫黄系ガス吸収効果を長期間に亘って持続させるためには、吸水層と硫黄系ガス吸収層とは別々の層であることが好ましい。
【0089】
第2の態様に係るフィルム20が2層以上により構成されている場合、フィルム20の積層構成の具体例としては、例えば
図7Gにおいて、第1層21が硫黄系ガス吸収層であり、第2層22が吸水層である積層構成が挙げられる。また、例えば
図7Hにおいて、第1層21が硫黄系ガス吸収層であり、第2層22及び第3層23の少なくとも一方が吸水層である積層構成;第1層21及び第3層23の少なくとも一方が硫黄系ガス吸収層であり、第2層22が吸水層である積層構成などが挙げられる。蓄電デバイス10において、フィルム20の吸水層による吸水性能をより一層好適に発揮させる観点から、吸水層は、表面に位置する層の間に設けられていることが好ましい。吸水層が表面に位置していると、蓄電デバイス10が製造される迄に大気中の水分を吸収し、吸水層の吸水性能が低下しやすいためである。第2層22と第3層23との間に位置する第1層21が後述する吸水層であり、電極体200側に位置する第2層22が硫黄系ガス吸収層である積層構成が最も好ましい。また、蓄電デバイス10において、吸水層は、外装部材101側に位置している第3層23が吸水層であることも好ましい。これは、第3層23が外装部材101に近く、外装部材101側から浸入した水分が吸収されやすいからである。また、蓄電デバイス10において、吸水層は、電極体200側に位置している第2層22が吸水層であることも好ましい。これは、第2層22が電極体200に近く、電極体200に含まれる水分が吸収されやすいからである。
【0090】
本実施形態において、フィルム20に含まれる樹脂としては、本実施形態の効果を阻害しないことを限度として、特に制限されず、例えば、熱可塑性樹脂であることが好ましく、熱融着性樹脂であることがより好ましい。樹脂の具体例としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール樹脂などの樹脂や、これらの樹脂の変性物等の熱可塑性樹脂が挙げられる。また、フィルム20を形成する樹脂は、これらの樹脂の共重合物であってもよいし、共重合物の変性物であってもよい。さらに、これらの樹脂の混合物であってもよい。これらの中でも、ポリエステル、ポリオレフィンなどの熱融着性樹脂が好ましい。
【0091】
ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、共重合ポリエステル等が挙げられる。また、共重合ポリエステルとしては、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル等が挙げられる。具体的には、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてエチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/フェニル-ジカルボキシレート)、ポリエチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)等が挙げられる。これらのポリエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、耐熱性及び耐圧性(例えば、外装部材101で電極体200を封止する際の絶縁性の低下(ヒートシールによる潰れに起因する))を高める観点から、ポリブチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0092】
また、ポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;エチレン-αオレフィン共重合体;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等のポリプロピレン;プロピレン-αオレフィン共重合体;エチレン-ブテン-プロピレンのターポリマー等が挙げられる。共重合体である場合のポリオレフィン樹脂は、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。これらポリオレフィン系樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱融着性に優れることから、ポリプロピレンが特に好ましい。
【0093】
フィルム20に含まれる樹脂は、ポリオレフィン骨格を含む樹脂を主成分として含んでいることが好ましく、ポリオレフィンを主成分として含んでいることがより好ましく、ポリプロピレンを主成分として含んでいることがさらに好ましい。ここで、主成分とは、フィルム20に含まれる樹脂成分のうち、含有率が、例えば50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上の樹脂成分であることを意味する。例えば、フィルム20に含まれる樹脂がポリプロピレンを主成分として含むとは、フィルム20に含まれる樹脂成分のうち、ポリプロピレンの含有率が、例えば50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であることを意味する。
【0094】
フィルム20に含まれる樹脂は、ポリエステルを主成分として含んでいることが好ましい。ここで、主成分とは、フィルム20に含まれる樹脂成分のうち、含有率が、例えば50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上の樹脂成分であることを意味する。例えば、フィルム20に含まれる樹脂がポリエステルを主成分として含むとは、フィルム20に含まれる樹脂成分のうち、ポリエステルの含有率が、例えば50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であることを意味する。
【0095】
本実施形態のフィルム20を製造する際に、予め形成された樹脂フィルムをフィルム20として用いてもよい。また、フィルム20を形成する樹脂を、押出成形や塗布などによってフィルム化して、樹脂フィルムにより形成された樹脂としてもよい。
【0096】
本実施形態において、フィルム20に含まれる樹脂は、エラストマーを含んでいてもよい。エラストマーは、フィルム20の高温環境における耐久性を担保しつつ、その柔軟性を高める役割を果たすものである。好ましいエラストマーとしては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリエーテル系から選ばれる少なくとも1種以上の熱可塑性エラストマー、又は、これらの共重合体である熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。フィルム20において、エラストマーの含有量としては、フィルム20の高温環境における耐久性を担保しつつ、その柔軟性を高められる程度であれば、特に制限はなく、例えば約0.1質量%以上、好ましくは約0.5質量%以上、より好ましくは約1.0質量%以上、さらに好ましくは約3.0質量%以上である。また、当該含有量は、例えば約10.0質量%以下、約8.0質量%以下、約5.0質量%以下などである。当該含有量の好ましい範囲としては、0.1~10.0質量%程度、0.1~8.0質量%程度、0.1~5.0質量%程度、0.5~10.0質量%程度、0.5~8.0質量%程度、0.5~5.0質量%程度、1.0~10.0質量%程度、1.0~8.0質量%程度、1.0~5.0質量%程度、3.0~10.0質量%程度、3.0~8.0質量%程度、3.0~5.0質量%程度などが挙げられる。
【0097】
第1の態様に係るフィルム20に含まれる樹脂の含有率としては、例えば99.9質量%以上、好ましくは99.5質量%以上、さらに好ましくは99.0質量%以上である。
【0098】
また、第2の態様に係るフィルム20に含まれる樹脂の含有率としては、例えば50質量%以上、好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
【0099】
第1の態様に係るフィルム20に含まれる吸水剤は、樹脂フィルム中に分散させて吸水性を発揮するものであれば、特に制限されない。例えば、蓄電デバイス10中における経時安定性の観点から、無機系吸水剤を好適に使用することができる。無機系吸水剤の好ましい具体例としては、酸化カルシウム、無水硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化カルシウム、ゼオライト、酸化アルミニウム、シリカゲル、アルミナゲル、及び焼ミョウバンなどが挙げられる。一般的に、無機系吸水剤の中でも無機系化学吸水剤は、無機系物理吸水剤よりも吸水効果が高く、含有量を低減することが可能であり、十分な吸水性と熱融着性を単層で実現しやすい。そして、無機系化学吸水剤の中でも、酸化カルシウム、無水硫酸マグネシウム、酸化マグネシウムは、水分の再放出が少なく、包装体内の低湿度状態の経時安定性が高く、絶乾効果を有することから、特に好ましい。なお、絶乾効果とは、相対湿度が0%付近になるまで吸水する効果を示し、調湿効果とは、湿度が高い時には吸水し、湿度が低い時には放湿して、湿度を一定にする効果を指す。また、例えば全固体電池用のように高温環境で使用される場合、水分を再放出する温度帯が高い無機系化学吸収剤が好ましい。
【0100】
第1の態様において、吸水層に含有される樹脂としては、フィルム20に含まれる樹脂として例示した樹脂と同じものが例示される。
【0101】
また、第1の態様において、フィルム20の吸水層に含まれる樹脂の含有率としては、例えば50質量%以上、好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
【0102】
第1の態様において、フィルム20に含まれる吸水剤の含有量としては、本実施形態の効果を奏することを限度として特に制限されず、フィルム20に含まれる樹脂100質量部に対して、好ましくは約0.5質量部以上、より好ましくは約2質量部以上、さらに好ましくは約3質量部以上であり、また、好ましくは約50質量部以下、より好ましくは約45質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下であり、当該含有量の好ましい範囲としては、0.5~50質量部程度、0.5~45質量部程度、0.5~40質量部程度、2~50質量部程度、2~45質量部程度、2~40質量部程度、3~50質量部程度、3~45質量部程度、3~40質量部程度が挙げられる。また、フィルム20の吸水層に含まれる吸水剤の含有量としては、本実施形態の効果を奏することを限度として特に制限されず、吸水層に含まれる樹脂100質量部に対して、好ましくは約0.5質量部以上、より好ましくは約2質量部以上、さらに好ましくは約3質量部以上であり、また、好ましくは約50質量部以下、より好ましくは約45質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下であり、当該含有量の好ましい範囲としては、0.5~50質量部程度、0.5~45質量部程度、0.5~40質量部程度、2~50質量部程度、2~45質量部程度、2~40質量部程度、3~50質量部程度、3~45質量部程度、3~40質量部程度が挙げられる。
【0103】
第1の態様に係るフィルム20において、吸水層に含有される吸水剤は、例えば、吸水剤と樹脂をメルトブレンドしたマスターバッチを経て含有されることが好ましい。具体的には、吸水剤を樹脂に相対的に高濃度でメルトブレンドしてマスターバッチを調製する。得られたマスターバッチをさらに樹脂と混合し、フィルム状に成形することで吸水層を形成することができる。吸水剤のマスターバッチ中の含有量は、好ましくは20~90質量%程度、より好ましくは30~70質量%程度である。上記の範囲であれば、吸水層中に必要かつ十分な量の吸水剤を分散した状態で含有させることが容易である。
