(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】魚群探知機用ケース
(51)【国際特許分類】
G01S 7/521 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
G01S7/521 Z
(21)【出願番号】P 2024134832
(22)【出願日】2024-08-13
【審査請求日】2024-08-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507168351
【氏名又は名称】笠原工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田中 亨
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 匠
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-298167(JP,A)
【文献】国際公開第2020/174640(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/38460(US,A1)
【文献】国際公開第93/04383(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/52 - 7/64
15/00 - 15/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部及び操作部を有する本体、該本体を支持する架台、該本体に接続される振動子、及び該振動子に浮力を付与するフロートを有する魚群探知機を収納する収納部を備える魚群探知機用ケースであって、
前記収納部は、内側に直方体状の収納空間を構成する前面部、後面部、底面部、上面部、及び左右の側面部と、
前記収納部を、前記本体を収納する前側収納部と前記振動子及び前記フロートを収納する後側収納部に仕切る隔壁とを備え、
前記隔壁には、前記前側収納部に収納された前記本体と前記後側収納部に収納された前記振動子とを接続するケーブルを通すための貫通孔が設けられ、
前記前面部は、開閉可能で透明な透明蓋部を構成し、
前記上面部における前記後側収納部に対応する部分は、該後側収納部の上面を開閉可能な後側蓋部を構成することを特徴とする魚群探知機用ケース。
【請求項2】
前記架台は、前記本体の下部の両側を支持する支持部を有する前部及び該前部よりも後側の後部を備え、
前記前側収納部は、前記後側収納部の前記隔壁を挟んだ下側に、前記後部が配置される空間を有することを特徴とする請求項1に記載の魚群探知機用ケース。
【請求項3】
前記本体は、前記表示部及び前記操作部を有する表示操作面を備え、
前記透明蓋部は、前記収納部に前記魚群探知機が収納され、該透明蓋部が閉じられた状態で、前記表示操作面に対向するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の魚群探知機用ケース。
【請求項4】
前記前側収納部の内面は、前記収納部に前記魚群探知機が収納された状態の前記本体及び前記架台の形状に適合した形状を有するように成型された発泡体で構成されることを特徴とする請求項1に記載の魚群探知機用ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚群探知機を収納するための魚群探知機用ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定器などの装置を収納するケースとして、測定器などを収納する内部空間を仕切りで区画し、装置本体が収納される本体収納部と、テストリードや接続コード、スペアヒューズなどの付属品が収納される付属品収納部とを設けた携帯用ケースが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の携帯用ケースにおいては、本体収納部に、装置本体が本体収納部に埋没するのを阻止すべく、装置本体を下支えすることが可能なクッション材が配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の携帯用ケースによれば、測定器が魚群探知機である場合、魚群探知機の本体を本体収納部に収納し、振動子やフロートを付属品収納部に収納するとすれば、魚群探知機を使用する際には、その都度、本体収納部から本体を取り出し、付属品収納部から振動子やフロートを取出して、本体に振動子を接続する必要がある。
【0006】
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点に鑑み、魚群探知機の本体を収納した状態でも魚群探知機を容易に使用することができる魚群探知機用ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の魚群探知機用ケースは、表示部及び操作部を有する本体、該本体を支持する架台、該本体に接続される振動子、及び該振動子に浮力を付与するフロートを有する魚群探知機を収納する収納部を備える。
【0008】
前記収納部は、内側に直方体状の収納空間を構成する前面部、後面部、底面部、上面部、及び左右の側面部と、前記収納部を、前記本体を収納する前側収納部と前記振動子及び前記フロートを収納する後側収納部に仕切る隔壁とを備える。
【0009】
