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  • 特許-無線基地局装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-21
(45)【発行日】2024-10-29
(54)【発明の名称】無線基地局装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/04 20090101AFI20241022BHJP
   H04W 88/08 20090101ALI20241022BHJP
【FI】
H04W24/04
H04W88/08
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021043873
(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公開番号】P2022143392
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2024-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100088959
【弁理士】
【氏名又は名称】境 廣巳
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【弁理士】
【氏名又は名称】桂木 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】久保 明子
【審査官】青木 健
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-077769(JP,A)
【文献】特開2002-064845(JP,A)
【文献】特開2002-344370(JP,A)
【文献】特開2003-173265(JP,A)
【文献】特開2008-017245(JP,A)
【文献】特開2010-057063(JP,A)
【文献】特開2010-213074(JP,A)
【文献】特開2015-215789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-H04W 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の機能を担う複数の機能部をネットワーク機器経由で相互に通信可能に接続した構成を有する無線基地局装置であって、
無線基地局装置に実装されている機能部の情報を記憶する不揮発性記憶部と、
無線基地局装置のリセット時、前記不揮発性記憶部に記憶されている機能部の情報を取得する取得部と、
前記取得された機能部の情報に基づいて前記ネットワーク機器の設定を行う設定部と、
前記ネットワーク機器の設定後、前記機能部毎に起動処理を開始させるために前記機能部を起動する起動処理部と、
前記機能部毎の起動処理と並行して無線基地局装置に現在実装されている機能部の情報を収集し、該収集した機能部の情報を前記不揮発性記憶部に保存する収集部と、
前記収集部によって収集された機能部の情報と前記取得部によって取得された機能部の情報とを比較し、一致しないときは無線基地局装置のリセットを自律的に行うリセット部と、
を備える無線基地局装置。
【請求項2】
前記ネットワーク機器は、L2スイッチである
請求項1に記載の無線基地局装置。
【請求項3】
前記機能部の情報は、前記機能部が実装されているスロットの番号および前記機能部の種類を含む
請求項1または2に記載の無線基地局装置。
【請求項4】
所定の機能を担う複数の機能部をネットワーク機器経由で相互に通信可能に接続した構成を有する無線基地局装置の起動制御方法であって、
無線基地局装置のリセット時、前回の起動時に収集され不揮発性記憶部に記憶されている機能部の情報を取得し、
前記取得された機能部の情報に基づいて前記ネットワーク機器の設定を行い、
前記ネットワーク機器の設定後、前記機能部毎に起動処理を開始させるために前記機能部を起動し、
前記機能部毎の起動処理と並行して無線基地局装置に現在実装されている機能部の情報を収集し、該収集した機能部の情報を前記不揮発性記憶部に保存し、
前記収集された機能部の情報と前記取得された機能部の情報とを比較し、一致しないときは無線基地局装置のリセットを自律的に行う、
無線基地局装置の起動制御方法。
【請求項5】
所定の機能を担う複数の機能部をネットワーク機器経由で相互に通信可能に接続した構成を有する無線基地局装置の制御を行うコンピュータに、
無線基地局装置のリセット時、前回の起動時に収集され不揮発性記憶部に記憶されている機能部の情報を取得する処理と、
前記取得された機能部の情報に基づいて前記ネットワーク機器の設定を行う処理と、
前記ネットワーク機器の設定後、前記機能部毎に起動処理を開始させるために前記機能部を起動する処理と、
前記機能部毎の起動処理と並行して無線基地局装置に現在実装されている機能部の情報を収集し、該収集した機能部の情報を前記不揮発性記憶部に保存する処理と、
前記収集された機能部の情報と前記取得された機能部の情報とを比較し、一致しないときは無線基地局装置のリセットを自律的に行う処理と、