【0104】
また、前記の通り、第1の態様に係るフィルム20は、吸水剤に加えて、硫黄系ガス吸収剤をさらに含んでいてもよい。硫黄系ガス吸収剤は、硫黄系ガス物理吸収剤及び/又は硫黄系ガス化学吸収剤を含有することが好ましい。各種の硫黄系ガス吸収剤を併用、例えば硫黄系ガス物理吸収剤と硫黄系ガス化学吸収剤とを併用することによって、多種の硫黄系ガスを容易に吸収することが可能になる。硫黄系ガス吸収剤は例えば粉体で用いられる。硫黄系ガス吸収剤の最大粒子径は20μm以下が好ましく、粉体の数平均粒子径は0.1μm以上、15μm以下が好ましい。数平均粒子径が上記範囲よりも小さいと、硫黄系ガス吸収剤が凝集し易くなり、数平均粒子径が上記範囲よりも大きいと、硫黄系ガス吸収フィルムの均質性が劣るおそれがあり、硫黄系ガス吸収剤の表面積が小さくなることから硫黄系ガス吸収が劣るおそれがある。
【0105】
(硫黄系ガス物理吸収剤)
硫黄系ガス物理吸収剤は、吸収対象の硫黄系ガスを物理的に吸収する作用を有するガス吸収剤である。硫黄系ガス物理吸収剤は、SiO2/Al2O3モル比が1/1~2000/1の疎水性ゼオライト、ベントナイト、セピオライトからなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有することが好ましい。
【0106】
疎水性ゼオライトは、硫黄系ガスのような極性の低い分子の吸収性に優れたゼオライトであり、多孔質構造を有する。一般的にゼオライトは、構成成分であるSiO2/Al2O3のモル比が高い程、疎水性が高くなる。そして、疎水性が高くなることによって硫黄系ガスのような極性の低い分子を吸収し易くなり、逆に、水のような極性の高い分子との親和性が低くなり、これらを吸収し難くなる。疎水性ゼオライトのSiO2/Al2O3モル比は、30/1~10000/1が好ましく、35/1~9000/1がより好ましく、40/1~8500/1がさらに好ましい。また、疎水性ゼオライトは耐熱性が高く、230℃以上の高温に晒されても、吸収効果を維持することができる。本発明においては、硫黄系ガス吸収能と入手し易さのバランスから、上記範囲のモル比の疎水性ゼオライトが好ましく用いられる。
【0107】
ベントナイトとは、粘土鉱物であるモンモリロナイトを主成分し、層状のフィロケイ酸アルミニウムを多く含み、不純物として石英や長石などの鉱物を含む無機物である。ベントナイトには、例えば、Na+イオンを多く含むNa型ベントナイトと、Ca2+イオンを多く含むCa型ベントナイト、Ca型ベントナイトに対して数wt%の炭酸ナトリウムを加えて人工的にNa型化させた活性化ベントナイト等がある。
【0108】
セピオライトは、含水マグネシウム珪酸塩を主成分とする粘土鉱物であり、一般的な化学組成はMg8Si12O30(OH2)4(OH)4・6~8H2Oで表され、多孔質構造を有する。pH(3%サスペンジョン)は、入手し易さの点から、8.0~9.0のものが好ましく、8.9~9.3のものがより好ましい。
【0109】
(硫黄系ガス化学吸収剤)
硫黄系ガス化学吸収剤は、吸収対象ガスの硫黄系ガスを化学的に吸収又は分解する作用を有するガス吸収剤である。そして、化学的な吸収又は分解であることにより、水等の影響を受けにくく、一旦吸収した硫黄系ガス分子は脱離し難く、効率的に吸収を行うことができる。また、分解生成物は、硫黄系ガス物理吸収剤又は硫黄系ガス化学吸収剤によって吸収される。硫黄系ガス化学吸収剤は、金属酸化物が担持された無機物、金属が混入されたガラス、金属イオンが混入されたガラスからなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有することが好ましい。金属酸化物が担持された無機物における金属酸化物は、CuO、ZnO、AgOからなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有することが好ましい。また、担持する無機物は、ゼオライトのような無機多孔体が好ましい。金属が混入されたガラスにおける金属、又は金属イオンが混入されたガラスにおける金属イオンの金属種は、Ca、Mg、Na、Cu、Zn、Ag、Pt、Au、Fe、Al、Niからなる群から選ばれる1種又は2種以上を含むことが好ましい。
【0110】
第1の態様において、フィルム20の硫黄系ガス吸収剤の含有量としては、硫黄系ガスを吸収することを限度として特に制限されず、フィルム20に含まれる樹脂100質量部に対して、好ましくは約0.1質量部以上、より好ましくは約0.2質量部以上、さらに好ましくは約0.3質量部以上であり、また、好ましくは約30質量部以下、より好ましくは約27質量部以下、さらに好ましくは25質量部以下であり、当該含有量の好ましい範囲としては、0.1~30質量部程度、0.1~27質量部程度、0.1~25質量部程度、0.2~30質量部程度、0.2~27質量部程度、0.2~25質量部程度、0.3~30質量部程度、0.3~27質量部程度、0.3~25質量部程度が挙げられる。また、フィルム20の硫黄系ガス吸収層に含まれる硫黄系ガス吸収剤の含有量としては、硫黄系ガスを吸収することを限度として特に制限されず、硫黄系ガス吸収層に含まれる樹脂100質量部に対して、好ましくは約5質量部以上、より好ましくは約6質量部以上、さらに好ましくは約7質量部以上であり、また、好ましくは約60質量部以下、より好ましくは約55質量部以下、さらに好ましくは約50質量部以下、約30質量部以下であり、当該含有量の好ましい範囲としては、5~60質量部程度、5~55質量部程度、5~50質量部程度、5~30質量部程度、6~60質量部程度、6~55質量部程度、6~50質量部程度、6~30質量部程度、7~60質量部程度、7~55質量部程度、7~50質量部程度、7~30質量部程度が挙げられる。
【0111】
第1の態様において、硫黄系ガス吸収層に含まれる樹脂の含有率としては、例えば50質量%以上、好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
【0112】
第1の態様において、硫黄系ガス吸収層に含有される硫黄系ガス吸収剤は、硫黄系ガス吸収剤を樹脂とメルトブレンドしたマスターバッチを経て含有されることが好ましい。具体的には、硫黄系ガス吸収剤を樹脂に相対的に高濃度でメルトブレンドしてマスターバッチを調整し、次いで、所望の硫黄系ガス吸収層中の濃度になるように、マスターバッチと他の成分とをドライブレンドして用いることが好ましい。メルトブレンドされる硫黄系ガス吸収剤や樹脂のそれぞれは、1種であっても2種以上であってもよい。硫黄系ガス吸収剤のマスターバッチ中の含有量は、好ましくは20~90質量%程度、より好ましくは30~70質量%程度である。上記の範囲であれば、硫黄系ガス吸収層中に必要かつ十分な量の硫黄系ガス吸収剤を分散した状態で含有させることが容易である。
【0113】
第1の態様において、硫黄系ガス吸収層に含有される樹脂としては、吸水層に含有される樹脂として例示した樹脂と同じものが例示される。
【0114】
前記の通り、第1の態様に係るフィルム20に硫黄系ガス吸収剤が含まれる場合、硫黄系ガス吸収剤は吸水層に含まれていてよいし、吸水剤を含まない層に含まれていてもよい。硫黄系ガス吸収剤が吸水層に含まれる場合には、吸水層は硫黄系ガス吸収層としても機能する。
【0115】
第1の態様に係るフィルム20は、例えば、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を含有することができる。その含有量としては、極微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に含有することができる。上記において、一般的な添加剤としては、例えば、アンチブロッキング剤、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、改質用樹脂等を含有することができる。
【0116】
第1の態様に係るフィルム20の厚みとしては、本発明の効果を奏することを限度として特に制限されず、好ましくは約10μm以上、より好ましくは約15μm以上、さらに好ましくは約20μm以上であり、また、好ましくは約1000μm以下、より好ましくは約900μm以下、さらに好ましくは約500μm以下である。当該厚みの好ましい範囲としては、10~1000μm程度、10~900μm程度、10~500μm程度、15~1000μm程度、15~900μm程度、15~500μm程度、20~1000μm程度、20~900μm程度、20~500μm程度が挙げられる。
【0117】
また、第1の態様において、フィルム20が2層以上により構成されている場合、各層の厚みとしては、フィルム20の厚みが前記のようになればよい。例えば吸水層の厚みについては、好ましくは約5μm以上、より好ましくは約6μm以上、さらに好ましくは約7μm以上であり、また、好ましくは約500μm以下、より好ましくは約400μm以下、さらに好ましくは約300μm以下であり、当該厚みの好ましい範囲としては、5~500μm程度、5~400μm程度、5~300μm程度、6~500μm程度、6~400μm程度、6~300μm程度、7~500μm程度、7~400μm程度、7~300μm程度が挙げられる。また、硫黄系ガス吸収層の厚みについては、好ましくは約5μm以上、より好ましくは約7μm以上、さらに好ましくは約10μm以上であり、また、好ましくは約500μm以下、より好ましくは約400μm以下、さらに好ましくは約300μm以下であり、当該厚みの好ましい範囲としては、5~500μm程度、5~400μm程度、5~300μm程度、7~500μm程度、7~400μm程度、7~300μm程度、10~500μm程度、10~400μm程度、10~300μm程度が挙げられる。
【0118】
また、第2の態様において、硫黄系ガス吸収剤は、硫黄系ガス物理吸収剤及び/又は硫黄系ガス化学吸収剤を含有することが好ましい。各種の硫黄系ガス吸収剤を併用、例えば硫黄系ガス物理吸収剤と硫黄系ガス化学吸収剤とを併用することによって、多種の硫黄系ガスを容易に吸収することが可能になる。硫黄系ガス吸収剤は例えば粉体で用いられる。硫黄系ガス吸収剤の最大粒子径は20μm以下が好ましく、粉体の数平均粒子径は0.1μm以上、1.0μm以上などが好ましく、また、15μm以下、10μm以下、8μm以下などが好ましく、好ましい範囲としては、0.1~15μm程度、0.1~10μm程度、0.1~8μm程度、1~15μm程度、1~10μm程度、1~8μm程度が挙げられる。数平均粒子径が上記範囲よりも小さいと、硫黄系ガス吸収剤が凝集し易くなり、数平均粒子径が上記範囲よりも大きいと、硫黄系ガス吸収フィルムの均質性が劣るおそれがあり、硫黄系ガス吸収剤の表面積が小さくなることから硫黄系ガス吸収が劣るおそれがある。
【0119】
(硫黄系ガス物理吸収剤)
硫黄系ガス物理吸収剤は、吸収対象の硫黄系ガスを物理的に吸収する作用を有するガス吸収剤である。硫黄系ガス物理吸収剤は、SiO2/Al2O3モル比が1/1~2000/1の疎水性ゼオライト、ベントナイト、セピオライトからなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有することが好ましい。
【0120】
疎水性ゼオライト、ベントナイト、セピオライトの具体例は、それぞれ、第1の態様について説明した通りであり、記載を省略する。
【0121】
(硫黄系ガス化学吸収剤)
硫黄系ガス化学吸収剤は、第1の態様について説明した通りであり、記載を省略する。
【0122】
硫黄系ガス吸収層に含有される樹脂としては、フィルム20に含まれる樹脂として例示した樹脂と同じものが例示される。
