(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】オイルシール
(51)【国際特許分類】
F16J 15/3212 20160101AFI20241022BHJP
F16J 15/06 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
F16J15/3212
F16J15/06 A
(21)【出願番号】P 2024555005
(86)(22)【出願日】2024-07-04
(86)【国際出願番号】 JP2024024203
【審査請求日】2024-09-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516272490
【氏名又は名称】SKG株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【氏名又は名称】小林 悠太
(72)【発明者】
【氏名】今川 豊
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 将幸
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-270873(JP,A)
【文献】実開昭61-57270(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/3212
F16J 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口した非回転体の内周面と、前記非回転体に対して回転する回転体の外周面との間に設けられるオイルシールであって、
前記回転体の前記外周面に嵌められ、弾性樹脂で環状に形成されたシール部と、
前記シール部を前記回転体に向かって押し付ける環状のスプリングと、
前記シール部と別体であり、前記非回転体の前記内周面に嵌め込まれる環状体と、を備え、
前記シール部は、密封対象の側に位置する内側面と、前記内側面の反対側に位置する外側面と、前記回転体の前記外周面に接触する内周接触面と、を有し、
前記環状体は、前記非回転体の前記内周面と対向する対向部と、前記シール部の前記外側面を覆うカバーと、を有し、
前記シール部には、前記スプリングが嵌められ、前記回転体に向かって幅が狭くなる溝が形成され、
前記溝に嵌められた前記スプリングによって、前記シール部の前記内周接触面が前記回転体に押し付けられ、且つ、前記シール部の前記外側面が前記カバーに押し付けられる、
オイルシール。
【請求項2】
前記環状体は、前記シール部の前記内側面を覆うプレートをさらに有し、
前記溝に嵌められた前記スプリングによって、前記シール部の前記内側面が前記プレートに押し付けられる、
請求項1に記載のオイルシール。
【請求項3】
前記対向部にライニング又はコーティングによって施され、前記非回転体の前記内周面と接触するはめあい部をさらに備える、
請求項1に記載のオイルシール。
【請求項4】
前記シール部は、前記回転体と共に回転し、
前記回転体が回転すると、前記環状体に対して前記シール部が摺動する、
請求項1~3のいずれか1項に記載のオイルシール。
【請求項5】
前記回転体が回転すると、前記シール部に対して前記回転体が摺動する、
請求項1~3のいずれか1項に記載のオイルシール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、オイルシールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、金属環にゴム状弾性材料を一体に成形して構成されたシール部を備えるオイルシールが記載されている。このシール部は、非回転体の内周面に嵌められる外周シール部と、金属環のフランジから密封流体側へ延び、回転体の外周面と当接するシールリップと、金属環のフランジからシールリップと反対側へ延び、回転体の外周面と当接するダストリップと、を有する。シールリップは、オイルシールに組み込まれた環状のスプリングによって回転体に締め付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のオイルシールでは、シール部に金属環がインサートされているため、シール部が摩耗すると、オイルシール全体を交換しなければならない。また、このオイルシールは、複雑な一体形状を有し、構造が複雑である。
【0005】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、摩耗した部分の交換が容易で、構造が簡潔なオイルシールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係るオイルシールは、
