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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/24 20240101AFI20241022BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20241022BHJP
   H04W 48/16 20090101ALI20241022BHJP
   H04W 48/18 20090101ALI20241022BHJP
   H04M 15/00 20240101ALI20241022BHJP
   H04M 15/30 20060101ALI20241022BHJP
   E03B 5/00 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
H04W4/24
H04W4/38
H04W48/16 132
H04W48/16 136
H04W48/18
H04M15/00 B
H04M15/30 B
E03B5/00 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020105849
(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公開番号】P2022000937
(43)【公開日】2022-01-04
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】志水 章記
(72)【発明者】
【氏名】松原 颯
(72)【発明者】
【氏名】豊田 耕司
【審査官】横田 有光
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-054376(JP,A)
【文献】国際公開第2018/155236(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/122526(WO,A1)
【文献】特開2016-140081(JP,A)
【文献】特開2012-105075(JP,A)
【文献】特開平07-177264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
H04M 15/00-15/38
F04B 49/00-51/00
H04L 12/00-12/22
12/50-12/66
45/00-49/9057
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を送り出すポンプ装置であって、
管理装置との間で遠距離通信を行うための遠距離通信部と、
複数の通信事業者各々の電波計測値及び/又は通信料金と、入力部を介した指定との少なくとも一方に基づいて、前記複数の通信事業者のうちの一の通信事業者を選択する選択部と、
前記遠距離通信部を制御して、前記一の通信事業者に対応する遠距離通信回線を介して遠距離通信を行う部であって、前記ポンプ装置が前記一の通信事業者に対応する遠距離通信回線を使用することにより発生した、前記一の通信事業者の通信料金に基づく請求金額を前記管理装置から受信する通信制御部と、
前記受信された請求金額を表示機器又は通信端末に表示する表示制御部と、
を具備するポンプ装置。
【請求項2】
前記選択部は、前記複数の通信事業者のうちの電波計測値が閾値よりも高い一以上の通信事業者を選択し、前記一以上の通信事業者のうちの前記入力部を介して指定された通信事業者を前記一の通信事業者として選択する、請求項1記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記一以上の通信事業者を電波計測値及び又は通信料金と共に表示し、
前記選択部は、前記表示された一以上の通信事業者のうちの前記入力部を介して指定された通信事業者を前記一の通信事業者として選択する、
請求項2記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記複数の通信事業者を通信料金と共に表示し、
前記選択部は、前記表示された複数の通信事業者のうちの前記入力部を介して指定された通信事業者の電波計測値が閾値よりも高い場合、前記入力部を介して指定された通信事業者を前記一の通信事業者として選択する、
請求項記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記複数の通信事業者を電波計測値及び/又は通信料金と共に表示し、
前記選択部は、前記入力部を介して指定された通信事業者の電波計測値が閾値よりも高い場合、前記入力部を介して指定された通信事業者を前記一の通信事業者として選択し、前記入力部を介して指定された通信事業者の電波計測値が前記閾値よりも低い場合、前記入力部を介して指定された通信事業者を前記一の通信事業者として選択しない、
請求項1記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記入力部を介して指定された通信事業者の電波計測値が前記閾値よりも低い場合、警告を表示する、請求項記載のポンプ装置。
【請求項7】
前記複数の通信事業者にそれぞれ対応する複数の遠距離通信回線を順番に切り替えた際に前記複数の通信事業者各々の電波計測値を計測する計測部を更に備え、
前記選択部は、前記計測された電波計測値を使用して前記一の通信事業者を選択する、
請求項1記載のポンプ装置。
【請求項8】
建物に給水するポンプと、
前記ポンプを制御する制御盤と、を更に備え、
前記制御盤は、前記遠距離通信部を有する通信基板を有し、
前記通信基板は、前記制御盤に着脱可能に設けられている、
請求項1記載のポンプ装置。
【請求項9】
前記電波計測値は、電波強度である、請求項1記載のポンプ装置。
【請求項10】
前記選択部は、前記複数の通信事業者に設定された優先順位に従って順番に、電波強度値に基づいて前記一の通信事業者として選択するか否かを判定する、請求項1記載のポンプ装置。
【請求項11】
記管理装置は、
前記ポンプ装置から、前記ポンプ装置が使用した通信事業者に関する情報を取得する取得部と、
前記通信事業者に関する情報と前記ポンプ装置が使用する前記通信事業者の通信料金とに基づいて前記ポンプ装置に対する通信料金の前記請求金額を決定する決定部と、
前記請求金額を前記ポンプ装置又は前記通信端末に送信する送信部と、を備え
請求項1記載のポンプ装置
【請求項12】
前記管理装置は、前記ポンプ装置のユーザの宛先情報を記憶する記憶部と、前記宛先情報と前記請求金額とに基づいて前記ポンプ装置に対する請求書を作成する作成部と、を更に備え、
前記送信部は、前記請求書を前記ポンプ装置又は前記通信端末に送信する、
請求項11記載のポンプ装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置による遠距離通信の通信事業者の選択に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、家電等の機器ではIoT化が進められている。ポンプ装置等のインフラ機器も例外ではなく、人の手間をかけることなく、ポンプ装置の状態を監視するため、IoT化が進められている。例えば、遠隔通信回線を介して管理装置に通信可能に接続され、ポンプの位置情報や運転情報等を管理装置に送信するポンプ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-128751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポンプ装置に対しては出荷時において工場にて出荷検査が行われている。出荷検査においては、各ポンプ装置が採用する通信事業者(キャリア)等が設定されている。通信事業者に応じて電波強度や通信料金が異なっている。例えば、A地区にポンプ装置を設置し、遠距離通信を行う場合、a社は通信可能であるが、b社は通信できない。例えば、B地区にポンプ装置を設置し、遠距離通信を行う場合、a社は月額1,000円であるが、b社は月額500円である。このような場合、作業員等は使用したい通信事業者に応じたSIMカードを用意し、通信基板に装着する必要がある。しかしながら、工場出荷時においては当該ポンプ装置の設置場所や当該ポンプ装置を使用するユーザが明らかでないことが多い。また、設置場所で行う場合においても作業員等の手間がかかってしまう。
【0005】
