(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】デジタル資産を用いたデビットサービス提供システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/26 20120101AFI20241022BHJP
【FI】
G06Q20/26
(21)【出願番号】P 2022099265
(22)【出願日】2022-06-20
【審査請求日】2024-05-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】313004816
【氏名又は名称】西本 一也
(73)【特許権者】
【識別番号】519249262
【氏名又は名称】株式会社デジタルアセットマーケッツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001405
【氏名又は名称】弁理士法人篠原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100065824
【氏名又は名称】篠原 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100104983
【氏名又は名称】藤中 雅之
(74)【代理人】
【識別番号】100166394
【氏名又は名称】鈴木 和弘
(72)【発明者】
【氏名】西本 一也
【審査官】池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-099676(JP,A)
【文献】国際公開第2022/018433(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0087844(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111539814(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0083761(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0132633(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0082365(US,A1)
【文献】特表2022-517744(JP,A)
【文献】特開2020-030631(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トークン類(ブロックチェーン等の分散技術においてデジタルで定義される価値などの総称)、デジタル通貨、トークン類とデジタル通貨、もしくはトークン類同士、デジタル通貨同士など、あらゆる形態のデジタル資産間による取引を管理するための、少なくとも1種類のブロックチェーン等の分散技術における分散型台帳と、該分散型台帳に管理されるデジタル資産を用いた所定の処理を行うためのスマートコントラクトを備えて構築される、デジタル資産を用いたデビットサービス提供システムであって、
デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンのいずれかの選択指定をデビットカード利用者(消費者)から受け付ける機能を有する清算対象優先資産選択指定受付手段と、
前記清算対象優先資産選択指定受付手段が清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を受け付けた場合、清算に必要な代金分のデジタルアセットトークンの現金化を指示する機能を有する代金現金化指示手段と、
前記代金現金化指示手段からの指示を受けたときに、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンを、清算に必要な代金分、現金に変換する機能を有する現金変換手段と、を有
し、
前記現金変換手段は、決済用(1円単位で取引できるクロッシングのストリーミングレート)価格で即座に現金化する機能と、当該現金化した代金分をロックし、銀行等の金融機関側のシステムに清算(銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座から銀行等の金融機関側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分の現金の振替)を指示する電文を送信する機能を有することを特徴とするデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム。
【請求項2】
さらに、前記現金変換手段がロックした複数件の代金分の現金を、定期的に一括で銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座へ転送する機能を有する現金転送手段を有することを特徴とする請求項1に記載のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム。
【請求項3】
デジタルアセットト―クンの現金への変換の要否の指定を販売者(販売店、販売会社)から受け付ける機能を有する現金変換要否指定受付手段と、
前記清算対象優先資産選択指定受付手段がデビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を受け付けた場合において、前記現金変換要否指定受付手段がデジタルアセットトークンの現金への変換不要指定を受け付けている場合、前記現金変換手段による暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算に必要な代金分の現金への変換をしないように制御しながら、暗号資産交換業者側のシステムに清算(暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座から暗号資産交換業者側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分のデジタルアセットトークンの移動)を指示する機能を有する現金変換制御手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項
1に記載のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム。
【請求項4】
前記清算対象優先資産選択指定受付手段は、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を受け付けた場合、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れしている複数銘柄のデジタルアセットトークンのうち、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させるデジタルアセットトークンの銘柄の順位指定をデビットカード利用者(消費者)から受け付ける機能をさらに有し、
前記代金現金化指示手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段が受け付けたデジタルアセットトークンの銘柄の順位指定にしたがって清算に必要な代金分のデジタルアセットトークンの現金化を指示する機能をさらに有し、
前記現金変換手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段が受け付けたデジタルアセットトークンの銘柄の順位指定にしたがって、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンを、清算に必要な代金分、現金に変換する機能を有することを特徴とする請求項
1に記載のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム。
【請求項5】
デビットカードでの決済における当該取引記録(前記現金変換手段によるデジタルアセットトークンを現金化したときの取引量と該当レートを含む)を顧客(デビットカード利用者(消費者))が参照することのできる機能を有する取引記録参照手段をさらに有することを特徴とする請求項
1に記載のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム。
【請求項6】
前記代金現金化指示手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段が、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金の選択指定を受け付けた場合において、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金が清算に必要な額を満たさないときに、不足分の清算に必要な代金分の現金化を指示する機能をさらに有し、
前記現金変換手段は、前記代金現金化指示手段から不足分の清算に必要な代金分の現金化の指示を受けたとき、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている不足分の清算に必要な代金分のデジタルアセットトークンを自動的に現金化する機能をさらに有し、
前記現金転送手段は、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に、前記現金変換手段によって変換された不足分の現金を振り替える機能をさらに有することを特徴とする請求項
2に記載のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム。
【請求項7】
デビットカードでの決済の際の清算金額に対する、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金と暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンとの清算比率の設定をデビットカード利用者(消費者)から受け付ける機能を有する現金・デジタルアセットトークン清算比率設定受付手段を有し、
前記代金現金化指示手段は、前記現金・デジタルアセットトークン清算比率設定受付手段が受け付けた、清算金額に対する暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算比率分の現金化を指示する機能をさらに有し、
前記現金変換手段は、前記代金現金化指示手段から清算比率分の現金化の指示を受けたとき、前記現金・デジタルアセットトークン清算比率設定受付手段が受け付けた、清算金額に対する暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算比率分を自動的に現金化する機能をさらに有し、
前記現金転送手段は、前記現金変換手段が現金化した、デジタルアセットトークンの清算比率分の現金を銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に振り替える機能をさらに有することを特徴とする請求項
2に記載のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム。
【請求項8】
前記代金現金化指示手段は、デビットカードでの決済の際の清算金額が所定額以上の超高額である場合、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金に優先して、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの現金化を指示する機能をさらに有することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム。
【請求項9】
前記清算対象優先資産選択指定受付手段は、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を受け付けた場合において、
さらに、ゴールドコインなどの所定の暗号資産での清算指示をデビットカード利用者(消費者)から受け付ける機能を有し、
前記現金変換制御手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段がゴールドコインなどの所定の暗号資産での清算指示を受け付けた場合、前記現金変換手段による暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算に必要な代金分の現金への変換をしないように制御しながら、暗号資産交換業者側のシステムに清算(暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座から暗号資産交換業者側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分のゴールドコインなどの所定の暗号資産の移動)を指示する機能をさらに有することを特徴とする請求項3に記載のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム。
【請求項10】
前記清算対象優先資産選択指定受付手段は、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている所定国のステーブルコインの指定をデビットカード利用者(消費者)から受け付ける機能をさらに有し、
前記現金変換制御手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段が清算対象として優先させる資産として、所定国のステーブルコインの指定を受け付けた場合、前記現金変換手段による暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算に必要な代金分の現金への変換をしないように制御しながら、暗号資産交換業者側のシステムに清算(暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座から暗号資産交換業者側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分の所定国のステーブルコインの移動)を指示する機能をさらに有することを特徴とする請求項
3に記載のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム。
【請求項11】
前記清算対象優先資産選択指定受付手段は、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を受け付けた場合において、
さらに、CO
2排出権などの所定の暗号資産での清算指定をデビットカード利用者(消費者)から受け付ける機能を有し、
前記現金変換制御手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段がCO
2排出権などの所定の暗号資産(またはそれに準じた特性を持つトークン類)での清算指定を受け付けた場合、前記現金変換手段による暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算に必要な代金分の現金への変換をしないように制御しながら、暗号資産交換業者側のシステムに清算(暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座から暗号資産交換業者側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分のCO
2排出権などの所定の暗号資産(またはそれに準じた特性を持つトークン類)の移動)を指示する機能をさらに有することを特徴とする請求項
3に記載のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム。
【請求項12】
