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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】冷却被服
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/005 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
A41D13/005 103
A41D13/005 108
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023198235
(22)【出願日】2023-11-22
【審査請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】517312135
【氏名又は名称】株式会社リブレ
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀井 邦彦
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0007326(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0100659(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/005
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝固可能な物性の冷却物質を出し入れ自在に収納可能な収納部と、
前記収納部に貯留された冷却流体を導くための冷却流体経路とを備えた冷却被服において、
一端側が前記収納部に接続され他端側が前記冷却流体経路に接続されたチューブと、
前記チューブに取り付けられたポンプと、
前記冷却流体経路の外部からの圧力が規定圧力を超えると開弁する安全弁とを備え、
前記冷却流体経路は、
前記冷却被服の着用者と接触する表面と、前記表面の反対側になる裏面とを有する内側シート材と、前記内側シート材と着する外側シート材とによって形成された冷却被服。
【請求項2】
請求項1に記載の冷却被服において、
前記ポンプに、前記収納部に貯留された冷却流体を前記収納部に接続された前記チューブを通じて吸入する吸入部と、前記冷却流体経路に向けて冷却流体を前記冷却流体経路に接続された前記チューブを通じて吐出する吐出部とを備え、
前記安全弁は、
前記冷却流体経路に接続された前記チューブ側に設けられた冷却被服。
【請求項3】
請求項2に記載の冷却被服において、
被服本体は、前身頃と、後身頃とを有し、
前記チューブの他端側は、
前記後身頃に設けられた前記冷却流体経路に接続され、
前記内側シート材の表面側に位置する冷却被服。
【請求項4】
請求項3に記載の冷却被服において、
前記冷却流体経路は、
肩部を介して前記後身頃と前記前身頃とに連なって設けられ、
前記チューブの他端側から前記冷却流体経路に流出された冷却流体を前記前身頃に向かって導く冷却被服。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の冷却被服において、
前記安全弁は、
前記冷却流体経路の外部からの圧力が前記規定圧力を超えると開弁して、前記安全弁の外部に冷却流体を排出する機能を有する冷却被服。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の冷却被服において、
前記内シート材の前記表面に起毛加工が施されている冷却被服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の身体を冷やす冷却被服に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人にとって不快な猛暑日は近年、年間を通じて数多くあり、このような猛暑日には、熱中症の防止策として、小まめな水分補給をはじめ、適度な冷房装置の使用が、奨励されている。しかしながら、冷房装置の設備がない、または冷房の効きが十分でない等の理由により、猛暑下の屋外で働く作業者や、屋内の蒸し暑い環境下で働く作業者、炎天下でレクリエーションやスポーツ、観戦等を行っている人は、冷房装置で涼を取ることはできない。そこで、避暑を求める人向けに、冷却機能を備えた被服が普及し、近年では、冷水を循環させる冷却流体経路を被服本体に装着した冷却被服も開発されている。その一例が、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1には、人体面に接触し且つ冷却流体(冷却水)の供給時において変形しない内側シートと、その内側シートの外面に接着されて内側シートとの間に冷却流体が供給される冷却流体経路を形成する外側シートとによって構成されている複数の冷却パネルを備えた冷却被服について開示されている。また、特許文献1には、冷却パネルが上着の前面内側、上着の背面内側及びズボンの内側に付設して用いられることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-308338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術には、下記の問題がある。
特許文献1に開示されている冷却被服の着用者がスポーツ等を行っている場合に、冷却被服が備えた冷却流体経路の外部から圧力がかかることで、冷却流体経路が破裂する虞があることである。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、冷却流体経路の外部からの圧力によって冷却流体経路が破裂する虞を防止する冷却被服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る冷却被服は、以下の構成を有する。
(1)凝固可能な物性の冷却物質を出し入れ自在に収納可能な収納部と、前記収納部に貯留された冷却流体を導くための冷却流体経路とを備えた冷却被服において、一端側が前記収納部に接続され他端側が前記冷却流体経路に接続されたチューブと、前記チューブに取り付けられたポンプと、前記冷却流体経路の外部からの圧力が規定圧力を超えると開弁する安全弁とを備え、前記冷却流体経路は、前記冷却被服の着用者と接触する表面と、前記表面の反対側になる裏面とを有する内側シート材と、前記内側シート材と着する外側シート材とによって形成された。
(2)(1)に記載の冷却被服において、前記ポンプに、前記収納部に貯留された冷却流体を前記収納部に接続された前記チューブを通じて吸入する吸入部と、前記冷却流体経路に向けて冷却流体を前記冷却流体経路に接続された前記チューブを通じて吐出する吐出部とを備え、前記安全弁は、前記冷却流体経路に接続された前記チューブ側に設けられたとすると良い。
(3)(2)に記載の冷却被服において、被服本体は、前身頃と、後身頃とを有し、前記チューブの他端側は、前記後身頃に設けられた前記冷却流体経路に接続され、前記内側シート材の表面側に位置すると良い。
(4)(3)に記載の冷却被服において、前記冷却流体経路は、肩部を介して前記後身頃と前記前身頃とに連なって設けられ、前記チューブの他端側から前記冷却流体経路に流出された冷却流体を前記前身頃に向かって導くと良い。
(5)(1)から(4)のいずれかに記載の冷却被服において、前記安全弁は、前記冷却流体経路の外部からの圧力が前記規定圧力を超えると開弁して、前記安全弁の外部に冷却流体を排出する機能を有すると良い。
(6)(1)から(4)のいずれかに記載の冷却被服において、前記内シート材の前記表面に起毛加工が施されていると良い。
【発明の効果】
【0008】
上記構成を有する本発明に係る冷却被服の作用・効果について説明する。
【0009】
