(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】染毛用および脱色用第1剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20241022BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20241022BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20241022BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20241022BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20241022BHJP
A61Q 5/08 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/39
A61K8/86
A61K8/31
A61Q5/10
A61Q5/08
(21)【出願番号】P 2020036285
(22)【出願日】2020-03-03
【審査請求日】2022-12-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502439647
【氏名又は名称】株式会社ダリヤ
(72)【発明者】
【氏名】松崎 晃一
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-139945(JP,A)
【文献】特開2019-104765(JP,A)
【文献】特開2019-056002(JP,A)
【文献】特開2019-052106(JP,A)
【文献】特開2012-097024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
染毛用および脱色用第2剤組成物と用時混合して使用する染毛用および脱色用第1剤組成物であって、
(A)
セチルアルコール、ステアリルアルコールまたはベヘニルアルコールから選ばれる1種以上
(B1)POE(2)セチルエーテル、POE(10)セチルエーテル、POE(15)セチルエーテル、POE(15)ステアリルエーテル、POE(20)セチルエーテルまたはPOE(40)セチルエーテルから選ばれる1種以上
(B2)POE(100)ステアリルエーテルまたはPOE(150)セチルエーテルから選ばれる1種以上
(C)
40℃での動粘度が14~70cStである流動パラフィン、40℃での動粘度が10cStである軽質流動イソパラフィンまたは100℃での動粘度が300cSt重質流動イソパラフィンから選ばれる1種以上
(D)モノエタノールアミンまたはアンモニアから選ばれる1種以上
を含有し、前記(A)成分の含有量が0.5~5質量%であり、前記(B)成分の含有量が8~20質量%であり、前記(C)成分の含有量が1~15質量%であり、
前記(D)成分の含有量が0.5~8質量%であり、前記(B)成分の平均HLB値が15.8以上であり、前記(B)成分に対する前記(A)成分との質量比(A)/(B)が0.035~0.42であり、かつ20℃における粘度が10,000~100,000mPa・sであることを特徴とする染毛用および脱色用第1剤組成物(但し、エアゾール式泡沫状酸化染毛剤組成物を除く)。
【請求項2】
前記染毛用および脱色用第1剤組成物中の前記(B)成分が、前記(B1)成分に対する前記(B2)成分の質量比(B2)/(B1)が1~5であることを特徴とする請求項
1に記載の染毛用および脱色用第1剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛用および脱色用第1剤組成物に関する。さらに詳しくは、染毛用および脱色用第2剤組成物と用時混合して使用する染毛用および脱色用第1剤組成物であって、染毛用および脱色用第2剤組成物との混合性に優れ、毛髪上での塗布時に飛び散りがなく、伸び性が良好であり、かつすすぎ時の指通りが良好である染毛用および脱色用第1剤組成物に関する。
【0002】
近年のファッション意識の高まりから、手軽に髪の色を変化させることのできるヘアカラーリング剤は、男女問わず多くの人に受け入れられている。ヘアカラーリング剤には、永久染毛剤、半永久染毛料、脱色剤、一時着色料など、様々な種類があり、それぞれのニーズによって使用される。中でも永久染毛剤および脱色剤は、染毛および脱色効果に優れ、この特性から現在多くの人に使用されているヘアカラーリング剤である。
【0003】
永久染毛剤および脱色剤として、酸化染料を含有し、あるいは含有せず、アルカリ剤を含有する第1剤組成物と、過酸化水素などの酸化剤を含有する第2剤組成物からなる二剤式が広く利用されている。これらは使用の直前にトレーやボトル状の容器で予め染毛用および脱色用第1剤組成物と第2剤組成物を混合してから毛髪上に塗布する方法や、ブラシなどを用いて毛髪上で染毛用および脱色用第1剤組成物と第2剤組成物を混合する方法などがある。
【0004】
いずれの使用方法においても、染毛用および脱色用第1剤組成物と第2剤組成物の混合性および毛髪上での伸び性が良好であること、また塗布時に垂れ落ちや飛び散りがおこらないことが求められる。
【0005】