前記清算対象優先資産選択指定受付手段は、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている複数のタイプの異なる資産(ポイントやデジタル通貨、ステーブルコイン、商品ステーブル)について、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産の順位指定をデビットカード利用者(消費者)から受け付ける機能をさらに有し、
前記代金現金化指示手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段が受け付けた複数のタイプの異なる資産の順位指定にしたがって清算に必要な代金分の資産の現金化を指示する機能をさらに有し、
前記現金変換手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段が受け付けた複数のタイプの異なる資産の順位指定にしたがって、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている資産を、清算に必要な代金分、現金に変換する機能をさらに有することを特徴とする請求項1~
7、9~11のいずれかに記載のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム。
【請求項13】
前記現金変換制御手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段がゴールドコインなどの所定の暗号資産での清算指示を受け付けた場合、決済における清算対象に用いることのできる資産分を決済レートに従い、リアルタイムで暫定的に計算し、暫定的に計算した枠内で決済処理可能と判断できる場合、資産を売却するより前に、クレジット会社などの金融機関に対して決済完了通知を出し、決済完了通知を出した後に資産を売却するように制御する機能をさらに有することを特徴とする請求項
3に記載のデビットサービス提供システム。
【請求項14】
前記現金変換制御手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段がゴールドコインなどの所定の暗号資産での清算指示を受け付け、決済指示が届いた資産を現金化する場合において、当該資産の現金化が行われている場合には、当該資産を売却せず現金を決済における清算対象に充てるように制御する機能をさらに有することを特徴とする請求項13に記載のデビットサービス提供システム。
【請求項15】
前記現金変換制御手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段がゴールドコインなどの所定の暗号資産での清算指示を受け付け、決済指示が届いた資産を現金化する場合において、顧客が暗号資産交換業者側でログインしているかを確認し、ログインしている場合は、決済指示が届いた段階で、当該口座の資産売却操作を一時的に処理不可の状態となるように制御する機能をさらに有することを特徴とする請求項
13に記載のデビットサービス提供システム。
【請求項16】
前記現金変換制御手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段がゴールドコインなどの所定の暗号資産での清算指示を受け付け、決済指示が届いた資産を現金化する場合において、決済完了通知から資産売却までの短時間に、決済レートが変動し、売却額が不足するような場合、暗号資産交換業者が自己としてその損失を補填(資産売却が可能となる決済レートを生成して資産を売却)するように制御する機能をさらに有することを特徴とする請求項13~15のいずれかに記載のデビットサービス提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロックチェーン等の分散技術やスマートコントラクトを用いて構成されるデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
デビットカードには、基本的にJデビット等、銀行等の金融機関のキャッシュカードにデビットの機能が付加されたタイプや、クレジット会社などの金融機関のクレジットカードにデビットの機能が付加されたタイプのものがある。
デビットカードで商品等を購入したときには、即座に紐づけされている銀行等の金融機関に預金されているデビットカード利用者(消費者)口座から代金が引き落とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来、デビットシステムは、清算対象としてデジタル資産を用いることができなかった。
本件発明者は、デビットカードでの決済に際し、銀行等の金融機関と提携する暗号資産交換業者の口座で管理するゴールドコインなどのデジタル資産を清算に用いることを可能とするシステムについて考察、検討し、従来のデビットシステムにはない、様々な効果を得ることのできるシステムを導出した。
【0004】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、デジタル資産の保有による即時決済ができ、清算対象として多様なデジタル資産を選択でき、現金が清算額を不足していても即時清算でき、外国での清算がし易く、景気や価値の変動に応じて有利な資産での清算が可能なデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明によるデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムは、トークン類(ブロックチェーン等の分散技術においてデジタルで定義される価値などの総称)、デジタル通貨、トークン類とデジタル通貨、もしくはトークン類同士、デジタル通貨同士など、あらゆる形態のデジタル資産間による取引を管理するための、少なくとも1種類のブロックチェーン等の分散技術における分散型台帳と、該分散型台帳に管理されるデジタル資産を用いた所定の処理を行うためのスマートコントラクトを備えて構築される、デジタル資産を用いたデビットサービス提供システムであって、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンのいずれかの選択指定をデビットカード利用者(消費者)から受け付ける機能を有する清算対象優先資産選択指定受付手段と、前記清算対象優先資産選択指定受付手段が清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を受け付けた場合、清算に必要な代金分のデジタルアセットトークンの現金化を指示する機能を有する代金現金化指示手段と、前記代金現金化指示手段からの指示を受けたときに、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンを、清算に必要な代金分、現金に変換する機能を有する現金変換手段と、を有し、前記現金変換手段は、決済用(1円単位で取引できるクロッシングのストリーミングレート)価格で即座に現金化する機能と、当該現金化した代金分をロックし、銀行等の金融機関側のシステムに清算(銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座から銀行等の金融機関側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分の現金の振替)を指示する電文を送信する機能を有することを特徴としている。
なお、本願明細書における「スマートコントラクト」とは、ブロックチェーン等の分散技術上で稼働する、処理を自動化するプログラムである。
【0006】
また、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムにおいては、さらに、前記現金変換手段がロックした複数件の代金分の現金を、定期的に一括で銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座へ転送する機能を有する現金転送手段を有するのが好ましい。
【0007】
また、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムにおいては、デジタルアセットト―クンの現金への変換の要否の指定を販売者(販売店、販売会社)から受け付ける機能を有する現金変換要否指定受付手段と、前記清算対象優先資産選択指定受付手段がデビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を受け付けた場合において、前記現金変換要否指定受付手段がデジタルアセットトークンの現金への変換不要指定を受け付けている場合、前記現金変換手段による暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算に必要な代金分の現金への変換をしないように制御しながら、暗号資産交換業者側のシステムに清算(暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座から暗号資産交換業者側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分のデジタルアセットトークンの移動)を指示する機能を有する現金変換制御手段をさらに有するのが好ましい。
【0008】
また、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムにおいては、前記清算対象優先資産選択指定受付手段は、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を受け付けた場合、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れしている複数銘柄のデジタルアセットトークンのうち、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させるデジタルアセットトークンの銘柄の順位指定をデビットカード利用者(消費者)から受け付ける機能をさらに有し、前記代金現金化指示手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段が受け付けたデジタルアセットトークンの銘柄の順位指定にしたがって清算に必要な代金分のデジタルアセットトークンの現金化を指示する機能をさらに有し、前記現金変換手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段が受け付けたデジタルアセットトークンの銘柄の順位指定にしたがって、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンを、清算に必要な代金分、現金に変換する機能をさらに有するのが好ましい。
【0009】
また、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムにおいては、デビットカードでの決済における当該取引記録(前記現金変換手段によるデジタルアセットトークンを現金化したときの取引量と該当レートを含む)を顧客(デビットカード利用者(消費者))が参照することのできる機能を有する取引記録参照手段をさらに有するのが好ましい。
【0010】
また、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムにおいては、前記代金現金化指示手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段が、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金の選択指定を受け付けた場合において、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金が清算に必要な額を満たさないときに、不足分の清算に必要な代金分の現金化を指示する機能をさらに有し、前記現金変換手段は、前記代金現金化指示手段から不足分の清算に必要な代金分の現金化の指示を受けたとき、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている不足分の清算に必要な代金分のデジタルアセットトークンを自動的に現金化する機能をさらに有し、前記現金転送手段は、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に、前記現金変換手段によって変換された不足分の現金を振り替える機能をさらに有するのが好ましい。
【0011】
また、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムにおいては、デビットカードでの決済の際の清算金額に対する、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金と暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンとの清算比率の設定をデビットカード利用者(消費者)から受け付ける機能を有する現金・デジタルアセットトークン清算比率設定受付手段を有し、前記代金現金化指示手段は、前記現金・デジタルアセットトークン清算比率設定受付手段が受け付けた、清算金額に対する暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算比率分の現金化を指示する機能をさらに有し、前記現金変換手段は、前記代金現金化指示手段から清算比率分の現金化の指示を受けたとき、前記現金・デジタルアセットトークン清算比率設定受付手段が受け付けた、清算金額に対する暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算比率分を自動的に現金化する機能をさらに有し、前記現金転送手段は、前記現金変換手段が現金化した、デジタルアセットトークンの清算比率分の現金を銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に振り替える機能をさらに有するのが好ましい。
【0012】
また、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムにおいては、前記代金現金化指示手段は、デビットカードでの決済の際の清算金額が所定額以上の超高額である場合、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金に優先して、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの現金化を指示する機能をさらに有するのが好ましい。
【0013】
また、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムにおいては、前記清算対象優先資産選択指定受付手段は、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を受け付けた場合において、さらに、ゴールドコインなどの所定の暗号資産での清算指示をデビットカード利用者(消費者)から受け付ける機能を有し、前記現金変換制御手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段がゴールドコインなどの所定の暗号資産での清算指示を受け付けた場合、前記現金変換手段による暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算に必要な代金分の現金への変換をしないように制御しながら、暗号資産交換業者側のシステムに清算(暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座から暗号資産交換業者側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分のゴールドコインなどの所定の暗号資産の移動)を指示する機能をさらに有するのが好ましい。
【0014】
