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特許7575027段ボールシートの接合方法及びこれを用いた部材により形成される家具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】段ボールシートの接合方法及びこれを用いた部材により形成される家具
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/07 20060101AFI20241022BHJP
   A47C 5/00 20060101ALI20241022BHJP
   A47C 19/00 20060101ALI20241022BHJP
   B65D 5/04 20060101ALI20241022BHJP
   B65D 5/18 20060101ALI20241022BHJP
   B65D 5/42 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
F16B5/07 D
A47C5/00 A
A47C19/00 B
B65D5/04
B65D5/18 B
B65D5/42 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024107810
(22)【出願日】2024-07-03
【審査請求日】2024-07-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】717001695
【氏名又は名称】名久井 精司
(72)【発明者】
【氏名】名久井 精司
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-150910(JP,U)
【文献】実開昭48-006136(JP,U)
【文献】特開2022-083356(JP,A)
【文献】特開2020-081857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/07
B65D 5/42
A47C 19/00
A47C 5/00
B65D 5/04
B65D 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボールシートの、重なり合う二つの面の接着を伴なわない接合方法であって、片方の面には、折られて突出する挿入部が設けられ、もう片方の面には、該挿入部の挿入に合わせた形状の、突片が折られて突出して開いた孔を持ち、該孔に該挿入部が挿入され略直角に突出し、該突片あるいは該挿入部が、二つの面が密着し、突出した該挿入部の両側の辺が該孔に密着した位置に、折りにより固定する固定部となる形態で、該挿入部が、先端が広がり折り部分が狭まることで両側の辺に傾斜を持つ形状の場合では、折られて挿入された該挿入部が該固定部の突片の折りにより固定される二つの面の接合方法。
【請求項2】
請求項1の二つの面の接合方法において、前記挿入部が、先端が広がり折り部分が狭まることで両側の辺に傾斜を持つ形状で、前記固定部の突片に、該挿入部の固定位置に合わせて折られ該挿入部に密着する先端部分が設けられ、該突片が該挿入部の突出で開いた孔を閉じながら、折られた該先端部分で該挿入部が固定される二つの面の接合方法。
【請求項3】
請求項1の二つの面の接合方法において、前記挿入部が、先端が広がり折り部分が狭まることで両側の辺に傾斜を持つ形状で、前記固定部の突片が、挿入される該挿入部の傾斜を持つ両側の辺の側に折りを持ち、該両側の辺の間で分かれた二つの突片で、挿入部が挿入され突出する位置には、あらかじめ孔が設けられるか、あるいは、孔を開けるためのもう一つの突片が設けられ、該挿入部が両側の二つの突片の根元の折り部分で固定される二つの面の接合方法。
【請求項4】
請求項1の二つの面の接合方法において、前記挿入部が、左右に設けられた折りにより上側、下側に分かれ、左右の折りの間で上下が平らにつながった突片の片側が内側に折られることで、外側に突出する反対側を挿入のため先を狭めた形状で、もう片方の面には、該挿入部を上下・左右で固定可能な前記孔を持ち、該孔に挿入され突出した該挿入部が、突出した側の面の位置に設けられた切り目で面を抑える折りを持つ固定部となる二つの面の接合方法。
【請求項5】
請求項1または2の接合方法を用いて形成される箱型の部材であって、切り目と折り目とが入れられ、孔やスリットがない一枚の四角形のシートが折りにより組み立てられ、上面が長方形で底面が開放部で、上面の短辺側の両面上部が、着物の襟状の三層構造で、最も内側になる面の左右を折りにより幅を狭めた構造である箱型の部材。
