(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】LEDアレイ
(51)【国際特許分類】
H01L 33/08 20100101AFI20241022BHJP
H01L 33/22 20100101ALI20241022BHJP
【FI】
H01L33/08
H01L33/22
(21)【出願番号】P 2022134362
(22)【出願日】2022-08-25
【審査請求日】2023-07-14
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)本願は、令和2年度、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)、研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)「高臨場感VR/ARディスプレイのための高輝度フルカラーモノリシックLEDの開発」委託研究の成果である、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】599002043
【氏名又は名称】学校法人 名城大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】上田 吉裕
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 素顕
(72)【発明者】
【氏名】末広 好伸
(72)【発明者】
【氏名】今泉 雄太
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 竜成
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-207267(JP,A)
【文献】特表2020-503678(JP,A)
【文献】特開平08-088408(JP,A)
【文献】特開2007-273659(JP,A)
【文献】国際公開第2020/153339(WO,A1)
【文献】特開昭60-136788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹凸構造が表面に形成された基板と、
前記凹凸構造の上に形成された平坦化層と、
前記平坦化層の上に形成され、一対の電極を有する第1画素と、
前記第1画素に隣接し、他の一対の電極を有する第2画素と、を備え、
前記第1画素と前記第2画素とのそれぞれが、
第1色を発光する第1発光層を含む第1発光素子と、
前記第1発光層と、第2色を発光するために前記第1発光層の上方に積層された第2発光層とを含む第2発光素子と、
前記第1発光層と、前記第2発光層と、第3色を発光するために前記第2発光層の上方に積層された第3発光層とを含む第3発光素子と、を含み、
前記第1画素に含まれる第1発光素子と、前記第2画素に含まれる第1発光素子との間に形成されて前記第1発光層から前記凹凸構造に向かって前記平坦化層の少なくとも途中まで延伸する迷光減衰溝をさらに備え、
前記迷光減衰溝は、前記一対の電極を有する前記第1画素と前記他の一対の電極を有する前記第2画素とのそれぞれの周囲を途切れなく囲み、
前記迷光減衰溝は、4μmを超える深さを有するLEDアレイ。
【請求項2】
前記凹凸構造が傾斜面を含み、
前記基板に平行な方向における前記傾斜面の寸法が、前記
第1発光層を含む前記第1発光素子からの出射光の波長の1/2以上、且つ、2μm以下である請求項1に記載のLEDアレイ。
【請求項3】
前記凹凸構造が傾斜面を含み、
前記基板に垂直な方向における前記傾斜面の寸法が、前記
第1発光層を含む前記第1発光素子からの出射光の波長の1/2以上、且つ、2μm以下である請求項1又は2に記載のLEDアレイ。
【請求項4】
前記凹凸構造が傾斜面を含み、
前記傾斜面は、前記
第1発光層を含む前記第1発光素子から出射した光を反射して前記迷光減衰溝へ導く傾斜角度で傾斜する請求項1又は2に記載のLEDアレイ。
【請求項5】
前記凹凸構造が複数の凹凸単位を含み、
各
前記第1発光素子に対応する領域当たりの前記凹凸単位の数が1個以上である請求項1又は2に記載のLEDアレイ。
【請求項6】
前記凹凸構造が、前記表面に形成された凸部を含み、
前記凸部に傾斜面が形成される請求項1又は2に記載のLEDアレイ。
【請求項7】
前記凹凸構造が、前記表面に形成された凹部を含み、
前記凹部に傾斜面が形成され、
前記凹凸構造が、前記傾斜面に繋がる底面をさらに含み、
前記底面は、円、楕円、又は多角形の形状を有する請求項1又は2に記載のLEDアレイ。
【請求項8】
前記第1画素と前記第2画素とのそれぞれは、前記第1色を発光する前記第1発光層と、前記第2色を発光する前記第2発光層と、前記第3色を発光する前記第3発光層とが積層された多層積層構造を有する請求項1又は2に記載のLEDアレイ。
【請求項9】