また、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムにおいては、前記清算対象優先資産選択指定受付手段は、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている各国のステーブルコインの順位指定をデビットカード利用者(消費者)から受け付ける機能をさらに有し、前記現金変換制御手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段が清算対象として優先させる資産として所定国のステーブルコインの指定を受け付けた場合、前記現金変換手段による暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算に必要な代金分の現金への変換をしないように制御しながら、暗号資産交換業者側のシステムに清算(暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座から暗号資産交換業者側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分の所定国のステーブルコインの移動)を指示する機能をさらに有するのが好ましい。
【0015】
また、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムにおいては、前記清算対象優先資産選択指定受付手段は、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を受け付けた場合において、さらに、CO2排出権などの所定の暗号資産(またはそれに準じた特性を持つトークン類)での清算指定をデビットカード利用者(消費者)から受け付ける機能を有し、前記現金変換制御手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段がCO2排出権などの所定の暗号資産での清算指定を受け付けた場合、前記現金変換手段による暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算に必要な代金分の現金への変換をしないように制御しながら、暗号資産交換業者側のシステムに清算(暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座から暗号資産交換業者側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分のCO2排出権などの所定の暗号資産(またはそれに準じた特性を持つトークン類)の移動)を指示する機能をさらに有するのが好ましい。
【0016】
また、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムにおいては、前記清算対象優先資産選択指定受付手段は、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている複数のタイプの異なる資産(ポイントやデジタル通貨、ステーブルコイン、商品ステーブル)について、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産の順位指定をデビットカード利用者(消費者)から受け付ける機能をさらに有し、前記代金現金化指示手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段が受け付けた複数のタイプの異なる資産の順位指定にしたがって清算に必要な代金分の資産の現金化を指示する機能をさらに有し、前記現金変換手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段が受け付けた複数のタイプの異なる資産の順位指定にしたがって、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている資産を、清算に必要な代金分、現金に変換する機能をさらに有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、デジタル資産の保有による即時決済ができ、清算対象として多様なデジタル資産を選択でき、現金が清算額を不足していても即時清算でき、外国での清算がし易く、景気や価値の変動に応じて有利な資産での清算が可能なデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態にかかるデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムの構成を概念的に示すブロック図である。
【
図2】
図1のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムにおける清算対象優先資産選択指定受付手段の構成及び機能を概念的に示す説明図である。
【
図3】
図2の清算対象優先資産選択指定受付手段として機能する選択指定入力受付画面の一例を概念的に示す説明図である。
【
図4】
図1のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムにおける代金現金化指示手段の構成及び機能を概念的に示す説明図である。
【
図5】
図1のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムにおける現金変換手段の構成及び機能を概念的に示す説明図である。
【
図6】
図1のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムにおける現金転送手段の構成及び機能を概念的に示す説明図である。
【
図7】
図1のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムにおける現金変換要否指定受付手段の構成及び機能を概念的に示す説明図である。
【
図8】
図1のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムにおける現金変換制御手段の構成及び機能を概念的に示す説明図である。
【
図9】
図1のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムにおける取引記録参照手段の構成及び機能を概念的に示す説明図である。
【
図10】
図1のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムにおける現金・デジタルアセットトークン清算比率設定受付手段の構成及び機能を概念的に示す説明図で、(a)はブロック図、(b)は機能する清算比率設定受付画面の一例を概念的に示す図である。
【
図11】
図1のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムを用いたデビットカード利用者(消費者)による決済の際の清算対象として優先させる資産の選択指定、現金・デジタルアセットトークン清算比率の設定処理の説明図である。
【
図12】
図1のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムを用いた販売者(販売店、販売会社)によるデジタル資産の現金化の要否の指定処理の説明図である。
【
図13】
図1のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムを用いた清算処理の流れの一態様を示す説明図である。
【
図14】
図1のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムを用いた清算処理の流れの他の態様を示す説明図である。
【
図15】
図1のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムを用いた清算処理の流れのさらに他の態様を示す説明図である。
【
図16】
図1のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムを用いた清算処理の流れのさらに他の態様を示す説明図である。
【
図17】
図1のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムを用いた清算処理の流れのさらに他の態様を示す説明図である。
【
図18】
図1のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムを用いた清算処理の流れのさらに他の態様を示す説明図である。
【
図19】
図1のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムを用いた清算処理の流れのさらに他の態様を示す説明図である。
【
図20】
図1のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムを用いた清算処理の流れのさらに他の態様を示す説明図である。
【
図21】
図1のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムを用いた清算処理の流れのさらに他の態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施形態の説明に先立ち、本発明を導出するに至った経緯及び本発明の作用効果について説明する。
【0020】
(1)デビットサービスへのデジタルアセットトークンの活用についての考察、検討
デビットカードには、基本的にJデビット等、銀行等の金融機関のキャッシュカードにデビットの機能が付加されたタイプや、クレジット会社などの金融機関のクレジットカードにデビットの機能が付加されたタイプのものがある。
デビットカードで商品等を購入したときには、即座に紐づけされている銀行等の金融機関に預金されているデビットカード利用者(消費者)口座から代金が引き落とされる。
しかし、従来、清算対象としてデジタル資産を用いることの可能なデビットカードは存在しなかった。
【0021】
ところで、本件発明者は、ブロックチェーン等の分散技術やスマートコントラクトを用いたデジタル資産の取引を行うためのシステムの構築について、様々な視点から考察、検討を行ってきている。
【0022】
そこで、本件発明者は、デビットカードでの決済に際し、銀行等の金融機関と提携する暗号資産交換業者の口座で管理するゴールドコインなどのデジタルアセットトークンを清算に用いることができるデビットシステムを構築すべく、次に述べるように、考察、検討を行った。
【0023】
なお、デビットシステムの構築についての考察、検討に際しては、デジタルアセットトークンを清算に用いることができるようにするための前提として、銀行等の金融機関と暗号資産交換業者との間でシステム接続し、基本的に双方の口座にて、同一人物をリンク(一方の側の口座に他方の側の口座番号をシステム的に記録)させる構成を想定した。
【0024】
(1-1)決済の際の清算対象として優先させる資産の選択指定
本件発明者は、デジタルアセットトークンを清算に用いることのできるデビットシステムにおいては、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、デビットカード利用者(消費者)が適宜口座に預け入れしている現金、デジタルアセットトークンのいずれかを選択指定することができるようにすることを考えた。
【0025】
デジタルアセットトークンを用いた従前の決済方法は、販売者(販売店、販売会社)が暗号資産交換業者側の口座を有し、顧客(消費者)から購入代金が暗号資産交換業者側の販売者(販売店、販売会社)口座にデジタルアセットトークンで支払われたとき、支払われたデジタルアセットトークンが即座に現金などに変換されるというものであった。
【0026】
本件発明者が考察、検討するデビットシステムにおけるデビットカードでの決済方法では、デビットカード利用者(消費者)が販売者(販売店、販売会社)に対し購入代金の決済にデビットカードを用いたときに、デビットカード利用者(消費者)が清算対象として優先させる資産として、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンのいずれかを選択指定できるようにする。そして、デビットカード利用者(消費者)が清算対象として優先させる資産として、デジタルアセットトークンを選択指定した場合、予めデビットカード利用者(消費者)が暗号資産交換業者側の口座(とデジタルアセットトークン)を有しているときには、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンが即座に現金などに変換されて清算されるようにする。
【0027】
(1-2)デジタルアセットト―クンの現金への変換の要否指定
また、本件発明者は、販売者(販売店、販売会社)がデジタルアセットト―クンの現金への変換の要否の指定をすることができるようにすることを考えた。そして、デビットカード利用者(消費者)が清算対象として優先させる資産として、デジタルアセットトークンを選択指定した場合において、販売者(販売店、販売会社)がデジタルアセットトークンの現金への変換不要を指定している場合には、デビットカード利用者(消費者)が暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れしているデジタルアセットトークンが現金に変換されないでそのまま清算に用いられることもできるようにすることを考えた。
【0028】
(1-3)清算対象として優先させるデジタルアセットトークンの銘柄の順位指定
また、デビットカード利用者(消費者)によっては、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座にて、複数銘柄のデジタルアセットトークンを預け入れしている場合がある。このため、本件発明者は、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座とリンクする清算処理のサービス画面内で、デビットカード利用者(消費者)が清算対象として優先させるデジタルアセットトークンの銘柄の順位を指定することができるようにすることを考えた。
【0029】
(1-4)決済における清算対象としてデジタルアセットトークンが優先指定されている場合の処理
本件発明者は、デビットカードでの決済時に、清算対象としてデジタルアセットトークンが優先指定されている場合、銀行等の金融機関側のシステムでは、清算に必要な代金分の現金化指示を暗号資産交換業者側のシステムに送るようにすることを考えた。そして、暗号資産交換業者側のシステムでは、銀行等の金融機関側のシステムから現金化指示を受けたとき、決済用(1円単位で取引できるクロッシングのストリーミングレート)価格で即座にデジタルアセットトークンを現金化するとともに、当該現金化した代金分をロックし、銀行等の金融機関側のシステムに清算(銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座から銀行等の金融機関側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分の現金の振替)を指示する電文を送信するようにすることを考えた。
ロックした代金分の現金は、即座にデジタル通貨として銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に転送しても良いが、好ましくは、トランザクション量を効率化するために、日次など日替わり時に一回の処理でまとめて転送するようにすることを考えた。
【0030】
(1-5)取引記録の参照
また、本件発明者は、当該取引記録(デジタルアセットトークンを現金化したときの取引量と該当レートを含む)は、顧客(例えば、デビットカード利用者(消費者))が参照することができるようにすることを考えた。
【0031】
(2)デジタルアセットトークンを活用するデビットシステムの応用についての考察、検討
また、本件発明者は、低金利時代が長期継続される可能性を鑑み、保有する資産に対して少しでも有利な運用を行うことができるようにすることを目的とした、デジタルアセットトークンを活用するデビットシステムの応用について考察、検討を行った。
【0032】
