(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】冷暖房システム
(51)【国際特許分類】
F24F 5/00 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
F24F5/00 101B
(21)【出願番号】P 2023115706
(22)【出願日】2023-07-14
【審査請求日】2024-07-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508048986
【氏名又は名称】株式会社D.C.Tアイ
(74)【代理人】
【識別番号】100104330
【氏名又は名称】杉山 誠二
(72)【発明者】
【氏名】上田 学
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 龍
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-162269(JP,A)
【文献】特開2023-150361(JP,A)
【文献】全空気式 床ふく射冷暖房システム ユカリラ WARM&COOL コンクリート埋設型YRCタイプ,大建工業株式会社,[online], 2022年11月, [検索日2024年8月29日], <https://www.daiken.jp/img/iportal/cv.do?c=74391800000&pg=1&v=DKK00001&d=PUBLIC>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床スラブ、床板および周囲壁によって囲まれた床下空間を備えた建造物に設置される冷暖房システムにおいて、
前記床下空間内に互いに間隔を隔てて平行に配置された複数枚のパネルによって、前記床下空間が、冷暖房用流体を供給するサプライ側流路と前記冷暖房用流体を回収するリターン側流路とに区分されており、
前記パネルが、上方に凸の形状を有し、前記パネルの頂部付近に、
前記パネルの長手方向に等距離間隔隔てて
複数の開口が設けられており、
前記パネルの前記頂部に、長手方向に延びた連結用突起が設けられており、前記床板の下面の対応個所に、長手方向に延びた弾性材料製の受け部が設けられており、前記連結用突起が、前記受け部の溝に嵌め込まれており、
前記サプライ側流路から前記開口を通って前記リターン側流路に流入する前記冷暖房用流体により、前記床板に熱伝達されるように構成されていることを特徴とする冷暖房システム。
【請求項2】
床スラブ、床板および周囲壁によって囲まれた床下空間を備えた建造物に設置される冷暖房システムにおいて、
前記床下空間内に、互いに間隔を隔てて平行に配置された複数枚のパネルによって、前記床下空間が、冷暖房用流体を供給するサプライ側流路と前記冷暖房用流体を回収するリターン側流路とに区分されており、
前記パネルが、
前記床スラブに対して垂直方向に延びたプレートによって形成されており、前記パネルの頂部に、
前記パネルの長手方向に等距離間隔隔てて
複数の開口が設けられており、
前記パネルの前記頂部の前記開口が設けられていない個所に、長手方向に延びた連結用突起が設けられており、前記床板の下面の対応個所に、長手方向に延びた弾性材料製の受け部が設けられており、前記連結用突起が、前記受け部の溝に嵌め込まれており、
前記サプライ側流路から前記開口を通って前記リターン側流路に流入する前記冷暖房用流体により、前記床板に熱伝達されるように構成されていることを特徴とする冷暖房システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、冷暖房システムに関する。より詳細には、本発明は、床下空間を利用して室内の冷暖房を効率的に行うことができる冷暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の室内に設置される冷暖房システムには、種々の型式のものが知られており、その中には、床下を通過する流体(例えば、水、空気)により床板の温度を調整し、これにより屋内の冷暖房を行うものがある。
【0003】
本発明者も、床板の裏面にコンクリート板製の蓄熱体が設置された型式の建物において効率的な熱交換を可能にする熱交換構造体を提案している(特許文献1参照)。
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の床下に冷暖房用流体を流通させて冷暖房を行うシステムは、床下に冷暖房用流体を均等に流通させることが困難であった。一方、特許文献1に記載された冷暖房用の熱交換構造体は、効率的な熱交換を行うことができるうえ、施工の簡略化も実現したため、幸いにして好評を博している。
