(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】細胞増殖促進剤及び化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/55 20060101AFI20241022BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20241022BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
A61K8/55
A61K8/49
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2020144010
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】391066490
【氏名又は名称】日本ゼトック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148862
【氏名又は名称】赤塚 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179811
【氏名又は名称】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】坂口 梨沙子
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 みずき
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 嘉宣
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/161978(WO,A1)
【文献】特開2011-140442(JP,A)
【文献】後藤真里ほか,環状ホスファチジン酸の生理活性,生化学,2018年,第90巻第6号,pp.757-765
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真皮線維芽細胞の細胞増殖促進剤であって、
環状リゾホスファチジン酸ナトリウムで構成される成分Aと、ナイアシンアミドとを含むことを特徴とする細胞増殖促進剤。
【請求項2】
前記真皮線維芽細胞がヒト真皮線維芽細胞である請求項1に記載の細胞増殖促進剤。
【請求項3】
前記成分Aの含有量と、前記ナイアシンアミドの含有量との質量比は、20000:1~1:20000である請求項1又は2に記載の細胞増殖促進剤。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の細胞増殖促進剤を含むことを特徴とする化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞増殖促進剤及び化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、主に、表皮、真皮、皮下組織の3層に分かれている。これら3層のうち真皮は、皮膚の構造を維持する上で重要な役割を担っている。真皮は、主に線維芽細胞、コラーゲン繊維、弾性繊維などが複合的に三次元状に広がった構造を有する結合組織である。このうち、線維芽細胞は、コラーゲン繊維や弾性繊維を含むタンパク質の合成・分解のバランスを保ち結合状態を維持する機能を有している。線維芽細胞の数の減少や機能低下は肌の様々なトラブルにつながることから、細胞増殖促進作用を有する成分の探索が求められている。
【0003】
ところで、環状ホスファチジン酸(cPA)は、ヒト血清中などに存在し、グリア細胞の増殖促進などが知られている(特許文献1)。また、環状リゾホスファチジン酸ナトリウム(NcPA)は、cPAよりも温和で簡便な方法で調製されたもので、同様に細胞増殖能があることが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-308779号公報
【文献】国際公開2019/117187
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、環状ホスファチジン酸単体では、細胞増殖の促進効果が十分ではなく、さらなる細胞増殖の促進効果が求められている。
そこで、本発明は、細胞増殖の促進効果が高い細胞増殖促進剤及び化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る細胞増殖促進剤は、
真皮線維芽細胞の細胞増殖促進剤であって、
環状リゾホスファチジン酸ナトリウムで構成される成分Aと、ナイアシンアミドとを含むことを特徴とする。
また、本発明に係る細胞増殖促進剤は、前記真皮線維芽細胞がヒト真皮線維芽細胞であることが好ましい。
また、本発明に係る細胞増殖促進剤は、前記成分Aの含有量と、前記ナイアシンアミドの含有量との質量比は、20000:1~1:20000であることが好ましい。
また、本発明に係る化粧料は、本発明の細胞増殖促進剤を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、細胞増殖の促進効果が高い細胞増殖促進剤及び化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の細胞増殖促進剤及び化粧料の好適な実施形態について詳細に説明する。
<細胞増殖促進剤>
本発明の細胞増殖促進剤は、環状ホスファチジン酸及び/又はその塩で構成される成分Aと、ナイアシンアミドとを含んでいる。
【0009】
(成分A)
本発明において、成分Aは、環状ホスファチジン酸及び/又はその塩で構成される。
ここで、環状ホスファチジン酸とは、グリセロールを中心骨格とし、環状リン酸基と脂肪酸残基を持つリン脂質を備えたものである。
【0010】
本発明で用いられる環状ホスファチジン酸は、脂肪酸残基部分が炭素数1~30の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数2~30の直鎖状もしくは分岐状アルケニル基、炭素数2~30の直鎖状もしくは分岐状アルキニル基であり、これらの基は、シクロアルカン環または芳香環を含んでいてもよい。環状ホスファチジン酸の脂肪酸残基部分としては、具体的には、酪酸、バレリアン酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、(9,12,15)-リノレン酸、(6,9,12)-リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、ミード酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、より好ましくはパルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、(9,12,15)-リノレン酸、(6,9,12)-リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、ミード酸、アラキドン酸等が挙げられる。