(1)本発明が備える特徴により、収納部に収納された凝固可能な物性の冷却物質に接触した冷却流体を、チューブに取り付けられたポンプの作動により、収納部に接続されたチューブの一端側から吸入させて冷却流体経路に接続されたチューブの他端側から吐出させて冷却流体経路によって導く。また、冷却被服の着用者と接触する表面と、その表面の反対側になる裏面とを有する内面シート材という薄い材料で形成されている冷却流体経路の外部から圧力が規定圧力を超えると、安全弁を開弁させて、冷却流体を排出させる。
【0010】
この特徴により、水冷被服の外部から圧力がかかり、その圧力が規定圧力を超えたとしても、安全弁が開弁されて、冷却流体が排出されることにより、高圧の冷却流体によって冷却流体経路が破裂する虞を防止することができる。
【0011】
(2)本発明が備える特徴により、ポンプが備える吸入部により収納部に貯留された冷却流体を収納部に接続されたチューブから吸入させ、ポンプが備える吐出部によりチューブを冷却流体経路に向けて冷却流体を吐出させる。また、冷却流体経路の外部から圧力が規定圧力を超えると、冷却流体経路に接続された他端側のチューブ側に備えられている安全弁を開弁させて冷却流体を排出させる。
【0012】
この特徴により、冷却流体経路の外部からの圧力が規定圧力を超えた場合には、冷却流体経路に接続されたチューブ側に備えられている安全弁が開放されて冷却流体が外部に排出されることで、冷却流体にかかる圧力が低下するため、吐出部によって冷却流体経路に接続されたチューブから冷却流体経路へと流出させるために動作しているポンプに負担がかかってしまうことを防止することができる。
【0013】
(3)本発明が備える特徴により、冷却流体経路の外部からの圧力が規定圧力を超えると、前身頃ではなく後身頃に設けられた冷却流体経路に接続されていて、内側シート材の表面側に位置する他端側のチューブ側に備えられた安全弁を開弁させて冷却流体を排出させる。
【0014】
この特徴により、後身頃の冷却流体経路に接続されている他端側のチューブ側に備えられた安全弁が開弁されて冷却流体が排出された場合、例えば、冷却流体によって前身頃側が汚れてしまうことを防止することができる。
【0015】
(4)本発明が備える特徴により、冷却流体経路が肩部を介して被服本体の後身頃と前身頃とに連なって設けられ、後身頃に設けられた冷却流体経路に接続されているチューブの他端側から排出された冷却流体を前身頃に向かって導いて、着用者の身体を冷却する。
【0016】
この特徴により、ポンプの作動により、後身頃に設けられた冷却流体経路に接続されているチューブの他端側から排出された冷却流体が前身頃に向かって導かれることで、例えば、冷却被服の着用者の背中だけでなく胸を均一的に冷却することができる。
【0017】
(5)本発明が備える特徴により、冷却流体経路の外部からの圧力が規定圧力を超えると、安全弁を開放して、安全弁の外部に冷却流体を排出させることで、冷却流体経路の冷却流体の圧力が上昇することを防止する。
【0018】
この特徴により、冷却流体経路の外部からの圧力が規定圧力を超えて、安全弁が開弁されて安全弁外部への冷却流体が排出されると、冷却流体経路内の圧力が外部へと逃げて冷却流体経路内の圧力が低下されることになるため、冷却流体経路が破裂してしまうことを防止することができる。
【0019】
(6)本発明が備える特徴により、内面シート材の冷却被服の着用者と接触する表面に起毛加工が施されている。
【0020】
この特徴により、冷却被服の着用者の身体が内面シート材の表面と接触しても、その表面に起毛加工が施されているため、冷却被服の着心地が良くなり、冷却被服を着用時の快適感を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係る冷却ベストを示す正面図である。
図2図1に示す冷却ベストの背面図である。
図3図1に示す冷却ベストの内側をベスト前身頃側から見た正面図である。
図4】実施形態に係る冷却被服の正面図である。
図5図4に示す冷却被服の背面図である。
図6図4に示すA-A線断面図である。
図7】実施形態に係る冷却被服の収納部に冷却物質入りペットボトルを出し入れする要領を示す説明図である。
図8】実施形態に係る冷却被服の収納部用開口部から冷却物質入りペットボトルを入れている状態を斜視で示す説明図である。
図9】実施形態に係る冷却被服の収納部に冷却物質入りペットボトルを収納して収納部が閉塞された状態を斜視で示す説明図である。
図10】ポンプの作動による冷却流体の流れを説明するための概略図である。
図11図4に示す冷却被服全体における冷却流体の流れを示す説明図である。
図12】実施形態に係る冷却被服において、ペットボトル内の冷却物質で冷却流体を冷やす様子を模式的に示す説明図である。
図13】本実施形態に係る安全弁を示す断面図である。
図14A】冷却流体経路の外側からポンプの作動に支障をきたす圧力がかかっていない場合の冷却流体の流れと圧力を説明するための概略断面図である。
図14B】冷却流体経路の外側からポンプの作動に支障をきたす圧力がかかった場合の冷却流体の流れと圧力を説明するための概略断面図である。
図14C】安全弁の排出口から冷却流体が排出された場合の冷却流体の流れと圧力を説明するための概略断面図である。
図15】実施形態に係る冷却被服に具備するポンプ操作ユニットの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る冷却被服について、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本発明に係る冷却被服は、例えば、猛暑下の屋外で働く作業者や、屋内の蒸し暑い環境下で働く作業者、炎天下でのレクリエーションやスポーツ、観戦等を行っている人等、着用者の身体を冷やすために使用される。この冷却被服の形態は、作業時に着衣する作業服のほか、娯楽やレジャー、イベントや行事、スポーツ、ジョギング、自転車等をはじめ、様々な用途で着用可能な多目的の上着等である。
【0023】
<冷却被服11の概要>
はじめに、冷却被服11が裏地に接着された冷却ベスト1の概要について、図1図3を用いて簡単に説明する。図1は、実施形態に係る冷却ベストを示す正面図であり、図1に示す冷却ベストの背面図を図2に示し、図1に示す冷却ベストの内側をベスト前身頃側から見た正面図を図3に示す。
【0024】
本実施形態に係る冷却ベスト1では、例えば、冷却被服11が面ファスナ20を通して冷却ベスト1に繋いで、着脱可能となっている。その方式として、冷却ベスト1の裏地10にメスの面ファスナ20を設置し、かつ、冷却被服11を形成している外側シート材17の表面17Aにオスの面ファスナ20を設置することである。冷却被服11が面ファスナ20を通して冷却ベスト1に繋いで着脱可能となっているため、例えば、冷却ベスト1から冷却被服11を取り外して冷却被服11のみを着用した場合や、冷却ベスト1から冷却被服11を取り外して、冷却被服11のみを洗濯機等で洗濯することが可能となっている。
【0025】
<ベスト本体2について>
はじめに、冷却被服11を取り付けたベスト本体2について、図1図3を用いて説明する。ベスト本体2は、図1から図3に示すように、ベスト前身頃4と、ベスト後身頃5とを有したベスト(袖口が無い作業着)の形態に形成されている。しかしながら、この冷却ベスト1は、長袖や半袖等の作業着であっても良い。
【0026】
ベスト本体2では、その服地3が、表側服地3Aと裏側服地3Bによりベスト形状に形成されている。表側服地3Aと裏側服地3Bは双方とも、例えば、ナイロン(nylon)、ポリエステル(polyester)等、耐熱性、耐強度、蒸散性に優れた合成樹脂繊維により構成されている。しかしながら、これに限定されるものではなく、表側服地3Aと裏側服地3Bは双方とも、皮製であっても良い。
【0027】