を行わせるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線基地局装置、その制御方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話システムを構成する無線基地局装置(以下、基地局装置と記す)は、各種機能を実行する複数の機能部により構成される。個々の機能部は、CPUを搭載してソフトウェア処理を実行するハードウェアユニットにより構成される。個々の機能部は、カードとも呼ばれる。このような構成を有する基地局装置の一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の基地局装置は、主記憶機能部と伝送路機能部と監視・制御部と他機能部とから構成される。主記憶機能部は、基地局装置内の伝送路機能部、監視・制御部、および他機能部の各機能部の情報を一括管理し、その情報を基地局装置の初期起動処理時に該当する機能部へ送信する。伝送路機能部は、主記憶機能部、監視・制御部、および、他機能部に接続され、基地局装置内で伝送路的な機能を果たす。監視・制御部は、主記憶機能部、伝送路機能部、および、他機能部の各機能部の状態を監視し、また上位局からの指示に基づいて主記憶機能部、伝送路機能部、および、他機能部の各機能部に対する制御を実施する。他機能部は、基地局装置に後から追加することが可能であり、基地局装置が呼処理などの各種の機能を実行するために設けられている。これらの機能部のうち、基地局装置の初期起動処理時には、主記憶機能部および伝送路機能部が最初に起動される。これにより、監視・制御部および他機能部の各機能部が、初期起動処理に必要な当該各機能部の情報を伝送路機能部経由で主記憶機能部内から取得できるようにしている。
【0004】
複数の機能部から構成される基地局装置は、特許文献2にも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-272430号公報
【文献】特許第6206955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、基地局装置を構成する複数の機能部間の通信をL2スイッチなどのネットワーク機器により行う場合、基地局装置の初期起動処理時に実装されている機能部に応じたネットワーク機器の設定を行ってから各機能部の起動処理を開始させる必要がある。その理由は、実装されている機能部の種類によって担う機能が異なり、これによりネットワーク機器の設定も変更する必要がある。そのため、実装されている機能部の位置(スロット番号)および種類に応じたネットワーク機器の設定が行われていなければ各機能部の起動処理が実行できないためである。このようにネットワーク機器の設定を行うためには、基地局装置を構成する機能部の情報が必要になる。
【0007】
しかし、基地局装置を構成する機能部の数および種類は、個々の基地局装置で同一であるとは限らず、また同じ基地局装置であっても固定されているとは限らない。その理由は、サービス内容の変更に応じて基地局装置に実装されている一部の機能部が他の機能を有する別の種類の機能部と交換されたり、新たな機能部が追加されたりすることがあるためである。
【0008】
そこで、基地局装置の初期起動処理時には、基地局装置に実際に実装されている機能部の情報を収集し、その収集した情報に基づいてネットワーク機器の設定を行うようにしている。そのため、基地局装置を構成する機能部の情報を収集し終えるまでネットワーク機器の設定が行えず、結果として個々の機能部の起動処理の開始が遅れ、基地局装置の起動処理完了までに長時間を要していた。
【0009】
本発明の目的は、上述した課題、すなわち、基地局装置の起動処理が完了するまでに長時間を要する、という課題を解決する基地局装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一形態に係る基地局装置は、
所定の機能を担う複数の機能部をネットワーク機器経由で相互に通信可能に接続した構成を有する無線基地局装置であって、
無線基地局装置を構成する機能部の情報を記憶する不揮発性記憶部と、
無線基地局装置のリセット時、前記不揮発性記憶部に記憶されている機能部の情報を取得する取得部と、
前記取得された機能部の情報に基づいて前記ネットワーク機器の設定を行う設定部と、
前記ネットワーク機器の設定後、前記機能部毎に起動処理を開始させるために前記機能部を起動する起動処理部と、
前記機能部毎の起動処理と並行して無線基地局装置に現に実装されている機能部の情報を収集し、該収集した機能部の情報を前記不揮発性記憶部に保存する収集部と、
前記収集部によって収集された機能部の情報と前記取得部によって取得された機能部の情報とを比較し、一致しないときは無線基地局装置のリセットを自律的に行うリセット部と、
を備えるように構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上述したような構成を有することにより、基地局装置の起動処理が完了するまでに毎回長時間を要することがなくなり、起動処理時間完了までの平均時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係る基地局装置のブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る基地局装置がリセットされた時に制御管理部が実行する装置起動処理の一例を示すフローチャートである。