【0123】
第2の態様において、フィルム20の硫黄系ガス吸収剤の含有量としては、硫黄系ガスを吸収することを限度として特に制限されず、フィルム20に含まれる樹脂100質量部に対して、好ましくは約0.1質量部以上、より好ましくは約0.2質量部以上、さらに好ましくは約0.3質量部以上であり、また、好ましくは約30質量部以下、より好ましくは約29質量部以下、さらに好ましくは28質量部以下であり、当該含有量の好ましい範囲としては、0.1~30質量部程度、0.1~29質量部程度、0.1~28質量部程度、0.2~30質量部程度、0.2~29質量部程度、0.2~28質量部程度、0.3~30質量部程度、0.3~29質量部程度、0.3~28質量部程度が挙げられる。また、フィルム20の硫黄系ガス吸収層に含まれる硫黄系ガス吸収剤の含有量としては、硫黄系ガスを吸収することを限度として特に制限されず、硫黄系ガス吸収層に含まれる樹脂100質量部に対して、好ましくは約5質量部以上、より好ましくは約6質量部以上、さらに好ましくは約7質量部以上であり、また、好ましくは約60質量部以下、より好ましくは約55質量部以下、さらに好ましくは約50質量部以下、さらに好ましくは約30質量部以下であり、当該含有量の好ましい範囲としては、5~60質量部程度、5~55質量部程度、5~50質量部程度、5~30質量部程度、6~60質量部程度、6~55質量部程度、6~50質量部程度、6~30質量部程度、7~60質量部程度、7~55質量部程度、7~50質量部程度、7~30質量部程度が挙げられる。
【0124】
第2の態様において、硫黄系ガス吸収層に含まれる樹脂の含有率としては、例えば40質量%以上、好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上である。
【0125】
第2の態様において、硫黄系ガス吸収層に含有される硫黄系ガス吸収剤は、硫黄系ガス吸収剤を樹脂とメルトブレンドしたマスターバッチを経て含有されることが好ましい。具体的には、硫黄系ガス吸収剤を樹脂に相対的に高濃度でメルトブレンドしてマスターバッチを調整し、次いで、所望の硫黄系ガス吸収層中の濃度になるように、マスターバッチと他の成分とをドライブレンドして用いることが好ましい。メルトブレンドされる硫黄系ガス吸収剤や樹脂のそれぞれは、1種であっても2種以上であってもよい。硫黄系ガス吸収剤のマスターバッチ中の含有量は、好ましくは20~90質量%程度、より好ましくは30~70質量%程度である。上記の範囲であれば、硫黄系ガス吸収層中に必要かつ十分な量の硫黄系ガス吸収剤を分散した状態で含有させることが容易である。
【0126】
また、前記の通り、第2の態様において、フィルム20は、硫黄系ガス吸収剤に加えて、吸水剤をさらに含んでいてもよい。フィルム20に含まれる吸水剤は、樹脂フィルム中に分散させて吸水性を発揮するものであれば、特に制限されない。例えば、蓄電デバイス10中における経時安定性の観点から、無機系吸水剤を好適に使用することができる。無機系吸水剤の好ましい具体例としては、酸化カルシウム、無水硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化カルシウム、ゼオライト、酸化アルミニウム、シリカゲル、アルミナゲル、及び焼ミョウバンなどが挙げられる。一般的に、無機系吸水剤の中でも無機系化学吸水剤は、無機系物理吸水剤よりも吸水効果が高く、含有量を低減することが可能であり、十分な吸水性と熱融着性を単層で実現しやすい。そして、無機系化学吸水剤の中でも、酸化カルシウム、無水硫酸マグネシウム、酸化マグネシウムは、水分の再放出が少なく、包装体内の低湿度状態の経時安定性が高く、絶乾効果を有することから、特に好ましい。なお、絶乾効果とは、相対湿度が0%付近になるまで吸水する効果を示し、調湿効果とは、湿度が高い時には吸水し、湿度が低い時には放湿して、湿度を一定にする効果を指す。また、例えば全固体電池用のように高温環境で使用される場合、水分を再放出する温度帯が高い無機系化学吸収剤が好ましい。
【0127】
第2の態様において、フィルム20に含まれる吸水剤の含有量としては、本実施形態の効果を奏することを限度として特に制限されず、フィルム20に含まれる樹脂100質量部に対して、好ましくは約0.5質量部以上、より好ましくは約2質量部以上、さらに好ましくは約3質量部以上であり、また、好ましくは約50質量部以下、より好ましくは約45質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下であり、当該含有量の好ましい範囲としては、0.5~50質量部程度、0.5~45質量部程度、0.5~40質量部程度、2~50質量部程度、2~45質量部程度、2~40質量部程度、3~50質量部程度、3~45質量部程度、3~40質量部程度が挙げられる。また、フィルム20の吸水層に含まれる吸水剤の含有量としては、本実施形態の効果を奏することを限度として特に制限されず、吸水層に含まれる樹脂100質量部に対して、好ましくは約0.5質量部以上、より好ましくは約2質量部以上、さらに好ましくは約3質量部以上であり、また、好ましくは約50質量部以下、より好ましくは約45質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下であり、当該含有量の好ましい範囲としては、0.5~50質量部程度、0.5~45質量部程度、0.5~40質量部程度、2~50質量部程度、2~45質量部程度、2~40質量部程度、3~50質量部程度、3~45質量部程度、3~40質量部程度が挙げられる。
【0128】
第2の態様に係るフィルム20において、吸水層に含有される吸水剤は、例えば、吸水剤と樹脂をメルトブレンドしたマスターバッチを経て含有されることが好ましい。具体的には、吸水剤を樹脂に相対的に高濃度でメルトブレンドしてマスターバッチを調製する。得られたマスターバッチをさらに樹脂と混合し、フィルム状に成形することで吸水層を形成することができる。吸水剤のマスターバッチ中の含有量は、好ましくは20~90質量%程度、より好ましくは30~70質量%程度である。上記の範囲であれば、吸水層中に必要かつ十分な量の吸水剤を分散した状態で含有させることが容易である。
【0129】
第2の態様において、吸水層に含有される樹脂としては、フィルム20に含まれる樹脂として例示した樹脂と同じものが例示される。
【0130】
また、第2の態様において、フィルム20の吸水層に含まれる樹脂の含有率としては、例えば50質量%以上、好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
【0131】
前記の通り、第2の態様に係るフィルム20に吸水剤が含まれる場合、吸水剤は硫黄系ガス吸収層に含まれていてよいし、硫黄系ガス吸収剤を含まない層に含まれていてもよい。吸水剤が硫黄系ガス吸収層に含まれる場合には、硫黄系ガス吸収層は吸水層としても機能する。
【0132】
第2の態様において、フィルム20は、例えば、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を含有することができる。その含有量としては、極微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に含有することができる。上記において、一般的な添加剤としては、例えば、アンチブロッキング剤、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、改質用樹脂等を含有することができる。
【0133】
第2の態様において、フィルム20の厚みとしては、本発明の効果を奏することを限度として特に制限されず、好ましくは約25μm以上、より好ましくは約30μm以上、さらに好ましくは約40μm以上であり、また、好ましくは約250μm以下、より好ましくは約240μm以下、さらに好ましくは約230μm以下である。当該厚みの好ましい範囲としては、25~250μm程度、25~240μm程度、25~230μm程度、30~250μm程度、30~240μm程度、30~230μm程度、40~250μm程度、40~240μm程度、40~230μm程度が挙げられる。
【0134】
また、第2の態様において、フィルム20が2層以上により構成されている場合、各層の厚みとしては、フィルム20の厚みが前記のようになればよい。例えば硫黄系ガス吸収層の厚みについては、好ましくは約10μm以上、より好ましくは約15μm以上、さらに好ましくは約20μm以上であり、また、例えば約100μm以下、好ましくは約95μm以下、より好ましくは約90μm以下、さらに好ましくは約85μm以下であり、当該厚みの好ましい範囲としては、10~100μm程度、10~95μm程度、10~90μm程度、10~85μm程度、15~100μm程度、15~95μm程度、15~90μm程度、15~85μm程度、20~100μm程度、20~95μm程度、20~90μm程度、20~85μm程度が挙げられる。また、吸水層の厚みについては、好ましくは約5μm以上、より好ましくは約6μm以上、さらに好ましくは約7μm以上であり、また、好ましくは約60μm以下、より好ましくは約55μm以下、さらに好ましくは約50μm以下であり、当該厚みの好ましい範囲としては、5~60μm程度、5~55μm程度、5~50μm程度、6~60μm程度、6~55μm程度、6~50μm程度、7~60μm程度、7~55μm程度、7~50μm程度が挙げられる。
【0135】
(フィルム20の製造方法)
本実施形態において、フィルム20の製造方法は、フィルム20が得られれば特に限定されず、公知又は慣用の製膜方法、積層方法を適用することができる。フィルム20の製造は、例えば、押出法又は共押出法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の、公知の製膜化法及び/又は積層法により行うことができる。フィルム20が2層以上で構成されている場合には、例えば、予め作製された各層を構成するフィルムを、接着剤層を介して積層してもよく、予め作製された層上に溶融した樹脂組成物を押出又は共押出によって積層してもよく、複数層を同時に作製しながら溶融圧着によって積層してもよく、又は、他の層上に、1種又は2種以上の樹脂を、塗布及び乾燥してコーティングしてもよい。
【0136】
第1の態様において、吸水層(硫黄系ガス吸収層)などのフィルム20を構成する層を、押出し又は共押出しで、エクストルージョンコート法で積層したり、インフレーション法やキャスト法により製膜後に接着層を介して積層したりすることもできる。エクストルージョンコート法の場合でも、必要に応じて接着層を介して、積層してもよい。又は、予め製膜された吸水層(又は硫黄系ガス吸収層)用のフィルムを、エクストルージョンコート法、ドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法等により積層された接着層を介して積層、接着してもよい。そして、必要に応じてエージング処理を行ってもよい。
【0137】
第1の態様において、例えば、エクストルージョンコート法により吸水層などを積層する場合においては、まず、吸水層などの層を形成する樹脂組成物を加熱して溶融させて、Tダイスで必要な幅方向に拡大伸張させてカーテン状に押出し又は共押出し、該溶融樹脂を被積層面上へ流下させて、ゴムロールと冷却した金属ロールとで挟持することで、吸水層など層の形成と、被積層面への積層及び接着を同時に行うことができる。エクストルージョンコート法により積層する場合の各層に含まれる樹脂成分のメルトフローレート(MFR)は、0.2~50g/10分が好ましく、0.5~30g/10分がより好ましい。MFRが上記範囲よりも小さい、又は大きいと加工適性が劣り易い。なお、本明細書において、MFRとはJIS K7210に準拠した手法から測定された値である。