前記隔壁には、前記前側収納部に収納された前記本体と前記後側収納部に収納された前記振動子とを接続するケーブルを通すための貫通孔が設けられる。前記前面部は、開閉可能で透明な透明蓋部を構成する。前記上面部における前記後側収納部に対応する部分は、該後側収納部の上面を開閉可能な後側蓋部を構成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、魚群探知機の本体を、魚群探知機用ケースの前側収納部に、本体の表示部及び操作部が透明蓋部の方に向いた姿勢で収納することができる。振動子は、隔壁の貫通孔を介して本体に接続した状態で、フロートとともに、後側収納部に収納することができる。
【0011】
魚群探知機を使用する際には、後側収納部から振動子及びフロートを取り出し、湖面に結氷した厚い氷の所望位置に設けた孔から湖水内に設置することができる。本体の操作部の操作や、表示部に表示される魚群探知の結果の確認は、前面部の透明蓋部を介して、あるいは透明蓋部を開いて、容易に実施することができる。したがって、魚群探知機の本体を前側収納部に収納した状態で、魚群探知機を容易に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る魚群探知機用ケースの斜視図である。
【
図2】
図1の魚群探知機用ケースの魚群探知機を収納した状態での断面図である。
【
図3】
図1の魚群探知機用ケースに魚群探知機を収納した状態において、前面部を開けて前側から見た様子を示す図である。
【
図4】
図1の魚群探知機用ケースの後側収納部に魚群探知機のフロートなどを収納した状態において、後側蓋部を開けた様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る魚群探知機用ケースの外観を示す。
図2は、この魚群探知機用のケース1に魚群探知機2を収納した状態の断面を示す。これらの図に示すように、ケース1は、魚群探知機2を収納する収納部3を備える。収納部3は、内側に直方体状の収納空間を構成する前面部4、後面部5、底面部6、上面部7、及び左右の側面部8により構成される。
【0014】
図1に示すように、前面部4は、開閉可能で透明な透明蓋部9を構成する。透明蓋部9は、上辺を開閉時の回動軸となるようにして、ファスナ10aにより開閉できるように構成される。
図2に示すように、収納部3は、隔壁13により、前側収納部11と後側収納部12とに仕切られる。
【0015】
図3は、
図1のケース1に魚群探知機2を収納した状態において、透明蓋部9を開けた様子を示す。魚群探知機2は、
図2及び
図3に示すように、表示部14及び操作部15を有する表示操作面16を備える本体17、本体17を支持する架台18、本体17にケーブル19で接続される振動子20、及び振動子20に浮力を付与するフロート21を有する。フロート21はケーブル19に取り付けられる。
【0016】
図2に示すように、透明蓋部9は、収納部3に魚群探知機2が収納され、透明蓋部9が閉じられた状態で、魚群探知機2の表示操作面16に対向する。この状態において、表示操作面16の表示部14は、透明蓋部9の外側から視認可能であり、操作部15は透明蓋部9の外側から操作可能である。
【0017】
図2に示すように、魚群探知機2の本体17は、前側収納部11に収納される。魚群探知機2の振動子20及びフロート21は、後側収納部12に収納される。前側収納部11と後側収納部12との間の隔壁13には、前側収納部11に収納された本体17と後側収納部12に収納された振動子20とを接続するケーブル19を通すための貫通孔22が設けられる。
【0018】
上面部7における後側収納部12に対応する部分は、後側収納部12の上面を開閉可能な後側蓋部23を構成する。後側蓋部23は、上面部7における隔壁13の上端縁に対応する部分を開閉時の回動軸として開閉可能に構成される。
【0019】
図4は、魚群探知機2が収納されたケース1の後側蓋部23を開けた様子を示す。
図4に示すように、魚群探知機2のフロート21は、横方向に長い後側収納部12の長さ方向に沿うようにして収納される。
【0020】
図2に示すように、魚群探知機2の架台18は、本体17の下部の左右両側を支持する支持部24を有する前部25と、前部25よりも後側の後部26とを備える。前側収納部11は、収納部3に魚群探知機2が収納された状態で、架台18の後部26の後側が配置される空間27を、後側収納部12の隔壁13を挟んだ下側に有する。
【0021】
架台18の前部25には、架台18の幅方向に延びた長孔28が設けられる。収納部3を構成する底面部6、後面部5、側面部8、及び、後側蓋部23を除く上面部7の内側は、収納部3に魚群探知機2を収納するのに適した大きさ及び形状を有するように成型された発泡体で構成される。また、その発泡体の外側は、防水用のビニールで覆われる。
【0022】
図1に示すように、底面部6の内側の発泡体には、架台18の長孔28に嵌合する凸部29が設けられる。前側収納部11の上端における両側の間には、ケース1を吊り下げて運ぶための取っ手30が渡され、その両端部が上面部7の両側に固定される。取っ手30の位置は、魚群探知機2を収納した状態のケース1の前後方向における重心に近い位置に設定される。
【0023】
この構成において、ケース1に魚群探知機2を収納する際には、まず、ケース1の透明蓋部9及び後側蓋部23を開けた状態において、フロート21を取り付けた振動子20のケーブル19を、隔壁13の貫通孔22に通し、魚群探知機2の本体17に接続する。
【0024】
次に、
図2に示すような姿勢で架台18に取り付けられた本体17を、架台18とともに前側収納部11に挿入する。このとき、架台18の後部26が、前側収納部11の後側の空間27に位置するとともに、架台18の長孔28が底面部6の凸部29に嵌合するように架台18及び本体17を配置する。これにより、架台18は、前側収納部11により、その内側において、確実に保持される。
