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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】綴じ具用表紙体
(51)【国際特許分類】
   B42F 13/22 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
B42F13/22
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024066337
(22)【出願日】2024-04-16
【審査請求日】2024-05-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593196528
【氏名又は名称】株式会社カネダ技研
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】金田 亨
(72)【発明者】
【氏名】山口 修二
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-149107(JP,A)
【文献】特開2022-063665(JP,A)
【文献】登録実用新案第3186930(JP,U)
【文献】特開2009-119605(JP,A)
【文献】特開2019-034494(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0194262(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 1/00-23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉の綴じ穴に通す綴じリングを有する綴じ具に取り付ける表紙体であって、
表表紙と、裏表紙と、表表紙と裏表紙とを連結する少なくとも1つの連結部とを備え、
前記表表紙及び裏表紙は、前記綴じ具の綴じリングを通すためのリング孔を有し、
前記少なくとも1つの連結部は、前記表紙体を前記綴じ具に取り付けた状態において前記綴じ具の綴じリング以外の一部を覆い、
前記表表紙及び裏表紙は、前記連結部に対して折り返し可能であり、
前記表表紙及び前記裏表紙それぞれと前記連結部との境界に、前記表表紙及び前記裏表紙を前記連結部に対して回動可能とするヒンジ部を有し、
前記表表紙及び前記裏表紙における前記リング孔近傍の縁は、前記表表紙、前記裏表紙及び前記連結部を平面状に展開した状態において前記表表紙及び前記裏表紙それぞれと前記連結部との境界よりも横方向内側に突出することを特徴とする綴じ具用表紙体。
【請求項2】
前記リング孔は前記表表紙及び裏表紙の横方向に長い長孔である請求項1に記載の綴じ具用表紙体。
【請求項3】
前記連結部は、前記表表紙に接続する表連結部と、前記裏表紙に接続する裏連結部と、前記表連結部と裏連結部とを繋ぐ背部とを有し、前記背部は、前記綴じ具の綴じリング以外の前記一部に近接又は接触する請求項1に記載の綴じ具用表紙体。
【請求項4】
前記リング孔である前記長孔は、径の異なる2つの円弧を含む請求項に記載の綴じ具用表紙体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ルーズリーフ等の紙葉の綴じ具に取り付ける綴じ具用表紙体に関する。
【背景技術】
【0002】
ルーズリーフ等の紙葉の綴じ具として、細長い基部と基部に連結される複数の綴じリングとを備え、各綴じリングを紙葉の綴じ穴に通すことで紙葉を綴じ込むものが知られている。各綴じリングは、一般に一対の半リング部からなり、半リング部の先端(開閉端)同士を接触等させることにより綴じリングが閉状態となり、先端間を離隔させることにより綴じリングが開状態となる。
【0003】
このような綴じ具では、意図せずに綴じリングが開状態となると、紙葉が綴じ具から外れて散乱するおそれがある。これを防ぐ技術として、たとえば、一対の半リング部の先端同士を係合及び脱係合させるロック機構を綴じリングごとに設けたり、綴じ具に別部品のロック機構を追加するものがある。しかしながら、綴じリングごとにロック機構を設ける場合、各綴じリングを同時に開閉操作できず、特に綴じリングを開く動作が煩わしくなる。また、別部品のロック機構を追加する場合、費用が嵩むという問題がある。
【0004】