本発明は、設置場所やユーザに適した通信事業者による遠距離通信を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るポンプ装置は、建物に給水するポンプ装置であって、外部機器との間で遠距離通信を行うための遠距離通信部と、複数の通信事業者各々の電波計測値及び/又は通信料金と、入力部を介した指定との少なくとも一方に基づいて、前記複数の通信事業者のうちの一の通信事業者を選択する選択部と、前記遠距離通信部を制御して、前記一の通信事業者に対応する遠距離通信回線を介して遠距離通信を行う通信制御部と、を備える。
【0007】
本発明の別の態様に係る給水システムは、建物に給水するポンプ装置と前記ポンプ装置に遠距離通信回線を介して接続された管理装置とを具備する給水システムであって、前記管理装置は、前記ポンプ装置から前記ポンプ装置が使用する通信事業者に関する情報を取得する取得部と、前記通信事業者に関する情報と前記ポンプ装置が使用する前記通信事業者の料金体系とに基づいて前記ポンプ装置の通信費用の請求金額を決定する決定部と、前記請求金額を前記ポンプ装置に送信する送信部と、を備え、前記ポンプ装置は、前記請求金額を表示する表示制御部を備える。
【発明の効果】
【0008】
設置場所やユーザに適した通信事業者による遠距離通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る出荷検査システムを例示するブロック図
図2図1のポンプ装置を例示するブロック図
図3】実施例1に係る最適事業者の選択に係る処理の流れを例示するシーケンス図
図4図3のステップSA3において表示される非候補事業者と候補事業者との表示画面の一例を示す図
図5図3のステップSA6において表示される候補事業者毎の電波強度及び通信料金の表示画面の一例を示す図
図6】実施例2に係る最適事業者の選択処理の流れを例示するシーケンス図
図7図6のステップSB2において表示される通信事業者毎の通信料金の表示画面の一例を示す図
図8図6のステップSB6において表示される警告の表示画面の一例を示す図
図9図6のステップSB5:YESにおいて表示される合格の表示画面の一例を示す図
図10】通信料金と電波強度との表示画面の一例を示す図
図11】通信事業者の選択基準の選択画面の一例を示す図
図12】第2実施形態に係る管理装置を例示するブロック図
図13】第2実施形態に係る給水システムの請求書の作成処理の流れを示すシーケンス図
図14図13のステップSC3において使用される通信管理テーブルの一例を示す図
図15図13のステップSC6において表示される請求金額の表示画面の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら実施形態に係るポンプ装置及び給水システムについて説明する。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号を用いることもある。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る給水システム100を例示するブロック図である。図1に示すように、給水システム100は、複数のポンプ装置1-n(nはポンプ装置のインデックス)、複数の通信端末3-m(mは通信端末のインデックス)及び管理装置5を有する。給水システム100は、ポンプ装置1-nの管理を、通信端末3-m及び/又は管理装置5を用いて管理するコンピュータシステムである。図1においてnが2、mが2の構成を示しているが、これに限定する必要はなく、n及びmはそれぞれ1以上であれば幾つでもよい。以下、複数のポンプ装置1-nを特に区別しないときは単にポンプ装置1と記載し、複数の通信端末3-mを特に区別しないときは単に通信端末3と記載することとする。ポンプ装置1は建物に給水する給水装置の他、消化ポンプ、排水水中ポンプ、清水水中ポンプなど、水を送り出す事が可能なポンプ装置であれば、用途を限定しない。なお、通信端末3は、給水システム100に含まれなくてもよい。
【0012】
図1に示すように、管理装置5はポンプ装置1及び通信端末3に遠距離通信回線を介して接続されている。ポンプ装置1と通信端末3とは近距離通信回線を介して接続されている。なお、図1には図示していないが、ポンプ装置1と通信端末3とは遠距離通信回線を介して接続されていてもよい。通信端末3は、近距離通信回線を介してポンプ装置1を操作する可搬型のコンピュータである。管理装置5は、遠距離通信回線を介してポンプ装置1を管理及びモニタリングするサーバコンピュータである。
【0013】
図2は、図1のポンプ装置1を例示するブロック図である。ポンプ装置1は、建物に給水する機械装置である。本実施形態に係るポンプ装置1は、高置水槽方式、圧力タンク方式、加圧ポンプ方式及び直圧直結給水方式等の何れの給水方式にも適用可能である。しかしながら、以下の説明を具体的に行うため、ポンプ装置1の給水方式は直圧直結給水方式であるとする。
【0014】
図2に示すように、ポンプ装置1は、ポンプ部11とセンサ13と制御盤15とを有する。ポンプ部11は、制御盤15のインバータ19の動力を受けて駆動し、建物等の供給先に水を送り出す。例えば、ポンプ部11は吸込配管と吐出配管とに接続されている。吸込配管は、例えば、水道本管から分岐された水道分管とポンプ部11とを接続する配管である。吐出配管は、ポンプ部11とその二次側の給水先とを接続する配管である。ポンプ部11は、吐出配管を介して二次側へ給水する。ポンプ装置1は、複数台のポンプ部11を含んでもよい。センサ13は、圧力を検知する圧力センサ、流量を検知する流量センサ及び液面を検知する液面センサの少なくとも1つを含む。センサ13により出力された検出信号は、制御盤15の制御入出力基板17に供給される。
【0015】
制御盤15は、センサ13から供給された検出信号に基づいてポンプ部11を駆動する。制御盤15は、ポンプ装置1の中枢として機能する。図3に示すように、制御盤15は、制御入出力基板17、インバータ19及び操作表示基板20を有する。
【0016】
制御入出力基板17は、センサ13からの検出信号、例えば、圧力センサからの圧力信号、流量センサからの流量信号及び液面センサからの液面信号を入力する。検出信号は、操作表示基板20に供給される。
【0017】
インバータ19は、ポンプ部11を作動する動力を発生する。具体的には、インバータ19は、操作表示基板20から制御信号を受け取り、ポンプ部11のモータに所定の出力周波数の交流電力を供給する。具体的には、インバータ19は、図示しないコンバータ回路、平滑コンデンサ及びインバータ回路を含む。コンバータ回路は、交流電源から交流電力を取り込み整流することで直流電力に変換する。平滑コンデンサは、コンバータ回路によって出力される直流電力の電圧を平滑化し、略一定電圧の直流電力を得る。そして、インバータ回路は、平滑コンデンサによって得られた直流電力を、操作表示基板20からの制御信号に応じた出力周波数の交流電力へと変換してポンプ部11のモータに供給する。
【0018】
操作表示基板20は、制御入出力基板17から供給された検出信号に基づいてインバータ19の出力周波数を制御する。また、操作表示基板20は、管理装置5との間で遠距離通信を行い保守及び管理等のために種々の情報を送受信する。
【0019】
図2に示すように、操作表示基板20は、互いにバスを介して接続されたプロセッサ21、近距離通信器22、遠距離通信基板23、入力機器24、表示機器25及び記憶装置26を有する。
【0020】
近距離通信器22は、Bluetooth(登録商標)やNFC(Near Field Communication)等の無線通信の規格を用いた近距離通信を行う通信インタフェースである。近距離通信器22は、近距離通信回線を介して通信端末3との間で各種データの送受信を行う。
【0021】
遠距離通信基板23は、管理装置5等の外部機器との間で、LTE(登録商標)(Long Term Evolution)やWi-Fi等の規格を用いた遠距離通信を行う。遠距離通信基板23は、複数の通信事業者にそれぞれ対応する複数の遠距離通信回線を選択的に用いて通信可能に構成される。
【0022】
