(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】箒およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A47L 13/38 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
A47L13/38 A
(21)【出願番号】P 2021102952
(22)【出願日】2021-06-22
【審査請求日】2023-12-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年10月12日に深海産業有限会社がウェブサイトに公開 〔刊行物等〕令和2年11月26日に深海産業有限会社がウェブサイトに公開 〔刊行物等〕令和2年12月11日に深海産業有限会社がヤマコー株式会社に販売 〔刊行物等〕令和3年1月5日に深海産業有限会社が株式会社タケヒロに販売 〔刊行物等〕令和3年1月5日に深海産業有限会社が株式会社山一屋に販売 〔刊行物等〕令和3年3月9日に深海産業有限会社が第2回京都インターナショナル・ギフト・ショー2021に展示 〔刊行物等〕令和3年3月29日に深海産業有限会社が合同会社caeruに販売 〔刊行物等〕令和3年4月1日に深海産業有限会社が株式会社オファーに販売 〔刊行物等〕令和3年4月5日に深海産業有限会社が阪中緑化資材株式会社に販売 〔刊行物等〕令和3年5月24日に深海産業有限会社がOne Group株式会社に販売 〔刊行物等〕令和3年6月3日に深海産業有限会社が株式会社山陽百貨店に販売 〔刊行物等〕令和3年6月21日に深海産業有限会社が有限会社ダイトーに販売
(73)【特許権者】
【識別番号】594157647
【氏名又は名称】深海産業有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【氏名又は名称】辻 忠行
(74)【代理人】
【識別番号】100150762
【氏名又は名称】阿野 清孝
(72)【発明者】
【氏名】深海 耕司
(72)【発明者】
【氏名】松本 敏一
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】実公昭04-008841(JP,Y1)
【文献】実公昭25-002054(JP,Y1)
【文献】実公昭37-027167(JP,Y1)
【文献】実公昭25-011155(JP,Y1)
【文献】実公昭37-026015(JP,Y1)
【文献】実公昭16-003201(JP,Y1)
【文献】実公昭39-020629(JP,Y1)
【文献】実公昭25-007277(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 13/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の穂材を束ねた束材を左右方向に奇数個並べて形成される穂を柄の先端部に取り付けた箒であって、
前記各束材のうちの左右方向中央の束材はその長手方向中央部付近及び基端側部分が、前記複数の穂材の両端をほぼ揃えて並べた状態で前記柄の先端部の周囲に固定されている一方、前記左右方向中央の束材の左右方向両側に位置する各束材の長手方向中央部付近のみが、当該各束材の複数の穂材の両端をほぼ揃えて並べた状態でそれぞれ芯材の周囲に固定されており、
前記各束材の長手方向中央部付近は、その柄の先端部及び各芯材が左右方向からの串材の貫挿により拘束されているとともに、前記各束材のうちの左右方向中央の束材の左右方向両側に位置する各束材は、その長手方向中央部よりも基端側部分の先端側がそれぞれ三つ編みされ、
前記左右方向中央の束材の長手方向中央部付近及び基端側部分に対し左右両側の各束材の基端側部分の三つ編み部よりも基端側は、左右両側に離間する各束材の順に収束した状態で、前記柄の先端部に対し
長手方向複数箇所の銅線により周方向から固定されているとともに、
前記各銅線のうちの長手方向最先端寄りの銅線は、前記各束材に一本で跨るように巻き掛けられていることを特徴とする箒。
【請求項2】
複数の穂材を束ねた束材を左右方向に奇数個並べて形成される穂を柄の先端部に取り付けた箒の製造方法であって、
前記複数の穂材の両端をほぼ揃えて並べた状態で前記各束材のうちの左右方向中央の束材の長手方向中央部付近から基端側部分を前記柄の先端部の周囲に固定する中央束材固定工程と、
前記複数の穂材の両端をほぼ揃えて並べた状態で前記左右方向中央の束材の左右方向両側に位置する各束材の長手方向中央部付近のみをそれぞれ芯材の周囲に固定する左右両側束材固定工程と、
前記左右両側束材固定工程で各芯材に固定した左右方向両側の各束材の基端側部分の先端側をそれぞれ三つ編みする三つ編み工程と、
前記中央束材固定工程で左右方向中央の束材を固定した柄の先端部、及び前記三つ編み工程で三つ編みした左右方向両側の各束材の芯材を左右方向からの串材の貫挿により拘束する束材拘束工程と、
前記束材拘束工程で拘束した左右方向両側の各束材と前記中央束材固定工程で柄の先端部に固定した左右方向中央の束材とを、前記左右方向中央の束材に対しその左右方向両側に近い順に収束させた状態で、前記柄の先端部に対し
長手方向複数箇所の銅線により周方向から固定する銅線固定工程と、
前記各束材の長手方向中央部付近における前記柄の先端部及び前記各芯材の最先端側において前記各束材に対し一本の銅線を跨るように巻き掛ける一本銅線固定工程と、
を備えていることを特徴とする箒の製造方法。
【請求項3】
前記左右両側束材固定工程は、
前記左右方向両側の各束材の長手方向中央部よりも先端側寄りを前記芯材の周囲にそれぞれ配置した状態で第1線材により周方向から巻回して前記芯材に固定する線材固定工程と、
この線材固定工程で束材を固定した第1線材に沿って当該第1線材よりも基端側となる前記各束材の基端側部分をその穂材の先端が先端側部分の穂材の先端とほぼ揃うように先端側へ折り返す折り返し工程と、
