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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】履物
(51)【国際特許分類】
   A43B 3/12 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
A43B3/12 B
A43B3/12 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2024036262
(22)【出願日】2024-03-08
(62)【分割の表示】P 2023052114の分割
【原出願日】2023-03-28
(65)【公開番号】P2024144201
(43)【公開日】2024-10-11
【審査請求日】2024-03-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501346065
【氏名又は名称】伊藤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 典子
(74)【代理人】
【識別番号】100166453
【弁理士】
【氏名又は名称】安本 真珠美
(74)【代理人】
【識別番号】100224269
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 佑太
(74)【代理人】
【識別番号】110000073
【氏名又は名称】弁理士法人プロテック
(74)【代理人】
【識別番号】100108051
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 生央
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 哲也
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3076557(JP,U)
【文献】特開2021-065671(JP,A)
【文献】特許第7166035(JP,B1)
【文献】登録実用新案第3093690(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足が載せられる足形形状の足台を備えた履物であって、
前記足台は、裏面に第1の凹部及び第2の凹部を有し、
前記第1の凹部は、当該第1の凹部の底部を介して使用者の踵に対向し、
前記第2の凹部は、当該第2の凹部の底部を介して使用者の足の親指、人差し指及びこれらの付け根部分に対向し、凹部を形成しない使用者の足の薬指、小指及びこれらの付け根部分を載せる足台の裏面に対して前記第2の凹部の底面が凹んでおり、
前記第1の凹部及び第2の凹部の底部は可撓性を有することを特徴とする履物。
【請求項2】
請求項1に記載した履物であって、
前記第2の凹部の壁面は、前記足台におけるつま先側の端部から前記足台の長手方向に向かい、人差し指に対して小指寄りの部位を通り、足裏における湧泉付近から親指側に曲がって、前記足台の内側側部に到達することを特徴とする履物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草履やサンダルのような足首から下方が開放される履物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
草履やサンダルのような足首から下方が開放された開放式履物は、一般に、足裏の形をした平板状の足底に、ベルトや鼻緒を取り付けることによって構成されている。また、従来、足底に突起を設け、歩行しながら足裏のつぼを刺激したり、足底を横方向に傾斜させてO脚やX脚を補正したりするといった健康によい機能を有する草履やサンダルが普及している。
【0003】
従来、この種の技術としては、特許文献1に記載された技術がある。特許文献1には、人差し指を中心にして親指対中指・薬指・小指の3本が1対3になるように鼻緒の前坪を取り付ける位置を人差し指を挟むように2か所に設定し、更に人差し指が乗る天の部分を2~5mmほど高くした健康サンダルについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3232282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、ビーチサンダルのような安価な履物においても、健康によい機能を有することが望まれている。特に、海辺のように水着を着用しているときに、O脚が目立たないようにするため、O脚を補正する機能を有するビーチサンダルの出現が望まれる。
【0006】
本発明は、このような要望に応え、健康によい機能を有する履物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、次に記載する構成を備える。
(I) 足が載せられる足形形状の足台を備えた履物であって、
前記足台は、裏面に第1の凹部及び第2の凹部を有し、
前記第1の凹部は、当該第1の凹部の底部を介して使用者の踵に対向し、
前記第2の凹部は、当該第2の凹部の底部を介して使用者の足の親指、人差し指及びこれらの付け根部分に対向し、
前記第1の凹部及び第2の凹部の底部は可撓性を有することを特徴とする履物。
(II) (I)の履物であって、
前記第2の凹部の壁面は、前記足台におけるつま先側の端部から前記足台の長手方向に向かい、人差し指に対して小指寄りの部位を通り、足裏における湧泉付近から親指側に曲がって、前記足台の内側側部に到達することを特徴とする履物。
【0008】
(1) 足の親指と人差し指とによって挟まれる前緒部(例えば、前緒部31)及び足の甲にかける横緒部(例えば、横緒部32)からなる鼻緒(例えば、鼻緒30)と、この鼻緒が取り付けられ、足が載せられる足台(例えば、足台20)と、を備えた履物(例えば、履物1)であって、
前記足台は、使用者の踵を載せる踵部と、前記前緒部に対して小指側でかつ前記踵部に対してつま先側の部位を欠落させた欠落部(例えば、欠落部20c)を有し、
当該欠落部は、少なくとも使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分とに対向することを特徴とする履物。
【0009】
(2) 足の親指と人差し指とによって挟まれる前緒部(例えば、前緒部31)及び足の甲にかける横緒部(例えば、横緒部32)からなる鼻緒(例えば、鼻緒30)と、この鼻緒が取り付けられ、足が載せられる足台(例えば、足台20)と、を備えた履物(例えば、履物3)であって、
前記足台は、使用者の踵を載せる踵部と、前記前緒部に対して小指側でかつ前記踵部に対してつま先側の部位の厚さを薄くした薄肉部(例えば、足台25における欠落部26aの部位)を有し、
当該薄肉部は、少なくとも使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分とに対向し、前記前緒部に対して親指側に対向しないことを特徴とする履物。
【0010】
(3) (1)の履物であって、
前記足台は、踵の部分を欠落させた踵欠落部を更に有することを特徴とする履物。
【0011】
(4) (2)の履物であって、
前記足台は、上下の2層構造を有し、
当該2層構造のうちの一方である上の層は、欠落部を設けずに足の外周をかたどった形状であり、
当該2層構造のうちの他方である下の層は、使用者の踵を載せる踵部と、前記前緒部に対して小指側でかつ前記踵部に対してつま先側の部位を欠落させた欠落部を有することを特徴とする履物。
【0012】
(5) (2)の履物であって、
前記足台は、上下の2層構造を有し、
当該2層構造のうちの一方である下の層は、欠落部を設けずに足の外周をかたどった形状であり、
当該2層構造のうちの他方である上の層は、使用者の踵を載せる踵部と、前記前緒部に対して小指側でかつ前記踵部に対してつま先側の部位を欠落させた欠落部を有することを特徴とする履物。
【0013】
(6) (4)又は(5)の履物であって、
前記足台は、踵の部分を欠落させた踵欠落部を更に有することを特徴とする履物。
【0014】
(1)~(6)によれば、使用者が本発明の履物を履いて歩行した場合、足裏におけるつま先側でかつ外側の部位が地面から離間するため、使用者の体重は、使用者の足裏の内側側部に集中する。これにより、使用者の脚の重心を内側に補正することが可能になり、使用者がO脚であれば、使用者の膝の間隔を狭くすることが可能になる。このように、健康によい機能を有する履物を提供することが可能になる。
【0015】
(7) 足の親指と人差し指とによって挟まれる前緒部(例えば、前緒部31)及び足の甲にかける横緒部(例えば、横緒部32)からなる鼻緒(例えば、鼻緒30)と、この鼻緒が取り付けられ、足が載せられる足台(例えば、足台40)と、を備えた履物であって、
前記足台は、裏面に凹部(例えば、凹部40c)を有し、
当該凹部は、前記凹部の底部を介して、少なくとも使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分とに対向し、
前記底部は可撓性を有することを特徴とする履物。
【0016】
(8) 足の親指と人差し指とによって挟まれる前緒部(例えば、前緒部31)及び足の甲にかける横緒部(例えば、横緒部32)からなる鼻緒(例えば、鼻緒30)と、この鼻緒が取り付けられ、足が載せられる足台(例えば、足台50)と、を備えた履物であって、
前記足台は、上下の2層構造を有し、