【0006】
本発明は、床板の裏面にコンクリート板製の蓄熱体が設置されていない型式の建物において、一層効率的な熱交換を可能にする冷暖房システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願請求項1に記載の、床スラブ、床板および周囲壁によって囲まれた床下空間を備えた建造物に設置される冷暖房システムは、前記床下空間内に互いに間隔を隔てて平行に配置された複数枚のパネルによって、前記床下空間が、冷暖房用流体を供給するサプライ側流路と前記冷暖房用流体を回収するリターン側流路とに区分されており、前記パネルが、上方に凸の形状を有し、前記パネルの頂部付近に、前記パネルの長手方向に等距離間隔隔てて複数の開口が設けられており、前記パネルの前記頂部に、長手方向に延びた連結用突起が設けられており、前記床板の下面の対応個所に、長手方向に延びた弾性材料製の受け部が設けられており、前記連結用突起が、前記受け部の溝に嵌め込まれており、前記サプライ側流路から前記開口を通って前記リターン側流路に流入する前記冷暖房用流体により、前記床板に熱伝達されるように構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
本願請求項2に記載の、床スラブ、床板および周囲壁によって囲まれた床下空間を備えた建造物に設置される冷暖房システムは、前記床下空間内に、互いに間隔を隔てて平行に配置された複数枚のパネルによって、前記床下空間が、冷暖房用流体を供給するサプライ側流路と前記冷暖房用流体を回収するリターン側流路とに区分されており、前記パネルが、前記床スラブに対して垂直方向に延びたプレートによって形成されており、前記パネルの頂部に、前記パネルの長手方向に等距離間隔隔てて複数の開口が設けられており、前記パネルの前記頂部の前記開口が設けられていない個所に、長手方向に延びた連結用突起が設けられており、前記床板の下面の対応個所に、長手方向に延びた弾性材料製の受け部が設けられており、前記連結用突起が、前記受け部の溝に嵌め込まれており、前記サプライ側流路から前記開口を通って前記リターン側流路に流入する前記冷暖房用流体により、前記床板に熱伝達されるように構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の冷暖房システムによれば、床下空間12をパネル20によって細分化することにより、冷暖房用流体を床下空間12内に均等に流通させて温度ムラを少なくすることができる。第1の実施形態では、上方に凸の形状を有し、頂部20a付近に開口20bが設けられたパネル20によって床下空間12内をサプライ側流路22とリターン側流路24に区分することにより、冷暖房用流体を床板12bの下面に向かって至近距離から上方噴射させ、床板12bへの熱伝達を効率的に行うことができる。第2の実施形態では、上縁に多数の開口40aが設けられたプレート状のパネル40によって床下空間12内をサプライ側流路22とリターン側流路24に区分することにより、冷暖房用流体を床板12bの下面に沿って拡散させ、床板12bへの熱伝達を効率的に行うことができる。
【0013】
また、パネル20、40の頂部に連結用突起20d、40cを設け、床板12bの下面の受け部12b1の溝に連結用突起20d、40cを嵌め込むことによって、気密性の確保、床板12bの床鳴り防止、およびパネルによる床板12bの間接支持による床下空間12への余分な支持部材の配置の回避という効果を得ることができる。
【0014】
さらに、リターン側流路24から床下空間12外に流出した冷暖房用流体を、床板12bの上方に位置する居室28に流入させることにより、輻射による熱伝達に加えて、対流による熱伝達を利用することができるので、一層効率的な冷暖房環境が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る冷暖房システムの主要部が設置される床下空間を示した一部切り取り斜視図、
図1(b)は、
図1(a)の部分1bの拡大図である。
【
図2】
図2(a)は、
図1(a)において床板およびパネルを取り外した状態を示した斜視図、
図2(b)は、
図2(a)の部分2bの拡大図であって、支持脚を示したものである。
【
図3】
図1(a)の冷暖房システムの平面図である。
【
図4】
図1(a)の線4‐4に沿って見た断面図である。
【
図5】
図5(a)は、第1の実施形態に係るパネルの斜視図、
図5(b)は、
図5(a)のパネルの横断面図、
図5(c)は、
図5(a)のパネルの平面図である。
【
図6】
図6(a)は、
図4の部分6aの拡大図、
図6(b)および
