(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】インセンティブ提供システム、インセンティブ提供方法およびインセンティブ提供用プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0235 20230101AFI20241022BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20241022BHJP
A63F 13/69 20140101ALI20241022BHJP
【FI】
G06Q30/0235
G06Q50/10
A63F13/69 510
(21)【出願番号】P 2020167528
(22)【出願日】2020-10-02
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】516137096
【氏名又は名称】株式会社アルファコード
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】水野 拓宏
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-020389(JP,A)
【文献】国際公開第2010/076840(WO,A1)
【文献】特開2020-160928(JP,A)
【文献】特開2002-092237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
A63F 13/69
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の配信期間が定められているデジタルコンテンツの視聴チケットを上記配信期間より前の一定の発売期間中に販売する場合において、消費者による上記視聴チケットの購入に応じて所定のインセンティブを上記消費者に提供するインセンティブ提供システムであって、
上記消費者によって上記視聴チケットが購入されたことを示す購入情報を入力する購入情報入力部と、
上記購入情報入力部により入力された上記購入情報に係る視聴チケットの購入日時が上記発売期間中のどの時期に該当するかを判定する購入時期判定部と、
上記購入時期判定部により判定された購入時期に応じて、当該購入時期が早いほど有利となるインセンティブを付与するインセンティブ付与部とを備え
、
上記インセンティブ付与部は、上記消費者の操作に応じて所定の処理が実行されるデジタルイベントコンテンツの実行権を上記インセンティブとして提供し、上記購入時期判定部により判定された購入時期が早いほど多くの回数の実行権であって、上記購入時期に応じた回数の実行権を、上記視聴チケットの購入日時から上記発売期間の終了日時までの期間中に順次付与していく
ことを特徴とするインセンティブ提供システム。
【請求項2】
上記インセンティブ付与部により順次付与される上記デジタルイベントコンテンツの実行権のそれぞれは、上記デジタルイベントコンテンツを実行可能な期間が設定されていることを特徴とする請求項
1に記載のインセンティブ提供システム。
【請求項3】
上記インセンティブ付与部により順次付与される上記デジタルイベントコンテンツの実行権のそれぞれは、上記デジタルイベントコンテンツを実行可能な期間を過ぎた場合に次の実行可能な期間に繰り越すことが可能に設定されていることを特徴とする請求項
2に記載のインセンティブ提供システム。
【請求項4】
上記デジタルイベントコンテンツは抽選であることを特徴とする請求項
1~3の何れか1項に記載のインセンティブ提供システム。
【請求項5】
上記デジタルイベントコンテンツはゲームであることを特徴とする請求項
1~3の何れか1項に記載のインセンティブ提供システム。
【請求項6】
上記デジタルイベントコンテンツを実行するイベント実行部を更に備え、
上記イベント実行部は、前の期間から繰り越された実行権と現在の期間の実行権とをまとめて行使して上記デジタルイベントコンテンツが実行された場合に、上記デジタルイベントコンテンツの実行結果が上記消費者にとって有利となるように制御する
ことを特徴とする請求項
3に記載のインセンティブ提供システム。
【請求項7】
上記デジタルコンテンツの視聴中に上記消費者が注視していた対象物の検出結果を示す注視対象物情報を入力する注視対象物情報入力部と、
上記デジタルイベントコンテンツを実行するイベント実行部とを更に備え、
上記イベント実行部は、上記注視対象物情報入力により入力された上記注視対象物情報により上記注視対象物を注視していたことが示されている消費者による操作に応じて上記デジタルイベントコンテンツを実行する際に、上記購入時期判定部により判定された購入時期が早い場合に付与された実行権ほど、上記注視対象物に関連して行われる上記デジタルイベントコンテンツの実行結果が上記消費者にとって有利となるように制御する
ことを特徴とする請求項1~
5の何れか1項に記載のインセンティブ提供システム。
【請求項8】
一定の配信期間が定められているデジタルコンテンツの視聴チケットを上記配信期間より前の一定の発売期間中に販売する場合において、消費者による上記視聴チケットの購入に応じて所定のインセンティブを上記消費者に提供する処理をコンピュータが実行するインセンティブ提供方法であって、
上記コンピュータの購入情報入力部が、上記消費者によって上記視聴チケットが購入されたことを示す購入情報を入力するステップと、
上記コンピュータの購入時期判定部が、上記購入情報入力部により入力された上記購入情報に係る視聴チケットの購入日時が上記発売期間中のどの時期に該当するかを判定するステップと、
上記コンピュータのインセンティブ付与部が、上記購入時期判定部により判定された購入時期に応じて、当該購入時期が早いほど有利となるインセンティブを付与するステップとを有
し、