別のタイプの綴じ具を、図8及び図9を参照して説明する。綴じ具1は、綴じリング2を構成する対をなす半リング部2A、2Bと、互いに隣接して位置し、対をなす半リング部2A、2Bのそれぞれが連結された軸方向(長手方向)に長い二本の基部3と、各基部3に設けられた軸受け部4と、各基部3の軸受け部4の内側に配置されて、二本の基部3の相互を連結するシャフト部5と、シャフト部5の軸方向両側端が固定されるシャフト保持部6と、シャフト保持部6の軸方向外側端に設けられたユーザが摘まむ把持部7とを有する。綴じ具1では、ユーザが、把持部7を摘まんで基部3を軸方向に沿って相対変位させ、シャフト6部の周りで基部3を回動変位させることにより、それらの相対変位及び回動変位に伴い、基部3に連結された全綴じリング2を同時に開閉させることができる。図8が綴じ具1の閉状態を示し、図9が開状態を示す。この綴じ具1の構成は、特開2018-1562号公報、特開2020-6539号公報に実質的に開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-1562号公報
【文献】特開2020-6539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した綴じ具1は、簡単な操作により全綴じリング2を同時に開閉することができ、費用が嵩むこともないといった利点を有する。その一方、紙葉を綴じ具1に綴じ込んだファイルの落下時に衝撃を受けた場合等に、意図せずに、基部3の長手方向の相対変位が起こって全綴じリング2が同時に開くことがある。この場合、紙葉が、綴じ具1から外れて飛散したり、綴じ具1が脱落、紛失してしまうおそれがある。
【0007】
この発明は、上述したような問題を解決することを課題とするものであり、その目的は、綴じ具の意図しない開動作により紙葉の飛散や綴じ具の脱落を有効に抑制することができる綴じ具用表紙体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の綴じ具用表紙体は、紙葉の綴じ穴に通す綴じリングを有する綴じ具に取り付ける表紙体であって、表表紙と、裏表紙と、表表紙と裏表紙とを連結する少なくとも1つの連結部とを備え、前記表表紙及び裏表紙は、前記綴じ具の綴じリングを通すためのリング孔を有し、前記少なくとも1つの連結部は、前記表紙体を前記綴じ具に取り付けた状態において前記綴じ具の綴じリング以外の一部を覆い、前記表表紙及び裏表紙は、前記連結部に対して折り返し可能であるものである。
【0009】
本発明の綴じ具用表紙体は、前記表表紙及び前記裏表紙それぞれと前記連結部との境界に、前記表表紙及び前記裏表紙を前記連結部に対して回動可能とするヒンジ部を有することができる。
【0010】
前記表表紙及び前記裏表紙における前記リング孔近傍の縁は、前記表表紙、前記裏表紙及び前記連結部を平面状に展開した状態において前記表表紙及び前記裏表紙それぞれと前記連結部との境界よりも横方向内側に突出することがある。
【0011】
前記リング孔は前記表表紙及び裏表紙の横方向に長い長孔であることが好ましく、前記リング孔である前記長孔は、径の異なる2つの円弧を含むことができる。
【0012】
前記連結部は、前記表表紙に接続する表連結部と、前記裏表紙に接続する裏連結部と、前記表連結部と裏連結部とを繋ぐ背部とを有し、前記背部は、前記綴じ具の綴じリング以外の前記一部に近接又は接触することがある。
【発明の効果】
【0013】
この発明の綴じ具用表紙体では、連結部が綴じ具の綴じリング以外の一部を覆うため、この部分が連結部内に拘束され、自由な変位が抑制される。これにより、綴じ具を、綴じリングの開閉端が表表紙と裏表紙との間の紙葉群に隠れ、外部に露出しないセンター位置に保ち易く、綴じ具の意図しない開動作により紙葉の飛散や綴じ具の脱落を有効に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係る綴じ具用表紙体に綴じ具を適用したファイルを示す斜視図である。
図2図1のファイルを、綴じ具用表紙体の表表紙及び裏表紙を折り返した状態で示す斜視図である。
図3図1のファイルを、表表紙及び裏表紙を開いた状態で示す平面図である。
図4図1のファイルを矢印Aから見た斜視図である。
図5図4の囲いC1の拡大図である。
図6】綴じ具用表紙体の表表紙及び裏表紙と連結部とを平面状に展開した平面図である。
図7図6の囲いC2の拡大図である。
