(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】ステアリングコラム装置
(51)【国際特許分類】
B62D 1/18 20060101AFI20241022BHJP
B62D 1/184 20060101ALI20241022BHJP
B62D 1/185 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B62D1/18
B62D1/184
B62D1/185
(21)【出願番号】P 2020203606
(22)【出願日】2020-12-08
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000112082
【氏名又は名称】ヒルタ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】弁理士法人森特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 佳孝
(72)【発明者】
【氏名】荒木 功二
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 憲二
(72)【発明者】
【氏名】市成 浩典
(72)【発明者】
【氏名】春田 雄哉
(72)【発明者】
【氏名】樋口 哲也
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2014/125998(JP,A1)
【文献】特開2011-105122(JP,A)
【文献】特開2002-104205(JP,A)
【文献】特開2010-105662(JP,A)
【文献】特開2009-006847(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0122075(US,A1)
【文献】再公表特許第2006/011378(JP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0000366(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0204610(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102017219914(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/18
B62D 1/184
B62D 1/185
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリットが設けられた外筒と、
前記外筒に内包される内筒と、
前記外筒を締め付ける締付手段と、
を有するテレスコピック構造を備えたステアリングコラム装置であって、
前記スリットは、軸方向へ伸びた軸方向スリット、及び、周方向へ伸びた周方向スリットを含み、
前記周方向スリットは、2箇所以上に設けられ、
内筒挿入側の前記外筒の端面と最も近い一部の周方向スリットは、他の一部の周方向スリットより短く、
前記外筒は、前記軸方向スリット及び前記周方向スリットから構成される一続きのスリットにより形成された押圧片を有することを特徴とするステアリングコラム装置。
【請求項2】
前記スリットは、前記外筒の端面まで及ばないことを特徴とする請求項1記載のステアリングコラム装置。
【請求項3】
前記周方向スリットは、軸方向に対して直交しない方向へ伸びたことを特徴とする請求項1又は2記載のステアリングコラム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングコラム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等に設けられるステアリングコラム装置において、ステアリングホイールの位置を調整可能とするテレスコピック構造を備えるステアリングコラム装置が広く用いられている。
【0003】
ステアリングホイールの位置を調整するためのテレスコピック構造は、スリットが設けられた外筒と、外筒に内包される内筒と、外筒を締め付ける締付手段を備えることによって実現される場合がある。具体的には、締付手段により外筒を締め付けることによって、スリットを有する外筒は、内径が狭まるように弾性変形し、内筒に対して固定されることとなる。また、締付手段による外筒の締め付けを緩めることによって、外筒は、内筒に対する固定が解除され、軸方向へ変位可能となる。
【0004】
このようなステアリングコラム装置に関する従来技術として、特許文献1には、内筒(インナーコラム)と、外筒(アウタージャケット)と、スリットと、締付手段(ブラケット部)と、テーパ状の切欠を備える構成が提案されている。これらを備える構成により、特許文献1が開示するステアリングコラム装置(ステアリング装置)は、外筒の縮径を容易としつつ、外筒が大きく変形した場合においても破損の可能性を抑えることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1が開示するステアリングコラム装置において、外筒は、軸方向へ伸びたスリットとテーパ状の切欠を有するのみであるため、締付手段により外筒を締め付けた場合においても、外筒が内筒を保持する力は不十分となるおそれがある。
【0007】