図1から図3に示すように、冷却被服11が取り付けられた冷却ベスト1では、ベスト本体2と、冷却被服11とを備えている。
【0028】
図1に示すように、ベスト本体2の表側服地3Aには、例えば、ポケットである、第1収容部7及び第2収容部8が設けられている。第1収容部7及び第2収容部8は、表側服地3Aとベスト本体2のベスト前身頃4の裏地10との間に形成される内部空間に設けられている。これにより、携帯用バッテリー65は、第1収容部7や、第2収容部8から出し入れされる。
【0029】
第1収容部7には、図1から図3に示すように、表側服地3Aとベスト本体2のベスト前身頃4の裏地10との間で、ポンプ配線66を挿通できるよう開口した部分である収容部用開口部9が設けられている。これにより、ポンプ配線66が、携帯用バッテリー65側にある一端側で、第1収容部7に収められた状態にあっても、収容部用開口部9を通じて冷却ベスト1の内側に露出できる。
【0030】
図1から図3に示すように、本実施形態の冷却被服11は、冷却ベスト1の裏地10に、冷却ベスト1のベスト肩部6を介してベスト本体2のベスト後身頃5とベスト前身頃4とに連なるように取り付けられている。これにより、図1に示すように、後述する冷却被服11の被服右前身頃13Aがベスト前身頃4の裏地10の右側部分に配置され、後述する被服左前身頃13Bがベスト前身頃4の裏地10の左側部分に配置されている。また、図2に示すように、後述する収納部31は、ベスト後身頃5の裏地10に配置されている。
【0031】
本実施形態に係る冷却ベスト1の裏地10に冷却被服11が取り付けられている場合には、図3に示すように、冷却被服11を形成している内側シート材16の表面16Aが、冷却被服11が取り付けられている冷却ベスト1を着用している着用者の身体に接触することになる。また、図3に示すように、収納部31を開閉するためのファスナ19は、内側シート材16の表面16A側における冷却被服11の背中付近に配置されている。
【0032】
<被服本体12について>
続いて、冷却被服11の概要について、図4図6を用いて簡単に説明する。図4は、実施形態に係る冷却被服の正面図であり、図4に示す冷却被服の背面図を図5に示し、図4に示すA-A線断面図を図6に示す。
【0033】
図4図6に示すように、本実施形態に係る冷却被服11は、被服本体12と、例えば、水、飲料水等、凝固可能な冷却物質Mをペットボトル90内に収納した状態にある冷却物質M入りペットボトル90Xを出し入れ自在に収納可能な有底袋状の収納部31と、収納部31に貯留された冷却流体を導くための冷却流体経路21と、ポンプ41と、チューブ42と、安全弁51と、ポンプ操作ユニット61と、携帯用バッテリー65とを備えている。
【0034】
本実施形態の冷却被服11は、高温環境下で作業等を行う者が身体を冷却するために装着するものである。本実施形態の冷却被服11おける被服本体12は、内側シート材16及び外側シート材17によって形成されている。内側シート材16及び外側シート材17は、例えば、ナイロン(nylon)、ポリエステル(polyester)等、防水性、可撓性、耐熱性、耐強度、蒸散性に優れた合成樹脂繊維製の生地からなる。内側シート材16と外側シート材17とはそれぞれの接触部において互いに熱圧着される熱圧着性を有しており、図5に示す外側シート材17の上に、図4に示す内側シート材16を載せ、その後公知の熱圧着装置によって外側シート材17の裏面17Bと内側シート材16の裏面16Bを熱圧着させる。ここで、シートとは、日本標準産業分類の定義によれば、厚さが0.2mm以上で軟質製のものである。そのため、本実施形態の内側シート材16は、約2mmの厚さを有する軟質製のものであり、本実施形態の外側シート材17は、約1mmの厚さを有する軟質製のものである。
【0035】
本実施形態の内側シート材16は、冷却被服11を着用している着用者の身体と接触する表面16Aと、冷却流体(本実施形態では、水)と接触する裏面16Bとを有している。また、本実施形態の外側シート材17は、本実施形態の冷却ベスト1の裏地10に接触する表面17Aと、冷却流体と接触する裏面17Bとを有している。
【0036】
図4及び図5に示すように、被服本体12は、左右に分割された被服前身頃13、被服後身頃14、被服肩部15等を有している。被服後身頃14と左右に分割された被服前身頃13とは被服肩部15を介して連なっている。また、図4に示すように、冷却被服11を正面から見て、被服前身頃13のうち、着用者の右側部分を被服右前身頃13Aであり、着用者の左側部分を被服左前身頃13Bである。また、図4に示すように、被服本体12の被服後身頃14の背中付近に設けられた収納部31を開閉するためのファスナ19を、内側シート材16の表面16Aに具備している。また、図4に示すように、冷却被服11を正面から見て、被服肩部15のうち、着用者の右側部分を被服右肩部15Aであり、着用者の左側部分を被服左肩部15Bである。
【0037】
本実施形態に係る冷却被服11は、冷却流体経路21と、収納部31と、可撓性を有した樹脂からなるチューブ42と、チューブ42の一端側に第1流出部32と、その反対側のチューブ42の他端側に第2流出部24と、チューブ42内に冷却流体N(本実施形態では、水)を送出させるポンプ41等を有する。第1流出部32は、後に詳述する収納部31に配設されている。また、第2流出部24は、後に詳述する冷却流体経路21に配設されている。ポンプ41は、ポンプ41の作動によって第1流出部32からチューブ42を通じて冷却流体Nを吸入する吸入部43と、ポンプ41の作動によってチューブ42を通じて冷却流体経路21に向けて冷却流体Nを吐出する吐出部44とを備えている。
【0038】
図5に示すように、冷却被服11を形成している外側シート材17の表面17Aには、17つのオスの面ファスナ20が設置されている。具体的には、図5に示すように、外側シート材17の表面17Aにおける被服右前身頃13Aの部分には、3つのオスの面ファスナ20が設置されている。また、図5に示すように、外側シート材17の表面17Aにおける被服右肩部15Aの部分には、2つのオスの面ファスナ20が設置されている。また、図5に示すように、外側シート材17の表面17Aにおける被服左前身頃13Bの部分には、3つのオスの面ファスナ20が設置されている。また、図5に示すように、外側シート材17の表面17Aにおける被服左肩部15Bの部分には、2つのオスの面ファスナ20が設置されている。また、図5に示すように、外側シート材17の表面17Aにおける首元部分には、1つのオスの面ファスナ20が設置されている。また、図5に示すように、外側シート材17の表面17Aにおける背中右側の部分には、2つのオスの面ファスナ20が設置されている。また、図5に示すように、外側シート材17の表面17Aにおける背中左側の部分には、2つのオスの面ファスナ20が設置されている。また、図5に示すように、外側シート材17の表面17Aにおける背中下側の部分には、2つのオスの面ファスナ20が設置されている。なお、冷却ベストの裏地10には、外側シート材17の表面17Aに設置された17つのオスの面ファスナ20と接着可能となるように、17つのメスの面ファスナに設置されている。冷却被服11を形成している外側シート材17の表面17Aに設置されているオスの面ファスナに冷却ベスト1の裏地10に設置されている17つのメスの面ファスナを接着させることで、冷却被服11を冷却ベスト1に取り付けることができる。
【0039】
次に、図6を用いて、図4に示すA-A線断面図について説明する。本実施形態の冷却流体経路21と収納部31は、図5に示す外側シート材17の上に、図4に示す内側シート材16を載せ、その後公知の熱圧着装置によって外側シート材17の裏面14Bと内側シート材16の裏面16Bを熱圧着させることで形成されている。図6に示すように、外側シート材17の裏面14Bと内側シート材16の裏面16Bを熱圧着させることで、冷却流体経路21の内部空間21Sを有している。また、外側シート材17の裏面14Bと内側シート材16の裏面16Bを熱圧着させることで、収納部31の内部空間31Sを有している。