図3】本発明の第1の実施形態に係る基地局装置のサービス内容を変更するときの作業および処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4A】本発明の第1の実施形態に係る基地局装置のハードウェア変更前のカードの種類とスロット番号の例を示す模式図である。
図4B】本発明の第1の実施形態に係る基地局装置のハードウェア変更後のカードの種類とスロット番号の例を示す模式図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る基地局装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る基地局装置10のブロック図である。図1を参照すると、基地局装置10は、移動体通信における各種機能を実行する複数の機能部11-1~11-nと、これら複数の機能部11-1~11-n間の基地局内の通信に使用するネットワーク機器であるL2スイッチ12とを備える。なお、ネットワーク機器はL2スイッチに限定されるものではない。
【0014】
また、基地局装置10は、他の機能部として、L2スイッチ12を通じて複数の機能部11-1~11-nの動作の制御および運用管理を行う制御管理部13と、この制御管理部13に接続されたメモリ管理部14とを備える。
【0015】
メモリ管理部14は、基地局装置10の電源がオフになっても記憶情報を保持する能力を有する不揮発性メモリ14Aを内蔵する。不揮発性メモリ14Aには、前回の初期起動処理で収集された基地局装置10に実装されていた機能部の情報が保存されている。図1の例では、メモリ管理部14は、制御管理部13に直接に接続されているが、L2スイッチ12を介して制御管理部13および複数の機能部11-1~11-nに接続されていてもよい。
【0016】
複数の機能部11-1~11-n、制御管理部13、および、メモリ管理部14は、それぞれ、CPUを搭載してソフトウェア処理を実行するハードウェアユニットにより構成される。ハードウェアユニットは、カードとも呼ばれ、基地局装置10を構成する筐体に設けられたスロットに挿入されることにより基地局装置10に実装される。このような各機能部が挿入されているスロット番号および挿入されている機能部の種類を表す情報が、上述した不揮発性メモリ14Aに記憶されている機能部の情報の一例である。
【0017】
図2は、基地局装置10がリセットされた時に制御管理部13が実行する装置起動処理の一例を示すフローチャートである。図2に示す処理は制御管理部13に設けられたプログラムをCPUが実行することにより遂行される。
【0018】
図2を参照すると、制御管理部13は、基地局装置10のリセットにより装置起動処理を開始すると、先ず、不揮発性メモリ14Aに保存されている機能部の情報をメモリ管理部14経由で取得する(ステップS1)。このとき取得される機能部の情報は、基地局装置10の前回の装置起動処理時に収集されたものであるため、以下、機能部の情報(旧情報)と記す。すなわち、機能部の情報(旧情報)には、前回の装置起動処理において収集された、機能部が挿入されているスロット番号と挿入されている機能部の種類が含まれている。
【0019】
次に制御管理部13は、上記取得した機能部の情報(旧情報)に基づいて、L2スイッチ12を設定する(ステップS2)。制御管理部13は、ステップS2では、例えば以下のような処理を行う。先ず、制御管理部13は、機能部の情報(旧情報)から機能部が挿入されているスロット番号と挿入されている機能部の種類を取得する。次に制御管理部13は、スロット番号に固定的に決められているMACアドレスを、例えば事前に決定され記憶しているスロット番号・MACアドレス対応表から取得する。次に制御管理部13は、上記取得したMACアドレスを使用し、且つ、旧情報から取得した機能部の種類に応じて、L2スイッチ12を設定する。この設定により、基地局装置10内の通信が行えるようになる。すなわち、個々の機能部11-1~11-nおよび制御管理部13はL2スイッチ12経由で相互に通信できるようになる。なお、L2スイッチ12の設定は、基地局装置のリセットによりクリアされるため、基地局装置のリセットの都度、実施する必要がある。
【0020】
制御管理部13は、L2スイッチ12の設定を終えると、各機能部11-1~11-nを起動、即ち各カードを起動する(ステップS3)。これにより、個々の機能部11-1~11-nは、必要なデータをL2スイッチ12経由で制御管理部13から取得して自機能部の起動処理を実行する。また、制御管理部13は、ステップS3によって起動される個々の起動部の起動処理と並行して、現在実装されている機能部の情報を収集してメモリ管理部14経由で不揮発性メモリ14Aに保存する(ステップS4)。このとき収集される機能部の情報は、最新のものであるため、以下、機能部の情報(新情報)と記す。すなわち、機能部の情報(新情報)には、現時点において機能部が挿入されているスロット番号と挿入されている機能部の種類が含まれている。制御管理部13が、機能部の情報(新情報)を収集する方法は任意である。例えば、スロットに挿入されている機能部(カード)が自律的にスロット番号とカード種類とを図1には図示しない信号線などを通じて制御管理部13へ通知するように構成されている場合、制御管理部13は、機能部からの通知情報を受信することにより上記収集を行ってよい。或いは、スロットに挿入されたときに機能部(カード)自身が挿入されたスロット番号とカード種類とを外部から読み出し可能なメモリの保持するように構成されている場合、制御管理部13は、図1には図示しない信号線などを通じて機能部の上記メモリから機能部の情報(新情報)を読み出すことで上記収集を行ってよい。制御管理部13は、ステップS4では、不揮発性メモリ14Aに記憶されている機能部の情報(旧情報)を機能部の情報(新情報)と共に保持し、ステップS5における機能部の情報(新情報)との比較が終わった後に機能部の情報(新情報)により上書きする。
