IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イシダの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】物品移動装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/00 20060101AFI20241022BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20241022BHJP
   B25J 15/08 20060101ALN20241022BHJP
【FI】
B25J15/00 Z
B65G47/90 C
B25J15/08 L
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023139419
(22)【出願日】2023-08-30
(62)【分割の表示】P 2019138477の分割
【原出願日】2019-07-29
(65)【公開番号】P2023160872
(43)【公開日】2023-11-02
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】大林 勇次郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 修一
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-020883(JP,A)
【文献】特開2016-089082(JP,A)
【文献】特開2018-112434(JP,A)
【文献】特開平03-228589(JP,A)
【文献】特開平11-191011(JP,A)
【文献】特開2002-192487(JP,A)
【文献】特開2018-153884(JP,A)
【文献】特開2019-025646(JP,A)
【文献】国際公開第2016/189946(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0102155(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/10-15/08
B65G 47/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置部に載置され、物品同士が互いにつながった状態の物品群から一部の物品を他の物品から分離して移動させる物品移動装置であって、
前記物品を把持する把持部材と、
前記把持部材を移動させ、前記載置部に載置されている前記物品群に前記把持部材を挿入し、前記物品を把持した前記把持部材を前記載置部から第1方向に離す制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記把持部材が前記物品を把持した後、前記把持部材を前記載置部から前記第1方向に離し終えるまでに、前記把持部材を前記第1方向とは異なる方向に動か
前記物品を把持した前記把持部材を前記載置部から前記第1方向に離す際に、前記第1方向を回転軸方向として前記把持部材を前記回転軸周りに回転させることで、又は、水平方向に延びる旋回軸周りで前記把持部材を旋回させることで、前記把持部材を前記第1方向とは異なる方向に動かす、
物品移動装置。
【請求項2】
載置部に載置され、物品が互いにつながった状態の物品群から一部の物品を他の物品から分離して移動させる物品移動装置であって、
前記物品を把持する把持部材と、
前記把持部材を移動させ、前記載置部に載置されている前記物品群に前記把持部材を挿入し、前記物品を把持した前記把持部材を前記載置部から第1方向に離す制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記把持部材が前記物品を把持した後、前記把持部材を前記載置部から前記第1方向に離し終えるまでに、前記把持部材を前記第1方向とは異なる方向に動かし、
前記制御部は、前記把持部材を移動させ、前記把持部材と前記載置部とを第1距離まで近づけることで前記把持部材を前記物品群に挿入し、前記物品を把持した前記把持部材を、前記載置部から、前記第1距離より大きな第2距離だけ離した後に、前記把持部材を前記第1方向とは異なる方向に動かす、
物品移動装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記把持部材を前記第1方向とは異なる方向に動かした後に、前記物品を把持した前記把持部材を、前記載置部から、前記第2距離より大きな第3距離だけ離す、
請求項2に記載の物品移動装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記物品を把持した前記把持部材を前記載置部から前記第1方向に離す際に、前記第1方向と直交する方向を旋回軸方向として、前記把持部材を前記旋回軸周りに旋回させることで、前記把持部材を前記第1方向とは異なる方向に動かす、
請求項2又は3に記載の物品移動装置。
【請求項5】
載置部に載置され、物品が互いにつながった状態の物品群から一部の物品を他の物品から分離して移動させる物品移動装置であって、
前記物品を把持する把持部材と、
前記把持部材を移動させ、前記載置部に載置されている前記物品群に前記把持部材を挿入し、前記物品を把持した前記把持部材を前記載置部から第1方向に離す制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記把持部材が前記物品を把持した後、前記把持部材を前記載置部から前記第1方向に離し終えるまでに、前記把持部材を前記第1方向とは異なる方向に動かし、
前記制御部は、前記物品を把持した前記把持部材を前記載置部から前記第1方向に離す際に、前記把持部材を前記第1方向と直交する方向に動かす、
物品移動装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記把持部材が把持している前記物品が、前記載置部に載置されている前記物品群に接触した状態で、前記把持部材を前記第1方向とは異なる方向に動かす、
請求項1又は5に記載の物品移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品群から一部の物品を移動させる物品移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開平6-3182号公報)のように、載置部に載置されている物品群に把持部材を挿入して、物品群の一部の物品を把持部材に把持させ、物品を把持した把持部材を載置部から離して載置部から物品を移動させる、物品移動システムが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような物品移動システムでは、様々な物品が取り扱われる可能性がある。例えば、物品移動システムでは、粘着性のある物品や、長さの長い物品など、物品同士が互いにつながった状態となりやすい物品が取り扱われる場合がある。このような物品について、把持部材で物品群の物品の一部を把持すると、把持した物品に、少なくとも十分に把持されていない物品がつながった状態となる場合がある。
【0004】