【0040】
図6に示すように、内側シート材16の裏面16Bと外側シート材17の裏面17Bを熱圧着させて熱圧着部分NTを作り出すことによって、冷却流体経路21の第1分岐経路22と、収納部31と、冷却流体経路21の第2分岐経路23とが、内側シート材16の裏面16Bと外側シート材17の表面17Aとの間に形成される。また、図6に示すように、本実施形態に係る冷却被服11には、第1分岐経路22と第2分岐経路23との間に収納部31が介在している。
【0041】
図6に示すように、内側シート材16の表面16Aは、起毛加工が施されている。本実施形態の内側シート材16の表面16Aは、桃の地肌のような肌触りである所謂ピーチ起毛になっている(図6参照)。これにより、冷却被服11を着用時に、内側シート材16の表面16Aに施されている多数の起毛16Sが、着用者の身体に接触されることになり、冷却被服11を着用している着用者に快適感を与えることができる。
【0042】
<冷却流体経路21について>
図4から図6に示すように、冷却流体経路21は、外側シート材17の裏面17Bと内側シート材16の裏面16Bを熱圧着させることで、冷却被服11に形成されている。図4から図5に示すように、冷却流体経路21は、冷却被服11の被服肩部15を介して被服本体12の被服前身頃13(被服右前身頃13A、被服左前身頃13B)と被服後身頃14とに連なって冷却被服11に設けられている。
【0043】
予め収納部31に冷却流体Nを充填すると共に、ペットボトル90を収納した上で、ポンプ41により、収納部31に貯留した冷却流体Nが、第1流出部32からチューブ42を通じてポンプ41の吸入部43へと送出され、ポンプ41の吐出部44からチューブ42を通じて第2流出部24に送出されて冷却流体経路21に流出される。本実施形態に係るポンプ41は、第1流出部32から吸入した冷却流体Nを第2流出部24に向かって吐出した後に、第2流出部24から流出させ、第1分岐経路22と第2分岐経路23とに分岐させて、冷却流体経路21に設けられた第1還流経路27と第2還流経路28とを経て収納部31へと還流させるという役割を果たす。また、冷却流体経路21は、第2流出部24から流出された冷却流体Nを第1分岐経路22と第2分岐経路23とに分岐するように導いて、冷却流体経路21に設けられた第1還流経路27と第2還流経路28とを経て収納部31へと導いた冷却流体Nをペットボトル90の外周面90aに接触させて冷却させるようにする役割を果たす。
【0044】
冷却流体経路21は、第1分岐経路22と、第2分岐経路23と、第1変化経路25と、第2変化経路26と、第1還流経路27と、第2還流経路28と、合流制限部29とを備えている。第1分岐経路22は、ポンプ41の吐出部44から第2流出部24に送出されて冷却流体経路21内に流出された冷却流体を被服右前身頃13Aに向かって導く経路である。また、第2分岐経路23は、ポンプ41の吐出部44から第2流出部24に送出されて冷却流体経路21内に流出された冷却流体を被服左前身頃13Bに向かって導くための経路である。また、図4に示すように、第1変化経路25は、第1分岐経路22によって被服右前身頃13Aに導かれた冷却流体を第1還流経路27に向かって導くための経路である。また、図4に示すように、第2変化経路26は、第2分岐経路23によって被服左前身頃13Bに導かれた冷却流体を第2還流経路28に向かって導くための経路である。さらに、図4に示すように、第1還流経路27は、第1変化経路25を経て被服後身頃14へと導かれた冷却流体を収納部31に還流させるための経路である。また、第2還流経路28は、第2変化経路26を経て被服後身頃14へと導かれた冷却流体を収納部31に還流させるための経路である。合流制限部29は、第1変化経路25を経て被服後身頃14へと導かれた冷却流体と、第2変化経路26を経て被服後身頃14へと導かれた冷却流体とを合流させることなく、それぞれの冷却流体を別々の経路を経て収納部31に向かうように導くために、外側シート材17の裏面17Bと内側シート材16の裏面16Bを熱圧着させることで形成している。冷却流体経路21は、第1分岐経路22と、第2分岐経路23と、第1変化経路25と、第2変化経路26と、第1還流経路27と、第2還流経路28とを備えることによって、例えば、冷却流体を流れる冷却流体経路21と着用者の接触箇所によって、冷却効果の差が顕著となってしまうことを防止することができる。
【0045】
<収納部31について>
続いて、収納部31について、図7図9を用いて説明する。図7は、実施形態に係る冷却被服の収納部に冷却物質入りペットボトルを出し入れする要領を示す説明図である。図8は、実施形態に係る冷却被服の収納部用開口部から冷却物質入りペットボトルを入れている状態を斜視で示す説明図である。図9は、実施形態に係る冷却被服の収納部に冷却物質入りペットボトルを収納して収納部が閉塞された状態を斜視で示す説明図である。
【0046】
本実施形態の収納部31は、外側シート材17の裏面17Bと内側シート材16の裏面16Bを熱圧着させることで、冷却被服11の背中付近に形成されている。収納部31は、冷却流体Nを貯留可能な有底袋状に形成されている。具体的には、図7から図9に示すように、収納部31は、内側シート材16と外側シート材17により、袋状に形成されており、その一部に収納部用開口部18が設けられている。収納部31が閉まっている状態でファスナ19をスライドさせることにより、収納部用開口部18を開くことができる。また、収納部用開口部18が開いている、すなわち収納部31が開いている状態で、ファスナ19をスライドさせることにより、収納部用開口部18を閉じることができる。図7及び図8に示すように、収納部用開口部18は、ファスナ19をスライドさせて収納部用開口部18を開くことで、収納部31の内部空間31Sを、被服本体12の外部と連通可能に形成されている。また、図9に示すように、ファスナ19をスライドさせて収納部用開口部18を閉じることによって、収納部31を液密に閉塞すると共に、図7及び図8に示すように、収納部31の内部空間31Sとその外部との間で、冷却物質入りペットボトル90X及び冷却流体Nの出入りを行うときに開放される。
【0047】
本実施形態では、冷却被服11は、凝固可能な冷却物質M(水や飲料水等)を収納部31に収納した状態の下、冷却流体Nを冷却物質Mで冷やして使用するものである。具体的には、図8及び図9に示すように、冷却被服11は、収納部31内に貯留した冷却流体Nに、冷却物質Mをペットボトル90内に収納した状態にある冷却物質M入りペットボトル90を浸漬した状態で、使用するものである。そのため、収納部31は、ペットボトル90(冷却物質入りペットボトル90X)を自在に出し入れできる大きさになっている。さらに、収納部31は、冷却物質入りペットボトル90Xを、収納部用開口部18を通じて内部空間31Sに収納可能に形成されている。
【0048】
<冷却流体の循環について>
次に、冷却流体の循環について、図10から図12を用いて説明する。図10は、ポンプの作動による冷却流体の流れを説明するための概略図である。図11は、図4に示す冷却被服全体における冷却流体の流れを示す説明図である。図12は、実施形態に係る冷却被服において、ペットボトル内の冷却物質で冷却流体を冷やす様子を模式的に示す説明図である。
【0049】
先ず、図10を用いて、冷却被服11において、ポンプ41の作動により冷却流体の循環について説明していく。なお、図10に示す矢印は、冷却流体Nの流れを示している。図10に示すように、ポンプ41が作動されると、第1流出部32から収納部31に貯留されている冷却流体Nがチューブ42を通じて吸入部43に吸入される。そして、吸入部43から吸入された冷却流体は、ポンプ41の作動により吐出部44からチューブ42を通じて冷却流体経路21に向けて吐出される。吐出部44から吐出された冷却流体は、チューブ42と安全弁51とを経て第2流出部24から冷却流体経路21に流出されることになる。