【0021】
次に制御管理部13は、機能部の情報(旧情報)と機能部の情報(新情報)とを比較し、両者間に相違があるか否かを調べる(ステップS5)。両者間に相違がある場合(ステップS6でYes)、制御管理部13は、基地局装置10のリセットを自律的に行う(ステップS7)。この自律的なリセットにより、制御管理部13は、再び図2に示す処理を最初から実行することになる。一方、両者間に相違がない場合(ステップS6でNo)、制御管理部13は図2に示す装置起動処理を終了する。これにより、基地局装置10は運用サービスの提供を開始することになる。
【0022】
続いて、基地局装置10のサービス内容を変更するときの作業および処理の流れについて、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0023】
基地局装置10の保守管理者は、サービス内容変更S11をトリガにして、運用方式に応じてハードウェア交換S12を行い、装置リセットS13を行う。ハードウェア交換S12では、基地局装置10のスロットに挿入されている一部の機能部(カード)を他の機能を有する別の機能部に交換し、或いは新たなカードを追加する作業が行われる。
【0024】
図4Aは、サービス内容を変更する前の基地局装置10に実装されたカードの種類とスロット番号の例を示す模式図である。この例では、Aという種類の2個のカードがスロット番号1、2に実装され、B(LTE)という種類の2個のカードがスロット番号3、4に実装され、Cという種類の2個のカードがスロット番号5、6に実装され、Dという種類の3個のカードがスロット番号7、8、9に実装されている。すなわち、サービス内容変更前の基地局装置10は、スロット番号3、4にLTE(Long Term Evolution)の伝送路機能を搭載したカードBが挿入され、LTEサービスを運用している。
【0025】
図4Bは、サービス内容を変更した後の基地局装置10に実装されたカードの種類とスロット番号の例を示す模式図である。スロット番号3、4のカードがLTE+NR(New Radio)の伝送路機能を搭載したカードB’に交換されている。すなわち、サービス内容変更後の基地局装置10は、LTE+NRサービスを運用する。
【0026】
装置リセットS13が行われると、基地局装置10の制御管理部13は、前回の起動時に不揮発性メモリ14Aに保存している機能部の情報(旧情報)を取得する(S14)。先の例では、図4Aに示したような機能部の情報が取得される。続いて、制御管理部13は、取得した機能部の情報(旧情報)に基づいてL2スイッチ設定S15を行う。
【0027】
制御管理部13は、L2スイッチの設定を完了すると、現在の機能部の情報(新情報)の収集および各機能部の起動処理を行う(S16)。次に制御管理部13は、S14で取得した機能部の情報(旧情報)とS16で収集した機能部の情報(新情報)とを比較し、両者間の差分を確認する(S17)。図4Aの構成を図4Bの構成に変更した場合、変更後の最初の起動処理において両者間の差分があることが確認される。そのため、制御管理部13は、装置リセットS13により再設定を促す。
【0028】
この装置リセットS13により、制御管理部13は、再び、不揮発性メモリ14Aに保存されている機能部の情報(旧情報)を取得する(S14)。この結果、図4Bに示したような機能部の情報が取得される。続いて、制御管理部13は、取得した機能部の情報(旧情報)に基づいてL2スイッチ設定S15を行う。さらに制御管理部13は、再び、現在の機能部の情報(新情報)の収集および各機能部の起動処理を行う(S16)。次に制御管理部13は、S14で取得した機能部の情報(旧情報)とS16で収集した機能部の情報(新情報)とを比較し、両者間の差分を確認する(S17)。今回の場合は、旧情報および新情報は何れも図4Bの構成で同じであるため、差分はない。そのため、制御管理部13は、差分なしと判断し、サービス再開する(S18)。
【0029】
サービス再開後、何らかの不具合が発生し、不具合発生時の復旧手段として、基地局装置10の装置リセットが行われたとする。このとき、図2の処理が実行されることになる。しかし、基地局装置10の機能部の情報に変更はないため、ステップS1で取得された機能部の情報(旧情報)とステップS4で収集される機能部の情報(新情報)とに相違はない。従って、装置リセットS7は行われない。
【0030】