(2-1)銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金が清算に必要な額を満たしている場合における、清算対象として優先させる資産の選択、清算金額に対する清算対象資産の清算比率の設定、超高額清算時の清算対象の設定
本件発明者が考察、検討するデビットシステムでは、デビットカードでの決済において、デビットカード利用者(消費者)が清算対象として優先させる資産として、銀行側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金を選択指定した場合、連動している銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座預金から清算する。この場合において、個人(デビットカード利用者(消費者))と銀行が契約することを前提として、提携口座となる暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座とリンクさせ、例えば、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座預金が清算に必要な額を満たさないときに、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンを自動的に現金化し、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に不足分の現金を振り替えることによって清算を行うようにする。
【0033】
本件発明者は、さらに、上述のデビットシステムを応用して、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金が清算に必要な額を満たしていても、デビットカード利用者(消費者)が、清算を優先する資産として暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れしているデジタルアセットトークンを指定することもできるようにすることの他に、清算金額に対する、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座預金と暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンとの清算比率の設定や、超高額清算の場合に暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンを用いた清算を優先するなどの設定ができるようにすることを考えた。
超高額清算における額は、200~300万円を下限とし、500万円以上が考えられる。このような超高額であれば、デジタル資産を現金に変換するときのスプレッド(手数料)がかからなくなる。このため、超高額清算のデビットカード利用者(消費者)にとって清算に伴う費用負担の面で大きな利点があると考えられる。
【0034】
(2-2)ゴールドコイン、各国のステーブル通貨を清算対象とする指定
また、本件発明者は、デビットの機能を拡大改良し、¥などの現金での清算ではなく、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンとしてゴールドコインなど、デビットカード利用者(消費者)の指定した暗号資産を清算対象として指定することもできるようにすることを考えた。その場合は、清算情報を暗号資産交換業者に渡して暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているゴールドコインなどのデジタルアセットトークンをそのまま用いて、現金化することなく清算するようにする。ゴールドコインなどは、海外などでデビット清算を行うときなどに有効であると考えられる。
【0035】
さらに、本件発明者は、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座では、デジタル通貨も管理でき、ステーブル円に対して、ステーブル米ドルや、ステーブルユーロなど他国のステーブルコインを扱い、管理することができるようにするとともに、他国のステーブルコインを清算対象として指定し、清算に用いることもできるようにすることを考えた。
【0036】
(2-3)デビットシステムにおいて清算対象となり得るデジタルアセットとしてのCO
2
排出権暗号資産の適用
また、本件発明者は、将来的にインフレ傾向が強い場合は、インフレに対処できることの見込める、CO2排出権暗号資産(またはそれに準じた特性を持つトークン類)などを主軸として、デジタル資産を管理し、そのCO2排出権暗号資産を、ゴールドコインのようにデビットカードでの決済における清算対象として指定できるようにすることも考えた。
【0037】
(3)クレジット会社などの金融機関の決済系サービスへのデジタルアセットトークンの活用についての考察、検討
次に、本件発明者は、クレジット会社などの金融機関の決済系サービスへのデジタルアセットトークンの活用について考察、検討を行った。
【0038】
(3-1)クレジット会社などの金融機関の決済系サービスの種類
クレジット会社などの金融機関の決済系サービスとしては、クレジットカードや、クレジットカードにデビットの機能が付加されたクレジットデビット(VISAデビット、JCBデビット)がある。
クレジットカードで決済した場合は、所定期間(例えば、1か月以上)経過後の清算となり、クレジットデビットで決済した場合は、クレジットカードに付加されたデビット機能により、即時清算処理が行われる。
基本的に、クレジットデビットは、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座の引き落としが決済の都度随時行われることから、加盟店の手数料が高くなることが想定され、相応の高額小口決済になり、加盟店の負担も大きく結果的に加盟店数が制限されると考えられる。
なお、デビット処理には、上述した、銀行等の金融機関のキャッシュカードにデビットの機能が付加されたタイプのJデビット等や、クレジット会社などの金融機関のクレジットカードにデビットの機能が付加されたタイプのクレジットデビットが該当する。これらのデビット処理では、決済の都度、顧客であるデビットカード利用者(消費者)が指定する金融機関(資産が預け入れられていて決済が認められる、銀行や暗号資産交換業者)のデビットカード利用者(消費者)口座より、即座に代金(もしくはそれに相当する分のデジタル資産)を引き落とす。
しかるに、1回あたりの口座の決済処理における手数料が高額であるため、あまりにも少額の決済(例えば、数千円以下)では、手数料の割合が大きくなってしまい不利である。
一方、高額向けの決済(例えば、10万円以上)では、効率的な決済手段であると考えられる。
例えば、仮に1回あたりの処理手数料を100円としたとき、1000円の買い物の決済では、10%も手数料を取られて非効率と考えられるが、10万円の決済では、0.1%の手数料で済むことになる。
従って、概ね1%程度未満の手数料の範囲が、当該サービスを効率的に利用できる決済エリアであると考える。
【0039】
(3-2)決済系サービスの現状
近年、新型の決済手法が色々と台頭し、決済手数料が極端に低下し、清算までの期間も短縮され、販売者(販売店、販売会社)にとり好ましい前払い方式の決済系サービスが増える傾向にある。
前払い方式の決済系サービスは、利用者(デビットカード利用者(消費者)側)にとって、後払い方式ではない点では不利であるが、ポイントなどの還元サービスが付加されているものも多く、さらには銀行口座と連携しなくても使える点では有利であることから、利用者の対象範囲が広がり、結果的にシェアが伸びている。
【0040】
(4)クレジットデビットとマルチ決済の関係についての考察、検討
さらに、本件発明者は、クレジットデビットと複数決済の関係について考察、検討を行った。
【0041】
(4-1)デジタルアセットを決済で使うタイプ
本件発明者が考察、検討するデビットシステムにおける、デジタルアセットを決済で使うタイプは、基本的には次の2つである。
【0042】
(4-1-1)従来のデビット(即時決済)のロジックを拡張し、銀行等の金融機関の通貨管理を利用することに加えて、顧客側がデジタルアセットを暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れしている場合、決済の際の清算において必要分を通貨に変換して行うタイプ
このタイプでは、販売店、販売会社などの販売者側が現金で受け取ることを所望する場合において、顧客はデジタルアセットを所有しているとき、決済時に配信されているレートに従い、スマ-トコントラクトや類似機能を備えた処理手段により、アドレス内のデジタル資産より、必要分を現金に変換して決済に充てる。
即時決済の場合は、即時必要分の資産確認が必要であり、その資産が通貨ではない場合に、即時資産変換を行う必要がある。
つまり、Jデビットやクレジットデビットにおいて、銀行等の金融機関以外の暗号資産交換業者の引き落とし口座、もしくはスマ-トコントラクトのアドレスを指定し、指定した口座もしくはアドレスから利用代金を引き落すことができるようにする。
【0043】
(4-1-2)通常即時決済におけるデジタル物々交換のタイプ
このタイプは、顧客(購入者)と販売店(販売者)の決済において、購入者が指定するデジタルアセット(例えばゴールドコイン)で決済を可能とするタイプである。
このタイプでは、販売店には決済分のデジタルアセットが即時に支払われる(決済の通貨分を、配信レートをベースにしてデジタルアセットでの決済量に変換する)。但し、販売店がそのデジタルアセットを通貨に変換することを所望する場合は、配信レートに従い、スマ-トコントラクトもしくは類似機能を備えた処理手段により、デジタル資産を通貨に交換することができるようにする。
【0044】
(4-2)複数決済
複数決済においては、基本的に、色々な資産(ポイントやデジタル通貨、ステーブルコイン、商品ステーブル)について、決済を所望する優先順位にしたがって処理するようにする。
【0045】
このように、本件発明者は、ブロックチェーン等の分散技術やスマートコントラクトを用いて、清算対象としてデジタル資産を用いることの可能なシステムを構築すべく考察、検討を重ねた末、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムを導出するに至った。
【0046】
本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムは、トークン類(ブロックチェーン等の分散技術においてデジタルで定義される価値などの総称)、デジタル通貨、トークン類とデジタル通貨、もしくはトークン類同士、デジタル通貨同士など、あらゆる形態のデジタル資産間による取引を管理するための、少なくとも1種類のブロックチェーン等の分散技術における分散型台帳と、該分散型台帳に管理されるデジタル資産を用いた所定の処理を行うためのスマートコントラクトを備えて構築される、デジタル資産を用いたデビットサービス提供システムであって、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンのいずれかの選択指定をデビットカード利用者(消費者)から受け付ける機能を有する清算対象優先資産選択指定受付手段と、前記清算対象優先資産選択指定受付手段が清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を受け付けた場合、清算に必要な代金分のデジタルアセットトークンの現金化を指示する機能を有する代金現金化指示手段と、前記代金現金化指示手段からの指示を受けたときに、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンを、清算に必要な代金分、現金に変換する機能を有する現金変換手段と、を有して構成されている。
【0047】
本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムのように、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンのいずれかの選択指定をデビットカード利用者(消費者)から受け付ける機能を有する清算対象優先資産選択指定受付手段と、前記清算対象優先資産選択指定受付手段が清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を受け付けた場合、清算に必要な代金分のデジタルアセットトークンの現金化を指示する機能を有する代金現金化指示手段と、前記代金現金化指示手段からの指示を受けたときに、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンを、清算に必要な代金分、現金に変換する機能を有する現金変換手段と、を有して構成すれば、デビットカード利用者(消費者)は、デジタル資産の保有によりデビットカードを用いて即時決済することが可能となり、しかも、清算対象として現金とデジタル資産とを選択することが可能となる。このため、デビッドカードを利用し易くすることが可能となる。
【0048】
また、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムは、前記現金変換手段は、決済用(1円単位で取引できるクロッシングのストリーミングレート)価格で即座に現金化する機能と、当該現金化した代金分をロックし、銀行等の金融機関側のシステムに清算(銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座から銀行等の金融機関側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分の現金の振替)を指示する電文を送信する機能を有し、好ましくは、さらに、前記現金変換手段がロックした複数件の代金分の現金を、定期的に一括で銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座へ転送する機能を有する現金転送手段を有して構成されている。
このようにすれば、デジタル資産を清算対象に用いながらも、清算分の現金を確保でき、従来のデビットシステムと同様の銀行口座からの引き落としをすることが可能となる。また、複数件の代金分の現金を、定期的に一括で銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座へ転送するように構成すれば、トランザクション量を効率化することが可能となる。
【0049】
また、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムは、好ましくは、デジタルアセットト―クンの現金への変換の要否の指定を販売者(販売店、販売会社)から受け付ける機能を有する現金変換要否指定受付手段と、前記清算対象優先資産選択指定受付手段がデビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を受け付けた場合において、前記現金変換要否指定受付手段がデジタルアセットトークンの現金への変換不要指定を受け付けている場合、前記現金変換手段による暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算に必要な代金分の現金への変換をしないように制御しながら、暗号資産交換業者側のシステムに清算(暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座から暗号資産交換業者側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分のデジタルアセットトークンの移動)を指示する機能を有する現金変換制御手段をさらに有して構成されている。
このようにすれば、販売者(販売店、販売会社)が、支払い対象となる資産として、現金の他に、デジタル資産を選択でき、景気や価値の変動に対処できるよう多様な形態での資産の保有が可能となる。
【0050】