【0011】
また、環状ホスファチジン酸の塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩を用いるのが好ましく、ナトリウム塩を用いるのがより好ましい。これにより、細胞増殖の促進効果がより高いものとなる。
【0012】
成分Aとしては、例えば、環状ホスファチジン酸、環状ホスファチジン酸ナトリウム、環状リゾホスファチジン酸、環状リゾホスファチジン酸ナトリウム等を挙げることができる。これらの中でも、成分Aは、環状リゾホスファチジン酸ナトリウムであるのが好ましい。これにより、細胞増殖の促進効果がより高いものとなる。
【0013】
細胞増殖促進剤中における成分Aの含有量は、0.000001~5質量%であるのが好ましく、0.00001~1質量%であるのがより好ましく、0.0001~0.2質量%であるのがさらに好ましい。これにより、細胞増殖の促進効果をより効果的に高めることができる。
【0014】
(ナイアシンアミド)
ナイアシンアミドは、ニコチン酸アミドやビタミンB3とも呼ばれ、エネルギー代謝や酸化還元など生体内の様々な生化学反応に深く関わる補酵素である。
【0015】
従来より、環状ホスファチジン酸(成分A)は、細胞増殖を促進する機能を有することが知られているが、その促進効果は十分なものとは言えなかった。
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、環状ホスファチジン酸及び/又はその塩で構成される成分Aと、ナイアシンアミドとを併用することで、細胞増殖の促進効果が成分A単体よりも高くなることを見出し、本発明の完成に至った。
【0016】
細胞増殖促進剤中におけるナイアシンアミドの含有量は、0.00001~30質量%であるのが好ましく、0.00005~20質量%であるのがより好ましく、0.0001~10質量%であるのがさらに好ましい。これにより、細胞増殖の促進効果をより効果的に高めることができる。
【0017】
また、細胞増殖促進剤中における成分Aの含有量とナイアシンアミドの含有量との質量比は、20000:1~1:20000であるのが好ましく、10:1~1:10000であるのがより好ましく、1:1~1:5000であるのがさらに好ましい。これにより、本発明の細胞増殖促進剤は、より高い細胞増殖の促進能を発揮するものとなる。
【0018】
(抗酸化剤)
細胞増殖促進剤には、抗酸化剤が含まれていてもよい。これにより、さらに高い細胞増殖促進能を発揮させることができる。
【0019】
抗酸化剤としては、例えば、ビタミンE及びその誘導体(dl-α(β、γ)-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸-dl-α-トコフェロール、リノール酸-dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール等のトコフェロール及びその誘導体、ユビキノン類等)、ビタミンA及びその誘導体(パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール等のレチノール及びその誘導体、デヒドロレチナール等のレチナール及びその誘導体等)、カロチノイド(カロチン、リコピン、アスタキサンチン等)、ビタミンB及びその誘導体(チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩、リボフラビン、酢酸リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート、フラビンアデニンジヌクレオチド、シアノコバラミン、葉酸類、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、コリン類等)、ビタミンC及びその誘導体(ジパルミチン酸L-アスコルビル、テトライソパルミチン酸L-アスコルビル等のL-アスコルビン酸アルキルエステル、L-アスコルビン酸リン酸エステル、L-アスコルビン酸硫酸エステル等)、ビタミンD及びその誘導体(エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ジヒドロキシスタナール等 )、ルチン及びその誘導体、チオタウリン、タウリン、ハイドロキノン及びその誘導体、ヒスチジン、カテキン及びその誘導体、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン及びこれらを含有するカンゾウ抽出物等が挙げられる。
なお、本発明の細胞増殖促進剤には、上記以外の任意の機能を有する他の成分が含まれていてもよい。
【0020】
<化粧料>
本発明の化粧料は、上述した本発明の細胞増殖促進剤を含むものである。
また、本発明の化粧料には、上記成分の他、目的および剤形に応じて通常用いられる基剤成分並びに薬効成分を配合することができる。
【0021】
そのような基剤成分並びに薬効成分の例として、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、鉱物・合成油、動植物油、ロウ類、脂肪酸、アルコール、エステル油、シリコン油、界面活性剤、湿潤剤、高分子化合物、動植物抽出物、アミノ酸類、溶剤、消炎剤、防腐剤、紫外線防止剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、pH調整剤、色素・顔料、香料などが挙げられ、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0022】
以下にそれらの具体例を挙げる。
(鉱物・合成油)
鉱物・合成油としては、例えば、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ワセリン、パラフィン、セレシン、マイクロスタリンワックス、α-オレフィンオリゴマー、ポリエチレン、ポリブテン、合成スクワラン等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
(動植物油)
動植物油としては、例えば、スクワラン、オリーブ油、ツバキ油、コムギ胚芽油、ホホバ油、アボカド油、カロット油、シア脂、液状シア脂、パーム油、パーム核油、硬化油、馬油、卵黄油、チョウジ油、ローズヒップ油、ハッカ油、スペアミント油、ローズマリー油、マカデミアナッツ油、杏仁油、サフラワー油、ヒマワリ油、メドゥホーム油、アーモンド油、エゴマ油、ゴマ油、ボラージ油、カカオ脂、コメヌカ油、コメ胚芽油、ウイキョウ油、オレンジ油、カミツレ油、キューカンバー油、ククイナッツ油、大豆油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、ヒマシ油、綿実油、落花生油、タートル油、ミンク油、アルガニアスピサ核油、クランベアビシニカ種子油、アルモンド油、桃仁油、グレープシード油、エミュー油、アサ種子油、アマニ油、サザンカ油、モクロウ、ヤシ油、月見草油、ピスタチオ種子油、マンゴーバター等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
