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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】泡噴射式スプレーガン用ノズル
(51)【国際特許分類】
   B05B 1/02 20060101AFI20241022BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B05B1/02 101
B65D47/34 200
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020176385
(22)【出願日】2020-10-21
(65)【公開番号】P2022067676
(43)【公開日】2022-05-09
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】319001710
【氏名又は名称】シーバイエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【弁理士】
【氏名又は名称】大木 信人
(72)【発明者】
【氏名】渡部 経雄
(72)【発明者】
【氏名】日野 智晴
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-020125(JP,A)
【文献】実開昭63-051670(JP,U)
【文献】特開平09-001006(JP,A)
【文献】特開2008-142651(JP,A)
【文献】特開2004-322041(JP,A)
【文献】特開2002-194400(JP,A)
【文献】特開2020-116516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/02
B65D 47/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
泡噴射式スプレーガン用のノズルであって、
スプレーガン本体の噴射口から噴射された液体が流入する噴射口側開口部と、流入した該液体を流出させる吐出口とを有する筒状部材からなり、
該吐出口には、該吐出口を形成する該筒状部材の内壁を起点として、該吐出口の内側に向かって突出する突出部が形成されており、該突出部の該筒状部材の内壁を起点として、該吐出口の内側に向かう方向及び該吐出口に垂直な断面の形状が、該噴射口側開口部側に比べて該吐出口側において幅が広い形状を有していることを特徴とする、ノズル。
【請求項2】
前記突出部の該筒状部材の内壁を起点として、該吐出口の内側に向かう方向及び前記吐出口に垂直な断面の形状が、該吐出口側を下底とする三角形、台形、もしくはかまぼこ型、又は、該吐出口側を弦とする半円形、もしくは半楕円形である、請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記吐出口の開口率が45~75%である、請求項1又は2に記載のノズル。
【請求項4】
前記吐出口に向かって正面視した正面図において、該吐出口の形状が円形である、請求項1~3のいずれか一項に記載のノズル。
【請求項5】
前記吐出口に向かって正面視した正面図において、前記突出部が十字状、Y字状、T字状、格子状、円形状、又は、放射状、あるいはそれらの組み合わせの形状を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のノズル。
【請求項6】
前記突出部の前記吐出口における幅が0.4~1.2mmである、請求項1~5のいずれか一項に記載のノズル。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のノズルを備えるスプレーガン本体を有する、泡噴射式スプレーガン。
【請求項8】
前記ノズルがスプレーガン本体とは別部材である、請求項7に記載のスプレーガン。
【請求項9】
前記ノズルがスプレーガン本体と一体化されている、請求項7に記載のスプレーガン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルからの液だれ/液漏れを低減又は阻止することが可能な泡噴射式スプレーガン用のノズル、及び泡噴射式スプレーガンに関する。
【背景技術】
【0002】
容器内の液体を吸引し、ノズルから泡状にして噴射させる泡噴射式スプレーガンが知られている。このようなスプレーガンは、スプレーガン本体の噴射口の周囲に筒状に突出形成された筒状部材を備える。スプレーガン本体より噴射された液体は、この筒状部材を通過し、その際に筒状部材の内壁に衝突して泡化して、対象物へと塗布される(特許文献1)。
【0003】
また、別の形態では、前記筒状部材の吐出口開口部に、吐出口の内側に向かって突出する突出部が形成されたチップを備える。この場合、スプレーガン本体より噴射された液体は筒状部材を通過する際に、まず筒状部材の内壁に衝突して粗い泡状となり、次いで、前記吐出口に突出する突出部とさらに衝突して細かい泡状となり、対象物へと塗布される(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-289870号公報
