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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】成形品取出装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/42 20060101AFI20241022BHJP
   B29C 33/34 20060101ALI20241022BHJP
   B29C 45/40 20060101ALI20241022BHJP
   B29C 45/17 20060101ALI20241022BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B29C45/42
B29C33/34
B29C45/40
B29C45/17
B29C45/76
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022545575
(86)(22)【出願日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 JP2021028005
(87)【国際公開番号】W WO2022044681
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2024-05-27
(31)【優先権主張番号】P 2020141424
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020157585
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020161931
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000135427
【氏名又は名称】株式会社ハーモ
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 俊史
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-131629(JP,A)
【文献】特開2021-037772(JP,A)
【文献】特開平06-114906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/42
B29C 33/34
B29C 45/40
B29C 45/17
B29C 45/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形機と独立して周辺機器を制御する構成であって前記成形機における生産開始時刻を操作者が入力可能な入出力部と現在時刻を示す基準タイマーを有するコントローラと、前記周辺機器において前記成形機における金型から成形品を取り出して開放するエフェクタを有する成形品取出ロボットと、前記周辺機器において前記成形機に供給するための樹脂材料を乾燥する構成であって第1タイマーの第1タイマー値にて起動する材料乾燥機と、前記周辺機器において前記金型の温度を調節する構成であって第2タイマーの第2タイマー値にて起動する金型温度調節機と、前記周辺機器において基準供給量の乾燥した前記樹脂材料を前記成形機のホッパに供給する材料搬送機を備え、前記成形品取出ロボットと前記金型温度調節機と前記材料乾燥機と前記材料搬送機と前記コントローラとはネットワーク接続されており、
前記コントローラは、前記材料乾燥機に対して検出データの要求信号を送信し、前記材料乾燥機から前記検出データを受信して前記成形品取出ロボットに指令を送信する構成であり、前記材料乾燥機からの前記検出データに基づいて、前記検出データが許容範囲内であると判断した場合と前記検出データが許容範囲外であると判断した場合とで開放場所を異ならせるように前記成形品取出ロボットの開放動作を制御する構成であり、且つ、前記コントローラは、前記材料乾燥機及び前記金型温度調節機からの信号に基づいて、前記材料搬送機および前記成形品取出ロボットの開始動作を制御する構成であること
を特徴とする成形品取出装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記材料乾燥機からの前記検出データが前記許容範囲外であることが所定ショット継続したときは、前記成形品取出ロボットに前記成形品のうち所定数を前記検出データが許容範囲内であると判断した場合とは異なる非正常品開放場所に開放させた後に前記成形品取出ロボットを停止し、前記材料搬送機から前記成形機に供給する前記樹脂材料の搬送を停止し、かつ、前記材料乾燥機を停止する停止動作を制御する構成であること
を特徴とする請求項1記載の成形品取出装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記現在時刻に前記入出力部にて前記生産開始時刻が選択または入力されると、選択または入力された前記生産開始時刻に基づいて前記第1タイマー値および前記第2タイマー値をそれぞれ算出し、算出結果が有効でないと判断したときは前記生産開始時刻を再度入力可能な状態に戻るとともに前記算出結果が有効であると判断したときは前記第1タイマー値および前記第2タイマー値をそれぞれ送信して起動制御を行う構成であること
を特徴とする請求項1または2記載の成形品取出装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記材料乾燥機における樹脂材料昇温時間と樹脂材料予備乾燥時間の両方を前記生産開始時刻から減算して前記第1タイマー値を算出し、前記金型温度調節機における金型昇温時間と金型予備加熱時間の両方を前記生産開始時刻から減算して前記第2タイマー値を算出する構成であり、前記現在時刻を前記生産開始時刻から減算した値が算出した前記第1タイマー値と算出した前記第2タイマー値のいずれよりも大きいときのみに前記算出結果が有効であると判断すること
を特徴とする請求項3記載の成形品取出装置。
【請求項5】
前記コントローラは、複数の前記金型の金型データと複数の前記エフェクタのエフェクタデータとをそれぞれ対応させて記憶したデータベースを有し、前記周辺機器の段取り替えにおいて前記エフェクタが設置されると、前記成形品取出ロボットに設置した前記エフェクタからのエフェクタ信号と前記金型データとを照合し、照合結果が一致しないと判断したときは前記段取り替えが可能な状態に戻るとともに前記照合結果が一致すると判断したときは前記生産開始時刻の入力が可能な状態に進む構成であること