開口した非回転体の内周面と、前記非回転体に対して回転する回転体の外周面との間に設けられるオイルシールであって、
前記回転体の前記外周面に嵌められ、弾性樹脂で環状に形成されたシール部と、
前記シール部を前記回転体に向かって押し付ける環状のスプリングと、
前記シール部と別体であり、前記非回転体の前記内周面に嵌め込まれる環状体と、を備え、
前記シール部は、密封対象の側に位置する内側面と、前記内側面の反対側に位置する外側面と、前記回転体の前記外周面に接触する内周接触面と、を有し、
前記環状体は、前記非回転体の前記内周面と対向する対向部と、前記シール部の前記外側面を覆うカバーと、を有し、
前記シール部には、前記スプリングが嵌められ、前記回転体に向かって幅が狭くなる溝が形成され、
前記溝に嵌められた前記スプリングによって、前記シール部の前記内周接触面が前記回転体に押し付けられ、且つ、前記シール部の前記外側面が前記カバーに押し付けられる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、摩耗した部分の交換が容易で、構造が簡潔なオイルシールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の第1実施形態に係るオイルシールの断面図であって
図2のA部の拡大図。
【
図2】第1実施形態に係るオイルシール及びベアリングの断面図。
【
図3】第1実施形態に係るオイルシールが適用された減速機の断面図。
【
図4】本開示の第2実施形態に係るオイルシールの断面図。
【
図5】本開示の第3実施形態に係るオイルシールの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係るオイルシール101は、開口した非回転体2の内周面2iと、非回転体2に対して回転する回転体3の外周面3oとの間に設けられる。例えば、
図2に示すように、非回転体2はベアリング1の外輪を構成し、回転体3はベアリング1の内輪を構成する。
図1は、
図2のA部の拡大図である。回転体3は、
図3に示す軸線AXを中心に回転可能である。
【0011】
ベアリング1は、例えば、クロスローラベアリングであり、減速機の構成要素である。減速機としては周知の種々の構成を適用することができるが、一例として、
図3に示す減速機200について簡潔に説明する。
【0012】
(減速機200)
減速機200は、波動歯車装置として構成され、ウェーブジェネレータ210と、剛性内歯歯車220と、フレックス部230と、剛性外歯歯車240と、ベアリング1及びオイルシール101と、を備える。
【0013】
各図では、見易さを考慮して一部構成の断面を示すハッチングを省略した。以下の説明では、軸線AXを中心とする円周方向を単に「円周方向」と呼び、軸線AXを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、軸線AXが延びる方向を単に「軸方向」と呼ぶことがある。
【0014】
ウェーブジェネレータ210は、回転入力に応じて軸線AXを中心に回転するカム211と、カム211の外周面に設けられた環状のウェーブベアリング212と、を備える。カム211は、中空のシャフトの外周に形成され、円周方向において等間隔で位置するN個(Nは、2以上の整数)の極を有する。例えば、カム211は、2個の極を有した楕円状である。剛性内歯歯車220は、金属などの公知の材料によって剛性を有して形成され、ウェーブベアリング212を囲む。
【0015】
フレックス部230は、特殊鋼等の金属材によりフレキシブル性を有して筒状に形成され、可撓性外歯歯車231と、可撓性内歯歯車232と、を備える。可撓性外歯歯車231は、ウェーブベアリング212の外周に嵌めこまれ、カム211の極に対応する位置で撓められて剛性内歯歯車220と噛み合う。可撓性内歯歯車232は、可撓性外歯歯車231がウェーブジェネレータ210によって撓められたことに応じて撓み、剛性外歯歯車240と噛み合う。剛性外歯歯車240は、金属などの公知の材料によって剛性を有し、円環状に形成されている。
【0016】
可撓性外歯歯車231及び剛性内歯歯車220の歯数差に応じて、カム211とフレックス部230の間には速度比が生じる。一方、可撓性内歯歯車232及び剛性外歯歯車240の歯数は同じであってもよいし、異なっていてもよい。可撓性内歯歯車232及び剛性外歯歯車240に歯数差がある場合、当該歯数差に応じて、フレックス部230と剛性外歯歯車240の間には速度比が生じる。いずれにせよ、減速機200は、剛性内歯歯車220、可撓性外歯歯車231、可撓性内歯歯車232及び剛性外歯歯車240の各歯数の関係に基づき、剛性外歯歯車240を回転入力に対して減速させる。