そのため、例えば、把持部材で概ね一定の所定量の物品を物品群から取り出して移動させようとする場合に、所定量より多い物品が移動させられるおそれがある。そのため、特許文献1(特開平6-3182号公報)に開示されているような従来の物品移動システムでは、把持部材が載置部から移動させる物品の量にバラツキが生じやすい。
【0005】
本発明の課題は、物品群から一部の物品を移動させる物品移動装置であって、移動させる物品の量にバラツキが生じにくい物品移動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点に係る物品移動装置は、戴置部に載置されている物品群から一部の物品を移動させる。物品移動装置は、把持部材と、制御部と、を備える。把持部材は、物品を把持する。制御部は、把持部材を移動させ、戴置部に戴置されている物品群に把持部材を挿入し、物品を把持した把持部材を戴置部から第1方向に離す。制御部は、把持部材が物品を把持した後、把持部材を戴置部から第1方向に離し終えるまでに、把持部材を第1方向とは異なる方向に動かす。
【0007】
第1観点の物品移動装置では、把持部材が戴置部上の物品群の物品の一部を把持して、物品群から移動させる際に、把持部材が戴置部から離される第1方向とは異なる方向に動かされる。これにより、本物品移動装置では、把持部材の把持する物品と、これにつながっている戴置部の物品群の物品との分離が図られやすく、把持部材が移動させる物品の量に大きなバラツキが生じにくい。
【0008】
第2観点に係る物品移動装置は、第1観点の物品移動装置であって、制御部は、把持部材が把持している物品が、載置部に載置されている物品群に接触した状態で、把持部材を第1方向とは異なる方向に動かす。
【0009】
第3観点に係る物品移動装置は、第1観点又は第2観点の物品移動装置であって、制御部は、物品を把持した把持部材を戴置部から第1方向に離す際に、第1方向を回転軸方向として、把持部材を回転軸周りに回転させることで、把持部材を第1方向とは異なる方向に動かす。
【0010】
第3観点の物品移動装置では、第1方向に沿って延びる回転軸周りで把持部材が回転させられることで、把持部材の把持する物品と、これにつながっている戴置部の物品群の物品との分離が図られやすい。そのため、本物品移動装置では、把持部材が移動させる物品の量に大きなバラツキが生じにくい。
【0011】
第4観点に係る物品移動装置は、第1観点又は第3観点の物品移動装置であって、制御部は、把持部材を移動させ、把持部材と戴置部とを第1距離まで近づけることで把持部材を物品群に挿入し、物品を把持した把持部材を、戴置部から、第1距離より大きな第2距離だけ離した後に、把持部材を第1方向とは異なる方向に動かす。
【0012】
第4観点の物品移動装置では、把持部材を戴置部からある程度離した後に、第1方向とは異なる方向に把持部材が動かされる。そのため、本物品移動装置では、把持部材の把持する物品と、これにつながっている戴置部の物品群の物品との分離が図られやすく、把持部材が移動させる物品の量に大きなバラツキが生じにくい。
【0013】
第5観点に係る物品移動装置は、第4観点の物品移動装置であって、制御部は、把持部材を第1方向とは異なる方向に動かした後に、物品を把持した把持部材を、戴置部から、第2距離より大きな第3距離だけ離す。
【0014】
第5観点の物品移動装置では、第1方向とは異なる方向に把持部材を動かした後に、さらに把持部材と戴置部とが第3距離まで離される。そのため、把持部材を第3距離まで離した後に、把持部材から物品が意図せず落下する不具合が生じにくい。
【0015】
第6観点に係る物品移動装置は、第1観点から第5観点のいずれかの物品移動装置であって、制御部は、物品を把持した把持部材を戴置部から第1方向に離す際に、把持部材を第1方向と直交する方向に動かす。
【0016】
第6観点の物品移動装置では、把持部材の把持する物品と、これにつながっている戴置部の物品群の物品との分離が図られやすく、把持部材が移動させる物品の量に大きなバラツキが生じにくい。
【0017】
第7観点に係る物品移動装置は、第1観点、第2観点、第4観点、又は第5観点のいずれかの物品移動装置であって、制御部は、物品を把持した把持部材を戴置部から第1方向に離す際に、第1方向と直交する方向を旋回軸方向として、把持部材を旋回軸周りに旋回させることで、把持部材を第1方向とは異なる方向に動かす。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る物品移動装置では、把持部材の把持する物品と、これにつながっている戴置部の物品群の物品との分離が図られやすく、把持部材が移動させる物品の量に大きなバラツキが生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る物品移動システムの模式図である。
図2図1の物品移動システムのブロック図である。
図3図1の物品排出装置の把持器の概略側面図である。
図4A図3の把持器を把持部材側から見た底面図であり、物品を把持する前の、又は物品の把持を解除した後の、遠隔位置に位置している把持部材を描画している。
図4B図3の把持器を把持部材側から見た底面図であり、物品を把持する際の、近接位置に位置している把持部材を描画している。
図4C図3の把持器を把持部材側から見た底面図であり、物品を把持した状態の把持部材を、図4Bに描画した状態から回転させた状態を描画している。
図5A図1の物品移動システムの動作を説明するための物品移動システムの主要部分の概略側面図であり、把持器が物品を把持する前の初期状態を描画している。
図5B図1の物品移動システムの動作を説明するための物品移動システムの主要部分の概略側面図であり、物品の把持のため、把持器の把持部材を第1位置に移動させて、把持部材を物品群に差し込んだ状態を描画している。
図5C図1の物品移動システムの動作を説明するための物品移動システムの主要部分の概略側面図であり、物品を把持した把持部材を第2位置に移動させた状態を描画している。
図5D図1の物品移動システムの動作を説明するための物品移動システムの主要部分の概略側面図であり、物品を把持している把持部材を回転軸R周りに90°回転させた後(分離動作後)に、把持部材を第3位置に移動させた状態を描画している。
図5E図1の物品移動システムの動作を説明するための物品移動システムの主要部分の概略側面図であり、把持器をコンベア上に移動させた状態を描画している。
図5F図1の物品移動システムの動作を説明するための物品移動システムの主要部分の概略側面図であり、把持部材に物品の把持を解除させて、物品をコンベア上に戴置した状態を描画している。
図6図1の物品移動システムの動作の一例を説明するためのフローチャートである。
図7】変形例Bに係る物品移動システムの把持部材の分離動作の他の例を説明するための図である。
図8】変形例Bに係る物品移動システムの把持部材の分離動作のさらに他の例を説明するための図である。
図9】変形例Cに係る、物品を把持した把持部材を戴置部から斜め上方に移動させる物品移動システムの主要部分の概略側面図である。
図10A】変形例Dに係る物品移動システムの動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
図10B】変形例Dに係る物品移動システムの動作のさらに他の例を説明するためのフローチャートである。
図10C】変形例Dに係る物品移動システムの動作のさらに他の例を説明するためのフローチャートである。