を特徴とする請求項4記載の成形品取出装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記入出力部に表示された前記金型の金型番号が前記操作者によって選択または入力されると、選択または入力された前記金型番号と対応するエフェクタ番号を前記入出力部に表示する構成であること
を特徴とする請求項4または5記載の成形品取出装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記材料供給間隔時間毎の区間ショット数qを算出し、前記成形機が予定生産数に到達する生産ショット数pを前記成形機における生産期間中に算出して、前記成形機の最終計量動作における前記ホッパの材料残量がゼロまたは前記基準供給量を下回るように前記ホッパに供給する最終供給量を調整する制御を行う構成であること
を特徴とする請求項1~6のいずれか一項記載の成形品取出装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記生産ショット数pから1を引いた調整時ショット数v(v=p-1)にて前記最終供給量を調整する制御を行う構成であること
を特徴とする請求項7記載の成形品取出装置。
【請求項9】
前記コントローラは、前記生産ショット数pから前記区間ショット数qを引いてさらに1を引いた調整開始ショット数w(w=p-q-1)にて前記最終供給量の調整を開始する制御を行う構成であること
を特徴とする請求項7または8記載の成形品取出装置。
【請求項10】
前記コントローラは、前記成形品取出ロボットが前記金型から正常品を取り出す回数に基づく累積ショット数mが前記生産ショット数pに達すると前記成形品取出ロボットに取出停止指示を送信して前記成形品取出ロボットを停止する制御を行う構成であること
を特徴とする請求項7~9のいずれか一項記載の成形品取出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形品取出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機(以下、成形機と略す)は、加熱溶融させた樹脂材料を金型内に射出注入して冷却し固化させる成形サイクルを繰り返して成形品を生産する装置であり、複雑な形状の成形品を短時間で大量生産することができる。成形品取出装置、金型温度調節機、材料乾燥機、材料搬送機などの周辺機器が、成形機に配設されている。
【0003】
従来、成形機および周辺機器の管理情報を上位の管理コンピュータとの間で送受信する端末装置とを備えた成形ステーション管理システムが提案されている(特許文献1:特開2001-088188号公報)。また、成形機の制御ユニットに設けられた設定装置から入力される取出データを転送手段により成型品取出機の制御ユニットへ転送して作業メモリに記憶し、作業メモリから読み出された取出データに基づいてチャック装置を移動制御して取出動作を実行する成型品取出機を備えた成形機が提案されている(特許文献2:特開2003-053805号公報)。そして、成形機に配されたセンサからの検出信号を入力する入力部と、成形サイクルのうちの指定期間において前記入力部に入力された検出信号値を用いて評価値の算出を行う評価値算出部と、前記評価値算出部が算出した評価値を用いて射出成形状況の判定結果を求める判定処理部を備えた計測装置が提案されている(特許文献3:特開2018-015938号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-088188号公報
【文献】特開2003-053805号公報
【文献】特開2018-015938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1と特許文献2は成形機の制御回路や成形機の管理コンピュータが周辺機器を管理する構成となっているので、成形機側の負荷が大きい。また、特許文献3は計測装置が射出成形状況の判定結果を求める構成となっているので、計測装置が周辺機器を管理することは想定していない。つまり、成形機と周辺機器とは通信プロトコルが異なっており、制御系の一元管理が実質的に困難であった。そして、制御系を一元管理するためのネットワーク構築には多大な時間及びコストを要する。その結果、ネットワーク構築が不十分となって、成形品の層別管理の実行が難しいという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、成形機と独立して周辺機器を制御する構成のコントローラが周辺機器の制御系を一元管理することで、成形機に負荷をかけることなく、ヒューマンエラーを防止できるとともに、成形品を層別制御できる構成の成形品取出装置を提供することを目的とする。
【0007】
一実施形態として、以下に開示する解決手段により、前記課題を解決する。
【0008】
本発明に係る成形品取出装置は、成形機と独立して周辺機器を制御する構成であって前記成形機における生産開始時刻を操作者が入力可能な入出力部と現在時刻を示す基準タイマーを有するコントローラと、前記周辺機器において前記成形機における金型から成形品を取り出して開放するエフェクタを有する成形品取出ロボットと、前記周辺機器において前記成形機に供給するための樹脂材料を乾燥する構成であって第1タイマーの第1タイマー値にて起動する材料乾燥機と、前記周辺機器において前記金型の温度を調節する構成であって第2タイマーの第2タイマー値にて起動する金型温度調節機と、前記周辺機器において基準供給量の乾燥した前記樹脂材料を前記成形機のホッパに供給する材料搬送機を備え、前記成形品取出ロボットと前記金型温度調節機と前記材料乾燥機と前記材料搬送機と前記コントローラとはネットワーク接続されており、前記コントローラは、前記材料乾燥機に対して検出データの要求信号を送信し、前記材料乾燥機から前記検出データを受信して前記成形品取出ロボットに指令を送信する構成であり、前記材料乾燥機からの前記検出データに基づいて、前記検出データが許容範囲内であると判断した場合と前記検出データが許容範囲外であると判断した場合とで開放場所を異ならせるように前記成形品取出ロボットの開放動作を制御する構成であり、且つ、前記コントローラは、前記材料乾燥機及び前記金型温度調節機からの信号に基づいて、前記材料搬送機および前記成形品取出ロボットの開始動作を制御する構成であることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、ネットワーク接続された状態の各周辺機器をコントローラによって制御する構成によって、成形機に負荷をかけることなく、ヒューマンエラーを防止できる。