【0017】
ベアリング1の非回転体2(外輪)は、剛性内歯歯車220に直接あるいは間接的に固定される。一方、ベアリング1の回転体3(内輪)は、剛性外歯歯車240に固定される。剛性外歯歯車240と共に回転する回転体3は、図示せぬ出力対象と連結される。
【0018】
(オイルシール101)
オイルシール101は、
図1、
図2に示すように、ベアリング1における非回転体2(外輪)と回転体3(内輪)の境界を跨いで形成された窪みの内部に設けられる。この窪みは、軸方向から見て環状に形成される。オイルシール101は、シール部10と、スプリング20と、環状体30と、はめあい部40と、を備える。
【0019】
シール部10は、回転体3の外周面3oに嵌められ、弾性樹脂で環状に形成されている。シール部10は、NBR(Nitrile Butadiene Rubber)等の周知のエラストマーにより形成される。シール部10は、
図1に示すように、密封対象の側に位置する内側面11と、内側面の反対側に位置する外側面12と、回転体3の外周面3oに接触する内周接触面13と、を有する。なお、
図1で、オイル、グリース等である密封対象の側を「In」と記し、大気の側を「Out」と記した(後述の
図4及び
図5も同様)。
【0020】
シール部10の内側面11と外側面12の間には、スプリング20が嵌められ、回転体3に向かって幅が狭くなる溝14が形成されている。溝14は、シール部10の全周に亘って形成され、断面視でV字状に形成されている。
【0021】
スプリング20は、軸方向から見て環状に構成され、シール部10の全周を囲むガータースプリングである。スプリング20は、シール部10を回転体3に締め付ける。つまり、スプリング20は、シール部10を回転体3に向かって押し付ける。シール部10の溝14に嵌められたスプリング20によって、シール部10の内周接触面13が回転体3(具体的には、回転体3の外周3o)に押し付けられ、シール部10は軸方向に拡げられる。
【0022】
環状体30は、軸方向から見て環状をなし、非回転体2の内周面2iに嵌め込まれる。例えば、環状体30は、金属プレス加工によって成形される。なお、環状体30は、剛性を確保することができれば、金属に限られず、エンジニアリングプラスチック等で形成されていてもよい。環状体30は、シール部10と別体であり、つまり、シール部10と分離可能である。
【0023】
環状体30は、
図1に示すように、非回転体2の内周面2iと対向する対向部31と、シール部10の外側面12を覆うカバー32と、を有する。対向部31及びカバー32による一体形状は、
図1に示すように、断面視でL字状をなす。
【0024】
前述のように、シール部10の溝14に嵌められたスプリング20によって、シール部10は軸方向に拡げられる。これにより、シール部10の外側面12がカバー32に押し付けられると共に、内側面11が軸方向で回転体3に押し付けられる。
【0025】
はめあい部40は、環状体30の対向部31にライニング又はコーティングによって施され、非回転体2の内周面2iと接触する。つまり、環状体30は、はめあい部40を介して内周面2iに嵌め込まれる。はめあい部40は、ゴム、樹脂などで構成され、対向部31の全周に亘って施されている。はめあい部40によって、非回転体2の内周面2iに対して環状体30を固定し易くなり、且つ、環状体30と非回転体2の摩耗を防止することができる。
【0026】
ここで、環状体30の対向部31に施されたはめあい部40と、非回転体2の内周面2iの間は密封される。また、第1実施形態では、シール部10は、回転体3に圧入されており、回転体3と共に回転する。したがって、内周接触面13と回転体3の外周面3oの間は、密封されている。そして、回転体3が回転すると、非回転体2に固定された環状体30に対してシール部10が摺動する。環状体30のカバー32と、シール部10の外側面12との間には潤滑剤が充填されており、回転体3が回転すると、環状体30に対して外側面12が低い摩擦で摺動することができる。このように、環状体30に対するシール部10の摺動を許容しつつも、前述のように、外側面12がカバー32に押し付けられているため、外側面12とカバー32の間は良好に密封される。第1実施形態の説明は以上である。
【0027】
ここからは、第1実施形態に係るオイルシール101と同様に、ベアリング1及び減速機200に適用可能な他の実施形態に係るオイルシールについて説明する。以下では、第1実施形態と同様の構成については第1実施形態と同じ符号を用い、第1実施形態と異なる点を主に説明する。