図10D】変形例Dに係る物品移動システムの動作のさらに他の例を説明するためのフローチャートである。
図11】本発明の一実施形態に係る物品移動システムの例である組合せ計量システムの模式図である。
図12図11の組合せ計量システムのブロック図である。
図13】変形例Gに係る物品移動システムの模式図である。
図14図13の物品移動システムのブロック図である。
図15】変形例Hに係る物品移動システムの模式図である。
図16図15の物品移動システムのブロック図である。
図17図15の物品移動システムの動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態に係る物品移動システム100について以下に説明する。
【0021】
(1)全体概要
物品移動システム100の概要を、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、物品移動システム100の模式図である。図2は、物品移動システム100のブロック図である。
【0022】
物品移動システム100は、物品Aの集まりである物品群A1から一部の物品Aを移動させるシステムである。本実施形態では、物品移動システム100は、物品群A1から取り出した一部の物品Aを、コンベア60により搬送される容器C内に移動させる。
【0023】
ただし、物品移動システム100による物品Aの移動先は、容器C内に限定されるものではない。物品移動システム100は、物品群A1から取り出した一部の物品Aを、直接コンベア60上に移動させてもよい。また、物品移動システム100は、物品群A1から取り出した一部の物品Aを、図示しない漏斗状の排出シュートに投入してもよい。排出シュートから排出される物品Aは、例えば、物品移動システム100の後工程で袋に包装されたり、容器に収容されたりして、商品として出荷される。
【0024】
物品移動システム100は、ロボット10と、可動部材20と、把持器30と、戴置部50と、制御部70と、を主に備える(図1及び図2参照)。制御部70は、物品移動システム100の各部の動作を制御する。これらの構成について概説する。
【0025】
戴置部50には、物品Aの集まりである物品群A1が戴置される。物品Aは、限定するものではないが、例えば食品である。限定するものではないが、物品Aは、例えば、糖類やグルテン等を多く含む粘着性の高い食品(例えば佃煮昆布)である。また、物品Aは、スパゲティ等の長さの長い食品である。粘着性の高い食品や、長さの長い食品は、物品同士が互いにつながった状態となりやすい物品である。
【0026】
可動部材20には、把持器30が取り付けられている。把持器30は、物品Aを把持する把持部材32を有する。ロボット10は、把持器30が取り付けられている可動部材20を移動させる。制御部70は、把持部材駆動機構34及びロボット10を含む物品移動システム100の各種構成の動作の制御を行う。把持部材駆動機構34は、把持部材32を駆動することで、把持部材32に物品Aを把持させ、また把持部材32に物品Aの把持を解除させる。
【0027】
物品移動システム100の動作を概説する。
【0028】
制御部70は、ロボット10の動作を制御して、把持器30の取り付けられている可動部材20を移動させて、把持器30を物品群A1の戴置されている戴置部50へと近づけ、把持器30の把持部材32を戴置部50に戴置されている物品群A1に挿入する。制御部70は、把持器30の把持部材駆動機構34を制御して、戴置部50に戴置された物品群A1の物品Aの一部を、把持器30の把持部材32に把持させる。次に、制御部70は、ロボット10の動作を制御して可動部材20を移動させて、把持器30の物品Aを把持している把持部材32を、戴置部50から第1方向D1に離す。この際、制御部70は、ロボット10の動作を制御して、把持部材32を第1方向D1とは異なる第2方向D2に動かす。把持部材32が第2方向D2に動かされることで、把持部材32の把持している物品Aと、物品群A1の物品Aとの分離が促進されやすい。説明の簡素化のため、ロボット10が(可動部材20を動かすことで)把持部材32を第2方向D2に動かす動作を、分離動作と呼ぶ場合がある。さらに、制御部70は、ロボット10の動作を制御して、把持器30の取り付けられている可動部材20を移動させて、物品Aを把持している把持器30をコンベア60に置かれた容器Cの上方へと移動させる。そして、制御部70は、把持部材駆動機構34を制御して、把持部材32による物品Aの把持を解除させて、容器Cに物品Aを入れる。このようにして、物品移動システム100による物品Aの移動が行われる。
【0029】
(2)詳細構成
主に図1図4を参照して物品移動システム100の詳細構成について説明する。図3は、把持器30の概略側面図である。図4A図4Cは、把持器30を下方から見た底面図である。言い換えれば、図4A図4Cは、把持器30を把持部材32側から見た底面図である。特に、図4Aは、把持器30の、物品Aを把持する前の、又は物品Aの把持を解除した後の把持部材32を描画している。図4Bは、把持器30の、物品Aを把持する際の把持部材32を描画している(物品Aの図示は省略)。図4Cは、物品Aを把持した状態の把持部材32を(物品Aの図示は省略)、図4Bに描画した状態から回転させた状態を描画している。
【0030】
(2-1)可動部材
可動部材20は、把持器30が取り付けられている部材である(図1参照)。可動部材20は、把持器30を支持するフレームである。可動部材20は、ロボット10により移動させられる、可動の(移動可能な)部材である。
【0031】
なお、ここで、把持器30が可動部材20に取り付けられているという記載は、把持器30が可動部材20に直接取り付けられる態様に限定されない。把持器30が可動部材20に取り付けられているという記載は、把持器30が、他の部材を介して可動部材20に取り付けられている態様を含む。
【0032】
(2-2)把持器
把持器30は、物品Aを把持する装置である。
【0033】
各把持器30は、把持部材32と、把持部材32を駆動する駆動機構としての把持部材駆動機構34と、を有する(図1及び図2参照)。把持部材駆動機構34は、例えば、モータや流体圧を駆動源として、把持部材32を駆動する。
【0034】
本実施形態では、把持部材32は、棒状又はフィンガ状の部材である(図3参照)。把持器30は、複数の(図3では3本の)把持部材32を有する。なお、図3等に描画されている把持部材32の数や形状は例示に過ぎず、適宜変更可能である。
【0035】
把持器30を把持部材32側から見た時に、把持器30は略円形状に形成されている(図4A参照)。本実施形態では、把持器30を把持部材32側から見た時に、複数の把持部材32は周方向に並べて配置されている(図4A参照)。特にここでは、把持器30の把持部材32側から見た時に、複数の把持部材32は周方向に概ね等間隔に並べて配置されている。把持器30を把持部材32側から見た時に、把持部材32は径方向に移動可能である。把持器30は、互いに離れた位置(遠隔位置と呼ぶ)に配置されている把持部材32(図4A参照)を、把持部材駆動機構34で径方向内向きに動かして、互いに近づいた位置(近接位置と呼ぶ)に移動させることで(図4B参照)、複数の把持部材32に物品Aを把持させる。また、把持器30は、近接位置にある把持部材32(図4B参照)を、把持部材駆動機構34で径方向外向きに動かし、遠隔位置に移動させることで(図4A参照)、把持部材32の物品Aの把持を解除させる。