具体的には、遠距離通信基板23は、SIMカード(Subscriber Identity Module Card)231と遠距離通信器233とを有する。SIMカード231は、遠距離通信に使用する通信事業者を複数の通信事業者の間で切り替え可能に構成される。例えば、SIMカード231は、ソフトウェアSIM又はeSIM等のSIMフリーに対応している。SIMカード231は、遠距離通信基板23に着脱可能に設けられる。SIMカード231には、ポンプ装置1又は制御盤15に固有の識別番号と、ポンプ装置1のユーザの識別情報と、複数の通信事業者の識別番号とが記憶される。また、SIMカード231には、現在使用している通信事業者として、事業者選択部212により選択された一の通信事業者が設定される。遠距離通信器233は、SIMカード231に設定された一の通信事業者の遠距離通信回線を介して管理装置5等の外部機器との間で各種情報の送受信を行う通信インタフェースである。なお、遠距離通信器233は、図2に示すようにSIMカード231とは別体に設けられてもよいし、SIMカード231に装備されてもよい。遠距離通信基板23は、操作表示基板20とは別に構成され、操作表示基板20に着脱可能に設けられる。これにより、故障時のメンテナンスを容易にし、交換コストを低減することができる。
【0023】
入力機器24は、作業員等の操作者の指示を電気信号に変換する。入力機器24としては、例えば、操作パネルやタッチパネル、キーボード、マウス、各種スイッチ等が用いられればよい。なお、入力機器24としては、音声入力装置が用いられてもよい。入力機器24からの電気信号はバスを介してプロセッサ21に供給される。
【0024】
表示機器25は、各種情報を表示する。表示機器25としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ等の任意のディスプレイが用いられればよい。なお、表示機器25として、プロジェクタが用いられてもよい。
【0025】
記憶装置26は、各種情報を記憶するROM(Read Only Memory)やHDD(hard disk drive)、SSD(solid state drive)、集積回路記憶装置等の不揮発性メモリ装置である。記憶装置26は、物理的に一つのメモリ装置により実現されてもよいし、ポンプ装置1内に物理的に分離された複数のメモリ装置により実現されてもよい。
【0026】
プロセッサ21は、CPU(Central Processing Unit)やマイクロプロセッサ等の演算装置である。プロセッサ21は、記憶装置26に保存された各種プログラムを実行することで、運転制御部211、事業者選択部212、電波計測部213、通信制御部214及び表示制御部215の各機能を実現する。なお、プロセッサ21は、これら機能を実現可能なASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の専用の回路により構成されてもよい。
【0027】
運転制御部211は、ポンプ部11の運転を制御する。運転制御部211は、制御入出力基板17からの圧力信号や流量信号、液面信号等の検出信号に応じて制御信号を生成し、生成された制御信号をインバータ19に供給する。インバータ19は、供給された制御信号に従い作動してポンプ部11が駆動し、供給先に水が送り出される。例えば、運転制御部211は、センサ13からの検出信号に基づいて、推定末端圧力一定制御または吐出し圧力一定制御を行う。また、運転制御部211は、ポンプ部11の運転中に運転情報を計測する。運転情報は、流量情報、漏水情報、電流情報、圧力情報、電圧情報及び振動情報の少なくとも一種の性能項目に関する実測値のデジタルデータである。運転情報は、記憶装置26に記憶されたり、表示機器25に表示されたり、近距離通信器22を介して通信端末3に表示されたり、遠距離通信器233を介して管理装置5に供給される。
【0028】
事業者選択部212は、複数の通信事業者にそれぞれ対応する複数の遠距離通信回線各々の電波計測値及び/又は通信料金と、入力機器24又は通信端末3を介した操作者等からの指示との少なくとも一方に基づいて、複数の通信事業者のうちの一の通信事業者を選択する。事業者選択部212は、SIMカード231に識別情報が記憶されている複数の通信事業者の中から一の通信事業者を選択する。遠距離通信器233により、選択された一の通信事業者に対応する遠距離通信回線を介して外部機器との間で遠距離通信が行われる。以下、選択された一の通信事業者を最適事業者と呼ぶことにする。電波計測値としては、電波強度や通信速度等、遠距離通信回線の通信状況を評価可能な計測値である。
【0029】
電波計測部213は、複数の遠距離通信回線を順番に切り替えて遠距離通信器233の試運転が行われた際、当該複数の遠距離通信回線各々の電波計測値を計測する。計測された電波計測値は、事業者選択部212による最適事業者の選択のために使用される。
【0030】
通信制御部214は、近距離通信器22を介して通信端末3との間で近距離通信回線を接続し、当該近距離通信回線を介して各種情報の送受信を行う。また、通信制御部214は、遠距離通信器233を介して、事業者選択部212により選択された最適事業者に対応する遠距離通信回線を接続し、当該遠距離通信回線を介して各種情報の送受信を行う。
【0031】
表示制御部215は、各種情報を表示機器25に表示する。例えば、表示制御部215は、最適事業者の選択画面等を表示する。
【0032】
なお、図2には、操作表示基板20が一枚の基板により構成される事が例示されているが、各種ハードウェア資源が分散して搭載された複数の基板により構成されてもよい。これら複数の基板は物理的に接続されてもよいし分離されていてもよい。また、運転制御部211、事業者選択部212、電波計測部213、通信制御部214及び表示制御部215は、操作表示基板20に搭載された一のプロセッサ21により実現されるものとしたが、操作表示基板20に搭載された二以上のプロセッサ21により分散して実現されてもよいし、制御盤15等の他の基板に分散して実現されてもよい。
【0033】
次に、ポンプ装置1のプロセッサ21による最適事業者の選択処理に係る幾つかの実施例について説明する。以下の説明においてポンプ装置1は、工場における出荷検査を済ませ、ユーザが管理する設置場所に設置されているものとする。また、説明を具体的に行うため、電波計測値は電波強度であるとする。
【0034】
図3は、実施例1に係る最適事業者の選択処理の流れを例示するシーケンス図である。図3に示す最適事業者の選択処理は、例えば、入力機器24又は通信端末3を介した操作者の指示を契機としてプロセッサ21により行われる。他の例として、最適事業者の選択処理は、初回設置時や停電復旧時等におけるポンプ装置1の電源投入時に行われてもよい。あるいは、最適事業者の選択処理は、半年毎又は一年毎等の一定期間毎に自動的にプロセッサ21により行われてもよい。
【0035】
図3に示すように、まず、電波計測部213は、各通信事業者の遠距離通信回線の電波強度を計測する(ステップSA1)。例えば、電波計測部213は通信制御部214に電波試験の指令を通知する。指令を受けた通信制御部214は、SIMカード231に登録されている複数の通信事業者を順番に切り替えて各通信事業者に対応する遠距離通信回線を接続し、当該遠距離通信回線を介して試験的な遠距離通信を行う。この際、電波計測部213は、各通信事業者に対応する遠距離通信回線の電波強度を任意の技術を用いて計測する。電波強度値は、使用した通信事業者の識別情報に関連付けて記憶装置26に記憶される。
【0036】
なお、電波試験のために遠距離通信回線に接続する必要があるが、当該遠距離通信回線対応する通信事業者の通信料金が発生する場合がある。そのため、通信料金が月額払いの場合、毎月電波試験を行うと、通信料金が嵩むので、半年毎や一年毎等、比較的長期の間隔を空けて電波試験が行われるとよい。電波試験による通信運転が発生しない通信事業者が存在する場合、当該通信事業者に対応する遠距離通信回線については、一月毎等、比較的短期の間隔を空けて電波試験が行われてもよい。
【0037】
ステップSA1が行われると事業者選択部212は、ステップSA1において計測された電波強度が閾値よりも大きい通信事業者(以下、候補事業者と呼ぶ。)と小さい通信事業者(以下、非候補事業者と呼ぶ)とを選別する(ステップSA2)。閾値は、ポンプ装置1の操作者やユーザ、製造者等により任意の値に設定されればよい。なお、本実施形態において操作者はポンプ装置1の保守・点検等を行う者であり、ユーザはポンプ装置1の供給先建物の管理人や所有者であるものとする。
【0038】
ステップSA2が行われると表示制御部215は、ステップSA2において選別された非候補事業者を表示する(ステップSA3)。ステップSA3において表示制御部215は、具体的には、非候補事業者と候補事業者とを、ステップSA1において計測された電波強度及びステップSA2における判定処理の選別処理の結果と共に表示する。