【0028】
(第2実施形態)
図4に示すように、第2実施形態に係るオイルシール102は、シール部10と、スプリング20と、環状体30と、はめあい部40と、を備える。第2実施形態の環状体30は、対向部31及びカバー32に加え、プレート33を有する。
【0029】
プレート33は、シール部10の内側面11を覆い、金属から成形されている。プレート33は、非回転体2に設けられた窪みと軸方向で接触する。なお、プレート33のうち、当該窪みと接触する部分にはライニング又はコーティングによって樹脂層が形成されていてもよい。
【0030】
第2実施形態の環状体30を構成する対向部31、カバー32及びプレート33は、断面視で略U字状をなす。なお、プレート33は、対向部31及びカバー32と一体であってもよいし、別体であってもよい。また、プレート33は、剛性を確保することができれば、金属に限られず、エンジニアリングプラスチック等で形成されていてもよい。
【0031】
前述のように、シール部10の溝14に嵌められたスプリング20によって、シール部10は軸方向に拡げられる。これにより、シール部10の外側面12がカバー32に押し付けられると共に、内側面11がプレート33に押し付けられる。
【0032】
ここで、環状体30の対向部31に施されたはめあい部40と、非回転体2の内周面2iの間は密封される。また、第2実施形態では、シール部10は、回転体3に圧入されており、回転体3と共に回転する。したがって、内周接触面13と回転体3の外周面3oの間は、密封されている。そして、回転体3が回転すると、非回転体2に固定された環状体30に対してシール部10が摺動する。カバー32とシール部10の外側面12との間、及び、プレート33とシール部10の内側面11との間には潤滑剤が充填されており、回転体3が回転すると、環状体30に対して外側面12及び内側面11が低い摩擦で摺動することができる。このように、環状体30に対するシール部10の摺動を許容しつつも、前述のように、外側面12がカバー32に押し付けられ、且つ、内側面11がプレート33に押し付けられているため、外側面12とカバー32の間、及び、内側面11とプレート33の間は良好に密封される。第2実施形態の説明は以上である。
【0033】
(第3実施形態)
図5に示すように、第3実施形態に係るオイルシール103は、シール部10と、スプリング20と、環状体30と、はめあい部40と、を備える。第3実施形態の環状体30は、第2実施形態と同様に、対向部31、カバー32及びプレート33を有する。
【0034】
第1及び第2実施形態と異なり、第3実施形態に係るオイルシール103では、シール部10に対して回転体3が回転する。つまり、回転体3の外周面3oが、シール部10の内周接触面13に対して摺動する。したがって、第3実施形態では、内周接触面13と回転体3の外周面3oとの間に潤滑剤が充填されている。
【0035】
シール部10には、内周接触面13から径方向に窪む窪み13Dが、内周接触面13の全周に亘って設けられている。この窪み13Dにより、シール部10に対して回転体3が摺動する際の抵抗を減らすことができる。つまり、第3実施形態に係るシール部10は、シールリップとして機能する。
【0036】
一方、溝14に嵌められたスプリング20によって軸方向に拡げられたシール部10は、カバー32とプレート33の間に挟み込まれ、環状体30に固定される。したがって、第3実施形態では、カバー32と外側面12の間、及び、プレート33と内側面11の間には潤滑剤が充填されていない。
【0037】
ここで、環状体30の対向部31に施されたはめあい部40と、非回転体2の内周面2iの間は密封される。また、第3実施形態では、外側面12とカバー32の間、及び、内側面11とプレート33の間は、密封されている。回転体3が回転すると、シール部10の内周接触面13に対して回転体3の外周面3oが摺動する。このように、シール部10に対する回転体3の摺動を許容しつつも、前述のように、シール部10はスプリング20によって回転体3に締め付けられているため、内周接触面13と回転体3の間は良好に密封される。第3実施形態の説明は以上である。
【0038】
以上に説明したオイルシール101,102,103は、シール部10と環状体30が別体に構成されている。したがって、シール部10が摩耗した場合、シール部10のみを交換することができる。
【0039】
また、オイルシール101,102,103は、シール部に金属環がインサートされた従来のオイルシールとは異なり、構造が簡潔である。構造が簡潔なオイルシール101,102,103は、製造が容易であり、組付けも容易である。
【0040】