そして、コントローラからの指令に応じて成形品取出しロボットが複数通りの動作を行って成形品の開放場所を適時決定し、成形品に求められる品質に応じて異なった場所に成形品を配置できる。つまり、従来技術は成形機の制御回路や成形機の管理コンピュータを用いているので、周辺機器との通信プロトコルを整合させつつ制御系の一元管理を行わなければならないが、本構成によれば、大掛かりな制御方式を用いることなく、手持ち可能な周辺機器専用コントローラを操作するだけで成形品に求められる品質に応じた成形品の層別制御を行うことができる。成形品の層別は、一例として、良品と不良品の層別であり、また一例として、成形品のランク分けやクラス分けによる層別である。尚且つ、樹脂材料が乾燥し、且つ、金型温度が所定温度に達した時点で成形品取出ロボットが動作を開始するので、適時に効率的な動作ができる。さらに、材料乾燥機と材料搬送機とが直接的に信号接続されていない構成の場合においても材料乾燥機と材料搬送機とを連動させることができるので、材料乾燥機と材料搬送機とを同期させて動作を開始させることができる。
【0010】
一例として、前記コントローラは、前記材料乾燥機の乾燥条件設定と前記金型温度調節機の温度条件設定と前記成形品取出ロボットの動作条件設定とを行う構成である。前記成形品取出ロボットは、一例として、コントローラからの指令によって自動運転状態となり、コントローラに一元管理される。操作者は、一例として、コントローラの設定画面から金型名を選択するだけの簡単な操作で各周辺機器の条件設定を一括して行うことができる。この構成によれば、ヒューマンエラーが防止できる。尚且つ、金型名と対応して各周辺機器を同期させることや連動させて、各周辺機器に対して合理的な動作の制御ができる。
【0011】
一例として、前記コントローラは、前記材料乾燥機からの前記検出データが前記許容範囲外であることが所定ショット継続したときは、前記成形品取出ロボットに前記成形品のうち所定数を前記検出データが許容範囲内であると判断した場合とは異なる非正常品開放場所に開放させた後に前記成形品取出ロボットを停止し、前記材料搬送機から前記成形機に供給する前記樹脂材料の搬送を停止し、かつ、前記材料乾燥機を停止する停止動作を制御する構成である。この構成によれば、材料乾燥機からの検出データにて異常と判断された場合は、要検査品開放場所などの非正常品開放場所に連続して一定数が開放された時点で良品成形数が未達であっても材料乾燥機を停止させ、且つ材料搬送機も成形機への材料搬送を停止させるので、材料乾燥機での検出データの起因となる不具合が解決するまで乾燥異常の材料を成形機へ送らないようにするなど、成形品の品質をより向上させることが容易にできる。
【0012】
一例として、前記成形機は、金型名、射出条件、型開条件、型閉条件、成形温度条件、その他既知の成形条件を有する。前記成形機からの信号は、一例として、型開信号であり、特に型開限信号である。前記材料乾燥機からの検出データは、一例として、材料の温度、材料へのエアの露点温度、材料へのエアの温度、材料へのエアの供給圧力、材料へのエアの風量のいずれか一種以上である。前記金型温度調節機からの検出データは、一例として、金型の温度、金型の内部を通過する媒体の温度、金型の内部を通過する媒体の流量のいずれか一種以上である。
【0013】
一例として、コントローラと成形機とは有線で接続されており、コントローラと材料乾燥機と材料搬送機と金型温度調節機と成形品取出ロボットとは有線でネットワーク接続されている。ネットワーク接続は、一例として、有線LAN、無線LAN、USB接続、その他既知の信号接続方式が挙げられ、周辺機器においては通信プロトコルが概ね標準化されている。なお、上記以外の構成として、成形機とコントローラとが無線で接続されている場合や、成形品取出ロボットと金型温度調節機とコントローラとが無線でネットワーク接続されている場合がある。前記検出データが正常範囲外であるとの判断基準や、前記検出データが正常範囲内であるとの判断基準は、管理者がコントローラにデータ入力して予め設定する場合があり、また、データベースに蓄積した前記検出データを統計手法に基づいて演算手段が演算した管理限界値を判断基準とする場合がある。成形品取出ロボットが、前記検出データと対応した成形品を開放する開放場所は、一例として、材料乾燥状態区分によってクラス分けされ、材料の乾燥状態が異常値の場合は非正常品開放場所となって該当品は状況に応じて検査の対象となる場合や不良品と判断される場合がある。成形品取出ロボットが、前記検出データと対応した成形品を開放する開放場所は、一例として、温度区分によってクラス分けされ、金型の温度が異常値の場合は非正常品開放場所となって該当品は状況に応じて検査の対象となる場合や不良品と判断される場合がある。このように、成形品に求められる品質に応じた成形品の層別管理ができる。
【0014】
前記コントローラは、前記現在時刻に前記入出力部にて前記生産開始時刻が選択または入力されると、選択または入力された前記生産開始時刻に基づいて前記第1タイマー値および前記第2タイマー値をそれぞれ算出し、算出結果が有効でないと判断したときは前記生産開始時刻を再度入力可能な状態に戻るとともに前記算出結果が有効であると判断したときは前記第1タイマー値および前記第2タイマー値をそれぞれ送信して起動制御を行う構成であることが好ましい。この構成によれば、コントローラの制御によって、生産準備に必要な時間を確保しつつ材料乾燥機と金型温度調節機とをそれぞれ効率よく起動させることができる。よって、周辺機器の段取り時間が削減できるとともに、ヒューマンエラーが防止できる。尚且つ、より効率的な周辺機器の起動制御ができるとともに、周辺機器の省電力化が達成できる。
【0015】
一例として、前記コントローラは、前記材料乾燥機における樹脂材料昇温時間と樹脂材料予備乾燥時間の両方を前記生産開始時刻から減算して前記第1タイマー値を算出し、前記金型温度調節機における金型昇温時間と金型予備加熱時間の両方を前記生産開始時刻から減算して前記第2タイマー値を算出する構成であり、前記現在時刻を前記生産開始時刻から減算した値が算出した前記第1タイマー値と算出した前記第2タイマー値のいずれよりも大きいときのみに前記算出結果が有効であると判断する構成である。この構成によれば、第1タイマー値および第2タイマー値の設定に矛盾がないときのみに材料乾燥機と金型温度調節機とをそれぞれ起動するステップに進むので、より安全かつ確実に起動制御を行うことが容易にできる。
【0016】