【0036】
(2-3)ロボット
ロボット10は、可動部材20を支持し、可動部材20を移動させる装置である。限定するものではないが、ロボット10は、多軸(例えば6軸)のロボットである。
【0037】
ロボット10は、第1駆動部として機能する。言い換えれば、ロボット10は、可動部材20を移動させることで、可動部材20に取り付けられている把持器30の把持部材32を移動させ、戴置部50に戴置されている物品群A1に把持部材32を挿入する。具体的には、ロボット10は、所定位置に配置されている可動部材20を鉛直下方に移動させることで、戴置部50に戴置されている物品群A1の上方に配置されている把持器30の把持部材32を鉛直下方に移動させ、物品群A1に把持部材32を挿入する。また、ロボット10は、物品Aを把持した把持部材32を戴置部50から第1方向D1に離す。具体的には、ロボット10は、所定位置に配置されている可動部材20を鉛直上方に移動させて、物品Aを把持した把持部材32を鉛直上方に移動させて、把持部材32を戴置部50から離す。鉛直上方は、第1方向D1の一例である。
【0038】
また、ロボット10は、第2駆動部として機能する。言い換えれば、ロボット10は、第1駆動部として機能して物品Aを把持した把持部材32を戴置部50から第1方向D1に離す際に、把持部材32を第1方向D1とは異なる第2方向D2に動かす。具体的には、ロボット10は、物品Aを把持した把持部材32を戴置部50から第1方向D1に離す際に、第1方向D1を回転軸方向として、把持部材32を回転軸R(図3参照)周りに回転させる。具体的には、ロボット10は、下面視において略円形状の把持器30の略中心を通過して鉛直方向に延びる回転軸R周りに、把持部材32を回転させて、把持部材32を第1方向D1とは異なる第2方向D2に動かす。なお、図4Bは、第2方向D2に動かす前の把持部材32を描画している。図4Cは、第2方向D2に動かされた後の把持部材32を描画している。ロボット10が、把持部材32を第2方向D2に動かすタイミングについては後述する。
【0039】
本実施形態では、ロボット10は、前述のような6軸の多軸ロボットに限定されない。ロボット10は、ここで説明するような態様に把持部材32を(可動部材20を)移動させることが可能な装置であればよい。
【0040】
また、ここで説明するロボット10の機能は、複数の装置により実現されてもよい。例えば、物品移動システム100は、ロボット10に代えて、把持部材32を鉛直方向及び水平方向に直線移動させる装置と、把持部材32を回転軸R周りに回転させる装置と、を有してもよい。また、例えば、物品移動システム100は、ロボット10に代えて、把持部材32を鉛直方向に直線移動させる装置と、可動部材20を水平方向に直線移動させる装置と、把持部材32を回転軸R周りに回転させる装置と、を有してもよい。
【0041】
(2-4)戴置部
戴置部50には、物品群A1が戴置される。戴置部50は、物品A(物品群A1)が収容されている物品群収容容器52を含む。戴置部50では、戴置面52a(ここでは、物品群収容容器52の底面)に物品群A1が戴置されている。把持器30は、物品群収容容器52に収容されている物品群A1から、物品Aの一部を把持する。
【0042】
本実施形態では、物品群収容容器52は、上方が開いた直方体状の容器である。本実施形態では、戴置部50は、物品群収容容器52の内部に収容される物品Aの量が減少すると、人又は機械が、内部の物品Aの量が減少した物品群収容容器52を、新たな(物品Aが多く収容されている)物品群収容容器52と交換可能に構成されている。なお、戴置部50は、物品群収容容器52が交換可能に構成される代わりに、物品群収容容器52に物品Aを供給するための物品供給機構を有してもよい。
【0043】
(2-5)制御部
制御部70は、図示を省略するCPUや、ROMやRAM等のメモリを有する。制御部70は、ロボット10及び把持部材駆動機構34と電気的に接続されている(図2参照)。制御部70は、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することで、ロボット10及び把持部材駆動機構34を含む物品移動システム100の各種構成の動作を制御する。また、制御部70は、物品Aを入れる容器Cを搬送するコンベア60の動作を更に制御してもよい。ただし、コンベア60の動作は、他の制御部により制御されてもよい。
【0044】
なお、制御部70の各種機能は、ソフトウェアで実現されなくてもよく、ハードウェアで実現されても、ハードウェアとソフトウェアとが協働することで実現されてもよい。
【0045】
(3)物品移動システムの動作
制御部70により制御される物品移動システム100の動作について、図5A図5F及び図6を参照しながら説明する。図5A図5Fは、図1の物品移動システム100の動作を説明するための物品移動システム100の主要部分の概略側面図である。図5A図5Fでは、可動部材20を移動させるロボット10の描画は省略している。図6は、物品移動システム100の動作を説明するためのフローチャートである。
【0046】
図5Aは、把持器30が物品Aを把持する前の初期状態を描画している。初期状態における各構成部材の状態を簡単に説明すると、可動部材20は、把持器30の把持部材32が戴置部50の物品群収容容器52の上方であって、物品群収容容器52の外に配置されるように、所定位置(初期位置)に配置されている。各把持器30の把持部材32は、図4Aのように遠隔位置に配置されている。
【0047】
物品移動システム100の稼働時には、制御部70は、ロボット10を制御して、可動部材20を初期位置から鉛直下方に移動させ、把持器30を戴置部50に近づける(ステップS1参照)。具体的には、制御部70は、把持器30の把持部材32が物品群収容容器52内の物品Aを把持可能な第1位置に配置されるように、ロボット10の動作を制御し、可動部材20を鉛直下方に移動させる(図5B参照)。言い換えれば、制御部70は、把持部材32の少なくとも一部が物品群A1に挿入された状態になるように、ロボット10の動作を制御し、可動部材20を鉛直下方に移動させる。例えば、制御部70は、ロボット10の動作を制御し可動部材20を鉛直下方に移動させ、把持部材32と戴置部50との距離を所定距離まで近づけることで、把持部材32の少なくとも一部(例えば、把持部材32の長さの半分程度)を物品群A1に挿入する。具体的には、制御部70は、ロボット10の動作を制御し可動部材20を鉛直下方に移動させ、把持部材32の先端32tと戴置部50の物品群収容容器52の戴置面52aとの距離を第1距離L1まで近づけることで、把持部材32の少なくとも一部を物品群A1に挿入する(図5B参照)。
【0048】
次に、ステップS2では、制御部70は、把持器30の把持部材駆動機構34を制御して、把持部材32に物品Aを把持させる。
【0049】