【0039】
図4は、非候補事業者と候補事業者との表示画面I1の一例を示す図である。図4に示すように、表示画面I1には、ステップSA2において選別処理が行われた複数の通信事業者各々について電波強度と判定結果とが表示される。電波強度の表示欄には、ステップSA1において計測された電波強度の計測値が表示される。電波強度の計測値は、例えば、dBm単位で表記される。判定結果の表示欄には、電波強度の計測値が閾値より大きい場合には「〇」マークが、電波強度値が閾値より小さい場合には「×」マークが表記される。「〇」マーク及び「×」マークの何れか一方のみが表示されてもよい。
【0040】
図4に示す判定結果は、一例として、閾値が「-75dBm」のときの判定結果である。例えば、通信事業者「C1」は、電波強度が「-30dBm」であり、閾値「-75dBm」より大きいので、判定結果は「〇」であり、候補事業者に選別されている。通信事業者「C2」は電波強度が「-90dBm」であり、閾値「-75dBm」より小さいので、判定結果は「×」であり、非候補事業者に選別されている。表示画面I1が表示されることにより、候補事業者と非候補事業者とを一覧で表示することが可能になる。表示画面I1は表示機器25又は通信端末3に表示され、操作者により候補事業者と非候補事業者とが確認される。なお、表示画面I1には、少なくとも非候補事業者が表示されればよく、候補事業者は必ずしも表示されなくてもよい。
【0041】
図4に示すように、表示画面I1には、例えば、「次へ」ボタンI11、「再計測」ボタンI12及び「中止」ボタンI13が表示される。「次へ」ボタンI11は、処理を次のステップA4に移行する指令を出力するためのGUI(Graphical User Interface)ボタンである。「再計測」ボタンI12は、電波強度を再計測する旨の指令を出力するためのGUIボタンである。「再計測」ボタンI12が押下された場合、ステップSA1に戻り電波計測部213により再び電波試験が行われ、電波強度が再計測される。「中止」ボタンI13は、図3に示す最適事業者の選択処理を強制的に終了する旨の指令を出力するためのGUIボタンである。「中止」ボタンI13が押下された場合、プロセッサ21は図3に示す最適事業者の選択処理を強制的に終了する。
【0042】
「次へ」ボタンI11が押下された場合、事業者選択部212は、ステップSA2において候補事業者が存在するか否かを判定する(ステップSA4)。すなわち、ステップSA3において閾値より大きい電波強度が計測された通信事業者が1以上である場合、候補事業者が存在すると判定される。閾値より大きい電波強度が計測された通信事業者がゼロである場合、候補事業者が存在しないと判定される。
【0043】
ステップSA4において候補事業者が存在すると判定された場合(ステップSA4:YES)、事業者選択部212は、候補事業者の通信料金を取得する(ステップSA5)。例えば、記憶装置26には、SIMカード231に登録された各通信事業者の識別情報と当該通信事業者の通信料金とを関連付けたLUT(Look Up Table)が記憶される。以下、当該LUTを通信料金テーブルと呼ぶことにする。通信料金の料金体系(料金プラン)は、種々のタイプがあり、例えば、通信速度及び/又は通信量に応じて多段階に通信料金が設定されている。例えば、一月あたり上限1GBの通信量で通信料金1,000円/月、一月あたり上限1GBの通信量且つ高速通信で通信料金2,000円/月のように料金体系が設定されている。事業者選択部212は、候補事業者の識別情報をキーとして通信料金テーブルを探索し、当該識別情報に関連付けられた通信料金を通信料金テーブルから読み出す。
【0044】
料金テーブルに登録される各通信事業者の通信料金は、例えば、出荷時における最新の料金プランに従う料金が入力されている。また、通信制御部214は、遠距離通信器233により各通信事業者のウェブサイト(Website)にアクセスし、当該ウェブサイトに公開されている通信料金の公表値を文字認識技術等により読み取り、当該公表値を通信料金テーブルに入力してもよい。料金体系は改定される場合があるので、通信制御部214は、定期的にウェブサイトにおいて公開されている通信料金を確認するとよい。例えば、通信制御部214は、ウェブサイトにおいて公開されている通信料金と通信料金テーブルに登録されている通信料金とを比較し、両者が異なっている場合、通信料金テーブルに登録されている通信料金を、ウェブサイトにおいて公開されている通信料金に更新する。なお、通信料金テーブルの内容は、操作者等により入力機器24又は通信端末3を介して入力されてもよい。なお、通信料金テーブルの内容は管理装置5からの指示に従い更新されてもよい。
【0045】
ステップSA5において表示制御部215は、ステップSA2において選別された候補事業者を、ステップSA5において取得された通信料金及びステップSA1において計測された電波強度と共に表示する(ステップSA6)。ステップSA6が行われると事業者選択部212は、候補事業者の中から一の通信事業者(最適事業者)を選択する(ステップSA7)。最適事業者の選択は、候補事業者毎の電波強度及び通信料金の表示画面において行われる。
【0046】
図5は、候補事業者毎の電波強度及び通信料金の表示画面I2の一例を示す図である。図5に示すように、表示画面I2には、候補事業者各々について電波強度と通信料金と選択欄とが表示される。電波強度の表示欄には、ステップSA1において計測された値であり、図4に例示する電波強度の計測値が表示される。通信料金の表示欄には、ステップSA5において取得された通信料金が表示される。通信料金は、例えば、月額料金で表記される。選択欄は、当該選択欄に対応する通信事業者を最適事業者として選択するための選択フラグの入力欄である。図5には、図4に示す候補事業者「C1」、「C3」及び「C4」が表示される。候補事業者「C3」の電波強度は「-40dBm」であり、通信料金は「1000円」である。表示画面I2が表示されることにより、各候補事業者の電波強度と通信料金とが一覧で表示される。表示画面I2は表示機器25又は通信端末3に表示され、操作者により各候補事業者の電波強度と通信料金とが確認される。
【0047】
操作者は、電波強度と通信料金とを考慮して、複数の候補事業者の中から最適事業者を選択する。例えば、操作者は、候補事業者の中から最も通信料金が安い通信事業者を選択するとよい。事業者選択部212は、操作者により入力機器24又は通信端末3を介して選択欄が押下された場合、当該選択欄に対応する候補事業者を最適事業者に選択する。表示制御部215は、操作者の確認のため、最適事業者に対応する選択欄に、選択されたことを示す「〇」等の選択フラグを付すとよい。これにより表示制御部215は、最適事業者を操作者に提示させることができる。例えば、図5に示す表示画面I2においては、選択欄に「〇」が付されている通信事業者「C3」が最適事業者に選択されたことが分かる。なお、最適事業者の選択は、選択欄の押下ではなく、最適事業者の製造番号等の表示欄の押下等、如何なる手段により選択されてもよい。
【0048】
図5に示すように、表示画面I2には「終了」ボタンI21、「中止」ボタンI22及び「戻る」ボタンI23等が表示される。「終了」ボタンI21は、入力機器24又は通信端末3を介した押下された場合に、処理を次のステップA8に移行する指令を出力するためのGUIボタンである。「中止」ボタンI22は、入力機器24又は通信端末3を介した押下された場合に、図3に示す最適事業者の選択処理を強制的に終了する指令を出力するためのGUIボタンである。「中止」ボタンI22が押下された場合、プロセッサ21は、図3に示す最適事業者の選択処理を強制的に終了する。「戻る」ボタンI23は、入力機器24又は通信端末3を介した押下された場合に、表示画面I1を再表示する旨の指令を出力するためのGUIボタンである。「戻る」ボタンI23が押下された場合、表示制御部215により表示画面I1が再表示され、事業者選択部212は、他の候補事業者が選択されることを待機する。
【0049】