一例として、前記コントローラは、複数の前記金型の金型データと複数の前記エフェクタのエフェクタデータとをそれぞれ対応させて記憶したデータベースを有し、前記周辺機器の段取り替えにおいて前記エフェクタが設置されると、前記成形品取出ロボットに設置した前記エフェクタからのエフェクタ信号と前記金型データとを照合し、照合結果が一致しないと判断したときは前記段取り替えが可能な状態に戻るとともに前記照合結果が一致すると判断したときは前記生産開始時刻の入力が可能な状態に進む構成である。この構成によれば、金型とエフェクタとの組み合わせが正しいときのみに生産開始時刻を入力するステップに進むので、より安全かつ確実に起動制御を行うことが容易にできる。
【0017】
一例として、前記コントローラは、前記入出力部に表示された前記金型の金型番号が前記操作者によって選択または入力されると、選択または入力された前記金型番号と対応するエフェクタ番号を前記入出力部に表示する構成であることが好ましい。この構成によれば、周辺機器の段取り替えを行う際に、金型番号と紐づけされた成形品取出ロボットのエフェクタ番号が操作者に通知されるのでエフェクタ番号の選択ミスを防止できる。ここで、金型番号は金型を特定するものであり、金型名称であってもよい。また、エフェクタ番号はエフェクタを特定するものであり、一例として、名称であってもよい。そして、金型番号と対応する樹脂材料番号若しくは樹脂材料名称を入出力部に表示する構成としてもよい。ここで、操作者と作業者とは同義である。
【0018】
前記コントローラは、前記材料供給間隔時間毎の区間ショット数qを算出し、前記成形機が予定生産数に到達する生産ショット数pを前記成形機における生産期間中に算出して、前記成形機の最終計量動作における前記ホッパの材料残量がゼロまたは前記基準供給量を下回るように前記ホッパに供給する最終供給量を調整する制御を行う構成であることが好ましい。この構成によれば、コントローラの制御によって、成形機が予定生産数に到達する生産ショット数pを成形機における生産期間中に算出して、成形機の最終計量動作におけるホッパの材料残量がゼロまたは基準供給量を下回るようにホッパに供給する最終供給量を調整するので、作業者の経験に依存することなく、作業者の負荷を軽減するとともに、ヒューマンエラーが防止できる。尚且つ、合理的な材料供給制御ができるとともに、周辺機器の省電力化が達成できる。
【0019】
一例として、前記コントローラは、生産終了に合わせて成形機におけるホッパ内への乾燥済樹脂材料供給量を最終的に最小限にする為に金型データより金型取り数を勘案しつつ、また生産中に取得される成形サイクル時間及び生産中の良品開放位置以外の場所へ成形品を開放したショット数をショット毎に確認することにより、生産中の良品以外の成形品数を把握したうえで生産終了予定時刻及び生産終了までの生産ショット数pを計算し、ショット毎に基準タイマーが示す現在時間が生産終了時間より樹脂材料予備乾燥時間を減じた時間に達した後は、材料搬送機へ指令を送り、材料乾燥機におけるセンサが材料供給信号を発信しても材料タンクより材料乾燥機へ樹脂材料を搬送しないように制御する構成である。これにより生産終了までの樹脂材料消費量に対して必要な量の材料乾燥ができる。
【0020】
一例として、前記コントローラは前記生産ショット数pから1を引いた調整時ショット数v(v=p-1)にて前記最終供給量を調整する制御を行う構成である。この構成によれば、生産終了直前に成形機と同期して材料供給量を減じる調整を行うので必要最小限の材料供給量に調整することが容易にできる。したがって、成形機の最終計量動作においてホッパの材料残量がゼロまたは基準供給量を下回る量になるように調整することが容易にできる。
【0021】
一例として、前記材料搬送機は、前記樹脂材料を前記ホッパに供給するためのバルブを有し、前記コントローラから送信されるバルブ開放時間値kを受信して前記バルブの開放時間を設定する構成である。一例として、前記コントローラは、前記生産ショット数pから前記区間ショット数qを引いてさらに1を引いた調整開始ショット数w(w=p-q-1)にて前記最終供給量の調整を開始する制御を行う構成である。この構成によれば、一例として生産中の良品以外の成形品数が突発的に生じて生産終了までの樹脂材料消費量が増大した場合においても、樹脂材料のショートを防止しつつ、成形機の最終計量動作におけるホッパの材料残量がゼロまたは基準供給量を下回る量になるように調整することが容易にできる。
【0022】
一例として、前記コントローラは、材料乾燥機から成形機へ供給される乾燥済の材料供給間隔時間rと材料乾燥機から成形機へ1回につき供給される乾燥済の材料供給量u1をネットワーク接続された材料搬送機よりデータ取得し、成形機へ供給される乾燥済の材料供給間隔時間r内における区間ショット数qと成形機の1ショット当たりの材料搬送機におけるバルブ開放時間を算出し、更に所定時間になると最後に供給する乾燥済の材料供給量u2になるようにバルブ開放時間値kを算出して材料搬送機へ送信する。材料搬送機はバルブ開放時間値kを受信して乾燥済の材料供給量u2だけ乾燥済の樹脂材料を成形機のホッパへ搬送する。そして、生産終了時に成形品取出ロボットを段取り替え位置に移動後に自動停止させると同時に材料乾燥機を停止する。したがって、生産終了数に応じてコントローラが良品数以外の成形品数を確認しながら生産終了時間及び生産終了までのショット数を予測し、生産に必要な量の樹脂材料だけを乾燥し、且つ生産終了最終ショット前より乾燥済樹脂材料の搬送量を減ずることにより、生産に対して余計な材料乾燥を防ぎ、生産終了後の成形機におけるホッパ内の乾燥済樹脂材料の残量を最小限にすることによって、材料ロスの防止および段取り時間の短縮ができる。つまりコントローラでの計算結果に基づいて、材料乾燥機と材料搬送機を連動させた合理的な動作の制御ができる。
【0023】
一例として、前記コントローラは、前記成形品取出ロボットが前記金型から正常品を取り出す回数に基づく累積ショット数mが前記生産ショット数pに達すると前記成形品取出ロボットに取出停止指示を送信して前記成形品取出ロボットを停止する制御を行う構成である。この構成によれば、成形品取出ロボットの生産終了動作を適時に制御できるとともに、省電力化が図られる。
【0024】
一例として、前記コントローラは、前記累積ショット数mに基づく累積時間t3が前記生産ショット数pに基づく生産終了時間t1から予備乾燥時間を引いた材料供給終了時間t2に達すると前記材料搬送機に前記材料乾燥機への乾燥前の前記樹脂材料の搬送停止指示を送信して前記材料搬送機を停止する制御を行う構成である。この構成によれば、材料搬送機の生産終了動作を適時に制御できるとともに、省電力化が図られる。
【0025】