次に、制御部70は、把持器30の把持部材32が物品Aを把持した状態で、ロボット10を制御して可動部材20を移動させることで、把持器30の把持部材32を戴置部50から第1方向D1に離す(ステップS3参照)。ここでは、第1方向D1は鉛直上方である。ステップS3では、制御部70は、ロボット10の動作を制御し、把持部材32を鉛直上方に第2位置まで移動させて、第1方向D1において把持部材32の先端32tと戴置部50の戴置面52aとの距離を第2距離L2だけ離す(図5C参照)。第2距離L2は、第1距離L1より大きな距離である。第2位置では、把持部材32の先端32tは、戴置部50に戴置されている物品群A1より高い位置に配置されることが好ましい。より好ましくは、第2位置では、把持部材32の先端32tは、戴置部50に戴置されている物品群A1より高い位置であって、物品群A1の近傍に配置される。制御部70は、把持部材32を第2位置まで移動させると、ロボット10による可動部材20の鉛直上方への移動(言い換えれば、把持部材32の第1方向D1への移動)を一旦停止する。
【0050】
次に、制御部70は、ロボット10に分離動作を行わせる。言い換えれば、制御部70は、ロボット10を制御して、把持部材32を第1方向D1とは異なる第2方向D2に動かす(ステップS4参照)。具体的には、制御部70は、ロボット10を制御して、可動部材20を鉛直方向に延びる回転軸R周りに回転させることで、把持部材32を回転軸R周りに所定角度回転させ、把持部材32を第1方向D1とは異なる第2方向D2に動かす。ここでは、把持部材32が第1方向D1に延びる回転軸R周りに回転させられることから、第2方向D2は、第1方向D1と直交する方向である。ステップS4では、ロボット10は、把持部材32を回転軸R周りに45°以上回転させる。好ましくは、ロボット10は、把持部材32を回転軸R周りに90°以上回転させる。より好ましくは、ロボット10は、把持部材32を回転軸R周りに180°程度回転させる。
【0051】
このように把持部材32が第1方向D1とは異なる第2方向D2に動かされることで、把持部材32が把持している物品Aと、戴置部50に戴置されている物品群A1の物品Aとが分離されやすい。そのため、把持部材32で物品群A1から物品Aを取り出して移動させる際に、把持部材32が把持していない物品Aが、把持部材32は把持している物品Aと共に移動させられる事態の発生を抑制することができる。また、把持部材32で物品群A1から物品Aを取り出して移動させる際に、把持部材32が把持している物品Aが、把持されていない物品群A1の物品Aに引っ張られて落下する事態の発生を抑制することができる。例えば、本願発明者による実験では、ロボット10の分離動作として、把持部材32を回転軸R周りに180°程度回転させることで、把持部材32から意図せず物品Aが落下する現象の発生を1/4以下に抑制できている。要するに、本物品移動システム100では、把持部材32が第1方向D1とは異なる第2方向D2に動かされるため、把持部材32で、毎回、概ね一定量の物品Aを物品群A1から取り出して移動させることが容易である。
【0052】
なお、把持部材32を第2方向D2に動かさない場合でも、把持部材32を例えば前述の第2位置で長時間停止させた場合には、把持部材32により把持されていない物品Aの自重での落下がある程度は期待できる。このように構成すれば、把持部材32で移動させる物品Aの量はある程度均一化できる可能性がある。しかし、このように構成された場合には、物品群A1から容器Cへと物品Aを移動させるのに要する時間が長時間化し、物品移動システムの効率が低下する。これに対し、本物品移動システム100では、把持部材32を第2方向D2に動かすことで、物品移動システム100の効率も高く維持することができる。
【0053】
制御部70は、ロボット10に分離動作を行わせた後に(言い換えれば把持部材32を第2方向D2に動かした後に)、ロボット10を制御して可動部材20を鉛直上方に移動させ、物品Aを把持した把持部材32を第1方向D1に第3位置へと移動させる(ステップS5参照)。把持部材32が第3位置に配置される時、第1方向D1において、把持部材32の先端32tは、戴置部50の戴置面52aから第3距離L3だけ離されている(図5D参照)。第3距離L3は、第2距離L2より大きな距離である。
【0054】
次に、制御部70は、ロボット10を制御して可動部材20を移動させることで、物品Aを把持した把持部材32を、コンベア60の容器Cの上方へと移動させる(図5E及びステップS6参照)。
【0055】
次に、制御部70は、把持器30の把持部材駆動機構34を制御して、把持部材32に物品Aの把持を解除させ、物品Aを容器Cに戴置する(図5F及びステップS7参照)。
【0056】
その後、制御部70は、ロボット10を制御して、可動部材20を初期位置(図5Aに描画されている位置)へと移動させる(ステップS8参照)。
【0057】
物品移動システム100の稼働中、物品移動システム100は、一連の動作(ステップS1~ステップS8の動作)を繰り返し実行する。
【0058】
(4)特徴
(4-1)
上記実施形態の物品移動システム100は、物品群A1から一部の物品Aを移動させる。物品移動システム100は、物品群A1が戴置される戴置部50と、物品Aを把持する把持部材32と、ロボット10と、を備える。ロボット10は、第1駆動部及び第2駆動部として機能する。ロボット10は、把持部材32を移動させ、戴置部50に戴置されている物品群A1に把持部材32を挿入し、物品Aを把持した把持部材32を戴置部50から第1方向D1に離す。本実施形態では、第1方向D1では鉛直上向きである。ロボット10は、物品Aを把持した把持部材32を戴置部50から第1方向D1に離す際に、把持部材32を第1方向D1とは異なる方向に動かす。
【0059】
本物品移動システム100では、把持部材32が戴置部50上の物品群A1の物品Aの一部を把持して、物品群A1から移動させる際に、把持部材32が戴置部50から離される第1方向D1とは異なる第2方向D2に動かされる。これにより、本物品移動システム100では、把持部材32の把持する物品Aと、これにつながっている戴置部50の物品群A1の物品Aとの分離が図られやすく、把持部材32が移動させる物品Aの量に大きなバラツキが生じにくい。
【0060】
(4-2)
上記実施形態の物品移動システム100では、ロボット10は、ロボット10が物品Aを把持した把持部材32を戴置部50から第1方向D1に離す際に、第1方向D1を回転軸方向として、把持部材32を回転軸R周りに回転させることで、把持部材32を第1方向D1とは異なる方向に動かす。好ましくは、ロボット10は、把持部材32を回転軸R周りに45°以上回転させることで、把持部材32を第1方向D1とは異なる第2方向D2に動かす。より好ましくは、ロボット10は、把持部材32を回転軸R周りに90°以上回転させることで、把持部材32を第1方向D1とは異なる第2方向D2に動かす。
【0061】
本物品移動システム100では、第1方向D1に沿って延びる回転軸R周りで把持部材32が45°以上回転させられることで、把持部材32の把持する物品Aと、これにつながっている戴置部50の物品群A1の物品Aとの分離が図られやすい。そのため、本物品移動システム100では、把持部材32が移動させる物品Aの量に大きなバラツキが生じにくい。
【0062】
(4-3)
上記実施形態の物品移動システム100では、ロボット10は、把持部材32を移動させ、把持部材32と戴置部50とを第1距離L1まで近づけることで把持部材32を物品群A1に挿入する。より具体的には、ロボット10は、把持部材32を移動させ、把持部材32の先端32tと戴置部50の戴置面52aとを第1距離L1まで近づけることで把持部材32を物品群A1に挿入する。ロボット10は、物品Aを把持した把持部材32を戴置部50から、第1距離L1より大きな第2距離L2だけ離した後に、把持部材32を第1方向D1とは異なる方向に動かす。より具体的には、ロボット10は、物品Aを把持した把持部材32の先端32tを戴置部50の戴置面52aから第2距離L2だけ離した後に、把持部材32を第1方向D1とは異なる方向に動かす。