前記第1画素と前記第2画素とのそれぞれは、前記第1発光層と前記第2発光層との間に設けられた第1半導体層と、前記第2発光層と前記第3発光層との間に設けられた第2半導体層とを含む請求項8に記載のLEDアレイ。
【請求項10】
前記第1発光層と前記第2発光層との間の厚さ、及び、前記第2発光層と前記第3発光層との間の厚さが1μm以上である請求項8に記載のLEDアレイ。
【請求項11】
前記迷光減衰溝は、前記基板の前記表面から3μm以下の厚みの前記平坦化層を残した位置まで延伸する請求項1又は2に記載のLEDアレイ。
【請求項12】
前記迷光減衰溝の側壁を覆うように形成された誘電体膜をさらに備える請求項1又は2に記載のLEDアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数のマイクロLED素子を備えたLEDアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
凹凸構造が表面に形成された基板と、凹凸構造の上に形成された平坦化層と、平坦化層の上に形成されて紫外領域の光を発光する発光層とを備え、基板の凹凸構造の凸部の上方に空洞が設けられた発光素子が従来技術として知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/025631号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数のマイクロLED素子を含むLEDアレイでは、複数のマイクロLED素子のうちの一つのみ発光させると、周辺の非発光のマイクロLED素子へ迷光が伝搬し、非発光のマイクロLED素子の側壁で反射した光が正面に取り出されて、非発光のマイクロLED素子が疑似的に点灯しているように見えるという課題が存在する。LEDアレイを備えた表示パネルで疑似点灯が起こると、画像が正確に表示されず、大きな技術課題となる。
【0005】
本開示の一態様は、マイクロLED素子から出射された光に起因する迷光を減衰させることができるLEDアレイを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係るLEDアレイは、凹凸構造が表面に形成された基板と、前記凹凸構造の上に形成された平坦化層と、前記平坦化層の上に形成された複数のマイクロLED素子と、前記複数のマイクロLED素子のうちの互いに隣接する一対の間に形成されて前記マイクロLED素子側から前記凹凸構造に向かって前記平坦化層の少なくとも途中まで延伸する迷光減衰溝とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、マイクロLED素子から出射された光に起因する迷光を減衰させることができるLEDアレイを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るLEDアレイの平面図である。
【
図2】
図1に示される面AAに沿った断面図である。
【
図4】上記LEDアレイの光学シミュレーションの条件としてのマイクロLED素子の寸法を示す平面図である。
【
図5】上記LEDアレイの光学シミュレーションの条件を示す断面図である。
【
図6】凹凸構造が基板に形成されない場合に発生する迷光のシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図7】上記凹凸構造を基板に形成した場合に発生する迷光を示すグラフである。
【
図8】上記凹凸構造の寸法を小さくした場合に発生する迷光を示すグラフである。
【
図9】迷光減衰溝が無いときの迷光のシミュレーション結果を示す画像である。
【
図10】深さ3μmの迷光減衰溝があるときの迷光のシミュレーション結果を示す画像である。
【
図11】深さ4μmの迷光減衰溝があるときの迷光のシミュレーション結果を示す画像である。
【
図12】深さ5μmの迷光減衰溝があるときの迷光のシミュレーション結果を示す画像である。
【
図13】
図9に画素形状を重ねた迷光のシミュレーション結果を示す画像である。
【
図14】
図10に画素形状を重ねた迷光のシミュレーション結果を示す画像である。
【
図15】
図11に画素形状を重ねた迷光のシミュレーション結果を示す画像である。
【
図16】
図12に画素形状を重ねた迷光のシミュレーション結果を示す画像である。
【
図17】迷光減衰溝が形成されないときの迷光の実験結果を示す画像である。
【
図18】深さ3μmの迷光減衰溝が形成されたときの迷光の実験結果を示す画像である。
【
図19】深さ4μmの迷光減衰溝が形成されたときの迷光の実験結果を示す画像である。
【
図20】深さ5μmの迷光減衰溝が形成されたときの迷光の実験結果を示す画像である。
【
図21】上記凹凸構造の周辺の光線の追跡結果を示す画像である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