一例として、前記コントローラは、生産ショット数pにて成形品取出ロボットへ取出停止指令を送信し、成形品取出ロボットは、自動サイクル終了後、段取り替え位置へ移動し自動運転を停止する。更に成形品取出ロボットが自動運転を停止した後、コントローラは金型温度調節機へ指令を送信し、金型温度調節機に、予め設定された金型冷却管路を循環する媒体温度より低い温度、また予め設定された冷却時間で強制循環させて、所定の冷却時間に達すると金型冷却管路へ圧縮エアを送り金型より冷却媒体を強制的に排出させた後に、金型温度調節機の運転を停止する構成である。この一連の終了動作により金型温度が高温下での金型取扱いのリスク回避並びに生産中に循環する媒体の温度より低い温度での金型冷却制御により金型交換時間などの段取り時間が短縮できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、成形機と独立して周辺機器を制御する構成のコントローラが周辺機器の制御系を一元管理することで、成形機に負荷をかけることなく、ヒューマンエラーを防止できるとともに、成形品を層別制御できる構成の成形品取出装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は本発明の実施形態に係る成形品取出装置の構成を模式的に示す構成図である。
図2図2は本実施形態に係るコントローラの動作手順の一例を示すフローチャート図である。
図3図3は本実施形態に係るコントローラの動作手順の一例を示すフローチャート図である。
図4図4は本実施形態に係るコントローラの動作手順の一例を示すフローチャート図である。
図5図5は本実施形態に係るコントローラの動作手順の一例を示すフローチャート図である。
図6図6は本実施形態に係る制御信号と材料供給量との関係を従来例と実施例とで対比して示すタイミングチャート図である。
図7図7は本実施形態の成形品取出装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。図1および図7に示すように、成形品取出装置1は、材料乾燥機5からの検出データに基づいて指令を送信し、また、金型温度調節機7からの検出データに基づいて指令を送信するコントローラ2を有し、前記指令を受信して樹脂成形品を金型81から取り出して所定場所に開放する成形品取出ロボット3を有する。
【0029】
コントローラ2は、一例として、作業者が手持ち可能な端末であり、ボタン、ジョグダイヤルおよびタッチパネルを有するディスプレイ装置である入出力部24が配されている。コントローラ2は、CPU21と、二次記憶装置であるデータベース22とが内蔵されており、制御プログラム4がインストールされており、現在時刻を示す基準タイマー27を有しており、コンピュータ制御機能を有している。データベース22は、フラッシュメモリなど外部記憶装置(三次記憶装置)に保存しておくこともできる。制御プログラム4のファームウエアは、一例として、C言語やアセンブラ等の言語で構成されており、マイクロソフト社のWindows(登録商標)等のOS上で動作し、Webブラウザおよびコマンドラインからアップデートが可能である。なお、上記の構成に限定されず、既知のファームウエアが適用可能である。
【0030】
データベース22は、成形品取出ロボット3の制御に必要な金型毎の動作パターン、教示ポイント、動作速度、タイマーデータ、その他既知の動作データが格納されており、また、金型温度調節機7の制御に必要な金型温度、金型予備加熱時間、その他既知の動作データが格納されており、また、材料乾燥機5の制御に必要な樹脂材料乾燥温度、予備乾燥時間、その他既知の動作データが格納されており、そして、材料搬送機6の制御に必要な搬送時間、その他既知の動作データが格納されている。
【0031】
成形品取出ロボット3は、一例として、デジタルサーボモータによってアーム部31が配設され、7軸動作が可能なアーム部31の先端側に配されたロボットハンドなどのエフェクタ32によって成形品を把持し取り出して開放する構成である。
【0032】
図1は本実施形態に係る成形品取出装置1の構成を模式的に示す構成図であり、コントローラ2に内蔵された制御部25と成形品取出ロボット3に内蔵された制御部35とが信号接続されている。また、制御部25と材料乾燥機5に内蔵された制御部55とが信号接続されており、制御部25と材料搬送機6に内蔵された制御部65とが信号接続されており、且つ、制御部25と金型温度調節機7に内蔵された制御部75とが信号接続されている。つまり、成形品取出ロボット3と材料乾燥機5と材料搬送機6と金型温度調節機7とコントローラ2とはネットワーク接続されている。そしてコントローラ2は、成形サイクル毎に成形機8に内蔵された制御部85から送信されるサイクル信号Cを受信して周辺機器を制御する構成である。なお、上記構成に加えて、コントローラ2に内蔵された制御部25と成形機8に内蔵された制御部85との接続を利用して成形品管理データやその他既知のデータのやり取りが可能な構成にする場合がある。
【0033】
一例として、コントローラ2は、入出力部24の設定画面で金型番号若しくは金型名称を選択し、生産開始時間を任意に入力するだけの簡単な操作により、各周辺機器の条件設定を一括して行い、基準タイマー27が示す現在時刻を基準にしてタイマー起動時刻を設定する。またコントローラ2は、材料乾燥機5の乾燥条件設定と金型温度調節機7の温度条件設定と成形品取出ロボット3の動作条件設定とを行う。成形品取出ロボット3、材料乾燥機5および金型温度調節機7は、コントローラ2からの指令によって自動運転状態となり、コントローラ2に一元管理される。この構成によれば、ヒューマンエラーが防止できるとともに、金型番号と対応して各周辺機器を同期させることや連動させて、各周辺機器に対して合理的な動作の制御ができる。
【0034】
一例として、材料乾燥機5は、熱交換器を介した循環エアによって粒状またはペレット状の樹脂材料を乾燥する構成である。また、材料搬送機6は、材料乾燥機5によって乾燥された樹脂材料を成形機8に供給する構成である。そして、金型温度調節機7は、成形機8の金型側に接続された配管内の液体を熱媒体として金型81を加熱または冷却する構成である。上記の構成に加えて、成形品をストックするストック機や、成形品を袋詰めする包装機や、スプルやランナを粒状またはペレット状に粒断する粒断機をコントローラ2にネットワーク接続する場合もある。この構成によれば、コントローラ2から各周辺機器に必要な動作条件データをデータ転送してリアルタイムで成形に関わる各周辺機器の制御ができる。信号接続方式は、例えば有線LAN、無線LAN、USB接続、その他既知のネットワーク接続が挙げられる。
【0035】
図2図3は、本実施形態に係るコントローラ2の動作手順の一例であり、自動運転開始の判断を含むフローチャート図である。引き続き、コントローラ2の動作手順について、以下に説明する。