前記折り返し工程で折り返した束材に対しその穂材の先端と新たな束材の穂材の長手方向一端とが互いにほぼ揃うように前記新たな束材を並べた状態で、当該両束材を第2線材により周方向から巻回して重合する重合工程と、
を備えている請求項2に記載の箒の製造方法。
【請求項4】
前記中央束材固定工程は、
前記左右方向中央の束材の長手方向中央部よりも先端側寄りを前記柄の先端部の周囲に配置した状態で第1線材により周方向から巻回して前記柄の先端部に固定する線材固定工程と、
この線材固定工程で束材を固定した第1線材に沿って当該第1線材よりも基端側となる前記束材の基端側部分をその穂材の先端が先端側部分の穂材の先端とほぼ揃うように先端側へ折り返す折り返し工程と、
前記折り返し工程で折り返した束材に対しその穂材の先端と新たな束材の穂材の長手方向一端とが互いにほぼ揃うように前記新たな束材を並べた状態で、当該両束材を第2線材により周方向から巻回して重合する重合工程と、
を備えている請求項2又は請求項3に記載の箒の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箒およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数の穂材を束ねた束材を掃く方向と直交する方向へ並べた状態でカバーに挿入し、このカバーの上から打ちつけた釘によって束材とカバーを固定し、カバーを柄の先端部に取り付けることによって箒を得るようにしている。
【0003】
また、その他の箒として、カバーを樹脂材により成形し、束材毎に穂材の基端をカバーの内壁に溶着することで、釘に依存することなくカバーからの穂材の抜け落ちを抑制するようにしたものも知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記従来のものは、穂材をカバーの内壁に溶着してはいるものの、溶着のみでは抜け易く、箇所の経時的な使用時の負荷により損傷したり、劣化すると、穂材がより顕著に抜け落ち易くなる。その場合、屋内用として用いられる箒にあっては、畳やフローリングの上のほこりやごみを掃く際に穂材が抜け落ちると、屋内であるが故にかえって目立ち易いものとなり、その対策が切望されていた。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、穂材の抜け落ちを確実に防止することができる箒およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明では、複数の穂材を束ねた束材を左右方向に奇数個並べて形成される穂を柄の先端部に取り付けた箒を前提とする。更に、前記各束材のうちの左右方向中央の束材の長手方向中央部付近及び基端側部分を、前記複数の穂材の両端をほぼ揃えて並べた状態で前記柄の先端部の周囲に固定する。一方、前記左右方向中央の束材の左右方向両側に位置する各束材の長手方向中央部付近のみを、当該各束材の複数の穂材の両端をほぼ揃えて並べた状態でそれぞれ芯材の周囲に固定する。そして、前記各束材の長手方向中央部付近の柄の先端部及び各芯材を左右方向からの串材の貫挿により拘束するとともに、前記各束材のうちの左右方向中央の束材の左右方向両側に位置する各束材の長手方向中央部よりも基端側部分の先端側をそれぞれ三つ編みする。加えて、前記左右方向中央の束材の長手方向中央部付近及び基端側部分に対し左右両側の各束材の基端側部分の三つ編み部よりも基端側を、左右両側に離間する各束材の順に収束した状態で、前記柄の先端部に対し長手方向複数箇所の銅線により周方向から固定する。更に、前記各銅線のうちの長手方向最先端寄りの銅線を、前記各束材に一本で跨るように巻き掛けることを特徴としている。
【0008】
これに対し、複数の穂材を束ねた束材を左右方向に奇数個並べて形成される穂を柄の先端部に取り付けた箒の製造方法を前提とする。そして、前記複数の穂材の両端をほぼ揃えて並べた状態で前記各束材のうちの左右方向中央の束材の長手方向中央部付近から基端側部分を前記柄の先端部の周囲に固定する中央束材固定工程と、前記複数の穂材の両端をほぼ揃えて並べた状態で前記左右方向中央の束材の左右方向両側に位置する各束材の長手方向中央部付近のみをそれぞれ芯材の周囲に固定する左右両側束材固定工程と、前記左右両側束材固定工程で各芯材に固定した左右方向両側の各束材の基端側部分の先端側をそれぞれ三つ編みする三つ編み工程と、前記中央束材固定工程で左右方向中央の束材を固定した柄の先端部、及び前記三つ編み工程で三つ編みした左右方向両側の各束材の芯材を左右方向からの串材の貫挿により拘束する束材拘束工程と、前記束材拘束工程で拘束した左右方向両側の各束材と前記中央束材固定工程で柄の先端部に固定した左右方向中央の束材とを、前記左右方向中央の束材に対しその左右方向両側に近い順に収束させた状態で、前記柄の先端部に対し長手方向複数箇所の銅線により周方向から固定する銅線固定工程と、前記各束材の長手方向中央部付近における前記柄の先端部及び前記各芯材の最先端側において前記各束材に対し一本の銅線を跨るように巻き掛ける一本銅線固定工程と、を備えることを特徴としている。
【0009】
また、前記左右両側束材固定工程に、前記左右方向両側の各束材の長手方向中央部よりも先端側寄りを前記芯材の周囲にそれぞれ配置した状態で第1線材により周方向から巻回して前記芯材に固定する線材固定工程と、この線材固定工程で各束材を固定した第1線材に沿って当該第1線材よりも基端側となる前記各束材の基端側部分をその穂材の先端が先端側部分の穂材の先端とほぼ揃うように先端側へ折り返す折り返し工程と、前記折り返し工程で折り返した束材に対しその穂材の先端と新たな束材の穂材の長手方向一端とが互いにほぼ揃うように前記新たな束材を並べた状態で、当該両束材を第2線材により周方向から巻回して互いに重合する重合工程と、を備えていてもよい。
【0010】