上記インセンティブ付与部は、上記消費者の操作に応じて所定の処理が実行されるデジタルイベントコンテンツの実行権を上記インセンティブとして提供し、上記購入時期判定部により判定された購入時期が早いほど多くの回数の実行権であって、上記購入時期に応じた回数の実行権を、上記視聴チケットの購入日時から上記発売期間の終了日時までの期間中に順次付与していく
ことを特徴とするインセンティブ提供方法。
【請求項9】
一定の配信期間が定められているデジタルコンテンツの視聴チケットを上記配信期間より前の一定の発売期間中に販売する場合において、消費者による上記視聴チケットの購入に応じて所定のインセンティブを上記消費者に提供する処理をコンピュータに実行させるためのインセンティブ提供用プログラムであって、
上記消費者によって上記視聴チケットが購入されたことを示す購入情報を入力する購入情報入力手段、
上記購入情報入力手段により入力された上記購入情報に係る視聴チケットの購入日時が上記発売期間中のどの時期に該当するかを判定する購入時期判定手段、および
上記購入時期判定手段により判定された購入時期に応じて、当該購入時期が早いほど有利となるインセンティブを付与するインセンティブ付与手段
として上記コンピュータを機能させ
、
上記インセンティブ付与手段は、上記消費者の操作に応じて所定の処理が実行されるデジタルイベントコンテンツの実行権を上記インセンティブとして提供し、上記購入時期判定手段により判定された購入時期が早いほど多くの回数の実行権であって、上記購入時期に応じた回数の実行権を、上記視聴チケットの購入日時から上記発売期間の終了日時までの期間中に順次付与していく
ことを特徴とするインセンティブ提供用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インセンティブ提供システム、インセンティブ提供方法およびインセンティブ提供用プログラムに関し、特に、一定の配信期間が定められているデジタルコンテンツの視聴チケットを当該配信期間より前の一定の発売期間中に販売する場合において、消費者による視聴チケットの購入に応じて所定のインセンティブを消費者に提供するシステムに用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、個人や企業が情報発信する際の手段として、インターネット上でのライブ動画(オンラインライブ)の配信が広く用いられるようになってきている。ライブ動画の中には、アーティストやタレント等が有料で配信するものも存在する。有料のライブ動画については、一定の配信期間(視聴可能期間)が定められ、その配信期間より前の一定の発売期間中に視聴チケットが販売される。ライブ動画の視聴を希望する消費者は、発売期間中に視聴チケットを購入することにより、視聴用のURLを入手する。ライブ動画を視聴可能な状態とするために、視聴チケットの購入によって提供されるシリアルコードを自身の個人情報に紐づけて配信開始時までに登録することが必要な場合もある。本明細書では、特に区別して説明しない限り、視聴チケットの購入というときは、シリアルコードの登録も含むものとする。
【0003】
ところで、ライブ動画の視聴チケットは、講演会場等で実演する場合の定員に伴う販売数の制限というものがなく、基本的には売り切れることがない。そのため、視聴チケットをなるべく早く買おうとするモチベーション(シリアルコードをなるべく早く登録しようとするモチベーションを含む)が消費者に働きにくい。これにより、発売期間の終了直前に視聴チケットを駆け込みで購入する消費者が多く、それまでの中間期間中はチケット購入数がなかなか増えないのが現状である。このような販売状況では、最終的な視聴者数の予測を立てることが難しい。そのため、動画配信側のサービス提供者からすると、視聴者数を見込んだサーバ等の配信環境の整備や、発売期間中における販売状況に応じたプロモーションなどを行いにくいという問題があった。
【0004】
なお、講演会場で実施されるコンサート等のチケットを購入した者に対して抽選券を付与するようにしたシステムにおいて、前回の抽選までの連続した外れ回数に応じて次回の抽選時に当選確率をアップするようにしたシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の技術によれば、当選確率のアップにより、一人の消費者が複数のコンサート等に関するチケットを購入する回数を増やすことは可能である。しかし、1つのライブ動画配信について発売期間の早い段階からチケットの販売数を増やしていくことは期待できない。
【0005】
また、所定の条件を充足するゲームユーザに対して、期間限定で抽選できるガチャを提供するシステムも知られている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載のシステムは、所定の期間の中で時間が経過するほど、抽選が不利となる(抽選対象コンテンツの価値が低くなる、または、特定の抽選対象コンテンツの当選確率が低くなる)ように構成されている。この特許文献2に記載の技術によれば、なるべく早く所定の条件を満たしてガチャの提供を受けて、なるべく早くガチャを実施しようとするモチベーションをユーザに与えることは可能であるが、ライブ動画の視聴チケット販売とは無関係の技術である。
【0006】
また、音楽や映像などのデジタルコンテンツ商品を初期販売時に購入したユーザに対して所定のインセンティブを与える処理を実行するシステムも知られている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、この特許文献3に記載のシステムは、評価が定まっていない新商品の販売促進に有効なプロモーションを実現し、新商品の効率的開発を図ることを目的とするものであり、一定の配信期間が定められているデジタルコンテンツの視聴チケットを当該配信期間より前に設定された一定の発売期間中に販売することを対象とするものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第3966960号公報