【請求項6】
請求項5の箱型の部材を用いた段ボール家具であって、該部材が複数個、連結あるいは組み合わされて形成される段ボール家具。
【請求項7】
請求項の段ボール家具において、前記部材の上面の長辺側の両面が、コの字状の解放部分を下向きにした形状で、二つの角筒状の脚部を持つ箱型の部材である段ボール家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボールシートの二つの面の接着を伴なわない接合方法、及びそれを利用した箱型の部材、及びその部材により形成される段ボール家具に関する。
【背景技術】
【0002】
段ボールシートで角筒状のものを作る場合、両端の面を接着剤等を使用し接合するのが一般的で、製造には接着工程が必要になり、接着されたものは畳まれてかさばるものとなる。また、段ボール箱を複数まとめる場合、一般的にはテープ、ひも等が別に必要となり、箱と箱を接合してまとめるのはむずかしい。
そこで、接着を伴なわない接合方法として(特許文献1)、(特許文献2)では、重ね合わせた両方のシートに設けられた台形状の突片が内側に折り込められ、両側の傾斜により固定される方法が提案されている。(特許文献3)では、内側に折り込められる外側の台形状の突片に耳部を設け、これにより突片が抜けにくいように固定される方法が提案されている。(特許文献4)では、シート端部に形成された角筒を台形状の突片で固定する方法が提案されている。(特許文献5)では、シート端部に形成された角筒を巻き込み状態で固定する方法が提案されている。
【0003】
段ボールはベッド等の家具などにも使われ、災害時の非常用として備蓄されたりするので、さまざまなものが存在し、ベッド専用の形態のもの、椅子やテーブルなどとしても使用できるものなどがある。どれもいくつかのパーツで組み立てられるか、すでに組み上がっているものが畳まれて、それを広げて使用するものなどがある。
(特許文献6)のように、スリットを持つ二つの部材がスリットによって嵌め込まれて形成される構造を持つものががほとんどで、数種類の部材や部品で組み立てられる。(特許文献7)では、その構造を持つ箱を複数個利用してベッド、あるいは椅子やテーブルとして使用される。(特許文献8)では、その構造を持つ伸縮可能なものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007ー1594号公報
【文献】特許第7046749号公報
【文献】特開2010ー36958号公報
【文献】特許第50431655号公報
【文献】実用新案登録第3236422号公報
【文献】特開2022ー169875号公報
【文献】特許第6955737号公報
【文献】特許第6953008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
接着を伴なわない接合方法として(特許文献1)では、内側に押し込まれた台形状の突片が、折れて立った状態の固定はされておらず、力がかかり立っていたものが傾けば密着状態ではなくなる。
(特許文献2)では、突片の根元部分に突起を設けて引っかかりを作っているが、両側二箇所に接合部が設けられて二つの面がずれないように固定されるが、接合部が一箇所だけでは二つの面がずれて、孔の広い部分に移動すれば容易に抜けてしまう。
(特許文献3)では、容易に抜けないよう耳部が設けられ、耳部が折れて容易に孔に挿入できるが、同様に耳部が折れて抜くことができ、孔が開けられた突片で耳部を抑えても、耳部が設けられた突片の下部はまったく固定されないので二つの面は離れることができ、完全な固定とはならず、強い力がかかれば抜けてしまう。
(特許文献4)では、台形状の突片が四角形の孔に押し込められ台形の広がった部分で固定されるが、この物品は緩衝材であり、巻き込みでで形成された角筒はベースの面から離されるような力を受けることがないため、この形態でよいが、そのような力を受ければ容易に抜けてしまう。
(特許文献5)では、角筒を巻き込み固定するが、角筒の底面とシートが接合されるわけではなく、上面に突片が出たり、側面にもロック片が出ていたりして無駄なスペースが生まれている。
【0006】
段ボールの家具などでは、(特許文献6)では、スリットの嵌め込みで作られるが部材が多く、ベッド以外の用途で使用することは考えられていない。(特許文献7)では、内部をスリットを用いた仕切り板で補強した箱を利用し多用途での使用が考えられているが、仕切り板の一部と箱の外枠は端部で接着されており、そのため広げて組み立てられるが、畳んだ状態ではかさばるものとなる。(特許文献8)では、ベッドを伸縮可能なものとしているが、伸縮できる長さは決まっており、自由な長さにできるものではない。