当該2層構造のうちの一方である上の層(例えば、第1層51)は、使用者の踵に対向する部位を欠落させた第1の欠落部(例えば、欠落部51a)と、前記前緒部に対して小指側でかつ前記第1の欠落部に対してつま先側の部位を欠落させた第2の欠落部(例えば、欠落部51c)と、を有し、
前記2層構造のうちの他方である下の層(例えば、第2層52)は、前記上の層よりも柔軟性が高い材質からなり、前記上の層において前記第1の欠落部及び前記第2の欠落部を設けずに足の外周をかたどった形状であり、
前記第2の欠落部は、少なくとも使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分とに対向し、
前記第2の欠落部における前記上の層の上面と前記下の層の上面とによる段差部分に斜面(例えば、斜面51d)を有することを特徴とする履物。
【0017】
(9) 足の親指と人差し指とによって挟まれる前緒部(例えば、前緒部31)及び足の甲にかける横緒部(例えば、横緒部32)からなる鼻緒(例えば、鼻緒30)と、この鼻緒が取り付けられ、足が載せられる足台(例えば、足台60)と、を備えた履物であって、
前記足台は、上下の2層構造を有し、
当該2層構造のうちの一方である上の層(例えば、第1層61)は、使用者の踵に対向する部位を欠落させた第1の欠落部(例えば、欠落部61a)と、前記前緒部に対して小指側でかつ前記第1の欠落部に対してつま先側の部位を欠落させた第2の欠落部(例えば、欠落部61c)と、を有し、
前記2層構造のうちの他方である下の層(例えば、第2層62)は、前記上の層において前記第1の欠落部及び前記第2の欠落部を設けずに足の外周をかたどった形状であり、
前記第2の欠落部は、少なくとも使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分とに対向し、
前記第2の欠落部における前記上の層の上面と前記下の層の上面とによる段差部分及び前記足台の裏面におけるつま先側の端部に斜面(例えば、斜面61d、61e)を有することを特徴とする履物。
【0018】
(10) 足の親指と人差し指とによって挟まれる前緒部(例えば、前緒部31)及び足の甲にかける横緒部(例えば、横緒部32)からなる鼻緒(例えば、鼻緒30)と、この鼻緒が取り付けられ、足が載せられる足台(例えば、足台70)と、を備えた履物であって、
前記足台における使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分と、に対向する領域(例えば、欠落部70c)が、他の領域(例えば、柔軟台71)よりも柔軟性が高いことを特徴とする履物。
【0019】
(11) 足の親指と人差し指とによって挟まれる前緒部(例えば、前緒部31)及び足の甲にかける横緒部(例えば、横緒部32)からなる鼻緒(例えば、鼻緒30)と、この鼻緒が取り付けられ、足が載せられる足台(例えば、足台80)と、を備えた履物であって、
前記足台は、使用者の踵に対向する第1の凹部(例えば、踵凹部80a)と、前記前緒部に対して小指側でかつ前記第1の凹部に対してつま先側の部位に対向する第2の凹部(例えば、外側凹部80c)と、を有し、
前記第2の凹部は、少なくとも使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分とに対向し、
前記足台のつま先側の端部の裏面に、使用者の親指側に傾斜する斜面(例えば、斜面80d)を有することを特徴とする履物。
【0020】
(12) 足の親指と人差し指とによって挟まれる前緒部(例えば、前緒部31)及び足の甲にかける横緒部(例えば、横緒部32)からなる鼻緒(例えば、鼻緒30)と、この鼻緒が取り付けられ、足が載せられる足台と(例えば、足台90)、を備えた履物であって、
前記足台は、裏面に凹部(例えば、凹部90a)を有し、
当該凹部は、前記凹部の底部を介して、少なくとも使用者の足の親指、人差し指及びこれらの付け根部分に対向し、
前記底部は可撓性を有することを特徴とする履物。
【0021】
(13) 足が載せられる足台(例えば、足台100)と、当該足台にアーチ状に取り付けられ、足の親指が挿入自在な第1の帯状部材(例えば、親指ストラップ33)と、当該足台に前記第1の帯状部材よりも踵側にアーチ状に取り付けられ、足の甲が挿入自在な第2の帯状部材(例えば、アンクルストラップ34)と、を備え、
前記足台は、上下の2層構造を有し、
当該2層構造のうちの一方である上の層(例えば、第1層101)は、使用者の踵に対向する部位を欠落させた第1の欠落部(例えば、欠落部101a)と、前記第1の帯状部材に対して小指側でかつ前記第1の欠落部に対してつま先側の部位を欠落させた第2の欠落部(例えば、欠落部101c)と、を有し、
前記2層構造のうちの他方である下の層は、前記上の層よりも柔軟性が高い材質からなり、前記上の層において前記第1の欠落部及び前記第2の欠落部を設けずに足の外周をかたどった形状であり、
前記第2の欠落部は、少なくとも使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分とに対向することを特徴とする履物。
【0022】
(14) 足の親指と人差し指とによって挟まれる前緒部(例えば、前緒部31)及び足の甲にかける横緒部(例えば、横緒部32)からなる鼻緒(例えば、鼻緒30)と、この鼻緒が取り付けられ、足が載せられる足台(例えば、足台110)と、を備えた履物であって、
前記足台は、裏面に第1の凹部(例えば、凹部110a)及び第2の凹部(例えば、凹部110b)を有し、
前記第1の凹部は、当該第1の凹部の底部を介して使用者の踵に対向し、
前記第2の凹部は、当該第2の凹部の底部を介して使用者の足の親指、人差し指及びこれらの付け根部分に対向し、凹部を形成しない使用者の足の薬指、小指及びこれらの付け根部分を載せる足台の裏面に対して前記第2の凹部の底面が凹んでおり、
前記第1の凹部及び第2の凹部の底部は可撓性を有することを特徴とする履物。
【0023】
(15) 足の親指と人差し指とによって挟まれる前緒部(例えば、前緒部31)及び足の甲にかける横緒部(例えば、横緒部32)からなる鼻緒(例えば、鼻緒30)と、この鼻緒が取り付けられ、足が載せられる足台(例えば、足台120)と、を備えた履物であって、
前記足台は、前記前緒部に対して小指側の側面における厚さ方向中央部から親指側に延びる隙間部(例えば、凹部121c)と、を有し、
当該隙間部は、少なくとも使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分とに対向することを特徴とする履物。
【0024】
(16) 足の親指と人差し指とによって挟まれる前緒部(例えば、前緒部31)及び足の甲にかける横緒部(例えば、横緒部32)からなる鼻緒(例えば、鼻緒30)と、この鼻緒が取り付けられ、足が載せられる足台(例えば、足台130)と、を備えた履物であって、
前記足台は、上下の2層構造を有し、
当該2層構造のうちの一方である上の層(例えば、第1層131)は、前記前緒部が配置される第1のブロック(例えば、第1ブロック131a)と、前記横緒部の終端部が配置される第2のブロック(例えば、第2ブロック131b)と、を備え、
前記2層構造のうちの他方である下の層(例えば、第2層132)は、前記上の層よりも柔軟性が高い材質からなる足の外周をかたどった形状であり、
前記第1のブロックと前記第2のブロックの間に第1の凹部が形成され、前記第2のブロックに対して踵側に使用者の踵が対向する第2の凹部が形成され、
前記第1の凹部は、少なくとも使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分とに対向することを特徴とする履物。
【0025】
(17) 足の親指と人差し指とによって挟まれる前緒部(例えば、前緒部31)及び足の甲にかける横緒部(例えば、横緒部32)からなる鼻緒(例えば、鼻緒30)と、この鼻緒が取り付けられ、足が載せられる足台(例えば、足台140)と、を備えた履物であって、
前記足台は、上下の2層構造を有し、
当該2層構造のうちの一方である上の層(例えば、第1層141)は、使用者の踵に対向する部位を欠落させた第1の欠落部(例えば、欠落部141a)と、前記前緒部に対して小指側でかつ前記第1の欠落部に対してつま先側の部位を欠落させた第2の欠落部(例えば、欠落部141c)と、を有し、
前記2層構造のうちの他方である下の層(例えば、第2層142)は、前記上の層よりも柔軟性が高い材質からなり、前記上の層において前記第1の欠落部及び前記第2の欠落部を設けずに足の外周をかたどった形状であり、
前記第2の欠落部は、少なくとも使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分とに対向し、
前記足台の裏面におけるつま先側の端部及び踵側の端部にそれぞれ斜面を有することを特徴とする履物。
【0026】
(7)~(11)、(13)、(15)~(17)によれば、使用者が本発明の履物を履いて歩行した場合、足裏におけるつま先側でかつ外側の部位(使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分)が地面から離間するため、使用者の体重は、使用者の足裏の内側側部に集中する。これにより、使用者の脚の重心を内側に補正することが可能になり、使用者がO脚であれば、使用者の膝の間隔を狭くすることが可能になる。このように、健康によい機能を有する履物を提供することが可能になる。
【0027】