【0036】
一例として、周辺機器の条件設定ステップS1にて、操作者がコントローラ2の入出力部24における画面に表示された金型名を選択すると、コントローラ2は成形品取出ロボット3、材料乾燥機5、材料搬送機6、及び金型温度調節機7などの各周辺機器の条件を一括設定する。これにより、金型81の金型データの選択誤りや金型温度等の条件設定誤りが防止できるともに、各周辺機器への条件設定時間が短縮できる。周辺機器の条件設定ステップS1の後、自動運転開始の判断ステップS12になる。
【0037】
自動運転開始の判断ステップS12にて、コントローラ2は、樹脂材料が予め設定された材料乾燥時間に達したと判断し、且つ、金型温度調節機7に付設の温度センサ等の温度検知手段からの信号に基づいて設定温度に金型温度が達し、且つ、前記金型温度に達した状態で金型予備加熱時間に達したと判断したときに次の自動運転開始ステップS13に進む。そして自動運転開始ステップS13にて、コントローラ2は成形品取出ロボット3に対して自動運転開始指令を送信する。コントローラ2からの自動運転開始指令を受信した成形品取出ロボット3は自動運転モードになり、自動運転動作を開始する。これにより、適時に効率的な動作ができる。なお、上記の構成に加えて、自動運転開始ステップS13にて、コントローラ2が各周辺機器の自動運転動作を制御する場合がある。
【0038】
自動運転開始ステップS13に進んだ後、材料搬送機6により乾燥した樹脂材料が供給された成形機8は、予めプログラミングされた成形動作を行って成形品を生産する。成形動作完了の際、または成形動作完了直前に、成形機8は型開限信号をコントローラ2に送信し、コントローラ2は成形機8からの型開限信号を受信する型開信号の受信ステップS14になる。
【0039】
[材料乾燥機からの検出データの適用]
図2は材料乾燥機5からの検出データの適用を示す例である。成形機8からの型開限信号をコントローラ2が受信すると、材料乾燥機5に対する検出データ要求信号の送信ステップS15Aになる。検出データ要求信号の送信ステップS15Aにて、コントローラ2は材料乾燥機5に対して検出データ要求信号を送信する。検出データ要求信号が送信されると、材料乾燥機5は検出データ要求信号を受信する検出データ要求信号の受信ステップS15Bになる。そして、検出データ要求信号を受信した材料乾燥機5は検出データをコントローラ2に送信する検出データの送信ステップS16Aになる。
【0040】
一例として、成形機8における成形動作の際に、材料乾燥機5に付設された温度センサ等の温度検知手段は材料乾燥機5内の熱風乾燥エアの温度を検知し検出データとする。検出データの送信ステップS16Aにて、材料乾燥機5は、材料乾燥機5内の熱風乾燥エアの温度を検知した検出データをコントローラ2に送信し、コントローラ2は前記検出データを受信する検出データの受信ステップS16Bになる。そして、コントローラ2は、受信した前記検出データが正常範囲であるか否かを判断する検出データの判断ステップS17になる。
【0041】
[金型温度調節機からの検出データの適用]
図3は金型温度調節機7からの検出データの適用を示す例である。成形機8からの型開限信号をコントローラ2が受信すると、検出データ要求信号の送信ステップS15Aになる。検出データ要求信号の送信ステップS15Aにて、コントローラ2は、金型温度調節機7に対して検出データ要求信号を送信する。検出データ要求信号が送信されると、金型温度調節機7は検出データ要求信号を受信する検出データ要求信号の受信ステップS15Bになる。そして、検出データ要求信号を受信した金型温度調節機7は検出データをコントローラ2に送信する検出データの送信ステップS16Aになる。
【0042】
一例として、成形機8における成形動作の際に、金型温度調節機7に付設された温度センサ等の温度検知手段は、成形機8の金型81側に接続された配管内の媒体温度を検知し検出データとする。検出データの送信ステップS16Aにて、金型温度調節機7は、配管内の媒体温度を検知した検出データをコントローラ2に送信し、コントローラ2は前記検出データを受信する検出データの受信ステップS16Bになる。そして、コントローラ2は、受信した検出データが正常範囲であるか否かを判断する検出データの判断ステップS17になる。
【0043】
ここで、受信した検出データが正常範囲内であるとコントローラ2が判断した場合、成形品取出ロボット3は、成形品を正常時または標準時の開放場所に開放する動作を行う。一方、受信した検出データが正常範囲外であるとコントローラ2が判断した場合、コントローラ2は、成形品取出ロボット3に対して指令を送信する指令の送信ステップS18になる。
【0044】
指令の送信ステップS10にて、コントローラ2からの指令を受信した成形品取出ロボット3は、成形品を正常時または標準時の開放場所とは異なった開放場所、つまり、異常時の開放場所または非正常時の開放場所に開放する開放動作を行う。開放場所は、コントローラ2が受信した検出データに基づく区分によってクラス分けされる。一例として、コントローラ2が受信した検出データが異常値の場合は不良品排出場所になる。この構成によれば、成形品に求められる品質に応じた成形品の層別制御ができる。また、異常時または非正常時の開放場所への開放動作が所定の回数分継続した場合、コントローラ2は、停止指令を材料乾燥機5と材料搬送機6へそれぞれ送信し、停止指令を受信した材料搬送機6は材料搬送を停止し、停止指令を受信した材料乾燥機5は運転を停止する。
【0045】
前記検出データを受信する検出データの受信ステップS16Bにて、受信した前記検出データが正常範囲内の場合、コントローラ2は、検出データの判断ステップS17に続いて、成形停止の判断ステップS19に進む。一方、前記検出データを受信する検出データの受信ステップS16Bにて、受信した前記検出データが正常範囲外の場合、コントローラ2は、指令の送信ステップS18に続いて、成形停止の判断ステップS19に進む。
【0046】
そして、成形停止の判断ステップS19にて、良品成形数が設定値に未達の場合及び成形機8からの成形停止信号がない場合、成形機8は成形サイクルを所定回数繰り返して成形品を連続的に生産する。一方、成形停止の判断ステップS19にて、良品成形数が設定値に達成した場合、または成形機8からの成形停止信号を受信した場合、または異常時または非正常時の開放場所への開放動作が所定の回数分継続した場合、周辺機器の停止ステップS20になる。
【0047】