部材が多種類、多数になる場合、雑然とした場所での作業では部材をを無くして組み立てられなくなったり、梱包状態では無駄な空きスペースができたりもする。組み上がっているものは梱包が大きくなりがちである。
ベッドの場合はほとんど出来上がりのサイズが決まっており、高身長の人は使用しにくく、身長の低い女性や子供が二人で寝れるような自由なサイズにできるものはない。
また、材料が安価なのに、部材が多種類だったり、接着や畳んだりする工程があったりしてそれほど安価なものになっていない。
【0007】
本発明は上記のような従来技術の問題点に鑑みて、段ボールシートの二つの面を、接着を伴なわずに接合し、確実にその状態を維持することができる接合方法とする。また、この接合方法を用いて、一枚の四角形のシートから立体の部材を形成し、この部材を複数連結できるものとして、使用する状態に応じた段ボールベッド等の家具を安価で提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
段ボールシートの、重なり合う二つの面の接着を伴なわない接合方法であって、片方の面には、折られて突出する挿入部が設けられ、もう片方の面には、該挿入部の挿入に合わせた形状の、突片が折られて突出して開いた孔を持ち、該孔に該挿入部が挿入され略直角に突出し、該突片あるいは該挿入部が、二つの面が密着し、突出した該挿入部の両側の辺が該孔に密着した位置に、折りにより固定する固定部となる形態で、該挿入部が、先端が広がり折り部分が狭まることで両側の辺に傾斜を持つ形状の場合では、折られて挿入された該挿入部が該固定部の突片の折りにより固定される
【0009】
前記挿入部が、先端が広がり折り部分が狭まることで両側の辺に傾斜を持つ形状で、前記固定部の突片に、該挿入部の固定位置に合わせて折られ該挿入部に密着する先端部分が設けられ、該突片が該挿入部の突出で開いた孔を閉じながら、折られた該先端部分で該挿入部が固定される。
【0010】
前記挿入部が、先端が広がり折り部分が狭まることで両側の辺に傾斜を持つ形状で、前記固定部の突片が、挿入される該挿入部の傾斜を持つ両側の辺の側に折りを持ち、該両側の辺の間で分かれた二つの突片で、挿入部が挿入され突出する位置には、あらかじめ孔が設けられるか、あるいは、孔を開けるためのもう一つの突片が設けられ、該挿入部が両側の二つの突片の根元の折り部分で固定される。
【0011】
前記挿入部が、左右に設けられた折りにより上側、下側に分かれ、左右の折りの間で上下が平らにつながった突片の片側が内側に折られることで、外側に突出する反対側を挿入のため先を狭めた形状で、もう片方の面には、該挿入部を上下・左右で固定可能な前記孔を持ち、該孔に挿入され突出した該挿入部が、突出した側の面の位置に設けられた切り目で面を抑える折りを持つ固定部となる
【0012】
切り目と折り目とが入れられ、孔やスリットがない一枚の四角形のシートが折りにより組み立てられ、上面が長方形で底面が開放部で、上面の短辺側の両面上部が、着物の襟状の三層構造で、最も内側になる面の左右を折りにより幅を狭めた構造である箱型の部材が形成される。
【0013】
前記部材が複数個、連結あるいは組み合わされて段ボール家具が形成される。
【0014】
前記部材の上面の長辺側の両面が、コの字状の解放部分を下向きにした形状で、二つの角筒状の脚部を持つ箱型の部材である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、段ボールシートの重なり合う二つの面を接着を伴なわずに容易に接合し、その状態をしっかり維持することができる。また、この接合方法を用いて、切り目と折り目とが入れられ、孔やスリットがない一枚の四角形のシートが箱型の部材に組み立てられ、この部材が複数連結可能なもので、使用する状態に応じてさまざまな形態の段ボール家具を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】接合方法の形体例で、挿入部が台形の場合の図であり、Aは展開図、Bは挿入部と固定部が重なった状態の前面図。
図2】接合方法の形体例で、挿入部が台形の場合の組み立て図であり、Aは斜視図、Bは断面図。
図3】接合方法の形体例で、挿入部が台形の下底を延長した形状の場合の図であり、Aは展開図、Bは挿入部と固定部が重なった状態の前面図。