また、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムは、好ましくは、前記清算対象優先資産選択指定受付手段は、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を受け付けた場合、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れしている複数銘柄のデジタルアセットトークンのうち、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させるデジタルアセットトークンの銘柄の順位指定をデビットカード利用者(消費者)から受け付ける機能をさらに有し、前記代金現金化指示手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段が受け付けたデジタルアセットトークンの銘柄の順位指定にしたがって清算に必要な代金分のデジタルアセットトークンの現金化を指示する機能をさらに有し、前記現金変換手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段が受け付けたデジタルアセットトークンの銘柄の順位指定にしたがって、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンを、清算に必要な代金分、現金に変換する機能をさらに有して構成されている。
このようにすれば、デビットカード利用者(消費者)が複数銘柄のデジタルアセットを暗号資産交換業者側の口座に保有している場合に、景気や価値の変動に応じて有利な銘柄のデジタル資産を清算対象とすることが可能となる。このため、デビッドカードをより利用し易くすることが可能となる。
【0051】
また、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムは、好ましくは、デビットカードでの決済における当該取引記録(前記現金変換手段によるデジタルアセットトークンを現金化したときの取引量と該当レートを含む)を顧客(デビットカード利用者(消費者))が参照することのできる機能を有する取引記録参照手段をさらに有して構成されている。
このようにすれば、デビットカード利用者(消費者)が清算対象としてデジタル資産を選択した場合におけるデジタル資産から現金へ変換した時点でのレートや、デジタル資産を清算に用いたことに伴う現在のデジタル資産の預入量を、容易に確認することが可能となる。
【0052】
また、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムは、好ましくは、前記代金現金化指示手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段が、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金の選択指定を受け付けた場合において、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金が清算に必要な額を満たさないときに、不足分の清算に必要な代金分の現金化を指示する機能をさらに有し、前記現金変換手段は、前記代金現金化指示手段から不足分の清算に必要な代金分の現金化の指示を受けたとき、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている不足分の清算に必要な代金分のデジタルアセットトークンを自動的に現金化する機能をさらに有し、前記現金転送手段は、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に、前記現金変換手段によって変換された不足分の現金を振り替える機能をさらに有して構成されている。
このようにすれば、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金が清算に必要な額を満たさないときであっても、デジタル資産の保有によりデビットカードを用いて即時清算することが可能となる。
【0053】
また、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムシステムは、好ましくは、デビットカードでの決済の際の清算金額に対する、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金と暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンとの清算比率の設定をデビットカード利用者(消費者)から受け付ける機能を有する現金・デジタルアセットトークン清算比率設定受付手段を有し、前記代金現金化指示手段は、前記現金・デジタルアセットトークン清算比率設定受付手段が受け付けた、清算金額に対する暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算比率分の現金化を指示する機能をさらに有し、前記現金変換手段は、前記代金現金化指示手段から清算比率分の現金化の指示を受けたとき、前記現金・デジタルアセットトークン清算比率設定受付手段が受け付けた、清算金額に対する暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算比率分を自動的に現金化する機能をさらに有し、前記現金転送手段は、前記現金変換手段が現金化した、デジタルアセットトークンの清算比率分の現金を銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に振り替える機能をさらに有して構成されている。
このようにすれば、デビットカード利用者(消費者)が保有する現金やデジタル資産における価値の変動に応じて、より有利となるように資産の比率を調整して清算ができ、資産をより有利に保有することができる。このため、デビットカードをより一層利用し易くすることが可能となる。
【0054】
また、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムは、好ましくは、前記代金現金化指示手段は、デビットカードでの決済の際の清算金額が所定額以上の超高額である場合、銀行等の金融機関側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金に優先して、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの現金化を指示する機能をさらに有して構成されている。
このような超高額清算の場合にデジタルアセットトークンを用いた清算を優先するようにすれば、超高額の場合、デジタル資産を現金に変換するときのスプレッド(手数料)がかからなくなることから、超高額清算のデビットカード利用者(消費者)に対する清算に伴う費用負担を極めて低減することが可能となる。
【0055】
また、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムは、好ましくは、前記清算対象優先資産選択指定受付手段は、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を受け付けた場合において、さらに、ゴールドコインなどの所定の暗号資産での清算指示をデビットカード利用者(消費者)から受け付ける機能を有し、前記現金変換制御手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段がゴールドコインなどの所定の暗号資産での清算指示を受け付けた場合、前記現金変換手段による暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算に必要な代金分の現金への変換をしないように制御しながら、暗号資産交換業者側のシステムに清算(暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座から暗号資産交換業者側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分のゴールドコインなどの所定の暗号資産の移動)を指示する機能をさらに有して構成されている。
このようにすれば、海外でのデビットカード決済による清算に用い易くすることが可能となる。
【0056】
また、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムは、好ましくは、前記清算対象優先資産選択指定受付手段は、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている各国のステーブルコインの順位指定をデビットカード利用者(消費者)から受け付ける機能をさらに有し、前記現金変換制御手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段が清算対象として優先させる資産として所定国のステーブルコインの指定を受け付けた場合、前記現金変換手段による暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算に必要な代金分の現金への変換をしないように制御しながら、暗号資産交換業者側のシステムに清算(暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座から暗号資産交換業者側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分の所定国のステーブルコインの移動)を指示する機能をさらに有して構成されている。
このようにすれば、海外でのデビットカード決済による清算に用い易くすることが可能となる。
【0057】
また、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムは、好ましくは、前記清算対象優先資産選択指定受付手段は、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を受け付けた場合において、さらに、CO2排出権などの所定の暗号資産での清算指定をデビットカード利用者(消費者)から受け付ける機能を有し、前記現金変換制御手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段がCO2排出権などの所定の暗号資産(またはそれに準じた特性を持つトークン類)での清算指定を受け付けた場合、前記現金変換手段による暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算に必要な代金分の現金への変換をしないように制御しながら、暗号資産交換業者側のシステムに清算(暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座から暗号資産交換業者側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分のCO2排出権などの所定の暗号資産(またはそれに準じた特性を持つトークン類)の移動)を指示する機能をさらに有して構成されている。
このようにすれば、将来的にインフレ傾向が強くなった場合に対処し易くすることが可能となる。
【0058】
また、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムは、好ましくは、前記清算対象優先資産選択指定受付手段は、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている複数のタイプの異なる資産(ポイントやデジタル通貨、ステーブルコイン、商品ステーブル)について、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産の順位指定をデビットカード利用者(消費者)から受け付ける機能をさらに有し、前記代金現金化指示手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段が受け付けた複数のタイプの異なる資産の順位指定にしたがって清算に必要な代金分の資産の現金化を指示する機能をさらに有し、前記現金変換手段は、前記清算対象優先資産選択指定受付手段が受け付けた複数のタイプの異なる資産の順位指定にしたがって、暗号資産交換業者側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている資産を、清算に必要な代金分、現金に変換する機能をさらに有して構成されている。
このようにすれば、デビットカード利用者(消費者)が多様な資産で清算することが可能となる。このため、デビッドカードをより一層利用し易くすることが可能となる。
【0059】
従って、本発明によれば、デジタル資産の保有による即時決済ができ、清算対象として多様なデジタル資産を選択でき、現金が清算額を不足していても即時清算でき、外国での清算がし易く、景気や価値の変動に応じて有利な資産での清算が可能なデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムが得られる。
【0060】
以下、本発明の実施形態について、適宜、図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかるデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムの構成を概念的に示すブロック図である。
本実施形態のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム1は、トークン類(ブロックチェーン等の分散技術においてデジタルで定義される価値などの総称)、デジタル通貨、トークン類とデジタル通貨、もしくはトークン類同士、デジタル通貨同士など、あらゆる形態のデジタル資産間による取引を管理するための、少なくとも1種類のブロックチェーン等の分散技術における分散型台帳と、該分散型台帳に管理されるデジタル資産を用いた所定の処理を行うためのスマートコントラクトを備えて構築されるシステムであって、例えば、
図1に示すように、清算対象優先資産選択指定受付手段11と、代金現金化指示手段12と、現金変換手段13と、現金転送手段14と、現金変換要否指定受付手段15と、現金変換制御手段16と、取引記録参照手段17と、現金・デジタルアセットトークン清算比率設定受付手段18と、を有して構成されている。
また、本実施形態のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム1においては、コンピュータの端末や、携帯情報端末等の他の電子機器の画面表示部と入力部を有する図示しない入力手段を介して、入力されたIDについて、個人はマイナンバー、法人は法人番号を用いた本人確認処理を自動で行い、上記各スマートコントラクトは、承認されたIDに対して処理を行う。
また、本実施形態のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム1は、銀行等の金融機関70、クレジット会社などの金融機関90などの従来より構築されているデビットシステム(不図示)と接続している。
【0061】
清算対象優先資産選択指定受付手段11
清算対象優先資産選択指定受付手段11は、コンピュータの端末や、携帯情報端末等の他の電子機器の画面表示部と入力部を有する図示しない入力手段を介して、例えば、
図2、
図3に示すように、次の機能を有して構成されている。
(11-1)デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンのいずれかの選択指定をデビットカード利用者(消費者)50から受け付ける機能。
また、清算対象優先資産選択指定受付手段11は、次の機能をさらに有して構成されている。
(11-2)デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を受け付けた場合、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れしている複数銘柄のデジタルアセットトークンのうち、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させるデジタルアセットトークンの銘柄の順位指定をデビットカード利用者(消費者)50から受け付ける機能。