(12)、(14)によれば、使用者が本発明の履物を履いて歩行した場合、足裏におけるつま先側でかつ内側の部位(使用者の足の親指、人差し指及びこれらの付け根部分の部分、加えて当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分)が凹部に対向する。このため、歩行の際に、使用者の親指と中指及びその付け根が内側側部に傾きやすくなる。これにより、使用者の脚の重心を内側に補正することが可能になり、使用者がO脚であれば、使用者の膝の間隔を狭くすることが可能になる。このように、健康によい機能を有する履物を提供することが可能になる。
【0028】
(18) 足の親指と人差し指とによって挟まれる前緒部(例えば、前緒部31)及び足の甲にかける横緒部(例えば、横緒部32)からなる鼻緒(例えば、鼻緒30)と、この鼻緒が取り付けられ、足が載せられる足台(例えば、足台150)と、を備えた履物であって、
前記足台は、平板部材からなり、使用者の踵に対向する部位を欠落させた欠落部(例えば、欠落部150a)を有することを特徴とする履物。
【0029】
(19) 足の親指と人差し指とによって挟まれる前緒部(例えば、前緒部31)及び足の甲にかける横緒部(例えば、横緒部32)からなる鼻緒(例えば、鼻緒30)と、この鼻緒が取り付けられ、足が載せられる足台(例えば、足台160)と、を備えた履物であって、
前記足台は、平板部材からなり、使用者の踵に対向する部位に凹部(例えば、欠落部161a)を有し、
前記足台の裏面におけるつま先側の端部に斜面(例えば、斜面161b、162a)を有することを特徴とする履物。
【0030】
(18)、(19)によれば、踵の下部が空間になるため、使用者はつま先立ちで歩くような格好になり、履物を履いて歩くことよって、自然にふくらはぎ、太腿の裏から尻にかけての筋肉を鍛錬することが可能になる。このように、健康によい機能を有する履物を提供することが可能になる。
【0031】
特に、(8)、(9)、(17)、(19)によれば、足台の裏面におけるつま先側の端部及び踵側の端部のいずれかに斜面を有するため、歩行の際につま先部の裏側に斜面が地面に当接することにより、歩行の際の重心移動がスムーズになり、使用者の歩行を容易にすることができる。
【0032】
特に、(11)によれば、足台のつま先側の端部の裏面に、使用者の親指側に傾斜する斜面(例えば、斜面80d)を有するため、使用者の親指と中指及びその付け根が内側側部に傾きやすくなる。これにより、使用者の脚の重心を内側に補正することが可能になり、使用者がO脚であれば、使用者の膝の間隔を狭くすることが可能になる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、健康によい機能を有する履物を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の第1の実施形態における履物1の外観を示す斜視図である。
図2図1の正面図である。
図3】本発明の第1の実施形態の変形例における履物2の外観を示す斜視図である。
図4】本発明の第2の実施形態における履物3の外観を示す斜視図である。
図5図4の正面図である。
図6】本発明の第2の実施形態の変形例における履物3の外観を示す斜視図である。
図7A】本発明の第3の実施形態における履物4の外観を示す平面図である。
図7B図7Aの裏側を示す平面図である。
図7C図7Aを小指側から見た側面図である。
図8A】本発明の第4の実施形態における履物5の外観を示す平面図である。
図8B図8Aの裏側を示す平面図である。
図8C図8Aを小指側から見た側面図である。
図8D図8Aの正面図である。
図9A】本発明の第5の実施形態における履物6の外観を示す平面図である。
図9B図9Aの裏側を示す平面図である。
図9C図9Aを小指側から見た側面図である。
図9D図9Aの正面図である。
図10A】本発明の第6の実施形態における履物7の外観を示す平面図である。
図10B図10Aの裏側を示す平面図である。
図10C図10Aを小指側から見た側面図である。
図11A】本発明の第7の実施形態における履物8の外観を示す平面図である。
図11B図11Aの裏側を示す平面図である。
図11C図11Aを小指側から見た側面図である。
図11D図11Aの正面図である。
図12A】本発明の第8の実施形態における履物9の外観を示す平面図である。
図12B図12Aの裏側を示す平面図である。
図12C図12Aを小指側から見た側面図である。
図12D図12Aの正面図である。
図13A】本発明の第9の実施形態における履物10の外観を示す平面図である。
図13B図13Aの裏側を示す平面図である。
図13C図13Aを小指側から見た側面図である。
図13D図13Aの正面図である。
図14A】本発明の第10の実施形態における履物11の外観を示す平面図である。
図14B図14Aの裏側を示す平面図である。
図14C図14Aを小指側から見た側面図である。
図14D図14Aの正面図である。
図15A】本発明の第11の実施形態における履物12の外観を示す平面図である。
図15B図15Aの裏側を示す平面図である。
図15C図15Aを小指側から見た側面図である。
図16A】本発明の第12の実施形態における履物13の外観を示す平面図である。
図16B図16Aの裏側を示す平面図である。
図16C図16Aを小指側から見た側面図である。
図16D図16Aの正面図である。
図17A】本発明の第13の実施形態における履物14の外観を示す平面図である。
図17B図17Aの裏側を示す平面図である。
図17C図17Aを小指側から見た側面図である。
図17D図17Aの正面図である。
図18A】本発明の第14の実施形態における履物15の外観を示す平面図である。
図18B図18Aの裏側を示す平面図である。
図18C図18Aを小指側から見た側面図である。
図19A】本発明の第15の実施形態における履物16の外観を示す平面図である。
図19B図19Aの裏側を示す平面図である。
図19C図19Aを小指側から見た側面図である。
図19D図19Aの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0036】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態における履物1の外観を示す斜視図である。図2は、図1の正面図である。履物1は、所謂、ビーチサンダルであり、足台20と、鼻緒30と、を備えている。なお、図1図2は、使用者の左足に履かせる履物1を示しており、右足に履かせる履物1は左足に履かせる履物1に対して左右対称であるため、右足に履かせる履物1についての詳細な説明は省略する。
【0037】
足台20は、ゴム材やEVAウレタン材等によって構成され、足の外周をかたどってなる平板状の部材であり、使用者の踵が載せられる踵部20aと、使用者のつま先が載せられるつま先部20bと、を備えている。
【0038】
鼻緒30は、布や合成樹脂によって構成され、前緒部31と、横緒部32と、によって構成されている。前緒部31は、足台20の板面から上方に延びて、使用者の足の親指と人差し指とによって挟まれる部分であり、足台20のつま先部20bに配置されている。横緒部32は、布製や合成樹脂製の紐状あるいは帯状の部材によって構成されており、前緒部31を基端として足台20における親指側の側部(以下、内側側部と称する)に向かって延びる内横緒部32aと小指側の側部(以下、外側側部と称する)に向かって延びる外横緒部32bとの2つに分かれている。内横緒部32a及び外横緒部32bの終端部は、足台20の足踏まずの領域の両側部にそれぞれ固定される。
【0039】
足台20は、前緒部31に対して小指側に欠落部20cを更に備えている。欠落部20cは、足台20におけるつま先側の端部から足台20の長手方向に沿って切れ目を入れ、前緒部31に対して若干小指寄りの部位を通り、外横緒部32bの終端部に対して若干つま先寄りの部位を通って、足台20における外側側部まで緩やかな弧状に切断することによって形成される。
【0040】
次に、使用者が履物1を履いた状態について説明する。
【0041】
このように構成された履物1は、使用者が鼻緒30に足を通し、使用者の足の親指と人差し指との間に前緒部31を挟めることによって履くことができる。このとき、内横緒部32aが使用者の親指の付け根を通り、外横緒部32bが使用者の足の甲を通ることで、履物1が使用者の足から外れ難くなる。
【0042】
使用者が履物1を履いた状態において、使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分と、短小趾屈筋における土踏まずの側方の部分とに欠落部20cが対向する。つまり、足裏を土踏まず付近でつま先側と踵側とに2分割し、このうちつま先側を更に親指側(内側)と小指側(外側)とに分割した場合に、つま先側の外側半分の部位が、欠落部20cに概ね対向する。
【0043】
このため、使用者が履物1を履いて歩行した場合、足裏におけるつま先側の外側半分の部位が地面から離間するため、使用者の体重は、使用者の足裏の内側側部に集中する。また、使用者は、直立や歩行の際に、欠落部20cが対向している足裏の外側部分が地面に付かないように意識を持つようになる。これにより、使用者の脚の重心を内側に補正することが可能になり、使用者がO脚であれば、使用者の膝の間隔を狭くすることが可能になる。
【0044】
このように構成された本実施形態によれば、使用者が履くことにより、使用者の体重が足裏の内側側部に集中するため、使用者の脚の重心を内側に補正することが可能になり、使用者の膝の間隔を狭くすることが可能になる。これにより、海辺で水着に着替えている場合に、使用者はO脚を余り気にせずに歩くことが可能になる。なお、本実施形態によれば、足裏の外側にできた魚の目にスピール膏を貼着した場合、履物1を履くことにより、スピール膏を貼着した部位を地面から離間させることができるため、歩行の際にスピール膏がずれたり剥がれたりすることを低減できる効果も期待できる。