【0063】
本物品移動システム100では、把持部材32を戴置部50からある程度離した後に、第1方向D1とは異なる方向に把持部材32が動かされる。そのため、本物品移動システム100では、把持部材32の把持する物品Aと、これにつながっている戴置部50の物品群A1の物品Aとの分離が図られやすい。そのため、本物品移動システム100では、把持部材32が移動させる物品Aの量に大きなバラツキが生じにくい。
【0064】
(4-4)
上記実施形態の物品移動システム100では、ロボット10は、把持部材32を第1方向D1とは異なる方向に動かした後に、物品Aを把持した把持部材32を、戴置部50から、第2距離L2より大きな第3距離L3だけ離す。より具体的には、ロボット10は、把持部材32を第1方向D1とは異なる方向に動かした後に、物品Aを把持した把持部材32の先端32tを、戴置部50の戴置面52aから、第3距離L3だけ離す。
【0065】
本物品移動システム100では、第1方向D1とは異なる方向に把持部材32を動かした後に、さらに把持部材32と戴置部50とが第3距離L3まで離される。そのため、本物品移動システム100では、把持部材32を第3距離L3まで離した後に、把持部材32から物品Aが意図せず落下する不具合が生じにくい。
【0066】
(4-5)
上記実施形態の物品移動システム100では、ロボット10は、物品Aを把持した把持部材32を戴置部50から第1方向D1に離す際に、把持部材32を第1方向D1と直交する第2方向D2に動かす。具体的には、ロボット10は、物品Aを把持した把持部材32を戴置部50から第1方向D1に離す際に、把持部材32を第1方向D1に沿って延びる回転軸R周りに回転させることで、第1方向D1と直交する第2方向D2に動かす。
【0067】
本物品移動システム100では、把持部材32の把持する物品Aと、これにつながっている戴置部50の物品群A1の物品Aとの分離が図られやすく、把持部材32が移動させる物品Aの量に大きなバラツキが生じにくい。
【0068】
(5)変形例
以下に上記実施形態の変形例を示す。なお、各変形例の内容の一部又は全部は、互いに矛盾しない範囲で上記実施形態の内容や他の変形例の内容と組み合わされてもよい。
【0069】
(5-1)変形例A
上記実施形態における把持器30の種類は、一例に過ぎず、種々の種類の把持器を本開示の把持器として適用可能である。例えば、把持器は、一対の把持部材を互いに近づくように平行移動させることで、物品Aを把持するものであってもよい。
【0070】
(5-2)変形例B
上記実施形態では、第2駆動部としてのロボット10は、第1方向D1に延びる回転軸R周りに可動部材20を回転させることで、把持部材32を第1方向D1とは異なる第2方向D2に動かす。ただし、第2駆動部としてのロボット10が把持部材32を動かす態様は、上記実施形態の態様に限定されるものではない。
【0071】
例えば、第2駆動部としてのロボット10は、図6のフローチャートのステップS4において、可動部材20を第1方向D1と交差する方向に直線移動させることで、把持部材32を第1方向D1と交差する第3方向D3に動かしてもよい。例えば、ロボット10は、可動部材20を第1方向D1と直交する水平方向に移動させることで、把持部材32を、図7中に実線で示した位置から、図7中に二点鎖線で示した位置へと、第1方向D1と直交する第3方向D3に動かしてもよい。
【0072】
また、例えば、第2駆動部としてのロボット10は、図6のフローチャートのステップS4において、可動部材20を側面視において旋回させることで、把持部材32を第1方向D1とは異なる第4方向D4に動かしてもよい。例えば、ロボット10は、図8のように水平方向に延びる旋回軸R1周りで可動部材20を旋回させることで、把持部材32を図8中に実線で示した位置から、図8中に二点鎖線で示した位置へと、第1方向D1と異なる第4方向D4に動かしてもよい。
【0073】
また、第2駆動部としてのロボット10は、以上で説明した把持部材32の第2方向D2~第4方向D4への動きを組合せた態様で、把持部材32を動かしてもよい。
【0074】
(5-3)変形例C
上記実施形態では、第1方向D1は鉛直上方であるが、第1方向D1は鉛直上方に限定されるものではない。例えば、第1駆動部としてのロボット10は、図9のように、可動部材20を斜め上方に移動させることで、把持部材32を第1方向D1’(斜め上方)に移動させてもよい。例えば、具体的には、第1駆動部としてのロボット10は、図9のように、傾いて設置される戴置部50の物品群収容容器52の戴置面52aに直交する方向に可動部材20を移動させることで、把持部材32を第1方向D1’に移動させる。そして、第2駆動部としてのロボット10は、第1方向D1’を回転軸方向として、把持部材32を回転軸R’周りに回転させることで、把持部材32を第1方向D1’とは異なる第2方向D2’に動かしてもよい。
【0075】
(5-4)変形例D
上記実施形態では、第1駆動部としてのロボット10は、可動部材20を鉛直上方に移動させ、把持部材32を、第1方向D1に、戴置部50から離すように第2位置(図5C参照)へと移動させた後に、把持部材32の第1方向D1への移動を一旦停止させる。その後、第2駆動部としてのロボット10は、把持部材32を第1方向D1とは異なる第2方向D2に動かす。
【0076】
ただし、第1駆動部としてのロボット10が物品Aを把持した把持部材32を戴置部50から第1方向D1に離す際に、第2駆動部としてのロボット10が把持部材32を第2方向D2に動かすタイミングは、上記のタイミングに限定されるものではない。
【0077】
例えば、図10Aのフローチャートのように、制御部70は、把持部材32を第1位置から第1方向D1に移動させる前に、ロボット10を制御して可動部材20を回転させ、把持部材32を第1方向D1とは異なる第2方向D2に動かしてもよい。言い換えれば、制御部70は、把持部材32の先端32tと、物品群収容容器52の戴置面52aとの距離が第1距離L1である状態で、ロボット10を制御して可動部材20を回転させ、把持部材32を第1方向D1とは異なる第2方向D2に動かしてもよい。要するに、図6のフローチャートにおいて、ステップS4の処理が、ステップS3の処理の前に実行されてもよい。この場合、ステップS3後に、把持部材32は第2位置でしばらくの間(例えば数秒間)静止する。
【0078】
なお、把持部材32を、第1位置から第1方向D1に移動させる前に、第2方向D2に動かす場合には、図10AのフローチャートにおいてステップS3の処理を省略してもよい。つまり、制御部70は、図10Bのフローチャートのように、ロボット10を制御して把持部材32を第2方向D2に動かした後、さらにロボット10を制御して可動部材20を鉛直上方に移動させ、把持部材32を第1位置から第3位置へと(第2位置で停止させずに)移動させてもよい。
【0079】
