(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】背負い鞄
(51)【国際特許分類】
A45C 13/30 20060101AFI20241022BHJP
A45F 3/04 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
A45C13/30 G
A45F3/04
(21)【出願番号】P 2021175262
(22)【出願日】2021-10-27
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】591091021
【氏名又は名称】株式会社ハシモトBaggage
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】橋本 昌樹
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-047004(JP,U)
【文献】特開平06-339406(JP,A)
【文献】実開昭58-105430(JP,U)
【文献】特開2011-005207(JP,A)
【文献】米国特許第05950893(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 13/30
A45F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容する収容部と前記収容部を背負う肩ベルトが設けられ、前記肩ベルトは、上部ベルト部材と下部ベルト部材が
長手方向に連結されて形成されており、
前記上部ベルト部材の上部ベルト上端部は前記収容部の上部に固定され、前記上部ベルト上端部には幅が広い幅広部を有し、前記上部ベルト上端部とは反対側の上部ベルト下端部にはバックルが設けられ、
前記下部ベルト部材の下部ベルト下端部は前記収容部の底部に固定され、前記下部ベルト下端部とは反対側の下部ベルト上端部
には係止リングが設けられ、前記係止リングの内径は前記上部ベルト部材の長手方向に交差する幅より大きく前記バックルの外径よりも小さく、
前記上部ベルト部材の前記上部ベルト下端部を、前記下部ベルト部材の前記係止リングに挿通した状態で前記バックルを取り付けることにより、前記上部ベルト部材と前記下部ベルト部材
が連結され、
背負う時は、前記上部ベルト部材と前記下部ベルト部材の重なりを小さくして前記肩ベルトを長くし、前記係止リング
を前記バックルに係止
させることによって前記肩ベルトの長さが決定され、
手で持ち運ぶ時は、前記上部ベルト部材と前記下部ベルト部材の重なりを大きくして前記肩ベルトを短くし、前記係止リングを前記幅広部に
一時的に係止させることによって前記肩ベルトが短い状態に保持され、
前記係止リングが前記幅広部に係止されている状態は、前記下部ベルト部材を長手方向に引くことによって解除され、短い前記肩ベルトを長くすることが可能になることを特徴とする背負い鞄。
【請求項2】
前記幅広部
には係止凹部が設けられ、一対の側縁部が内側にくぼんで前記幅広部よりも幅が狭くなっている請求項1記載の背負い鞄。
【請求項3】
前記上部ベルト部材と前記下部ベルト部材には、前記上部ベルト部材と前記下部ベルト部材の重なりを大きくして前記肩ベルトを短くした時に対向する位置に、互いに係止する一対のマグネット係止具が設けられている請求項1又は2記載の背負い鞄。
【請求項4】
前記バックルは、前記上部ベルト部材上の位置を、前記上部ベルト部材の長手方向に変更可能に設けられている請求項1又は2記載の背負い鞄。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通勤等の移動時に使用し、各種の物品を収容して背中に背負って使用する背負い鞄に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通勤等の移動時に使用する背負い鞄は、収容物を入れる収容部と、収容部を背負う左右一対の肩ベルトと、収容部を持ち運ぶ持ち手が取り付けられている。この様な背負い鞄は、電車やエレベーター等の込み合う空間や、訪問先等で、背中から下ろして持ち手を手で保持して運ぶことがある。しかし、背負い鞄を手で持つ場合、肩ベルトが床に接して汚れることがあり、また他の人の足に引っ掛かったりエレベーターのドアに挟まったりして危険な場合もある。この様な問題を解決するため、背負い鞄を手で持つ際に肩ベルトを短くすることが考えられている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されている背負いバッグは、内側に物品を収容するバッグ本体と、バッグ本体の背面側に配設された肩掛けベルトと、バッグ本体の背面側に位置し肩掛けベルトの下端に固定され、バッグ本体の長手方向、短手方向又はそれらを組み合わせた方向にスライド可能な可動部を備えている。肩掛けベルトの下端が可動部と連動し、肩掛けベルトの長さを変更することができ、この背負いバッグを手に持つ時は、可動部を操作して肩掛けベルトを短くすることができる。