(ロウ類)
ロウ類としては、例えば、ホホバ油、ミツロウ、カルナウバロウ、コメヌカロウ、鯨ロウ、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、キャンデリラロウ、モンタンロウ、セラック、オレンジラフィー油等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
(脂肪酸)
脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、ラノリン脂肪酸等の天然脂肪酸、イソノナン酸、カプロン酸、2-エチルブタン酸、イソペンタン酸、2-メチルペンタン酸、イソペンタン酸等の合成脂肪酸等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
(アルコール)
アルコールとしては、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ヘキシルデカノール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、2-ヘキシルデカノール、2-オクチルドデカノール、バチルアルコール等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
(エステル油)
エステル油としては、例えば、トリカプリル酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、イソノナン酸イソノニル、ジオクタン酸エチレングリコール、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、ミリスチン酸デシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、リシノール酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソセチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸2-オクチルドデシル、リシノール酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、オクタン酸セトステアリル、オクタン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、テトラミリスチン酸ペンタエリスリトール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、ネオペンタン酸2-オクチルドデシル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸イソステアリル、イソペアルゴン酸オクチル、ネオデカン酸2-ヘキシルデシル、ネオデカン酸2-オクチルドデシル、イソパルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸2-オクチルドデシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸2-オクチルドデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリ2-エチルヘキシル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリ2-オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、コハク酸ジオクチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチルオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、炭酸ジアルキル等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
(シリコン油)
シリコン油としては、例えば、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、シリコン樹脂、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、環状シリコン樹脂、オクタメチルトリシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・ブチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキ酸共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
(界面活性剤)
界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、テトラデセンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩、ラウロイルサルコシン塩、アルキルメチル-β-アラニン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸石けん、N-アシルグルタミン酸塩、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルメチルタウリン塩、アルキルアミノプロキオン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルグルコシド、ポリエーテル変性シリコン、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、アミドアミン、塩化ジアルキルジメチルアンモニウムジメチル酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、レシチン(大豆又は卵黄)およびその誘導体、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸・リン酸塩、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(湿潤剤)
湿潤剤としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、マルチトール、還元水あめ、ラクチトール、パラチニット、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、キシロース、トレハロース、グリコシドトレハロース、グルコース、グルコース、ラクトース、マンノース、マルトース、フルクトース、イノシトール、ペンタエリスリトール、マルトトリオース、澱粉分解糖、澱粉分解糖還元アルコール、酸化エチレン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酸化プロピレン、水溶性プロテオグリカン、コラーゲン、セラミド等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