以下、本開示の一実施形態について、詳細に説明する。
【0010】
(LEDアレイ1の構成)
図1は実施形態に係るLEDアレイ1の平面図である。
図2は
図1に示される面AAに沿った断面図である。
【0011】
図1に示すように、LEDアレイ1は、X方向及びY方向に沿ってアレイ状に形成された複数のマイクロLED素子4を備える。
【0012】
図2に示すように、LEDアレイ1は、周期的な凹凸構造6が表面に形成された基板2と、凹凸構造6の上に形成された平坦化層3と、平坦化層3の上にX方向及びY方向に沿ってアレイ状に形成された複数のマイクロLED素子4と、複数のマイクロLED素子4のうちの互いに隣接する一対の間に形成されてマイクロLED素子4側から凹凸構造6に向かって平坦化層3の少なくとも途中まで延伸する迷光減衰溝5とを備える。この迷光減衰溝5は、4μmを超える深さを有することが好ましい。平坦化層3は半導体層により構成される。
【0013】
基板2は、一般的なC面サファイア基板を用いて構成することができる。
【0014】
平坦化層3は、基板2に形成された凹凸構造6による凹凸を平坦化する機能を有する層であり、半導体材料によって構成される。
【0015】
迷光減衰溝5とは、具体的には、複数のマイクロLED素子4を素子分離するとともに、平坦化層3の少なくとも途中まで掘られた溝である。
【0016】
凹凸構造6は、基板2の表面に形成された複数の凹凸単位7を含む。
図2に示す例では、基板2の表面に凸部を形成することにより凹凸単位7が形成されている。基板2の表面に凹部を形成することにより凹凸単位7が形成されてもよい。
【0017】
各凹凸単位7は、傾斜面8と、傾斜面8に繋がる底面9とを含む。底面9は、平面視において円、楕円、又は多角形の形状を有していてもよく、底面9の形状は特に限定されない。
【0018】
基板2の表面に平行な方向における傾斜面8の寸法(以下、第1寸法)は、マイクロLED素子4からの出射光の波長の1/2以上、且つ、2μm以下であることが好ましい。第1寸法とは、基板2の表面に対して垂直な方向から前記凸部または前記凹部を平面視した場合における、傾斜面8の幅を意味する。傾斜面8の幅とは、基板2の表面に凸部が形成されている場合には、基板2を平面視したときの、当該凸部の先端部が描く稜線と底面9の外縁との間の最短距離を意味する。また、基板2の表面に凹部が形成されている場合には、傾斜面8の幅とは、基板2を平面視したときの、当該凹部としての切欠き溝と、
図2の底面9に相当する凸部の外縁との間の最短距離を意味する。
【0019】
基板2に垂直な方向における傾斜面8の寸法、すなわち、前記凸部の高さまたは前記凹部の深さは、マイクロLED素子4からの出射光の波長の1/2以上、且つ、2μm以下である。この傾斜面8は、マイクロLED素子4から出射した光を反射して迷光減衰溝5へ導く傾斜角度で傾斜する。
【0020】
以上のように、凹凸構造6は、基板2の表面に形成された凸部を含んでもよい。この凸部に傾斜面8が形成されてもよい。凹凸構造6は、この傾斜面8に繋がる底面9をさらに含んでもよい。また、凹凸構造6は、基板2の表面に形成された凹部を含んでもよい。この凹部に傾斜面8が形成されてもよい。凹凸構造6は、傾斜面8に繋がる底面9をさらに含んでもよい。底面9は、円、楕円、又は多角形の形状を有していてもよい。
【0021】
各マイクロLED素子4に対応する基板2上の領域(すなわち、1つのマイクロLED素子4が占有する基板2の表面の面積)当たりの凹凸単位7の数は1個以上であることが好ましい。
【0022】
図1に示すように、複数のマイクロLED素子4は、第1発光素子15と、第2発光素子16と、第3発光素子17との何れかであればよい。第1発光素子15は、青色光(第1色)を発光する第1発光層10を含む発光素子である。第2発光素子16は、第1発光層10と、緑色光(第2色)を発光するために第1発光層10の上方に積層された第2発光層11とを含む発光素子である。第3発光素子17は、第1発光層10と、第2発光層11と、赤色光(第3色)を発光するために第2発光層11の上方に積層された第3発光層12とを含む発光素子である。第1発光素子15、第2発光素子16、及び第3発光素子17は、それぞれアノード18及びカソード19を備える。
【0023】
第2発光素子16は、第3発光素子17から第3発光層12に係る部分を削除することにより形成する。第1発光素子15は、第3発光素子17から第3発光層12に係る部分及び第2発光層11に係る部分を削除することにより形成する。
【0024】
図2では、説明の簡素化のために、第3発光層12、第2発光層11、及び第1発光層10が全て積層された第3発光素子17の多層積層構造の態様を図示している。この第3発光素子17は、第3発光層12が発光し、第2発光層11及び第1発光層10は積層されているだけで発光はしない。第2発光素子16は、第2発光層11及び第1発光層10が積層され、第2発光層11が発光し、第1発光層10は積層されているだけで発光はしない。第1発光素子15は、第1発光層10のみが積層され、第1発光層10が発光する。