【0004】
また、特許文献2に開示されているカバンは、肩ストラップと、内容物の防水性を保持可能な区画が設けられている。この区画の背面側には内外連通する開口部を有し、開口部の内側には、軸周りに回転可能な巻取り軸と巻取り軸の繰出し方向への回転に対して復元力が働くばねとを備えるストラップ巻取り機構を備えている。肩ストラップの一端はカバンに固定され、他端は開口部に挿通されてストラップ巻取り機構の巻取り軸に固定されている。これにより、肩ストラップをストラップ巻取り機構に巻き取って、長さを変更することができる。このカバンを手に持つ時は、肩ストラップをストラップ巻取り機構に巻き取って、肩ストラップを短くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2021-74318号公報
【文献】実用新案登録第3214433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の場合、肩掛けベルトの下端部はスライド可能な可動部を介してバック本体に連結されているため強度が不十分であり、モバイル端末や書類等の重い物品を収容して背負うと、不用意に長くなったり、破損する恐れもある。特許文献2の場合も、肩ストラップの下端部はストラップ巻取り機構を介して鞄に取り付けられているため、所望の長さでの固定強度が不十分である。また、ストラップ巻取り機構が設けられているため、重量が増え、設けるスペースも必要である。
【0007】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造であり、肩ベルトの強度が高く、重い物品を安全に背負って使用することができ、肩ベルトが不要な時は、簡単な操作で短くコンパクトにすることができる背負い鞄を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、物品を収容する収容部と前記収容部を背負う肩ベルトが設けられ、前記肩ベルトは複数のベルト部材が長手方向に連結されて形成され、前記複数のベルト部材は、長手方向の端部が互いに重ねられて連結され、重ねる長手方向の長さが変更可能であり、手で持ち運ぶ時には重なりが大きい状態に保持して前記肩ベルトをコンパクトに短くすることができるとともに、前記複数のベルト部材を長手方向に引くことにより所定の長さに戻すことができる背負い鞄である。
【0009】
前記肩ベルトは、上部ベルト部材と下部ベルト部材が長手方向に連結されて形成されており、前記上部ベルト部材の上部ベルト上端部は前記収容部の上部に固定され、前記上部ベルト上端部には幅が広い幅広部を有し、前記上部ベルト上端部とは反対側の上部ベルト下端部にはバックルが設けられ、前記下部ベルト部材の下部ベルト下端部は前記収容部の底部に固定され、前記下部ベルト下端部とは反対側の下部ベルト上端部には係止リングが設けられ、前記係止リングの内径は前記上部ベルト部材の長手方向に交差する幅より大きく前記バックルの外径よりも小さく、前記上部ベルト部材の前記上部ベルト下端部を、前記下部ベルト部材の前記係止リングに挿通した状態で前記バックルを取り付けて、前記上部ベルト部材と前記下部ベルト部材を連結してある。
【0010】
背負う時は、前記上部ベルト部材と前記下部ベルト部材は、その重なりを小さくして前記肩ベルトを長くし、前記係止リングを前記バックルに係止させることによって前記肩ベルトの長さが決定される。手で持ち運ぶ時は、前記上部ベルト部材と前記下部ベルト部材の重なりを大きくして前記肩ベルトを短くし、前記係止リングを前記幅広部に一時的に係止させることによって前記肩ベルトが短い状態に保持される。前記係止リングが前記幅広部に係止されている状態は、前記下部ベルト部材を長手方向に引くことによって解除され、短い前記肩ベルトを長くすることが可能になる。前記幅広部には係止凹部が設けられ、前記係止凹部はなだらかな曲線で形成され一対の側縁部が内側にくぼんで前記幅広部よりも幅が狭くなっている。
【0011】