【0050】
第2流出部24に到達した冷却流体は、第2流出部24から冷却流体経路21内へと流出され、冷却流体経路21を経て収納部31へと戻ることになる。収納部31に流入された冷却流体は、収納部31に収納されている凝固可能な冷却物質M(水や飲料水等)入りのペットボトル90Xとの接触を介して冷却される。そして、ポンプ41の作動によって、再び、収納部31に貯留されている冷却流体が第1流出部32からチューブ42を通じて吸入部43に吸入される。図10に示すように、収納部31に貯留されている冷却流体が循環される構成となっている。
【0051】
続いて、図11を用いて、冷却流体経路21と収納部31における冷却流体が流れについて説明する。なお、図11に示す矢印は、冷却流体Nの流れを示している。例えば、冷却被服11を着用している着用者によって、ポンプ操作部63の押下が行われると、ポンプ41への通電がオンとなる。これにより、ポンプ41が作動されて、収納部31に貯留されている冷却流体Nが第1流出部32から送出されて、チューブ42を通じてポンプ41の吸入部43へと吸入される。続いて、ポンプ41の吐出部44からチューブ42を通じて吐出された冷却流体Nは、安全弁51を経て第2流出部24へと送出される。続いて、第2流出部24から送出された冷却流体Nは、冷却流体経路21内へと流出されて、第1分岐経路22と、第2分岐経路23とに分岐される。これにより、第1分岐経路22に分岐された冷却流体Nは、冷却被服11を着用している着用者の背中右側付近に導かれる。一方で、第2分岐経路23に分岐された冷却流体Nは、冷却被服11を着用している着用者の背中左側付近に導かれる。そのため、第1分岐経路22と第2分岐経路23とに分岐された冷却流体Nによって、冷却被服11を着用している着用者の背中を左右から効率的に冷却することができる。
【0052】
図11に示すように、第1分岐経路22に導かれた冷却流体Nは、収納部31の周囲を沿って、冷却被服11の被服右前身頃13Aに設けられた第1変化経路25に向かって導かれていく。これにより、第1変化経路25へと導かれるまでに、冷却流体によって着用者の背中の右側部分だけでなく、着用者の右肩や右胸付近を冷却することができる。一方で、第2分岐経路23に導かれた冷却流体Nは、収納部31の周囲を沿って、冷却被服11の被服左前身頃13Bに設けられた第2変化経路26に向かって導かれていく。これにより、第2変化経路26へと導かれるまでに、冷却流体Nによって着用者の背中の左側部分だけでなく、着用者の左肩や左胸付近を冷却することができる。
【0053】
図11に示すように、第1変化経路25に導かれた冷却流体Nは、第1変化経路25によって、第1変化経路25を経て第1還流経路27に向かって導かれる。これにより、第1還流経路27へと導かれるまでに、冷却流体Nによって着用者の右胸付近だけでなく、着用者の右肩や首付近を冷却することができる。一方で、第2変化経路26に導かれた冷却流体Nは、第2変化経路26によって、第2変化経路26を経て第2還流経路28に向かって導かれる。これにより、第2還流経路28へと導かれるまでに、冷却流体Nによって着用者の左胸付近だけでなく、着用者の左肩や首付近を冷却することができる。
【0054】
第1変化経路25を経て被服後身頃14に導かれた冷却流体Nは、第1還流経路27によって、第2変化経路26を経て被服後身頃14に導かれた冷却流体Nと合流されることなく、第1還流経路27よりも下流に位置する収納部31へと勢いよく戻ることで、収納部31に貯留されている冷却流体Nを攪拌させて、収納部31に貯留されている冷却流体Nの温度を均一にする。そして、第2変化経路26を経て被服後身頃14に導かれた冷却流体N及び収納部31に貯留されている冷却流体Nと合流する。これにより、冷却流体によって着用者の首付近だけでなく、背中中央右側を冷却することができる。一方で、第2還流経路28によって、第2変化経路26を経て被服後身頃14に導かれた冷却流体は、第1変化経路25を経て被服後身頃14に導かれた冷却流体と合流されることなく、第2還流経路28よりも下流に位置する収納部31へと勢いよく戻ることで、収納部31に貯留されている冷却流体Nを攪拌させて、収納部31に貯留されている冷却流体Nの温度を均一にする。そして、第1変化経路25を経て被服後身頃14に導かれた冷却流体及び収納部31に貯留されている冷却流体と合流する。これにより、冷却流体によって着用者の首付近だけでなく、背中中央左側を冷却することができる。
【0055】
次に、図12を用いて、収納部31に収納されている冷却物質入りペットボトル90Xの役割について説明する。なお、図12に示す矢印は、冷却流体Nの流れを示している。
【0056】
図12に示すように、収納部31の内部空間31Sに貯留できるよう、冷却流体N(水等)が収納部31に充填される。また、冷却物質M(水や飲料水等)を凝固させた状態(または、例えば、零度に近い低温に冷やされた液体状態)の冷却物質入りペットボトル90Xが、図1図2、及び図12に示すように、立ち姿勢により、貯留した冷却流体Nに浸漬した状態で、収納部31の内部空間31Sに収納されてから、冷却被服11は使用される。
【0057】
内部空間31Sに貯留した冷却流体Nは、図10図11に示すように、ポンプ41により、第2流出部24から冷却流体経路21に継続的に送出される。冷却流体Nは、冷却流体経路21の流通を経て、第1還流経路27及び第2還流経路28から再び収納部31の内部空間31Sに戻る。このとき、冷却流体N(水)は、当該冷却被服11の着用者の身体から熱を奪って、第1還流経路27及び第2還流経路28から内部空間31Sに還流されているため、第1流出部32の送出時及び第2流出部24の送出時の水温に比べ、高温化、すなわち一例として、約2度や約3度上昇している。
【0058】
高温化した冷却流体Nは、図12に示すように、第1還流経路27及び第2還流経路28から内部空間31Sに流入後、冷却物質入りペットボトル90Xの外周面90aと接触しながら内部空間31Sを流通する。そのため、高温化した冷却流体Nは、ポンプ41による送出流量を維持したまま、冷却物質入りペットボトル90Xの外周面90aを介して、冷却物質Mとの間で熱交換を行うことにより、冷却されて低温化し、冷却被服11の着用者にとって、快適さを感じる適温に調整される。内部空間31Sで低温化した冷却流体Nは、ポンプ41の吸入部43に向けて第1流出部32の流出口32aから送出され、着用者を持続的に冷やすことができている。
【0059】
しかしながら、冷却物質入りペットボトル90Xの内部では、図12に示すように、凝固していた冷却物質M(氷等)は、経時的に融解して、融液(液体)である冷却融解物質K(水等)に変化してしまう。冷却物質Mが、凝固状態から融液状態に相変化後、冷却融解物質Kの温度は次第に上昇していくため、高温化した冷却流体Nに対し、冷却融解物質Kによる冷却効果は、相変化前の冷却物質Mに比べ、徐々に低下する。
【0060】
図12に示すように、ペットボトル90の外周面90aに沿う周方向の流れを伴いながら、第1流出部32に向けて流れ、ポンプ41の吸入部43に向けて第1流出部32から送出される。その後、ポンプ41の吐出部44から送出された冷却流体は、第2流出部24の流出口24aから送出され、冷却流体経路21に流出される。冷却流体経路21から流出された冷却流体Nは、第1分岐経路22と、第2分岐経路23とに分岐される。第1分岐経路22に分岐された冷却流体は、収納部31の周囲を沿いながら、被服右肩部15Aに向かって導かれる。第2分岐経路23に分岐された冷却流体は、収納部31の周囲を沿いながら、被服左肩部15Bに向かって導かれる。