図2は、第3発光層12が発光する第3発光素子17の多層構造を示すものであるが、説明の便宜上、第1発光素子15の第1発光層10が発光する際の光の進路を図示している。
【0025】
以上のように、マイクロLED素子4は、青色光(第1色)を発光する第1発光層10と、緑色光(第2色)を発光する第2発光層11と、赤色光(第3色)を発光する第3発光層12とが積層された多層積層構造を有する。
【0026】
マイクロLED素子4の第3発光素子17は、第1発光層10と第2発光層11との間に設けられた第1半導体層13と、第2発光層11と第3発光層12との間に設けられた第2半導体層14とを含む。第1発光層10と第2発光層11との間の厚さ、及び、第2発光層11と第3発光層12との間の厚さは1μm以上であることが好ましい。
【0027】
このように、各マイクロLED素子4は、赤、緑、及び青の各色をそれぞれ発光する第3発光層12、第2発光層11、及び第1発光層10が基板2に交差する方向に積層されたモノリシック構造を有することが好ましい。第1発光素子15、第2発光素子16、及び第3発光素子17は、LEDアレイ1の1画素を構成する。1画素内にサブ画素となる第1発光素子15、第2発光素子16、及び第3発光素子17が含まれ、各サブ画素は発光する光の波長以上の高さを有する。各サブ画素間及び画素間は、迷光減衰溝5により1μm以上の間隔を空けて配列される。各サブ画素間及び画素間は、基板2の表面まで平坦化層3がエッチング除去されて迷光減衰溝5が形成されてもよい。
【0028】
迷光減衰溝5は、基板2の表面から3μm以下の厚みの平坦化層3を残した位置まで延伸することが好ましい。換言すれば、平坦化層3の厚さが3μm以下となるように、平坦化層3をエッチング除去することが好ましい。
【0029】
この時、迷光減衰溝5の側壁を、素子構造の保護及び隣接素子間の絶縁確保のため誘電体膜で覆ってもよい。この誘電体膜として、SiO2、SiN等、半導体プロセスで一般に用いられる無機化合物や、有機EL素子等に用いられるアクリル系、エポキシ系、シリコーン系等の各種絶縁性樹脂やポリイミド等の有機物を用いることができる。
【0030】
(LEDアレイ1の動作)
このように構成されたLEDアレイ1においては、第3発光素子17の第3発光層12から発光した赤色光は、消灯している第2発光層11及び第1発光層10を透過して基板2の凹凸構造6に向かう。そして、第2発光素子16の第2発光層11から発光した緑色光は、消灯している第1発光層10を透過して基板2の凹凸構造6に向かう。また、第1発光素子15の第1発光層10から発光した青色光は、直接、基板2の凹凸構造6に向かう。
【0031】
以下、第1発光層10から発光した青色光を例に挙げて説明すると、まず、凹凸単位7の傾斜面8に入射した青色光が、迷光減衰溝5に向かって迷光として反射される。そして、迷光減衰溝5に向かって反射された迷光は、迷光減衰溝5に入射して迷光減衰溝5の側壁の一方により反射される。次に、迷光減衰溝5の側壁の一方により反射された迷光は、側壁の他方により反射される。このようにして、迷光は迷光減衰溝5の側壁の一方及び他方により多重反射されて散乱され減衰する。この結果、発光画素から非発光画素に伝搬する迷光が抑制される。
【0032】
傾斜面8に入射した青色光の他の一部は、傾斜面8の他の箇所で第1発光層10に戻る方向に向かって反射される。第1発光層10から凹凸単位7の底面9に入射した青色光は、底面9を透過して基板2の内部を伝搬する。
【0033】
第2発光素子16の第2発光層11から発光した緑色光、第3発光素子17の第3発光層12から発光した赤色光についても、第1発光素子15の第1発光層10から発光した青色光と同様に、発光画素から非発光画素に伝搬する迷光が抑制される。
【0034】
(比較例)
図3は比較例に係るLEDアレイ90の断面図である。前述した構成要素と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、その詳細な説明は繰り返さない。
【0035】
第1発光層10から発した青色光は、半導体積層構造の積層方向に強度分布を持つ。半導体層93と大気との間の界面に比べて半導体層93と基板2との間の界面の屈折率差が小さいことにより、積層方向に分布する光の一部が基板2の面内方向に広がり迷光となる。この迷光は、基板2の面内方向に伝搬しつつ、各画素の側壁でパネル正面方向に反射し、消灯しているはずの非発光画素およびその周囲に疑似点灯を生じる。非発光画素に疑似点灯が生じると、本来消灯しているべき非発光画素があたかも発光しているかのように作用するため、画像を正確に表示できない。
【0036】
