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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】登録システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20241022BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241022BHJP
【FI】
G06Q50/26
G06T7/00 350B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023191025
(22)【出願日】2023-11-08
【審査請求日】2024-06-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523424145
【氏名又は名称】木村 孝徳
(73)【特許権者】
【識別番号】523422886
【氏名又は名称】ジーシーシー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】木村 孝徳
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-199721(JP,A)
【文献】国際公開第2022/253863(WO,A1)
【文献】特開2023-056184(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109255627(CN,A)
【文献】特開2018-097894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
書面により権利が証明される物品の権利関係を管理する登録システムであって、
前記物品に関する情報と、前記物品の権利を証明する原本書面の画像である原本証明書画像と、が関連づけて記憶されている記憶部と、
書面を画像として取り込んだ検証用画像と、前記記憶部に記憶されている原本証明書画像と、を比較する検証部と、を備えており、
該検証部は、
前記原本証明書画像に含まれる証明情報画像と、前記検証用画像に前記原本証明書画像における前記証明情報画像と一致する画像が含まれているか否かを比較検証する画像検証機能と、
該画像検証機能が比較検証した結果に基づいて、前記検証する書面が前記物品の権利を証明する書面の原本であるか否かを判断する判定機能と、
前記記憶部に記憶されている前記物品に関する情報を閲覧する閲覧部と、を有しており、
該閲覧部は、
閲覧する情報を入力する入力機能と、
該入力機能によって入力された情報について、前記記憶部に情報を要求する情報要求機能と、
前記入力機能から閲覧する情報に関する情報を入力する入力画面を表示する機能および/または前記情報要求機能からの要求に基づいて供給される情報を表示する機能を有する画面表示機能と、を備えている
ことを特徴とする登録システム。
【請求項2】
書面により権利が証明される物品の権利関係を管理する登録システムであって、
前記物品に関する情報と、前記物品の権利を証明する原本書面の画像である原本証明書画像と、が関連づけて記憶されている記憶部と、
書面を画像として取り込んだ検証用画像と、前記記憶部に記憶されている原本証明書画像と、を比較する検証部と、を備えており、
該検証部は、
前記原本証明書画像に含まれる証明情報画像と、前記検証用画像に前記原本証明書画像における前記証明情報画像と一致する画像が含まれているか否かを比較検証する画像検証機能と、
該画像検証機能が比較検証した結果に基づいて、前記検証する書面が前記物品の権利を証明する書面の原本であるか否かを判断する判定機能と、を有しており
前記物品に関する情報には、
前記物品の所在地に関する情報および/または前記物品の評価額に関する情報が含まれている
ことを特徴とする登録システム。
【請求項3】
前記証明情報画像が、
前記物品の権利の所有者および/または譲受人が署名したも文字、および/または、前記物品の権利の所有者および/または譲受人の押印の印影である
ことを特徴とする請求項1または2記載の登録システム。
【請求項4】
前記物品が建設機械であり、
前記書面が建設機械の譲渡証明証である
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の登録システム。
【請求項5】
前記記憶部に記憶されている前記物品に関する情報を閲覧する閲覧部を有しており、
該閲覧部は、
閲覧する情報を入力する入力機能と、
該入力機能によって入力された情報について、前記記憶部に情報を要求する情報要求機能と、
前記入力機能から閲覧する情報に関する情報を入力する入力画面を表示する機能および/または前記情報要求機能からの要求に基づいて供給される情報を表示する機能を有する画面表示機能と、を備えており、
前記記憶部は、
前記物品に関する情報と前記原本証明書画像とを関連付けた基本情報が記憶された第一記憶部と、
該第一記憶部に接続され該第一記憶部の前記基本情報の全ておよび/または一部を記憶する第二記憶部と、を有しており、
前記閲覧部の情報要求機能からの要求に対して、前記第二記憶部に記憶されている情報を提供する機能を有している
ことを特徴とする請求項1または2記載の登録システム。
【請求項6】
前記記憶部の第一記憶部は、
プライベートブロックチェーンのノードであり、
前記基本情報がブロックチェーンに登録されている
ことを特徴とする請求項5記載の登録システム。
【請求項7】
前記記憶部に記憶されている前記物品に関する情報を閲覧する閲覧部を有しており、
該閲覧部は、
閲覧する情報を入力する入力機能と、
該入力機能によって入力された情報について、前記記憶部に情報を要求する情報要求機能と、
前記入力機能から閲覧する情報に関する情報を入力する入力画面を表示する機能および/または前記情報要求機能からの要求に基づいて供給される情報を表示する機能を有する画面表示機能と、
閲覧を希望する情報が前記原本証明書画像の場合、該原本証明書画像の一部を非表示とする機能と、を有している
ことを特徴とする請求項1または2記載の登録システム。
【請求項8】
前記検証部の画像検証機能は、
AI(人工知能)により前記原本証明書画像の証明情報画像と前記検証用画像とを比較検証するものである
ことを特徴とする請求項1または2記載の登録システム。
【請求項9】
新しい物品に関する情報を作成し前記記憶部に記憶させる機能と、
該新しい物品に関する情報と関連づけられた、該新しい物品の権利およびその権利の所有者の情報を含むデジタル譲渡証明書を作成する機能と、を有する情報変更部を備えており、
該デジタル譲渡証明書は、
該新しい物品の権利の所有者の履歴が記憶されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の登録システム。
【請求項10】
登録されている物品の登録を抹消し該物品の登録を抹消する抹消情報を前記記憶部に記憶させる機能と、
該登録が抹消された物品に関する情報と関連づけられた、該登録が抹消された物品に関する登録の抹消を証明するデジタル抹消証明書を作成する機能と、を有する情報変更部を備えている
ことを特徴とする請求項1または2記載の登録システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、登録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
不動産は不動産登記によりその所有者や対象物に関する情報が管理されており、また、登記簿が公に公開されていることから、対象物や権利関係が明確に把握できる。例えば、登記簿を閲覧することによって土地や建物の所在・面積等の情報を第三者であっても把握できる。また、不動産の所有者が誰であるか、また、所有権がどのように移転されたかも把握できる。また、動産であっても、一般的な車両については陸運局において自動車登録番号が登録され、登録対象の車両のスペックや権利関係を把握することができる。建設機械も、ナンバーブレートの付く車両系機械は、一般的な車両と同様に、陸運局にて登録と受けることにより、機械詳細の明示されている車検証が発行されるため、陸運局の登録を確認することによって、所有者等の権利関係を把握することができる。