二剤式の染毛用および脱色用第1剤と第2剤組成物の粘度は、その剤形、使用方法および混合方法により適宜設定される。一般的には、混合性の観点から、染毛用および脱色用第1剤組成物と第2剤組成物の粘度は同程度に設定されることが多い。
【0006】
染毛用および脱色用第1剤組成物と第2剤組成物の粘度が高いと、混合物の粘度が高くなり、毛髪上での伸び性が低下する。伸び性が良好な混合物を得るために、染毛用および脱色用第1剤組成物あるいは第2剤組成物どちらかの粘度を低く設定すると、粘度差が生じ、その結果混合性は悪化する。染毛用および脱色用第1剤組成物と第2剤組成物共に粘度を低く設定すると、混合物の粘度が低くなり、使用時に垂れ落ちや飛び散りが起こる恐れがある。
【0007】
これら問題を解決するために様々な試みが行われている。
【0008】
例えば、特許文献1には、経時的粘度変化が少なく、混合性や塗布性などの操作性に優れ、垂れ落ちや飛び散りがなく、良好な染毛性を得ることを目的として、カルボキシビニルポリマー及び/又はアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アミドと2-アクリル酸アミド-2-メチルプロパンスルホン酸との共重合体を含有する染毛用第1剤組成物が開示されている。
【0009】
特許文献2には、容易に混合でき、塗布時に垂れ落ちがない粘度を得ることを目的として、ノニオン性界面活性剤およびポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルを含有する染毛用および脱色用組成物が開示されている。
【0010】
特許文献3には、所望の粘度を付与しながら混合性を向上することを目的として、酸化染料の塩、カチオン性界面活性剤、HLBが11以下であるノニオン性界面活性剤およびHLB値が17~20であるノニオン性界面活性剤を含有する染毛用組成物が開示されている。
【0011】
特許文献4には、粘度の低い組成物と容易に混合することを目的として、HLB値が10未満のノニオン性界面活性剤と、エチレンオキシドの付加モル数が100以上であるポリエチレン鎖を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有する乳化物組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2001-328927号公報
【文献】特開2013-181032号公報
【文献】特開2017-210431号公報
【文献】特開2019-43874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記特許文献1の染毛剤第1剤組成物は、経時的粘度変化が少なく、混合や塗布などの操作性に優れ、垂れ落ちや飛び散りがなく、良好な染毛性を得ることができる。しかしながら、カルボキシビニルポリマーは耐塩性が劣るため、白髪染めを目的とした染毛用組成物のように、酸化染料を多く含有すると組成物の安定性が低下する恐れがある。また、カルボキシビニルポリマーやアクリル酸系高分子などの増粘剤は、すすぎ時の指通りが悪く、乾燥後の毛髪がごわついたりする恐れがある。
【0014】
上記特許文献2の染毛用および脱色用組成物は、容易に混合でき、塗布時に垂れ落ちがない粘度を得ることができる。しかしながら、多量のノニオン性界面活性剤を含有すること、また組成物の剤型が液状のため、トリートメント成分や油性成分の含有量に制限があり、すすぎ時の指通りが悪くなる恐れがある。さらに、染毛用および脱色用第1剤組成物と第2剤組成物の粘度が低いため、毛髪上で混合する使用方法は困難である。
【0015】
上記特許文献3の染毛用組成物は、酸付加塩の酸化染料を含有しても、所望の粘度を付与しながら混合性を向上することができる。しかしながら、混合物の粘度は3,000~10,000mPa・sの範囲であり、この粘度範囲では短毛部分(例えばもみあげ部分や刈上げ部分)への混合物の付着性や塗布時の飛び散りなどに懸念がある。
【0016】
上記特許文献4の乳化物は、粘度の低い組成物と容易に混合することができる。しかしながら、乳化物および混合物の粘度に関しては何ら記載されておらず、塗布時に垂れ落ちや飛び散りについては考慮されていない。
【0017】
そこで本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、染毛用および脱色用第2剤組成物と用時混合して使用する染毛用および脱色用第1剤組成物であって、染毛用および脱色用第2剤組成物との混合性に優れ、毛髪上での塗布時に飛び散りがなく、伸び性が良好であり、かつすすぎ時の指通りが良好である染毛用および脱色用第1剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者は、染毛用および脱色用第2剤組成物と用時混合して使用する染毛用および脱色用第1剤組成物に、炭素数12~24の高級アルコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン性界面活性剤、炭化水素およびアルカリ剤を含有させ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン性界面活性剤の平均HLB値およびポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン性界面活性剤に対する炭素数12~24の高級アルコールの質量比を特定の範囲内になるように調整することで、上記課題が解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0019】
