(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】情報再生プログラム、情報再生方法、情報処理装置及びデータ構造
(51)【国際特許分類】
H04N 21/438 20110101AFI20241022BHJP
【FI】
H04N21/438
(21)【出願番号】P 2020176641
(22)【出願日】2020-10-21
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
(74)【代理人】
【識別番号】100180758
【氏名又は名称】荒木 利之
(72)【発明者】
【氏名】高津 弘明
(72)【発明者】
【氏名】小林 哲則
(72)【発明者】
【氏名】藤江 真也
(72)【発明者】
【氏名】松山 洋一
【審査官】富樫 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-256421(JP,A)
【文献】特開2010-073192(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0036659(US,A1)
【文献】国際公開第2016/104193(WO,A1)
【文献】佐伯真於他,音声対話情報提供システムにおけるシステム応答速度の情報伝達効率への影響の分析,情報処理学会研究報告[オンライン],2019年07月,Vol.2019-SLP-128, No.3,pp.1-4,[検索日2021.12.23], インターネット<URL:http://id.nii.ac.jp/1001/00197954/>
【文献】高津弘明他,意図性の異なる多様な情報行動を可能とする音声対話システム,2016年度人工知能学会全国大会(第30回)論文集[CD-ROM],2016年06月,pp.1-4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 ー 21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
文書が予め定められた単位に分割され、当該単位を含むシナリオ情報であって、
当該単位のそれぞれに対して再生指示情報が設定された当該シナリオ情報について、当該再生指示情報に基づいて当該シナリオ情報の当該単位を順次再生する再生手段と、
再生された内容に対する利用者の反応を取得する反応取得手段と、
前記反応取得手段が取得した前記反応の内容及び再生内容に対する当該反応のタイミングに応じて当該反応の内容を解析する解析手段と、
前記解析手段の解析結果に応じて、前記シナリオ情報の単位から前記反応に対する単位を選択する選択手段として機能させるとともに、
前記再生手段は、
前記解析の結果に応じて前記再生指示情報に基づく前記シナリオ情報の再生を中断し、
前記反応に対して前記選択手段が選択した単位を順次再生した後、
前記再生指示情報に基づく前記シナリオ情報の再生を再開する、
情報再生プログラム。
【請求項2】
前記再生手段が、前記反応に対して前記選択手段が選択した単位を再生した場合、当該再生した単位に基づいて前記シナリオ情報の前記再生指示情報の設定値を変更する再生指示情報変更手段としてさらに機能させ、
前記再生手段は、変更された前記再生指示情報に基づいて前記シナリオ情報の再生を再開する請求項1に記載の情報再生プログラム。
【請求項3】
前記シナリオ情報は、前記単位毎に前記再生指示情報に基づいて再生されない付加情報を更に有し、
前記選択手段は、前記解析結果に応じて前記付加情報を選択する請求項1に記載の情報再生プログラム。
【請求項4】
前記選択手段は、再生済みの単位を未再生の単位に対して非優先で選択する請求項3に記載の情報再生プログラム。
【請求項5】
予め得た前記利用者の嗜好に基づいて前記シナリオ情報の再生指示情報を変更する再生指示情報変更手段としてさらに機能させる請求項1から4のいずれか1項に記載の情報再生プログラム。
【請求項6】
前記シナリオ情報が再生された内容に対する反応より過去に前記反応取得手段が取得した反応に基づいて前記シナリオ情報の再生指示情報を変更する再生指示情報変更手段としてさらに機能させる請求項1から5のいずれか1項に記載の情報再生プログラム。
【請求項7】
前記再生手段は、前記解析手段の解析結果に応じて前記シナリオ情報以外の情報を再生する請求項1から6のいずれか1項に記載の情報再生プログラム。
【請求項8】
前記再生手段は、前記シナリオ情報以外の応答として、コマンド応答、テンプレート応答、補足応答、オープン応答及びデフォルト応答の少なくとも1つを行う請求項1から7のいずれか1項に記載の情報再生プログラム。
【請求項9】
前記再生手段は、前記シナリオ情報の再生制御を、自動で、前記利用者の操作に基づき、又は前記利用者の位置情報に基づき行う請求項1から8のいずれか1項に記載の情報再生プログラム。
【請求項10】
前記再生手段は、前記解析手段の解析結果に応じて前記再生指示情報に基づく前記シナリオ情報の中断を行わずに再生を継続する請求項1から9のいずれか1項に記載の情報再生プログラム。
【請求項11】
文書が予め定められた単位に分割され、当該単位を含むシナリオ情報であって、
当該単位のそれぞれに対して再生指示情報が設定された当該シナリオ情報について、当該再生指示情報に基づいて当該シナリオ情報の当該単位を順次再生する再生ステップと、
再生された内容に対する利用者の反応を取得する反応取得ステップと、
前記反応取得ステップで取得した前記反応の内容及び再生内容に対する当該反応のタイミングに応じて当該反応の内容を解析する解析ステップと、
前記解析ステップの解析結果に応じて、前記シナリオ情報の単位から前記反応に対する単位を選択する選択ステップとを有し、
前記再生指示情報に基づく前記シナリオ情報の再生を中断し、
前記反応に対して前記選択
ステップで選択した単位を順次再生した後、
前記再生指示情報に基づく前記シナリオ情報の再生を再開する応答再生ステップとを有する情報再生方法。
【請求項12】
文書が予め定められた単位に分割され、当該単位を含むシナリオ情報であって、
当該単位のそれぞれに対して再生指示情報が設定された当該シナリオ情報について、当該再生指示情報に基づいて当該シナリオ情報の当該単位を順次再生する再生手段と、
再生された内容に対する利用者の反応を取得する反応取得手段と、
前記反応取得手段が取得した前記反応の内容及び再生内容に対する当該反応のタイミングに応じて当該反応の内容を解析する解析手段と、
前記解析手段の解析結果に応じて、前記シナリオ情報の単位から前記反応に対する単位を選択する選択手段とを有し、
前記再生手段は、
前記再生指示情報に基づく前記シナリオ情報の再生を中断し、
前記反応に対して前記選択手段が選択した単位を順次再生した後、
前記再生指示情報に基づく前記シナリオ情報の再生を再開する、