「終了」ボタンI21が押下された場合、通信制御部214は、ステップSA7において選択された最適事業者の遠距離通信回線を利用した遠距離通信を開始する(ステップSA8)。ステップSA8において通信制御部214は、SIMカード231に、現在使用している通信事業者として、ステップSA7において選択された最適事業者を登録して当該最適事業者の遠距離通信回線を接続する。ステップSA8が行われると通信制御部214は、ステップSA7において選択された最適事業者を管理装置5に通知する(ステップSA9)。具体的には、通信制御部214は、最適事業者の識別情報を、最適事業者の遠距離通信回線を利用して管理装置5に送信する。管理装置5は、ポンプ装置1の通信料金の管理等のため、ポンプ装置の製造番号と最適事業者の識別情報とを関連付けて記憶する。ステップSA9以後、操作者による保守・点検作業を通じて、ポンプ装置1の運転情報や故障情報、位置情報等が、最適事業者の遠距離通信回線を介して管理装置5に送信される。管理装置5は、ポンプ装置1の運転情報や故障情報、位置情報を、ポンプ装置1の製造番号に関連付けて記憶する。
【0050】
一方、ステップSA4において候補事業者が存在しないと判定された場合(ステップSA4:NO)、通信制御部214は、全ての通信事業者の遠距離通信回線を閉じる(ステップSA10)。例えば、ポンプ装置1が電波受信設備の無い地下室に設置されている場合、全ての通信事業者の電波強度が閾値を下回ることがあり得る。このような場合、通信制御部214は、全ての通信事業者の遠距離通信回線を閉じることにより、無駄な通信料金を削減することが可能になる。
【0051】
全ての通信事業者の遠距離通信回線を閉じた場合、表示制御部215は、全ての通信事業者の遠距離通信回線を閉じたことを示す警告を表示機器25又は通信端末3に表示する(ステップSA11)。これにより操作者は、種々の方策をとることが可能になる。例えば、操作者は、操作表示基板20を、電波強度が十分な場所に設置されたコンピュータに有線接続するとよい。これにより、通信制御部214は、当該コンピュータを介して遠距離通信することが可能になる。また、制御盤15又は操作表示基板20がポンプ装置1に対して着脱可能な可搬型である場合、操作者は、当該制御盤15又は操作表示基板20を電波強度が十分な場所まで持ち運び、任意の通信事業者を選択して、保守管理等の作業を行ってもよい。
【0052】
以上により、図3に示す最適事業者の選択処理の説明を終了する。
【0053】
なお、図3に示す処理の動作例は一例であり、これに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0054】
例えば、上記説明においては、ステップSA7において操作者により最適事業者が選択されるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、事業者選択部212は、複数の候補事業者の通信料金に基づいて、通信料金に関する条件を満たす一の通信事業者を最適事業者に選択してもよい。通信料金に関する条件は、例えば、通信料金の最も安いことに設定される。この場合、事業者選択部212は、複数の候補事業者間で通信料金を比較し、最も通信料金の安い候補事業者を特定し、特定された候補事業者を最適事業者に選択する。このように最適事業者が自動的に選択されることにより、操作者の手間を削減することができる。
【0055】
上記の通り、実施例1においては、まず電波強度が閾値よりも高い候補事業者が選別され、候補事業者の中から最適事業者が選択されるものとした。実施例2においては、まず任意の通信事業者を選択し、選択された通信事業者に限定して電波強度を確認し、電波強度が十分である場合に当該通信事業者を最適事業者に選択する。以下、実施例2に係るポンプ装置1について説明する。なお以下の説明において、実施例1と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0056】
図6は、実施例2に係る最適事業者の選択処理の流れを例示するシーケンス図である。図6に示す最適事業者の選択処理は、例えば、入力機器24又は通信端末3を介した操作者の指示を契機として、あるいは、半年毎又は1年毎等の一定期間毎に自動的にプロセッサ21により行われる。
【0057】
図6に示すように、まず、事業者選択部212は、複数の通信事業者の通信料金を取得する(ステップSB1)。例えば、記憶装置26には、SIMカード231に登録された各通信事業者の識別情報と当該通信事業者の通信料金とを関連付けた通信料金テーブルが記憶されている。事業者選択部212は、候補事業者の識別情報をキーとして通信料金テーブルを探索し、当該識別情報に関連付けられた通信料金を通信料金テーブルから読み出す。
【0058】
ステップSB1が行われると表示制御部215は、複数の通信事業者を、ステップSB1において取得された通信料金と共に表示する(ステップSB2)。ステップSB2が行われると事業者選択部212は、操作者の指示に従い一の通信事業者を選択する(ステップSB3)。一の通信事業者の選択は、通信事業者毎の通信料金の表示画面により行われるとよい。
【0059】
図7は、通信事業者毎の通信料金の表示画面I3の一例を示す図である。図7に示すように、表示画面I3には、通信事業者各々について通信料金と選択欄とが表示される。通信料金の表示欄には、ステップSB1において取得された通信料金が表示される。選択欄は、当該選択欄に対応する通信事業者を最適事業者として選択するための選択フラグの入力欄である。図7には、通信事業者「C1」、「C2」、「C3」、「C4」及び「C5」が表示される。通信事業者「C5」の通信料金は「500円」である。表示画面I3が表示されることにより、各通信事業者の通信料金が一覧で表示される。表示画面I3は表示機器25又は通信端末3に表示され、操作者により各通信事業者の通信料金が確認される。
【0060】
操作者は、通信料金を考慮して、複数の通信事業者の中から一の通信事業者を選択する。例えば、操作者は、複数の通信事業者の中から最も通信料金が安い通信事業者を選択するとよい。事業者選択部212は、操作者により入力機器24又は通信端末3を介して選択欄が押下された場合、当該選択欄に対応する通信事業者を選択する。表示制御部215は、操作者の確認のため、押下された選択欄に、選択されたことを示す「〇」等の選択フラグを付すとよい。これにより表示制御部215は、選択した通信事業者を操作者に提示させることができる。例えば、図7に示す表示画面I3においては、選択欄に「〇」が付されている通信事業者「C5」が選択されたことが分かる。
【0061】
図7に示すように、表示画面I3には「計測」ボタンI31及び「中止」ボタンI32等が表示される。「計測」ボタンI31は、入力機器24又は通信端末3を介した押下された場合に、電波強度を計測する指令を出力するためのGUIボタンである。「中止」ボタンI32は、入力機器24又は通信端末3を介した押下された場合に、図7に示す最適事業者の選択処理を強制的に終了する指令を出力するためのGUIボタンである。「中止」ボタンI32が押下された場合、プロセッサ21は、図7に示す最適事業者の選択処理を強制的に終了する。
【0062】
「計測」ボタンI31が押下された場合、電波計測部213は、ステップSB3において選択された一の通信事業者の電波強度を計測する(ステップSB4)。例えば、電波計測部213は、通信制御部214に電波試験の指令を通知する。指令を受けた通信制御部214は、ステップSB3において選択された通信事業者に対応する遠距離通信回線を接続し、当該遠距離通信回線を介して試験的な遠距離通信を行う。この際、電波計測部213は、各通信事業者に対応する遠距離通信回線の電波強度を任意の技術を用いて計測する。電波強度値は、使用した通信事業者の識別情報に関連付けて記憶装置26に記憶される。
【0063】
ステップSB4が行われると事業者選択部212は、ステップSB4において計測された電波強度が十分か否かを判定する(ステップSB5)。事業者選択部212は、ステップSB4において計測された電波強度と閾値とを比較し、電波強度が閾値より高い場合、電波強度が十分であると判定し、電波強度が閾値より低い場合、電波強度が十分でないと判定する。閾値は、操作者やユーザ、製造者等により任意の値に設定されればよい。
【0064】
電波強度が十分でないと判定された場合(ステップSB5:NO)、表示制御部215は、警告を表示する(ステップSB6)。また、事業者選択部212は、電波強度が十分でないと判定された通信事業者の最適事業者としての選択を防止する。
【0065】
図8は、警告の表示画面I4の一例を示す図である。図8に示すように、表示画面I4には、「通信事業者C5の電波強度は-80dBmです」等の電波強度を知らせる文章、「電波強度は弱いです」等の電波強度が十分でないことを警告する文章、「他の通信事業者を選択して下さい」等の他の通信事業者を選択すべきことを知らせる文章が表示される。
【0066】