すなわち、本発明は、染毛用および脱色用第2剤組成物と用時混合して使用する染毛用および脱色用第1剤組成物であって、
(A)炭素数12~24の高級アルコール
(B)ポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン性界面活性剤
(C)炭化水素
(D)アルカリ剤
を含有し、前記(B)成分の平均HLB値が15.8以上であり、前記(B)成分に対する前記(A)成分との質量比(A)/(B)が0.035~0.42であり、かつ20℃における粘度が10,000~100,000mPa・sであることを特徴とする染毛用および脱色用第1剤組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の染毛用および脱色用第1剤組成物は、染毛用および脱色用第2剤組成物と用時混合して使用する染毛用および脱色用第1剤組成物であって、染毛用および脱色用第2剤組成物との混合性に優れ、毛髪上での塗布時に飛び散りがなく、伸び性が良好であり、かつすすぎ時の指通りが良好である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、含有量を示す単位は、特に明記しない限り全て質量%である。
【0022】
本発明の染毛用および脱色用第1剤組成物について説明する。
【0023】
本発明における染毛用および脱色用第1剤組成物は、粘度調整の観点から(A)炭素数12~24の高級アルコールを含有する。
【0024】
本発明で用いられる前記(A)成分としては、特に限定されないが、例えば、セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、ベヘニルアルコール、2-デシルテトラデカノールなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を含有することができる。その中でも、塗布時の飛び散りおよび乳化安定性の観点から、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが好ましく、セチルアルコール、ステアリルアルコールがより好ましい。
【0025】
本発明で用いられる前記(A)成分の含有量は、特に限定されないが、染毛用および脱色用第2剤組成物との混合性、塗布時の飛び散り、塗布時の伸び性および粘度調整の観点から、0.5~5%が好ましい。前記(A)成分の含有量が0.5%未満の場合、染毛用および脱色用第2剤組成物との混合性の低下、塗布時の飛び散りが起こる恐れおよび所望の粘度が得られない恐れがある。前記(A)成分の含有量が5%を超える場合、染毛用および脱色用第2剤組成物との混合性および塗布時の伸び性が低下する恐れがある。
【0026】
本発明における染毛用および脱色用第1剤組成物は、乳化安定性の観点から(B)ポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン性界面活性剤を含有する。
【0027】
本発明で用いられる前記(B)成分としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレン(以下、POEという)ラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテルなどが挙げられ、これらは1種または2種以上を含有することができる。その中でも、臭いのなさの観点から、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテルが好ましく、乳化安定性の観点から、2種以上含有することがより好ましく、(B1)エチレンオキシドの付加モル数が100未満であるポリエチレン鎖を有するPOEアルキルエーテル型ノニオン性界面活性剤および(B2)エチレンオキシドの付加モル数が100以上であるポリエチレン鎖を有するPOEアルキルエーテル型ノニオン性界面活性剤を含有することがより好ましい。
【0028】
本発明で用いられる前記(B1)成分としては、特に限定されないが、例えば、POE(2)ラウリルエーテル(HLB:6.42)、POE(4.2)ラウリルエーテル(HLB:9.72)、POE(9)ラウリルエーテル(HLB:13.61)、POE(21)ラウリルエーテル(HLB:16.65)、POE(25)ラウリルエーテル(HLB:17.11)、POE(2)セチルエーテル(HLB:5.33)、POE(5)セチルエーテル(HLB:9.52)、POE(5.5)セチルエーテル(HLB:10.43)、POE(7)セチルエーテル(HLB:11.2)、POE(8)セチルエーテル(HLB:11.85)、POE(10)セチルエーテル(HLB:12.9)、POE(13)セチルエーテル(HLB:14.05)、POE(15)セチルエーテル(HLB:14.63)、POE(20)セチルエーテル(HLB:15.69)、POE(23)セチルエーテル(HLB:16.14)、POE(25)セチルエーテル(HLB:16.39)、POE(30)セチルエーテル(HLB:16.9)、POE(40)セチルエーテル(HLB:17