図8】この発明に係る綴じ具用表紙体が適用される綴じ具を、綴じリングを閉じた状態で示す斜視図である。
図9図8の綴じ具を、綴じリングを開いた状態で示す斜視図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る綴じ具用表紙体に綴じ具を適用したファイルを表表紙側から見た図である。
図11】本発明の第3実施形態に係る綴じ具用表紙体に綴じ具を適用したファイルを表表紙側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に図面に示すところに基づいて、この発明の実施の形態について説明する。
図1~4は、本発明の第1実施形態に係る綴じ具用表紙体(以下、単に「表紙体」という。)22を含むファイル21を例示する。ファイル21は、表紙体22と、表紙体22が取り付けられた綴じ具1とを含む。ファイル21はさらにルーズリーフ等の紙葉23を含んでもよい。綴じ具1は、表紙体22と好適に組み合わせることができる綴じ具の一例であり、紙葉23の綴じ穴24に通す複数の綴じリング2を有する。表紙体22と好適に組み合わせることができる綴じ具は、特開2018-1562号公報、特開2020-6539号公報に開示される。
【0016】
表紙体22は、ファイル21の表側に配置される表表紙22aと、ファイル21の裏側に配置される裏表紙22bと、表表紙22aと裏表紙22bとを連結する1つ又は複数の連結部30とを備える。第1実施形態の表紙体22は一例として四つの連結部30を有する。一枚又は複数枚の紙葉23は、綴じ穴24に綴じリング2が通されて綴じ具1に綴じ込まれ、表紙体22の表表紙22aと裏表紙22bとの間に挟まれる。
【0017】
ファイル21及び表紙体22についての横方向(横方向内側及び外側)及び縦方向については図1及び図6に示した通りとし、例示した表表紙22a及び裏表紙22bは横方向より縦方向に長い。綴じ具1は、ファイル21の横方向内側に一例として二個適用される。各綴じ具1は一例として五つの綴じリング2を有する。これら二個の綴じ具1は縦方向において間隔を空けて両端側に配置される。四つの連結部30は、一方の綴じ具1に対して設けられる縦方向一端側の二つの連結部30と、他方の綴じ具1に対して設けられる縦方向他端側の二つの連結部30とからなる。
【0018】
表表紙22a及び裏表紙22bは、綴じ具1の綴じリング2を通す複数のリング孔22cを有する。図1等の例では表表紙22a及び裏表紙22bそれぞれの横方向内側における縦方向両端側にそれぞれ五つのリング孔22cが設けられる。それぞれ五つのリング孔22c及びこれに通される綴じリング2が存在する領域を縦方向において挟むようにそれぞれ2つの連結部30が設けられる。リング孔22cの数は綴じ具1の全綴じリング2を通すことができる限り、綴じリング2の数と同じであってもそれより多くてもよい。表表紙22a及び裏表紙22bそれぞれのリング孔22cに、各綴じ具1の綴じリング2を通すことで、綴じ具1に表紙体22が取り付けられる。連結部30は、表紙体22の綴じ具1への取り付けにより、綴じ具1の綴じリング2以外の一部(後述するリング領域外突出部8)を覆うように形成される。この点について次に説明する。
【0019】
以下、綴じ具1について、綴じリング2が並ぶ方向あるいは基部3の長手方向を軸方向と呼ぶ。図8及び図9を参照して、綴じ具1は、綴じリング2を構成する対をなす半リング部2A、2Bと、互いに隣接して位置し、対をなす半リング部2A、2Bのそれぞれが連結された軸方向に長い二本の基部3と、各基部3に設けられた軸受け部4と、各基部3の軸受け部4の内側に配置されて、二本の基部3の相互を連結するシャフト部5と、シャフト部5の軸方向両側端が固定されるシャフト保持部6と、シャフト保持部6の軸方向外側端に設けられたユーザが摘まむ把持部7とを有する。綴じ具1では、ユーザが、把持部7を摘まんで基部3を軸方向に沿って相対変位させ、シャフト6部の周りで基部3を回動変位させることにより、それらの相対変位及び回動変位に伴い、基部3に連結された全綴じリング2を同時に開閉させることができる。なお、図1等のファイル21の各綴じ具1は5つの綴じリング2を有するが、図8及び図9において綴じ具1の綴じリング2を便宜的に4つとしている。
【0020】