図6(c)は、連結用突起の変形例を示した図、
図6(d)は、
図6(a)の部分6dの拡大図である。
【
図8】
図8(a)は、第2の実施形態に係るパネルの斜視図、
図8(b)は、
図8(a)のパネルの横断面図、
図8(c)は、
図8(a)のパネルの平面図である。
【
図9】
図9(a)は、第2の実施形態に係る冷暖房システムを示した
図6(a)と同様な図、
図9(b)は、第2の実施形態の変形例に係る冷暖房システムを示した
図6(a)と同様な図、
図9(c)は、
図9(b)の線9c‐9cに沿って見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
次に、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態に係る冷暖房システムについて詳細に説明する。
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る冷暖房システムの主要部が設置される床下空間を示した一部切り取り斜視図、
図3は、
図1(a)の冷暖房システムの平面図、
図4は、
図1(a)の線4‐4に沿って見た断面図である。
【0017】
図1(a)において全体として参照符号10で示される本発明の第1の実施形態に係る冷暖房システムは、居室28の床下に設置される床下空間12を備えている。
【0018】
床下空間12は、床スラブ12aと床板12bと周囲壁12cとによって囲まれた空間であり、床スラブ12aは、所定間隔を隔てて配置された複数個の支持脚14によって支持されている。
図2(a)は、床下空間12を明瞭に示すため、
図1(a)において床板12bおよびパネル20を取り外した状態を示した斜視図である。
図2(b)に示される支持脚14は、矢印で示されるように回転させることによって昇降し、高さを調整できるように構成されているが、同様な機能を有するものであれば、他の型式の支持脚を採用してもよい。なお、
図2(a)において示される端壁16a、18aは、後述するサプライ側流路22およびリターン側流路24を形成するのに用いられる。
【0019】
端壁16aは、一方の周囲壁12cと所定距離L隔てられており、端壁18aも、他方の周囲壁12cと所定距離L隔てられている(
図2(a)参照)。端壁16aと一方の周囲壁12cとの間の空間は、冷暖房用流体の流入路16となり、端壁18aと他方の周囲壁12cとの間の空間は、冷暖房用流体の流出路18となる。
【0020】
冷暖房システム10はまた、床下空間12の内部に配置されたパネル20を備えている。パネル20は、端壁16aから端壁18aまでの距離Xと実質的に同じ長さを有しており、横断面形状が上方に凸の形状に形作られている。
【0021】
図5(a)は、パネル20の斜視図、
図5(b)は、パネル20の横断面図、
図5(c)は、パネル20の平面図である。パネル20には、後述する頂部20aの付近に、長手方向に等距離間隔隔てて多数の開口20bが設けられている。好ましくは、開口20bは、
図5(b)に示されるように、頂部20aから下方に0.2H以内の個所(H:パネル20の高さ)に設けられている。より好ましくは、開口20bは、頂部20aから下方に0.1H以内の個所に設けられている。開口20bをこのような位置に設けたのは、冷暖房用流体を床板12bの下面に向かって至近距離から上方噴射させるためである。
【0022】
パネル20は、
図5(a)に示されるように、1枚の細長い板材を中央付近の互いに平行な2個所でそれぞれ一方向に折り曲げて台形状の頂部20aを形成し、板材の両縁部を反対方向にそれぞれ折り曲げてフランジ20cを形成したものである。或いは、1枚の細長い板材を中央付近の2個所でそれぞれ一方向に折り曲げて台形状の頂部20aを形成し、別体のフランジを板材の両縁部に適当な方法で取り付けてもよい。また、パネル20を形成する板材は、距離Xと実質的に同じ長さのものを用いてもよいし、距離Xよりも短いものを適当な方法で継ぎ足してXと実質的に同じ長さのものにしてもよい。
【0023】
パネル20の頂部20aには、長手方向に延びた連結用突起20dが設けられている。一方、床板12bの下面の対応個所には、長手方向に延びた弾性材料(例えば、ゴム)製の受け部12b1が設けられている。そして、床板12bの設置に際して、受け部12b1の溝に連結用突起20dを嵌め込んだ状態でパネル20のフランジ20cを床スラブ12aにビス止めする。或いは、パネル20を床スラブ12aに固定した後、パネルの連結用突起20dに受け部12b1の溝が嵌め込まれるようにして、床板12bを設置する。
【0024】