.58)、POE(2)ステアリルエーテル(HLB:4.92)、POE(4)ステアリルエーテル(HLB:7.89)、POE(11)ステアリルエーテル(HLB:12.84)、POE(15)ステアリルエーテル(HLB:14.19)、POE(20)ステアリルエーテル(HLB:15.3)、POE(30)ステアリルエーテル(HLB:16.6)、POE(40)ステアリルエーテル(HLB:17.34)、POE(2)オレイルエーテル(HLB:4.92)、POE(7)オレイルエーテル(HLB:10.69)、POE(10)オレイルエーテル(HLB:12.43)、POE(15)オレイルエーテル(HLB:14.22)、POE(20)オレイルエーテル(HLB:15.33)、POE(50)オレイルエーテル(HLB:17.83)、POE(5)ベヘニルエーテル(HLB:8.06)、POE(10)ベヘニルエーテル(HLB:11.49)、POE(20)ベヘニルエーテル(HLB:14.59)、POE(30)ベヘニルエーテル(HLB:16.04)などが挙げられ、これらは1種または2種以上を含有することができる。その中でも、すすぎ時の指通りの観点から、エチレンオキシドの付加モル数が10~40であるポリエチレン鎖を有するPOEアルキルエーテル型ノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0029】
本発明で用いられる前記(B2)成分としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレン(150)セチルエーテル(HLB:19.29)、ポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル(HLB:18.84)などが挙げられ、これらは1種または2種以上を含有することができる。
【0030】
本発明に用いられる前記(B)成分の含有量は、特に限定されないが、染毛用および脱色用第2剤組成物との混合性、塗布時の飛び散り、塗布時の伸び性およびすすぎ時の指通りの観点から、8~20%が好ましく、12~16%がより好ましい。前記(B)成分が8%未満の場合、染毛用および脱色用第2剤組成物との混合性の低下、塗布時の飛び散りが起こる恐れ、塗布時の伸び性の低下およびすすぎ時の指通りが悪くなる恐れがある。前記(B)成分が20%を超える場合、すすぎ時の指通りが悪くなる恐れがある。
【0031】
本発明における染毛用および脱色用第1剤組成物に含有される前記(B)成分に対する前記(A)成分との質量比(A)/(B)は、染毛用および脱色用第2剤組成物との混合性、塗布時の飛び散り、塗布時の伸び性およびすすぎ時の指通りの観点から、0.035~0.42が好ましい。前記(B)成分に対する前記(A)成分との質量比(A)/(B)が0.035未満の場合、染毛用および脱色用第2剤組成物との混合性の低下および塗布時の飛び散りが起こる恐れがある。前記(B)成分に対する前記(A)成分との質量比(A)/(B)が0.42を超える場合、染毛用および脱色用第2剤組成物との混合性の低下、塗布時の飛び散りが起こる恐れ、塗布時の伸び性の低下およびすすぎ時の指通りが悪くなる恐れがある。
【0032】
本発明に用いられる前記(B1)成分に対する前記(B2)成分の質量比(B2)/(B1)は、染毛用および脱色用第2剤組成物との混合性、塗布時の飛び散り、塗布時の伸び性およびすすぎ時の指通りの観点から、1~5が好ましい。前記(B1)成分に対する前記(B2)成分の質量比(B2)/(B1)が1未満の場合、または前記(B1)成分に対する前記(B2)成分の質量比(B2)/(B1)が5を超える場合、染毛用および脱色用第2剤組成物との混合性の低下、塗布時の飛び散りが起こる恐れ、塗布時の伸び性の低下およびすすぎ時の指通りが悪くなる恐れがある。
【0033】
本発明の染毛用および脱色用第1剤組成物に含有される前記(B)成分の平均HLB値は、染毛用および脱色用第2剤組成物との混合性、塗布時の飛び散り、塗布時の伸び性、すすぎ時の指通りおよび乳化安定性の観点から、15.8以上が好ましく、17.7以上がより好ましい。平均HLB値が15.8未満の場合、染毛用および脱色用第2剤組成物との混合性の低下、塗布時の飛び散りが起こる恐れ、塗布時の伸び性の低下およびすすぎ時の指通りが悪くなる恐れがある。
【0034】
本発明における「HLB」とは、親水性と親油性のバランス:HYDROPHILE―LIPOPHILE BALANCEの略称であって、界面活性剤の分子が持つ親水性と親油性の相対的な強さを表すパラメーターである。HLBの値が大きいほど親水性が強く、HLBの値が小さいほど親油性が強い。
【0035】
本発明におけるHLB値は、Griffinの式により求められる値であり、平均HLB値とは、前記成分(B)を1種単独で用いる場合はそのもの単独のHLB値を意味する。また、2種以上の前記成分(B)を組み合わせて用いる場合は、Griffinの式および各々の含有量を基に求められるこれら複数の前記成分(B)全体の平均HLB値を意味する。
【0036】
本発明における染毛用および脱色用第1剤組成物は、塗布時の飛び散り、塗布時の伸び性、すすぎ時の指通りおよび粘度調整の観点から、(C)炭化水素を含有する。
【0037】