(11-3)デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を受け付けた場合において、ゴールドコイン、CO
2排出権などの所定の暗号資産(またはそれに準じた特性を持つトークン類)での清算指示をデビットカード利用者(消費者)50から受け付ける機能。
(11-4)デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている所定国のステーブルコインの指定をデビットカード利用者(消費者)50から受け付ける機能。
(11-5)暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている複数のタイプの異なる資産(ポイントやデジタル通貨、ステーブルコイン、商品ステーブル)について、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産の順位指定をデビットカード利用者(消費者)50から受け付ける機能。
【0062】
代金現金化指示手段12
代金現金化指示手段12は、例えば、
図4に示すように、次の機能を有して構成されている。
(12-1)清算対象優先資産選択指定受付手段11が清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を受け付けた場合、清算に必要な代金分のデジタルアセットトークンの現金化を指示する機能。
また、代金現金化指示手段12は、次の機能をさらに有して構成されている。
(12-2)清算対象優先資産選択指定受付手段11が受け付けたデジタルアセットトークンの銘柄の順位指定にしたがって清算に必要な代金分のデジタルアセットトークンの現金化を指示する機能。
(12-3)清算対象優先資産選択指定受付手段11が、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金の選択指定を受け付けた場合において、銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金が清算に必要な額を満たさないときに、不足分の清算に必要な代金分の現金化を指示する機能。
(12-4)現金・デジタルアセットトークン清算比率設定受付手段18が受け付けた、清算金額に対する暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算比率分の現金化を指示する機能。
(12-5)デビットカードでの決済の際の清算金額が所定額以上の超高額である場合、銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金に優先して、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの現金化を指示する機能。
(12-6)清算対象優先資産選択指定受付手段11が受け付けた複数のタイプの異なる資産の順位指定にしたがって清算に必要な代金分の資産の現金化を指示する機能。
【0063】
現金変換手段13
現金変換手段13は、例えば、
図5に示すように、次の機能を有して構成されている。
(13-1)代金現金化指示手段12からの指示を受けたときに、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンを、清算に必要な代金分、現金に変換する機能。
(13-1-1)より詳しくは、決済用(1円単位で取引できるクロッシングのストリーミングレート)価格で即座に現金化する機能と、当該現金化した代金分をロックし、銀行等の金融機関70側のシステムに清算(銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座から銀行等の金融機関70側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分の現金の振替)を指示する電文を送信する機能。
また、現金変換手段13は、次の機能をさらに有して構成されている。
(13-2)清算対象優先資産選択指定受付手段11が受け付けたデジタルアセットトークンの銘柄の順位指定にしたがって、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンを、清算に必要な代金分、現金に変換する機能。
(13-3)代金現金化指示手段12から不足分の清算に必要な代金分の現金化の指示を受けたとき、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている不足分の清算に必要な代金分のデジタルアセットトークンを自動的に現金化する機能。
(13-4)代金現金化指示手段12から清算比率分の現金化の指示を受けたとき、現金・デジタルアセットトークン清算比率設定受付手段18が受け付けた、清算金額に対する暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算比率分を自動的に現金化する機能。
(13-5)清算対象優先資産選択指定受付手段11が受け付けた複数のタイプの異なる資産の順位指定にしたがって、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている資産を、清算に必要な代金分、現金に変換する機能。
【0064】
現金転送手段14
現金転送手段14は、例えば、
図6に示すように、次の機能を有して構成されている。
(14-1)現金変換手段13がロックした複数件の代金分の現金を、定期的に一括で銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座へ転送する機能。
また、現金転送手段14は、次の機能をさらに有して構成されている。
(14-2)銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座に、現金変換手段13によって変換された不足分の現金を振り替える機能。
(14-3)現金変換手段13が現金化した、デジタルアセットトークンの清算比率分の現金を銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座に振り替える機能。
【0065】
現金変換要否指定受付手段15
現金変換要否指定受付手段15は、例えば、
図7に示すように、次の機能を有して構成されている。
(15-1)デジタルアセットト―クンの現金への変換の要否の指定を販売者(販売店、販売会社)60から受け付ける機能。
【0066】
現金変換制御手段16
現金変換制御手段16は、例えば、
図8に示すように、次の機能を有して構成されている。
(16-1)清算対象優先資産選択指定受付手段11がデビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を受け付けた場合において、現金変換要否指定受付手段15がデジタルアセットトークンの現金への変換不要指定を受け付けている場合、現金変換手段13による暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算に必要な代金分の現金への変換をしないように制御しながら、暗号資産交換業者80側のシステムに清算(暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座から暗号資産交換業者80側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分のデジタルアセットトークンの移動)を指示する機能。
また、現金変換制御手段16は、次の機能をさらに有して構成されている。
(16-2)清算対象優先資産選択指定受付手段11がゴールドコインなどの所定の暗号資産での清算指示を受け付けた場合、現金変換手段13による暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算に必要な代金分の現金への変換をしないように制御しながら、暗号資産交換業者80側のシステムに清算(暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座から暗号資産交換業者80側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分のゴールドコインなどの所定の暗号資産の移動)を指示する機能。
(16-3)清算対象優先資産選択指定受付手段11が清算対象として優先させる資産として、所定国のステーブルコインの指定を受け付けた場合、現金変換手段13による暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算に必要な代金分の現金への変換をしないように制御しながら、暗号資産交換業者80側のシステムに清算(暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座から暗号資産交換業者80側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分の所定国のステーブルコインの移動)を指示する機能。
(16-4)清算対象優先資産選択指定受付手段11がCO
2排出権などの所定の暗号資産での清算指定を受け付けた場合、現金変換手段13による暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算に必要な代金分の現金への変換をしないように制御しながら、暗号資産交換業者80側のシステムに清算(暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座から暗号資産交換業者80側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分のCO
2排出権などの所定の暗号資産の移動)を指示する機能。
【0067】
取引記録参照手段17
取引記録参照手段17は、例えば、
図9に示すように、次の機能を有して構成されている。
(17-1)デビットカードでの決済における当該取引記録(現金変換手段13によるデジタルアセットトークンを現金化したときの取引量と該当レートを含む)を顧客(デビットカード利用者(消費者)50)が参照することのできる機能。
【0068】
現金・デジタルアセットトークン清算比率設定受付手段18
現金・デジタルアセットトークン清算比率設定受付手段18は、例えば、
図10に示すように、次の機能を有して構成されている。
(18-1)デビットカードでの決済の際の清算金額に対する、銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金と暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンとの清算比率の設定をデビットカード利用者(消費者)50から受け付ける機能。
【0069】
このように構成された本実施形態のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム1を用いた処理を説明する。
【0070】
(A1)デビットカード利用者(消費者)50による決済の際の清算対象として優先させる資産の選択指定(図11)
デビットカード利用者(消費者)50が販売者(販売店、販売会社)60に対し購入代金の決済にデビットカードを用いたとき、デビットカード利用者(消費者)50は、清算対象優先資産選択指定受付手段11を介して、清算対象として優先させる資産として、銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンのいずれかを選択指定する。
このとき、デビットカード利用者(消費者)50は、必要に応じて、さらに次の指定を行う。
・暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れしている複数銘柄のデジタルアセットトークンのうち、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させるデジタルアセットトークンの銘柄の順位指定。
・ゴールドコイン、CO
2排出権などの所定の暗号資産(またはそれに準じた特性を持つトークン類)での清算指示。
・デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている所定国のステーブルコインの指定。
・暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている複数のタイプの異なる資産(ポイントやデジタル通貨、ステーブルコイン、商品ステーブル)について、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産の順位指定。
【0071】
(A2)デビットカード利用者(消費者)50による現金・デジタルアセットトークン清算比率の設定(図11)
また、デビットカード利用者(消費者)50は、必要に応じて、現金・デジタルアセットトークン清算比率設定受付手段18を介して、デビットカードでの決済の際の清算金額に対する、銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金と暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンとの清算比率の設定を行う。
【0072】
(B)販売者(販売店、販売会社)60によるデジタル資産の現金化の要否の指定(図12)
販売者(販売店、販売会社)60は、予め現金変換要否指定受付手段15を介して、デジタルアセットト―クンの現金への変換の要否を指定しておく。
【0073】
(C)選択指定、清算比率の設定に基づくデジタル資産を用いた清算処理(図13~図21)
デビットカード利用者(消費者)50による清算対象優先資産選択指定受付手段11を介した選択指定、販売者(販売店、販売会社)60による現金変換要否指定受付手段15を介したデジタルアセットト―クンの現金への変換の要否指定において、受け付けた内容の如何によって、次のように、デジタル資産を用いた清算処理を行う。
【0074】
(C-1)清算対象優先資産選択指定受付手段11が、清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの指定を(デビットカード利用者(消費者)50から)受け付けるとともに、現金変換要否指定受付手段15が、デジタルアセットト―クンの現金への変換の要否について“要”の指定を(販売者(販売店、販売会社)60から)受け付けている場合におけるデジタル資産を用いた清算処理(図13)
この場合、代金現金化指示手段12は、清算に必要な代金分のデジタルアセットトークンの現金化を指示する。
現金変換手段13は、代金現金化指示手段12からの指示を受けたときに、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンを、清算に必要な代金分、現金に変換する。
より詳しくは、決済用(1円単位で取引できるクロッシングのストリーミングレート)価格で即座に現金化する機能と、当該現金化した代金分をロックし、銀行等の金融機関70側のシステムに清算(銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座から銀行等の金融機関70側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分の現金の振替)を指示する電文を送信する。
現金転送手段14は、現金変換手段13がロックした複数件の代金分の現金を、定期的に一括で銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座へ転送する。
【0075】
なお、デビットカード利用者(消費者)50が、清算対象優先資産選択指定受付手段11を介して、さらに、次の指定をした場合は、以下のように処理される。