そして、周辺機器の停止ステップS20にて、コントローラ2は、周辺機器の停止指令を成形品取出ロボット3、材料乾燥機5、材料搬送機6及び金型温度調節機7に送信する。周辺機器の停止指令を受信した成形品取出ロボット3、材料乾燥機5、材料搬送機6及び金型温度調節機7は、パージ動作や終了動作を行って待機状態または停止状態になる。また、指令の送信ステップS18にて、コントローラ2から停止指令を受信した材料乾燥機5は運転を停止し、材料搬送機6は材料搬送を停止する。このとき、成形品取出ロボット3は成形サイクル終了後に自動運転停止状態になる。また、このとき、金型温度調節機7は、成形サイクル終了から一定時間まで運転を継続し、その後、停止する。
【0048】
本実施形態によれば、コントローラ2の制御によって各周辺機器の制御系を一元管理するので、成形機8に負荷をかけることなく、材料乾燥機5や金型温度調節機7などの各周辺機器からの検出データに基づいて、成形品取出ロボット3が成形品を正常時または標準時の開放場所に開放する動作と、成形品を正常時または標準時の開放場所とは異なった開放場所に開放する開放動作を制御できる。つまり、コントローラ2は指令によって成形品取出ロボット3が複数通リの動作を行って成形品の開放場所を適時決定するので、合理的な成形品の層別制御ができる。そして、コントローラ2からの指令によって成形品取出ロボット3は当該成形品を標準時の開放場所とは異なった開放場所に開放する開放動作を行い、さらに、コントローラ2からの指令に応じた材料乾燥機5は当該樹脂材料の材料搬送機6への材料搬送を停止することで、樹脂材料の乾燥不足等の品質不良の発生を未然に防止できる。よって、成形品の品質がより一層高められる。
【0049】
また、本実施形態によれば、ネットワーク接続された各周辺機器の動作をコントローラ2によって監視し、データ蓄積して成形品の品質向上に役立てることができる。そして、成形機8の動作情報をコントローラ2によって監視し、成形機8の動作タイミングに合わせて各周辺機器を連動させることができる。一例として、成形品取出ロボット3のエラー情報や生産状況は、スマートフォン等の携帯情報端末に送信することで、操作者に適時情報通知するようにできる。さらに、コントローラ2にコンピュータプログラムからなるAI(人工知能)としての機能を搭載することで、データベース22を適時更新させながら各周辺機器の動作条件情報を最適化することも可能である。
【0050】
図4は、本実施形態に係るコントローラ2の動作手順の一例であり、周辺機器の有効性の判断を含むフローチャート図である。引き続き、コントローラ2の動作手順について、以下に説明する。
【0051】
一例として、コントローラ2による各周辺機器の条件設定後、周辺機器の段取り替えステップS2にて、操作者は、成形品取出ロボット3にエフェクタ32を設置する。エフェクタ32が設置されると、コントローラ2は、成形品取出ロボット3のアーム部31を取り出し原点位置に移動させて、周辺機器の有効性の判断ステップS3に進む。
【0052】
周辺機器の有効性の判断ステップS3にて、コントローラ2は、データベース22に格納された金型番号と紐づけされた各種データを読みだして、成形品取出ロボット3に設置したエフェクタ32からのエフェクタ信号と、成形機8に設置した金型81の金型データとを照合する。コントローラ2は、前記エフェクタ信号と前記金型データとを照合して、照合結果が一致すると判断したときは生産開始時刻の入力ステップS4Aに進む。一方、コントローラ2は、前記エフェクタ信号と前記金型データとを照合して、照合結果が一致しないと判断したときは再び段取り替えステップS2の直前の状態に戻る。そして、コントローラ2は、入出力部24にエラー表示することで操作者に通知する。この構成によれば、金型81とエフェクタ32との組み合わせが正しいときのみに生産開始時刻の入力ステップS4Aに進むので、ヒューマンエラーが防止できて、より安全かつ確実に起動制御を行うことが容易にできる。
【0053】
そして、周辺機器の有効性の判断ステップS3に続いて生産開始時刻の入力ステップS4Aになる。生産開始時刻の入力ステップS4Aにて、操作者は、入出力部24に成形機8の生産開始時刻を入力する。これにより、生産開始時刻の入力ステップS4Aから起動時刻の算出ステップS4Bに進む。起動時刻の算出ステップS4Bにて、コントローラ2は、材料乾燥機5における樹脂材料昇温時間と樹脂材料予備乾燥時間の両方を成形機8の生産開始時刻から減算して材料乾燥機5が起動する第1タイマー値を算出する。また、金型温度調節機7における金型昇温時間と金型予備加熱時間の両方を成形機8の生産開始時刻から減算して金型温度調節機7が起動する第2タイマー値を算出する。
【0054】
そして、起動時刻の算出ステップS4Bに続いて起動時刻の有効性の判断ステップS5になる。起動時刻の有効性の判断ステップS5にて、コントローラ2は、操作者が入出力部24に表示された金型81の金型番号を選択または入力したときに基準タイマー27が示した現在時刻を成形機8の生産開始時刻から減算した値が算出した前記第1タイマー値と算出した前記第2タイマー値のいずれよりも大きいときに前記算出結果が有効であると判断し、周辺機器へのタイマー値の送信ステップS6に進む。一方、コントローラ2は、操作者が入出力部24に表示された金型81の金型番号を選択または入力したときに基準タイマー27が示した現在時刻を成形機8の生産開始時刻から減算した値が算出した前記第1タイマー値と算出した前記第2タイマー値のいずれかと同じかまたはいずれかよりも小さいときに前記算出結果が有効でないと判断し、前記算出結果が有効でないと判断したときは、生産開始時刻の入力ステップS4Aの直前の状態に戻る。そして、コントローラ2は、入出力部24にエラー表示することで操作者に通知する。この構成によれば、第1タイマー値および第2タイマー値の設定に矛盾がないときのみに材料乾燥機5と金型温度調節機7とをそれぞれ起動するステップに進むので、ヒューマンエラーが防止できて、より安全かつ確実に起動制御を行うことが容易にできる。
【0055】
そして、周辺機器へのタイマー値の送信ステップS6にて、コントローラ2は、材料乾燥機5に第1タイマー値を送信し、また、金型温度調節機7に第2タイマー値を送信する。ステップ7Aにて材料乾燥機5は前記第1タイマー値を受信して、ステップS8Aにて第1タイマー57を前記第1タイマー値に設定する。また、ステップ7Bにて金型温度調節機7は前記第2タイマー値を受信して、ステップS8Bにて第2タイマー77を前記第2タイマー値に設定する。本実施形態によれば、より効率的な周辺機器の起動制御を可能にしつつ、ヒューマンエラーが防止できる構成の成形品取出装置1になる。なお、上述の成形品取出装置1は、仕様等に合わせて適宜仕様変更する場合がある。
【0056】