情報処理装置
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報再生プログラム、情報再生方法、情報処理装置及びデータ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、文書情報を要約して音声にて再生するとともに、利用者の反応に対して音声にて応答する情報再生プログラムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
非特許文献1に開示された情報再生プログラムは、事前に用意された、ニュース記事等の文書情報を要約して作成される主計画と呼ばれる情報と、主計画文脈上での利用者の反応予測に基づいて作成される主計画を補足するための副計画と呼ばれる情報とを再生する。情報再生プログラムは、まず主計画を再生して情報を利用者に伝達し、その後、当該主計画に対する利用者の反応を受信した場合、当該反応の内容に応じて副計画を再生して質問応答、補足説明をし、又は反応の内容を反復して応答する。情報再生プログラムは、副計画による応答の後、再度主計画の再生を行い、利用者に情報を伝達するとともに、利用者の反応に適宜応答する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】高津弘明、福岡維新、藤江真也、林良彦、小林哲則、“意図性の異なる多様な情報行動を可能とする音声対話システム”、人工知能学会論文誌、33(1)、p.DSH‐C 1‐24、2018年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記情報再生プログラムによると、主計画の再生を行って利用者に情報を伝達するとともに、副計画を用いて利用者の反応に応答することで、情報提供側の意図に基づいた優先度で情報を提供し(主計画)、必要に応じて利用者の所望する情報を自然に提供するものの(副計画)、利用者の応答に即座に応答するために主計画及び副計画は予め生成されたものを用いており、再生のための情報生成コストが低いとは言えない、という問題があった。
【0006】
本発明の目的は、情報生成コストを抑制しつつ提供側の意図に基づいた優先度で情報提供を行い、かつ、必要に応じて利用者の所望する情報を提供する情報再生プログラム、情報再生方法、情報処理装置及びデータ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、以下の情報再生プログラム、情報再生方法、情報処理装置及びデータ構造を提供する。
【0008】
[1]コンピュータを、
文書が予め定められた単位に分割され、当該単位を含むシナリオ情報であって、
当該単位のそれぞれに対して再生指示情報が設定された当該シナリオ情報について、当該再生指示情報に基づいて当該シナリオ情報の当該単位を順次再生する再生手段と、
再生された内容に対する利用者の反応を取得する反応取得手段と、
前記反応取得手段が取得した前記反応の内容及び再生内容に対する当該反応のタイミングに応じて当該反応の内容を解析する解析手段と、
前記解析手段の解析結果に応じて、前記シナリオ情報の単位から前記反応に対する単位を選択する選択手段として機能させるとともに、
前記再生手段は、
前記解析の結果に応じて前記再生指示情報に基づく前記シナリオ情報の再生を中断し、
前記反応に対して前記選択手段が選択した単位を順次再生した後、
前記再生指示情報に基づく前記シナリオ情報の再生を再開する、
情報再生プログラム。
[2]前記再生手段が、前記反応に対して前記選択手段が選択した単位を再生した場合、当該再生した単位に基づいて前記シナリオ情報の前記再生指示情報の設定値を変更する再生指示情報変更手段としてさらに機能させ、
前記再生手段は、変更された前記再生指示情報に基づいて前記シナリオ情報の再生を再開する前記[1]に記載の情報再生プログラム。
[3]前記シナリオ情報は、前記単位毎に前記再生指示情報に基づいて再生されない付加情報を更に有し、
前記選択手段は、前記解析結果に応じて前記付加情報を選択する前記[1]に記載の情報再生プログラム。
[4]前記選択手段は、再生済みの単位を未再生の単位に対して非優先で選択する前記[3]に記載の情報再生プログラム。
[5]予め得た前記利用者の嗜好に基づいて前記シナリオ情報の再生指示情報を変更する再生指示情報変更手段としてさらに機能させる前記[1]から[4]のいずれかに記載の情報再生プログラム。
[6]前記シナリオ情報が再生された内容に対する反応より過去に前記反応取得手段が取得した反応に基づいて前記シナリオ情報の再生指示情報を変更する再生指示情報変更手段としてさらに機能させる前記[1]から[5]のいずれかに記載の情報再生プログラム。
[7]前記再生手段は、前記解析手段の解析結果に応じて前記シナリオ情報以外の情報を再生する前記[1]から[6]のいずれかに記載の情報再生プログラム。
[8]前記再生手段は、前記シナリオ情報以外の応答として、コマンド応答、テンプレート応答、補足応答、オープン応答及びデフォルト応答の少なくとも1つを行う前記[1]から[7]のいずれかに記載の情報再生プログラム。
[9]前記再生手段は、前記シナリオ情報の再生制御を、自動で、前記利用者の操作に基づき、又は前記利用者の位置情報に基づき行う前記[1]から[8]のいずれかに記載の情報再生プログラム。
[10]前記再生手段は、前記解析手段の解析結果に応じて前記再生指示情報に基づく前記シナリオ情報の中断を行わずに再生を継続する前記[1]から[9]のいずれかに記載の情報再生プログラム。
[11]文書が予め定められた単位に分割され、当該単位を含むシナリオ情報であって、
当該単位のそれぞれに対して再生指示情報が設定された当該シナリオ情報について、当該再生指示情報に基づいて当該シナリオ情報の当該単位を順次再生する再生ステップと、
再生された内容に対する利用者の反応を取得する反応取得ステップと、
前記反応取得ステップで取得した前記反応の内容及び再生内容に対する当該反応のタイミングに応じて当該反応の内容を解析する解析ステップと、
前記解析ステップの解析結果に応じて、前記シナリオ情報の単位から前記反応に対する単位を選択する選択ステップとを有し、
前記再生指示情報に基づく前記シナリオ情報の再生を中断し、
前記反応に対して前記選択ステップで選択した単位を順次再生した後、
前記再生指示情報に基づく前記シナリオ情報の再生を再開する応答再生ステップとを有する情報再生方法。
[12]文書が予め定められた単位に分割され、当該単位を含むシナリオ情報であって、
当該単位のそれぞれに対して再生指示情報が設定された当該シナリオ情報について、当該再生指示情報に基づいて当該シナリオ情報の当該単位を順次再生する再生手段と、
再生された内容に対する利用者の反応を取得する反応取得手段と、
前記反応取得手段が取得した前記反応の内容及び再生内容に対する当該反応のタイミングに応じて当該反応の内容を解析する解析手段と、