更に、前記中央束材固定工程に、前記左右方向中央の束材の長手方向中央部よりも先端側寄りを前記柄の先端部の周囲に配置した状態で第1線材により周方向から巻回して前記柄の先端部に固定する線材固定工程と、この線材固定工程で束材を固定した第1線材に沿って当該第1線材よりも基端側となる前記束材の基端側部分をその穂材の先端が先端側部分の穂材の先端とほぼ揃うように先端側へ折り返す折り返し工程と、前記折り返し工程で折り返した束材に対しその穂材の先端と新たな束材の穂材の長手方向一端とが互いにほぼ揃うように前記新たな束材を並べた状態で、当該両束材を第2線材により周方向から巻回して互いに重合する重合工程と、を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
以上、要するに、複数の穂材の両端をほぼ揃えて並べた各束材のうちの左右方向中央の束材を柄の先端部の周囲に固定する一方、左右方向両側の各束材を芯材にそれぞれ固定し、左右方向両側の各束材の基端側部分の先端側を三つ編みし、この三つ編みした各束材の基端側部分の三つ編み部よりも基端側を、左右方向中央の束材に対し左右両側から近い順に収束させた状態で、柄の先端部に対し長手方向の複数の銅線により周方向から固定するとともに、長手方向最先端寄りの銅線を、各束材に一本で跨るように巻き掛けている。このため、左右方向両側の各束材の基端側部分の先端側を三つ編みすることで、当該各束材の基端側部分の先端側が効率よく強固に締め付けられる一方、左右方向中央の束材の長手方向中央部付近及び基端側部分も左右方向両側の各束材の基端側部分と順に収束させつつ長手方向の複数の銅線により柄の先端部に対し効率よく強固に締め付けられる。これにより、各束材の穂材の抜け落ちを確実に防止することができる。
【0012】
これに対し、箒の製造方法として、左右方向中央の束材の長手方向中央部付近から基端側部分を柄の先端部に固定する中央束材固定工程と、左右方向両側の各束材の長手方向中央部付近のみをそれぞれ芯材に固定する左右両側束材固定工程と、左右方向両側の各束材の基端側部分の先端側を三つ編みする三つ編み工程と、柄の先端部及び各束材の芯材を串材により拘束する束材拘束工程と、左右方向両側の各束材を左右方向中央の束材に対しその左右方向両側に近い順に収束させた状態で長手方向の複数の銅線により固定する銅線固定工程と、各束材の長手方向中央部付近において柄の先端部及び各芯材の最先端側に対し一本の銅線を跨るように巻き掛ける一本銅線固定工程と、を備えている。このため、左右方向両側の各束材の基端側部分の先端側を三つ編みにより効率よく強固に締め付ける一方、左右方向中央の束材の長手方向中央部付近及び基端側部分も左右方向両側の各束材の基端側部分の先端側と順に収束させつつ柄の先端部に対し長手方向の複数の銅線により効率よく強固に締め付けることにより、各束材の穂材の抜け落ちを確実に防止し得る箒を簡単に得ることができる。
【0013】
また、左右両側束材固定工程に、左右方向両側の各束材の長手方向中央部よりも先端側寄りを第1線材によりそれぞれ芯材に固定する線材固定工程と、この各束材の第1線材よりも基端側部分を先端側へ折り返す折り返し工程と、折り返した束材と新たな束材とを第2線材により互いに重合する重合工程と、を備えている。これにより、第1線材に沿って基端側部分を第1線材に沿って先端側へ折り返した各束材の穂材の抜け落ちをより確実に防止することができる。
【0014】
しかも、左右方向両側の各束材の基端側部分を先端側へ折り返すことで、箒の穂先での穂材の量を十分に確保しつつ、基端側部分での穂材の量を新たな束材の基端側部分のみに減らして柄の先端部に対し美観よく取り付けることができる。
【0015】
更に、中央束材固定工程に、左右方向中央の束材の長手方向中央部よりも先端側寄りを第1線材により柄の先端部に固定する線材固定工程と、この束材の第1線材よりも基端側部分を先端側へ折り返す折り返し工程と、折り返した束材と新たな束材とを第2線材により互いに重合する重合工程とを備えている。これにより、第1線材に沿って基端側部分を先端側へ折り返した左右方向中央の束材の穂材の抜け落ちをより確実に防止することができる。
【0016】
しかも、左右方向中央の束材の基端側部分を先端側へ折り返すことで、箒の穂先での穂材の量を十分に確保しつつ、基端側部分での穂材の量を新たな束材の基端側部分のみに減らして柄の先端部に対し美観よく取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態に係る箒の斜視図である。
【
図3】
図1の箒を製造する際の左右両側束材固定工程において左右方向両側の各束材の長手方向中央部付近に芯材を配置した状態を説明する説明図である。
【
図4】
図3の左右両側束材固定工程において芯材に対し左右方向両側の各束材を線材により固定する芯材固定工程を説明する説明図である。
【
図5】
図4の束材固定工程に次いで左右方向両側の各束材の基端側部分を先端側へ折り返す折り返し工程を説明する説明図である。
【
図6】
図5の折り返し工程で折り返した左右方向両側の各束材の基端側部分を固定した線材の両端を内部に格納する状態を説明する説明図である。
【
図7】
図6の折り返し工程により得られた左右方向両側の束材の斜視図である。
【
図8】
図7の束材に対し巻き付けて重合する新たな束材を配置した状態を説明する重合部分付近の説明図である。
【
図9】
図8の束材に新たな束材を巻き付けて互いに重合しつつ線材により固定した状態を説明する両束材の重合部分付近での重合工程の説明図である。
【
図10】
図9の両束材の重合部分付近の線材の両端を内部に格納する状態を説明する説明図である。
【
図11】
図10の左右方向両側の各束材と重合する重合部分よりも基端側を三つ編みし始めた状態を説明する説明図である。
【
図12】
図11の各束材と重合する重合部分よりも基端側の三つ編み工程を完了した状態を説明する説明図である。
【
図13】
図10の重合工程において第4束材の芯材となる柄の先端部に串材を挿通させた状態を説明する説明図である。
【
図14】
図13で第4束材の柄に挿通した串材に対し左右方向両側の第3及び第5束材の芯材を左右両側から挿通して各束材を拘束する束材拘束工程を説明する説明図である。
【
図15】
図14の束材拘束工程で拘束した第3及び第5束材の基端側を第4束材の基端側に収束させて第2銅線により固定する状態を説明する説明図である。
【
図16】