また、例えば、図10Cのフローチャートのように、制御部70は、図6のステップS3とステップS4との処理を同時に実行してもよい(図10CのステップS3a参照)。言い換えれば、制御部70は、把持部材32が第1方向D1に移動しつつ、第2方向D2に動くように、把持器30が取り付けられた可動部材20を動かすロボット10の動作を制御してもよい。なお、ステップS3aにおける、把持部材32の第1方向D1への移動開始/移動完了のタイミングと、把持部材32を第2方向D2に動かし始める/動かし終わるタイミングとは、一致していなくてもよい。この場合、ステップS3a後に、把持部材32は第2位置でしばらくの間(例えば数秒間)静止する。
【0080】
また、例えば、図10Dのフローチャートのように、制御部70は、図6のステップS4とステップS5との処理を同時に実行してもよい(図10DのステップS5a参照)。言い換えれば、制御部70は、把持部材32を第2位置へと移動させ、第2位置で把持部材32の第1方向D1への移動を一旦(例えば数秒間)停止した後に、把持部材32が第1方向D1に移動しつつ第2方向D2にも動くように、把持器30が取り付けられた可動部材20を動かすロボット10の動作を制御してもよい。なお、ステップS5aにおける、把持部材32の第1方向D1への移動開始/移動完了のタイミングと、把持部材32を第2方向D2に動かし始める/動かし終わるタイミングとは、一致していなくてもよい。
【0081】
つまり、第1駆動部としてのロボット10が物品Aを把持した把持部材32を戴置部50から第1方向D1に離す際に、第2駆動部としてのロボット10が把持部材32を第2方向D2に動かすタイミングには、以下のような様々なタイミングを選択し得る。なお、第2駆動部としてのロボット10は、以下に示すタイミングの中の複数のタイミングで、把持部材32を第2方向D2に動かしてもよい。
・物品Aを把持した把持部材32を戴置部50から第1方向D1に離し始める前
・物品Aを把持した把持部材32が第1方向D1に第1位置から第2位置へと移動する時
・物品Aを把持した把持部材32が第1方向D1に第2位置へと移動した後、第1方向D1への移動を一旦停止した時
・物品Aを把持した把持部材32が第1方向D1に第2位置から第3位置へと移動する時
【0082】
(5-5)変形例E
上記実施形態の物品移動システム100では、可動部材20に単一の把持部材32が取り付けられているが、本発明の物品移動システムでは、可動部材20に複数の把持部材32が取り付けられてもよい。
【0083】
この時、第2駆動部としてのロボット10は、可動部材20を回転させることで、複数の把持器30の把持部材32を同時に第1方向D1とは異なる第2方向D2に動かしてもよい。また、物品移動システムは、複数の把持器30のそれぞれに、把持器30を第1方向D1に延びる回転軸R周りで回転させるロボット10とは別の回転装置を有していてもよい。そして、物品移動システム100では、各回転装置が対応する把持器30を回転させることで、各把持器30の把持部材32を第1方向D1とは異なる第2方向D2に動かしてもよい。
【0084】
<可動部材に複数の把持部材が取り付けられる物品移動システムの利用の例>
例えば、可動部材20に複数の把持部材32が取り付けられる物品移動システムは、図11及び図12に示すような組合せ計量システム200として利用されてもよい。図11は、組合せ計量システム200の模式図である。図12は、組合せ計量システム200のブロック図である。
【0085】
組合せ計量システム200は、物品群A1から一部の物品Aを移動させ、移動させた物品Aを排出するシステムである。具体的には、組合せ計量システム200は、物品群A1から、重量が目標重量範囲となるように一部の物品Aを取り出して排出するシステムである。限定するものではないが、組合せ計量システム200が排出する物品Aは、組合せ計量システム200の後工程で袋に包装されたり、容器に収容されたりして、商品として出荷される。
【0086】
組合せ計量システム200は、ロボット10と、可動部材120と、複数の把持器30と、複数の重量取得部40と、戴置部50と、戴置部駆動部54と、排出シュート160と、制御部170と、を主に備える(図11及び図12参照)。制御部170は、各種演算を行うと共に、組合せ計量システム200の各部の動作を制御する。
【0087】
ロボット10及び把持器30は、上記実施形態のロボット10及び把持器30と同様である。可動部材120は、複数の把持器30が取り付けられている点を除き、上記実施形態の可動部材20と同様である。戴置部50は、戴置部駆動部54により、把持器30が戴置部50に戴置される物品群A1の物品Aを把持する把持位置と、把持器30が戴置部50に戴置される物品群A1から物品Aを把持しない退避位置との間を移動させられる点のみ異なる。複数の重量取得部40のそれぞれは、1の把持器30に対応して設けられ、対応する把持器30が把持する物品Aの重量値を取得する。排出シュート160は、把持器30の直下に配置され、把持器30が把持を解除した物品Aを受けて排出する。制御部170は、ロボット10、把持部材駆動機構34及び戴置部駆動部54を含む組合せ計量システム200の各種構成の動作の制御や、重量取得部40の取得した物品Aの重量値を利用した組合せ計算等を行う。
【0088】
組合せ計量システム200の動作を概説する。
【0089】
制御部170は、ロボット10の動作を制御して初期位置に配置されている可動部材120を鉛直下方に移動させ、把持器30を、物品群A1の戴置されている、把持位置に配置されている戴置部50へと近づける。そして、制御部170は、各把持器30の把持部材駆動機構34をそれぞれ制御して、戴置部50に戴置された物品群A1の物品Aの一部を、各把持器30の把持部材32に把持させる。
【0090】
次に、制御部170は、ロボット10の動作を制御して可動部材120を鉛直上方に移動させ、複数の把持器30の物品Aを把持している把持部材32を、戴置部50から第1方向D1に移動させる。この際、制御部170は、上記実施形態の図6のフローチャートのステップS4からステップS6のように、ロボット10の動作を制御すればよい。
【0091】
次に、制御部170は、戴置部50を、把持器30の直下の位置を外れた退避位置へと移動させる。この状態では、把持器30と排出シュート160との間には、戴置部50は配置されない。
【0092】
次に、制御部170は、ロボット10の動作を制御して可動部材120を鉛直下方に移動させ、把持器30を排出シュート160へと近づける。この際、各重量取得部40は、その重量取得部40に対応する把持器30が把持する物品Aの重量値を取得する。具体的には、各重量取得部40は、力センサと加速度センサとを有し、物品Aを把持した状態の把持器30が可動部材120の移動に伴い移動させられる時に計測される力及び加速度に基づいて、把持器30の把持している物品Aの質量を取得する。制御部170は、各重量取得部40の取得した把持器30の把持する物品Aの重量値に基づいて組合せ計算を行う。組合せ計算は、把持器30のそれぞれが把持する物品Aの重量値を足し合わせた結果、その合計値が目標重量範囲となる重量値の組合せを見つける処理である。
【0093】
そして、制御部170は、組合せ計算の結果に基づいて、目標重量範囲となる重量値の組合せに対応する把持器30の把持部材32に、排出シュート160の上方で物品Aの把持を解除させ、排出シュート160から目標重量範囲の物品Aを排出させる。目標重量範囲となる重量値の組合せが複数ある場合、制御部170は、目標重量範囲となる重量値の組合せに対応する把持器30の把持部材32に、排出シュート160の上方で物品Aの把持を解除させ、排出シュート160から目標重量範囲の物品Aを排出させる動作を全組合せについて複数回実行する。