【0045】
[第1の実施形態の変形例]
図3は、本発明の第1の実施形態の変形例における履物2の外観を示す斜視図である。第1の実施形態の変形例における履物2は、図1に示す第1の実施形態における履物1の足台20に、踵の部分を欠落させた欠落部20dを更に形成したものである。この欠落部20dは、踵欠落部と呼ぶことができる。
【0046】
このように構成された第1の実施形態の変形例によれば、履物2は欠落部20dを有することにより、使用者はつま先立ちで歩くような格好になり、履物2を履いて歩くことよって、自然にふくらはぎ、太腿の裏から尻にかけての筋肉を鍛錬することが可能になる。また、履物2は欠落部20cを有することにより、上述した、使用者の脚の重心を内側に補正することが可能になり、使用者がO脚であれば、使用者の膝の間隔を狭くすることが可能になる。
【0047】
図4は、本発明の第2の実施形態における履物3の外観を示す斜視図である。図5は、図4の正面図である。なお、図1図2に示す履物1における部材と同一の部材もしくは同一機能の部材については同一の符号を伏すことで、詳細な説明は省略する。
【0048】
履物3は、足台25と、鼻緒30と、を備えている。履物3は、第1の実施形態における足台20が足台25である点で第1の実施形態における履物1と異なる。
【0049】
足台25は、第1層26と第2層27との2層構造である。第1層26は、欠落部26aを有する。また、第1層26は、第1の実施形態における履物1に係る足台20のつま先の角部に面取りを施した以外は同一もしくは厚さが異なる形状であり、欠落部26aは、履物1に係る足台20の欠落部20cと同じ部位に形成されている。
【0050】
第2層27は、第1層26において欠落部26aが形成されてない、足の外周をかたどった形状である。足台25は、第1層26の下面と第2層27の上面とを接着することによって構成され、欠落部26aの部位に段差が形成される。
【0051】
履物3は、足台25に、第1の実施形態における履物1と同様に鼻緒30を取り付けることによって完成する。
【0052】
使用者が履物3を履いたとき、使用者の足裏におけるつま先側の外側部分が欠落部26aによる段差分だけ離間して第2層27の上面に対向する。
【0053】
このため、第2の実施形態における履物3は、第1の実施形態における履物1と同様に、使用者が履物1を履いて直立した場合、使用者の体重が、使用者の足裏の内側側部に集中する。これにより、使用者の脚の重心を内側に補正することが可能になり、使用者がO脚であれば、使用者の膝の間隔を狭くすることが可能になる。また、欠落部26aの下方が第2層27によって覆われているため、履物3を砂浜で使用する場合に、砂浜の砂に足裏が直接触れることがなくなる。
【0054】
[第2の実施形態の変形例]
第2の実施形態の履物3は、足台25の第1層26と第2層27との上下を入れ替えて、第2層27を上層とし、第1層26を下層としてもよい。
【0055】
このように構成された第2の実施形態の変形例でも、第2の実施形態の履物3と同様の作用効果を奏する。
【0056】
また、第2の実施形態の履物3においても、第1の実施形態の変形例の履物2と同様に、足台25における踵の部位を欠落させてもよい。これにより、使用者はつま先立ちで歩くような格好になり、自然にふくらはぎ、太腿の裏から尻にかけての筋肉を鍛錬することが可能になる。また、図3に示す例では踵の部位を円弧状に欠落させているが、図6に示すように、直線上に欠落させてもよい。
【0057】
また、図3図6に示すように踵の部位を円弧状に欠落させた履物の下面に、第2の実施形態の履物3における第2層27を接着して、2層に構成してもよい。これにより、砂浜の砂に踵が直接触れることがなくなる。
【0058】
なお、第2の実施形態及びその変形例においては、足台25が2層に形成されているが、足台における使用者の足裏の外側部分が対向する部位に、板厚を薄くした薄肉部を形成したものであれば、1層(単板)であってもよい。
【0059】
[第3の実施形態]
図7Aは、本発明の第3の実施形態における履物4の外観を示す平面図である。図7Bは、図7Aの裏側を示す平面図である。図7Cは、図7Aを小指側から見た側面図である。履物4は、所謂、ビーチサンダルであり、足台40と、鼻緒30と、を備えている。なお、図7Aは、使用者の左足に履かせる履物4を示しており、右足に履かせる履物4は左足に履かせる履物4に対して左右対称であるため、右足に履かせる履物4についての詳細な説明は省略する。また、図1図2に示す履物1における部材と同一の部材もしくは同一機能の部材については同一の符号を付すことで、詳細な説明は省略する。
【0060】
足台40は、ゴム材やEVAウレタン材等によって構成され、足の外周をかたどってなる平板状の部材であり、使用者の踵が載せられる踵部40aと、使用者のつま先が載せられるつま先部40bと、を備えている。
【0061】
鼻緒30の前緒部31は、足台40の板面から上方に延びて、使用者の足の親指と人差し指とによって挟まれる部分であり、足台40のつま先部40bに配置されている。横緒部32は、前緒部31を基端として足台40における親指側の側部(以下、内側側部と称する)に向かって延びる内横緒部32aと小指側の側部(以下、外側側部と称する)に向かって延びる外横緒部32bとの2つに分かれている。内横緒部32a及び外横緒部32bの終端部は、足台40の足踏まずの領域の両側部にそれぞれ固定される。
【0062】
足台40は、裏面に、図7B図7Cに示すように、前緒部31に対して小指側に凹部40cを更に備えている。凹部40cの壁面は、足台40におけるつま先側の端部から足台40の長手方向に向かい、前緒部31に対して若干小指寄りの部位を通り、外横緒部32bの終端部に対して若干つま先寄りの部位を通って、足台40における外側側部に到達する緩やかな弧状に延びている。凹部40cにおける外周部は開放されている。言い換えれば、第3の実施形態における履物4は、図1に示す第1の実施形態の履物1において、欠落部20cの上部から外側側部に板状に延在させ、この延在部分によって欠落部20cの上部を覆った構成である。凹部40cの底部は薄肉であるため上下方向の可撓性を有する。
【0063】
使用者が履物4を履いた状態において、使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分と、短小趾屈筋における土踏まずの側方の部分とに凹部40cが対向する。つまり、足裏を土踏まず付近でつま先側と踵側とに2分割し、このうちつま先側を更に内側(親指側)と外側(小指側)とに分割した場合に、つま先側の外側半分の部位が凹部40cの底部を介して凹部40cに概ね対向する。
【0064】
使用者が履物4を履いて歩行した場合、足裏におけるつま先側の外側半分の部位の裏面、すなわち凹部40cの底面が地面から離間する。このため、歩行が不安定になる。使用者は、歩行バランスを維持するために、体重を使用者の足裏の内側側部に集中させるようになる。また、使用者は、直立や歩行の際に、凹部40cの底面が地面に付かないように意識を持つようになる。これにより、使用者の脚の重心を内側に補正することが可能になり、使用者がO脚であれば、使用者の膝の間隔を狭くすることが可能になる。
【0065】
このように構成された第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が期待できるとともに、履物4を使用した際に足裏が汚れたり、突起物を直接踏んでしまったりすることを防止することができる。
【0066】
[第4の実施形態]
図8Aは、本発明の第4の実施形態における履物5の外観を示す平面図である。図8Bは、図8Aの裏側を示す平面図である。図8Cは、図8Aを小指側から見た側面図である。図8Dは、図8Aの正面図である。履物5は、所謂、ビーチサンダルであり、足台50と、鼻緒30と、を備えている。なお、図8Aは、使用者の左足に履かせる履物5を示しており、右足に履かせる履物5は左足に履かせる履物5に対して左右対称であるため、右足に履かせる履物5についての詳細な説明は省略する。また、図1図2に示す履物1における部材と同一の部材もしくは同一機能の部材については同一の符号を付すことで、詳細な説明は省略する。
【0067】
履物5は、第1の実施形態における足台20が足台50である点で第1の実施形態における履物1と異なる。
【0068】
足台50は、ゴム材やEVAウレタン材等によって構成され、図8C、8Dに示すように、第1層51と第2層52との2層構造である。第1層51は、使用者の踵の部分を欠落させた欠落部51aと、使用者のつま先が載せられるつま先部51bと、使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分付近を欠落させた欠落部51cを有する。また、図8A、8Dに示すように、第1層51における欠落部51cの縁部に下り傾斜する斜面51dが形成されている。
【0069】
欠落部51cは、第1層51におけるつま先側の端部から足台50の長手方向に沿って切れ目を入れ、前緒部31に対して若干小指寄りの部位を通り、外横緒部32bの終端部に対して若干つま先寄りの部位を通って、足台40における外側側部まで緩やかな弧状に切断することによって形成される。
【0070】
第2層52は、第1層51において欠落部51a、51cが形成されてない、図8Bに示すように、足の外周をかたどった形状である。足台50は、第1層51の下面と第2層52の上面とを接着することによって構成され、欠落部51a、51cの部位に第1層51の上面と第2層52の上面とによる段差が形成される。この段差部分に斜面51dが形成されている。第2層52は第1層51よりも柔軟性の高い材質によって構成される。