【0061】
<安全弁>
続いて、安全弁の構造と作動原理について、図13と、図14Aと、図14Bと、図14Cとを用いて説明する。図13は、本実施形態に係る安全弁を示す断面図である。図14Aは、冷却流体経路の外側からポンプの作動に支障をきたす圧力がかかっていない場合の冷却流体の流れと圧力を説明するための概略断面図である。図14Bは、冷却流体経路の外側からポンプの作動に支障をきたす圧力がかかった場合の冷却流体の流れと圧力を説明するための概略断面図である。図14Cは、安全弁の排出口から冷却流体が排出された場合の冷却流体の流れと圧力を説明するための概略断面図である。
【0062】
例えば、着用している冷却被服11の冷却流体経路21や収納部31に着用者以外の人と接触することで、ポンプ41の作動に支障をきたす圧力がかかってしまい、冷却流体経路21や、収納部31や、ポンプ41に負担がかかり、冷却流体経路21の破裂や収納部31の破裂やポンプ41の故障を招く虞がある。そこで、例えば、着用している冷却被服11の冷却流体経路21に着用者以外の人との接触によりかけられた圧力がポンプの作動に支障をきたすほどの圧力となった場合には、安全弁51から排水して減圧し、冷却流体経路21や、収納部31や、ポンプ41に負担をかけないようにしている。
【0063】
図13に示すように、本実施形態の安全弁51は、弁部材53内に入れられた弁本体52と、弁本体52とバネ55とを収容するための弁部材53と、弁本体52と弁部材53とで形成された連通部54と、バネ55と、安全弁51内部に連通するとともに冷却流体を排出する排出口56とで構成されている。なお、図13に示すように、本実施形態に係る安全弁51は、安全弁51内にチューブ42が差し込まれて、チューブ42から安全弁51が取り外れないように構成されている。本実施形態に係るバネ55の付勢力は、例えば、ポンプ41の吐出部44から第2流出部24に向かって冷却流体Nを送り出す圧力(吐出圧)の2倍となっている。
【0064】
本実施形態の安全弁51は、ポンプ41の作動により吐出部44から吐出されてチューブ42を流れる冷却流体が主流路SKから分岐して構成されており、分岐点BKより主流路SKの圧力が弁本体52にも作用する。弁本体52は、バネ55によって押し付けられているため、安全弁51は閉じた状態である。
【0065】
本実施形態に係る冷却被服11が着用されている場合に、冷却流体経路21や収納部31の外部からポンプ41の作動に支障をきたすほどの圧力がかけられた場合には、分岐点BKからバネ55とは逆向きに付勢する圧力が、バネ55が弁本体52に向かって付勢する圧力(付勢力)に打ち勝つと、弁本体52がバネ55に向けて移動していき安全弁51が開弁する。安全弁51が開弁すると冷却流体が連通部54に流入され、排出口56を通って排水される。なお、本実施形態における冷却流体経路21の外部からポンプ41の作動に支障をきたすほどの圧力(規定圧力)とは、例えば、ポンプ41の吐出部44から第2流出部24に向かって冷却流体Nを送り出す圧力(吐出圧)の2倍を超える圧力となっている。すなわち、本実施形態に係る安全弁51は、冷却流体経路21の外部からの圧力がポンプ41の作動に支障をきたすほどの圧力(ポンプ41の吐出部44から第2流出部24に向かって冷却流体Nを送り出す圧力(吐出圧)の2倍)を超えると開弁して、安全弁51の排出口56から外部に冷却流体を排出する機能を有している。
【0066】
次に、図14を用いて、冷却流体経路や収納部の外側からポンプの作動に支障をきたす圧力がかかっていない場合と、冷却流体経路や収納部の外側からポンプの作動に支障をきたす圧力がかかった場合とにおける冷却流体の流れと圧力について説明する。なお、図14に示す白色の矢印は、冷却流体Nにかかっている圧力の大きさを示しており、白色の矢印が大きいほど、冷却流体Nにかかっている圧力が大きいことを示している。
【0067】
先ず、図14Aを用いて、冷却流体経路や収納部の外側からポンプの作動に支障をきたす圧力がかかっていない場合の冷却流体の流れと圧力を説明していく。なお、図14Aに示すように、弁本体52は、バネ55によって押し付けられているため、安全弁51は閉じた状態である。
【0068】
図14Aに示すように、冷却流体経路21や収納部31の外側からの圧力がかけられていない場合(すなわち、ポンプ41の吐出部44から第2流出部24に向かって冷却流体Nを送り出す圧力の2倍を超えていない場合)、ポンプ41の作動により吐出部44から吐出された冷却流体Nに対して圧力P0がかかっている。また、冷却流体の流れNG(図14A参照)が示すように、冷却流体経路21の外側からポンプ41の作動に支障をきたす圧力がかかっていない場合に、ポンプ41の作動により吐出部44から第2流出部24に向かうように冷却流体Nが流れている。
【0069】
次に、図14Bを用いて、冷却流体経路21や収納部31の外側からポンプ41の作動に支障をきたす圧力がかかった場合の冷却流体の流れと圧力を説明していく。図14Bに示すように、冷却流体経路21や収納部31の外部からポンプ41の作動に支障をきたすほどの圧力がかけられた場合(例えば、着用している冷却被服11の冷却流体経路21に着用者以外の人との接触により圧力がかけられた場合等)、ポンプ41の作動により吐出部44から吐出されて第2流出部24に向かって流れる冷却流体Nに対して圧力P1(本実施形態では、ポンプ41の吐出部44から第2流出部24に向かって冷却流体Nを送り出す圧力(吐出圧)の2倍を超える圧力)がかかっている。図14Bに示すように、分岐点BKより主流路SKの圧力P1が弁本体52にも作用して、弁本体52に圧力P1がかかることになる。なお、図14Bに示す圧力P1のほうが、図14Aに示す圧力P0よりも大きい。また、冷却流体の流れNG(図14B参照)に示すように、冷却流体経路の外側からポンプの作動に支障をきたす圧力がかかっている場合において、ポンプ41の作動により吐出部44から第2流出部24に向かうように冷却流体Nが流れている。
【0070】
図14Cを用いて、排出口56から冷却流体Nが排出されて減圧された場合の冷却流体の流れと圧力を説明していく。弁本体52がバネ55に向けて移動していき安全弁51が開弁した状態になると、図14Cに示すように冷却流体が連通部54に流入されて、排出口56を通って冷却流体Nが排出されることで、チューブ42内の冷却流体Nにかかっている圧力P2へと低下される。これにより、図14Cに示すように、弁本体52にかかっている圧力P2は、図14Bに示す圧力P1よりも小さく、安全弁51を経て第2流出部24に向けて流れる冷却流体Nにかかる圧力P2も、図14Bに示す圧力P1よりも小さくなる。また、冷却流体の流れNG(図14C参照)に示すように、排出口56から冷却流体Nが排出された場合には、排出口56から冷却流体Nが排出される場合と、ポンプ41の作動により吐出部44から第2流出部24に向かうように冷却流体Nが流れる場合とがある。
【0071】
例えば、特許文献1に開示されている冷却被服の着用者がスポーツ等を行っている場合に、冷却被服が備えた冷却流体経路の外部から圧力がかかることで、冷却流体経路が破裂する虞がある。本実施形態に係る冷却被服11では、冷却流体経路21や収納部31の外部からポンプ41の作動に支障をきたすほどの圧力がかけられた場合(例えば、着用している冷却被服11の冷却流体経路21に着用者以外の人との接触により圧力がかけられた場合等)、冷却流体経路21を流れる冷却流体にかかる圧力が上昇する。この場合、分岐点BKからバネ55とは逆向きに付勢する圧力がバネ55に弁本体52の付勢力に打ち勝つと、弁本体52がバネ55に向けて移動していき安全弁51が開弁する。これにより、冷却流体が連通部54に流入されて、排出口56を通って排水されることで、チューブ42内の冷却流体Nにかかる圧力が低下される。そのため、冷却流体経路21を流れる冷却流体にかかる圧力も低下されるため、冷却流体経路21を流れる冷却流体にかかる圧力によって冷却流体経路21が破裂してしまう虞を回避することができる。