前記解析手段の解析結果に応じて、前記シナリオ情報の単位から前記反応に対する単位を選択する選択手段とを有し、
前記再生手段は、
前記再生指示情報に基づく前記シナリオ情報の再生を中断し、
前記反応に対して前記選択手段が選択した単位を順次再生した後、
前記再生指示情報に基づく前記シナリオ情報の再生を再開する、
情報処理装置。
【発明の効果】
【0009】
本願発明によれば、情報生成コストを抑制しつつ提供側の意図に基づいた優先度で情報提供を行い、かつ、必要に応じて利用者の所望する情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る情報配信システムの構成の一例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る端末の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る情報配信サーバの構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、シナリオ情報の生成動作の概略を説明するための図である。
【
図5】
図5は、コンテンツ情報の分割動作及びシナリオ情報の生成動作の概略を説明するための図である。
【
図6】
図6は、再生指示情報が設定されたシナリオ情報の構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、シナリオ情報の再生動作例を示す概略図である。
【
図8】
図8は、シナリオ情報の再生動作例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、シナリオ情報の再生動作例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、反応解析の動作例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、単位選択の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施の形態]
(情報配信システムの構成)
図1は、実施の形態に係る情報配信システムの構成の一例を示す概略図である。
【0012】
この情報配信システム5は、端末1と、情報配信サーバ2と、コンテンツデータベース3とをネットワーク4によって互いに通信可能に接続することで構成される。端末1は、利用者6によって操作される。
【0013】
端末1は、スマートフォン、タブレット端末、PC(Personal Computer)等の情報処理装置であって、本体内に情報を処理するための機能を有するCPU(Central Processing Unit)やフラッシュメモリ等の電子部品を備える。また、端末1は、持ち運び可能な機器の他、スマートスピーカーやネットワーク通信対応のテレビ等の備え付け型の機器であってもよい。なお、端末1は、後述するシナリオ情報(111)を再生可能な装置であれば必要な部品のみで構成された再生専用機であってもよい。
【0014】
情報配信サーバ2は、サーバ型の情報処理装置であり、端末1又は図示しない外部端末の要求に応じて動作するものであって、本体内に情報を処理するための機能を有するCPUやフラッシュメモリ等の電子部品を備える。情報配信サーバ2は、主にコンテンツデータベース3からコンテンツを取得して、当該コンテンツに基づきシナリオ情報(212)を生成して端末1に配信するものである。
【0015】
コンテンツデータベース3は、コンテンツとして、例えば、ニュース記事等の内容である文書情報を格納する。当該文書情報は、定期的に新たな情報が図示しない外部装置より追加される。
【0016】
ネットワーク4は、高速通信が可能な通信ネットワークであり、例えば、インターネット、イントラネットやLAN(Local Area Network)等の有線又は無線の通信網である。
【0017】
上記構成において、一例として、情報配信サーバ2は、コンテンツデータベース3から文書情報としてコンテンツ情報を取得し、コンテンツ情報を予め定めた単位に分割するとともに、当該単位に再生指示情報を設定することで再生する内容を要約したシナリオ情報(212)を生成する。また、情報配信サーバ2は、端末1の要求に応じて生成したシナリオ情報(212)を端末1に配信する。次に、端末1は、シナリオ情報(212)を受信して、当該シナリオ情報(111)を設定された再生指示情報に基づいて再生し、要約された内容を利用者6に伝達する。利用者6が再生内容を聴き、相槌、疑問、質問等を発話すると、端末1は当該発話を反応として取得し、当該反応を解析して、シナリオ情報(111)の再生指示情報に基づく再生を中断し、適切な応答を、シナリオ情報(111)内を検索して、必要な場合はシナリオ情報(111)外を検索して反応に対して応答する。端末1は、応答後にシナリオ情報(111)の再生指示情報に基づく再生を再開する。なお、当該再生指示情報は必要に応じて応答内容に応じて書き換えられるものとする。以降、構成についてさらに詳しく説明する。
【0018】
(端末の構成)
図2は、実施の形態に係る端末1の構成例を示すブロック図である。
【0019】
端末1は、CPU等から構成され、各部を制御するとともに、各種のプログラムを実行する制御部10と、フラッシュメモリ等の記憶媒体から構成され情報を記憶する記憶部11と、文字や画像を表示するLCD(Liquid Crystal Display)等の表示部12と、利用者6の操作を受け付けて操作信号を出力するタッチパネル、ボタン又はダイヤル等の操作部13と、音声を出力するスピーカー又は(優先又は無線の)イヤホン接続部等である音声出力部14と、音声の入力を受け付けるマイク等の音声入力部15と、ネットワーク4を介して外部と通信する通信部16とを備える。
【0020】
制御部10は、後述する情報再生プログラム110を実行することで、シナリオ情報取得手段100、シナリオ情報再生手段101、反応取得手段102、反応解析手段103、単位選択手段104、応答再生手段105、再生指示情報変更手段106等として機能する。
【0021】
シナリオ情報取得手段100は、通信部16及びネットワーク4を介して情報配信サーバ2に後述するシナリオ情報(212)の取得要求をし、シナリオ情報212を取得して記憶部11にシナリオ情報111として格納する。シナリオ情報111の構成例については後述する。
【0022】
シナリオ情報再生手段101は、シナリオ情報111をまず後述する再生指示情報に基づいて再生し、音声出力部14から再生内容に応じて音声の出力制御を行う。なお、シナリオ情報111として音声情報を主とした情報について実施の形態を説明するが、音声情報に限らず映像情報であってもよいし、テキスト情報、画像情報又はこれらを組み合わせた情報であってもよい。