図4】接合方法の形体例で、挿入部が台形の下底を延長した形状の場合の組み立て図であり、Aは斜視図、Bは断面図。
図5】接合方法の形体例で、固定部が二つの突片の場合の図であり、Aは展開図、Bは挿入部と固定部が重なった状態の前面図。
図6】接合方法の形体例で、固定部が二つの突片の場合の組み立て図であり、Aは斜視図、Bは内側から固定部を見た正面部分図、Cは小さい角筒の場合の展開図と斜視図。
図7】接合方法の形体例で、挿入部が上下で内側と外側に突出する形状の場合の図であり、Aは正面図、Bは挿入部と挿入孔の状態の前面図。
図8】接合方法の形体例で、挿入部が上下で内側と外側に突出する形状の場合の組み立ての斜視図。
図9】箱型の部材の展開図。
図10】箱型の部材の組み立ての斜視図。
図11】箱型の部材の組み立ての斜視図。
図12】箱型の部材の図で、側面の構造図であり、Aは本発明の左が展開図、右下が全面図、右上が上面図、Bは単純な構造とした場合の図。
図13】箱型の部材の図で、Aは片側の斜視図、Bはもう片側の斜視図。
図14】箱型の部材の図で、部材の接合の斜視図。
図15】箱型の部材の図で、部材が複数連結された状態の斜視図。
図16】段ボールベッドとした場合の形体例の斜視図であり、Aは通常の大きさと長さを短くした例、Bは幅を広げた例。
図17】段ボール家具の応用例の斜視図であり、Aはテーブルと椅子、Bはテーブルの別の形態例。
図18】開放部を設けた箱型の部材の展開図。
図19】開放部を設けた箱型の部材の組み立ての斜視図。
図20】開放部を設けた箱型の部材をはしごとした例の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明の接合方法は、段ボールシートの二つの面を重なり合わせた状態で接着を伴なわずに容易に接合する方法である。
図1Aのように、角筒を形成する際に接合される両端の二つの面の、外側の接合面1aには、挿入部1cが設けられ、先端が広がり根元部分が狭ままることで両側辺に傾斜を持つ台形状で、台形の上底が挿入部の折り1dになる形状で、この折りによって突出する。内側の接合面1bには、固定部の突片1eが設けられ、挿入部1cと同様に台形状で、台形の下底が突片の折り1fになる形状で、図1Bのように挿入部1cより高さのある台形になっており、先端部分1gが折られるようになっている。
【0018】
図2A、Bはこの接合の組み立て図で、固定部の突片1eの先端部分1g内側に折り、突片の折り1fで折って固定部の突片1e全体を筒の内部に押し込み孔を開け、挿入部1cが挿入できる状態にして、外側の接合面1aを重ね挿入部1cを折って挿入し、内部で直角になるくらいに押し込む。そして固定部の突片1eを、筒の内側から挿入部1cの挿入で開いた孔を塞ぐように押し上げ、突片の先端部分1gを挿入部1cに密着させ固定する。突片の先端部分1gは挿入部1cに密着して容易にはずれないような位置で折られるようにする。これにより固定状態をしっかり維持することができる。
【0019】
図2は、固定部の突片1eを筒の内側から押し上げて固定するが、内側に手をいれられない場合は、次のような形態とすることで内側に手をいれずに固定することができる。
図3のように、挿入部1cの台形の下底を同じ幅で延長し、延長された挿入部の先端部分1hは内側に折れるようにする。固定部の突片1eはこれに合わせて台形が延長された
形状にする。
そして図4のように、最初に挿入部の先端部分1hを内側に垂直になるぐらいに折り、固定部の突片1eは先端部分1gを内側に折り、突片1e全体は外側に折っておく、外側の接合面1aを内側の接合面1bに重ねる際に、挿入部の先端部分1hを折って開いた孔から突片1eを突出させる。これでで開いた孔に挿入部1cを押し込み内部で直角くらいになるようにする。そして孔を塞ぐように突片1eを挿入し先端部分1gを挿入部1cに密着させ固定する。
これにより、内側に手をいれることなく外側からの操作で組み立てられる。
【0020】
図2、4は、開いた孔を塞ぎつつ固定する形態であるが、そのため突片の先端部分1gが必要でその分スペースをとらなければならない。しかし次のように孔を開けたままの形態とすることで小さなスペースで接合することができる。
図5のように、挿入部1cは台形の下底を延長した形状とする。これは単純に台形としてもよいが、内側に押し込む際、台形だと折りの部分の幅が小さく、指の幅に合わせると台形全体の幅を大きくしなければならないが、台形の下底を、折りで挿入して内側の面から突出する厚み分で延長することで挿入部1cは小さくすることができる。