図8及び図9から、綴じ具1における基部3の軸方向両端とシャフト保持部6と把持部7は、綴じリング2が並ぶ領域の軸方向外側に突き出ていることが分かる。以下、リングが並ぶ領域の軸方向外側に突き出ている部分である基部3の軸方向両端とシャフト保持部6と把持部7を「リング領域外突出部8」と呼ぶ。表紙体22の各連結部30は綴じ具1に取り付けた状態において、リング領域外突出部8を覆うように形成される。これにより綴じ具1の綴じリング2が意図せず開状態となっても、綴じ具1のリング領域外突出部8が連結部30に引っ掛かり、綴じ具1が容易に脱落することはない。
【0021】
図5の拡大図で示すところからわかるように、連結部30は、表表紙22aに接続する表連結部31と、裏表紙22bに接続する裏連結部32と、表連結部31と裏連結部32とを繋ぐ背部33とを有する。表表紙22aは表連結部31に対して折り返し可能に形成される。裏表紙22bも裏連結部32に対して折り返し可能に形成される。このために、表表紙22aと表連結部31との境界及び裏表紙22bと裏連結部32との境界それぞれにヒンジ部34が設けられる。ヒンジ部34については後述する。ヒンジ部34に限らず、たとえば連結部30をエラストマー、ゴム等の柔らかい材料から形成することにより、表表紙22a及び裏表紙22bを連結部30に対して折り返し可能あるいは回動可能とすることができる。
【0022】
表連結部31と裏連結部32と背部33とは、ファイル21を閉じた状態において側面視(図5参照)がほぼコの字状に形成されるが、ほぼU字状、V字状とすることもできる。図4及び図5において、綴じ具1は、紙葉23群を閉じた状態の表紙体22に対して左右中間のセンター位置にある。このセンター位置において、綴じリング2の半リング部2A、2Bの開閉端2bは表表紙22aと裏表紙22bとの間の紙葉23群に隠れ、外部に露出しない。意図しない綴じ具1の綴じリング2の開動作を抑制するためには、まずもって綴じ具1をセンター位置に保つことが望ましく、表紙体22の連結部30、後述する突出縁22d(図7等参照)等は、綴じ具1をセンター位置に保つように機能する。連結部30の背部33は、綴じ具1のリング領域外突出部8に近接又は接触する。また、図7を参照して、表連結部31及び裏連結部32は、相互間隔を表表紙22a及び裏表紙22bから漸次狭めながら背部33へと繋がり、表連結部31及び裏連結部32もリング領域外突出部8に近接又は接する。これにより、綴じ具1のリング領域外突出部8は連結部30内に拘束され、自由な変位が抑制される。特にリング領域外突出部8は、綴じリング2がセンター位置にある場合において背部33により図4及び図5の上下方向への変位が抑制される。そのため綴じ具1はセンター位置に保たれ易くなる。綴じ具1がセンター位置にあると、意図せず綴じ具1の綴じリング2が開変位しようしても、これが阻止されるか、あるいは、この変位がわずかで済み、紙葉23が離脱するまでには至らない可能性が高い。更に、綴じ具1は、連結部30によりリング領域外突出部8が抱え込まれて表紙体22に保持されるので、ファイル21からの脱落が効果的に抑制される。
【0023】
上記の表紙体22は、図2に示すようにして、表表紙22a及び裏表紙22bを折り返したときに、ファイル21の連結部30を設けた箇所で、連結部30が表表紙22aもしくは裏表紙22bと綴じ具1の基部3との間に挟み込まれることから、その箇所が厚くなり得る。このことは、表表紙22a及び裏表紙22bの折り返しやすさを若干損なわせるおそれがある。それに対処するため、図示はしないが、綴じ具1のリング領域外突出部8における基部3の一部を切り欠くなどして連結部30の逃がしスペースを設けることができる。
【0024】
図6は表紙体22の展開図であり、表表紙22a及び裏表紙22bのそれぞれの紙葉23に対面する側の平面図である。図7図6の囲いC2の拡大図である。図7を参照して、表表紙22a及び裏表紙22bそれぞれと連結部30との境界には、ヒンジ部34が形成される。ヒンジ部34は、表表紙22a及び裏表紙22bを連結部30に対してほぼ360度回動可能とする。図2に示すファイル21は、図1に示す表表紙22a及び裏表紙22bを、ヒンジ部34を中心にほぼ180度回動させて表表紙22aと裏表紙22bとを直接重ねた状態である。図3に示すファイル21は、図1に示す表表紙22a及び裏表紙22bを、ヒンジ部34を中心にほぼ90度回動させてファイル21を開いた状態である。ヒンジ部34は、たとえば、表紙体22を形成するシート材を部分的に切り欠いたり、シート材の厚さを部分的に薄くすることで形成することができる。あるいは、ヒンジ部34は、表表紙22a及び裏表紙22bを成すシート材と連結部30を成すシート材との間をエラストマー、ゴム等の柔らかい材料で繋ぐことによっても形成することができる。図7を参照して、表連結部31及び裏連結部32それぞれと背部33との境界には折り目35が設けられる。折り目35も表紙体22を形成するシート材を部分的に切り欠いたり、シート材の厚さを部分的に薄くすることで形成することができる。