【0138】
第1の態様において、インフレーション法を用いる場合の各層に含まれる樹脂成分のメルトフローレート(MFR)は、0.2~10g/10分が好ましく、0.2~9.5g/10分がより好ましい。MFRが上記範囲よりも小さい又は大きいと、加工適性が劣り易い。
【0139】
第2の態様において、硫黄系ガス吸収層(吸水層)などのフィルム20を構成する層を、押出し又は共押出しで、エクストルージョンコート法で積層したり、インフレーション法やキャスト法により製膜後に接着層を介して積層したりすることもできる。エクストルージョンコート法の場合でも、必要に応じて接着層を介して、積層してもよい。又は、予め製膜された硫黄系ガス吸収層(又は吸水層)用のフィルムを、エクストルージョンコート法、ドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法等により積層された接着層を介して積層、接着してもよい。そして、必要に応じてエージング処理を行ってもよい。
【0140】
第2の態様において、例えば、エクストルージョンコート法により硫黄系ガス吸収層などを積層する場合においては、まず、硫黄系ガス吸収層などの層を形成する樹脂組成物を加熱して溶融させて、Tダイスで必要な幅方向に拡大伸張させてカーテン状に押出し又は共押出し、該溶融樹脂を被積層面上へ流下させて、ゴムロールと冷却した金属ロールとで挟持することで、硫黄系ガス吸収層など層の形成と、被積層面への積層及び接着を同時に行うことができる。エクストルージョンコート法により積層する場合の各層に含まれる樹脂成分のメルトフローレート(MFR)は、0.2~50g/10分が好ましく、0.5~30g/10分がより好ましい。MFRが上記範囲よりも小さい、又は大きいと加工適性が劣り易い。なお、本明細書において、MFRとはJIS K7210に準拠した手法から測定された値である。
【0141】
第2の態様においても、インフレーション法を用いる場合の各層に含まれる樹脂成分のメルトフローレート(MFR)は、0.2~10g/10分が好ましく、0.2~9.5g/10分がより好ましい。MFRが上記範囲よりも小さい又は大きいと、加工適性が劣り易い。
【0142】
また、本実施形態において、フィルム20を構成する各層間には、接着性を向上させるために、各層の表面に、必要に応じて、予め、所望の表面処理を施すことができる。例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス又は窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いたる酸化処理等の前処理を任意に施して、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層等を形成して設けることができる。或いは、表面に、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層、接着剤層、蒸着アンカーコート剤層等の各種コート剤層を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。上記の各種コート剤層には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンもしくはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂又はその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を用いることができる。
【0143】
本実施形態において、フィルム20を構成する各層は、さらに、必要に応じて、テンター方式やチューブラー方式等を利用して、従来公知の方法によって、1軸延伸又は2軸延伸することができる。
【0144】
<1-3.蓄電デイバスの製造方法>
図8は、蓄電デバイス10の製造手順を示すフローチャートである。
図8に示される工程は、例えば、蓄電デバイス10の製造装置によって行なわれる。
【0145】
製造装置は、電極体200へ外装部材101を巻き付ける(ステップS100)。製造装置は、外装部材101の互いに向き合う面(熱融着性樹脂層)同士をヒートシールすることによって第1封止部110を形成する(ステップS110)。これにより、
図4、
図5に示される未完成品が出来上がる。
【0146】
製造装置は、第1封止部110が第2面140に接するように第1封止部110を折り曲げる(ステップS120)。製造装置は、電極体200を収納した状態で外装部材101を折り畳み、外装部材101の互いに向き合う面(熱融着性樹脂層)同士をヒートシールすることによって第2封止部120を形成する(ステップS130)。これにより、蓄電デバイス10が完成する。
【0147】
<1-4.特徴>
第1の態様のフィルム20を備える蓄電デバイス10は、フィルム20が吸水剤を含んでいるため、外装部材101の熱融着性樹脂層101Cから浸入した水分をフィルム20が吸水・保持することで、電極体200にまで水分が到達することを抑制することができる。第2の態様のフィルム20を備える蓄電デバイス10は、フィルム20が硫黄系ガス吸収剤を含んでいるため、電極体200から発生した硫化水素がフィルム20によって吸収される。このため、外装体100の内圧が過度に上昇することを抑制できる。
【0148】
また、第1実施形態に従う蓄電デバイス10においては、面積の小さい第2面140側に第1封止部110が折り曲げられている。すなわち、面積の大きい第1面130上には第1封止部110が存在しない。したがって、第1面130上に他の蓄電デバイス10が載置されたとしても該他の蓄電デバイス10は傾かない。その結果、蓄電デバイス10によれば、複数の蓄電デバイス10を積み重ねた場合に下方の蓄電デバイス10に掛かる圧力の分布のムラを抑制することができる。また、全固体電池に使用される場合には、電池性能を発揮させるために高い圧力を電池外面から均一に掛けることが必要とされるため、本発明の包装形態が好ましい。また、蓄電デバイス10においては、第1封止部110の付け根部分が外装体100の辺135上にある。したがって、蓄電デバイス10によれば、第1封止部110を第2面140上に納まらせる場合に、第1封止部110の付け根部分が第2面140上にあるときと比較して、第1封止部110における接合幅を広く確保することができる。
【0149】
[2.第2実施形態]
第1実施形態に従う蓄電デバイス10においては、外装部材101を折り畳み、外装部材101の互いに向き合う面同士をヒートシールすることによって第2封止部120が形成された。しかしながら、第2封止部120の形状及び形成方法はこれに限定されない。なお、以下では第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1実施形態と共通する部分については説明を省略する。
【0150】
<2-1.蓄電デバイスの構成>
図9は、第2実施形態に従う蓄電デバイス10Xを模式的に示す平面図である。
図10は、蓄電デバイス10Xを模式的に示す側面図である。
図11は、蓋体400を模式的に示す斜視図である。
【0151】
図9、
図10及び
図11を参照して、外装体100Xは、電極体200に巻き付けられた外装部材101の両端の開口部の各々に蓋体400を嵌め込むことによって構成されている。蓋体400が嵌め込まれた状態で、外装部材101と蓋体400とをヒートシールすることによって第2封止部120Xが形成されている。
【0152】
蓋体400は、平面視矩形状の有底トレイ状部材であり、外装部材101を例えば冷間成形することによって形成されている。なお、蓋体400は、必ずしも外装部材101で構成されている必要はなく、金属成形品であってもよいし、樹脂成形品であってもよい。すなわち、蓋体400を構成する材料は、樹脂材料および金属材料の少なくとも一方を含んでいてもよい。例えば、蓋体400は、金属材料を含んで構成される本体部と、本体部の一部を被覆し、樹脂材料を含んで構成される被覆体と、を有していてもよい。被覆体は、樹脂成形品の枠状の物体であってもよく、金属材料および樹脂材料の両方に好適に接合する接着性フィルムであってもよい。本体部は、被覆体を介して外装部材101と接合されることが好ましい。蓄電デバイス10Xにおいては、蓋体400の底面側が外装体100Xの内側に位置するように蓋体400が配置されている。なお、蓄電デバイス10Xにおいては、必ずしも蓋体400の底面側が外装体100Xの内側に位置していなくてもよい。蓄電デバイス10Xにおいて、蓋体400の底面側が外装体100Xの外側に位置していてもよい。蓋体400が金属成形品又は樹脂成形品である場合、蓄電デバイス10Xが重ねて配置された場合であっても、外装体100Xが変形することが抑制されるように、蓋体400を構成する材料は、ある程度の厚さを有していることが好ましい。蓋体400を構成する材料の厚さの最小値は、例えば、1.0mmであり、3mmがより好ましく、4mmがさらに好ましい。蓋体400を構成する材料の厚さの最大値は、例えば、10mmであり、8.0mmがより好ましく、7.0mmがさらに好ましい。蓋体400を構成する材料の厚さの最大値は、10mm以上であってもよい。蓋体400を構成する材料の厚さの好ましい範囲は、1.0mm~10mm、1.0mm~8.0mm、1.0mm~7.0mm、3.0mm~10mm、3.0mm~8.0mm、3.0mm~7.0mm、4.0mm~10mm、4.0mm~8.0mm、4.0mm~7.0mmである。本開示において、蓋体400が金属成形品又は樹脂成形品と表現される場合、蓋体400を構成する材料としてフィルムは含まれない。フィルムとは、例えば、JIS(日本工業規格)の[包装用語]規格によって規定されるフィルムである。なお、JISの[包装用語]規格よって規定されるフィルムは、厚さが250μm未満のプラスチックの膜状のものである。なお、蓋体400を構成する材料の厚さは、蓋体400の部位によって異なっていてもよい。蓋体400を構成する材料の厚さが蓋体400の部位によって異なる場合、蓋体400を構成する材料の厚さは、最も厚い部分の厚さである。
【0153】
また、電極体200が収納された状態で電極端子300は、蓋体400と外装部材101との間を通って外装体100Xの外部に突出している。すなわち、蓋体400と外装部材101とは、電極端子300を挟んだ状態でヒートシールされている。なお、蓄電デバイス10Xにおいて、電極端子300が外部に突出する位置は、必ずしも蓋体400と外装部材101との間である必要はない。例えば、電極端子300は、外装体100Xが有する6面のうちいずれかの面に形成された孔から外部に突出していてもよい。この場合には、外装体100Xと電極端子300との間の僅かな隙間が、例えば、樹脂によって埋められる。
【0154】
また、蓄電デバイス10Xにおいては、蓋体400と電極端子300とが別体として設けられている。しかしながら、蓋体400と電極端子300とは必ずしも別体として設けられなくてもよい。例えば、蓋体400と電極端子300とは一体的に形成されていてもよい。
【0155】
図12は、蓋体400と電極端子300とが一体的に形成された第1の例を示す図である。
図12に示されるように、第1の例においては、蓋体400の側面に電極端子300が予めヒートシールされている。なお、例えば蓋体400が外装部材101で構成されている場合には、蓋体400と電極端子300との間に、第1実施形態で説明した金属及び樹脂の双方と接着する接着フィルムが配置されてもよい。接着フィルムを2層以上とする場合には、蓋体400と接合する側にポリオレフィン系樹脂からなる樹脂フィルムを配置することが好ましい。接着フィルムを2層以上とする場合には、電極端子300と接合する側にポリオレフィン系樹脂を無水マレイン酸等の酸でグラフト変性させた酸変性ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂フィルムを配置することが好ましい。