【0003】
一方、個体識別番号はあるが公的機関による車検証が発行されない建設機械については日本建設機械工業会が発行する書面の譲渡証明証が発行され、この譲渡証明証によって所有者の移転が行われるシステムとなっている。具体的には、建設機械のメーカーが建設機械を製造し購入者に販売した場合、メーカーの名称・住所・対象となる建設機械の型番等の情報等と、購入者の名称・住所等の情報が記載されて、対象となる建設機械がメーカーから購入者に譲渡されたこと、つまり、建設機械の所有権がメーカーから購入者に移転されたことが証明される。所有者が変更される場合には、その都度、譲渡証明証に新しい所有者(つまり譲渡人)の情報が追加される(図3参照)。この譲渡証明証は再発行不可能なものであるので、譲渡証明証を確認すれば、建設機械の型番等の情報に加えて、現在の所有者が誰であるか、また、どのように譲渡などがされて現在に至っているか、を把握することができる。
【0004】
ところで、建設機械は機械本体の値格が高額であることからも、動産担保としての価値が認められており、建設機械の譲渡の際にも金融機関やファイナンス会社、また賃貸借契約の際の譲渡担保等として利用される。このため、建設機械の所有者が誰であるかや譲渡を証明する譲渡証明証は非常に重要である。
【0005】
このように建設機械の譲渡証明証は非常に重要であるにもかかわらず、その保管方法は定められていない。このため、譲渡証明証は、所有者が保管したりメーカーが保管したりリース会社が保管したりする場合があり、現状では正式な譲渡証明証の存在を確認する方法がなく、譲渡証明証の偽造による詐欺が横行している。
【0006】
建設機械の情報を登録するシステムとして、特許文献1には、発災時における重機の緊急出動と平時における遊休重機の活用を促す重機ネット情報提供システム及び提供方法が開示されている。この特許文献1では、重機の提供者と利用者に関するデータベースを設け、重機に関する情報の検索結果を提供可能なシステム構成とすることが開示されている。しかし、特許文献1の技術は、あくまでも重機メーカーや重機リース業者等が所有する重機の情報を登録するものにすぎず、登録される重機、つまり、重機メーカーや重機リース業者等が所有する重機の譲渡証明証を管理することは記載されていない。
【0007】
一方、特許文献2には、各種情報の登録や変更の受け付けを含む、各種情報の管理を行うサービス(管理サービス)と、各種文書、台帳、履歴等の出力を行うサービス(出力サービス)と、ユーザによる各種情報の検索や閲覧を可能にするサービス(閲覧サービス)と、が開示されている(特許文献2の明細書段落0020、図1)。
また、特許文献2には、各種情報の登録・変更、建機のメンテナンス履歴や点検履歴(カルテ情報)を登録することや、建機の譲渡に関する証明書である「デジタル譲渡証明書」を発行することが開示されている(特許文献2の明細書段落0023)。
さらに、「デジタル譲渡証明書」がサービス提供者によって発行され、その後、建機の譲渡人と譲受人とが、約束手形の裏書と同じ要領で連続して記載(データ入力)していくようにするので、建機の所有者を正確に特定することができ、 本サービスによれば、建機の不正な売買を防止あるいは抑止することが可能となるとの記載もある(特許文献2の明細書段落0023)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2005-338989号公報
【文献】特開2020-30548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2の技術を利用すれば、建機の不正な売買を防止あるいは抑止することができる可能性はあるが、特許文献2の技術では、新たにデジタル登録という制度が設けられなければ採用できない。つまり、現在運用されている書面の譲渡証明証による登録管理を維持しつつ、建機の不正な売買等を防止することはできない。
【0010】
本発明は上記事情に鑑み、書面による証明書を使用する既存の制度を維持しつつ権利の登録を管理でき権利の偽造を防止できる登録システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1発明の登録システムは、書面により権利が証明される物品の権利関係を管理する登録システムであって、前記物品に関する情報と、前記物品の権利を証明する原本書面の画像である原本証明書画像と、が関連づけて記憶されている記憶部と、書面を画像として取り込んだ検証用画像と、前記記憶部に記憶されている原本証明書画像と、を比較する検証部と、を備えており、該検証部は、前記原本証明書画像に含まれる証明情報画像と、前記検証用画像に前記原本証明書画像における前記証明情報画像と一致する画像が含まれているか否かを比較検証する画像検証機能と、該画像検証機能が比較検証した結果に基づいて、前記検証する書面が前記物品の権利を証明する書面の原本であるか否かを判断する判定機能と、を有していることを特徴とする。
第2発明の登録システムは、第1発明において、前記証明情報画像が、前記物品の権利の所有者および/または譲受人が署名したも文字、および/または、前記物品の権利の所有者および/または譲受人の押印の印影であることを特徴とする。
第3発明の登録システムは、第1または第2発明において、前記物品が建設機械であり、前記書面が建設機械の譲渡証明証であることを特徴とする。
第4発明の登録システムは、第1発明において、前記記憶部に記憶されている前記物品に関する情報を閲覧する閲覧部を有しており、前記閲覧部は、閲覧する情報を入力する入力機能と、該入力機能によって入力された情報について、前記記憶部に情報を要求する情報要求機能と、前記入力機能から閲覧する情報を入力する入力画面を表示する機能および/または前記情報要求機能からの要求に基づいて供給される情報を表示する機能を有する画面表示機能と、を備えていることを特徴とする。
第5発明の登録システムは、第4発明において、前記記憶部は、前記物品に関する情報と前記原本証明書画像とを関連付けた基本情報が記憶された第一記憶部と、該第一記憶部に接続され該第一記憶部の前記基本情報の全ておよび/または一部を記憶する第二記憶部と、を有しており、前記閲覧部の情報要求機能からの要求に対して、前記第二記憶部に記憶されている情報を提供する機能を有していることを特徴とする。
第6発明の登録システムは、第5発明において、前記第一記憶部は、プライベートブロックチェーンのノードであり、前記基本情報がブロックチェーンがに登録されていることを特徴とする。
第7発明の登録システムは、第4発明において、前記閲覧部は、閲覧を希望する情報が前記原本証明書画像の場合、該原本証明書画像の一部を非表示とする機能を有していることを特徴とする。
第8発明の登録システムは、第1発明において、前記物品に関する情報には、前記物品の所在地に関する情報が含まれていることを特徴とする。
第9発明の登録システムは、第1発明において、前記検証部の画像検証機能は、AI(人工知能)により前記原本証明書画像の前記証明情報画像と前記検証用証明書画像を比較検証するものであることを特徴とする。
第10発明の登録システムは、第1発明において、新しい物品に関する情報を作成し前記記憶部に記憶させる機能と、該新しい物品に関する情報と関連づけられた、該新しい物品の権利およびその権利の所有者の情報を含むデジタル譲渡証明書および/またはデジタル抹消証明書を作成する機能と、を有する情報変更部を備えており、該デジタル譲渡証明書は、該新しい物品の権利の所有者の履歴が記憶されていることを特徴とする。