図8に示すように、表示画面I4には「戻る」ボタンI41、「再計測」ボタンI42及び「中止」ボタンI43等が表示される。「戻る」ボタンI41は、入力機器24又は通信端末3を介して押下された場合に、図7に示すステップSB3に戻る指令を出力するためのGUIボタンである。「再計測」ボタンI42は、入力機器24又は通信端末3を介して押下された場合に、ステップSB3において選択された一の通信事業者について電波強度を再計測する指令を出力するためのGUIボタンである。「中止」ボタンI43は、入力機器24又は通信端末3を介して押下された場合に、図7に示す最適事業者の選択処理を強制的に終了する指令を出力するためのGUIボタンである。
【0067】
操作者は、他の通信事業者を選択すべきと判断した場合、入力機器24又は通信端末3を介して「戻る」ボタンI41を押下する。「戻る」ボタンI41が押下された場合、プロセッサ21は、再びステップSB3に戻り、電波強度が十分であると判定されるまで、ステップSB3-SB5を繰り返す。
【0068】
電波強度が十分であると判定された場合(ステップSB5:YES)、表示制御部215は、ステップSB3において選択された通信事業者の電波強度が合格である旨を表示する。
【0069】
図9は、合格の表示画面I5の一例を示す図である。図9に示すように、表示画面I5には、「通信事業者C1の電波強度は-30dBmです」等の電波強度を知らせる文章、「電波強度は強いです」等の電波強度が十分であることを知らせる文章、「この通信事業者を使用しますか?」等の操作者による通信事業者の確定を促す文章が表示される。
【0070】
図9に示すように、表示画面I5には「はい」ボタンI51、「いいえ」ボタンI52及び「中止」ボタンI53等が表示される。「はい」ボタンI51は、入力機器24又は通信端末3を介して押下された場合に、ステップS3において選択された通信事業者を最終事業者として選択する指令を出力するためのGUIボタンである。「いいえ」ボタンI52は、入力機器24又は通信端末3を介して押下された場合に、ステップSB3に戻り通信事業者を選択し直す指令を出力するためのGUIボタンである。「中止」ボタンI53は、入力機器24又は通信端末3を介して押下された場合に、図6に示す最適事業者の選択処理を強制的に終了する旨の指令を出力するためのGUIボタンである。
【0071】
「はい」ボタンI51が押下された場合、事業者選択部212は、ステップSB3において選択された通信事業者を最適事業者として選択する(ステップSB7)。ステップSB7の処理は、図3に示すステップSA7と同様である。
【0072】
ステップSB7が行われると通信制御部214は、ステップSB6において選択された最適事業者の遠距離通信回線を利用した遠距離通信を開始する(ステップSB8)。ステップSB8の処理は、図3に示すステップSA8と同様である。
【0073】
ステップSB8が行われると通信制御部214は、ステップSB7において選択された最適事業者を管理装置5に通知する(ステップSB9)。ステップSB9の処理は、図3に示すステップSA9と同様である。
【0074】
以上により、図6に示すポンプ装置1の動作例の説明を終了する。
【0075】
実施例1及び実施例2によれば、ポンプ装置1の設置後において複数の通信事業者の中から、電波状況及び通信料金の観点から設置場所及びユーザの趣向に適した通信事業者を選択することができる。よって、出荷検査時において設置場所やユーザが明らかでない場合においても、事後的に設置場所やユーザの趣向に適した通信事業者を選択することができる。また、ポンプ装置1の設置場所の周辺環境が変化する場合においても、変化後の電波状況等に適した通信事業者を選択することができる。また、地震等の災害からの復旧作業にてポンプ装置1の電源投入を契機として通信事業者の選択処理を行う場合、復旧している通信事業者の中から適した通信事業者を自動的に選択することもできる。
【0076】
また、実施例1によれば、全ての通信事業者について電波試験を行うので、一部の通信事業者に限定して電波試験を行う実施例2に比して、電波状況のよい通信事業者を選択することができる。実施例2によれば、操作者により選択された通信事業者に限定して電波試験を行うので、全ての通信事業者に電波試験を行う実施例1に比して、電波試験等に要する時間や通信料金を削減することができる。
【0077】
なお、図6に示す処理の流れは一例であり、これに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0078】
実施例1及び実施例2においては、電波強度については事業者選択部212による自動判定が行われ、通信料金については操作者による手動選択が行われるものとした。しかしながら、電波強度及び通信料金双方について操作者による手動選択が行われてもよい。
【0079】
図10は、通信料金と電波強度との表示画面I6の一例を示す図である。図10に示すように、表示画面I6は、複数の通信事業者各々について電波強度、通信料金及び選択欄を表示する。電波強度は、例えば、電波試験において電波計測部213により計測された実測値である。操作者は、電波強度及び通信料金を考慮して任意の通信事業者を選択する。例えば、操作者は、電波強度が十分であり且つ通信料金が安い通信事業者を選択する。操作者は、好みの通信事業者に対応する選択欄を、入力機器24又は通信端末3を介して押下する。入力機器24又は通信端末3を介して選択欄が押下された場合、当該選択欄に対応する通信事業者を最適事業者として選択する。
【0080】
当該実施例によれば、プロセッサ21は、複数の通信事業者各々について電波強度及び通信料金を表示することにより、操作者等にとって電波強度及び通信料金の観点から最適な通信事業者を手動で選択することが可能になる。
【0081】
なお、上記の説明において電波強度は、電波計測部213により計測された実測値であるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。電波試験においても遠距離通信回線を接続する必要があるため、電波試験のみでしか使用していない通信事業者も通信料金が発生する場合がある。電波試験による通信料金を削減するため、通信制御部214は、電波計測部213により計測された実測値の代わりに、ウェブサイト等により公開されている電波強度の公表値を表示してもよい。例えば、通信制御部214は、現在使用中の遠距離通信回線を介して取得対象の通信事業者のウェブサイトにアクセスし、ポンプ装置1の設置場所に関連する地域の電波強度の公表値を文字認識技術等により読み取り、当該公表値を取得する。取得された公表値が電波強度欄に表示される。これにより、電波試験において発生する通信料金を削減することが可能になる。
【0082】
また、電波強度及び通信料金の何れか一方のみに基づいて最適事業者が自動選択されてもよい。例えば、電波強度を使用して選択(電波強度優先)する場合、事業者選択部212は、複数の通信事業者各々の電波強度を取得し、電波強度が最も強い通信事業者を特定し、特定された通信事業者を最適事業者として選択する。なお電波強度が最も強い通信事業者ではなく、任意の順位の通信事業者が最適事業者として選択されてもよい。通信料金を使用して選択(通信料金優先)する場合、事業者選択部212は、複数の通信事業者各々の通信料金を取得し、通信料金が最も安い通信事業者を特定し、特定された通信事業者を最適事業者として選択する。なお通信料金が最も安い通信事業者ではなく、最も高い通信事業社等の任意順位の通信事業者が最適事業者として選択されてもよい。
【0083】
電波強度及び通信料金の双方に基づいて最適事業者が自動選択されてもよい。電波強度及び通信料金の双方を使用して選択(双方優先)する場合、事業者選択部212は、例えば、複数の通信事業者各々について、電波強度及び通信料金を取得し、電波強度及び通信料金に基づく評価値を算出する。事業者選択部212は、評価値が最も高い通信事業者を特定し、特定された通信事業者を最適事業者として選択する。評価値は、電波強度及び通信料金に基づき任意の計算式に設計されればよい。例えば、評価値は、第1の重み係数及び電波強度の乗算値と、第2の重み係数及び通信料金の乗算値との和に規定される。第1の重み係数及び第2の重み係数は、電波強度及び通信料金の優先度に応じて任意の値に設定されればよい。このように評価値を利用することにより、電波強度及び通信料金の双方から最適な通信事業者を自動的に選択することが可能になる。
【0084】
電波強度優先、通信料金優先及び双方優先の何れの選択基準を採用するかは、操作者により任意に設定されればよい。
【0085】