本発明で用いられる前記(C)成分としては、特に限定されないが、例えば、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、スクワランなどが挙げられ、これらは1種または2種以上を含有することができる。その中でも、すすぎ時の指通りの観点から、流動パラフィンが好ましい。
【0038】
本発明で用いられる前記(C)成分の含有量は、すすぎ時の指通りおよび染毛および脱色後の毛髪のべたつきの観点から、1~15%が好ましく、2~10%がより好ましい。前記(C)成分の含有量が1%未満の場合、すすぎ時の指通りが悪くなる恐れがある。前記(C)成分の含有量が15%を超える場合、塗布時の飛び散りが起こる恐れならびに染毛および脱色後の毛髪にべたつきを与える恐れがある。
【0039】
本発明における染毛用および脱色用第1剤組成物は、染毛性および脱色性の観点から(D)アルカリ剤を含有する。
【0040】
本発明で用いられる前記(D)成分としては、特に限定されないが、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、モルホリン、グアニジンなどの有機アミン類、アンモニアなどの無機アルカリ、アルギニン、リジンなどの塩基性アミノ酸及びそれらの塩類などが挙げられ、これらの1種または2種以上を含有することができる。その中でも染毛性と脱色性の観点から、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、アンモニアなどの無機アルカリが好ましく、使用時の刺激臭の観点からモノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミン類がより好ましい。
【0041】
本発明で用いられる前記(D)成分の含有量は、特に限定されないが、染毛性および脱色性の観点から、0.5~8%が好ましい。前記(D)成分が0.5%未満の場合、十分な染毛性および脱色性が得られない恐れがある。また前記(D)成分が8%を超える場合、染毛性および脱色性はそれ以上の向上を期待できにくい。
【0042】
本発明における染毛用第1剤組成物は、染毛性の観点から、酸化染料を含有する。
【0043】
本発明で用いられる酸化染料としては、特に限定されないが、例えば、パラフェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、オルトアミノフェノール、パラアミノフェノール、メタアミノフェノール、5-アミノオルトクレゾール、2,6-ジアミノピリジン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、1-ナフトール、レゾルシンおよびそれらの塩類などが挙げられ、その他、「医薬部外品原料規格2006 統合版」(2013年11月発行、薬事日報社)に収載されたものも適宜用いることができ、これらの1種または2種以上を含有することができる。
【0044】
本発明で用いられる酸化染料の含有量は、特に限定されないが、染毛性の観点から、0.2~10%が好ましく、白髪染めを目的とした染毛性の観点から1~8%がより好ましく、2~6%がさらに好ましい。酸化染料の含有量が0.2%未満の場合、十分な染毛性が得られない恐れがある。また酸化染料の含有量が10%を超える場合、染毛性はそれ以上の向上を期待できにくい。
【0045】
なお、本発明における酸化染料の含有量とは、酸化染料の純分換算の含有量を意味する。例えば、塩酸2,4-ジアミノフェノキシエタノールなどの塩の形態の酸化染料については、塩ではない形態における質量に換算した含有量をいう。
【0046】
本発明における染毛用および脱色用第1剤組成物は、染毛および脱色後の毛髪の滑らかさおよび乳化安定性の観点から、好ましくは第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤を含有する。
【0047】
本発明で用いられる第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を含有することができる。その中でも、染毛および脱色後の毛髪の滑らかさおよび乳化安定性の観点から、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムが好ましい。
【0048】
本発明に用いられる第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤は、特に限定されないが、染毛および脱色後の毛髪の滑らかさおよび乳化安定性の観点から、0.5~5%が好ましい。第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤の含有量が0.5%未満の場合、十分な染毛および脱色後の毛髪の滑らかさが得られない恐れおよび乳化安定性が低下する恐れがある。第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤の含有量が5%を超える場合、染毛および脱色後の毛髪の滑らかさはそれ以上の向上を期待できにくい。
【0049】
本発明における染毛用および脱色用第1剤組成物には、乳化安定性および染料の析出防止の観点から、好ましくは多価アルコールを含有する。
【0050】