固定部は図5Bのように、挿入部1cが挿入可能な大きさの台形とし、傾斜を持つ両側の辺に折りがあり、両側の辺の間で分割された二つの突片1eが設けられる。挿入部1cが挿入され突出する位置にその位置を底とし二つの突片1eが分割される部分を頂点とする三角形の孔1iが設けられる。
【0021】
そして図6A、Bのように、最初に二つの突片1eを内側に折り、外側の接合面1aを内側の接合面1bに重ね、挿入部1cを内側に押し入れ、二つの突片1eを両側に広げ、突片1eの突出部分を通り過ぎて突片1eの根元部分で、両側の突片1eが閉じようとする力で抑えられ、突出して立った状態で固定される。また図6Cのように二つの突片1eをシートの端に設けることで、小さい角筒でも接合することができる。
固定される三角形の孔1iは突片を折って突出させることで開くものとしてもよく、挿入部1cはこの三角形の突片と二つの突片1eの間に挟まれる形で固定される形態とすることもできる。
【0022】
図7、8の形態は、二つの部材の面の接合で、挿入部が設けられた面2を持つ部材と挿入孔が設けられた面3を持つ部材の接合である。
挿入部が設けられた面2は、図8のように上下でつながった突片を持ち、上側の突片2bの根元部分の左右に設けられた折り2aの間で下側の突片はつながっており、折り2aで上側の突片2bが折られて内側に突出すると、つながっている下側の突片は外側に突出する。突出した内側と外側とで一つの平らな面となり、外側を挿入部2cとし両側に傾斜を設け先端が狭まった形状とする。
挿入孔が設けられた面3は、突片の折り3aにより突片3bが部材の内側に突出し挿入孔3cができる。挿入孔3cは図7Bのように、挿入部2cが挿入された際、上部は左右の端、下部は中央という全体ではなく局部で固定する形状となっている。通常この場合、挿入部2cの厚みに合わせた細長い孔とするが、この形状であればより大きな孔で固定が可能で、突片の突出で作ることができる。
【0023】
また、挿入孔3cは上部に突片の折り3a方向に狭まる傾斜を持つスペースが設けられ、これにより、このスペースに挿入部2cが挿入され面2と面3が密着すると、このスペースの傾斜と挿入部2cの先端の傾斜により、挿入部2cが図7Bのように固定箇所に確実に移動し上下左右で固定される。
挿入部2cには、挿入孔3cが設けられた面3の内側に合わせて切り目2dが設けられている。通常このように折りで突出させ、折りからシートの厚み分の位置に切り目を設けることはできないが、内側と外側とで一つの平らな面とすることで可能なものとしている。これにより挿入部の折り2eで折ることで、挿入孔が設けられた面3の内側を切り目2dで抑えて挿入部2cを上下左右だけでなく前後にも固定することができる。
この接合方法と同様に、図1、3、5の形態は、角筒を形成する際の接合に限らず、別部材の面の接合とすることもできる。
【0024】
これらの接合方法を使うことで、一枚の四角形のシートから接着を伴わずに箱型の部材を作ることができる。
通常の段ボール箱は、いずれかの側面で接着により四つの面を繋げ、上面、底面の蓋をする側面から伸びたフラップとフラップの間にはスリットが設けらる。しかし、本発明では図9のように、切り目、折り目だけが入れられ、孔やスリットがない一枚の四角形のシートのみで、他の部材は使用しない。一枚のシートは図10、11のように組み立てられ、両側面で接合され、上面4cが長方形で底面が開放部である一つの箱型の部材となる。
【0025】
通常このような形態を作る場合、側面は図12Bのようにすると思われるが、この形態では最も内側になる側面4dが上面4cの幅と同じなので左右に張り出してしまい平坦なものとならない。単純に側面4dを狭めると内側の側面4eと外側の側面4fが上面4cより高くなってしまう。
本発明では、図12Aのように側面上部を着物の襟のような形状の三層構造とし、この形状であれば最も内側になる側面4dの左右に突片を設けることができ、この突片の折りで左右の幅を狭め張り出しのないものとすることができる。
また接着での接合ではないので、外側の側面4fの端が少し浮いてくるが、図12Bのように上面4cとの角部で浮くことになり、端部は反りもでるので引っかかりやすくなる。図12Aは下の方で斜めになっっているので開きも抑えられる。
【0026】