【0071】
履物5は、足台50に、第1の実施形態における履物1と同様に鼻緒30を取り付けることによって完成する。
【0072】
使用者が履物5を履いたとき、使用者の足裏における踵部分が欠落部51aに対向し、使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分と、短小趾屈筋における土踏まずの側方の部分とに欠落部51cが対向する。使用者の足裏における踵及びつま先側の外側部分が欠落部51a、51cによる段差分だけ離間して第2層52の上面に対向する。
【0073】
このように構成された第4の実施形態における履物5は、第1の実施形態における履物1と同様の効果が得られる。更に、欠落部51aを有することにより、使用者はつま先立ちで歩くような格好になり、履物5を履いて歩くことよって、自然にふくらはぎ、太腿の裏から尻にかけての筋肉を鍛錬することが可能になる。また、欠落部51cの縁部に第2層52の上面に向かって下り傾斜する斜面51dが形成されている。このため、例えば、人にぶつかった場合のように、使用者に横方向への衝撃が加わった際、斜面51dに使用者の足裏が当接する。これにより、使用者はバランスを取りやすくなる。しかも、第2層52が柔軟性の高い材質であるため、足裏が第2層52に触れた場合に、第2層52が大きく弾性変形する。これにより、使用者のバランスが不安定になるため、安定な状態を維持するように、体重を使用者の足裏の内側側部に集中させるようになる。また、地面と足裏との間に少なくとも第2層52が介在するため、履物5を使用した際に足裏が汚れたり、突起物を直接踏んでしまったりすることを防止することができる。
【0074】
[第5の実施形態]
図9Aは、本発明の第5の実施形態における履物6の外観を示す平面図である。図9Bは、図9Aの裏側を示す平面図である。図9Cは、図9Aを小指側から見た側面図である。図9Dは、図9Aの正面図である。履物6は、所謂、ビーチサンダルであり、足台60と、鼻緒30と、を備えている。なお、図9Aは、使用者の左足に履かせる履物6を示しており、右足に履かせる履物6は左足に履かせる履物6に対して左右対称であるため、右足に履かせる履物6についての詳細な説明は省略する。また、図1図2に示す履物1における部材と同一の部材もしくは同一機能の部材については同一の符号を付すことで、詳細な説明は省略する。
【0075】
履物6は、第1の実施形態における足台20が足台60である点で第1の実施形態における履物1と異なる。
【0076】
足台60は、図9C図9Dに示すように、第1層61と第2層62との2層構造である。第1層61は、使用者の踵の部分を欠落させた欠落部61aと、使用者のつま先が載せられるつま先部61bと、使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分付近を欠落させた欠落部61cと、を有する。第1層61における欠落部61cの縁部に下り傾斜する斜面61dが形成されている。また、第1層61におけるつま先部の裏側に、つま先側に向かって上り傾斜する斜面61eが形成されている。
【0077】
第2層62は、図9Bに示すように、第1層61において欠落部61a、61cが形成されてない、足の外周をかたどった形状である。第2層62は、第1層61と同等の硬さを有している。第2層62におけるつま先部の裏側につま先側に向かって上り傾斜する斜面62aが形成されている。足台60は、第1層61の下面と第2層62の上面とを接着することによって構成される。これにより、欠落部61a、61cの部位に第1層61の上面と第2層62の上面とによる段差が形成される。この段差部分に斜面61dが形成されている。また、第1層61の斜面61eの部位と第2層62の斜面62aの部位とが重なることにより、足台60におけるつま先部の裏側につま先側に向かって上り傾斜する斜面が形成される。
【0078】
履物6は、足台60に、第1の実施形態における履物1と同様に鼻緒30を取り付けることによって完成する。
【0079】
使用者が履物6を履いたとき、使用者の足裏における踵部分及びつま先側の外側部分が欠落部61a、61cによる段差分だけ離間して第2層62の上面に対向する。言い換えれば、本発明の第5の実施形態における履物6は、第4の実施形態における履物5において、つま先部の裏側につま先側に向かって上り傾斜する斜面を形成し、第1層51と第2層52とを同一の部材もしくは同様な硬さを有する部材によって構成したものである。
【0080】
このように構成された第5の実施形態における履物6は、第4の実施形態における履物4と同様の効果が得られる。更に、つま先部の裏側に斜面が形成されているため、歩行の際につま先部の裏側に斜面が地面に当接することにより、歩行の際の重心移動がスムーズになり、使用者の歩行を容易にすることができる。
【0081】
[第6の実施形態]
図10Aは、本発明の第6の実施形態における履物7の外観を示す平面図である。図10Bは、図10Aの裏側を示す平面図である。図10Cは、図10Aを小指側から見た側面図である。履物7は、所謂、ビーチサンダルであり、足台70と、柔軟台71と、鼻緒30と、を備えている。なお、図10Aは、使用者の左足に履かせる履物7を示しており、右足に履かせる履物7は左足に履かせる履物7に対して左右対称であるため、右足に履かせる履物7についての詳細な説明は省略する。また、図1図2に示す履物1における部材と同一の部材もしくは同一機能の部材については同一の符号を付すことで、詳細な説明は省略する。
【0082】
足台70は、ゴム材やEVAウレタン材等によって構成され、足の外周をかたどってなる平板状の部材であり、使用者の踵が載せられる踵部70aと、使用者のつま先が載せられるつま先部70bと、を備えている。
【0083】
足台70は、図10Bに示すように、前緒部31に対して小指側に欠落部70cを更に備えている。欠落部70cは、足台70におけるつま先側の端部から足台70の長手方向に沿って切れ目を入れ、前緒部31に対して若干小指寄りの部位を通り、外横緒部32bの終端部に対して若干つま先寄りの部位を通って、足台70における外側側部まで緩やかな弧状に切断することによって形成される。
【0084】
柔軟台71は、足台70よりも柔軟性が高い柔軟部材によって構成され、足台70の欠落部70cに配置、固定される。足台70に柔軟台71を固定することにより、1つの足形の板材が構成される。柔軟台71が足台70の欠落部70cに配置されることにより、足形の板状部材が構成される。
【0085】
そして、足台70の欠落部70cに柔軟台71が固定され、足台70に、第1の実施形態における履物1の足台20と同様に鼻緒30が取り付けられることによって、履物7が構成される。
【0086】
使用者が履物7を履いたとき、使用者の足裏における使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分と、短小趾屈筋における土踏まずの側方の部分とに柔軟台71が対向する。
【0087】
このように構成された第6の実施形態によれば、使用者が履物7を履いて歩行した場合、足裏におけるつま先側の外側半分の部位が柔軟台71に載った際に柔軟台71が大きく沈む。このため、歩行が不安定になる。使用者は、歩行バランスを維持するために、体重を使用者の足裏の内側側部に集中させるようになる。また、使用者は、直立や歩行の際に、柔軟台71に載らないように意識を持つようになる。これにより、使用者の脚の重心を内側に補正することが可能になり、使用者がO脚であれば、使用者の膝の間隔を狭くすることが可能になる。更に、欠落部51aに柔軟台71が固定されることにより、履物7を使用した際に足裏が汚れたり、突起物を直接踏んでしまったりすることを防止することができる。
【0088】
[第7の実施形態]
図11Aは、本発明の第7の実施形態における履物8の外観を示す平面図である。図11Bは、図11Aの裏側を示す平面図である。図11Cは、図11Aを小指側から見た側面図である。図11Dは、図11Aの正面図である。履物8は、所謂、ビーチサンダルであり、足台80と、鼻緒30と、を備えている。なお、図11Aは、使用者の左足に履かせる履物8を示しており、右足に履かせる履物8は左足に履かせる履物8に対して左右対称であるため、右足に履かせる履物8についての詳細な説明は省略する。また、図1図2に示す履物1における部材と同一の部材もしくは同一機能の部材については同一の符号を付すことで、詳細な説明は省略する。
【0089】
足台80は、ゴム材やEVAウレタン材等によって構成され、足の外周をかたどってなる平板状の部材であり、使用者の踵が対向する踵凹部80aと、使用者のつま先が載せられるつま先部80bと、使用者の中指、薬指、小指及びそれらの付け根部分が対向する外側凹部80cと、図11B図11Dに示すように、裏面の先端部に形成された斜面80dとを備えている。
【0090】
鼻緒30は、つま先部80bに固定される。足台80の踵凹部80a、外側凹部80c及び斜面80dは、一枚の板状部材に切削加工を施すことによって形成される。
【0091】
踵凹部80a及び外側凹部80cの底面は、つま先部80bの上面よりも低く、つま先部80bの上面と、踵凹部80a及び外側凹部80cの底面とによって段差が形成されている。図11Aに示すように、踵凹部80aの壁面はつま先側に膨らむ弧状に形成されており、踵凹部80aにおける外周部は開放されている。外側凹部80cの壁面は、足台80におけるつま先側の端部から足台80の長手方向に向かい、前緒部31に対して若干小指寄りの部位を通り、外横緒部32bの終端部に対して若干つま先寄りの部位を通って、足台80における外側側部に到達する緩やかな弧状に延びている。外側凹部80cにおける外周部は開放されている。また、図11B~11Dに示すように、斜面80dは、つま先部80bと外側凹部80cとの境界領域から使用者の親指側に向かって緩やかに傾斜している。