光学シミュレーションおよび実験によって、疑似点灯を生じる要因および光学経路は複数存在することがわかっており、それぞれ対策が必要である。本開示は、複数の要因の内、発光画素に隣接する非発光画素周辺で強く現れる迷光を抑制する構造を提供する。
【0037】
基板2に達した光は半導体層93と基板2との間の界面で屈折して基板2に入射し、基板2の裏面から広がりを持って出射する。この時、半導体層93と基板2との間の界面近傍で基板2の面内方向に広がる成分が比較的に強い強度を持つため、発光画素の周囲に強い迷光を生じる。この迷光は半導体層93と基板2との間の界面を伝搬して隣接画素の側壁間を多重反射した成分によるものであるから、半導体層93と基板2との間の界面の基板面内への伝搬を抑制する、または、隣接画素間の多重反射を抑制することで対策が可能である。本開示は、より本質的な半導体層93と基板2との間の界面での基板面内への伝搬を抑制する構造に関する。
【0038】
本実施形態においては、基板2の表面に傾斜面8を含む凹凸構造6を設け、平坦化層3としての半導体層で平坦に埋め込む。このようにして平坦化した基板2上に画素構造としての複数のマイクロLED素子4を作製する。
【0039】
凹凸構造6と平坦化層3としての半導体層との間の屈折率差によりマイクロLED素子4からの光は反射を生じるが、凹凸構造6の傾斜面8が、基板2の表面に対して垂直でない角度を持つことにより、傾斜面8に入射した光は基板2の表面に対して浅い角度(小さい角度)で反射する。この時、凹凸構造6での十分な反射のため凹凸のサイズ、例えば凹凸単位7の底面9の寸法は、マイクロLED素子4から出射する光の波長程度以上であることが望ましい。凹凸の高さまたは深さも同様に上記光の波長程度以上が望ましいが、半導体結晶成長により凹凸を平坦に埋め込む必要があり、凹凸の高さまたは深さは2μm以下であることが望ましい。
【0040】
(画素間の半導体層除去およびモノリシック構造)
上記凹凸構造6による反射は、基板2の表面に対して浅い角度を持つため、画素間の半導体層としての平坦化層3が少しでも存在する場合には、その半導体層中を基板全面にわたって伝搬する光が存在し、広い範囲に迷光を生じる。この機構は例えば特許文献1に記載の光取り出し効果向上と同じである。一方、本開示のLEDアレイ1は、マイクロLED素子4のモノリシック構造、及び、画素間の平坦化層3としての半導体層を少なくとも基板2の表面の凹凸の最表面から3μmを残して除去した構造により、広い範囲に伝搬する迷光を抑制する。
【0041】
基板2の表面の凹凸構造6により、基板2の表面に対して浅い角度で反射した光は、やはり浅い角度で上方に伝搬するが、画素間の平坦化層3としての半導体層を除去したことにより、大気と半導体層との間の界面、または大気と基板2との間の界面で、基板2の表面に対してより浅い角度に屈折し、迷光減衰溝5の隣接画素側の側壁と発光素子側の側壁との間で多重反射しながら上方に伝搬する。その際、大気と半導体層との間の界面の反射は100%より低く、かつ大気と半導体層との双方の吸収も0%より大きい。さらに、モノリシック構造によって従来の素子構造よりも厚い総層厚を有するため、より多くの多重反射を繰り返すことにより、正面方向に脱出できる光の強度はほぼ0にまで減衰する。
【0042】
このように、基板2の表面の凹凸構造6と、モノリシック型素子構造と、画素間の平坦化層3としての半導体層とにより効果的に迷光を抑制する効果が得られる。
【0043】
(光学シミュレーション)
図4はLEDアレイ1の光学シミュレーションの条件としてのマイクロLED素子4の寸法を示す平面図である。
図5はLEDアレイ1の光学シミュレーションの条件を示す断面図である。前述した構成要素と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、その詳細な説明は繰り返さない。
【0044】
赤色光を発光する第3発光素子17と、青色光を発光する第1発光素子15と、緑色光を発光する第2発光素子16とが、Y方向に沿って並んで1画素を構成する。そして、その周囲に同じ構成の隣接画素がアレイ状に配列される。
【0045】
第3発光素子17と第1発光素子15と第2発光素子16とのそれぞれは、アノード18及びカソード19を有する。各発光素子のアノード18及びカソード19を電源に接続すると、当該発光素子の全体が光る。本光学シミュレーションでは、第1発光素子15を波長450nmの青色で光らせたときに、光の向きがどうなるかをシミュレーションした。
【0046】
図5に示すように、基板2上に凹凸構造6が形成される。そして、平坦化層3上に第1発光素子15、第2発光素子16、及び第3発光素子17が配置される。第1発光素子15と第2発光素子16との間、及び、第1発光素子15と第3発光素子17との間は、迷光減衰溝5により完全に分離されている。
【0047】