【文献】特許第5617013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、前記吐出口開口部に突出部を有するノズルを備えた泡噴射式スプレーガンにおいては、液体を噴射した際に、当該突出部に衝突して吐出口を通過できなかった一部の液体がノズル内に留まり、ノズルからの液だれや液漏れを生じる場合があることを見出した。
【0006】
そこで本発明は、ノズルからの液だれ/液漏れを低減又は阻止することができ、かつ良好な泡状に液体を噴射することが可能な、新たな泡噴射式スプレーガン用ノズル、及び泡噴射式スプレーガンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の泡噴射式スプレーガン用のノズル(以下、単に「本発明のノズル」と記載する場合がある)は、スプレーガン本体の噴射口から噴射された液体が流入する噴射口側開口部と、流入した液体を流出させる吐出口とを有する筒状部材からなり、この吐出口には、吐出口を形成する筒状部材の内壁を起点として、吐出口の内側に向かって突出する突出部が形成されており、この突出部のその長軸及び吐出口に垂直な断面の形状が、噴射口側開口部側の幅に比べて吐出口側において幅が広い形状を有していることを特徴とする。本発明のノズルは、スプレーガン本体より噴射された液体の流路を形成するものであり、スプレーガン本体の噴射口から噴射され、筒状部材を構成する内壁と衝突して粗い泡状となった液体は、本発明のノズルの吐出口から流出する際に、吐出口に設けられた突出部と接触することによって細かい良好な泡状となり吐出される。突出部の断面が前記形状を有することによって、突出部に衝突して吐出口を通過できない液体量を減らすことができ、ノズルからの液だれ/液漏れを低減又は阻止することができる。
【0008】
本発明のノズルにおいて、前記突出部の断面は吐出口側を下底とする三角形、台形、もしくはかまぼこ型、又は、吐出口側を弦とする半円形、もしくは半楕円形であることが好ましい。前記突出部の断面がこのような形状を有する場合、突出部に衝突して吐出口を通過できない液体量を特に減らすことができ、ノズルからの液だれ/液漏れを良好に低減又は阻止することができる。
【0009】
本発明のノズルにおいて、前記吐出口の開口率は45~75%であることが好ましい。このような構成を有する吐出口によれば、吐出口から吐出される液体を良好な泡状にすることができる。
【0010】
本発明のノズルにおいて、前記吐出口に向かって正面視した正面図において、当該吐出口の形状は円形であることが好ましい。このような構成を有する吐出口によれば、目的とする部位・範囲に液体を泡状に吐出することができ、目的とする部位・範囲以外に液体が飛び散ることを防ぐことができる。
【0011】
本発明のノズルにおいて、前記吐出口に向かって正面視した正面図において、突出部は十字状、Y字状、T字状、格子状、円形状、又は、放射状、あるいはそれらの組み合せの形状を有することが好ましい。特に、突出部の吐出口における幅は0.4~1.2mmであることが好ましい。このような構成を有する突出部によれば、吐出口から吐出される液体を良好な泡状にすることができる。
【0012】
また、本発明の泡噴射式スプレーガン(以下、単に「本発明のスプレーガン」と記載する場合がある)は、前記本発明のノズルを備えるスプレーガン本体を有することを特徴とする。本発明のスプレーガンでは、スプレーガン本体の噴射口に前記本発明のノズルが装着されており、スプレーガン本体の噴射口から噴射され、筒状部材を構成する内壁と衝突して粗い泡状となった液体は、本発明のノズルの吐出口から流出する際に、吐出口に設けられた突出部と接触することによって細かい良好な泡状となり吐出される。
【0013】
本発明のスプレーガンにおいて、ノズルはスプレーガン本体とは別々の部材であってもよいし、あるいはノズルとスプレーガン本体とは一体化して形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ノズルからの液だれ/液漏れを低減又は阻止することができ、かつ良好な泡状に液体を噴射することが可能な、泡噴射式スプレーガン用ノズル、及び泡噴射式スプレーガンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1(a)は、吐出口に突出部を有する筒状部材を備える本発明の泡噴射式スプレーガン用ノズルの一例を模式的に示した斜視図であり、図1(b)は図1(a)の矢印X方向から正面視した場合の正面図であり、図1(c)は図1(b)のA-A線断面図である。
図2-1】図2-1は、各種形状の突出部を有する本発明の泡噴射式スプレーガン用ノズルの例を示す、吐出口に向かって正面視した正面図である。(a)突出部により吐出口が複数の領域に区画された形状を示す。