【0092】
使用者が履物8を履いた状態において、使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分と、短小趾屈筋における土踏まずの側方の部分とに外側凹部80cが対向する。つまり、足裏を土踏まず付近でつま先側と踵側とに2分割し、このうちつま先側を更に内側(親指側)と外側(小指側)とに分割した場合に、つま先側の外側半分の部位が、外側凹部80cに概ね対向する。また、使用者の踵が踵凹部80aに対向する。
【0093】
使用者が履物8を履いて歩行した場合、足裏におけるつま先側の外側半分の部位の裏面、すなわち外側凹部80cの底面が地面から離間する。このため、歩行が不安定になる。使用者は、歩行バランスを維持するために、体重を使用者の足裏の内側側部に集中させるようになる。また、使用者は、直立や歩行の際に、外側凹部80cの底面が地面に付かないように意識を持つようになる。これにより、使用者の脚の重心を内側に補正することが可能になり、使用者がO脚であれば、使用者の膝の間隔を狭くすることが可能になる。更に、踵凹部80aを有することにより、使用者はつま先立ちで歩くような格好になり、履物7を履いて歩くことよって、自然にふくらはぎ、太腿の裏から尻にかけての筋肉を鍛錬することが可能になる。また、斜面80dが形成されているため、歩行の際に使用者の親指が内側に傾きやすくなるため、使用者の脚の重心を内側に補正することが可能になる。
【0094】
このように構成された第7の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が期待できるとともに、履物8を使用した際に足裏が汚れたり、突起物を直接踏んでしまったりすることを防止することができる。なお、履物8の足台80は一枚の板状部材によって構成されているが、第5の実施形態における履物6のように2層構造にして段差を形成してもよい。
【0095】
[第8の実施形態]
図12Aは、本発明の第8の実施形態における履物9の外観を示す平面図である。図12Bは、図12Aの裏側を示す平面図である。図12Cは、図12Aを小指側から見た側面図である。図12Dは、図12Aの正面図である。履物9は、所謂、ビーチサンダルであり、足台90と、鼻緒30と、を備えている。なお、図12Aは、使用者の左足に履かせる履物9を示しており、右足に履かせる履物9は左足に履かせる履物9に対して左右対称であるため、右足に履かせる履物9についての詳細な説明は省略する。また、図1図2に示す履物1における部材と同一の部材もしくは同一機能の部材については同一の符号を付すことで、詳細な説明は省略する。
【0096】
足台90は、ゴム材やEVAウレタン材等によって構成され、足の外周をかたどってなる平板状の部材であり、裏面における使用者の親指と中指及びその付け根に対向する領域の反対側となる部位に、図12B図12Dに示すように凹部90aを備えている。
【0097】
鼻緒30は、足台90に、図1に示す第1の実施形態の履物1と同様の位置に固定される。足台90の凹部90aは、一枚の板状部材に切削加工を施すことによって形成される。前緒部31の端部は、凹部90aが形成されている領域に固定される。
【0098】
凹部90aの壁面は、図12Bに示すように、足台90におけるつま先側の端部から足台90の長手方向に向かい、前緒部31に対して若干小指寄りの部位を通り、内横緒部32aの終端部に対して若干つま先寄りの部位を通って、足台90における内側側部に到達する緩やかな弧状に延びている。図12C、12Dに示すように、凹部90aにおける外周部は開放されている。凹部90aの底部は薄肉となるため可撓性を有する。
【0099】
使用者が履物9を履いた状態において、また、使用者の足の親指、人差し指及びこれらの付け根部分の部分、加えて当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分が凹部90aの底部を介して凹部90aに対向する。凹部90aの底部は薄肉となるため可撓性を有する。
【0100】
このように構成された履物9を使用者が履いて歩行した場合、足裏におけるつま先側の内側半分の部位の裏面、すなわち凹部90aの底面が地面から離間する。凹部90aが形成されている底部は薄肉となるため他の部位よりも可撓性が大きくなる。このため、歩行の際に、使用者の親指と中指及びその付け根が内側側部に傾きやすくなる。これにより、使用者の脚の重心を内側に補正することが可能になり、使用者がO脚であれば、使用者の膝の間隔を狭くすることが可能になる。
【0101】
[第9の実施形態]
図13Aは、本発明の第9の実施形態における履物10の外観を示す平面図である。図13Bは、図13Aの裏側を示す平面図である。図13Cは、図13Aを小指側から見た側面図である。図13Dは、図13Aの正面図である。履物10は、所謂、ビーチサンダルであり、履物10は、足台100と、親指ストラップ33と、アンクルストラップ34を備えている。なお、図13Aは、使用者の左足に履かせる履物10を示しており、右足に履かせる履物10は左足に履かせる履物10に対して左右対称であるため、右足に履かせる履物10についての詳細な説明は省略する。
【0102】
足台100は、ゴム材やEVAウレタン材等によって構成され、第1層101と第2層102との2層構造である。第1層101は、使用者の踵の部分を欠落させた欠落部101aと、使用者のつま先が載せられるつま先部101bと、使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分付近を欠落させた欠落部101cと、を有する。
【0103】
第2層102は、図13Bに示すように、第1層101において欠落部101a、101cが形成されてない、足の外周をかたどった形状である。足台100は、第1層101の下面と第2層102の上面とを接着することによって構成され、欠落部101a、101cの部位に第1層101の上面と第2層102の上面とによる段差が形成される。第2層102は第1層101よりも柔軟性の高い材質によって構成される。足台100は、第2層102上に第1層101を重ね、接着等によって固定することによって一体化されたものである。
【0104】
親指ストラップ33は、図13C図13Dに示すように、帯状部材からなり、第1層101のつま先部101bにおいて使用者の親指が位置付けられる部位にアーチ状に取り付ける。アンクルストラップ34は、帯状部材からなり、両端部が第1層101のつま先部101bの踵側の両端部に取り付けられる。これにより、アンクルストラップ34は、アーチを描くように足台100に取り付けられる。
【0105】
使用者は、アンクルストラップ34に足の甲を挿入し、親指を親指ストラップ33に挿入することにより、履物10を履くことができる。この際、アンクルストラップ34は足首周りに配置される。使用者が履物10を履いたとき、使用者の足裏における踵が欠落部101aによる段差分だけ離間して第2層102の上面に対向する。また、使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分が欠落部101cによる段差分だけ離間して第2層102の上面に対向する。
【0106】
このように構成された第9の実施形態における履物10は、第1の実施形態における履物1と同様の効果が得られる。更に、欠落部101aを有することにより、使用者はつま先立ちで歩くような格好になり、履物10を履いて歩くことよって、自然にふくらはぎ、太腿の裏から尻にかけての筋肉を鍛錬することが可能になる。しかも、第2層102が柔軟性の高い材質であるため、足裏が第2層102に触れた場合に、第2層102が大きく弾性変形する。これにより、使用者のバランスが不安定になるため、安定な状態を維持するように、体重を使用者の足裏の内側側部に集中させるようになる。また、地面と足裏との間に少なくとも第2層102が介在するため、履物10を使用した際に足裏が汚れたり、突起物を直接踏んでしまったりすることを防止することができる。
【0107】
なお、図13Aに示す履物10によれば、使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分が欠落部101cにおける第2層102の上面に対向するが、そこに人差し指及びその付け根部分が含まれてもよい。
【0108】
[第10の実施形態]
図14Aは、本発明の第10の実施形態における履物11の外観を示す平面図である。図14Bは、図14Aの裏側を示す平面図である。図14Cは、図14Aを小指側から見た側面図である。図14Dは、図14Aの正面図である。履物11は、所謂、ビーチサンダルであり、足台110と、鼻緒30と、を備えている。なお、図14Aは、使用者の左足に履かせる履物11を示しており、右足に履かせる履物11は左足に履かせる履物11に対して左右対称であるため、右足に履かせる履物11についての詳細な説明は省略する。また、図1図2に示す履物1における部材と同一の部材もしくは同一機能の部材については同一の符号を付すことで、詳細な説明は省略する。
【0109】
足台110は、ゴム材やEVAウレタン材等によって構成され、足の外周をかたどってなる平板状の部材であり、裏面における使用者の踵の反対側となる部位に凹部110aを有している。また、裏面における使用者の親指と中指及びその付け根に対向する領域の反対側となる部位に凹部110bを有している。