図5は本実施形態に係るコントローラ2の動作手順の一例であり、区間ショット数qの有効性の判断を含むフローチャート図である。また、図6は本実施形態に係る制御信号と材料供給量との関係を従来例と実施例とで対比して示すタイミングチャート図である。引き続き、コントローラ2の動作手順について、以下に説明する。
【0057】
一例として、ステップS51にて、コントローラ2は、材料供給間隔時間rを成形サイクルsで除算することで材料供給間隔時間r毎の区間ショット数q、または、材料供給間隔中のショット数を数えることで区間ショット数qを算出し(q=r/s)、かつ、成形機8が予定生産数に到達する生産ショット数pを成形機8における生産期間中に算出する。
【0058】
次に、ステップS52にて、コントローラ2は、成形品取出ロボット3の成形品取出時に前回正常品ショット数に1を加算して現在時刻における累積ショット数mを算出する。そして、コントローラ2は、材料搬送機6が成形機8に樹脂材料を搬送したことを確認して算出した区間ショット数qの有効性を判断するステップS53に進む。
【0059】
そして、ステップS53にて、コントローラ2が区間ショット数qは有効であると判断した場合はステップS4に進む。一方、コントローラ2が区間ショット数qは有効でないと判断した場合はステップS51に戻る。一例として、コントローラ2は、再度区間ショット数qを算出して前回算出した区間ショット数の値と一致した場合に区間ショット数qは有効であると判断し、測定値をメモリまたはデータベース22に記憶させる。
【0060】
コントローラ2は区間ショット数qが有効であると判断するとステップS54に進む。ステップS54にて、コントローラ2は、生産ショット数pから前記区間ショット数qを引いてさらに1を引いた調整開始ショット数w(w=p-q-1)を算出し、ステップS55に進む。
【0061】
そして、ステップS55にて、コントローラ2は、現在時刻における累積ショット数mが調整開始ショット数wに達するか否かを判断する。コントローラ2が累積ショット数mは調整開始ショット数wに達したと判断した場合はステップS56に進む。一方、コントローラ2が累積ショット数mは調整開始ショット数wに達していないと判断した場合はステップS51に戻る。
【0062】
コントローラ2は累積ショット数mが調整開始ショット数wに達したと判断するとステップS56に進み、ステップS56にて、コントローラ2は、成形機8における残ショット分を供給するバルブ開放時間値kを算出して、ステップS57Aに進む。そして、ステップS57Aにて、コントローラ2は、材料搬送機6にバルブ開放時間値kを送信する。ステップS57Bにて、材料搬送機6は、コントローラ2から送信されたバルブ開放時間値kを受信してステップS57Cに進む。そして、ステップS57Cにて、材料搬送機6は、残ショット分を供給するバルブ開放時間値kを設定する。
【0063】
そして、コントローラ2は、ステップS57AからステップS58に進み、ステップS58にて、コントローラ2は、材料の搬送をしたか否かを判断する。コントローラ2が材料の搬送をしたと判断した場合はステップS59Aに進む。一方、コントローラ2が材料の搬送をしていないと判断した場合はステップS51に戻る。
【0064】
コントローラ2は材料の搬送をしたと判断するとステップS59Aに進み、ステップS59Aにて、コントローラ2は、材料搬送機6に搬送停止指示を送信する。ステップS59Bにおいて材料搬送機6は、コントローラ2からの搬送停止指示を受信してステップS59Cに進む。そして、ステップS59Cにて、材料搬送機6は、材料の搬送を停止する。
【0065】
コントローラ2は搬送停止指示を送信するとステップS60に進み、ステップS60にて、コントローラ2は、累積ショット数mが生産ショット数pに達したか否かを判断する。コントローラ2は累積ショット数mが生産ショット数pに達したと判断した場合はステップS61Aに進む。一方、コントローラ2は累積ショット数mが生産ショット数pに達していないと判断した場合はステップS51に戻る。
【0066】
コントローラ2は累積ショット数mが生産ショット数pに達したと判断するとステップS61Aに進み、ステップS61Aにて、コントローラ2は、成形品取出ロボット3に取出停止指示を送信する。ステップS61Bにて、成形品取出ロボット3は、コントローラ2からの取出停止指示を受信してステップS61Cに進む。そして、ステップS61Cにて、成形品取出ロボット3は、成形品の取出を停止する。
【0067】
上記に加えて、コントローラ2は累積ショット数mに基づく累積時間t3が生産ショット数pに基づく生産終了時間t1から予備乾燥時間を引いた材料供給終了時間t2に達すると材料搬送機6に材料乾燥機5への乾燥前の樹脂材料の搬送停止指示を送信して材料搬送機6からの材料乾燥機5への乾燥前樹脂材料の搬送を停止する制御を行う。一例として、生産終了時間t1は生産ショット数pから良品ショット数を減算したものに成形サイクルsを乗算した値であり、材料供給終了時間t2が生産終了時間t1に達すると材料搬送機6からの材料乾燥機5への乾燥前樹脂材料の搬送を停止する。
【0068】
図3は、材料供給量がハッチングにて示されている。従来例は、成形機8のホッパへ1回につき供給する乾燥済の材料供給量u1と最後に供給する乾燥済の材料供給量とが同じ量であるため、生産終了後にホッパ内に材料の残量が生じる。それに対して、実施例は、成形機8のホッパへ1回につき供給する乾燥済の材料供給量u1に対して最後に供給する乾燥済の材料供給量u2は少ない量に調整されるので、生産終了後にホッパ内に材料の残量を最小限にできる。
【0069】
本実施形態によれば、生産終了数に応じてコントローラ2が良品数以外の成形品数を確認しながら生産終了時刻及び生産終了までのショット数を予測し、生産に必要な量の樹脂材料だけを乾燥し、且つ生産終了最終ショット前より乾燥済樹脂材料の搬送量を減ずることにより、生産に対して余計な材料乾燥を防ぎ、生産終了後の成形機8におけるホッパ内の乾燥済樹脂材料の残量を最小限にすることによって、材料ロスの防止および段取り時間の短縮ができる。つまりコントローラ2における計算結果に基づいて、材料乾燥機5と材料搬送機6を連動させた合理的な動作の制御ができる。そして、成形品取出ロボット3並びに材料搬送機6の生産終了動作をそれぞれ適時に制御できるとともに、省電力化が図られる。したがって、より効率的な周辺機器の生産終了制御を可能にしつつ、ヒューマンエラーが防止できる構成の成形品取出装置1になる。なお、上述の成形品取出装置1は、仕様等に合わせて適宜仕様変更する場合がある。
【0070】
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7