図2-2】図2-2は、各種形状の突出部を有する本発明の泡噴射式スプレーガン用ノズルの例を示す、吐出口に向かって正面視した正面図である。(b)吐出口が複数の領域に区画されていない形状を示す。
図3図3は、本発明の泡噴射式スプレーガン用ノズルにおける、突出部のその長軸及び吐出口に垂直な断面の形状の例を示す模式図である。(a)は三角形、(b)は台形、(c)はかまぼこ型をそれぞれ示す。
図4図4(a)は、本発明の泡噴射式スプレーガン用ノズルが装着されるトリガー式のスプレーガン本体の一例を模式的に示した斜視図であり、図4(b)は泡噴射式スプレーガン用ノズルをスプレーガン本体に装着してなる、本発明の泡噴射式スプレーガンの一例を模式的に示す斜視図であり、図4(c)は図4(b)において当該ノズルがスプレーガン本体に装着された部位を拡大して示した部分断面図である。
図5図5(a)は、本発明の泡噴射式スプレーガン用ノズルが装着されるトリガー式のスプレーガン本体の別の一例を模式的に示した斜視図である。図5(b)及び(c)は泡噴射式スプレーガン用ノズルがスプレーガン本体に装着された部位を拡大して示した部分断面図である。
図6図6(a)は、本発明の泡噴射式スプレーガンのまた別の一例を模式的に示した斜視図であり、図6(b)は図6(a)においてノズルを一体化して備えるスプレーガン本体の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のノズル、及び泡噴射式スプレーガンについて具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0017】
本発明のノズルは、泡噴射式スプレーガン用のノズルであって、スプレーガン本体の噴射口から噴射された液体が流入する噴射口側開口部と、流入した当該液体を流出させる吐出口とを有する筒状部材からなり、当該吐出口には、吐出口を形成する筒状部材の内壁を起点として、吐出口の内側に向かって突出する突出部が形成されており、当該突出部のその長軸に垂直であり、かつ吐出口に垂直な断面の形状が、噴射口側開口部側に比べて吐出口側において幅が広い形状を有していることを特徴とする。
【0018】
図1(a)は、本発明のノズルの一例を模式的に示した斜視図であり、図1(b)は図1(a)の矢印X方向から正面視した場合の正面図であり、図1(c)は図1(b)のA-A線断面図である。
【0019】
図1(a)に示すノズル100は、吐出口101と、吐出口101を形成する内壁103を起点として、吐出口101の内側に向かって突出する突出部102を備えている。ノズル100はさらに、スプレーガン本体に装着した際にノズル100が容易に外れないようにするための固定部材104と、ノズル100が回転しないようにするための回転防止部材105を備えている。
【0020】
図1(b)に示すように、ノズル100を吐出口101に向かって正面視した正面図において、吐出口101の形状は筒状部材の内壁103の形状によって規定され、ここでは円形である。吐出口の直径は特に限定されるものではないが、好ましくは4.0~7.0mm、より好ましくは5.5~6.5mm、さらに好ましくは6.0mm±0.3mmである。
【0021】
突出部102は筒状部材の内壁103を起点として吐出口101の内側に向かって突出しており、図1(b)に示す形態では、4本の突出部102が吐出口101の中央で結合した十字状を形成している。これにより、吐出口101は十字状の突出部102により複数の領域(4つの領域)に区画されている。
【0022】
突出部102の幅は、図1(b)においてWで表される幅であり、特に限定されるものではないが、好ましくは0.4~1.2mmであり、より好ましくは0.6~1.2mmである。
【0023】
吐出口101の開口率は、図1(b)に示すように、ノズル100を吐出口101に向かって正面視した正面図において、吐出口101の全面積のうち、突出部102によって塞がれていない部分、すなわち、流体が通過できる部分の面積の割合を指す。
【0024】
本発明のノズルにおいて、吐出口の開口率は45~75%であり、好ましくは50~70%、より好ましくは55~60%である。
【0025】
図1(c)に示す断面図には、ノズル100が備える筒状部材106を示している。図1(c)に示す筒状部材106は円筒形状であり、ノズル100をスプレーガン本体に装着した際にスプレーガン本体の噴射口から液体が流入する噴射口側開口107と、流入した当該液体を流出させる吐出口101を有し、この噴射口側開口107から吐出口101が液体の流路となる。
【0026】
筒状部材の内径形状は特に限定されるものではないが、吐出口の形状と同じとすることができる。吐出口が円形であれば筒状部材は円筒状とし、吐出口の直径と同じ内径を有する形状とすることが好ましい。筒状部材の長手方向の長さ、すなわち噴射口側開口から吐出口までの距離は特に限定されるものではないが、0.3mm~8mm、好ましくは2mm~8mm、より好ましくは2.5mm~5.0mm、さらに好ましくは3.0mm±0.3mmである。筒状部材の長手方向の長さは、下記に詳述するスプレーガン本体の噴射口の周囲に筒状に突出形成された筒状部材の存在及びその長さに応じて適宜調整してもよく、例えば、スプレーガン本体の筒状部材がノズルの吐出口まで延伸する場合には、ノズルにおける筒状部材は、少なくとも吐出口に突出部を形成することが可能な内壁を提供できる程度の長さ(例えば、0.3mm~)があればよい。