本発明に係るステアリングコラム装置は、上記課題を解決するためになされたものであり、テレスコピック構造において、外筒が内筒を保持する力を高めるものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るステアリングコラム装置は、スリットが設けられた外筒と、外筒に内包される内筒と、外筒を締め付ける締付手段とを有するテレスコピック構造を備えたステアリングコラム装置であって、スリットは、軸方向へ伸びた軸方向スリット、及び、周方向へ伸びた周方向スリットを含み、周方向スリットは、2箇所以上に設けられ、外筒は、軸方向スリット及び周方向スリットから構成される一続きのスリットにより形成された押圧片を有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係るステアリングコラム装置において、スリットは、外筒の端面まで及ばないことが好ましい。
【0010】
本発明に係るステアリングコラム装置において、周方向スリットは、軸方向に対して直交しない方向へ伸びたことが好ましい。
【0011】
本発明に係るステアリングコラム装置において、内筒挿入側の外筒の端面と最も近い一部の周方向スリットは、他の一部の周方向スリットより短いことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るステアリングコラム装置において、スリットは、軸方向へ伸びた軸方向スリット、及び、周方向へ伸びた周方向スリットを含み、周方向スリットは、2箇所以上に設けられ、外筒は、軸方向スリット及び周方向スリットから構成される一続きのスリットにより形成される押圧片を有する。本発明に係るステアリングコラム装置は、押圧片により内筒を押圧することで、外筒が内筒を保持する力を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係るステアリングコラム装置の一例を示す正面図である。
【
図2】本例のステアリングコラム装置を示す側面図である。
【
図3】本例のステアリングコラム装置を示す底面図である。
【
図4】
図3のA-A線による本例のステアリングコラム装置における外筒を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。以下、本例のステアリングコラム装置において、
図1における図面上方向を上とし、
図1における図面下方向を下として説明する。また、
図2における図面左方向を車両前方側とし、
図2における図面右方向を車両後方側として説明する。
【0015】
本例のステアリングコラム装置は、ステアリングホイールの位置を調整するためのテレスコピック構造を備える構成となっているが、本発明のステアリングコラム装置は、本例の構成に限定されず、ステアリングホイールの傾きを調整するためのチルト構造を備えるものであってもよい。
【0016】
図1~3に示すように、本例のステアリングコラム装置10は、内筒20と、外筒30と、軸方向スリット40と、周方向スリット50a,50bと、締付手段60を備える。
【0017】
内筒20は、円筒状の形状となっている。内筒20は、ステアリングシャフトを回転可能に支持し、外筒30に内包される構成となっている。外筒30は、円筒状の形状となっている。内筒20の外径は、外筒30の内径よりも小さいため、外筒30は、内筒20を内包した状態においても、内筒20に対して軸方向へ変位することが可能となる。
【0018】
図3に示すように、軸方向へ伸びた軸方向スリット40、及び、周方向へ伸びた周方向スリット50a,50bは、外筒30に設けられる構成となっている。軸方向スリット40は、外筒30の底部に1箇所設けられる。周方向スリット50は、外筒30の底部に2箇所設けられる。一方の周方向スリット50aは、軸方向スリット40における車両後方側の端部を基端とし、周方向へ伸びた構成となっている。他方の周方向スリット50bは、軸方向スリット40における車両前方側の端部を基端とし、周方向へ伸びた構成となっている。
【0019】
以下、本例のステアリングコラム装置10において、軸方向スリット40を境界として、周方向スリット50a及び50bが伸びた先端方向である一方をスリット側bとし、他方を非スリット側aとする。
【0020】
本例のステアリングコラム装置10は、車体側プレート71を上方に有し、これにより、車体に対して固定される構成となっている。車体側プレート71は、ブラケット72を下方に有する。ブラケット72は、車体側プレート71の一部、及び、対向する一対の平板により構成され、断面視で略U字状の形状となっている。以下において、ブラケット72の内部とは、略U字状の形状であるブラケット72により囲まれた空間を表すものであり、ブラケット72の内側方向とは、ブラケット72を構成する一対の平板がそれぞれ向き合う方向を表すものである。
【0021】
外筒30は、非スリット側aの挟持板81a、及び、スリット側bの挟持板81bを下方に有する構成となっている。挟持板81a,81bは、外筒30の底部から下方へ伸び、ブラケット72の内側方向へそれぞれ屈曲しており、断面視で略L字状の形状となっている。挟持板81a,81bは、外筒30の軸方向へ伸びた長孔82を側面に有する構造となっている。
【0022】
挟持板81aは、一対の支持部材83a,83aをブラケット72の内側方向に有し、挟持板81bは、一対の支持部材83b,83bをブラケット72の内側方向に有する。支持部材83a,83bは、外筒30の周に沿うように湾曲した板状の形状となっており、挟持板81a,81bの側面に対して面が直交するように設けられる。一対の支持部材83a,83aは、挟持板81aが有する長孔82の両端部の付近にそれぞれ設けられ、一対の支持部材83b,83bは、挟持板81bが有する長孔82の両端部の付近にそれぞれ設けられる。一対の支持部材83a,83aの間隔は、一対の支持部材83b,83bの間隔より広い構成となっている。