【0110】
鼻緒30は、足台110に、図1に示す第1の実施形態の履物1と同様の位置に固定される。足台110の凹部110a、110bは、一枚の板状部材に切削加工を施すことによって形成される。前緒部31の端部は、凹部110bが形成されている領域に固定される。
【0111】
凹部110bの壁面は、図14B~14Dに示すように、足台110におけるつま先側の端部から足台110の長手方向に向かい、前緒部31に対して若干小指寄りの部位を通り、足裏における「湧泉」と称されるツボ付近から直角方向に曲がって、足台110における内側側部に到達するL字状に延びている。凹部110a、凹部110bにおける外周部は開放されている。
【0112】
使用者が履物11を履いた状態において、使用者の踵が凹部110aの底部を介して凹部110aに対向する。また、使用者の足の親指、人差し指及びこれらの付け根部分の部分、加えて当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分が凹部110bの底部を介して凹部110bに対向する。凹部110bの底部は薄肉となるため可撓性を有する。
【0113】
このように構成された履物11を使用者が履いて歩行した場合、足裏におけるつま先側の内側半分の部位の裏面、すなわち凹部110bの底面が地面から離間する。ここで、凹部110bが形成されている底部は薄肉となるため可撓性が大きくなる。このため、歩行の際に、使用者の親指と中指及びその付け根が内側に傾きやすくなる。これにより、使用者の脚の重心を内側に補正することが可能になり、使用者がO脚であれば、使用者の膝の間隔を狭くすることが可能になる。更に、凹部110aを有することにより、使用者はつま先立ちで歩くような格好になり、履物11を履いて歩くことよって、自然にふくらはぎ、太腿の裏から尻にかけての筋肉を鍛錬することが可能になる。
【0114】
[第11の実施形態]
図15Aは、本発明の第11の実施形態における履物12の外観を示す平面図である。図15Bは、図15Aの裏側を示す平面図である。図15Cは、図15Aを小指側から見た側面図である。履物12は、所謂、ビーチサンダルであり、足台120と、鼻緒30と、を備えている。なお、図15Aは、使用者の左足に履かせる履物12を示しており、右足に履かせる履物12は左足に履かせる履物12に対して左右対称であるため、右足に履かせる履物12についての詳細な説明は省略する。また、図1図2に示す履物1における部材と同一の部材もしくは同一機能の部材については同一の符号を付すことで、詳細な説明は省略する。
【0115】
足台120は、ゴム材やEVAウレタン材等によって構成され、第1層121と第2層122との2層構造である。第1層121は、図15B、15Cに示すように、使用者の踵が載せられる踵部121aと、使用者のつま先が載せられるつま先部121bと、を有する。第1層121は、裏面に、前緒部31に対して小指側に凹部121cを更に備えている。凹部121cの壁面は第1層121におけるつま先側の端部から第1層121の長手方向に向かい、前緒部31に対して若干小指寄りの部位を通り、外横緒部32bの終端部に対して若干つま先寄りの部位を通って、第1層121における外側側部に到達する緩やかな弧状に延びている。凹部121cにおける外周部は開放されている。
【0116】
第2層122は、足の外周をかたどってなる平板状の部材である。足台120は、第2層122上に第1層121を重ね、接着等によって固定することによって一体化されたものである。これにより、凹部121cの下部が第2層122の上面によって覆われる。言い換えると、足台120は、第1層121が凹部121cを有することによって、第1層121と第2層122と間に隙間が形成される。
【0117】
鼻緒30は、足台120において、図1に示す第1の実施形態の履物1と同様の位置に固定される。
【0118】
使用者が履物12を履いた状態において、使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分と、短小趾屈筋における土踏まずの側方の部分とに凹部121cが対向する。つまり、足裏を土踏まず付近でつま先側と踵側とに2分割し、このうちつま先側を更に内側(親指側)と外側(小指側)とに分割した場合に、つま先側の外側半分の部位が、凹部121cに概ね対向する。
【0119】
使用者が履物12を履いて歩行した場合、足裏におけるつま先側の外側半分の部位の裏面、すなわち凹部121cの底面が第2層122の上面から離間する。このため、第1層121における凹部121cの上部が薄肉となって上下に撓むために、歩行が不安定になる。使用者は、歩行バランスを維持するために、体重を使用者の足裏の内側側部に集中させるようになる。また、使用者は、直立や歩行の際に、凹部121cの底面が第2層122の上面に付かないように意識を持つようになる。これにより、使用者の脚の重心を内側に補正することが可能になり、使用者がO脚であれば、使用者の膝の間隔を狭くすることが可能になる。
【0120】
このように構成された第11の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が期待できるとともに、履物12を使用した際に足裏が汚れたり、突起物を直接踏んでしまったりすることを防止することができる。なお、履物12の足台120は2層構造であるが、3層構造にして、中層に欠落部を形成することにより、足台120の外側側部に凹部121cを設けてもよい。あるいは、厚めの一枚板の厚さ方向中央部に切削加工によって切り欠きを形成することにより、足台120の外側側部に凹部121cを設けてもよい。
【0121】
[第12の実施形態]
図16Aは、本発明の第12の実施形態における履物13の外観を示す平面図である。図16Bは、図16Aの裏側を示す平面図である。図16Cは、図16Aを小指側から見た側面図である。図16Dは、図16Aの正面図である。履物13は、所謂、ビーチサンダルであり、足台130と、鼻緒30と、を備えている。なお、図16Aは、使用者の左足に履かせる履物13を示しており、右足に履かせる履物13は左足に履かせる履物13に対して左右対称であるため、右足に履かせる履物13についての詳細な説明は省略する。また、図1図2に示す履物1における部材と同一の部材もしくは同一機能の部材については同一の符号を付すことで、詳細な説明は省略する。
【0122】
履物13は、第1の実施形態における足台20が足台130である点で第1の実施形態における履物1と異なる。
【0123】
足台130は、ゴム材やEVAウレタン材等によって構成され、第1層131と第2層132との2層構造である。第1層51は、鼻緒30の内横緒部32a及び外横緒部32bの終端部が固定される第1ブロック131aと、鼻緒30の前緒部31が固定される第2ブロック131bと、によって構成される。第1ブロック131aは、踵側が欠落しており、使用者の踵を載せることが困難なように構成されている。第2ブロック131bは、外側部分が欠落しており、使用者の親指と中指及びその付け根の一部を載せることが可能である一方、使用者の中指と薬指と小指及びその付け根を載せることができないように構成されている。
【0124】
第2層132は、足の外周をかたどった形状である。足台130は、第1層131の下面と第2層132の上面とを接着することによって構成される。第1ブロック131aは、第2層132の踵側に固定され、第2ブロック131bは第2層132のつま先側に固定される。
【0125】
第2層132上に第1層131が固定されることにより、足台130が構成される。足台130において、第1ブロック131aと第2ブロック131bとの間にL字形の凹部133aが形成され、第2ブロック131bの踵側に凹部133bが形成される。
【0126】
履物13は、足台130に、第1の実施形態における履物1と同様に鼻緒30を取り付けることによって完成する。
【0127】
使用者が履物13を履いたとき、使用者の足裏における踵部分が凹部133aに対向する。更に、使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分と、短小趾屈筋における土踏まずの側方の部分と、土踏まずの一部と、が、凹部133bに対向する。これらの部分が、凹部133a、133bによって形成される第1層131の上面と第2層132の上面とに段差分だけ離間して第2層132の上面に対向する。
【0128】
このように構成された第12の実施形態における履物13は、第1の実施形態における履物1と同様の効果が得られる。更に、凹部133aを有することにより、使用者はつま先立ちで歩くような格好になる。これにより、履物13を履いて歩くことよって、自然にふくらはぎ、太腿の裏から尻にかけての筋肉を鍛錬することが可能になる。しかも、第2層132が柔軟性の高い材質であるため、足裏が第2層132に触れた場合に、第2層132が大きく弾性変形する。これにより、使用者のバランスが不安定になるため、安定な状態を維持するように、体重を使用者の足裏の内側側部に集中させるようになる。また、地面と足裏との間に少なくとも第2層132が介在するため、履物13を使用した際に足裏が汚れたり、突起物を直接踏んでしまったりすることを防止することができる。
【0129】
[第13の実施形態]
図17Aは、本発明の第13の実施形態における履物14の外観を示す平面図である。図17Bは、図17Aの裏側を示す平面図である。図17Cは、図17Aを小指側から見た側面図である。図17Dは、図17Aの正面図である。履物14は、所謂、ビーチサンダルであり、足台140と、鼻緒30と、を備えている。なお、図17Aは、使用者の左足に履かせる履物14を示しており、右足に履かせる履物14は左足に履かせる履物14に対して左右対称であるため、右足に履かせる履物14についての詳細な説明は省略する。また、図1図2に示す履物1における部材と同一の部材もしくは同一機能の部材については同一の符号を付すことで、詳細な説明は省略する。