【0027】
突出部102のその長軸に垂直であり、かつ吐出口に垂直な断面の形状は、噴射口側開口部側に比べて吐出口側において幅が広い形状を有しており、図1(c)に示す形態では、噴射口側開口部側を頂点とし、吐出口側を下底(底辺)とする三角形の形状を有する。
【0028】
突出部102の断面の高さは、図1(c)においてHで表され、特に限定されるものではないが、好ましくは0.3~1.5mmであり、より好ましくは0.6~1.2mmである。
【0029】
ノズルの筒状部材106を通過する液体は、筒状部材の内壁103と衝突することによって粗い泡状となる。また、吐出口101から流出する際に、吐出口101に設けられた突出部102と接触することによって細かい泡状となる。そのため、スプレーガン本体の噴射口から噴射された液体は、良好な泡状となって、吐出口101からノズル100の外に吐出される。また、突出部102の前記断面の形状が、噴射口側開口部側に比べて吐出口側において幅が広い形状を有していることにより、前記断面の形状が噴射口側開口部側及び吐出口側で同じ幅を有する場合(例えば、正方形、長方形等)と比べて、突出部102に衝突して吐出口101を通過できない液体量を減らすことができ、ノズル100からの液だれ/液漏れを低減又は阻止することができる。
【0030】
本発明のノズルにおいて、ノズルを吐出口に向かって正面視した正面図における吐出口の形状は特に限定されず、円形、楕円形、多角形(例えば、三角形、五角形、六角形、八角形等)、多角形の頂点が面取りされた形等とすることができる。
【0031】
本発明のノズルにおいて、ノズルを吐出口に向かって正面視した正面図における突出部の形状は特に限定されず、一もしくは複数(2,3,4等)の線状、十字状、Y字状、T字状、格子状、放射状(例えば、5叉形状、6叉形状、8叉形状等)、円形状等、又はそれらの組み合せとすることができる(図2(a))。突出部がこのような形状を有する場合、吐出口は複数の領域に区画され、これにより突出部の強度を向上することができる。また、別の実施形態において、上記正面図における突出部の先端(起点である吐出口を形成する内壁とは反対側の端)は、起点とは異なる位置の内壁や、異なる起点を有する別の突出部と結合していない形状を有していてもよい(図2(b))。複数の突出部を備える場合、突出部は全て同じ形状及び大きさであってもよいし、それぞれ異なる形状及び大きさであってもよい。
また、正面図における突出部の形状は、直線状に限らず、分岐や湾曲していてもよいし、幅は一定であってもよいし、異なっていてもよい。
【0032】
本発明のノズルにおいて、突出部のその長軸に垂直であり、かつ吐出口に垂直な断面の形状は、噴射口側開口部側の幅(w’)に比べて、吐出口側の幅(W)が広い形状を有する。w’はWの4分の1以下、好ましくは3分の1以下、より好ましくは2分の1以下である。断面の形状は、特に限定されるものではないが、吐出口側を下底(底辺)とする三角形、台形、もしくはかまぼこ型、又は、吐出口側を弦とする半円形、もしくは半楕円形等とすることができる(図3)。突出部断面の吐出口側の幅(W)は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.4~1.2mmであり、より好ましくは0.6~1.2mmである。突出部断面の吐出口内側の高さ(H)は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.3~1.5mmであり、より好ましくは0.6~1.2mmである。突出部断面の吐出口外側の形状(図3のm)は任意であり、特に限定されないが、好ましくは平面である。また、上記断面を有する限り、突出部の形状は筒状部材の内壁の起点から先端にかけてその断面の形状や大きさが同じであってもよいし、異なっていてもよい。突出部の断面が、所謂、噴射口側開口部側に向かって先細りの形状を有することによって、当該断面の形状が噴射口側開口部側及び吐出口側で同じ幅を有する場合(例えば、正方形、長方形等)と比べて、突出部に衝突して吐出口を通過できない液体量を減らすことができ、ノズルからの液だれ/液漏れを低減又は阻止することができる。
【0033】
本発明のノズルにおいて、固定部材及び/又は回転防止部材は、ノズルのスプレーガン本体への装着様式にしたがって、必要に応じて設けることができ、その形態は特に限定されない。
【0034】