組み立てられた箱型の部材は図13のように、部材と部材を接合するよう、上面4cの長辺側の両面に接合部が設けられ、面4aに挿入部2c、面4bに挿入孔3cを作る突片3bが設けられる。そして図14のように挿入し固定する。図15のように部材は複数個を連結することができ、図16のように段ボールベッドとして使うことができる。連結する個数には限度はないので、使用者の身長に合わせたものが作ることができる。2m以上の身長の人用のものも作れ、小さい子供用のものも作れる。図16Bのように横に増やして幅を広げることもでき、図では縦に頭の部分を設けているが、これを取り、小さい子供二人で寝れるようにすることもできる。この場合、側面では接合できないのでしっかり固定したいときにはテープを使う。
このように、さまざまな形態とすることでスペースを有効に使うことができる。
【0027】
連結する個数によって図17Aのように、椅子やテーブルとして使うこともできる。
また、このように組み立てずにシートそのままの状態で使用することもでき、その場合はシートの切り目をテープで止めると、通常の一枚のシートとして、パーティションや天板などに使用することができる。
これにより、小さいベッドの周りをシートで囲んでベビーベッドとすることもできる。図17Bのようにこれを天板としたテーブルを、連結せずに部材をテープで固定し、少ない組み立てで作ることができ、連結しただけのものより高さがあるものにできる。このテーブル上面の部材を二つ合わせたものを何段か増やして高さをだして机とすることもできる。この場合、部材の開放部を外側にして物を入れられるようにしてもよい。
このように部材を二つ合わせたものを複数つなげて厚みのある壁のようなパーティションとすることもできる。この場合、内部に新聞紙をくしゃくしゃにしたものなどを入れて、断熱や防音の効果をえられるものとすることもできる。
【0028】
また、箱型の部材は図18のように、上面4cの長辺側の両面に内側に折り込む部分を設け、組み立てることで図19のようなコの字状の開放部を下部に持つ形態にすることができる。開放部の上面4gを開放部の側面4hが支える構造で、開放部の上面4gは上方に折られ、内部で端部が上面に接するのでこの部分は二重になり、荷重に強い構造になる。
この部材を使用して、ベッドを作ることはもちろん、椅子やテーブルでは開放部で足を伸ばしたり入れたりすることができる。内側に折り込む部分をテープで止め開放部を作らないこともできるので、厚みのある壁のようなパーティションとすることもできる。
また開放部を持つことでテープで固定し図20のような形態とし、壁につけてはしごとして使用したり、両側に傾斜をつけ、脚立として使用することもできる。
【0029】
このように、切り目と折り目とが入れられ、孔やスリットがない一枚の四角形のシートが、折りと接着を伴なわない接合方法とによる組み立てで一つの部材になり、この部材の連結、組み合わせにより、通常の段ボールで作られる家具以上にさまざまな形態に応用できるものになっている。また、シートのままでも使用することができ、梱包も、四角形のシートのみで他の部材、部品なども必要ないので無駄なスペースのないものになる。
このように段ボールシートを型抜きをしただけのものなので安価で提供することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 接合により形成される角筒
1a 外側の接合面
1b 内側の接合面
1c 挿入部
1d 挿入部の折り
1e 固定部の突片
1f 固定部の折り
1g 固定部の先端部分
1h 挿入部の先端部分
1i 固定部の孔
2 挿入部が設けられた面
2a 左右に設けられた折り
2b 上側の突片
2c 挿入部
2d 挿入部の切り目
2e 挿入部の折り
3 挿入孔が設けられた面
3a 突片の折り
3b 突片
3c 挿入孔
4 部材を形成するシート
4a 長辺側の面
4b 長辺側の面
4c 上面
4d 最も内側になる側面
4e 内側の側面
4f 外側の側面
4g 開放部の上面
4h 開放部の側面
【要約】
【課題】段ボールシートの、重なり合う二つの面を接着を伴なわずに接合しその状態を維持する方法を提供する。
【解決手段】接合される二つの面の、外側の接合面1aには、先端が広がり根元部分が狭ままることで両側辺に傾斜を持つ台形状の挿入部1cが設けられ、台形の上底の折り1dによって突出する。内側の接合面1bには、固定部の突片1eが設けられ、先端部分1gが折られるようになっている。突片1eが内側に折られて開いた孔に挿入部1cを押し込んで挿入し、内部で直角くらいに立たせて固定する。そして固定部の突片1eを、内側から挿入部1cの挿入で作られた孔を塞ぐように押し上げ、突片の先端部分1gを挿入部1cに密着させ固定状態を維持する。
【選択図】図2
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図20