【0094】
目標重量範囲となる重量値の全組合せに対して物品Aの排出が終了すると、制御部170は、ロボット10を制御して、可動部材120を初期位置へと戻す。また、制御部70は、戴置部駆動部54を制御して、戴置部50を退避位置から、把持器30の直下の把持位置に戻す。さらに、制御部170は、未だ物品Aを把持している把持器30があれば、その把持器30の把持部材駆動機構34を制御して、その把持器30に物品Aの把持を解除させ、物品Aを戴置部50の物品群収容容器52に落下させる。
【0095】
組合せ計量システム200は、以上の動作を繰り返し行う。
【0096】
(5-6)変形例F
上記実施形態では、物品移動システム100が有する可動部材20及びロボット10はそれぞれ1台であるが、これに限定されるものではない。物品移動システム100は、把持器30が取り付けられている可動部材20及び可動部材20を移動させるロボット10を複数有してもよい。
【0097】
(5-7)変形例G
上記実施形態では、把持器30が取り付けられている可動部材20が移動させられることで、戴置部50に戴置されている物品群A1に把持器30の把持部材32が挿入され、物品Aを把持した把持部材32が戴置部50から第1方向D1に離される。ただし、このような態様に限定されるものではない。
【0098】
例えば、図13及び図14に示すように、物品移動システム300は、戴置部50を上下方向に移動させる戴置部駆動部254を更に有してもよい。
【0099】
そして、物品移動システム300のロボット10は、戴置部50に戴置されている物品群A1に把持部材32を挿入し、物品Aを把持した把持部材32を戴置部50から第1方向D1に離すために、把持部材32を移動させなくてもよい。代わりに、制御部270は、第1駆動部としての戴置部駆動部254を制御し、戴置部50を移動させることで、把持部材32を戴置部50に戴置されている物品群A1に挿入させ、物品Aを把持した把持部材32を戴置部50から第1方向D1に離す。制御部270は、把持部材32を物品群A1に挿入し、把持部材32を戴置部50から第1方向D1に離すために戴置部駆動部254を制御すること以外は、上記実施形態の制御部70と同様であるため、更なる説明は省略する。
【0100】
(5-8)変形例H
上記実施形態では、ロボット10が、把持器30が取り付けられている可動部材20を水平方向に移動させることで、物品Aをコンベア60上(容器C上)へと移動させる。要するに、上記実施形態では、物品Aは、ロボット10によりコンベア60上へと水平移動させられる。ただし、このような態様に限定されるものではなく、物品Aは、ロボット10により水平方向に移動させられることなくコンベア60上へと移動させられてもよい。
【0101】
このような態様の物品移動システムについて、図15図17を参照しながら、物品移動システム400を例に説明する。図15は、物品移動システム400の模式図である。図16は、物品移動システム400のブロック図である。図17は、物品移動システム400の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【0102】
なお、物品移動システム400は、上記の物品移動システム100と同様の点も多いため、説明の簡略化のため、ここでは主に物品移動システム400の物品移動システム100との相違点について説明し、共通点についての説明は省略する。
【0103】
物品移動システム400では、ロボット310は、可動部材20を上下方向にのみ移動させる。物品移動システム400では、コンベア60は、可動部材20の直下に配置される。
【0104】
物品移動システム400は、戴置部50を、把持位置P1(図15中の実線で描画された戴置部50参照)と、退避位置P2(図15中の二点鎖線で描画された戴置部50参照)との間で移動させる戴置部駆動部354を有する(図16参照)。把持位置P1は、把持器30が、戴置部50に戴置される物品群A1の物品Aを把持可能な位置である。具体的には、把持位置P1に配置された戴置部50は、可動部材20の直下、かつ、コンベア60の直上に配置される。退避位置P2は、把持器30が戴置部50に戴置される物品群A1から物品Aを把持しない位置である。具体的には、退避位置P2に配置された戴置部50は、可動部材20の直下を外れ、かつ、コンベア60の直上を外れた位置に配置される。言い換えれば、戴置部50が退避位置P2に配置されている時、可動部材20とコンベア60との間には戴置部50は存在しない。
【0105】
ロボット310、把持部材駆動機構34、及び戴置部駆動部354は、制御部370と電気的に接続される(図16参照)。ロボット310、把持部材駆動機構34、及び戴置部駆動部354の動作は、制御部370により制御される。
【0106】
物品移動システム400の動作の例について、図17のフローチャートを参照しながら説明する。図17のステップS1~ステップS5は、図6のフローチャートにおけるステップS1~S5と同様であるため説明は省略する。なお、図17のステップS1~ステップS5の間、戴置部50は、把持位置P1に配置されている。
【0107】
ステップS406では、制御部370は、戴置部50を退避位置P2へと移動させる。
【0108】
次に、ステップS407では、制御部370は、ロボット310を制御して可動部材20を鉛直下方に移動させることで、物品Aを把持した把持部材32を、コンベア60の近傍(容器Cの近傍)へと移動させる。
【0109】
次に、ステップS408では、制御部370は、把持器30の把持部材駆動機構34を制御して、把持部材32に物品Aの把持を解除させ、物品Aを容器Cに戴置する。
【0110】
次に、ステップS409では、制御部370は、ロボット310を制御して、可動部材20を初期位置へと移動させる。
【0111】
次に、ステップS410では、制御部370は、戴置部50を把持位置P1へと移動させる。
【0112】
物品移動システム400の稼働中、物品移動システム400は、一連の動作を繰り返し実行する。
【0113】
<付記>
以上で説明した物品移動システムは、物品移動システムの具体例に過ぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではない。上記の実施形態には、本開示の趣旨及び範囲から逸脱すること無く、種々の変形が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0114】
10 ロボット(第1駆動部、第2駆動部)
32 把持部材
50 戴置部
100,300 物品移動システム
200 組合せ計量システム(物品移動システム)
A1 物品群
A 物品
D1,D1’ 第1方向
D2,D2’ 第2方向(第1方向とは異なる方向)
D3 第3方向(第1方向とは異なる方向)
D4 第4方向(第1方向とは異なる方向)
L1 第1距離
L2 第2距離
L3 第3距離
【先行技術文献】
【特許文献】
【0115】
【文献】特開平6-3182号公報
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17