前記上部ベルト部材と前記下部ベルト部材には、前記上部ベルト部材と前記下部ベルト部材の重なりを大きくして前記肩ベルトを短くした時に対向する位置に、互いに係止する一対のマグネット係止具が設けられている。前記バックルは、前記上部ベルト部材上の位置を、前記上部ベルト部材の長手方向に変更可能に設けられている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の背負い鞄は、簡単な構造であり、肩ベルトの強度が高く、重い物品を安全に背負って使用することができ、肩ベルトが不要な時は、簡単な操作で短くコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】この発明の一実施形態の背負い鞄の背面図である。
【
図2】この実施形態の背負い鞄の肩ベルトを短くコンパクトにした状態を示す背面図である。
【
図3】この実施形態の背負い鞄の肩ベルトの背面図(a)と右側面図(b)である。
【
図4】この実施形態の背負い鞄の肩ベルトの短くコンパクトにした状態を示す背面図(a)と右側面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1~
図5はこの発明の一実施形態を示すもので、この実施形態の背負い鞄10は、モバイル端末や書類等を収容するビジネス用であり、物品を収容する収容部12が設けられている。収容部12は、上方に開口部12aが設けられた有底筒状の矩形の箱形であり、収容部12の一側面である背面12bには、一対の肩ベルト14が設けられている。肩ベルト14は、一方向に長い帯状体である上部ベルト部材16と下部ベルト部材32が、長手方向に連結されて形成され、上部ベルト部材16の長手方向の端部である上部ベルト下端部16cと、下部ベルト部材32の長手方向の端部である下部ベルト上端部32aが、互いに重ねられて連結され、重ねる長手方向の長さが変更可能である。そして重ねる長さが大きい位置で一時的に係止する係止手段が設けられている。
【0015】
まず、上部ベルト部材16について説明する。上部ベルト部材16は、長手方向に交差する幅はほぼ一定である。上部ベルト部材16の一方の端部は、収容部12の背面12bの上部に取り付けられる上部ベルト上端部16aであり、上部ベルト上端部16aは、背面12bの上部に取り付けられた後述する取付金具40に巻き回されて、リベット18で押さえられている。上部ベルト上端部16aから所定の長さまでは、上部ベルト部材16の幅が少し広い幅広部20となり、上部ベルト上端部16aと交差する一対の上部ベルト側縁部16b同士の間隔は、幅広部20では、その他の部分よりも広くなっている。幅広部20には、係止凹部22が切り欠かれて設けられている。係止凹部22はなだらかな曲線で形成され、一対の上部ベルト側縁部16bが内側にくぼんで幅が狭くなっている。幅広部20及び係止凹部22は、上述した係止手段の一方となる。
【0016】
上部ベルト部材16の、上部ベルト上端部16aとは反対側の上部ベルト下端部16cは、先細形状となっている。上部ベルト部材16の長手方向の中間付近には、マグネット係止具24が取り付けられ、上部ベルト部材16の、使用状態で使用者の身体側となる裏面側にマグネット係止具24の係止面が位置している。マグネット係止具24と上部ベルト下端部16cの間には、上部ベルト部材16を貫通するサイズ調整用孔26が設けられている。サイズ調整用孔26は、上部ベルト部材16の長手方向に沿って等間隔に設けられ、ここでは5個設けられている。
【0017】
上部ベルト部材16のサイズ調整用孔26の1つには、金属製の矩形のバックル28が取り付けられている。バックル28は、上部ベルト部材16が挿通可能な矩形の環部と、環部の中心を横断する保持棒が一体に設けられ、保持棒には、サイズ調整用孔26に差し込まれる止着針が移動可能に取り付けられている。保持棒には、上部ベルト部材16と同じ材料で作られた補助片30が巻き回されて取り付けられ、バックル28の上部ベルト部材16への取り付けを安定させている。バックル28の環部の、保持棒に対して平行な方向の内径が、上部ベルト部材16の幅よりも大きく、保持棒に対して交差する方向に上部ベルト部材16が挿通可能であり、環部の保持棒に対して平行な方向又は直角な方向の外径は、いずれも下部ベルト部材32の後述する係止リング34の内径よりも大きい。上部ベルト部材16への、バックル28の取付方法は、まず、環部の止着針とは反対側から上部ベルト部材16の上部ベルト下端部16cを差し込み、保持棒の近傍で所望の位置のサイズ調整用孔26に止着針を差し込み、上部ベルト部材16の上部ベルト下端部16cを環部の反対側から引き出し、取り付ける。