【0025】
次に、表紙体22の図6の囲いC2及び図7に示す部分(縦方向上方部分)について説明するが、これは表紙体22の縦方向下方部分についても当てはまる。1個の綴じ具1に対応する五つのリング孔22cは、表表紙22a及び裏表紙22bそれぞれの横方向内側における縦方向上方に設けられる。図7を参照して、表表紙22a及び裏表紙22bそれぞれの五つのリング孔22cが縦方向に並ぶ領域(リング孔並び領域)は縦方向上下二つの連結部30の間に存在する。表表紙22a及び裏表紙22bそれぞれにおけるリング孔並び領域近傍の縁22dは、横方向においてヒンジ部34、すなわち表表紙22a及び裏表紙22bと連結部30との境界よりも横方向内側(図6参照)にわずかに突き出る。この突き出た縁を以下、「突出縁22d」と呼ぶ。図7を参照して、縦方向における上下のリング孔並び領域間にはリング孔22cがない領域があり、この領域における表表紙22a及び裏表紙22bそれぞれの縁22eは、横方向においてヒンジ部34と実質的に同じ位置にある。すなわち、突出縁22dは縁22eよりも横方向内側にわずかに突き出る。こような突出縁22dを設けることにより、リング孔22cの強度を確保することができる。また、突出縁22dは、綴じ具1の綴じリング2、特に綴じリング2の基部3側部分に干渉、接触し易く、これにより綴じ具1がセンター位置からずれたり、綴じリング2が不用意に開変位することを抑制することができる。
【0026】
図7等を参照して、表紙体22のリング孔22cは、横方向に長い長円形状もしくは楕円形状等の長孔とすることが好ましい。これにより、表表紙22a及び裏表紙22bの開閉動作が、連結部30によりリング領域外突出部8が抱え込まれた綴じ具1の綴じリング2で阻害されにくくなる。各リング孔22cは、横方向内側における比較的小さい径の円弧22cbと、横方向外側における円弧22cbよりも大きい径の円弧22caとを含む。参照番号22ca、22cbは図7中の1つのリング孔22cのみに付している。換言すれば、各リング孔22cの形状は、円弧22caと、円弧22cbと、円弧22caの両端と円弧22cbの両端とをそれぞれ繋ぐ二本の線とからなる。綴じ具1の綴じリング2の一タイプとして、半リング部2A、2Bの基端側よりも開閉端2b側がより太く形成されるものがある。このタイプの綴じリング2の場合、綴じリング2の最も太い部分を円滑に通すためにこの太い部分に合わせてリング孔22cを形成すると、リング孔22cの横方向内側の縁が突出縁22dに近づきすぎて強度が低下するおそれがある。リング孔22cを、径の異なる円弧22ca及び円弧22caを含むように形成することにより、開閉端2b側が太い綴じリング2を有する綴じ具1に対応でき、かつリング孔22cの横方向内側の縁側の強度を保つことができる。なお、リング孔22cはほぼ真円形状、多角形状等であってもよい。
【0027】
表紙体22を綴じ具1に取り付ける場合、綴じ具1の軸方向両方のリング領域外突出部8を連結部30内に挿入し、開状態の綴じリング2を表表紙22a及び裏表紙22bのリング孔22cに通した後、綴じリング2を閉状態とする。この際、ヒンジ部34の位置によっては綴じリング2をリング孔22cに通しにくいことがあり得る。このような場合、たとえばリング孔22cから横方向内側に連続する切込み36(図7参照)を設けることにより、綴じリング2の通し時にリング孔22cが切込み36から撓み変形することで、綴じリング2を取り付け易くすることができる。なお、切込み36は、図7において一つのリング孔22cに対してのみ例示したが、例えば表紙体22の全リング孔22c又は複数のリング孔22c、裏表紙22bの全リング孔22c又は複数のリング孔22cなどに設けることができる。もちろん切込み36がなくてもよい。
【0028】