【0023】
反応取得手段102は、音声入力部15を介して、シナリオ情報111の再生内容に対する反応として主に利用者6の発する音声を取得し、反応情報112として記憶部11に格納する。また、反応取得手段102が取得する反応として音声情報を主として実施の形態を説明するが、利用者6の反応であれば音声情報に限らず、利用者6の操作部13に対する操作内容、利用者6の表情やジェスチャー等を撮影した映像情報であってもよい。
【0024】
反応解析手段103は、反応取得手段102が取得した反応情報112を解析し、反応の種別とともに解析結果を解析結果情報113として記憶部11に格納する。なお、反応解析手段103の反応の解析動作については後述する。
【0025】
単位選択手段104は、後述するシナリオ応答が必要となった場合に、解析結果情報113に基づいてシナリオ情報111を構成する単位を選択する。なお、単位選択手段104の単位選択動作については後述する。
【0026】
応答再生手段105は、シナリオ応答の場合には単位選択手段104が選択した単位を、他の種類の応答が必要となった場合には後述する他の内容を、利用者6の反応に対する応答として再生する。また、応答再生手段105は、反応解析手段103が応答不要と判断した場合には応答しない。
【0027】
再生指示情報変更手段106は、応答再生手段105が応答した場合に、応答の内容(単位選択手段104によって選択された単位)に基づいてシナリオ情報111の再生指示情報を変更する。変更内容は後述する。また、再生指示情報変更手段106は、過去に再生したシナリオ情報111に対する反応情報112及び解析結果情報113に基づいて、未再生のシナリオ情報111のジャンル、内容、情報量等の情報と照合して、再生指示情報2120を利用者の趣味嗜好に合わせて変更するようにしてもよい。
【0028】
記憶部11は、制御部10を上述した各手段100‐106として動作させる情報再生プログラム110、シナリオ情報111、反応情報112、解析結果情報113等を記憶する。
【0029】
(情報配信サーバの構成)
図3は、実施の形態に係る情報配信サーバ2の構成例を示すブロック図である。
【0030】
情報配信サーバ2は、CPU等から構成され、各部を制御するとともに、各種のプログラムを実行する制御部20と、フラッシュメモリ等の記憶媒体から構成され情報を記憶する記憶部21と、ネットワーク4を介して外部と通信する通信部22とを備える。
【0031】
制御部20は、後述する情報配信プログラム210を実行することで、コンテンツ情報取得手段200、コンテンツ情報分割手段201、シナリオ情報生成手段202、再生指示情報設定手段203、反応取得手段204、反応解析手段205、シナリオ情報配信手段206等として機能する。
【0032】
コンテンツ情報取得手段200は、通信部22及びネットワーク4を介してコンテンツデータベース3にコンテンツ情報の取得要求をし、コンテンツ情報を取得して記憶部11にコンテンツ情報211として格納する。コンテンツ情報211の構成例については後述する。
【0033】
コンテンツ情報分割手段201は、文書情報であるコンテンツ情報211を、例えば、文、文節、単語等の予め定めた単位に分割する。なお、コンテンツ情報211がテキスト以外の映像、音声、画像等のコンテンツである場合は、コンテンツの種類にそれぞれ適した単位(映像であればチャプター、シーン、コマ、フレーム等、音声であればトラック、小節等、画像であれば画像範囲、ピクセル等)で分割する。
【0034】
シナリオ情報生成手段202は、コンテンツ情報分割手段201によって分割された単位に対して再生の有無、再生順等の付随情報(再生指示情報)を付与して、また必要に応じて言い回しを例えば口語調に変える等して、シナリオ情報212を生成する。
【0035】
また、シナリオ情報生成手段202は、さらに分割された単位に対して自動的に付加情報を付与する他、オーサリングツール(図示せず)を用いてオペレータが編集した定義等の付加情報を受けて付与することができる。
【0036】
また、シナリオ情報生成手段202は、単位の集合(発話節)を音声情報に変換した音声ファイルを生成し、当該音声ファイルに対するリンク情報をシナリオ情報212の項目として有する例を説明するが、シナリオ情報212は音声ファイルのリンクを項目として有さず、単位の集合をテキスト情報で保持して、再生装置においてテキスト情報から音声を再生するものであってもよい。
【0037】
なお、シナリオ情報生成手段202は、1つのコンテンツ情報211から1つのシナリオ情報212を生成する例を以降説明するが、複数のコンテンツ情報211から1つのシナリオ情報212を生成してもよいし、1つのコンテンツ情報211から複数のシナリオ情報212を生成してもよい。
【0038】
再生指示情報設定手段203は、予め定めた基準に基づいてコンテンツ情報211の内容を要約するべく、シナリオ情報212の付随情報に対して単位毎又は複数の単位毎に再生の有無、再生順等の再生指示情報を設定する。予め定めた基準は、サービス提供側で定めた重要度、再生時間の長さ、興味、理解度、文数、文字数及びこれらの組み合わせであってもよいし、利用者6によって選択された上記基準及びアンケート等で得られる趣味、嗜好でもあってもよく、基準は1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0039】
反応取得手段204は、利用者6の再生中のシナリオ情報111に対する反応情報112又は過去の再生に対する反応情報112を端末1から取得して記憶部21に反応情報213として格納する。
【0040】
反応解析手段205は、反応取得手段204が取得した反応を解析し、解析結果を解析結果情報214として記憶部21に格納する。
【0041】
シナリオ情報配信手段206は、端末1に対してシナリオ情報212を配信する。
【0042】
記憶部21は、制御部20を上述した各手段200‐206として動作させる情報配信プログラム210、コンテンツ情報211、シナリオ情報212、反応情報213、解析結果情報214等を記憶する。
【0043】
(情報処理装置の動作)
次に、本実施の形態の作用を、(1)シナリオ情報生成動作、(2)シナリオ情報再生動作、(3)その他動作に分けて説明する。
【0044】
(1)シナリオ情報生成動作
まず、情報配信サーバ2のコンテンツ情報取得手段200は、端末1に配信するためのシナリオ情報212を生成するため、コンテンツデータベース3からコンテンツ情報を取得する。取得した情報は、記憶部21にコンテンツ情報211として格納される。コンテンツ情報211は、例えば、テキストで構成された文書情報であって、ニュース、旅行ガイド、英会話等の内容であるものとする。
【0045】
次に、コンテンツ情報分割手段201の分割動作及びシナリオ情報生成手段202の生成動作によりコンテンツ情報211からシナリオ情報212が生成される。