【0018】
次に、下部ベルト部材32について説明する。下部ベルト部材32も、長手方向に交差する幅はほぼ一定であり、この実施形態では上部ベルト部材16よりも少し幅が広い。下部ベルト部材32の一方の端部は、上部ベルト部材16に連結される下部ベルト上端部32aであり、下部ベルト上端部32aは、上述した係止手段の他方となる金属製の係止リング34に巻き回されてリベット18で押さえられている。
【0019】
係止リング34は、円形で、係止リング34の内径は、上部ベルト部材16の幅より大きく上部ベルト部材16を挿通可能であり、上部ベルト部材16の幅広部20の幅よりは少し小さい。そして、バックル28の外径よりも小さく、係止リング34は、上部ベルト部材16を挿通して上部ベルト部材16に沿って移動する際に移動がバックル28で規制され、上部ベルト部材16から離れる方向に引いても、それ以上移動することができず係止され、抜け落ちることが無い。
【0020】
下部ベルト部材32の、下部ベルト上端部32aとは反対側の下部ベルト下端部32cは、背負い鞄10の収容部12の底部12cに取り付けられた後述する取付金具44に巻き回されて、リベット18で押さえられている。下部ベルト部材32の長手方向の中間よりも少し下部ベルト上端部32aに近い位置に、マグネット係止具24に係止するマグネット係止具35が取り付けられ、下部ベルト部材32の、使用状態で使用者の身体と反対側となる表面側にマグネット係止具35の係止面が位置している。
【0021】
この実施形態の背負い鞄10には、収容部12の開口部12aを覆う蓋部材36が設けられ、蓋部材36は、背面12bの上部から背面12bとは反対側の外側面12dを覆う大きさの矩形であり、蓋部材36の裏面には、外側面12dに着脱可能に係止される図示しない係止部が設けられている。背面12bの上部付近には、紐状の持ち手38が設けられている。持ち手38はほぼ水平に設けられ、わずかに上方に湾曲され、持ち手38の両端部は、リベット18で固定されている。背面12bの上部付近の、持ち手38の一対の取り付け位置の間に、肩ベルト14の上部ベルト部材16の上部ベルト上端部16aを取り付ける環状の取付金具40が設けられている。
【0022】
取付金具40は、背面12bの上部に沿う直線部分と、背面12bの上部から上方に突出する半円の曲線部分から成り、曲線部分の中間は直線部分に向かってくぼみが形成され、くぼみの左右の部分は、一対の上部ベルト部材16の上部ベルト上端部16aが巻き回されて取り付けられる。収容部12の底部12cには、一対の金具ベース部材42が左右に離れて設けられ、金具ベース部材42には肩ベルト14の下部ベルト部材32の下部ベルト下端部32cを取り付ける矩形の環状の取付金具44が設けられている。
【0023】
次に、肩ベルト14の取り付け工程の一例について説明する。まず、上部ベルト部材16の上部ベルト上端部16aを、収容部12の背面12bに設けられた取付金具40に巻き回してリベット18で止めて取り付ける。さらに、下部ベルト部材32の下部ベルト上端部32aを係止リング34に巻き回し、リベット18で止めて取り付ける。そして下部ベルト部材32の下部ベルト下端部32cを、底部12cの取付金具44に巻き回してリベット18で止めて取り付ける。
【0024】
この後、係止リング34に上部ベルト部材16の上部ベルト下端部16cを挿通し、上部ベルト下端部16cが下部ベルト部材32の下部ベルト上端部32aの表面に重なるように係止リング34から引き出し、引き出した上部ベルト下端部16cに、予め補助片30をリベット18で止めたバックル28を取り付ける。バックル28の位置は、サイズ調整用孔26の位置を選択して調節する。
【0025】
この状態で、係止リング34の内径は、上部ベルト部材16の幅より大きいため、係止リング34内に上部ベルト部材16を摺動可能に挿通することができる。また、係止リング34の内径は、バックル28の外径よりも小さいため、バックル28は係止リング34を通過することができない。従って、係止リング34は、上部ベルト部材16の幅広部20と上部ベルト下端部16c付近のバックル28の間で摺動可能となるとともに、上部ベルト部材16と下部ベルト部材32は所定の長さで連結される。これで、肩ベルト14の取り付けが完了し、背負い鞄10となる。なお、肩ベルト14の取り付け工程は、上記以外でも良い。
【0026】
次に、背負い鞄10の使用方法について説明する。使用者が背負い鞄10を背負う時は、