パネル20は、金属材料、合成樹脂材料等の適当な材料で形成される。連結用突起20dも、金属材料、合成樹脂材料等の適当な材料で形成され、パネル20の頂部20aに、溶接や接着等の適当な方法で取り付けられる。
【0025】
図6(a)は、
図4の部分6aの拡大図(リターン側流路24を明瞭に示すため、端壁16aの一部が切り取られている)であって、連結用突起20dと受け部12b1が嵌合している状態を示したものである。パネル20と床板12bとの連結個所をこのように構成したことにより、後述するサプライ側流路22およびリターン側流路24の気密性が確保されるので、冷暖房用流体の床板12bへの良好な熱伝達を可能にするという効果が得られる。また、床板12bがパネル20によって弾性支持される(換言すると、弾性材料製の受け部12b1が一種のクッション材の役目を果たす)ので、床板12bに作用する荷重により発生する床鳴りを極力回避することができるという効果も得られる。さらに、床板12bが受け部12b及び連結用突起20cを介してパネル20に間接的に支持されるので、冷暖房用流体の流通を妨げる余分な支持部材を床下空間12内に配置する必要がなくなり、冷暖房用流体の床板12bへの熱伝達を一層良好にするという効果も得られる。
【0026】
図6(b)および
図6(c)は、連結用突起20cの変形例を示した図である。
図6(a)~
図6(c)に図示される連結用突起20cの形状は例示的なものであり、受け部12bとの嵌合が確実に行われるものであれば、他の形状を採用してもよい。なお、
図6(d)は、
図6(a)の部分6dの拡大図である。
図6(d)に示される例では、支持脚14は、スペーサ14aを介して床板12bを支持しているが、スペーサ14aを省略して床板12bを直接支持するようにしてもよい。
【0027】
図5に示されるパネル20は、横断面形状が全体として台形状であるが、横断面形状が上方に凸の形状であれば、他の形態を採用してもよい。
図7は、他の形態のパネルを示した一連の図である。すなわち、
図7(a)は横断面形状が三角形、
図7(b)は横断面形状が正多角形(図示されているのは正十二角形)の上半分の形状、
図7(c)は横断面形状が円弧状、
図7(d)は横断面形状が楕円弧状であり、いずれも上方に凸の形状である。パネル20を上方に凸の横断面形状にしたのは、上述のような床板12bとの連結個所を構成するのに好適であること、冷暖房用流体を床板12bの下面に向かって至近距離から上方噴射させる開口を設置するのに好適であることを考慮したものである。
【0028】
床下空間12の内部にパネル20をそれぞれ配置することにより、床下空間12は、サプライ側流路22と、サプライ側流路22に隣接するリターン側流路24とに区分される。
【0029】
また、流入路16とリターン側流路24の各々は、
図1(a)の部分1bの拡大図である
図1(b)に最も良く示されるように、端壁16aによってそれぞれ閉鎖されており、流出路18とサプライ側流路22の各々とは、端壁18a(
図2(a)参照)によってそれぞれ閉鎖されている。
【0030】
以上の構成により、流入路16は、サプライ側流路22、パネル20の開口20c、次いでリターン側流路24を介して、流出路18と流体連通している。
【0031】
好ましくは、流出路18は、
図4に示されるように、居室流入路26を介して、床板12bの上方に位置する居室28と連通し、居室28から延びた居室流出路30が流入路16に接続されている。これにより、流入路16からサプライ側流路22、パネル20の開口20b、リターン側流路24、流出路18、居室流入路26、居室28、居室流出路30に至る冷暖房用流体の循環路が形成されることになる。循環路には、流体を循環させるためのポンプおよび冷暖房用流体を供給する冷暖房用流体源(いずれも図示せず)が設置されている。
【0032】
次に、主として
図4を参照して、以上のように構成された冷暖房システム10の作動について、暖房の場合を例にして説明する。まず、流入路16に暖房用流体(例えば、温風)を供給する。温風は、流入路16からサプライ側流路22に流入し、パネル20の開口20bを通ってリターン側流路24に流入する。その際、開口20cがパネル20の頂部20aの付近に設けられているので、温風が床板12bの下面に向かって上方噴射される(
図6(a)の白抜き矢印参照)ため、床板12bへの熱伝達がより効率的に行われる。床板12bに伝達された熱による輻射によって、居室28が温められる。一方、リターン側流路24に流入した温風は、流出路18から、居室流入路26を介して居室28に流入する。居室28に流入した温風による居室28での対流によって、居室28が温められる。次いで、温風は、居室流出路30を介して流入路16に戻される。このようにして、暖房用流体を循環させることにより、居室28の暖房を効率的に行うことができる。