本発明で用いられる多価アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、ペンチレングリコール、エチルヘキシルグリセリン、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトールなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を含有することができる。乳化安定性および染料の析出防止から、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールが好ましく、グリセリンがより好ましい。
【0051】
本発明で用いられる多価アルコールの含有量は、特に限定されないが、乳化安定性、染料の析出防止および染毛性の観点から、1~10%が好ましい。多価アルコールの含有量が1%未満の場合、乳化安定性の低下および染料の析出の恐れがある。多価アルコールの含有量が10%を超える場合、染毛性が低下する恐れがある。
【0052】
本発明における染毛用および脱色用第1剤組成物には、染毛および脱色後の毛髪の滑らかさの観点から、好ましくはシリコーン油を含有する。
【0053】
本発明で用いられるシリコーン油としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテルシリコーンなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を含有することができる。その中でも、染毛および脱色後の毛髪の滑らかさの観点から、ジメチルポリシロキサンが好ましい。
【0054】
本発明で用いられるシリコーン油の含有量は、特に限定されないが、染毛および脱色後の毛髪の滑らかさおよびべたつきの観点から、0.5~10%が好ましい。シリコーン油の含有量が0.5%未満の場合、染毛および脱色後の毛髪の滑らかさが十分に得られない恐れがある。シリコーン油の含有量が10質量%を超える場合、染毛および脱色後の毛髪にべたつきを与える恐れがある。
【0055】
本発明における染毛用および脱色用第1剤組成物は、上記成分の他に必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で上記成分以外の通常の化粧料、医薬部外品、医薬品などに用いられる各種成分、例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、HC染料、界面活性剤、両性高分子、カチオン性高分子、アニオン性高分子、油性成分、保湿剤、増粘剤、薬効成分、蛋白誘導体、加水分解蛋白、アミノ酸類、金属封鎖剤、酸化防止剤、植物性抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、防腐剤、色素、顔料、粉体、pH調整剤、紫外線吸収剤、香料などから選ばれる1種または2種以上を含有することができる。ただし、これら例示に限定されるものでない。
【0056】
本発明における染毛用および脱色用第1剤組成物の剤型は、クリーム状、乳液状またはゲル状であることが好ましい。
【0057】
本発明における染毛用および脱色用第1剤組成物の粘度は、染毛用および脱色用第2剤組成物との混合性、塗布時の飛び散りおよび塗布時の伸び性の観点から、20℃の条件下で10,000~100,000mPa・sであることが好ましい。粘度が10,000mPa・s未満の場合、染毛用および脱色用第2剤組成物との混合性の低下および塗布時の飛び散りが起こる恐れがある。粘度が100,000mPa・sを超える場合、染毛用および脱色用第2剤組成物との混合性および塗布時の伸び性が低下する恐れがある。
【0058】
本発明における染毛用および脱色用第1剤組成物の20℃の条件下における粘度は、常法にて調製して得られた染毛用および脱色用第1剤組成物を140g容量のサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填し、20℃で1日間放置し調温した後に、ヘリカルスタンド付B型粘度計(モデル:デジタル粘度計TVB-10M、東機産業株式会社製)により、4号ローターにて1分間、粘度50,000mPa・s未満では回転速度12rpm、粘度50,000mPa・s以上では回転速度6pmの条件下で測定したものである。
【0059】
本発明における染毛用および脱色用第1剤組成物のpHは、染毛性および脱色性の観点から、20℃の条件下で9~12であることが好ましい。染毛用および脱色用第1剤組成物のpHが9未満の場合、十分な染毛性および脱色性が得られない恐れがある。染毛用および脱色用第1剤組成物のpHが12を超える場合、染毛性および脱色性はそれ以上の向上を期待できにくい。
【0060】
本発明における染毛用および脱色用第1剤組成物の20℃の条件下でのpHは、常法にて調製して得られた染毛用および脱色用第1剤組成物を20℃で1日間静置し調温した後に、ガラス電極式水素イオン濃度指示計(F-71、株式会社堀場製作所製)にて測定したものである。
【0061】
本発明に用いられる染毛用および脱色用第1剤組成物は、ポリ容器、アルミチューブ容器、エアゾール容器、パウチ容器などの各種容器に充填され、使用時まで保存される。
【0062】
本発明の染毛用および脱色用第2剤組成物について説明する。
【0063】
本発明における、染毛用および脱色用第2剤組成物には、染毛性および脱色性の観点から酸化剤を含有する。
【0064】