また、シール部に金属環がインサートされた従来のオイルシールは、その構造上、軸方向に長くなり易い。一方で、オイルシール101,102,103は、単純形状の部品の組み合わせで構成されるため、従来のオイルシールよりも、軸方向に短い構造が可能である。これにより、オイルシール101,102,103が設けられるベアリング1が軸方向に長く、重くなってしまうことを抑制することができる。
【0041】
本開示は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本開示の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0042】
ベアリング1は、クロスローラベアリングに限られず、ローラベアリング、ボールベアリング等であってもよい。また、ベアリング1が適用される減速機200は、波動歯車装置に限られず、遊星歯車減速機などであってもよい。
【0043】
オイルシール101,102,103が適用される非回転体2及び回転体3は、ベアリング1の構成要素に限られず、種々の装置の構成要素であってもよい。例えば、非回転体2は、車両のトランスファー装置におけるハウジングであり、回転体3は、当該ハウジングに挿通されるものであってもよい。
【0044】
以上に説明したオイルシール101,102,103の少なくともいずれかは、以下の付記に記載の特徴を有する。
【0045】
(付記)
(付記1)
開口した非回転体の内周面と、前記非回転体に対して回転する回転体の外周面との間に設けられるオイルシールであって、
前記回転体の前記外周面に嵌められ、弾性樹脂で環状に形成されたシール部と、
前記シール部を前記回転体に向かって押し付ける環状のスプリングと、
前記シール部と別体であり、前記非回転体の前記内周面に嵌め込まれる環状体と、を備え、
前記シール部は、密封対象の側に位置する内側面と、前記内側面の反対側に位置する外側面と、前記回転体の前記外周面に接触する内周接触面と、を有し、
前記環状体は、前記非回転体の前記内周面と対向する対向部と、前記シール部の前記外側面を覆うカバーと、を有し、
前記シール部には、前記スプリングが嵌められ、前記回転体に向かって幅が狭くなる溝が形成され、
前記溝に嵌められた前記スプリングによって、前記シール部の前記内周接触面が前記回転体に押し付けられ、且つ、前記シール部の前記外側面が前記カバーに押し付けられる、
オイルシール。
【0046】
(付記2)
前記環状体は、前記シール部の前記内側面を覆うプレートをさらに有し、
前記溝に嵌められた前記スプリングによって、前記シール部の前記内側面が前記プレートに押し付けられる、
付記1に記載のオイルシール。
【0047】
(付記3)
前記対向部にライニング又はコーティングによって施され、前記非回転体の前記内周面と接触するはめあい部をさらに備える、
付記1に記載のオイルシール。
【0048】
(付記4)
前記シール部は、前記回転体と共に回転し、
前記回転体が回転すると、前記環状体に対して前記シール部が摺動する、
付記1~3のいずれかに記載のオイルシール。
【0049】
(付記5)
前記回転体が回転すると、前記シール部に対して前記回転体が摺動する、
付記1~3のいずれかに記載のオイルシール。
【0050】
以上の説明では、本開示の理解を容易にするために、公知の技術的事項の説明を適宜省略した。
【0051】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0052】
101,102,103…オイルシール
10…シール部
11…内側面、12…外側面
13…内周接触面、13D…窪み、14…溝
20…スプリング
30…環状体
31…対向部、32…カバー、33…プレート
40…はめあい部
1…ベアリング
2…非回転体、2i…内周面
3…回転体、3o…外周面
200…減速機
【要約】
オイルシール(101)は、回転体(3)の外周面(3o)に嵌められ、環状に形成されたシール部(10)と、環状のスプリング(20)と、シール部(10)と別体であり、非回転体(2)の内周面(2i)に嵌め込まれる環状体(30)と、を備える。シール部(10)は、内側面(11)、外側面(12)、及び、外周面(3o)に接触する内周接触面(13)を有する。環状体(30)は、内周面(2i)と対向する対向部(31)、及び、外側面(12)を覆うカバー(32)を有する。シール部(10)には、スプリング(20)が嵌められ、回転体(3)に向かって幅が狭くなる溝(14)が形成される。溝(14)に嵌められたスプリング(20)によって、内周接触面(13)が回転体(3)に押し付けられ、且つ、外側面(12)がカバー(32)に押し付けられる。