【0033】
冷房の場合の作動についても、暖房用流体の代わりに冷房用流体(例えば、冷風)を供給することを除いて、上述の暖房の場合の作動と同様である。
【0034】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、横断面形状が上方に凸の形状に形作られたパネル20が用いられているが、第2の実施形態は、プレート状のパネル40が用いられる点を除いて、第1の実施形態と実質的に同一の構成を有している。
【0035】
図8(a)は、第2の実施形態において使用されるパネル40の斜視図、
図8(b)は、パネル40の横断面図、
図8(c)は、パネル40の平面図である。パネル40には、その上縁に、長手方向に等距離間隔隔てて多数の開口すなわち切欠き40aが設けられている。第1の実施形態において使用されるパネル20では、冷暖房用流体を床板12bの下面に向かって至近距離から上方噴射させるような個所に開口20bが設けられているが、第2の実施形態において使用されるパネル40では、冷暖房用流体を床板12bの下面に沿って拡散させる(
図9(a)および
図9(b)の白抜き矢印参照)ような個所に開口40aが設けられている。いずれの型式のパネル20、40も床板12bへの良好な熱伝達を期待することができる。
【0036】
パネル40の下縁には、フランジ40bが設置されており、フランジ40bを床スラブ12aにビス止めすることによって、パネル40が適所に固定される。パネル40の上縁には、開口すなわち切欠き20bが設けられている個所を除いて連結用突起40cが設けられており、床板12bの下面の対応個所に設けられた弾性材料(例えば、ゴム)製の受け部12b1に連結用突起40cが嵌め込まれるように構成されている。パネル40と床板12bとの連結個所をこのように構成したことにより、パネル20の場合と同様に、サプライ側流路22およびリターン側流路24の気密性の確保、パネル40による床板12bの弾性支持、パネル40による床板12bの間接支持という効果を得ることができる。
【0037】
図9(a)は、第2の実施形態に係る冷暖房システムを示した
図6(a)と同様な図、
図9(b)は、第2の実施形態の変形例に係る冷暖房システムを示した
図6(a)と同様な図である(
図9(a)および
図9(b)では、リターン側流路24への冷暖房用流体の流入を明瞭に示すため、端壁16aの一部が切り取られた状態で図示されている)。
図9(a)の形態と
図9(b)の形態の相違は、支持脚14の設置位置の違いのみである(すなわち、
図9(a)の形態では、サプライ側流路22に支持脚14が配置されているが、
図9(b)の形態では、リターン側流路24に支持脚14が配置されている)。
【0038】
なお、第2の実施形態におけるサプライ側流路22およびリターン側流路24の横断面形状が第1の実施形態におけるサプライ側流路22およびリターン側流路24の横断面形状と異なるので、流入路16とリターン側流路24を閉鎖する端壁16aの形状、および、流出路18とサプライ側流路22を閉鎖する端壁18aの形状も、第1の実施形態における端壁16a、18aの形状と相違している。
【0039】
本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0040】
例えば、図示されているパネル20、40の細部の形状は例示的なものであり、これらに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0041】
10 冷暖房システム
12 床下空間
12a 床スラブ
12b 床板
12b1 受け部
12c 周囲壁
14 支持脚
14a スペーサ
16 流入路
16a 端壁
18 流出路
18a 端壁
20 パネル(第1の実施形態)
20a 頂部
20b 開口
20c フランジ
20d 連結用突起
22 サプライ側流路
24 リターン側流路
26 居室流入路
28 居室
30 居室流出路
40 パネル(第2の実施形態)
40a 開口
40b フランジ
40c 連結用突起
【要約】
【課題】床板の裏面にコンクリート板製の蓄熱体が設置されていない型式の建物において効率的な熱交換を可能にする冷暖房システムを提供する。
【解決手段】パネル(20)によって、床下空間(12)が、冷暖房用流体を供給するサプライ側流路(22)と冷暖房用流体を回収するリターン側流路(24)とに区分されており、パネルが、上方に凸の形状を有し、パネルの頂部付近に、長手方向に等距離間隔隔てて多数の開口が設けられており、サプライ側流路から開口を通ってリターン側流路に流入する冷暖房用流体により、床板(12b)に熱伝達されるように構成されている。
【選択図】
図1