【0023】
図1に示すように、締付手段60は、一対のカム板61a,61b、回転軸62、及び、操作レバー63により構成される。一方のカム板61aは、ブラケット72を構成する平板に対して固定され、他方のカム板61bは、回転軸62を有し、操作レバー63に対して固定される。一対のカム板61a,61bは、操作レバー63の回転操作に応じて、対向する凹凸の位置が変化する構造となっている。
【0024】
回転軸62は、ブラケット72の内側において、ブラケット72を構成する一対の平板の一方に対して固定され、他方を貫通し、挟持板81a及び81bの有する長孔82を通る構成となっている。ブラケット72を構成する一対の平板、及び、挟持板81a,81bは、互いに接触する構成となっている。挟持板81a,81bは、回転軸62が通された長孔82の範囲内において、軸方向へ変位することが可能であり、挟持板81a,81bを備える外筒30は、これと連動して、軸方向へ変位する構成となっている。
【0025】
締付手段60は、外筒30を締め付ける構成となっている。操作レバー63の回転操作により、対となるカム板61a,61bの凸及び凸が対向する位置関係となると、カム板61a,61bは、挟持板81aを押圧し、回転軸62により接続された挟持板81a及び81bを締め付ける。また、操作レバー63の回転操作により、対となるカム板61a,61bの凸及び凹が対向する位置関係となると、カム板61a,61bによる挟持板81aの押圧が解除され、回転軸62により接続された挟持板81a及び81bの締め付けが緩められる。
【0026】
締付手段60により、挟持板81a及び81bが締め付けられると、挟持板81a,81bの側面に対して面が直交するように設けられた支持部材83a,83bは、外筒30の周に沿うように湾曲した部分において、外筒30を内側に締め付ける。
【0027】
締付手段60により外筒30を締め付けることによって、軸方向スリット40及び周方向スリット50a,50bを有する外筒30は、内径が狭まるように弾性変形し、内筒20に対して固定されることとなる。また、締付手段60による外筒30の締め付けを緩めることによって、外筒30は、内筒20に対する固定が解除され、軸方向へ変位可能となる。これにより、本例のステアリングコラム装置10は、テレスコピック構造が実現される。
【0028】
本例のステアリングコラム装置10は、締付手段60として、一対のカム板61a,61b、回転軸62、及び、操作レバー63を用いる構成となっているが、本発明のステアリングコラム装置において、締付手段は、外筒を締め付けるものであれば、本例の構成に限定されない。
【0029】
図3に示すように、周方向スリット50a及び50bは、軸方向スリット40の端部を基端として、周方向へ伸びた構成となっている。これにより、軸方向スリット40、周方向スリット50a及び50bから構成される一続きのスリットは、両端部をスリット側bに有する略U字状の形状となる。また、これにより、外筒30は、略U字状のスリットにより形成される押圧片31をスリット側bに有する構成となっている。
【0030】
押圧片31は、略U字状のスリットにより形成され、外筒30における他の曲面から3辺が独立した略台形状の形状となっている。押圧片31は、外筒30における他の曲面から3辺が独立した形状となっているため、外筒30における他の曲面と比較すると、弾性変形が容易となっている。
【0031】
スリット側bに形成された押圧片31は、外筒30における他の曲面と比較すると、弾性変形が容易である。このため、締付手段60により、挟持板81a及び81bが締め付けられた場合において、スリット側bの挟持板81b及び支持部材83bは、非スリット側aの挟持板81a及び支持部材83aと比較すると、押圧片31の弾性変形に伴って大きく変位する構成となっている。また、スリット側bの挟持板81b及び支持部材83bにより締め付けられた押圧片31は、内筒20を押圧し、外筒30を内筒20に対して固定する構成となっている。こうした構成とすることで、本例のステアリングコラム装置10は、締付手段60により外筒30を締め付けた場合において、外筒30が内筒20を押圧する力の多くをスリット側bに位置する押圧片31に集中させることが可能となり、外筒30が内筒20を保持する力を高めることができる。
【0032】
本例のステアリングコラム装置10において、挟持板81a,81bは、支持部材83a,83bを有する構成となっている。また、支持部材83a,83bは、外筒30の周に沿うように湾曲した形状となっており、挟持板81a,81bの側面に対して面が直交するように設けられる。こうした構成とすることで、本例のステアリングコラム装置10は、締付手段60により挟持板81a,81bを締め付けた場合において、締め付けによる力を外筒30の非スリット側a、及び、押圧片31に効率良く伝えることが可能となり、外筒30が内筒20を保持する力を高めることができる。
【0033】
本例のステアリングコラム装置10において、支持部材83a,83bは、挟持板81a,81bの側面において、挟持板81a,81bが有する長孔82の端部と近い位置にそれぞれ2箇所ずつ設けられる構成となっている。こうした構成とすることで、外筒30の軸方向への変位によって、挟持板81a,81bが有する長孔82の端部に回転軸62が位置することとなった場合においても、支持部材83a,83bは、回転軸62を中心として締付手段60により締め付けられる挟持板81a,81bからの力を外筒30の非スリット側a、及び、押圧片31に効率良く伝えることが可能となり、外筒30が内筒20を保持する力を高めることができる。