図15で固定した第3~第5束材の基端側に対しその左右両側の第1、第2、第6及び第7束材の基端側を順に第2銅線により巻き付けて拘束した状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明の実施の形態に係る箒の斜視図、
図2は
図1の箒の穂の部分の拡大図をそれぞれ示している。この
図1及び
図2において、箒Aは、複数の穂材10,10,…を束ねた7つの第1~第7束材11~17を掃く方向と直交する方向(
図1及び
図2では左右方向)へ一列に並べて形成される穂1と、この穂1を先端部(
図1及び
図2では下端部)に取り付けた柄2とを備えている。各穂材10は、棕櫚やシダなどの幹の皮を細く加工した植物繊維よりなる。
【0020】
複数の穂材10,10,…は、ほぼ同じ長さ(例えば500mm~600mm程度)に設定されている。各束材11~17のうちの左右方向中央に位置する第4束材14は、各穂材10の両端をほぼ揃えて並べた状態で、その長手方向中央部付近から基端側(柄2側)となる基端側部分18に至る範囲を柄2の先端部の周囲に巻き付けて固定されている。一方、第4束材14の左右方向両側に位置する第1~第3及び第5~第7束材11~13,15~17は、各穂材10の両端をほぼ揃えて並べた状態で、それぞれの長手方向中央部付近を芯材3(後述する
図3に表れる)の周囲に個別に巻き付けて固定されている。
【0021】
第1~第7束材11~17は、それぞれ長手方向中央部付近(第1~第3及び第5~第7束材11~13,15~17では芯材3との固定部分付近)を境にして、後述する基端側部分18と先端側(穂先側)となる先端側部分19とに区分けされ、基端側部分18が先端側へ折り返され、基端側部分18の先端(折り返し端)と先端側部分19の先端とが互にほぼ揃えられた状態で重ね合わされたベース部品4(後述する)が構成されている。これらのベース部品4には、後述する新たな束材41がさらに重合され、この状態で重合ベース部品5(後述する)を第1~第7束材11~17毎に個々に構成している。
【0022】
これらの重合ベース部品5は、後述するが、その長手方向中央部付近がベース部品4の基端部付近を介して柄2の下端部又は芯材3にそれぞれ固定され、これより先端側の先端側部分40がベース部品4に対し重合されている。一方、重合ベース部品5の基端側に位置する基端側部分42のうち、第4束材14を除く左右方向両側の他の束材、つまり第1~第3束材11~13及び第5~第7束材15~17よりなる各ベース部品4とそれぞれ個別に重合する各重合ベース部品5の基端側部分42は、それぞれ三つ編みされている。
【0023】
この三つ編みは、それぞれの重合ベース部品5の基端側部分42の先端側(
図1及び
図2では下側)のみとされている。一方、第1~第3及び第5~第7束材11~13,15~17よりなる各ベース部品4とそれぞれ重合する重合ベース部品5の基端側部分42の基端側(
図1及び
図2では上側)は、三つ編みされない中央の第4束材14と重合する重合ベース部品5の基端側部分42の基端側に対し左右方向の近い位置から左右一対でそれぞれ順に収束されて束状にまとめられている。
【0024】
また、第4束材14よりなる各ベース部品4とそれぞれ個別に重合する重合ベース部品5の先端側部分40の基端寄りは、長手方向2箇所において第1銅線22,23によって巻回され、柄2の先端部に対しそれぞれ周方向から締め付けられている。一方、第1~第3及び第5~第7束材11~13,15~17よりなる各ベース部品4とそれぞれ個別に重合する各重合ベース部品5の先端側部分40の基端側は、それぞれの長手方向2箇所において第1銅線22,23によって巻回され、芯材3に対しそれぞれ周方向から締め付けられている。
【0025】
第4束材14よりなるベース部品4と重合する重合ベース部品5の基端側部分42の先端側は、基端側の第1銅線23に対し互いに相隣なる第1銅線22との間隔とほぼ同じ間隔を隔てた、柄2の先端部の基端側寄りの位置で、第2銅線24により周方向から巻回されて締め付けられている。
【0026】
また、第3及び第5束材13,15よりなるベース部品4,4と重合する両重合ベース部品5,5の基端側部分42,42の基端側(三つ編み部分よりも基端側)は、第2銅線24よりも基端寄りの位置で、第4束材14よりなるベース部品4と重合する重合ベース部品5の基端側部分42に対しそれぞれ収束されている。この第3及び第5束材13,15の両重合ベース部品5,5の基端側部分42,42の基端側と、第4束材14よりなるベース部品4と重合する重合ベース部品5の基端側部分42の基端側とは、第2銅線24から同様に互いに相隣なる第1銅線22,23との間隔とほぼ同じ間隔を隔てた基端側の位置において次の第2銅線25により周方向から巻回されて柄2の先端部に対し締め付けられている。
【0027】
第2及び第6束材12,16と重合する両重合ベース部品5,5の基端側部分42,42の基端側(三つ編み部分よりも基端側)は、第2銅線25よりも基端寄りの位置で、第3~第5束材13~15と重合する各重合ベース部品5の基端側部分42に対しそれぞれ収束されている。この第2及び第6束材12,16の両重合ベース部品5,5の基端側部分42,42の基端側と、第3~第5束材13~15の各重合ベース部品5の基端側部分42の基端側とは、第2銅線25から同様に互いに相隣なる第1銅線22,23との間隔とほぼ同じ間隔を隔てた基端側の位置においてその次の第2銅線26により周方向から巻回されて柄2の先端部に対し締め付けられている。
【0028】
更に、第1及び第7束材11,17と重合する両重合ベース部品5,5の基端側部分42,42の基端側(三つ編み部分よりも基端側)は、第2銅線26よりも基端寄りの位置で、第2~第6束材12~16と重合する各重合ベース部品5の基端側部分42に対しそれぞれ収束されている。この第1及び第7束材11,17の両重合ベース部品5,5の基端側部分42,42の基端側と、第2~第6束材12~16の各重合ベース部品5の基端側部分42の基端側とは、第2銅線26から同様に互いに相隣なる第1銅線22,23との間隔とほぼ同じ間隔を隔てた基端側の位置においてさらに次の第2銅線27により周方向から巻回されて柄2の先端部に対し締め付けられている。