(高分子化合物)
高分子化合物としては、例えば、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、寒天、ファーセレラン、グァーガム、クインスシード、コンニャクマンナン、タマリンドガム、タラガム、デキストリン、デンプン、ローカストビーンガム、アラビアガム、ガッティガム、カラヤガム、トラガカントガム、アラビノガラクタン、ペクチン、マルメロ、小麦タンパク質、大豆タンパク質、アルブミン、カゼイン、ゼラチン、キトサン、ヒアルロン酸、カードラン、キサンタンガム、ジェランガム、シクロデキストリン、デキストラン、プルラン、結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース、カチオン化グァーガム、ヒドロキシプロピル化グァーガム、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンイミン、高重合ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
(動植物抽出物)
動植物抽出物としては、例えば、プラセンタエキス、加水分解ケラチン、加水分解シルク、酵母エキス、アロエエキス、コンフリーエキス、シャクヤクエキス、シソエキス、セージエキス、センブリエキス、ハマメリス水、ヒキオコシエキス、ホップエキス、マロニエエキス、モモ葉エキス、ユキノシタエキス、メリッサエキス、ヨモギエキス、ローズマリーエキス、コメヌカ発酵エキス等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
(アミノ酸類)
アミノ酸類としては、例えば、L-アラニン、L-アルギニン、L-アスパラギン酸、L-グルタミン、L-アスパラギン、L-システイン、L-セリン、L-チロシン、L-プロリン、ピロリドンカルボン酸塩、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リシン、シスチン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、オルニチン、ヒスチジン、γ-アミノ酪酸、ε-アミノカプロン酸等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
(溶剤)
溶剤としては、例えば、精製水、常水、エタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
(消炎剤)
消炎剤としては、例えば、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、グアイアズレン、グアイアズレンスルホン酸ナトリウム、アラントイン、ε-アミノカプロン酸、トラネキサム酸等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
(防腐剤)
防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、フェノキシエタノール、ビサボロール、ヒノキチオール、安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ウンデシレン酸、ピオニン、l-メントール、d-カンフル、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンゼトニウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、エチルヘキシルグリセリン等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
(紫外線防止剤)
紫外線防止剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、オキシベンゾン、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、サリチル酸オクチル、4-tert-ブチル-4’-メトキシ-ジベンゾイルメタン、フェルラ酸、酸化チタン、微粒子酸化チタン、酸化亜鉛、微粒子酸化亜鉛等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
(金属イオン封鎖剤)
金属イオン封鎖剤としては、例えば、エデト酸、エデト酸塩、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム、エチレンジアミンテトラキス(2-ヒドロキシイソプロピル)ジオレイン酸塩、ヒドロキシエタンジスルホン酸、ヒドロキシエタンジスルホン酸四ナトリウム、フィチン酸等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸、没食子酸プロピル、d-δ-トコフェロール等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
(pH調整剤)
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、リン酸およびその塩等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
以上、本発明の細胞増殖促進剤及び化粧料について説明したが、本発明はこれに限定されない。
【実施例】
【0041】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
<細胞の培養促進実験>
(実施例1)
ヒト真皮線維芽細胞を10%FBS含有DMEM培地で24時間培養した後、環状リゾホスファチジン酸ナトリウム(成分A)0.00022%、ナイアシンアミド0.0006%を添加した0.25%FBS含有DMEM培地に交換して、さらに48時間培養した。
【0042】
(比較例1)
コントロールとして、成分A及びナイアシンアミドを添加していない0.25%FBS含有DMEM培地で、前記実施例1と同様にして培養した。
【0043】
(比較例2)
ナイアシンアミドを添加しなかった以外は、前記実施例1と同様にして培養した。
【0044】
(比較例3)
成分Aを添加しなかった以外は、前記実施例1と同様にして培養した。
【0045】
<評価>
実施例及び各比較例において、培養終了後にWST試薬を用いて細胞の酵素活性を測定して細胞増殖の指標とした。コントロールの酵素活性を100%として相対的な細胞増殖率(%)とした。
これらの結果を表1に示す。
【0046】
【0047】
比較例2から解るように、環状リゾホスファチジン酸ナトリウムは、既知のとおり細胞増殖促進を有していることが認められた。一方、比較例3の結果から解るように、ナイアシンアミドは細胞増殖促進効果が認められなかった。
【0048】
これに対して、環状リゾホスファチジン酸ナトリウムとナイアシンアミドの共添加した本発明の細胞増殖促進剤を用いた実施例1では、比較例2の結果と比較して、細胞増殖促進のさらなる向上が確認された。