【0046】
図4は、シナリオ情報212の生成動作の概略を説明するための図である。
【0047】
上記分割動作及び生成動作により、コンテンツ情報211a、211b、211c、…211dからそれぞれシナリオ情報212a、212b、212c、…212dが生成される。以下、分割動作及び生成動作についてそれぞれ説明する。
【0048】
図5は、コンテンツ情報211の分割動作及びシナリオ情報212の生成動作の概略を説明するための図である。
【0049】
まず、コンテンツ情報分割手段201は、コンテンツ情報211aを、例えば、段落、文、文節、単語等の予め定めた単位に分割する。
【0050】
次に、シナリオ情報生成手段202は、コンテンツ情報分割手段201によって分割された単位に対して再生の有無、再生順等の項目の付随情報を付与してシナリオ情報212aを生成する。また、シナリオ情報生成手段202は、各単位のテキストを口語調に変換し、口語調に変換したテキストを音声化した音声ファイルにして当該音声ファイルにアクセスするためのリンクをシナリオ情報212aに記録する。
【0051】
具体的には、シナリオ情報生成手段202が最初に生成するのは、
図6に示すシナリオ情報212であり、再生の有無、再生順等の再生指示情報2120が設定されていないものであり、再生指示情報設定手段203によって再生指示情報2120が設定されることでシナリオ情報212の生成が完了する。再生指示情報2120のうちの選択文節が「1」に設定された単位を文節提示順序の順に再生することで要約された内容が再生され、再生指示情報2120のうちの選択文節が設定されていない単位は、当該再生された内容に対する利用者6の反応に対する応答に用いられる他、再生指示情報2120の変更によって後の再生にも用いられる。
【0052】
さらにシナリオ情報生成手段202は、利用者6の反応に応答するため、固有名詞や認知度の低いと思われる用語等を含む単位に対して、必要に応じて図示しない外部の情報データベースやインターネット上の情報提供サイトから情報を取得し、当該固有名詞や用語等の定義やトリビア等の情報を付加する。
【0053】
図6は、再生指示情報2120が設定されたシナリオ情報212の構成例を示す図である。
【0054】
シナリオ情報212aは、文書情報(コンテンツ情報211)を識別するための文書IDと、文書中の段落を識別するための「段落ID」と、伝達することが選択された文に「1」が付与される「選択文」と、再生により利用者に伝達されたか否かを示す「文の内容を伝達したか否か」と、文を識別するための「文ID」と、文節を識別するための「文節ID」と、再生することが選択された文節に「1」が付与される「選択文節」と、再生する順序を示す「文節提示順序」と、発話節を識別するための「発話節ID」と、当該発話節IDの音声情報にリンクするための「リンクする合成音声ファイルの名称」と、元の文節の内容を口語調に変換した結果である「口語表現」と、次の文節との間に設ける間(ま)を示す「文節間の間(ま)」と、口語表現に変換する前の文節の内容を示す「元の文節の内容」とを有する。ここで、選択文は、再生指示情報設定手段203によって設定されるものであり、予め定めた基準に基づいて付与されるものである。例えば、基準が重要度の場合は、重要な情報を含む文(予め定めた基準により重要と判断された文)が「1」となり、そうでない文は「0」となる。基準が利用者の興味である場合は、興味ありと判断された情報を含む文(予め定めた基準により興味ありと判断された文)が「1」となり、そうでない文は「0」となる。また、基準はその他の基準であってもよいし、重要度、興味度及びその他の基準の組み合わせでもよい。
【0055】
上記の項目のうち、選択文節、文節提示順序、発話節ID、リンクする合成音声ファイルの名称、口語表現、文節間の間(ま)の値は、シナリオ情報生成手段202によって設定されるものであって、これらを再生指示情報2120と呼ぶが、再生指示情報2120はさらに選択文等の他の項目を含むものであってもよいし、上記の項目から選択された一部の項目であってもよい。
【0056】
また、シナリオ情報212aは、必要に応じて付加された付加情報2121を有する。付加情報2121は、文節の内容の定義を示す「定義」と、当該定義の内容を示す音声情報にリンクするための「リンクする定義の合成音声ファイルの名称」と、文節の内容に関連する雑学、豆知識等を示す「トリビア」と、その他の情報を含む。また、これら各々の定義等に対してその応答履歴(図示せず)が必要に応じて記録される。つまり、シナリオ情報212aの項目「文の内容を伝達したか否か」(単位の伝達履歴)とは別に応答履歴が記録される。
【0057】
(2)シナリオ情報再生動作
次に、端末1のシナリオ情報取得手段100は、利用者6の操作に応じて又は定期的に、通信部16及びネットワーク4を介して情報配信サーバ2にシナリオ情報212の取得要求をする。
【0058】
情報配信サーバ2のシナリオ情報配信手段206は、シナリオ情報212の取得要求を受け付けると、端末1に対してシナリオ情報212を配信する。
【0059】
端末1のシナリオ情報取得手段100は、シナリオ情報212を取得して記憶部11にシナリオ情報111として格納する。
【0060】
次に、端末1のシナリオ情報再生手段101は、利用者6の操作に応じて又は端末1の位置情報、音声入力部15に入力された音声、通信部16を介して入力された情報等の他のトリガーに応じてシナリオ情報111を再生する。
【0061】
図7は、シナリオ情報111の再生動作例を示す概略図である。
図8は、シナリオ情報111の再生動作例を示すフローチャートである。
【0062】
シナリオ情報再生手段101は、複数のシナリオ情報111a、111b、111c…のうち、まず、文書ID=1のシナリオ情報111aを再生すべく、m=1に設定し(S10)、利用者6に対して新たなコンテンツが始まることを示すために、例えば、電子音やメロディ等の区切り音を再生してから(S11)、第m番目(m=1)の文書IDであるシナリオ情報111aを再生する(S12)。シナリオ情報再生手段101は、再生指示情報2120(再生順、再生の有無)に基づいてシナリオ情報111aを発話節ID毎に再生し、音声出力部14から再生内容に応じて音声の出力制御を行う。上記ステップS11、S12は、最後の文書ID=Mになるまで繰り返される(S13、S14)。なお、利用者6によって再生を停止する操作がなされた場合は、後述するコマンド応答(
図10、S31)により文書ID=Mに至る前であっても再生を停止する。また、同様に利用者6によって「次のニュース」「前のニュース」「最初から」などの文書の送り、巻き戻し操作がなされた場合は、第m番目の文書の再生中であっても「m=m+1」「m=m‐1」「m=m」のように再生するシナリオ情報111を切り替える。さらに、隣り合う文書だけでなく、特定の文書にジャンプして再生するシナリオ情報111を切り替えるようにしてもよい。