【0029】
また、第1~第7束材11~17の各芯材3付近とこれらと重合する各重合ベース部品5,5の先端側部分40の基端側付近、具体的には2本の第1銅線22,23の間には、柄2の先端部並びに第1~第3及び第5~第7束材11~13,15~17の各芯材3をそれぞれ左右方向から貫挿する串材30(後述する
図14及び
図15に表れる)が設けられ、第1~第3及び第5~第7束材11~13,15~17の各芯材3を柄2の先端部に対し串材30により拘束している。この串材30の両端には、鋲31がそれぞれ止着されている。
【0030】
そして、第1~第7束材11~17と重合する各重合ベース部品5の基端側部分42における最基端寄りの第2銅線27よりも基端側は、その第2銅線27から同様に互いに相隣なる第1銅線22,23の間隔とほぼ同じ間隔を隔てた基端側の位置においてほぼ等間隔置きの3本の第2銅線28,28,28により周方向から巻回されて柄2の先端部に対し締め付けられている。また、第1~第7束材11~17と重合する各重合ベース部品5の基端側部分42における最基端寄りの第2銅線27及び最先端寄りの第2銅線28の間は、柄2の先端部を貫通する鋲31によって止着されている。
【0031】
更に、第1銅線22,23よりも先端側には、当該第1銅線22,23の間隔とほぼ同じ間隔を隔てた基端側の位置において第1~第7束材11~17と重合する各重合ベース部品5の基端側部分42の最先端側位置を一本で跨るように巻き掛けた一本銅線21が設けられている。この一本銅線21は、第1~第7束材11~17の最先端位置(第1銅線22よりも先端側の位置)において当該各束材11~17を互いに左右方向から拘束しつつ互いに相隣なる束材間にも順に掛け渡した状態で、柄2の下端部及び各芯材3に対し締付けている。
【0032】
次に、本実施形態の箒Aを製造する製造方法を図面に基づいて説明する。
【0033】
図3は
図1の箒Aを製造する際の左右両側束材固定工程において左右方向両側の各束材11~13,15~17の長手方向中央部付近に芯材3を配置した状態を説明する説明図、
図4は
図3の左右両側束材固定工程において芯材3に対し左右方向両側の各束材11~13,15~17を線材により固定する芯材固定工程を説明する説明図をそれぞれ示している。また、
図5は
図4の束材固定工程に次いで左右方向両側の各束材の基端側部分を先端側へ折り返す折り返し工程を説明する説明図、
図6は
図5の折り返し工程で折り返した左右方向両側の各束材11~13,15~17の基端側部分18を固定した線材の両端を内部に格納する状態を説明する説明図、
図7は
図6の折り返し工程により得られた左右方向両側の各束材11~13,15~17の斜視図をそれぞれ示している。この
図3~
図7に示すように、左右両側束材固定工程は、線材固定工程と折り返し工程とを備えている。
【0034】
先ず、
図3及び
図4に示すように、左右両側束材固定工程の線材固定工程では、長さが略等しい植物繊維よりなる複数の穂材10の両端をほぼ揃えて並べた左右方向両側の第1束材11(第2、第3、第5~第7束材12,13,15~17)の長手方向中央部付近に長さの短い、例えば100mm程度の長さの略円柱形状の芯材3を配置し、第1束材11の長手方向中央部付近を芯材3の周りに巻き付ける。その後、芯材3の周りに長手方向中央部付近を巻き付けた第1束材11をゴム輪35による周方向からの巻回により止めした状態で、第1線材33(例えば銅線など)による周方向からの巻回により芯材3に対し固定する。
【0035】
次いで、
図5に示すように、左右両側束材固定工程の折り返し工程では、線材固定工程で芯材3に固定した第1束材11を、第1線材33に沿って当該第1線材33よりも基端側となる第1束材11の基端側部分18を先端側へ折り返す。このとき、第1束材11の基端側部分18の先端(折り返し端)と、第1線材33よりも先端側となる第1束材11の先端側部分19の先端とは、折り返した際にほぼ揃えておく。
【0036】
それから、折り返し工程で先端側へ折り返した第1束材11の基端側部分18を、第1線材33よりも先端側となる第1束材11の先端側部分19に対し上から重ね合わせ、その重ね合わせた第1束材11の基端側部分18及び先端側部分19を第2線材34(例えば銅線など)による周方向からの巻回により芯材3に固定する。その後、
図6に示すように、第1束材11の基端側部分18及び先端側部分19を巻回した第2線材34の両端を、ドライバー状の押込み具36により第1束材11の基端側部分18及び先端側部分19の重合部分の内側へ押し込んで見えなくし、
図7に示すベース部品4を得る。そして、第2、第3及び第5~第7束材12,13,15~17を、第1束材11と同じ手順で左右両側束材固定工程の線材固定工程及び折り返し工程を順に経て順次ベース部品4として得ることを繰り返す。
【0037】
一方、左右方向中央の第4束材14は、この第4束材14の長手方向中央部付近から基端側部分18を柄2の先端部に固定する中央束材固定工程を備えている。この中央束材固定工程も、左右両側束材固定工程と同様に、線材固定工程と折り返し工程とを備えている。
【0038】
中央束材固定工程の線材固定工程では、長さが略等しい複数の穂材10の両端をほぼ揃えて並べた左右方向両側の第4束材14の長手方向中央部付近から基端側部分18を柄2の先端部の周りに巻き付ける。その後、柄2の先端部の周りに長手方向中央部付近から基端側部分18を巻き付けた第4束材14をゴム輪35による周方向からの巻回により止めした状態で、第1線材33による周方向からの巻回により柄2の先端部に対し固定する。
【0039】
次いで、中央束材固定工程の折り返し工程では、線材固定工程で柄2の先端部に固定した第4束材14を、第1線材33に沿って当該第1線材33よりも基端側となる第4束材14の基端側部分18を先端側へ折り返す。このとき、第4束材14の基端側部分18の先端(折り返し端)と、第1線材33よりも先端側となる第4束材14の先端側部分19の先端とは、折り返した際にほぼ揃えておく。