【文献】特開2019-121340号公報
【文献】特開2001-209719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、一定の配信期間が定められているデジタルコンテンツの視聴チケットを当該配信期間より前の一定の発売期間中に販売する場合において、発売期間の早い段階から視聴チケットの販売数を増やしていくことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明では、消費者による視聴チケットの購入日時が発売期間中のどの時期に該当するかを判定し、購入時期が早いほど有利となるインセンティブを提供するようにしている。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明によれば、一定の配信期間が定められているデジタルコンテンツの視聴チケットを当該配信期間よりも前の一定の発売期間中に販売する場合において、視聴チケットをなるべく早く購入しようとするモチベーションを消費者に与えることができ、発売期間の早い段階から視聴チケットの販売数を増やしていくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態によるインセンティブ提供システムを含むサービス提供システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】第1の実施形態によるインセンティブ提供システムの機能構成例を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態による購入時期判定部の動作例を説明するための図である。
【
図4】第1の実施形態によるインセンティブ提供システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図5】第2の実施形態によるインセンティブ提供システムを含むサービス提供システムの全体構成例を示す図である。
【
図6】第2の実施形態によるインセンティブ提供システムおよびコンテンツ配信システムの機能構成例を示すブロック図である。
【
図7】第3の実施形態によるインセンティブ提供システムを含むサービス提供システムの全体構成例を示す図である。
【
図8】第3の実施形態によるインセンティブ提供システムの機能構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第1の実施形態によるインセンティブ提供システムを含むサービス提供システムの全体構成例を示す図である。
図1に示すように、第1の実施形態によるサービス提供システム1は、インセンティブ提供システム100、チケット販売システム200およびコンテンツ配信システム300を備えて構成される。本実施形態のサービス提供システム1は、デジタルコンテンツの視聴チケットを消費者に販売し、視聴チケットを購入した消費者に対してデジタルコンテンツを配信するとともに、所定のインセンティブを与えるものである。
【0013】
チケット販売システム200は、一定の配信期間が定められているデジタルコンテンツの視聴チケットを販売するウェブサイトを提供するサーバまたはサーバ群であり、配信期間より前の一定の発売期間中に複数の消費者に視聴チケットを販売するための処理を実行する。販売対象とするデジタルコンテンツは、例えば、アーティストやタレント等により提供されるコンサートや演芸等のライブ動画である。なお、デジタルコンテンツはこれに限定されない。例えば、スポーツ等のライブ動画であってもよいし、映画であってもよい。また、ライブ動画に限らず、過去の記録動画であってもよい。また、デジタルコンテンツは、xR(VR、AR、MR、SR)用の動画であってもよい。
【0014】
消費者は、それぞれが使用する端末(以下、消費者端末400という)を用いてチケット販売システム200のウェブサイトにアクセスし、所望のデジタルコンテンツの視聴チケットを購入することが可能である。消費者は、視聴チケットを購入することにより、デジタルコンテンツの視聴用URLが記録された電子メールをチケット販売システム200から消費者端末400にて取得する。消費者端末400は、例えばスマートフォン、デスクトップ型PC(Personal Computer)、ノート型PC、タブレット型端末、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、ウェアラブルデバイス(Wearable Device)等の情報処理装置である。消費者端末400とチケット販売システム200との間は、インターネット、携帯電話網などの通信ネットワーク500を介して接続される。
【0015】
チケット販売システム200は、LAN(Local Area Network)あるいは通信ネットワーク500を介してコンテンツ配信システム300と接続されており、コンテンツ配信システム300から視聴チケットの販売に必要な情報(デジタルコンテンツの配信に関する関連情報)を事前に取得する。この関連情報は、例えば、販売対象とするデジタルコンテンツのタイトル、アーティスト名、配信期間、チケット発売期間、販売価格などの情報を含む。なお、ここに示す関連情報の内容は一例であり、これに限定されるものではない。
【0016】
また、チケット販売システム200は、消費者によって視聴チケットが購入されると、視聴チケットが購入された結果を購入情報としてコンテンツ配信システム300に通知する。この購入情報には、購入された視聴チケットに対応するデジタルコンテンツを識別可能な情報と、視聴チケットを購入した消費者を識別可能な情報とが含まれている。消費者を識別可能な情報は、例えば消費者端末400のメールアドレスであり、視聴チケットの購入時に消費者端末400から入力される。この購入情報には、認証に必要な消費者の個人情報が含まれていてもよい。