【0076】
(C-1-1)清算対象優先資産選択指定受付手段11が、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れしている複数銘柄のデジタルアセットトークンのうち、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させるデジタルアセットトークンの銘柄の順位の指定を(デビットカード利用者(消費者)50から)受け付けた場合におけるデジタル資産を用いた清算処理(図14)
この場合、代金現金化指示手段12は、清算対象優先資産選択指定受付手段11が受け付けたデジタルアセットトークンの銘柄の順位指定にしたがって清算に必要な代金分のデジタルアセットトークンの現金化を指示する。
現金変換手段13は、清算対象優先資産選択指定受付手段11が受け付けたデジタルアセットトークンの銘柄の順位指定にしたがって、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンを、清算に必要な代金分、現金に変換する。
その他の処理は上記(C-1)と略同じである。
【0077】
(C-2)清算対象優先資産選択指定受付手段11が、清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの指定を(デビットカード利用者(消費者)50から)受け付けるとともに、現金変換要否指定受付手段15が、デジタルアセットト―クンの現金への変換の要否について“不要”の指定を(販売者(販売店、販売会社)60から)受け付けている場合におけるデジタル資産を用いた清算処理(図15)
この場合、現金変換制御手段16は、現金変換手段13による暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算に必要な代金分の現金への変換をしないように制御しながら、暗号資産交換業者80側のシステムに清算(暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座から暗号資産交換業者80側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分のデジタルアセットトークンの移動)を指示する。
【0078】
なお、清算対象優先資産選択指定受付手段11が、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れしている複数銘柄のデジタルアセットトークンのうち、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させるデジタルアセットトークンの銘柄の順位の指定を(デビットカード利用者(消費者)50から)受け付けた場合の処理も上記(C-2)と略同じである。
【0079】
(C-3)清算対象優先資産選択指定受付手段11が、清算対象として優先させる資産として、銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金の指定を(デビットカード利用者(消費者)50から)受け付けている場合において、銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金が清算に必要な額を満たさない場合におけるデジタル資産を用いた清算処理(図16)
この場合、代金現金化指示手段12は、不足分の清算に必要な代金分の現金化を指示する。
現金変換手段13は、代金現金化指示手段12から不足分の清算に必要な代金分の現金化の指示を受け、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている不足分の清算に必要な代金分のデジタルアセットトークンを自動的に現金化する。
現金転送手段14は、銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座に、現金変換手段13によって変換された不足分の現金を振り替える。
【0080】
(C-4)現金・デジタルアセットトークン清算比率設定受付手段18が、デビットカードでの決済の際の清算金額に対する、銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金と暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンとの清算比率の設定を(デビットカード利用者(消費者)50から)受け付けた場合におけるデジタル資産を用いた清算処理(図17)
この場合、代金現金化指示手段12は、現金・デジタルアセットトークン清算比率設定受付手段18が受け付けた、清算金額に対する暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算比率分の現金化を指示する。
現金変換手段13は、代金現金化指示手段12から清算比率分の現金化の指示を受け、現金・デジタルアセットトークン清算比率設定受付手段18が受け付けた、清算金額に対する暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算比率分を自動的に現金化する。
現金転送手段14は、現金変換手段13が現金化した、デジタルアセットトークンの清算比率分の現金を銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座に振り替える。
【0081】
(C-5)清算対象優先資産選択指定受付手段11が、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を(デビットカード利用者(消費者)50から)受け付け、さらに、ゴールドコイン、CO
2
排出権などの所定の暗号資産(またはそれに準じた特性を持つトークン類)での清算指示を(デビットカード利用者(消費者)50から)受け付けた場合におけるデジタル資産を用いた清算処理(図18)
この場合、現金変換制御手段16は、現金変換手段13による暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算に必要な代金分の現金への変換をしないように制御しながら、暗号資産交換業者80側のシステムに清算(暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座から暗号資産交換業者80側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分のゴールドコインなどの所定の暗号資産の移動)を指示する。
【0082】
(C-6)清算対象優先資産選択指定受付手段11が、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている所定国のステーブルコインの指定を(デビットカード利用者(消費者)50から)受け付けた場合におけるデジタル資産を用いた清算処理(図19)
この場合、現金変換制御手段16は、現金変換手段13による暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算に必要な代金分の現金への変換をしないように制御しながら、暗号資産交換業者80側のシステムに清算(暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座から暗号資産交換業者80側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分の所定国のステーブルコインの移動)を指示する。
【0083】
(C-7)清算対象優先資産選択指定受付手段11が、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている複数のタイプの異なる資産(ポイントやデジタル通貨、ステーブルコイン、商品ステーブル)について、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産の順位指定を(デビットカード利用者(消費者)50から)受け付けた場合におけるデジタル資産を用いた清算処理(図20)
この場合、代金現金化指示手段12は、清算対象優先資産選択指定受付手段11が受け付けた複数のタイプの異なる資産の順位指定にしたがって清算に必要な代金分の資産の現金化を指示する。
現金変換手段13は、清算対象優先資産選択指定受付手段11が受け付けた複数のタイプの異なる資産の順位指定にしたがって、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている資産を、清算に必要な代金分、現金に変換する。
その他の処理は上記(C-1)と略同じである。
【0084】
(C-8)その他、デビットカードでの決済の際の清算金額が所定額以上の超高額である場合におけるデジタル資産を用いた清算処理(図21)
この場合、代金現金化指示手段12は、銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金に優先して、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの現金化を指示する。
その他の処理は上記(C-1)と略同じである。
【0085】
なお、本実施形態のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム1においては、デビットカードの決済において、暗号資産(またはそれに準じた特性を持つトークン類)の清算に必要な代金分の現金¥への変換を行う場合は、総合課税税制の計算を行うためのデータ(簿価と売却値、数量、日次等)を記録できる手段(不図示)を備えるのが好ましい。
また、暗号資産(またはそれに準じた特性を持つトークン類)の清算に必要な代金分の現金¥への変換を行わない場合は、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている暗号資産(またはそれに準じた特性を持つトークン類)の交換という扱いとなる。例えば、ガソリンの支払いにガソリントークンを渡すような場合は、ガソリンとガソリントークンとの交換という扱いになる。一方、消費行動における決済では、消費税制用のデータ管理を行うことができる手段(不図示)を備えるのが好ましい。
【0086】
(D)取引記録の参照(不図示)
顧客(デビットカード利用者(消費者)50)からの参照操作に応じて、取引記録参照手段17が、デビットカードでの決済における当該取引記録(現金変換手段13によるデジタルアセットトークンを現金化したときの取引量と該当レートを含む)を顧客(デビットカード利用者(消費者)50)に提示する。
【0087】
本実施形態のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム1によれば、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンのいずれかの選択指定をデビットカード利用者(消費者)50から受け付ける機能を有する清算対象優先資産選択指定受付手段11と、清算対象優先資産選択指定受付手段11が清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を受け付けた場合、清算に必要な代金分のデジタルアセットトークンの現金化を指示する機能を有する代金現金化指示手段12と、代金現金化指示手段12からの指示を受けたときに、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンを、清算に必要な代金分、現金に変換する機能を有する現金変換手段13と、を有した構成としたので、デビットカード利用者(消費者)50は、デジタル資産の保有によりデビットカードを用いて即時決済することができ、しかも、清算対象として現金とデジタル資産とを選択することができる。このため、デビッドカードを利用し易くすることができる。
【0088】
また、本実施形態のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム1によれば、現金変換手段13は、決済用(1円単位で取引できるクロッシングのストリーミングレート)価格で即座に現金化する機能と、当該現金化した代金分をロックし、銀行等の金融機関70側のシステムに清算(銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座から銀行等の金融機関70側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分の現金の振替)を指示する電文を送信する機能を有し、さらに、現金変換手段13がロックした複数件の代金分の現金を、定期的に一括で銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座へ転送する機能を有する現金転送手段14を有した構成としたので、デジタル資産を清算対象に用いながらも、清算分の現金を確保でき、従来のデビットシステムと同様の銀行口座からの引き落としをすることができる。また、複数件の代金分の現金を、定期的に一括で銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座へ転送するように構成したので、トランザクション量を効率化することができる。
【0089】
また、本実施形態のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム1によれば、デジタルアセットト―クンの現金への変換の要否の指定を販売者(販売店、販売会社)60から受け付ける機能を有する現金変換要否指定受付手段15と、清算対象優先資産選択指定受付手段11がデビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を受け付けた場合において、現金変換要否指定受付手段15がデジタルアセットトークンの現金への変換不要指定を受け付けている場合、現金変換手段13による暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算に必要な代金分の現金への変換をしないように制御しながら、暗号資産交換業者80側のシステムに清算(暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座から暗号資産交換業者80側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分のデジタルアセットトークンの移動)を指示する機能を有する現金変換制御手段16をさらに有した構成としたので、販売者(販売店、販売会社)60が、支払い対象となる資産として、現金の他に、デジタル資産を選択でき、景気や価値の変動に対処できるよう多様な形態での資産を保有することができる。
【0090】
また、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム1によれば、清算対象優先資産選択指定受付手段11は、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を受け付けた場合、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れしている複数銘柄のデジタルアセットトークンのうち、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させるデジタルアセットトークンの銘柄の順位指定をデビットカード利用者(消費者)50から受け付ける機能をさらに有し、代金現金化指示手段12は、清算対象優先資産選択指定受付手段11が受け付けたデジタルアセットトークンの銘柄の順位指定にしたがって清算に必要な代金分のデジタルアセットトークンの現金化を指示する機能をさらに有し、現金変換手段13は、清算対象優先資産選択指定受付手段11が受け付けたデジタルアセットトークンの銘柄の順位指定にしたがって、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンを、清算に必要な代金分、現金に変換する機能をさらに有した構成としたので、デビットカード利用者(消費者)50が複数銘柄のデジタルアセットを暗号資産交換業者80側の口座に保有している場合に、景気や価値の変動に応じて有利な銘柄のデジタル資産を清算対象とすることができる。このため、デビッドカードをより利用し易くすることができる。