【0040】
それから、折り返し工程で先端側へ折り返した第4束材14の基端側部分18を、第1線材33よりも先端側となる第4束材14の先端側部分19に対し上から重ね合わせ、その重ね合わせた第4束材14の基端側部分18及び先端側部分19を第2線材34による周方向からの巻回により柄2の先端部に固定する。その後、第4束材14の基端側部分18及び先端側部分19を巻回した第2線材34の両端を、ドライバー状の押込み具36により第1束材11の基端側部分18及び先端側部分19の重合部分の内側へ押し込んで見えなくし、柄2の先端部に固定した第4束材14によるベース部品4を得る。
【0041】
図8は
図7の束材11(12,13,15~17)に対し巻き付けて重合する新たな束材41を配置した状態を説明する重合部分付近の説明図、
図9は
図8の束材11に新たな束材41を巻き付けて互いに重合しつつ線材により固定した状態を説明する両束材11,41の重合部分付近での両束材固定工程の説明図、
図10は
図9の両束材11,41の重合部分付近の線材の両端を内部に格納する状態を説明する説明図をそれぞれ示している。この
図8~
図10に示すように、左右両側束材固定工程は、重合工程を備えている。
【0042】
その後、
図8に示すように、左右両側束材固定工程の重合工程では、折り返し工程で得た第1束材11によるベース部品4を、長さが略等しい植物繊維よりなる複数の穂材10の両端をほぼ揃えるように広げて並べた新たな束材41に対し配置する。このとき、第1束材11によるベース部品4の各穂材10の先端を、新たな束材41の先端側部分40の各穂材10の先端に対しほぼ揃えておく。
【0043】
そして、
図9に示すように、第1束材11によるベース部品4に新たな束材41の先端側部分40を重ね合わせるように巻き付けた状態で、このベース部品4と重合する新たな束材41の先端側部分40の基端側の長手方向等間隔置きの3箇所をゴムバンド37及び2本の第1銅線22,23によって巻回し、芯材3に対しそれぞれ周方向から締め付ける。このとき、
図10に示すように、第1銅線22,23の両端をベース部品4と新たな束材41の先端側部分40との重合部分の内側へ押込み具36により押し込んで見えなくし、第1束材11と重合する重合ベース部品5を得る。また、ゴムバンド37は、後の工程に移行する際に除去される。
【0044】
それから、第2~第7束材12~17においても、それぞれと重合するベース部品4に新たな束材41の先端側部分40を重ね合わせるように巻き付けた状態で、第2~第7束材12~17とそれぞれ重合する重合ベース部品5の先端側部分40の基端側の長手方向等間隔置きの3箇所をゴムバンド37及び第1銅線22,23によって巻回し、芯材3に対しそれぞれ周方向から締め付けて固定する。そして、第1銅線22,23の両端をベース部品4と新たな束材41の先端側部分40との重合部分の内側へ押込み具36により押し込んで見えなくし、第2~第7束材11とそれぞれ重合する重合ベース部品5を順に得ることを繰り返す。
【0045】
一方、中央束材固定工程の重合工程では、折り返し工程で得た第4束材14によるベース部品4を、長さが略等しい植物繊維よりなる複数の穂材10の両端をほぼ揃えるように広げて並べた新たな束材41に対し配置する。このとき、第4束材14によるベース部品4の各穂材10の先端を、新たな束材41の先端側部分40の各穂材10の先端に対しほぼ揃えておく。
【0046】
そして、第4束材14によるベース部品4に新たな束材41の先端側部分40を重ね合わせるように巻き付けた状態で、このベース部品4と重合する新たな束材41の先端側部分40の基端側の長手方向等間隔置きの3箇所をゴムバンド37及び2本の第1銅線22,23によって巻回し、柄2の先端部に対しそれぞれ周方向から締め付ける。このとき、第1銅線22,23の両端をベース部品4と新たな束材41の先端側部分40との重合部分の内側へ押込み具36により押し込んで見えなくし、第4束材14と重合する重合ベース部品5を得る。
【0047】
その後、第4束材14によるベース部品4と重合する重合ベース部品5の基端側部分42の先端側を、最基端側の第1銅線23に対し互いに相隣なる第1銅線22,23の間隔とほぼ同じ間隔を隔てた、柄2の先端部よりも基端側寄りの位置で、第2銅線24により周方向から巻回して柄2の先端部に対し締め付ける。
【0048】
図11は
図10の左右方向両側の各束材11~13,15~17と重合する重合部分よりも基端側を三つ編みし始めた状態を説明する説明図、
図12は
図11の各束材11~13,15~17と重合する重合部分よりも基端側の三つ編み工程を完了した状態を説明する説明図をそれぞれ示している。
【0049】
しかる後、
図11及び
図12に示すように、三つ編み工程において、左右両側束材固定工程の重合工程で各芯材3に固定した、左右方向両側の各束材11~13,15~17の基端側となる当該各束材11~13,15~17によるベース部品4とそれぞれ重合する各重合ベース部品5の基端側部分42の先端側(第1銅線23よりも基端側)を順に三つ編みする。
【0050】
図13は
図10の重合工程において第4束材14の芯材となる柄2の先端部に串材を挿通させた状態を説明する説明図、
図14は
図13で第4束材14の柄2に挿通した串材に対し左右方向両側の第3及び第5束材13,15の芯材3を左右両側から挿通して各束材13~15を拘束する束材拘束工程を説明する説明図をそれぞれ示している。
【0051】
それから、
図13に示すように、束材拘束工程において、第4束材14によるベース部品4と重合する重合ベース部品5の長手方向中央部付近つまり第1銅線22,23の間に左右方向から串材30を貫挿し、当該串材30を柄2の先端部に固定する。その後、
図14に示すように、第4束材14によるベース部品4と重合する重合ベース部品5の左右両側方から第3及び第5束材13,15によるベース部品4と重合する重合ベース部品5,5の長手方向中央部付近(第1銅線22,23の間)に串材30を貫挿し、当該串材30により第3及び第5束材13,15の芯材3を柄2の先端部に固定する。