【0017】
チケット販売システム200は、LANあるいは通信ネットワーク500を介してインセンティブ提供システム100とも接続されており、チケット販売システム200からインセンティブ提供システム100に対して上述の関連情報が事前に通知され、インセンティブ提供システム100に記憶される。また、チケット販売システム200は、消費者によって視聴チケットが購入されると、上述の購入情報をインセンティブ提供システム100にも都度通知する。
【0018】
インセンティブ提供システム100は、消費者による視聴チケットの購入に応じて所定のインセンティブを消費者に対して付与する処理を実行するサーバまたはサーバ群である。すなわち、インセンティブ提供システム100は、チケット販売システム200から購入情報を入力した場合に、視聴チケットを購入した消費者に対して所定のインセンティブを付与する処理を実行する。なお、視聴チケットの購入によって提供されるシリアルコードを登録することがデジタルコンテンツの視聴条件とされている場合、インセンティブ提供システム100は、シリアルコードを登録した消費者に対して所定のインセンティブを付与する処理を実行する。インセンティブ提供システム100の処理の詳細については後述する。
【0019】
消費者端末400は、通信ネットワーク500を介してインセンティブ提供システム100、チケット販売システム200およびコンテンツ配信システム300に接続される。消費者端末400は、チケット販売システム200にアクセスして視聴チケットを購入した後、視聴チケットの購入に応じて所定のインセンティブが付与されたことを知らせる通知をインセンティブ提供システム100から受信する。この通知は、例えば、購入情報に含まれるメールアドレスを宛先とする電子メールの送信によって行われる。
【0020】
インセンティブ提供システム100が付与するインセンティブは、消費者の操作に応じて所定の処理が実行されるデジタルイベントコンテンツの実行権である。このデジタルイベントコンテンツは、一例として抽選(ガチャ)である。消費者は、インセンティブ提供システム100から通知された電子メールに含まれているURLを使って消費者端末400からインセンティブ提供システム100にアクセスすることにより、提供された実行権の分だけガチャを実行することが可能である。
【0021】
コンテンツ配信システム300は、チケット販売システム200で販売されている視聴チケットのデジタルコンテンツを、チケット販売システム200から入力した購入情報で示される消費者の消費者端末400またはこれとは別のコンテンツ視聴用端末(図示せず)に配信する処理を実行する。消費者端末400は、チケット販売システム200から入手した視聴用URLを用いて、デジタルコンテンツの配信期間中にコンテンツ配信システム300にアクセスすることにより、デジタルコンテンツの配信を受けることが可能である。
【0022】
図2は、第1の実施形態によるインセンティブ提供システム100の機能構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、第1の実施形態によるインセンティブ提供システム100は、機能構成として、購入情報入力部11、購入時期判定部12、インセンティブ付与部13、イベント実行部14および関連情報入力部15を備えている。また、第1の実施形態によるインセンティブ提供システム100は、記憶媒体として、関連情報記憶部10を備えている。
【0023】
上記各機能ブロック11~15は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック11~15は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。特に、機能ブロック11~13は、インセンティブ提供用プログラムが動作することによって実現される。
【0024】
関連情報入力部15は、販売対象とするデジタルコンテンツの配信期間、チケット発売期間などを含む関連情報をチケット販売システム200から入力し、関連情報記憶部10に記憶させる。関連情報入力部15は、デジタルコンテンツの発売期間が開始されるまでの間にチケット販売システム200から関連情報を入力し、関連情報記憶部10に記憶させる。なお、ここでは関連情報をチケット販売システム200から入力する例について説明したが、これに限定されない。例えば、関連情報入力部15は、コンテンツ配信システム300から関連情報を入力するようにしてもよい。
【0025】
購入情報入力部11は、消費者によってデジタルコンテンツの視聴チケットが購入されたことを示す購入情報をチケット販売システム200から入力する。上述したように、この購入情報には、視聴チケットが購入されたデジタルコンテンツを識別可能な情報(例えば、デジタルコンテンツのタイトル)と、視聴チケットを購入した消費者を識別可能な情報(例えば、消費者端末400のメールアドレス)とが含まれている。なお、ここに示す識別情報の内容は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、消費者の識別情報は、消費者の氏名などを更に含んでもよい。
【0026】
購入時期判定部12は、関連情報記憶部10に記憶されている関連情報を参照して、購入情報入力部11により入力された購入情報に係る視聴チケットの購入日時が発売期間中のどの時期に該当するかを判定する。例えば、購入時期判定部12は、視聴チケットの発売期間を分割することによってn個の分割期間を設定し、視聴チケットの購入日時がどの分割期間に該当するかを判定する。ここでは一例として、
図3のように視聴チケットの発売期間P
a(発売開始日時T
sから発売終了日時T
eまでの期間)を4等分することによって第1期間P
1~第4期間P
4の4個の分割期間を設定し、視聴チケットの購入日時がどの分割期間に該当するかを判定する。