【0063】
また、上記第m番目の文書IDのシナリオ情報111の再生中(ステップS12)に利用者6の発話による反応があった場合、以下の
図9に示すように当該反応に対して応答する。
【0064】
図9は、シナリオ情報111の再生動作例を示すフローチャートである。
【0065】
シナリオ情報再生手段101は、複数の発話節のうち、まず発話節ID=1の発話節を再生すべく、n=1に設定し(S20)、シナリオ情報111から発話節IDに該当するリンクされた合成音声ファイルを取得して再生する(S21)。また、シナリオ情報再生手段101は、再生が完了するとシナリオ情報111の項目「文の内容を伝達したか否か」を動作開始時点で「未伝達」であったものを「伝達」に書き換える。
【0066】
図7で示すように、ステップS21で再生される合成音声ファイルは、例えば、「1‐1‐1‐1.wav」であり、「α社が3DS向けにSuicaとかと連携するゲームソフトを開発するらしいよ」といった内容101a
1が再生される。後述するステップS24、S25に示すように、順次、間(ま)を挟んで、合成音声ファイル「1‐1‐2‐1.wav」の内容101a
2、合成音声ファイル「1‐1‐2‐2.wav」の内容101a
3…が再生される。
【0067】
利用者6は、再生された音声を聴き、再生中の発話節の途中で相槌、質問、疑問、操作命令等があれば割込の反応(
図7に示す利用者反応102b
1、102b
3)として発話する。また、利用者6は、発話節と発話節の間(ま)で相槌、質問、疑問、操作命令等があれば反応(
図7に示す利用者反応102b
2、102c
1、102c
2)として発話する。当該反応は端末1の音声入力部15によって反応解析手段103に入力される。
【0068】
端末1の反応取得手段102は、音声入力部15を介して、シナリオ情報111の再生内容に対する反応を取得し、反応情報112として記憶部11に格納する。また、反応取得手段102は、利用者の反応した時刻と、発話節の再生時刻とを照合して、反応のタイミングに対応する発話節中の単位を特定して、反応情報112に書き込む(S22)。
【0069】
端末1の反応解析手段103は、反応取得手段102が取得した反応情報112を、利用者の発話を音声認識し(S23)、音声認識結果である発話の内容と、反応のタイミングに基づいて反応の内容を解析し、解析結果として予め定められた反応タイプに分類して、分類結果を解析結果情報113として記憶部11に格納する(S24)。
【0070】
次に、シナリオ情報再生手段101は、解析結果情報113の分類結果が、応答が必要なものである場合(S25;Yes)、再生を中断し(S26)、応答再生手段105は、解析結果情報113の分類結果に基づいて応答する(S27、
図7に示す応答再生101b
1、101b
2、101b
3)。なお、応答再生101b
4のように再生指示情報に基づく再生以外に、応答再生101b
3、101d
1に対して応答するものであってもよい。
【0071】
なお、ここで「中断」とは、シナリオ情報111の再生中であれば、シナリオ情報再生手段101は、必要に応じて発話節の途中であっても再生を一時停止することを含む。また、情報再生手段101は、中断した後に応答し(S27)、その後に再生を再開する(S28)。また、現在再生中の発話節を再生完了した後の間(ま)のタイミングであれば、当該発話節の再生は完了しているため一時停止は不要となるが、次の発話節の再生を行わずに応答(S27)の完了を待機するものであり、当該待機も「中断」に含むものとする。また、再生再開するシナリオ情報111は、応答再生手段105が再生した内容に応じて再生指示情報2120が書き換えられたものとすることが望ましく、書き換えの内容については後述する。
【0072】
また、シナリオ情報再生手段101は、解析結果情報113の分類結果が、応答が不要なものである場合(S25;No)、応答を行わず発話節の再生を継続する。
【0073】
上記ステップS21~S28は、最後の発話節ID=Nになるまで繰り返される(S29、S30)。なお、利用者6によって再生を停止する操作がなされた場合は、後述するコマンド応答(
図10、S31)により発話節ID=Nに至る前であっても再生を停止する。また、同様に利用者6によって「次の文」「前の文」「もう一回言って」などの発話節の送り、巻き戻し操作がなされた場合は、第n番目の文書の再生中であっても「n=n+1」「n=n‐1」「n=n」のように再生する発話節を切り替える。さらに、隣り合う発話節だけでなく、特定の発話節にジャンプして再生する発話節を切り替えるようにしてもよい。
【0074】
また、上記第n番目の発話節IDの音声を再生中に利用者の反応に対して応答する場合(ステップS27)、以下に説明するように分類結果に応じて適切な内容で応答する。
【0075】
図10は、反応解析の動作例を示すフローチャートである。
【0076】
次に、応答再生手段105は、解析結果情報113の分類結果に基づいて、コマンド応答、テンプレート応答、シナリオ応答、補足応答、オープン応答、デフォルト応答のいずれかにて応答する(S31~S36)。この際、いずれかの応答が終わればENDへ遷移する(図示せず)。なお、ステップS24の反応内容の解析及び分類は、動作の優先順位に従い下記S31~S36の順で行うものであってもよい。
【0077】
ここで、コマンド応答(S31)とは、反応タイプが「ちょっと待って」、「前に戻って」、「次の記事に進んで」等の操作命令であった場合の応答であり、当該反応を受け付けた旨の応答を返すとともに、操作命令に従って操作を行うものである。
【0078】
また、テンプレート応答(S32)とは、反応が予め定めたルールに当てはまる場合の応答であり、ルールに則って応答を返すものである。例えば、反応に形容詞が含まれている場合、「面白い」の反応に対して「面白いよね」のように同じ表現を繰り返すことで応答する。反応が確認を伴う形容詞である場合、「~と思うよ」のように応答する。また、反応が自己開示の場合、「そうなんだね」と応答する。また、反応が「~と思う」のような意見の場合、「うん、そうだね」と応答する。また、反応が「~べきだ」のような意見の場合、「うん、そうすべきだと思う」と応答する。また、反応が「~べきでない」のような意見の場合、「うん、まあ、そうだよね」と応答する。
【0079】
また、シナリオ応答(S33)とは、シナリオ情報111を用いて行う応答であり、以下の
図11を用いて詳細に説明する。応答再生手段105は、
図11において単位選択手段104が選択した単位を、利用者6の反応に対する応答として再生する。
【0080】
また、補足応答(S34)とは、類似度に基づく応答、情報付加による応答、名詞反復による応答、エラーハンドリングによる応答等を含む。