図11は、通信事業者の選択基準の選択画面I7の一例を示す図である。図11に示すように、選択画面I7には、電波強度を優先する選択基準を選択するためのGUIボタンである「電波強度優先」ボタンI71、通信料金を優先する選択基準を選択するためのGUIボタンである「通信料金優先」ボタンI72、電波強度及び通信料金の双方を優先する選択基準を選択するためのGUIボタンである「双方優先」ボタンI73が表示される。事業者選択部212は、入力機器24又は通信端末3を介して「電波強度優先」ボタンI71が押下された場合、選択基準を電波強度優先に設定し、「通信料金優先」ボタンI72が押下された場合、選択基準を通信料金優先に設定し、「双方優先」ボタンI73が押下された場合、選択基準を双方優先に設定する。
【0086】
選択基準に関する情報は、記憶装置26に記憶される。また、選択基準に関する情報は、管理装置5に送信されるとよい。管理装置5は、管理のため、当該ポンプ装置1の製造番号に選択基準に関する情報を関連づけて記憶する。これにより、ポンプ装置1毎に、設定された選択基準により通信事業者を選択することができる。
【0087】
図3に示す実施例1及び図6に示す実施例2とは異なる流れにより最適事業者の選択処理が行われてもよい。例えば、事業者選択部212は、複数の通信事業者に設定された優先順位に従って順番に、当該通信事業者の電波強度値に基づいて最適事業者として選択するか否かを判定してもよい。以下、簡単に当該実施例の処理の流れについて説明する。
【0088】
まず、事業者選択部212は、SIMカード231に登録されている複数の通信事業者に割り当てられる優先順位が取得される。優先順位は、予め決定され記憶装置26に記憶されていてもよいし、ユーザが入力機器24又は通信端末3を介して入力してもよいし、遠距離通信器233を介して管理装置5から取得してもよいし、遠距離通信器233を介して特定のURL(Uniform Resource Locator)から取得してもよい。
【0089】
優先順位が取得された場合、事業者選択部212は、優先順位「1」の通信事業者の電波強度を取得する。電波強度の取得方法は、ステップSA5と同様の方法により行われればよい。その後、事業者選択部212は、取得された電波強度に基づいて当該通信事業者を最適事業者として選択するか否かを判定する。選択事業者として選択するか否かは、前述した種々の方法により行うことが可能である。例えば、事業者選択部212は、電波強度と閾値とを比較し、電波強度が閾値より高ければ最適事業者として選択し、電波強度が閾値より低ければ最適事業者として選択しない。なお、電波強度が閾値より高い通信事業者を自動的に最適事業者として選択してもよいし、ユーザにより入力機器24又は通信端末5を介した確認がなされたことを契機として選択してもよい。閾値判定とは異なる方法としては、事業者選択部212は、ユーザにより入力機器24又は通信端末5を介した選択指示又は棄却指示に従い選択事業者として選択し又は選択しないことも可能である。
【0090】
優先順位「1」の通信事業者が最適事業者として選択されないと判定された場合、事業者選択部212は、次の優先順位「2」の通信事業者の電波強度を取得し、優先順位「1」と同様、最適事業者として選択するか否かを判定する。最適事業者が選択されるまで優先順位が高い方から順番に、電波強度の取得処理と最適事業者の選択の判定処理とが繰り返される。
【0091】
このように、優先順位の高い通信事業者から順番に最適事業者の選択の判定処理が行われることにより、一律に処理を行う場合に比して簡易且つ低通信料金で、ユーザの趣向に適した通信事業者を最適事業者として選択することができる。
【0092】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る給水システム100は、ポンプ装置1毎の通信料金に関する請求書の作成業務を支援する。以下、第2実施形態に係る給水システム100について説明する。なお以下の説明において、第1実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0093】
図12は、第2実施形態に係る管理装置5を例示するブロック図である。図12に示すように、管理装置5は、プロセッサ51、遠距離通信器53、入力機器54、表示機器55及び記憶装置56を有する。
【0094】
遠距離通信器53は、ポンプ装置1及び通信端末3等の外部機器との間で、LTE(登録商標)やWi-Fi等の規格を用いた遠距離通信を行う。
【0095】
入力機器54は、作業員等の操作者の指示を電気信号に変換する。入力機器54としては、例えば、操作パネルやタッチパネル、キーボード、マウス、各種スイッチ等が用いられればよい。なお、入力機器54としては、音声入力装置が用いられてもよい。入力機器54からの電気信号はバスを介してプロセッサ51に供給される。
【0096】
表示機器55は、各種情報を表示する。表示機器55としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ等の任意のディスプレイが用いられればよい。なお、表示機器55として、プロジェクタが用いられてもよい。
【0097】
記憶装置56は、各種情報を記憶するROMやHDD、SSD、集積回路記憶装置等の不揮発性メモリ装置である。記憶装置26は、物理的に一つのメモリ装置により実現されてもよいし、管理装置5内に物理的に分離された複数のメモリ装置により実現されてもよい。
【0098】
プロセッサ51は、CPU等の演算装置である。プロセッサ51は、記憶装置56に保存された各種プログラムを実行することで、情報取得部511、請求金額決定部512、請求書作成部513、通信制御部514及び表示制御部515の各機能を実現する。なお、プロセッサ51は、これら機能を実現可能なASICやFPGA等の専用の回路により構成されてもよい。
【0099】
情報取得部511は、ポンプ装置1及び通信端末3から種々の情報を取得する。例えば、情報取得部511は、ポンプ装置1から、第1実施形態において決定された最適事業者に関する情報を取得する。
【0100】
請求金額決定部512は、情報取得部511により取得された最適事業者に関する情報と最適事業者の料金体系とに基づいてポンプ装置1の通信費用の請求金額を決定する。
【0101】
請求書作成部513は、ポンプ装置1のユーザの宛先情報と請求金額決定部512により決定された請求金額とに基づいてポンプ装置1の通信費用の請求書を作成する。
【0102】
通信制御部514は、遠距離通信器53を介して、ポンプ装置1及び通信端末3等の外部機器との間で種々の情報を送受信する。例えば、通信制御部514は、ポンプ装置1から、第1実施形態において決定された最適事業者に関する情報を受信する。また、通信制御部514は、請求書作成部513により作成された請求書を、ポンプ装置1又は通信端末3に送信する。
【0103】
表示制御部515は、表示機器55に種々の情報を表示する。例えば、表示制御部515は、請求金額決定部512により決定された請求金額や請求書作成部513により作成された請求書を表示する。
【0104】
次に、給水システム100による動作例について説明する。
【0105】
図13は、第2実施形態に係る給水システム100の請求書の作成処理の流れを示すシーケンス図である。なお、ユーザ端末は、ポンプ装置1のユーザが使用する携帯型又は据置型のコンピュータである。ユーザ端末は独自の遠距離通信回線を介して管理装置5に接続されている。図13には一台のポンプ装置1のみ図示しているが、管理装置5は複数台のポンプ装置1及びユーザ端末について、図13に示す処理を並列して実行可能である。
【0106】
図13に示すように、ポンプ装置1は、第1実施形態で示すように、最適事業者を選択する(ステップSC1)。ステップSC1が行われるとポンプ装置1は、ステップSC1において選択された最適事業者の遠隔通信回線を介して、最適事業者の識別情報を、管理装置5に送信する(ステップSC2)。このようにポンプ装置1において最適事業者が決定する毎に管理装置5に最適事業者が通知される。最適事業者の識別情報は、通信料金の管理等のため、ポンプ装置1の製造番号と遠距離通信回線の使用開始日とに関連付けて管理装置5の記憶装置56に記憶される。具体的には、記憶装置56は、ポンプ装置1の製造番号と遠距離通信回線の使用開始日とを関連付けたLUT(以下、通信管理テーブルと呼ぶ)を記憶している。電波試験が行われた場合、ポンプ装置1から、電波試験を行った通信事業者の識別情報と電波試験日とが管理装置5に送信される。記憶装置56は、通信管理テーブルにおいて、ポンプ装置1の製造番号と最適事業者の識別情報と遠距離通信回線の使用開始日とに、電波試験を行った通信事業者の識別情報と電波試験日とを更に関連付けて記憶するとよい。ポンプ装置1から通知された情報が、当該ポンプ装置1の製造番号に応じて振り分けられることにより通信管理テーブルが更新される。