図6は凹凸構造6が基板2に形成されない場合に発生する迷光のシミュレーション結果を示すグラフである。前述した構成要素と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、その詳細な説明は繰り返さない。
【0048】
凹凸構造6が基板2に形成されない場合、
図6に示すように、光学シミュレーションの結果、発光画素に隣接する非発光画素の外側に迷光が発生した。
【0049】
図7は凹凸構造6を基板2に形成した場合に発生する迷光の状況を示すグラフである。前述した構成要素と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、その詳細な説明は繰り返さない。
【0050】
凹凸構造6を基板2に形成した場合、
図7に示すように、発光画素に隣接する非発光画素の外側に発生していた迷光が消滅した。この凹凸構造6の底面9の寸法は300nmであり、傾斜面8の基板2に垂直な方向の寸法は300nmであり、基板2の表面方向の寸法は250nmである。
【0051】
図8は凹凸構造6の寸法を小さくした場合に発生する迷光を示すグラフである。前述した構成要素と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、その詳細な説明は繰り返さない。
【0052】
凹凸構造6の底面9の寸法を300nmにし、傾斜面8の基板2に垂直な方向の寸法を300nmから150nmに小さくし、傾斜面8の基板2の表面方向の寸法を250nmにすると、
図8に示すように、発光画素に隣接する非発光画素の外側に迷光が復活した。
【0053】
これは、波長450nmの青色光にとっては、150nmの傾斜面8の寸法は、その波長の1/2未満の寸法であるため、波長450nmの青色光が凹凸として反応しない寸法であるためと考えられる。これに対して、
図7の傾斜面8の寸法は、300nmであり、その波長の1/2以上の寸法である。このため、波長450nmの青色光が凹凸として反応し、青色光が傾斜面8により反射されて、迷光減衰溝5へ導かれたため、迷光減衰溝5の両側壁で多重反射されて迷光が消滅したものと考えられる。
【0054】
(迷光減衰溝5の深さの臨界的意義)
以下、迷光減衰溝5の4μmを超える深さの臨界的意義を説明する。
【0055】
図9はLEDアレイ1において迷光減衰溝5が無いときの迷光のシミュレーション結果を示す画像である。
図10は深さ3μmの迷光減衰溝5があるときの迷光のシミュレーション結果を示す画像である。
図11は深さ4μmの迷光減衰溝5があるときの迷光のシミュレーション結果を示す画像である。
図12は深さ5μmの迷光減衰溝があるときの迷光のシミュレーション結果を示す画像である。
図13は
図9に画素形状を重ねた迷光のシミュレーション結果を示す画像である。
図14は
図10に画素形状を重ねた迷光のシミュレーション結果を示す画像である。
図15は
図11に画素形状を重ねた迷光のシミュレーション結果を示す画像である。
図16は
図12に画素形状を重ねた迷光のシミュレーション結果を示す画像である。前述した構成要素と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、その詳細な説明は繰り返さない。
【0056】
この一連のシミュレーション結果は、
図4~
図8で前述した光学シミュレーションの条件と同様に条件に従い、且つ、基板2に凹凸構造6が形成されていないという条件で計算した。
図9~
図16では、マイクロLED素子4から発光されて迷光となった光が白い斑点状に表されている。
【0057】
LEDアレイ1において迷光減衰溝5が無いときは、
図9及び
図13に示すように、マイクロLED素子4からの発光に起因する迷光が発生する。
【0058】
深さ3μmの迷光減衰溝5があるときは、
図10及び
図14に示すように、マイクロLED素子4からの発光に起因する迷光が、依然として発生し殆ど減少しない。深さ4μmの迷光減衰溝5があるときも、
図11及び
図15に示すように、マイクロLED素子4からの発光に起因する迷光が、依然として発生し殆ど減少しない。
【0059】
しかしながら、深さ5μmの迷光減衰溝5があるときは、
図12及び
図16に示すように、マイクロLED素子4からの発光に起因する迷光は、劇的に減少した。
【0060】
図17は迷光減衰溝5が形成されないときの迷光の実験結果を示す画像である。
図18は深さ3μmの迷光減衰溝5が形成されたときの迷光の実験結果を示す画像である。
図19は深さ4μmの迷光減衰溝5が形成されたときの迷光の実験結果を示す画像である。
図20は深さ5μmの迷光減衰溝5が形成されたときの迷光の実験結果を示す画像である。前述した構成要素と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、その詳細な説明は繰り返さない。
【0061】
図9~
図16を参照して前述した光学シミュレーション結果と同様に、迷光減衰溝5が無いときは、