【0034】
本例のステアリングコラム装置10において、非スリット側aに対となる支持部材83a,83aの間隔は、スリット側bに対となる支持部材83b,83bの間隔より広い構成となっている。こうした構成とすることで、非スリット側aに対となる支持部材83a,83aは、外筒30の非スリット側aを補強する部材として機能し、スリット側bに対となる支持部材83b,83bは、外筒30のスリット側b、及び、押圧片31を補強する部材として機能する。これにより、本例のステアリングコラム装置10は、外筒30に押圧片31を有する構成としながらも、外筒30の剛性が低下することを防止することができる。また、広い範囲において外筒30の非スリット側aを補強する支持部材83a,83aは、外筒30の非スリット側aが弾性変形することを抑制し、狭い範囲において外筒30のスリット側b、及び、押圧片31を補強する支持部材83b,83bは、スリット側bに位置する押圧片31の弾性変形を容易とする。これにより、本例のステアリングコラム装置10は、締付手段60により外筒30を締め付けた場合において、外筒30が内筒20を押圧する力の多くをスリット側bに位置する押圧片31に集中させることが可能となり、外筒30が内筒20を保持する力を高めることができる。
【0035】
図3に示すように、本例のステアリングコラム装置10において、軸方向スリット40及び周方向スリット50a,50bは、外筒30の端面まで及ばない構成となっている。スリットが外筒の端面まで及ぶ構成とすると、スリットにより分断された外筒の端部は剛性が低下することとなるが、本例のステアリングコラム装置10におけるスリットは、外筒30の端面まで及ばないため、本例のステアリングコラム装置10は、外筒30にスリットを設けた構成としながらも、外筒30の剛性が低下することを防止することができる。
【0036】
本例のステアリングコラム装置10において、周方向スリット50は、軸方向に対して直交しない方向へ伸びた構成となっている。
図3に示すように、周方向スリット50aは、軸方向スリット40における車両後方側の端部から周方向へ鈍角に屈曲して設けられたスリットであり、周方向スリット50bは、軸方向スリット40における車両前方側の端部から周方向へ鈍角に屈曲して設けられたスリットである。
【0037】
本例のステアリングコラム装置10において、周方向スリット50は、軸方向スリット40の端部から周方向へ鈍角に屈曲して設けられる構成となっているが、本発明のステアリングコラム装置において、周方向スリットが屈曲する角度は、本例の構成に限定されない。ただし、外筒30の剛性が低下することを防止し、外筒30が内筒20を保持した状態を安定させ、内筒20の端部が外筒30に設けられたスリットに引っ掛かることを防止するため、周方向スリットが周方向へ屈曲する角度は、135°~175°とするとより好ましい。
【0038】
周方向スリット50は、軸方向に対して直交しない方向へ伸びた構成となっている。こうした構成とすることで、
図4に示すように、外筒30は、軸方向に直交した方向への各断面において、スリットにより構成される範囲を少なくすることが可能となる。これにより、本例のステアリングコラム装置10は、スリットを設けることにより生じる剛性の低い部分を分散させることが可能となり、外筒30にスリットを設けた構成としながらも、外筒30の剛性が低下することを防止することができる。
【0039】
周方向スリット50は、軸方向スリット40の端部から周方向へ鈍角に屈曲して設けられる構成となっている。こうした構成とすることで、本例のステアリングコラム装置10は、締付手段60により外筒30を締め付けた場合において、押圧片31により内筒20を押圧する範囲を広めることが可能となり、外筒30が内筒20を保持した状態を安定させることができる。
【0040】
周方向スリット50は、軸方向に対して直交しない方向へ伸びた構成となっている。こうした構成とすることで、本例のステアリングコラム装置10は、外筒30を軸方向へ変位させた場合において、内筒20の端部が外筒30に設けられたスリットに引っ掛かることを防止することができる。
【0041】
図3に示すように、本例のステアリングコラム装置10において、内筒20が挿入される内筒挿入側の外筒30の端面と最も近い周方向スリット50bは、他の一部の周方向スリット50である周方向スリット50aより短い構成となっている。外筒30において、内筒20が挿入される内筒挿入側は、内筒20が挿入されない内筒非挿入側と比較すると、大きな力が加わる部分である。本例のステアリングコラム装置10は、内筒挿入側の外筒30の端面と最も近い一部の周方向スリット50bを、他の一部の周方向スリット50である周方向スリット50aより短い構成とすることで、外筒30において、内筒20が挿入される内筒挿入側の剛性が低下することを防ぎつつ、外筒30が軸方向へ変位した場合においても、外筒30が内筒20を保持した状態を安定させることが可能となる。
【符号の説明】
【0042】
10 ステアリングコラム装置
20 内筒
30 外筒
31 押圧片
40 軸方向スリット
50 周方向スリット
60 締付手段
61 カム板
62 回転軸
63 操作レバー
71 車体側プレート
72 ブラケット
81 挟持板
82 長孔
83 支持部材