【0107】
ステップSC1及びステップSC2は、電波強度を電波試験により計測する場合、通信料金を削減するため、半年毎や一年毎等、比較的長期間おきに定期的に行われる。なお、ステップSC1及びステップSC2は、電波強度を電波試験により計測しない場合又は電波試験により計測するが通信料金を削減しなくてよい場合、一月毎や三月毎等、比較的短期間おきに定期的に行われる。
【0108】
ステップSC1及びステップSC2が行われるとポンプ装置1は、選択された最適事業者の遠距離通信回線を使用して管理装置5との間で種々の情報を送受信する。遠距離通信回線を使用することにより通信料金が発生することとなる。通信料金は料金プランに応じて一月毎に確定され請求される。
【0109】
管理装置5の請求金額決定部512は、請求書の発行の時期が到来したか否かを判定する。請求書の発行の時期が到来したと判定した場合、請求金額決定部512は、ポンプ装置1に関する、通信料金の月額の請求金額を決定する(ステップSC3)。ステップSC3において請求金額決定部512は、請求金額決定及び請求書作成に必要な情報が登録されている、記憶装置56に記憶されている通信管理テーブルを利用して請求金額を決定する。
【0110】
図14は、通信管理テーブルの一部を示す図である。図14に示すように、通信管理テーブルは、ポンプ装置の製造番号、使用事業者の識別情報、請求金額、ポンプ装置のユーザ名及び宛先情報を有する。使用事業者は、当該月に使用した通信事業者であり、最適事業者と電波試験を行った通信事業者とを含む。例えば、ポンプ装置「PN1」の当該月において使用事業社は「C1」であり、ポンプ装置「PN5」の当該月において使用事業社は「C1」、「C2」、「C3」、「C4」及び「C5」である。使用事業者が複数存在する月は、電波試験が行われたことを意味する。請求金額は、ポンプ装置1に請求する当該月の月額の通信料金である。ユーザ名は、ポンプ装置1のユーザの氏名等の名称である。宛先情報は、ポンプ装置1のユーザの宛先に関する情報であり、例えば、電子メールのアドレスである。その他、宛先情報として、ユーザの住所等が登録されてもよい。なお、上記の通り、通信管理テーブルには、使用事業者に関する遠距離通信回線の使用開始日や電波試験日等が含まれていてもよい。
【0111】
請求金額は、例えば、使用事業者と当該使用事業者の通信料金とに基づいて請求金額決定部512により決定される。例えば、管理装置5の記憶装置56は、図7に示すような、通信事業者の識別情報と通信料金とを関連付けた通信管理テーブルを記憶している。請求金額決定部512は、当該ポンプ装置1の製造番号をキーとして通信料金テーブルを探索し、当該キーに関連付けられた一以上の通信事業者を特定する。そして請求金額決定部512は、特定された通信事業者各々について当該通信事業者の識別情報をキーとして通信管理テーブルを探索し、当該キーに関連付けられた通信料金を特定する。請求金額決定部512は、特定された通信料金の合計金額を請求金額として決定する。
【0112】
ステップSC3が行われると管理装置5の通信制御部514は、遠距離通信器53を介して、ポンプ装置1に請求金額を送信する(ステップSC4)。ステップSC4が行われるとポンプ装置1の表示制御部215は、受信した請求金額を表示機器25又は通信端末3に表示する(ステップSC5)。
【0113】
図15は、請求金額の表示画面I8の一例を示す図である。図15は、一例として、図14に示すポンプ装置「PN3」の請求金額の表示画面I8を示している。図15に示すように、表示画面I8には、少なくともポンプ装置の製造番号、使用事業者の識別情報、請求金額、ポンプ装置のユーザ名が含まれている。表示画面I8は、通信管理テーブルに登録されているポンプ装置の製造番号、使用事業者の識別情報、請求金額、ポンプ装置のユーザ名及び宛先情報を所定のレイアウトで配置することにより作成されるとよい。表示画面I8は、表示制御部215により生成されてもよいし、管理装置5により生成されてもよい。使用事業者が複数ある場合、使用事業者毎の請求金額と全ての使用事業者の請求金額の合計金額が記載されるとよい。これにより操作者やユーザは、使用事業者毎の請求金額を確認することができる。
【0114】
また、ステップSC3が行われると管理装置5の請求書作成部513は、ポンプ装置1のユーザの宛先情報と、ステップSC2において決定された請求金額とに基づいて請求書を作成する(ステップSC6)。請求書作成部513は、例えば、通信管理テーブルに登録されているポンプ装置の製造番号、使用事業者の識別情報、請求金額、ポンプ装置のユーザ名及び宛先情報を所定のレイアウトで配置することにより請求書のデータを作成する。なお、管理装置5は、通信事業者から発送された、ポンプ装置1に関する請求書(以下、キャリア請求書と呼ぶ)のデータを有する場合がある。キャリア請求書には請求金額が含まれており、当該請求金額は、例えば、通信事業者の最新の通信料金に基づいて請求書作成部513により自動的又は手動的に設定される。この場合、請求書作成部513は、キャリア請求書のデータに基づいて、送信先を宛先情報とする請求書(以下、ユーザ宛請求書と呼ぶ)のデータを作成する。
【0115】
ステップSC6が行われると通信制御部514は、ステップSC4において作成されたユーザ宛請求書のデータを、遠距離通信器53を介して、ユーザ端末に送信する(ステップSC7)。ステップSC7において通信制御部514は、例えば、電子メールによりユーザ宛請求書のデータを送信する。ステップSC7が行われるとユーザ端末は、受信したユーザ宛請求書を表示する(ステップSC8)。これにより、ユーザは、ユーザ宛請求書を確認し、通信料金の支払い作業を行うことができる。
【0116】
以上により、図13に示す請求書の作成処理の説明を終了する。
【0117】
なお、図13に示す処理の流れは一例であり、これに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0118】
例えば、図13においてユーザ宛請求書はデジタルデータであるとしたが、紙媒体でもよい。この場合、請求書作成部513は、宛先情報としてユーザの住所が所定用紙に印字されたユーザ宛請求書を作成するとよい。紙媒体のユーザ宛請求書は、ユーザの住所に郵送されることとなる。
【0119】
図13において、ユーザ宛請求書のデータは、遠距離通信器53を介してユーザ端末に送信されるとしたが、ユーザ端末の代わりに、ポンプ装置1に送信されてもよい。この場合、操作者やユーザの確認のため、表示制御部215により、表示機器25に表示されることとなる。また、ユーザ宛請求書のデータは、ユーザ端末とポンプ装置1との双方に送信されてもよい。
【0120】
第2実施形態によれば、給水システム100は、ポンプ装置1が最適事業者を選択する毎に最適事業者を管理装置5に送信することにより、ポンプ装置1の使用する通信事業者を管理装置5が管理することが可能となる。これにより、例えば、ポンプ装置1が通信事業者を切り替えられることにより生じうる通信料金の請求金額の決定の煩雑性を低減することが可能になる。
【0121】
以上、第1実施形態及び第2実施形態によれば、設置場所やユーザに適した通信事業者による遠距離通信を行うことが可能になる。
【0122】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0123】
1…ポンプ装置、3…通信端末、5…管理装置、11…ポンプ部、13…センサ、15…制御盤、17…制御入出力基板、19…インバータ、20…操作表示基板、21…プロセッサ、22…近距離通信器、23…遠距離通信基板、24…入力機器、25…表示機器、26…記憶装置、51…プロセッサ、53…遠距離通信器、54…入力機器、55…表示機器、56…記憶装置、100…給水システム、211…運転制御部、212…事業者選択部、213…電波計測部、214…通信制御部、215…表示制御部、231…SIMカード、233…遠距離通信器、511…情報取得部、512…請求金額決定部、513…請求書作成部、514…通信制御部、515…表示制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15