図17に示すように、マイクロLED素子4からの発光に起因する迷光が発生する。深さ3μmの迷光減衰溝5があるときは、
図18に示すように、マイクロLED素子4からの発光に起因する迷光が、依然として発生し殆ど減少しない。深さ4μmの迷光減衰溝5があるときも、
図19に示すように、マイクロLED素子4からの発光に起因する迷光が、依然として発生し殆ど減少しない。
【0062】
しかしながら、深さ5μmの迷光減衰溝5があるときは、
図20に示すように、マイクロLED素子4からの発光に起因する迷光は、劇的に減少した。
【0063】
このように、マイクロLED素子4の間の迷光減衰溝5による迷光低減効果は、深さ4μmを超える深さで、実験結果とシミュレーション結果との双方で確認できるが、迷光の抑制には不十分と考えられる。そこで、さらに凹凸構造6を導入することにより、迷光を十分に抑制することができる。
【0064】
図21は凹凸構造6の周辺の光線の追跡結果を示す画像である。前述した構成要素と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、その詳細な説明は繰り返さない。
【0065】
第1発光層10から基板2の表面に対して垂直に近い角度で凹凸構造6の傾斜面8に入射した光は、
図21に示すように、基板2の表面に対して浅い角度で反射される。傾斜面8により反射された光は、迷光減衰溝5に入射して迷光減衰溝5の側壁の一方及び他方により多重反射されて散乱され減衰する。この結果、発光画素から非発光画素に伝搬する迷光が抑制される。
【0066】
〔まとめ〕
本開示の態様1に係るLEDアレイ1は、凹凸構造6が表面に形成された基板2と、凹凸構造6の上に形成された平坦化層3と、平坦化層3の上に形成された複数のマイクロLED素子4と、複数のマイクロLED素子4のうちの互いに隣接する一対の間に形成されてマイクロLED素子4側から凹凸構造6に向かって平坦化層3の少なくとも途中まで延伸する迷光減衰溝5とを備えている。
【0067】
上記の構成によれば、マイクロLED素子のうちの互いに隣接する一対の一方から出射した光が、基板の凹凸構造により反射されて、複数のマイクロLED素子のうちの互いに隣接する一対の間に形成されてマイクロLED素子側から凹凸構造に向かって平坦化層の少なくとも途中まで延伸する迷光減衰溝に向かう。そして、基板の凹凸構造により反射された光が迷光減衰溝に入射する。迷光減衰溝に入射した光は、迷光減衰溝の両側壁により多重反射されて減衰する。このため、マイクロLED素子から出射された光に起因する迷光を減衰させることができる。
【0068】
本開示の態様2に係るLEDアレイ1は、上記態様1において、前記迷光減衰溝は、4μmを超える深さを有することが好ましい。
【0069】
上記の構成によれば、迷光減衰溝が、迷光減衰溝に入射した光を多重反射させて減衰させるために十分大きい寸法を有する。
【0070】
本開示の態様3に係るLEDアレイ1は、上記態様1または2において、前記凹凸構造6が傾斜面8を含み、前記基板2に平行な方向における前記傾斜面8の寸法が、前記マイクロLED素子4からの出射光の波長の1/2以上、且つ、2μm以下であることが好ましい。
【0071】
上記の構成によれば、基板に平行な方向における傾斜面の寸法が、マイクロLED素子からの出射光の波長の1/2以上、且つ、2μm以下であるので、マイクロLED素子4からの出射光が、凹凸構造の傾斜面に対して凹凸として反応し、傾斜面により反射される。
【0072】
本開示の態様4に係るLEDアレイ1は、上記態様1または2において、前記凹凸構造6が傾斜面8を含み、前記基板2に垂直な方向における前記傾斜面8の寸法が、前記マイクロLED素子4からの出射光の波長の1/2以上、且つ、2μm以下であることが好ましい。
【0073】
上記の構成によれば、基板に垂直な方向における傾斜面の寸法が、マイクロLED素子からの出射光の波長の1/2以上、且つ、2μm以下であるので、マイクロLED素子4からの出射光が、凹凸構造の傾斜面に対して凹凸として反応し、傾斜面により反射される。
【0074】
本開示の態様5に係るLEDアレイ1は、上記態様1または2において、前記凹凸構造6が傾斜面8を含み、前記傾斜面8は、前記マイクロLED素子4から出射した光を反射して前記迷光減衰溝5へ導く傾斜角度で傾斜することが好ましい。
【0075】
上記の構成によれば、マイクロLED素子から出射した光を傾斜面で反射して迷光減衰溝へ導くことができる。
【0076】
本開示の態様6に係るLEDアレイ1は、上記態様1または2において、前記凹凸構造6が複数の凹凸単位7を含み、各マイクロLED素子4に対応する領域当たりの前記凹凸単位の数が1個以上であることが好ましい。
【0077】
上記の構成によれば、凹凸単位の密度が向上するので、マイクロLED素子から出射したより多くの光を反射して迷光減衰溝へ導くことができる。マイクロLED素子から出射された光に起因する大量の迷光を減衰させることができる。