【0027】
インセンティブ付与部13は、購入時期判定部12により判定された購入時期に応じて、当該購入時期が早いほど有利となるインセンティブを消費者に付与する。上述したように、インセンティブ付与部13は、消費者の操作に応じて抽選が実行されるガチャの実行権(以下、ガチャ実行権という)をインセンティブとして付与し、購入時期判定部12により判定された購入時期が早いほど多くの回数のガチャ実行権を付与する。
【0028】
例えば、視聴チケットの購入時期が第1期間P1に該当する場合は3回分のガチャ実行権、第2期間P2に該当する場合は2回分のガチャ実行権、第3期間P3に該当する場合は1回分のガチャ実行権を付与する。視聴チケットの購入時期が第4期間P4に該当する場合は、インセンティブ付与部13はガチャ実行権を付与しない。
【0029】
ここで、インセンティブ付与部13は、購入時期判定部12により判定された購入時期に応じた回数のガチャ実行権をまとめて付与するようにしてもよいし、視聴チケットの購入日時から発売期間の終了日時Teまでの期間中に順次付与していくようにしてもよい。ガチャ実行権の付与は、例えば、ガチャ実行権が付与されたことと、ガチャを実行する際にアクセスするインセンティブ提供システム100のURLとを知らせる電子メールを消費者端末400に送信することによって行う。
【0030】
消費者に対してガチャ実行権を順次付与する場合は、例えば次のようにすることが可能である。すなわち、視聴チケットの購入時期が第1期間P1に該当して3回分のガチャ実行権を付与する場合は、第1期間P1の終了日時T1、第2期間P2の終了日時T2、第3期間P3の終了日時T3にそれぞれ1回分ずつガチャ実行権を付与する。視聴チケットの購入時期が第2期間P2に該当して2回分のガチャ実行権を付与する場合は、第2期間P2の終了日時T2、第3期間P3の終了日時T3にそれぞれ1回分ずつガチャ実行権を付与する。視聴チケットの購入時期が第3期間P3に該当して1回分のガチャ実行権を付与する場合は、第3期間P3の終了日時T3に1回分のガチャ実行権を付与する。
【0031】
なお、ガチャ実行権を順次付与するタイミングはこれに限定されない。例えば、視聴チケットの購入時に1回分のガチャ実行権を直ちに付与し、それから所定の時間間隔毎に1回分ずつガチャ実行権を順次付与していくようにしてもよい。
【0032】
インセンティブ付与部12により順次付与されるガチャ実行権のそれぞれに対して、ガチャを実行可能な期間を設定するようにしてもよい。例えば、第i期間Piの終了日時Ti(i=1,2,3の何れか)に付与するガチャ実行権に対して、第(i+1)期間Pi+1の終了日時Ti+1(ただし、T4=Te)までをガチャ実行可能期間として設定することが可能である。なお、ガチャ実行権が付与さえた時点から所定期間をガチャ実行可能期間として設定するようにしてもよい。ここで、実行可能な期間が設定されたガチャ実行権のそれぞれは、それぞれの実行可能な期間を過ぎた場合に次の実行可能な期間に繰り越すことを可能に設定してもよいし、繰り越しができないように設定してもよい。
【0033】
イベント実行部14は、消費者端末400を通じて行われる消費者の操作に応じて、デジタルイベントコンテンツとしてのガチャを実行する。すなわち、イベント実行部14は、消費者端末400からガチャ実行権を行使する旨のガチャ実行要求を受信し、ガチャ(抽選)を実行する。このとき、ガチャ実行要求が正当なものかどうかを認証するようにしてもよい。認証は、例えば次のようにして行うことが可能である。すなわち、インセンティブ付与部13がガチャ実行権を付与する際に、消費者の識別情報とガチャ実行権の識別情報とを関連付けて記憶しておく。そして、ガチャ実行要求の中に消費者の識別情報とガチャ実行権の識別情報とを含ませるようにし、これらの情報を照合して一致判定を行う。
【0034】
ガチャ実行権を次の期間へ繰り越しできないように設定している場合、イベント実行部14は、正当な期間中にガチャ実行要求が消費者端末400から送信されてきたかどうかの認証を行った上で、ガチャを実行する。すなわち、インセンティブ付与部13がガチャ実行権を付与する際に、ガチャを実行可能な期間をガチャ実行権の識別情報と関連付けて記憶しておく。そして、イベント実行部14は、消費者端末400からガチャ実行要求が送られてきたときに、その送信日時がガチャの実行可能な期間に該当するか否かを判定し、該当する場合にのみガチャを実行する。
【0035】
ガチャの実行によって当選する景品は任意に設定可能であるが、消費者が視聴チケットを購入したデジタルコンテンツに関連するものとすることにより、消費者がガチャを実行したくなるように誘引することが可能である。本実施形態では、視聴チケットを発売期間中の早期に購入するほど多くのガチャ実行権を付与するようにしているので、視聴チケットを早く買うほど、デジタルコンテンツの関連景品を入手できるチャンスが増える。これにより、消費者が視聴チケットをできるだけ早く買いたくなるように誘引することが可能である。
【0036】
消費者は、視聴チケットを購入してから、デジタルコンテンツの配信期間が到来するまでの間、ガチャを実行することによって楽しむことができる。視聴チケットの購入日時から発売期間の終了日時までの間にガチャ実行権を順次付与していくことにより、消費者は、視聴チケットを購入してからデジタルコンテンツの配信が開始されるまでの間、当該デジタルコンテンツに関連したガチャを継続して楽しむことができる。
【0037】
図4は、第1の実施形態によるインセンティブ提供システム100の動作例を示すフローチャートである。ここでは、ガチャ実行権を付与する動作を示し、ガチャを実行する際の動作は省略している。
【0038】