第11発明の登録システムは、第1発明において、登録されている物品の登録を抹消し情報を前記記憶部に記憶させる機能と、該新しい物品に関する情報と関連づけられた、該登録が抹消された物品に関する登録の抹消を証明するデジタル抹消証明書を作成する機能と、を有する情報変更部を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1発明によれば、書面を画像として取り込んだ検証用画像と、記憶部に記憶されている原本証明書画像とを比較して、画像検証機能が両者の一致を比較検証し書面が原本であるか否かを判断するので、書面の偽造を防止することができる。そして、書面を用いた既存の方法を利用しつつ偽造を防止するので、現在流通している物品であっても権利の所在を明確にすることができ偽造を防止することができる。
第2発明によれば、書面の偽造を防止する効果を高くできる。
第3発明によれば、建設機械の譲渡証明証の偽造を防止でき、建設機械の所有権を適切に管理することができる。
第4発明によれば、システムに登録されている物品の所有権等の情報を容易に確認することができる。
第5発明によれば、閲覧部によって閲覧される情報は第二記憶部に記憶されている情報であり、閲覧部から第一記憶部に直接接続しないので、基本情報の漏洩や改ざんを棒費sできる。
第6発明によれば、第一記憶部に記憶されている基本情報の安全性を高くできる。
第7発明によれば、原本証明書画像を閲覧した結果に基づく偽造を防止できる。
第8発明によれば、システムに登録されている物品の所在や価値を把握できる。
第9発明によれば、書面の偽造の判別を効果的かつ精度よく行うことができる。
第10発明によれば、新しく登録される物品の権利の管理が容易になる。
第11発明によれば、登録を抹消した物品の管理が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態の登録システム1の概略説明図である。
図2】本実施形態の登録システム1の情報処理装置10の概略ブロック図である。
図3】建設機械の譲渡証明書の一例を示した図である。
図4】機械情報データの一例を示した図である。
図5】(A)は基本情報リストの一例を示した図であり、(B)は閲覧結果の一例を示した図である。
図6】建設機械の譲渡証明書の一部をマスキングした例を示した図である。
図7】閲覧処理のフローチャートの一例である。
図8】検証処理のフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態の登録システムは、紙で発行される登録書や証明書等に基づく建設機械などの所有権等の権利を登録して管理するためのシステムであって、所有権等の偽造を防止することができるものである。
【0015】
本実施形態の登録システムは、建設機械の所有権の登録を管理して偽造を防止することに適しているが、紙で物品のシリアルナンバー等の個体を特定する情報を含む登録書や証明書、鑑定書などが発行される動産であればその権利等の偽造を防止することに使用することができる。例えば、建設機械以外にも、自動車や高級腕時計、宝飾品などの権利等を登録して管理するために使用することができる。
以下では、建設機械の所有権を登録して管理する場合を代表として説明する。
【0016】
<譲渡証明証について>
本実施形態の登録システム1の詳細を説明する前に、本実施形態の登録システム1による検証に用いる建設機械の譲渡証明証について簡単に説明する。
【0017】
譲渡証明証は、日本建設機械工業会が発行する、再発行不可能なものであり偽造防止のためのホログラムなどが付された書面であり、建設機械の型番等の建設機械を特定する情報と、建設機械を製造した建設機械メーカーの名称や住所が記載され、建設機械メーカーの印鑑が押印されたものである。この譲渡証明証には、建設機械メーカーから建設機械を購入した購入者(譲渡人)の名称や住所が署名(または押印)されており、建設機械メーカーの署名等の下方に列記する形で、譲渡人の実印(法人であれば登録印(代表者印))などの譲渡人を証明する印鑑が押印されている(図3参照)。つまり、譲渡証明証の最下方に記載されている譲渡人が現在の所有者を示している。なお、譲渡人が実印を有しない場合には、譲渡人はその名称や住所も署名する。そして、建設機械が譲渡される際には、譲渡証明証の最下方に新たな譲渡人、つまり、新しい所有者が追加されるので、譲渡証明証によって現在の所有者が特定できるし、過去の所有者やその所有権の移動を把握できる。
【0018】
本実施形態の登録システム1では、建設機械の所有権を登録して管理するが、前述した書面の譲渡証明証を利用して所有権の偽造などを防止できるものである。つまり、本実施形態の登録システム1は、譲渡による所有権の移転や現在の所有者の証明を、現在の書面による管理を利用しつつ、譲渡証明証の偽造による所有権の偽造を効果的に防止でき、しかも、建設機械の登録情報を有効に活用できるようにしたものである。
【0019】
なお、以下の説明において、「譲渡証明証画像データ」とは、前述した書面の譲渡証明証の画像データである。例えば、譲渡証明証をスキャナーなどでスキャンして形成された画像データや、譲渡証明証をデジタルカメラなどで撮影したデータ等を画像データとして保存したもの「譲渡証明証画像データ」になる(図3参照)。
【0020】
<本実施形態の登録システム1>
まず、本実施形態の登録システム1の概略構成を説明する。
図1に示すように、本実施形態の登録システム1は、情報処理装置10と、この情報処理装置10とデータ通信が可能である複数の端末機器20と、を備えている。
【0021】
情報処理装置10は、サーバーなどのコンピュータであり、後述する各機能を有するものである。例えば、クラウドコンピューティングシステムやその他のコンピューティングシステムに属するサーバーなどのコンピュータを情報処理装置10として挙げることができる。
【0022】
端末機器20は、ネットワークNW等を介して情報処理装置10とデータ通信が可能なものである。この端末機器20は、例えば、情報処理装置10に対して情報を要求したり、情報処理装置10から供給される情報を表示したりできる機能を有するものである。例えば、一般的なパーソナルコンピュータや、タブレット端末、スマートホンなどの携帯端末などを端末機器20として挙げることができる。
【0023】
<情報処理装置10の各機能について>
図2に示すように、情報処理装置10は、ネットワークNW等を介して端末機器20との間でデータ通信を行う通信部11と、各種データを記憶する記憶部12と、記憶部12に記憶されている情報を閲覧する閲覧部13と、を有している。また、情報処理装置10は、譲渡証明証等の書類を検証する検証部15を備えている。そして、情報処理装置10は、本実施形態の登録システム1が後述するような機能を発揮するように、情報処理装置10の各部の作動を制御する制御部30を備えている。
【0024】
<通信部11>
情報処理装置10は、情報処理装置10と端末機器20との間でデータを送受信する機能、つまり、情報処理装置10と端末機器20との間でデータ通信する機能を有する通信部11を有している。この通信部11は、情報処理装置10と端末機器20との間でデータ通信できる機能を有するものであればよく、とくに限定されない。例えば、通信部11は、ネットワークNWに接続するための有線又は無線LAN(Local Area Network)規格に対応する通信モジュールや、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、又は5G(5th Generation)などの移動体通信規格に対応するモジュール等を備えていてもよい。また、Bluetooth(登録商標)、AirDrop(登録商標)、IrDA、ZigBee(登録商標)、Felica(登録商標)、RFID等の近距離通信の規格又は仕様に対応する通信モジュールを通信部11は有していてもよい。もちろん、通信部11は、有線又は無線LAN規格に対応する通信モジュールと移動体通信規格に対応するモジュール、近距離通信の規格又は仕様に対応する通信モジュールを複数備えていてもよい。
【0025】
<制御部30>