【0156】
図13は、蓋体400と電極端子300とが一体的に形成された第2の例を示す図である。
図13に示されるように、第2の例においては、蓋体400の底面部分に形成された孔を電極端子300が貫通している。蓋体400の底面の孔における僅かな隙間は、例えば、樹脂によって埋められている。
【0157】
また、蓄電デバイス10Xにおいては、第2封止部120X、又は、外装体100Xが有する6面のうちいずれかの面に形成された孔にガス弁が取り付けられていてもよい。ガス弁は、例えば、逆止弁又は破壊弁で構成され、蓄電デバイス10Xの内部において発生したガスに起因して外装体100Xの内部の圧力が上昇した場合に該圧力を低下させるように構成されている。
【0158】
<2-2.蓄電デバイスの製造方法>
図14は、蓄電デバイス10Xの製造手順を示すフローチャートである。
図14に示される工程は、例えば、蓄電デバイス10Xの製造装置によって行なわれる。
【0159】
製造装置は、電極体200へ外装部材101を巻き付ける(ステップS200)。製造装置は、外装部材101の互いに向き合う面(熱融着性樹脂層)同士をヒートシールすることによって第1封止部110を形成する(ステップS210)。これにより、
図4、
図5に示される未完成品が出来上がる。
【0160】
製造装置は、第1封止部110が第2面140に接するように第1封止部110を折り曲げる(ステップS220)。製造装置は、ステップS220において出来上がった未完成品に電極体200を収納しその両端の開口部の各々に蓋体400を取り付ける(ステップS230)。製造装置は、外装部材101と蓋体400とをヒートシールすることによって第2封止部120Xを形成する(ステップS240)。これにより、蓄電デバイス10Xが完成する。
【0161】
<2-3.特徴>
第2実施形態に従う蓄電デバイス10Xにおいても、面積の小さい第2面140側に第1封止部110が折り曲げられている。したがって、蓄電デバイス10Xによれば、複数の蓄電デバイス10Xを積み重ねた場合に下方の蓄電デバイス10Xに掛かる圧力の分布のムラを抑制することができる。
【0162】
<2-4.他の特徴>
なお、第2実施形態に従う蓄電デバイス10Xにおいて、第1封止部110は、必ずしも面積の小さい第2面140側に折り曲げられていなくてもよい。例えば、第1封止部110は、面積の大きい第1面130側に折り曲げられていてもよい。また、第1封止部110の付け根部分は、必ずしも外装体100Xの辺135上になくてもよい。第1封止部110の付け根部分は、例えば、外装体100Xにおける蓋体400以外の面上に位置していてもよい。この場合であっても、第2実施形態に従う蓄電デバイス10Xには、例えば、以下のような特徴が含まれている。
【0163】
蓄電デバイス10Xは、電極体(電極体200)と、電極体(電極体200)を封止する外装体(外装体100X)とを備え、外装体(外装体100X)は、電極体(電極体200)に巻き付けられており、両端部に開口が形成された外装部材(外装部材101)と、上記開口を封止する蓋体(蓋体400)とを備える。
【0164】
蓄電デバイス10Xにおいては、第1実施形態のように外装部材101の互いに向き合う面同士がヒートシールされることによって第2封止部120Xが形成されているわけではない(
図7参照)。蓄電デバイス10Xにおいては、電極体200に巻き付けられた外装部材101の開口が蓋体400によって封止されている。すなわち、蓋体400と外装部材101とが重なる部分に第2封止部120Xが形成されている(
図9及び
図10参照)。このような構成によれば、蓋体400の深さL3(
図11)を調整することで、第2封止部120Xの領域を容易に狭くすることができる。
【0165】
また、蓄電デバイス10Xにおいては、外装部材101のうち電極体200の角C1(
図9及び
図10)を覆う位置において、角C1が外装部材101に突き刺さることによる過度な負荷が生じない。上述のように、蓄電デバイス10Xにおいては、第1実施形態のように外装部材101の互いに向き合う面同士がヒートシールされることによって第2封止部120Xが形成されているわけではないためである。
【0166】
また、蓄電デバイス10Xの製造手順は、
図14のフローチャートに示される手順に限定されない。例えば、
図15のフローチャートに示される手順で蓄電デバイス10Xが製造されてもよい。
【0167】
図15は、第2実施形態に従う蓄電デバイス10Xの別の製造手順を示すフローチャートである。
図15に示される工程は、例えば、蓄電デバイス10Xの製造装置によって行なわれる。製造装置は、電極端子300と蓋体400とが一体となった部材(例えば、
図12,13に示される部材)を電極体200へ取り付ける(ステップS250)。例えば、電極端子300が電極体200へ溶接される。その後、製造装置は、電極体200へ外装部材101を巻き付ける(ステップS260)。製造装置は、外装部材101の互いに向き合う面(熱融着性樹脂層)同士をヒートシールすることによって第1封止部110を形成するとともに、外装部材101と蓋体400とをヒートシールすることによって第2封止部120Xを形成する(ステップS270)。これによって、蓄電デバイス10Xが完成する。蓄電デバイス10Xは、このような手順によって製造されてもよい。
【0168】
[3.第3実施形態]
電池製造工程の電極体に電解液を浸透させるなどを目的として仮封止状態の蓄電デバイスを所定温度環境で所定時間エージングする工程(以下、エージング工程という)を経ることが一般的であり、エージング工程で電極体200からガスが発生し当該ガスを電池外部に排出することが必要となる。第2実施形態に従う蓄電デバイス10Xにおいては、エージング工程で発生したガスを蓄電デバイス10Xの製造の最終段階で抜くための機構が設けられていなかった。第3実施形態に従う蓄電デバイス10Yにおいては、電極体200から発生したガスを蓄電デバイス10Yの製造の最終段階で抜くための機構が設けられている。なお、以下では第2実施形態と異なる部分を中心に説明し、第2実施形態と共通する部分については説明を省略する。
【0169】
<3-1.蓄電デバイスの構成>
図16は、蓄電デバイス10Yの製造途中において、電極体200に外装部材101Yが巻き付けられた状態を側方から示す図である。
図17は、蓄電デバイス10Yの製造途中において、電極体200に外装部材101Yが巻き付けられ、外装部材101Yに蓋体400が取り付けられた状態を下方から示す図である。
【0170】
図16及び
図17に示されるように、電極体200に外装部材101Yが巻き付けられた状態で、片部150が形成されている。片部150は、電極体200に外装部材101Yが巻き付けられた状態で外装部材101Yの互いに向き合う面同士を接合することによって形成されている。より詳細には、片部150は、外装部材101Yが電極体200に巻き付けられた状態で互いに向き合う面の周縁同士を接合(ヒートシール)することによって形成されている。すなわち、片部150においては、周縁に第1封止部154が形成されている。
【0171】
また、片部150においては、外装部材101Yの互いに向き合う面同士が接合していない空間152が形成されている。辺135の近傍においては、外装部材101Yの互いに向き合う面同士が接合した接合領域151と、外装部材101Yの互いに向き合う面同士が接合していない未接合領域153とが交互に並んでいる。すなわち、片部150においては、辺135に沿って、接合領域151のパターンが形成されている。
【0172】
電極体200から発生したガスは、片部150の一部分を切り取る等して、外装体100Yの封止状態を解除することによって、外装体100Yの外部へ排出される。なお、ここで外装体100Yの外部へ排出されるガスは、必ずしも電極体200から発生したガスに限定されず、空気、水蒸気又は硫化水素等の電極体200から発生したガス以外のガスであってもよい。
【0173】
その後、辺135付近を含む部分を帯状にヒートシールすることによって、再び外装体100Yが封止状態となる。これにより、蓄電デバイス10Yが完成する。完成した蓄電デバイス10Yにおいては、辺135の近傍において、外装部材101Yの互い向き合う面同士の接合力が強い領域と、面同士の接合力が弱い領域とが辺135に沿って交互に並んでいる。換言すると、辺135近傍のヒートシールされた部分においては、薄い部分と厚い部分とが辺135に沿って交互に並んでいる。これは、辺135付近が再度ヒートシールされることによって、未接合領域153は一重シールされることになるが、接合領域151は二重シールされることになるためである。
【0174】
<3-2.蓄電デバイスの製造方法>
図18は、蓄電デバイス10Yの製造手順を示すフローチャートである。
図18に示される工程は、例えば、蓄電デバイス10Yの製造装置によって行なわれる。
【0175】
製造装置は、電極体200へ外装部材101Yを巻き付ける(ステップS300)。製造装置は、外装部材101Yの互いに向き合う面(熱融着性樹脂層)の周縁同士をヒートシールすることによって第1封止部154を形成する(ステップS310)。製造装置は、辺135の近傍の外装部材101Yの互いに向き合う面同士をヒートシールすることによって接合領域151のパターンを形成する(ステップS320)。
【0176】
製造装置は、ステップS320において出来上がった未完成品に電極体200を収納した状態で両端の開口部の各々に蓋体400を取り付ける(ステップS330)。製造装置は、外装部材101Yと蓋体400とをヒートシールすることによって第2封止部120Xを形成する(ステップS340)。その後、エージング工程を経る。
【0177】
製造装置は、片部150を切り取る等することによってエージング工程で発生したガスのガス抜きを行なう(ステップS350)。製造装置は、片部150の接合領域151を含む部分を帯状にヒートシールするとともに端縁部を除去することによって外装体100Yを再封止する(ステップS360)。その後、片部150が第2面140側に折り曲げられることによって、蓄電デバイス10Yが完成する。
【0178】
<3-3.特徴>
第3実施形態に従う蓄電デバイス10Yにおいても、面積の小さい第2面140側に第1封止部154を含む片部150が折り曲げられている。したがって、蓄電デバイス10Yによれば、複数の蓄電デバイス10Yを積み重ねた場合に下方の蓄電デバイス10Yに掛かる圧力の分布のムラを抑制することができる。全固体電池に使用される場合には、電池性能を発揮させるために高い圧力を電池外面から均一に掛けることが必要とされるため、本発明の包装形態が好ましい。
【0179】
[4.第4実施形態]
第2実施形態に従う蓄電デバイス10Xにおいては、電極端子300が外部に突出する位置は、蓋体400と外装部材101との間であった。しかしながら、電極端子300が外部に突出する位置は、これに限定されない。なお、以下では第2実施形態と異なる部分を中心に説明し、第2実施形態と共通する部分については説明を省略する。
【0180】
<4-1.蓄電デバイスの構成>
図19は、第4実施形態に従う蓄電デバイス10XAを模式的に示す平面図である。