一般に機能部の変更・交換を伴う装置リセットは、サービス内容(LTEサービス、5Gサービスなど)の変更時に限定されるため、頻度は低い。それに対して、機能部の変更・交換を伴わない装置リセットは、頻度が高い。そのため、装置リセットの都度、機能部の情報を収集しても結果的に前回起動時と比較して差分がないケースが多い。本実施形態は、この頻度の差に着目し、前回起動時の機能部の情報を不揮発性メモリ14Aに保存するように構成されている。また、装置リセットは、前回起動時と同じ構成という前提でL2スイッチ12の設定を行うように構成されている。そして、その後、機能部の起動処理と並行して実際の機能部の情報を収集する。これにより、基地局装置10の起動処理が完了するまでに毎回の装置リセット時に長時間を要することがなくなり、起動処理時間完了までの平均時間を短縮することができる。また、起動処理時間完了までの平均時間を短縮できることにより、サービス中断時間を短縮することができる。さらに、機能部の変更によるL2スイッチの設定変更とその要否を制御管理部が自律的に判断して行うため、無線基地局の保守者が機能部を変更する際に新旧機能部の差分を意識することなく作業を行うことができる。
【0031】
[第2の実施形態]
図5は、本発明の第2の実施形態に係る基地局装置20のブロック図である。図5を参照すると、基地局装置20は、所定の機能を担う複数の機能部21~23をネットワーク機器24経由で相互に通信可能に接続した構成を有する。ネットワーク機器24は、例えばL2スイッチで構成することができるが、それに限定されない。また、基地局装置20は、制御管理部25を有する。制御管理部25は、複数の機能部21~23およびネットワーク機器24の動作の制御および運用管理を行う。
【0032】
また、制御管理部25は、不揮発性記憶部251、取得部252、設定部253、起動処理部254、収集部255、リセット部256を備える。不揮発性記憶部251は、基地局装置20に実装されている機能部21~23の情報を記憶する。取得部252は、基地局装置20のリセット時、不揮発性記憶部251に記憶されている機能部の情報を取得する。設定部253は、取得部252により取得された機能部の情報に基づいてネットワーク機器24の設定を行う。起動処理部254は、ネットワーク機器24の設定後、機能部21~23毎に起動処理を開始させるために機能部21~23を起動する。収集部255は、機能部21~23毎の起動処理と並行して、基地局装置20に現在実装されている機能部の情報を収集し、この収集した機能部の情報を不揮発性記憶部251に保存する。リセット部256は、収集部255によって収集された機能部の情報と取得部252によって取得された機能部の情報とを比較し、一致しないときは基地局装置20のリセットを自律的に行う。
【0033】
このように構成された基地局装置20は、以下のように動作する。すなわち、不揮発性記憶部251は、前回の起動時に収集部255によって収集された基地局装置20に実装されている機能部21~23の情報を記憶している。基地局装置20のリセットが行われると、先ず、取得部252は、不揮発性記憶部251に記憶されている機能部の情報を取得する。次に、設定部253は、取得部252により取得された機能部の情報に基づいてネットワーク機器24の設定を行う。次に、起動処理部254は、ネットワーク機器24の設定後、機能部21~23毎に起動処理を開始させるために機能部21~23を起動する。また、収集部255は、機能部21~23毎の起動処理と並行して、基地局装置20に現在実装されている機能部の情報を収集し、この収集した機能部の情報を不揮発性記憶部251に保存する。次に、リセット部256は、収集部255によって収集された機能部の情報と取得部252によって取得された機能部の情報とを比較し、一致しないときは基地局装置20のリセットを自律的に行う。収集部255によって収集された機能部の情報と取得部252によって取得された機能部の情報とが一致するときは、上述した基地局装置20の自律的なリセットは行われない。そのため、基地局装置20は運用を開始する。
【0034】
以上のように構成され動作する基地局装置によれば、基地局装置の起動処理が完了するまでに毎回長時間を要することがなくなり、起動処理時間完了までの平均時間を短縮することができる。その理由は、前回起動時と機能部の構成が変わっている頻度が少ない点に着目し、前回起動時に収集した機能部の情報を不揮発性記憶部に保存しておき、装置リセット時、前回起動時と機能部の構成が同じという前提でネットワーク機器の設定を行い、その後、機能部の起動処理と並行して実際の機能部の情報を収集し、若し前回起動時と構成が変わっていれば再リセットを自律的に行うためである。
【0035】
以上、上記各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は無線基地局装置に利用でき、特にサービス中断時間の短縮が要請される無線基地局装置に利用できる。
【符号の説明】
【0037】
10 基地局装置
11-1~11-n 機能部
12 L2スイッチ
13 制御管理部
14 メモリ管理部
14A 不揮発性メモリ
20 基地局装置
21、22、23 機能部
24 ネットワーク機器
25 制御管理部
251 不揮発性記憶部
252 取得部
253 設定部
254 起動処理部
255 収集部
256 リセット部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5