制御部30は、前述したように、情報処理装置10の各部(通信部11、記憶部12、閲覧部13、検証部15)の作動を制御する機能を有するものである。また、制御部30は、本実施形態の登録システム1を作動させるための操作画面(機能選択画面)を表示する機能を有している。また、制御部30は、本実施形態の登録システム1を利用する利用者が機能選択画面に表示されている機能を選択すると選択した機能を操作するための画面(機能操作画面)を表示する機能を有している。
【0026】
例えば、制御部30は、本実施形態の登録システム1が稼働すると、情報処理装置10に接続されたディスプレイ等に機能選択画面を表示したり、機能選択画面を表示する信号を端末機器20に送信する。この機能選択画面には、上記各部の機能が示されたボタン(例えば、閲覧や検証等)や選択したい機能を入力する入力欄等が表示される。
【0027】
なお、以下の説明では、機能選択画面等の画面を、「ディスプレイ等に表示する」場合と「端末機器20の画面に表示する」場合と、を合わせて、単に、「ディスプレイ等に表示する」という場合がある。
【0028】
情報処理装置10に接続された入力装置(例えばキーボードやマウスなど)や画面をタッチするなどしてディスプレイ等に表示されている機能選択画面に含まれるボタンを選択したり、情報処理装置10に接続された入力装置によってディスプレイ等に表示されている機能選択画面に含まれる入力欄等に所定の情報を入力したりすれば、制御部30は、各ボタンや入力された情報と対応する機能を操作するための機能操作画面をディスプレイ等に表示させる。この機能操作画面には、選択された機能によって実施される処理などが示されたボタンや実施したい処理などを入力する入力欄等が表示される。
【0029】
なお、以下では、機能選択画面などに表示されているボタンを、「入力装置(例えばキーボードやマウスなど)や画面をタッチするなどしてディスプレイ等に表示されている機能選択画面に含まれるボタンを選択する」ことを、単に、「ボタンを選択する」または「選択する」という場合がある。また、「情報処理装置10に接続された入力装置によってディスプレイ等に表示されている機能選択画面に含まれる入力欄等に所定の情報を入力する」ことを、単に、「情報を入力する」という場合がある。さらに、「ボタンを選択する」ことと「情報を入力する」こととを合わせて、「入力する」という場合がある。
【0030】
また、制御部30は、ディスプレイ等に表示されている機能選択画面に含まれる処理などを利用者が選択すると選択した処理を各部に実行させる機能を有している。例えば、機能選択画面がディスプレイ等に表示され機能選択画面に表示されているボタンを選択したり情報を入力したりすると、制御部30は、選択されたボタンや入力された情報に基づく処理などを各部に実行させる。
【0031】
さらに、制御部30は、本実施形態の登録システム1の利用を許可するか否かを判断する機能を有していてもよい。例えば、本実施形態の登録システム1を立ち上げると、制御部30は、機能選択画面をディスプレイ等に表示する前に、情報処理装置10に接続されたディスプレイ等に本実施形態の登録システム1を利用するためのIDやパスワード等の入力を求める画面を表示する機能を有していてもよい。また、本実施形態の登録システム1が立ち上がっている状態で、端末機器20から情報処理装置10に対して接続を要求する信号が供給されると、制御部30は、本実施形態の登録システム1を利用するためのIDやパスワード等の利用者を識別する情報(以下、利用者識別情報という)の入力を求める画面(利用者認証画面)を表示する信号を端末機器20に送信する機能を有していてもよい。この場合、制御部30には、情報処理装置10に接続された入力装置や端末機器20から入力された利用者識別情報が記憶部12に記憶されている情報と一致する場合には、ディスプレイ等に機能選択画面を表示したり、端末機器20の画面に機能選択画面を表示する情報を送信部11を通じて送信する機能が設けられる。
【0032】
<記憶部12>
記憶部12は、本実施形態の登録システム1を機能させるために必要な情報を記憶する機能を有するものである。この記憶部12に記憶されている情報には、前述した利用者識別情報や、機械情報データと建設機械の譲渡証明証(図3参照)の画像データである譲渡証明証画像データとが関連づけて記憶された基本情報が含まれている(図4参照)。なお、機械情報データには、建設機械に関する様々な情報である機械情報(例えば、建設機械の車検証に記載されている情報や、建設機械の型番等)が含まれている。この記憶部12は、基本情報が記憶されている第一記憶部12aと、この第一記憶部12aに接続され第一記憶部12aに記憶されている基本情報の全部または一部を記憶する第二記憶部12bと、を備えている。この記憶部12は、制御部30からの指令により、第一記憶部12aに記憶している利用者識別情報や基本情報等の情報を変更する機能を有している。また、この記憶部12は、制御部30からの指令により、第二記憶部12bに記憶されている情報を閲覧部13や検証部15等に供給する機能を有している。記憶部12の詳細は後述する。
【0033】
<閲覧部13>
閲覧部13は、記憶部12の第二記憶部12bに記憶されている情報を閲覧する機能を有している。この閲覧部13は、入力機能13aと、情報要求機能13bと、画面表示機能13cと、を有している。画面表示機能13cは、入力機能13aから閲覧する情報を入力する入力画面を表示する機能(入力画面表示機能)と、情報要求機能13bからの要求に基づいて供給される情報を表示する機能(情報表示機能)と、を有している。そして、前述した機能選択画面において閲覧機能が選択されると、制御部30からの指令によって、閲覧部13は、画面表示機能13cの入力画面表示機能、入力機能13a、情報要求機能13b、画面表示機能13cの情報表示機能を、この順に実行する。以下、閲覧部13の機能について説明する。
【0034】
画面表示機能13cの入力画面表示機能は、制御部30からの指令により、入力機能13aから閲覧する情報を入力するための入力画面をディスプレイ等に表示する機能を有している。例えば、機能選択画面において閲覧機能が選択されると、制御部30から画面表示機能13cに対して、入力画面をディスプレイ等に表示することを指示する指令(入力画面表示指令)が送信される。画面表示機能13cは、入力画面表示指令を受信した場合に入力画面をディスプレイ等に表示する。入力画面は、本実施形態の登録システム1の使用者が閲覧を希望する情報を入力するための画面である。この入力画面は、画面表示機能13cが記憶していてもよいし、記憶部12に記憶しておき、入力画面表示指令を送信する際に制御部30が記憶部12から読みだして入力画面表示指令とともに送信したり入力画面表示指令に含めて送信したりしてもよい。
【0035】
入力機能13aは、本実施形態の登録システム1の使用者が閲覧を希望する情報を入力する機能13aである。この入力機能13aは、入力画面がディスプレイ等に表示されている状態で、閲覧したい情報を選択したり入力したりする機能を有している。例えば、入力画面に情報を選択するボタンなどが設けられている場合には、利用者USがボタンを選択することによって閲覧したい情報が入力される機能を入力機能13aは有している。また、利用者USが、入力画面に、例えば型番や建設機械名、所有者名等を入力するボックスが表示されている場合には、そのボックス内に情報を入力することによって、閲覧したい情報が入力される機能を入力機能13aは有している。
【0036】
情報要求機能13bは、入力機能13aから入力された情報に基づいて、記憶部12の第二記憶部12bに記憶されている情報を要求する機能を有している。例えば、入力機能13aにおいて特定の情報に関するボタン(建設機械名やメーカー名等)が選択されると、そのボタンの情報と関連付けられた情報を要求する閲覧要求信号を制御部30に供給する機能を情報要求機能13bは有している。また、入力機能13aから建設機械の型番が入力されると、その型番と関連付けられた情報を要求する閲覧要求信号を制御部30に供給する機能を情報要求機能13bは有している。さらに、建設機械の型番と関連付けられた情報のうち特定の情報だけを要求する入力があった場合には、特定の情報だけを要求する閲覧要求信号を制御部30に供給する機能を情報要求機能13bは有している。そして、情報要求機能13bから閲覧要求信号が制御部30に供給されると、制御部30は、閲覧要求信号に含まれる情報に対応する情報(閲覧情報)を記憶部12の第二記憶部12bから読みだして画面表示機能13cに送信する機能を有している。