図20は、蓄電デバイス10XAを模式的に示す側面図である。蓄電デバイス10XAの外装体100Xは、平面視において、一対の長辺100XA、及び、一対の短辺100XBを含む。外装体100Xは、電極体200に巻き付けられた外装部材101の長辺100XAに沿う開口部の各々に蓋体400を嵌め込むことによって構成されている。蓋体400が嵌め込まれた状態で、外装部材101と蓋体400とをヒートシールすることによって第2封止部120Xが形成されている。蓋体400には、貫通孔(図示略)が形成される。2つの電極端子300は、蓋体400の貫通孔から外装体100Xの外部に突出する。2つの電極端子300は、外装体100Xの長辺100XAに沿う形状である。貫通孔と電極端子300との僅かな隙間は、例えば樹脂によって埋められる。第4実施形態では、第1封止部110は、一対の短辺100XBのうちの一方側に形成される。
【0181】
蓄電デバイス10XAの厚み方向(矢印UD方向)において、蓋体400のうちの電極端子300が突出する位置は、任意に選択可能である。第4実施形態では、
図20に示されるように、電極端子300は、蓄電デバイス10XAの厚み方向において、蓋体400の概ね中央から外装体100Xの外部に突出する。蓄電デバイス10XAの奥行方向(矢印FB方向)における電極端子300の長さは、任意に選択可能である。第4実施形態では、蓄電デバイス10XAの奥行方向(矢印FB方向)における電極端子300の長さは、電極体200の長さと実質的に同じである。
【0182】
<4-2.特徴>
第4実施形態に従う蓄電デバイス10XAでは、奥行方向の長さが長い長辺100XAに沿うように電極端子300が配置されているため、より大きな電極端子300を用いることができる。このため、高出力の蓄電デバイス10XAを提供できる。
【0183】
[5.変形例]
上記各実施形態は本発明に関する蓄電デバイスが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に関する蓄電デバイスは、上記各実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、上記各実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、又は、上記各実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に上記各実施形態の変形例の幾つかの例を示す。なお、上記各実施形態は、技術的に矛盾しない範囲において、組み合わせることもできる。
【0184】
<5-1>
第1~第4実施形態において、電極体200には1枚の外装部材が巻き付けられた。しかしながら、電極体200に巻き付けられる外装部材は必ずしも1枚である必要はない。例えば、電極体200には、2枚以上の外装部材が巻き付けられてもよい。
【0185】
図21は、変形例における蓄電デバイスの製造途中において、電極体200に外装部材101Z1,101Z2が巻き付けられた状態を側方から示す図である。
図21に示されるように、電極体200は、外装部材101Z1,101Z2によって周囲を覆われている。外装部材101Z1,101Z2の対向する面同士が接合することによって第1封止部110Zが形成されている。この例では、各第1封止部110Zが、第1面130Z側ではなく、第2面140Z側に折り曲げられる。このような構成であっても、複数の蓄電デバイスを積み重ねた場合に下方の蓄電デバイスに掛かる圧力の分布のムラを抑制可能という効果を奏することができる。全固体電池に使用される場合には、電池性能を発揮させるために高い圧力を電池外面から均一に掛けることが必要とされるため、本発明の包装形態が好ましい。なお、この例において、各第1封止部110Zは必ずしも折り曲げられる必要はない。また、この変形例において、各封止部110Zは、電極端子300の一部を挟んだ状態で封止されてもよい。さらに、この変形例では、各第1封止部110Zは、辺135Zに形成される必要はなく、蓄電デバイスの厚み方向において、第2面140Zの概ね中央から外部に突出していてもよい。
【0186】
<5-2>
また、第1~第4実施形態において、電極体200は、複数の電極210を積層することによって構成された所謂スタック型であったが、電極体200の形態はこれに限定されない。電極体200は、例えば、セパレータを介して正極及び負極を巻回することによって構成された所謂巻回式であってもよい。また、電極体200は、所謂巻回式の電極体を複数積層することによって構成されてもよい。
【0187】
<5-3>
また、第1~第4実施形態において、第2面140は第1面130から略直角に下方に延びる平面とされた。しかしながら、第2面140の形態はこれに限定されない。例えば、電極体200が巻回式の電極体であり外周に平面と曲面とが形成されている場合を考える。ここで、平面の面積が曲面の面積よりも大きく、第1面130が電極体の平面を覆い、第2面140が電極体の曲面を覆うとする。この場合には、第2面140が曲面で構成されていてもよい。この場合には、第1面130から第2面140が下方に延びだす境界部分が辺135ということになる。
【0188】
<5-4>
また、第3実施形態において、接合領域151は4箇所に形成された。しかしながら、接合領域151が形成される箇所の数はこれに限定されない。例えば、接合領域151は、辺135に沿った両端近傍の2箇所や、辺135の中央近傍の1箇所にのみ形成されてもよいし、5箇所以上に形成されてもよい。
【0189】
<5-5>
また、第2実施形態において、電極端子300は、第2封止部120Xに配置されたが、外装体100Xにおいて、電極端子300が配置される位置は、これに限定されない。例えば、
図22に示されるように、第2実施形態において、電極端子300は、第1封止部110に配置することもできる。換言すれば、第1封止部110は、電極端子300を挟んだ状態で封止される。この変形例では、2つの電極端子300の少なくとも一方は、第2面140側に折り曲げられてもよく、第2面140と反対側に折り曲げられてもよく、又は、辺135から外方に突出するように折り曲げられていなくてもよい。この変形例では、電極端子300と第1封止部110とを容易にシールできるため、外装体100Xの密封性が高められる。また、外装体100Xに電極体200を容易に収容できる。なお、この変形例では、例えば、第2実施形態のように外装部材101Xの両端の開口部の各々に蓋体400が嵌め込まれる。蓋体400が嵌め込まれた状態で、外装部材101Xと蓋体400とをヒートシールすることによって第2封止部120が形成される。なお、第1実施形態においても、電極端子300を第1封止部110に配置してもよい。
【0190】
<5-6>
また、第2実施形態において、蓋体400の構成は、任意に変更可能である。
図23は、蓋体400の変形例の蓋体500を示す斜視図である。蓋体500は、例えば、板状であり、電極体200(
図9参照)と面する第1面500A、及び、第1面500Aと反対側の第2面500Bを含む。蓋体500の中央には、第1面500A及び第2面500Bを貫通する孔500Cが形成される。蓋体500を構成する材料は、例えば、樹脂材料を含む。蓋体500は、金属材料を含んで構成されてもよい。すなわち、蓋体500を構成する材料は、樹脂材料および金属材料の少なくとも一方を含んでいてもよい。例えば、蓋体500は、金属材料を含んで構成される本体部と、本体部の一部を被覆し、樹脂材料を含んで構成される被覆体と、を有していてもよい。被覆体は、樹脂成形品の枠状の物体であってもよく、金属材料および樹脂材料の両方に好適に接合する接着性フィルムであってもよい。本体部は、被覆体を介して外装部材101と接合されることが好ましい。この変形例では、電極端子300のうちの蓋体500と接合される部分を含む所定範囲に電極端子300及び蓋体500の双方と接着する端子用接着フィルム530が取り付けられることが好ましい。端子用接着フィルム530に関する諸元は、第1実施形態で説明した端子用接着フィルム30の諸元と同様である。この変形例では、蓄電デバイス10Xの製造方法は、電極体200と電極端子300とを電気的に接続するステップと、蓋体500を製造するステップと、蓋体500の孔500Cに電極体200と接続された状態の電極端子300を挿入するステップ(
図24参照、以下では、「挿入ステップ」という)と、を含むようにしてもよい。
【0191】
蓋体500が板状である場合、蓄電デバイス10Xが重ねて配置された場合であっても、外装体100Xが変形することが抑制されるように、蓋体500は、ある程度の厚さを有していることが好ましい。別の観点では、蓋体500が板状である場合、第2封止部120Xを形成する際に、蓋体500の側面と外装部材101Xとを好適にヒートシールできるように、蓋体500の側面は、ある程度の厚さを有していることが好ましい。蓋体500の厚さの最小値は、例えば、1.0mmであり、3mmがより好ましく、4mmがさらに好ましい。蓋体500の厚さの最大値は、例えば、10mmであり、8.0mmがより好ましく、7.0mmがさらに好ましい。蓋体500の厚さの最大値は、10mm以上であってもよい。蓋体500を構成する材料の厚さの好ましい範囲は、1.0mm~10mm、1.0mm~8.0mm、1.0mm~7.0mm、3.0mm~10mm、3.0mm~8.0mm、3.0mm~7.0mm、4.0mm~10mm、4.0mm~8.0mm、4.0mm~7.0mmである。本開示において、蓋体500が板状と表現される場合、蓋体500を構成する材料としてJIS(日本工業規格)の[包装用語]規格によって規定されるフィルムは含まれない。なお、蓋体500の厚さは、蓋体500の部位によって異なっていてもよい。蓋体500の厚さが部位によって異なる場合、蓋体500の厚さは、最も厚い部分の厚さである。
【0192】
蓋体500は、第1部分510と第2部分520とに分割された部材によって構成され、第1部分510及び第2部分520が、電極端子300及び端子用接着フィルム530を挟み込むように接合することによって製造してもよい。なお、これらの変形例では、端子用接着フィルム530と孔530Cとの間に隙間が生じる場合、この隙間は、例えば、ホットメルト等の樹脂材料、又は、樹脂溶接によって埋められることが好ましい。
【0193】
蓋体500が第1部分510と第2部分520とに分割された部材によって構成される場合、電極端子300の幅LAと蓋体500の幅LBとの関係は、任意に選択可能である。電極端子300と蓋体500とをより強固に接合する観点から、幅LBに対する幅LAの割合RAは、50%以上であることが好ましい。
図25に示される例では、幅LAと幅LBとが実質的に等しい、換言すれば、割合RAは、100%である。割合RAが50%以上である場合、電極端子300のうちの蓋体500と接合される面積が広いため、電極端子300を加熱することにより、電極端子300と蓋体500とをより強固に接合することができる。なお、この変形例では、端子用接着フィルム530の幅LCは、電極端子300の幅LAと実質的に等しいことが好ましい。
【0194】
蓋体500は、端子用接着フィルム530が取り付けられた状態の電極端子300に対して蓋体500をインサート成形することによって製造してもよい。この場合の蓄電デバイス10Xの製造方法は、電極体200と電極端子300とを電気的に接続するステップと、電極体200と接続された状態の電極端子300に蓋体500をインサート成形するステップ(以下では、「インサート成形ステップ」という)と、を含む。インサート成形ステップの後、電極体200及び蓋体500に外装部材101が巻き付けられる。なお、インサート成形ステップでは、電極体200と蓋体500が形成される部分との間に電極体200を保護するための断熱材を配置することが好ましい。断熱材は、インサート成形ステップの後に除去されることが好ましい。
【0195】
また、これらの変形例では、