本発明で用いられる酸化剤は、特に限定されないが、例えば、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、過酸化塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物、臭素酸ナトリウムなどが挙げられ、これらは1種または2種以上を含有することができる。その中でも、染毛性および脱色性の観点から、過酸化水素が好ましい。
【0065】
本発明で用いられる酸化剤の含有量は、特に限定されないが、染毛性および脱色性の観点から、2~6%が好ましい。前記酸化剤の含有量が2%未満の場合、十分な染毛性および脱色性が得られない恐れがある。前記酸化剤の含有量が6%を超える場合、染毛性および脱色性はそれ以上の向上を期待できにくい。
【0066】
本発明における染毛用および脱色用第2剤組成物は、酸化剤の安定性を向上させる観点から、酸および、または金属封鎖剤を含有する。
【0067】
本発明で用いられる酸および、または金属封鎖剤は、特に限定されないが、リン酸、エデト酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸およびそれらの塩類などが挙げられ、これらは1種または2種以上を含有することができる。
【0068】
本発明における染毛用および脱色用第2剤組成物は、上記成分の他に必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で上記成分以外の通常の化粧料、医薬部外品、医薬品等に用いられる各種成分、例えば、界面活性剤、両性高分子、カチオン性高分子、アニオン性高分子、多価アルコール、油性成分、保湿剤、増粘剤、薬効成分、蛋白誘導体、加水分解蛋白、アミノ酸類、植物性抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、防腐剤、pH調整剤、香料などから選ばれる1種または2種以上を含有することができる。ただし、これら例示に限定されるものでない。
【0069】
本発明における染毛用および脱色用第2剤組成物の剤型は、クリーム状、乳液状またはゲル状であることが好ましい。
【0070】
本発明における染毛用および脱色用第2剤組成物の粘度は、染毛用および脱色用第1剤組成物との混合性との観点から、20℃の条件下で3,000~100,000mPa・sであることが好ましい。
【0071】
本発明における染毛用および脱色用第2剤組成物の20℃の条件下における粘度は、常法にて調製して得られた染毛用および脱色用第2剤組成物を140g容量のサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填し、20℃で1日間放置し調温した後に、ヘリカルスタンド付B型粘度計(モデル:デジタル粘度計TVB-10M、東機産業株式会社製)により、4号ローターにて1分間、粘度50,000mPa・未満では回転速度12rpm、粘度50,000mPa・s以上では回転速度6pmの条件下で測定したものである。
【0072】
本発明における染毛用および脱色用第2剤組成物のpHは、20℃の条件下で1.5~3.5であることが好ましい。
【0073】
本発明における染毛用および脱色用第2剤組成物の20℃の条件下でのpHは、常法にて調製して得られた染毛用および脱色用第2剤組成物を20℃で1日間静置し調温した後に、ガラス電極式水素イオン濃度指示計(F-71、株式会社堀場製作所製)にて測定したものである。
【0074】
本発明に用いられる染毛用および脱色用第2剤組成物は、ポリ容器、アルミチューブ容器、エアゾール容器、パウチ容器などの各種容器に充填され、使用時まで保存される。
【実施例】
【0075】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、本明細書に示す評価試験において、染毛用および脱色用第1剤組成物に含まれる成分および含有量を種々変更しながら実施した。各成分の含有量を示す単位は全て質量%であり、これを常法にて調製した。
【0076】
本明細書に示す「染毛用および脱色用第2剤組成物との混合性」、「塗布時の飛び散り」、「塗布時の伸び性」および「すすぎ時の指通り」に係る評価試験においては、染毛用および脱色用第1剤組成物の粘度が30,000mPa・s未満の場合は下記の染毛用および脱色用第2剤組成物-1と、染毛用および脱色用第1剤組成物の粘度が30,000mPa・s以上の場合は下記の染毛用および脱色用第2剤組成物-2との組み合わせで評価試験を行った。
【0077】
<染毛用および脱色用第2剤組成物-1>
成分 含有量(質量%)
セチルアルコール 5.00
ステアリルアルコール 2.50
POE(10)セチルエーテル(HLB:12.9) 0.38
POE(20)セチルエーテル(HLB:15.69) 0.62
流動パラフィン 3.00
過酸化水素 6.00
ヒドロキシエタンジホスホン酸液 0.15
リン酸 0.04
リン酸水素二ナトリウム 0.10
リン酸二水素ナトリウム 0.25
精製水 81.96
合計 100.00
粘度(20℃) 11,900mPa・s
pH(20℃) 2.48
【0078】
<染毛用および脱色用第2剤組成物-2>
成分 含有量(質量%)
セチルアルコール 3.40
ステアリルアルコール 10.00
POE(10)セチルエーテル(HLB:12.9) 1.50