【0052】
図15は
図14の束材拘束工程で拘束した第3及び第5束材13,15の基端側を第4束材の基端側に収束させて第2銅線により固定する状態を説明する説明図を示している。この
図15に示すように、第4束材14の基端側となる当該第4束材14によるベース部品4と重合する重合ベース部品5の基端側部分42に対し、第3及び第5束材13,15の基端側となる当該第3及び第5束材13,15とそれぞれ重合する両重合ベース部品5,5の基端側部分42,42を収束させ、その収束させた3つの束材13~15よりなる各重合ベース部品5の基端側部分42の先端側を締付具6により締め付ける。その状態で、各重合ベース部品5の基端側部分42の先端側を、最先端側の第2銅線24に対し互いに相隣なる第1銅線22,23の間隔とほぼ同じ間隔を隔てた位置において次の第2銅線25により周方向から巻回して柄2の先端部に対し締め付ける。
【0053】
その後、第3束材13及び第5束材15によるベース部品4とそれぞれ重合する両重合ベース部品5,5の左右両側方から第2及び第6束材12,16によるベース部品4とそれぞれ重合する重合ベース部品5,5の長手方向中央部付近(第1銅線22,23の間)に串材30を貫通させ、当該串材30により第2~第6束材12~16の芯材3同士を固定する。それから、第3~第5束材13~15よりなる各重合ベース部品5の基端側部分42に対し第2及び第6束材12,16よりなる両重合ベース部品5,5の基端側部分42,42を収束させる。その後、収束させた5つの束材12~16よりなる各重合ベース部品5の基端側部分42の先端側を締付具6により締め付けた状態で、各重合ベース部品5の基端側部分42の先端側を、第2銅線25に対し互いに相隣なる第1銅線22,23の間隔とほぼ同じ間隔を隔てた位置においてその次の第2銅線26により周方向から巻回して柄2の先端部に対し締め付ける。
【0054】
更に、第2束材12及び第6束材16よりなる両重合ベース部品5,5の左右両側方から第1及び第7束材11,17によるベース部品4とそれぞれ重合する両重合ベース部品5,5の長手方向中央部付近(第1銅線22,23の間)に串材30を貫通させ、当該串材30により第4束材14の柄2の先端部に対し第1~3及び第5~第7束材11~13,15~17の芯材3をそれぞれ固定する。それから、第2~第6束材12~16よりなる各重合ベース部品5の基端側部分42に対し第1及び第7束材11,17よりなる両重合ベース部品5,5の基端側部分42,42を収束させる。その後、収束させた7つの束材11~17よりなる各重合ベース部品5の基端側部分42の先端側を締付具6により締め付けた状態で、各重合ベース部品5の基端側部分42の先端側を、第2銅線26に対し互いに相隣なる第1銅線21,22同士の間隔とほぼ同じ間隔を隔てた位置においてさらに次の第2銅線27により周方向から巻回して柄2の先端部に対し締め付ける。
【0055】
図16は
図15で固定した第3~第5束材13~15の基端側に対しその左右両側の第1、第2、第6及び第7束材11,12,16,17の基端側を順に第2銅線により巻き付けて拘束した状態を説明する説明図を示している。
【0056】
しかる後、
図16に示すように、第1~第7束材11~17よりなる各重合ベース部品5の基端側部分42の先端側を、収束させるとともに、最基端寄りの第2銅線27に対し互いに相隣なる第1銅線22,23の間隔とほぼ同じ間隔を隔てた位置においてその間隔とほぼ等間隔置きに3本の第2銅線28,28,28により周方向から巻回して柄2の先端部に対し締め付ける。
【0057】
それから、銅線固定工程に移行する。この銅線固定工程では、束材拘束工程で拘束した左右方向両側の第1~第3及び第5~第7束材11~13,15~17よりなる各重合ベース部品5の基端側部分42と中央束材固定工程で柄2の先端部に固定した中央の第4束材14よりなる重合ベース部品5の基端側部分42とを、第4束材14に対しその左右方向両側に近い順に収束させる。その状態で、柄2の先端部に対し最基端寄りの第2銅線27から第1銅線22,23の間隔とほぼ同じ間隔を隔てた基端側においてその間隔とほぼ等間隔置きに3本の第2銅線28,28,28により周方向から巻回し、柄2の先端部に対し締め付ける。
【0058】
その後、一本銅線固定工程に移行する。この一本銅線固定工程では、
図2に示すように、各束材11~17よりなる各重合ベース部品5の長手方向中央部付近つまり各重合ベース部品5の基端側部分42の先端側に対し一本の第3銅線21を跨るように巻き掛けて柄2の先端部及び各芯材3の最先端側に対し固定する。このとき、第3銅線21両端を各重合ベース部品5の基端側部分42の内側へ押込み具36により押し込んで見えなくしておく。
【0059】
そして、第1~第7束材11~17よりなる各重合ベース部品5の基端側部分42における最基端寄りの第2銅線27及び最先端寄りの第2銅線28の間に、柄2の先端部に対し鋲31を打ち付けて止着する。更に、第1及び第7束材11,17よりなる各重合ベース部品5の基端側部分42において切り落とした串材30の左右両端にも、鋲31を打ち付けておき、箒Aを得る。
【0060】
したがって、本実施の形態では、複数の穂材10の両端をほぼ揃えて並べた第1~第7束材11~17のうちの中央の第4束材14を柄2の先端部の周囲に固定する一方、左右方向両側の第1~第3及び第5~第7束材11~13,15~17を芯材3にそれぞれ固定し、第1~第3及び第5~第7束材11~13,15~17よりなる重合ベース部品5の基端側部分42の先端側を三つ編みし、この三つ編みした重合ベース部品5の基端側部分42の三つ編み部よりも基端側を、第4束材14よりなる重合ベース部品5の基端側部分42に対し左右両側から近い順に収束させた状態で、柄2の先端部に対し長手方向の複数の第1及び第2銅線22~28により周方向から固定するとともに、長手方向最先端寄りの第3銅線21を、第1~第7束材11~17よりなる重合ベース部品5の基端側部分42に一本で跨るように巻き掛けている。
【0061】