まず、購入情報入力部11は、消費者によってデジタルコンテンツの視聴チケットが購入されたことを示す購入情報をチケット販売システム200から入力する(ステップS1)。購入情報が入力されると、購入時期判定部12は、関連情報記憶部10に記憶されている関連情報を参照して、購入情報入力部11により入力された購入情報に係る視聴チケットの購入日時が発売期間中のどの時期に該当するか(第1期間P1~第4期間P4のどの分割期間に該当するか)を判定する(ステップS2)。
【0039】
そして、インセンティブ付与部13は、購入時期判定部12により判定された購入時期に応じた回数のガチャ実行権を消費者に付与するような設定を行う(ステップS3)。例えば、視聴チケットの購入日時が発売期間中の第i期間Piに該当する場合、(4-i)回分のガチャ実行権を順次付与するための設定を行う。ここでは、ガチャ実行権を付与するタイミングを表す第j期間Pjの終了日時Tjとして、j=iを設定する。
【0040】
その後、インセンティブ付与部13は、第j期間Pjの終了日時Tj(最初はTi)が到来したか否かを判定する(ステップS4)。第j期間Pjの終了日時Tjがまだ到来していない場合、処理はステップS7に進む。一方、第j期間Pjの終了日時Tjが到来した場合、インセンティブ付与部13は1回分のガチャ実行権を消費者に付与する(ステップS5)。具体的には、ガチャ実行権が付与されたことと、ガチャを実行する際にアクセスするインセンティブ提供システム100のURLとを知らせる電子メールを消費者端末400に送信する。
【0041】
インセンティブ付与部13は、ガチャ実行権の付与を実行した後、ガチャ実行権を付与するタイミングを次の期間の終了日時に再設定する(ステップS6)。ここでは、ガチャ実行権を付与するタイミングを表す第j期間Pjの終了日時Tjとして、j=j+1を設定する。すなわち、1回目のガチャ実行権を付与した後は、次にガチャ実行権を付与するタイミングとして第(i+1)期間Pi+1の終了日時Ti+1を設定する(j=i+1)。また、2回目のガチャ実行権を付与した後は、次にガチャ実行権を付与するタイミングとして第(i+2)期間Pi+2の終了日時Ti+2を設定する(j=i+2)。
【0042】
そして、ステップS6で新たに設定されたガチャ実行権の付与タイミングT
jが発売期間の終了日時T
e(=T
4)か否かを判定する(ステップS7)。ここで、新たに設定された付与タイミングT
jが発売期間の終了日時T
eではないと判定された場合、処理はステップS4に戻る。一方、新たに設定された付与タイミングT
jが発売期間の終了日時T
eであると判定された場合、
図4に示すフローチャートの処理は終了する。
【0043】
以上詳しく説明したように、第1の実施形態では、消費者による視聴チケットの購入日時が発売期間中のどの時期に該当するかを判定し、購入時期が早いほど有利となるインセンティブを付与するようにしている。具体的には、購入時期が早いほど多くの回数のガチャ実行権を付与するようにしている。これにより、一定の配信期間が定められているデジタルコンテンツの視聴チケットを当該配信期間よりも前の一定の発売期間中に販売する場合において、視聴チケットをなるべく早く購入しようとするモチベーションを消費者に与えることができ、発売期間の早い段階から視聴チケットの販売数を増やしていくことができる。これにより、最終的な視聴者数の予測を立てることが容易となり、視聴者数を見込んだサーバ等の配信環境の整備や、発売期間中における販売状況に応じたプロモーションなどを行いやすくすることができる。
【0044】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。
図5は、第2の実施形態によるインセンティブ提供システム100Aを含むサービス提供システム1Aの全体構成例を示す図である。
図5に示すように、第2の実施形態によるサービス提供システム1Aは、インセンティブ提供システム100A、チケット販売システム200およびコンテンツ配信システム300Aを備えて構成される。インセンティブ提供システム100Aとコンテンツ配信システム300Aとの間は、LANあるいは通信ネットワーク500を介して接続されている。
【0045】
図6は、第2の実施形態によるインセンティブ提供システム100Aおよびコンテンツ配信システム300Aの機能構成を示すブロック図である。なお、この
図6において、
図2に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
図6に示すように、第2の実施形態によるインセンティブ提供システム100Aは、イベント実行部14に代えてイベント実行部14Aを備えるとともに、注視対象物情報入力部16を更に備えている。
【0046】
また、コンテンツ配信システム300Aは、機能構成として、注視対象物検出部31を備えている。なお、コンテンツ配信システム300Aは、デジタルコンテンツを消費者端末400に配信するために必要な機能構成を備えているが、インセンティブの付与とは直接的に関係がないため、図示および関連する説明を省略する。ここでは、インセンティブの付与に関連する機能構成のみを図示して説明する。
【0047】
注視対象物検出部31は、コンテンツ配信システム300Aから消費者端末400またはコンテンツ視聴用端末に配信されるデジタルコンテンツの視聴中に消費者が注視していた対象物を検出し、その注視対象物を識別する情報と消費者を識別する情報とを対応付けて記憶する。例えば、デジタルコンテンツがグループアーティストによるコンサートのライブ動画の場合、注視対象物検出部31は、消費者がどのアーティストを最も注視していたかを検出する。
【0048】
ライブ動画が例えばxR画像で、コンテンツ視聴用端末としてヘッドマウントディスプレイを用いる場合、視聴者が自分の頭を動かすとその動きに応じて表示される画像が動的に変わる。そこで、例えばヘッドマウントディスプレイの表示画面に設定された中央の所定領域に対して、ライブ動画の視聴中にどのアーティストが一番多く表示されていたかを検出し、一番多く表示されていたアーティストを消費者が注視していた対象物として検出することが可能である。