【0037】
なお、情報要求機能13bは、閲覧要求信号を制御部30に供給せず、直接、記憶部12の第二記憶部12bに供給する機能を有していてもよい。この場合には、閲覧要求信号に含まれる情報に対応する情報(閲覧情報)は、制御部30を介さず、記憶部12の第二記憶部12bから画面表示機能13cに直接送信されるようになっていてもよい。
【0038】
前述した画面表示機能13cは、制御部30または記憶部12の第二記憶部12bから送信される閲覧情報を、閲覧結果としてディスプレイ等に表示する機能を有している。例えば、入力機能13aから建設機械名が選択された場合には、その建設機械名と対応する閲覧情報が閲覧結果としてディスプレイ等に表示される。同じ建設機械名で型番の異なる建設機械が記憶されている場合には、型番の異なる全ての建設機械をリストとしてディスプレイ等に表示するようにすることができる(図5(B)参照)。また、入力機能13aから特定の型番が入力された場合には、その型番の建設機械の各情報をディスプレイ等に表示するようにすることができる(図4参照)。
【0039】
なお、閲覧結果としてディスプレイ等に表示されるリストなどの画面は、入力画面として機能させるようにしてもよい。例えば、図5(B)に示すように、同じ建設機械名で型番の異なる複数の建設機械が閲覧結果のリストとしてディスプレイ等に表示される場合には、入力機能13aによってリストの型番を選択できるようにする。すると、その型番の建設機械の情報を要求する閲覧要求信号が情報要求機能13bによって生成され、その型番の建設機械表示の閲覧情報が画面表示機能13cに送信されるので、その型番の建設機械の各情報をディスプレイ等に表示するようにすることができる。例えば、図5(B)であれば、グレーとなっている欄を選択すると、対応する型番の建設機械の基本情報(図4参照)が閲覧情報として表示されるようになっていてもよい。
【0040】
閲覧部13の各機能が前述した機能を有しているので、機能選択画面において閲覧機能を選択し、所定の操作や入力を行えば、利用者は、基本情報に含まれる所望の情報を閲覧することができる。
【0041】
なお、閲覧部13の画面表示機能13cは、制御部30または記憶部12の第二記憶部12bから送信される閲覧情報、つまり、入力機能13aによって閲覧要求された情報が基本情報に含まれる譲渡証明証画像データの場合、その一部を非表示とする機能を有していてもよい。例えば、譲渡証明証画像データを閲覧し、署名や押印の印影等がディスプレイ等に表示されると、表示された画像のコピーや画面を撮影した画像等に基づいて偽造書類が作成される可能性が生じる。したがって、譲渡証明証画像データの閲覧要求があった場合には、譲渡証明証画像のうち、署名や押印の印影、ホログラムなど、検証部15での検証に重要な部分は表示させないようになっていることが望ましい(図6参照)。また、より安全性を期す上では、譲渡証明証画像データは閲覧できないようになっていてもよい。
【0042】
<検証部15>
情報処理装置10は、図2に示すように、例えば、スキャナーやデジタルカメラなどのように、書類(以下検証用書類という場合がある)から画像データを形成する機能を有する装置である画像取得部14を備えている。検証部15は、検証用書類が譲渡証明証の原本書類であるか否か、つまり、検証用書類が原本書類の本物であるか否かを判断する機能を有している。この検証部15は、検証用画像形成機能15aと、画像検証機能15bと、判定機能15cと、を備えている。前述した機能選択画面において検証機能が選択されると、制御部30からの指令によって、検証部15は、検証用画像形成機能15a、画像検証機能15b、判定機能15cを、この順に実行する。以下、判定機能15cの機能について説明する。なお、「譲渡証明証画像」が、特許請求の範囲にいう、「原本証明書画像」に相当するものになる。
【0043】
検証用画像形成機能15aは、制御部30からの指令により、画像取得部14を作動させて検証用画像データを形成する機能を有している。例えば、機能選択画面において検証機能が選択されると、制御部30から検証用画像形成機能15aに対して、画像取得部14を作動させて検証用画像データを形成することを指示する指令(画像取得指令)が送信される。画像取得指令を受信した検証用画像形成機能15aは、ディスプレイ等に検証用画像を取得する画面(画像取得画面)をディスプレイ等に表示する。画像取得画面には、検証用書類を画像取得部14の所定の位置(つまり書面の画像を取得できる位置)に配置することを指示する指令や、画像取得を実施するボタン、検証用書類を特定する情報(譲渡証明書の番号や建設機械の型番(製造番号)等)を入力するボックス等が含まれている。そして、画像取得部14の所定の位置に検証用書類をセットした後、利用者が画像取得を実施するボタンを選択すると、画像取得部14によって検証用書類の検証用画像データが形成される。形成された検証用画像データは、画像取得部14から検証用画像形成機能15a(または制御部30)に供給され、検証用書類を特定する情報とともに検証用画像形成機能15a(または制御部30)から画像検証機能15bに供給される。なお、検証用書類には、通常、検証用書類を特定する情報が含まれているので、検証用書類を特定する情報を入力するボックスを設けず、検証用画像形成機能15aや画像検証機能15bが検証用書類を特定する情報を取得するようにしてもよい。
【0044】
画像検証機能15bは、基本情報に含まれる譲渡証明証画像データと、検証用画像データと、を比較して、両者が一致するか否かを比較検証する機能を有している。例えば、検証用画像データが、検証用画像形成機能15a(または制御部30)から画像検証機能15bに供給されると、画像検証機能15bは、検証用画像データとともに送信された検証用書類を特定する情報(または検証用画像データから取得した検証用書類を特定する情報)に基づいて、検証用書類を特定する情報を有する基本情報を記憶部12の第二記憶部12aから入手する。基本情報を入手すると、基本情報から譲渡証明証画像データを選択し、この譲渡証明証画像データと検証用画像データとを比較する。つまり、検証用画像データの画像と譲渡証明証画像データの画像をパターンマッチングなどの公知の方法で比較し、両画像の一致状態を検証してその検証結果を作成する。画像検証機能15bが算出する検証結果はとくに限定されない。例えば、画像検証機能15bは、譲渡証明証画像データと検証用画像データとの一致度をスコアや一致割合(パーセンテージ)などでで検証結果を作成することができる。算出された検証結果は、検証用画像データおよび検証用書類を特定する情報とともに画像検証機能15bから判定機能15cに供給される。
なお、画像検証機能15bは、検証用書類を特定する情報に対応する基本情報が存在しない場合や、検証用書類を特定する情報に対応する基本情報に譲渡証明証画像データが含まれていない場合には、エラーメッセージを表示したり、また、新しく基本情報を登録することを指示するメッセージなどを表示したりする機能を有していることが望ましい。
【0045】
判定機能15cは、画像検証機能15bが比較検証した結果に基づいて、検証用画像データの元となった書類が、譲渡証明証画像データの画像の元となっている原本書面であるか否かを判断する機能である。例えば、画像検証機能15bから検証結果が送信されると、判定機能15cは、予め定められている閾値等に基づいて、検証結果から正当な原本書面であるか否かを判断し、その判断結果をディスプレイ等に表示する。この判定機能15cが、正当な譲渡証明証であるか否かを判断する方法はとくに限定されない。例えば、画像検証機能15bが検証結果をスコアとして出力した場合には、そのスコアが閾値以上であるか否かに基づいて正当な譲渡証明証であるか否かを判断する方法を採用することができる。つまり、スコアが閾値以上であれば、検証用書類が正当な譲渡証明証であると判断し、スコアが閾値より低ければ検証用書類が正当なものではない可能性があるとであると判断する方法を採用することができる。同様に、画像検証機能15bが検証結果をパーセンテージで評価する場合であれば、そのパーセンテージのが閾値以上であるか否かに基づいて正当な譲渡証明証であるか否かを判断する方法を採用することができる。