表紙体22は、たとえば、図6の展開状態にシート材を打ち抜くことにより製造することができる。この打ち抜きと同時にヒンジ部34、折り目35、突出縁22d等を形成することができる。表紙体22の材料として例えばポリプロピレン等の合成樹脂、厚紙等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。別のやり方として、表表紙22aと裏表紙22bとの間に連結部30を溶着等により連結することができる。この場合、連結部30は表表紙22a及び裏表紙22bとは異なる材料、例えばエラストマー、ゴム等の柔らかい材料とすることができる。
【0029】
以上の第1実施形態に係る表紙体22は四つの連結部30を有するが、本発明はこれに限定されるものではなく、連結部30は一つ~三つあるいは五つ以上であり得る。図10は、本発明の第2実施形態に係る表紙体22Aを含むファイル21Aを示す。ファイル21Aの綴じ具1は、第1実施形態のファイル21の綴じ具1と実質的に同じものであり、ファイル21Aにも2つの綴じ具1が適用される。表紙体22Aと表紙体22との違いは、表紙体22Aが3つの連結部30、30Aを有する点であり、これ以外の構成について表紙体22Aと表紙体22とは実質的に同じであるため、共通部分に同じ参照番号を用いる。表紙体22Aは、横方向内側における縦方向両端(上下)に設けられる2つの連結部30と、縦方向両側にそれぞれ取り付けられる綴じ具1間の全領域に延びる中間の連結部30Aとを有する。縦方向両端の各連結部30は第1実施形態と同様に綴じ具1の一方のリング領域外突出部8(図8等参照)を覆う。これに対して、連結部30Aは、縦方向上方の綴じ具1の他方のリング領域外突出部8と縦方向下方の綴じ具1の他方のリング領域外突出部8とを覆う。連結部30と表表紙22a及び裏表紙22bとの間の境界にはヒンジ部34が設けられる。なお、たとえば、表紙体22Aが1つの連結部30Aのみを有するように形成してもよい。連結部30Aも連結部30と同様に表連結部、裏連結部及び背部を有する。
【0030】
以上の第1及び第2実施形態に係る表紙体22、22Aはいずれも2つの綴じ具1に取り付け、各綴じ具1のリング領域外突出部8を連結部30、30Aで覆ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、別のタイプの綴じ具に取り付けられて綴じ具のリング領域外突出部8とは別の部分を連結部が覆ってもよい。図11は、本発明の第3実施形態に係る表紙体22Bを含むファイル21Bを示す。ファイル21Bは、2つの綴じ具1Bを含み、これら綴じ具1Bに表紙体22Bが取り付けられる。綴じ具1Bは、表紙体22Bの縦方向上下に取り付けられる。各綴じ具1Bは、一例として、3つの綴じリング2Cを含み、綴じ具1Bを開閉するための機構は綴じ具1と実質的に同じであり、この点は特許文献1及び2にも記載される。表紙体22Bは、四つの連結部30Bを有し、そのうち2つの連結部30Bは一方の綴じ具1Bに対して設けられ、残りの2つの連結部30Bは他方の綴じ具1Bに対して設けられる。表紙体22Bの各連結部30Bは、綴じ具1Bにおける軸方向に隣り合う2つの綴じリング2C間の部分を覆うように形成される。連結部30Bも連結部30と同様に表連結部、裏連結部及び背部を有する。
【符号の説明】
【0031】
1、1B 綴じ具
2、2C 綴じリング
2A、2B 半リング部
2b 半リング部の開閉端
3 基部
4 軸受け部
5 シャフト部
6 シャフト保持部
7 把持部
8 リング領域外突出部
21、21A、21B ファイル
22、22A、22B 表紙体
22a 表表紙
22b 裏表紙
22c リング孔
22d 突出縁
23 紙葉
24 綴じ穴
30、30A、30B 連結部
31 表連結部
32 裏連結部
33 背部
34 ヒンジ部
35 折り目
【要約】
【課題】綴じ具の意図しない開動作により紙葉の飛散や綴じ具の脱落を有効に抑制することができる綴じ具用表紙体を提供する。
【解決手段】この発明の綴じ具用表紙体22は、紙葉23の綴じ穴24に通す綴じリング2を有する綴じ具1に取り付ける表紙体22であって、表表紙22aと、裏表紙22bと、表表紙22aと裏表紙22bとを連結する少なくとも1つの連結部30とを備え、表表紙22a及び裏表紙22bは、綴じ具1の綴じリング2を通すためのリング孔22cを有し、少なくとも1つの連結部30は、表紙体22を綴じ具1に取り付けた状態において綴じ具1の綴じリング2以外の一部8を覆い、表表紙22a及び裏表紙22bは、連結部30に対して折り返し可能であるものである。
【選択図】図1
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