POE(20)セチルエーテル(HLB:15.69) 2.40
流動パラフィン 3.00
過酸化水素 6.00
ヒドロキシエタンジホスホン酸液 0.15
リン酸 0.04
リン酸水素二ナトリウム 0.10
リン酸二水素ナトリウム 0.25
精製水 73.16
合計 100.00
粘度(20℃) 46,200mPa・s
pH(20℃) 2.49
【0079】
<染毛用および脱色用第2剤組成物との混合性>
本明細書に示す「染毛用および脱色用第2剤組成物との混合性」に係る評価試験においては、染毛用および脱色用第1剤組成物および上記の染毛用および脱色用第2剤組成物を20℃で1日間静置し調温した後に、100mLのグリフィンビーカーに各々40g量り取り、ガラス棒を用いて攪拌し、均一に混合するまでに攪拌した回数により、下記の評価基準で評価した。
【0080】
◎:30回未満で均一に混合した。
○:60回未満で均一に混合した。
△:100回未満で均一に混合した。
×:100回攪拌しても、均一に混合されなかった。
【0081】
<塗布時の飛び散り>
本明細書に示す「塗布時の飛び散り」に係る評価試験においては、常法にて調製して得られた染毛用および脱色用第1剤組成物および上記の染毛用および脱色用第2剤組成物を20℃で1日間静置し調温した後に、各40g量り取り、カップで混合した後に、刷毛を用いてウィッグ(人毛黒毛100%、ビューラックス社製、型番:クイーン・カットNo.775N)に塗布し、ウィッグ全体に染毛用および脱色用第2剤組成物がなじむまでブラシでコーミングをした際の染毛用および脱色用第2剤組成物の飛び散りを、10名のパネラーにより、下記の評価基準のように評価し、その合計点を評価結果として評価した。
【0082】
<塗布時の飛び散りの評価基準>
塗布時に飛び散りがなかった :3点
塗布時に飛び散りが少しあった :2点
塗布時に飛び散りがあった :1点
【0083】
<塗布時の飛び散りの評価結果>
◎:25点~30点
〇:20点~24点
△:15点~19点
×:10点~14点
【0084】
<塗布時の伸び性>
本明細書に示す「塗布時の伸び性」に係る評価試験においては、常法にて調製して得られた染毛用および脱色用第1剤組成物および上記の染毛用および脱色用第2剤組成物を20℃で1日間静置し調温した後に、各40g量り取り、カップで混合した後に、刷毛を用いてウィッグ(人毛黒毛100%、ビューラックス社製、型番:クイーン・カットNo.775N)に塗布し、ウィッグ全体に染毛用および脱色用第2剤組成物がなじむまでブラシでコーミングをした際の染毛用および脱色用第2剤組成物の伸び性を、10名のパネラーにより、下記の評価基準のように評価し、その合計点を評価結果として評価した。
【0085】
<塗布時の伸び性の評価基準>
塗布時の伸び性が良い :3点
塗布時の伸び性がやや良い :2点
塗布時の伸び性が悪い :1点
【0086】
<塗布時の伸び性の評価結果>
◎:25点~30点
〇:20点~24点
△:15点~19点
×:10点~14点
【0087】
<すすぎ時の指通り>
本明細書に示す「すすぎ時の指通り」に係る評価試験においては、常法にて調製して得られた染毛用および脱色用第1剤組成物および上記の染毛用および脱色用第2剤組成物を20℃で1日間静置し調温した後に、各40g量り取り、カップで混合した後に、刷毛を用いてウィッグ(人毛黒毛100%、ビューラックス社製、型番:クイーン・カットNo.775N)に塗布し、ウィッグ全体に染毛用および脱色用第2剤組成物がなじむまでブラシでコーミングをし、25℃にて15分間静置した後、35℃の温水で1分間洗い流し、すすぎ時の指通りを、10名のパネラーにより、下記の評価基準のように評価し、その合計点を評価結果として評価した。
【0088】
<すすぎ時の指通りの評価基準>
すすぎ時の指通りが良い :3点
すすぎ時の指通りがやや良い :2点
すすぎ時の指通りが悪い :1点
【0089】
<すすぎ時の指通りの評価結果>
◎:25点~30点
〇:20点~24点
△:15点~19点
×:10点~14点
【0090】
表1の実施例1~実施例6では、前記(A)成分の種類および含有量を代えても、比較例1および比較例2と比較して、染毛用および脱色用第2剤組成物との混合性に優れ、塗布時の飛び散りがなく、塗布時の伸び性が良好である結果が得られた。
【0091】
【0092】
表2および表3の実施例7~実施例18では、前記(B)成分の種類および含有量を代えても、比較例3~比較例5と比較して、染毛用および脱色用第2剤組成物との混合性に優れ、塗布時の飛び散りがなく、塗布時の伸び性およびすすぎ時の指通りが良好である結果が得られた。
【0093】
【0094】
【0095】
表4の実施例19~実施例25では、前記(C)成分の含有量を代えても、比較例6と比較して、染毛用および脱色用第2剤組成物との混合性に優れ、塗布時の飛び散りがなく、すすぎ時の指通りが良好である結果が得られた。
【0096】
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、染毛用および脱色用第2剤組成物と用時混合して使用する染毛用および脱色用第1剤組成物であって、染毛用および脱色用第2剤組成物との混合性に優れ、毛髪上での塗布時に飛び散りがなく、伸び性が良好であり、かつすすぎ時の指通りが良好である染毛用および脱色用第1剤組成物を提供することができる。