【0072】
<ポンプ操作ユニット61について>
図15は、実施形態に係る冷却被服11に具備するポンプ操作ユニットの構成を示すブロック図である。図15に示すように、冷却被服11は、ポンプ操作ユニット61を備え、ポンプ操作ユニット61は、ポンプ制御部62と、ポンプ操作部63と、ポンプ表示部64等を有する。ポンプ操作ユニット61内では、ポンプ操作部63とポンプ表示部64が、ポンプ制御部62と電気的に接続されている。
【0073】
ポンプ41は、配線により、ポンプ操作ユニット81を介して、携帯用バッテリー65と電気的に接続されている。携帯用バッテリー65は、ポンプ41に電力を供給する一次電池や二次電池等の蓄電池である。電源部と配線とは、例えば、USB(Universal Serial Bus)接続等、コネクタを介した接続により、自在に着脱可能となっている。電源部の電力は、配線を通じてポンプ操作ユニット61に供給される。
【0074】
ポンプ制御部62は、ポンプ41に対し、電気的に制御を行う制御手段である。具体的には、ポンプ制御部62は、例えば、ポンプ41への通電時の電流制御を行っている。なお、ポンプ制御部62は、必要に応じて、ポンプ41により、冷却流体経路21を流動する冷却流体Nの圧送(循環)流量を制御しても良い。
【0075】
ポンプ操作部63は、ポンプ操作ユニット61上面にある押下部の押下によって、ポンプ41への通電のオン/オフの切替え操作を制御するための操作を可能とした態様で構成されている。ポンプ表示部64は、ポンプ操作ユニット61上面にある表示部で、複数種の色から選択的に発光可能とした態様で構成されている。
【0076】
ポンプ操作部63は、ポンプ操作ユニット61上にある押下部を、所定の操作モードに基づいて、指で軽く押すことにより、ポンプ制御部62を制御するための操作を可能とした態様で構成されている。ポンプ表示部64は、ポンプ操作ユニット61上にある表示部で、ポンプ操作部63で行う操作に対応して、複数種の色から選択的に発光可能とした態様で構成されている。
【0077】
次に、本実施形態に係る冷却被服11の作用・効果について説明する。
本実施形態に係る冷却被服11は、凝固可能な物性の冷却物質Mを出し入れ自在に収納可能な収納部31と、その収納部31に貯留された冷却流体Nを導くための冷却流体経路21とを備えた冷却被服11において、一端側が収納部31に接続され他端側が冷却流体経路21に接続されたチューブ42と、チューブに取り付けられたポンプ41と、冷却流体経路21の外部からの圧力がポンプ41の吐出部44から第2流出部24に向かって冷却流体Nを送り出す圧力の2倍を超えると開弁する安全弁とを備え、冷却被服11を着用している着用者と接触する表面16Aとその表面16Aの反対側にある裏面16Bとを有する内側シート材によって形成されていること、を特徴とする。
【0078】
この特徴により、収納部31に収納された凝固可能な物性の冷却物質Mに接触した冷却流体を、チューブ42に取り付けられたポンプ41の作動により、収納部31に接続されたチューブ42の一端側から吸入させて冷却流体経路21に接続されたチューブ42の他端側から吐出させて冷却流体経路21によって導く。また、冷却被服11を着用している着用者と接触する表面16Aと、その表面16Aの反対側になる裏面16Bとを有する内側シート材16と外側シート材17で形成されている冷却流体経路21の外部からの圧力が、ポンプ41の吐出部44から第2流出部24に向かって冷却流体Nを送り出す圧力の2倍を超えると、安全弁が開弁されて、冷却流体が排出口56から排出される。これにより、冷却流体経路21の外部から圧力がかかり、その圧力がポンプ41の吐出部44から第2流出部24に向かって冷却流体Nを送り出す圧力の2倍を超えたとしても、安全弁51が開弁されて、冷却流体が排出されるため、例えば、高圧の冷却流体によって冷却流体経路21が破裂する虞を防止することができる。
【0079】
また本実施形態に係る冷却被服11において、ポンプ41は、収納部31に貯留された冷却流体を収納部31に接続されたチューブ42を通じて吸入する吸入部43と、冷却流体経路21に向けて冷却流体を冷却流体経路21に接続されたチューブ42を通じて吐出する吐出部44とを備え、安全弁51は、冷却流体経路21に接続されたチューブ42側に備えられたこと、を特徴とする。
【0080】
この特徴により、冷却流体経路21の外部からの圧力がポンプ41の吐出部44から第2流出部24に向かって冷却流体Nを送り出す圧力の2倍を超えると、冷却流体経路21に接続されたチューブ42側に備えられている安全弁51が開弁されることで、冷却流体が排出されてチューブ42内や冷却流体経路21内の冷却流体にかかる圧力が低下されるため、冷却流体経路21が破裂してしまうことを回避するとともに、吐出部44により冷却流体を吐出しているポンプ41に負担がかかってしまうことを防止することができる。
【0081】
また本実施形態に係る冷却被服11において、被服本体12は、被服前身頃13と、被服後身頃14とを有し、チューブ42の他端側が、被服後身頃14に設けられた冷却流体経路21に接続されていて、内側シート材16の表面16A側に位置すること、を特徴とする。
【0082】
この特徴により、被服後身頃14に設けられた冷却流体経路21に接続されていて、内側シート材16の表面16A側に位置する他端側のチューブ42側に備えられた安全弁51が開弁されて冷却流体が排出された場合、例えば、冷却流体によって、冷却被服11の被服前身頃13側や、冷却被服11を取り付けた冷却ベスト1のベスト前身頃4側が汚れてしまうことを防止することができる。
【0083】
また本実施形態に係る冷却被服11において、冷却流体経路21は、被服肩部15を介して被服後身頃14と被服前身頃13とに連なって設けられ、冷却流体経路21は、チューブ42の他端側から冷却流体経路21に流出された冷却流体を被服前身頃13に向かって導くこと、を特徴とする。
【0084】
この特徴により、ポンプ41の作動により、被服後身頃14に設けられた冷却流体経路21に接続されているチューブ42の他端側から排出された冷却流体が被服前身頃13に向かって導かれることで、例えば、冷却被服11を着用している着用者の背中だけでなく胸を均一的に冷却することができる。
【0085】
また本実施形態に係る冷却被服11において、安全弁51が有する機能によって、冷却流体経路21の外部からの圧力が、ポンプ41の吐出部44から第2流出部24に向かって冷却流体Nを送り出す圧力の2倍を超えると開弁して、安全弁51の外部に冷却流体を排出させる。
【0086】
この特徴により、冷却流体経路21の外部からの圧力がポンプ41の吐出部44から第2流出部24に向かって冷却流体Nを送り出す圧力の2倍を超えて、安全弁51が開弁されると、安全弁51の外部から冷却流体が排出される。これにより、チューブ42内の冷却流体にかかる圧力が冷却被服11の外部へと逃げて冷却流体経路21内の圧力が低下されるため、冷却流体経路が破裂してしまうことを防止することができる。
【0087】
また本実施形態に係る冷却被服11において、内側シート材16の表面16Aに起毛加工が施されていること、を特徴とする。
【0088】
この特徴により、冷却被服11を着用している着用者の身体が内側シート材16の表面16Aと接触しても、その表面16Aに起毛加工が施されているため、冷却被服11の着心地が良くなり、冷却被服11を着用時の快適感を高めることができる。
【0089】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
【0090】