【0049】
例えば、注視対象物検出部31は、配信用に作成された広範囲(例えば、360度)の視界を有するライブ動画の中で、ヘッドマウントディスプレイを装着した消費者の頭の動き(ヘッドマウントディスプレイからコンテンツ配信システム300に送信される頭の動き情報)に応じてコンテンツ配信システム300が実際に消費者端末400に配信した領域の動画に基づいて、消費者が注視していた対象物を検出する。
【0050】
なお、コンテンツ配信システム300から消費者端末400に対して広範囲のライブ動画を配信し、消費者の頭の動きに応じた領域の動画を抽出して表示する処理をヘッドマウントディスプレイの内蔵コンピュータによって実行する場合は、当該内蔵コンピュータが表示した動画の領域を示す情報をコンテンツ配信システム300に送信し、注視対象物検出部31がこの情報に基づいて、消費者の注視対象物を検出する。あるいは、ヘッドマウントディスプレイの内蔵コンピュータが消費者の注視対象物を検出する処理まで実行し、その結果の情報をコンテンツ配信システム300に送信するようにしてもよい。この場合に注視対象物検出部31は、ヘッドマウントディスプレイから送られてくる情報をもって、消費者の注視対象物を検出する。
【0051】
ライブ動画がスマートフォンやパーソナルコンピュータ等に表示される2次元画像の場合は、例えば、スマートフォンやパーソナルコンピュータ等に設置された視線検出センサによってデジタルコンテンツ視聴中の消費者の視線を検出することにより、ライブ動画の視聴中に消費者が注視していたアーティストを検出することが可能である。この場合、消費者端末400は、デジタルコンテンツのどの再生時間において消費者がどの位置に視線を向けていたかを示す視線検出位置の時系列情報を生成し、コンテンツ配信システム300に送信する。コンテンツ配信システム300の注視対象物検出部31は、この時系列情報に基づいて、消費者の注視対象物を検出する。
【0052】
なお、ここでは注視対象物がアーティスト(人間)である例について説明したが、これに限定されない。デジタルコンテンツの中で表示されるものであれば何でもよい。実際は、デジタルコンテンツの中で表示される種々のもののうち、デジタルコンテンツの配信サービス提供者(またはインセンティブの提供者)が指定したものを注視検出の対象物としてあらかじめ設定しておき、その対象物の中から消費者が最も注視していた対象物を注視対象物として検出する。配信サービス提供者等が注視検出の対象物として指定するものは、例えば、ガチャの当選によって提供される景品に関連するものである。
【0053】
注視対象物検出部31は、注視対象物の検出結果を示す情報(例えば、注視対象物の識別情報と消費者の識別情報とを対応付けて記憶した情報)をインセンティブ提供システム100Aに提供する。インセンティブ提供システム100Aの注視対象物情報入力部16は、この注視対象物情報を入力して記憶する。
【0054】
イベント実行部14Aは、ある消費者について注視対象物情報が注視対象物情報入力部16により記憶されたとき以降、その注視対象物を注視していた消費者による操作に応じてガチャを実行する際に、注視対象物の検出結果を利用してガチャを実行する。すなわち、あるデジタルコンテンツを消費者が視聴している際に注視対象物が検出された後、別のデジタルコンテンツの視聴チケットを購入したことによって付与されたガチャ実行権を行使することが要求された際に、イベント実行部14Aは、その消費者に関する注視対象物の検出結果を利用してガチャを実行する。注視対象物の検出結果を利用したガチャとは、例えば、注視対象物に関連するコンテンツや商品などが景品として含まれるガチャである。
【0055】
ここで、イベント実行部14Aは、購入時期判定部12により判定された購入時期が早い場合に付与されたガチャ実行権ほど、注視対象物に関連して行われるガチャの実行結果が消費者にとって有利となるように制御する。一例として、購入時期が早い場合に付与されたガチャ実行権ほど、注視対象物に関連する景品が当選しやすくなるようにする。あるいは、注視対象物に関してより価値の高い景品が当選しやすくなるようにしてもよい。価値の高い景品とは、例えば、注視対象物に関して容易には手に入れることができないレアなコンテンツや、より金銭的価値が高い商品などである。
【0056】
このように構成した第2の実施形態によれば、発売期間中で視聴チケットを購入する時期が早いほど多くの回数のガチャ実行権を得ることができるだけでなく、消費者が以前にデジタルコンテンツを視聴したときに注視していた対象物に関連する景品(または注視対象物に関してより価値の高い景品)が当選しやすくなる。消費者が注視していた対象物は、その消費者にとって興味関心が強いものである可能性が高い。よって、視聴チケットを早く購入すると、その興味関心の強い対象物に関連した景品が当たりやすくなることは、視聴チケットをなるべく早く購入しようとするモチベーションを消費者に与えることに繋がる。これにより、第2の実施形態によれば、発売期間の早い段階から視聴チケットの販売数をより効果的に増やしていくことができる。また、消費者は、視聴チケットを購入してからデジタルコンテンツが配信されるまでの期間をガチャによってより楽しむことができる。
【0057】
上記第2の実施形態は、視聴チケットを早期に購入するほど多くの回数のガチャ実行権を付与する第1の実施形態の機能を備えるものとして説明したが、この機能を備えないものとして構成してもよい。すなわち、視聴チケットの購入時期によらず1回分のガチャ実行権のみを付与するようにし、その1回分のガチャを実行する際に、第2の実施形態によるイベント実行部14Aの機能を適用するようにしてもよい。
【0058】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図面に基づいて説明する。