なお、検証用書類が正当な譲渡証明証である場合でも、長期間の使用により汚損などが生じたりすると検証が困難になる場合もある。したがって、判定機能15cは、判断結果として、正当な譲渡証明証であると判断する場合と、譲渡証明証が偽物であると判断する場合だけでなく、正当な譲渡証明証である可能性が高い、または、正当な譲渡証明証である可能性が低い、という判断を判断結果とするようにしてもよい。
【0046】
検証部15は前述したような機能を有するので、検証用書類の真贋を精度よく判断することができる。
【0047】
例えば、建設機械の譲渡証明証の場合、建設機械メーカーから建設機械を購入した購入者(譲渡人)の名称や住所が署名(または押印)されており、建設機械メーカーの署名等の下方に列記する形で、譲渡人の実印(法人であれば登録印(代表者印))などの譲渡人を証明する印鑑が押印されている(図3参照)。署名の文字や押印の印影は、原本の譲渡証明証と、その原本を偽造した書類で完全に一致させることは難しい。また、建設機械が譲渡されるたびに新たな譲渡人の署名や押印が追加されることにより、署名の文字や押印の印影が増えることになるので、原本を偽造することがより一層困難になる。したがって、検証用画像形成機能15aが画像取得部14によって取得した譲渡証明証の画像データ(検証用画像データ)を、画像検証機能15bによって基本情報に含まれる譲渡証明証の原本の画像データ(譲渡証明証画像データ)と比較検証して一致する画像が含まれているか否かを検証し、判定機能15cによって一致度を判断すれば、書面の譲渡証明証の真贋を精度よく判断することができる。
【0048】
なお、画像検証機能15bは、譲渡証明証画像と検証用画像の全体を比較して一致するか否かを判断してもよいし、譲渡証明証画像において、譲渡証明証を判断する上で重要かつ特徴的な部分の画像(証明情報画像)が、譲渡証明証画像と検証用画像とにおいて一致しているか否かを判断してもよい。例えば、図3に示すような建設機械の譲渡証明証の場合であれば、譲渡証明証番号と型式、製造番号、建設機械メーカーや譲渡人の署名や押印がされている部分の画像を証明情報画像とすれば、全体を比較する場合に比べて、検証時間を短縮できるし、比較する画像領域を限定できるので検証精度を高めることができる。なお、証明情報画像は、予め決定してもよいし、検証用画像形成機能15aによって利用者が証明情報画像を決定できるようにしてもよい。証明情報画像が予め決定されている場合には、基本情報の譲渡証明証画像データに全体の画像データと併せて証明情報画像を記憶させておけばよい。また、検証用画像形成機能15aによって利用者が証明情報画像を決定する場合には、画像検証機能15bには、譲渡証明証画像において証明情報画像と対応する部分を検索する機能が設けられる。例えば、証明する書面が建設機械の譲渡証明証の場合、証明情報画像として、譲渡証明証番号、型式、製造番号、メーカーや譲渡人が署名した箇所や押印箇所、譲渡証明証のホログラム等を挙げることができる。
【0049】
また、上述した証明情報画像を複数設けるようにして、画像検証機能15bは、各証明情報画像についてそれぞれ比較検証結果を作成するようにしてもよい。例えば、譲渡証明証番号、型式、製造番号、署名箇所、押印箇所、ホログラムをそれぞれ別個の証明情報画像として設定し、各証明情報画像についてそれぞれ検証を行い、それぞれについて検証結果を作成する。そして、全ての検証結果が所定の一致度以上の場合にのみ、検証書面が譲渡証明証の原本書面であると判断してもよい。なお、証明情報画像を複数設けた場合には、各証明情報画像の相対的な位置なども検証対象とすることが望ましい。
【0050】
また、検証用画像データの画像と譲渡証明証画像データの画像を比較検証する方法は上述したような一般的なパターンマッチングやテンプレートマッチング等の方法を採用することができるが、AI(人工知能)を用いて両画像を比較検証することもできる。とくに、署名や印鑑の印影を証明情報画像とする場合、AI(人工知能)を用いて比較検証すれば両画像の一致度を精度よく検証することができる。例えば、原本書面と検証書面とを比較したときに、AI(人工知能)を用いて比較検証すれば、わずかな印影の位置のズレや署名の位置のずれ、また、印影や署名のカスレ、濃淡の違いなどを認識できるので、偽造書類を判断する精度を高くできる。また、署名者の筆跡を学習させることによって、筆跡鑑定を行うことができるので、原本書面への署名者が本人であるかを検証することも可能になる。例えば、原本署名に他人が勝手に署名して譲渡証明書を作成した場合、検証書面は原本書面そのものになる。しかし、筆跡鑑定を行えば、検証書面自体は原本書面であっても、譲渡が偽造であることを見抜くことも可能になる。すると、原本書面が盗難などされた場合でも、譲渡契約が正当か否かを判断することも可能になる。
【0051】
<本実施形態の登録システム1の作動について>
本実施形態の登録システム1は以上のような構成を有しているので、以下のような機能を発揮する。
【0052】
まず、本実施形態の登録システム1(以下単に登録システム1という場合がある)が起動している状態で端末機器20からに登録システム1に接続すると、制御部30によって、利用者認証画面が表示される。この利用者認証画面から利用者識別情報を入力すると、登録システム1が利用可能になり、制御部30によって機能選択画面が表示される。機能選択画面から利用したい機能を選択すると、制御部30または各部によって各機能の機能操作画面が表示される。すると、各機能が利用可能になる。
【0053】
例えば、閲覧機能が選択されると、閲覧機能の画面表示機能13cによって入力画面がディスプレイ等に表示されるので、入力画面から閲覧したい建設機械の情報を選択したり入力したりすることができる。所定の情報等が入力されると、情報要求機能13bによって記憶部12の第二記憶部12bに対して、閲覧したい建設機械の情報が要求される。そして、その要求に応じて記憶部12の第二記憶部12bから画面表示機能13cに閲覧したい建設機械の情報が送信される。すると、画面表示機能13cによって閲覧したい建設機械の情報のリストなどがディスプレイ等に表示されるので、利用者は所望の情報を閲覧することができる。
また、ディスプレイ等に表示されている情報を選択するなどすれば、さらに選択された情報が前述した処理と同様の処理によって、ディスプレイ等に表示されるので、利用者は選択の情報の詳細を閲覧することができる。
【0054】
また、検証機能が選択されると、譲渡証明証等の検証用書類の画像データを形成する処理が開始する。つまり、検証用画像形成機能15aによって、画像取得部14を使用して譲渡証明証等の書類をスキャンしたり撮影したりすることによって検証用画像データが形成される。また、検証用画像形成機能15aからは、検証用書類を特定する情報も入力される。検証用画像データが形成されると、検証用画像データと検証用書類を特定する情報とが画像検証機能15bに送信され、画像検証機能15bでは、検証用書類を特定する情報に基づいて、記憶部12の第二記憶部12bから対応する基本情報が取得される。基本情報を取得すると、画像検証機能15bは、基本情報に含まれる譲渡証明証画像データと検証用書類とを比較検証し、検証結果を作成する。検証結果が作成されると、検証結果が画像検証機能15bから判定機能15cに送信され、判定機能15cにおいて検証結果に基づいて検証用書類が正当な原本書面であるか否かを判断し、その判断結果をディスプレイ等に表示する。したがって、検証機能を利用することによって、利用者は、譲渡証明書等の書面が原本書面であるか、それとも偽造されたものであるかを判断することができる。そして、本実施形態の登録システム1では、検証部15は検証書面から形成したデータと、記憶部12に記憶されている譲渡証明証の原本書面のデータとを比較して、真贋の判定をするので、書面を用いた既存の方法を利用しつつ偽造を防止することができる。したがって、現在流通している建設機械であっても権利の所在を明確にすることができ、所有権の偽造を防止することができる。