【0091】
また、本実施形態のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム1によれば、デビットカードでの決済における当該取引記録(現金変換手段13によるデジタルアセットトークンを現金化したときの取引量と該当レートを含む)を顧客(デビットカード利用者(消費者)50)が参照することのできる機能を有する取引記録参照手段17をさらに有した構成としたので、デビットカード利用者(消費者)50が清算対象としてデジタル資産を選択した場合におけるデジタル資産から現金へ変換した時点でのレートや、デジタル資産を清算に用いたことに伴う現在のデジタル資産の預入量を、容易に確認することができる。
【0092】
また、本実施形態のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム1によれば、代金現金化指示手段12は、清算対象優先資産選択指定受付手段11が、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金の選択指定を受け付けた場合において、銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金が清算に必要な額を満たさないときに、不足分の清算に必要な代金分の現金化を指示する機能をさらに有し、現金変換手段13は、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている不足分の清算に必要な代金分のデジタルアセットトークンを自動的に現金化する機能をさらに有し、現金転送手段14は、銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座に不足分の現金を振り替える機能をさらに有した構成としたので、銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金が清算に必要な額を満たさないときであっても、デジタル資産の保有によりデビットカードを用いて即時清算することができる。
【0093】
また、本実施形態のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム1によれば、デビットカードでの決済の際の清算金額に対する、銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金と暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンとの清算比率の設定をデビットカード利用者(消費者)50から受け付ける機能を有する現金・デジタルアセットトークン清算比率設定受付手段18を有し、代金現金化指示手段12は、現金・デジタルアセットトークン清算比率設定受付手段18が受け付けた、清算金額に対する暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算比率分の現金化を指示する機能をさらに有し、現金変換手段13は、代金現金化指示手段12から清算比率分の現金化の指示を受けたとき、現金・デジタルアセットトークン清算比率設定受付手段18が受け付けた、清算金額に対する暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算比率分を自動的に現金化する機能をさらに有し、現金転送手段14は、現金変換手段13が現金化した、デジタルアセットトークンの清算比率分の現金を銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座に振り替える機能をさらに有した構成としたので、デビットカード利用者(消費者)50が保有する現金やデジタル資産における価値の変動に応じて、より有利となるように資産の比率を調整して清算ができ、資産をより有利に保有することができる。このため、デビットカードをより一層利用し易くすることができる。
【0094】
また、本実施形態のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム1によれば、現金変換制御手段16は、デビットカードでの決済の際の清算金額が所定額以上の超高額である場合、代金現金化指示手段12は、銀行等の金融機関70側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている現金に優先して、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの現金化を指示する機能をさらに有した構成としたので、超高額の場合、デジタル資産を現金に変換するときのスプレッド(手数料)がかからなくなることから、超高額清算のデビットカード利用者(消費者)50に対する清算に伴う費用負担を極めて低減することができる。
【0095】
また、本実施形態のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム1によれば、清算対象優先資産選択指定受付手段11は、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を受け付けた場合において、さらに、ゴールドコインなどの所定の暗号資産での清算指示をデビットカード利用者(消費者)50から受け付ける機能を有し、現金変換制御手段16は、清算対象優先資産選択指定受付手段11がゴールドコインなどの所定の暗号資産での清算指示を受け付けた場合、現金変換手段13による暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算に必要な代金分の現金への変換をしないように制御しながら、暗号資産交換業者80側のシステムに清算(暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座から暗号資産交換業者80側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分のゴールドコインなどの所定の暗号資産の移動)を指示する機能をさらに有した構成としたので、海外でのデビットカード決済による清算に用い易くすることができる。
【0096】
また、本実施形態のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム1によれば、清算対象優先資産選択指定受付手段11は、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている所定国のステーブルコインの指定をデビットカード利用者(消費者)50から受け付ける機能をさらに有し、現金変換制御手段16は、清算対象優先資産選択指定受付手段11が清算対象として優先させる資産として、所定国のステーブルコインの指定を受け付けた場合、現金変換手段13による暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算に必要な代金分の現金への変換をしないように制御しながら、暗号資産交換業者80側のシステムに清算(暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座から暗号資産交換業者80側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分の所定国のステーブルコインの移動)を指示する機能をさらに有した構成としたので、海外でのデビットカード決済による清算に用い易くすることができる。
【0097】
また、本実施形態のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム1によれば、清算対象優先資産選択指定受付手段11は、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産として、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの選択指定を受け付けた場合において、さらに、CO2排出権などの所定の暗号資産(またはそれに準じた特性を持つトークン類)での清算指定をデビットカード利用者(消費者)50から受け付ける機能を有し、現金変換制御手段16は、清算対象優先資産選択指定受付手段11がCO2排出権などの所定の暗号資産での清算指定を受け付けた場合、現金変換手段13による暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされているデジタルアセットトークンの清算に必要な代金分の現金への変換をしないように制御しながら、暗号資産交換業者80側のシステムに清算(暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座から暗号資産交換業者80側の販売者(販売店、販売会社)口座への代金分のCO2排出権などの所定の暗号資産(またはそれに準じた特性を持つトークン類)の移動)を指示する機能をさらに有した構成としたので、将来的にインフレ傾向が強くなった場合に対処し易くすることができる。
【0098】
また、本実施形態のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システム1によれば、清算対象優先資産選択指定受付手段11は、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている複数のタイプの異なる資産(ポイントやデジタル通貨、ステーブルコイン、商品ステーブル)について、デビットカードでの決済の際の清算対象として優先させる資産の順位指定をデビットカード利用者(消費者)50から受け付ける機能をさらに有し、代金現金化指示手段12は、清算対象優先資産選択指定受付手段11が受け付けた複数のタイプの異なる資産の順位指定にしたがって清算に必要な代金分の資産の現金化を指示する機能をさらに有し、現金変換手段13は、清算対象優先資産選択指定受付手段11が受け付けた複数のタイプの異なる資産の順位指定にしたがって、暗号資産交換業者80側のデビットカード利用者(消費者)口座に預け入れされている資産を、清算に必要な代金分、現金に変換する機能をさらに有した構成としたので、デビットカード利用者(消費者)50が多様な資産で清算することができる。このため、デビッドカードをより一層利用し易くすることができる。
【0099】
従って、本実施形態によれば、デジタル資産の保有による即時決済ができ、清算対象として多様なデジタル資産を選択でき、現金が清算額を不足していても即時清算でき、外国での清算がし易く、景気や価値の変動に応じて有利な資産での清算が可能なデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムが得られる。
【0100】
以上、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムについて実施形態を用いて説明したが、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムは、上記実施形態で説明した構成に限られるものではなく、本発明の請求項の範囲内でどのような形態にも構成可能である。
【0101】
なお、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムにおいて、デビットは銀行口座と接続した即時処理であるが、クレジットデビットは決済業者(クレジット会社などの金融機関)と銀行口座が1:1で接続している。本発明では、「銀行口座決済
」に加えて、ゴールドなどの「暗号資産口座決済」を行う。このため、クレジット会社などの金融機関は、1:N(Nは2以上)の関係で口座が接続される。
複数口座側(N側)の処理を定義するために、決済業者のサービス画面(機能)により、クレジットデビット利用者(顧客)が決済における清算対象となる資産の優先度を指定する。
例えば、
・銀行口座の残金が無い場合、次の順位として指定された口座(暗号資産)などから決済における清算対象を指定する。あるいは、暗号資産口座の残資産が無い場合、次の順位として指定された銀行口座などから決済における清算対象を指定する。
・100万円以上の高額決済の場合は、暗号資産口座から決済における清算対象を指定する。あるいは、100万円以下の決済の場合は、銀行口座から決済における清算対象を指定する。
ことなどが考えられる。
【0102】
また、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムにおいて、例えば、ゴールドを清算対象として決済を行う場合、ゴールドの売買レートをベースとしてスプレッドを加算したものを決済レートとし、売買レートの変動を極力排除し、固定化する。そして、実際に決済指示が届いたときに、極力高速に処理する必要がある。
しかるに、例えば、100万円の決済指示が届いたときに、100万円相当のゴールドトークンを決済レートに従い、現金に交換して決済に充てることが考えられる。
しかし、決済レートを確認しゴールドトークンの売却処理後に決済処理OKを通知するのでは決済処理の速度が遅くなる。
そこで、その遅延を回避するために、本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムにおいては、クレジット会社などの金融機関とのシステム接続の接点部において、各顧客が決済における清算対象に用いることのできる資産分を決済レートに従い、リアルタイムで暫定的に計算し、決済指示が届いたときに、暫定的に計算した枠内で決済処理可能と判断できる場合、資産を売却するより前に、クレジット会社などの金融機関に対して決済完了通知を出すようにする。このようにすることで、決済処理の速度を上げることが可能になる。
【0103】
なお、このような非同期処理を行う場合、種々のリスク(例えば、決済完了通知を出したが、決済における清算対象となるべき資産が既に売却され引き出されていて、実際に決済における売却を行うときに売却できなくなるというリスクなど)が発生する。例えば、決済指示が届いた資産を現金化する場合において、これとは別に顧客が同時に資産を売却し現金化する可能性がある。そこで、基本的には資産の現金化が行われている場合には、資産を売却せず現金を決済における清算対象に充てるようにする。もしくは、顧客が暗号資産交換業者側でログインしているかを確認し、ログインしている場合は、決済指示が届いた段階で、当該口座の資産売却操作を一時的に処理不可の状態となるようにする。このようにすることで、非同期処理を行う場合における上述のリスクを排除できる。
【0104】
決済完了通知後に、決済レートにて該当口座の資産を売却し、同期を後付けで合わせる。
また、決済完了通知から資産売却までの短時間に、決済レートが変動し、売却額が不足するような場合は、暗号資産交換業者が自己としてその損失を補填(資産売却が可能となる決済レートを生成して資産を売却)するようにする。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明のデジタル資産を用いたデビットサービス提供システムは、デビットサービスを提供することが必要とされる分野に有用である。
【符号の説明】
【0106】
1 デジタル資産を用いたデビットサービス提供システム
11 清算対象優先資産選択指定受付手段
12 代金現金化指示手段
13 現金変換手段
14 現金転送手段
15 現金変換要否指定受付手段
16 現金変換制御手段
17 取引記録参照手段
18 現金・デジタルアセットトークン清算比率設定受付手段
50 デビットカード利用者(消費者)
60 販売者(販売店、販売会社)
70 銀行等の金融機関
80 暗号資産交換業者
90 クレジット会社などの金融機関