【0078】
本開示の態様7に係るLEDアレイ1は、上記態様1または2において、前記凹凸構造6が、前記表面に形成された凸部を含み、前記凸部に傾斜面8が形成され、前記凹凸構造6が、前記傾斜面8に繋がる底面9をさらに含み、前記底面9は、円、楕円、又は多角形の形状を有することが好ましい。
【0079】
上記の構成によれば、基板表面に形成された凸部の傾斜面により、マイクロLED素子から出射した光を反射して迷光減衰溝へ導くことができる。
【0080】
本開示の態様8に係るLEDアレイ1は、上記態様1または2において、前記凹凸構造6が、前記表面に形成された凹部を含み、前記凹部に傾斜面8が形成され、前記凹凸構造6が、前記傾斜面8に繋がる底面9をさらに含み、前記底面9は、円、楕円、又は多角形の形状を有することが好ましい。
【0081】
上記の構成によれば、基板表面に形成された凹部の傾斜面により、マイクロLED素子から出射した光を反射して迷光減衰溝へ導くことができる。
【0082】
本開示の態様9に係るLEDアレイ1は、上記態様1または2において、前記マイクロLED素子4は、第1色を発光する第1発光層10と、第2色を発光する第2発光層11と、第3色を発光する第3発光層12とが積層された多層積層構造を有することが好ましい。
【0083】
上記の構成によれば、マイクロLED素子が多層積層構造を有するので、複数のマイクロLED素子のうちの互いに隣接する一対の間に形成されてマイクロLED素子側から凹凸構造に向かって平坦化層の少なくとも途中まで延伸する迷光減衰溝を深く構成することができる。このため、迷光減衰溝に入射した光を、迷光減衰溝の深く構成された両側壁により多重反射させて大きく減衰させることができる。
【0084】
本開示の態様10に係るLEDアレイ1は、上記態様9において、前記マイクロLED素子4は、前記第1発光層10と前記第2発光層11との間に設けられた第1半導体層13と、前記第2発光層11と前記第3発光層12との間に設けられた第2半導体層14とを含むことが好ましい。
【0085】
上記の構成によれば、第1発光層と第2発光層との間に設けられた第1半導体層と、第2発光層と第3発光層との間に設けられた第2半導体層とが、多層積層構造に積層されるので、迷光減衰溝をより一層深く構成することができる。
【0086】
本開示の態様11に係るLEDアレイ1は、上記態様9において、前記第1発光層10と前記第2発光層11との間の厚さ、及び、前記第2発光層11と前記第3発光層12との間の厚さが1μm以上であることが好ましい。
【0087】
上記の構成によれば、第1発光層と第2発光層との間の厚さ、及び、第2発光層と第3発光層との間の厚さが1μm以上であるので、迷光減衰溝をより一層深く構成することができる。
【0088】
本開示の態様12に係るLEDアレイ1は、上記態様1または2において、前記複数のマイクロLED素子4は、第1色を発光する第1発光層10を含む第1発光素子15と、前記第1発光層10と、第2色を発光するために前記第1発光層10の上方に積層された第2発光層11とを含む第2発光素子16と、前記第1発光層10と、前記第2発光層11と、第3色を発光するために前記第2発光層11の上方に積層された第3発光層12とを含む第3発光素子17との何れかであることが好ましい。
【0089】
上記の構成によれば、赤、緑、及び青の各色をそれぞれ発光する第3発光層、第2発光層、及び第1発光層が基板2に交差する方向に積層されたモノリシック構造によって、従来の素子構造よりも厚い総層厚を有するため、より多くの多重反射を繰り返すことにより、正面方向に脱出できる光の強度をほぼ0にまで減衰させることができる。
【0090】
本開示の態様13に係るLEDアレイ1は、上記態様1または2において、前記迷光減衰溝5は、前記基板2の前記表面から3μm以下の厚みの前記平坦化層3を残した位置まで延伸することが好ましい。
【0091】
上記の構成によれば、迷光減衰溝が基板の表面から3μm以下の厚みの平坦化層を残した位置まで延伸するので、迷光減衰溝が深くなり、広い範囲に伝搬する迷光を抑制することができる。
【0092】
本開示の態様14に係るLEDアレイ1は、上記態様1または2において、前記迷光減衰溝5の側壁を覆うように形成された誘電体膜をさらに備えることが好ましい。
【0093】
上記の構成によれば、素子構造を確実に保護し、及び、隣接素子間の絶縁を確実に確保することができる。
【0094】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0095】
1 LEDアレイ
2 基板
3 平坦化層
4 マイクロLED素子
5 迷光減衰溝
6 凹凸構造
7 凹凸単位
8 傾斜面
9 底面
10 第1発光層
11 第2発光層
12 第3発光層
13 第1半導体層
14 第2半導体層
15 第1発光素子
16 第2発光素子
17 第3発光素子