このため、第1~第3及び第5~第7束材11~13,15~17よりなる各重合ベース部品5の基端側部分42の先端側を三つ編みすることで、当該第1~第3及び第5~第7束材11~13,15~17よりなる各重合ベース部品5の基端側部分42の先端側が効率よく強固に締め付けられる一方、第4束材14よりなる重合ベース部品5の長手方向中央部付近及び基端側部分42も第1~第3及び第5~第7束材11~13,15~17よりなる各重合ベース部品5の基端側部分42と順に収束させつつ長手方向複数箇所の第1~第3銅線21~28により柄2の先端部に対し効率よく強固に締め付けられる。これにより、各束材11~17の穂材10の抜け落ちを確実に防止することができる。
【0062】
そして、箒Aの製造方法として、第4束材14の長手方向中央部付近から基端側部分18を柄2の先端部に固定する中央束材固定工程と、第1~第3及び第5~第7束材11~13,15~17の基端側部分18の長手方向中央部付近のみをそれぞれ芯材3に固定する左右両側束材固定工程と、第1~第3及び第5~第7束材11~13,15~17よりなる各重合ベース部品5の基端側部分42の先端側を三つ編みする三つ編み工程と、柄2の先端部及び第1~第3及び第5~第7束材11~13,15~17の芯材3を串材30により拘束する束材拘束工程と、第1~第3及び第5~第7束材11~13,15~17よりなる各重合ベース部品5の基端側部分42を第4束材14よりなる重合ベース部品5の基端側部分42に対しその左右方向両側に近い順に収束させた状態で長手方向複数箇所の第1~第3銅線21~28により固定する銅線固定工程と、各束材11~17よりなる重合ベース部品5の長手方向中央部付近において柄2の先端部及び各芯材3の最先端側に対し一本の第3銅線21を跨るように巻き掛ける一本銅線固定工程と、を備えている。
【0063】
このため、第1~第3及び第5~第7束材11~13,15~17よりなる各重合ベース部品5の基端側部分42の先端側を三つ編みにより効率よく強固に締め付ける一方、第4束材14よりなる重合ベース部品5の長手方向中央部付近及び基端側部分42も第1~第3及び第5~第7束材11~13,15~17よりなる各重合ベース部品5の基端側部分42と順に収束させつつ柄2の先端部に対し長手方向複数箇所の第1~第3銅線21~28により効率よく強固に締め付けることにより、各束材11~17の穂材10の抜け落ちを確実に防止し得る箒Aを簡単に得ることができる。
【0064】
また、左右両側束材固定工程に、第1~第3及び第5~第7束材11~13,15~17の長手方向中央部よりも先端側寄りを第1線材33によりそれぞれ芯材3に固定する線材固定工程と、この各束材11~13,15~17の第1線材33よりも基端側部分18を先端側へ折り返す折り返し工程と、折り返した第1~第3及び第5~第7束材11~13,15~17と新たな束材41とをそれぞれ第2線材34により互いに重合する重合工程と、を備えている。これにより、第1線材33に沿って基端側部分18を第1線材33に沿って先端側へ折り返した第1~第3及び第5~第7束材11~13,15~17の穂材10の抜け落ちをより確実に防止することができる。
【0065】
しかも、第1~第3及び第5~第7束材11~13,15~17の基端側部分18を先端側へ折り返すことで、箒Aの穂先での穂材10の量を先端側部分19に合わせて十分に確保しつつ、基端側部分18での穂材10の量を新たな束材41の基端側部分(重合ベース部品5の基端側部分42)のみに減らして柄2の先端部に対し美観よく取り付けることができる。
【0066】
更に、中央束材固定工程に、第4束材14の長手方向中央部よりも先端側寄りを第1線材33により柄2の先端部に固定する線材固定工程と、この第4束材14の第1線材33よりも基端側部分18を先端側へ折り返す折り返し工程と、折り返した第4束材14と新たな束材41とを第2線材34により互いに重合する重合工程とを備えている。これにより、第1線材33に沿って基端側部分18を先端側へ折り返した第4束材14の穂材10の抜け落ちをより確実に防止することができる。
【0067】
しかも、第4束材14の基端側部分18を先端側へ折り返すことで、箒Aの穂先での穂材10の量を先端側部分19に合わせて十分に確保しつつ、基端側部分18での穂材10の量を新たな束材41の基端側部分(重合ベース部品5の基端側部分42)のみに減らして柄2の先端部に対し美観よく取り付けることができる。
【0068】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含している。例えば、本実施の形態では、第1~第7束材11~17の基端側部分18を先端側へ折り返したベース部品4に新たな束材41を重合して重合ベース部品5を構成したが、各束材の基端側部分を先端側へ折り返さない状態でベース部品が構成されていてもよく、このベース部品に対し新たな束材が重合されて重合ベース部品が構成されていてもよい。一方、各束材の基端側部分を先端側へ折り返さない状態で構成されたベース部品に対し新たな束材が重合されていなくてもよい。
【0069】
更に、本実施の形態では、第1~第7束材11~17の基端側部分18を先端側へ折り返したベース部品4に新たな束材41を重合して重合ベース部品5を構成したが、中央の第4束材の基端側部分が先端側へ折り返されていないベース部品として用いられていてもよく、その場合には、第4束材のベース部品に対し新たな束材が重合されていても重合されていなくてもよい。
【0070】
また、前記実施の形態では、7つの第1~第7束材11~17により箒Aの穂1を構成したが、3つ又は5つもしくは9つの束材など奇数であればいくつの束材によって箒の穂が構成されていてもよいのはいうまでもない。
【符号の説明】
【0071】
1 穂
2 柄
3 芯材
10 穂材
11~17 第1~第7束材
18 束材の基端側部分
19 束材の先端側部分
21 第3銅線(銅線)
22,23 第1銅線(銅線)
24~28 第2銅線(銅線)
30 串材
33 第1線材
34 第2線材
40 先端側部分(重合ベース部品の先端側部分)
41 新たな束材
42 基端側部分(重合ベース部品の基端側部分)
A 箒