【0130】
履物14は、第1の実施形態における足台20が足台140である点で第1の実施形態における履物1と異なる。
【0131】
足台140は、ゴム材やEVAウレタン材等によって構成され、第1層141と第2層142との2層構造である。第1層141は、使用者の踵の部分を欠落させた欠落部141aと、使用者のつま先が載せられるつま先部141bと、使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分付近を欠落させた欠落部141cを有する。
【0132】
欠落部141cは、第1層141におけるつま先側の端部から第1層141の長手方向に沿って切れ目を入れ、前緒部31に対して若干小指寄りの部位を通り、外横緒部32bの終端部に対して若干つま先寄りの部位を通って、足台140における外側側部まで緩やかな弧状に切断することによって形成される。
【0133】
第2層142は、第1層141において欠落部141a、141cが形成されてない、足の外周をかたどった形状である。足台140は、第1層141の下面と第2層142の上面とを接着することによって構成され、図17C、17Dに示すように、欠落部141a、141cの部位に第1層141の上面と第2層142の上面とによる段差が形成される。第2層142は第1層141よりも柔軟性の高い材質によって構成される。第2層142の裏面におけるつま先側に斜面142aが形成され、踵側に斜面142bが形成される。斜面142aは、つま先側に向かって第2層142の肉厚が徐々に薄くなるように上り傾斜しており、斜面142bは、踵側に向かって第2層142の肉厚が徐々に薄くなるように上り傾斜している。
【0134】
履物14は、足台140に、第1の実施形態における履物1と同様に鼻緒30を取り付けることによって完成する。
【0135】
使用者が履物14を履いたとき、使用者の足裏における踵部分が欠落部141aに対向する。更に、使用者の足の中指、薬指、小指及びこれらの付け根部分と、当該付け根部分に対して踵寄りに位置する母趾内転筋横頭の部分と、短小趾屈筋における土踏まずの側方の部分とが、欠落部141cに対向する。これらの部分が、欠落部141a、141cによって形成される第1層141の上面と第2層142の上面とによる段差分だけ離間して第2層142の上面に対向する。
【0136】
このように構成された第13の実施形態における履物14は、第1の実施形態における履物1と同様の効果が得られる。更に、欠落部141aを有することにより、使用者はつま先立ちで歩くような格好になり、履物14を履いて歩くことよって、自然にふくらはぎ、太腿の裏から尻にかけての筋肉を鍛錬することが可能になる。また、第2層142が柔軟性の高い材質であるため、足裏が欠落部141a、141cを介して第2層142に触れた場合に、第2層142が大きく弾性変形する。これにより、使用者のバランスが不安定になるため、安定な状態を維持するように、体重を使用者の足裏の内側側部に集中させるようになる。また、地面と足裏との間に少なくとも第2層142が介在するため、履物14を使用した際に足裏が汚れたり、突起物を直接踏んでしまったりすることを防止することができる。また、第2層142の裏面に斜面142a、142bが形成されているため、使用者が歩行する際に、体重移動をスムーズに行うことが可能になる。これにより、歩きやすい履物を提供することが可能になる。
【0137】
[第14の実施形態]
図18Aは、本発明の第14の実施形態における履物15の外観を示す平面図である。図18Bは、図18Aの裏側を示す平面図である。図18Cは、図18Aを小指側から見た側面図である。履物15は、所謂、ビーチサンダルであり、足台150と、鼻緒30と、を備えている。なお、図18Aは、使用者の左足に履かせる履物15を示しており、右足に履かせる履物15は左足に履かせる履物15に対して左右対称であるため、右足に履かせる履物15についての詳細な説明は省略する。また、図1図2に示す履物1における部材と同一の部材もしくは同一機能の部材については同一の符号を付すことで、詳細な説明は省略する。
【0138】
履物15は、第1の実施形態における足台20が足台150である点で第1の実施形態における履物1と異なる。
【0139】
足台150は、ゴム材やEVAウレタン材等によって構成され、足形にかたどった板状部材である。足台150は、使用者の踵の部分を欠落させた欠落部150aを有する。
【0140】
このように構成された第14の実施形態における履物15は、欠落部150aを有することにより、使用者はつま先立ちで歩くような格好になり、履物15を履いて歩くことよって、自然にふくらはぎ、太腿の裏から尻にかけての筋肉を鍛錬することが可能になる。
【0141】
[第15の実施形態]
図19Aは、本発明の第15の実施形態における履物16の外観を示す平面図である。図19Bは、図19Aの裏側を示す平面図である。図19Cは、図19Aを小指側から見た側面図である。図19Dは、図19Aの正面図である。履物16は、所謂、ビーチサンダルであり、足台160と、鼻緒30と、を備えている。なお、図19Aは、使用者の左足に履かせる履物16を示しており、右足に履かせる履物16は左足に履かせる履物16に対して左右対称であるため、右足に履かせる履物16についての詳細な説明は省略する。また、図1図2に示す履物1における部材と同一の部材もしくは同一機能の部材については同一の符号を付すことで、詳細な説明は省略する。
【0142】
履物16は、第1の実施形態における足台20が足台160である点で第1の実施形態における履物1と異なる。
【0143】
足台160は、ゴム材やEVAウレタン材等によって構成され、第1層161と第2層162との2層構造である。第1層161は、使用者の踵の部分を欠落させた欠落部161aを有する。第2層162は、第1層161において欠落部161aが形成されてない、足の外周をかたどった形状である。第2層162は、第1層161と同等の硬さを有している。
【0144】
第1層161におけるつま先側の縁部の裏面に、斜面161bが形成されている。第2層162におけるつま先側の縁部の裏面に、斜面162aが形成されている。斜面161b及び斜面162aはつま先側に向かって上り傾斜している。このため、第1層161及び第2層162のつま先部分は、板厚が徐々に薄くなる。
【0145】
足台160は、第1層161の下面と第2層162の上面とを接着することによって構成され、欠落部161aの部位に第1層161の上面と第2層162の上面とによる凹部(段差)が形成される。また、第1層161の斜面161bの部位と第2層162の斜面162aの部位とが重なることにより、足台160におけるつま先部の裏側に、つま先側に向かって上り傾斜する斜面が形成される。
【0146】
履物16は、足台160に、第1の実施形態における履物1と同様に鼻緒30を取り付けることによって完成する。
【0147】
使用者が履物16を履いたとき、使用者の足裏における踵部分が欠落部161aによる段差分だけ離間して第2層162の上面に対向する。
【0148】
このように構成された第15の実施形態における履物16は、つま先部の裏側に斜面が形成されているため、歩行の際につま先部の裏側に斜面が地面に当接することにより、歩行の際の重心移動がスムーズになり、使用者の歩行を容易にすることができる。また、地面と足裏との間に少なくとも第2層162が介在するため、履物16を使用した際に足裏が汚れたり、突起物を直接踏んでしまったりすることを防止することができる。
【0149】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は上述した実施形態に限るものではない。例えば、上述した実施形態は、ビーチサンダルを例として説明したが、草履に適用することも可能である。また、足板は、ゴム材やEVAウレタン材等によって構成されているが、足板の材質はそれに限るものではない。例えば、木材で構成してもよい。
【符号の説明】
【0150】
1~16 履物
20、25、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160 足台
20a、40a、70a、121a 踵部
20b、40b、51b、61b、70b、80b、101b、121b、141b つま先部
20c、20d、26a、51a、51c、61a、61c、70c、101a、101c、141a、141c、150a、161a 欠落部
26、61、101、121、131、161 第1層
27、62、102、122、132、162 第2層
30 鼻緒
31 前緒部
32 横緒部
32a 内横緒部
32b 外横緒部
33 親指ストラップ
34 アンクルストラップ
40c、90a、90c、110a、110b、121c、133a、133b 凹部
51d、61d、61e、62a、80d、142a、142b、161b、162a 斜面
71 柔軟台
80a 踵凹部
80c 外側凹部
131a 第1ブロック
131b 第2ブロック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図16C
図16D
図17A
図17B
図17C
図17D
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B
図19C
図19D