【0055】
<記憶部12について>
記憶部12は、前述したように、第一記憶部12aと、この第一記憶部12aと接続された第二記憶部12aと、が設けられている。
【0056】
第一記憶部12aは、建設機械に関する様々な情報を互いに関連づけたデータである基本情報が記憶されたものである。基本情報は、建設機械に関する様々な情報である機械情報を含む機械情報データ(図4参照)と、建設機械の譲渡証明証の画像データである譲渡証明証画像データと、が関連づけて記憶された情報である(図5(A)参照)。この基本情報は、各機械ごとに設けられており、複数の機械の基本情報は、基本情報リストとして第一記憶部12aに記憶されている。
【0057】
第二記憶部12bは、第一記憶部12aから提供される情報を記憶するものである。こ第二記憶部12bは、第一記憶部12aから情報が提供されるが、第一記憶部12aに対して情報の要求や記憶されている情報の変更追加の要求ができないようになっている。つまり、第二記憶部12bは、第一記憶部12aから情報が一方的に供給され、供給された情報が既に記憶されている場合にはその情報を新しい情報に変更し、かつ、供給された情報が新たに供給された情報である場合にはその情報を追加記憶する機能を有している。また、第二記憶部12bは、記憶している情報を各部からの要求によって提供はできるが、各部からの操作などによって記憶している情報の変更ができないまたは制限されている。
【0058】
このように、記憶部12は、各部からの要求によって情報を提供する第二記憶部12bが閲覧や検証の際に記憶している情報を提供するが、情報の変更ができないまたは制限されており、第一記憶部12aから第二記憶部12bには情報が原則として一方的に供給される状態となっている。かかる構成であるので、本実施形態の登録システム1は、記憶部12の第一記憶部12aに記憶されている基本情報等の情報の改ざんなどにが生じにくいシステム構成となっているので、基本情報の安全性を確保し信頼性を高くすることができる。
【0059】
とくに、記憶部12の第一記憶部12aをプライベートブロックチェーンのノードとしておけば、基本情報が分散して全てのノードで共有されることになるので、基本情報の改ざんがさらに困難になり、基本情報の安全性や信頼性をさらに高くすることができる。
【0060】
なお、記憶部12は、前述したような第一記憶部12aと第二記憶部12bとを有していれば、基本情報の安全性や信頼性を高くできるが、記憶部12には、必ずしも第二記憶部12bは設けなくてもよい。この場合でも、第一記憶部12aが、各部からの要求によって情報を提供するが、各部からの要求によって基本情報等の変更追加がができないまたは制限されていれば、安全性や信頼性は維持できる。この場合も、第一記憶部12aをプライベートブロックチェーンのノードとしておけば、安全性や信頼性を高くできる。
【0061】
基本情報に含まれる機械情報は、とくに限定されず、種々の情報を機械情報として基本情報に含めることができる。機械情報として、例えば、建設機械の車検証に記載されている情報や、建設機械の型番、メーカーの名称や住所、現在および過去の所有者の名称や住所等に関する情報を挙げることができる。また、建設機械の修理の履歴や、建設機械を構成する各種部品の番号およびその交換履歴等も機械情報に含めてもよい。この機械情報のデータは、例えば、図4に示すように、各建設機械の型番と、前述した機械情報がリストとして関連づけられたデータとすることができる。
【0062】
なお、譲渡証明証画像データは、最新の譲渡証明証の画像データだけでなく過去の譲渡証明証の画像データも履歴として残しておけば、検証用書類が原本書類であるか否かの検証をより精度よく行うことができる。つまり、検証部15において、過去の全ての譲渡証明証画像と現在の検証用画像を比較するようにすれば、検証した検証書類の真贋をより精度よく検証することができる。
【0063】
また、画像取得部14によって取得された検証用画像も、譲渡証明証画像と関連づけて記憶部12の第一記憶部12aの基本情報に含めてもよい。例えば、検証部15または制御部30に、検証用画像と、検証用画像と比較検証した譲渡証明証画像の情報(例えば建設機械の型番等)と、検証を実施した日時と、検証を実施した利用者の情報と、を関連づけた検証実施データを作成する機能と、検証が終了したのち記憶部12の第一記憶部12aに検証実施データを送信する機能を設ける。また、記憶部12の第一記憶部12aに、検証部15または制御部30から検証実施データが送信されると、検証実施データに含まれる譲渡証明証画像の情報に対応する基本情報に、検証実施データを追加する機能を設ける。かかる機能を設けておけば、例えば、建設機械の譲渡証明書を何時誰が検証しようとしたかを把握できる。すると、検証用画像の元となる書面が偽装書類であれば、偽装書類が作成されていることおよびその所持者を迅速に把握できるので、偽造による被害を迅速に防止できるし、偽装を抑制する効果を高くできる。なお、前述したように、検証部15または制御部30から供給される情報は、情報が供給されるとすぐに記憶部12の第一記憶部12aの基本情報に加えられるのではなく、一旦、記憶部12の第一記憶部12aの一時保留ホルダ等に記憶しておき、後述する情報変更部16を使用して、管理者ADが供給された情報の追加変更の要否を判断するようにすることが望ましい。
【0064】
また、基本情報には、建設機械の現在の所在地に関する情報や建設機械の評価額に関する情報が含まれていてもよい。
建設機械の現在の所在地に関する情報が含まれていれば、建設機械の調達が容易かつ確実に行うことができる。例えば、ある場所で所定の性能を有する建設機械を使用したい業者が、本実施形態の登録システム1の閲覧機能を利用して所望の性能を有する建設機械と使用したい場所を入力して閲覧する。すると、使用したい場所の近くかつ所定の性能を有する建設機械を把握できるので、建設機械を効率よく調達できる。しかも、基本情報には過去の所有者や修理履歴等の情報も含まれているので、調達する建設機械の不具合などを予め予見することも可能になる。
また、基本情報に建設機械の評価額に関する情報が含まれていれば、購入しようとする建設機械の価格や資産価値が適切であるかを容易かつ確実に把握することができる。例えば、ある建設機械の購入交渉を行っている場合に、本実施形態の登録システム1の閲覧機能を利用して、その建設機械と同等の機能や型式、使用年数などを入力して閲覧する。すると、購入しようとする建設機械の譲渡人のいう価格が適切であるか否かを迅速化かつ容易に判断することができる。また、購入しようとする建設機械の資産価値を把握できるので、閲覧した情報を提供すれば、リース会社や銀行などの金融機関からの融資を受けやすくなるし、金融機関も融資に対するリスクを低減できる。
とくに、建設機械の評価額は、閲覧した際に、当初は基本情報に記憶されている評価額を表示するが、閲覧が開始されると、インターネットを通じてAI等が自動で検索または取得した中古市場における同じ型式等の建設機械の価格(現在価格)を表示するようにしてもよい。すると、閲覧者は、現在価格をタイムリーに把握できるので、適正な価格での購入計画の作成や売買契約、融資などをすることが可能になる。
なお、閲覧した際に、最初から基本情報に記憶されている評価額ではなく、現在価格が表示されるようにしてもよい。
また、閲覧が終了する際に、閲覧部15は、基本情報に記憶されている評価額を変更する要求する指令(評価額変更指令)を制御部30に送信する機能を有していてもよい。この場合、評価額変更指令を受信すると、基本情報に記憶されている評価額を自動的にまたは管理者ADから承認を受けて変更する機能を制御部30に設けてもよい。
【0065】
<情報変更部16>