図26に示されるように、外装体100Xは、蓋体500が嵌め込まれた状態で、外装部材101と蓋体500の第2面500Bとを接合することによって第2封止部120Xが形成されてもよい。外装部材101と蓋体500の第2面500Bとの接合手段は、例えば、ヒートシールである。この変形例では、外装部材101が蓋体500のより広い範囲と接合されるため、外装体100Xの密封性が高められる。なお、端子用接着フィルム530を折り曲げることによって蓋体を構成し、端子用接着フィルム530の任意の箇所と外装部材101Xとを接合することによって、第2封止部120Xを形成してもよい。また、これらの変形例では、蓋体500の表面の少なくとも一部に、バリア層が積層されることが好ましい。又は、蓋体500が複数の層を有する場合、任意の層にバリア層を形成してもよい。バリア層を構成する材料は、例えば、アルミニウム、鋼鈑、又は、ステンレス鋼である。
【0196】
図27は、第2実施形態における蓋体400の別の変形例の蓋体600の正面図である。蓋体600は、表面に金属が露出した部分である金属部610を含み、金属部610と電極体200の電極210とが溶接される。蓋体600は、全体が金属部610のみで構成されてもよく、金属部610が部分的に形成されてもよい。金属部610が部分的に形成される場合、蓋体600は、金属層を含む多層構造の材料によって構成される。蓋体600が金属層を中間層とする多層構造の材料によって構成される場合、金属部610は、金属層が露出するように、金属層以外の層が部分的に除去された部分である。
図27に示される例では、蓋体600の金属部610が電極端子として機能するため、蓋体600と電極210との間のスペースが不要となる。このため、蓄電デバイス10X(
図9参照)を小型に構成できる。
【0197】
図28は、第2実施形態における蓋体400の別の変形例の蓋体700の正面図である。蓋体700は、金属材料によって構成される金属部710、及び、金属部710と繋がり、樹脂材料によって構成される非金属部720を含む。金属部710は、電極体200の電極210と溶接される。
図28に示される例では、蓋体700の金属部710が電極端子として機能するため、蓋体700と電極210との間のスペースが不要となる。このため、蓄電デバイス10X(
図9参照)を小型に構成できる。
【0198】
<5-7>
第2実施形態、または、第2実施形態の変形例の蓄電デバイス10Xは、第1実施形態で示したフィルム20を備えていてもよい。蓄電デバイス10Xにおいて、フィルム20が配置される箇所は、外装部材101のバリア層101B(
図2参照)よりも内側であれば任意に選択可能である。第1の態様のフィルム20を、外装部材101のバリア層101Bよりも内側に配置することによって、外装部材101の熱融着性樹脂層101Cの端部からの水分の浸入、及び、外装部材101の熱融着性樹脂層101Cに含まれる水分が電極体200に浸入することを抑制することができる。すなわち、第1の態様のフィルム20を備える蓄電デバイス10Xは、フィルム20が吸水剤を含んでいるため、外装部材101の熱融着性樹脂層101Cから浸入した水分をフィルム20が吸水・保持することで、電極体200にまで水分が到達することを抑制することができる。また、第2の態様のフィルム20を、外装部材101のバリア層101Bよりも内側に配置することによって、例えば、電極体200が全体固体電池である場合、全固体電池を構成する要素に含まれる固体電解質層と水分とが接触することによって発生した硫化水素等のガスを吸収することができる。すなわち、第2の態様のフィルム20を備える蓄電デバイス10Xは、フィルム20がガス吸収剤を含んでいるため、電極体200から発生した硫化水素等のガスがフィルム20によって吸収される。
【0199】
図29Aは、第2実施形態の蓄電デバイス10Xの変形例を示す断面図である。
図29Aに示される例では、フィルム20は、電極体200の上面及び下面の概ね全体を覆うように、外装部材101と電極体200との間に配置される。フィルム20と外装部材101の内面(熱融着性樹脂層101C)とは、接合されていてもよく、接合されていなくてもよい。フィルム20の少なくとも一部は、外装部材101と蓋体500との間に配置されてもよい。
【0200】
図29Bは、第2実施形態の蓄電デバイス10Xの別の変形例を示す断面図である。
図29Bに示される例では、フィルム20は、電極体200の側面の概ね全体を覆うように、蓋体500と電極体200との間に配置される。フィルム20と蓋体500の第1面500Aとは、接合されていてもよく、接合されていなくてもよい。フィルム20と蓋体500の第1面500Aとは、接触していてもよく、離間していてもよい。フィルム20は、電極体200の概ね全体を覆うように、外装部材101と電極体200との間に配置されてもよい。フィルム20と外装部材101の内面(熱融着性樹脂層101C)とは、接合されていてもよく、接合されていなくてもよい。
【0201】
図29Cは、第2実施形態の蓄電デバイス10Xの別の変形例を示す断面図である。
図29Cに示される例では、蓄電デバイス10Xは、電極端子300と蓋体500との間に、金属及び樹脂の双方と接着する端子用接着フィルム530を有する。
図29Cに示される例では、フィルム20が端子用接着フィルム530として用いられる。フィルム20は、少なくとも蓋体500の孔500Cに配置されることが好ましい。フィルム20は、蓋体500の孔500Cから露出していてもよい。蓋体500を備える蓄電デバイス10Xは、蓋体500の孔500Cから水分が侵入するおそれがある。第1の態様のフィルム20を備える蓄電デバイス10Xは、フィルム20が吸水剤を含んでいるため、蓋体500の孔500Cから浸入した水分をフィルム20が吸水・保持することで、電極体200にまで水分が到達することを抑制することができる。第2の態様のフィルム20を備える蓄電デバイス10Xは、フィルム20がガス吸収剤を含んでいるため、電極体200から発生した硫化水素等のガスがフィルム20によって吸収される。このため、蓋体500の孔500Cを介して硫化水素等のガスが外部に放出されにくい。
【0202】
図23に示されるように、蓋体500が少なくとも第1部分510と第2部分520とに分割された部材によって構成される場合、フィルム20は、第1部分510と第2部分520との間の少なくとも一部に配置してもよい。また、例えば、蓋体500が1パーツによって構成され、蓋体500の天面と外装部材101との間に電極端子300が配置される場合、端子用接着フィルム530としてのフィルム20は、蓋体500の天面と外装部材101との間に配置されてもよい。
【0203】
<5-8>
また、第1実施形態において第2封止部120は、外装部材101が折り畳まれ、外装部材101の熱融着性樹脂層同士がヒートシールされることによって形成された。しかしながら、第2封止部120の形成方法は、これに限定されない。
図30は、変形例の第2封止部120Yを有する蓄電デバイス10を模式的に示す平面図である。外装部材101は、外装体100の外方に延ばされた張出部101XAを有し、張出部101XAの熱融着性樹脂層同士がヒートシールされることによって第2封止部120Yが形成される。張出部101XAのうちの電極端子300が配置される部分は、張出部101XAの熱融着性樹脂層と電極端子300とがヒートシールされる。この変形例によれば、第2封止部120Yをより強固にヒートシールできるため、外装体100の密封性が高められる。なお、この変形例では、張出部101XAのうちの電極端子300とヒートシールされている部分以外は、必要に応じで切断されてもよい。なお、この変形例は、
図22に示される変形例にも適用できる。
【0204】
<5-9>
第1実施形態において、第1封止部110の形成方法は、任意に選択可能である。
図31に示されるように、例えば、製造装置は、ステップS110(
図8参照)において、外装体100のうちの第1封止部110が形成される予定の部分110Yの付け根135Xから離れた位置にシールバー800を押し付けることにより、第1封止部110を形成してもよい。この製造方法によれば、
図32に示されるように、第1封止部110は、シールバー800が押し付けられた痕跡である凹部110Xが形成される。外装体100のうち、凹部110Xが形成されている部分は、外装部材101の互いに向き合う面(熱融着性樹脂層)同士が直接的に接合される。外装体100のうちの凹部110Xと付け根135Xとの間において、外装部材101の互いに向き合う面の間には、外装部材101を構成する樹脂の一部が溶け出したポリだまり900が形成される。外装体100のうちの凹部110Xと付け根135Xと間の部分は、外装部材101の互いに向き合う面(熱融着性樹脂層)同士がポリだまり900を介して接合される。すなわち、この変形例では、第1封止部110は、外装部材101の互いに向き合う面同士が直接的に接合された部分、及び、外装部材101の互いに向き合う面同士がポリだまり900を介して接合された部分を含む。外部から水蒸気等が外装体100の内部に侵入することがポリだまり900によって妨げられるため、外装体100のバリア性が高められる。なお、部分110Yにシールバー800を押し付けるときには、ポリだまり900が形成される部分、換言すれば、凹部110Xと付け根135Xとの間の部分における外装部材101の互いに向き合う面同士は、接触していることが必要である。
【0205】
LR方向における付け根135Xとシールバー800の縁810との距離X、換言すれば、LR方向における付け根135Xと凹部110Xとの距離は、任意に選択可能である。より広い範囲にポリだまり900を形成する観点から、距離Xは、例えば、1mm以上であることが好ましく、1.5mm以上であることがさらに好ましく、1.7mm以上であることがさらに好ましい。第1封止部110をコンパクトに形成する観点から、距離Xは、例えば、10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがさらに好ましく、3mm以下であることがさらに好ましい。距離Xの好ましい範囲は、例えば、1mm以上10mm以下程度、1mm以上5mm以下程度、1mm以上3mm以下程度、1.5mm以上10mm以下程度、1.5mm以上5mm以下程度、1.5mm以上3mm以下程度、1.7mm以上10mm以下程度、1.7mm以上5mm以下程度、1.7mm以上3mm以下程度が挙げられる。距離Xは、例えば、2mmが最も好ましい。また、距離Xは、実質的に0であってもよい。距離Xが実質的に0の場合、付け根135Xとシールバー800の縁810とが実質的に一致するようにシールバー800が外装体100に押し付けられる。なお、実質的に一致とは、付け根135Xとシールバー800の縁810とが完全に一致する場合、及び、製造時の誤差等により、付け根135Xとシールバー800の縁810との位置が若干ずれている場合を含む。このため、距離Xが実質的に0とは、例えば、距離Xが1mm未満の場合も含む。これらの変形例は、第2~4実施形態にも同様に適用できる。なお、凹部110Xのうちのシールバー800の縁810に対応する部分の形状によっては、付け根135Xと凹部110Xとの距離が一定ではない場合がある。このような場合、距離Xは、FB方向における凹部110Xの中央と付け根135Xの中央との距離としてもよい。別の例では、距離Xは、付け根135Xと凹部110Xとの距離の最大値及び最小値を含む複数の値の平均値に基づいて算出してもよい。同様に、付け根135Xの形状によっては、付け根135Xと凹部110Xとの距離が一定ではない場合がある。このような場合、距離Xは、FB方向における付け根135Xの中央と凹部110Xの中央との距離としてもよい。別の例では、距離Xは、凹部110Xと付け根135Xとの距離の最大値及び最小値を含む複数の値の平均値に基づいて算出してもよい。
【0206】
第2実施形態において、