図7は、第3の実施形態によるインセンティブ提供システム100Bを含むサービス提供システム1Bの全体構成例を示す図である。
図7に示すように、第3の実施形態によるサービス提供システム1Bは、インセンティブ提供システム100B、チケット販売システム200およびコンテンツ配信システム300を備えて構成される。
【0059】
図8は、第3の実施形態によるインセンティブ提供システム100Bの機能構成を示すブロック図である。なお、この
図8において、
図2に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
図8に示すように、第3の実施形態によるインセンティブ提供システム100Bは、インセンティブ付与部13およびイベント実行部14に代えて、インセンティブ付与部13Bおよびイベント実行部14Bを備えている。
【0060】
インセンティブ付与部13Bは、購入時期判定部12により判定された購入時期が早いほど有利となるインセンティブとして、第1の実施形態のように複数回分のガチャ実行権を付与するのではなく、1回分のガチャ実行権のみを付与する。その際、インセンティブ付与部13Bは、購入時期判定部12により判定された購入時期が早いほど、ガチャの実行結果が消費者にとって有利となるように設定されたガチャ実行権を付与する。インセンティブ付与部13Bが付与するガチャ実行権は、第1期間P1~第4期間P4のうちどの分割期間中に付与されたものかを示す情報が設定されており、より早い分割期間中に付与されたものほど有利なものとして設定されている。
【0061】
イベント実行部14Bは、購入時期判定部12により判定された購入時期が早い場合に付与されたガチャ実行権(より早い分割期間中に付与されたものであることが設定されているガチャ実行権)ほど、ガチャの実行結果が消費者にとって有利となるように制御して、ガチャを実行する。ガチャの実行結果が消費者にとって有利とは、例えば、容易には手に入れることができないレアなコンテンツが当選することや、より金銭的価値が高い商品が当選することなどである。
【0062】
以上のように構成した第3の実施形態においても、一定の配信期間が定められているデジタルコンテンツの視聴チケットを当該配信期間よりも前の一定の発売期間中に販売する場合において、視聴チケットをなるべく早く購入しようとするモチベーションを消費者に与えることができ、発売期間の早い段階から視聴チケットの販売数を増やしていくことができる。
【0063】
なお、以上に説明した第3の実施形態を第2の実施形態と組み合わせて適用するようにしてもよい。
【0064】
上記第1~第3の実施形態では、消費者の操作に応じて所定の処理が実行されるデジタルイベントコンテンツの一例としてガチャ(抽選)を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、デジタルイベントコンテンツはゲームであってもよい。この場合のゲームはどんなものでもよいが、消費者が視聴チケットを購入したデジタルコンテンツに関連したゲームであることが好ましい。
【0065】
なお、ゲームに関して、その実行結果が消費者にとって有利とは、例えば、ゲームの中でアーティストに関連したアイテムを入手しやすくなるとか、アーティストのキャラクタとの親密度が高まりやすくなるなどといったことである。消費者は、視聴チケットを購入してから、デジタルコンテンツの配信期間が開始されるまでの間、当該デジタルコンテンツに関連したゲームを実行することによって楽しむことが可能である。
【0066】
上記第1の実施形態において、ガチャ実行権を使ってガチャを実行可能な期間を設定し、実行可能な期間が過ぎた場合に次の実行可能な期間に繰り越すことを可能に設定する例について説明したが、この機能を次のように応用することも可能である。すなわち、イベント実行部14は、前の期間から繰り越された実行権と現在の期間の実行権とをまとめて行使してデジタルイベントコンテンツが実行された場合に、デジタルイベントコンテンツの実行結果が消費者にとってより有利となるように制御する。
【0067】
このように構成した場合、より有利な実行結果を得るために、視聴チケットをなるべく早く購入して多くのガチャ実行権を取得しようとするモチベーションを消費者に対してより強く与えることが可能となる。消費者にとっても、取得した複数回分のガチャ実行権を1回ずつ行使するか、より有利な実行結果を得るために次回以降に繰り越してまとめて行使するかを選択することができ、ガチャをより一層楽しむことが可能となる。
【0068】
また、上記第1~第3の実施形態では、インセンティブ提供システム100,100A,100Bがイベント実行部14,14A,14Bを備える構成について説明したが、コンテンツ配信システム300,300Aが備える構成としてもよい。
【0069】
また、上記第1~第3の実施形態では、インセンティブ提供システム100,100A,100Bとチケット販売システム200とコンテンツ配信システム300,300Aとが別に構成される例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、チケット販売システム200がインセンティブ提供システム100,100A,100Bを備える構成としてもよい。あるいは、コンテンツ配信システム300,300Aがインセンティブ提供システム100,100A,100Bを備える構成としてもよい。
【0070】
その他、上記第1~第3の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0071】
11 購入情報入力部
12 購入時期判定部
13,13B インセンティブ付与部
14,14A,14B イベント実行部
15 関連情報入力部
16 注視対象物情報入力部
31 注視対象物検出部
100,100A,100B インセンティブ提供システム
200 チケット販売システム
300,300A コンテンツ配信システム
400 消費者端末