本発明のノズルを構成する材料は特に限定されず、金属、樹脂、又はそれらの組み合わせより選択することができる。好ましくは樹脂製であり、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル・スチレン(AS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルペンテン(PMP)等からなる群から選択される一又は複数の樹脂を利用することができる。より好ましくは、ポリエチレン(PE)製であり、特に、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)製が好ましい。
【0035】
本発明のノズルを成形する方法は特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、射出成形、切削加工等による成形により行うことができる。本発明のノズルは、一体的に一部材として成形されてもよいし、複数の部品が接着又は嵌合等の手段により組み合わされることで成形されてもよい。
【0036】
続いて、本発明の泡噴射式スプレーガンについて説明する。本発明の泡噴射式スプレーガンは、上記本発明のノズルを噴射口に備えることを特徴とする。
【0037】
図4(a)は、本発明のノズルが装着されるトリガー式のスプレーガン本体の一例を模式的に示した斜視図である。図4(a)に示すように、スプレーガン本体10には、液体を噴射する噴射口11が設けられている。
【0038】
図4(b)は、本発明のノズルをスプレーガン本体に装着してなる、本発明の泡噴射式スプレーガンの一例を模式的に示す斜視図である。図4(b)に示すスプレーガン1では、吐出口に十字状の突出部を備える本発明のノズル100がスプレーガン本体10の噴射口に装着されている。
【0039】
図4(c)は図4(b)においてノズルがスプレーガン本体に装着された部位を拡大して示した部分断面図である。スプレーガン本体10には、ノズル100の固定部材104と嵌合するように形成された凹部12が設けられており、固定部材104と凹部12が嵌合されてノズル100がスプレーガン本体10に装着されている。
【0040】
図4(c)では、回転防止部材105のスプレーガン本体側の端部105aが、筒状部材106の噴射口側開口107よりもスプレーガン本体側に位置しているために、端部105aがスプレーガン本体と接触している。
【0041】
ノズルの筒状部材とスプレーガン本体とは近接又は接触して配置することができる。両者は直接接触する必要はなく、固定部材や回転防止部材がスプレーガン本体と接触する構成としてもよい。例えば、筒状部材の噴射口側開口とスプレーガン本体の噴射口を形成する各面の距離は、0~2.0mm、例えば、0~1.0mm、もしくは0~0.5mmとすることができる。噴射口より噴射された液体は、筒状部材を構成する内壁に衝突する際に、ノズルの筒状部材とスプレーガン本体との間に設けられた間隙より空気を取り込むことができ、それによってより良好な泡状とすることができる。
【0042】
図5(a)は、本発明のノズルが装着されるトリガー式のスプレーガン本体の別の一例を模式的に示した斜視図である。図5(a)に示すように、スプレーガン本体510には、液体を噴射する噴射口の周囲に筒状に突出形成された筒状部材108が介在する。図5(b)は、図5(a)に示すスプレーガン本体に、本発明のノズル50100が装着された部位を拡大して示した部分断面図である。図5(b)では、筒状部材50106の噴射口側開口50107とスプレーガン本体510の噴射口511を形成する各面の間に、スプレーガン本体の噴射口の周囲に筒状に突出形成されたさらなる筒状部材108が介在する。このスプレーガン本体の筒状部材108の内径形状は特に限定されるものではないが、ノズルの筒状部材50106の噴射口側開口50107の形状と同じとすることができる。噴射口側開口が円形であればさらなる筒状部材は円筒状とし、噴射口側開口の直径と同じ内径を有する形状とすることが好ましい。スプレーガン本体の筒状部材108の長手方向の長さは特に限定されるものではないが、好ましくは1mm~6mm、より好ましくは2mm~4mm程度とすることができる。筒状部材108の長手方向の長さに応じて、ノズルの筒状部材106の長さは適宜調整することが可能であり、図5(b)に示すとおり、筒状部材108と筒状部材50106とが一緒になって、その内壁に液体を衝突させて泡状化するための所定の長さを有する筒状部材を形成してもよい。あるいは、図5(c)に示すとおり、筒状部材5108がノズルの吐出口51101まで延伸して、ノズルの筒状部材に代わって/加えて、その内壁に液体を衝突させて泡状化するための所定の長さを有する筒状部材を形成してもよい。この場合、本発明のノズルにおける筒状部材は、少なくとも吐出口に突出部を形成することが可能な内壁を提供できる程度の長さがあればよい。
【0043】
以下、図4(c)を用いて、本発明の泡噴射式スプレーガンから液体を吐出させる場合の液体の流れについて説明する。
【0044】