図33に示されるように、外装体100Xは、電解液の透過を抑制するバリア性フィルム91を含んでいてもよい。バリア性フィルム91は、少なくとも外装部材101Xの内面と電極体200との間に配置されることが好ましい。バリア性フィルム91は、外装部材101Xの内面に接合されていることが好ましい。バリア性フィルム91は、外装体100X内で発生したガスを透過できる材料であることが好ましい。バリア性フィルム91を構成する材料は、例えば、樹脂フィルム、又は、多孔質フィルム等である。外装体100Xが、バリア性フィルム91を有するため、電解液によって外装部材101Xが劣化することを抑制できる。
【0207】
第1実施形態において、
図34に示されるように、外装体100は、外装部材101の強度を高めるための緩衝性フィルム92を含んでいてもよい。緩衝性フィルム92は、外装部材101の内面のうちの少なくとも外装体100の角部100Zに配置されることが好ましい。外装体100が緩衝性フィルム92を含むため、外装体100にピンホールが発生することを抑制できる。緩衝性フィルム92を構成する材料は、例えば、ポリエステル系材料、ポリオレフィン系材料、または、フッ素系材料等である。この変形例では、
図34に示されるように、外装部材101の内面と電極端子300とを接合することによって、第2封止部120を形成してもよい。第2封止部120と電極体200との間の空間93は、電解液で満たされることが好ましい。
【0208】
第1実施形態において電極端子300と外装部材101との間には、金属及び樹脂の双方と接着する端子用接着フィルム30が配置されてもよい旨説明したが、他の実施形態においても同様に端子用接着フィルム30を配置してもよい。
【0209】
第2実施形態において、蓋体400と電極端子300との間には、第1実施形態と同様の金属及び樹脂の双方と接着する端子用接着フィルム30が配置されてもよい旨説明したが、他の実施形態においても同様に接着フィルムを配置してもよい。
【0210】
[6.実施例]
本願発明者は、実施例1、2、及び、比較例1の蓄電デバイスを製造し、電極体に水分が侵入するか否かを確認する試験を実施した。なお、以下では、説明の便宜上、実施例1、2、及び、比較例1の蓄電デバイスを構成する要素のうち、実施形態と同じ要素には、実施形態と同様の符号を付して説明する場合がある。
【0211】
実施例1、2、及び、比較例1の蓄電デバイスは、第2実施形態の蓄電デバイス10Xに準じた構成である。実施例1、2、及び、比較例1の蓄電デバイスは、2つの蓋体500(
図23参照)を備える。ただし、実施例1、2、及び、比較例1の蓄電デバイスは、2つの蓋体500が第1部分510と第2部分520とに分割されていない。2つの蓋体500の大きさは、幅100mm、高さ30mm、及び、厚さ5mmである。実施例1、2、及び、比較例1の蓄電デバイスは、電極体200の代わりにアルミニウムブロックを有する。アルミニウムブロックの大きさは、幅100mm、高さ30mm、及び、厚さ150mmである。
【0212】
本願発明者は、2つの蓋体500の第1面500Aに第1の態様のフィルム20を接合した。1枚のフィルム20の大きさは、幅100mm、高さ30mmである。フィルム20は試験前(封入前)に真空オーブン(-50MPa)で24時間静置して乾燥させたものを使用した。実施例1の蓄電デバイスは、2つの蓋体500の第1面500Aのそれぞれに、フィルム20が3枚重ねて接合される。実施例2の蓄電デバイスは、2つの蓋体500の第1面500Aのそれぞれにフィルム20が6枚重ねて接合される。実施例1、2の蓄電デバイスでは、フィルム20は、蓋体500の第1面500Aの概ね全体を覆う。比較例1の蓄電デバイスは、蓋体500にフィルム20が接合されない。
【0213】
本願発明者は、アルミニウムブロック、及び、フィルム20が接合された2つの蓋体500に外装部材101を巻き付け、第1封止部110を形成した。外装部材101の大きさは、300mm×160mmの長方形状である。第1封止部110を形成する際のヒートシール条件は、温度が190℃、圧力が1MPa、及び、時間が3秒である。
【0214】
次に、本願発明者は、2つの蓋体500の側面(合計8辺)と外装部材101とをヒートシールすることによって、第2封止部120を形成した。第2封止部120を形成する際のヒートシール条件は、温度が180℃、圧力が0.2MPa、及び、時間が5秒である。
【0215】
次に、本願発明者は、実施例1、2、及び、比較例1の蓄電デバイスを蓋体500の端部から80mmの位置で半分にカットして開口部を形成し、開口部からアルミニウムブロックを取り出した。その後、開口部から塩なし電解液(EC:DMC:DEC=1:1:1)20gを注液し、その後、開口部に存在する熱融着性樹脂層101C同士を7mm幅シールバーで2回強ヒートシールすることによって閉じた。2回目の強ヒートシールの際には、1回目の強ヒートシール部分と4mm重なるように強ヒートシールした。このため、開口部のシール幅は、10mmである。開口部に存在する熱融着性樹脂層101C同士を強ヒートシールする際のヒートシール条件は、温度が220℃、圧力が0.45MPa、及び、時間が3秒である。
【0216】
実施例1、2、及び、比較例1の蓄電デバイスを温度65℃、湿度90%の恒温槽に1週間放置した後、外装部材101の任意の箇所を開封して、中の塩なし電解液の水分量をカールフィッシャー法にて測定した。本試験に用いたカールフィッシャー水分計は、京都電子工業株式会社製のカールフィッシャー水分計MKC-610である。使用した陽極液は、ケムアクア陽極液AGEであり、陰極液は、ケムアクア陰極液CGEである。実施例1、2、及び、比較例1の蓄電デバイスについて、試験後の塩なし電解液の水分量を試料1gで3回測定し、3回の平均値を測定結果とした。なお、試料1gとは、0.95g~1.05g程度の誤差を含む。
【0217】
実施例1の蓄電デバイスは、試験前の塩なし電解液の水分量を差し引いた試験後の塩なし電解液の水分量が3mgであった。実施例2の蓄電デバイスは、試験前の塩なし電解液の水分量を差し引いた試験後の塩なし電解液の水分量が1.5mgであった。比較例1の蓄電デバイスは、試験前の塩なし電解液の水分量を差し引いた試験後の塩なし電解液の水分量が25mgであった。
【0218】
実施例1、2の蓄電デバイスは、試験前の電解液の水分量と比較して、電解液の水分量が僅かにしか増加していないことが確認された。この結果から、第1の態様のフィルム20を備える蓄電デバイスは、外装部材101の熱融着性樹脂層101Cの端部からの水分の浸入、及び、外装部材101の熱融着性樹脂層101Cに含まれる水分が電極体200に浸入することを抑制することができると考えられる。
【0219】
[7.付記事項]
上記各実施形態のフィルム20の第1の態様は、以下に示す事項を含む。
【0220】
項1A. 蓄電デバイスのうちの外装部材のバリア層よりも内側に配置される蓄電デバイス用樹脂フィルムであって、吸水剤を含む、蓄電デバイス用樹脂フィルム。
項2A. 前記吸水剤は、無機系吸水剤である、項1Aに記載の蓄電デバイス用樹脂フィルム。
項3A. 前記吸水剤は、酸化カルシウム、無水硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化カルシウム、ゼオライト、酸化アルミニウム、シリカゲル、アルミナゲル、及び焼ミョウバンからなる群より選択される少なくとも1種である、項1A又は2Aに記載の蓄電デバイス用樹脂フィルム。
項4A. 前記蓄電デバイス用樹脂フィルムに含まれる樹脂100質量部に対して、前記吸水剤の含有量が、0.1質量部以上である、項1A~3Aのいずれか1項に記載の蓄電デバイス用樹脂フィルム。
項5A. 2層以上により構成されている、項1A~4Aのいずれか1項に記載の蓄電デバイス用樹脂フィルム。
項6A. 前記2層以上の層のうち、少なくとも1層が前記吸水剤を含み、少なくとも1層が硫黄系ガス吸収剤を含む、項5Aに記載の蓄電デバイス用樹脂フィルム。
項7A. 前記蓄電デバイス用樹脂フィルムの前記吸水剤を含む層は、樹脂100質量部に対して、前記吸収剤を0.5質量以上含む、項1A~6Aのいずれか1項に記載の蓄電デバイス用樹脂フィルム。
項8A. 熱融着性樹脂を含む、項1A~7Aのいずれか1項に記載の蓄電デバイス用樹脂フィルム。
項9A. 前記熱融着性樹脂が、ポリエステル及びポリオレフィンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、項8Aに記載の蓄電デバイス用樹脂フィルム。
【0221】
上記各実施形態のフィルム20の第2の態様は、以下に示す事項を含む。
項1B.蓄電デバイスのうちの外装部材のバリア層よりも内側に配置される蓄電デバイス用樹脂フィルムであって、硫黄系ガス吸収剤を含む、蓄電デバイス用樹脂フィルム。
項2B. 前記蓄電デバイス用樹脂フィルムに含まれる樹脂100質量部に対して、前記硫黄系ガス吸収剤の含有量が、0.1質量部以上である、項1Bに記載の蓄電デバイス用樹脂フィルム。
項3B. 前記硫黄系ガス吸収剤は、最大粒子径が20μm以下であり、数平均粒子径が0.1μm以上、15μm以下である、項1B又は2Bに記載の蓄電デバイス用樹脂フィルム。
項4B. 前記硫黄系ガス吸収剤は、硫黄系ガス化学吸収剤及び硫黄系ガス物理吸収剤からなる群より選択される少なくとも1種を含む、項1B~3Bのいずれか1項に記載の蓄電デバイス用樹脂フィルム。
項5B. 前記硫黄系ガス物理吸収剤が、SiO2/Al2O3モル比が1/1~2000/1の疎水性ゼオライト、ベントナイト及びセピオライトからなる群より選択される少なくとも1種を含む、項4Bに記載の蓄電デバイス用樹脂フィルム。
項6B. 前記硫黄系ガス化学吸収剤が、金属酸化物であるか、金属もしくは金属イオンが担持又は混入された無機物である、項4B又は5Bに記載の蓄電デバイス用樹脂フィルム。
項7B. 前記金属酸化物が、CuO、ZnO及びAgOからなる群より選択される少なくとも1種を含む、項6Bに記載の蓄電デバイス用樹脂フィルム。
項8B. 前記の金属もしくは金属イオンが担持又は混入された無機物における金属種が、Ca、Mg、Na、Cu、Zn、Ag、Pt、Au、Fe、Al及びNiからなる群より選択される少なくとも1種である、項6B又は7Bに記載の蓄電デバイス用樹脂フィルム。
項9B. 前記蓄電デバイス用樹脂フィルムの前記硫黄系ガス吸収剤を含む層は、樹脂100質量部に対して、前記硫黄系ガス吸収剤を5質量以上含む、項1B~8Bのいずれか1項に記載の蓄電デバイス用樹脂フィルム。
項10B. 熱融着性樹脂を含む、項1B~9Bのいずれか1項に記載の蓄電デバイス用樹脂フィルム。
項11B. 前記熱融着性樹脂が、ポリエステル及びポリオレフィンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、項10Bに記載の蓄電デバイス用樹脂フィルム。
【符号の説明】
【0222】
10,10X,10XA,10Y,10Z 蓄電デバイス
20 蓄電デバイス用樹脂フィルム
30 端子用接着フィルム
100,100X,100Y 外装体
101,101Y,101Z1,101Z2 外装部材
101A 基材層
101B バリア層
101C 熱融着性樹脂層
101Z 積層体
101X 張出部
110,110Z,154 第1封止部
110X 凹部
120,120X,120Y 第2封止部
130,130Z 第1面
135,135Z 辺1
35X 付け根
140,140Z 第2面
150 片部
151 接合領域
152 空間
153 未接合領域
200 電極体
210 電極
215 集電体
300 電極端子
500A 第1面
500B 第2面
400,500,700 蓋体
610,710 金属部
800 シールバー
C1 角。