本実施形態に係る冷却ベスト1では、例えば、冷却被服11が面ファスナ20を通して冷却ベスト1に繋いで、着脱可能となっていた。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、冷却ベスト1の裏地10に冷却被服11が縫い付けられていても良い。また、例えば、冷却ベスト1の裏地10に冷却被服11をボタンによって固定可能であっても良い。また、例えば、冷却被服11を他の衣服に縫い付けず、インナーの上に冷却被服11を着用し、冷却被服11を着用した状態で、アウターを着用するといった、それぞれの被服を着用する使い方を採用しても良い。
【0091】
例えば、実施形態では、ベストの形態で形成した冷却ベスト1を挙げたが、実施形態に限定されるものではなく、例えば、長袖の上着、ジャケット等、種々変更可能である。
【0092】
本実施形態に係る内側シート材16の厚さは約2mmであり、外側シート材17の厚さは約1mmであった。しかしながら、これに限定されるものではない。冷却被服11の厚みによって、冷却被服11を着用している着用者に不快感を与えないものであれば、内側シート材16の厚さと外側シート材17の厚さは、適宜変更可能である。
【0093】
また、実施形態では、冷却物質M(水や飲料水等)をペットボトル90内に収納した状態の冷却物質入りペットボトル90Xで、冷却流体N(水)を冷やす冷却被服11を挙げた。しかしながら、冷却物質は、氷のほか、いわゆる保冷剤として、例えば、酢酸ナトリウム三水和物に挙げられる酢酸塩水和物等を主成分に添加剤を加えて、潜熱蓄熱材の凝固点を零度近傍に調整された潜熱蓄熱材組成物であっても良く、このような潜熱蓄熱材組成物が、袋詰めされた状態で、収納部の内部空間に収納されていても良い。
【0094】
また、実施形態では、冷却被服11の外形を、図4図5に示す形状としたが、冷却被服11の外形形状は、実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。また、冷却被服11における冷却流体経路21と収納部31の配置態様についても、実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0095】
本実施形態に係る安全弁51は、バネ55の付勢力(ポンプ41の吐出部44から第2流出部24に向かって冷却流体Nを送り出す圧力(吐出圧)の2倍の圧力)を超えると開弁して、安全弁51の外部に冷却流体を排出した。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、バネ55とは逆向きに付勢する圧力が、バネ55が弁本体52に向かって付勢する圧力(付勢力)に打ち勝つことで、安全弁51が開弁する構成であれば、バネ55の付勢力は、例えば、ポンプ41の吐出部44から第2流出部24に向かって冷却流体Nを送り出す圧力(吐出圧)の1.5倍や、2.5倍等といったように適宜変更可能であっても良い。ただし、例えば、冷却被服11を着用している着用者が壁や椅子等によりかかった場合等によって、冷却流体経路21や、収納部31に圧力がかかることで、バネ55とは逆向きに付勢する圧力が、バネ55が弁本体52に向かって付勢する圧力(付勢力)に打ち勝ってしまって安全弁51が開弁しないバネ55の付勢力であることが好適である。
【0096】
本実施形態に係る安全弁51は、冷却流体経路21の外部からの圧力がポンプ41の吐出部44から第2流出部24に向かって冷却流体Nを送り出す圧力の2倍を超えると、開弁して、排出口56から冷却流体を冷却被服11の外部に排出させた。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、安全弁51を冷却流体経路21に設ける構成であっても良い。この場合、冷却流体経路21の外部からの圧力がポンプ41の吐出部44から第2流出部24に向かって冷却流体Nを送り出す圧力の2倍を超えると、開弁して、排出口56から冷却流体を冷却流体経路21から収納部31に排出させて、冷却流体経路21を流れる冷却流体にかかる圧力を低下させる構成であっても良い。
【0097】
また、本実施形態に係る安全弁51は、図13に示す形状からなるものであったが、これに限定されるものではない。例えば、チューブ42に、冷却流体がチューブ42の外部からチューブ42の内部空間に流入することを遮断するとともに、チューブ42の内部空間からチューブ42の外部に流出することを遮断する一方で、チューブ42の内部空間になる空気が外部に流出するのを許容する弁体部を有する安全弁を備えても良い。この場合の弁本部は、チューブ42の内部空間と外部との間で、冷却流体の流通を阻む防水性と、空気だけを流通可能とする透湿性とを兼ねた防水透湿素材を用いた防水透湿膜で形成されていても良い。この安全弁を利用することで、例えば、冷却流体経路21の外部からの圧力がポンプ41の吐出部44から第2流出部24に向かって冷却流体Nを送り出す圧力の2倍を超えると、安全弁が有する弁体部が破れることで、安全弁から冷却流体が排出されてチューブ42内の冷却流体にかかる圧力を低下させることができる。また、この安全弁は、チューブ42以外に冷却流体経路21や収納部31に設けても良い。
【0098】
本実施形態に係る冷却流体経路21において、第2流出部24から冷却流体経路21に流出された冷却流体Nは第1分岐経路22と第2分岐経路23とに分岐された。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、第2流出部24から冷却流体経路21に流出された冷却流体は、冷却流体経路21によって一方向に流通されるものになっていても良い。
【符号の説明】
【0099】
11 冷却被服(冷却被服)
12 被服本体
13 被服前身頃(前身頃)
13A 被服右前身頃(右前身頃)
13B 被服左前身頃(左前身頃)
14 被服後身頃(後身頃)
15 被服肩部(肩部)
15A 被服右肩部
15B 被服左肩部
16 内側シート材(内側シート材)
16A 内側シート材の表面(表面)
16B 内側シート材の裏面(裏面)
17 外側シート材
17A 外側シート材の表面
17B 外側シート材の裏面
18 収納部開口部
19 ファスナ
21 冷却流体経路(冷却流体経路)
22 第1分岐経路(第1分岐経路)
23 第2分岐経路(第2分岐経路)
24 第2流出部(流出部)
25 第1変化経路
26 第2変化経路
27 第1還流経路(第1還流経路)
28 第2還流経路(第2還流経路)
31 収納部(収納部)
32 第1流出部
41 ポンプ(ポンプ)
42 チューブ(チューブ)
43 吸入部(吸入部)
44 吐出部(吐出部)
51 安全弁(安全弁)
52 弁本体
53 弁部材
54 通連部
55 バネ
56 排水口
61 ポンプ操作ユニット
62 ポンプ制御部
63 ポンプ操作部
64 ポンプ表示部
65 携帯用バッテリー
66 ポンプ配線
M 冷却物質(冷却物質)
N 冷却流体(冷却流体)
【要約】
【課題】冷却流体経路の外部からの圧力によって冷却流体経路が破裂する虞を防止する冷却被服を提供する。
【解決手段】冷却物質Mを出し入れ自在に収納可能な収納部31と、収納部31に貯留された冷却流体を導くための冷却流体経路21とを備えた冷却被服11において、一端側が収納部31に接続され他端側が冷却流体経路に接続されたチューブ42と、チューブ42に取り付けられたポンプ41と、冷却流体経路21の外部からの圧力がポンプ41の吐出部44から第2流出部24に向かって冷却流体Nを送り出す圧力の2倍を超えると開弁する安全弁51とを備え、冷却流体経路21は、着用者と接触する表面16Aと、表面16Aの反対側になる裏面16Bとを有する内側シート材16と、内側シート材16に接着する外側シート材17とによって形成された。
【選択図】図10
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15