トリガーを引くことにより、スプレーガン本体10の噴射口11から噴射された液体は、ノズル100を構成する筒状部材106を通過する。この際、液体は、筒状部材106の噴射口側開口107から筒状部材106に流入し、吐出口101から流出することにより筒状部材106を通過する。筒状部材106を通過する液体は、筒状部材の内壁103と衝突することによって粗い泡状となる。そして、吐出口101から流出する際に、吐出口101に設けられた突出部102とさらに接触することによって細かい泡状となり、吐出口101からスプレーガン1の外に吐出される。したがって、本発明のノズルを装着した、本発明の泡噴射式スプレーガンでは、スプレーガン本体から噴射された液体を良好な泡状として吐出することができる。
【0045】
本発明のノズルをスプレーガン本体に装着する方法は特に限定されず、例えば、スプレーガン本体に設けた凹部と、ノズルに設けた凸部(固定部材である)とが嵌合するようにして行われてもよいし、接着等によって行われてもよい。
【0046】
あるいは、本発明のノズルはスプレーガン本体と一体化して設けられてもよい。図6(a)は、本発明の泡噴射式スプレーガンの別の一例を模式的に示した斜視図である。図6(a)に示すように、スプレーガン本体610には、本発明のノズル6100の筒状部材が噴射口の周囲に突出形成されている。図6(b)は図6(a)においてノズルを一体化して備えるスプレーガン本体の部分拡大断面図である。スプレーガン本体610は液体を噴射するための噴射口611を備えており、さらにノズルの筒状部材6106を備えている。ノズルの筒状部材6106は噴射口側開口6107及び突出部6102を備える吐出口6101を有しており、スプレーガン本体610の噴射口611と噴射口側開口6107とが一体化することにより、筒状部材6106がスプレーガン本体610と一体化している。
【0047】
本発明のスプレーガンを使用して吐出される液体は、B型粘度計により測定した粘度が、回転数60rpm、25℃において、300mPa・s以下であることが好ましい。このような粘度を有する液体は、本発明のスプレーガンを使用して良好な泡の形成を行うことができ、またさらに、液体を噴射する作業性の観点からも好ましい。液体の粘度が高すぎると、対象物へ塗布された液体の定着性は良いが、吐出スピードが下がるために飛距離が短く、対象物にスプレーガンを近づけなければならない場合がある。本発明のスプレーガンを使用して吐出される液体は、より好ましくはB型粘度計により測定した粘度が、回転数60rpm、25℃において、200mPa・s以下であり、さらに好ましくは120mPa・s以下である。粘度の下限は、特に限定されないが、同条件の測定において0mPa・sよりも大きい、例えば1mPa・s以上とすることができる。
【0048】
本発明のスプレーガンを使用して吐出される液体には、例えば、液体洗浄剤組成物が挙げられる。このような液体洗浄剤組成物には、例えば、界面活性剤・金属イオン封鎖剤・溶剤・水などを含む液体洗浄剤組成物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、非イオン界面活性剤を5~30質量部、金属イオン封鎖剤を0.1~3質量部、アルコール系溶剤を0.1~5質量部、残部水を含む液体洗浄剤組成物、アニオン界面活性剤を1~10質量部、非イオン界面活性剤を1~15質量部、グリコール系溶剤を1~10質量部、残部水を含む液体洗浄剤組成物、非イオン界面活性剤を1~30質量部、カチオン界面活性剤1~10質量部、両性界面活性剤を1~10質量部、金属イオン封鎖剤を0.1~3質量部、残部水を含む液体洗浄剤組成物などを用いることができる。
【符号の説明】
【0049】
スプレーガン 1、501、511、601
ノズル 100、20100、21100、22100、23100、24100、25100、26100、27100、28100、29100、30100、50100、51100、6100
吐出口 101、20101、21101、22101、23101、24101、25101、26101、27101、28101、29101、30101、50101、51101、6101
突出部 102、20102、21102、22102、23102、24102、25102、26102、27102、28102、29102、30102、50102、51102、6102
筒状部材の内壁 103、20103、21103、22103、23103、24103、25103、26103、27103、28103、29103、30103、50103、6103
固定部材 104、50104、51104
回転防止部材 105、50105、51105
回転防止部材のスプレーガン本体側の端部 105a
筒状部材 106、50106、6106
噴射口側開口 107、50107、6107
スプレーガン本体の噴射口の周囲に突出形成されたさらなる筒状部材 108、5108
スプレーガン本体 10、510、5110、610
噴射口 11、511、5111、611
凹部 12、5012、5112
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5
図6