【0025】
次に、振動子20及びフロート21を、
図2や
図4のように、後側収納部12に収納し、後側蓋部23により後側収納部12を閉塞し、そしてファスナ10b(面ファスナ)により後側蓋部23を後面部5に固定する。ケーブル19の後側収納部12に位置する部分は、折り重ねて後側収納部12に収納される。
【0026】
次に、透明蓋部9を閉じて前側収納部11を閉塞し、ファスナ10aにより透明蓋部9を前側収納部11に固定する。これにより、ケース1への魚群探知機2の収納が完了する。魚群探知機2の収納が完了したケース1は、取っ手30を持って容易に持ち運ぶことができる。
【0027】
魚群探知機2を使用する際には、ファスナ10b(面ファスナ)を外して後側蓋部23を開放し、振動子20及びフロート21を後側収納部12から取り出して、湖面に結氷した氷にドリルで掘削して開けられた孔から湖水内に振動子20を沈め、振動子20にフロート21で浮力を与え、振動子20を湖面近傍に配置する。
【0028】
その後、魚群探知機2の操作部15を、透明蓋部9を介して操作することができる。また、透明蓋部9を通して表示部14に表示されるワカサギなどの魚群探知結果を確認することができる。この操作と確認は、透明蓋部9を開放して行ってもよい。
【0029】
より良い結果を得るために、掘削位置を変更する場合には、振動子20及びフロート21をケース1の後側収納部12に収納し、片方の手で取っ手30を持ってケース1により魚群探知機2を携帯するとともに他方の手でドリルを持って移動しながら、容易に新たな掘削位置を探索することができる。その間、濡れた振動子20及びフロート21の水分が、本体17に悪影響を及ぼすことは、ケース1の隔壁13によって阻止される。
【0030】
以上説明したように、本発明によれば、魚群探知機2を収納する収納部3を、貫通孔22を有する隔壁13により前側収納部11と後側収納部12とに分けたので、貫通孔22を通したケーブル19で本体17と振動子20を接続したまま、魚群探知機2の本体17を前側収納部11に収納し、振動子20とフロート21を後側収納部12に収納することができる。
【0031】
したがって、魚群探知機2の本体17を前側収納部11に収納したままの状態で、振動子20とフロート21を後側収納部12から取り出し、魚群探知を実施することができる。その際に、本体17の操作部15の操作や、表示部14に表示される魚群探知の結果の確認は、前面部4の透明蓋部9を介して、あるいは透明蓋部9を開けて、容易に実施することができる。
【0032】
また、貫通孔22を有する隔壁13により前側収納部11と後側収納部12とに分けたので、後側収納部12に収納された濡れた振動子20及びフロート21の水分が、本体17に悪影響を及ぼすのを隔壁13により防止しながら魚群探知機2を携帯することができる。
【0033】
したがって、湖面に結氷した氷上の所望の種々の位置において、支障無くかつ効率的に魚群探知を行いながら、ワカサギなどの好ましい釣り位置を探索することができる。
【0034】
また、収納部は、後側収納部12の隔壁13を挟んだ下方に、架台18の後部26を挿入できる空間27を有するので、収納された魚群探知機2の架台18の後部26の上方のスペースを活用して後側収納部12を設け、振動子20及びフロート21を収納することができる。
【0035】
また、透明蓋部9は、魚群探知機2がケース1に収納され、透明蓋部9が閉じられた状態で、本体17の表示操作面16に対向するので、収納された魚群探知機2の操作部15及び表示部14を、透明蓋部9を介して操作及び確認することができる。
【0036】
また、前側収納部11の内面は、収納された本体17及び架台18の形状に適合した形状を有するように成型された発泡体で構成されるので、本体17及び架台18を確実かつ安全に保持しつつ、魚群探知機2を収納し、携帯することができる。
【0037】
なお、本発明は上述実施形態に限定されない。例えば、魚群探知機2の架台18は前後方向の長さが短く、これに対応して前側収納部11は、空間27を有していなくてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…ケース、2…魚群探知機、3…収納部、4…前面部、5…後面部、6…底面部、7…上面部、8…側面部、9…透明蓋部、10a、10b…ファスナ、11…前側収納部、12…後側収納部、13…隔壁、14…表示部、15…操作部、16…表示操作面、17…本体、18…架台、19…ケーブル、20…振動子、21…フロート、22…貫通孔、23…後側蓋部、24…支持部、25…前部、26…後部、27…空間、28…長孔、29…凸部、30…取っ手。
【要約】
【課題】魚群探知機の本体を収納した状態でも魚群探知機を容易に使用することができる魚群探知機用ケースを提供する。
【解決手段】魚群探知機用のケース1は、魚群探知機2を収納する収納部3が、内側に直方体状の収納空間を構成する前面部4、後面部5、底面部6、上面部7、及び左右の側面部8と、収納部3を、前側収納部11と後側収納部12に仕切る隔壁13とを備える。隔壁13には、前側収納部11に収納された魚群探知機2の本体17と後側収納部12に収納された振動子20とを接続するケーブル19を通すための貫通孔22が設けられる。前面部4は、開閉可能で透明な透明蓋部9を構成する。後側収納部12には、その上面を開閉可能とする後側蓋部23が設けられる。
【選択図】
図2