【0081】
類似度に基づく応答は、反応に含まれる内容語と、シナリオ情報111中の文との類似度が予め定めた閾値以上である文のうち最も類似度の高い文を応答する。また、情報付加による応答は、反応に再生中の文に興味があるような形容詞が含まれる場合(例えば「面白いな」)や、反応が「それで」又は「あとは」のように再生を促すような言葉である場合、再生中の文と同段落の他の文を付加して再生することで応答する。
【0082】
また、名詞反復による応答は、反応が再生中の文に含まれる名詞である場合、当該名詞を「~」だとすると「そう、~」と応答する。また、エラーハンドリングによる応答は、反応が再生中の文の用語の言い間違いである場合、当該用語の反復や定義説明を応答する。例えば、「グルコラ」や「グルコラなんだって?」という反応に対して「グルコラファサチン」と応答し、「進行(しんこう)?」という反応に対して「神鋼っていうのは…」と応答する。
【0083】
また、オープン応答(S35)とは、シナリオ情報111に含まれない情報が回答となるような質問に対する応答であり、外部サービスを利用して回答を検索して応答するものである。
【0084】
また、デフォルト応答(S36)とは、反応が質問や確認であるが回答できない場合に、「それはちょっとわからない」と応答するものである。また、反応が質問や確認でなく、上記したいずれの応答もなされなかった場合に、「うん」と相槌により応答するものである。
【0085】
また、上記ステップS33においてシナリオ応答する場合、シナリオ情報111を用いて以下のように応答内容を決定する。
【0086】
図11は、単位選択の動作例を示すフローチャートである。
【0087】
単位選択手段104は、解析結果情報113に基づいて、利用者6の反応に対して、ステップS22において特定した単位に基づいて、シナリオ情報111を構成する単位から反応の回答となる単位を検索する(S40)。当該検索は、シナリオ情報再生手段101が再生済みの(再生指示情報2120が設定された)単位の履歴(図示せず)を辿り、当該再生済みの単位から検索する。
【0088】
例えば「α社って?」という利用者の反応があった場合、第1のパタンとして、反応の際にシナリオ情報再生手段101が再生していた単位(文節等)から再生の履歴を遡って、付加情報の中にある「α社」に関する定義が検索される。
【0089】
第2のパタンとして、反応の際にシナリオ情報再生手段101が再生していた単位(文節等)から再生の履歴を遡って、選択文節の値が「0」である単位のうち「α社」に関する説明が含まれる単位が検索される。
【0090】
上記ステップS40において検索結果が見つからない場合(S41;No)、単位選択手段104は、シナリオ情報111全体から検索する(S42)。これは、反応に応答すべき情報が未伝達の単位に含まれる場合があるためである。
【0091】
例えば「α社って?」という利用者の反応があった場合、第3のパタンとして、反応の際にシナリオ情報再生手段101が再生していた単位(文節等)より再生順が後にあり、未伝達の単位に含まれる「α社」に関する説明が検索される。
【0092】
これらの制御の結果、利用者の反応より以前にシナリオ情報再生手段101が再生した伝達済みの部分については付加情報が、未伝達の部分については、再生指示情報の再生指示の有無にかかわらず、シナリオ情報111の単位全体が再生の候補になり、付加された説明情報(付加情報)だけでなく、分割された文書情報自体も回答の素材とすることが可能となり、低コストで網羅性の高い自然な応答を実現するのに寄与する。
【0093】
単位選択手段104は、上記ステップS40、S42の検索結果である単位を応答する単位として選択する(S44)。
【0094】
選択の際、候補となる単位は、再生履歴や付加情報の履歴情報に基づき、既に再生済みかどうかを判別し、再生済みの単位や付加情報については、他の候補がない場合に限り、非優先的に選択される。なお、再生済みの単位や付加情報を選択から除外してもよく、この場合も非優先の選択の一種とする。一方、利用者6の反応が「~ってなんだっけ?」や「~をもう一度教えて」のように再生済みの単位や付加情報を要求する内容の場合は選択してもよい。
【0095】
上記ステップS42において検索結果が見つからない場合(S43;No)、単位選択手段104は、シナリオ情報111外の情報源として外部情報データベース等を検索する(S45)。
【0096】
再生指示情報変更手段106は、単位選択手段104によって選択された単位に基づいて又はシナリオ情報111外の検索結果に基づいてシナリオ情報111の選択文節、提示順序を書き換える(S46)。当該選択文節、提示順序の書き換えは、例えば、選択した単位と同内容を重複して伝達しないように行われるとともに、選択した単位とその後に続く内容との伝達順序を適正にするように行われる。また、選択文節、提示順序の書き換えは、伝達時間の上限を超えないように優先度に応じて選択を解除するものであってもよい。
【0097】
上記ステップS40~S45における応答は、具体的には、例えば、以下のような反応と応答が含まれる。
【0098】
反応が「誰が?」のように述語を含まない場合、再生中の発話節と最も近い文節に含まれる主語を回答として応答する。また、反応が「誰それ」、「何それ」のように名詞を指すものである場合、出現頻度の低さと固有表現クラスを考慮して回答として応答する。
【0099】
また、反応が「いつ」、「誰が」のように固有表現を問うものである場合、固有表現を抽出した結果に基づいて回答として応答する。また、反応が「なぜ?」のようにWhy型質問である場合、「~ので」や「~ため」のような手がかり語に着目してシナリオ情報111中から理由表現を抽出して回答として応答する。また、談話構造解析により、離れた文間の談話関係(「原因」「結果」など)を特定し、その結果に基づきwhy型等の質問に回答してもよい。
【0100】
また、反応が「α社ってどんな会社?」のように定義を問うものである場合、シナリオ情報111の付加情報2121を参照して定義やトリビアを回答として応答する。なお、反応がシナリオ情報111に含まれない情報を含む場合、
図7に示す応答再生101d
1のように、外部の情報データベースを検索して回答してもよい。
【0101】
また、反応が「それは~ということ?」のように真意の判定を要求するものである場合、含意矛盾認識の結果に基づいて回答を生成し、応答する。例えば、述語項構造に基づくマッチングで回答できる場合は、「そうだよ、~だよ」又は「いや違う、~だよ」のような回答を生成し、応答する。また、述語項構造に基づくマッチングで回答できない場合は、対象となる文に対する反応の内容語の被覆率を計算し、予め定めた第1の値以上の場合に「うん」と回答し、第1の値より小さく予め定めた第2の値以上である場合に「うん、たぶん」と回答し、第2の値より小さい場合に「うーん、どうだろう」と回答する。