図1、
図3、
図5に示すように、下部ベルト部材32の係止リング34を、上部ベルト部材16のバックル28に隣接させて、下部ベルト部材32と上部ベルト部材16の重なりを小さくし、肩ベルト14を長くする。上部ベルト部材16上のバックル28の位置を、任意の位置のサイズ調整用孔26に移動することにより変更し、肩ベルト14の長さを使用者の体格に合わせて調節する。
【0027】
電車やエレベーター等の込み合う空間や、訪問先等で、背負い鞄10を背中から下ろして手で持ち運ぶ時は、
図2、
図4に示すように、下部ベルト部材32の係止リング34を、上部ベルト部材16の上部ベルト上端部16a側に移動させ、上部ベルト部材16の幅広部20を乗り越えて係止凹部22に入れて一時的に係止し、下部ベルト部材32と上部ベルト部材16の重なりを大きくし、肩ベルト14を短くする。この状態で、上部ベルト部材16と下部ベルト部材32に設けられたマグネット係止具24,35は互いに対向する位置になり、マグネット係止具24,35を互いに係止する。
【0028】
これにより上部ベルト部材16と下部ベルト部材32の重ねた部分を合わせて係止するので、バラバラにならずコンパクトな外見となる。そして、持ち手38を手で保持して運ぶ。肩ベルト14は短い状態であるため、持ち手38を保持して運んでも肩ベルト14が床について汚れたり他の人の足に引っ掛かったりエレベーターのドアに挟まったりする危険がない。上部ベルト部材16のバックル28が、どの位置のサイズ調整用孔26にあっても、一定短さのコンパクトな状態になる。
【0029】
係止リング34の内径は上部ベルト部材16の幅広部20の幅よりは小さいため、幅広部20に接する位置では上部ベルト側縁部16bに当接するが、一定以上の力を加えると、上部ベルト側縁部16bが弾性変形して幅広部20に進入し係止凹部22に入り、上部ベルト側縁部16bの弾性変形が復元し、係止凹部22内に弱い力で係止される。しかし、一定以上の力を加えて引くと上部ベルト側縁部16bが再び弾性変形して、係止凹部22から外れて係止が解除され、摺動可能となる。従って、簡単な操作で、弱い力で、係止と係止解除を行うことができる。
【0030】
再び背負う時は、マグネット係止具24,35を引き離して係止を解除し、係止リング34を一定以上の力を加えて引いて係止凹部22から外し、下部ベルト部材32を上部ベルト部材16の上部ベルト下端部16cから下方に移動させて肩ベルト14を所定の長さに長くする。
【0031】
この実施形態の背負い鞄10によれば、肩ベルトの取付強度が高く、重い物を収容して安全に背負って使用することができ、肩ベルトが不要な時は、簡単な操作で短くコンパクトにすることができる。肩ベルト14は、収容部12に、取付金具40,44を介して取り付けられ、また上部ベルト部材16と下部ベルト部材32は、金属製のバックル28と係止リング34が係止して連結されているため、長さ調節位置での強度が高い。モバイル端末や書類等の重いものを収容して背負っても、肩ベルト14が不用意に長くなったり破損したりすることが無い。マグネット係止具24,35が設けられているため、重ねられた上部ベルト部材16と下部ベルト部材32がバラバラにならず、コンパクトにすることができ、すっきりとした外観となる。下部ベルト部材32の係止リング34は、弱い力で上部ベルト部材16の係止凹部22に係止されるため、係止と係止解除が一定以上の力を加えて動かす簡単な操作で切り替えることができる。
【0032】
なお、この実施形態は上記実施の形態に限定されるものではなく、背負い鞄の収容部や蓋部材、収容部に肩ベルトを取り付ける取付金具等の構造は、自由に変更可能である。バックルや係止リングの形状は、上記以外でも良く、互いに強い強度で係止されるものであれば良い。上部ベルト部材と下部ベルト部材を係止する手段の位置は、適宜選択可能なもので、上部ベルト下端部と下部ベルト下端部に設けても良く、マグネット係止具の他にホック等何でもよい。収容部と肩ベルトの材料は自由である。背負い鞄以外に、肩ベルトが1つである斜め掛けの鞄でも良く、またビジネス用以外に旅行用等いろいろな用途の鞄に使用することができる。
【符号の説明】
【0033】
10 背負い鞄
12 収容部
14 肩ベルト
16 上部ベルト部材
16a 上部ベルト上端部
16b 上部ベルト側縁部
16c 上部ベルト下端部
20 幅広部
22 係止凹部
24,35 マグネット係止具
26 サイズ調整用孔
28 バックル
32 下部ベルト部材
32a 下部ベルト上端部
32c 下部ベルト下端部
34 係止リング
38 持ち手