本実施形態の登録システム1は、記憶部12の第一記憶部12aに記憶されている基本情報を直接変更追加する機能を有する情報変更部16を有している。前述したように、記憶部12では、各機能は第二記憶部12bに記憶されている情報を取得するようにしており、第二記憶部12bは第一記憶部12aから提供される基本情報等の情報を記憶するようになっている。しかし、第二記憶部12bは、閲覧や検証の際に記憶している情報を提供するが、情報の変更の変更ができないまたは制限されている。このような構成にすることによって、本実施形態の登録システム1は、基本情報等の改ざんが生じにくいシステム構成としている。しかし、譲渡証明証に新しい譲渡人が追加された場合には基本情報に含まれる譲渡証明証画像を更新する必要が生じる。また、新しい建設機械の基本情報を追加する場合も生じる。そこで、本実施形態の登録システム1は、制限された管理者ADなどのみが操作できる情報変更部16を設け、記憶部12の第一記憶部12aに記憶されている基本情報を制限なく変更追加できるようにしつつ、基本情報の改ざんなどの問題が生じることを防止している。
【0066】
<デジタル譲渡証明書作成・管理機能>
本実施形態の登録システム1では、既存の譲渡を証明するシステム、例えば、建設機械であれば書面の譲渡証明書を利用して、所有者やその変更を保証検証するシステムが基本となっている。本実施形態の登録システム1は、基本情報と関連付けられたデジタル譲渡証明書を作成しデジタル譲渡証明書によって所有権を管理する機能を有していてもよい。つまり、書面の譲渡証明書による所有権の管理に加えて、デジタル譲渡証明書による所有権の管理を実施できるようになっていてもよい。
【0067】
例えば、情報変更部16に、建設機械のメーカーが新規に建設機械を製造した場合に、メーカーの名称・住所・対象となる建設機械の型番等の情報等を入力すると、新規に建設機械の型番と対応する基本情報を作成し、記憶部12の第一記憶部12aに登録された基本情報(新規基本情報)を基本情報リストに追加する機能を設ける。そして、新規基本情報が基本情報リストに追加されると、新規基本情報と関連づけられたデジタル譲渡証明書データを作成する機能を情報変更部16を設ける。そして、デジタル譲渡証明書データが作成されると、購入者の名称・住所等の情報をデジタル譲渡証明書のデータに追加する機能を情報変更部16を設ける。また、デジタル譲渡証明書に登録されている建設機械について譲渡が行われる場合には、譲受人をデジタル譲渡証明書に追加する機能を情報変更部16を設ける。かかる構成とすれば、新規の建設機械であっても、その所有者が誰であるか、また、所有権の移転を確実に把握できるので、本実施形態の登録システム1によってデジタル譲渡証明書による所有権の管理を行うことが可能になる。
【0068】
この場合も、基本情報が記憶されている記憶部12の第一記憶部12aがプライベートブロックチェーンのノードとなっていれば、書面に比べて精度よくかつ容易に複製・修正が可能なデジタルデータのデジタル譲渡証明書であっても、デジタル譲渡証明書の改ざんが困難になるので、デジタル譲渡証明書による所有権の管理を行っても、その安全性や信頼性を高くすることができる。
【0069】
なお、情報変更部16は、デジタル譲渡証明書の譲渡人や譲受人が、他の建設機械の基本情報リストの譲渡人または譲受人として登録されているか否か、また、登録されている場合には、その取引履歴を検索し表示する機能を有していてもよい。かかる機能を有していれば、取引履歴を譲渡人や譲受人に提供することによって、譲渡人や譲受人に譲渡契約の検討を促すことができるので、取引の安全性を高めることができる。例えば、書面の譲渡証明書が登録されている建設機械の取引の譲渡人または譲受人となっていることが確認できれば、譲渡人または譲受人として安全性や信頼性の高い取引相手と判断することができる。つまり、書面での所有権の管理を行う本実施形態の登録システム1がデジタル譲渡証明書による所有権の管理を行うようにすれば、所有権の管理やその譲渡取引などの安全性を高めることができる。
【0070】
また、過去の取引履歴で検索されない譲渡人または譲受人の場合、譲渡人または譲受人を確認する機能を情報変更部16は有していてもよい。例えば、記憶部12の第一記憶部12aに犯罪歴や他の取引で事故を起こした企業などのリスト(危険取引人リスト)を登録しておき、過去の取引履歴で検索されない譲渡人または譲受人はそのリストに含まれないか検索する機能を情報変更部16に設ける。すると、譲渡人または譲受人が、危険な取引に巻き込まれる可能性を低くすることができる。
【0071】
なお、閲覧部13が会社名などをいれることによって取引履歴を検索できる機能を有していれば、情報変更部16は必ずしも取引履歴を検索し表示する機能は有していなくてもよい。
【0072】
<デジタル抹消証明書作成・管理機能>
本実施形態の登録システム1には、所有権の登録を抹消し、登録が抹消されたことを証明する機能を有していてもよい。つまり、登録が抹消されたことを証明するデジタル抹消証明書を作成し発行する機能を有していてもよい。例えば、建設機械を海外輸出等をする場合に日本での登録を抹消することが必要になり、登録の抹消を前提に海外輸出等が可能になる。そこで、海外輸出等をする建設機械が本実施形態の登録システム1に登録されている場合には、前述した情報変更部16に登録を抹消する情報を入力し、その抹消情報を基本情報に追加する機能を設ける。例えば、抹消の登録を行った利用者や抹消登録の日付、抹消の理由等を抹消情報として基本情報に追加する機能を設ける。すると、基本情報を閲覧することによって、既に日本で存在しない建設機械などについて譲渡交渉したり購入契約をしたりするというトラブルを防止できるので、取引の安全性を高めることができる。
そして、抹消情報が登録されると、登録が抹消されたことを証明するデジタル抹消証明書を作成する機能を情報変更部16を設ければ、デジタル抹消証明書によって登録抹消を簡単かつ迅速に確認できる。すると、取引の安全性を高めつつ、海外輸出等を迅速に進めることが可能になる。
なお、ある建設機械について抹消情報が登録されても、その建設機械の基本情報には抹消情報が追加記憶されるだけとして、基本情報リストには、その建設機械の基本情報はそのまま記憶されるようにすることが望ましい。すると、抹消情報が登録された後でも、その建設機械の過去の情報を把握することができる。また、一旦抹消情報が登録された場合でも、登録を復帰させることが容易になるし、抹消前から再登録後までの情報jの継続性を維持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の登録システムは、建設機械以外にも書面による登録証や証明書等を発行する様々な動産の所有権等の登録を管理するシステムとして適している。
【符号の説明】
【0074】
1 登録システム
10 情報処理装置
12 記憶部
12a 第一記憶部
12b 第二記憶部
13 閲覧部
13a 入力機能
13b 情報要求機能
13c 画面表示機能
14 閲覧部
15 検証部
15a 検証用画像形成機能
15b 画像検証機能
15c 判定機能
20 端末機器
30 制御部


【要約】
【課題】書面による証明書を使用する既存の制度を維持しつつ権利の登録を管理でき権利の偽造を防止できる登録システムを提供する。
【解決手段】書面により権利が証明される物品の権利関係を管理する登録システム1であって、物品に関する情報と、物品の権利を証明する原本書面の画像である原本証明書画像と、が関連づけて記憶されている記憶部12と、書面を画像として取り込んだ検証用画像と、記憶部12に記憶されている原本証明書画像と、を比較する検証部15と、を備えており、検証部は、原本証明書画像に含まれる証明情報画像と、検証用画像に原本証明書画像における前記証明情報画像と一致する画像が含まれているか否かを比較検証する画像検証機能15bと、画像検証機能15bが比較検証した結果に基づいて、検証する書面が物品の権利を証明する書面の原本であるか否かを判断する判定機能15cと、を有している。
【選択図】図1

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