【0102】
また、反応が「何+(助数詞)」のように程度を問うものである場合、「(数詞)+(数助詞)」にマッチする表現をシナリオ情報111から検索して応答とする。
【0103】
(3)その他動作
以上、シナリオ情報111を取得して再生する端末1の基本動作を説明したが、以下に説明するように、端末1は利用者6の趣味嗜好に合わせて取得したシナリオ情報111の再生指示情報2120を変更するものであってもよい。
【0104】
端末1の再生指示情報変更手段106は、過去に再生したシナリオ情報111に対する反応に基づいて生成された反応情報112及び解析結果情報113に基づいて、未再生のシナリオ情報111のジャンル、内容、情報量等の情報と照合して、再生指示情報2120を利用者の趣味嗜好に合わせて変更するようにしてもよい。また、現在再生中のシナリオ情報111に対する反応に基づいて生成された反応情報112及び解析結果情報113に基づいて、再生中のシナリオ情報111の再生指示情報2120を変更するものであってもよい。
【0105】
また、再生指示情報2120の変更は、以下に説明するように、シナリオ情報212の生成時に情報配信サーバ2で行われるものであってもよい。
【0106】
まず、情報配信サーバ2の反応取得手段204は、過去に再生したシナリオ情報111に対する反応に基づいて生成された反応情報112を端末1から取得して記憶部21に反応情報213として格納する。
【0107】
反応解析手段205は、反応取得手段204が取得した反応を解析し、解析結果を解析結果情報214として記憶部21に格納する。
【0108】
次に、再生指示情報設定手段203は、反応情報213及び解析結果情報214に基づいて再生指示情報2120を利用者の趣味嗜好に合わせて設定する。また、再生指示情報設定手段203は、利用者6に対して事前にアンケートを行い、得られた回答に基づいて再生指示情報2120を設定するものであってもよい。具体的にはアンケートで得られるプロフィール特徴量とシナリオ情報212の文の特徴量とに基づいて各文に対する利用者6の興味度を推定し、当該興味度を用いて再生指示情報2120を設定する。なお、アンケートを用いた再生指示情報変更は、端末1においてシナリオ情報111の再生指示情報2120を変更するものであってもよい。
【0109】
(実施の形態の効果)
上記した実施の形態によれば、情報配信サーバ2においてコンテンツ情報211を分割してシナリオ情報212を生成するとともに、当該シナリオ情報212に再生指示情報を設定することで再生する内容を要約したため、重要度等に応じて異なるシナリオ情報212を生成する必要がなく、例えば、利用者の反応に応答するために予め回答を用意する場合等に比べて、情報生成コストを抑制しつつ提供側の意図に基づいた優先度で情報提供を行うことができる。
【0110】
また、端末1において当該シナリオ情報212を取得してシナリオ情報111として再生指示情報に基づいて内容を再生するとともに、利用者6の反応に対してシナリオ情報111から回答となる単位を検索して選択し、選択された単位を用いて回答を応答するようにしたため、必要に応じて利用者の所望する情報を提供することができる。
【0111】
一方、状態遷移型の従来技術では、利用者の反応を予め想定し、当該反応に対する回答を分岐による判断をもって特定して、さらに回答を予め準備する必要があり、本願の適用対象の一つであるニュース配信等のような情報伝達用途のシステムを実現するには、分岐判断の作成及び回答の作成コスト、作成時間が膨大となり実用に向いているとは言えない。
【0112】
また、端末1で応答を行った後、シナリオ情報111の再生指示情報を変更するようにしたため、応答内容に応じて、再生指示情報に基づく再生内容の順序の適正化や内容の重複防止等が可能となる。
【0113】
また、情報配信サーバ2においてシナリオ情報212を生成する際にアンケートや過去又は現在の反応情報213を解析して解析結果情報214に基づいて再生指示情報を設定するようにしたため、再生指示情報が異なるだけで利用者毎に異なるシナリオ情報111を生成する必要がないため情報生成コストを抑制しつつ、利用者の趣味嗜好を反映することができる。また、同様に端末1においてシナリオ情報111を再生する前又は再生中に反応情報112を解析して解析結果情報113に基づいて再生指示情報を変更するようにしたため、情報生成コストを抑制しつつ、利用者の趣味嗜好を反映することができる。
【0114】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々な変形が可能である。
【0115】
上記実施の形態では制御部10の各手段100~106の機能及び制御部20の各手段200~206の機能をプログラムで実現したが、各手段の全て又は一部をASIC等のハードウエアによって実現してもよい。また、上記実施の形態で用いたプログラムをCD‐ROM等の記録媒体に記憶して提供することもできる。また、上記実施の形態で説明した上記ステップの入れ替え、削除、追加等は本発明の要旨を変更しない範囲内で可能である。
【0116】
また、端末1の制御部10の各手段100~106の機能は、必ずしも端末1上で実現する必要はなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で情報配信サーバ2上で実現してもよい。また、同様に情報配信サーバ2の制御部20の各手段200~206の機能は、必ずしも情報配信サーバ2上で実現する必要はなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で、端末1上で実現してもよい。
【符号の説明】
【0117】
1 :端末
2 :情報配信サーバ
3 :コンテンツデータベース
4 :ネットワーク
5 :情報配信システム
6 :利用者
10 :制御部
11 :記憶部
12 :表示部
13 :操作部
14 :音声出力部
15 :音声入力部
16 :通信部
20 :制御部
21 :記憶部
22 :通信部
100 :シナリオ情報取得手段
101 :シナリオ情報再生手段
102 :反応取得手段
103 :反応解析手段
104 :単位選択手段
105 :応答再生手段
106 :再生指示情報変更手段
110 :情報再生プログラム
111 :シナリオ情報
112 :反応情報
113 :解析結果情報
200 :コンテンツ情報取得手段
201 :コンテンツ情報分割手段
202 :シナリオ情報生成手段
203 :再生指示情報設定手段
204 :反応取得手段
205 :反応解析手段
206 :シナリオ情報配信手段
210 :情報配信プログラム
211 :コンテンツ情報
212 :シナリオ情報
213 :反応情報
214 :解析結果情報
2120 :再生指示情報
2121 :付加情報